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1970-12-03 第64回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月三日(木曜日)    午前十時十八分開会     —————————————   委員異動 十二月二日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     松本 英一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 藤田  進君     委 員                 木村 睦男君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 鈴木  強君                 松本 英一君                 森中 守義君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    政府委員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省船舶局長  田坂 鋭一君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        運輸省航空局長  内村 信行君        海上保安庁長官  手塚 良成君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      杉  知也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (ていむず丸火災に関する件)  (国鉄財政再建計画に関する件)  (デッカーED一七一の処分に関する件)  (首都圏輸送対策等に関する件)  (国鉄の新線建設に関する件)  (個人タクシー認可等に関する件)  (自動車検査に関する件)  (沖縄における自動車整備に関する件)  (航空業界再編成の答申等に関する件)  (営団地下鉄及びタクシー料金の値上げに関す  る件)  (東武伊勢崎線ダイヤ改正に関する件)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     —————————————
  3. 温水三郎

    委員長温水三郎君) まず、参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会参考人として、日本鉄道建設公団理事杉知也君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、先月の二十八日の午後三時ごろ横浜港外赤灯台北東停泊中の川崎汽船所属タンカーていむず丸」が爆発をして、四人が行くえ不明、二十四人が重軽傷を負うという事故発生をいたしておりますが、近年非常にタンカーが大型化してまいりまして、(の扱いについては、狭水道における安全態勢確立等を含めて、幾たびか問題になっておったのでありますが、今回こういうふうな事件が起きまして、われわれとしても寒心にたえません。そこで、すでに五十万トンというようなタンカー建設が認可されておるわけでありまして、この原因を徹底的に追及して、再びこのような事故が起こらないように善処してほしいと思います。そういう意味で、私は最初に、非常に時間が制約されておりますから、簡単でけっこうですから、この事件概要について当局からひとつ報告をしていただきたいと思います。
  7. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) お手元に「タンカーていむず丸爆発火災事件について」という書類を御提出しております。この書類によりまして説明申し上げます。  事件概要は、川崎汽船株式会社所属タンカーていむず丸」四万二千七百四十六総トン、三十五名乗り組み、これがペルシャ湾カーグアイランドかち原油八万五千キロリットルを積載しまして、十一月の二十五日、川崎シーバースに着桟、揚げ荷の後、二十七日午前十時、川崎扇島南々東約二・八キロメートルの地点に転錨しタンククリーニング中、二十八日午後三時十八分、五番タンク付近爆発火災発生した。タンククリーニングは、第一工業株式会社作業員三十六名により実施していたが、この爆発事故により本船乗り組み員、作業員等一名が死亡、三名が行くえ不明、二十四名が重軽傷を負いました。当時の天候は、曇り、南の風二メートル、海上は平穏でございました。  事故概要はそういうことでございます。  その2に、「消火措置等」が書いてございますが、一応読み上げておきます。  ていむず丸爆発火災事件発生により、第三管区本部は直ちに巡視船艇十八隻及び航空機一機を出動させ消火作業付近海面警戒等に当たらせますとともに、横浜海上保安部長現場指揮とし、東京横浜川崎の各消防局から消防艇計六隻及び船主手配船十五隻——曳船が八隻、作業船が七隻でございます——の応援を得て消火作業、行くえ不明者捜索等に当たりました。火災消防船艇等の懸命な消火作業により、二十九日午前三時三十八分完全に鎮火いたしました。  原因は目下調査中でございますが、五番中央タンクガス抜き作業中、可燃ガスが何らかの発火源に接したものと推定されております。  以上です。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 この概要を伺って、一番先に問題になるのは、原因の問題は後ほどにして、特に死亡きれた方、あるいは行くえ不明になっている方、重軽傷を受けておられる方のその後の捜索についてはどうなっていますか。捜索に当たったのか、もう打ち切ってしまったのか、それともどういう捜索をしたのか。三名は行くえ不明になってどうしてもわからぬとか、そういう点を説明してもらわなければならぬ。それから二十四名の重軽傷者についても、まだ病院入院している人がおるのかどうか、その点明らかにしてください。
  9. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 負傷者の現状から申し上げますが、先ほど御説明申し上げましたとおりに、乗り組み員とクリーニング作業員、その他、給水船乗り組み貝合わせまして七十二名が乗船しておりましたが、死亡が一名で、行くえ不明が三名、二十四名が重軽傷を負っておりますが、重軽傷者付近の四つの病院に収容されまして、二十一名が入院をいたしました。で、十二月二日現在で十四名がなお入院中でございます。この内訳は、全身の火傷全治二カ月程度の者が五名おります。生命には別状ない模様でございます。身体の一部に火傷または打撲傷を負い、全治一−三週間程度の者が九名でございます。この行くえ不明者の三名につきましては、なお私のほうで巡視艇を出しますと同時に、船主手配一般船捜索を継続中でございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 この行くえ不明者に対しては、見つかるまで捜索を続けていくという前提に立っているわけですか。
  11. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) できるだけそういう方向で進みたいと思いますが、最終的にこれがわからない、幾らさがしても見通しが立たないということがはっきりいたしましたならば、途中で打ち切るということもあり得るかと思いますが、極力御趣旨のように全力をあげて捜索をいたしたい、かように思っております。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 これは人命のことですから、捜索をどういう規模でやっておられるか、私はこの場所では時間の関係でお伺いしませんけれども、ひとつ徹底的な捜索をして、行くえ不明者追及していただきたい、これをお願いいたします。  それから、こういう人たちに対しての補償というのは一体どういうふうになっているのですか。
  13. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 本件につきましては、この船主でございます川崎汽船からの直接申し出があったのでございますけれども、川崎汽船といたしましては、死傷者に対しまして、清掃事業会社である第一工業と十分相談して、弔慰金等できる限りのことは全面的に協力するということを私に言明いたしております。  なお、一般といたしましては、こういう場合の事故原因船主側にございますときには、船主側がそういった賠償責任を当然負うものと思います。そしてこの場合に、たとえば労災保険等でカバーいたしました金額等船主側に求償されるということで責任関係は手続が終了される。船主側といたしましてはこういう事故——たとえば荷役中に本船の過失で荷役人夫が死傷するというような例もいろいろございますけれども、こういった例も含めまして、こういう事故に対処するために船主相互保険というのがございます。いわゆるPI保険と申しますけれども、これに加盟しておりまして、そういう場合の補償にはその保険でもって船主はカバーするというふうに相なっております。  一般例としましてはそういうことでございますので、今回、はっきり船主側責任がありということになりますれば、この一般例に準ずるということで、川崎汽船がすべての求償を受けるというような事情でございます。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣事故原因追及については後ほどまたいろいろ伺いますが、とかく補償の段階になると、責任の問題の所在とも関連をし、調査結果があいまいになり、どうも不十分になりがちのように思います。そこで、この件につきましてもぜひ原因追及をすると同時に、補償等については会社等がやるたてまえになると思いますけれども、あいまいにならないように、特にひとつ注意をしてもらいたいと思いますが、その点いかがですか。
  15. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 川崎沖における「ていむず丸」の爆発事件のために発生しました四名の死者及び行くえ不明者、並びに二十数名の負傷者に対しまして、心からお悔やみを申し上げます。  いまお話しのように、原因の問題はこれからの検討でありますから、まだいずれともきまっておらぬようでありますけれども、その原因がいずれにあるかどうかの問題はともあれといたしまして、人命が損傷されたのでありますから、関係者において遺族に対する十分なる措置、けが人に対する措置は、運輸省も中に入って積極的な措置を講じていきたい、かように考えております。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 それから次にお伺いいたしたいのは、事故の起きた場所港外と思いますが、従来、運輸省——この場合も二年に一度の定期検査をするためにドック入りをする、そのために中をきれいにしておったということでありますが、そこで、従来、運輸省公害対策観点からして、洗浄する場合は港内でやって、そしてその汚水は業者が受け取って処理場で処理する、こういうふうに行政指導をしてこられたのではないでしょうか。その点はどうでしょうか。
  17. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 港則法が適用になります港域内についての作業については、いろいろ危険物扱い場所、あるいは積み荷の種類によりますところの作業場所等々について、港長がいろいろ停泊停留指示をし得るたてまえになっております。そのたてまえから、危険の防止という観点で安全な場所を選んでやらせるということにしておりました。ただ、この権限はあくまでも港則法に基づく港域内のことでございますので、本件が起きましたのはこういった港域外の問題であるわけでございます。外についてはそういった明確な規定はございませんでしたが、実際上の扱いとしては、できるだけ港内に準じた扱いをするということではあったのですが、事実上いままではそういう指導が必ずしも徹底をしていなかったという感じがいたします。今回緊急措置の一環、一つの項目といたしまして、そういう点の指導を強力に徹底してやりたい。できればそういったタンククリーニング場所などを一定の場所にきめてやらせるというようなことはいかがかというようなことで、現場ともどもただいま検討いたしております。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 どうも事件が起きてからあとを追って対策が立てられるというのが今日まで長い間のお役所の古びたしきたり、それから行き方でもありまして、非常に私たちは腹が立ってしかたがない。で、今度の場合も、通常は船のほうでは多少、何といいますか、経済効果やいろいろのことを考えておるものですから、洗浄をする場合には港外でもってやる、そしてその汚水は海に捨ててしまう、こういった行き方を安易にやるのです。それではいけないから、従来も運輸省行政指導の面で、できるだけ港内で洗ってもらって、その汚水は、汚水を取り扱う下請があるそうですから、そこに渡して処理場に持っていって捨てる、そういうことで指導をしているはずじゃないですか。それが今度は港外で、依然として通常の場合やっておったような方法でやられておった。いかに運輸省行政指導というのがいいかげんなものであったかということを私は痛切に感ずるのです。防げる手段があるにかかわらず、その手段をいいかげんにして起きる事故というのは許せない、こう私は思うのであります。だからして、今度の場合でも、従来の行政指導が徹底しておったら、これは港内でやっておったはずだと思うのです。  それから、いまあなたがおっしゃるように、たとえばクリーニングする場合の安全対策についても、ガスが充満する、そのガスについてはどういう処置をしなければならないとか、あるいは廃水についてはどうしなければならないとか、もう安全対策に対してきわめてシビアに一つの基準を設けておやりにならなければいけなかったと思うのです。ですからそういう点、もし法律的にそのことがあいまいであるならばはっきりして、そして安全対策を確立するというところに基本を置いてやらなければいけないじゃないですか。それらの行政指導、いまから思い切ってやろうなんということをいまごろ長官が言うのは、これは聞こえませんよ。ほんとうに言って、一体どういう姿勢で海上保安庁運輸省はやっておられるのですか。これでは国民は納得しませんよ。
  19. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 御指摘のようなことで、私どもは船舶運航安全確保ということを最も重要な仕事としておりまして、ただいまのタンク洗浄中の事故というようなものが、特にこういった船舶のふくそうします東京湾あるいは大阪湾あるいは瀬戸内海、こういったところで起きますことが、被害のいろいろなケースを想定いたしますと、非常に問題が多いということで、注意を常日ごろしているわけですけれども、本件の問題につきましては、実際に今回起きましたのは、たまたま港外で、船あるいは周辺の人家あるいは工場、そういったものへの影響の少ない場所でございましたので、他に累が及ばなかったというのは不幸中の幸いだと考えております。  で、従来、港内というのを主眼にいたしまして、先ほど申し上げましたような、その中での安全な場所ということを考慮しながら指導しておりましたが、さらに今回のこういった事故にかんがみまして、港内からさらに沖合いというようなところまで場合によっては場所を考える、これを強力な届け出制にするべく措置をいたしまして、そういった安全な位置の指定ということに努力をいたしたいと考えております。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣にひとつぜひ伺っておきたいのですが、いまお聞き取りのように、公害防止観点からすると、港外でやってそうしてそれを海に捨てるというやり方は、これはいけないと思うのですね。ですから、それをやめさせるために港湾管理の目の届くところへ持ってきて、そこでやらせて、厳重に処理しようというのが行政指導の考え方だと思うのですね。ところが、いま長官も言っているように、ああいう爆発が起きた場合には、はたして港内でよかったのか港外でよかったのかということについては、一つ問題点があるわけです。幸い場所がああいう場所でしたから、周辺にあまり影響がなかったわけでして、そういう点を想定すれば、運輸省指導そのものにもまた矛盾があったと思うのですよ、港内でやるということ自体についても。ですから、そのときの、要するに汚水を海に捨てないということがねらいなんですから、その辺については、かりに港外であっても、まあいま言ったように届け出制をやるとかというような方法をとればよかったと思うのですね。そういう点が抜けているのですよ。だから、たまたま公害防止、今度、海水汚濁法律案も出てくるのですけれども、そういったふうな問題が新しく出てくる汚濁防止法の中に入ってくるのかどうなのか、多分にこれは私たちも疑問に思っているわけです。ですから、ぜひそういうような措置をちゃんとしていただくことによって、行政指導の面においても首尾一貫したもの、理論的にも法律的にもそういうものにしないと、いまの行政指導の中に、いま言ったような疑問があることはあるけれども、海水に汚物、汚水を流さないという、この規制をはっきりする、そうしてこれは届け出しなければいけないというように法律の上ではっきりする、そういう方法にぜひしてもらいたいと思うのですね。これは大臣どうですか。
  21. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま長官からお答えがありましたが、御承知のとおり、最近タンカーがだんだんと大きくなってまいっております。従来のように一万トン、二万トン程度であれば、港内において安全な場所をさがすということも可能であり、また、そのほうが直接に目が通るのでありますから安全ではあったわけでありますが、状況が変わってまいりまして、重量総トン十万トン、二十万トン、こういうような船がだんだんと入ってまいりますというと、港則法の届くところの港内でこれを処理することのほうが危険がある。そういう意味から言って、まあ従来これは指導方針でもってそういうものについてはなるべく安全な地帯をということでありまして、今回の「ていむず丸」がそういうような意味において多少離れたところで、安全地帯においてこのような事故が起きたために他に累が及ばなかったということは不幸中の幸いであったと、こう申し上げているわけであります。おっしゃるように、御承知のように、これは油に関する汚濁条約もできております。いわゆる五十海里内におけるものについては、これはむやみに放棄してはならないという条約もできておりますし、かつまた、本年十月に改定された条約では、もっと広い範囲内でこれを適用しよう、こういうような条約もできつつありまするし、世界に先立って、わが日本といたしましては、今度の臨時国会におきまして、海洋汚染防止法という法律によって、少なくとも日本の船に関しては、たとえこれは公海であってもみだりに捨ててはいけない、しかも、これに対する汚濁度を非常に規制をする、こういうことによってかなりきびしい法律をつくろうと、皆さんの御審議を得ようと思っております。これによって、鈴木さんからのお話は十分に徹底し、かつまた海洋汚濁を防げることになり、ある意味におきましてまた危険防止にも十分に役立つ法律が、皆さんの御協賛によってできるのではないか、かように期待しておるわけでございます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 その点はぜひひとつはっきり明文化していただきたいと思います。  それから、事故原因ですけれども、御報告によりますと、「五番中央タンクガス抜き作業中、可燃ガスが何らかの発火源に接したものと推定される。」というのであって、われわれが納得できるような報告になっておりません。もちろん、これはまだ現在調査中であるという前提ですからこういう御報告になったと思いますけれどもね。これはさっき申し上げたように総トン数十万トン、二十万トン、三十万トン、そして五十万トン、そういったタンカーが動き出しているわけですから、したがって、この原因を徹底的に追及していくことが絶対的に必要だと私は思うのですね。われわれがちょっと想定しても、たとえば、船自体にある火災防止設備というのは一体どういうものだったのだろうか。五番の中央タンク爆発しちゃったら、船自体が持っておる防火設備機能というものは全然発揮できなかったのでしょう。新聞その他ラジオ、テレビいろいろ聞いても、報道していません。たいへん命がけで海上保安庁消火に努力された。これはわれわれも高く評価しているのですが、船自体何らああいう火災に対する機能が発揮できなかった。設備はあると私は思います。だから、どこがやられても船自体消火活動ができるというような、もっとすぐれたものが技術の開発の中でできるのじゃないでしょうか。ちょっと考えても、そういう点もあるわけです。ですからして、この原因については徹底的に究明してほしい。確かにむずかしいでしょうけれども、やってほしい。何か、ある新聞には、作業員が一服しようというようなことを考えていたときにがんと爆発が起きたというような記事もちょっと出ておりましたけれども、この発火源というのがはたしてどこなのか。これはひとつ、たいへんでしょうけれども、徹底的に調査してほしい、こう思います。これは専門的ないろんな方々もいらっしゃるでしょうけれども、その選出等についてはここで私はどうということは言いませんけれども、ともかく専門家等を集めて徹底的な原因追及をしてほしい。それはタンカーというものが大型化するからであります。あとでまた大臣にもお伺いするのですけれども、やはり海上における航行の安全を期するために、海上における思い切った交通整理をやる必要があると思うので、これから五十万トンなんというタンカー東京湾に入ってくるようなことになったら、これは一体万一の場合どうなるかというほんとうに心配があるわけでしてね。そういう点も早くからひとつ、大臣もお考えになっているようですけれども、実行に移していただいて、これらのタンカーがあまり危険なところへ、ふくそうするところへどんどん入ってこないような措置をあわせてやる必要があると私は思うのです。そういう意味で、ぜひこの事故原因調査については徹底的にやってほしいと思うのですけれども、これは大臣からひとつお伺いしたいと思います。
