運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1970-12-08 第64回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十五年十二月八日(火曜日) 午前十時四十三分
開議
出席委員
委員長
草野一郎平
君
理事
安倍晋太郎
君
理事
小沢 辰男君
理事
仮谷 忠男君
理事
丹羽 兵助君
理事
三ツ林弥太郎
君
理事
芳賀 貢君
理事
斎藤 実君
理事
小平 忠君 亀岡 高夫君 熊谷 義雄君 小山
長規
君
佐々木秀世
君 坂村
吉正
君 澁谷 直藏君
瀬戸山三男
君 田澤 吉郎君 高見 三郎君 中尾 栄一君 中垣 國男君 別川
悠紀夫君
松野 幸泰君 森下
元晴
君
山崎平八郎
君
渡辺
肇君
阿部
昭吾
君
角屋堅次郎
君 田中
恒利
君
千葉
七郎
君
長谷部七郎
君
瀬野栄次郎
君 鶴岡 洋君 二見 伸明君 合沢 栄君
小宮
武喜
君 津川 武一君
出席国務大臣
農 林 大 臣
倉石
忠雄君
出席政府委員
内閣法制局
第二 部長 林 信一君
農林大臣官房技
術審議官
加賀山國雄
君
農林省農政局長
中野
和仁
君
農林省農地局長
岩本 道夫君
林野庁長官
松本 守雄君
委員外
の
出席者
厚生省環境衛生
局乳肉衛生課長
神林
三男
君
厚生省環境衛生
局食品化学課長
小島 康平君
農林水産技術会
議事務局研究参
事官
川井 一之君
食糧庁次長
内村 良英君
通商産業省通商
局農水
産
課長
豊田 整君
農林水産委員会
調査室長
松任谷健太郎
君
—————————————
委員
の異動 十二月八日
辞任
補欠選任
赤城
宗徳
君 別川
悠紀夫君
福永
一臣
君
山崎平八郎
君
中澤
茂一
君
阿部
昭吾
君
小宮
武喜
君
渡辺
武三
君 同日
辞任
補欠選任
別川
悠紀夫君
赤城
宗徳
君
山崎平八郎
君
福永
一臣
君
阿部
昭吾
君
中澤
茂一
君
渡辺
武三
君
小宮
武喜
君
—————————————
十二月七日
食糧管理制度
の堅持に関する
請願
(
鈴木善幸
君
紹介
)(第二六三号) さけ・ますはえなわ
漁業
の
流し網漁業
への転換
促進
に関する
請願
(
鈴木善幸
君
紹介
)(第二六四 号)
国有林地
の
除草剤散布
に伴う
被害防止
に関する
請願
(
鈴木善幸
君
紹介
)(第二六五号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
農薬取締法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二〇号) 農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
(内 閣提出第二一号)
——
——
◇—
——
——
草野一郎平
1
○草野
委員長
これより
会議
を開きます。
農薬取締法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。
千葉七郎
君。
千葉七郎
2
○
千葉
(七)
委員
農薬取締法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、所感を申し上げ、
当局
の御
所見
を
伺い
たいと存じます。 昨日の
審議
によりまして、
改正案
の
問題点
はそれぞれ取り上げられまして
論議
をされたわけでございますが、
当局
の
答弁
その他
関連
をする事項につきまして、納得のいかない点もございますので、昨日の
論議
と多少重複する点もあるかと存じますが、四、五点にしぼりまして御
質問
をいたしたいと思うのであります。 今回の
改正案
は、現行の
取締法
から見ますと、たとえば
目的
の項目を設ける等、非常に前進をした
改正案
であることは、私も認めるにやぶさかではないのであります。しかし、この
改正案
に対する
政府
の
姿勢
と申しますか、積極的な
態度
にやや欠けているのではないか、かように私は感ずるのであります。 たとえば、旧法にない
目的
を第一条にうたったのでありますけれ
ども
、その
条文
を見ますと、第一条「この
法律
は、
農薬
について
登録
の
制度
を設け、販売及び
使用
の
規制等
を行なうことにより、
農薬
の品質の
適正化
とその安全かつ適正な
使用
の確保を図り、もつて
農業生産
の安定と
国民
の健康の
保護
に資するとともに、
国民
の
生活環境
の
保全
に寄与することを
目的
とする。」このようにうたっておるのであります。私はこの
条文
を見まして、われわれ
農業関係者
がよるべき
農業
に対する
態度
は、このような消極的な
態度
ではいけないのではないか、このように思うのであります。もちろん
国民
の健康の
保護
、ざらには
国民
の
生活環境
の
保全
に寄与することは大切であります。しかし何と申しましても、いまの
日本
の
農業
の置かれている
状態
と申しますか、あるいは
日本
の
食糧
の
問題等
を踏まえて
考え
ますときに、私から申し上げるまでもなく、米は確かに七百何十万トンか余っているでありましょう。しかし
小麦
の
輸入
は年々四百万トンをこえ、さらには
小麦外
の雑穀、
飼料等
の
輸入
も一千万トンをこえておるというような
実態
であります。したがって
日本
の
食糧
の
国内
の
自給状態
というものは、全体の
国内
の
需要量
から見ますと六〇%
程度
しか自給できないという
実態
に置かれておるわけであります。 昨日の
質問
に対する
大臣
の
答弁
によりますと、
農業
はすべての
産業
の
基礎
であるからして、
国内農業
の
振興方策
はこれを確立していかなければならぬということであったのでありますが、しかし今度のこの
改正案
の第一条の
目的
を見ますと、そういう積極的な
姿勢
があらわれていないのであります。もって
農業生産
の安定をはかる、安定とは何を
意味
するかと申しますと、安らかに定まるというのでありまして、この安定という
ことば
の中には積極的な
振興政策
、
振興
の
方針
、そういう
方針
があらわされているとは決して
考え
られないわけであります。 私は、ただいま申し上げましたような、あらゆる
産業
の
基礎
であり、かつ
国民生存
の根本の基盤である
食糧
の
生産
、あらゆる
農業関係
の
法律
、あるいは
農業関係
の
政策
、それらはいまの
日本
の
食糧
の
状態
、これを踏まえまして、そして
国内
における
食糧
の
自給率
を高めるというところにこの
基礎
を置かなければならぬと思うのでありますが、今度の
農薬取締法
の
改正案
には、そういう
積極性
が見られないのであります。その点に対しては、
大臣
はいかなる御
所見
をお持ちであるか、お
伺い
をいたしておきたいと思います。
倉石忠雄
3
○
倉石国務大臣
この
法律
の
目的
の中に、
農業
の安定という文句がございますが、きのうもお答え申し上げましたように、私
ども
は、安定がなければ成長が行なわれないのでありますから、そういう
意味
では、安定して成長してまいるようにつとめる、そのためにはやはり
農作物
の
病害虫等
を除去することが必要でもありますし、また
農薬
による危害を除去することが必要である、こういうことで、
目的
の中にそういう
ことば
を入れておるわけであります。私
ども
は、御存じのように、
農業生産
は
農薬等
が適切に利用されることによって
生産性
を向上してまいっておるわけでありますから、そういう
意味
で、やはり
農業
の
安定的発展
のためにも、
農薬
の害のあるものはこれを取り締まる、こういうことが必要な
条件
である、こういうことで、このたび本案を提出いたしておるような次第であります。
千葉七郎
4
○
千葉
(七)
委員
御
答弁
によりますと、安定がなければ
発展
がないんだということでありますが、私はそういう観点に立つとするならば、この
条文
に、
農業生産
の
安定的発展
と
国民
の健康の
保護
とか、こういう字句を当然挿入すべきではなかったかと思うのであります。御
答弁
によりまして、安定とは決していわゆる現状に安んずるという、そういう
考え
ではないんだという
答弁
でありますから、了承することにいたしますけれ
ども
、何かいまの
農林当局
の
態度
は、
食糧
の
増産
に対する
積極性
というものが非常に欠けているような
感じ
がするのであります。米の在庫が七百万トン以上にもなっておる、そういう
状態
に対して、いろいろ学界などからの
意見
もある。いつかの新聞には、
国内
の
農業
は一切やめてしまって、そしてブラジルかどこかへ土地を借りて、
日本国内
の
食糧
の
生産
をやったほうがいいのではないかといったような
大学教授
の
意見
などが載ったこともあります。また
農林省当局
内でも
最高
の
責任
の
地位
にある人が
国内
の米の
生産
を
抑制
するためには休耕、転作、そういった
方向
はもちろんのこと、
生産者米価
の引き下げをやって、米の
生産
の
抑制
をはかるべきだといったような
議論
をする方もあるようでありますが、私はそういう
態度
、そういう
議論等
によって
農林省当局
の
食糧増産
に対する
態度
が、従来から見るならば非常に消極的になっておるという
感じ
を受けるのでありますけれ
ども
、そういうことではいけないと思うのであります。 昨日の朝日新聞に載った
記事
なんでありますけれ
ども
、
兵器
の
国産化——
これは
食糧
、
農業関係
とは直接
関係
がないのですけれ
ども
、
兵器
を
国産化
するというと、
外国
から
兵器
を買うよりも国費を非常にたくさん使うようになっておるようであります。第四次
防計画
の詳細な
記事
が載っておりますが、それを見ますと、飛行機などは一機二十七億円もかかるのでありますが、これを
外国
から買うと十六億円くらいで買える、それからまたスパローというミサイルを一発三千万円でつくるのだそうですが、米国から買いますと三分の一くらいで買える、あるいはサイドワインダーですか、これな
ども
国産
では一発四百万円もするのだそうですが、半分ないしそれ以下で買える、こういったことで
兵器
の
国産化
には
外国
から安く買えるものを買わないで、そして
国内
で
生産
をする、つまり
国民
の税金をむだ使いするというような
方向
、そういう
方針
がいま計画されておるわけでありまして、四十五年には
兵器
の
調達費
が二千七十八億円、四十七年にはおそらく五千億をこすだろう、しかもこういう
兵器
を
外国
から買うと二、三百億円もそこで冗費の節約ができるのでありますが、こういう方面にはどんどん金を使っておる、そういうことに対しては何ら
政府
の部内では批判の声があがらない。しかるに米が百万トンや
そこら
多く出るということには目の色を変えてそして二千億円や
そこら
の赤字を問題にして、
国民
の
生活
に最も大切な
農業
を縮小しようというような
議論
が、
政府部
内においても、しかも
農林省
の
最高
の
地位
にある
人たち
がそういう
議論
をしているということは、全く
日本
の
食糧政策
の上にとって大きな間違いではないか、そういう
感じ
がするのであります。そういう点につきましてはこの際
農林省当局
としては
十分反省
をして、そして
日本
の
国内
の
食糧
は
国内
でできるだけ自給するという
方針
を進めていただきたい、かようにこの際要望いたしておく次第であります。 そこで、
改正案
の
内容
につきましてお
伺い
をいたしますが、今度の
改正案
によりますと、
農薬
の
登録制度
を拡大をして、そして
毒性
及び
残留性
に関する
試験
の
成績書
を添付させる、それを
政府
においてはそれぞれ
検査
をして、そして適正と認められるものに対して
登録
をする、こういう規定になっておるわけでありますが、
農薬
の
登録申請
にあたって添付をする
試験
の
成績書
、これは昨日の
質問
に対する
政府
の
答弁
によりますと、この
農薬製造業者
の
試験
のほかに公的な
機関
の
試験成績書
を添付する、こういうことになっておるわけであります。そこで、
公的機関
の
試験
の
申し出
と申しますか、それは
防虫防疫関係
は
日本植物防疫協会
がこの
申し出
を受け付ける、こういうことになっているわけであります。それから
植物
の
生育促進
あるいは
抑制
、こういう
関係
については
日本植物調節剤研究協会
、この
団体
が受け付けをする、こういう次第でありますけれ
ども
、この
日本植物防疫協会
または
日本植物調節剤研究協会
、この二つの
団体
はどういう法的な
根拠
に基づいてその
取り扱い
をするのか、こういう点きのうの
論議
では必ずしも明確になっていないのであります。いかなる法的な
根拠
によってこの
取り扱い
をするのか、こういう点を明確にしていただきたいと思うのであります。
中野和仁
5
○
中野政府委員
ただいまの問題、昨日もいろいろ御
質問
があったわけでございますが、
法律
的に申し上げますと、
農薬
の
登録
を
申請
するためには
農薬
の薬効と薬害、今度の
改正
によりまして
毒性
と
残留性
についての
試験成績書
を添付して
申請
をしろということになっておるわけでございます。それの運用といたしまして、この法文からいたしますと
業者
の
試験成績書
だけでよろしいわけでございますが、それではいろいろ問題が出るというようなこともあり、また確実であるかどうかということもわかりませんので、
事前
の
行政指導
といたしまして、
業者
が
自分
でやった
試験
のほかにそういう
公的機関
の
試験
も経ました上で、それを
業者
の提出します
試験成績書
として
農林省
に出させる、それを
農林省
の
農薬検査所
におきまして
検査
をする、こういうたてまえをとっておりますので、
法律
的には
根拠
がございません。これは
事前
の
行政指導
としてやっておることでございます。
千葉七郎
6
○
千葉
(七)
委員
何ら法的な
根拠
のない
団体
を通じなければ
検査
が行なわれないということは、その点私は納得いかないのであります。
業者
の
試験
の
成績
のほかに、
公的機関
の
試験成績書
をつけよ、こういう
答弁
でありますが、その
公的機関
の
試験
をするために
日本植物防疫協会
なり
日本植物調節剤研究協会
なりの手を経て
試験
の
成績書
を
試験
をするという
行政指導
ですが、なぜそういう
行政指導
をしなければならぬかという
根拠
、その点ももう少し明確にしていただきたいと思うのです。
中野和仁
7
○
中野政府委員
そういう
行政指導
をいたしませんと、
農林省
に持ってまいります
成績書
は、
業者
がかってにと言ってはおかしいのですが、
業者
が
自分
で
試験
をやりましたその結果だけを
農林省
に持ってくるということになるわけでございます。それを受けまして
農林省
は、もう一ぺんそれがほんとうであるかどうかを全部やり直さなければならぬということになるわけでございますが、実際問題としまして年に千件ぐらい、これは更新の
登録
もございますので全部新しいものではございませんが、相当な数になるということで、あらかじめ
農林省
に持ってきます前に、
業者
の
責任
におきまして出す
成績書
の中に、
自分
でやったもののほかに、そういう
公的機関
に
試験
をしてもらった
成績
をつけさせるということにいたしておるわけでございます。その中へ
協会
が入っておりますのは、きのうも申し上げましたようにこの
協会
の中に
試験委員
を置きまして、どういう
申請書
の中身のものはどういう
試験場
に頼んだらいいかということを
学者
が集まりました中で判断をいたしましてやらせるわけでございますが、特に薬のことでございますので、
日本
の
気候条件
からしまして北のほう南のほうというふうに地域的に
試験場
をきめるという必要もありましょうし、そういうものを適正に配分させるということが必要ではないかということで、先日も申し上げましたように
公益法人
によりましてそういうことをやらしておるということになるのでございます。
千葉七郎
8
○
千葉
(七)
委員
この
植物防疫協会
あるいは
調節剤研究協会
は、これ
自体
では
農薬
の
試験
はやらないわけでしょう、どうですか。
中野和仁
9
○
中野政府委員
この両方の
協会
、一部
自分自身
でも
試験研究
はやっております。
千葉七郎
10
○
千葉
(七)
委員
何と申しますか、
試験
の
あっせん機関
として必要だ、
取り次ぎ機関
として必要だというような
答弁
に解釈されるわけですが、私としては、これはきのうから各
質問者
によっても
論議
されたところでありますけれ
ども
、どうもこういう
自分自身
で
試験
をするというような
機関
でないのがその中間に入って、その仲介を経なければ
試験
ができないというシステムは、何か割り切れないような
感じ
がするのでありますが、それはそれとして、これ以上
議論
をしたところで
議論
が進展しないでしょうからこれで打ち切りにします。 次に、これもきのういろいろ
論議
をされたのでありますけれ
ども
、
残留農薬
の
研究所
の問題であります。これはきのうの
答弁
によりますと、総額七億五千万の
資金
でこれを
建設
をする。そして国からの出資がことしと来年で二億五千万。
残額
の五億円は、これは
メーカー
、
農業団体
の
寄付
によって
建設
をされる。こういう
資金
の
内容
になっておるわけでありますが、この
残留農薬研究所
の
構成
は、
理事
が二十一人で、その
理事
の
構成
は、
学識経験者
が三名、それから
専門家
が九名、
関係団体
から六名、
メーカー
から三名、
合計
二十一名の
理事
で
運営
をされる、こういう説明でありました。こういう公的な
機関
の
資金
を、これは昨日もいろいろ
議論
をされたんでありますが、
メーカー
から
寄付
をもらって
設置
をするということは、公的な
機関
として私はいかがなものか、非常に疑問に感ずるわけでありますが、この五億円の
メーカー
、
農業団体
の
寄付
、この
金額
の区分けはどうなっておるんですか。
メーカー
が何億、
農業団体
が何億、どうなっておりますか。その点をお
伺い
いたしたいと思います。
中野和仁
11
○
中野政府委員
この
寄付
の問題は、ことしから来年にかけて
研究所
をつくります
施設費
でございますが、したがいましてまだ最終的には決定しておりませんで、
メーカー
が大体七割ぐらいになるんではないかというふうに
考え
ております。
千葉七郎
12
○
千葉
(七)
委員
といたしますと、
残額
五億円に対して
メーカー
が七割ということになりますと、三億五千万円、それから
農業団体
が一億五千万円でありますから、したがって
メーカー
から出る
資金
というのは一番
最高
の額になるわけですね。国のほうからは二億五千万円、
メーカー
から三億五千万円、
農業団体
から一億五千万、
合計
七億五千万ということになるんでありますが、昨日の
答弁
によりますと、
理事
二十一名のうち
メーカー
からの
理事
はわずか三名であるからして、したがってこの
農薬
の
試験研究等
について
メーカー側
と密着するということは絶対にないんだ、こういう
答弁
でありましたけれ
ども
、
資金
の
構成
から見ると、どうしても
——
まあ
株式会社
でいうならこれは一番の大株主であります。したがってこういう
資金
の
構成
から見ると、どうしても
メーカー等
の
関連
というものを完全に断ち切ってそして公正な立場においてこの
試験研究
が行なわれるということに大きな疑問を抱かざるを得ないわけでありますが、そういう点については、それを
抑制
をするというような
機関
を何か
研究所
内において設けておく必要があるんじゃないかと思いますが、そういう点についての考慮がなされておるか、その点をひとつ御
答弁
願いたいと思います。
中野和仁
13
○
中野政府委員
昨日もこの
研究所
の
理事
の
構成
を申し上げたわけでありますが、ここができました際に、
メーカー
のほうから持ち込まれてきますものを
試験
する場合に、
技術者
は、これは別に
メーカー
の
ひもつき
でございません、
研究所自体
が雇うわけでございまして、もちろん
技術者
が
メーカー
の意を受けて適当な
試験
をするというようなことは、これは
考え
られないことでございます。と同時に、この中にもいまの
理事
も大体
学識経験者
なりそれから
公務員関係
、
関係団体
が大部分でございますと同時に、もう少し
試験委員等
も
学者
を集めてやるということでございますので、なるほど
建設費
として
寄付
はいただきますが、この理由は先日も申し上げましたように、新しい薬を開発していけば、やはり
メーカー
の
利益
になるわけでありますから、相当な
受益者負担
があってしかるべきだという
考え方
からこうやっておるわけでありますが、持ち込まれました
試験
につきましては、繰り返すようでございますが、そういう
技術者
がやるわけでございまして、
メーカー
の
ひもつき
の人がやるわけではございませんので、そういう心配はないというふうにわれわれは
考え
ておるわけでございます。
千葉七郎
14
○
千葉
(七)
委員
寄付
をもらって
設置
をしても
メーカー
の
利益
をはかるというようなことは絶対にない、こういう御
答弁
でありますから、それはそれで信用することにします。しかし私は、こういう公的な
機関
の
設置
の
費用
を
受益者負担
というようなそういう
考え
のもとに、
メーカー
に
負担
をさせるという
考え方
は誤っているんじゃないか。こういう公的な
機関
はやはり国が
資金
を出して、そしてその
機関
を利用する際には
利用料
というような形で出してもらう、徴収をする、そういう形態をとるのが本来の形ではないかと思うのですが、その点についてはどういう御
所見
を持っておられるか、お
伺い
をします。
中野和仁
15
○
中野政府委員
いまのお話、そういう
考え方
も私もあると思います。思いますけれ
ども
、今回設立いたしましたものにつきましては、これは別に
株式会社
の株式を
メーカー
が持つということでございません。
施設
をつくるための
寄付金
でございます。したがいましてその
