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1970-12-15 第64回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十五日(火曜日)   午前十時七分開会     —————————————    委員の異動  十二月十一日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     塩出 啓典君  十二月十四日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     山田 徹一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 大和 与一君     委 員                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 山田 徹一君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    衆議院議員        建設委員長    金丸  信君    国務大臣        建 設 大 臣  根本龍太郎君    政府委員        経済企画庁審議        官        西川  喬君        水産庁長官    大和田啓気君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣審議官    植松 守雄君        経済企画庁総合        計画局参事官   赤津  学君        大蔵省主計局主        計官       藤井 直樹君        厚生省環境衛生        局公害部環境整        備課長      榊  孝悌君        通商産業省公害        保安局公害部公        害第二課長    根岸 正男君        運輸省港湾局技        術参事官     竹内 良夫君        建設省都市局下        水道課長     久保  赳君        自治省財政局地        方債課長     石見 隆三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○下水道法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  下水道法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、先回の委員会において提案理由を聴取いたしております。  なお、本案衆議院において修正議決されておりますので、衆議院修正点について衆議院建設委員長金丸信君より説明を聴取いたします。金丸君。
  3. 金丸信

    衆議院議員金丸信君) ただいま議題となりました下水道法の一部を改正する法律案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり本改正案は、流域別下水道整備総合計画の策定、公共下水道等の設置、管理及び悪質な下水を排出する事業者水質等の届け出の義務等々重要な事項について、改正または新設を行なおうとするものでありますが、衆議院建設委員会におきましては、慎重に審査を進めてまいりました結果、終末処理施設等から生じた汚泥等堆積物処理につきまして不備な点が指摘され、ここに、その修正を行なったのであります。  すなわち、汚水ます及び終末処理場から生じた汚泥等堆積物には、人の健康を害するような有毒物質が含まれている場合も考えられますが、現在、これらの堆積物下水道法上特別な規制を受けることなく、肥料として利用されまたは焼却、埋め立て等により処分されているのでありまして、これを放置いたしますと公害を防止すべき施設公共下水道等が、有毒物質を拡散し、公害発生源となるおそれがあり、しかも、これらの堆積物は、今後、公共下水道等整備の進行に伴って、急激に増加してゆくものと予想されます。  したがいまして、本修正において、公共下水道等管理者は、汚水ます及び終末処理場から生じた汚泥等堆積物につきましては、有毒物質の拡散を防止するため、政令で定める基準に従い、適正に処理をしなければならないこととする規定を新たに設けることとしたのであります。  以上で下水道法の一部を改正する法律案に対する修正趣旨の御説明を終わります。
  4. 田中一

    委員長田中一君) ただいま説明のありました衆議院修正点について、御質疑のおありの方は御発言を願います。  別に御発言もなければ、これより本案について質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 松永忠二

    松永忠二君 先にひとつ新しい第三次下水道整備五カ年計画、その内容について、年度、事業量排水面積、そんなことについて簡単に御説明をしていただきたいと思います。
  6. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) かなり事務的に詳しいあれになりますので、局長から説明いたさせます。
  7. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの第三次五カ年計画は、総投資額四十六年から五十年まで二兆六千億という規模を策定いたしておりまして、その内訳のおもな点を申し上げますと、公共下水道が二兆四百八十億、流域下水道が三千七百億、それから都市下水路が千五百億、特別都市下水路が三百億というふうな大きな内訳になっております。  次に、この下水道五カ年計画によるところの投資を行ないますことによりまして、その下水道整備の見込みでございますけれども昭和五十年末の市街地面積が八千四百九十平方キロと想定されております。これに対しまして、今回の投資によりまして排水面積が三千二百二十平方キロでございまして、市街地面積に対する排水面積普及割合は三八%ということに相なるわけでございます。御参考までに、現状の普及率は二二・八%でございます。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 現在行なわれている第二次下水道整備五カ年計画の四十五年度までの進捗率、いまの項目に比較をしてどのくらいになっておりますか。
  9. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 第二次五カ年計画は、実は四十六年度までの計画になっておりまして、したがいまして四十五年度までの進捗率は、総投資額九千億に対しまして進捗率六八・四%ということに相なっております。  なお、来年度は先刻申し上げました新五カ年計画の初年度として要求をいたしておるわけでございますが、かりにこの要求額二千五百七十二億でございますが、これがきまりましたということになりますと、第二次五カ年計画で申し上げますと九七%の進捗率に相なるわけでございます。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 四十六年度の下水道関係予算要求について、一部追加要求考えているというお話があったわけですが、国庫補助七百一億、起債千三百三十九億を要求しておったけれども、今度の法律改正とか、あるいはその他一連の公害対策の充実という点から、追加要求をしていきたいということを考えておられるようですが、これは大臣のほうにお聞きをしたい。
  11. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 建設省といたしましては、すでに概算要求をいたしておりまして、これをいまさらに追加要求するというかまえはいたしておりません。ただし党側におきまして、現在の状況から見れば、さらにこれは政治的な配慮をすべきであるということで、党側追加要求政治的な立場で要求するという動きがあるようでございます。ただこれがどの程度まで出すかについては、私のほうにはまだ相談は受けておりません。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 これは大臣にお聞きをするわけですが、公共用水域水質の汚濁に対処するための下水道整備がたいへん必要な不可欠な問題です。特に下水道普及率が各国に比べて非常に低いという一つ原因は、地方公共団体の非常な大きな負担があるということに、そこに一つ原因がある。地方公共団体財政難ということからして、なかなか推進が十分できないということがいわれているわけです。で、下水道の今度の法律改正によって、公共用水水域の保全に資するということが加えられたわけですね。したがってその下水道という事業は、いわゆる公害対策として重要な位置を持ち、推進をしていくのだということが、まあ法律改正にはっきりうたわれた。それから過般の連合審査の中で、政府統一見解として出されたのは、公害対策防止については、一義的な責任を持って国において、費用について必要な措置をとるということを統一見解として表明された。したがって、私はいま国の財源負担を強化する最もいい時期だと思うわけです。こういう点について検討する非常に重要な、いま最もいい時期だと思うのだけれども、これはすでにいろいろな資料に出ておるし、まあ建設省関係者のほうから聞いても、一般都市について、下水道の国費が三〇%、起債が大体四〇%、それから市費で三〇%、大体七〇%を、とにかく市町村地方公共団体負担をしなければいけない。こういうような点から考えてみて、いわゆる下水道普及率が非常に低い一つ理由としては、いわゆる地方公共団体の、一つ負担が大きいという点にある点から考えて、法律改正をなさる、あるいはまた政府公害対策についての強力な統一見解もあったこの際、いわゆる国の財源負担強化をするということを、この際検討すべき時期にきているのじゃないか、こういう点について大臣は、どういうふうにお考えになりますか。
  13. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のように、下水道事業が、他の先進国に比べれば非常におくれています。これはまあいろいろの理由がありますけれども、それをいま申し上げても、これはたいした意味がないと思いますからやめまするが、そのうちいま御指摘のように地方負担がかなり多いということも、これは事実でございます。ところが御承知のように、昭和三十三年に下水道ができた当時は、もう非常に下水道に対する一般認識も、国の認識も相当起きておったと思います。したがいまして、三十三年、四年当時は国の下水道に対する国庫の支出は十億程度でございます。それが四十三、四年になって二百億台にようやく上乗せした、ことしは四百七十億と。これは私が就任してから従来のいわゆる伸び率考え方ではいけないということで特に党の三役の協力も得て政治的に相当上乗せしたのでございます。そういう状況を踏まえて現在の公害問題ともあわせて実は先ほどお尋ねのありました現在の五カ年計画ではとうていこの事態に対処することができないと思いまして、新たなる五カ年計画を四十六年度から発足させたい。ところがすでに閣議で一応の新しい経済社会発展計画公共事業に対する総投資額が五十五兆円ときめられておるわけです。その中に六年間で下水道事業に二兆三千億と規定しております。これを閣議了解するときに、これに対しては条件付きで賛成いたしておいたのです。この状況ではとうてい現在の各地方が要望しておる下水道事業にはとうていこれは達成できない、そこで五十五兆円のうち一兆円の予備費を半分くずして五千億を新たなる財源として私は要求しますよ、ということで。そのときは大蔵大臣経済企画庁長官もイエスとは言わなかったけれども、今度の予算要求にあたりましては、これをも含めて二兆六千億、こういうふうに出しておるわけでございます。ところで、国庫負担率いわゆる国庫負担率というかその補助率を上げることが必要ではありますけれども補助率を上げることと、それから事業量を増すこととどちらかというと実は両方上げたい。それではなかなか財政上困難でありまするので、私はごく最近まで下水道推進しておる都道府県の知事さんあるいは市長連中といろいろ相談してみたとき、両方ほしいけれどもどちらを優先するかというならば、むしろ事業量等それからもう一つ補助対象ワクを拡大してほしいというのが趨勢なようでございますので、今度は補助率を相当年々上がってきたのでありまするが、今度の新しい五カ年計画では補助率は現行のままにして、補助対象の範囲を広める、事業量を大きくする、この二点にしぼって要求をしておるという状況でございます。なお、これを実施するにあたりまして、今度の公害に関するいろいろの経費負担等法律との関係におきまして、公害源を発生する企業等には負担金制度を活用していきたい。それからまた使用量、これは御承知のように、下水の量と質との両方から勘案してこれを取っていく。そうしていわゆる一般地方自治体負担をそういう面から軽減していく。さらにこれは衆議院等においていろいろ議論があって研究課題になっておるのは、これを現実に執行する地方自治体に対して利用債制度考えてこれで事業を円滑にやるという等のいろいろの施策を総合してこれの実現に努力してみたいと考えておる次第でございます。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 大体、国の財源負担というものを強化しなければできない。この際もっとそういう法律改正から考えてみても公害対策という面が非常に強く出てきたし、そのために法律改正があるから、そういう点については意見は一致していると思う。そこで、具体的なことで検討すべき一つの問題については大臣が言われたわけです。要するに補助対象を拡大すべきだ。この際、これは大都市では補助対象が五四%で単独で四六%。一般都市では補助対象が一〇〇に対して単独が三〇%、つまり幹線とそれから終末処理だけに限定して補助対象してやる、これはほかの国庫補助と非常に違っている点がある。補助の単価とか補助対象というようなものについて、こういうふうに限定して補助して、それらのものが公然と単独に組まれていくというのは数が少ないと思う。これはそういう意味で、これを改善するということはわかった。そこで、どういうふうに補助対象を拡大をしていくのかということをひとつお聞きをしたい。それから、私はもう一つ、まだ三点ばかりこの際検討すべきじゃないか、それはいま大臣が今度はやらなかったという補助率の問題、いま流域下水道について十分の五、公共下水道について十分の四、都市下水道について三分の一の補助をしておるわけだけれども、私は少なくも公害対策が国の責任において行なわれるということであり、そしてまた国において費用について必要な措置をとるという以上は、補助をするものが半分より低いというようなことではその趣旨が生かされているとは思われないわけです。だからまあ要求としては、よく言うように、流域下水道公共下水道補助率を四分の三にしたらどうか、都市下水道については三分の一を十分の五にしたらどうかということを言っているけれども、私は最小限、最も最低のものとしても公共下水道についてはやはり十分の五を確保すべきではないか。公共下水道流域下水道と何ら差をつけるということも必要ではないし、公共下水道も非常に重要性もあるし、公共下水道流域下水道を中心に相当重要視してやっているわけですから、公共下水道については少なくもいまの趣旨を生かす上において半分、幾ら何でも十分の四で公害対策として国が責任を負っていく、第一義的な責任があります、そういう言い方にはならぬと思うので、この補助率の、特に公共下水道補助率アップについては大臣は検討する用意はないのかどうか、私は検討すべきだと思う。この際、公共下水道について十分の四というのは十分の五、流域下水道と同じようにして、少なくも半分は国が補助をするということにして、この二つの点について対象をどういうふうに拡大するのか、いわゆる総事業量に対してのいわゆる対象にするのか、どこをどういうふうにするのか、それからまた特に公共下水道補助率アップについて検討する用意大臣にあるか、この二つ。最初のものは、事務局のほうからお答えいただいてもいいです。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私も心情としては補助率も上げたいと思いました。ただし、実は下水道の今日までの財政当局との折衝には相当激しい私は実はやりとりをしてここまで持ってきているんです。そこで、補助率事業量補助対象も大きくするということは望ましいけれども、そういうことでやっておりますと、どうも私は新五カ年計画ワクについてきびしい制限が加えられて、結局のところ二兎三兎を追って戦略目標を達成することができないような情勢判断をいたしたのでございます、率直のところを申し上げますと。そこで、まず今回は新五カ年計画補助対象をとにかく確立して、そうして一、二年情勢を見て補助率を上げるという戦略をとったほうが有効ではないか、こういう判断をいたしたのでございます。その意味で、これは衆議院でもいろいろ松永さんの御意見と同じような御意見も相当ありましたが、究極において、そういう私の考えもまあ考えられることだということで実は御了承を得たようなかっこうでございます。これで私があきらめているということではございません。やはり現実政治というものは、一つ段階的経過を経ていかなければ、ただこれもやれこれもやれということでは、なかなか現在の財政当局との具体的な成果があがらないのではないかということで、そういう体制をとったわけでございます。しかし、今後これは精力的に補助率アップについても努力したいと思いまするけれども、現在ではそういう戦略体制をとっているということでございます。  それから補助対象をどういうふうに考えているかについては、局長から説明いたさせます。
  16. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先刻先生から御指摘ありました、こういう補助事業単独事業がからまったような事業は、ほかの公共事業にはないのではないかというお尋ねの御趣旨かと思いますが、これにつきましては、ほかの道路事業とか河川事業におきましても単独事業補助事業というものがあるわけでございまして、それを適当にコンバインしまして、組み合わせまして事業を遂行しているのが実態でございます。しかしながら、他の公共事業におきましては、必ずしもそれは密接不可分と申しますか、リンクをされていないわけでございます。これに対しまして下水道の場合は、事業性格上、たとえは悪いかもわかりませんが、国道的なものと県道的なものと市町村道的なもの、いわゆる幹線、準幹線、それから末端の枝線、そういうものがネットといたしまして整備しなければ効果があがらない、こういう性格事業でございます。したがいまして、そういうものを全部補助対象にするということについては、いろいろ過去の経緯等がありまして、議論がございました。そこで、やはり下水道事業といいますものは、単独事業的なものと、それから国が財政援助をすべきいわゆる補助対象事業というものに、二つに分かれる性質のものであるということで今日きておるわけでございます。その際の補助対象割合の問題が結局議論になってくるわけであります。第二次五カ年計画におきましては、いろいろ財政上の事情がありまして、補助対象率と申しておりますが、全体の事業に対しまして五四%の分を補助対象事業として取り上げる、したがいまして残りは単独事業ということになっております。それに対しまして、私どもはやはり処理場も含めまして幹線、準幹線に当たるようなものは、これは国が補助対象事業として取り上げるべきである、こういう見地から、新五カ年計画におきましては総事業の六〇%、全体平均いたしましてでございますが、六〇%を補助対象事業として確保すべきである、こういうことで財政当局要求をいたしておるような次第でございます。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 大臣の話は否定をしているわけではないのですね。やはりこれはひとつ将来目的を達成してもらいたい。それから局長のは、少し補助対象単独がくっつくことを必要欠くべからざる条件としているというのは、私どもはあまりそういうのは知らない。だから答弁そのままそうですというわけにいきませんけれども補助対象率が六〇%アップということで、そのほか幹線から準幹線も含めていくということで前進をしたというところは認めます。なお、これについてはもう少しやはりすっきりした形で持っていくべきものだと思うのですよ。県道にしたって単独事業道路としてやる場合と補助事業としてやる場合には、必ず補助事業に対して一つ基準に対する補助率がきまるわけです。だからその場合により以上、たとえば学校建設の場合に基準坪数をふやすとかそういう場合にはそれに対して単独させるとか、国のきめた補助対象事業についてその中に単独国庫負担分とを分けてやるということは、これは筋ではないと私は思う。これは議論をしたいところですけれども、時間もありませんから次に進んでいきます。  もう一つの点として、この際検討すべきものは、下水道工事受益者負担の問題です。で、実はこれについては一般でも非常によくこの点については、受益者負担は二重、三重の負担になるのだというようなことを言われているところである。ところがこれについては、受益者負担制度をやらないところには補助を優先してやらないということをやっているわけですね。しかも大臣すでに御承知のとおりだと思う。つまり受益者負担制度というのを下水道事業に積極的に指導しているわけですね。大体ひどいところが工事費の三分の一から少ないところで五分の一、たとえば一つ市費で六十一億の工事をやる場合に、九億一千五百万円の市民負担をやっているわけです。だから坪たとえば三百三十七円あるいは六百円くらい負担させられているところもある。そうすると、たとえば三百三十七円で五十坪だとすると、一万六千八百五十円つまり負担をさせているわけですね。で、下水道というのは道路法都市計画法のように、受益者負担というものは法案に明記されているわけじゃないのですね、何も明記をされていない。明記をされているところでも、できるだけ受益者負担を避けていきたいということで努力をしているわけです。おそらく国道とか県道とかで受益者負担をかけているところはないわけですね。で、しかも下水道料金を取っているところが多いのですね。料金は取っておいて、つくる設備にはまた負担金をかけている。たとえば有料道路をつくる場合に、有料道路建設は全部公団がやってそのかわり料金を取るから料金でやっていくわけです。ところがこれは、有料道路の場合に受益者負担をかけておいて、また料金を取ると同じです。しかも法律には何もいわば受益者負担制度は書いてない。それなのに受益者負担をしなければそこには補助を出さない。出さないだけではありません、優先ですといったって事実上出さない。そのために各市町村でいままで受益者負担をやめていたところがどんどん受益者負担をしなければできなくなっている。これはどう考えてみても不合理ではないか。たとえば鉄道建設する場合に受益者負担があるわけでしょう。しかし鉄道建設するのに受益者負担を取って建設しているところはないんです。料金を出せばそれで済むわけです。料金を取っておいてまた負担をかける、しかも法律には規定をされていないのにそれを必須条件として補助をしているという、こんなばかなことはこの際やはりやめるべきじゃないかと思うんです。私は受益者負担を絶対取って悪いと言っているわけじゃないんですよ。しかし現実には受益者負担を取らなければ下水道予算はつかないわけです。そんなものはここにたくさん資料ありますよ。言っているのは、こういうことは、かって下水道法改正の際にもここで問題になった。公害対策として下水道事業をやろうというときに、この際検討をすべき問題は、やはりこの受益者負担の問題だ。ただ事業量をふやせばそれでいいという筋合いのものでは私はないと思うんです。事業量は正しく事業量をふやさなければできないんであって、こうまでしていわゆる事業量をふやすということはこれはやはり邪道だ。もしそれだけのあれがあるならば、この法律改正をして持ってくればいい、受益者負担をちゃんと書いて。だからこれについてはもう一般考えればすぐ出てくる。すぐ市長のほうからもこれは困る、しかし現実は取らなければできません。取っているところのほうは事業がどんどん広がっているんです。これについては事務的なことじゃありませんよ。大臣のほうからこれはさっき言ったとおり公害対策として実施をしよう、法律の目的まで改正をしていこうという現段階において、少くともこのことについては明確にやはり改めていくなり、前進をしていく形のものが出されなければいけないと私は思うんですよ。これについてひとつ——これは事務的なことじゃないんですよ、大臣のほうから考え方をまず聞きたい。
  18. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおりそういう矛盾も感ぜられます。ただ現実にそうした下水道というものが受益者負担でやっていくという一つの、ずっとやってきた状況です。これは基本的にはやはり日本では普通のところは下水がなくても側溝さえ掘っておけば、あとは自然に川に行って河川で浄化されるという一つの習慣があったと思うんです。下水道整備してやるというのは、かなりいわゆる都市化したところでこれがやってきたというために、やはり下水の本格的なものをやるには受益者負担というものがわりあいに早く定着してきたということがあると思います。ただ現在の段階においてこのままでいいかということになると、これは検討の余地があると私は思っております。そういう意味松永さんの御意見はよく私どもわかります。ただしこれをいま受益者負担をなくしてやるということになりますと、これはかなりの下水道を実施する場合において事業の総体量を相当思い切って減らさなければならない、そのほうが、とにかく全体として今日の段階でそれをやるほうが下水道行政上いいか、あるいは受益者負担制度も漸次改善していくが、その上に事業量を増したほうがいいかの私は選択的判断をしたわけでございます。その結果やはり現段階では受益者負担制度はいろいろの問題があるけれども、むしろ下水道を量的に進めるというほうにウエートを置いたほうがいいのではないかという判断でございます。しかしながら、これは先ほどの御指摘にございました国庫補助率の問題と同時に、これは今後検討すべきものである、こう考えておる次第でございます。
  19. 松永忠二