  23. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 「ていむず丸」の爆発が起きました直後に私は関係局長部長等を集めまして、まず原因の厳格なる追及をしろ、それに従って今後積極的な措置を講じろ、同時にまた、いわゆる爆発原因として考えられる問題を考えながら、そこで緊急措置としての方法を考えて、これを各船主関係者に明示するように、こういう指示をいたしました。翌朝これらの会議を開きまして、あとで御説明申し上げましょうが、大体このような措置を今後はとれ、こういうような指示をいたしたのであります。  御承知のように、私もしろうとでありますからよくわかりませんが、なかなかクリーニング方法についてはむずかしい点があるようであります。聞くところによりますれば、従来、海水クリーニングが行なわれる場合に、衝撃によって爆発が起きることがあり得る。それはガスの濃度が三〇%以下〇・一%の間ではそういうような衝撃あるいはちょっとした引火によって爆発が起こり得るというようなことがいわれております。今回の場合はどういうものが原因となってガスに引火したのか、自然爆発ではないと思いますけれども、まああるいはそういうことも考えられるわけでありますが、いずれにせよ、非常に危険な状態を脱したあとでいわゆる作業に入るという方法を検討しろということで、ひとつそのような方針に従って一応の緊急的な措置がきめられまして、直ちに関係会社及び船主側にもこれが通達をいたしております。その内容については政府委員から答弁をきせます。
  24. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) 調査そのものにつきましては、海上保安庁も、これを海上保安庁の立場におきまして徹底してやらなければならないわけでございます。刑法上の問題にも関係してくることでもあるわけでございます。私のほうではただいまわれわれの仲間以外の専門家を入れまして、今回起きました爆発原因、たばこの火の裸火、あるいは作業機材からの発火、あるいは静電気がどうして起こり、起こった状態がどうであったかというようなことに特に重点を置きまして、いま厳重な調査をやっております。今後徹底して御趣旨のような調査に当たりたいと思っております。  なお、いま大臣の申されました、今回の事故に徴しました即時の事故対策ということを若干御説明いたしますと、当面緊急にやるべきことといたしましては、クリーニングにあたってのやり方、特に静電気が起きましてそれで火がついて爆発するということであるかと考えられますので、そのやり方にいろいろあるわけでございます。そういったもので危険と思われるやり方を即時やめさせる。あるいはガスがどの程度になっておるかということの測定というのが十分ではないので、そういった測定のはっきりした器具あるいは爆発よけの作業衣というものを必ずつけるというような指導をやる。それから、作業要領というものが必ずしも徹底してつくられてはいないようでございますので、そういったマニュアルを各船ごとにつくらせるということについて、船主サイドあるいは船サイドの指導を徹底する。あるいは、先ほど先生お触れになりましたように、船自体消火の問題につきまして、船の構造の一部が今回のような爆発で一時に機能が停止するというようなことのないように措置させるというような指導をするといったようなことを、当面直ちにやりたいと考えております。  なおまた、いま触れました中のいろいろな器具の開発、あるいはその他乗り組み員についてやはり一定の資格などを持たせてはどうかというような点等も考えられますので、それらのものにつきまして、従来置かれております研究会が省内にありますが、それを拡充強化をいたしまして、そういった新しい機器の開発あるいはそういった乗り組み員の資格の問題、こういったものを検討するようにいたしていきたいと考えております。なおまた、清掃しておりました清掃業者というものに対する監督指導というのが従来やや十分ではなかったのではなかろうかとも考えられますので、そういった面について新しく指導、監督を強化するということを考えております。  なおまた、最後に、私どもの直接の関係でございますが、消防施設につきまして、その整備あるいは運用の方法、こういったものについての研究、開発、こういったことをもこの際を契機といたしまして速急に十全の対策になりますように開発、検討をいたしたい、かようなことをあげまして、この際の一つ事故対策といたしまして、去る十一月三十日に発表して、船主その他にすでにただいま徹底中でございます。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 大体わかりましたけれども、大臣、この事故原因追及に対して、何かこの調査委員会的なものをつくって徹底的にやっていくというような、そういうことはやるということですか、そこまでは考えていないということですか。
  26. 手塚良成

    政府委員手塚良成君) ただいまのところまあ原因の結論と申しますのは、まだ調査中、捜査中でございますので、明確に申し上げられませんが、おおむね推定されますところは、その経過報告書にも書きましたとおりであり、ただいま私がここで、対策というところでいろいろ御説明申し上げましたようなことでもある程度御推察ができると思います。  本件原因といたしましては、必ずしもそう複雑なものではなかろうというふうに考えますので、この原因探索のための調査委員会というのは、目下のところ設ける考えはございません。私どもなり、あるいは先ほど申し上げました部外の学識経験者等を入れてのいろいろな調査の過程において、できるだけそういったものを探求いたしたいと思い、今回はむしろ、ただいまあげましたような意味における今後の予防ということを主にして対策を立てていきたい、そういうことで、従来置きました研究会というものを中心にいたしまして、その予防の対策に力を入れたい、かような方針で考えております。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 実は、私は、その徹底的な原因追及をやっていただいて明らかになるという自信があるならいいですよ。しかし、そうではないとするならば、さっきから申し上げているようにタンカーの大型化が進んでおるわけですから、この際、どういうわけでこういう不幸な爆発事件が起きたのかということについて徹底的な調査をしてそれに対する対策を立ててほしいと、こういうことですから、いま長官の言われたような、私も考えておった、たとえば第一工業作業員の方々がどれだけガス爆発というものに対して、ガスに対して知識を持っておられるのかどうなのか、そういう点も疑問に思いますよ。ですからして、もう少しこの危険物を取り扱う作業員だという立場に立つならば、もっと明確な知識を植えつけていく必要があったのではないだろうか。これは、私はまだ調べておりませんから、そうしていただいていればそれは済むわけですけれども、そういうところをやはり慎重にやらなければならぬと思うのです。ですから、その会社に対する指導が欠けておったかもしれません。それを率直に反省されているわけですから、それらも含めてやることはけっこうですけれども、やはり根本の原因というものを追及することが大事ですから私は申し上げているのです。だから、あえてその調査会というものをつくれとということを私は固執しませんけれども、場合によっては、複雑でどうしてもなかなかわからぬような場合もあるかもしれません。少なくともいいからかげんでやられては困るということを私は心配するからあえて調査会ということを言ったのですけれども、ですから、徹底的に原因追及すると、こういう思想で、場合によったらそういう措置も必要になるでしょう。それもあわせてひとつ考えておいてください。これは大臣、どうですか。
  28. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 爆発事故に関しては、海難審判庁等も専門家を入れて十分なる検討を進めてくださると思います。ただ、運輸省といたしましては、それのみにたよらず、ただいま長官から説明いたしましたように、従来ありますところのタンカー爆発事故防止に関する研究会、これにせんだって私は部外者の専門家も十分に入れ、あるいは技術者等も入れて、積極的に対策を考えるための原因調査も必要である、こういう意味において両者兼ねてやることにはなると思いますが、しかし運輸省としては、まず緊急もしくは長期対策、こういうものを主眼にして案を立てていきたいと思います。しかし原因がある程度もちろんわかる必要があると思いますから、当然この研究会においてもそれらをあわせて検討すると思いますが、本格的には、これは海難審判庁にまかせるというような方針でやってまいりたい。おっしゃるような意味において十分に今後の対策原因等についても研究してまいりたいと、かように考えております。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つ大臣にお願いしておきたいのですが、これは私の要望ですが、新聞報道ですと、海上保安庁消防艇現場に着くまで一時間以上かかった、そういうことが災害を大きくした原因ともいわれている。これは事実はひとつ説明してほしいと思うのだが、そういうような批判もありますし、特に高性能の化学消防艇、こういうものが非常に少ないように私は思います。ですから、少なくとも重要な港にはこういった高性能の消防艇というものを配備し、あるいは増備できるような、そういうことをやってほしいと思うのですよ。これは備えあれば憂いなしですね。やっぱり万々一に備えて対策を立てているわけですから、そういう点、私もことし大臣と一緒に海上保安庁の記念日にいろいろ実情を拝見しました。ところが、来た消防艇は、二隻くらいはなるほどりっぱなものでしたけれども、あとはたいしたものはないです。あれじゃ二つも三つも同時に起きたらどうなるかということも心配になりますし、ぜひこの点は、重要港にはそういったいろいろな消防艇を、高性能の消防艇を配置するように予算的にも配慮していただきたい。一ぺんにはいかぬでしょうが、計画的にぜひやってほしい、この点を大臣からお答えいただきたい。
  30. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) おっしゃるように、化学消防船の配備は不十分であります。予算の点等もありまして、十分な措置ができておりません。今回の事故にかんがみて私からも——ちょうどせんだっては大型タンカーが浦賀水道に入ってくるために、それに対する警戒として、「ひりゅう」がそのタンカーに付き添っていた。「ひりゅう」が現場に到着するのに一時間も時間がかかったのにはこういうような事実があった。そういう場合において、これは大きな船が入ってきますと、浦賀水道はことに狭いところでありますから危険なために、それに対して付き添うということも必要であるから、それをやめる必要もないが、ただ、従来ともにこのようなクリーニング事故というものは多少起きておるわけでありますから、したがって、小型の消防艇でもやむを得ない、これをなるべく近くに配置するように総合的な配置を考えろ、こういうことを指示して、今後はそのようなことによって、少なくとも——普通の消防艇でありまするが、それをも近くに配置して、このようなクリーニングの場合においては措置をする、そのためにクリーニングをするという届け出をしてもらうということを行政指導で行なうことにいたしたわけであります。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、この件については時間の関係でこれで終わりますが、再びこういう事件の起こらないように万全の御配慮をお願いいたします。  それから、負傷された方、なくなられた方の遺族に対しても、できるだけのひとつ措置をしていただきたい、要望しておきます。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕  それから次に、国鉄財政再建の問題についてお伺いします。  これは主として時間の関係大臣にお尋ねし、また、総裁にも御意見を承りたいと思いますが、われわれは国鉄の財政が非常に危機に瀕しておるということで、政府がすでにお示しになった財政再建十カ年計画というものを中心にして、その一日も早い再建を願っておったわけですけれども、残念ながら四十四年、四十五年と二年たって、政府のおきめになった計画は、ちょっとこれはもう実情に合わなくなってしまって、再検討を迫られておると思うのです。そういうようなことからして、四十六年度、来年度の国鉄の予算概計すらまだきまっておらない、こういう実情にあると思います。きまらないのは、いま申し上げましたような既定の十カ年計画に対して再修正を加えなければならないということが基礎になっておるからきまらないのだと思う。だからして、これはもう十二月に入ったわけですし、そうもたもたもしておられないと思いますし、私が心配するのは、四十六年度予算の概計がきまらないために、現にいろんな問題が起きてきている。たとえば東京駅に総武線を乗り入れるという工事も、何か聞くところによると一年くらいは開業を延ばさなければならないというようなことが予算との関連で出てきているそうであります。新幹線のトイレットペーパーを節約するとかなんとかいっておられる。そんな鉛筆をもっと節約するなんていうことはあたりまえのことです。使えるだけ使うということはあたりまえです、努力はしていただきますが。直接的、間接的にサービスの面にしわ寄せがどんどん出てきているのです。新幹線とかあるいは特急のメインのルートに備えつけてある便所の紙まで一車一個などということをいったって、それは一個のときもあるかもしれないけれども、二個使うときもあるでしょう。そんなことを国民の前に批判されるような状態にまでなってきているわけですよ。だから私は、四十六年度の概計をきめなければならない。そのためには、財政再建計画に対して手直しをすることがあれば手直しをしていただいて、国鉄というものが国民の期待に沿っていくようにお願いしたいのであります。もう中央線も複線化があそこの新府というところまで完成していただきました。きのうは山梨県では国鉄に感謝する催しを開いております。しかし、県民の気持ちの中に、国鉄に感謝する気持ちと同時に、いま中央線が業務が委託になって、そのために年寄りゃ子供が切符を買うのに不便するとかあるいは有人駅を無人にするとか、貨物の扱いはいたしませんよ、隣の駅へ行ってくださいよとか、サービスをよくするなら別でありますけれども、そういうサービスダウンをするようなことを平気で国鉄はやっているじゃないか、そういう不満が喜びとともにあったと私は思うのです。そのことを国鉄は率直に考えてほしい。まあ身延線の金手という駅をなくするというのは、地元の大陳情、反対により、大臣等のいろんな御配慮もあったと思いますが、とりあえず無人で残りました。しかし、そういったような本来の国鉄でないような国民に対するサービスというものがどんどん出てきている。これはすべて国鉄財政再建にかかっているのでありますから、それは単に国鉄当局を責めるということでは済まないと思う。だから、われわれも一緒になって国鉄が何とか立ち上がっていかれるような措置をとらなければならないということを信じているがゆえに、もう少してきぱきと再検討を加えるところがあるならば再検討を加えていただいて、国民の前に明らかにしてほしいと思うのです。  一万キロの収支のとれるところは国鉄が経営をし、そうでないところの一万キロというものは地方自治体かあるいはそこらの何かに委託してやるということは出ております。赤字線を廃止するということも出ております。しかし、なかなかそれもできないでしょう。私は基本的には、昭和二十八年に国鉄法が変わって、赤字は国鉄が政府からめんどうを見てもらわなくてもよろしいという制度の改革にあったと思うのです。それまで国鉄は、赤字があれば国がそれを見ておった。ところが、収入が非常に上昇をたどる時期において、その黒字を政府に納めるということはどうもおもしろくないということで、おそらく、黒字は使わしてください、そのかわり赤字はようございますと、こういうことになったのでしょう。だから、昭和二十八年からいま四十五年、その間十数年の目先が狂っておったのだ、そんなことを言ったってしょうがない。だからわれわれは、合理化も、国鉄のためになる合理化ならやってほしい、大いに簡素化もしてほしい。だがしかし、どうしても、国鉄がどんなに合理化をしても、節約をしても赤字になるというのならば、これは国民が負担するということもいいのじゃないですか。そうでないと、極端に言ったら、辺地のローカル線なんかは全然これはむちゃくちゃになりますよ。採算が合わない、間引き運転をする、やがては廃止するということになるでしょう。国鉄というのは、たとえ五十人でもそのバスに乗り、電車に乗れば運転しなければならぬ、そこに国鉄というものの存在意義があったと思うのですよ。私はそう思う。だからして、何かいろいろ財政再建については一日の日に第三部会が一つの結論を出しておられるようです。たとえば、赤字線の経営から国鉄は手を引く、そして地元の市町村などがつくる地方鉄道公社、これはどういうものか知りませんが、できれば次の通常国会等に出して、そういう地方鉄道公社の経営にゆだねるか、あるいは廃止をしてしまうか、こういうようなことで大体意見が一致し、これが今月の中ごろ開かれる財政制度審議会の総会に報告されて承認を得られるように聞いております。それから従来の再建計画の中で、たとえば二回運賃を上げればそれで十年後には黒字にして見せますと、これはけっこうな話ですよ。ところが、それが昭和四十八年と五十年の二回であったものが、今度は四十七年、五十年、五十三年にするとか、いろいろあるわけですが、大臣として、一体基本計画に対してどういう考え方を持っておられるのか。これは国鉄総裁からも、もし大臣と意見が一致しておるならばけっこうですけれども、考え方がもしあるならば、この際私たちは率直に聞きたいと思うのです。