寄付
を得たからその
寄付
が全体の七割、八割あるんだから、その人の御意向を伺ってということにはならないということでございまして、いまお話しのように全部国でやってもそれはいけないということはもちろんないと思いますけれ
ども
、やはり
研究所
の性格といたしまして国の金、それから
関係団体
の金というものでつくっておきましても、先ほどから繰り返して申し上げておりますけれ
ども
、
運営自体
は公正が期せられるというふうに
考え
ておるわけでございます。
千葉七郎
16
○
千葉
(七)
委員
私はどうもその
答弁
は納得いきません。こういう公的な
機関
はやはりその
建設
の
費用
は国なら国が
全額
、あるいはそれはもちろん
関係
の
団体
から
寄付
をもらうということは、これはいいかもしれませんけれ
ども
、いずれにいたしましてもその
金額
はわずか三億五千万円
程度
、これくらいの金を
メーカー
から出してもらわなければこういう大切な
機関
の
設置
ができないということはおそらくないと思うのです。ただいまの
答弁
によりますと、私が申し上げたように国が
全額
を
負担
をして
建設
をし、そしてそれを利用する
業者
なり
団体
なりからはその
利用料
を徴収するという方法も
考え
られるという
答弁
でもありますから、したがってそういう
方向
でいくのが正当な正しい
方向
ではないかと思うのでありますから、その点はひとつまだ
寄付
をもらったのではないのだそうですから、十分
農林省当局
におきましては再検討をしていただきたいと思うのであります。 それから、この問題はその
程度
にいたしまして、
登録
にあたりまして、
登録
の
申請
のあった
農薬
に対して
農林大臣
がこれを
検査
をする、これは
農薬検査所
で
検査
をするのだそうでありますが、その
検査
の要綱に合致をしない、つまり不合格の
農薬
に対しましては
登録
を
保留
するということになっておるようであります。その
保留
の要件の前提の
基準
というものはどういうことになっておるか、その
基準
をお知らせを願いたいと思うのであります。
中野和仁
17
○
中野政府委員
お尋ねの
基準
につきましては、
改正案
の第三条第二項で、
農林大臣
がその
基準
を定めて
告示
をするということになっておりますが、まず
作物残留性
の
農薬
につきましては、これは
食品衛生法
の
残留許容量
というものを
基準
にしたいと
考え
ております。それから五号の
土壌残留性農薬
につきましては、
あと作
の
農作物
についての
厚生省
の
残留許容量
できめたいということを
考え
ております。それから六号は、
水産動植物
に対する問題でございますが、これにつきましては
コイ
が
半数致死量
というのですか、四十八時間に
コイ
が半分死ぬ量、これは〇・一PPMということになっておりますが、かつそれの
消失日数
が一週間ということで、これは現在すでに
告示
がされております。 それから
水質汚濁性
の
農薬
につきましては、
水質
の
環境基準
というのがきめられております。この
水質
の
環境基準
を著しくこえ、かつ長期間
汚濁
が持続をするという場合に、これは
保留
をするということで
基準
をきめたいというふうに
考え
ておるわけでございます。
千葉七郎
18
○
千葉
(七)
委員
そこでお
伺い
をいたしますが、ただいま
答弁
のありました
基準
、この
基準
について
土壌関係
と
水質関係
、この
基準
と
公害対策基本法
の第九条の規定とはどういう
関係
になるわけでありましょう。第九条の定めによりますと、「
政府
は、大気の汚染、
水質
の
汚濁
及び騒音に係る環境上の
条件
について、それぞれ、人の健康を
保護
し、及び
生活環境
を
保全
するうえで維持されることが望ましい
基準
を定めるものとする。」こういう規定になっておるわけであります。この
公害対策基本法
の第九条の
基準
も、ただいま
答弁
のあった
農薬取締法
の
基準
と合致をすれば問題はないわけです。合致をすることになるか、しないことになるか、その点はどういうことになりますか。
中野和仁
19
○
中野政府委員
先ほ
ども
申し上げましたように、
水質
の
環境基準
を予てのまま
農林大臣
の
告示
といいますか、
基準
にいたしたいと申し上げましたから、当然合致するわけでございます。
千葉七郎
20
○
千葉
(七)
委員
了承いたしました。 そこで、
農薬
の
登録
の
申請
に対して、要件に合致しないということで不合格になった、あるいは
登録
の取り消し等が行なわれるわけでありますが、この取り消しの決定は、これはもちろん
農林大臣
が決定をするわけでありますが、実際的に取り消しの決定を
審議
する
機関
は
農業
資材
審議
会の答申でそれらの決定をするというように承っておるのでありますが、間違いありませんか。
中野和仁
21
○
中野政府委員
取り消しました理由によって違ってくるかと思いますが、非常に技術的な判断を要する場合には
農業
資材
審議
会の
意見
を聞いたほうがいいというふうに思いますので、昨日も必要なものはその
意見
を聞くということを申し上げたわけでございます。
千葉七郎
22
○
千葉
(七)
委員
そこでこの
登録
の取り消しに対する異議の申し立てがあった場合あるいは
登録申請
に対する不合格によって
登録
が
保留
されたといったようなことに対する異議の申し立てがあった場合に、これは
農林大臣
が異議申し立てに対する最終の決定をするということになっております。しかしきのうの
議論
に対するあなたの
答弁
によると、異議の申し立てのあった際にも、
農業
資材
審議
会の答申によって、この異議の申し立てを受け入れるか却下するということをきめるのだ、こういう
答弁
があったわけです。私はそういう
考え方
は非常におかしいのじゃないかと思うのです。
登録
の取り消しあるいは
登録
の
保留
をするのも
農業
資材
審議
会がやる。それに対してこの異議の申し立ての審判というか、それも同じ
農業
資材
審議
会が
審議
をする。取り消しをするにもこの
農業
資材
審議
会、その異議の申し立てを
審議
をするのも
農業
資材
審議
会、同じ
機関
が相反する事項を
審議
するということは、これは非常におかしい
考え方
ではないかと思うのですが、いかがなものでしょう。
中野和仁
23
○
中野政府委員
農林大臣
が職権でその
農薬
の
登録
の取り消しをいたします場合は、これはお話しのように資材
審議
会の
意見
を聞くということを
法律
で、今度の
改正案
できめております。それを取り消しました際に、今度は
メーカー
のほうが異議の申し立てをした場合、これは必ず聞く必要はないわけでございますが、前にいろいろありました
審議
会の
意見
であるいは
メーカー
の
意見
を聞くべきことがあり得るかもわかりません。そういう場合はもう一ペん、技術的な問題でございますので、
意見
を聞くことがあるわけでございます。
法律
といたしましては、
農林大臣
が異議の申し立てを審査をして決定をするだけでございまして、慎重を期するためにもし
メーカー
のほうの異議の申し立ての
内容
についてもう一度その
審議
会に聞き直したらいいじゃないかという判断をした場合は、慎重を期して聞くという
考え方
でございますので、両方必ずぴしゃっとやらなければならないというふうには
考え
ておりません。
千葉七郎
24
○
千葉
(七)
委員
この取り消しあるいは
保留
の決定をするのも
農業
資材
審議
会、それに対する異議の申し立ての
審議
をするのも同じ
機関
がやるということは、これはどうしてもふに落ちないのであります。したがって
登録
保留
あるいは
登録
取り消し等を
農業
資材
審議
会の
審議
によって決定をするというならば、この
保留
や取り消しに対する異議の申し立ては、別な
機関
をつくってやるのが当然の筋道ではないかと思うのです。その点をひとつ十分考慮していただきたいと思います。同じ
機関
で相反することを
審議
するということは、これはどうしても筋道が通らないと思う。これは私の
意見
ですからひとつ十分御考慮をいただきたいと思います。 さらに指定
農業
の
制度
でありますが、この指定
農薬
の範囲を拡大して、そしてその
使用
の方法なり、あるいはまたいろいろな
基準
を定めるということは、これは
農薬
の薬害の防止にとっては非常に大切なことであり、たいへんいいことだと思うのでありますが、その定めた
使用
方法の
基準
の指導の体制が確立をされなければ、この
条文
の徹底は期されないと思うのであります。きのうの
答弁
によりますというと、
農業
改良普及員あるいは農協の営農指導員あるいは
農薬
の防除の指導員等一万八百人ですか、これらを通じてその指導に当たる、こういう御
答弁
でありました。指定の
使用
方法その他、容器等に明記をするということになっておるのでありますけれ
ども
、この
使用
方法等の
基準
の指導体制が確立をしなければ、せっかくこういう規定を設けても、それは末端まで浸透するということは非常に困難ではないか、かように
考え
られるわけであります。そこできのうの
論議
にもありましたが、この指導体制を確立するために、それぞれ適当な方法でもって指導員の防除の知識というものを高める必要があるのではないかと思うのでありますが、いま
農林省
が来年度予算に要求をしておるこの
農薬
関係
の予算を見ますというと、防除指導員の再訓練の
費用
等は十分要求をされているようには
考え
られないわけであります。その点はどういうふうになっておりますか、御説明を願いたいと存じます。
中野和仁
25
○
中野政府委員
防除員の活動費といたしまして、ことしの予算では六千百一万円。それから講習会、これは資質の向上のための講習会をやっておりますので、これの出席旅費、それから資質向上
関係
の資料を提供するための
費用
でございます。防除員につきましてはいまのように活動費と講習会の出席旅費、なお来年はそれをやりますための資質向上の資料費というものを要求しております。
千葉七郎
26
○
千葉
(七)
委員
ことしの予算が六千万円ですか。来年度の要求額が
農薬
安全
使用
指導分としては三千五百万しか要求していないのじゃないですか。
農薬
安全
使用
講習会開催費、
農薬
危害調査指導旅費、病害虫ハンドブック及び
農薬
安全
使用
普及経費、これは三千五百万しか要求してないですね。今年度の予算が六千万、来年度は三千五百万というと、ちょっと半額になっているような
感じ
がするのですが、そうじゃないのですか。
中野和仁
27
○
中野政府委員
ただいま申し上げましたように本年は病害虫防除員活動費は総額にいたしまして六千五百九十三万九千円でございますが、これはいま予算要求で大蔵省と折衝いたしております、それに対応いたしますのは九千百五十万六千円でございます。
千葉七郎
28
○
千葉
(七)
委員
ではこの調査書は間違っているということになりますね。わかりました。 そこで今後の防除体制をどういう
方向
に進めるかという点であります。もう時間ですからこれだけで私、
質問
を終わりますが、昨日の
答弁
によると、今後の防除体制は指定
農薬
の販売が拡大されるという
関係
からして、共同防除の
方向
を進めることが必要であろうということの
答弁
があったように聞いたのです。ところが今年度予算の要求を見ますというと、昨年は
農薬
安全対策費として八千三万六千円、この
農薬
安全
使用
の強化をはかるため、病害虫防除員に対する
農薬
安全
使用
教材費並びに共同防除組織育成に必要な経費、これが今年度はゼロになっているのです。つまり共同防除組織育成に必要な経費は全然上がっていない、要求されていない。昨日の
答弁
によると、今後の指定
農薬
による防除の体制は共同防除の
方向
とで進めるのが適当だと思う、こういう
答弁
。ところがその共同防除組織育成の
費用
というのは全然要求されてない。きのうの
答弁
と、予算要求の
状態
を見ると、全然そういう
方向
で
考え
てないのじゃないかという
感じ
がするのですが、それはどうですか。
中野和仁
29
○
中野政府委員
四十三年から四十五年までは共同防除組織育成費ということでやってまいりました。三カ年計画でやってまいりまして、モデル防除組合をつくってまいったわけでございます。そこで三カ年たちましたので少し知恵を出しまして、これは予算の大蔵省との折衝のテクニックということもあるかもわかりませんが、
農薬
安全管理対策事業費ということで、いままでの一年分の
金額
の三倍くらい、約二億一千万円を予算要求いたしております。これは昨日も若干申し上げましたが、焼却炉をつくったり、あるいはガラスびんの破砕機をつくったり、あるいは作業室をつくったりということで、共同防除の物的な
施設
を強化したいということと、あわせまして防除安全管理費ということで研修会、説明会等の必要な
費用
ということを要求しておりまして、引き続き共同防除の組織をつくっていくについて、もう少し物的な
施設
を強化したいという
考え方
から、名前を変えて提出しておりますので、あるいは誤解をいただいたかもわかりませんが、決してその点をおろそかにしているわけではございません。
千葉七郎
30
○
千葉
(七)
委員
時間でありますから以上で私の
質問
を終わります。共同防除の必要性はこれは
政府
自体
も認めておるところでありますし、また、
農業関係
の
団体
等もそういう
方向
に進めることを要望しており、その必要が一そう強くなることだろうと思うのであります。したがって、物的な
施設
はもちろんのこと、人的な
施設
につきましても十分経費の面においても考慮を払われますように要望をいたしまして、私の
質問
を終わります。
草野一郎平
31
○草野
委員長
阿部
昭吾
君。
阿部昭吾
32
○
阿部
(昭)
委員
私はこの間の連合審査の際も
倉石
農林大臣
にお尋ねをしたのでありますが、林野庁におきましては、国有林に大量の枯殺剤、除草剤
——
農薬
を散布いたしておるわけでございます。その際に私
ども
も、特に私の郷里のある町におきましては、有権者が六千名の中に、四千五百名ほどの皆さんがこの除草剤の散布を中止をしてほしいという署名をもって要請をしたのであります。その署名をもとにして林野庁の出先の
関係
の方面といろいろ協議をいたしました。その際に、林野庁中央におきましては、地域の住民の反対を無視して強行するようなことはしない、こういう
方針
でありますと、こう言っておったのであります。しかし、結果的には、七割くらいの大ぜいの中止をしてもらいたいという署名を無視して、実はこの枯殺剤の空中散布を行なったわけであります。その説明は、人畜未踏の地だ、したがってあまり被害は出ないであろう、それから、今回散布をした枯殺剤は塩素酸系のもので被害はないのだ、こういう御説明でございました。しかし、散布をいたしますると四十日間以上の立ち入り禁止をそのあたり一帯に行なったわけであります。人畜に被害なしというものならば、地元民の受け取っておる気持ちといたしましては四十日以上の立ち入り禁止などをする必要がないじゃないか、こういっておるわけであります。したがって、時間がございませんので、私がきょうお尋ねをいたしたいのは、特にその際に出先の営林局長や署長の、お会いをいたしました限りにおいての
態度
、もの腰はものすごくりっぱで実はなかなか柔軟であります。しかしながら、七割以上の地域住民の中止をしてほしいという署名に基づく強い要望があったにかかわらず、大量の空中散布をやはり強行した。こういう形になったのであります。 そこでその際に、将来は一体どうなるのかということにつきましては、まあ来年から先になれば公害世論が非常にシビアになるだろう、したがって、いまやっておる
考え方
は変えざるを得ないようになるのではないか、こういう
考え方
が随所に出されました。私はその際に痛感いたしましたのは、これは地元住民も同じだと思うのでありますが、公害世論がシビアになれば、これは変わっていかざるを得ないだろう、公害世論があまり盛り上がらなければやっぱりやるぞというふうにもとれるのであります。私はどうもこういうところに
政府
が一体どういう
考え方
を持たれているのかということがつかみ切れない、わかりにくい。これがいま地元の住民の偽らざる
感じ
方でありまするので、一体今後この自然公園、特に私の地域では国定公園、自然公園、こういう地域の中に大量の枯殺剤の空中散布を行なったわけでありますが、いま山の自然を
保護
する、自然環境を
保護
するということが住民の大きな関心の的になっておりまするこの時期に、このような
考え方
というものはどうも地元ではわからぬ、
政府
は一体何を
考え
ているのだろうか、こういうふうに受け取っておりまするので、今後この枯殺剤というものをどういうふうにやっていかれるおつもりなのか、最初にぜひ一つお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
倉石忠雄
33
○
倉石国務大臣
いま御指摘のありました具体的なことは林野庁の長官からお答えいたさせますが、塩素酸製剤は害にならないのだということを申し上げたという話でありますが、これは害といったってどういうことの害か存じませんけれ
ども
、これは除草剤として平素使われておるものであります。塩素酸系とおっしゃいましたから、たぶんそれが使われたことと思っておりますが、その他の二四五丁のようなものにつきましては、使えます期間も、一ぺん使えばあと何十年と使わないもののようでありまして、そういうことについての
使用
の方法については、自然公園はやらないとか、あるいは湖水、河川等にはまかないとか、いろいろなことをやっておるようでありますが、大体いま林野庁として、私
ども
が悩んでおりますのは、非常に労働力が欠除してまいっておりますので、除草の、つまりいわゆる下草を刈ることにつきましては、できるだけ害を伴わないような除草剤を使うというのは、これはやむを得ないことでもあり、当然なことであります。それがいわゆる公害をもたらさないような薬品を、それから使い方を気をつけるということについては、これも当然なことでありますが、いまのお話の中に、公害問題がやかましくなれば云々というのは、だれが発言したことか存じませんけれ
ども
、そういう問題が出る出ないにかかわらず、いまもう私
ども
は
政府
全体として緑を
保護
し、天然を
保護
し、しかも人体に害のないようなことをできるだけ森林、
農作物
にもやっていかなければならぬということになっているのでありますから、やかましくなろうとなるまいと、やはり害のあるものは、なるべくそういうものは使わないようにする。またそういうものを
使用
する場合には適切な指導をして、人畜に害のないようなやり方をしなければならぬ、こういうことはもう
政府
としてはさまっていることであります。 したがって、個々具体的なケースにつきまして、私はよく存じておりませんから、林野庁の長官からお答えいたさせます。
阿部昭吾
34
○
阿部
(昭)
委員
いま
大臣
の御
答弁
で除草剤、枯殺剤を
使用
するというのは、つまり労働力が非常に不足だ。したがって、それを薬剤によって代用しなければならぬ情勢にある、こういうふうに受け取ったのでありますが、今回私
ども
営林署やあるいは営林局に対して、相当早い時期に計画を明らかにするのであれば、地元の山元における農家の皆さんが一定のスケジュールを組んで、労働力の提供はできますよということを、実は前々から申し入れしておったのであります。そのことはよくわかりますけれ
ども
、林野庁の
方針
として、今回何が何でも除草剤を使えという強い指示なものですから、そういう皆さんの地元の協力体制はよくわかりますけれ
ども
、今回その薬剤は使わしてもらわなければ困るのだ、来年度以降のことは公害世論もきびしくなるでしょうから、またいろいろ
考え
なければならぬでしょうけれ
ども
、こういう言い方なんであります。私は、いま
大臣
の御
答弁
の中で、少なくとも地元の山元において、人間の手でいろいろな下刈りなりそういうことが可能な労働力の供給ができる、こういう裏づけのあるような場所においては薬剤の散布はしない、こういうふうに一歩進めていただけるのかという実は希望を持ってお
伺い
したいのでありますが、この辺はいかがでありましょうか。
倉石忠雄
35
○
倉石国務大臣
田の草を七回も八回もいままで取っておったのを、
農薬
によってそういう手間を除去し、
生産
をあげるということ、これはもういま世界的に水田のあるところでそういう傾向であることは御存じのとおり。ただいま林野庁の経理等についてお話しすべき時期ではないかもしれませんが、私
ども
はできるだけ省力で、経済的に
運営
をしてい、ということが大切なことであることはたてまえであります。したがって、そういう面からたぶん出先の営林署においても、いろいろ除草剤等について
考え
て措置をいたしておることだと思いますが、そういう
意味
でこれは民有林でも同じであります。いま民有林がだんだんだんだん荒廃してきているといわれております。その一つの大きな原因は、山を持っておってもそろばんに合わないということは、そろばんに合わないということの一つの大きな理由は労働力の
関係
であります。賃金の高騰によるコスト高ということでございまして、やはり林野庁におきましてもそういうことを考慮せざるを得ないのは当然であります。したがって、人体、
農作物
等に被害を及ぼすようなものについては、これは十分警戒をし、注意していたさなければなりませんが、除草剤をやめろという一般論につきましては、これはいろいろ
議論
があると思います。いま御指摘のような具体的なことにつきましては、私はつまびらかにいたしておりませんけれ
ども
、一般的にはいま私が申し上げた
方針
であります。
阿部昭吾
36
○
阿部
(昭)
委員
林野庁長官
に
伺い
ますが、第一は地元の反対があるような
状態
の中で強行するようなことはしない、こういう
方針
を営林局長の局長
会議
の際に指示をされた、こういうふうに現場の林野
当局
の皆さんは言っておられるのであります。しかし、実際上は七割余の大ぜいの皆さんが、署名で、中止してもらいたい、いろいろな被害がある、人体の問題などにも影響がある、いろいろな理由を付して中止をしてほしいという強い要請を行なったにかかわらず、これを強行したわけであります。したがって、地元の反対があるような中では強行しないというこの長官の
