○春日正一君 それから、今度の問題で当然出てきた問題として
捜査権の問題、それから
裁判権の問題、これがありますけれ
ども、先ほど来
捜査権の問題について、「
捜査協定の覚え書き」というようなものが言われて、これで非常に進んだというように言われておりますけれ
ども、しかし、実際にはこの
捜査協定というものは、私、時間がないからすべて読んではおられませんけれ
ども、この第三条の二項、三項というようなものを例にとってみても、
米軍関係者の相互間、あるいは
米軍内部にだけしか影響のない
事件を除いて、
沖繩県民とかかわりのあるすべての
事件について、その
捜査権を
琉球警察に移し、
米軍機関が逮捕あるいは管理している犯人、容疑者すべて、
琉球政府に引き渡すというようにすれば、そしてその
捜査にゆだねられるというふうになれば、それだけでも
事態はずいぶん変わってくると思います。
アメリカの軍人が
沖繩県民に被害を与えたという場合ですね、琉球の警察がこれを
捜査し逮捕もするということになれば、ずっと
事態は変わってくると思います。ところが、ただいまの協定を読んでみますとそうなってないんですね、だから、先ほ
どもお話しのあったように、きわめて欺瞞的な実効の薄いものになっている。これをやはりそういう実効のあるものに具体的にしていくように当然
要求されるべきだし、
要求すべきだと思います。
それから、ついでですから言っておきますが、
裁判権の問題でも、
アメリカの
施政権の一部であるからなかなか困難だというふうに言われますし、それは
アメリカとしても、最後のものとして
復帰の前まで握っておこうということはわかるんですけれ
ども、しかし、現にもう返るという日時もほぼめどがついて、
あと一年半、しかも、その間も依然として人権じゅうりんの
事件というものが頻発しておる。しかも、そういうものが、先ほどのように、人をひき殺した者が無罪になるというような判決が出るということになれば、これはがまんのならぬのはあたりまえなんで、だから、当然、こういうもりについては
復帰以前にも
日本に
移管するということを
要求すべきだと思います。そうして、
日本弁護士連合会がことしの七月十八日に見解を明らかにして、
政府にも提出しておるようですけれ
ども、「
沖繩での司法権は米国に属しており、
米側の
米軍軍法会議、米
民政府裁判所と
琉球政府側の
琉球政府裁判所の三系統の
裁判所が、
沖繩統治の基本法である大統領行政命令の定める管轄規定に従って
裁判に当っている。」、したがって、
琉球政府側への
裁判権の
移管は、米
施政権下の
移管にすぎないから、
復帰前といえ
ども裁判権の
移管は可能である。
日本法曹界がこのような
判断を出して、
政府にこういう形で
裁判権の
移管ができるのだということをやはり進言しておるわけですから、そういう大義名分に立っても、
返還以前に返すということは論理的にも可能なんだし、
政府としても当然これを
要求するという
立場をはっきりとるべきだと思います。それをおやりになるお
考えがおありかどうか。
それからもう
一つ最後にお聞きしておきますけれ
ども、ランパートの
発言ですね、あれは明らかに占領者として
沖繩県民に対する
一つの威嚇、そういうものですよ。こういう
態度をとる。しかも、この問題の背後に
毒ガスの問題があったということ、安全が保証されないから
撤去の命令を私は出さぬぞというような、これは傲慢きわまる威嚇ですよ。こういうものに対して
現地の
沖繩県民が非常な反発をして、これに対して那覇の教職員会、立法院でも問題としておるようでありますけれ
ども、その他民間の団体も問題としておる。これは当然だと思います。
日本でも東京の保谷の市議会でもって、自民党も含めて満場一致でランパートのこの
発言に抗議して、
高等弁務官を罷免せよという
要求を決議しております。だから、こういう国民の
気持ち、これを代表して、
政府が当然
アメリカに対してこのランパートの
発言の撤回を
要求する。それくらいのことは
日本の
政府として当然のことじゃないのか。むしろ、そういうことをやったら
アメリカがおっかながるとか、気分を害するとかいうことをおそれて、言うべきことを言わなんできたことが
沖繩県民を苦しめ、同時に、今回のような
事件にまで至らざるを得ないようにしたのじゃないのか。問題は一番そこにあるし、
政府の
態度にあるのだと思うのですけれ
ども、その辺について、
裁判権の問題、
捜査権の問題、それからランパートの
発言の問題、それについて長官の
考えを聞かしていただきたいと思います。