  32. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 国鉄の再建問題はなかなか重大問題でありまして、世間に、食管とともに国鉄の赤字問題がたいへんな問題としていわれておるわけであります。言うなればこの問題の扱い方でありまするが、国鉄にいたしましても、総裁にしましても、私にいたしましても、国民及び、何といいますか国鉄側というような間に立って考えますというと、ある意味においては平重盛の心境で、忠ならんと欲すれば孝ならずというような非常にむずかしい立場に立たされております。しかし、情勢がこの数年来といいますか非常に変わってきたということを無視することはできない。たとえば陸上交通における道路の整備が進んでまいる、特に自動車道の整備が進んでまいったということが一つ事情、もう一つは、港湾関係の整備に伴って内航海運が発達してきておる。これはもう数字を見てもわかりますように、トラックによるところの輸送というものはこの数年間非常な伸びを示しておる。一方において沿岸航路、いわゆる内国海運によって運ばれる貨物も急速に伸びておる。それに対して鉄道の貨物輸送というものはほとんど横ばいの状態に近い。これが数年間における最近の実情であります。こういう交通情勢の変化というものをまず頭に置いて、そこで総合交通体系というものをとる以上は、国鉄のあるべき地位というものを考えなければならぬ。すなわち、国鉄が国土の総合開発、こういう観点に立ってどこまで国鉄がやるべき性質のものであろうか、こういう点はやはりこの問題を考えていく上に重要な問題であろうと思います。したがって、国鉄がやるべき、責任をもって行なうべきものと、必ずしも国鉄でなくても、他の機関においてこれを行なうべきものと、こういう区別のしかたは当然これからは必要であろうと考えております。そういう点があるいは財政審議会等で、先ほど鈴木さんがおっしゃったような議論が出てまいったものと思われますが、正式には、私たちはこの報告を受け取ってはおりません。したがって、財政審議会の考え方に対していまここでどうのこうのという考え方を述べる必要はありませんけれども、いま申しましたように、やはり国鉄責任範囲というものを厳格に考えていく必要があろう。もしそれ以上に国鉄がやるというのであれば、またやらせるというのであれば、それは国と地方公共団体がそれに対しての協力をしてもらいたい、これはもう当然のことであると思います。そういう観点から、従来とってまいりました国鉄の財政再建という点は、単なる赤字対策としての処置を中心にいたしましたが、いまそれらが実際上において行き詰まりを来たしてきておるという点から考えれば、もう一つ抜本的な見地に立って、国鉄のやるべき職能の範囲を限定して、その範囲の上に立って国鉄が努力すべき点、あるいは国がこれに対して助成すべき点等を明らかにしていく、こういうことが今後の国鉄再建の基本的な方針になろうと思います。  いま、この再建途上において、運賃の値上げを、従来二回であったのを三回というようなお話がありましたが、まだその点は、正式には国鉄から聞いておりません。しかし、その問題はもう第二の問題であって、まず根本的には今後の国鉄、お話がありましたように、単純なる独立採算制をしいるということは、これは無理である。しかしながら、経営上における赤字の問題は、これはもう国鉄責任でなければならない。ただ、建設を全部国鉄責任を負わせて、それに伴ったところの赤字に対しては、これは国は考えなければいかぬのではないか。やはりこういう内容についてのはっきりした区別をする必要があろうと思います。そういう点に対して、目下国鉄当局とも十分に打ち合わせつつ、あるいは政府側の大蔵大臣等とも打ち合わせしながら抜本的な解決をしなければならぬ、これは一つの長期的な方針であります。しかし、抜本的な措置をいたすにいたしましても、それが直ちに四十六年度に全部これが浮かび上ってくる問題ではありません。したがって、四十六年度の予算においては、その抜本的な措置をバックグラウンドとしつつ、そうして予算措置を行なわなければならぬ、こういう考え方からして、一応四十六年度に対しては、運輸省及び国鉄としてはかようにしてもらいたいという予算要求をいたしております。しかしながら、その中には抜本的な問題も含まれておるわけでありますからして、今後とも大蔵省当局と十分に交渉を重ねて、少なくとも今後のいわゆる国鉄再建の端緒を開く予算措置を四十六年度においては実現したい、かように考えて目下努力をいたしておる最中であります。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 大臣の時間があるようですから、総裁にはあとで聞くことにしますが、そうすると、四十六年度の予算というのは再建計画という大きな基本、いわゆる土台をつくることが私は前提だと思っておったのですが、それはまだ進行中であって、そうかといって四十六年度の予算をいつまでも延ばすわけにはいかないので、その中に入るものもある、あるというならば、やはり基本の問題は早く決着をつけなければならぬでしょう。その時期は一体いつごろに考えておられるのですか。
  34. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いま申しましたことを具体的に申しますというと、たとえば運輸省が要求しております新税に財源を求める、こういうことになりましても、これは法律を要する問題であります。したがって、予算措置としては、要するに一般会計から従来の考え方とは違った形で金を出してもらいたいということになります。そのあと始末は新税等でやるか、あるいは今後の増収等をにらみ合わせて一般会計の中から処理していくかは別問題でありますが、われわれとしましては、建設費に対してもあるいは従来の旧債に対しましても政府がある程度の助成を行なうべきである、こういうたてまえで予算要求を出しておるのであります。そのしりぬぐいは新税でやるか、その他の方法でやるか、これは財政当局の考え方でありますけれども、及ばずながら、われわれの言っておるのは新税、交通総合税、こういうもの、交通総合特別会計ですか、こういうことの考えもあっていいのじゃないかというような意見は言っておりますが、要するに国が建設、あるいは従来の旧債に対して一部の助成をすべきであるという措置の上に立って四十六年度の予算の要求をしておる。これがどういう形で認められるかは別問題でありまするが、少なくとも、鉄道を来年からとめるわけにはまいりませんから、何らかの形で動かすという措置は出てくるだろうと思いますが、それにしてもやはり根本問題、先ほど申しましたような国鉄のやるべき範囲内、及び国鉄がこれに対応しての合理化の問題等ももちろんこれは当然うらはらとなって明らかにされなければならぬ、かようには考えておりまするが、いずれにせよ、今回の要求は単なる公債を増額してくれとか、こういう考え方で要求しておるのではありません、こういう意味であります。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 一つだけ基本の問題で、基本線区、いわゆる黒字、収支ペイする線区、この基本線区と、地方線区、赤字でどうにもうまくいかない線区、この二つに分けるという考え方、これについては、大臣はいま賛成なんですか、反対なんですか。
  36. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 黒字線、赤字線ということばが少しおかしいのでありますが、御承知のように、本線であっても函館本線のごときは百二十億円の赤字を出しております。であるからして、これは赤字線とか黒字線の問題ではなくして、国鉄がやるべき線と必ずしも国鉄がやらなくてもいい線、こういう考え方である程度考えていってはどうだろうか。その場合に国鉄は、どうしても国鉄がやってくれというならこれは金を出してもらわなければなりませんし、あるいは財政審議会等で言っているように、地方鉄道公社の考え方でやるならばこれは公社でやってもらってもいい。あるいは道路輸送にかわるべきものはかわるということが地元住民と了解の上でできることならそれはけっこうであるが、それは別問題として、要するに、これだけは国鉄責任範囲である、こういう点を考えて、それ以上のものは国が助成してやらなければ無理じゃないか、こういう考え方に立っているということであります。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、ちょっとこの問題、大臣の時間がありますから……。  全国新幹線鉄道建設計画の中で、大臣は、成田新幹線というやつをぽっと取り出して記者に発表されましたが、私はちょっとそのときに思ったのですが、われわれが国会を通した法律に基づいて新幹線鉄道建設の基本計画というものをおつくりになる。これは一次、二次、三次というふうにやられるのかどうかわかりませんけれども、とにかくそういうものをまずつくって、それで一次にやる路線はどこであり、それに対する財政をどうするかということをまずきめていくべきだと思うのですが、そこで、そういう全体の構想ができないのに成田新幹線東京−成田間をやるというように言われておるのですけれども、私たちがいろいろ聞いてみると、たとえば東北・北海道の新幹線ですね、これは札幌−東京間、上越新幹線東京−新潟間、九州新幹線博多−熊本間、ここらは大体政府側としてもいいのじゃないかというのだが、たとえば北回り新幹線の東京−富山−福井−大阪間とか、九州の博多−鹿児島間のうち要するに熊本−鹿児島間、これらについてはなかなかむずかしいようだということもあるし、いろいろ情報があるわけです。そこで、いずれにしても早くこれは基本計画というものをお立てになって、総理大臣とも御相談なさって、閣議がきめるようなことを国鉄とも十分連絡をとっておやりになるものだと思うのですけれども、そういう御構想はどうなっておりますか。
  38. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 基本計画をまず策定をしなければならぬわけであります。前回の国会におきまして新幹線網という法案を通してもらったのでありますから、従来から調査を進めておるのでありますからして、したがって、まず第一に最初に考えるべき基本計画というものを策定したい、かように考えて目下検討を重ねておるわけであります。いろいろ新聞には出ておりますからして、皆さんにおいてもいろいろ御心配にあずかっておると思いまするが、当然これは鉄道建設審議会に基本計画はもう出さなければならぬ。まあこれは考え方ですが、私としては、やはりもちろんこれは全体の基本計画を一挙に出す必要はない。けれども、新幹線網というのでありますからして、その根幹中の根幹になるものはやはり第一回の基本計画において出すべきであるという考え方は持っております。ただ、財政当局のほうから申しますというと、新全総の範囲内でこれをひとつ考えてもらいたい、中期計画の中で考えてもらいたい、こういうような意見もありまして、まだ調整ができておりませんので、したがって、基本計画を鉄道建設審議会にかける段取りになっておりませんが、なるべく早くこれはきめたいと思っております。その場合に、先ほど申しましたように、根幹中の根幹というようなものまでは基本計画できめたいということでありますが、いろいろの点でまだ折衝はできておりません。  これに関連して成田新幹線というお話がありましたが、成田新幹線は根幹であるとは言いませんけれども、しかしながら、ただ現在の実情から考えまして、そこで将来なるべく早い機会に成田国際空港と都心とを結ぶ線ができなければ実際上の輸送に困難を生ずる。実はせんだって京成の急行といいますか、特急といいますか、空港との間のものができるということで、その間の踏切調査を兼ねてそれの視察をいたしましたが、実際上、これも少しおくれるようであります。しかし、完成いたしましても、大体において成田空港から東京都心までは一時間五分かかるという話であります。あるいはまた、高速自動車道がそれまでにはできるわけでありまするが、それにいたしましても、一時間半ぐらい自動車でかかるのじゃないか。バスでは二時間以上かかるであろう。こういう状況を考えますと、もう初めから事情があまりいい状態ではありません。ましてや、これを将来ともに、いま言いましたような機関だけで成田空港と都心を結ぶということは非常に無理があります。そういう意味におきまして、やはりこの新幹線で結ぶ必要が当然に起きてくる。これはまた早くやらなければいけない。こういう点からして、一つは新幹線というものの方式を考える。これを新幹線網の中で考えるかどうかは別ですが、少なくともこの通勤新幹線という形では能率を下げることになりはしないか。ことに、御承知のように複々線工事が一般事業としては行なわれておるのでありますから、したがって、成田空港の新幹線は新幹線鉄道法によるところの中核帯を結ぶいわゆる新しい鉄道形式として考えていく、こういうことになれば、この法律の目的に従ってこれを敷設することが可能である。こういう意味において、中核都市と中核都市とを結ぶ線として新幹線を考えるというような考え方からして、私は、通勤新幹線ではなくして、いわゆる新幹線鉄道網における新幹線というものを考えておるのだというような意味のことを記者団に話をしたのであります。それが私は妥当ではないかと考えておるわけであります。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 いまの大臣の、通勤者は乗せないということですけれども、そういうことを大臣の御発言で言っていいものなんでしょうか。私は、新幹線をつくるとき通勤者は乗せちゃいかぬとか、飛行機に乗る、あるいはおりるお客さんたちだけの専用の新幹線をつくるということは、これはやはり問題だと思うのですけれどもね。これはどういう根拠でそういうことをおっしゃるのですか。お客さんを特定のものにするということは、これは現行の制度の中で、法律の中でできないでしょう。私はそう思いますね。そんなことで私たちは新幹線というものを承認したはずはないのです。
  40. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) それはどういう意味か知りません。通勤者を乗せないという意味ではありません。当然、鉄道ですから、高くても乗ってくださるお客さんは乗ってくださってけっこうなんですが、いわゆる通勤新幹線という場合は、幾つかの停留場をつくらなければならぬわけですね。そういうようなことをすれば、たとえば途中二カ所に停留場をつくるということになるというと、三十五分程度でこれをつなぐという当初の目的が狂ってくる。当然五十分なり一時間かかってしまう。そういう意味での通勤新幹線という形ではない、こういう意味であって、通勤者が乗れないという意味じゃないです。これはもちろんのことでありますから、その点は誤解ないように願いたいと思います。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 これは私の強い希望ですが、三十何分で走る、そこにかりに二カ所停留場をつくったとしても、停車時間がかりに一分か二分だとすれば、前後のスピードの問題もあるでしょうが、そんなに大臣おっしゃるように、京成電車と同じようになるとは私は思わないですよ。ですから、それについては非常に今後問題になると思いますので、十分に地域の皆さんとか、国会の意見も聞いた上できめてほしいのですよ。いまここで成田から東京まで直通のノンストップをつくるのだと言われても、これはわれわれとしては、そのまま聞いておくわけにはいきません。そのことについては、もう少し時間的な関係も考えてやってほしいということをお願いしておきます。
  42. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) それはおっしゃるように、今後ともこれは具体的に十分検討して、支障のない範囲であればそれらのことも考えていきたいと思いますが、まあこれもまだ当局の正式に決定した内容ではありませんので、今後いろいろな問題を兼ね合わせて検討してまいりたいと思います。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄総裁に。まあ時間がもうないものですから、私はむしろ問題点を出して伺いたいと思うのですけれども、基本的にこれからの財政再建に対して大臣のお考え方を伺いましたけれども、やはり角本さんがいつか論文を発表になりまして問題になりました。確かに現役の役員である角本さんがそういうことをやることについて、われわれも問題があると思います。ただしかし、言おうとするところはよくわかるわけでして、ですから、昭和二十八年制度改正の当時の、将来に対する鉄道当局の判断というものは、全く目先がなかったと思うのです、構想が。これはあなたに対する批判ですが……。  そこでやはり考え方は、収支採算をとるという立場に立つのでしょうね、経営をやる場合には。国鉄でそれを厳密に独立採算制ということをしいられてくると、公共性と独立採算制の中で板ばさみになって、公共性に忠ならんとするならば、こっちは孝ならずということで、やはり問題が出てくる。われわれがおそれるのは、要するに国鉄の手から離れていく、さっき大臣が言った赤字線というのは別にしましても、どっかに委託するということになりますと、それのサービスの点でどうなるか、将来性がなくなってしまうという心配も持つわけでありますから、そこでやはり国有鉄道の採算を度外視した経営というものが長い間やられてきたと思うのです。国鉄は百年近い歴史の中で終始国営でやってきた。国有の企業体という制度に移って、その後も赤字は国が見ておったわけです。ところが二十八年にああいう制度に変わって、今日のような状態に追い込まれてきているわけです。ですから、考え方は、やはり大いに節約し合理化して、簡素化していただくということは大前提ですよ。そういう努力をして、なおかつ生ずる赤字というものを国鉄の採算の中でまかなうということになると、どうしてももうからないローカルのものが切られてしまう。サービスが現にダウンしている。こういうものがどんどん出ていったら、国鉄の存在意義はなくなってしまう。そういう基本の考え方について、私は総裁に一言聞きたいのですよ。それで、さっき言ったいわゆる基本線区というか、あるいは地方線区、こういうものを分割して、一方はどっかに委託しようとか、金をどう出すとかいうことがあるようですが、そういう考え方も含めて、国鉄当局としては、どっちでいくのか、あるいは基本線を貫いていくようにするのか、そういうことを最初にひとつ伺いたい。