方針
が、下部では守られておらないということになると思うのでありますが、これがまず第一。 それから第二の点は、現在林野庁において山林に
使用
する枯殺剤というものを、
メーカー
との間に一定の製造を取りきめておるはずだと思うのであります。この取りきめの状況と、現在すでにそういう取りきめに基づいて、ある
意味
で林野庁の
責任
を持たねばならぬ数量というのはどのくらいあって、これが将来にわたってどういうことになるのかということを、概要についてお聞かせを願いたいと思うのであります。
松本守雄
37
○松本
政府
委員
第一点、地元の反対を押し切ってやったということでございますが、反対が相当署名されたということは確かにあったようでございます。が、これは、除草剤というものに対する理解が徹底しなかったときの署名でありまして、その後、その反対の状況に、営林署が動員されまして、個別にも集団的にも、除草剤、塩素酸塩系の薬はどういう薬なんだということの説明を部落にいたしまして、林野庁にも、その散布をするぎりぎりのところまで、するかしないかという相談がございました。林野庁としては、なおもう一度重ねて地元を説得しなさいということで、一両日延期もしたように記憶をしております。そのようにして地元の反対は大かた理解が取り付けられたという報告がございまして、それならばもう、安全を期して慎重に実施しなさいということで実施をいたしました。 それから
メーカー
との取りきめがあるようだということでございますが、これは林野庁としては次の年に
使用
する薬につきまして、
メーカー
に対して発注するとか、大体の見当を、これぐらいどうだということは全くしておらないはずでございます。
阿部昭吾
38
○
阿部
(昭)
委員
全くしておらないとおっしゃるのですが、そうしますと、出先で思い思いにかってに購入するわけですか。
松本守雄
39
○松本
政府
委員
いま除草剤の年度の予定は、営林局、営林署で立てて購入をいたしております。
阿部昭吾
40
○
阿部
(昭)
委員
この薬はいま民間ではほとんど使っておりません。民間で使っておる例は、少なくとも私
ども
の地域では非常に少ない。この枯殺剤、除草剤というものは、大量にやっておるのはほとんどが国有林であります。そうなりますと、出先の営林署あるいは営林局において購入をする場合に、ぶっつけ本番、さてひとつどこかから買おうかということでやれるものじゃないのじゃないか。したがって、相当大量にやっておるわけでありますから、一定量というものをあらかじめ
メーカー
との間にいろいろな相談をしなければ、あれだけの薬剤を取りまとめすることはできないのじゃないかと思うわけであります。こういうことも一切やってないということでしょうか。私
ども
は局段階その他からいろいろなことをお聞きしておるのですが、全然やっておらぬというのはうそじゃありませんか。
松本守雄
41
○松本
政府
委員
林野庁としては、
メーカー
から見積もりの提出はあるようでございますが、来年度は幾ら使うというようなことは、その使う直前までは、その
メーカー
、個別の
メーカー
に対しまして連絡をしておらないはずでございます。
阿部昭吾
42
○
阿部
(昭)
委員
私
ども
実は現場の営林局やその他から、いろいろの経過や
内容
を承知しておるのであります。したがっていまの長官の
答弁
だけでは、納得せよといってもそれは無理なんでありますが、きょうは時間がありませんから次の機会に譲りたいと思うのでありますけれ
ども
、来年度、四十六年度はすでに見積もりなどを出さしておる、何もないところに見積もりを出すという
業者
もあまりないのじゃないかと思うのです。林野
当局
は相当使うだろうということで、見積もりを提出させられたり、いろいろなことになってきていると思う。したがって、四十六年度の見通し、計画、こういうものは全く無計画にただ動いているということにはならぬと思うのであります。私
ども
局段階その他から相当具体的な話を実は聞いておるのであります。来年度四十六年度はどうするつもりかということをお聞かせいただきたい。
松本守雄
43
○松本
政府
委員
林野庁としましては、数年前から分権管理方式といいまして、それ以前は中央で相当こまかい点にまで仕事の計画につきましてタッチをしておった。数年前から営林局へほとんどの業務計画をおろしております。したがって、営林局で翌年度の計画は立てる。そのために営林署から営林局へいろいろな資料を吸い上げるということはあろうかと思います。 それから民有林でいまあまり使っておらないというお話がございましたが、民有林でも逐次相当量使われております。民有林で四十四年度の
使用
面積は三万六千ヘクタールでございますから、国有林の面積にはちょっと足りませんが、大体近い面積が薬が使われております。
阿部昭吾
44
○
阿部
(昭)
委員
そこで私は長官にこの機会に申し上げておきたいのでありますが、私
ども
現地におるものでありまして、私なんぞも活動範囲は相当幅が広いものでありますから、たとえば営林局のほうから木材の売り渡しなどを受けておる製材
業者
、素材
業者
など、たくさん知り合いがおります。この皆さんが、実はこの間の枯殺剤の強行散布に関してこういうことを私
ども
に言うわけであります。つい先般、今度の参議院選挙の際に売り渡し石数に見合う票を取れというので私
ども
業者
が集められました。その際に
当局
の皆さんも出てきておって、今度の枯殺剤強行散布の問題にたまたまいろいろな説明がありました。その際には、つまり、これは無害じゃないので、いろいろ問題はあるんだ、あるんだが、少なくとも林野行政から売り渡しなどを受けておる、お世話になって恩恵にあずかっておる皆さんが、現地の住民の説得にひとつ先頭切って当たってくれ、こういう話を、つい最近
業者
が集められて、来年の参議院選挙の売り渡し石数に見合う票を集めろという、相談の
会議
の際に実は聞いたんです。ですからいまあなたは、現地に営林署
関係
者が何回か足を運んで、反対に対して説明が足らなかったから説明をやれといってやらせたと言っておるのですが、どこで説明をやったかということになると、町議会に行ってやっておる。町議会の中には製材
業者
その他が何人かおって、そうするとこの皆さんは私
ども
、個人的にはあんなことをやられちゃかなわぬけれ
ども
、われわれはどうも営林署のお世話になっておるので、やはり賛成だと言わざるを得ない。議会は何とはなしにそういう世論の中で、あまり反対でもないあまり賛成でもないみたいな結論を出した。それを受けて営林
当局
は、地元はおおむね納得したものと思うということでやることにいたしましたという回答を、実は
関係
者、七割以上の署名をやった方々に対してやっておるのであります。私はこれは反対世論に対して、疑問や批判を持っている皆さんに対して十分の説得や何か理解を深めたことにはならぬと思うのであります。いわんや来年の参議院選挙の票集めの会合をやりながら説得なんかやったって、ほんとうの説得なんかできるものじゃないと思う。きょうは時間がございませんのでこれ以上はできませんけれ
ども
、たとえばいま薬剤の
関係
は全部出先にまかせておる、こういうのですが、われわれの地域でそんな除草剤はどこでもつくっておりません。全部こっちからつくるわけであります。したがって、これは私
ども
局段階で全部詳しい話を聞いております。やはり林野庁全体で取りまとめられた窓口があって、そこからちゃんともらうようにやっておりますと言っているのであります。あなたのほうは全部出先のほうにまかして、こっちはわからぬと言うけれ
ども
、そんなはずはないと思う。私はこれ以上
質問
いたしませんけれ
ども
、次の機会にまたこの問題を深めさしてもらわなければならぬと思います。 以上で私の
質問
は終わります。
草野一郎平
45
○草野
委員長
瀬野栄次郎
君。
瀬野栄次郎
46
○瀬野
委員
農薬取締法
の一部を
改正
する
法律案
について、
農林大臣
並びに農政局長等
関係
当局
に
質問
いたします。昨日
質問
をいたしてまいったのでありますが、
大臣
が所用のために欠席をされましたので、本日引き続きあらためて
大臣
にお
伺い
したいと思います。 まず最初にお
伺い
しておきたいのは、わが党からお手元に差し上げておりますが、
農薬取締法
の一部
改正
の中で、四点にわたって修正を
考え
ておるところでございますが、まずその第一でございます「
登録制度
の改善」ということで、(記載事項の訂正又は品質改良の指示)というところで第三条の七号、「公共用水域の
水質
の
汚濁
が生じ、」という次に「環境が著しく汚染されるおそれがあるとき、」このようにぜひ挿入をしていただきたい、かようにお願いをするわけでございます。 御承知のように、現在
日本
は、公害列島
日本
といわれますように、自然環境が破壊されまして、
日本
人の住むところはもうなくなるのではないかといわれるほど公害に悩まされております。人間並びに家畜の被害だけでなく、環境が汚染された場合には当然規制をすべきではないかと思うのであります。最近、
農薬
によって環境の汚染が著しく目立ってまいっております。しかも益虫なんかも
農薬
などによっていなくなってまいっております。こういった
意味
から、ぜひ「環境が著しく汚染されるおそれがあるとき、」こういったことを入れなければ、この
農薬取締法
の
内容
も片手落ちになるのではないか、かように思って提案をしておるわけでございます。
大臣
からこのことについて明確なる御
答弁
をいただきたい。まず第一点、お
伺い
する次第であります。
倉石忠雄
47
○
倉石国務大臣
いまお話のございました修正案を私まだ拝見いたしておりませんので、事務
当局
のほうでは見ておるかもしれませんが、事務
当局
からお答えいたさせます。
中野和仁
48
○
中野政府委員
ただいまお話しの件、けさほど非公式にいただいたわけでございますが、今回の
改正案
におきまして、われわれ
水質汚濁性
農薬
についての規制を
考え
ました際に一番問題になりますのは、いままでからあります
水産動植物
に対する被害、そのほかに公共用水域につきまして、
農薬
が流れ込んで
水質
が
汚濁
しまして、それが人畜に被害を与える場合、この二つを規定したわけでございます。いまお話しの「環境が著しく汚染されるおそれがある」ということになりますと、非常にばくとしておりまして、
農薬取締法
から一体どういうふうな規制をしたらいいか、まだいまのところ
——
遠い将来は別でございますが、われわれ見当がつきません。それで今回は人畜の被害と
水産動植物
の被害ということを明確にして
農薬取締法
の面からは規制をしたいと
考え
ておるわけでございます。
瀬野栄次郎
49
○瀬野
委員
御承知かと思いますが、食用ガエルが昨年は輸出停止になりまして、アメリカからたくさんの製品が却下されたことがございます。もちろん
農薬
の残留があったということで、アメリカからも指摘されたことでございますが、関東一円に至りましてドル箱といわれ、しかも
生産
量においても自然に
生産
されまして、
日本
の外貨獲得の大きなウエートを占めてまいっておるこの食用ガエル等も、
農薬
の害によって被害を受けまして、それがアメリカの出荷停止を受けた
関係
から本年は田植え時期からこれが相当、捕獲されないために繁殖しました。この食用ガエルは年に三月と九月の二回くらい産卵するわけでありますが、これの泣き声の騒音並びに食用ガエルの繁殖が著しいために田植え時期に稲が倒伏する。将来もこういった問題がたくさん起きてくるわけでございますけれ
ども
、来年はどうなるかということで関東一円の
業者
も
生産
がストップしたし、また輸出もできない。しかも環境が破壊されたために、捕獲をしても製造の
意味
がないということからそういったことがたいへんな将来の問題になっております。これらは
大臣
もよく御存じだと思いますがそういった問題、また先ほど話がありましたように二四Dの除草剤の問題、いろいろございまして、至るところこういった事件が起きております。昨日も私、
質問
申し上げましたが、熊本県宇土半島一円もたびたび空中散布による
農薬
によって魚介類等が死滅をしておるという事態が起きて、それがまたいろいろな作物に影響を及ぼすというような事件も起きておりますが、こういったことから「環境が著しく汚染されるおそれ」ということをぜひ挿入していただかなければならぬ、かように思うのです。いま農政局長から
答弁
がございましたけれ
ども
、
大臣
もよく承知をして検討をしておられるわけですが、
大臣
の今後のこの法案に対するお
考え
、いまお聞きになっていろいろとおわかりになったと思いますけれ
ども
御見解を承りたい、こう重ねて申し上げるわけでございます。
倉石忠雄
50
○
倉石国務大臣
お話しのことは私
ども
もよくわかるわけであります。しかし事務
当局
もお答えいたしましたように、今回
農薬取締法
の一部を
改正
するにあたりましては人畜及び農産物についてのものを一応これからさらに私
ども
は研究を続けてまいるわけでありますから、その上でできるだけ対処してまいりたい、こう
考え
ているわけであります。
瀬野栄次郎
51
○瀬野
委員
農林大臣
からいまできるだけ対処していきたいという
答弁
がございましたので、どうかひとつ
農林省当局
も、現在の環境がいかに汚染されておるか、
国民
の重大な関心でございます。また私も当
委員会
でたびたび自然環境等の問題については
質問
を申し上げ、提案してまいったところでございますが、この環境を守るということは当然政治の
責任
である、かようにも思っております。どうかひとつ慎重な検討をされて、
大臣
の御
答弁
にもありましたようにひとつ御検討をよろしくお願いする次第でございます。 次に第二点としては、
登録
の記載事項の変更及び
登録
の取り消しというところで、第六条の三第一項に基づき第二条第一項の
登録
を取り消したとき、または第九条第二項に基づき販売の制限をし、またはその販売を禁止したとき、とこうあります。その中で第六条の三の第一項に基づきというところの最後に
政府
案によりますと、「又はその
登録
を取り消すことができる。」と書いてございますが、これでは弱いわけでございまして、ここのところを「かかる
農薬
の回収並びに処分等の措置を命ずることができる。」このようにすべきである、かようにわが党は
考え
ております。ぜひともこのように強い措置をしていただきますように修正方をお願いするわけでありますが、この点について
大臣
の御見解を承りたいと思うのであります。
中野和仁
52
○
中野政府委員
ただいまの問題でございますが、これは昨日もるる御
議論
がございまして、私御
答弁
申し上げましたのは、
農林大臣
といたしましてその後の科学技術の進歩によりまして
登録
を取り消しました場合に、販売を制限したりあるいは禁止するわけでございますが、そのあとの回収あるいは廃棄の問題、これは今後出てまいります薬によりましてどうやったらいいか、まあいろいろの
考え方
がございます。そこで
農林省
といたしましては、全国的な問題につきましては
農林省
で行政的な
責任
と申しましょうか、指導と申しましょうか、それを持ちましてどういうふうにしますかということでやりたい。それから一部の県の問題でありますれば県知事に
責任
を持ってもらいましてどういうようにしたらいいかということをきめた上でやるべきであって、これは指導としてやるべきでないということを申し上げたわけであります。われわれといたしましてはそのように
考え
ておるわけであります。
瀬野栄次郎
53
○瀬野
委員
私も昨日
質問
申し上げ、またいま
答弁
がございましたが、これが相当問題になりますし、BHCだけでも四億以上に及ぶ、こういう
答弁
がございましたが、たくさんの農家手持ちのものあるいは系統
団体
で持っておるものもございます。こういったものについてぜひとも強い処置をしていただくように御検討をお願いしたい、かように思っております。 次に第三点目でございますが、(
農林大臣
及び都道府県知事の援助)のところでございます。まずその中に第十二条の六に「品質の
適正化
に関する助言、指導その他の」云々とございます。
政府
案によりますと、最後のほうに「努めるものとする。」こういうふうになっております。これでは弱いので、「援助を行なうものとする。なお、これに当っては指導及び防除体制の確立を図る。」このように挿入をしていただきたい、かように思っておるわけです。共同防除とか指導といって昨日もいろいろと御
答弁
ございましたが、はっきり明文化すべきである。かってにしろといってもなかなかできないことでございますので、農家も個人個人が被害を受けておるわけでもございますし、またいろいろときのうからも
論議
された
問題点
もたくさんあるわけでございますので、ぜひ十二条の六の末尾の「努めるものとする。」というところを「援助を行なうものとする。なお、これに当っては指導及び防除体制の確立を図る。」このように挿入をしていただきたい、このように要求するものでありますが、
農林大臣
の御見解を承りたいと思うのであります。
倉石忠雄
54
○
倉石国務大臣
これから拝見いたしまして十分に検討させていただきます。
瀬野栄次郎
55
○瀬野
委員
大臣
からいろいろと検討していただくということでございますので、次の四点目に入ります。 第十二条の六のところでございますが、十二条の六の次にぜひ次のような一項を入れていただきたい、かように思います。「
農林大臣
は十二条の二及び三に規定された
残留性
農薬
を
使用
した農産物の
検査
機関
を充実し、当該農産物が出荷段階で許容量をこえないようにすること。」このように挿入いたしたいと要求するものであります。 これはどういうことかといいますと、先般岡山県でもドリン剤によりましてキュウリ等の出荷停止が起こりました。現在の
検査
機関
ではわずかな人員でこれを取り扱っておりまして、なかなか常時
検査
ができない。しかも抜き取り
検査
等によってやっている、こういった
意味
からも
検査
機関
の確立をはかるということは当然であると同時に、農産物の出荷段階で許容量をこえないようにすることが最も大事である。それは申すまでもなく
国民
の健康保持上からも第一に
考え
るべきであり、
政府
の
責任
でもある、かように
考え
るからでございます。この点について
農林大臣
の御見解を承りたいと思います。
倉石忠雄
56
○
倉石国務大臣
おっしゃることたいへんごもっともなことが多いと思いますが、ひとつ十分検討さしていただきます。
瀬野栄次郎
57
○瀬野
委員
時間の制約もございますので、いろいろ四点について修正を申し上げましたが、十分検討するということでございますので、どうかひとつ
政府
当局
におかれましても、ぜひこのように修正ができますように、早急なる検討をして、
国民
の健康保持と、また
国民
が安心して
生活
できますように、ひとつぜひお願いしたい。このほかにも数点あるのでありますが、この四点にしぼってぜひお願いをしたい、かように要求するものでございます。 さらに私はこの機会に若干の点をお尋ねをしておきたいと思います。 昭和四十六年度予算の要求中に、都道府県における
残留農薬
等に関する調査研究に必要な機器を
設置
し、
農薬
の安全
使用
をはかるための
農薬
分析機器
設置
事業費というのがありますが、昭和四十四年には五千九百六十六万円、昭和四十五年には七千七百五十五万七千円というものが計上されていたのでありますが、四十六年度はこれが計上されていないけれ
ども
、これについて御説明をいただきたい、こう思うのであります。これはすでに四十五年度までに都道府県に
設置
が済んだやにも聞き及んでおりますので、そういったことで、こういう予算を今回組んでいないのかとも私推定いたしますが、今後さらに
農薬取締法
によってこういったものを拡充強化し、あるいはまた今後の故障その他の経費も要るのではないかと思っておりますけれ
ども
、こういったことについてお
伺い
をしておきたいと思うのであります。
中野和仁
58
○
中野政府委員
お話しのように四十四年と四十五年とで各県に分析機械を整備をいたしました。今後はそれによります使われ方、その他の推移を見まして、なお拡充を検討いたしたいと思います。
瀬野栄次郎
59
○瀬野
委員
今後の推移を見て拡充していくということでございますので、一応了といたします。 次に同じく昭和四十六年度予算要求中、
登録
市販されている
農薬
を対象に、
厚生省
において定める
残留許容量
に対応して安全
使用
基準
を設定することを目途に、
農薬
の
使用
法と残留との
関係
を究明するために必要な経費として、すなわち
農薬
残留の緊急対策に関する調査研究費が、この資料を見ますと四十四年度、六千二百四十五万七千円、四十五年度、六千百十一万円であったのが、昭和四十六年度には全然計上されていないのでありますが、これはいかなる理由によるのか。資料等のミスによるものか、この点お
伺い
をしたいのであります。
中野和仁
60
○
中野政府委員
四十二年からことしまでは
農林省
のほうの
農林水産技術会
議のほうに
試験研究
の予算として計上しておったわけでございますが、今度の
取締法
の
改正
に伴いまして、これは行政ベースに移すべきだということで、農政局のほうから
農薬
残留対策調査事業費ということで約一億くらいを要求いたしております。これによりまして早急に
使用
農薬
の主要農産物における残留量というものを緊急に調査をしたいと
考え
ておりますので、御指摘のようにゼロにしたわけではございません。
瀬野栄次郎
61
○瀬野
委員
そうなりますと、この
農薬
安全
使用
対策
関係
の予算の中でございますが、四十六年度予算要求の中で
農薬
残留対策調査事業費、これが二千八百九万五千円として
農薬
の残留調査を継続実施し、調査結果に基づく安全
使用
基準
を策定し、安全
使用
対策を推進するに必要な経費、こういうふうになっております。そして二千八百九万五千円というのが組んであります。こういうものとの
関連
性はどういうことになりますか。
中野和仁
62
○
中野政府委員
ただいま言われました二千八百万円は、
農薬
残留対策調査をやります、本省でやる分でございます。そのほかに
農薬
残留対策調査委託費ということで、二十県に委託をいたしまして調査をしたいと
考え
ておるわけでございまして、