    松永忠二君 大臣そういうことじゃないんですよ。事業量をふやすことと必須になっているわけじゃないんです。つまり受益者負担を取らないで市の費用負担をしていこうとしているわけですよ。もともとあなたは受益者負担がなじんでいると、こういうお話だけれども、そうじゃないんであって、下水道なんというものは家をつくれば必ず出るのが下水だから、こういうものを処理するものについては、やっぱり地方公共団体じゃなく国が責任を負うべきものであって、少なくも人に負担をかけてくるという筋合いのものではないという考え方のほうが正しいのですよ。だから、そういう考え方が正しいから、屎尿処理場をつくるときに受益者負担をかけていますか。屎尿処理料金は取るけれども、屎尿処理場をつくるのに受益者負担を取りますか。ちょうど屎尿と同じじゃないですか、家の下水というのは。だから、したがってこういうものには負担をかけたくないので、各市町村はその主張のほうが正しいから、これを自分の、いわゆる地方財源でめんどうを見ていくことにして、受益者負担はやめてやっているところもあるが、だんだんそれをやめてきたわけなんですよ。やめてきたら、今度は建設省のほうで受益者負担をやっていなければ、補助金を優先的にやりませんということで、しかたがないからこれをつけてくれということになる。何も事業量と密接不可分のものじゃないのです。しかも公共下水道なんというものは、工場なんか排水をしたりなんかしてくるでしょう。終末処理場をこしらえた、そういうものにすら一体受益者負担をかけさすのはおかしいじゃないですか。私は下水道考え方というのは受益者負担になじんでいるじゃないかと言われるが、逆だと思うのです。初めは下水道普及率が低いからやむを得ずそういうものについてもかけていくけれども下水道ぐらいは個人負担でなしに税金を取っているんだから税金でやっていけばいいと、そう思うのです。屎尿処理場をつくるのに受益者負担をかけていますか、受益者負担をかけてはいないじゃないですか。そんなものに受益者負担をかけたら大騒ぎになりますよ。そういうようなものについて、私はまことに譲るのはいやだけれども大臣がそういうふうなことだというなら、少なくも公共下水道なり流域下水道には受益者負担なんかかけたりしません、受益者負担をかけたということを条件にして下水道予算はつけません、そういうこととは関係なしに下水道予算はつけます、ということを大臣の口から言ってください。それを言わなければ、御趣旨はごもっともで今後努力いたしますなんて、そんなことを言ったって、何にもそんなことはただここだけの話であって、何も実効はありませんよ。つまり、別に金が入ってきたから事業量がふえるんじゃないんですよ、きまっている。それについて受益者負担は市がめんどう見ていきたい、本来そうあるべきだとして積極的に意欲的にそういうことをやっているわけなんですよ。しかもさっきから言っているように、法律にも書いちゃないでしょう、何にもそういうことは。ほかのような書いてあるものでさえもできるだけやめたい、やめたいと——この前の市町村道でも、市道を設置する場合に特に公共的なものについては受益者負担はやめていこうということでやめているわけなんです。それをこっちのほうは時代に逆行して、受益者負担制度をとっていない限りは予算をつけませんぞ、こんなばかなことを言っていたんじゃ——私は受益者負担は絶対廃止すべきだと思うが、この際、大臣に廃止をするということを言えとは言っちゃいない。しかしこういう理屈は通らぬじゃないですか、どう考えたって。これは事務的なことじゃないのですよ。だから、つまり受益者負担を取らないからといって下水道事業補助をしないということはしないし、決して受益者負担をかけたものの間に差をつけるようなことはやりません。またそれとは公共下水道なり流域下水道という特に公共的な——まあ譲って、都市下水道ならまあまあやむを得ない場合もあるかもしれんけれども流域下水道公共下水道にそんなものは絶対かけはいたしませんと。この二つ、当然ですよ、そんなことは。
  20. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 松永さんも御承知のように、国のほうで取れということは言っていないのです。ただ、これは市町村がそれぞれの地域社会の状況に応じて受益者負担を取っている。これはこの事業を遂行しなければならぬというような積極的な姿勢を示しておるところと、それからもう一つは、いま御指摘のように、地方自治体自身で財源を他に求めてやるから受益者負担を取らない、この二つがあるだけです。そのときにあたって、受益者負担を取らなければ補助を出さないということではない。受益者負担を取ってまで積極的にやるというところに対して、かなりウエートを今日まで持ってきたということは事実のようです。それだけのことです。したがいまして、現在でも受益者負担を取らないから一切補助しないということではないのです。そこで、私が先ほど申しましたことは、下水道に対する地域社会の認識の態様が違うから、あるところでは取るし、あるところでは取らないでやっている、こういうことでございます。この際私は、受益者負担を取るべからずというところまではいまは言い切れないわけでございます。だからそれは地方自治体財政状況と、地域社会のいわゆる受益者負担を出しても下水道をやってほしいという住民と市町村当局との合意のもとにこれはやることでございますから、あなたのお趣旨もよくわかりますが、私の言うこともその意味で御理解していただかないと、これは受益者負担を取らなければ補助してやらないということはやっていないのです。ただ、この受益者負担というものは、かなり長くから下水道をやるときに地方においてはこの手法をとり、これがまた地方自治体と住民の間の合意のもとでやられておるということで、かなりなじんだ方式であったと、こう申し上げたわけでございます。
  21. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、いまの趣旨を生かして結局受益者負担を取ってやろうという積極的なことを別に私は悪いと言っているわけではない、大臣の言うようにね。あるいは受益者負担を市がカバーして、とにかくそういうものについてはかけないようにしていこうという考え方も悪いとは言いません。それは悪いどころじゃない、どっちがいいかということだって、それは差をつけることができません。そうなると、これは平等に取り扱うということを言ってください、当然でしょう。
  22. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。平等ということは機械的な平等ではなく、その助成には決して差をつけないということです。したがって、ケースバイケースで、ただ、どちらのほうで下水道を早くやったほうがいいかということの判定も出てくると思います。ただ、申請をされれば機械的にやるということは、やはり事業計画、それから環境とどっちを優先させなければならぬかという選択も若干出てくる、こう思います。しかし、どこまでも公平にやります。
  23. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ、負担金制度を持っていないところより持っているところを優先的にやるということはやりません、公正にやりますということですか。
  24. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そうです。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 優先するということはやりません、それをひとつ言ってください、答弁で。
  26. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 優先はいたさせずに、公正にやります。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 それは言っているだけじゃだめですよ。全部そう言っているのであって、この方式をとると建設省補助金はかなりつくが、ということでやっている。背に腹はかえられぬ、国の補助金を取るために、下水道工事受益者負担制度というふうなことをみんな言っているのです。これは、ある新聞ですよ。こんなものは全部出ているのですよ。きょうのあれで確認されたことは、受益者負担制度をとっているから、あるいはそういう受益者負担制度をとらないで市が負担するからといって、公共団体負担するからといってそれに優劣をつけることはやらない、公正に取り扱うのだということを大臣も確約された。ひとつそれはこれから実行してもらいます。いいですね。答弁は私の言っていることと同じことを答弁しただけですからね。私はどっちが優先されなければいけないかといえば、逆だと思うのですよね。熱意はその受益者負担を取るほうが熱意があるとは言われぬでしょう。そこを地元がやって、そうして公共団体がそれぞれやっていこうというそれだけの積極性を持ったもののほうが優先すべきだと思うけれども、まあ譲ってそっちを優先をしない限り片方も優先しない、公平にやるというお話ですから、したがってこういうような記事は将来出ないということを私たちは確認するわけです。そんなばかなことはない。さっきから言っているように、私は受益者負担制度を全然否定しているわけではありませんよ。大臣言われるように、現状では受益者負担制度というものもやむを得ないことがあるかもしれません。しかし受益者負担を取ってなければですね、熱意が足らないから、そこへ予算をつけないとか、あるいは受益者負担制度をとったものに優先的に予算をつけるなどということはやらないというのですから、それなら全くよくわかるのです。将来私は規模としてこういうものくらいは受益者負担制度をとらぬでやってもらいたいと思っております。  答弁で一つ漏れているのは、公共下水道流域下水道受益者負担を取ってもいいというのはあれですか、少なくともこれは避けるべきである、こういう意思統一はできませんか。私どもは避けるべきであると、直ちにはできないかもしれませんが、いまはそういう制度は避けるべきではないかと思うと、そういうところまではまだいきませんか。
  28. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように下水道事業建設省だけでこれはできません。これは自治省と非常に関係があります、起債の問題にしろ事業の問題にしろ。したがって優先するかとかどうとかいう議論になりましたけれども、やはり自治省においても下水をここはやらしたほうがよい。しかもそれに対して地域社会のいわゆる一般住民、受益者も市も自分たちが負担してまでも、受益者負担をしてまでもこれは推進したいということになりますれば、やはり地方自治体のそれだけの姿勢に対してこれは協力してやるのがこれもまた至当だと思います。そういう状況でありまして、これを条件つけでやったのではないということだけは、これは理解していただきたいと思います。今後まだそういうことがあるだろうと私は思います。ただしこの事業量並びに補助率が、だんだん内容がよくなってきますれば、これは地方自治体受益者負担を取らずに相当事業を進めることが可能になってくる。こういうことに私はなると思います。したがって問題は、この法律上、広域下水道には負担金を取ってはならないというようなことはあなたも言ってないし、われわれもそれを否定しようとは思わないのでございます。問題は、今後自治省と十分連絡をとりながら、できれば地方自治体一般財源なり他の手法でもって受益者負担がないように努力すべきであるというあなたの趣旨には私も賛意を表しまして今後努力をしたい、こう思っております。
  29. 松永忠二

    松永忠二君 公共下水道とか流域下水道の問題はあとでちょっと出ますけれども、これは受容者等いろいろな矛盾が出てくる問題があると思うので、これはあとにしますが、それについては将来取らないようにしていくという点についてはわかりますが、それにからんで、前がまた変なふうになったので、再度念を押しておきますよ。さっきあなたが言ったのは、受益者負担を取るものを優先ということではない、それからまた受益者を取らないからそれに補助を出さないなどということはないんだと、つまり片方をいずれかを優先するということじゃなくて公正にやるんです、公平にやるんですと、こういうことを言ったんです。それに間違いありませんか。
  30. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど言ったとおりでございます。松永さんから重ねて出ましたから、私はそれに対して解説を付加しただけでございまして、これはその事業そのものは私のほうの主管ですが、自治省とこれは協議してやることでございますから、自治省との協議のときに、これは公平にやりまするけれども、やはりどっちを——同じ条件のものが二つ出てきた場合に、事業は半分に分けて中途でやめるというわけにいきませんから、そういうときにはやっぱり選択が出てくると思います。そういう意味で申し上げたので、いわゆる機械的な公平ではないので、処置は公平にやっていきます、こういうことを申し上げた。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 どうも少しあれですね、理屈をだんだん言っていくと全くその御趣旨ごもっともだと、何も差をつける理由というものはないわけですよね。事業量をふやすためにやっているんじゃなかったということは大体納得した。だから、自治省がどう考えるかということを何もあなたの口から聞こうとしているわけじゃないですよ。建設省としてはとにかくいずれを優先するということじゃなくて、公正にやりますと、こういうことをさっき言われた。それならわれわれは大臣の言うこととしてこれは納得ができるんです。よけいなものがくっつくものだから再々聞かなければならない。建設省としては、とにかくいずれを優先するということじゃなくて、とにかく公正にやるんだと、そんなことはあなたあたりまえのことじゃないですか。このあたりまえのことが通らぬなんていうことじゃ、今度は何のために一体質問をやっているのか、委員会をやっているんですかね。ぼくはそうだと思うんですよ、これはやっぱり。だから、これは大臣が再三言ったことをただ確認しているだけのことなんですからね。あなたはさっき言われたように、いずれを優先するというやり方じゃなしに、建設省としては公正にやるんだと、こうおっしゃったから、それならそれでわれわれもいいと思う。それに間違いはないですね。私の言ったことに間違いはないですね。そういうことはあなたがおっしゃっているでしょう。自治省のことは聞いてませんよ別に。
  32. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が言ったことをもう一回もう一回と言うものだから、いろいろと具体的に申し上げるのであります。その点は、やはりいろいろ詳しく言われると私も詳しく言わざるを得なくなりますから、したがいまして先ほど申し上げたとおりで、過去でなぜそうであったかといえば、これは非常に事業量も少ない、補助率も少ない、しかしながらやらなければならぬというから、自治体が受益者負担制度をとった。そうしてそれをやろうとするときに、やはり結果的にはそこに優先になったという経過は示している。だから、そこでわれわれとしては何よりもそういったことのないようにしてするためには事業量をふやすということ。事業量をふやす、対象をふやしていけば必然的にそうしたものが少なくなってくる、こういう戦略体制をとっておるということを私は申し上げたのです。公平にやることについては変わりありません。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 わかりました。さっき言ったことを確認して、われわれは今後優先的にそれをつけないことには予算をつけないなんていうような事実があったら、それはひとつ追及をしていきます。だから、私たちはどっちかといえば、地元は公共団体負担するほうがむしろ当然なことであって、下水道事業を実施する考えでいるから、われわれはそういう主張をしている。まあその点はそういうことにしておきます。  そこで、もう少し話を進めまして、今度流域別下水道総合計画というのができる、そういうものができるのは、第二条の二にあるように、水質環境基準「が定められた河川その他の公共水域又は海域で政令で定める要件に該当するもの」ということが第一点あるわけなんですが、これは従来四十五年の九月の一日に閣議決定をされた水域類型の指定されたものを考えているのか、この点について伺いたい。またもう一つ合わせてお聞きをいたしますが、今後公害基本法の九条の二項というのが、今度公害基本法によって追加をされてきたわけです。そこにある九条二項の都道府県知事が定めるものがそれに追加をされてくると思う。この二条の二に、いわゆる流域別下水道整備総合計画が立てられる河川とか、水域とか、海域というのは、今後どのくらいどういう水域が加わって追加をされてくるものであろうか、あるいはまたこの法律が施行されるのか、一定の期間を持っているわけですけれども、国はその水質汚濁防止法案の実施までの間に、それに追加をして指定をする用意があるように聞いているのだけれども、これはどうなのか。建設省公害対策本部のほうからお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) まず当面、流域別下水道整備総合計画というものは、どういう対象水域について計画を立てているのかというお尋ねかと思いますが、私どもはこの制度が確定いたしました暁におきましては、当面四十九水域、先般類型指定がございました四十九水域対象にいたしまして、早急に流域別下水道整備総合計画を都道府県がつくっていただきますように指導いたしたいと思っております。それから今後の問題でございますが、御指摘のように、公害対策基本法の一部改正によりまして、環境基準の設定権が知事のほうに委任されることに相なっておりますので、今後知事さんがお立てになりますそういう計画が、相当追加されることになってくると思います。そういうものに対しましては、下水道法のほうにおきまして、逐次総合計画が立てられていくというふうなことが予想されますので、それにも十分私どもは対処して指導してまいりたいと思います。それから今後国のほうで四十九水域のほかに、近々に追加指定の意向があるかどうか。これは企画庁のほうから……。
  35. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 公共河川の類型指定につきましては、現在九月一日に四十九水域を指定いたしまして当てはめを行ないました。それからすでに現在までに環境基準部会としての審議を終わっておりますのが十六水域ございます。これはまだ本審議会の決定をいたしておりませんが、すでに部会といたしまして審議を終了いたしましたのが十六水域ございます。それから大体法律の施行を来年度と考えました場合に、今年度中に指定を、当てはめを行なう予定水域が十四水域ございます。そういたしますと、今後新たに類型指定になりますのが三十水域でございます。現在四十九水域の中とこの三十水域の中で一水域重複しているところがございます。東京湾につきまして現在千葉の五井地先に当てはめを決定いたしておりますが、この残りの審議中の十四水域で、東京湾全域の当てはめを行ないます。一水域が重複しておりますので、消されますので、最終的には、今年度中に、新法が施行までの間に七十八水域となる見込みでございます。新法が施行になりまして、公害対策基本法も改正になりますと、来年度以降につきましては、当てはめ行為も県知事のほうに委任いたします。国のほうではやらないようになりますが、大体従来私ども考えておりましたのが約二百水域程度が、汚濁を防止するため将来のことも考えまして、当面は二百水域程度のものを当てはめを行なわなければならないことではないだろうか、こんなふうに考えております。
  36. 松永忠二

    松永忠二君 大臣一つ、また関連いたしますが大臣、いまのお話を聞かれているところでは二百水域をきめられていると言っているわけてす。いま四十九水域が指定されて、これはここにいう第二条のいわゆる水質環境基準が定められた河川の水域のことですね、それが結局今年度からこれが施行されるまでに三十水域が加えられるので、七十八水域になるわけです。国がこれにいわゆる総合計画を立てなきゃできない水域というのは七十八水域ある。将来知事がまた水域をきめるわけですから、それを入れると企画庁のほうで二百水域くらいを指定をしなければ、いわゆる水質の汚濁というものを防ぐというような状況にはならぬだろうと言われているわけです。そこで、一体その新下水道整備計画の五カ年計画、あなたがおっしゃっているように今度やろうという五カ年計画で一体どれだけの水域がいわゆるこの計画されて完成されるのかということをひとつ聞いていただいて、そのあとで大臣に質問いたします。まずどのくらいの一体水域が新下水道整備五カ年計画で完成をさせるのか、金額はどのくらいで、いま二兆三千億ということですが……。
  37. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先ほども申し上げましたかと思いますが、新五カ年計画の中で水質環境基準関係下水道投資に重点を置いてまいるわけでございますが、次の五カ年におきまして、私どもの予定では四十九水域、関連といたしまして、一兆六千四百億円程度を見込んでおります。このうち二十五水域が五カ年間に環境基準達成ということにいたしております。したがいまして、残りの二十四水域につきましては、これは五カ年間の暫定目標値というのが設定されております。この目標値までに事業を進めますとともに、引き続きまして次の五カ年間、おそくとも次の五カ年間には残りの水域についても基準達成をはかってまいりたい、こういうふうな計画でございます。
  38. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、大臣にお聞きいたしますが、いま言うとおり新五カ年計画が完全に認められたとしても、二十五水域しかいわゆる総合計画によって完成できないわけです。ところが、いま政府がいろいろ言っているのは、要するに公共用水域公共用水の排出基準などをきめて特定の施設からの排出をきめる。公共用水域は全部の公共用水域においてそういうふうに適用していく。したがって、公共用水域がいわゆる積極的にきれいな川になるだろうという期待を寄せている。しかし、現実には総合計画が立てられるのは、まあこれからすぐ立てるのは、この法が成立されて立てなきゃならないのは七十八水域、将来都道府県がやってくると二百水域の総合計画がつくられるわけだけれども、その中で今度の新五カ年計画では二十五水域しかそれができないわけです。あと五年かかったって四十九水域ができるかどうかということなんです。そうなってくると、これは絵にかいたぼたもちということになるわけです。計画立てないより立てたほうがいいとぼくは思うのです。しかし、これは絵にかいたものだ、絵はかいたけれども、実際にはそれの工事というものができない。つまり、この流域下水道整備総合計画の中には、いわゆる実施の期日が入れちゃないわけです、期日が入れちゃない、いつまでにやるというようなことはちゃんとしてないわけです。しかしまた、よく政府は言っていることに、水質の環境基準をきめたところについては五年でそれを達成をし、それからそれができない場合には十年で達成するということを言っているんで、そういう意味水質環境基準ですからね。その水質環行基準がきめられている二百水域に五年をめどに、また五年をめどにしてというけれども、ただそれは実際言っているだけなんです。ほんとうにできるのはどういうことになるかというと、いわゆる計画が完成するのは二十五水域、だから、いわゆる絵をかくほうがかかぬよりはいいかもしれぬけれども、国民の期待されているのと実際とはえらい違いだということですよ。こういう点についてやはり勇猛心を持ってやってもらわないと。また水質環境基準をきめたものについては大体五年、おそくも十年と言っているなら、十年にたとえば二百水域を完成しなければ、いわゆるそういう意味にはならない。これは例の新経済社会五カ年計画なんか、あんなものを基準考えていたら、これはこんなことはとてもできないわけなんです。こういう点は大臣すでに御存じだと思うけれども現実に少しこまかく言ってみると、そういう点は非常にあるわけなんですよ。だから、むしろわれわれは総理大臣あたりにしっかりした決意を披瀝をしてもらいたいところですけれども、まあ大臣にも——総理大臣は出てこれないわけですら、何といっても大臣にこのことを認識してもらって、私はこんなこまかいことは大臣は知らぬのじゃないかと思うのですがね、実際は水質環境基準がきめられますと、きめた河川については五カ年間でやりますが、やれなくてもあと五年間すればなりますと、そう言っている。国民のほうは何か順番に水質環境基準がきめられて、それが適用されてきて、どんどん各河川に適用されてきて、どんどんそういうものが確保されてくるだろうという感じを持っているわけですけれども、そうではない。そういう点で、こういうふうな認識を持っておられると思うのですがどうなんですか。また、それについては全面的にやはりそうした新経済社会五カ年計画とか新全総とか、そういうものについてもやはり検討をし直しする必要があるとお考えになっているのか、そういう点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  39. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いま経済企画庁のほうからだいぶ大幅の水域指定がやられるということですが、私のほうにいままで全然それは連絡を受けておりません。これは先ほど申し上げましたように、新経済社会発展計五十五兆円、これ自体に私はほんとうは基本的に認識が違うのじゃないかということを、実は経済企画庁長官にも大蔵大臣にも申し出ております。私のほうで、先ほど都市局長から説明いたさせましたように四十九水域、これ自身はわれわれのほうで計算すれば最小限度三兆二千億かかるんです。そこに経済企画庁が下水道に公共投資としてワクを与えているのがわずかに二兆三千億なんです。そこでこれはおかしいじゃないかということで、私が訂正を申し入れたけれども、全体としてこれがそういうワクできめられているから弾力的に今後考えるということで私は了承したわけです。その一つの具体的なあらわれとして、今度の四十六年度を初年度とするあれには、そのワクをこえさしているわけなんです。五千億こえさせていま要求することを了承を受けておるということでございます。したがいまして、経済企画庁のいま担当の役人さんから二百水系をこれからやるのだと、本年中にさらに十幾つかやるとするならば、当然これはいまの新しい五十五兆円に対して総投資量を増加してくれるのが当然だと、それは向こうのほうは向こうでかってにやれ、そしてわれわれのほうはこれをやるといっても、それはできるものじゃない。おそらくこれはこうやりたいという一つの事務当局の案じゃなかろうかと私は思うのです。少なくとも経済企画庁長官からは、われわれのほうでは新五カ年計画は二兆六千億で要求しますよということをはっきり言っているのです。だから、これは、しかもこれが四十九水系がこれで完成はしないよということを言っているときに、さらに十何水系やるということは、当然それに対する経済企画庁として、これは投資の総ワクをきめるところですから、おそらくそれについての善処した申し出があるものと私は思います。現在の段階ではそれ以上私は申し上げられない。ここに経済企画庁長官が来て、これだけの新しい類型指定するということを言いますれば、それについての裏づけの投資量をどうするかということのあれが出てくるかと思いますが、現在の段階ではわれわれのほうはいま四十九水系を一応の目標とし、さらにまた流域下水道等も含めてこれは暫定の目標を立てて漸次やるということを申し上げているわけです。
  40. 松永忠二