  44. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの根本的な御質問でありますが、これは必ずしも大臣の御意見と合致していない点があるかもしれませんけれども、その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。  私といたしましては、この前に再建計画をつくっていただいたときにもいろいろ考えておったわけでありますが、結局二万数千キロというものを全部一つの独立採算でやっていくことはできない、これははっきりしております。ごく大ざっぱに申しますと、そのうちの約二千五百キロ、新幹線を含めて約二千五百キロが約千億の黒字を出しております。それで、何々本線と称されるもの、これは七千五百キロくらいです。それでもって千億の赤字を出しております。それからそれ以下の地方の線、これでもって約千億の赤字を出しております。したがいまして、初めの二つでもって収支とんとん、最後の千億の赤字がそのままになっておる、こういう形になっております。今後いろいろほかの交通機関の発達状況を見ますと、国鉄の一番初めの千億というものがどんどんよくなるということは、そう飛躍的には期待できないと思います、率直に申しまして。したがいまして、その千億でもってカバーできる部分というものは、何々本線と名のつく千億以外にないということが前提になると思います。したがって、私といたしましては、三番目の分類の地方線については、いわゆる企業としては成り立たない。先生も前々回におっしゃいましたが、企業としては成り立たない部分。しかし、ソシアル・ミニマムとして鉄道としては運営しない面がたくさんございます。大ざっぱに言って、そのうちの半分は鉄道だけでできない部分があると思います、雪の問題もございますし。しかし、それを第一の黒字の企業者にふっかけるということもできないと考えておりますので、私どもといたしましては、初めの二つのグループを何とか企業としてやっていく、三番目のグループは、国鉄ではやりますけれども、これは企業ではないんだ、純粋の公共輸送機関だと、道路と同じ意味のものなんだと、したがって、それから出てくる赤字というものは、それが千億あろうが千五百億あろうが、これは国なり地方でもって一般国民の税金でもって見ていただきたい、これが根本的な考え方でございます。したがいまして、私どもといたしましては、企業性を発揮する面は二万キロのうちの一万キロ、あとの一万キロはもう企業として成り立たないけれども、公共性の面からいってやる必要があるとすれば、それは黒字線の人の負担においてするんではなくて、国民全体のソシアル・ミニマムとしてやっていくべきだと、その意味の赤字の補てんを政府にやっていただきたいということが一つございます。  それからもう一つは、昭和三十九年に赤字に転落いたしまして以来いわゆる国の肩がわりをやっておる運賃上の問題だけからいたしましても約五千億ございます。いまでも毎年毎年五百億——いま六百億ぐらいございます。これは黒字だった時分は十分私どもやってまいりましたけれども、三十九年以来赤字になっても運賃上の公共負担をそのまましょっている、これは無理じゃないかと私思うわけです。貨物運賃だけでも数十億円の負担をいたしておりますが、ところが、政府部内においても、運輸省に行けば絶対国家で負担しろと言うし、大蔵省に行けば受益者が負担しろと言うし、うちはそんなもの負担できないと言うし、結局同じ一つの問題についてみんな考え方が違っている。一体これをだれが調整するか、まだだれも調整できていないわけでございますが、こういう問題が数百億、累計すれば五千億ございます。こういう問題を解決しないで根本的な国鉄問題の解決はできないと思います。  そういう意味で、私どもといたしましては、過去百年の歴史のある国鉄あと百年もたすためには、ほんとう意味の大転換をしなきゃならぬ時期にまいっていると思います。したがって、私どもといたしましては、まず経営主体を分けるということでなしに、企業採算としてやっていける面はきちっと企業採算もやっていく、やっていけない面は、これは経理上のはっきり区分をいたしまして、いわば政府に対する請求書と申しますか、これだけは国鉄としては企業としてはできない面です、しかしながら、これはやっておりますから、その意味では経理上の区分をはっきりしていきたい。どこに出してもこれは全部どんぶり勘定で赤字だということでは困りますので、きちっとやっていける面ははっきりしたい、これが私どもの根本的な希望でございます。  これにもずいぶん異論がございます。しかし、私は何とかしてこの一、二年のうちにはそこへ持っていきたいと思います。そうしない限りは全部国鉄が地盤沈下してしまう、もう鉄道はだめだ、斜陽なんだということになると思います。これではいけないんで、やはり企業として百年もつ面とどうしてもやっていかなきゃならない面と分けて、それであとの面については、やはり国民的な負担でもってやっていただくということを——経営はもちろん私どもやりますけれども、それからよってくる赤字は税金で負担してもらうという考え方でいっていただきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 総裁の考え方は、これは国鉄の考え方だと思います。しかも、国鉄には電電の経営委員会に匹敵するような審議会もあるわけですね。ですから、そういうようなところの御意見も十分徴しての上だと思います。それはわかりました。  あと、この赤字のしょい方について、公共料金の点についても三者が三方針を持っているのだが、それを調整してくれる人がない、これもわかりました。ですから、これはまた政府当局に私も申し上げたいと思いますが、とりあえずの問題として、時間も少なくなりましたが、四十六年度の予算編成のことなんですけれども、さっき申し上げましたように計画がかなり狂ってきているでしょう、これがきまらないために。だから私は早くその概計をきめるべきだと思うんですよ。いま一番概計がきまらない問題点というのはどことどこにあるわけですか。
  46. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 一応現在の計算では、来年度償却前の赤字が数百億出ることは大体明瞭でございます。したがって、その数百億の赤字をどういうふうな形で政府に埋めていただくか、その点が一番大きな問題でございます。金額的にも非常に大きな金額でございます。あとは利子の軽減その他がございますが、一応これは別の問題といたしまして、一番大きな問題は、出てくるであろう償却前の赤字のあと始末——あと始末と申しますか、しりぬぐいの問題がございます。大蔵省から見れば、全然何にも歯どめのないしりぬぐいはできない、これも私はわかるのです。たれ流しのようなしりぬぐいはできない、何かきちっとした方針をきめてこい、こういう意見でございます。幾ら赤字が出ても政府でめんどうを見てもらうのだとか、いろいろまだあるようであります。ただ私どもといたしましては、どこから金を出していただこうと、さしあたり出てくる償却前赤字だけでも埋めていただきたい。そうしなければ予算編成ができませんので、それだけが最小限度の要求でございますが、それではいかにも哲学もないし論理もないということで、私どもといたしましては、一つの将来への理念を見つめつつ、さしあたり現在の赤字を埋めていただきたいというのが私どもの考えでございます。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
  47. 鈴木強

    鈴木強君 その点もわかりました。  それからもう一つ、料金の問題ですけれども、既定計画によっても、四十八年と五十年の二回ということになっているわけですが、何か自民党筋のほうではいろいろ考え方を持っているようですけれども、三回ぐらい上げてというようなことも、四十七年と五十年と五十三年ですか、そういうような構想もあるようですけれども、四十六年度、料金の値上げをして国鉄は赤字をカバーするという考え方は全然総裁としては持っておられませんか。
  48. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 四十六年度につきましては全く持っておりません。ただ、今後の問題といたしまして、いろいろほかの競争機関との運賃問題もございますので、そういったものと見合った考え方で、私ども、とにかく運賃を上げればすぐ収入がふえるというようなイージーな考え方は絶対できない時代だと思います。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 これはさっきの基本的な立場に立てば当然だと思います。ですから、公共料金を値上げしてそれでもってカバーするということでは、これは国民も納得しないし、そんなことをしても国鉄の財政にはプラスにならないと思います。ですから、この約八百億の償却前赤字ということについては、資本のほうから増資をしてもらうとか、何か措置をしなければどうにもならぬというその具体的なことは私たちもわかりました。  それから、恐縮ですけれども、総裁ももうこれでお帰りになるようですけれども、実はデッカーという愛称で呼ばれている日本で最も古い電気機関車ED171号というのがございます。これは長い歴史の中で、大正十二年に横浜港にイギリスのEE社から購入したというような歴史があるやつでございまして、その後東海道線の電化にはたいへん働いて、昭和六年に中央線が電化されたときにそこに配車され、八王子と甲府の間の貨物輸送をやっていただいたわけです。そして身延線ができてから身延線のほうにも運行しておったんですけれども、これがせんだって廃車になったようですね。それでいまこの甲府電留線にこれが雨ざらしになっているんですよ。で、県の人たち国鉄友の会の人たちが、あまりにも芸がないじゃないか、長い間粒々辛苦、苦労をしてくれたデッカーですが、雨ざらしになっているのはかわいそうじゃないかというので友の会の連中が山梨、長野で相談した結果、ぜひこれを歴史があるので交通博物館あたりに保存してくれないか、国鉄がやってくれなければどこか場所を変えてもやりたい、だから、あんな雨ざらしにしないで、せめて機関区の中に入れてくれ、こういう希望があるんですけれども、総裁としてはこれを博物館に保存するようなことをやってもらえますか。
  50. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実はその問題、けさ聞いてまいったので正確にはお答えできませんけれども、非常にこれは珍しい機関車で、しかもこれは輸入機関車で日本に残っている唯一の型式でございます。で、私のほうでは鉄道記念物にして一両だけ指定したいというふうに思っております。その分は私どものほうで保存いたします。しかし、もし地元で御希望がございますれば、地元の公共団体ならばお貸しするという形でもって——もちろんお金はいただけませんけれども、お貸しするという形でもって地元で適当に保存していただくということもいま考えております。そう長くない期間で決定いたします。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 じゃ、一台は総裁、責任を持って交通博物館に保存してくれますね。
  52. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 場所はともかくといたしまして、たとえば、いま碓氷峠のアブト式のところでは一両だけやはり保管してございますが、あれと同じような形で、もし保管するだけの価値のあるものならば保管いたしますし、もしそうでなくても、地元に御希望があれば、一両は地元に進呈——進呈と申しますか、お貸しするという形でもってお預けいたします。
  53. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 総裁が時間がないそうで、総裁に一問だけ質問したいと思うのです。特に東京を中心とする首都圏の輸送についてお伺いしたいわけでありますが、増大する首都圏の輸送対策に対して、国鉄として東北新幹線あるいは上越新幹線等の計画も進められて、始発駅の問題とかあるいははまた通勤輸送との問題でいろいろ問題になっていると思いますし、あるいはまた、現在外環状線という武蔵野線の建設の問題等もからみまして、今後の首都圏の輸送をどういうふうに国鉄当局としては考えていらっしゃるか、また中央線の問題等についてもお考えをいただきたいと思います。
  54. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 首都圏の輸送につきましては、ごく概論を私から申し上げまして、こまかい事柄は私にかわり担当者から御説明をいたします。  私といたしましては、まず首都圏の輸送につきましては、東京都内から貨物列車を外へ出すこと、これが第一でございます。これはいま先生が御指摘の、いま山手線を走っております貨物列車を外環状に回してしまいたい、つまり東京バイパスの貨物列車にする、これによってずっと東京都内の輸送が楽になります。それが第一でございます。  それから第二は、東京に入ってきております五本の放射線の輸送力を強める。中央線はすでに御承知のとおり、三鷹までできました。総武線が現在工事中でございます。常磐線も大体地下鉄と小田急と三者相互乗り入れ、これが地下鉄ができますれば、大体我孫子から小田急の喜多見ぐらいまでは直通輸送ができるようになっております。それから東海道のほうが実は一番難航しておりまして、横須賀線を湘南から分けたい。ところが横浜市の中をなかなか通してくれませんので、これは工事がおくれておりますが、東海道は横須賀線と湘南線とを分ける。それから東北線は一応とりあえず赤羽と大宮の間の三複線ができましたけれども、いつも瀬谷先生から御質問がございます埼玉県についての輸送については、もう国鉄としてはいまの高崎線を複々線化することはできない、むしろ私は、あそこには地下鉄を延ばして、ちょうど東西線で大成功したような形でもって、ぜひ地下鉄でもって延ばす、別線で延ばすべきだという考え方を持っております。それらの中の、私らの守備範囲でありますいまの総武、常磐、東北、中央、東海道、この五つにつきましては、現在鋭意工事中でございまして、先ほどのお話のとおり、若干予算の都合上おくれる面もあるかと思いますが、いずれにしましてもそれがマキシマムでございまして、それからあとまたどんどん通勤人口がふえるということになれば、これは全然別に通勤新幹線というような構想を持ちまして、いまの線路と離れたところにしませんと、金ばかりかかってどうにもしようがありませんので、別途いまやっている通勤対策が終わったあと、なおどうしても首都圏の通勤人口がふえるならば、これは別に都市分散をした上で、通勤高速鉄道をつくるというふうな方向に持っていかなきゃいけない。それをいまからやらなければ私はおそいと思うのですが、考え方としてはそういう考え方でいきたいと思っております。
  55. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、いま伺いました各線ですね、資金難等いろいろな問題点から若干工事計画がずれている、こういう話ですが、たとえば武蔵野線あるいは総武線、これの工事等についての進行状況、それからいつ完成するか、この点についてお伺いをいたします。
  56. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 総武線につきましては、ことしの秋とりあえず在来の複線分だけを全部高架並びに下に入れまして、全部立体交差の工事が完了いたしましたあと、引き続きましてあいた土地に新しい線分をつくる工事を進めております。それから、両国から分かれまして、いままでは秋葉原まで行っておったんですが、これが分かれまして東京まで入りますルート、これは全然別途の地下工事になりますけれども、これは最初から進めておりますけれども、その他はこの秋着工したような状況でございまして、あと二年ぐらいは工事のスケジュールとしてはかかる見込みでございます。
  57. 杉知也

    参考人(杉知也君) 東京外環状線でございますが、これはただいま武蔵野線について特に鋭意努力しておりまして、昭和四十七年度一ぱいに完成する予定でございます。
  58. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この外環状線ですね、特に武蔵野線あるいは小金線等の工事は四十七年に完成する。こうなりますと、先ほど総裁が申されたように、山手線の貨物がこの武蔵野線を経由するようになっている。あるいはまた、一般乗客がこの武蔵野線を経由して中央線に連なってくるんじゃないか、こういう感じになるんですね。こうなりますと、だいぶ輸送体系が変わってくるんじゃないか、これに対する、国鉄としてこの中央線の工事計画、あるいは特に三鷹−浅川間の複線工事の工事計画ですね、この問題はどういうふうに具体的に進んでいるか、これについて伺いたい。
  59. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 中央線の複々線につきましては、先ほど総裁が答弁申し上げましたが、三鷹までは御承知のように完成したわけでございますが、三鷹から先の複々線の工事につきましては、実は同時に着工いたしましたその他の総武線あるいは東海道線あるいは常磐線等の工事のほうがいまたまっておりますので、まだ三鷹から先への複々線の工事の着工の見通しは立っておりません。これは総武線あるいは常磐、東海道というようなものの進捗状況を見まして、これが完成の大体のめどがついた時点でないと、なかなか新しく着工するところまでいかれないんじゃなかろうか、これは今後の国鉄財政の問題、工事経費の問題等をにらみ合わせながらでなければきめかねると思いますけれども、現時点においては、私たちそういう見通しを持っております。
  60. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この武蔵野線が四十七年に開通する、そうすると国分寺ですか、あるいは西国分寺が駅になるそうですけれども、これが三鷹−立川間が相当輸送量がふえてくるんじゃないか、これに対する対策は全然考えられていないじゃないか、ただ総武線が終わってから、あるいは東海道線の工事が終わってから三鷹−立川間あるいは浅川間の複線工事の計画が進むという状況では、相当の通勤輸送、あるいはすし詰めの上にまたすし詰めが加わるんじゃないか、こうわれわれは考えるわけでありますけれども、この点についてはどうですか。
  61. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 先生御指摘のように、武蔵野線が完成いたします場合には、西国分寺駅で客を中央線に乗せかえて、東京に来る人はそこで入ってくる、こういうようになるわけであります。現時点で三鷹まで複々線で、地下鉄が入っていっておりますが、問題は三鷹と西国分寺の間の輸送力でございますけれども、これは実は最近の中央線の輸送量の伸びの状況等もにらみ合わせながらしなければならないと、なかなかわれわれも決心しかねておるわけでございますが、実は一ときほど輸送量の伸びがあまり出ておりませんというような点と、それからさいぜん申し上げました国鉄の資金事情をにらみ合わせながらでないと、なかなか着工に踏み切れない。もし着工いたしましても、途中で工事をやめるというわけにはなかなかまいりませんので、大体その辺完成し得るように見通しを立てながら着工に踏み切りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  62. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、複線の問題は全然まだ計画外だ、こう受け取っていいですか。
  63. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) この複々線は一応財政再建計画の中では、考えの中に入れておるのでございますが、さいぜんからお話しのように来年度の予算の見通しも立たないという状況でございますので、いつから着工できるかということは、現時点ではまだ見通しはついておりませんけれども、四十六年度あるいは四十七年度以降の工事の、資金の見通しの立った上でないと、いずれともきめかねるというのが現時点における状況でございます。
  64. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは東京都が三多摩のほうに相当公団住宅あるいは都営住宅を建設の予定を、輸送力がない関係で計画を変更したわけですね。それからもう一つは、この三十五、六年ごろから中央線の東立川駅を設置するということは国鉄で決定しておったわけです。ところが、この問題が複線工事、複々線工事に合わせてこの東立川駅を設置する、こういうふうな関係になっている点から考えて、いつ東立川駅ができるかどうか、こういう問題で地元民も非常に不安がっているわけですね。この問題について具体的なお考えを伺いたい。
  65. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) ただいま先生御指摘のように、東立川駅は複々線工事ができる時点で新駅をつくるということをきめております。それで、地元の方も非常にお待ちかねだろうと思いますし、われわれとしても複々線の工事ができましたら至急やりたいと思うのでございますが、何ぶんにも、いま申し上げましたように、まだ総武線あるいは東北線あたりがもたもたしておるような資金状況でございますので、われわれとしては何らかの手が新しく打たれない限り、新規に着工しましてまた膨大な工事の完成までの資金需要ということになりますと、それを途中でストップせざるを得ないというようなことになっても困りますので、その辺できるだけわれわれとしても資金の確保に努力したいと思いますが、そういう事態になるまで、ちょっといまのところ本時点においては御答弁しかねるような状況でございます。
  66. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは複線の問題が資金の裏づけ、裏づけでと、こう話が進むんですけれども、そうしますと、この複線工事は十年間くらいはできない、あるいは十五年間くらいできない、こういう受けとめ方でよろしいですか。
  67. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 実はこれはさいぜんからもいろいろ議論が出ておりましたように、国鉄財政再建計画——一昨年つくっていただきましたあの再建計画の中ではこれは考えられておるわけでございますけれども、この再建計画資金がいまのような状況になっておりますので、着工のめどはついておりませんけれども、着工し得るような資金事情になりましたならば、これは着工いたしましたならば数年でもって完成することは可能ではございますので、問題は資金事情にあろうかと、こういうふうに考えております。着工いたしますと五年以内では、私はいまの感じではできると、こういうふうに考えております。