合計
いたしまして先ほど申し上げました一億近い約九千七百四十万円という予算要求をしておるわけでございます。
瀬野栄次郎
63
○瀬野
委員
私がいただいた資料には、それが載っていないのですけれ
ども
、これはミスプリントというわけでしょうね。調査室の資料でございますけれ
ども
、これに計上されていないわけです。
中野和仁
64
○
中野政府委員
私、調査室の資料をまだ拝見しておりませんので何とも言えませんが、私が申し上げたことが正確でございます。
瀬野栄次郎
65
○瀬野
委員
それでは一応了解いたします。 次に、やはり四十六年度予算要求の中で害虫の総合的防除法に関する研究として新規事業に一億四千七十一万九千円が計上され、天敵利用、不妊化などを取り入れた総合的な防除法の確立を行なうことになっているが、具体的に検討されていることについてお
伺い
いたしたいのであります。
川井一之
66
○川井説明員 技術
会議
におきましては、害虫の総合的防除、これは最近の非常に重要な問題でございまして、この研究につきましてはできるだけ大規模な予算を組みまして、国、県あるいは大学、民間という研究
機関
を総合いたしまして、この生態防除の技術開発を進めていきたいということで、現在
考え
ております。なお一応四十年から天敵ウイルスの利用による害虫防除に関する研究というものを進めてまいりましたが、たとえば果樹のアカエグリバ、稲の二化メイ虫や松のマツカレハなど、いろいろ最近実用化の見通しがつきつつある問題につきましては、この天敵ウイルス利用の研究成果としてあがってきたわけでございます。なおこの研究面は現在のところ非常に深い研究領域を持っておりますので、できるだけ研究の規模を拡大いたしまして、総合防除法の確立を期したいということで、一応予定しておるわけでございます。
内容
といたしましては天敵のウイルスを利用していく場合あるいは天敵のこん虫を利用する場合、それから化学的に害虫を性的に誘引していく、いわゆる性誘引物質というようなもの、あるいは化学的にこん虫の雄を繁殖不能にしていく、そういう直接
農作物
に
農薬
をかけるということではなくて、間接的にコントロールしていく、そういうような新しい研究領域も含めまして、一応害虫の総合防除に関する研究というものを現在要求をしているような状況であります。
瀬野栄次郎
67
○瀬野
委員
果樹害虫天敵利用
促進
費としても千二百七十五万四千円が計上されております。一応ただいまの説明で了といたしますが、今後生物
農薬
というものは大いに使うべきであり、無公害の
農薬
としてこれから大いに期待される、こういうようにいわれているものであります。そこで、いまも説明がございましたが、ウイルスなんかは突然変異によってはこれが逆に害になるという場合もございますし、最近武田薬品等で開発いたしておりますところのハチでありますが、これがある時期においては養蚕の蚕にこれがいろいろと刺さりまして被害を受けるというようなことで、天敵として大いに必要な面、またそういった害も受けてくるという面がございます。こういったことは今後大いに研究すべき問題であると思いますが、これについてはどのような御見解を持っておられますか。この機会にお
伺い
しておきます。
川井一之
68
○川井説明員 生態的にいろいろ防除に使われる方法が開発されてくるわけでございますけれ
ども
、これはやはり
使用
方法が非常に生態的な
使用
方法ということでございますので、開発されたウイルスあるいはこん虫につきましても、どういうふうにそれを
目的
地域に使っていくかということについては十分慎重な検討を経た上で進めていくという
考え方
でございます。
瀬野栄次郎
69
○瀬野
委員
天敵利用ということについては、先ほ
ども
申し上げましたように、ひとつ今後の無公害
農薬
としてぜひこれを推進していただくと同時に、また強力な研究対策等も
考え
て、
農業
者が安心して営めますように、ぜひこの機会に要望しておく次第でございます。 次に、
大臣
にちょっとお
伺い
いたしたいのでありますが、実は沖繩のことでございます。 先般
大臣
も沖繩に参られましたが、沖繩の主産物としてはサトウキビ、パインまたは畜産というものが三つの柱であります。全琉ほとんどサトウキビでおおい尽くされておりますが、私も本年二回ほど沖繩へ参りまして実情を調査してまいりましたけれ
ども
、あのサトウキビの若い新芽に虫がついているのをつまびらかに調査してまいりました。ほとんど全琉にわたって、和名で申しますとカンシャコバネナガカメムシという虫でありますが、地元ではガイダーとこういうふうに方言で言っております。このカンシャコバネナガカメムシ、これはアリの小さいみたいな虫でありますけれ
ども
、これがサトウキビの新芽につきまして、そして成長を阻止し、またサトウキビの汁を吸うために農家は大いなる被害を受けて
生産
が低下しているというゆゆしい問題でございます。DDTとかBHC、またドリン剤等いろいろ使っているけれ
ども
、すでに免疫となりまして薬効がない。至るところを見ましても、虫がついて、どこへ行ってもこれが一ぱい葉茎についております。これは今後たいへんな問題であります。復帰を前に、沖繩のあのきびしい
農業
の
生産
の過程におきましてぜひこれに対する対策を
考え
なければならぬと思っておりますので、この機会に
大臣
にぜひお
伺い
をしたいのでありますが、
大臣
も現地に行かれていろいろ見、あるいは調査をされてこられたかと思いますが、これに対する御見解を承っておきたいと思うのであります。
倉石忠雄
70
○
倉石国務大臣
お話しのように、沖繩
農業
では八一%近くが砂糖であります。先般私が参りましたときも、四十五年度に比べて四十六年度のほうがこういうことに対して、たとえば省力のための機械あるいはまた基盤整備等について
農林省
としても財政
当局
にかなり増額して予算を要求いたしておるような次第であるから、いままでのように四年も五年もほうっておかれるようなことをされたのでは、せっかく御援助申し上げても効力がありませんからして、いままでは基地経済のようなもので所得も別にあったかもしれませんが、これから復帰後どうなるか、そういうことについてわれわれは予断を許さないのでありますが、少なくとも
農業
としてりっぱにサトウキビが立ち行くようにしようではありませんか、そういうことを各地の方にお話をいたしまして、全くそのとおりだと共鳴をしておられました。
農業団体
の方々などことにそういうことについて自覚をされていらっしゃいました。ただいまのお話の害虫の報告をまだ聞いておりませんで、実はびっくりいたしました。これは沖繩にとりましても、ことにただいまのところ沖繩の砂糖の値段をきめる最中でありますので、われわれにとりましても大事なお話でございますので、緊急にひとつ調査をいたしまして、それにきく薬もちゃんとあるそうでありますから、連絡をいたしまして適切な措置を講じられるように緊急に手配をいたしたいと思います。
瀬野栄次郎
71
○瀬野
委員
このカンシャコバネナガカメムシの問題については、
大臣
も現地へ行っていろいろお聞きになって、緊急に調査をして適切な処置をするということでございますが、ぜひ復帰を前に、この
農薬取締法
のこの時期において御
答弁
をいただいたわけですが、対策を練っていただきたいと思います。私向こうへ行きまして、ホルマリンにつけたものを見本にいただいてこっちへ持って帰りましたが、あとでこれを御参考までに見ていただきますように、よろしくお願いしたいと思うのです。これが全琉にはびこって沖繩の
人たち
のたいへんな問題になっておりまして、こうしたものに対する対策も今後いずれ復帰をしてくる沖繩の県民の皆さん方のために、
農薬取締法
がいよいよここに
改正
されようとしているときでございますが、ぜひひとつ対策を御検討いただきたい、かように思うわけであります。 次に、
農林大臣
及び
厚生省
当局
にお尋ねしたいのでありますが、悪質
メーカー
の取り締まりについてでございます。
農薬
の流通面で、
農薬製造業者
は三百五十社あるように聞いておりますが、うち全国的に多品目を製造、販売している
業者
は、約四十社で、そのシェアが九〇%となっておると伺っております。最近悪質な
メーカー
がかなりありまして、これはきびしく取り締まってくれという声があるわけであります。もちろん良心的な
メーカー
もたくさんございまして、良心的な
メーカー
が困る、こう言っておるのであります。
農薬
ではあまりもうからないために、どうしても多量の製造をして売り込みをする、世間並みの
ことば
で申しますと、がめつく申しますと、がめつく押し込み販売をする、こういったことがよく取りざたされております。この悪質
メーカー
の取り締まりにつきまして、表示違反、これは法第七条によりましてでありますが、また法十条の二の一項に(虚偽の宣伝等の禁止)ということがございます。こういったことに
関係
しまして販売禁止等の行政措置を行なえるようになっておりますが、この取り締まりの状況、また摘発の状況、そのおもな
内容
等をどのように掌握しておられるか、時間の
関係
もございますので簡単に御
答弁
をいただきたい、かように思います。
中野和仁
72
○
中野政府委員
流通いたしております
農薬
につきまして、
農薬検査所
を中心にいたしまして抜き取り
検査
をやっております。年間千件くらいやっておりますが、いま御指摘のように最近、たとえば昨年は二件ほど具体的に摘発をいたしまして、その
業者
に対して
農薬
の回収を命じ、かつ一年間販売を禁止するという行政処分をやりましたものが二件ございます。
瀬野栄次郎
73
○瀬野
委員
これは件数のわりに摘発が少ないのでありますけれ
ども
、これは十分この機会に取り締まっていただいて、良心的な
メーカー
のためにも、一般消費者のためにもぜひ指導監督をお願いしたい、かように思っております。 次に、これは
厚生省
関係
にお尋ねすることになると思いますが、
メーカー
が
農薬
があまりもうけが少ないということから農家にどうしても押しつけをする、または予防的な
農薬
として売り込みをする。虫が発生してないのだけれ
ども
予防としてこれを出す。きのうも私の
質問
に対して農政局長から
答弁
がございましたが、八百六十六億に及ぶ
農薬
を使っておりますが、これは九百億、一千億と毎年だんだんふえていく傾向にございまして、世界でも第一位といわれるような多量の
農薬
を使っております。こういったことから見まして、ますます製造いたしました
農薬
を
外国
へ輸出をするということがさらに活発になってきておる段階でございます。先般もBHCをインドネシアに送ったところが、
日本
で使わないものをどうして送ったのだということでクレームがついてきたという問題がございまして、いろいろ批判も受けておりますが、こういった
農薬
の輸出という問題、こういったものについての対策、御見解を承っておきたいのであります。
中野和仁
74
○
中野政府委員
インドネシアにBHCを輸出したという話でありますが、私まだそこまで承知しておりません。ただ、現行の
取締法
によりますと、輸出については取り締まりの規定が適用になっておりません。しかしながら、それぞれの国でそれぞれの
取締法
がございますので、原則的には輸出
業者
は向こうの取り締まり規則に違反するようなものは出せないはずでございます。それによってやられているはずでございます。なお、これは若干つけ足しでございますが、
日本
の
取締法
がどうなっているかということは東南アジアをはじめ非常に関心を持っておるわけでございまして、その辺は十分今後とも
メーカー
のほうに注意をしなければならぬと思っております。
瀬野栄次郎
75
○瀬野
委員
その点よく特にお願いいたしておきます。 次に、あと三点簡単にお尋ねをして終わりたいと思います。
大臣
に、私の
質問
の持ち時間がわずかでございますので、食品衛生調査会の
残留農薬
部会があることはきのうもだいぶ
論議
したところでありますが、この
委員
に
農業団体
の代表をぜひ参加させてくれということが強くいわれているわけでございます。これに対しては
大臣
はどのようにお
考え
でございましょうか。ぜひ
農業団体
の代表を一名か二名ぐらい入れてもらいたい、かように思っておるわけですけれ
ども
、ひとつ、こまかい点は除きますけれ
ども
御見解を承りたいのであります。
倉石忠雄
76
○
倉石国務大臣
厚生省
の所管に属しますのでよく相談をいたしたいと思います。
瀬野栄次郎
77
○瀬野
委員
厚生省
、来ていますか。
小島康平
78
○小島説明員 食品衛生調査会は食品にかかる重要な事項につきまして厚生
大臣
の諮問に応ずる
機関
でございまして、五十二名の
委員
が任命されております。その中にいろいろな部会を設けておりますが、
残留農薬
につきましては
残留農薬
部会というものを設けております。この食品衛生調査会の任務は非常に技術的な判断を下していただくために技術的な
専門家
をお願いしておるわけでございまして、この
残留農薬
部会の中に
農薬
関係
の方といたしましては
農林省
の農政局長、
農業
技術
研究所
の所長それから
農薬
工業会の技術懇談会からの代表という三名の方をお願いしてございまして、いずれも農林
関係
の技術、学識というものを
審議
の過程で反映させていただいておるわけでございます。お話の向きの
農業団体
というようなお話がありましたが、私
ども
といたしましては
農林省
関係
の方三名の御
意見
によりまして
農林省
サイドのいろいろな
農薬
の有効性その他についての御
意見
というものは反映されるのではないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
瀬野栄次郎
79
○瀬野
委員
いま
答弁
ございましたが、時間がございませんし、
農林大臣
も
厚生省
とよく相談したいという御
答弁
でございましたので、ぜひひとつ御検討いただいてよろしくお願いしたいと思います。 最後に一点だけお
伺い
しまして
質問
を終わることにいたします。 昨日私
質問
いたしたところでありますけれ
ども
、
農林大臣
はちょうどおいででございませんでしたが、
農薬
の量がますますふえてまいりまして、病害虫が薬に強くなってまいります。
農薬
はますますその量をふやさないと、今度はきき目がなくなってくる。そしてより強力な
農薬
が必要とされる段階になってまいります。これは釈迦に説法で皆さんよく御存じのとおりでありますが、時間の
関係
で取りまとめていろいろ申し上げますが、反面、病害虫の天敵を殺すことにもなっておりまして、今後開発される天適の問題ともいろいろ
関連
が出てまいります。そればかりか自然の環境をこわすといっても過言ではございません。最近は水田にわらなどをやりましても、わらなどの有機物が分解しなくなって、農家はわらを焼いているというようなことがあちこちで聞かれてまいったわけであります。いわば土地の生命を殺している、こういったこともいわれるわけでありまして、このままではならないと思うのです。
取締法
で規制されることもさることながら、
日本
の将来についても根本的に
考え
ねばならない。よく最近では米などの無
農薬
栽培というものがいわれてくるわけですが、これらについて
大臣
の御見解さらに今後の
農薬
の開発のしかたにも問題がございます。今回の
農薬取締法
の一部を
改正
する
法律案
は、いろいろ規制しても、その思想的背景というものが問題になってくるわけでありまして、この
農薬
というのは殺虫、殺菌、除草剤というふうにありますが、自然を征服しようとする
考え
から出てきておるわけです。何でも殺す、こういう字がついております。よって無害とはいえないわけです。既存の
農薬
は、私に言わせればみな失格である、こういうように言いたいのであります。欧米でも、
農薬
は自然を征服しようとする
考え
から出ている、このようによくいわれているところであります。こういった
意味
で、自然界に存在するメカニズムをうまく取り入れていくということを大いに研究する段階ではないか、こういうように思うわけでございますが、これらについて最後に
農林大臣
から今後の対策についての御見解を、この
農薬取締法
の一部
改正
を機にぜひ
国民
の前に明らかにしていただきたい、かように思うわけであります。
倉石忠雄
80
○
倉石国務大臣
たいへん大事なお話であったと思います。先年、アメリカ大統領のケネディが、レーチェル・カーソンという女の海洋生物
学者
の「沈黙の春」という本を読んでがく然としたということをわれわれも聞いておるわけでありますが、私
ども
も実際いなかに生まれまして、子供のころから今日までの経過を顧みますと、まことに感慨無量なものがたくさんございます。このたび
農薬取締法
の
改正
等に
政府
が踏み切ってまいりましたのも、ただいま御指摘のようなことに
基礎
があるわけでありまして、私
ども
科学的にはしろうとでございますが、
日本
人全体の英知をしぼって、自然が破壊されることをどのようにして防ぐかということに力を入れてまいらなければならぬと思いますし、
政府
もそういう
方向
で今回公害対策本部などを設けた次第でありまして、これで決して十分ではございません。これからがわれわれのほんとうの努力が必要な時期に入ってきておるのではないか、このように存じておりますので、ただいまのようなお話を十分体してひとつ進めてまいりたいと思っております。
瀬野栄次郎
81
○瀬野
委員
以上で
質問
を終わります。
草野一郎平
82
○草野
委員長
午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時五十分休憩
——
——
◇—
——
——
午後二時八分
開議
草野一郎平
83
○草野
委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 午前の
会議
に引き続き、質疑を続行いたします。津川武一君。
津川武一
84
○津川
委員
日本
共産党を代表して、
農薬取締法
一部
改正案
について
質問
します。
農薬
の公害で実際に被害を受けるのは農民と消費者が一番であり、その
農薬
をつくった企業にはあまり
責任
を問うていないのがいままでの
取締法
であったし、今回の
改正
でも企業の
責任
はあまり問題にされていません。そればかりでなく、問題になった
農薬
の扱いによっては被害者である農民が懲役に付せられます。一、二の例をあげてみます。ついこの間福島県で
生産
したキュウリが関西に出荷され、エンドリンが含まれているというので返品され、
生産
者は泣きましたが、
メーカー
には何らの被害もありませんでした。この農民はことしはその塩素剤
農薬
を
使用
しなかったのですが、昨年
使用
したのが
土壌
の中に残っていたのです。これもことし西
日本
の牛乳にBHCが検出され、BHCの
使用
はとめられましたが、流通に回ったBHCはいまだ七千五百トンという大量が回収されずに残っております。ここで問題なのはこの公害の一番の源、一番の加害者である
メーカー
には何らの規制が行なわれていないこと、損害を受けた農民は何らの補償、補てんもされていないこと、
使用
禁止をしてもその回収が行なわれていなかったことです。今回の
改正案
でもこの三つの問題は解決されそうもありません。 そこで
質問
です。 一つは、
農薬
の製造について何らの規制もしていないことです。第二条では
農薬
について
登録
の
制度
を設け、販売と
使用
は規制するといっておりますが、製造には及んでいない。
登録
が取り消された場合も製造は自由です。
メーカー
はつくり続け、
外国
に輸出することもできます。共産党は公害をその発生源において押えることを眼目としていますが、発生源である製造を規制すべきでありませんか。
農林大臣
の
答弁
をいただきます。
中野和仁
85
○
中野政府委員
現行の
農薬取締法
におきましても、
農薬
というものは
農林大臣
の
登録
を受けなければ販売してはならないということになっております。したがいまして、販売ができないものを製造するはずがございませんので、
法律
の
制度
といたしましてはこういうふうに規定しておるわけでございます。当然
業者
のほうといたしましては
登録
が取り消されたりあるいは
登録
が却下されたものは製造するはずはないわけでございます。いま輸出の問題にお触れになりましたが、この問題につきましては、おっしゃいますように
農薬取締法
は
国内
の
農薬
の取り締まり規定でございまして、輸出についてはこの
法律
を適用しておりませんが、これは諸
外国
はおのおのやはり
農薬
取り締まり
関係
の法規がありまして、それに合わないものは向こうで
輸入
させてくれないということになっておるのがたてまえでございます。そういうようなわけでございますので、輸出についてはここでは規定はございませんけれ
ども
、これは午前中のどなたかのお話でございましたように、われわれといたしましても
国内
でこういう規制をしておるものを、
国内
で禁止されたものをどんどん出すということについてはやはり相手方の国も問題があろうと思いますので、その辺は十分業界とも話し合いをしまして指導をいたしたいと思っております。
津川武一
86
○津川
委員
輸出のことではあとでもう一度
質問
するとして
質問
を前進させます。 二つには、農民の受けた被害は補償すべきと用います。共産党は公害の被害者は補償されることをたてまえとしていますが、
大臣
も農政局長も昨日来法のたてまえ上
政府
としては
責任
ないと農民に背中を向ける
答弁
をしています。
大臣
の
答弁
に農民はおこっております。そこで法制局と
農林大臣
に尋ねます。
メーカー
が薬害、
毒性
及び
残留性
についての
試験
成績
を添付して
登録
を
申請
したときどのように慢性
毒性
と
残留性
を確かめるかです。
政府
のこれからの計画でも三カ月間マウスとラッチについての
試験
成績
をやるといっていますが、これでは後日必ず問題が起きてくるとも言い切れるのであります。起きてきても何のふしぎもございません。大きい動物でその種類も四種類、五種類にし、二カ年以上もやらなければならないと思います。
農薬
によってはラッテとマウスに別々な反応をするし、大きな動物にはまた別な反応をしております。もっともっと正確に
毒性
や
残留性
をつかむことがやる気になればできるのでありますし、そのほうが望ましいということ。文書の指摘はやめますが、