    松永忠二君 実は大臣公害基本法でそういうことをきめているわけですよ。公害基本法の改正で「前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型をあてはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、政府は、当該地域又は水域の指定を都道府県知事に委任することができる。」この委任によって、いわゆるいま言うとおり望ましい環境基準という第二条の二に該当するものが出てくるわけですよ。そういうことを予想して公害基本法は改正されているわけです。したがって、出てこなければ意味がないわけですよ、こんなことをやったって。だから、将来ふえてくることを予想している。また一般国民はそういういわゆる第九条の二項が規定されたことによって、非常にいままでのように極端な指定水域だけがほんのわずかしか出てこないのじゃなくて、非常に各実情に合って都道府県知事がきめてくるのだ。だから、ふえてくるということの前提に立って、そのために公害基本法を改めたのですよ。だから、経済企画庁のほうには施行前にも、実はできるだけ広い地域の広い河川についてそういうことをやっていかなければいかぬので、四十九ではまずかったから、十六すでにきめたものに十四それに加えて三十やるというのは、経済企画庁の考えとしてはそれはそうあるべきなんですよ。それからまた二百になりますという目標に立ってこういう公害基本法を改めた以上、そうなるのはあたりまえなんですよ。そういうことを法律的にちゃんとやっておきながら、片方であなたがおっしゃるような、わしは聞いたことがないというような——そんならこっちは改めてもらいますよというようなものがまた片方にあるのですよ。それだから、私はこれは絵に書いたもちですねと、こういうことを言ったのです。  委員長、こうなってくると経済企画庁長官を呼ばなければわからないということになる。それからまた、そんなことを言うなら、公害対策本部長の総理大臣が来なければわからないということになる。その三人集めてみて、建設大臣考えているようなことになっているわけじゃない——経済企画庁長官を呼んできたり、対策本部長の総理大臣を呼んでこなければ、対策本部長の責任においてこういう公害対策基本法を改めておかなければ、しかもそういうふうな環境水域がきめられたでは、それじゃ全然しようがないから、それじゃ五千億こえてやらなければいかんというなら、それはそういうふうにしてもらわなければしかたがない、実際はそうはなってないのですよ。そこに問題があると私は言っている。あなたは責任を持っている建設大臣なんだから、あなたがそういうふうなことをおっしゃるのは無理はないのですよ。それは当然なことです。ところがそういうことが連関的にやられていないのですよ。そうしておいて法律はこうして改めて、いわゆる桃色のあれを国民の中にずっとばらまくわけです。だから何かえらくよくなるのだ、よくなるのだと思うとそうじゃないのですよ。こうなると困るじゃないですか。
  41. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。
  43. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 先ほど御説明申し上げました、今年度中にやります現在まで審議を終わりました十六水系あるいは残りの十四水系につきましては、現在建設省のほうで持っております下水道整備の第三次五カ年計画というものを十分念頭に置いております。で、これらの水域が環境基準を達成するための施策といたしまして、下水道整備をどのくらいやらなければいけないかというようなことを全部検討されておるわけであります。それで、もちろんこの水域の中には非常によごれておりますところが逐次施策がきまってきておりますので、だん残っております水域ほど、たとえば、排出規制だけで環境基準の目標が一応維持できるというような水域もございます。それから現在はきれいであっても、そのきれいさを保全するためにずっと維持していくために予防的措置として規制を設けるというような水域もございます。で、そのような観点でこれだけの水域に全部流域下水道計画をつくらなければいけないかというと、決してそうはなっておりません。で、その当てはめなりあるいは達成期間というものをきめます場合に、全部関係省の間で協議いたしておりまして達成年限を決定しているわけでございますから、いま先生のおっしゃいましたような、あるいは建設大臣がそこまで細部にわたって御存じなかったから、先ほどのような答弁があったかと存じますが、すべて事務的にはその辺のところは全部打ち合わせを済まして作業を行なっておるわけでございます。
  44. 松永忠二

    松永忠二君 それは全く違いますよ、そんなことを言うのは……。それはあなた、「望ましい基準が定められた河川」と書いてありますよ。「定められた河川」と書いてある以上、特定施設のほうできまったりなんかするという、それとはまた違うのですよ。それは特定施設の排出基準で川がきれいになります、そんなこととはこれは違うのです。環境基準水域なり公共水域なり海域が政令できめられるというのは、政令で定められる要件が二つ市町村にまたがったものということなんです。だから二つ市町村にまたがったもので、大体がさっき第二条の二のところに該当するものが従来の閣議決定をした四十九水域であって、それに三十水域が加わって七十九水域であって、将来この二条の二に該当するものがこの基本法の九条の二なんです。二で都道府県がきめたものが、ここへ持ってきて流域下水道は都道府県がきめるのですよ、何も国がきめるのではないのですよ、都道府県別にちゃんとそういうものがきまった以上、この流域下水道整備計画をきめなければいけないんですよ。きめた流域下水道には補助がくっつくということになっているわけです。実施をしようとすれば——実施をするということを前提にして結局そういうものをきめているわけでしょう。だからそんなばかなことを言って、排出基準がきめられて水域の環境基準が確保されます——それはそれとは別のことなんです。二条の二によって都道府県のきめるものと、この法律施行までにこれに該当するものとしてきめるものがあなたの言うとおり三十水域あって、それがダブって七十八水域と言っているんじゃないですか。そう言っている以上、それを完全に実施するなら七十八水域について新下水道五カ年計画考えられなければいかぬし、あるいはあなたのおっしゃるようにその次の五年ということを考えるならば、二百水域が妥当だというなら、二百水域がやれるだけのものを考えるというのがこれが法律のたてまえだ、それが違うなんというそんなばかなことはないんじゃないですか。
  45. 西川喬

    政府委員(西川喬君) 私が申し上げましたのは環境基準を当てはめを決定いたします場合に、従来は閣議決定でございましたわけですけれども、環境基準を達成するための施策というのがございます、達成するための施策といたしまして、第一番に排出規制、第二番目が社会資本の充実あるいは下水道整備があります。あるいは流況の改善もございます。あるいはしゅんせつもございます。その二つの方策がとられるわけでございますが、その中のどの方策をとるかということが、それぞれの水域の当てはめを行なうときに決定されていくわけでございます。その場合に下水道整備を行なわなければならないというような水域につきましては、当然二条の二が政令で定める要件に該当するものではないだろうか。環境基準を当てはめをいたしました水域全部につきまして必ずこの流域下水道整備計画をつくらなければいけないのかどうか。この点につきましては、これは所轄の建設省のほうで政令で定める要件その他の問題があるんではないだろうか、こんなふうに考えますが、少なくとも環境基準の当てはめを行なっておりますときには、その水域の中には下水道整備を必要としない水域もあるということは事実でございます。
  46. 松永忠二

    松永忠二君 それは違いますよ。建設省のほうに聞けばわかるんですけれども、政令で定める要件に該当するものというのは、私も事前に聞いているんだが、二つ市町村にまたがるものということできめるということですよ。ほかには何もきめるものはないんですよ。あなたの言ったことは二つ市町村にまたがるものという、政令で定める要件というのがそこにくっつくんですよ。だから二百水域の中で二つ市町村にまたがらないものがあるかもしれませんよ、少数。しかしそれは単に政令で定める要件に該当するものという二つ市町村にわたるもの以外に何か建設省用意をしているんなら聞かしてください。——ないんですよ。ないからこの基本法の二条に基づく都道府県に委任することができる——委任することができるというのは、さっきからあなたが言ったようにこれからあとは国がやりません、都道府県がみんなやるんですよ。都道府県がやるのは基本法の九条の一の中にある、二条の二のいわゆる「望ましい基準」じゃないですか。それ以外に何かあるんですか。あなたの最後の答弁は要するにそれがすぐそのものに該当しないのが、二条の二の政令で定める要件というのがついてきた場合にはそれに該当しないものもあるでしょうと言っただけで、ただ二百水域の中に、もし二市町村にわたるものがないならそれだけは落ちるけれども、それ以外はみんなこれに当たるんですよ。これに間違いはないのです。建設省意見を……。
  47. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 田中一

    委員長田中一君) 速記を起こして。
  49. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま環境基準の設定の問題と私のほうの下水道法の流域別下水道総合計画についての御質問が出ているわけでありますが、私どものほうから……。
  50. 松永忠二

    松永忠二君 「政令で定める要件に該当するもの」というのは……。
  51. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) まず御指摘の「政令で定める要件」と申しますのは、現在のところは二以上の市町村の行政区域にまたがっておりますそういう流域について流域別下水道整備総合計画を立てる必要があるものは、都道府県知事、都道府県が策定をする、大臣の承認を得てと、こういう立て方にいたしております。ところが先刻企画庁からお話ございましたように、今後知事さんの権限で環境基準が設定されますところの水域につきましては、お話がございましたように、すべてがすべて下水道整備をやらなければ基準が達成できない水域ばかりかというと、私は必ずしもそうじゃないと思います。やはり地域によりましては、工場の排水規制を行なえば、下水規制を行なえばそれで大体基準が達成できるという水域もあるのではないか。しかしこれはどこかといいますと、実際に具体的にその水系について実態の調査なりそんなものをやっていませんので、何ともお答えできないわけでございますが、私どものほうの計画は、先刻申し上げましたような二以上の市町村の区域にまたがる流域でありまして、主として下水道整備によってこの当該環境の基準を達成することが必要なそういうふうな水域につきまして、私ども計画を立てるという考え方にいたしております。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 それならあなたの言うその水域は幾つぐらいあるのですか。
  53. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 現在のところまだ明確な水域の数は私のほうでチェックいたしておりません。
  54. 松永忠二

    松永忠二君 あなたが言ったとおり、政令で定めるのは二以上のものだと、そういうふうなことである。それ以外には望ましい基準が定められた河川、公共水域、海域、こういうものはついてはこれは下水道整備総合計画をやらなければいかぬ、計画を立てなければいかぬということは、あなたも言っておられる。それを立てなければいけないのは当面は四十九でございます。その中で今度の五カ年計画で二十三できますと言ったんです。そういうことはいままでの質問でわかったんですが、じゃこれからどれくらいあるかということについてはわからない。企画庁のほうでは、いわゆる従来そういう手段方法をもって指定水域としてきめてきた水域というのは、大体二百水域にのぼるであろうと言っているわけです。で、この二百水域にのぼるところをもっとふやしていくというのがこの基本法の趣旨でしょう。従来は、いままでは国でやっていたけれども、それじゃ十分じゃないから地方に移して、地方の実情に当てはめて水域をきめてもらっていこうということなんです。そういうふうな水域が結局、生活環境を保全、維持されることが望ましい基準であるわけなんです。だからそういうことにおいて、つまり聞いているのは、結局、いやそれは四十九水域の二十五をやるということでいろいろ考えているし、また四十九を足りないものはまたあとで五ケ年でやればいい。そういう関連で二兆三千億なんというものが考えられているし、今後のことは考えていくというならば、それじゃ少ないですよ、そんなことありませんよということを私が言っているわけです。そうしたら建設大臣は、そういうことは私は聞いていない、それならもうちょっとしなければいかぬと——それはおかしいじゃないか、そういうことは法律でそうなっているじゃないかと言っているわけです。むしろ国民のほうからいくと、そういう水質環境基準がたくさんきめられて、それに基づいて、つまり流域別下水道が二市町村にまたがる場合、流域下水道計画を立ててもらいたい、それができるのだから。そういう期待を持っているわけです。そういう点で食い違っちゃっているわけですよ。
  55. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 公害対策本部としまして、基本法九条二項の環境基準の当てはめを都道府県知事に委任することとした規定を設けた場合の考え方について、御説明をさしていただきたいと思います。  実は、いま松永委員が御指摘になりました点、まさにこの法律改正する際に大きな議論があったところでございます。確かに建設省は、この九条の二項のような当てはめを都道府県知事にほとんど無条件に委任するというような形にすることについて危惧の念を表明されたわけでございます。それに対しましてわれわれの考え方は、これは実は少し話が違うわけでございますけれども、今回の公害関係諸法案を立案する場合に一番問題になりましたのは、水質汚濁に関しては下水道整備の問題であり、それから大気汚染に関しては実は亜硫酸ガスの対策、そのためには低硫黄重油の供給ということでございます。つまり、大気汚染と水質汚濁防止という、公害防止の分野において一番問題になるのはその二つである。それが、幾ら法律規定を設けても一つ現実的なネックになるのではないかということがあったわけでございまして、いろいろ論議をしました結果、特に硫黄酸化物につきましてはどうも地方団体に全面的にそれを上乗せを委任することには自信が持てないということになりまして、御承知のように、大気汚染防止法のほうでは国自身が八段階を設けて、その八段階の中でそれぞれ過密地帯について当てはめをやっていくということにしたわけであります。  他面、今度水質汚濁防止法につきましては、確かに下水道推進ということが非常に重要であり、そのための財源措置ということが非常に大きな問題になるということはわれわれも十分自覚しておったわけでございますが、九条二項を置くことによって、いわば地方からそれを促進していく一つの圧力にするというような形になるのではないかという気持ちが、実はわれわれの内部にあったということを申し上げたいと思います。つまり、これを上から定めた、たとえば第三次下水道整備計画というような形のワクの中にきちんと当てはめていくという形の中には、この九条二項はなじめない面があるというのは御指摘のとおりだと思います。しかし都道府県知事が具体的に環境基準を当てはめていくためには、当然、それに伴ってどういう措置をとらなければならないか。その場合には、いま論議がありましたように、あるいは地域によっては汚濁負荷量の主要な部分が工場排水からなっているというようなものであるとすれば、下水道計画もつくられるでありましよう、この二条二項によってつくられると思いますけれども、それでも主たる解決策としては工場排水の規制で足りるという場合もあり得ると思います。しかし下水道につきましてもやらなければならないという場合もある場合には、当然その財源措置について建設大臣と協議をしなければいけないということになるわけでございまして、その辺の調節弁としてまさに下水道総合計画というのがあるというような位置づけのものではないかと、われわれは実は思っておるわけでございます。もちろん、そのことによってがっちり予算ワクがきめられてしまって身動きがつかないのではない、という御指摘があると思うのでございますけれども、それはやはり下からの何といいますか、圧力と申しますか、その辺によって下水道計画が促進されていくという面があることは否定できないのではないか。  それから、先ほど都市局長のほうから、一兆六千四百億が四十九水域についての予算として、事業量として割り当てられておるというお話があったのでございますが、一兆六千億の事業費が認められれば、その間には、まだある程度アローアンスがあるわけでございますから、それが四十九、水域以外の水域にも回せるということになろうと思います。したがいまして、具体的にどの河川についてどれだけ精密な計画を持っているかという御質問に対しては、なおこれからいろいろ調査をしなければならないということでございますけれども、まあしかし全体の方向として、九条二項を置くことによって促進をしていく。しかしそれについては、無条件でそれを促進するということについては財源の上では事業量の上でのネックという問題がございますので、その辺は調整をとりながらやっていかなければならない、こういうふうな考え方でございまして、一つ計画経済みたいにきちっと上からの計画で、すべて中央から割り当てていくという形はとっていないということであります。
  56. 松永忠二

    松永忠二君 いまあなたの言ったことは、要するに基本法でそういう水域がたくさんできます。できますけれども、こっちのほうへそのまま入れるわけにはいきませんということですね。だから、画にかいたもちになりますよということを言っているわけですけれども、それじゃ困るから聞いているのです。そういうようなことを考えてこういうものをつくったのですかということを大臣なり各省に聞きたいわけなんです。それが意思統一がされていなければだめだということを言っているのです。これは、この質問はあとに延ばしますけれども、そういうところでただ同じ趣旨のことをあなたが言ったって、何もそれだからといって解決できる筋合いじゃないから、これはあらためて責任者を呼んでから話しをすることにします。
  57. 大和与一

    ○大和与一君 関連。一つ大臣お尋ねします。私はこの問題は国が一番めんどうを見るのがあたりまえだ。企業が分担して負担する、これもあたりまえだ。そうすると予算措置が一番大事な問題で、その中で特に下水道の問題が量、質ともに非常に大きな分野を占めていると、こう思います。連合審査会で大臣おっしゃったことはたぶん昭和六十年度だと思っておりますが、十六兆円ということをおっしゃったと思います。これは最低をおっしゃったのだと思いますが、しかしそれにしてもいまいろいろ質疑応答の経過を聞いておりますと、なかなかこれは容易なことではなくて、何だかばらばらの感じがするわけです。私は一つ認識の問題でお尋ねしますが、大蔵大臣すら基本法二十三条を忘れてしまって、予算が忙しかったのだろうけれども、それで失言をしてしまって訂正をするという、こういう閣内の不統一がある。さっき大臣が、地方自治体なり地域社会の認識の問題がこの問題を促進するかなめであろうと、こういうふうにおっしゃったけれども、閣内なり政府なり総理なりが、またこの問題について山中長官に話を聞いても、十分ではないということを認めた発言もありましたが、どうも一番大事なそこのところが、認識統一ということがきちっとできていないというふうに考えますが、それの卒直な御意見を聞きたいのが一つです。  それから第二は、計画の問題ですが、一体この十六兆円というのは——計画というのはどこの国でもむずかしくて、ソビエトのごときでもフルシチョフも失脚したのは農業政策の破綻です。それが一番大きな問題です。どこの国でも、口ではうまいことを言っているけれども、うまくいかぬのです。この十六兆円ということは最低として、建設省の試案としても青写真があるのか。それは当然いままでより前向きの考え方をすれば、二年か三年たてばさらにそれが直されてもっと大きく分け前をもらわなければとてもできないのじゃないか、こういうふうになるべきだと思いますが、その辺のひとつ見通し、もう一つは、一番大事なことはさっきも松永委員が触れられたように、国民に対して今後負担をかけない、こういう考え方が当然あるべきなんですけれども、それは具体的に政府としてはそういう指導をする、あるいは現実にそういうふうにだんだんとなっていくのだ、少なくとも漸減の方向にいくのだ。いまの負担を少しでも国民にいらぬ負担をかけないで国がめんどうを見る、これもちゃんと基本法の二十三条にも書いてあるし、九条三項その他にも関連しているのですから、そういう考え方は微動だもせずにいくんだと、こういうふうなことが断言できるか。  最後にもう一つ、先ほどのお話で、五年かかって四十九のうち二十五だと言いました。残りは二十四だというので、とても所期の目的は達せられないと思います。一体どういうふうな、五年たって日本は世界に対して何%下水道整備ができたのか。十年たったら何%くらいになるのか。さっきおっしゃった十六兆を全部消化した上で、昭和六十年には日本の下水道というものは何%整備されたと言えるのか。これだけ聞きたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 数々の質問でございますが、まず第一に、新しい五カ年計画が、これでは端的にいって、これでは非常に規模が小さいじゃないかというお尋ねでございますが、そのとおりなんです。そのために、私はこのいわゆる新社会経済発展計画の五十五兆円の投資額に限定し、その中で下水道事業に二兆三千億、こういうふうに算定した根拠が私には理解できない。これに対する明確な答弁もなかったわけです経済企画庁から。もし経済企画庁がきょう言われたように、まあ当面二百の類型指定が行なわれるということを当時において考えておったとするならば、たとえば二百じゃなくても相当数のものが、四十九類型指定のほかにそれの数倍の指定がなされるという腹案があるとするならば、私は二兆三千億と算出した理由がわからない。そこで、私はこれはもともといわゆる計画経済におけるあれではなくて、一つの目標、まあ大体こういうめどだというふうに考えていくべきである、日本の経済の発展の状況あるいはまた国民の生活に関する意識の変化もあるでしょうし、したがって、これはあまり固定せずに、当分五年間はこれでいく、六年間はこれでいくという、固定せずに社会情勢の変化に応じてこれは変化すべきだ、こういう提言をいたしておるのでございます。これについては、考え方については当時の閣僚諸君もみんなそうだそうだというようなうなずきをしたわけでございます。現在の段階では、いまの二兆六千億です、私のほうで要求したのが。しかしながら、これは現在の状況においてすら不十分であるわけでありまするから、私は少なくとも昭和六十年までに日本の都市化した地域については一応一〇〇%を下水道整備をもってカバーできるという計画を立てるべきだと思っております。これはすでに昭和四十年のところを一つ基準としてそうして考えたのが十五兆円です。十五兆円の投資をすれば、大体市街化された日本の約一〇〇%近いところの地域は下水道をもってカバーできる、これは閣議の了承を得たわけでも何でもなくて、建設省自体の一つの長期計画一つの目標でございます。それを達成するためにも、新五カ年計画では少なくとも二兆六千億が必要だと、こういうふうに実は考えたわけであります。  ところが、いまのような、先ほど事務的に連絡があったかもしらぬけれども、実は本年、来年中に二百の類型指定がなされて、しかもわれわれがいま考えておるような手法、そういうふうな経費のかけ方でいくとすれば、松永さんが御指摘なさるように、初めからそれじゃあ五ヵ年計画なんか吹っ飛んでしまうじゃないかというような感じを率直に私は持ったわけなんです。ところが、いまあとで経済企画庁の事務当局から言えば、現実にこれは類型指定はするけれども現実に達成する年次、どういう程度の環境基準にするかについては、具体的に今度は建設省の五ヵ年計画のそのワク内に入れて処置すると、こういうような説明なので、それなら初めからそう言えばいいけれども、その前提がなければ、それはいまの公害基本法との関係で非常におかしくなっちゃうんじゃないかというようなことだと思います。それからもう一つは、私は先ほど受益者負担の問題がありましたけれども下水も今度は水洗便所もやっていくようになるでしょうし、それからまた一面におきましては、屎尿処理も、この下水道とは直接関係なく、これは厚生省でやっていかれます。そうすればそれだけ水を汚濁する原因も減ってくる。それから工場の排水等については、厳格なこれは規制がなされています。したがってそれが従来よりも下水に流れてくる量、質とも相当軽減されるだろうということ、それから従来は都道府県は例外的に流域下水道をやっておりましたが、今度は流域下水道方式をとっていくということになりますれば同じ経費のあれで、いままでは末端処理を全部市町村がやらなければならなかったのを、公共下水道から広域下水道にして、その末端処理は一括してやるということで効率的な使い方もできてくる。それからまた使用料制度が、今度は一般の人よりもむしろ企業のほうから使用料を相当取ってくるというやり方、あるいはまたこれはまだ検討中でございますが、下水道債というものを発行していいじゃないか、地方自治体にやらして。それは相当長期の資金でやっていくとすれば、これもまた事業量を相当程度同じ資金でめんどう見れるというような広範な私は総合的な政策をとっていってこれはやっていかなければいかぬ。  いまいろいろな矛盾点があることは、端的に申し上げますれば、二、三カ月で公害十四法をにわかにやったというある意味における拙速のそしりは免れないと思います。これは内閣としても拙速でもこれはやるべきだ、一つ一つたんねんにやるとすれば、一つの立法でも一年ぐらいかかるでしょう、準備を全部やるためには。それをあえて若干の矛盾、それから準備不足、あるいは実行上のいろいろな矛盾を覚悟して、まず出発する。そうしてこれから実施の過程においていろいろ是正していくという政治姿勢がここに出ているのでありまして、したがいまして松永さんが言われたように、非常に綿密に法律の体系はもとよりのこと、実施面における万遺漏なきものだというほどの自信はないことは事実です。しかし現時点においては、何よりもまず政府が準備が不足であっても、とにかくこれで進んでいくのだ、そうして実施の過程でこれを是正していくという政治姿勢が、むしろ選択するならそのほうをとるべきだということでございます。したがってこれは御指摘のように、いろいろな矛盾があることは、私は初めからこれはやむを得ないというのは、はなはだ無責任のようですけれども、むしろそれでもこの公害問題に全面的に取りかかるということのほうが、私は国家国民のためにもよし、政府としても正しい態度である。したがってこの実施の過程において、国会の皆さまからいろいろと矛盾を追及されたり、あるいは是正すべきことを指摘されたり、あるいは国民の実施面におけるいろいろな不便、そうしたものが出されて、それを真剣に取り上げて、一つ一つ解決していくことが正しいと思っている次第でございます。その意味において、われわれは足らないことは相当自覚しておりまするので、いわゆることばでお答えして、そうして事足るとする態度は私はとるつもりはございませんし、関係閣僚の諸君にもその旨を言って率直にこの点ではここに矛盾がある。ここにこういう隘路があるということを申し上げて、やはり次から次へと是正していくことが正しいことだ、こう考えておる次第でございます。
  59. 松永忠二