  68. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、複線工事ではそういう事情でおくれるとしましても、現在の中央線に東立川駅を設置する、暫定的にですね、この問題についてはどうですか。
  69. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 実は昭和三十六年時点でもそういうお話が出たわけでございますけれども、御承知のように、駅をつくりますとそのために停車時分並びに前後の加速度の時分がかかりますので、その間の輸送力そのものを非常に押えることになりますので、その地域の方のためには新駅をつくったほうがいいわけでございますけれども、全列車がそれで押えられる、それと駅をつくったがために列車本数の制約があるというようなことになりますので、いま輸送力の一ぱいのところへの新駅設置については、そういう輸送力をふやし得る段階の時点で新駅設置を進めていくというふうにしております。このケースにつきましても同じことでございます。複線、複々線にした時点でないと、せっかく新駅をつくりましても、逆に全体の輸送力を押えるということになりますので、しばらくがまんしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  70. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあこの問題はこれぐらいにしますけれども、特にこういう通勤輸送等に対しては非常に国鉄は薄情なんですね。ところが、貨物輸送等になると非常に熱心なんです。たとえば、鉄建公団から意見を伺いたいんですが、根岸線とか、あるいは最近できた鹿島線、あるいは岡田線、こういう点については相当な資金を投下し、たとえば岡田線なんかは十月一日まで工事をスピードアップして、トヨタ自動車を運ぶための線はずいぶんできているわけです。こういう問題について、国鉄が貨物優先なのか、人間のための輸送なのか、何だか私はわからないような気がするわけです。  具体的な点をお聞きしたいのですけれども、鉄建公団は根岸線あるいは鹿島線あるいは岡田線等に相当な圧力というか、いろんなうしろからのあと押しがあって、急ピッチで工事が進められた。具体的な問題については、きょうは時間がありませんので、私は一つ一つの問題は論議しませんけれども、こういう三線に特別な配慮を払われて建設された建設の経緯と、それからまた、特に鹿島線等においては別なルートから資金ルートを考えてまでしてこの鹿島線を走らせた、こういう点についての状況を伺いたいと思うのです。
  71. 杉知也

    参考人(杉知也君) それでは根岸線から御説明いたします。根岸線は全体として初めの計画では横浜の西南地区の開発をねらったわけでございます。それであそこいらは、横浜の西南地区は非常に発展してまいりまして、その工事を始めたわけでございます。特にあそこに住宅公団において洋光台団地あるいは港南台団地というような大きな団地をつくっているということで、特に洋光台団地のほうはこの四月ぐらいから入居が始まるというようなことでもって、その間、特に急いでこの三月に開業したというようなことになっております。  それから鹿島線でございますが、鹿島線は、東北地方と京葉地区とを結ぶ準幹線というような考え方でやっております。それで、さらにあそこの沿線の開発並びに観光資源というようなことでもってやっておりまして、それにさらに鹿島の臨海工業地帯が非常に急ピッチで進みまして、それでもってこれの貨物並びに通勤輸送というようなことでもって特に急いでこの八月に開業した、そういういきさつでございます。  それから岡田線につきましては、これは名古屋の環状線といいますか、名古屋周辺が非常に発展してまいりまして、特にいまの岡田線の沿線、岡崎から豊田、それから瀬戸にかけて非常に発展をしている。これのお客さん並びに貨物の輸送に当たるためにただいま建設している線でございます。第一次の予定でございまして、岡崎から豊田の中心、中豊田というところまでの建設を急いでいるわけでございまして、これが大体路盤もだいぶできてまいりまして、たまたまその途中に桝塚というところがございます。それでトヨタ自動車が大増産をやりまして、その自動車の輸送のために、そのできている路盤に単線の線を引きまして——これは将来複線になるのでございますが、単線の線を引きましてその貨物の輸送に当たるというようなことで、この十月一日に開業したといういきさつでございます。
  72. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 資金の裏づけは、三線の資金量。
  73. 杉知也

    参考人(杉知也君) 資金としましては、まず根岸線につきましては、全体として、全部やりますと約百三十二億円かかります。それで、昨年度までに約六十億円を投下しております。本年度は二十七億というような金を入れております。  それから鹿島線につきましては総額が約百八十二億円、それでいままでに決算いたしました四十四年度までが約七十五億でございます。それから本年度が十九億というふうになっております。  それから岡田線につきましては、これは岡崎と瀬戸の間で二百八十四億円、いままで、四十四年度までが約九十億円、本年度予算が二十六億円というふうになっております。  以上でございます。
  74. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 鹿島線は何か特別な方法で金を集めたのでしょう。
  75. 杉知也

    参考人(杉知也君) 特別な金ということじゃございませんで、実は鹿島線はもともとがB線というやつで、まあ国鉄に無償でもってお貸しするというような線でございまして、それでやっていたんでございますが、昨年度約五十億の予算だったのですが、そのうち四十億はいわゆる借り入れ金ということでもってやっておりまして、十億がいわゆる無利子の金というふうになっております。特別にほかから導入したということじゃございません。
  76. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 こまかなことは、きょう時間が限られておりますのでいたしませんけれども、具体的に、たとえば根岸線にしましても、住宅公団から確かに大ぜいの人たちを運ぶという、こういう輸送状況のために鉄道を敷くことは、私は納得できるわけです。ここから、工事を相当なピッチでここを追い込まなければならないと、実際に開通はしましたけれども、洋光台だけで約二千六百軒しか戸数はないわけです。あるいは鹿島線にしましても、百八十二億の工事費の中で、ただ臨海鉄道に連結するための、企業に奉仕するための鉄道を大至急やってしまって、民間の輸送のためには、あと工事がいつになるかわからない、こういうような実態になっているのじゃないかと思います。あるいは岡田線にしましても、トヨタ自動車の自動車輸送をするために、二百八十四億のうちの九十億は使ってしまっている。こういう点を一つ一つこまかく次の機会に、私はこの三線について、いろいろ問題を掘り下げたいと思っておりますけれども、いずれにしても、こういうところには資金が投下されて工事は進められるけれども、ところが、この線が将来敷かれるんだという、たとえば鹿島線の先のほうにしましても、あるいは根岸線の先のほうにしても、あるいはそのほか鉄道建設公団が、ローカル線の、赤字線の廃止に接続するようなところに新線建設をしている、こういうところに実際にくい打ちをされて、そしていっその用地が買収されるのかわからない、いつ工事にかかられるのかわからない。こういうわけで、その沿線の人たちが、たとえば中小企業の人たちがいつ自分の会社が移っていくのかどうかわからない。このために相当な損害を受けている例が数多くあるわけです。こういう点は、はなはだ私は非常に矛盾する問題があるんじゃないかと思うわけです。こういう点について、運輸大臣としまして、こういう鉄道新線建設と、それからまた、特にローカル線の赤字線の廃止されるようなところの問題ですね、ここに新線を建設していくと、こういう矛盾した問題を運輸大臣として今後どう考えられるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  77. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 先ほどの三線については、当局からお答えがありましたからこれには触れませんが、お話しのごとく新線計画と赤字線の廃止という問題で、いろいろ問題を起こしておる点が多々あるようでありまして、この点は根本的な対策と相まって今後新線工事を進めていくべきかどうかということは洗い直す必要があると思います。  ただ、先ほど来答弁がありましたように、まあ鹿島線、私があの付近の出身でありますから、あるいはその点も考えての御質問でもあろうと思いますのでお答えいたしますが、この問題は二十数年前から、あの付近は全く鉄道というものがない。しかも、国定公園の地域として相当の、年間三百万人の旅客が——これは自動車等で来るんでありますが、参っておるということからして、かなり長い間鉄道建設の運動が行なわれておったわけであります。したがって、今度の鹿島線にしましても、地図をごらんになればわかりまするが、鹿島線というのはほとんど観光地を貫いて水戸へつながっていき、そうして北関東の環状線的な役割りをしようということが主たる目的であります。そういう意味において、臨海鉄道との接続は、おそらく臨海鉄道としては比較的長いほうになります。鹿島線は工場地帯にあまり近づいておりません。したがって、臨海鉄道としてはかなり長い距離でこの線につながざるを得ないという結果になったと同時に、あそこに将来三十万の工業都市ができるということになれば、当然付近の通勤というものは考えざるを得ない。そういうような通勤性をも兼ねて、及び観光路線というものを兼ねて鹿島線が計画され、これが十分完成を見た。しかし、御承知のように、北鹿島駅から先のまた工事が、本年度中に入ると思いまするが、土地買収等が進められておりまして、引き続きできるだけ早い機会にこれを進められて、いわゆる北関東の環状線の役割りをなすような形で計画を進めたいと考えております。  新線工事といわゆる赤字線との問題は、御指摘がありましたように、十分これは検討してまいらなければならないと思いますので、目下国鉄においてもこれが検討を進めておるし、運輸省においてもこれが検討を進めて、最善の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  78. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 先ほども運輸大臣に申し上げましたけれども、たとえば新線建設で沿線が、くいが打ち込まれた、いつ工事にかかるかわからない。境界線にある人たちは、たとえば中小企業でいろいろ工事をやっている、時代の趨勢も考えなければならない、移るには資金がない、あるいはまたいつ移っていいかわからない、こういう問題で非常に沿線の人たちが困惑しているわけですね。こういう問題について、もう少し明確に住民たちに納得させるなり、あるいはその移転費をどうするとか、この企業の補償の問題とか、いろんな問題で私は現地の人たちは当惑していると思うんです。こういう問題について、鉄建公団がいま建設中の新線の問題等についても、実際にいつ洗い直してこういう具体的な策を講ずるのか、この点について伺いたいと思う。
  79. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話がありましたように、そういうような場所が幾つかあると存じます。これらについては、やはり政策としてこれがどうするのかを早く決定しまして、そうして地域住民には迷惑を最小限度に食いとめるという措置を講じてまいりたいと、かように考えます。
  80. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 個人タクシーの問題で伺いたいと思いますが、まず最初に運輸大臣に。  個人タクシーの認可の問題がいま非常に話題になっているわけでありますけれども、運輸大臣として、今後の個人タクシーに対する考え方ですね、あるいはまた今後のタクシー行政について、私は検討すべき段階じゃないかと、こうも考えたわけでありますが、まず最初に運輸大臣にこの考えを伺いたい。
  81. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話しのようにタクシー問題は、最近都市交通における大衆のいわゆる足としてかなり重要な地位を占めてまいっております。したがって、この問題が適正に解決されることが都市交通の上における円滑なる状態をつくり上げる一つでもありますので、目下これが検討を加えております。  私見ではありますけれども、実は就任以来、タクシーの免許が非常におくれている実情を調査いたしました。そうしてその間において、従来役所がとっておった繁文縟礼といいますか、非常にめんどうな点を私は発見をした。そこで、代書を頼まなければ免許申請ができないような書類はやめろ、そうして自分自身で書き込みができるような書類に改革しろ、こういうことを命じまして、私は一月や二月でできるものと思いましたが、なかなかめんどうでありまして、約半年以上もかかりましてこの大体の方針が決定しまして、せんだってこれを私がきめまして、最近において各陸運局に通達をいたしました。そうして現在たまっております——東京だけで申し上げますれば六千件ぐらい個人タクシーがあります、これをひとつ急速に処理をしろと、こう申しましたが、審査の済んでいるものが二千件ぐらいあるそうであります。あとはまだ審査が済んでおらない。とにかく審査の済んでいるもの、これを急速に処理しろ、こういう指示を与えまして、この二千件については本年内に約半分を処理して、あとの半分は一月に預けてこれを処理すると同時に、いまたまっているものとあわせて処理をしてまいりますから、だんだんと処理をするのでありますが、それらが全部でき上がったときには、今後は三カ月以内で処理をするような方針をきめろ——こういうことは、一つはむずかしい問題があります。たとえば申請書類に従って申請を出したものを、書類審査の上でこれを返すといいますか、この書類では審査できないとして、それを返す方法が従来の規定では明確でなかったのでありますが、その点を今度は書式上の形式を整えましたから、簡単であっても、それに違反している書類はまず審査の書面でこれを却下をするといいますか、出し直せと言うことができるように処理をしたい。  まあわれわれしろうとが入ってみまして、いまなおわからぬ点がありますけれども、どうして二年も三年もかかっておるのかということはどうも不可解なんであります。まあ、しかし、ただ従来の方針でやりますと、一つはそういうふうになってしまうということと、それならば私は非常に抜本といいますか、蛮勇をふるってタクシーなどは免許制度をやめてはどうかというぐらいの考えを持っていろいろ検討してみましたが、かつてはそういう時代があったわけでありますから。しかし、いまでは自賠法の問題が一つはあります。したがって、個人タクシーであっても、その事業者がそうしたいわゆる保険制度に対応し得る資格があるかどうかも一つは問題になる。かつまた、形式的な書類はいろいろ欠格条項があります。しかし、この欠格条項に対してうその申告をしても、もし書類審査であればわからぬということになってしまう。したがって、やはり最終的にはその人を呼んで、そうして確かめる。あるいはまた、書類審査の方法にいたしましても、これを区役所その他で調べ上げる、こういうことになると、やっぱり簡単には処理ができない。しかしそういっておっても、いままでのようにいわゆる行政処理をしないということは、ある意味におけるこれは行政処理権の放棄でありますから、したがって、少なくともある一定期間、私は一応三カ月以内に処理すべし、いまのやつが整理ができた暁においてはこれをすべし、こういうような方針を今後は明らかにして、そうして問題の解決をはかっていきたい。したがって、どうも私自身もかなり蛮勇をふるってやるつもりで処理をしてまいったんですが、免許制度をやめるというわけには実際上はまいらぬようであります。  問題の考え方ですが、確かにタクシーというものは都市交通における大衆交通機関の一部ではありますけれども、ただ、バスあるいは地下鉄、その他国電等々と違うところは、かなり合理化の範囲が狭いのでありますからして、またもう一つは、他のいわゆる公的な交通機関があるのでありますから、一種の公的機関ではあるが、選択されていい交通機関である、こういう点も考えられると思います。そういう意味において、いわゆるタクシー業というもの、あるいは個人タクシーを含めて、これらのあり方というものをひとつ考え直す必要があろう。それによって、やはり料金制度等も抜本的な考え方をしなければならぬときがあるのではないか。いますぐどうするわけではありません。こういうような観点から、目下抜本的な将来の方法についても検討を加えておる次第であります。
  82. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 事務当局に伺いたいんですが、現在たまっておる約六千件ですね、これについてはいつまでに処理ができるのか。それから、新しい自動車局長通達が各陸運局に配付されて、実施の段階に間もなくなるんじゃないかと思うんですが、この改正点ですね、どういう点が簡素化されたか、どういう点が公表されるか、この点について伺いたい。
  83. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  まず第一の御質問でございますが、先ほど大臣から申し上げましたように、四十五年十一月末現在におきまして、東京関係個人タクシーの案件は約六千三百件ほどたまっております。その六千三百件のうち約二千件が聴聞が済んでおります。ただ、この聴聞が済みましたものの中で過去三年間無事故、無違反という経歴調査と申しますか、そういう調査が済んでおらない人のためにまだ結論が出ておりませんが、いま大臣がお答えいたしましたように、この十二月、あと一カ月足らずの十二月に千件だけを処理し、残りの千件近くを来年の、大部分は一月、一月に処理できないものは二月中までには処理をしたい。したがいまして、聴聞済みの約二千件については来年の二月までに結論を出したいというふうに考えております。それから、そのあとの約四千三百件ほどたまっておりますものは、来年の二月ぐらいから聴聞を開始いたしまして、それから聴聞が大体来年の十一月ごろまでに終わる。そうしていま大臣が申し上げましたように、聴聞後三カ月以内で処分をするということでございますから、四十六年の四月ごろから四千件の最初の処分が行なわれて、おおむね来年中にはその四千件の処理が終わる、こういう計画をしておりまして、これには相当部内で配置の強化等を行ないまして人員の増強をやらなければいけませんので、そういう処置をあわせて講じて、極力こういう処置ができるように努力したいと思っております。  これも大臣からいま御説明がございましたように、私どもとして十一月二十八日に地方の陸運局の自動車部長を集めまして会議をやりまして、その会議後十一月二十八日に通牒を出したわけでございますが、この通牒の要点は、特に個人タクシーについて申し上げますと、免許の資格要件を明確かつ具体的にきめる。そうしてこれを公示する。たとえば年齢の点でございますけれども、従来はおおむね三十五才から六十五才と書いてありましたのを、申請の時点において三十五才から六十五才までというふうに明確にきめまして、そうしてこれはあらかじめ陸運局のほうでもって公示をする。したがって、申請する方はその申請の要件を見て、自分が該当しなければこれは応募の資格がないということになります。いままではおおむねでございますから、そこに裁量の余地があるということもございましたが、今回は客観的な基準をきめてやるということに明確にいたしました。それから申請の資格でございますが、これもいろいろといままで公示されておりましたものは、たとえば運転歴がおおむね十年であるというようなことでございまして、その中において、過去三年間におきまして、無事故、無違反というような規定がございました。これもはっきりとして、過去三カ年において道路交通法あるいは道路運送法に対して無事故、無違反であるというような要件をはっきりきめまして、それを年齢の要件と同じように公示をするということの措置を講じておるわけでございます。  これも大臣のおっしゃいましたことの補足でございますが、従来は申請の様式というものにつきまして格別の様式がなくて、まあ法律あるいは省令を詳しく読みますとわかるわけですが、なかなか一般の方にはそういうわけにいきませんので、今度はその様式をあらかじめきめまして書き込み式にする。そうしてその資金関係は、たとえば、どのくらいの資金があるかとか、車両は何両あるかとか、運転経歴についても具体的な欄を設けるというような書式をきめまして、それに簡単に書き込めばいい。それに対する証拠書類を持ってきなさいという添付書類を具体的にきめまして、これを申請者に対して十分徹底を期すようにする。そうしてその書類を持ってくるようにする。したがいまして、書類を受け付けた時点におきまして、もうすでに欠格——応募資格がなければあなたはだめですよということを御本人に話をするということをやりまして、それで審査はできるだけ人員をやりくりをいたしまして、東京陸運局の担当の課の審査人員をくめんをしまして処理をするということになると、三カ月ぐらいで今後は——いまたまっております六千件が済めば、あとは本人が申請を出しておおむね三カ月ぐらいで結論が出る、こういうことにしたいと思いまして、目下その方針を地方に通達をし、東京陸運局に対しては特に強力にこれを指導している、こういう状況でございます。