政府
の文書にも書いてあります。そのようなテストをしないで
登録
を受けるのです。こうした
登録制度
の被害で農民は泣くのです。 もう一つの問題は殺虫剤などの
農薬
ですが、神経の毒でございます。虫の神経を殺すので殺虫剤なのですが、人体の神経はラッチやマウスの神経とは比較にもならないほど発達もし、鋭敏でもあり、かてて加えて神経は一度やられるとなおることのできない再生不能なのであります。そうした農民と人体の神経
関係
について、この十一月の二十二日から四日までの三日間学術
会議
の一つのブランチである新
日本
医師
協会
で百人近い神経
学者
が集まってディスカッションしたのですが、
農薬
による人体の神経障害についての研究はほとんどやられていない。したがってこれからの研究にまつことが多い、研究ができれば防ぐことができるということが明らかになったのであります。こうした学問、
試験研究
体制が不備の中で
登録
がパスするので、後々いろいろの障害が出てくることはこれまた当然であります。そうした不備でできたその被害を農民が黙って甘受しなければならないのがこの
改正案
であります。 そこで法制局に
伺い
ますが、これでも農民の被害に対して国も
メーカー
も
責任
はないというのでございましょうか、法制局にお願いします。
林信一
87
○林
政府
委員
お答えいたします。 およそ人の生命なりあるいは健康に害があるというようなものにつきましては、その製造、販売、場合によっては所持等を
法律
で禁止することはよくあることでございます。こういう場合に補償がいくかどうかという問題でございますが、立法例に幾つかございますけれ
ども
、私
ども
の
考え
といたしましては、かような危険なものにつきましては
法律
が直接所持禁止あるいは製造、販売その他いろいろございますが、禁止いたしましても、その禁止によって受けます経済的な損失、これを受忍いたしますことは、その危険なものを製造、販売、所持しておる者の何といいますか、社会的責務、受忍すべき限度の中のものであるというふうに
考え
ております。
農薬
の場合におきましても実はそういう点もいろいろ
考え
まして、第六条の三には特にやむを得ない必要があるときに限って取り消し処分ができるというように書いてあります。段階的には、取り消しの前にまず
使用
方法を変えるとかいろいろ考慮すべき点があると思います。そういった手を尽くしまして、なおかつやむを得ないというほんとうに危険なものという場合に、やむを得ず取り消すというような形にしてあるわけであります。
津川武一
88
○津川
委員
法制局にもう一度尋ねますが、
農林省
農政局
植物
防疫
課長
、医学博士福田秀夫、この人はラッチとマウスだけでは三カ月では足りない、もっと大きな動物で二年やることが望ましい、こう
政府
自身が言っておるわけであります。こういう
状態
で被害を受けたときに、国に
責任
はありませんか。
林信一
89
○林
政府
委員
法律
論といたしましては、お答えはいまと同じだと思います。事実の問題でございますから、別途の
政策
の問題であろうというふうに存じます。
津川武一
90
○津川
委員
法制局では、
農林省
自身が言っておるので、今度の問題に不備はない、こう言い切れるのでございますか。
林信一
91
○林
政府
委員
法律
上の問題といたしましてはたびたび申し上げたとおりでございます。
津川武一
92
○津川
委員
押し問答してもいけませんから進めます。 そこで
倉石
農林大臣
にお
伺い
します。こういう
状態
で
登録
を受けることで、慢性の中毒、
残留性
についてもっと厳格に徹底的に、三カ月マウス、ラッチだけでなくて、犬だとかもっと大きな動物で二年以上実験の結果で
登録
させることを、
登録
を受けるときの一つの要件にしてみませんか。そういう政令をつくってみませんか。これは
大臣
に答えていただきます。
中野和仁
93
○
中野政府委員
御指摘の点でございますが、現在は三カ月の亜急性
試験
をやっております。ただそういうラッチ、マウス等でやっておりますので、われわれとしましては人間への感染といいますか、そういうもののために千倍という安全率を見込んでおります。国際的にもこれでよかろうということになっておるわけでございますが、ただ、いまの御指摘のように、二年やる、この場合には安全率は大体百倍ということに国際的にもなっておるようでございますが、われわれとしましても、そういう準備を順次整えまして望ましい
方向
に持っていきたいという気持ちは、もちろん持っておるわけでございまして、あすからすぐこれに全部切りかえるというのはなかなか困難でございますけれ
ども
、将来そちらのほうに持っていきたいというふうに思っております。
津川武一
94
○津川
委員
将来は、ラッチやマウスだけでなく、もっと大きな動物に対して二年なり三年なり必要なことをやる、こういう
意味
でございますか。
中野和仁
95
○
中野政府委員
試験
のやり方としまして、いまの亜急性三カ月を二年にしたい。それから動物につきましては、これはそういう動物がどの
程度
得られるかどうかという問題もありましょうし、今後の研究課題にさせていただきたいと思っております。
津川武一
96
○津川
委員
それでは
厚生省
にお尋ねいたします。
農薬
のかなりのものが神経毒であるし、人間の神経はラッチやマウスと比較にならないほど発達しているので、
農薬
と神経毒の
関係
をひとつ本気になって研究してみる研究体制、研究
機関
、研究人員、予算、こういうものをつくってみる意図がありますかどうか答えていただきます。
小島康平
97
○小島説明員 現在
厚生省
では国立衛生
試験
所におきまして、
農薬
の
毒性
研究を行なっているわけでございまして、当然先生のおっしゃられましたような神経毒というような問題もこちらで取り組むという体制になっておるわけでございます。しかしながら、御存じのように、国立研究
機関
の
施設
の充実あるいは人間の拡充ということもなかなか思うにまかせない実情でございますが、われわれとしては、さらにこれを充実して、新しい学問の立場から常に
農薬
の危険性というものを追及いたしまして、そして危険なものは排除していくという体制をとりたいというふうに
考え
ておる次第でございます。 それから、先ほど先生からお話のございました三カ月では不十分ではないかという問題につきましては、実は私
ども
も全く先生のお話のように
感じ
ておる次第でございます。ただ、この経過を申し上げますと、実は以前は新
農薬
の
登録
にあたりましては、三カ月のデータも必要なかったというような状況であったわけでございますが、私
ども
農林省
と相談をいたしまして、それではいけないのじゃないかということで、昭和四十三年から亜急性の
毒性
データの提出を義務づけるようになったわけでございます。しかしながら、先生御存じのように、
日本国内
におきます
毒性
試験
の
機関
というものは、はなはだ不十分でございまして、いきなり二年間の
毒性
資料データの提出を義務づけますと、
日本
における
農薬
の開発というものが全くとんざしてしまうのではないかというような状況もございまして、とりあえずは三カ月の亜急性資料を提出させて、そして
厚生省
の
委員会
にかけまして、その
意見
をもとにして許可していただく。しかし、そのときには、安全率を、普通二年の慢性
毒性
に使う安全率よりもずっと高い安全率を使ってとりあえずの許可をして、そしてその許可したものにつきましては、
厚生省
が国立衛生
試験
所で二年以上の
試験
をするということで現存やっておるわけでございますが、先生のおっしゃられるように、最初から二年以上のデータを提出させるということにするのが理想的でございまして、実は今回の
農薬取締法
の
改正
が成立いたしました暁には、私
ども
としては、
農林省
とお打ち合わせをいたしまして、そして新
農薬
の
登録
にあたりましては少なくとも二カ所以上の公立
機関
においてそれぞれ二種類以上の動物についての慢性
毒性
試験
を二年以上にわたって行なっていただく。あるいはまた大きな動物を使いました代謝
試験
とかあるいは催奇形性
試験
とか、そういったものについても十分に行ないまして、また先生のおっしゃられましたような神経毒というような問題についても十分に追及した上で、安全な範囲で許可をするというような形にしてまいりたいということで、
農林省
のほうともよりよりお話ししているような状況で、今後とも
農林省
と協力いたしまして
国民
の健康の
保全
に尽くしてまいりたいというふうに
考え
ておる次第でございます。
津川武一
98
○津川
委員
そこで、大蔵省が来ていたら
答弁
していただきたいのですが、そういう
試験研究
の
技術者
に聞いてみますと、どうも大蔵省が予算を出さない、人員もふやさない、こういうことが一様な悩みなのですが、いま言ったみたいなことの万全を期するために大蔵省は予算を惜しまないで出すつもりがあるかどうか。大蔵省、来ていたら答えていただきます。
草野一郎平
99
○草野
委員長
大蔵省は来ていません。
津川武一
100
○津川
委員
ではいいです。 次に、
登録
のとき、せっかく見本を提出させるのだから、この見本の
検査
について全部徹底的にやってみる必要があると思うのですが、この間
検査
所に行って聞いてみましたら、これは、ある
程度
まで、つけてきたものを、問題がなければパスさせるというふうに言っていますが、せっかくもらった見本だから徹底的に
検査
してみるつもりはありませんか。これは農政局長。
中野和仁
101
○
中野政府委員
年間千件ほど
登録申請
がございます。このうちで新しいものはまず二十件ぐらい、あとは大体過去のものの更新でございます。これについては全部徹底的にということになりますと、かなり人員、予算その他の
関係
がございますけれ
ども
、できるだけ綿密に見るようにいたしたいと思います。
津川武一
102
○津川
委員
登録
を取り消された
農薬
についてですが、これは何をおいても製造を禁止しなければならないと私は思うのです。
登録
が取り消されたのだから販売できない、だから差しつかえないというのでしょうが、そうはなりません。昨年一年でも、東南アジア、韓国、インドネシア、タイ、台湾にだけでも、MAP、IBP、PPA・BHC、DDT、DDVH、ダイアジン、NNFA乳剤その他マンネブなど、あわせて二十五億円近いものが輸出されております。
外国
への輸出全体では八十億円にもなっています。 さらに、これらの東南アジアの地域の中で、たとえばインドネシアですが、三井物産の手で一万二千ヘクタールのトウモロコシ、東芝、石川島播磨重工業、間組などの十社で四十三万ヘクタールの米百万トン、トウモロコシ三百万トン、住友商事による十万ヘクタールの水田開発などが計画され、一部実施されていますが、
登録
取り消しを受けた
農薬
が、これらの地域にそのまま、
登録
取り消しのまま持ち込まれることはありませんか。このことを
農林大臣
と通産省にお尋ねいたします。
中野和仁
103
○
中野政府委員
相手国におきまして、たとえばいまお話しのBHCを
国内
で禁止しておりますれば、これは輸出が当然向こうでとめられるわけでございます。ただ、BHCは、御承知のように牛乳を通じて人体に影響があるのではないかということで、
国内
におきましては、去年の末、製造を中止させたわけでございますが、相手国のBHCの使い方によりましては、そういうことがない場合もございますので、なおその辺は十分調査をしまして、そしてその辺の指導を十分やらなければならないとは思いますけれ
ども
、いまお話しのように全部とめていいのかどうかということは、相手国での使われ方というものとの
関連
を調べてみる必要があるというふうに思います。
草野一郎平
104
○草野
委員長
津川君、大体時間ですが……。
津川武一
105
○津川
委員
もう少しで終わります。 この点で、ぜひ
倉石
農林大臣
から、開発のときに
日本
の、この
登録
取り消しされたものが持ち込まれる心配がないか、答えていただきます。
倉石忠雄
106
○
倉石国務大臣
もう一ぺんおっしゃってください。
津川武一
107
○津川
委員
登録
を取り消された
農薬
が、製造禁止されないので、今度の適用除外によって輸出する
農薬
には適用されていませんから、東南アジアに、
日本
の
人たち
が
農業
開発のとき、持ち込む心配はないかということです。
倉石忠雄
108
○
倉石国務大臣
その点は、先ほど農政局長がお答えいたしたとおりだと思います。
津川武一
109
○津川
委員
通産省からこの点答えていただきます。
豊田整
110
○豊田説明員
農薬
の輸出につきましては、現在何らの制限を加えているわけではございませんので、私
ども
のほうでは、
登録
を取り消した、どういう
日本
の
農薬
がどこの国へどのくらい出ているかということをつまびらかにいたしているわけではございませんが、先ほど農政局長からの御
答弁
のように、相手国の立場、相手国の意向というものがございますので、その意向を尊重しまして、今後における
農薬
の輸出問題に対処してまいりたい、かように
考え
ている次第でございます。
津川武一
111
○津川
委員
通産省、その点を調べて、津川
委員
なり、この
委員会
に出していただきたいと思います。よろしいですか。
豊田整
112
○豊田説明員 その前に、通産省側の立場を御説明いたしますと、
農薬
は、その品目によりましては、
農薬
以外の用途に使かれるというケースもございますので、私
ども
のほうで、
農薬
のみを取り出して、どのくらいの輸出量があるかということをとることは不可能でございまして、やはり製薬会社なり何なりに、この物品は
農薬
であるかどうかということを聞かなければ統計がとれないというかっこうでございますので、この点御了承いただきたいと思います。
津川武一
113
○津川
委員
それでは
質問
を進めます。
登録
を取り消された
農薬
は回収する必要があります。回収しなければ、今回のBHCみたいに後々まで残って
使用
されます。この回収についても気になることがあるのです。それは、農協中央会が陳情してきたところによりますと、取り消された
農薬
からは許容
基準
の規格をはずしてくれというのです。
登録
を取り消された、したがって販売も
使用
もできなくなった
農薬
から許容
基準
をはずさせて何しようとするのでしょう。ここにも私は、他に転用されたり輸出されることが
考え
られると思うのであります。
改正案
では、この回収について規定がないのです。ぜひ回収しなければならないし、その回収は
政府
の
責任
で、しかも
政府
が立ち会うとか確認する形で講じなければならないと思うのでございますが、いかがでございますか。
中野和仁
114
○
中野政府委員
昨日来その問題について御
答弁
申し上げているわけでございますが、取り消されました
農薬
について必要なものにつきましては回収の要があるものがあります。それからまた、その場で廃棄してしまったほうがいいようなものもございます。いろいろございますけれ
ども
、具体的にそういう
農薬
が出てまいりました場合には、これは全国的にまだかなりの在庫がありまして、手元にあるといった場合には、
農林省
が、行政
責任
といいましょうか、具体的な措置を指導する。それから一県単位のような問題になりますと、県知事にお願いして、それぞれ最も適当な方法での回収措置について指導するということで対処しかい、そういうふうに
考え
ております。
津川武一
115
○津川
委員
次は、昨日来問題になっている
残留農薬研究所
です。
資金
のことは繰り返して言いませんが、これを
運営
するのが、
農薬
製造
関係
の人が
理事
長、販売に携わる人が常務
理事
、こういう形であります。したがって、これは、そういう販売を製薬の人に
厚生省
と
農林省
のえらい
学者
が入っていきます。これは、私は、初めから妥協でちゃんぽんだと思います。ここで
残留農薬
をきめたものを
農薬
研究所
でやろうと思っても、これはだめです。したがって
農薬
の開発の研究は、
農薬
会社の私立のものでやって、検定は国立でやるべきだと思うのであります。七億五千万円の中で五億円を
寄付
に仰がないで、これはやはり国立にして、そういう形にして
運営
しなければ、私は、禍恨を将来に残すと思うのであります。
農林大臣
の
意見
と、これに対する財政
当局
の
考え
を聞きます。
倉石忠雄
116
○
倉石国務大臣
先ほど来しばしばお答えいたしておるとおりであります。
草野一郎平
117
○草野
委員長
もう時間ですから……。
津川武一
118
○津川
委員
もうじき終わります。
質問
を急ぎますが、
農薬
の残留許可でございますが、米について
基準
をつくったのはよかったと思いますが、私たちが一番食べる米は、これはぜひ……。その次にからだに濃縮されてくるのが動物の肉、牛乳、魚であります。これに対して許容
基準
量をきめる必要があると思うのですが、今度
厚生省
が四十八種目の食品に二十八種類の
農薬
をやるというのですが、牛乳、肉、魚が入っていないのはなぜですか。これは入れる必要があると思うのですが、
答弁
していただきます。
神林三男
119
○神林説明員 お答え申し上げます。 牛乳中の
残留農薬
に関しまして、その許容
基準
は、一応本年度内に作成する予定になっております。目下動物実験を続行中でございまして、検討してまいっております。そのほかのものにつきましても順次つくってまいります。肉は、まだ
実態
調査が十分終わっておりませんから、
実態
調査が終わってからなおつくってまいりたいと思います。魚も同じくです。少し時間がかかると思いますけれ
ども
、一応
実態
調査を、特に牛乳を本年度は中心にしてやっております。
津川武一
120
○津川
委員
最後に、
農薬
使用
者が罰せられる心配があるということです。十三条一項の規定に反した場合は六カ月以下の懲役または三万円以下の罰金に処すとあります。
農薬
公害の被害者である農民を懲役にするというのは、私はちょっと問題があると思うのです。
使用
禁止された
農薬
が農民の手に残っているのを、補償して、有償で回収してくれれば農民は情報の提供や
検査
に応ずるでしょうが、農民に犠牲ばかりしいておって、その残留の報告を求めたり、立ち入りを求めたりしても応ぜられない場合が出てくると思うのですが、もし農民を罰するとしたならば、補償の体制をつくるべきだし、補償の体制がなかったならばこれの罰則ははずしてしかるべきと思うのですが、どうでございますか。
中野和仁
121
○
中野政府委員
これは十三条にございますように、
農薬
の品質の
保全
という立場から
農林大臣
が、製造
業者
、
輸入
業者
、販売
業者
あるいは防除
業者
その他
農薬
の
使用
者ということで、農家だけを罰するというふうになっておりません。やはりその
農薬
を使う場合に立ち入り
検査
等をやります場合には、これを拒んだ場合にはこれはそういう
制度
を担保するために罰則をかけるというのがいろいろな法令でのたてまえでございます。われわれといたしまして、農家に罰則をかけて、こういうことまで強制しようというつもりではありません。むしろ最後の担保ということでこういうことになっておるというふうに御了解願いたいと思います。
津川武一
122
○津川
委員
これで終わります。 そうすると、農家に犠牲だけはしいて、罰則、懲役にするというわけですか。これはひどいじゃありませんか。懲役にするのだったら農家に犠牲をなくして補償
制度
をつくるべきだ。その上でなら私も納得しますが、犠牲だけしいて、おまけに懲役というのは、これは何でございますか。
中野和仁
123
○
中野政府委員
先ほどから申し上げておりますように、農家に犠牲をしいて罰則をかける、そういうたてまえで今回
改正
したのではございません。
——
——
◇—
——
——
草野一郎平
124
○草野
委員長
農用地の
土壌
汚染防止等
に関する
法律案
を議題といたします。 質疑の
申し出
がありますので、順次これを許します。
三ツ林弥太郎
君。
三ツ林弥太郎
125
○三ツ林
委員
ただいま提案になっております農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
につきまして、若干お尋ねいたしたいと存じます。
土壌
汚染にかかわる公害問題は、古くは足尾、別子の鉱毒事件をはじめといたしまして大きな社会問題となってきたことは御承知のとおりでありますが、近年では、また
土壌
中に蓄積した重金属類の一種であるカドミウムが
農作物
を介して人の健康をそこなうおそれのあることが明らかになり、
国民
の健康の
保護
という見地からも重金属類による
土壌
の汚染があらためて大きな問題となってきたところであります。 今回、
政府
は、
公害対策基本法
を
改正
し、典型公害の一つとして、新たに
土壌
の汚染を追加するとともに、特定有害物質による
土壌
の汚染に対処するため、農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
が提案されたわけでありますが、第一にお
伺い
いたしたいことは、
農林大臣
として、典型公害の一つとされる
土壌
の汚染にどのように対処されるおつもりであるか、
大臣
の基本的な
考え方
をお
伺い
いたしたいと思います。
倉石忠雄
126
○
倉石国務大臣
御指摘のように、カドミウム、銅、亜鉛などの有害物質によります農用地の
土壌
の汚染の実情にかんがみまして、今回、農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
を提案いたしておるわけでありますが、工場あるいは事業場からの排水それからばい煙につきまして、必要に応じて規制を強化するための措置を講ずるとともに、これとの
関連
のもとに汚染防止のためのかんがい排水事業や汚染された農用地の改良をはかるための客土等の事業を実施する等、必要な措置を講ずることによりまして、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が
生産
され、あるいは農産物等の生育が阻害されることを防止いたしまして、
国民
の健康の
保護
と
生活環境
の
保全
に資するというのが、この
土壌
汚染に対する私
ども
の
考え
でございます。
三ツ林弥太郎