    松永忠二君 私はそうこまかく緻密にどうこうというのじゃないのです。ぼくは三つの公害対策基本法を、いわゆる水質汚濁が発効するまでに水質保全法がある、それと下水道法改正とこの三つの関係はどういうふうになっておるのかということを言っておるのであって、これの関連がはっきりしてないのに、ばく然とやります、やりますということを言うほうがおかしいのであって、少なくもそういう意思をきちっと統一をしてそうしてきちっとしたものを出さなければ、ただ法律をこしらえて、あっちにも抜けたところがありますよじゃ困る。この点の意思を統一する必要がある。そういう意味で私は十七日にその問題は延ばします。
  60. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 田中一

    委員長田中一君) 速記を起こして。
  62. 松永忠二

    松永忠二君 いまの関連したほかの問題で少しまだ聞くことがありますが、それは時間もありませんので、これは次回に譲ります。いまの言ったまず統一をさせること、見解をぴしっと聞かなきゃいかぬので、その点はひとつ委員長でできるようにしておいてもらいたい。  そこで、質問をしますが、今度はヘドロの問題を少し質問をさしていただきます。まず公害対策本部に聞くんですが、ヘドロは今度の場合、基本法の中には基本法の第二条の第一項には水質汚濁で「(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)」と書いてある、公害の定義に入っている。ところが同じ基本法の第九条の一項の「水質の汚濁」いわゆる環境基準とか、それから健康に関する基準、それをきめることを規定している基本法の中には「水質の汚濁」と書いて別に何も書いてない、抜けている。今度は水質汚濁のほうの法を見ると水質汚濁法のほうの「水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。)」と、除外しておる、そうなってくると、一体ヘドロの公害について汚染の基準というものは一体どこにきめる法的な根拠があるのか、公害に入れてきたがそれを判断する汚染の基準というのは全然ない、どこにもきめられない。きめる法的根拠はこれはどうするつもりなのか、それはちょっと不十分じゃないか、法律として。それから現在横浜市あたりではヘドロの基準というものをきめているわけです。だから、市のようなところでさえそういう基準をきめられるのにきめる法的根拠がどこにもないということは、結局一つ法律的な不備である。どうしてこれをやっていくつもりなのか、これをひとつ聞かしてもらいたい。
  63. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) いまいろいろのお尋ねがございましたが、最初の公害対策基本法二条の中に水質の汚濁にカッコして「(水底の底質が悪化することを含む。)」こう書いてあります。これはまさしくおっしゃるとおりヘドロを念頭に置いたものでございます。そこで今後ヘドロ対策について公害関係諸立法でどういうふうに対処していくのかという全体の関係をまず御説明をしたいと思います。
  64. 松永忠二

    松永忠二君 簡潔にやってください。
  65. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) そこで、このヘドロ問題に対処するためには、確かに従来は水質の汚濁という形で田子の浦の場合にも呼んでおったのでございますけれども、当面水質の汚濁ということは少しニュアンスが違うということで、はっきり基本法の二条にヘドロというものを念頭に置いて規定を入れたということがまず第一でございます。それから、それに対する対策公害関係の諸法の中にいろいろまたがるわけでございまして、一つ水質汚濁防止法でございます。水質汚濁防止法は水質汚濁防止のために御承知のように各種の規制措置を講じておるわけでございますけれども、その規制措置を講ずることが水質汚濁防止対策になると同時に当然SS——浮遊物質。ヘドロの堆積の原因を根源においてカットするという形になるわけでございますから、その意味において水質汚濁防止法と最も関係が深い、それは基本法にもその意味水質汚濁のもとにカッコで入れておいたわけでございます。今度は水質汚濁防止法のほうにそれがなぜ書いてないかということでございますけれども、これは水質汚濁防止のための措置をとることが即ヘドロの発生に対する措置になるということでございます。そのことはもっと別なことで申しますと、たとえば土壌汚染ということが今回問題になっておるわけでございますけれども、土壌汚染防止のためにも、水質汚濁を通じて土壌汚染にいく場合には、水質汚濁の防止のための措置をとることが即土壌汚染防止のためになるわけでございますから、そのことは水質汚濁防止法には書いてございません。それとちょうど同じ意味であって、水質汚濁防止法の中には水質汚濁の防止を兼ねまして結果的に必然的にヘドロ発生の防止にもなるという考え方でございます。それから他の法律について申し上げますと、御承知のように清掃法を改正いたしまして廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのを提案しておるわけでございまして、これにつきましては地先海面に対して廃棄物をみだりに投棄することを禁止しております。それから海洋汚染防止法でございますが、これも同様に海洋に対する汚物の投棄、廃棄物の投棄を非常に厳格に規制をいたしまして、一定の限られた廃棄物がかつ限られた海域で限られた方法でしか投棄できないということになりまして、これらが相まちましてヘドロの対策になるということでございます。それから田子の浦のように一たん堆積されたヘドロをどうするかという問題がございますが、これにつきましては、もはやそういった今後の規制措置は間に合いませんので、結局ヘドロ自体についてのしゅんせつ除去ということが問題になるわけでございまして、これにつきましての重要な立法は、これはいわゆる費用負担法でございます。費用負担法によって明確に事業者負担のあり方を定めまして、それとさらに田子の浦の場合でございますと、従来の港湾法もこのために役立つわけでございますが、そういうものをつくって、今後除去を進めていくという考え方でございます。  それから第二点のお尋ねでございますが、基本法の九条のほうの水質汚濁のところに底質のところが含まれておらないではないかという御質問でございます。これにつきましては、実はヘドロの汚染度がどの程度であれば有害であるかということについての十分な科学的な立証がつかめない状況でございます。現在厚生省がやっておりますのは、一番現在において科学的な方法として認められておりますのは、結局魚の汚染度、たとえば水俣の場合でも阿賀野川の場合でも、これは魚が総水銀の三ないし四PPM含んでおった、これは明らかに人体に対して有害であるというような状況というふうにいま知見されておるわけでございますけれども、そういうように、どうもヘドロ自体からアプローチするのは非常にむずかしくて、むしろ魚という形から入っていくのではなかろうか。それにいたしましても、まだ魚の汚染の状況と今度はヘドロの汚染の状況との因果関係が十分につかめておりません。現在、緊急予算措置をもちまして、四十五年度においても厚生省が人の健康に有害のおそれのある地域のヘドロ調査をいたしております。その場合に、ヘドロの汚染の状況と魚の汚染の状況との因果関係等もつかもうということでいま調査をいたしておるところでございます。現段階においては、その辺の因果関係ははなはだむずかしいという状況でございます。そこで、この前の連合審査の際に山中大臣も答弁をいたしておったと思うのでございますけれども、九条にはそういう意味で載せておりませんけれども、もちろん、一種の行政目標というものは立てなければいけない。しかしその行政目標も、いま、ヘドロそれ自体ということよりも、魚とか海藻とかいうことでやっているのではなかろうかというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、その辺が、まだ十分にこれがきめ手であるというところまで至っていない状況でございます。しかしもちろん、その九条に入っていなくても行政目標は立てないと、どういう場合にヘドロのしゅんせつにかかるかという手がかりになりませんので、その辺は即刻詰めて行政目標を立てなければいけないというふうに思っております。
  66. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  67. 田中一

    委員長田中一君) 速記を起こして。
  68. 松永忠二

    松永忠二君 そこでその次、厚生省と対策本部のほうに聞くのですが、ヘドロは、廃棄物処理法案の「産業廃棄物」であるのかどうなのかということが一つ。それから田子の浦のヘドロを陸上処理をする場合、つまりこの法律が成立をして陸上処理をしようという場合には、この第三章の産業廃棄物の適用者、その第三章が適用されてきて、都道府県知事は、その処理計画を定めなければならない。それから事業者処理については、「厚生省令で定める基準に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。」となっておる。それから収集、運搬、処分に関する基準は政令で定めるということになっておる。したがって、この法律が実施をされてくれば、当然、その田子の浦のヘドロの陸上処理の場合には、この第三章の産業廃棄物の、このところの適用がなければいけないことになるのかどうか。それから公害防止事業事業者負担法の県の行なう公害防止事業——第二条の2が該当されて費用負担計画が定められる。それによると、第七条二の「四分の三以上十分の十以下」の場合には適用されると考えるけれどもどうか。この点を、廃棄物処理法案の関連は厚生省ですね、二つお答えいただきたい。まず産業廃棄物処理法案の中でヘドロは産業廃棄物なのか、一般廃棄物なのか、それはどうなんです、まずそれを。
  69. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) お答えいたします。ただいまの御質問の件でございますが、河川、港湾等のしゅんせつの事業、これをそれぞれの管理者等が行なった場合、これらから生じます汚泥は産業廃棄物となりまして、その産業廃棄物を処理いたします場合は、先生御指摘になりましたような、この廃棄物の処理及び清掃に関する法律の政令で定めます処理基準によって処理しなければならない、こういうことになります。
  70. 松永忠二

    松永忠二君 負担の問題。
  71. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) この費用負担法それ自体、まあ田子の浦の問題を離れまして、費用負担法それ自体の解釈といたしましては、まさにおっしゃるとおりヘドロのしゅんせつにつきましては費用負担法が摘要になるわけでございます。その場合にいかなる費用負担がなされるかにつきましては、原則は四条にございます。したがいまして、この四条の一項、二項にまたがって規定されておるわけでございまして、この七条があらゆる場合にストレートに働くわけではございません。しかし、この七条はもちろん重要な規定でございまして、費用負担をきめる場合のいわば基準になる数値として七条の負担割合があるわけでございます。
  72. 松永忠二

    松永忠二君 私は、仮定ですけれども、田子の浦のヘドロについて聞いているのですよ。だから、いわゆる公害防止事業事業者負担法案に基づいていまお話しのとおり、その場合に第七条の二の、つまり「四分の三以上十分の十」というのは、考えられる一つのものとして重要な役割りを果たすということはもうわかった。  それからもう一つ、いまお話しのとおり、厚生省のほうでは、したがって、政令で、処分あるいは収集とか、あるいは運搬に関する基準は政令できめる、その政令に基づいてやらなければならないということになるわけですね。政令については何か考えているものがあるのですか。
  73. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) 政令におきましては、当然無害化あるいは安全化等の前処理を行なって環境保全上支障のない方向で最終の処理をするということが、内容としてはきめられることとなると思います。
  74. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、都道府県知事は処理計画を定めるというこれも適用になるし、それからまた事業者処理として、いわゆる厚生省令で定める基準に従って、生活環境の保全上支障のない保管、保管というとおかしいけれども、これを出したのは企業ですね。いわゆる企業が出したのだから、この第三条を適用してくると、事業者処理というものもつまりこれに適用を受けるということになると思うのですが、この二つのことはどうなんでしょう。都道府県知事はその処理計画を定めなければいけない、それから「事業者処理」という中で、事業者はその廃棄物についてつまりその保管のあれを、「生活環境の保全上支障のないように」「保管しなければならない。」、これも該当すると思うのですが、どうですか。
  75. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) お答えいたします。十条にございます「処理計画を定めなければならない。」ということでございますが、これは都道府県知事がその区域内から出てまいります産業廃棄物の適正な処理を行なうために、行なうといいますか、その処理をはかるために、産業廃棄物全体の排出状態、あるいはそれを最終的に適正に処分するためにはどういうふうにしたらいいかというふうな基本的な計画を立てるというのがお話しの処理計画の策定でございます。この場合、排出の実態、そういうものについてはそれぞれの事業、そういうものとの関係を調査いたしまして、その処理計画を策定をするということになると思います。  それから第二の点でございますが、先ほどお話し申し上げたようにしゅんせつ等の事業を行ないますその事業者が、その産業廃棄物がしかるべき適正な処理がされるもとに運搬される、その間に生活環境の汚染を起こさないように適正に保管をしておかなければならないという規定でございます。
  76. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いているのは、その法律意味を聞いているのではないのであって、ヘドロのいわゆる陸上処理をする場合には、さっきあなたの言うとおりに、いわゆる政令で基準がきめられるということが一つ確認されたが、これにあるとおり、産業廃棄物には処理計画というのが都道府県の知事によってきめられる。田子の浦のヘドロの場合でも処理計画というのは都道府県の知事が立てなければいけないんでしょう、立てなくてもいいんですか、全然それは関係ないんですかということを聞いているのですよ。それから、いわゆるそれをしゅんせつする場合とかなんとかということでなくて、現実にヘドロはいわゆるそういう製紙関係事業者が出してきたものであることは事実なんでしょう。そうでないとは言えないですね。しゅんせつするとかなんとかということについては、これは事業者負担法のほうで関係あるけれども、それまで、とにかくそういう措置がなされるまで保管管理というわけじゃないけれども、それをだれが管理するかということになると、この法律でいう管理というのは事業者にあると判断せざるを得ないじゃないですか。だから、その第十一条の事業者処理という項目と、それから第十条の処理計画を都道府県知事がきめるというこのことと、それからお話しのとおり十一条の三のこの基準の問題とについては、あなたのおっしゃったようなこの第十二条の政令で定める基準ということにそれはもう話がついたわけなんです。では、田子の浦のヘドロをこの法律が効力を発効してから陸上で処理をする場合には、都道府県知事は事業計画を出さなくてもいいのですか、出さなければいかぬのか。このいわゆる事業計画処理計画というのは適用するのかしないのかということと、それからもう一つ事業者処理というものは全然田子の浦のヘドロの場合関係がないとは私は言えないと思う。これはやはり事業者処理としても、この法律のいわゆる範囲内でこれがどうされるかは別として、これも適用になると考えるけれども、適用にならないのかなるのか。この二つの点について、ならないなら、なぜならないか、私はなると思うから、ならないというならば、積極的にどういう理由でそうなのか聞かしてください。
  77. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) お話しの点でございますが、先ほど申し上げましたのは、実はしゅんせつ事業というものを通して、ヘドロがいわゆる汚泥として生じた場合、その汚泥の処理についてこの廃棄物の処理法が適用になるということでございます。それからお話しの、直接これにたとえば工場排水等に起因してそういうヘドロが蓄積するということにつきましては、これは河川なり港湾と工場との関係、そういうものになると思います。で、私のほうの廃棄物の処理及び清掃に関する法律でそのヘドロをしゅんせつ等の事業によって取り出した場合のあとからの処理がこの廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用になるということでございます。
  78. 松永忠二

    松永忠二君 これは田子の浦のヘドロを陸上処理する場合には、都道府県が陸上処理するわけでしょう。だから、そういう意味であなたのおっしゃったいわゆる公害防止事業としてやるわけでしょう。だから公害防止事業としてやるヘドロの処理は、陸上処理は廃棄物の処理法案の中の産業廃棄物だということはいま言われた。それは政令に基づかないとできないということもわかった。そうすると、やはり事業者処理については少し意見が違うけれども処理計画というのは都道府県知事が出さないといかぬと思うが、それは出さないでいいのか、出さなければいけないのか。
  79. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) 処理計画については、都道府県知事が定めなければならないということになっています。
  80. 松永忠二

    松永忠二君 わかりました。事業者処理の問題については私は少し意見が違うけれども、これは時間がありませんからあとでもう少し詰めることにして、そこで通産省のほうに聞きたいのですが、ヘドロは海洋汚染防止法案の定義の中のどこに一体当たるのか、それ、聞かしてください。
  81. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) ちょっといま私担当外のものですから……。
  82. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) この海洋汚染防止法には三条に「廃棄物」というのがありまして、「人が不要とした物(油を除く。)をいう。」と非常に廃棄物の定義が広くとってございます。そこでこの中にいま海洋汚染防止法に言うヘドロも含まれるという解釈でございます。
  83. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、海洋汚染防止法の定義の中の廃棄物に当たるということがはっきりしたわけです。そうなってくると、これは十条にきめてある「船舶からの廃棄物の排出の禁止」、これはたとえばヘドロを海洋投棄しようということになった場合には、これは第十条というものが適用される。それからもう一つは四十七条の三ですね、「農林大臣は、油又は廃棄物の排出により漁場の効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められるときは、運輸大臣に対し、この法律の施行に関し、当該漁場及びその周辺海域における油又は廃棄物の排出の規制のための適切な措置を講ずることを要請することができる。」、これにも該当されると思うが、それはどうですか。
  84. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) おっしゃるとおりでございます。
  85. 松永忠二

    松永忠二君 わかりました。そこで田子の浦のヘドロの現状はどうか。これについては運輸省のほうから話を聞かなければいかぬと思うのですけれども、時間を省く意味で、これは前から地方公共団体も言っているし、政府も言っているように、ヘドロが七千トン排出をされる、四千トンは流出をされて三千トンは沈澱される。SSは一日七百トン排出をされる、そうして三百トンが沈澱をされる、一日四センチから五センチくらいの水深が埋められていく。この前委員会で質問したときに、運輸省のほうで、十月の初めにたまったヘドロが八十八万トン、八月三十日が八十二万トンであった、こういうふうに言っているわけです。そうするとこの田子の浦のヘドロの現状というものは、公害防止事業事業者負担法案の七条の二の「たい積物中に人の健康に有害な物質が相当量含まれ、又は汚でいその他公害原因となる物質が著しくたい積し、若しくは水質が著しく汚濁している場合」、こういうものに当たると思うんです。あしたからでももし法律が通れば、これで公害防止事業として事業をやっていこうというんですね。それからまた海洋汚染防止法案の「漁場の効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められる」とき運輸大臣に対して適切な措置を講ずることを要請する場合、こういうような場合に該当するような状況の汚染の状態であると考えるけれども、そういう見解について運輸省、それから公害対策本部、水産庁の意見見解を聞かしてください。
  86. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 田子の浦の状況につきましてはおっしゃったとおりでございまして、現在九十万立米ぐらいヘドロがたまっておる。これに対しましては港湾管理者といたしましては、港湾の管理上どうしてもやはりこれを取っていかなくてはいけない。その取る方法につきましては、当然海洋に捨てるというようなことは、いまでは考えられなくなったわけでございますが、これをもし取ると仮定いたしますれば、これは当然農林大臣のほうからのその廃棄に対するクレームはつくと思います。それからこの海洋汚染防止法におきましては、政令で定めましてある区域に対しましてはある性質のものについては捨てることを除外規定にしておりますが、田子の浦の場合にはいままでの経緯からいたしましてこれが適用されない。したがいまして海には捨てないということになると思います。それで陸上に現在処理しようとしているわけでございますが、そこにつきましては当然先ほどの厚生省のほうの法律関係ございますので、現在港湾管理者といたしましては、公害対策本部のほうと連絡をとりながら整備を進めていきたいというようにして、本部のほうの指導を受けているというような状態でございます。
  87. 松永忠二

