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国務大臣(山中
貞則君) まず、
沖繩から国会議員の選挙によって選び出された
稲嶺君に対して
答弁できること、たいへん感無量でございます。なお、喜屋武議員の
質問も、一昨日でございましたか、先にすでにいただいておりますが、事柄が公害の連合審査でございましたので、言いたいことの半分も言うことができなかったであろうと、私も同情しながら
答弁をした次第でございますが、そのようなことを考えながら、私も
沖繩の問題について、直接
沖繩県民代表の御要望を伺えることをたいへん喜びに存じている次第でございます。
さて、ただいま述べられました基本的な
考え方については、ほとんど誤りはありませんし、私
どももさような方向にしていくべきだということで考えてやってまいりました。さて、
日本列島は四つの大きな島と、それに附随する小さい島嶼、現在は南は奄美大島の与論島をもって断ち切られているわけでございますが、
沖繩の弓状の列島が
日本に返ってまいりますことの価値は、先ほど距離でもって表現されましたとおり、非常に
日本列島に与える付加価値の大きさを物語っておるものと私は信じておるわけでございます。ことに、
日本が戦後軍事力というものを、自分自身では国土、国民を守るという専守防衛の
立場だけでしか持たない憲法のもとに出発いたしておりますので、その制約のもとにおいて
日本の繁栄の道は、経済国家として国民生活の向上をはかり福祉国家の建設に努力する以外にはないという、われわれはその道を今日まで歩いてまいったわけであります。その際において、われわれの国土は狭小にしてかつまた
資源の乏しい国であり、また、居住人口も非常に狭い環境の中で過密な状態を昔から続けてまいりましたし、今日は一そう、俗にいう太平洋べルト・ラインにメガロポリスを構成しながら、過密の
悩みと過疎の
悩みとをかかえているわけでございます。しかし、われわれのこの原材料が乏しい中で、なぜ
日本がこれだけ大きな経済的な伸展を遂げたかといえば、それは、
日本人が原材料を
日本に運んでまいりまして、そして
日本の優秀な科学技術あるいは技能、こういうものをつけ加えることによって、世界の国々が太刀打ちできないりっぱな製品を海外市場に持ち出す。すなわち貿易という手段を通じて、輸出の収益をもってわが国は繁栄してきたものと考えるわけでございますが、そのときにあたり、原材料の主たるものはほとんど中近東、東南アジアに依存していることもまた当然の事実でありますが、それらを考えますときに、その輸入先に近い列島が
日本に返ってくることによって、
日本列島の新全国総合
開発計画、いわゆる俗に「新全総」といわれますものの中では、
沖繩の新全総の中に位する地位というものは明確に定めてございません。
復帰の際にそれを考慮することが述べられているだけでございます。これはまさに
復帰しようとしておるわけでございまするので、
沖繩が
日本列島にどのような大きな経済的価値を持ちつつ返ってくるのであるかということをしさいに検討し、しかもまた、
沖繩に対して、ただいま言われたように、アジア
開発のキーストーンとしての役目を負っていただくということが
沖繩県民の幸福でもあり、また
日本列島全体に対しても新しい大きな分野がそこに開けてくるものと私も信じておるわけでございます。てこで、先ほど言われましたような、新全総の中に
沖繩の占める位置というものは、これは単に
沖繩県が、四十七都道府県のうち最後の
一つの県が返ってきたというようなものではないのでありまして、非常に大きな価値を備えている。その際に新全総はおそらく書き直しを余儀なくされるであろう。それほどの大きな価値を私たち
日本国民は認識しなければならぬと考えるわけでございます。その前提としては、御指摘のような空港、港湾、あるいは電力、工業用水を含めた水というようなもののいわゆる先行基盤整備がなされなければなりません。
〔
委員長退席、理事
山本茂一郎君着席〕
そして、そこに初めて
日本の持てる力の全部が結集され、
沖繩もまた軍事経済依存のいびつな形態から、業種、職種等の
変更があったにしても、少なくとも生活が向上し、所得が伸びていく
沖繩県民の姿というものを私たちはぜひともつくり上げなければならぬと考えるわけでございます。したがって、本年度予算からさらに来年度予算への展望は、明らかにこの空港、港湾、水、電力等について基盤整備的な形でもってまず先行的にこれが整備されることが先決であるという
考え方をもって進んでおるわけでございます。繰り返して申し上げますが、
稲嶺君の
考え方とほぼ
見解を一にして進んでまいったつもりでございます。