○
太田(康)
政府委員 それでは暫時お時間を拝借いたしまして、ただいま
議題になっておりますところの「
農業生産の
地域指標の
試案」につきまして御
説明をさしていただきたいと思います。
お手元に「
農業生産の
地域指標の
試案の
概要」という
資料と「
農業生産の
地域指標の
試案の
概要総括表」という
資料がお配りしてあると思いますが、この
資料に基づきまして御
説明を申し上げます。
「
農業生産の
地域指標の
試案の
概要」でまず御
説明を申し上げたいと思いますが、まず目次をお開きいただきますと、第一ページの「
総括」というのと、「
品目の
概要」ということで米以下
飼料作物までの十
品目につきまして、それぞれ
品目の
概要につきましての御
説明を申し上げております。実は本文はかなり分厚なものでございますが、一応これは
概要でございますのでこういったことに相なっております。一応朗読をいたしながら御
説明をいたしたいと思います。
まず「
総括」でございますが、ただいまも申し上げましたように、この
地域指標というものは、先ほども申し上げましたように
昭和五十二年におきますところの
農産物の
需要と
生産の
長期見通しを、かねて四十三年十一月に
公表いたしておりますので、この五十二年を
目標年次といたしまして、「五十二年における
重要農産物の
地域別生産の望ましい姿を明らかにし、
需要に見合った効率的な
農業生産の
推進に資するものである。」これはもういまさら申し上げるまでもなく、最近におきますところの米の過剰の
状況、あるいは物によってはやや需給がゆるんでいるものもある。しかしながら、一方、
需要に対しまして
生産の追いつかないものもあるというような
状況でございまして、「
需要に見合った効率的な
農業生産の
推進」ということは、
基本法以来のいわゆる
生産の
選択的拡大といわれておる政策の路線にも沿っておるわけでございまして、それに資するものだ。
そこで、この
地域指標の
作成にあたっての
前提としてのおもな
考え方あるいは
前提条件、そういったものについて申し上げますと、「
地域指標は
地域の
農業生産を
長期的観点から誘導する
ガイド・
ポストであって、
生産計画を
内容とするものではない。」私たちが考えておりますのは、後ほど申し上げますようにこれで各三
地帯十四
地域別に先ほどの十
品目につきましてのいろいろな
数値を
発表いたしておりますが、これは現在の
経済運営の体制が
計画経済をとっておるわけではございませんので、こういったことを必ず強制的に実現をさせるというような意味での
生産計画というようなものを
内容とするものではないので、あくまで
長期的観点から誘導する
ガイド・
ポスト、いわゆる
指標でございますということが第一点でございます。
それから、
作成の
前提となる
全国ベースの
農産物の
需要ないし
生産の
見通しにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、原則として、四十三年十一月に
公表いたしました「
農産物の
需要と
生産の
長期見通し」、これによることといたしました。「ただし、米の
需要と
生産及び
麦類、
豆類の
生産については新たに
見通しを行ないそれぞれ
前提とした。」と申しますのは、
昭和四十三年の十一月に
公表いたしました、ここに書いてございます「
農産物の
需要と
生産の
長期見通し」におきましては、米につきましての
需要が
中央値でたしか千二百四十万トン台と考えておったのでございます。ところが最近の
調査によりますと、
昭和四十四年度で米の
需要が千二百万トンを切るというような事態も出てまいりましたので、後ほど御
説明申し上げますように、米の
需要につきましては
昭和五十二年の
数値を、最近の米の
需要の
状況等も勘案いたしまして、大体千百六万三千トンというふうに
中央値を
修正をいたしまして、これに基づきまして、この
数値をもとに
作業をいたしたということでございます。
それから
麦類につきましては、実は当初の
長期見通しにおきましては相当過去の
トレンドで考えておりましたので、傾向的にはかなり減る。これは
豆類についても同様でございますが、しかしこれらにつきましてはある程度意欲を加えて、少なくとも
麦類等につきましては
昭和四十五年の
作付面積ぐらいを維持するようなことを考えてみたらどうか。
それから
豆類につきましては、今後これは非常に