  84. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、先ほどの質問ですが、四十六年の十月か十一月ごろまでに大体処理ができる。そうしますと、今後新しく申請する人ですね、その人に対しては四十六年の暮れから四十七年にかけてでなければ許可がおりない、こういうことになりますね。
  85. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御質問の件でございますが、したがいまして、現在未処理になっている案件が片づきませんと、いま御指摘のように、いま直ちに申請を出されてもあと一年ぐらいはかかる。これは御本人にとってみれば、たいへんな長い期間だと思いますけれども、私どもとしては、いままで二年半くらいかかりましたものを、この期間に一年ぐらいに縮めまして、これが済めば暦年四十七年からは、いま申し上げました三カ月ぐらいの処理でやっていく。こういうふうに、経過期間としてこれはやむを得ないかと思います。一年ぐらいはお説のとおりかかると思います。
  86. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間がないので次の問題に移りたいと思いますが、車検の問題について二、三お伺いしたいと思います。  私も検査場を何カ所か歩いてみまして、実際現地で働いている検査官というのは、オーバーワークでがんばっているということを私は実際見ました。この状態で、約三千万台になろうとしているこの自動車、現在の民間車検の問題もあるでしょうけれども、検査官の要員確保というのは実際できるかどうか。結局、現場で働いている人たちがかぜを引いても休めない、こういうふうなオーバーワークぎみの仕事をし、とかくすれば検査の粗雑性があらわれてくるのではないか。こういう点、私は心配するわけです。この問題について、検査官の要員確保の問題あるいは養成の問題、この点いついては運輸省どう考えますか。
  87. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御指摘のように、自動車の激増に伴いまして、検査要員の確保、養成ということは非常に重要な問題でございますし、また私どもも今度の予算要求におきましても、要求といたしまして、検査要員八十四名を四十六年度に要求いたしておるわけでございます。しかしながら、それでは自動車の激増に追いつきませんので、現在私どもが考えております計画では——現在全体の自動車検査の件数のうち約七〇%を国の検査官が検査をいたしております。そして三〇%が民間の、いわゆる民間車検といわれます指定整備事業者に検査を委嘱をしておるわけでございますが、これをだんだんと——長期計画を立てまして、現在私どもの計画といたしましては、四十八年度におきましてはこの比率が逆になって、三〇%が国みずからがやる検査官による検査、あとの七〇%は、民間の指定整備事業者の指定を拡大いたしまして、そして民間の指定されました検査員による検査をやるというふうに考えておるわけでございますが、この点につきましては、大臣からも、もっとこの比率を高めてそれを早急に対処するようにという御趣旨でございますので、さらにもっと検討を進めて、もっと検査が円滑に行なわれるようにしたい、かように考えております。
  88. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 民間車検のことも非常にけっこうだと思うのですけれども、これの弊害の問題については、きょう時間がありませんので、申し上げませんけれども、民間車検に委譲されて、ペーパーチェックだけで民間車検に対する弊害が数多く出てきているという例も私も伺っております。これに並行して、結局車検員の不足、あるいは車検場対策の、非常に弱体化の問題にからんで、いろいろ外郭団体が手を伸ばしている例が非常に多くあるわけであります。たとえば、車検登録は、車検するのに証紙は幾らしているのですか、運輸省は。
  89. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  検査の関係の費用でございますが、まず、登録の費用から申し上げますと、登録につきましては、新規登録が一両あたり二百円でございますが、検査につきましては、新規検査は、普通車七百円、小型車五百円、こういうことになっております。
  90. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 古いやつも。
  91. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) それでは申し上げますと、継続検査、つまり、一ぺん新規検査を受けたやつが、継続して検査を受けるものにつきましては、普通車六百円、それから小型車四百円ということになっております。
  92. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 こういうふうになっているのですが、実際に自動車の車検場に行って払う段階になってきますと、いろいろな横から取られるものがずいぶん出てくるのです。たとえば愛知県の車検場に行きますと、登録証紙が大型六百円で、それから協力費という形で一台について二百円取られるわけです。それから記録簿というのが必要らしいですね。原価十円の記録簿が、この記録簿を手に入れてサインしてもらうと百十円かかるわけです。こうなりますと、一台の大型車を継続車検してもらうためには、実際、運輸省は六百円だと言われているけれども、一人一人の負担額は九百十円になっているわけです。こういう問題がどういうふうな形であらわれてきているのか。聞くところによると、運輸省の予算が少ないので、あるいは検査員が少ないので、そのために、愛知県の場合は、自動車会議所から要員を車検場に派遣している、そういうふうな例があるわけです。あるいはまた、こういう協力費という名目の金から車検場の用地に先行投資をしているのだ、こういう例が愛知県に現実にあるわけです。こういう問題についてはどうお考えですか。
  93. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御指摘の件でございますが、たとえば六百円という国の検査に要する費用でございますが、これは現金収納ではございませんで、指定の売りさばき人から印紙を買って、その印紙を貼付して払うということでございまして、これはそういう形で国庫の収入になるわけでございます。ただ、ただいま先生がおっしゃいましたように、検査場あるいは陸運事務所等に隣接をいたしまして、たとえば整備振興会とかあるいは自動車会議所とか、そういう自動車関係の業務をやっております外郭団体がおりまして、それが業務の関係上、陸運事務所、あるいは車検場等に隣接したところに事務所を持っております。そうして、それがいろいろユーザーの要請によって手続を代行するというようなことをやっておることは、御指摘のとおりでございますが、そこで、その六百円なら六百円の印紙で国に納める金にプラスして幾らかの支出がなされているというお話でございますが、これは業界団体が、その業界団体の維持運営に充てるために個々のユーザーといいますか、申請者からもらい受けているお金をおっしゃっているのだろうと思いますが、私どもとしては、厳重に経理区分をいたしまして、もちろん国の車検の費用は、いま申し上げましたように印紙で納付をしてもらっておりますし、現金でもらっておりませんが、協力会等の経費等につきましては、これは全然国としてはタッチいたしておりませんが、たまたま隣接の場所にいるというようなことから、その手続の委嘱を受けた人が一連の作業として手続をするという関係から、まあいろいろむずかしい面が、外部から見ますとそういう誤解と申しますか、そういうケースがあると思いますが、この点につきましては、私どもあくまで厳正に指導していきたいと思っております。  それから御指摘のように、車検場等の用地を取得する場合に、外郭団体の協力を求めた事例があるという御指摘でございますが、私どもが承知いたしておりますのは、こういうケースがございます。つまり、車検場等を創設いたします場合には、御承知のように地価等が非常に値上がりいたします。そういう関係で、国としては、そこに車検場を設置するという計画を立てましてその買収の予算を獲得するまでになかなか日にちがかかりまして、通常二、三年かかる。その間にその用地がほしいと思いましても、なかなかできないということから、地元の自動車会議所あるいはその他の公益法人が、その公益法人の名においてその土地を確保される。そうしてそれを、国の予算ができた場合に、国にそれを譲渡されるということで、国としてはこれを予算化して適正価格で買い受ける、そういう例がいままであったわけでございます。こういう点につきましても、私どもは外部の団体に御迷惑をかけないようにできるだけやっていきたいと考えおりますけれども、用地取得の困難性から、いま御指摘のようなケースが二、三あったということはお話のとおりでございまして、この扱いにつきましては、私ども十分今後けじめをつけてやっていくように努力をしたいと思います。
  94. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 何かくされ縁みたいな、何かいやな感じがずいぶんあって、その結果が一人一人の国民にしわ寄せされている、こういう例が、たとえばもう一つ、新車登録が二百円で運輸省は済むわけですね。ところが、この車庫証明をもらうのに一枚三百円、安全協会の発行がなければもらえないわけです。登録費よりも車庫証明のほうが高いんですよ、原価二円らしいんですが、この用紙は。ところが、安全協会が出すのが一枚三百円。こういうような例が数多くあるんですね。私はもっと出せば幾らでもあるんですけれども、たとえば名古屋の八事の車検場、国有地が車検場になっておって、その周辺は自動車会議所の建物になって、民間団体のものになっているわけですよ。そこには民間の自動車会議所から派遣された要員がいて、そこで一人一人の車検者から金をもらわなければ取れないからという形でそこで取っているわけですね。ほんとうに国民は、言ってしまえば自分は実際に運輸省に納める金だと思っているわけです。わからないんですね、その内容は、こまかなことは。用紙は一ぱいあるんですね。その用紙一枚買うのに、ずいぶん高い用紙を買わされているわけですね、原価から考えてみれば。そういうふうな矛盾したことがあまりにも多くある。その上に立っている外郭団体の長が、やはり昔、元何々経験者であるとか、そういう形はあまりにもまずいんじゃないか。特に車検場の問題にしましても、整備振興会あるいは自動車会議所もいろいろ目的があってやられていることは私は十分承知でありますけれども、そういうふうにして、不明瞭な協力費であるとか、あるいは記録簿に金を取らなければいけないとか、そういうふうにしなきゃならないものかどうか。あるいはそういう体制でそこの場所で取らなければいけないのか、運輸省と一体となってやっていくような感じを与えているような方法がいいのかどうか、この点について運輸大臣どうお考えになりますか。
  95. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まあ原則としてはやっぱりそういう点は明らかにするほうがいいと思います。ただ実際問題として、たとえば労働組合が給料の中からやっぱり役所の中で天引きしてもらうというようなやり方もあるわけですから、ただ問題は、その振興会なりそういう協力会なりがユーザーのためにある協会かどうかということが問題でしょうが、ユーザーのために相当の貢献をしておるなれば、まあ協力会というか、そのほうの、運輸省関係ありませんけれども、そちらのほうで金を取るということはやむを得ない処置であるかもしれませんが、取る方法を十分間違いのないように、できればそういうものとは分離してやってもらえればたいへん好都合だと思います。  ただ問題は、来年度も予算要求をいたしておりますけれども、御承知のように軽自動車も今後車検をやれと、あるいは従来二年に一ぺんであるやつを一年に一ぺんくらいに縮めなければならないという安全対策の上から、そういうようなことになって安全対策が中心になってまいりますと、相当やっぱり車検の技術も向上しなければなりませんが、同時にまた、非常に多数の人間が要る、そういう意味において、はたして現在のような制度をそのまま続けていっていいかどうか。ただ安全対策というあるいは国が安全車に対する監督権を行使するという意味で言うなれば、国が直接に全面的にそういう措置をとることが好ましいことには違いありません。けれどもしかし、こうした全体的なものとして非常な激増を将来示していくという事態に行政が追いつけるか、現状のようなやり方でこれはひとつ皆さん方とともに研究すべき問題であろうと思います。で、たとえば船の場合において、国家でやるべき仕事を海事協会という手によってこれを進めていっております。その海事協会を国が厳重に監督をする、こういう二段がまえの組織をとっておりますが、私は、私見ではありますけれども、将来こういう問題も、やはり整備工場、いわゆる民間にまかせる方法をとってだんだん進めてまいっておりますけれども、これは思い切ってやっぱり抜本的な措置を考えていかないと、いま皆さんのほうから言われておる二年に一ぺんじゃこれからはなかなかもう安全が保たれぬじゃないか、一年に一ぺんくらいはやる必要があろう。あるいは軽自動車も、近ごろ軽自動車の交通事故が多いですからこれもやるべし、こういうことになってまいりますというと、いわゆる定員の中での仕事というものは限りがあるということになりますから、思い切ってやっぱり車検を民間の工場でやる措置を進めていく。それがためには、これはユーザーのためでもあり交通社会のためでありますからして、それに必要な費用というものはやっぱりこれはユーザーのほうが私は持つべきものだろうと思うんです。当然持たなくちゃいかぬと思うんですね。何もかも税金でこれを処理しなければならぬという考え方は少しだんだんもう時勢に適合してこないんじゃないか。こういう意味からいっても、ことに自動車関係においてはいろいろな問題があると思います。たとえば登録問題でもそうです。登録問題にしても、従来のようにまあわずか三百万台、五百万台というときならいざ知らず、今日すでに二千数百万台、あるいは十年後には三千万台をこえ、二十年後には四千五百万台、こういう状態になってくるときに、なおかつそれを、いわゆる登録は国家事務であるといって国家がこれを扱っておることははたして適正かどうか。十分なる手が回らなければかえって登録事務においても落ちるべきことがある。もちろんこれは登録事務の中でも全体的なシステムとしてとらえるべきものはこれは国がやらなくちゃならぬ。しかし個々の、つまり全く能力の必要のない登録事務まで国がやらなくちゃならぬかどうか、これは近代社会として抜本的に検討すべき問題であると思います。  話が横にそれましたが、自動車問題はかなり近代的な性格、問題を帯びておりますので、皆さんの御意見を徴しながら抜本的な対策方針を立てていきたい、こういう方針でまいりたいと思います。
  96. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この協力費の問題とか記録簿の問題あるいは車検に関する車庫証明の問題ですね、こういう問題については自動車局長から厳重な監督をしてもらいたいと思います。これ全国いろいろ違うらしいです、協力費とかあるいは記録簿の費用は。まちまちなんですね。非常に不明瞭です。この点は明確にしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、整備業者に公害を防ぐためのガスメーターですか、これを全部取りつけさしたわけなんですね。ガスメーター、COメーターといわれております、これを整備業者に購入をさしているわけでありますけれども、実際にこのガス発生する発生源のほうはメーカーにあるわけですね。したがって、こういう問題についても強制的に整備業者に購入はさしているわけですけれども、メーカーには何の負担もない、こういうふうなんではあまりにも不都合ではないか。せめてこういう整備業者にしてみても、二十五万、三十万、こういうものを、ガスメーターを購入させられた、この問題についてもやはり特別償却なりあるいは減税の対象にしてやるなり、いろいろな点を考えてあげなければならないのではないかと思うのですね。ただ整備業者だけに購入をしろと、メーカーのほうは知らない、自動車メーカー、自動車工業会のほうは全然知らない、これではあまりにも弱い者いじめじゃないか、こういうように考えるわけですが、この点についてはどうですか。
  97. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生の御質問は、指定整備事業者にいわゆる排出ガスの測定器の購入を義務づけた、こういうお話であると思いますが、御案内のように、排出ガス規制を保安基準に基づきまして実施をいたしておりますために国と同等の資格においてその排出ガスを検査する、そういうことから、指定整備事業者にとっては排出ガスの検査器具を備えるということはこれは必要なことでございますので、そういう意味で指定整備事業者には排出ガスの測定器具の備えつけということをこれは命じたわけでございます。  それから指定整備事業者以外の一般の整備事業者については、整備業務の内容を充実するためにはやはりそこに測定器があるほうがベターであるという意味から、勧告的に備えつけを奨励をしたわけであります。ただ、先生のおっしゃるように、税制等についての特別の配慮を考うべきだという御意見、まことにごもっともでございますので、この点につきましては私ども今後とも税務当局と十分検討をして、それが実現できますように努力したいと思っております。
  98. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは時間が参りましたので、最後に、沖縄の自動車整備事業について伺いたいのですが、現在沖縄に六百五十社ばかりの琉球政府の認証工場が、整備業者があるわけですが、これは復帰後どういうふうにこの整備事業が扱われるか、この点について伺いたいと思います。
  99. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先生の御質問でございますが、沖縄の復帰後におきましては、私どもも先般担当課長等を派遣いたしまして調査をいたしましたし、それからまた、沖縄の自動車業者を所管しております通産局長、それからその通産局の下におります運輸部長が私どのところに参りまして、いろいろと意見交換をいたしました。したがいまして、沖縄の本土復帰後につきましては、もちろん原則として車検整備に関しますところの法令は全面的に適用になるわけでございます。ただ、御指摘のように沖縄と本土とはその整備技術の水準というものに相当の開きがありますから、まず復帰前の段階におきましては、私どもはできるだけ技術指導といいますか、協力の関係において現地の技術指導につとめましてレベルアップにつとめたいというふうに考えております。それから、復帰後につきましても、直ちに本土の基準を適用するということは、いかに復帰前においてレベルアップのための指導協力をしましても、全面的にこれを適用することは無理かと思いますので、経過規定と申しますか、若干現地の実情に相応した経過規定的なものを設けまして、そしてその間さらにレベルアップのための指導協力をしたい。そういうことで全面的に一応適用はいたしますけれども、所要の事前の指導協力、それから事後の何といいますか、経過措置というようなことで、完全に全面的に適用されるまでの間所要の措置を講じたい、かように考えております。