127
○三ツ林
委員
次に、先日の提案理由の補足説明によりますと、
土壌
汚染の原因となる有害物質として、カドミウム、銅、亜鉛等の重金属類が
考え
られ、当面カドミウムを指定するとのことでありますが、カドミウム以外の有害物質につきましては、いつごろ指定することになるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。また、その指定の手続はどのように行なわれるのか、これもお
伺い
をいたしたいと思います。
中野和仁
128
○
中野政府委員
ただいまお話がございましたように、当面緊急の問題として、われわれはまずカドミウムを指定いたしたいと
考え
ておりますが、その次に問題になりますのは、
農作物
の生育障害上問題になっておる銅、亜鉛でございます。これを指定いたしたいと
考え
ております。銅、亜鉛につきましては、至急調査を進めまして地域指定の
基準
等をきめた上で早期に、なるべく早く指定をしたいと
考え
ております。 その次に、問題になりますのは鉛と砒素でございますが、これは人の健康に
関連
もございますので、食品規格との
関連
も予想されてまいりますので、それとの
関連
を考慮した上で指定いたすことといたしたいと
考え
ております。 それから指定の手続でございますが、これは
農林省
のほうで至急調査をいたしております。その調査をいたしました上、
土壌
汚染対策
審議
会に
意見
を聞きました上で、具体的には指定をする
考え
でございます。
三ツ林弥太郎
129
○三ツ林
委員
次に、この法案では、
土壌
の汚染により人の健康をそこなうおそれがある農畜産物の
生産
を防止するほか、
農作物
の生育の阻害を防止することを
目的
として、必要な措置を講ずることとされておりますが、この
法律
で
農作物
の生育の阻害をも対象に加えた理由。またこの場合、豊作物の生育が阻害されるということはどの
程度
を
考え
ておられるか、お
伺い
いたしたいと思います。
倉石忠雄
130
○
倉石国務大臣
御存じのように、
土壌
の中に蓄積いたしております重金属類による農産物の生育阻害は、先ほどちょっとお話のありました足尾銅山や別子銅山などの鉱毒事件のように、古くから深刻な問題となっておるわけであります。そこで
農業
の
生産
環境を
保全
する上で見のがすことのできない重要な問題でございますので、今回農用地
土壌
汚染防止法案の提出にあたりましては、直接農畜産物等を通じて人の健康をそこなうおそれのありますカドミウム等の有害物質のほかに、農産物の生育を阻害するおそれのある銅、亜鉛等もその対象として取り上げる必要がある、こういうことで今回の措置を講じようとするわけであります。
三ツ林弥太郎
131
○三ツ林
委員
次に、
法律案
の第三条の規定によりますと、
土壌
の汚染が進んでおるところにつきましては、農用地
土壌
汚染対策地域として指定されることになっております。この場合、対策地域はどのような
基準
により指定されるのか、その
考え方
をお聞きをいたしたいと思います。
中野和仁
132
○
中野政府委員
本来ならば、この
法律
が施行されました場合に、
土壌
の観点から
基準
をきめるべきだと思っておりますけれ
ども
、カドミウムにつきましては、まだその
土壌
と作物との
関係
というのが一義的に完全に解明されておるというところまで参っておりません。そこで当面は、カドミウムにつきましては、一PPM以上のカドミウムを含んでおります玄米が
生産
されると認められる地域と、それから近くもうそういう
状態
に達することが明らかな地域を対策地域として指定をしたい、こういう
考え方
でおるわけでございます。
三ツ林弥太郎
133
○三ツ林
委員
次に、法案の第五条の規定によりますと、対策地域に指定された地域につきましては、都道府県知事が農用地
土壌
汚染対策計画を定めることとなっておりますが、この対策計画に基づいて実施されることとなる
土壌
汚染の防止及び除去のための事業の経費については、
土壌
汚染の原因となった事
業者
、国、地方公共
団体
、農民との間ではどのような
負担
割合になるのか、その点をひとつお
伺い
いたしたいと思います。
倉石忠雄
134
○
倉石国務大臣
この
土壌
汚染をいたしました原因者があります場合には、事業費のうち、まず
費用
負担
法によりましてその原因者の
負担
額を決定いたしまして、
残額
につきましては事業の特殊性にかんがみまして、農民にはできるだけ
負担
をかけないようにつとめてまいりたいと
考え
ておりますが、事務
当局
から補足して御説明申し上げます。
岩本道夫
135
○岩本
政府
委員
ただいま
大臣
から御
答弁
がございましたように、原因者がいる対策事業につきましては、まず
費用
負担
法によって、原因度に応じて事
業者
の
負担
額を決定することとなります。その
考え方
は、事業費の総額に事
業者
の公害の寄与度と申しますか、原因度と申しますか、その公害の発生に寄与した度合いを勘案して、それをかけまして、その額から公害の原因となる物質が蓄積された期間などの事情を勘案しまして、妥当と認める額を差し引くことといたしております。原則として、原因者である企業が事業費の
全額
を
負担
するたてまえでございますけれ
ども
、長期にわたって有害物質が蓄積された場合には、その事情を勘案して、妥当な額を差し引くことといたしております。その方法によって算定することが困難な場合には、客土事業その他政令で定めます事業につきまして、公害の原因となる物質が長期間蓄積されております農用地
関係
のものに限りまして、事業費の総額に事
業者
の公害の寄与度を掛けまして、さらにその額に二分の一ないし四分の三を掛けるということにいたしております。すなわち、事
業者
の
費用
負担
割合を事業費の四分の主ないし二分の一まで軽減できることにしておるわけでございます。したがいまして、その
残額
をどうするかという問題に相なるわけでございますが、こういう原因者がいる事業の特殊な性格、公害を与えたといったような性格にかんがみまして、できるだけ農民に
負担
をかけないという
方向
で、国と地方公共
団体
で
負担
をする
方向
で検討を進めてまいりたいと
考え
ております。
三ツ林弥太郎
136
○三ツ林
委員
次に、排水、排出規制の問題についてお尋ねいたします。
土壌
の汚染源としては、
水質
の
汚濁
及び大気の汚染が大部分を占めているとのことでありますが、これら汚染源に対し、
土壌
汚染の防止の観点からの直接の規制は、
水質
汚濁
防止法または大気汚染防止法等他の
法律
にゆだねるという本
法律案
の体系でありますので、
土壌
の汚染防止の
目的
が十分確保し得ると
考え
ておりますかどうか、この際、
関係
法律
の運用のしかたとあわせてそれらについて御説明をいただきたいと思います。
中野和仁
137
○
中野政府委員
御指摘の問題は、今度の
法律案
の第七条にございますが、われわれといたしまして、都道府県知事が対策地域を指定しましたときは、対策地域の中の農用地の
土壌
の汚染の
程度
なり、それから、この
法律
にもございます対策事業の計画というようなものの
内容
を勘案いたしまして、一般的に大気汚染防止法なり
水質
汚濁
防止法で排出
基準
をきめるわけでございます。普通はそれで足りるわけでございます。しかし、そういう特別な地域でございますので、一般的にきまりましたそういう排出
基準
では足りないといった場合には知事が必要な規制ができるという
条文
を置いておりますので、これによって十分だと思っております。 なお、そういうことを知事にやってもらうために、第十一条に、
農林大臣
が、必要なときは、
関係
行政
機関
の長にそこの
基準
を
考え
直してくれとか、あるいは地方公共
団体
の長に対しまして早くそういう措置を講じてもらいたいという要請もできるということを規定しておりますので、他の
法律
のそういう
基準
にゆだねましても、実質的には変わりはないというふうにわれわれは
考え
ております。
三ツ林弥太郎
138
○三ツ林
委員
次に、
土壌
汚染の防止でありますが、
土壌
汚染という事実が発生してからではもはや手おくれでありますので、その進行中に問題をとらえ、あらかじめ適切な措置を講ずることが必要であろう、このように
考え
ますが、この
法律案
にも規定されております調査測定に対する
考え方
を明らかにしていただきたいと思います。
中野和仁
139
○
中野政府委員
調査の問題につきましては、いまの御指摘のとおりでありまして、われわれといたしましても、来年度予算要求といたしまして、まず一般的な概況調査を、この際総点検という
意味
でやりたいと思っております。そういう中で、
土壌
汚染のおそれがあると思われるところにつきましては精密な調査をするということを
考え
ております。その精密な調査をいたしました結果、対策地域の指定なり対策計画の樹立ということを次にやるわけでございます。そういうことをやりましても、
土壌
の汚染は蓄積が問題でございますから、排出規制がゼロにならない限り若干蓄積していきます。そこで、対策地域につきましては、動態的な調査もあわせてやりたい、そのあたりは、この法文にもございますように、対策計画の中で調査測定のこともあわせて計画として樹立するということにしております。
三ツ林弥太郎
140
○三ツ林
委員
最後に、実はこれは
農林大臣
にお願いしたいのですが、それは公害防止に対する
農林省
の
姿勢
ということでございます。今度の国会はいわゆる公害問題の国会で、
関係
法律案
が十四件出て、
政府
の
態度
、
姿勢
が明らかにされまして、すでにもう連合審査で審査されて、本
委員会
でも二つの
法律案
をいま
審議
中でありますけれ
ども
、こういう
法律案
が出てまいりました。いずれにいたしましても、
農林省
としてこの公害防止に対しまする今後の
考え方
というか、決意といいすすか、そういうことを
大臣
にお
伺い
いたして
質問
を終わりたいと存じます。
倉石忠雄
141
○
倉石国務大臣
先ほ
ども
お答え申し上げたところでありますが、わが国のあらゆる方面で、経済の成長のために終戦以来
日本
人は一生懸命でやってまいりました。そのために、当然顧みるべきでありました自然的に出てまいります公害等について、やはり私
ども
は手抜かりであった、そういうことを全体としてみなどなたもお
感じ
になってきておられることであろうと思います。 そこで、私
ども
は、この
日本
の経済的成長は慶賀すべきではありますけれ
ども
、それよりもっと優先して環境を
保全
し、そして農林
関係
で申せば、美しい緑を
保護
しながら、しかもなおかつ、われわれの大事な
農業
を維持拡大いたしてまいる、そういうことが必要ではないかということでございますので、当面、
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
、こういうものは、いましばしば御
論議
のありましたように、カドミウム米その他人体に有害な重金属物質等による被害を除去することにまず力を入れなければならぬ。 もう一つは、
農薬
の
使用
法によりましては、これは意外な弊害を生じますので、こういうことについて、従来ありました
法律
を一部
改正
して、現代の情勢に合うようにこれを手直しして持ってまいりたい。しかし、われわれは、人間の知識というものの進歩は際限がないのでありますから、さらにこれからどのようなものが発明されてくるかもしれませんので、引き続いて抜かりなくそういうことに対処して私
ども
の
農業
の
発展
を一方においてははかり、安定的な農政を進めながら、一方においては公害の除去に絶え間なく力を注いでまいりたい、こういうことのために続けて努力をいたさなければならぬ、このように
考え
ておるわけであります。
三ツ林弥太郎
142
○三ツ林
委員
ありがとうございました。
草野一郎平
143
○草野
委員長
長谷部七郎
君。
長谷部七郎
144
○長谷部
委員
ただいま議題になっております農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
に対しまして、若干の御
質問
を申し上げたいと思います。 まず最初に、本法案が決定されるまでには、各省間の調整あるいは特に財界等からの
申し出
があり、かなり紆余曲折を経た上で提案になっておるように見受けておるわけでありますが、事実、
内容
を拝見いたしますると、当初
農林省
の基本要綱案の中にありました無過失賠償
責任
の問題あるいは特別の排水
基準
、排出
基準
等の設定等の問題が姿を消しております。 〔
委員長
退席、三ツ林
委員長
代理着席〕 骨抜きになっておるということは否定できないだろうと思うのであります。まことに遺憾にたえない次第であります。 そこで、私は
大臣
に承りたいのは、この
土壌
汚染防止法案によりまして農産物の
生産
の基盤である農用地の
土壌
の汚染が防止され、正常な
農作物
を供給し、
国民
食
生活
の安定と
農業
経営の健全な
発展
を期することがはたしてできるかどうか。この点についてまず
大臣
の
所見
を承りたいと思うわけであります。
倉石忠雄
145
○
倉石国務大臣
土壌
汚染につきましては、私
ども
の立場は、どちらかというと被害者の立場に立つわけであります。一方今度は
農業
をやっていく方々が営農のためにお使いになる
農薬
がほかのものを害するということを
考え
てみると、加害者的立場に立つようであります。これは私
ども
の立場、つまり
農業
のほうはきわめてデリケートでありますが、私は先ほ
ども
三ツ林さんにもお答えいたしましたように、人間の知識には際限がないのであるから、この後どんなものが発明されてくるかわかりませんので、一般的な公害と称せられるものにつきましては注意おさおさ怠りなく、われわれが
考え
ておりますような人体を害することのないように、しかも安定した営農が進められるようにするために努力を続けていかなければならぬ。したがって私
ども
は現在の提案いたしております
法律
だけが必ずしも完ぺきなものであるなどとは思っておりません。皆さん方の御協力を得て、国のためにだんだんよいものにしてまいらなければならないが、とりあえず問題になっておりますのは、
農作物
の中に含有いたしておるカドミウムの問題がきわめて大きくなっておりますので、そういうものをまず取り締まることを
考え
ることが必要であると同時に、これは人体に直接加害をするものであります。さらにほかのもので、たとえば銅、亜鉛等で
農作物
の
生産
を阻害するようなもの、こういうものも逐次対処していかなければなるまい。その他亜鉛、砒素等も同様でありますので、さらにこういうものについて検討を続けながら、先ほど申しましたような
目的
を達成するように努力をしてまいりたい、こう思っているわけであります。
長谷部七郎
146
○長谷部
委員
出された法案が必ずしも完ぺきなものではない、今後事態の進展に伴ってますます補強していかなければならないという立場をとろうとする
考え方
については一応了承いたしますが、私はこの法案を拝見をいたしまして、少なくともこの会期中に私のほうから修正もしくは補強の
意見
を出したいと思っているわけであります。そういう場合に、
大臣
は謙虚にこの法案の整備のために応ずる
態度
があるかどうか、この際承っておきたいと思う。
倉石忠雄
147
○
倉石国務大臣
どういう修正案が出るのかわかりませんので、何ともいまお話しのしようもないのでありますが、どなたさまの
意見
でも謙虚に承るというのが民主主義の原則だと思っております。
長谷部七郎
148
○長谷部
委員
次に承りたいことは、この法案の第二条にまいりますと、本法の適用の対象は農用地に限定をしておるわけであります。私は、農用地に限定をするということは少しく狭いのではないか、かように
考え
ます。特に今日河川敷等におきましてもかなりの放牧採草地がございます。あるいは開畑等が行なわれておるわけであります。さらに、民有林あるいは国有林の中におきましても、いわゆる林地におきましても林牧混合方式という形でだいぶ畜産が取り入れられております。したがって私は林地その他の
土壌
全般にわたって本法の適用の対象にすべきではないか、かように
考え
るものでありますけれ
ども
、これに対する御見解を承りたいと思うわけであります。
倉石忠雄
149
○
倉石国務大臣
農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関するただいま御提案申し上げております法案は、現実に問題となっております
土壌
の汚染に基因する農畜産物の汚染、それから農産物の生育障害に対処することといたしておるのは先ほど私がお答え申し上げたとおりでありますが、お話のようにその他のものについて、たとえば宅地であるとか、公園であるとか、林野であるとかというふうなものについては、その汚染による被害の実情の有無等について今後とも十分調査をいたしましてそういうものに対処してまいりたいということを、先ほど申し上げましたりしてございます。
長谷部七郎
150
○長谷部
委員
林野庁長官
に承りたいと思いますが、林野庁の指導
方針
として、国有林内におきましても林牧混合方式による指導がだいぶ主張され、今日モデル的に実施を試みているところもあるわけであります。さらにその結果、われわれの地方におきましても民有林地内において林牧混合による畜産経営というものがかなり普及してきております。したがって私はぜひともこの際、林地もこの
土壌
汚染防止の対象に加えるべきではないか、かような見解を持つものでありますが、
林野庁長官
の見解をひとつ承りたい。
松本守雄
151
○松本
政府
委員
林地の場合は農地と違いまして、散布される薬剤が毎年連続的に投与されることはございません。何十年に一−三回の
程度
でございます。また牧場に近いところ、造林地内で実験的に牧場をやっておりますが、そういうところには散布をしない、使わないということでございます。またいままでの例から見まして林業において有害な林産物が
生産
されたこと、また生育が阻害をされた例もございません。今後もそういった使われ方の
実態
から見まして、おそらくそういう阻害は
考え
られないと思いますが、なお念のために今後とも十分に調査をして検討をしてまいりた い、このように存じます。
長谷部七郎
152
○長谷部
委員
われわれの地方では現在森林組合等の経営によるところの育苗
施設
、苗圃、苗畑ですね、あるいは県営の苗畑あるいは営林署等における苗畑事業もかなり広範に行なわれているわけであります。こういったいわゆる林地におきましても、
農薬
その他重金属による汚染というものはあるわけであります。したがって私はそういう見地から申し上げても、この際林地を本法の対象地域に加えるべきではないかという
考え
を持つものでありますが、重ねてお尋ねをいたしたい、こう思うのです。
中野和仁
153
○
中野政府委員
ただいま林地と申されましたのですが、林業の苗畑あるいは植木等、このごろツツジその他を育てまして公園に持っていくというようなものもございます。これは肥培管理をやっておりますので、この
法律
の適用上は農用地として扱いましてこの
法律
を適用いたしたいと
考え
ております。
長谷部七郎
154
○長谷部
委員
農用地の範囲の中に
考え
ておる、こういうことであれば私は了解をいたします。 さらに一歩進めて、林牧混合によって造林地内においていわゆる牧草等をまいておるわけであります。したがって、そういうところはかなり薬剤を、あるいはそういう地区内においても重金属等による汚染がたとえば鉱山の周辺等においてはかなり見受けられるわけでありますが、そういう場合もこれは
考え
る余地はございませんかどうか、この点承りたいと思います。
中野和仁
155
○
中野政府委員
この
法律
にもございますように、
農作物
等の定義は「
農作物
及び
農作物
以外の飼料用
植物
」と書いてございます。そこで、肥培管理をいたしますような採草地その他につきましてはこれに含まれるというふうにお
考え
いただきたいと思います。
長谷部七郎
156
○長谷部
委員
そうしますと、主たる地目が造林地であってその中に牧草をまいておるという地域についてもこれは
考え
るというぐあいに解釈してもよろしゅうございますか。
中野和仁
157
○
中野政府委員
地目によって判断するのではなくて、やはり農用地として見られるものは、そしてそれが汚染されるということを防止する
法律
でございますので、その辺は実情に即して判断をすべきだと思います。
長谷部七郎
158
○長谷部
委員
そういう経緯であればわかります。したがって次に進めさせていただきます。 今度の
法律
の第二条によりますと、いわゆる特定の有害物質について政令で定める、こういうことになっておるようであります。しかも、いま同僚議員の
質問
に対しまして、当面はカドミウム一PPM以上の地域を対象にする、おいおい銅、亜鉛、鉛、こういった有害物質につきましても指定をしていく、こういう見解が述べられたわけであります。その
考え方
については一応了解いたしまするけれ
ども
、私はやはりカドミウム以外の銅、亜鉛、鉛等につきましても早急に結論を出すべきではないか、かように
考え
るものでありますが、その方法、私はこの際特に時期的な見通しをひとつただしておきたい、こう思うわけであります。
中野和仁
159
○
中野政府委員
カドミウムにつきましては、先ほど
大臣
からも御
答弁
がございましたように、
法律
が通りまして実施する段階におきましてすみやかにやりたいと
考え
ております。銅、鉛、亜鉛につきましては、
農林省
にも過去のいろいろな調査がございますが、それを整理し、なおかつ整備をいたしまして一、二年ぐらいかかるのではないかとわれわれ思っておりますが、なるべく早くやりたいということで取り進めたいと思っております。
長谷部七郎
160
○長谷部
委員
私の出身地である秋田県は昔から鉱山地帯でございまして、今日六十三にのぼる休廃止鉱山がございます。しかもこれは鉱山保安法に照らすならば全く違反をしておりまして、ほとんどの企業がたれ流しの現状にあります。これは明治の初期から今日まで約百年近い間
土壌
の中に蓄積されてきておるわけであります。したがって、
農作物