需要が旺盛であることは申し上げるまでもないわけでございまして、しかも今後の米の
生産調整に伴う転作の
促進で取り上げるべき
作目であるというふうに考えまして、四十三年当時の
長期見通しに
修正を加えて
数値を改めたわけでございまして、この
数値を
作業の
前提の
数値として採用いたしましたということでございます。
それから
施策についてでございますが、これは一応の
考え方といたしまして、
農業基本法及び本年二月に
政府が
公表いたしました「
総合農政の
推進について」で明らかにいたしました
基本的方向の示したところに従いまして、現在考えているような形態と進度をもって実現されるであろうという
前提。それからその場合、くどいようでございますが、米につきましては今後
作付の
転換を進めることが必要になるので、
他作目への
作付転換の
促進などの
施策が講ぜられるということを考慮に入れるということにいたしております。
それから
地域区分でございますが、十四
地域、三
地帯ということで、
大都市近郊農業地帯、
中間農業地帯、
遠隔農業地帯、それぞれに
総括をいたしまして、
数値の
公表をいたしております。
そこで
大都市近郊農業地帯とございますのは、そこに書いてございますように、南関東それから
東海、この
東海の中には
静岡県を含めております。
静岡、三重、愛知、岐阜ということになるわけであります。それから
近畿臨海の三
地域。
中間農業地帯とございますのは、北関東それから東山、これは山梨、長野でございます。それから北陸、これは新潟、富山、石川、福井。それから
近畿内陸。山陰、これは鳥取と島根。それから山陽、これが山口、岡山、広島でございます。それから四国の四県。この七
地域。
それから
遠隔農業地帯とございますのは、北海道、東北、北九州それから
南九州の四
地域。こういった三
地帯、十四
地域に区分をいたしまして、
数値の
公表をいたしておるのでございます。
それから、五に書いてございますように、この
地域指標の
作成にあたりましては、
需要の
長期見通しに立脚いたしまして、
地域の
自然条件、
経済条件、
産業構造、
就業構造の
見通し、それから交通あるいは
市場条件の変化、
農業技術の
進歩発展などを考慮いたしまして、いわゆる
空間均衡モデルというアメリカで使われました科学的な
分析方法を用いまして
計測をいたしたわけでございますが、この
計測結果を基礎にいたしまして、そこに書いてございます過去の動向を将来に投影する
計測結果、いわゆる
トレンドで伸ばしたもの、あるいは現に各都道府県におきましてすでに県独自の
長期計画等をお持ちでございますから、これらにつきましては県の御
意向等も十分伺いますし、それらの
数値も
参考にいただきまして、これらを
参考としながら
地域指標の
作成に当たりましたということでございます。
そこで次の四ページにまいりまして、この
地域指標によりますれば、今後の
農業生産というものはどういった姿に各
地帯別になるかということの大ざっぱな概観をいたしております。「
選択的拡大の
方向で
生産構成の再編成を図りながら、着実に伸長する。」「四十一年から五十二年の間に年率二・五%の成長が期待される。」これらの
数値につきましては、後ほど
総括表のほうで申し上げたいと思います。「
地帯別には、
遠隔地帯の伸びが最も高く、ついで
中間地帯、
大都市近郊地帯の順となろう。」というふうに推定をいたしておるのでございます。
そこで、各
地帯別に
地域的発展を
総括いたしますと、まず
遠隔地帯でございますが、これらの
地帯は土地や
労働力条件の
優位性を生かしながら、
米麦等の
耕種生産や
草資源に依存することの多い大
家畜飼養の比重を増大させるであろう。また今後におきまして
輸送条件の改善も当然考えられるわけでございますので、これらの改善に伴いまして野菜、果実もその比重を漸次高めましょう。このようなことで
遠隔地帯での
農業生産は最も高い伸びが期待され、今後における
農業生産の中核的なにない手となる
地帯であろうというふうに考えております。
そこで
遠隔地帯の中でも
地域別にこれを見てまいりますと、まず北海道でございますが、北海道は何と申しましても酪農を中心といたしまして、イモ類の
生産における比重というものをさらに高めるであろう。また、現在年率二〇%くらいでふえておりますところの肉用牛の飼養というものの比重も、北海道におきましては今後、