    松永忠二君 汚染状況を聞かしてください。ぼくが言った汚染状況についてその見解、あと公害対策本部、水産庁のほうから、どうですか。
  88. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) この汚染状況につきましては、先ほどおっしゃいましたように、まず運輸省のほうからお話がありましたように九十万立米ぐらいのヘドロがたまっておるということでございまして、その後これはむしろ通産省のほうが詳しいデータを持っていると思いますけれども、短期対策として御承知のように現在紙パルプ工場が二〇%相当のSSカットをやるということをきめております。また実行に移しております。それからそれと同時にこの水質基準が現在の水質汚濁防止の法律によって定められておりまして、来年の七月一日からは水質基準がかかる形になっておりまして、そのために各企業それぞれ——まあ大企業が中心でございます。中小のほうは岳南排水路を使用するということでございますけれども、それぞれいまのようなことで紙パルプ業界それぞれやっておるところでございまして、私いま詳しいデータを手元に持っておりません。おそらく通産省がお持ちだと思いますから、通産省からお答えするほうがいいんではないかと思いますけれども、その後毎月のように県のほうで水質汚濁の状況を測定いたしておりますが、これは従来よりは改善されているとわれわれ了解をいたしておるわけでございます。
  89. 松永忠二

    松永忠二君 いまの現状は、公害防止事業者負担法案のいま言ったようなところを適用しなきゃならないような状況にあるのかないのかという判断を、それを聞いているんです。
  90. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 汚濁の状況と言われたものですからいまのようなことを言ったのでございますが、もちろんおっしゃるとおり、まさに田子の浦の現状は七条の一項の二号のイに該当するようなケースであると思います。
  91. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 公害対策本部のほうからお答えしたとおりでございます。
  92. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、海洋汚染防止法案のこのことについては水産庁どうですか。これの公害防止事業事業者負担法案の、「たい積物中に人の健康に有害な物質が相当量含まれ、又は汚でいその他公害原因となる物質が著しくたい積し、若しくは水質が著しく汚濁している場合」これに該当する。だからできれば適用しようというようなことを考えるわけですね。ところがあなたのほうに聞いたところでは、海洋汚染防止法案では「漁場の効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められる」場合、そういう汚染の状態であるのかどうか。それに該当すると思うけれどもどうであろうか、これは水産庁にお伺いしたい。
  93. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 田子の浦の排出関係の漁場の様子を申し上げますと、去年、ことしと比較いたしましてサクラエビその他水産物のとれぐあいというのは、そう大きな変化はない、ただはっきり申し上げられますことは、田子の浦付近でとれていたサクラエビあるいはアカダイが焼津付近に移動したりあるいは伊豆半島の西岸のほうに移動したりしたこと、それから間々一種のにおいのある魚があって、それが商品価値を低めるあるいは網がときによって汚染される、そういう問題でございます。したがいまして、田子の浦付近の漁場の問題としてはこれはまさにこの海洋汚染防止法の四十七条で定められているような、「漁場の効用が低下し、又は低下するおそれがあるという」そういう状態であると考えます。
  94. 松永忠二

    松永忠二君 そのエビについては何というんですか、漁業者は漁を中止しておるということが新聞に出ておる、とれないというんですね。しかし、とにかくいずれにしても田子の浦付近では「漁場の効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められる」という点については見解が同じであるわけですね。  そこで私はお聞きしたいことは、現在田子の浦のヘドロの現状はそういうような状況であるとするならば、いま用意をされておるこれらの法律ですね。特にこの出ている産業廃棄物の法案など、そういうような法案の精神というものは、いま直ちにこれが成立しないとしても、そういう精神は生かされていかなければできない筋合いのものですね。そうしてまた、この法律はできるだけ早い時期に実施されようとして国会に提案されているわけだから、したがってその精神というのは尊重されていかなければそれができない筋合いのものだと私は思うんです。この点についてはそういう点で大臣が来なければまずいんですが、ただ事務的に答えられても困るんですが、まあそれを聞かせてください。
  95. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) これはおっしゃるとおりだと思います。正確に申しますと、この費用負担法は六カ月までの政令で定める時期から施行するということになっておるのでございまして、いま差し迫ったことにはならないのでございます。それからさらに費用負担は事柄の性質上、その後着手する公害防止事業から適用するということになっているわけでございますから、しゅんせつ自体は富士川原を使っての、そこでの処理ということが、陸上処理が問題になっておるわけでございまして、それがいつから着手できるか、まださだかにはわからない状況でございますけれども、いずれにしてもこの法律施行前のことになるのではないかというようにも思うわけでございます。しかし、費用負担の点に関しましては、現在こういう法律がございませんけれども、すでにこれは事業者負担においてやるというので、御承知のように、七億の拠出をきめておるというような状況でございます。またその法的な根拠といたしましては、おそらくは港湾法で同じく原因負担金という制度がございまして、従来この原因負担金の解釈についてはいろいろあったわけでございますけれども、あれほど明白な因果関係がある場合については、この費用負担法と同じような精神で運用し得るものではないか。現在はそこまではいかないで、いわば業者のほうで拠出という形でもって行なわれておるのが現状でございますが、その精神においてはいまおっしゃるようなことが当てはまるのではないかというように私は考えております。
  96. 松永忠二

    松永忠二君 そういうふうに公害防止事業法案の精神は生かされていくし、実施されればこれを適用していくと言うのだが、それでは産業廃棄物処理法案を運用していく厚生省のほうも、それとやはり同じような精神というものを尊重されて提案されている以上、これはできるだけ早く実施をしたいと考えている以上、この精神というものは尊重していかなければいけないとお考えになっているのですか、どうですか。
  97. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) そのような方向で進めたいと、このように思っております。
  98. 松永忠二

    松永忠二君 そうなってくると、もちろん海洋汚染防止法案についても通産省、そうだと思うのでありますが、そうすると今度は私はこの趣旨を生かして、農林省、水産庁の関係ですね、とにかく現実にヘドロが上を流れている、放出されているわけですね。もっとあの港湾は早く行き詰まりが出ると考えて国会なんかで答弁しておったのが、結果的には、この前聞いたときよりも八十八万トンから九十万トンも今日はたまっているのですね。たまっているけれども、たまり方は少ないわけです。だから、初め七千トン排出した中で四千トンが流出すると考えていたものが、もっと流出している現実である。そういうことが漁民にも非常な支障を与えていることもお話しのような現状だ。海洋汚染防止法案の状況にまさに匹敵する状態であるというなら、この精神を生かして所管の水産庁の長官はこの際、「運輸大臣に対し、この法律の施行に関し、当該漁場及びその周辺海域における油又は廃棄物の排出の規制のための適切な措置を講ずることを要請することができる。」とある、こういう要請をする必要があると私は思うけれども、この点については水産庁長官はどうお考えになっておるのでしょうか。また、あるいはそういうことを実施をされたのかどうか、この点をひとつ。
  99. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 田子の浦のヘドロに  つきましては、公害対策本部を中心として、現在静岡県において陸上における廃棄措置等について検討を進めておるわけです。この海洋汚染防止法案による運輸大臣措置だけでこの問題が解消できるわけではございませんで、水質汚濁防止法の厳格な施行その他、今回の臨時国会で成立を見ますような公害法案のすべての施策を通じて、この問題の処理に取り組まなければいかぬと思います。特別に四十七条の三項で、運輸大臣に対し適切な措置を講ずるということを申し上げるよりも、むしろ公害対策本部を中心とした総合的な施策を進めるという、それが本筋であろうというふうに思っております。
  100. 松永忠二

    松永忠二君 要請をしなければできないような状態にあるけれども、運輸大臣に要請したからといって解決はできないから、いろいろ公害対策総体として対策を立ててもらいたいと、こういうふうに言っているわけですね。そうすると、じゃ一体どういう方法があるだろうか。いまお話しのようなたれ流しをとにかく規制をしてもらわなければ困りましょう。自主的にひとつ二〇%カットをやっているというお話だけれども、これについても常時監視されているかどうか。その点については、まだはっきりしていないのですね。それで、とにかくたれ流しを規制をするということがなければ、結果的には被害を一番受けるのは漁民だということになると思うのだが、このたれ流し規制という問題については、一体水産庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  101. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) SSの規制を最近行なっておりますけれども、これは御承知のように来年にならなければその規制が実施されないということであります。また、SSの規制さえすれば済むということではなくて、やはり私ども一般の排出基準の規制と同じように、CODその他全般にわたって早く規制をしてもらいたいと、そういうふうに思って経済企画庁にも相談をいたしておるのでございます。
  102. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、たれ流しを規制してもらいたいということについては意見は一致をするのですか、どうですか。
  103. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) それは水産庁長官としては当然そういうふうにたれ流しの規制を行なうべきだということでやっております。
  104. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、その点については意思が統一したと、それが実現できるように強力にやはりやらなければいかぬと思いますが、ほかにいま言った、もう一つはいまお話しのありました暫定水質基準というものが一日十万トン以上の排出をしたものについては、来年四月から八〇から九五PPM以上にしましょう、四十七年四月から七OPPMにしたいと、こう言っているわけです。これでは困るとお考えになりませんか。こういうふうにこれが適用されるまでは幾らでも出てしまう。だからたれ流しを規制するということに賛成だが、具体的にどういうふうにどうするかということはそれとして、とにかくあなたのおっしゃった各種の方法があるという中の暫定水質基準を繰り上げて、できるだけ早い時期にそれを適用してもらわなければ困るということです。被害を受けている、つまりいま海洋汚染防止法の、著しく漁場に影響があると判断している水産庁の長官としてはこの繰り上げの問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  105. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあSSの規制も、産業行政の立場からいまおっしゃったような形できまったことで、私どもとしては早くそれが行なわれることを希望いたしますが、国政全体の立場から、水産庁の立場からだけで主張するわけになかなかまいらないという事情もあろうと思います。ただ、水質規制と同時に、いまたまっている相当量のヘドロの措置、これもゆるがせにできないわけでございます。私はその両面をできるだけすみやかに措置してもらうように公害対策本部にも、静岡県のほうにもいろいろお話し合いをしているわけであります。
  106. 松永忠二

    松永忠二君 大体私のほうで考えているのは、そういうふうな点である。全体的な状況もあるけれども、とにかく来年四月から十万トン以上の排水についてだけ規制するわけですから、これではしようがないからもっと早くしてくれと、こういうことについてもっと積極的でなければいかぬ。また、たれ流し規制についてはまあ意見は一致したのですが、具体的にあなたが努力してもらわなければできない。だからこういう点については十分努力をし、いまあるヘドロをどうするかという問題について、もちろん考えていただきたいことも事実だと思います。そこでヘドロ処理について技術的に可能だというようなことを学者は言っているわけですね。可能である。これは、私は専門家じゃありませんからわかりませんけれども、いろいろな方法をあげております。で、現に効果をおさめているところもある。何かベルトフィルターという方式、遠心分離、たて型スクリュープレスというような方法もあるんだというようなことも学者は言っております。で、効果をあげている。問題は、経済的な問題だと思います。金の問題ということも言っているわけだが、それからまたいま言う産業廃棄物処理法案の中には、そういう処理について国は技術の点について提供をしていくということも、第四条には明確になっておるわけですね。国及び地方公共団体の責務として「国は、廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図るとともに、市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」というようなことを言っているわけです。これについて、ヘドロ処理というものは技術的に可能だ、要するに金がかかるというような点に問題があると学者はわれわれにも、話を聞いていると、言っているんだけれども、こういう点について、特にいま所管になっている公害対策本部の関係者はいまこのヘドロ処理について非常に困っているというのが現状だとすれば、この法律の産業廃棄物の趣旨を生かして、一体厚生省はこういうことについてどういう積極的な施策をこの法律が通る段階において、通る以前の段階においてこの精神を尊重して、一体どういう具体的なことをやっているのか。この二つを厚生省のほうからと公害対策本部のほうから聞かしてください。
  107. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 先ほどの技術的な問題でございますけれども、まあヘドロ自体は、いろいろ巷間伝えられておりますように、たとえば肥料にするとか、あるいは田子の浦の場合でございますと、相当マレーシアあたりから入ってくるゴムのチップがございまして、これらは舗装の原料にするとか、まあいろいろの用途がございます。しかし、まだそれらについて、肥料は相当技術的にしっかりしたものがございますけれども、まだ技術的に未開発の分野もございます。他の用途につきましては未開発の分野がございます。それと、いま一番問題になりますのは、そういう再生利用するということもさることながら、それよりも眼前に九十万トンのヘドロがあるわけでございますから、これを処理するために最も重要なことは、まず脱水でございます。現在九〇%程度の含水率のものを、せめてこれを七〇%ぐらい脱水をいたしますと相当身軽に、三分の一に軽量化されるわけでございますから、処理は容易になるわけでございます。そして、そのために脱水機を使って処理するということになるのでございますが、この脱水自体は現在ある脱水機でヘドロ処理できないものではないとわれわれ考えております。ただし、一番問題になりますのは、これは海中にあるヘドロは硫化水素を発生いたしますので、その硫化水素を合わせて処理をしなければならない。それの経済的な問題もございますし、さらにそのことによって非常に脱水機の腐食が早くなるという問題がございます。で、できますれば、われわれこの前もたしかこの委員会でお答えしたと思いますが、この終末処理場としてどうしてもこれは脱水機を備えつけなければならないわけでございます。そこで、その脱水機で現在港湾の中にあるヘドロも処理できないかということを考えたわけでございますが、どうも建設省で技術的に検討された結果は、腐食性の問題がなかなか容易に解決できないというので、それについてはいまのところ消極のようでございます。そして、現在の富士川原における処理というのは、まあ一種の天火乾燥の方法によって脱水をするという方法でございまして、これもいまのところ三十万トンぐらいの処理能力しかあすこでは期待できませんので、今後どうするかという問題が大きな問題でございます。まあ技術的にはいま申しましたようなところが問題点でございます。
  108. 榊孝悌

    説明員(榊孝悌君) お話しの点でございますが、厚生省といたしましては、従来からこれは廃棄物の処理といいますのは清掃法の体系で進めてきたわけでございますが、今回の改正によりまして、特にいままで十分取り上げられておらなかった産業廃棄物についての処理の体系を整備するということにいたしたわけでございますが、現実どのように進んでいるかというお話でございます。これにつきましては、すでに各県の単位で産業廃棄物の排出量等の実態の調査、予備調査に入っているところもございますし、現実にこのヘドロ等を、これは河川のしゅんせつ等によってもいろいろ出てくる問題でございますので、こういうもののどのような処理の技術的な基準を作成するか、その点について関係の学者の方々等の意見等につきましても、現在いろいろ研究等の依頼、そういうものを行なっている段階でございます。
  109. 松永忠二

    松永忠二君 お話を聞くと、基準をつくるについてもいろいろ研究している。その廃棄物の精神は、精神は生かさなければできないというし、公害の基本法事業負担の問題についても、これも精神が大事だし、海洋汚染防止も、これは精神を尊重しなければできないということであり、そうなってくると、今後はこの前の陸上処理の場合には、産業廃棄物法案というものが一番当面の法律になるわけだけれども、それによれば国が政令で定める処分の基準によってやらなければいかぬということになる。そうなってくると私はいま現在県が、住民が了解をしておればそれでいいんだということのようなやり方をやっておられるようだけれども、県や国の処理方法が科学的に検討され、安全が確認された、そういうことの後に住民が了解するかしないかという問題であって、住民が了解をすればそれでできるという筋合いのものでは私はないと思う。何か住民さえ了解すれば、あしたにもやろうじゃないかというようなことがいろいろ報道されたりなんかしているけれども、そうではないのだ。今度の公害の各種法案が出てきている実態から考えてみて、この精神を尊重していくということになると、そういうことじゃなくて、国や県が、特に国が科学的な検討をされて、そうしていわゆる安全が確保されるという証明がなされ、そういうことの後に住民が了解に応じていくという筋合いのものであって、住民が了解をすればいいんだということは本末転倒している方法のように考える。もしそういうことが行なわれると言っているとすれば、この点については一体どう考えますか。
  110. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) おっしゃるとおりで、住民の納得を得るためには、もちろんそれを裏づける科学的なデータ、それに先行する調査が必要だと思います。ただ御承知のとおり、現在そのために県といたしましては、富士川原の地下水の調査であるとか、あるいはそれをそこへ永久に放棄する、投棄するわけにはまいらないわけでございますから、そのために吸水効果、それからさらにそれが洪水のおそれ等がございますので、その後二次的にそれをどこで処理するかといったような問題、それとさらに地下水の影響のみならず、さらにそれが海洋に流れ出た場合の魚類に対する影響、こういうものを調べておるわけでございまして、われわれまだ最終的な報告を県のほうからもらって詰めて、それについてそれでけっこうであるということをまだ言っている段階ではございません。しかしそういう調査が先行して、それに基づいて住民の納得も得なければならないし、われわれとしても最終的な態度をきめなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、住民が了解すればそれでいいんだということは私はないと思う。どっちが優先されるかといえば、科学的なことがまず先に行なわれて、当然今後政令によって処分の基準ができるのですから、国のほうもそういう点についての責任はある。そういうふうなことについて、だからそういうような点でやはり本末転倒するやり方をして混迷をしないようにしなきゃいけないと私たちは思うのだから、ただ住民が理解してくれる、了解してくれりゃいいんだ、了解してくれればことしのいつでも手がつける、すぐつけるというような筋合いのものではない。そういうことよりは、先にそういう科学的なものが県にも国にも検討されてこなきゃできない筋合いである。この点については意見が一致したと思う。  そこで、建設省は一体ヘドロ汚染の地下水に対する影響について県の調査は不十分だから調査の方法を指示して再調査をさせる、こういうことが新聞に出ている。いまお話に聞くと、ヘドロ処理についてどうも脱水のやり方に建設省が消極的な意見を持っているということになると、建設省はこの前言ったようなこととは少し違って、積極的に関与をしてそういうふうなことをやっておられるように私たちは思う。これについて新聞紙上ではそういうふうに伝えられているわけです。建設省は県のやった汚染の地下水のあれでは不十分だということで、私はここに当該の県が市町村に与える説明書なるものを持っておりますけれども、これなんかでは全然わかりませんけれども、こういう再調査された事実があるのかどうなのか。これはひとつ建設省のほうから聞かしてもらいたい。
  112. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 富士川の河口でヘドロを処理するという問題につきましては、先月の委員会大臣が答弁をいたしましたとおりでございます。ただ具体的にそういった場合にどういう影響があるかということにつきましては、全般的な処理についてはこれは関係するところが非常にたくさんございますので、公害対策本部を中心にして検討することになりますけれども、直接河川に関係します分につきましては、私どもも相当重大な関心があるわけでございますから、その実験の方法等につきまして、若干指導といいますか、意見を申しております。ただし、まだ詳細な結果については、私どものほうに報告がまいっておりません。全般的には先ほど公害対策本部のほうからお話がありましたとおりの状況でございます。
  113. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、田子の浦ヘドロの富士川河川投棄ついては、公害対策本部並びに建設省は静岡県からどのような要請を受けて、その要請は科学的調査の結果を添えて要請されているのか、この点をひとつ建設省対策本部から。
  114. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) たとえば書面でもって正式に要請があったというところまでは至っておりません。ただし、国と県との間のことでございますから、しばしば電話により、あるいはその他会合を持ちましてお互いに意見を交換をしておる。その間において向こうのほうでいろいろの実験データ、実験の結果について説明を受けておるというような状況でございます。
  115. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 建設省においても同様でございます。
  116. 松永忠二

    松永忠二君 したがって、いま科学的なものを添えて要請をされているという段階ではないし、またそういうふうな態度について決定をしている段階ではない、こう理解してよろしゅうございますか。
  117. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 正式にはまだそういう段階ではございません。
  118. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、私が申し上げたいことはこういうことです。この前運輸省からいろいろ御説明を聞いてみたところが、あそこの田子の浦の港というのは石油の基地としても非常に重要なところである。しかしそれは機能を果たしている。それからまた積み出しておるトン数については五十万トン月あったが、それが五十五万トンで別に機能が落ちておるわけじゃない。問題は、たださっき水産庁のほうにももちろん御質問したように、ヘドロが流出しているという現状、これは決して看過すべき事柄でないとしても、機能としてはそういう状況だということになる。そういうような現状の中で非常に拙速にただものを解決をしていくということはとるべき方法ではない。一度ヘドロの河川投棄ということを認めたということになれば、これが一つの前例となることは事実だ、こういうふうなことを、前例を開くということについては、非常に将来及ぼす影響多いところである。したがって、この問題については慎重にやはり検討すべき問題である。特に直ちに閉鎖をしなければいけない状況でもないのだから、ただ解決をする、すぐ解決しなければいけない、ただそういう拙速的なことをやると、これはいま出てきている公害対策関係法律のいずれにもいわゆるいろいろ関係をする問題であるので、これはやはり慎重に検討しなければいけない、特に建設省あたりもこういう前例をつくるということについては、非常に慎重であるべき筋合いのものだと私は思う。慎重を期するということについての障害としては、ヘドロが流出されて海洋を汚染しているという問題も一つあるけれども、しかし機能としての低下はなされているわけではないし、非常に拙速にものを考えるということになると、こういうことが一つの前例となって、せっかくこうした関連の公害法案をつくっているのにかかわらず、これが非常に簡単に処理されるということになると、非常に後に害を及ぼすことになるので、そういう点は、非常に慎重を期して検討すべき筋合いのものだと思うけれども、これについて公害対策本部と建設省意見を聞いて私の質問を終わります。
  119. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) いまおっしゃいましたような気持ちでわれわれも問題を見ておるわけでございます。それで県のほうはこれだけすったもんだした問題でございますから、何とか早くめどを立てたいという気持ちを持っていると思います。どこも同様な気持ちを持っていると思います。しかし、そのことによってあとに悔いを残すようなことがあってはならないわけでございますから、いろいろ県のデータ等に注文をつけているというところでございます。たとえば吸水効果等についても県はデータを持ってきましたが、もっと大規模な実験をするようにというような注文をわれわれはつけたりいたしておりまして、そういう御趣旨のようなことで、この問題のあとに悔いを残さないような気持ちで取り組んでおるわけでございます。
  120. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 河川といたしましても河川敷をヘドロの処理に使うということは、決して好ましいことではございませんので、基本的には先生の御意見のとおりでございます。
  121. 田中一

