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横田説明員 御
質問の三点にお答えいたします前に、天然カフェインと合成カフェインとの
食品衛生法上の
扱いの相違について、多少従来の
説明が舌足らずであったような気もいたしますので、一言補足いたしておきます。
天然物であるカフェインにつきましては、これを添加いたします際に
添加物としての
指定は必要としない。合成品である場合には、
添加物として
指定をいたしませんと添加できない、そういうことでございます。そのカフェインが天然物であろうと、あるいは化学的な合成品であろうと、製品の中に入っておって、その
含有量が保健衛生上危害があるというような場合には、それはその
食品の成分規格をきめることによりましてそのような
食品を排除する。つまり添加いたします際に
指定行為を必要とするかしないか、その点の差異があるだけでありまして、これが入っております
食品の有
毒性等について問題がありました際に、それをやめさせるかどうかという、そういった問題になりますと、天然物も化学合成品もそれは違いはない、こういうことでございます。この点について、私も実は従来の議事録等を見ますと、多少舌足らずの御
説明のようになっておりますので、補足いたしておきます。
それで問題は、御
質問の中の、コーラについてカフェインの
含有量が一体有毒なものかどうかということにつきましては、先ほど
先生の御
質問の中にもございましたように、現在私
どものほうで
食品衛生調査会にその
検討を依頼しておりまして、それに基づくいろいろな
試験は、
国立衛生試験所で現にまた継続して実施しておるところでございます。現在まで中間的に私
どもが聞いておりますところでは、その
程度の含量では保健衛生上危害があるということではない、こういうふうなことに承っております。したがって、現
時点で、たとえば表示の点についてどうするとか、あるいはコカ・コーラにつきましての成分規格をどのように定めるとか、そういったことはしておらないということでございます。さらに
研究が進みまして、その結果何らかの
措置ができるようになりましたならば、もちろんそういった
措置をとることについては、私
どもも決して消極的ではないわけでございます。
次に、燐とカルシウムのバランスでございますが、燐が十一に対してカルシウムが一、これは御
指摘のように、
国立衛生試験所において実施いたしました
試験の結果このような数字になっておりまして、これと違った数字の発表が当該会社の宣伝部長等によってなされたと伺っておりますが、その数字は正しい数字ではありません。
それで問題は、燐とカルシウムのバランスの問題でございますが、これは主としては栄養上の問題でございまして、当該
食品の燐とカルシウムのバランスが、
先生御
指摘のように一対二または二対一、これくらいならば、栄養学的には非常にバランスがとれた
食品といえる、こういうことでございます。したがって、このバランスが十一対一になっておるからといって、保健衛生上危害があるというふうには結びつかないというふうに、私
どもは専門家から伺っております。たとえば天然物であります米につきまして申しますと、燐が二十五に対してカルシウムが一、そういったバランスになっております。したがって、栄養的にバランスのある食事をしていただくためには、いろいろそういった
食品に含まれております各栄養素の一すべてを
考えて、総合的に適当な調理なり何なりをしていただく、そういうような摂食態度が望ましい、こういうことはいえるわけでありまして、単品の
食品をとって、そこにおける燐とカルシウムのバランスがよくないからその
食品はよくないというようなことではない。これは言い過ぎかもしれませんが、米等を
考えてみますと、そのようなことになります。ただしかし、コーラについては合成するものでございますから、できるだけ栄養上問題のないようなバランスになることは望ましいことであるとはいえると思いますけれ
ども、十一対一と申しますのは、そういった栄養上の問題が主たる観点であるということを申し上げておきます。
それから三番目の、
日本大学の歯学部の田村助教授が行なわれた
実験でございますが、この
実験の
内容につきましては、私
どももある
程度専門家を通じまして詳細に
承知いたしております。
簡単に申しますと、このコカ・コーラを腹腔内に注射いたした場合、それから十分の一に濃縮したものを胃の中に注入して行なった場合の、動物
実験の結果を見ておられるわけでございますが、従来
食品関係の
毒性評価につきましては、私
どもの聞いております専門家の話によりますと、経口的に
実験するのが常道である、そのように伺っております。したがって、こういった腹腔内に注射するとかあるいは十分の一に濃縮したものを胃内に注入するというようなやり方は、従来は
食品の
毒性評価の場合にはとられておらなかった
実験方法であるやに承っております。
それから、この十分の一に濃縮したものを胃の中に注入したという点でございますが、これは数字で見てみますと、体重百グラム当たりに三ミリリットルを投与いたしておるようでございます。したがって、人間の平均成人の場合の体重五十キロに換算いたしますと、濃縮液で一・五リットルを投与いたしておるわけであります。原液にいたしますと十五リットルですから、大体八升五合くらいですか、そのくらいの大量を一回に胃の中に投与をしたことと同じ結果になっておるわけでございます。したがって、
現実問題といたしましては、一回に十五リットルのコカ・コーラを飲むというのは、もちろん不可能でございますし、危険性の予知手段として行なう
実験でございますから、多少の安全率を考慮いたしたとしましても、この濃縮液を一時に十五リットル人間に与えたような、そういうやり方による
実験方法というものについては、学問的にいろいろ問題があるやに伺っております。
これは、私
ども専門家でございませんし、
先生の御
指摘でもございますので、さらに田村
先生の
実験の結果の評価につきましては、
国立衛生試験所のしかるべき専門家等とも十分打ち合わせをいたしまして、その結果しかるべき評価をし、必要があれば、その評価によっていろいろな
措置を
考える、このようにさせていただきたいと存じます。