草資源が豊富でございますので増加もしようというふうに考えております。
それから東北でございますが、やはり東北も水稲及び大家畜を基幹
作目といたしまして、野菜、果実の
生産の比重を高めるであろう。
それから北九州は、水稲を基幹
作目といたしまして、野菜、果実などの比重が高まる。また
南九州では、草地畜産を中心にいたしまして、
輸送条件の
改善等によりまして、野菜等がその
生産の比重を高めていくというふうに見ておるのでございます。
次に
中間地帯でございますが、
中間地帯におきましては、米麦の
生産を維持しながら、大都市近郊の外周部というような
地域の特性を生かしまして、
農産物市場の拡大や道路などの
輸送条件の改良発達等によりまして、野菜、果実、飲用乳などの
生産地帯としての性格をさらに一そう強めるであろうというふうに見ております。
地域別にこれを見てまいりますと、北関東におきましては、
麦類、野菜、繭、牛乳、東山地区におきましては、水稲、果実、野菜、繭の
生産比重を高める。これに比しまして北陸、
近畿内陸、山陰というものは、水稲を基幹
作目といたしまして、北陸、
近畿内陸は野菜、山陰は果実というものの比重を今後高めるものと見ております。
また山陽と四国でございますが、これは温暖な気候条件を利用した野菜、果実を中心に、牛乳などの多様な
生産を進めるというふうに見ております。
次に
大都市近郊地帯でございますが、この
地帯におきましては、御
承知のとおり、労働力の減少、耕地の壊廃、地価の高騰、不
作付地の増加、こういったものがさらに今後進みまして、
農業生産の伸びというものは、いままで申し上げましたところの
中間地帯あるいは
遠隔地帯に比べますと最も低い。しかしながら、一方におきまして、大市場を控えておるというような
市場条件の
優位性を生かしまして、収益性の高い一部の野菜、飲用乳などの生鮮食料品の
生産に一そう傾斜するというふうに見ております。野菜、生乳の供給におきまして、こういった
地帯ではなお相当な役割りをになうものというふうに見ておるのでございます。
主要な
作目別には、米、麦及びイモ類の
生産はかなり減退するというふうに見ておりますが、野菜とか果実とか飲用乳などの
生産は若干の伸びが期待され、これら
地域の
農業生産においては、園芸と畜産の比重というのが全体として目立って上昇するというふうに見ておるのでございます。
そこで、こういった
地域指標の性格というものでございますから、これらの性格に十分留意しながら、われわれといたしましては、長期的な立場から
地域の
農業生産を誘導してまいりまして、ここに描いたような
農業生産の姿が実際に各
地域において具現されるように、
農業基本法あるいは「
総合農政の
推進について」で示すいろいろな
方向に従いまして、かつ、この
地域指標というものを考慮いたしまして今後の
施策を講じてまいりまして、この望ましき
農業生産の姿というものを実現してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
そこで、八ページに入りまして、「
品目の
概要」として米が出ております。米が代表
作目として考えられますので、これにつきまして御
説明を申し上げ、以下、
麦類等の各
作目につきましては一応
説明を省略いたさせていただきまして、それから
総括表の数字で御
説明を申し上げたいと思います。
そこで、米についてでございますが、まず
需要の
見通しといたしまして、一人当たりの消費量というものが、三十七年度の百十八・三キログラムをピークといたしまして、三十八年度以降減少傾向に転じまして、四十四年度は百キロを割りまして九十六・九キロということになった次第でございます。
そこで、こういった傾向は、今後も食生活の高度化に伴う穀類消費全体の減少傾向を反映して、引き続き減少するというふうに見込まれるわけでございますが、何と申しましても米は国民の主食であるという地位には変わりがないわけでございますので、今後米の
需要増進をはかるということも大きな政策課題にもなっておりますし、こういったことも考慮いたしまして、その減少度合いは長期的に見ますと次第に鈍化するであろうというふうに見ております。そうはいっても、とにかく減ることは変わりがないわけでございまして、五十二年度におきます一人一年当たりの食料用の
需要量というものは、先ほど申し上げました四十四年の九十六・九キログラムに対しまして、八十・三キログラム、これは