の収量は普通田の約半分に近い。こういうことで家畜もいろいろ障害を起こしておる。川には魚介類が一匹もおらない、こういうきわめて大きな被害をもたらしておるわけであります。したがって、こういう銅、鉛、亜鉛等によって汚染されておる
土壌
というものは全国的にかなり多いのではないか、こういうぐあいに
考え
ます。カドミウムについて今回地域指定をやる、こういうことは一歩前進とはいうものの、われわれから言わせるならば、この銅、鉛、亜鉛の汚染こそもっと広い地域の
国民
が一日も早く指定をするようにということで望んでおると思うのであります。ですから一、二年などといわずに、できるだけ早い機会にこの政令で指定をしていただくように、
政府
特に
農林省
の努力を要請をいたしたい、こう私は思うわけであります。 次にお尋ねをしたい点は、今度
土壌
汚染対策地域ということで指定をする。特に著しいものについては特別地域として指定をする、こういうことになっております。この特別地域の指定でございますが、この法案を見てみますと、第三条に「政令で定める要件に該当するものを農用地
土壌
汚染対策地域として指定することができる。」ここで私お尋ねしたい点は、「政令で定める要件」というものは、具体的に申し上げる場合どういう
内容
なのか、この際承っておきたいと思うわけであります。
中野和仁
161
○
中野政府委員
先ほど三ツ林
委員
からの御
質問
にお答え申し上げたわけでございますが、当面カドミウムにつきましては
土壌
からだけではなかなか
基準
がきめかねるわけでございます。作物と
土壌
との
関連
についていませっかく調査研究を進めております。しかし本件は緊急を要しますので、当面はカドミウムを一PPM以上含む原米が
生産
されると認められる地域、それと近くそういうような
状態
に達することが明らかな地域というものをこの「政令で定める要件」といたしたいと
考え
ております。
長谷部七郎
162
○長谷部
委員
そうしますと、この「政令で定める要件」に該当するものということになりますと、現在要観察地域になっている安中市など七地域に限られる、こういうぐあいに解釈してよろしゅうございますか。
中野和仁
163
○
中野政府委員
必ずしも七地域に限られるとは私たちも
考え
ておりません。その後いろいろ調査の結果、また地域がふえるかもわかりません。いずれにしましても、いまおっしゃいました七地域は、それが全部指定になるかどうか、これからの調査にもよりますけれ
ども
、まずそれらの地域が対象になって、また似たようなところが出てくれば逐次指定をしていく、こうなると
考え
ております。
長谷部七郎
164
○長谷部
委員
そうしますと全国的にいまカドミウムによる汚染米の問題が続発をしておるわけでありますから、逐次地域は追加になっていく、こういうぐあいに見てよろしゅうございますか。
——
そこで私がなぜこういうことを聞くかというと、いま四十六年度の予算編成の最中なわけでございます。私は、この指定地域というものが、おそらく来年度、昭和四十六年度中に調査をして四十七年度から着工する、こういうことだと思うのです。私は、やはりなるべく地域を限定せずに、予算的な裏づけというものも当然あると思うのですが、あまり予算に拘束されないで、できるだけ多くの地域を対象地域とするように指定するように、ひとつ
当局
の御配慮を願いたいものだ、こう思うわけであります。その点いかがでしょう。
中野和仁
165
○
中野政府委員
この
法律
を提出することを
政府
としてきめましたのに伴いまして、われわれ、大蔵省とただいま予算を来年どう持っていくかということを相談しておりますので、万全を期したいと思います。
長谷部七郎
166
○長谷部
委員
それから、いま通産省ではいろいろな工場調査あるいは労働省でも有害物の工場調査などがいろいろ進められまして、今日も発表になっていますね。次から次へと、こういったものに対して本法はどういう
取り扱い
をしようとしておるのか。その
関係
をひとつこの際御教示いただきたい。と同時に、いま都市計画、新都市計画法に基づいて、市街化区域、市街化調整区域の線引きが進んでおります。加えて
農業
振興
地域、こういうものが指定になっているわけであります。こういった市街化調整区域あるいは
農業
振興
地域、こういうものとの
関係
などについても、この地域指定はどういう
関係
で調整をしていくのか。この際ひとつ見解を承っておきたい、こう思うわけであります。
中野和仁
167
○
中野政府委員
各省でおやりになります調査は、われわれのほうで指定いたします際に非常に参考になるというふうに思いますので、緊密な連絡をとりたいと思っておりますが、
農林省
といたしましても、すでに
土壌
調査は昭和三十四年以来十数年にわたりましてほとんどの農地についてはやっております。それをなお一斉点検をいたしました上で、先ほど三ツ林
委員
の御
質問
にお答えいたしましたとおり、精密な調査までやりたいということを
考え
ておるわけでございます。それから二番目の御
質問
の市街化区域、調整区域との
関連
でございますが、この対策地域がどういうところに指定されるかまだわかりませんので、なかなかお答えしにくい問題でございますが、市街化区域につきましては都市計画法の趣旨からいたしまして、これは十年間の間には市街化をするというところでございますから、そこにとり得る対策といたしましては一時的なものであろう。恒久的な農地復旧ということはこれは無理ではないかというふうに
考え
ております。それからまた、
振興
地域との
関連
でございますが、今度の指定地域が
振興
地域に入りますれば、その地域、地域の
振興
計画と密接に
関連
させながらこの対策計画は立てるべきだというふうに
考え
ます。
長谷部七郎
168
○長谷部
委員
それから、特別地域に指定を受けた場合は、いわゆる農産物の作付制限、作付転換といいますか、こういうものを知事が勧告をする。こういうことになっているわけであります。そこで私、疑問を持つわけでありますが、はたしてこの法に定められているような知事の勧告等で成果があがるものかどうか。この点非常に私疑問にたえません。なお、もし勧告に従った場合でも、これは明らかに現在の価格あるいは流通機構のもとでは稲作に比べてかなりの損失になるわけであります。そういった損失の補償等は一体どういうぐあいに
考え
ておるものか。またもしこの勧告に従わない場合は一体どういう
取り扱い
をされるつもりなのか。ここいら辺が少しく疑問でございますので、ひとつ局長の見解を承りたいのです。
中野和仁
169
○
中野政府委員
当面問題になっておりますカドミウムについて申し上げますと、すでに
厚生省
のほうでは、カドミウムが一PPM以上含んでおる玄米は、これは
食品衛生法
上人の健康をそこなうおそれがあるということで、すでに
告示
をしております。したがいまして、いまあげましたところをこえる地域は特別地区になるわけでございます。したがいまして、農家としてもそこへ植えましたものはこれは
食糧
庁のほうでも買わないということにいたしておりますので、まずそこへ米を植えることはないと思います。しかし、そういう事情を知らなかったりということがございますので、これは知事のほうでもしそういうようなことがあるような場合にはそこへ植えるなよという勧告をするわけでございますので、われわれとしましてはこれで十分だと思っております。ただその勧告を聞かずして出たらどうするか。これはやはり
食糧
庁のほうでは買い上げをしないということになっております。そこまで勧告をしたにもかかわらず植えたら、植えたほうの農家の
責任
じゃないかというふうに思うわけでございます。 それからもう一つの問題は、作付転換等をする場合等いろいろ損失補償
関係
の問題が出てくると思うのでございますが、これは原因者の明らかな場合は当然その原因者と農家との話し合いでの損害賠償の問題になるわけでございます。
長谷部七郎
170
○長谷部
委員
もし従わない場合のこともお尋ねしたわけでありますが、これはどうですか。
中野和仁
171
○
中野政府委員
ただいまお答えしたと思いますけれ
ども
、これは一PPM以上カドミウムが米に入っております場合には、これは人の健康をそこなうおそれがあるということで、
食糧
庁も買わないということになるわけでございますので、それは農家の
責任
になるということであります。
長谷部七郎
172
○長谷部
委員
ただいまもお話があったわけでありますが、この損害補償の場合、この確認をしておきたいことは、いわゆる原因者が明確な場合はこれはいわゆる発生源の原因者が一〇〇%
負担
をする、こういうことが貫かれていくと私は思います。その点ひとつもう一回確認を得ておきたいと思います。
中野和仁
173
○
中野政府委員
損害賠償の場合でありますと、これは原因者が明確な場合はその一〇〇%であるかどうかは、その辺は原因者と農家との話し合いの問題になるわけでございます。
長谷部七郎
174
○長谷部
委員
次にお尋ねしておきたいことは、
土壌
汚染対策事業について承りたいと思います。 一つはこの事業を進めていく場合の事業主体は一体どこが当たるのか。もう一つは具体的な事業
内容
についてひとつこの際お示しをいただきたい。第三点は事業費
負担
区分でございますが、これは原因者が明らかな場合は十分の十原因者がその
費用
を
負担
することになるだろうと思うのでありますが、原因者が必ずしも明らかでない、こういうような場合は、今度国会に出ておりますあの
費用
負担
区分、
費用
負担
法、事
業者
負担
法によるものを適用されることになるんじゃないか、こう思うわけでありますが、この際ひとつ
農林省
の見解を承っておきたいと思います。
中野和仁
175
○
中野政府委員
この対策計画におきまして、いまいろいろな事業をやることになっておりますが、これはお手元に先般差し上げました参考資料の中におもな
土壌
汚染対策事業というのが書いてございます。それをごらんいただければおわかりいただけるかと思いますが、
土壌
汚染の防止といたしましたのは水源の転換、それから沈でん池の
設置
、汚染
土壌
の改善といたしましては
土壌
改良、それから土層の改良、それから排土、客土、それからなお地域によりましては地目の転換もやる必要がある地域もあるかと思っております。これらをやります事業主体は、
農林省
といたしましては都道府県を原則に
考え
ております。 それから
費用
負担
の区分問題につきましては、先ほど三ツ林
委員
の御
質問
に対しまして
大臣
から御
答弁
がありましたように、原因者が明確な場合はこれは
費用
負担
法に基づきまして
費用
負担
法の原則によって
金額
がきまってまいります。その場合の
残額
につきましては、国と都道府県とがどう持つか。これは今後財政
当局
をまじえての話し合いの問題でございますが、
大臣
が御
答弁
になりましたように、できるだけ農家の
負担
が軽くなるようにする、こういうことになるわけでございます。
長谷部七郎
176
○長谷部
委員
費用
負担
の問題になりますが、原因者が明確な場合は問題ございませんけれ
ども
、必ずしもその
責任
が明瞭でないという場合は当然これは国、県の
負担
ということになっていくと思うわけであります。お尋ねをしたところによりますと、この事業の主体は都道府県営の事業である、こういうことになりますと、当然今日の土地改良事業もそのとおりでありますけれ
ども
、国の補助率それから県営事業の場合県の
負担
分、さらには農民の
負担
分、かように定められているわけであります。したがって、県営事業ということになると、当然これは今度県の
負担
、自治体の
負担
というものも伴ってくるのではないか、こういうぐあいに
考え
るわけでありますが、こういう広大な汚染防止事業は、私は、原則として国の事業として行なうべき性格のものではなかろうか、かように
考え
ますけれ
ども
、この辺の見解をひとつ承りたい。
中野和仁
177
○
中野政府委員
非常に広い地域になりました場合に、技術的に見ても国がやったほうがいいという場合は国営でやる可能性はあるかと思いますけれ
ども
、ただいまわれわれの頭に浮かんでおりますような地域につきましては、これは先ほど事業種類も申し上げましたような事業でございますので、県で十分やれるというふうに
考え
ております。この場合も、御承知のように、一般の土地改良事業は、県営事業でありましても、国が相当
程度
の補助をしておりますので、この事業につきすしても当然国の補助、それから県の
負担
、それから地元の
負担
ということになるわけでございます。原因者の明確なものは、先ほど申し上げましたように、その部分は原因者が持つ。原因者がわからない部分につきましては、これを国と県だけで全部やって、農家に一銭もかけない、これはなかなかむずかしいのではないか。その点をどの
程度
軽減できるかは、今後のその補助率、
負担
率のきめ方の問題になってくるわけでございます。
長谷部七郎
178
○長谷部
委員
本事業を施行する場合に、きわめて大きな流域もあろうし、また小さな流域もあろうかと思うのです。したがって、一がいにこれは県営でやる、国営でやる、あるいは市町村営でやるというぐあいに線は引きがたいと思うわけでありますけれ
ども
、私は、少なくとも現行の土地改良法によるように、
関係
面積等によって一つの
基準
というものをつくるべきではなかろうか、こう思うわけであります。それと同時に、水源の転換あるいは水路のつけかえ、排水路のつけかえなどということになると、これは
建設
省、いわゆる河川管理者との
関係
も出てくるわけであります。ですから、こういう河川管理者との
関係
で、原因者がいわゆる
農林省
であれば、これは
農林省
の予算でやることになろうかと思いますけれ
ども
、そこいら辺の調整はできておるのかどうか、この際承っておきたいと思うわけであります。
中野和仁
179
○
中野政府委員
具体的な地区をどこにするか、まだきめておりませんので、具体的な地区の調整ということになりますとまだ御
答弁
できないわけでございますが、一般的な土地改良事業といたしまして、水利権に
関係
がある場合は当然その事業主体が、国営であれば国が、県営であれば県が河川管理者としての水利権の許可をとるということにいたしておりますし、その辺は今回の防止対策事業といえ
ども
土地改良事業法によりましてやるのが原則でございますので、十分調整措置はとれるというふうに思っております。
長谷部七郎
180
○長谷部
委員
先ほどの
大臣
の御
答弁
によりますると、農民の
負担
を極力軽減をする中で本事業を推進してまいりたい、こういう御趣旨の御発言があったようでありますが、特に普通の土地改良事業と違いまして、長年公害のために低い収量に泣かされてきた、経済的にも非常に圧迫を受けてきた、犠牲にされてきた、こういう方々が非常に多いだけに、私はこの際、農民の
負担
を極力じゃなくて全然ないような形で本事業を進めていただくように、特にこの際、
大臣
から御配慮を願いたい、こう思うわけでありますが、あらためて御見解を承りたいと思います。
倉石忠雄
181
○
倉石国務大臣
先ほど申し上げましたように、極力努力いたすつもりであります。
長谷部七郎
182
○長谷部
委員
次にお尋ねいたしたい点は、この
法律
の第十一条にまいりますと、特に必要がある場合はその防止のための必要な措置をとるべきことを
関係団体
、
関係
機関
の長に要請するものとする、こういう規定になっております。私はこの点についてひとつ承っておきたいと思いますのは、
関係
機関
の長に必要な措置を要請する、必要な措置について具体的な例をひとつこの際御
紹介
をいただきたいと思うわけであります。
中野和仁
183
○
中野政府委員
大気汚染防止法によりましても、
水質
汚濁
の防止法によりましても、いずれもこれは一般
基準
は政令なりあるいは通産、厚生両省令で全国的な排出
基準
が今度きめられることになりました。それで足りない場合は知事が条例でそれよりきびしい
基準
を定めるということは、両方の
法律
できまっております。そういうことを今回この
法律
では第七条で、
土壌
のことを
考え
た上できびしい
基準
を定めるように、あるいは一ぺんきめました
基準
を変更するように、知事はそういう措置をとるものとするということが書いてございます。これで大体知事は当然やることになるわけでございますが、なお
農林大臣
といたしましては、そういうことを知事にやってもらいたいということを要請するわけでございますから、端的に申し上げますと、その
土壌
汚染防止のための対策地域についての排出
基準
を
土壌
の観点から見まして、もう少しきびしくしてほしいというような要請が中心になろうかと思います。
長谷部七郎
184
○長谷部
委員
いま承ったところによりますと、必要な措置を要請するその
内容
は、特別の排出
基準
あるいは排水
基準
を設けてもらいたい、こういうことが中心だろうというお話でございますが、この際私は、いわゆる事
業者
に対して改善命令であるとか、あるいは操業の停止の問題であるとか、あるいは排出の
施設
をする場合の届け出許可制であるとか、あるいは変更命令であるとか、こういうところまで
考え
ていくべきではないか、こう思うわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
中野和仁
185
○
中野政府委員
私、先ほど排出
基準
を要請するのが中心と申し上げましたが、いま先生おっしゃいました、両方の
法律
に基づきます改善命令その他の措置を当然知事がとれるはずでございますけれ
ども
、なお
農林大臣
からもそういうことも当然要請できるわけでございます。
長谷部七郎
186
○長谷部
委員
最後にもう一つ。第七条に
関連
いたしますけれ
ども
、伝えられるところによりますと、
農林省
の当初つくられた本法の基本要綱案には、いわゆる必要ある場合は、
水質
汚濁
防止法であるとかあるいは大気汚染防止法による一般的な排出、排水
基準
では防止ができないというぐあいに都道府県知事が認めた場合は、特別の排出
基準
あるいは排水
基準
というものを定めることができる、こういうぐあいにうたわれておったようでございます。ところがそれが、先ほど申し上げましたように、
農林大臣
が
関係
機関
の長に対して要請をする、実はこういうぐあいに弱められているわけであります。 それからいま一つ、当初の要綱案には、これは新聞等にも出ておりましたが、無過失賠償
責任
の条項につきましても明文化されておったように、私は新聞を拝見をしておるわけであります。 ところが、今回出てまいりましたものを見ますと、この二つとも姿を消しているわけであります。私はほんとうに、この法案が地方公共
団体
の長に対して大幅な権限をゆだねる、あるいは無過失賠償の
関係
につきましても期待しておったわけでございます。しかるにその二つがなくなってきておる。いろいろこの理由等を尋ねてみますと、これはいずれも、公害対策本部の、いわゆる総理府の調整事項として除かれた、こういうぐあいに話が流布されておるわけであります。いわゆる無過失賠償
責任
の問題と特別
基準
の設定については統一的に取り扱うということで取り除かれた、こういうぐあいにいわれておるわけであります。しかも、そういうことで取り除かれて、では、はたして統一法案の中に、
公害対策基本法
の中に出てきているかというとそうでもない。どうもこれらを
考え
ますと、これは財界等から
意見
書、建議案というものも出ておるというように聞いております。そういうことで、いわれているように、いわゆる財界等の圧力に屈してこれを取り除いた、こういうぐあいにしか解釈できないわけであります。そしてこの法案が大幅に後退したものとなってしまったわけでありますが、この点について
大臣
の見解を承っておきたいと思います。
倉石忠雄
187
○
倉石国務大臣
公害に関する無過失賠償
責任
、これは、御存じのように、今度
法律
を十四も出しておるわけでありますので、それぞれの
法律
によってずいぶんいろいろな
法律
上の問題が生じてまいります。相手が事業の経営者であろうと
農業
者であろうと、あるいは職場の勤務員であろうと、民法上の無過失賠償の
責任
を負わせるというふうなことについては、基本的な権利の問題でありますので、何人も慎重にならざるを得ないのであります。したがって、公害の問題を
考え
ましたときに、ばらばらな行政のないようにということをおもんばかりまして
政府
に公害対策本部ができたわけでありますので、こういう
法律
上の問題はもちろんのこと、技術上の問題も各省ばらばらにいろいろなことを言わずに、すべて対策本部に持ち寄って
政府
としての統一見解で進むべきである。したがって、公害に関して一つの省を設けろというお説も一部に出ておりましたが、ああいうお
考え
もやはりそういうところにあるのだろうと思うのでありますが、そういう立場で
政府
の中に公害対策本部をつくったのでありますから、そういう人の基本的な権利に関するような問題について、これはやはり
政府
として統一した見解をもって臨むべきである、こういうことで、一般論として、個々別々な
法律
にどういうふうにするか、あるいは一本の
法律
の中で書くかというようなことについて、なお十分検討をする必要がある、こういうことでございますので、いま何か財界からどうとかこうとかという、御発言は自由でありますけれ
ども
、私
ども
にとりましてはたいへん意外なことでありまして、私
ども
農林省
はどこからもまだそういうことについてお話を受けたことはありません。ただわれわれを取り巻く
技術者
、経営者、
農業団体
等からそれぞれの立場でいろいろな御注意をいただいておることはたくさんありますけれ
ども
、圧力というふうなものはわれわれは受けたこともありませんし、何のことやら一向判断ができないわけであります。
長谷部七郎
188
○長谷部
委員
いま
大臣
は総理
大臣
のようなことを御
答弁
しておられますが、当初この要綱がつくられた場合は、明らかにこの特別
基準
の設定の問題と無過失
責任
の条項が
農林省
の事務
当局
の案の中には明文化されておる。そしてその後に及んで財界のほうからこの
農林省
がつくった要綱案の
基準
の設定に対して、こういう
意味
の
意見
書がきておる。御
紹介
を申し上げますと、「カドミウム等の有害物質によって
土壌
が汚染される場合、場所によっては長期にわたり蓄積されているので、きびしい規制が実施されると、企業経営が不可能になる。従って、カドミウムなどの有害性や、人体、