  100. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、復帰時点において現在の整備業者がそのまま継続して整備業者としてできる、こう考えてよろしいですか。  それからもう一点は、現在沖縄にある車検制度は非常に不備なんですね。したがって、復帰時点において整備業者としては日本並みの車検制度を確立してもらいたい、日本本土法を適用してもらいたい、こういう要望があるわけですが、この点について。
  101. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 第一点のことにつきましては、現在沖縄でランクされております整備業者の資格と申しますか、それはそのままの形で復帰後適用をいたしたい、このように考えております。  それから、第二の点でございますが、これもお説のように、沖縄の車検制度と本土の車検制度とは違いますが、復帰後におきましては本土の車検制度、すなわち国による車検とそれから民間指定整備工場による車検とをやりたいと思っておりますが、現在の沖縄のいわゆる指定検査人と申しますか、この制度につきましてはいろいろと技術的にも問題があるようでございますので、また一方ではそういう方々がおられますので、この方々の処遇も、これは沖縄政府において、まあ私どもも協力をいたしますが、考えていただかなければならない問題があると思いますが、制度といたしましては本土と同じ制度を適用していく、こういうふうに考えております。
  102. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから最後にお願いしたいんですが、沖縄の整備工場で、確かに整備工場は二級免許を持ってなきゃできないわけですね。ところが、二十年も二十五年間も実際に整備業者の主人は、勉強もしてない、技術面では十分な力を持っているけれども、現実に試験制度になってくると、外車を扱ったり、右ハンドル扱って、名称も違う、いろんな点でそごを来たすんじゃないかと思うんですね。したがって、認証工場の少なくとも六百五十社については、従来どおり、検査員の人がいなくなっても、この人には免許状だけは与えないでも、せめて継続して事業ができると、この点は私は認めてあげてもらいたいと思うんです。  もう一つは、企業の近代化が騒がれてくると思うんです。したがって、小さい整備業者に対しても、中小企業育成という名目のもとに、特別の資金の援助ですね、近代化資金等も考慮していただきたい、これをお願いするわけであります。この点について御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  103. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 第一点でございますが、先生の御指摘の検査主任者の資格要件の問題でございますが、これは現在そういう資格を与えられている方につきましては、それをそのまま本土復帰後も継承をするというたてまえでいきたいと思います。もちろん、その間いろいろ研修をやるとか、そういうことで協力をして、できるだけその方々の技術のレベルアップに協力をしたいということで考えていきたいと思います。  それから第二の、そういう整備に要する資金の問題につきましては、これは私ども今年度予算で、本土におきましても、いわゆる中小整備工場に対する長期低利の融資を目下予算要求中でございますので、沖縄復帰後におきましても、そういう制度を特に中小企業の多い地域においては適用する方向でやりたいと思っております。ただいまの先生の御意見も十分拝聴いたしまして、今後そういう方向でさらに努力をしたいと考えております。
  104. 山田勇

    ○山田勇君 個人タクシーの営業についてちょっとお聞かせ願いたいと思うのですが、先日都内で個人タクシーに乗りました際運転手が申しますには、十時以降深夜にかけて二回なり三回、銀座などの繁華街に入らなければいけない、半ばこれは強制的に達しがあるので困っているというようなことを言っておりましたが、この点個人タクシーにそういうような義務づけがあるのか、あればどこからの通達で、個人タクシーの営業内容、それを義務づけしているようなこの特別の指導要項があるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。個人タクシーは限られた走行キロ内に、就業プランというのは、個人の生活環境によりまして立てて走っているというようなことで、苦情が多いようでございますが、この点、一点だけお聞きしておきたいと思います。
  105. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいまの御意見の点でございますけれども、実は毎年のことでございますけれども、年末年始等におきましては、非常にタクシー事業については繁忙期になりますし、特に繁華街等におきましては、タクシー需要が多いわけでございます。したがいまして、私どもとしては、かねてからタクシーの適当な供給ということに尽力をしておったわけでございますが、ただいま先生の御指摘の点はこういうことであろうと思います。東京におきましてタクシー近代化センターというものが、この前国会でお認めいただいた法律に基づきまして、適正近代化業務を始めたわけでございますが、それに関連をいたしまして、タクシー業務を適正にやるために、一方におきましては乗車拒否をなくすというふうな指導もいたします。それから特に銀座等の繁華街におきましては警察の協力を得て、タクシー乗降場というものを指定をして、そういうところ以外にはタクシーの乗り入れを禁止するというような措置をやるように、いま警察当局と連絡をして準備をいたしているわけでございます。しかしその反面、乗降場所を一定の地域に制限する、また一定の地域への乗り入れば禁止する、そのかわり都民の足としてそこに一定の数量のタクシーを計画的に配車しようということで、計画的に配車をしようという一つの運動といたしまして、計画配車の運動を東京におきましては東京陸運局が指導をしているわけでございます。したがいまして、十一月二十日に、いま私が申し上げましたような趣旨から、東京陸運局長から、いわゆる法人タクシー協会、それから個人タクシー協会等の四タクシー団体の長に文書を出しまして、銀座地域におきましては、そういう乗りおりの場所を指定することとし、また乗車禁止地域を指定すると同時に、一日大体、法人タクシーが二千五百両、個人タクシーが約千両というものを計画配車したい、それによって、そういう基本的な方針に基づいて、業界団体において計画を立てて、計画配車をしてほしいという要請をしております。その要請に基づきまして、個人タクシー協会も法人タクシー協会と連絡をとりながら、タクシー近代化センターがその事務局となりまして、一方では乗り入れ禁止、乗車地域の指定をやりますと同時に、そういう計画配車をするという指導をやっているのが実情でございます。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 個人タクシーの免許申請があるにもかかわらず、だいぶ事務がもたもたしていることについて、質問を予定しておりましたが、三木委員のほうから先に質問がありましたから、この点は触れませんが、ただ一つ、こういった事務が渋滞をするということに関連して、この背景に何があるか、こういうことを私はちょっと考えてみたのでございますけれども、一方では営業会社のほうで、個人タクシーをふやすことに対して、どうもよく思っていない、こういう実情があるようですね。そういうことを現在方々のタクシー関係の方から聞くのですが、そういうことで陸運局が毅然たる態度でやっているかどうかということですね。だから事務の簡素化なんていうことは、いまごろ訴訟を起こされて、せんだって百一名の方が東京陸運局長を相手どって不作為の違法確認ということで訴訟を起こしている、そういうことから出てきたんです。だいぶスピード化するというお考えになっていただいているんですけれども、さっきも「ていむず丸」で言ったように、どうも行政というものがあとからあとからついていっているんですね、実際の問題として。そういう点私は非常に遺憾に思うのです。  それから、たとえばホンダN三六〇の二重登録の問題等についても、ああいったこと、それを専門に登録をしている陸運局の皆さんの目が、どこかにかすめられてしまっているのは一体どういうことか、非常に疑義に思うのですよ。それから、いまも出ましたけれども、料金値上げをしたときに、乗車拒否をいたしません、それからサービスもよくしますと、こう言って無理に上げたにかかわらず、半年間の経過を見ておると、乗車拒否というものはふえるばかりですよ。サービスは一向によくならない。それでまた料金を値上げしようという動きが出てきている。私はけしからぬと思うのですね。だから、タクシー近代化センターをつくって、そこでその不法運転手の登録をして処分をするということもやっているんですが、そのタクシー近代化センターそのものが、一社三万円の拠出についてもまだ出さない、半分なら出すとか出さぬとか、そんなことまで言っているんですよ。一体タクシー行政というものは何かということを非常にわれわれは疑問に思うわけですよ。もう少し本気を入れて運輸省やってほしいと私思うのですよ。そうでないと、もう何か業界に押されてしまうような姿であっては納得できませんよ。これはそういうふうに見えるということを私は言うので、感じを申し上げるわけですけれども、どうかひとつ陸運局は前向きな姿勢でやってほしいと思います。ですから、その基本的なことだけちょっと大臣から伺っておきたいんです。局長でもけっこうです。
  107. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) お答えいたします。  まず第一番に、従来の事務処理が非常におそかったということについては私どもまことに弁解のことばはございませんが、私どもとしてはできるだけ限られた人員の中で事務処理を迅速化していきたいと思ったわけでございますが、まあ特に大臣の強い御指示もございまして、この夏口から研究をいたしましてやっと最近通牒を出しましたような——先ほど三木先生にお答えいたしましたような事務処理体制がやっと踏み出しかけたところでございますが、今後はこの線に沿って極力努力をしていきたいと思います。ただ、調査に時間がかかりますのは、やはり無事故、無違反の調査というものについては粗漏があってはならないということから多少調査に時間がかかったということでございますが、この点今後も三カ月かかるというのは、それが一つの大きな原因であろうと思いますが、さらにこれもできるだけ縮めていく努力をいたしたいと思います。  それから、二重登録というお話でございましたが、これは軽自動車でございまして、登録ではなくて届け出制でございます。そういう意味で多少何といいますか、手続が簡素でありますために、またメーカーからの蔵出しのときに——これは私どもの弁解のことばにはなりませんが、メーカーが車を売りますときに発行しておりますナンバーのつかない、何といいますか、販売事務というもののずさんな管理によって二重届けが行なわれたということの監督の責任を私ども痛感しておりますので、これも先般管理体制の強化ということをメーカーに厳重に注意をいたし、また私どもも出先について注意いたしたわけでございます。  三番目のタクシーのサービス改善につきましては、先生御指摘のように、依然としてサービスの改善が遅々として進まないということにつきましては、私ども日夜焦燥を感じているわけでございますが、まあ大阪におきましてはおくればせながら近代化センター負担金もきまり、適正業務にも本格的に取り組もうという態勢ができてまいりました。東京におきましても、近代化センターの特に適正化業務の発足につきまして、いろいろと努力しておりますけれども、これが遅々としておくれていることにつきまして、まことに私ども申しわけないと思いますが、これもとにかく一刻も早く近代化センターを発足さして、適正化業務をやるようにということで、日にちは迫られておりますので、先ほど山田先生にお答えいたしましたように、計画配車あるいは乗車禁止区域の指定というようなこともございますので、一そう彼らを督励をして適正化業務をすみやかに開始できるように指導したいと思います。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 次に、先般答申が出ました航空政策の基本方針の中で若干伺いたいのでありますが、従来の方針というのは、日航と国内航空を合併して運営の一元化をはかる。これが今度の答申を見ると、国内航空と東亜航空が日航の協力を得て、民間資本が参加するような形で新会社をつくる、こういうことになっております。それで先般十一月二十日の閣議では、この答申について、第一の「航空輸送の運営体制つにいて」の「国内航空」と「国際航空」の二つについて閣議了解を得たようでありますね。ところが、空港整備の問題が第二ですね、第三の乗員養成の問題、第四の航空保安体制の問題、われわれから見ると、こういう問題はきわめて重要な点でありますから、少なくともこれらの点についても同時に、閣議の了解を得て、政府が具体的にこうするのだというしっかりした柱を据えて、それに対する計画と予算の裏打ちをしていくというのが筋だと思います。ところが、この二、三、四については、どうも十一月二十日に同時に閣議の了解ができなかったということについて、たいへん私は片手落ちのように思います。  そこで第一点の国内航空の営業体制の問題で、今度の答申にありますように、日本国内航空と東亜航空、これが日航の技術支援を得て、しかも資本参加も受けるというように答申が出ておりますが、何か従来の方針から見て、こう一つ逆転換したような気もするわけですけれども、どうしてこういうようなものが出てきたのか私よくわかりません。政策上こういうことがいいというので専門の方々が答申なさったことですけれども、よくわからない。政府はこれを受けて従来の方針を変更し、この方針でいくということできめたわけでしょう。これは各会社の利害関係もあると思います。特にわれわれは、利害関係もそうでしょうけれども、これからの国内航空と国際航空がどういうふうなバランスの中に、安全しかも安く乗れるかというそこらの交通体系に対する問題として受けとめるわけですから、その際に一体どれがベターなのかということについては、なかなか国民としてつかみにくいことですけれども、しかし、営業のほうからすれば経営ということを非常に考えなければやれないわけですから、その辺が政治とどういうふうにからまっていくのかということもよくわれわれにはわからないわけです。だから、大臣として閣議了解を得るにあたって、従来の方針から転換をするということについて、どういうところに問題があったのか。それともう一つは、いま言った二、三、四の重大な点が同時に了解を得なかったということについては、私は不満であるし、片手落ちであると思っているのですが、いかがでしょうか。
  109. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 航空企業の再編成の問題はかなり重要な問題でありまして、私はこの問題を処理するにあたって、総合交通体系という観点に立ってやはりこの航空再編成を行なうべきである、こういうたてまえからその問題に取り組んでまいったものであります。運輸政策審議会におきましては、こういう最近における情勢の変化に伴うということは、この前の閣議了解を得ました時点におきましては、今日予想せられるような旅客輸送の激増というものは必ずしも予測されておらなかった。そういう意味において、この前の閣議了解の内容は、必ずしも私は総合交通体系の上から考えたものとは受け取れない節がいろいろあります。同時にまた、事実上の問題におきましても、この前の問題処理方針がなかなか実際上は実現もできなかったという点もありますが、それはバックグラウンドとして情勢が変わってきたということであります。  この前も申し上げましたが、航空懇談会——稲葉秀三さんが座長でやっておりました、この懇談会におきましては、将来二十年後の日本の、昭和六十年の時点における日本の国内輸送等の状況は現在の約十数倍といいましょうか、一億二千万に達するであろう、国際のお客さんも一千万をこえるであろうという、非常に膨大な数字が出されておるわけであります。必ずしもこれが正確な数字かどうかは別にいたしましても、最近の情勢から見ればこのような変化は予想される。それに対して、従来閣議で考えました、いわゆる企業の運営があれで対応できるかどうかということについて、私自身も疑問を感じておったわけであります。運輸政策審議会は、御承知のように、メンバーは利害関係者は一人も入っておりません。全く学識経験者で審議会が構成されております。ただ、実情を聞くためには随時審議会が関係者を呼んで意見を徴したということはありますけれども、審議会のメンバーには利害関係者は特にこれを入れておらない、公正を期したいということからして関係者は入れておりません。こういう意味において、この答申をいたしました運輸政策審議会はそういう長期展望に立って、やはりこれからやるべきことをきめてくれたわけであります。  いま御質問のあった重要な、たとえば乗員の養成あるいは空港整備、こういう問題をなぜ閣議了解にしなかったかというお話でありますが、実はこの閣議了解は、企業の運営体制に関して閣議了解をとりましたが、これはその前の閣議了解がやはり企業の運営体制についてのみ閣議了解を求めてあるわけであります。したがって、文書としては、この前の企業の運営体制の変更を意味するものでありますから、その点だけ閣議了解をとりましたけれども、全体としての答申は、添付書類として、やはり閣議了解を求める際に全体の答申の了承を求めております。したがって、実質上の閣議了解を求めたということにはなるわけであります。文書としてはそのうちの企業運営のみを取り上げておりますけれども、全体としては報告書を報告し、それを口頭了解を得て、そして文書の必要な部面だけは文書の閣議了解にした、こういう点において、鈴木さんがおっしゃるように重要問題でありますからして、実際上の口頭了解としては、空港の整備、あるいは安全体制、あるいは乗員養成、これらの問題を含めて口頭で了解を求めておる、かような意味でありますからして、企業の運営に関しては、これはもちろん私企業の問題でありますから、ただ、われわれはアドバイスをするという立場に立つわけでありますけれども、空港整備の問題、あるいは乗員養成の問題、あるいは航空の安全体制の問題は、運輸省みずからがやるべき問題でもありますので、もちろん、これは重要な施策であります。したがって、最近、空港整備五カ年計画を立てまして、ジェット大型化に備える地方空港の整備、これも進めてまいっておる。乗員養成につきましても、来年度大幅に予算要求をいたしておりまするが、もっと私は根本的に言うなれば、とうてい国だけの力でやれるものでもなし、かつまた、ジェット化が進むに従ってジェット操縦士というものも大量に必要になってまいります。そういう場合においてはたして従来のような体制でいいかどうか、もっと思い切っていわゆる乗員養成所ではなくして大学程度のもの、操縦士を養成するための大学校といいますか、そういうような大きなものにこれは拡大していかなければならぬ。それには国の力だけじゃなく、関係各企業の協力も得て積極的な措置をしなければならぬのではないか、こう考えております。空港整備に関しましても、急速な整備をするためには、はたして従来の空港特別会計の範囲内でできるかといいますというと、なかなか予算的にも十分ではありませんので、大蔵省といろいろ交渉をしておる。たとえば、借り入れ金ができるような制度にしてもらいたいとか、あるいは従来の通行税をまあ利用税といいますか、そういう形でこれが特別会計の中に入るようなことも考えてほしい、こういう要求、交渉をいたしておりますが、いま、あとの問題につきましては、なかなかむずかしい問題があるようでありますが、積極的にやはり空港整備を進めるためには、思い切った措置を講じないとなかなか間に合わない。