中央値でありますが、八十・三キログラム程度になります。これに人口増加、加工
需要の増加等を含めまして、米の総
需要量を玄米換算で推定をいたしますと、当初述べました千百六万トンということになるわけでございまして、四十四年度が千百九十七万トンでございますから、これに比べますと約一割程度の減少になるというふうに
見通しておるのでございます。
一方、
生産の
見通しでございますが、
生産につきましては近年の推移を見てまいりますと、三十七年度の産米が千三百一万トンという豊作を記録いたしまして、その後実は四十年までは減少を続けたのでございますが、四十一年には
生産の回復を見まして、四十二、四十三、四十四と引き続き一挙に千四百万トンという大台に達したのでございまして、
需要のほうは減少するにもかかわらず、
生産のほうは着実に伸びるというようなことから、米の
生産過剰というのが、実は、まあことばが過ぎるかもわかりませんが、決定的なものになった。四十五年産米も豊作で、百五十万トン以上を目標に
生産調整を行なったのでございますが、それでも千二百八十五万トンという高水準の
生産が、十月十五日現在の私のほうの統計
調査部の推定では見込まれておるのでございまして、こうした米
生産の増加というのは、稲作の相対的な有利性による
作付面積の増加あるいは
土地改良事業等による
生産基盤の整備、稲作技術の進歩、普及、こういったこれまでとってまいりました政策効果によるところが大きいであろうというふうに見ておるのでございます。
そこで今後の
見通しでございますが、先ほど来申し上げておりますように、今後の米
生産というものは、主産
地域を中心に
生産性の高い稲作経営の確立、米の品質の改善ということに重点を置きまして、効率的かつ安定的な供給体制を整備するということに重点を置いてまいることが重要であろうというふうに考えておるのでございます。
作付面積について考えますと、今後、都市化の影響の強い
地域、
大都市近郊地帯等でございますが、こういった
地帯を中心に水田の壊廃というものは一そう進行すると考えられるわけでございます。他方、水田の拡張というものは、御
承知のとおり
政府の政策面における開田等につきましては極度に抑制をいたしておりまして、一部を除いてはほとんど見込むことが困難であるというような
状況になっておりますので、このような状態が続きますと、五十二年におきますところの水稲の
作付面積というものは、四十四年の一割弱減の二百九十万ヘクタール程度になるだろうというふうに見通されるわけでございます。
しかし、水稲
作付面積を二百九十万ヘクタール程度といたしましても、十アール当たりの収量というものも年々確実に増加をいたすわけでございますので、米の
生産量というものは増加をいたしますし、他方、米の
需要量は、先ほど来御
説明申し上げておりますように、一そう減退するというようなことになりますので、
生産が
需要をかなり上回るということになるわけでございます。
そこで、米の需給均衡をはかるために、稲作の他作物への
転換など、米の
生産調整対策ということを講ぜざるを得ないのでございまして、こういった対策を講ずるということを
前提といたしまして、
生産性の高い稲作の実現をはかるという立場から、稲作
生産の望ましい姿を描いたわけでございまして、これによりますと、先ほどの千百六万トンという
需要に見合った
生産をあげるための全国の
作付面積というものは、
昭和五十二年におきましては、四十四年の
作付面積に比べますと、約三割減の二百二十七万ヘクタール程度になるというふうに見通されたのでございます。この面積がやや過小ではないかというようなこともございますが、実は、先ほど来
説明申し上げておりますように、
生産性の高い稲作農家の実現というようなことで、そういった好ましい
地帯で、
生産性の高い稲作農家によって稲作がになわれるというふうに考えておりますので、反収も、実は
昭和四十三年に描いておりました反収よりも高くなりまして、
昭和五十二年には四百八十キログラムというふうに見ております。これらによりまして、いま申し上げた二百二十七万ヘクタール、約三割減というようなことに見通されたのでございまして、これを
地域別に分けますと、稲作の
生産条件や
生産性が相対的に不利でございますところの南関東、
東海、
近畿臨海、四国及び
南九州の各
地域の
作付面積は、四十四年対比で申し上げますと四割前後減少する。また、北関東、
近畿内陸及び山陽は、全国平均並みの三割の減少が見込まれる。主産