    委員長田中一君) 午前の審査はこの程度にし、午後二時まで休憩いたします。    午後一時八分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会   〔理事大和与一君委員長席に着く〕
  122. 大和与一

    ○理事(大和与一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  午前中に引き続き下水道法の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  123. 米田正文

    ○米田正文君 私は今回の下水道法の一部改正の提案は、その内容的に見まして、本格的な下水道の体系を整えるという意味において、私は非常に高く評価をいたしております。特に終末処理のないものは下水道と言わないという点、あるいは流域下水道を新しく法制化するというような点で、私は高く評価をしておるものでございます。最近の経済成長に伴いまして、産業人口の都市集中によりまして、河川等の水質の汚濁が非常にひどくなってきて、全国各地で問題を起こしておるのは御承知のとおりであります。で、この解決をはかるための公害対策としての国民的な世論が非常に激しく持ち上がってきて、今度の国会は公害国会といわれるようになり、そうしてその国会に下水道整備を盛り込んだ下水道法の一部改正案が提案をされましたことを喜ぶものでございます。  ただ本来、下水道整備というものは公害対策という観点からでなくして、元来、都市づくり、都市計画の基本施設でありまして、道路や水道等と同じように都市の基本的な施設であって、その都市の衛生施設として都市発展のために整備していくという本来の目的があります。これが私は基本でなければならない。いま公害だといって騒いでおりますから、公害対策としての役目を当然果たすのはもちろんでありますけれども、私は基本的にはやはり都市の基本的な施設整備するという立場から考えるべきである。一時的な公害対策だけに追われておると下水道全般としての整備がおくれてくるおそれがないとは言えない。またそういう一時的興奮によってやるというようなことは、熱がさめるとまたもとに返る。従来下水が非常に重要だと言われながらも、今日遅々として普及が進んでおらない。世界的に見ても、欧米の各国ほとんどもう一〇〇%に近い下水道整備が行なわれておるのに、日本ではまだりょうりょうたるものです。私は多摩川田園調布に住んでおりますが、私のところすら下水道整備ができておらない、七号線以内程度しか行なわれていない現状でありますから、私はやはり基本的な立場からこれを進めていくという姿勢をまず明確にしておきたいという意味大臣の所見をお願いをいたします。
  124. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま御指摘のとおりでございまして、公害問題が非常にやかましく言われるようになったからというわけでなく、したがって建設省といたしましては、都市計画法において、今度新しく線引をいたしまして、そうして市街地を計画的に整備するという立法措置をしたわけでありまするが、その中にはいわゆる街路、上水道、下水道は必ず整備するということを前提条件考えるわけでございます。しかるところ、最近の公害問題が非常に国民の関心事となり、しかもその中で大気汚染と水の問題が住生活の必須の環境整備条件になってきたので、これがにわかに取り上げられてきた。去年まではこれほどやかましく言わなかった。取り上げて見ると、今度は非常にこれが重要な問題であり、しかも金のかかることだというところに、この対策のいままでのおくれを取り戻すという意識と、それから公害対策との相乗関係において、いまの事業が非常に過小に見られてきたと思うのでございす。  しかしながら過去の経緯を見ますというと、この一、二年ようやく下水に対して各自治体も、住民も関心を持ち、また私も、これは建設行政の、金額としては必ずしも非常に大きいというわけではありませんが、政策的な意味においては最重点を入れて、今度の五カ年計画もつくっております。しかしながら、従来の歴史的な経緯から見て、これを一挙に二十倍、三十倍にするということの困難性も、これはやはりまた関係の方々の御理解を得てやらなきゃならぬと思いまするが、午前中来非常にいろいろ論議になりました事業量及び補助率等もやはり順を追って、そうして意欲的に継続してやらなきゃならないと思いまして、今後とも御指摘の点に十分配慮して進めてまいりたいと思っている次第であります。
  125. 米田正文

    ○米田正文君 それに対応する計画を五カ年計画で今後実施をしていこうという方針は、先ほど松永委員の質問の中でもだいぶ論議され、説明もありましたから、これは私はあまり深く申しませんが、要するに、私は現在の日本の市街化されておる地域の下水道計画というものは全部立てていかなきゃならぬと思うのです。で、先ほどのお話しのように、二兆六千億の計画というものは、それをやっていくには、あまりにも小さ過ぎるということを私も主張をしたいのであります。ただ、国の財政力というような問題も考えなければならぬことですから、それだから出てきた数字であろうと思いますが、できれば、この際二兆六千億という五カ年計画はもっと上げたいと思うんですが、この点についての御見解をお伺いいたします。
  126. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私のほうは、先般も御説明申し上げましたように、経済企画庁が想定した六カ年計画よりも五千億も上回っておるのでございます。   〔理事大和与一君退席、委員長着席〕  予算概算要求の際には、そうしたいわゆる内閣で了解した総ワクをこえて予算概算要求をすることは厳に拒否される従来のいきさつです。しかし、私は事前にこの下水道対策は初めから算定自身が過小である。であるから、これは五十五兆円はそのまま私は認めるとしても、一兆円の予備費の半分はもらわなければならないということを数次にわたって私が主張し、これを受けて大蔵省も概算要求を拒否してはおりません。前向きで考えよう、経済企画庁もそういうふうに理解をしておるわけです。なお、私は、佐藤総理にも、これは実施の過程において五年ないし六年でいわゆる中期の公共総投資額も弾力的に考えてもらわなければならない。日本は計画経済でありませんから、ただ一つの目標としてこういうものを一応いま概定しているけれども、私はその間において相当の弾力的な運用が必要である、こういうことも留保をつけておるのであります。したがいまして、今度五カ年計画が策定されてからも、現実に各地方自治体が非常に意欲的にこの問題に取り組んで、しかも各知事さんたちが流域下水道公共下水道等について具体的な計画を立てて、しかもそれに対する消化力ですか、それも示してくれれば、これは国がいまのところは、そんなことはだめだというわけにはいかないと思うんです。先ほど経済企画庁ですか、公害対策本部、いわゆる公害基本法においてそういうことも一部予想して、むしろそれが一つ下水道事業推進の役を、あの公害基本法に一つの使命を負わしているかのごとき意見を言ったことも、おそらくそうした観点があるのではなかろうか。これは御承知のように、国が計画を立てて、国が地方にこの計画でやれということではなくして、地方自治体の主導性にこれは主たる力点を置いているのであります。したがいまして、地方自治体がそれぞれの立場において計画を立ててくれれば、これを受けて、国がこれに対応する措置を講じていくというたてまえでございまするから、私は今後とも情勢に応じて、さらにこの事業量についても、それから補助対象についてももちろん努力するし、さらには補助率も前向きで進めてまいりたいと思っておる次第であります。
  127. 米田正文

    ○米田正文君 いまの点について、経済企画庁は開発計画の担当者でもあるし、あるいは公害防止の担当者でもありますが、いまの二兆六千億に対しての、五カ年計画に対しての見解といいますか、私はいま過小だと言いましたが、これについての所見をひとつお願いします。
  128. 赤津学

    説明員(赤津学君) 五月一日閣議決定になります新経済社会発展計画の中で、下水道関係の公共投資は、環境衛生関係といたしまして、下水道だけではございませんで、そのほか清掃関係、公園関係というようなものが全部一緒になりまして三兆一千四百億余という金額が計上されまして、これが五十五兆という総ワクの中の一部になっておるわけでございます。したがいまして、計画としては下水道だけの投資総額というのは明示されておらないわけでございまするが、一応、審議の過程におきます試算といたしましては二兆三千億ということでございまして、この下水道整備というのは従来非常に立ちおくれております分野でございますので、早急な整備ということは当然望まれておる分野でございまして、国としても非常な重点を置いて考えなくちゃならないということで、計画でもそういう線に沿って考えておるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、この環境衛生関係全体として投資額が配分されておりますし、それからそのほか公共投資一般のバランスというものもございますので、計画担当の役所といたしましては、そういった公共投資全般のバランスを考えながら、しかし、この非常に立ちおくれております下水道の開発には、前向きに対処すべきであるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  129. 米田正文

    ○米田正文君 まあ経済企画庁としては、経済社会発展計画等もあるんですから、それらからワクをはめられておるというような感じを持たれることはもう当然だと思います。しかし、やはり重点政策というものは毎年毎年変わってくるものですからね、あまり固定的に考えないで、ひとつ経済企画庁としても、これらの計画については私は手直しをしていっていいと思います。そういう心組みでやられるように、帰ったら庁内幹部にもよくお話しを願いたいと思います。  そこで、まあこれも松永委員からありましたから簡単にいたしますが、要するに、これらの事業を五カ年計画ができて推進していきますときには、やはり財源問題が、特に、これは事業主体が市町村あるいは県——都道府県も今度入ってくるわけですけれども市町村という財政力の一番弱いところが実施主体になるわけですから、財政援助を国が極力やっていくというたてまえをとらなければならぬと思うんです。で、いままで長い間、この下水道事業というものはやってきておりますから、まあ非常にこまかにできておりますということは承知をしております。国の補助金あるいは地方公共団体負担金につきましても、起債の問題があり、あるいは起債の償還については交付税で見ていくというように、もういろいろな段階で非常にきめこまかにできておるようでありますから、あまり制度そのものに私は問題ないと思うんですが、いま、要するにそのワクのきめ方、率のきめ方が今日の問題になっておると思います。たとえば、先ほども話がありましたが、下水道計画を持ってくると、それを全部を補助対象にしない。そのうち四割にしたり、あるいは七割五分にしたりするようなことで補助対象を非常にしぼっておるということで、この説明は、松永委員に対する説明を聞いておると、いやそれは国道、県道市町村道の関係のようなぐあいでもありますというような説明をしておりましたが、それも私は一理あると思うが、現実にそうなっておるならいいが、なかなかそうなっておらない。現実にはもうほとんどそれほどの区別がつけられない。もうほとんど末端に至るまで大きいパイプを入れているところが多いんです。ですから、そう国道と市町村道ほどの差はない。それからその区域についても、いま言ったように幹線、準幹線の率は、それの計画量による率できまっておるならいいが、必ずしもそうではない。どうも頭から比率をきめておるというのが私は率直な現状じゃないかと思う。その点を私は改正をしていくべきだと思います、内容的に言いますと。ですから、午前中のお答えのように、県道市町村道との関係のようなものではないと私は思うのです。ですから、もしそうであるならば、それに従うような幹線、準幹線、あるいは枝線と分けて、枝線の分だけは補助対象にするというような区分をしてあるならば、もう私もそれの説明でも納得できると思うが、必ずしもそうでないと思うが、その点どうですか、局長説明でけっこうですが。
  130. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま先生から御指摘のとおり、今日までの下水道事業を進めるうえにおきましての国庫補助事業の扱いにつきましては、しかく明確な補助対象というものが確定されていなかったように私ども存じます。現在の五カ年計画におきましては、午前中申し上げましたように、五四%を補助対象率にするということで今日まで進めてまいっておりますし、しからば、この五四%というのは何の根拠があるのかと言われますと、これも実は明快なそういう積算根拠があって、それがつくられたものじゃございませんで、一に過去の補助の実績と、私ども要求等を調整いたしました結果、財政当局との間できめられました率でございます。こういうことじゃいかぬ。ことに、下水道が今後大いに飛躍しなきゃならぬというような今日の時点におきまして、私どもは新しい計画を発足させるにあたりましては、これまた費用負担関係の政令がまだ未制定でございますので、この機会にそういうものの、国が負担すべき割合というもの、そういうものを明確にこの際いたしたいということで、せっかく努力中でございます。来年度予算編成とからめまして、この点を御指摘のとおり明確にしてまいりたいと、かように存じております。
  131. 米田正文

    ○米田正文君 自治省にお尋ねしますが、いまお聞きのように、五カ年計画が新しく来年から発足をしようとしておるわけですが、これはいままでの五カ年計画に比較をすると、倍以上の規模のものになっておるわけですが、自治省では、これについては起債の量の問題と、それから交付税であと見ようとしておるのですが、そういう見地からこの計画に対して、この程度ならば今後もいままでどおりやっていけるということか、あるいはもう少し大きくなってもやっていけるというのか、その辺承りたいと思います。
  132. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) お尋ねの点につきましては、今後の地方財政状況等との問題ともからむとも思いますので、いま直ちにお答えをいたすのはいかがかと思うのでございますけれども、お話しにございましたように、都市の生活環境の整備、あるいはまた公害対策という見地から、下水道整備は私どもといたしましても、市町村事業としまして、きわめて有効な事業であるというふうに考えておる次第でございまして、下水道整備第三次五カ年計画の策定されます過程におきまして、地方負担分につきましての地方財源の確保につきましては十分努力をいたしたいというふうに考えている次第でございます。とりあえず明年度につきましては、この建設省から出されております国庫補助金とも見合いまして、地方債の大幅な充実強化をはかりたいと考えておりまして、大都市及び中小都市を通じまして、起債の充当方式をもっと合理化したいと考えております。さらに充当率を引き上げていきたいということで、現在大蔵省と折衝いたしておる最中でございます。その額は昭和四十五年度が八百二十一億円ということになっておりますが、明年度、昭和四十六年度は一千二百五十五億円、率にしまして約五割の増ということで、要求いたしておる次第でございまして、今後国庫負担制度の充実とも見合いまして、地方債によります必要な資金量の確保につきましてせっかく努力したい、かように考えておる次第でございます。
  133. 米田正文

    ○米田正文君 自治省に。私もせんだってちょっと調べてみましたが、五割増し要求のあれが出ておったようですが、たいへん下水道等について御理解があるという認識は私どもも持っておるつもりですが、ひとつ重要な事業ですから、さらに一そうの御協力をお願い申しておきます。たとえば福岡市の例をとりますと、このいまやっておる下水道事業費、純然たる市費負担が今年あたり十億円ぐらいです。今後まあそのほかに流域下水道等どうしても整備していかなければならぬということになりますと、かなりな負担が出てくる。十億から二十億、三十億、この四、五年のうちになるようです。これは純然たる市費負担の分だけですよ。それから関係市町村においても、三億か四億ぐらいな年間予算市町村が二億、三億の負担をしなければならぬようになってくるわけです。そういうように非常にこの地方負担というものが大きな額になってきますから、これもけさほど話が出ましたけれども、やはり補助率をいまの補助率よりも上げていく方向で、これは努力をしていく必要があると思っておりますが、その折衝を政府部内においてやっておるかどうか、お伺いをしたいと思うのですが、大蔵省来ておりますか——だから、それは大蔵省とおそらく折衝になると思うのですが、内輪のことを聞いて恐縮ですけれども、ひとつその辺大事な点だから、お答え願いたい。
  134. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 来年度の下水道関係予算要求につきましては、私ども考え方でございますけれども大臣からたびたび御答弁も申し上げておりますように、来年は新五カ年計画の初年度というふうなことで、来年度の予算考え方が五カ年に通ずるわけでございます。私ども下水道事業を伸ばしますために、補助率アップもきわめてこれは大事なことではございますが、当面適正な補助対象補助対象率を確保するというところに重点を置きまして、従前の補助対象割合に対しまして、かなり広げました補助対象割合要求をいたしております。またこれは自治省の関係になりますが、公共団体の裏負担に関連しますところの起債につきましても、起債の充当率のアップというようなことをかなり強く自治省方面からも財政当局のほうに要求をいたしておるような次第でございます。私ども考え方でいきますと、大体各都市下水道事業を行なっていく上におきまして、いわゆる幹線、準幹線、それから処理場も含みますが、こういうものをカバーできるような補助対象事業として採択ができる。したがいまして、残るものはいわゆる枝線というようなものがいわゆる単独事業として考えられる事業として行なわれるというような姿になろうかと思います。これが実現できますならば、下水道事業はかなり従来に増して円滑に遂行できるというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  135. 米田正文

    ○米田正文君 大蔵省どうですか。
  136. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) お答え申し上げます。  下水道事業につきましては、従来からその促進に努力してまいったところでございまして、特に四十五年度予算についても重点の事項として一般公共の伸びを上回る伸び率予算措置を講じてまいったわけでございます。今回要求されております第三次五カ年下水道整備計画につきましても、下水道整備の緊要性ということを考えまして十分検討したい、そういうことで作業を進めておるところでございます。ただいまの補助率の問題、補助対象の拡大という点につきましては、現在の負担割合を続けましても、その事業量が拡大すればそれに伴って国費負担がふえる、こういうことからみまして、その他の財政需要の充足という点からいろいろ問題がございます。また、下水道整備を進めるにあたって企業者負担とか、受益者負担金というようなものを取ってまいりますれば、地方負担もそれだけの減軽がはかられるというような点もございますので、そういう制度面の変更については現在の財政状況のもとでいろいろ困難な面があると、こう考えておりますが、その五カ年計画、それに合わせて現在検討を進めておるわけでございます。
  137. 米田正文

    ○米田正文君 まあ概括的に言っていまの補助率の問題あるいは起債の充当率の問題、まあ最後は交付税の問題、ひとつこれらについて現行の率よりもそれを地方負担を軽減するような方向でぜひ政府の内部においても力を合わせてひとつ努力をお願いいたしておきます。いずれ政令でこれらの率、いまの補助率等はきめることになるわけでしょう。まだきまっておらぬようですが、政令が整備しておらぬようですけれども、いずれ近くは今度の少なくとも五カ年計画は最終決定をするまでには、それらの問題も方針を確定して私は早く政令を出すべきであると思います。御参考に申し上げておきます。  時間がないからもう急ぎまして、次は、下水道事業の今後の技術開発に関する問題ですが、これから特に終末処理をやっていくということになりますと、そこには私は研究しなければならぬ問題がたくさん出てきていると思います。いまやっている終末処理は、昔のもうおそらくあれができてから百年ぐらいたっておる方式だと思います。百年一日のごとく同じ方式をやっている。活性汚泥法という方法を使っている。これが一番いいのだというので、世界各国もそういう方式を使っておるようですが、私は今日の状態、社会情勢の進展に伴って見ると、あの処理方式というものはもう今日あまり適当でないと思うのです。もっと急速に短時間に浄化、浄水できるような方法を開発すべきだと思うのです。そういう開発の方法がないかというと、決してそうではないと思うのです。私はあると思うのですが、そういう技術開発についてのいま御抱負があるならばお伺いをいたしたいと思います。
  138. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおり、下水道整備には人的の要素と、それから技術開発の二つの面がいま緊急の問題だと思っております。それで実は数カ月前、これは下水道ばかりではございませんで、建設に関する技術開発懇談会を、目下これは学界、それから建設省の技術関係全部、それから業界、こういう方面の相当の権威ある人々の会合をいま設けて、その研究の第一歩を進めておる次第です。やがてこれは部会をたくさん設けまして、いずれも特殊法人かあるいは財団のようなものを設けまして、本格的に人材養成と技術開発をやらなければいかないと思っております。ただ、現在のところ若干の構想をいまの水処理工業関係でやっておるようですが、これはいいというものはまだ出てないということを私も遺憾に存じてます。その意味で今度五カ年計画が出た後には、この技術開発の面についても、相当これは意欲的にこれから進めなきゃならないと思っておる次第でございます。
  139. 米田正文

    ○米田正文君 長い間活性汚泥法だけを使ってきておりますけれども、今日の下水の内容が非常に変わってきた。化学処理をしなきゃならぬようなものが出てきたわけですから、バクテリアにゴミを吸わせて沈澱させるというプリンシプルのものは古いと思うんです。しかも、あれは寒くなるとバクテリアは弱りまして、きょうぐらいの寒さになると、あまり活発に活動せぬのですよ。同じ量の下水を流しても下水処理が時間が非常にかかるんです。そういうものですから、私は化学処理をする終末処理というものをもうこの際やるべきである。思い切ってひとつ改善をしてもらいたいと思います。いまそういう問題いろいろ出ておるようですし、田子の浦の問題から、民間の中においても、そういう研究を非常に盛んにいろいろな研究所でやっております。その中に下水処理に使っていい方法がだいぶあるように思います。ひとつ御参考にしてぜひそういう改善を行なって、下水処理を迅速に確実にやる方法をお考え置き願いたいと思います。  で、これも私途中で中座したから、あるいは松永委員質問したかもしれませんけれども、私は松永委員と質問がダブらぬように、ダブらぬように考えて質問しておるんですけれども終末処理場の最後に残っておる残滓汚泥があるわけですね。あれを私どもの知っておる範囲においては、まあ昔はあれを海洋投棄するようなのが大体常識的だったようにも思いますが、いまだいぶ進んだんですから焼却をしておるところもあるかもしれませんが、これからいろいろ海洋投棄の規制も行なわれるしいたしますが、これから埋め立て用だとか、あるいは肥料に使うとか、いろいろの方法もあるようですから、それらの面の研究とあわせて今後の処分方法について、私はこの際画期的な、金はかかってもしかたがないと思うんです。いままでは金がかからぬように、かからぬようにという方法をやったんですけれども、私は金がかかっても一番いいのはやはり焼却をして燃やしてしまう、金がかかるんですけれども、そう思うんですけれども、いかがですか。
  140. 久保赳

