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国務大臣(
山中貞則君) そこまで具体的な
企業施策になりますと、通産大臣の御列席をいただきたいと
考えるわけでございますが、
基本的な
考え方において、まず
一つの
現象として、
企業側はこのままの
姿勢ではやっていけないという
現象が起こっておることをまず指摘したいと
考えます。たとえば東京電力、関西電力等の新規電力需用に対応するためにぎりぎり必要な
企業の立地が、
地域住民の賛成を得られないでできないままでいる、あるいは
公害企業というらく印を世間から押されたために、どこにいっても、ある一カ所で断わられると、次のところに行けばまた次で断わられるという
現象が起こりつつある。すなわち
政府も、市町村長まで含めた全体の
姿勢としては、一応後進
地域やあるいは日の当たらない
地域等については、工業
整備特別
地域整備促進法とかあるいは新産都市とか、いろいろな施策を持ってまいりました。しかし、それだけでは
地域住民の幸福はすべてではないのである。その陰に幸福と相反する不幸を誘い込むことになるのだという、いわゆる住民意識というものが燃え上がりつつある。そのために国家的にも必要なそのような電力需給等に対して対応しなければならないものであっても立地できなくなるという
現象が
一つあると思います。これらについては通産大臣も、たしか
衆議院の段階でありましたか、今後やはり電力のあるべき需用、それに対する電力
企業の立地についてもっと
基本的に
国民の賛成を得るような何らかの
基本的な方針を
考えてみたいということを話しておられたように私も記憶いたしております。さらにいま
一つは、かりにそこに立地をしておる、
産業活動もしておるといっても、その
活動自体が排出その他について
地域住民の非難苦情で、よき隣人たる資格を失うということになりますと、
企業活動そのものが
地域において歓迎されざる
企業になりますから、いろいろな税制上のめんどうとかなんとかいうことが見られなくなりますし、あるいは
地域住民からよき隣人としてのまなざしを向けられなくなる。しかも具体的には反社会的な
企業としてのらく印を押された
公害関連
産業についてどうしても必要な人員を募集をいたしましても、それに対して応募者は数名という、何十分の一という、
企業にとってまことにショッキングな
現象がすでに起こっておるということは、すでに立地して
産業活動をしていても、なおかつ
企業側の良心的な反省が社会に受け入れられない場合には新入社員すら迎えることが困難になってきた。すなわち会社の存立がそこに危機に瀕しているということを具体的に脅威づけられておるということを証明しておるものと私は見てとっておるわけでありますけれ
ども、このような
現象面から
考えて、
企業側というものは、この際、
自分たちの今日までの
産業の
あり方について、十分いわゆる
モラルの面から
考え直すべきときにきているのではないかという点が
一つでございます。
さらに、そのような
現象とは別に、
企業というものの
あり方というものについて、やはりもし
企業が、かりに
公害企業――
公害を出さない
企業もあるわけですから、
大手でありましてももちろんそうでありますが、そのような
企業がそこに来なかったとしたならばそのような
公害騒ぎが起こっていたかどうかということを
考えたときに、やはり人の生命、健康等に影響のあるような騒ぎはその工場が来なければ起こらなかったのだということは現実に明白な事柄でありますから、これらのことを
考えるときに、何ものにもかえがたいものが生命であり、健康でございますので、これらの点について、
自分たちのあるべき
姿勢というものにもつときびしい
姿勢で臨まなければ、先ほど申しましたような第一点の周辺の現実の事情というものにみずからの
企業も取り巻かれていって、ついには
企業活動そのものを断念せざるを得なくなるということもあるのではないかと
考えます。
さらに第三点は、
中小企業の問題でありますけれ
ども、全国のメッキ屋さんは大体が
中小企業の方々が多い。それらの方々が、カドミウムを使ってメッキする場合において、それの処理をするためには資本金よりも、年間収益よりも、あるいは
企業の投資額よりも大きいそれらの除去装置をつけなければ
活動ができないことがわかって、そしてカドミウムメッキはやらないという宣言をされた。昨夜も私はNHKのテレビを見ていて、メッキ
企業の
中小企業の社長さん
たちが、おそらく同族法人みたいなものでありましょう、小さい工場でありましたけれ
ども、
自分たちはどうしていいかわからない、結局はやめるしかないのではないかというようなことを話しておられました。やはりこれらの方々には、今回の
公害防止事業費
事業者負担法等の中身について
中小企業に特別の配慮をしているのだ、あるいは金融や税制で見ますから、やはりあなた方も社会の一員として正しい
活動を続けるようにしてくださいという意味のよりよき指導とPRというもの、徹底したそういう
人たちに対する指導というものが必要であろうと
考えます。
ここらの点は、
基本的には通産
行政になりますので、私はまず
担当大臣としてのそれらに臨む
姿勢という意味において、私の見方を加えながら、御答弁を申し上げた次第でございます。