地域でございますところの、いわゆる
遠隔農業地帯の東北、北九州、それから北陸も含めまして、それから東山、山陰、これは二割程度の減少にとどまる。北海道では三割の減少になる。
この結果、
地域別の
作付面積シェアというものを見ますと、東北・北陸、北九州、東山、山陰の各
地域は、おおむね四十四年と同等か、それ以上に高まる。これは
作付面積ではないので、面積のシェアをいっておるわけでございますが、これは高まる。その他の
地域では、概して低下をし、特に
大都市近郊農業地帯の各
地域での比重の低下が大きいということで、一四ページに、各
地帯別、
地域別にその
作付面積の
見通しが載っておりますので、これをごらんいただきたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、四十四年の
作付面積が一番左の下の欄に載っておりますが、三百十七万三千ヘクタール、これが、五十二年には二百二十七万三千ヘクタール。その次の欄に四十四年分の五十二年と書いてございますが、比率で申し上げますと七一・六%、したがいまして、この逆の
数値、すなわち二八・四%というものが
作付面積の減少率になるわけでございます。これを、
大都市近郊農業地帯、
中間農業地帯、
遠隔農業地帯のそれぞれの計で申し上げますと、
大都市近郊農業地帯では六二・一%ということでございますから、約三八%、全国平均で約三割のところが三八%ということに相なるわけでございます。それから、
中間農業地帯におきましては七一・八%、すなわち二八・二%、
遠隔農業地帯では七五・五%ということで、二四・五%ということになるわけでございまして、先ほどちょっと申し上げましたように、それぞれの
地帯の中におきましても、また
地域によりましてそれぞれの差等があるわけでございますが、われわれの想定では、一応こういったことに見通された次第でございます。
それから、その次に、十アール当たり収量のことが一五ページ以下に書いてございますが、先ほども申し上げましたように、土地改良の進展、品種改良、水管理の合理化などの栽培技術の改良、
生産性向上の
施策の進展、それから
生産調整によりますところの低収穫水田の減少もございまして、引き続き反収は増加するであろう。五十二年には全国平均で四百八十キロというふうに
見通しておるのでございます。
地域別には、主産地でありますところの東北、北陸、北九州などが依然高い水準を維持するであろう、北関東、東山及び山陰でも引き続き高位安定的に推移すると見られる、また、北海道、
南九州においても収量の増加が期待をされておりますが、これに比べまして南関東、
東海、
近畿臨海、
近畿内陸及び山陽の各
地域におきましては、反当収量に関する限り、おおむね停滞的な傾向で推移するというふうに見ております。
そこで
生産量の問題に移るわけでございますが、以上の結果、水稲
生産量は、全国で、四十四年の千三百八十万トンから、五十二年には千九十二万トンに減少する。これを
地域別に見ますと、東北、北陸、北九州の各
地域のシェアが非常に高まりまして、この三
地域で全国
生産量の五〇%を占めるというふうに見ております。したがいまして、その他の
地域のシェアというものは低下ないし横ばいというふうに
見通しております。
見通しの結果、全体を総合して申し上げますと、五十二年の米の
需要量は、
中央値で千百六万トン程度になり、
生産は、米の
生産調整のための各般の
施策を講じまして、米の
作付面積の減少をはかるということといたしまして、水稲の
作付面積が二百二十七万ヘクタール程度となるということが期待をされておるわけでございまして、その結果、五十二年の米の
生産量は、陸稲を含めまして、
需要の数量に見合いました千百六万トン程度になる、そして需給は均衡する、こう見ておるのでございます。
そこで、次に
総括表をごらんいただきたいと思いますが、まず
総括表の二ページから三ページにかけまして、これが
地域指標の
数値になるわけでございますが、それぞれ先ほど申し上げました三
地帯十四
地域別に十の
作目につきましてその
作付面積、あるいは飼養頭数、五十二年にはこういう姿になるであろうというものでございます。
その次の四ページから五ページにかけまして、四十四年に比べましてどういった
作付面積の伸び率あるいは飼養頭数の伸び率を示すかというものが載っております。そこで、これを見ていただきますと、水稲につきましては、先ほど申し上げましたように七一・六%、陸稲につきましても六四・四%、