    説明員(久保赳君) 下水の汚泥の処理、処分の問題でございますが、環境基準がきまり、処理も現在より一そうの高度の浄化が要求されている状況でございますので、そうなりますと、汚泥の発生量が現在よりもさらにさらにふえてくる状況でございます。したがいまして、私どものほうでも、このたびの第二次五カ年計画並びに第三次五カ年計画の中で、下水処理の技術開発と合わせまして、汚泥の処理処分の方法について調査を進めているところでございます。米田先生御指摘のように、焼却の方法も特に大都市地域におきましては、有力な方法でございます。さらに中小都市におきましては、やはり下水の汚泥そのものを土壌改良材として使われる方法も調査を進めておりまして、それらの方法を総合的にその地理的な条件に合わせて、いかにすれば安く、しかも最も合理的に処理できるかということについて調査を進めている段階でございまして、それをさらに第三次五カ年計画の中で、強力に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  141. 米田正文

    ○米田正文君 最後に、お聞きをいたしたいのは、今度の、来年から新しい五カ年計画が発足をするといたしますと、特に、流域下水道の問題ですが、この下水道管理体制が実は非常に弱いと申しましょうか、各府県について申しましても非常に弱い。各県でこれから流域下水道をやっていくとなると、相当の人が、しかも高級な技術者も必要になってくると思うのです。現在は各府県を見ましても、下水係というのは一人ぐらいです。それも下水だけ専門でなくて、区画整理もやれば、ほかのこともやるというようなところが府県では非常に多いのです。非常に弱い。ですから、流域下水道をこれから受け持ってやるということになりますと、それに非常に拡充していかなければならないと思います。各県ともそういう準備をしているのでありますが、これにはやはりさっそく人員の問題が伴い、経費の問題が伴ってまいりますが、これについて建設省ではどういうふうにお考えかお伺いをしたいと思います。
  142. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおりでございまして、従来の下水道事業からすれば、画期的な大事業をやるにしても、現在都市局に下水道課があるだけです。各県も非常に体制が弱い。市町村に至ってはほとんど皆無と言ってもいいくらいの状況でございまして、現在下水道関係の人的資源と申しますか、これだけ見ましても、まことにりょうりょうたるものでございます。しかも、大学その他教育機関においても、これの人材養成機関がないという非常にこれはさびしい状況でございます。それで建設省としましては、行政機構の縮小の時代であるけれども、こういう時代であるから、都市局に下水道部を設ける。そうして、さらに都道府県においても流域下水道をやらなければならぬようになる地方自治体では、ぜひと課は設けてもらいたい。市町村においても、しっかりした係長クラスの者は置いてもらいたい。そのためににわかづくりでありますけれども、いろいろの講習会とか、いろいろそういうものをやるなり、あるいは人的プールをつくって、大都市周辺では機動的にお互いに応援し合うというようなことまでこれはやらなければならぬのじゃないかと、それは考えている次第であります。基本的にはこれはかなりの、少なくても長期というか、中期の人材養成訓練計画を立てて、これは進めてまいりたい。一方においては、下水道の専門的なコンサルタントのこれは養成もはかり、それからまた民間企業における技術開発も進めていく。ある程度きましたならば、コンサルタントあるいは下水道事業をやる者の格づけをしてやっていかないと、せっかく金かけてやったけれどもその効果がなかった。特に、現在のように非常に悪質の廃棄物が出るようになりますと、下水道で安全だと思ったところが、あとになってみたら、それが実質上逆に第二公害が出てくるということになりますと、これは非常に危険なので、そうした点も配慮しながら整備を進めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  143. 米田正文

    ○米田正文君 昭和六十年までには十五兆円の下水道事業費が必要、だというお話もありました。いまの五カ年計画では二兆六千億、これは口で簡単に言いますが、たいへんな事業量、全国にまたがっての大事業ですから、いまの市町村職員、担当者の強化というのは私は当面の問題だと思うのです。で、いま建設省下水道課があるだけで、下水道課でこれからこれだけの大事業をやっていくということはとても無理だ。下水道部をこしらえるというような話ですが、私はもう下水道局でいいじゃないかと。ほかの事業に比べてみて、これだけの事業を行なうし、しかもこの事業は非常にこまかく分かれて全国に配分をされておる。それを一々指導監督もしていく、世話もするということになるとたいへんな事業ですから、将来はひとつ下水道局くらいなつもりでお願いをしたい。それから各都道府県には、関係のところには下水道課、少なくとも下水道課を設けるように指導していただきたい。市町村にも同じく、当該市町村に対して下水道課を置くというように指導をしていただきたい。そうしていますぐに人材を確保することがむずかしいというお話もありましたが、たいへんむずかしいのです。むずかしいのですが、幸いに大都市では相当人材をかかえておりますから、それらから割愛をして、また、そこは新しい者を補充していくというような方法をとらざるを得ないのではないかと思います。そういうことも必要ですが、それをやるにはまた簡単にいかないのは、おれは県庁の役人ならするけれども市町村の役人にはならぬという者もあるわけですから、その辺の身分の関係をよく下水道要員については研究をしてもらって、そういう下級官庁に行くというような感じでなく行けるような方法を考えていただきたい。そうしないと、なかなか私はこの問題は解決せぬじゃないかという気がいたしますので、特に、その点をお願いを申し上げておきたいと思うのです。  質問を終わります。
  144. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、下水道法の一部改正案につきまして若干質問をしたいと思いますが、午前中から質疑が続けられております。したがって、重複を避けながらお伺いをしたいと思うわけであります。  最初に大臣にお伺いしたいのですが、ことしの七月三十日付で都市計画中央審議会にあてて下水道部会の報告書が出ております。御存じのとおりだと思います。この内容を見ますと、非常に前向きないわゆる危機感を持った報告を評価の中に掲げております。その内容を見ますとこういうようになっておりますね。『さらに、過去十年間のわが国経済の驚異的な高度成長は、量においても、また質においても、従来みられなかったような急速かつ深刻な河川等公共用水域水質汚濁を広域的にもたらした。その結果わが国の多くの河川は、いわゆる「死んだ河」になりつつあり、』と、このように非常にきびしい評価をし、結論めいたところでは、六ぺ−ジでございますけれども、『一九七〇年代の日本は、いわゆる「豊かな社会」が公害の中に破滅してゆくか、あるいは真に人間性豊かな社会へ向う基礎になりうるかの分岐点にさしかっているといわざるをえないであろう。損われた環境の回復は、日を重ねるごとにその経費を倍加するものであり、今にしてその回復策を講じないならば、われわれは多額の負担を後世に転嫁することとなろう。』、いま当面やらなければならない問題と、こういう緊迫感をもってこれらを含めた八項目の報告が出ております。いずれも提言になっております。こういう下水道事業の現況、それからまたいま日本がかかえております公害その他重要な問題、そういうことを踏まえて、この報告書をとらえて大臣は今後下水道事業いうものについて、どういう方策を持ってお臨みになろうとしているのか。先ほど来の質疑によりますと、ちらりほらりとこの中に書かれていることが大臣の口から出ておりますけれども、その点を含めてまず大臣見解をお伺いしたい。
  145. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおり、この文書は私に対して出たものでありますから、私も十分にこれは真剣に取り組んでみたのです。その結果が、御承知のように先般来何回も申し上げるように、総投資額五十五兆円のうちの、しかもその下水道ばかりでなく、いろいろな環境の対策がわずか三兆二千億そこそこ、これを相当大幅に下水道に取ったにしても、五カ年計画に振り当てれば二兆一千億程度、これははなはだ認識不足じゃないかということを実は数回にわたって私は閣議で発言したわけなんです。そうして、この五十五兆円というものをもう少し私は考え直す必要がありはしないか。特に、空気もさることながら、空気はわりあいに動いて、風が来たり、台風が来たりすれば流されてしまいますけれども、一たん水が汚濁されて、そうしてそれに一般の人が悪く習慣づけられると、全くこれは死の水になるわけだ。それゆえに実はことしの特別国会の当初に衆議院指摘されましたが、河川法二十八条、二十九条の政令までこれができない。これが要するに産業官庁、農業官庁その他がいわゆる縦割りのセクショナリズムのために、何か事業を保護することが第一優先なるがゆえにこれできなかった。けれどもこれは私は相当強く申し入れまして、いまの水質基準をきめて、その水域に指定されたものだけがいままでは水質をよくするということになると、それの指定されないところは何ぼでもよごしてもいいということになるのじゃないか、はなはだこれはおかしい、どんなあれがあっても、私は、これは総理の御指示のもとに政令をまずつくらなければならないというところに、最初にこれは踏み切らせましたので、これからは水は原則として、よごした者は、いかなる理由があろうとも、それは罰則の対象にするのだ、処罰の対象にするのだという、こういうまず前提をつくる。それから下水道に関するところの投資は思い切ってこれはやるべきだ。その意味で、ここにも出ておりまするが、特に下水道については建設公債を出してもいいのじゃないか、これは前向きにやったほうが究極においてこれは経済的であるというところまで提言は実はいたしております。しかしながら、財政当局はなかなかたとえ建設的なものであろうとも、公債についてはまだなかなか承諾しておりません。しかし、私はいま国で下水道建設公債を出すということについていろいろ問題があろうとも、少なくとも、先ほど来松永さんその他の方々からいろいろ指摘されたように、今度は知事に相当の権限を与えておるわけでして、そうするとこれを消化するためには、私、衆議院の段階で実はお答えしたのですが、公明党の小川さんから提言されたことに関連して私がお答えしたのは、地方自治体下水道事業、特に流域下水道等をやる場合には、地方公社みたいなものを認めていいんじゃないか、そうしてその地方自治体事業債を発行すべきだ、こういうような前向きの姿勢でいくことが一つ政治的な課題として取り上げてよかろうということを実は申し上げたのであります。これは五カ年計画が策定されてから後、どうこれを具体的に財政上もカバーしていくかという場合に、これは自治省とも協議し、さらに大蔵省とも協議をして、何かそういうふうなことをしていかないと、先ほど松永さんから指摘されたように、公害基本法ができた、条文には非常に明確に出ておるけれども、それを裏づけする地方自治体にも、国にも財政の裏づけがなければ、たとえ五カ年計画ができたとしても、非常にこれは現実から見れば小さなものになり、しかも、これは非常にあとからあとからと追っかけていくために、将来に対して非常な大きな負担を究極において国民にかけるということになると思います。そういう意味で、これはいまからあまり大きい声で言うと、今度はとても四十六年度予算編成ができないということになってしまう、これまた過度の要求した結果がかえって逆になるということも現実政治情勢ではあり得るのですから、まず、私は現在は少なくとも第五次五カ年計画財政当局をして認めさせる、補助対象を認めさせる、それから政令をつくりまして明確に今度は国、地方自治体——市町村負担区分を明確化する。これをまず確約して、しかる後に私は新たなる財源措置あるいは負担を軽減してやるための国庫補助率の上昇、こういうふうな一応建設省としての作戦を立てていかなければ、ただ、わあわあ騒いでもこれはなかなかむずかしい。さらに米田さんの御指摘なさったように、実は私どものほうで一番心配しておりますのは人間です。これだけの事業量を一挙にやるということになりますと、実際に局をつくるといっても局長はあり得るけれども、そのスタッフが今度は各大都市から連れてくるのにたちどころに困ってしまう。今度はこういう事業になりますと、たとえば東京都みたいなところになりますとたいへんな事業になる。私が一応構想しているいまの隅田川流域を、あそこを流域下水道をつくって一応少なくとも少し魚が住める程度にするには一千億くらいかかる。しかもこれは十年かかっていけるかどうかという。現実問題としてあそこが汚染される。多摩川流域しかり、淀川流域しかり。こうなりますと、事業量だけ拡大しても実はこれは消化しきれないというものが出てきている。それで大学の学部を見ましても下水道なんかやっているところはないのですね。そうして一方においては、非常に悪質廃棄物が出てくるということ、これもあるわけです。それにいまのバクテリアのような汚泥処理では追いつかない。非常にその点であせりを感じているくらいです。そこで私は、とてもこれは建設省の土研——土木研究所ではこれはいかないというので実は各大学のこれに関連した教授の方々、それから業者、これらの人々といま緊急に技術開発と人材養成をひとつやろうじゃないか、そうでなければたとえ予算ができましても、これはかっこうだけつくってしまいまして、そうして処理したことにして現実実質上の処理がないとなると第二公害を起こす、予算のむだ使いになるということで、いま技監を中心に、そうしてまたこういう技術開発の点では久保課長が一応日本では最高の権威者になっておるものですから何としても人材養成、これをやれということで、これは全くのどろなわ式です。やむを得ません。これは白状いたします。しかしながらこれは五カ年計画をやっている間にとにかく充実してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣の将来に対する構想と泣きどころとあわせてお伺いをしたわけでありますけれども、そういう前向きの答弁を伺って過去を振り返ってみるということは非常によくないことですけれども、一応しかし実績というものを振り返って踏まえていかなければならぬと思うのですが、これはすでにありましたけれども、現在四十二年六月の下水道整備緊急措置法によりましていわゆる第二次計画、それの四年目に当たっているわけです。この四年目を迎えた本年度末で、これは先ほど伺ったかもわかりませんが、事業別の進捗状況をまず伺っておきたいと思います。
  147. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの件につきましては、まず公共下水道で申し上げますと六九・一%、流域下水道では六一・三%、都市下水道では六一・三%、特別都市下水道では九四・七%、全体で六八・四%の進捗率でございます。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまお伺いしましたのは、いわば事業別といいますか、事業費別の進捗状況でありますが、これはまた別途、いわゆる計画事業量に対して進捗状況はどうなのか、金じゃなくて量の問題、これはどうでしょう。
  149. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 量のほうで申し上げますと、公共下水道で申し上げますが、管渠の延長でまいりますと五九・三%、流域下水道では管渠延長では六三・八%、都市下水道では同じく管渠延長で五七・三%、特別都市下水道同じく八〇・〇%、こういうぐあいになっております。
  150. 二宮文造

    ○二宮文造君 何ですって。公共下水道では管渠の延長で何%とおっしゃいました。
  151. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 五九・三%。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 私の手元にいただいている排水面積に対する事業量の進捗状況はどうでしょうか、公共下水道の問題ですが。
  153. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 公共下水道排水面積につきましては四〇・五%でございます。
  154. 二宮文造

    ○二宮文造君 いろいろな数字の立て方があるわけですけれども、当面先ほど説明がありました合計で六八・四%というのは事業費のこなしでありまして、問題はやっぱりどれだけ進捗したかということのほんとうの姿は事業量の中から判断をしなければならない。特に公共下水道の場合は排水面積が四〇・五%、来年一年を残すのみになってまだ半数にも満たない、こういうふうな事業量の進捗状況であった。これをわれわれはやっぱりこれからの下水道事業というものを見ていく場合に、この実績というものは踏まえなきゃならぬと思うのです。  それで、急遽問題が先へ飛びますけれども、今度法律改正があるわけでございますが、御承知のように下水道法の三十四条、先ほど国庫補助の政令の問題で議論がありましたけれども三十三年の四月に本法が制定されて、その制定されたときに明確に三十四条では、「国は、公共下水道又は都市下水路の設置若しくは改築又は災害の復旧を行なう地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、……費用の一部を補助することができる。」と、三十三年の四月制定時分に政令をきめると、こう言っておきながら、先ほど同僚議員の質疑を伺っておりますと、おそらく今度の場合に、第三次計画ができるとともに政令もきめるんだろう。この辺であと政府のほうへまかしたような質問で終わっておりますが、これは今度の施行にあたりまして政令はちゃんと用意をされますか、この点どうです。
  155. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 五カ年計画が決定しますれば、それと同時に政令はつくるという決意で現在事務当局並びに関係省と連絡さしております。どうも御指摘のように三十三年にできた下水道法の政令ができてない。これはまた先ほども申し上げましたように河川法ができてからこれまた政令がことしの春までにできていなかった。そういうところに私はいろいろの事情があったにしろ、これは相すまなかったということで、いろいろの障害がありましたけれども河川法のもつくりまして、今度は大体できるだろうと思いますが……。
  156. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) はい、できます。
  157. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは、そう言明しておりますからやらせるように私も腹をきめております。
  158. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、国家的事業だとうたわれているこの公共下水道の問題その他下水道の問題で、国のいわゆる負担区分がはっきりしないということはまことに不可解な模様だったと思います。  そこで、衆議院段階で附帯決議がつけられました。この附帯決議は、この政令をきめます場合の有力なよるべきところになるんだろうと思うんですが、予算の折衝の問題だとか、何だとかいろいろな技術的な問題もあろうかと思いますが、この附帯決議の第一項の大幅に引き上げるという附帯決議の方向には大臣の感触はどうですか。
  159. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 正直なところ、現在の財政当局と折衝の過程では非常にこれはむずかしいです。したがいまして、私のほうではこれは要求していないです。現在の概算要求には補助率アップ要求しておりません。しかし、これは若干時間かかってもこれは次の段階でこれを上げたい、こう思っております。
  160. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、来年の予算要求は現行の公共下水道は十分の四、それから流域下水道については十分の五、それから都市下水道は三分の一、これはこのまま折衝のよるべきところとする、こういうことでございますか。
  161. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) さようでございます。現在のところその状況でございます。
  162. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、将来の努力目標で、この附帯決議に対する衆議院段階での大臣の答弁を伺ってないんですが、大体その趣旨に沿って努力いたしますということだろうと思いますが、将来の問題として残っておりますか。
  163. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) はい、そのとおりです。
  164. 二宮文造

