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国務大臣(
根本龍太郎君) 御
指摘のとおり、この文書は私に対して出たものでありますから、私も十分にこれは真剣に取り組んでみたのです。その結果が、御
承知のように先般来何回も申し上げるように、総
投資額五十五兆円のうちの、しかもその
下水道ばかりでなく、いろいろな環境の
対策がわずか三兆二千億そこそこ、これを相当大幅に
下水道に取ったにしても、五カ年
計画に振り当てれば二兆一千億
程度、これははなはだ
認識不足じゃないかということを実は数回にわたって私は閣議で
発言したわけなんです。そうして、この五十五兆円というものをもう少し私は
考え直す必要がありはしないか。特に、空気もさることながら、空気はわりあいに動いて、風が来たり、台風が来たりすれば流されてしまいますけれ
ども、一たん水が汚濁されて、そうしてそれに
一般の人が悪く習慣づけられると、全くこれは死の水になるわけだ。それゆえに実はことしの特別国会の当初に
衆議院で
指摘されましたが、河川法二十八条、二十九条の政令までこれができない。これが要するに産業官庁、農業官庁その他がいわゆる縦割りのセクショナリズムのために、何か
事業を保護することが第一優先なるがゆえにこれできなかった。けれ
どもこれは私は相当強く申し入れまして、いまの
水質基準をきめて、その
水域に指定されたものだけがいままでは
水質をよくするということになると、それの指定されないところは何ぼでもよごしてもいいということになるのじゃないか、はなはだこれはおかしい、どんなあれがあっても、私は、これは総理の御指示のもとに政令をまずつくらなければならないというところに、最初にこれは踏み切らせましたので、これからは水は原則として、よごした者は、いかなる
理由があろうとも、それは罰則の
対象にするのだ、処罰の
対象にするのだという、こういうまず前提をつくる。それから
下水道に関するところの
投資は思い切ってこれはやるべきだ。その
意味で、ここにも出ておりまするが、特に
下水道については
建設公債を出してもいいのじゃないか、これは前向きにやったほうが究極においてこれは経済的であるというところまで提言は実はいたしております。しかしながら、
財政当局はなかなかたとえ
建設的なものであろうとも、公債についてはまだなかなか承諾しておりません。しかし、私はいま国で
下水道建設公債を出すということについていろいろ問題があろうとも、少なくとも、先ほど来
松永さんその他の方々からいろいろ
指摘されたように、今度は知事に相当の権限を与えておるわけでして、そうするとこれを消化するためには、私、
衆議院の段階で実はお答えしたのですが、公明党の小川さんから提言されたことに関連して私がお答えしたのは、
地方自治体が
下水道事業、特に
流域下水道等をやる場合には、
地方公社みたいなものを認めていいんじゃないか、そうしてその
地方自治体が
事業債を発行すべきだ、こういうような前向きの姿勢でいくことが
一つの
政治的な課題として取り上げてよかろうということを実は申し上げたのであります。これは五カ年
計画が策定されてから後、どうこれを具体的に
財政上もカバーしていくかという場合に、これは自治省とも協議し、さらに大蔵省とも協議をして、何かそういうふうなことをしていかないと、先ほど
松永さんから
指摘されたように、
公害基本法ができた、条文には非常に明確に出ておるけれ
ども、それを裏づけする
地方自治体にも、国にも
財政の裏づけがなければ、たとえ五カ年
計画ができたとしても、非常にこれは
現実から見れば小さなものになり、しかも、これは非常にあとからあとからと追っかけていくために、将来に対して非常な大きな
負担を究極において国民にかけるということになると思います。そういう
意味で、これはいまからあまり大きい声で言うと、今度はとても四十六年度
予算編成ができないということになってしまう、これまた過度の
要求した結果がかえって逆になるということも
現実の
政治情勢ではあり得るのですから、まず、私は現在は少なくとも第五次五カ年
計画を
財政当局をして認めさせる、
補助対象を認めさせる、それから政令をつくりまして明確に今度は国、
地方自治体——
市町村の
負担区分を明確化する。これをまず確約して、しかる後に私は新たなる
財源措置あるいは
負担を軽減してやるための
国庫補助率の上昇、こういうふうな一応
建設省としての作戦を立てていかなければ、ただ、わあわあ騒いでもこれはなかなかむずかしい。さらに米田さんの御
指摘なさったように、実は私
どものほうで一番心配しておりますのは人間です。これだけの
事業量を一挙にやるということになりますと、実際に局をつくるといっても
局長はあり得るけれ
ども、そのスタッフが今度は各大
都市から連れてくるのにたちどころに困ってしまう。今度はこういう
事業になりますと、たとえば東京都みたいなところになりますとたいへんな
事業になる。私が一応構想しているいまの隅田川流域を、あそこを
流域下水道をつくって一応少なくとも少し魚が住める
程度にするには一千億くらいかかる。しかもこれは十年かかっていけるかどうかという。
現実問題としてあそこが汚染される。多摩川流域しかり、淀川流域しかり。こうなりますと、
事業量だけ拡大しても実はこれは消化しきれないというものが出てきている。それで大学の学部を見ましても
下水道なんかやっているところはないのですね。そうして一方においては、非常に悪質廃棄物が出てくるということ、これもあるわけです。それにいまのバクテリアのような汚泥
処理では追いつかない。非常にその点であせりを感じているくらいです。そこで私は、とてもこれは
建設省の土研——土木研究所ではこれはいかないというので実は各大学のこれに関連した教授の方々、それから業者、これらの人々といま緊急に技術開発と人材養成をひとつやろうじゃないか、そうでなければたとえ
予算ができましても、これはかっこうだけつくってしまいまして、そうして
処理したことにして
現実実質上の
処理がないとなると第二
公害を起こす、
予算のむだ使いになるということで、いま技監を中心に、そうしてまたこういう技術開発の点では久保
課長が一応日本では最高の権威者になっておるものですから何としても人材養成、これをやれということで、これは全くのどろなわ式です。やむを得ません。これは白状いたします。しかしながらこれは五カ年
計画をやっている間にとにかく充実してまいりたい、こう思っておる次第でございます。