麦類につきましては、先ほど四十五年とほぼ同じような
作付面積と申し上げましたが、四十四年が基準になっておりますので、七八・七%、イモ類も減じまして七五・八%、以下豆、野菜、果実、桑、耕地
飼料作物、草地牧草、それから飼養頭数で出ております乳用牛、肉用牛等につきましては、先ほど申し上げましたように、今後伸ばすべき
作目あるいは家畜といたしまして、ここに書いてございますように、かなり高い伸びを示しておるということでございます。
それから、次に一〇ページから一一ページにまいりますと、
生産量が載っております。水稲で申し上げますと、先ほど申し上げました千九十二万トン、これに陸稲の十四万三千トンを加えまして、千百六万三千トンというような
数値になるわけでございます。以下
麦類、イモ類、牛乳まで、五十二年におきますところの
生産量というものを載せております。
これをさらに一二ページから一三ページにかけまして、四十四年との伸び率を出しております。これも申し上げるまでもなく、水稲、陸稲、
麦類、イモ類、ここまでの
作目につきましては、いずれも
生産量も減じておりますが、
豆類以下の
選択的拡大作目につきましては、
生産量におきましても、かなり高い伸び率を
見通しておるのでございます。
それから次に、
参考付表というところの二〇ページをお開きいただきますと、ここで部門別
生産指数ということで、本文の中で申し上げましたように、四十一年度を基準といたしまして、年率二・五%の成長率でございますと申し上げましたが、そこに書いてございますように、耕種といたしましては〇・四%の伸び、耕種の中でも米、麦、イモ、この三
品目につきましては成長率は逆にマイナスに出るわけでございますが、豆、野菜、果実等の伸び、それから養蚕の伸び、それから畜産の比較的高い伸び、これらを平均いたしますと、年平均の成長率といたしましては二・五%、こういった姿に相なるわけでございます。
そこで、その際実現される
農業生産の構成比はどういう姿になるかということが、次の二一ページの
農業生産構成というところに載っております。四十一年度と対比いたしまして、五十二年の姿を描いておりますが、このとき、四十一年の姿が耕種が全体で七七・五%、養蚕が二・八%、畜産が一九・七%、これで一〇〇%、こういう姿にあったわけでございますが、この
地域指標が実現された五十二年の暁におきまして試算をいたしますと、耕種が六二・六%、養蚕が三・六%、畜産が伸びまして三三・八%、特に単品で米をごらんいただきますと、米が四十一年には四三・七というような高いウエートを占めておったのでございますが、五十二年には、推定では二九・一%ということになる。畜産全体を合わせますと、米をこえまして、畜産が一番総産出額の中では高いウエートを占める、こういうことになるわけでございます。
そこで一番最後に、それではその際における自給の
見通しがどうなるかということでございまして、一番上に実は総合自給率を申し上げたほうがよろしいわけでございますが、各もの別にそこをまず見ていただきます。四十四年が米がたとえば過剰でございまして、一一七というような
数値に相なっておりますが、このときの総合自給率が、米が一一七といたしますと八〇%、米を一〇〇%で推計をいたしますと七六%、しばしば申し上げた自給率の数字でございます。五十二年には、ここに書いてございますように、米一〇〇%、以下小麦、大裸麦、カンショ、バレイショ、大豆これらをずっと総合自給率ではじきますと、七七・五%ということに相なるわけでございまして、自給率につきましては、おおむね現在程度の自給率を維持し得るというふうに考えておる次第でございます。
なお、大豆等につきましては、前回
公表いたしましたところの五十二年の
需要と
生産の
長期見通しにおきましては、五十二年の自給率が二・九%というようなことになっておったのでございますが、今回転作
作目にこれを取り上げるというようなことで、たとえば
作付面積を相当ふやすというようなことにもなっておりますので、これが一二・一%。決して高い自給率ではございません。従来の十一月
公表の分に比較いたしますと、自給率の改善が見られておるというようなことに相なっておる次第でございます。
たいへん長時間になりまして恐縮でございましたが、われわれが今回
公表いたしました「
農業生産の
地域指標の
試案」につきましての
概要を御
説明申し上げた次第でございます。