ことに、地方空港の整備は一刻も急ぐものでありますからして、したがって、何らかの、もう少し弾力のある措置を空港特別会計でできるようにしていきたい、かように考えてせっかく努力中であります。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 第一の閣議了解をしたこと、それから二、三、四の了解は得ておらないが報告しているから閣議了解を得たと同じだという趣旨ですね。特に従来慣例として一だけしか文書ではしてなかった、これはわかりました。  そこで大臣、おっしゃるように、日本国内航空と東亜航空を合併させるという今度の方針ですね、それと今度は、それに対して日本航空が技術援助と資本参加をする、それから民間からの資本も参加してもらうという、そういう立場で新しい会社をつくる、これは新しい構想です。そこで、これにはやはりそれぞれの会社の理解がないとできないでしょう、実際問題。日本航空については、国が資本を出しているところですから、したがって、国の資本というものが直接間接的に今度生まれてくる国内航空と東亜航空の合併新会社影響していくわけです。ですから、われわれから見れば、これにはやはりわれわれの税金によって、国の資金によってかなりの援助がそこに出てくるということになると思うのです。それはやっぱり公共性の強い、しかも絶対に安全を確保するというようなことからして、私はそれはいいことだと思いますし、それはいいんでありますけれども、しかし、基本的には、大臣がおっしゃるように、企業の賛成を得なきゃならない、そういう場合には、企業は、自分の企業がよりベターになる方法を選ぶでしょうね。ですから、前回の答申はこのバックグラウンドが違っておったと大臣はおっしゃるのですけれども、しかし、この答申が出て十年、二十年たったというなら別であります。やはりそうでないわけですから、その辺の見通しについても、少し私はおっしゃることがよくわからないわけですけれども、しかし、それは事実そうだとすれば不勉強だったと思うわけです。したがって、会社の了解を十分得て、この姿で積極的にやってもらうという保証、了解は得ておるかどうかということについて一つと、それからもう一つは、技術援助、資本参加をするというのだが、これは一体どういう程度のものか。それからもう一つは、民間の資本を参加きせるというのだが、新しい会社は一体どの程度の民間資本を受けようとするのか、そして一体合併新会社の発足、そして新しい航空体制というものがいつからスタートをしていくというふうに判断をして準備を進めていくのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  111. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) この答申が出ましてから関係企業者、すなわち、定期航空の四社の社長を招致いたしまして、そうして運輸政策審議会からこのような答申が行なわれたと、これについてひとつ関係各社において相談をしてもらいたいということを私から関係四定期航空の会社に対して懇談をしたわけであります。それに対して航空会社からして十一月の十一日に、報告書といいますか、答申の趣旨に沿ってわれわれもやりたいということで、四社長から、このとおり、四社の社長会では答申の方針に従ってやることがよりベターであるということからして、文書をもって提出が行なわれて、ぜひこの方針で協力したい、こういうような申し入れがありましてので、まあ基礎的には方針がそこで固まったわけであります、続いて私はその際にお話をしたのですが、ただ答申書に沿ってこのような方針でいきたいといっても、のんべんだらりんとやっておったんでは、これは将来航空再編成といいますか、その問題を解決する上においてもある程度の時間がきめられる関係のものであろうけれども、しかし運輸省側として何月何日までにやれというわけにもいかない、これは企業の問題であるから。そこで、よく御相談をした上で大体の目安をひとつ報告してもらいたいということで報告をするように話をいたしまして、せんだって、十一月の十八日でありますが、私あてでありますけれども、航空局長のところへ、新会社の二社が集まりまして、新会社をつくるべき日本国内航空と東亜航空の社長及び重役でありましょう、それらが集まりまして相談した結果、合併の大綱は一月上旬にきめる——合併するという方針はきめました。そこで、その合併の大綱の内容は一月の上旬までにきめる。そうしてそれからいろいろの事務的なことがあるでありましょうが、それらを全部済まして成立の新会社は四月末までには発足させる、こういうことをきめましたということを文書をもって申し入れてまいったのであります。したがって、登記はおそらく六月ころになると思いますけれども、事実上は四月末をもって成立をする、こういうようなことをいってまいったわけであります。  そこで、お話の、その中でもって新会社日本航空が資本の参加をする、技術協力をするという問題でありますが、おっしゃるように、航空の安全あるいは今後の新しい飛躍的な国内航空の情勢から見ても、日本航空が一部の協力をすることは必要であろうという理解あるお話でありますが、私たちも、これは私のほうから言ったわけではありませんが、答申書の中にもそう書いてありますから、当然それを受けまして、新会社といたしましても、当然さような措置をとってもらうほうが健全な発展をするためにはよりベターである。どちらかといえば進んで新会社関係——東亜航空と国内航空から日本航空にも答申書にあるとおり、技術的にも資本的にも協力してほしいということを申し入れたのであります。それに対して日本航空からも、できるだけのことはしましょう。問題は資本参加のことでありますが、どれだけのことがいわゆる経営権を阻害しないで実質的の協力ができるかという問題があります。現在全日空に対して日本航空は二〇%——いままで全日空に協力する際に二〇%まで協力、資本参加をいたしております。その後は幾らか減っております、これは日本航空の増資等の問題もありますからして。その上、技術協力もしております。新会社に対して日本航空がどれくらいがいいのかという問題はいろいろありましょうけれども、過去の実例から考えますというと、一〇%前後程度が私はまあ適当ではないだろうか。ただ、新会社のほうの考えもありますから、もう少しやってくれということも起こり得るかもしれませんけれども、あまり経営権に対して影響を与えない、こういう点ではそう大きなパーセンテージの資本参加をすることは必ずしも好ましいものではないので、したがって、大体一〇%前後にとどまるのではないだろうか。新会社のほうでは全日空にも資本参加を一部分してくれ、こういうことをいっておる。これは答申書にはありません。ということは、同じ職場で働くという関係もありましょう。あるいは、必要によっては器材をお互いに貸したり借りたりする場合もありましょう。その場合同じ飛行場——鉄道ですと別なところを走っておりますからそういうことはないのでありますが、同じ飛行場、また、ああいうものでありますから、そういう相互関係が非常に順調であるということが好ましいという意見だろうと思うのです。そういう意味から、新会社から全日空に対してもひとつ資本的にあるいは技術協力もしてもらいたい、こういうような申し入れがあったようでありますが、全日空としては、自分の資本力から見て資本参加はなかなかむずかしいという点もありましょう。いまのところは、全日空は資本参加をすることは考えておりません。しかし、技術協力といいますか、あるいはその他の営業上の協力、これはもう惜しむものではない、こういう申し入れがあるようであります。こういうことが非常に円満に企業間で話し合いができ、そうしてこういうような新会社が登録されるまでのスケジュールが短期間の間にきまったということは、やはり時代の要望するところであり、また皆さんが航空企業界においての問題について非常な関心を持たれておるということで、やはり私は航空企業界に対してよき影響を与えたのではないだろうか。それにおいては、今回の航空企業の運営体制、新しい運営体制というものはまあまあ日本として、今後十年か二十年かわかりませんけれども、将来相当の期間これが一つの定着をして、そうして少なくとも国際競争力においても、あるいは国内の企業の体制を確立する上においても画期的な措置になるであろう、かように考えておる次第であります。今後とも御協力をぜひお願い申し上げます。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 委員長との約束の時間が少し延びておりますから、恐縮ですからやめますけれども、きょう私もっと突っ込んで会社に対する、また今後の運営政策に対して伺いたかったのですが、それはできませんので、ただ一つ、新東京国際空港もわれわれがより慎重にひとつ地元と話し合いをしながら進めてほしいということを何回も言っておるのですけれども、どうもかなり強引に話を進めておるようですけれども、しかし、これがなかなか予定どおりいかないでしょう。おそらく四月にはできないでしょう。そういうような中で、空港整備については特に重大な関心をわれわれは持っているわけですよ。そこで、大臣、成田新空港の問題もそうですけれども、この新空港は予定からだいぶ狂ってきた。そこで一面では、米軍が今度日本の基地を縮小していくというような話もありますし、したがって、板付であるとかあるいは厚木あたりは、日本に返すかあるいは米軍が直接管理をしながら使用を日本にまかせるか、それは知りませんけれども、いずれにしてもそういった情勢も一面あるようですね。そこらの判断も考慮しつつこの空港整備というのをやっていくのでございましょうか。
  113. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) まだ運輸省としては正式に基地の——厚木飛行場またはその他の飛行場につきましても、どういうような内容の変更になるか、まだ正式の具体的な話は聞いておりませんのでいま具体的なお答えはできませんけれども、もし万一運輸省が民間空港として使えることができるようになった場合には、いまよりも飛行場というものは多種多様に使わなければならぬものでありますからして、したがって、有効適切に使いたいと思います。ただ、厚木にいたしましても、今後来たるべき超大型機を入れるに足る飛行場とは考えておりません。したがって、多種多様な飛行機の上でどういう飛行機をこの方面で使うことになるか、これらは今後の交渉の結果を待った上で、かつまた、防衛庁との関係もありますから、それらを十分に調整をしながら、できるだけ民間で使える道を講じていきたい、かように考えております。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 私は、きょうはもう一つ大臣に欠陥自動車の問題で——交通安全対策特別委員会でもかなり審議を進めてまいりましたが、なかなか大臣の御出席をいただけないので、きょうはぜひ警察当局あるいは地検から、刑事訴訟法ないしは一般の行政上の慣例として依頼をしている点があるが、その点をぜひ伺おうと思いましたが、時間がないからこれはまた次回にします。  なお、最近非常に事故が多いのですよ、国鉄、私鉄、空、海、実に驚くべきですよ。ですから、きのうも雪が降って、雪にもろい国鉄と、またこう非難をされているわけです。したがって、そういう問題もぜひきょうは伺いたいと思ったわけです。鉄監局長にもおいでいただいておるわけですから、あとで東武線の列車の問題だけはぜひ聞きたいと思いますけれども、その前にひとつ大臣にこれだけ伺って、大臣は、もし本会議で御都合がありましたら御退出いただいてけっこうです。  一つは、営団地下鉄の運賃値上げは次に見送られましたね。そのときに、都営地下鉄の値上げが行なわれるまではやらぬと、こういう考え方はくずれておりませんね。そういうことから見ますと、私は別に営団地下鉄に何も関係ないんですけれども、実際に営団地下鉄の経営そのものに対してどうなっているのか私よくわかりませんけれども、大臣は、九月二十五日の営団地下鉄の見送りをしたときに、もし必要があれば融資のワクの拡大等財政援助をするということを明らかにしておりますね。こういう点との関連で一体どうなるのか、この点、公共料金の問題ですから時節柄聞いておきたい。  もう一つ東京、大阪のタクシー料金を三月に値上げしたのですけれども、また上げようという空気が出てきている、これはとんでもない話だと思いますが、これに対する考え方、それから特に無線タクシーの場合ですね、二割の値上げをする申請が出ております。これに対してはどうされるのですか。経企庁はストップという考え方を堅持しているのですけれども、運輸省がいつもぐらぐらしているので、これについてひとつ大臣の意見を伺って、あとは、東武線のほうはちょっと鉄監局長に、もう一つ最後にお伺いいたします。
  115. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 地下鉄の運賃の問題ですが、私は、都営地下鉄の運賃の値上げ申請が出るまでは上げないというような意味で申し上げたのではないと思います。ただ、従来が、約一カ年後におくれて申請が出てくる、慣例的にはそういう実態であります。これは局長から私は聞いたのですが、なるほど同じ路線は走ってはおりませんけれども、やはりこれは均衡上から考えると、できるだけこれは同時に、近い時点で考えるべき問題である。そうしませんというと、何か同じ東京都内で大体同じキロ数が、一方はこうだ、一方はこうだということは好ましくない。こういう意味において、できるだけ、従来は一年後に行なわれておったそうだが、そういう慣例はいい慣例じゃないですから、これは直す必要がある。そういう意味において、将来そういうような時期が至れば両者ともに考えて処理をしていきたい、こう考えておるわけです。それがために、まあ営団地下鉄としては建設費等に多少の困難が出るわけでありますから、したがって、財政融資につきましては、その申し入れがあればこれを処理していくという方針で検討をいたしております。まだ都営地下鉄のほうは料金改正の申請は出てはおりません。  それからタクシーの値上げ問題ですが、まあいろいろ新聞等ではさようなことがいわれておるということを聞いておりますけれども、まだ当局には料金値上げの申請は出ておりません。ただ、無線タクシーにつきましては、これは前大臣当時から申請がなされておりまして検討を続けておる、こういう状態でありまして、いまこれをどう処理すべきかという問題にまでは至っておらないので、ただ、将来ともにタクシーの経営状況等を勘案しながら、あるいは物価問題等も考えながら、慎重に処理すべき問題である、かように考えておるわけであります。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 公共料金は経企庁が——またほかで聞いておりませんが、少なくとも四十六年度は建設的に、ストップするというような強い意見を佐藤長官は持っておられるようです。ですから、そういうふうなたてまえから、ひとつぜひこれ以上上げることについてはかんべんしてもらいたいという国民の切なる願いがあるわけですから、ちょっとあなたにもこの際申し上げておきます。それを受けて、ぜひそういうふうにしてもらいたいと思います。お願いです。  鉄監局長に最後の質問ですが、北春日部それから北千住の——ダイヤを十一月二十四日に改定なさったそうですね。そのために沿線の通勤客が連日遅延しておってたいへん迷惑をしておる、こういうことなんですよ。これは一体、鉄監局としてはそういう事実をどう把握しておられるのか、そうしてそれに対してどういう指導をされているのか。これは運賃値上げするときに、輸送力増強とか安全対策の整備とか、さっきのタクシーじゃないけれども、同じようなことを言って値上げをしている。いろいろなことを言って値上げしても、やっぱりそういうことが現実の問題として国民の前にプラスの面が出てこないのですが、これは一体どうしたことですか、対策を示してもらいたい。
  117. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) いまお話しの東武鉄道の伊勢崎線でございますが、これは営団地下鉄の日比谷線との直通運転が始まって以来、非常にあの地区が従来開発がおくれておりましたという関係もございまして、急速にベッドタウン化いたしてまいっております。そのために東武伊勢崎線の輸送量の増というものが非常に激しい勢いであるわけでございます。そこで、東武鉄道の輸送力増強計画におきましても、この伊勢崎線の増強ということには非常に力を入れておりまして、去る十一月二十四日の時刻改定の際にも、車両の十二両の増備ということをいたしまして、この伊勢崎線の輸送力増強のために列車本数を増大いたしたわけでございます。この内容は、従来、地下鉄の乗り入れ車両、それから浅草方面に直通する車両、それが両方あったわけでございまして、それに対しまして地下鉄の乗り入れ車両を三本増強いたしまして、この結果、東武鉄道から営団地下鉄へ乗り入れする列車が十七本、それから浅草まで運転する列車が十三本というふうになったわけでございます。  なお、この伊勢崎線の北千住でございますが、これは営団地下鉄線が同時に入ってきておりますが、営団地下鉄の日比谷線は十本の折り返しということで現在運行しております。そういう時刻改正も実はいたしまして、輸送力増強をはかったわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、その後列車の乱れが非常に激しくて、最高二十五分程度おくれたというのが相当ございます。その原因につきまして私どもいろいろと調べてまいりましたのですが、一つは、新ダイヤに対しまする鉄道係員のふなれの点が多々あったというように思います。それから乗客側の頭のほうが新しい新ダイヤになれなかったということもございますし、いま一つは、気候が、寒さがひどくなりまして、着ぶくれラッシュというものがぼつぼつ出始まってきたと同時に、出勤時間がずれてきておるということと、それともう一つ、沿線に濃霧発生ということがございました。そういうことが重なったのでございまして、それに対しまして一つは、時差通勤の呼びかけということもいたしておるわけでございますが、なかなかそういった点の十分な効果をあらわせませんので、それでとりあえずの措置といたしましては、乗客整理員を各駅に五十名ほど増員をいたしまして、本社職員その他を振りかえをいたしまして、乗客の案内整理の強化をいたしておるようなわけでございます。その結果、最近では最大十分程度のおくれということにとどまってまいっております。  それで東武線の伊勢崎線でございますが、先ほど申しましたように非常にベッドタウン化いたしまして、輸送が張っておりますので、これを抜本的に解決をする必要があるわけでございます。これは一つには、東武伊勢崎線から出てきましたお客が都心に入ってまいりまする営団地下鉄線の増強の問題というものとも関連をいたしております。現在六両運転をいたしておりますが、これが、実はもうまいっておりまして、どうしても八両運転にする必要があるということで、営団地下鉄といたしましてはこの輸送力増強工事、八両化工事を現在鋭意努力中でございます。北千住から八丁堀までの八両化工事を大いに努力いたしております。それでなお、これにくっつきますように東武鉄道といたしましては、北千住から北春日部間の各駅につきまして八両化を行なうということで、ホーム延伸その他の工事をいま鋭意実行中でございます。  なお、いま一つ、これは別の面でございますが、営団地下鉄が千代田線というのをいま建設いたしておりまして、大手町と北千住間はやっておりますが、これが霞ケ関まで開通をいたしますと、相当営団地下鉄線への乗り入れがこちらにも転嫁をし得るということになろうかと思うわけでございます。非常にむずかしい問題でございますが、とにかくそういったような東武線自体の輸送力増強を、これは私ども先般の運賃改定に際しましてこれを大いにやらなければならぬということで通達をいたしまして指示いたしたわけでございますが、これを何としてもやらすという覚悟で指導いたしてまいりたい。それから営団につきましても同様、先ほどちょっと御指示がございましたような問題もございましたが、とにかくこの八両化の設備というものも大いにやらせたいし、それから霞ケ関−綾瀬間の新線建設工事の完成というものも早くやらせたい、それによりまして抜本的にこの問題に対処していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  118. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会