    ○二宮文造君 同じくすでに質疑がありましたけれども補助対象の範囲、これはどうでしょうか。やはり従来の線のまま、先ほど何かちょっと局長のお話によりますと、従来より幅を広げるようなお話で、五四%から六〇%に広げる。この対象の範囲というものは、これはやはり省令かなんかで明確にされるのでしょうか。
  165. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そのとおりです。これは附帯決議はすべて全部ということになっておりますけれども、これはちょっとむずかしいので、先ほど都市局長から御説明した程度のまず範囲の拡大をはかっていく。それからだんだんとやっぱり年次計画ができませんと、非常に初めから決裂するようなことではいかないので、若干、要望からすれば手ぬるいとも思われるかもしらんけれども、全体の量それ自身が非常に画期的なものでございまするので、私としてはこの程度でいま折衝しておる段階でございます。
  166. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは、事務当局でけっこうですが、対象範囲というものを明文で何か示したものがありますか、補助対象範囲というものを、もしあればあると、なければそれを明確にされる予定があるかどうか。
  167. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘の点は、現在は予算補助でもってやっておりますので、私どものほうと大蔵当局との間の話し合いで毎年毎年予算考え方を定めまして、それで実施いたしておりますので、おっしゃるように、明文でそういうものを規定したものがございません。しかしながら、先刻来申し上げておりますように、今回の五カ年計画策定にあたりましては、法律にも、そういうふうなことを明らかにしろということに規定されておりますので、法令上にその点は明らかにしてまいりたい。かように考えております。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 法令上に明らかにする。これはやはり明らかにしておかないと、市町村事業を進める場合に、計算の基礎が出ませんね。ですから、これはちょっと明確にしていただかなきゃならぬ思います。  それからあとは起債の問題がありますが、これはお話がありましたから伏せて、いただいた資料で見ておりますと、市町村の維持管理費、これが非常にばく大な金額になっているように私記憶があるんですが、たしか、これはいただいた資料で、四十三年で見ますと、使用料が百五十七億、それから今度、一方維持管理費が二百四十七億、こうなりますと、この市町村下水道事業の維持管理ということに、相当にこれまたばく大な財政負担というものをやっておりますが、この点につての感覚はどうでしょうか。
  169. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘のとおり、下水道維持管理費がかなり多額の経費を必要といたします。私ども考え方としましては、下水道につきましては、これは準公営企業というふうな考え方でもって、各市町村事業を実施いたしてもらっておるわけでございますが、使用料というものを法律上も徴収できることになっております。したがいまして、少なくとも維持管理程度はまかなう程度の使用料を徴収すべきであるというようなことで、各市町村の指導に当たっておる状況でございます。しかしながら、御指摘のように、現状は必ずしも維持管理費まで至らないような使用料しか取ってない都市が多いわけでございます。今後下水道事業を大いに伸ばしていくという上からいきまして、やはり維持管理をやる責任の立場におきまして、少なくとも使用料というものにつきましては、それに見合ったようなものを適正なものとして取っていくという体制をとられることを強く私ども期待をいたしておるわけであります。
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、維持管理費、それからまた起債の償還もかさんできますが、そういうものについての国庫の手当てというものは考えてない、考えられない、それらは使用料等でカバーしてもらいたい、こういうような御意見ですか。
  171. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘のとおりでございます。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでけさほど来ずいぶん将来に向かっての方針を伺いました。たとえば、新経済社会発展計画昭和五十年度までに、たしか二兆六千億ですか、それだけの計画をしていくと。その場合に、排水面積——いわゆる市街地の市街地面積といいますか、要整備面積といいますか、その要整備面積と排水面積、これとの比率はどれぐらいになりましょうか。
  173. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 三八%という目標でやっております。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、新全総によりますと、昭和六十年までには全市街地を一万二千五百平方キロ、こう計算をして、一〇〇%排水面積に仕上げていきたいと、こういうような構想のようでありますけれども昭和三十三年から四十五年度までに、いただいた資料によりますと、要整備面積に対する排水面積が二二・八%、それから今度はまあ前向きの姿勢をとって、これからの六年間のいわば計画というのが、八千四百九十に対して三千二十、三八%、あと十年間に六二%ですね。しかも、まあ比率にすれば六二%ですが、市街地面積にしますと、これがまた五割伸びておりますから、相当な財政を見合い、また事業を見合わなければ、これが可能になりませんですがね。まあ計画は大きいほどけっこうです。ですけれども、私どもこう見ておりますと、なるほど先に将来を見渡した計画はまことに青写真りっぱですけれども、現状からこう一歩一歩積み上げていきますと、それがはたして実現が可能なのかどうか、こういう不安が出てきます。現にその一次計画にしても二次計画にしても——まあ一次計画はあれとして二次計画にしても、四年目で改定をして三次に送り込んでいく、こういうふうなやり方をしておりますが、もっと現状に即した策定というものができぬものでしょうか。私、いろいろ数字をこう出してもらいまして、この表で見る限りにおいて、絶対実現不可能だ、こう断ぜざるを得ないんですがね。もっと計画策定というものは、現状に根ざしたようなものから積み上げていくような姿勢がとれぬものでしょうか。
  175. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはいままでの実績から類推すれば、そういうような結論になると思います。ただ、私もかつて道路五カ年計画道路特別会計を設けるとき、初めてこれをやるときには非常に抵抗が強かったのです。それで五カ年計画で、一兆円で特別会計を発足しました。実質は九千億です。ところが、翌年すぐにこれを改定しちゃったのです。それから御承知のように今日まで六次になっているのです。あれからわずか十二年間で五カ年計画が六次までいっていますから、平均すると二年で一回、こうきている。しかも、伸び率がぐうっといったのは、国会の与野党通じて、道路政策はこれは特別に推進しなきゃならぬということと、それから各地方自治体、国民もこれを納得されたためにここまできたものと思うのです。そういう意味から、私は先ほど、公害基本法を立案した公害対策本部も、公害基本法でかなり、実はいまの立場からすれば、はなはだあやしいと思われるような条項も入れておるというようなことは、これを促進させるのだという意味が含まれておるという気持ちも私はわかるのです。私は今後日本の公共事業のうちで最も議論になり、かつ伸び率を急速に上げなきゃならぬのは下水道だと思っております。そういう意味において、はなはだ、何といいますか、政治的な発言になりまするが、現在においては確かに二宮さんがいま御指摘のように、いまのこのままの伸び率でいったならば、もうたいへんな、これは現実と遊離したものじゃないかと言われる気持ちはわかりますけれども、私はやはりこういう国家予算というものも、国民的な支持と合意がありますれば、かなり飛躍的にいける。また、そういう伏線をわれわれは持っていかないといけないと思いまして、これは御指摘に対してことばを返すことはできないくらい、私もこれは小さいなとは自分では思っていますけれども、ただし、これをあんまり大きなものを出して、しからばそれが実現するかというと、これは諸般の事情でなかなかそうはいかないという判断のもとに、漸次私はこれは広げていきたいと思っている次第でございます。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、せっかくの答弁ですが、重ねて、わざわざそろばんを入れましたから、そろばん入れたものを申し上げてみますと、いわゆる建設省の国土建設の長期構想案、それから昭和六十年までに全市街地に下水道を完備する、こういう目標を実現するために、十五兆円ですか、こうされて第三次計画建設省案のまま進行した、こう仮定をしてそろばんを入れてみますと、第一次計画における昭和四十年から四十一年度の事業費の総額が一千八百四十九億八千七百万円、それから第二次計画における昭和四十二年から四十五年の事業費の総額が六千百五十五億八千五百万円、それに第三次計画事業費総額二兆六千億、足して、合計が三兆四千五億七千二百万円とこうなるわけです。そうしますと、残りの五十年から六十年までの十年間に下水道関係費として十一兆六千億円を投資しなければならない。しかも、これが物価の変動なんかを考えますと、これはもうこれ以上にやってまいりまして、最初の十年間が約三兆四千億円、その次の十年間に十二兆円になんなんとする——現在の価格でですよ、十二兆円になんなんとするようなそういう計画がはたしていいだろうか。現状の問題として、膨大な予算要求をしても、それは実現不可能だからという姿勢はわかりますけれども、それならそれで何か財源の当てとか、当て込みとかなんとかを考慮しながらやっていく。そういう伏線がなければ、私はこの計画はもう計画策定の当初において実現不可能じゃないかと、こういうふうに感ずるわけです。
  177. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) その御指摘は私もよくわかります。そこで私はここの、都市計画中央審議会が出されたごとくに、抜本的にはやはりこれは公債の発行、あるいは地方債に対する利用債等、何かそうしたものをやらなければ、これは一般会計から取ろうとしてもなかなかむずかしいと思うんです。ちょうど道路特別会計を設けたときにガソリン税が非常に大きなあれになり、今度まだいまきまっておりませんけれども、そのほかに自動車税という新税を裏づけするというようなことをしないとできないと同じだと思います。しかし私は、これは将来そうなるものと思うし、そうしなきゃならぬと私は考えております。しかしながら、いまこの問題を取り上げても、現実政治の具体的な解答として出てこないものだから、まず長期見通しと、それから第一発を進めていく。そうして一、二年やれば必ずこれじゃだめだということが私はわかると思う。はなはだこういうことを言うと、何だおまえは破れかぶれじゃないかと言われると、実は私にとってはほんとうは不満です。しかしながら、全体のいまの国家財政のたてまえからするならば、私だけがかってなことを言うわけにもいきませんから、まずひとつ腰だめでここまでいって、次の段階には私は、利用債あるいは建設公債を下水道については特別にこれは国民の声のもとにやるというところまでいかなければ、解決できないんじゃないかと思うんです。また、そこまでいかなければ、現在の日本の高度成長などと言っておっても、人間生活そのものが非常な不幸な環境と不快な状況でそれはできないということになりますと、公債の発行ということまで私は、やはり財政当局考えざるを得なくなる。こう実は腹づもりでいま若干隠忍自重しながらがんばっておるという状況でございます。
  178. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま大臣のおっしゃった下水道建設公債云々の構想については、私どももまた若干の変わった考え方を持っております。これはこれで、しかし要するに、何らかのそういうふうな具体的な裏づけというものを持たない限り、とてもじゃない、この事業は実現が困難だ、こういう現況にあることだけは私も承知しておりますし、また、その面で努力していただきたいと、こう思うわけです。  問題を変えまして、いま四十五年十二月一日現在でもけっこうですが、全国の市町村の数と、それからそのうち公共下水道事業を行なっておる市町村の数と、これを御説明願いたい。
  179. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 全国の市町村の数は約三千三百程度かと承知しております。うち公共下水道事業を、私どもで認可いたしております都市が二百五十五都市でございます。
  180. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、その公共下水道事業をやっている地方団体で受益者負担金の制度をとっているといいますか、まだそれは徴収するしないは別として、とっているといいますか、その市町村の数は幾らですか。
  181. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 受益者負担制度をいわゆる採用いたしておりますところの都市が百六十七都市でございます。
  182. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは先ほどもありましたけれども事業費の三分の一ないし五分の一、この負担金制度をとっているわけですね。建設省としては、そういう負担金制度、その地域の財政事情によって、そういう違いがあることは承知しますけれども、その地方地方によって、受益者負担金のいわば率ですね、それが違うということは好ましいことでしょうか、好ましくないことでしょうか。
  183. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 実は、この受益者負担制度につきましては、いろいろ私どもなりに研究を長い間重ねてきました結果、こういう制度の採用を推進をいたしておるわけでございますけれども、その際に負担金の率を画一にするかどうかという議論もあったかと思いますが、やはり各都市地方財政状況等ともございまして、これを画一的にすることは適当じゃないということから、大体のところ三分の一ないし五分の一というふうなところが負担金の割り当ての妥当な線じゃなかろうかということにいたしております。したがいまして、各都市はそういうものを参考にいたしまして、都市都市財政状況等もございますし、住民意識等の関係もございますので、これは自主的に判断されまして条例でもって制定し徴収している、こういう状況に相なっております。
  184. 二宮文造

    ○二宮文造君 六大都市はとっておりましょうか、とっていないでしょうか。
  185. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 大都市につきましては、北九州がたしか採用いたしております以外は負担金制度はとっておりません。
  186. 二宮文造

    ○二宮文造君 なぜとらないんでしょうか。
  187. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これにつきましてはいろいろ言われておるわけでございますが、結局大都市はすでに下水道整備については先発の都市でございまして、戦前からもう下水道事業をかなりやってまいっております。それから戦前において一部たしか大阪であったかと思いますが、受益者負担制度を採用した。東京もそうだったかと思いますが、それが戦争の関係で中止になりまして、当時いろんな関係の記録、書類等も喪失いたしましたりして、そのままになって今日にまいっておる。したがいまして、今日これをさらに負担金制度の復活ということを考えます際に、すでに整備をされたところの大部分が一般財源でもって整備をされたのに、これからおくれたところを整備するのに、受益者負担金をとるということは、住民感情からいたしまして、非常にその辺のところむずかしい問題がございまして、大都市におきましてはなかなか踏み切れないような状況に立ち至ったように承っております。
  188. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうでしょうか大臣、この受益者負担金ですね、先ほどお伺いのように、採用しているところと採用していないところとある。採用しているところについても三分の一、五分の一の違いがある。それから六大都市においては、すでに先住者がやったのであとから入ってきた人また新たに事業を興すにしても、そのダブリがあるということでどうかなということでとれないと、こういうふうないろいろな状況が重なっておりますね。この受益者負担制度というものを下水道法では何ら規定しないで、現行のまま、しかも推進する形になっているのはちょっと法の性質上好ましくないと思うんですが、この点どうでしょう。あるいはそれならそれで法改正をされるとか、そういうような面がなければどうも納得ができないと思うんですが、どうでしょう。
  189. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道法上何ら根拠なくという御指摘でございましたのですが、これは下水道事業都市計画事業として行なうのが通例でございますので、法律の立て方としては、都市計画法の中のたしか七十五条であったかと思いますが、その規定を根拠にいたしまして受益者負担制度を採用いたしておるわけでございます。
  190. 二宮文造

    ○二宮文造君 その都市計画法の七十五条、私も見ました。ですけれども、七十五条によりますと第二項ですか、「国が負担するものにあっては政令で、都道府県又は市町村負担させるものにあっては当該都道府県又は市町村の条例で定める。」と、こうなってるのに、条例をきめないまま取っている市町村が相当数あるはずですよ。あるかないか、あったとすりゃ何市町村あるか伺いたい。
  191. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) この問題につきましては、都市計画法の新法が施行される以前から、旧都市計画法時代に受益者負担制度を採用しておりました都市がかなりあったわけでございます。旧法におきましては、都市計画事業は国の事業であるというふうな立て方からいたしまして、受益者負担金は省令でもって定めるという、まあ昔は、いまから考えますと、まことに奇異な感じを受けるような扱いになっておったわけでございます。それから新法になりましてから、この切りかえの際の経過措置といたしまして、従前省令で定めておりましたものは、そのまま条例に切りかえるまでは効力を有するという手当を新法においていたして今日に至っておるわけでございます。いま手元にその省令の残ってる都市がどのくらいあるかというのは、ちょっと持ち合わせません。いま調べてみたいと思います。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、そういう点ばらばらなんです。たとえば、それならば、私はやっぱり都市計画法に準拠するんなら、条例等となさればよかったんじゃないかと、まあ旧法による、旧法の経過規定からくるのは私承知しておりませんでしたけれども、あながちそうでもないと私は思うのですがね。
  193. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 都市の数はちょっといま調べておりますので、お時間いただきたいと思いますが、先ほどの説明、正確に申し上げますと、都市計画法の施行法によって、三条の三項に、徴収すべきことが定められていたものにつきましては、新しく「条例が制定施行されるまでの間は、同項の規定にかかわらず、その負担金の徴収を受ける者の範囲及び徴収方法は、なお従前の例による。」こういうふうな経過措置の手当がございますので、これによりまして、まだ条例に切りかえてない市町村がかなりあると思います。いまわかりましたから申し上げますが、全部で百六十七のうち省令の形式のままで残っております都市が百十九、それから条例に切りかえてありますのが四十八という状況でございます。
  194. 二宮文造

    ○二宮文造君 その経過規定はそのままずっと存続するんですか。
  195. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 特に省令で規定いたしておりますところの内容を新しく改正するとかいうそういう機会がありますれば、当然これは条例に切りかえられていく部分でございます。したがって、特に制度上はいつまでに切りかえるとかいうふうには相なっておりません。
  196. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、私このたびの改正にあたりまして、今朝来の質疑の段階を伺ってても、受益者負担金の制度の問題あるいはその内容の問題、それからこれからとるべき方法の問題、そういうことで幾多の問題をはらんでいるわけです。ですから、この辺でやっぱりこの負担金制度の問題を下水道法の問題として、当然明確に規定をすべきではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  197. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) まず私はほんとうは実はあまり詳しくは知らなかったのです。負担金制度がなぜこういうふうにかなりの立場においてやっているかということをよく聞いてみますと、やはり下水道の必要性が非常に生活環境から出てきて、それで負担金を出してもいいからやってくれという動きが相当熾烈に出てきたようでありまして、また都道府県も、いまはややよくなったようなものの、非常に一時は事業費が極端に足らないというようなことで、政府の交付税率を上げたというような時代もございまして、そういうことで受益者負担地方自治体のそれぞれの財政事情等によって、おのずから受益者負担率が変わってきたようであります。しかも従来は、下水道法はできておりますけれども下水道事業市町村の仕事というような形に残っておったために、政令ではっきりと受益者負担はどの程度というふうにきめられないで今日にきている、そういう経過措置があるようです。さらに私はよく承知しなかったのですが、自治省と建設省との間で、局長同士でそういう状況を反映して、私は先ほど公正に扱うと言ったが、優先するという打ち合わせをしておるようです。受益者負担をするほうの事業を優先させるという事務的な打ち合わせもしておるようです。そういう事情もあったせいか、今日までは受益者負担制度をとっておるほうの金の入り方は非常に成績がいい、こういうことなんです。
  198. 二宮文造

    ○二宮文造君 国の金……。
  199. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 国の金じゃなくて、その受益者の納付が非常に着実にいっている、こういうことだそうです。ところが、大都市になりますと、それが非常に広範になってきて、それがなかなかいかないということで、戦災のために、その戦前の施設と、あとから入ったものとどう負担の配分をするかということがなかなかきまらないで、こういうふうになっておったということで、どうもそういう点から見ると、やはりいま直ちに受益者負担をやめるというところまでは踏み切れないような状況です。それでもう少し経過を見て、私が先ほど申し上げましたように公債制度なり、あるいは利用債とか、そういうものの何かの財源もちゃんと裏づけができて、相当国の財政負担等も裏づけられたときでないと、あまりにも受益者負担とか、そういうことに重点を置いたために、その事業が停滞するのはやはり現実的でないということで、いま少し経過を見て、そうして、これをなくしてもやれるという段階への一つの裏づけをすることがまず第一じゃないかという感じがして、これから検討したいと思っておる次第でございます。
  200. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、こういう受益者負担制度というのは好ましいことではないと思います。好ましいことではないと思うのですが、運用がばらばらになっているから、この辺を何か——将来廃止するとか、しないとかということはいま大臣の答弁で了解しました。ただ現状を何らか、法律の運用の面で明文の規定が必要じゃないか、こう思うのです。この点は、先ほどの国庫負担補助の政令の面ははっきりいたしました。そういうふうに法改正のとき、あるいは施行令のときに明確にすべきじゃないか、こう思うのですが。
  201. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 法律的な根拠につきましては、先ほど申し上げました都市計画法という規定でもって取れることになっておるわけでございますが、その取れる取り幅等につきましては、これはたてまえが新都市計画法では市町村の条例でもって、当該市町村市町村財政状況等も勘案いたしまして自主的に定めるというたてまえになっておりますので、私のほうでこれを画一的に幾ら取れとか、幾ら取ったらいいなんとか、そういうふうなことはなかなか法令上規定してやるというわけにはまいらないというふうに存じます。それから先ほどの省令云々の問題でございますが、これはもう御指摘のとおりでございまして、新しく事業を拡張する際等におきましては、極力これを条例に切りかえまして、十分住民の意思を聞きながら、この制度を進めていくというふうに指導してまいりたいと思います。
  202. 二宮文造

    ○二宮文造君 えらくこだわりますけれども、六大都市はなぜ取らないかというと、戦前にありましたと、それにダブっちゃいけないので取れませんと、こういうことでしょう。だけど戦前の住居人と今日の住居人とはまた違うわけですね。ですから所により、人により、こういうふうに負担金制度がばらばらになっていくというやり方は納得できないんですがね。その網のかぶせ方がないというのならわかります。網のかぶせ方がないから現状のままやっていかなきゃならぬと、だけど、私はそれは網をかぶせるよりも一線を引けば一つのものができると思うんです。そうすると、いま私が質問をしなきゃならないような条件はなくなってくる。将来もやっぱり私は響くと思いますよ、その市町村財政事情によって変わってきますから。
  203. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはどうも私は少ししろうとなんですけれども、住民税もこれはみんな違うんです。それと同じで、公共下水道をやるにあたって、その地方自治体のやはり財政能力と、それから議決機関との、これは合意によってやられるものです。これを補助率何ぼということはできるけれども受益者負担制度を認めておる場合において、この程度にということを規定することは、これは非常にむずかしいと思います。これはむしろ地方自治体がお互いにこれはいろいろの市長会議とか、市町村長会議とか、何かがありますので、そこでお互いに合意をして、この程度はやろうじゃないかということならできると思いますけれども建設省がこの程度取れとかというと強制したと、こう言われるでしょうし、なかなかむずかしいことでございまして、いましばらくこれは自治省とも検討してみたいと思いまするが、感じからすれば、何かこんなことはあまりばらつきがなくてもいいじゃないかという率直な感じもします。しかしながら、今度は現実においては、これはそれだったならば住民税のあれだってみんな違うじゃないか。いろいろの、それぞれの使用料も各都道府県、市町村でみんな違うと、それもばらつきなくしたほうがいいという気持ちはありますけれども、やはりそれは地方自治体のいろいろの理事者の考え、議会の考えが、その地域社会のいろいろの特殊事情があるから、まあその程度はやむを得ないのじゃないかとも考えますが、ひとつ十分自治省等とも検討してみたいと思います。
  204. 二宮文造

    ○二宮文造君 申し合わせの時間が来たようでございます。もう大臣から答弁があったからくどく言いませんが、ただ、こういう事情があるということだけは答弁要りませんから申し上げておきますが、いわゆる住民税、あるいは使用料、手数料のばらつきがあると、そういう市税の高いところが負担金制度がとれないんです。そういう現状になっておるんです。市町村とすれば受益者負担制度をとりたい。とりたいけれども、どうもその場合に議会での論議の的になってくるのが、こっちのほうが論議の的になってくる。やぶをつついてヘビを出す。これじゃ困るというのでじりじりしながらいると、何か一線を引くと、そこに準拠するものができるから、もし公共下水道事業推進が必要なら、そういう市町村に救いの手がかけられることができるのじゃないか、こういう考え方も私の論拠でございます。  これは下水道関係してくるんですが、具体的な問題で私どもの手元にちょっとまいっておりますので、これは要望ですけれども建設省のほうで御勘案願いたいんですが、具体的に秩父市の腰田堀の暗渠の埋設について出ておりますが、この腰田堀といいますのは、要望によりますと、「日野田、野坂東方を流れる腰田堀は、市道に沿うため自動車の通行等により、石垣が破壊される事多く、修繕に多額の町会費を要する状況であり、」約二千メートルあるそうです。で、「又国民宿舎武甲荘建設以来汚水流入のために臭気粉々、夏季は蚊、ハエ等の発生も多く非衛生的であります。尚、市農業協同組合架設の農村電話線を堀の中に敷設した結果、大雨出水時は、被害を受けること憂慮に堪えません。」まあこういう状況で、この腰田堀の暗渠を埋設してもらいたい、こういうふうな住民の要望であります。これは農業用水になっておりますが、その上手に横瀬川という川があって、五月から九月まで水を落とすわけです。その期間以外は全部ここは何といいますか、それこそ農業用水のあれじゃなくて、いわゆる下水みたいな状況になる。落とす、そうすると、下手のほうへ行く千メートルはまあ大体水は流れていいわけですが、上手の千メートルは今度はたまってしまうわけです。たいへんな非衛生的でもあり、臭気があり、蚊がおり、ハエがおるということは非常に困ると、こういうふうな住民の方々の要望で、これは農業用水になっておりますから、当面の問題としてどういう取り扱いになりますか、この点、いわゆるすぐそばまで公共下水事業が来ておるわけです。つなげば何とかなるんじゃないかというふうな意見もありますし、その点、ひとつ御勘案願いたい、こういうわけであります。
  205. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) いま二宮先生御指摘の秩父市の問題につきましては、私どもの担当のほうでよく伺っております。似たようなケースがやっぱり全国に相当あるわけでございます。こういう農業用水と下水路との関係をどうするかというのが私どものほうの大きな課題でございます。これは積極的に地域の住民の福祉に沿うように、用排水路の改修、調整についての考え方を出しまして積極的に進めていきたいと思っております。
  206. 二宮文造

    ○二宮文造君 以下の質問は、申し合わせの時間がまいりましたので、また同僚の委員に譲ってやりたいと思います。
  207. 田中一

    委員長田中一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時九分散会      —————・—————