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説明員(栗原昭平君) 去る十五日の日に、ただいまお話のありました石油。パイプライン特別
委員会がございました。まず、その要旨でございますが、第一点は、石油パイプライン事業の導入の必要性でございます。これはすでに御
承知のように、石油需要が五年後には倍、昭和六十年には四倍というふうに急増が予想されておりまして、これに対応いたしまして、エネルギー政策の見地から低廉安定供給ということで、どうしてもパイプラインの建設をはかっていく必要がある。さらに加えまして、過密化対策あるいは安全対策という見地からも緊急にこれを計画していく必要があるということが導入の必要性でございます。
そして第二番目の点といたしまして、パイプライン事業のあり方の問題でございますが、このあり方につきましては、ただいまの石油の低廉安定供給
原則に基づきまして、石油の生産、流通あるいは販売まで一貫いたしました体制のもとに石油企業が共同事業としてこれを行なうことが必要である。また、実際問題といたしましても、石油の共同事業でなければやり得ないという
考え方に立っております。その理由といたしましては、まず、実際問題のほうから先に申し上げますと、パイプラインが一たん引かれますと、そのルートというものは当然固定いたしますし、また、そのパイプラインの
規模によりまして、口径からして送油能力というものもきまってくるわけでございまして、これをできるだけ有効に、大量に使っていくというためにはまず石油の一社、二社がこれを利用するんではなくて、全社がこれを活用していく必要があるということで、製油所から直接そのパイプラインにパイプをつなぎまして、生産したものを直接つなげていく、そして生産したものがそのまま販売段階まで流れていくという連続的、計画的な送油という問題がございます。これが非常に技術的にも困難でございまして、石油業者でなければできない、と同時に、今後十五年、二十年という長きにわたりまして一年間にどれだけの油を取り扱い、このパイプラインを使って送るかという長期の送油の保証というものがなければパイプライン事業の採算制が成り立たないという実際問題もございますので、まず、共同事業でなければ実際問題としても運営できないであろうというのが第一点でございます。
さらにパイプライン事業といたしまして、これは先ほどの生産、流通、販売を通ずる一貫経営体系の中で石油の安定合理化の問題として取り上げる必要がある。これがエネルギーの低廉安定供給の一番大きなきめ手になりますということが第二番目の理由でございます。
さらに
考え方といたしましても、石油産業におきますパイプラインと申しますのは、ガス事業におけるガス管、水道事業における水道管といったものと全く同様の
考え方のもとに自己の設備の一環として
考えていくという性質のものであるということでございます。さらに、エネルギーの低廉安定供給の観点からいたしますと、パイプライン事業は収益事業ということで
考えられるべきではなくて、そのコストを企業が共同で負担していくというノーロス、ノープロフィットという
考え方で、これを活用していくということが供給安定にかなうのではないか、こういう
考え方でございます。ヨーロッパ諸国におきましても、こういった
考え方ですべて運用されておるわけでございます。そういう前提に立ちまして、従来石油パイプライン会社がいろいろ構想をまとめてまいりまして、二十八社で共同利用という形で、関東内陸パイプラインにつきまして中央ラインというラインを構想いたしておるわけでございます。
なお、
国鉄計画、
国鉄の線路敷利用の関連でございますけれども、まず、路線の
関係からいたしまして、線路敷だけに限られたルート選定というものは実際問題といたしましても最短距離をいくことにならない。むしろ公共用地、河川敷、道路等を含めまして一番経済的に有利な土地を選ぶ必要があるということが第一の
考え方でございます。さらに線路敷につきましても、実際問題といたしまして、川崎地区でありますれば、非常に過密のところを通って線路までパイプで油を運ばなければならない。それから線路は
原則的にはやはり都市と都市とを結ぶということでございますので、かなり過密のところも通らなくてはならない。まあ駅の近く、あるいはプラットホームというような問題もあろうかと思います。そのほか線路敷使用に伴いましてのコスト増というものも
考えられる等々の問題もございますし、一方、財政再建という別途の大きな目的もございますので、それとの関連も石油事業としては単に収益事業という観点からでなくて、石油の低廉安定供給という問題として
考えていきたいという観点でございます。
まあ、以上のような
考え方に基づきまして、石油の共同事業といたしましてこの構想を推進してまいりたいという
結論に相なっております。
なお、国の助成につきましては、パイプラインの性格というものが、道路なりあるいはタンクローリーなりタンク車なりに代替するようなものが公共事業に準ずるというような
考え方もございますので、民間資金に合わせまして国としての財政投融資というものを相当
程度行なう必要があろうという
結論に相なっております。
なお、公共用地の利用あるいは一部土地収用といったような、パイプライン
施設に伴います環境整備につきましては、別途パイプライン事業の目的に沿いまして、国としてもその実現をはかれるような体制を講ずる必要があるのではないか、こういう
考え方になっております。
その他、これらのことに伴いましての必要な法制というものをあわせて準備すべきであるというのが概要でございます。