農作物
などへの影響の科学的究明が不十分な現状では、予防的排出規制は時期尚早である。とりあえず汚染米地域の処理、改良などの立法措置を行なうだけが適当である。」こういう
意味
の
意見
書が
農林省
に出されておる、こういうぐあいに私
ども
承っておるわけであります。私はいま出てきた法案を拝見をいたしますと、まさにこの
意見
書の線に沿うた形で出ているのではないか、こういうぐあいに
考え
ざるを得ないのであります。いかに財界の圧力がなかった、そんなことは知らぬ存ぜぬと抗弁しようとも、出てきた法案はこの線に沿うたものである、こういわざるを得ないのです。カドミウム一PPMの米ができた地域だけにいま限定をしておる、これもちゃんと書いてあります。科学的究明が不十分な鉛や亜鉛や銅等についてはいわゆる予防的排出規制は時期尚早である、こういうこともいわれているわけであります。私は、これでは
国民
の期待にこたえる真の
土壌
汚染防止法にはなり得ないのではないか、こういうぐあいに
考え
るわけであります。
大臣
のところには直接行かなかったかもしれません。しかし、こういう申し入れが
農林省
に出されておるということだけは、この際はっきり言えるのではないか、こう思うのでありますが、この点ひとつあらためて
大臣
の見解を承っておきたいと思います。
倉石忠雄
189
○
倉石国務大臣
私のところへは毎日のように陳情書みたいなものはたくさんまいります。それを圧力だといえば圧力かもしれませんが、
農業団体
などはかなり来ます。それは圧力ではなくて希望、陳情書でしょう。そういうものは私まだ見ておりませんけれ
ども
、しかし私
ども
は、立法いたしまして、いまさっきお話のありました無過失賠償
責任
については、私
ども
が
政府部
内において主張いたしておりました、つまりばらばらにしてはだめだ、だから慎重に検討して、そういう人間の基本的人権に関するような問題は軽率に扱うべきではないし、それから品目によってもずいぶん無過失賠償
責任
を課せられるものとならないものとありましょう。そういうことは慎重にやるべきである。これは公害対策本部というものがせっかくあるんだから、そこでさらに
法律
的に検討して、別々の
法律
に採用する必要があればそれもよかろうし、一括してかぶせることがいい、そういうことが可能であるというならばそれもよかろう。対策本部で
態度
をきめるべきである。それからまた、いまとりあえずカドミウムをやりまして、あと銅、鉛等についてはその次までに検討して政令に入れるということは、しばしばここで事務
当局
もお答えいたしておるとおりでありまして、それ以外に何ら
関係
はないわけであります。既定の
方針
に従ってできるだけ完ぺきを期してまいりたい、こう思っておるわけであります。
長谷部七郎
190
○長谷部
委員
以上で
質問
を終わります。
三ツ林弥太郎
191
○三ツ林
委員長
代理 鶴岡洋君。
鶴岡洋
192
○鶴岡
委員
私は、ただいま議題となっております農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
について若干の
質問
をいたします。 前に
質問
された
委員
と重複するところがあると思いますが、了承していただきたいと思います。
法律案
の
内容
については、ただいま長谷部
委員
から話のあったように、最初出た原案要綱から非常に後退している。私もこの
法律案
を見て多々
感じ
るところがあるわけです。法案の
内容
に従って順次
質問
をしてまいります。 まず最初に、先ほど出ましたが、第一条の「
目的
」の中に「農用地の
土壌
の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずること」云々とあります。本法案が農用地の
土壌
と限定されているが、その
根拠
はどこにあるのか。群馬県の安中の工場周辺を見てもおわかりのとおり、林野や自然
植物
がその吐き出される煙の害を受け、もうまる坊主になっているというのが現状であります。
土壌
汚染の対象にこれら林地が入っていないが、これは当然入れるべきだ、このようにも私思うのですが、この点いかがでしょうか。
倉石忠雄
193
○
倉石国務大臣
先ほどお答えいたしましたとおりでありまして、これはとりあえずは、いまカドミウムの問題が緊急を要しますし、農用地の
関係
を処理しなければなりませんので農用地に限ったわけでありますが、さらにこれから継続して研究をいたしまして、先ほどお答えいたしましたように林地あるいは公園その他の地域にも、そういうふうにやる
条件
が整うということでありますならば、私
ども
はそういうものを続けて検討いたしてまいりたい、こう思っております。
鶴岡洋
194
○鶴岡
委員
もう一つ、第一条の「
目的
」の中ですが、「農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずる」とありますが、この「農用地の利用の合理化を図るために必要な措置」の
意味
を教えていただきたいのです。
中野和仁
195
○
中野政府委員
この計画を立てます地域によりまして、いろいろ地域の実情が違います。そこでただいままで、たとえば米ばかりつくっておるということになりましても、当面、計画の中にあります復旧工事ができません間は米がつくれません。その場合には非食物性の
植物
を植えるとかあるいは極端に汚染されている場合で、農用地として使うよりはむしろ他用途に転用したほうがいい、いろいろな問題がございます。そこで、どういうふうにその汚染された農用地を使ったらいいかということを、その地域の実情に応じて合理的に判断をするという
意味
で「農用地の利用の合理化」ということを「
目的
」にうたったわけであります。
鶴岡洋
196
○鶴岡
委員
前回の国会の農地法
改正
のときに、農地の合理化という
ことば
がやはり出てきました。その際には、
政府
の
答弁
からいきますと、この農地の利用の合理化の
意味
は、おもに市街化、工場化、それから住宅化ということに重点が置れていたように私、記憶しております。そうすると、本法案のいま言った「農用地の利用の合理化を図る」この
ことば
が出てくる以上、やはり同じような解釈として、まだ
農業
をやっていきたい、そういう人にも
農業
をやめさせることに主体が置かれるのではないか、このように思うわけです。極端に言えば廃村ということも
考え
られないでもないわけです。この点、いかがでしょうか。
中野和仁
197
○
中野政府委員
それは極端なお話でございまして、われわれとしましては、地元の意向を聞いた上でこの計画を立てなければなりません。そこで、県知事も市町村長の
意見
を聞いて、と立てております。その地元の農家が非農地に転換することを望まないのにそういう計画を立てるわけにはいきません。それからまた、先ほど農地法にも漁触れになりましたが、農地法の合理化の問題にいたしましても、いま鶴岡先生お話のように、非農地にすることを
目的
としてということは書いてたかったはずでございますし、またそういう御
答弁
もしたわけではないというふうに記憶しておりますが、われわれとしましては、やはり地元の意向を聞きながら、できればもとのとおりにしてあげたい。しかしそういう土地がなかなかそうなりにくいものは、もう少しほかの使い道はないだろうか、こういうことを
考え
た上で最も合理的な計画を立てるというふうに
考え
ております。
鶴岡洋
198
○鶴岡
委員
それでは、農民のためをということで善意に解釈しておきますけれ
ども
、この「農用地の利用の合理化」という文章ですが、これは原案にはなかった。それがここに出てきた。この経過についてはどうでしょうか。
中野和仁
199
○
中野政府委員
先ほどからたびたび原案というお話が出るので、われわれは非常に困っておるのでございますが、
法律
の立案をいたしますときはいろいろな案を何回にもわたって書くわけでございます。いまの先生のお話はどの原案であったか、私もよく承知しないのでございますが、その辺はでき上がったものについての御
議論
をいただかなければ
——
われわれ事務
当局
といたしましては、この
法律
をつくるのに苦心をしまして第何次案もつくっております。その途中のものと比べられてこれがどうだと言われましても、非常に困るわけでございます。 なお、私もいまどの原案であるか持っておりませんので、ちょっといま調べてみますけれ
ども
、その辺御了承いただきたいと思うのであります。
鶴岡洋
200
○鶴岡
委員
原案という話ですけれ
ども
、それはもちろん過程を経て
法律案
をつくるわけですが、間違いなく、たしか十一月の十三日ごろだったと思ったのですが、それには載ってなかったように私記憶しておるわけです。もしそれがよければ、原案のとおりに私は入れるべきではないか、このように思うわけです。 それはそれとして次に
大臣
にお
伺い
したいのですが、
目的
の最後のほうですが、「もって
国民
の健康の
保護
及び
生活環境
の
保全
に資することを
目的
とする。」こうあります。これもこの「
生活環境
の
保全
」というところが変わっているわけです。最初は
農作物
の生育環境の
保全
、こういうふうになっておったわけです。これが「
生活環境
の
保全
に資する」、このように変わっているわけです。これも勘ぐれば、前のは
農林省
のたてまえであるいわゆる常に
農業
者サイドに立って
考え
る、こういう立場で入れたのではないか。「
生活環境
の
保全
」といえば、
農業
者も拡大解釈すれば当然含まれるわけですけれ
ども
、これが変わったその理由、「
生活環境
の
保全
」になった理由、また「
生活環境
の
保全
」というのはどういうのか。
倉石忠雄
201
○
倉石国務大臣
私が見ました原案は、いま出してあるのが原案でありまして、その前のものは読んだことはありません。先ほど来、お話がございますが、これはやはりそういう重金属類等の毒物を除去したり、それから
生産
を阻害するようなその他のものを排除することによって、
農業
経営を安定して、しかも農村の
生活環境
の
保全
に資することを
目的
とする、これは農村ばかりではありませんが、そういうことのために必要なことではないか、こういうことで、
土壌
汚染を防除することに国は力を入れるべきである、このように
考え
ておるわけであります。
鶴岡洋
202
○鶴岡
委員
私が言いたいのは、法案の名前からいっても、農用地の
土壌
汚染防止除去のための
法律
となっているわけですから、これは明らかに
考え方
が
農業
者サイドから少しずれているのではないか、このように思うわけです。 そこで、それならばこの
目的
の中の最後のほうに、この最終的に出てきたあれは、「もって
国民
の健康の
保護
及び
生活環境
の
保全
」、こうありますけれ
ども
、この「もって」の下に、
農業
者経営の安定とか確立とかと、このように入れたらどうだ、このように私は思うのですけれ
ども
、この点についていかがでしょうか。
中野和仁
203
○
中野政府委員
ここに「
生活環境
の
保全
」と書きましたのは、公害基本法の中に
生活環境
とは「動
植物
及びその生育環境を含む」とはっきり書いてございます。したがって、法文の整理として、そういった「
生活環境
の
保全
」ということを最終的に
政府
原案としてきめたわけでございます。何ら差異はございません。 それからいまの入れたらどうかというお話につきましては、承っておきたいと思います。
鶴岡洋
204
○鶴岡
委員
「
生活環境
の
保全
」という
ことば
ですけれ
ども
、これを生態学からいけば、やはり当然林地が入ると思うのです。そうすれば、先ほど言ったように、林地もこの文章からいけば、農用地ではなくて、農林用地、このようにすべきであると思いますけれ
ども
、この生態学から
考え
た点についてどういうように
考え
られるか。
中野和仁
205
○
中野政府委員
先ほどから
大臣
がたびたび御
答弁
になっておりますように、これは農用地という
土壌
を通じまして、人畜なり、あるいは農産物の生育障害になるというものを今回取り上げたわけでございます。林地につきましては、これはしばしば申し上げておりますように、まだ林地の汚染、それから林産物の汚染というのはどの
程度
どうなっているか、それの対策をどうするかということも、まだ明らかでありません。したがって、
大臣
が申されましたように、今後調査研究を進めた上で入れるということでございまして、今回の法案は、いま申し上げましたように、農用地に限定したわけでございます。
鶴岡洋
206
○鶴岡
委員
じゃ次に移りますが、第二条の三項のところですが、ここに「特定有害物質」とありますが、この「特定有害物質」の具体的なものはどんなものか。
中野和仁
207
○
中野政府委員
先ほど申し上げましたように、カドミウム、銅、亜鉛、鉛、砒素というふうにわれわれは
考え
ております。
鶴岡洋
208
○鶴岡
委員
そこで農用地の
土壌
を汚染する特定有害物質としては、政令で定められることになっているが、いまお話のあったように、カドミウム、銅、亜鉛等の重金属ということですが、このうちカドミウムは農産物を媒体として人の健康に、また銅及び亜鉛は
農作物
の生育に悪影響を及ぼすといわれています。したがって政令で定める場合、第一に人の健康上問題となるカドミウムを指摘し、次いで銅、亜鉛、こういうことにするようですが、そこでカドミウム以外の有害物質については、早急に結論を得るよう措置すべきであろうかと思います。この点については先ほど
農林大臣
は至急に検討する、局長は一、二年できめる、こういうふうにおっしゃったようですけれ
ども
、現在銅の被害についても、亜鉛の被害についても御存じのように各地においていわゆる
農作物
の被害が相当あるわけです。こういう点から
考え
て一、二年といいますけれ
ども
、もう一度私のほうから要望いたします。努力していただきたい、このようにお願いしたいわけですが、この点についてもう一度お願いします。
中野和仁
209
○
中野政府委員
見通しを先ほど申し上げたわけでございますが、われわれのほうといたしましても調査データその他の準備が整い次第できるだけ早くやりたいと
考え
ております。
鶴岡洋
210
○鶴岡
委員
この特定有害物質でありますが、これもまた前の要綱に
関連
してくるわけですけれ
ども
、その要綱の中を聞くところによると、特定有害物質とは工場または事業場から
農業
用水路等に排出される水または大気に排出されるばい煙に含まれるカドミウム等々となっておったようでございます。この等といえば銅、亜鉛が当然入る、このようなお話でもありました。
農作物
等の生育が阻害されるおそれは十分に銅にもあるわけです。それにもかかわらずカドミウムということから始まるということになってしまったわけですが、この銅を抜かした場合にどこにメリットがあるのか、その点だけお
伺い
したいと思います。
中野和仁
211
○
中野政府委員
非公式に御説明申し上げましたものは、大綱とか要綱とか書いてあったはずでございます。そこで政令できめるべきものも、こういうものはということで例示で書いたのではないかと思いますが、われわれ今度の
法律
でちゃんと政令で指定することにいたします。何ら運用としては変わらないつもりでございます。
鶴岡洋
212
○鶴岡
委員
次に第三条に入りますが、農用地の
土壌
汚染対策地域の指定については都道府県知車がすることになっております。これも
農林大臣
であったようでありますけれ
ども
、都道府県知事は国からの
機関
委任された知事であるわけです。こうなると、国から知事にということになると、国の
責任
は当然薄らいでくる、このように
考え
らわるわけです。これは国の逃げ腰、うしろ向きの体勢ではないか、このようにも
考え
るわけです。これは財政上の問題もあるでしょうけれ
ども
、先ほど
大臣
は、
農林省
は被害者側であり、また加害者側である、このようなお話もございましたけれ
ども
、この被害者側というのは私よくわからないのですが、そういった観点からすると、やはり財政
当局
の圧力といいますか、それでこうなったの下はないか、このように思うわけですけれ
ども
、この点いかがでしょうか。
中野和仁
213
○
中野政府委員
地域指定の
考え方
はいろいろ
考え方
があろうかと思いますが、先ほど先生おっしゃいましたように、これは
機関
委任としましての都道府県知事にお願いをするということでございますし、その指定のしかたの
基準
は政令で要件をきめますから、
農林大臣
がやりましょうと都宿府県知事がやりましょうと、それは同様でございます。われわれ前のいろいろな原案を
考え
ました際にも、小さな地域は知事に委任をしまして指定をさせるつもりでおりましたから、
考え方
は変わっておりません。
鶴岡洋
214
○鶴岡
委員
これも先ほど出た問題でたいへん恐縮ですけれ
ども
、第三条の汚染対策地域の指定のところですが、この要件は四点あげられると思います。「種類及び量」、それからその次の行へ来て「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が
生産
され、」その次の行へ来て「
農作物
等の生育が阻害されると認められるもの」、これが出ておりますけれ
ども
、抽象的でわからないわけです。具体的
基準
はどうなのか。特に種類と量ということについてお
伺い
したいと思います。
中野和仁
215
○
中野政府委員
カドミウムに例をとって申し上げますと、たとえば米に一PPM以上のカドミウムが入っている場合、これが人の健康をそこなうおそれがあるということでございますので、この
条文
の「
農作物
等に含まれる特定有害物質の種類」といいますとカドミウム、「及び量」といいますと、これは米に一PPMのカドミウム、こう読むわけであります。それでは、米に一PPMカドミウムの含まれておる
土壌
にはカドミウムがどのくらい含まれておるかというのが、その前の「農用地の
土壌
」というふうに書いてありますが、それに含まれる特定有害物質の種類及び量というふうに読んでいただきますれば、たとえば米に一PPMカドミウムが入っている場合は
土壌
に十PPM入っておる、こういうふうに
関連
を読んでいただければよろしいかと思います。それから「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が
生産
され、」と申しますのは、カドミウムにつきましては、ただいまも申し上げましたように、米につきまして一PPM以上のカドミウムを含むもの、こういうふうにお読みいただければよろしいわけでございます。それから生育障害の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、
農林省
として資料を詰めました上でそういう具体的な
考え方
を出すわけでございます。それから「又はそれらのおそれが著しい」というのは、先ほ
ども
申し上げたと思いますが、いまの米に一PPM含まれておる
土壌
というようなもの、それに近づくおそれがある、近づくことが明らかな地域、こういうふうにお読みいただければ、大体おわかりいただけるのではないかと思います。
鶴岡洋
216
○鶴岡
委員
それでは、
土壌
の汚染と
生産
された
農作物
の汚染との
関係
、これはやはり問題になってくると思うのです。これは種々雑多だと思いますけれ
ども
、その
関係
を調べる研究はいま
農林省
としてどの
程度
進んでいるのか、進める用意があるのか、その点をお
伺い
したいと思います。
川井一之
217
○川井説明員 どろのカドミウムとお米のカドミウムとの
関係
でございますが、これにつきましては従来の全国的な調査のデータから現在検討いたしてみますと、
土壌
中のカドミウムの蓄積がふえてまいりますと作物中のカドミウムの含量が高くなってくるという
関係
につきましては、これまでの調査でかなりの
程度
認められております。しかし、地域が異なりますと
土壌
の
条件
といいますか、性格が異なってくるということのために、
土壌
中のカドミウムと米の中のカドミウムとの相関
——
相関はあるわけでありますけれ
ども
、その相関の
程度
と申しますか、そういうものが地域の特性を反映してあらわれ方が異なってくるというような事実がつかまえられております。
鶴岡洋
218
○鶴岡
委員
そうすると、カドミウムと米、それから銅と野菜、こういう
関係
が出てくると思うのですが、いろいろな
関係
性を
考え
ていまから各品目別にやるつもりなのか、それともある
程度
の品目に押えてそれで終わりにするのか、その辺はどうなんでしょうか。
中野和仁
219
○
中野政府委員
人の健康との
関連
におきましては、
食品衛生法
の七条に基づきまして、人の健康を阻害するといいましょうか、そこなうおそれのあるものについて、厚生
大臣
が食品の成分の規格を定めます。それが定められますに応じましてわれわれは
考え
ていかなければならないというふうに
考え
ております。
鶴岡洋
220
○鶴岡
委員
前の
質問
の、この種類と量等についての
基準
でございますが、この点について、
公害対策基本法
で定める
土壌
に関する
環境基準
との
関係
はどうなりますか。
中野和仁
221
○
中野政府委員
先ほど技術
会議
の参
事官
のほうからもお話がありましたとおりでありまして、
土壌
という観点から
環境基準
をきめるには、まだ若干の研究を要します。そこで、いっきめられるかということはまだ的確に申し上げられないわけでございます。したがいまして、この
環境基準
がどういうふうにきめられるかということと指定地域との
関係
ということになってまいりますが、
環境基準
の水準と申しましょうか、
環境基準
の水準的なもの、これと地域指定との
関係
がどうなるかということにつきましては、具体的に
環境基準
が明確になった際明らかになるというふうに御了解願いたいと思います。
鶴岡洋
222
○鶴岡
委員
次に、この汚染対策地域は、現在
法律
がまだできていないわけですが、できた場合にどこを予定しているのか。たぶん要観察地域を中心とすると思いますけれ
ども
、この
法律
でどう対処していくのか、この点をお
伺い
したいと思います。
中野和仁
223
○
中野政府委員
いまお話しのように、やはり一番問題になっております要観察地域が当面の対象になろうかと思います。
鶴岡洋
224
○鶴岡
委員
いままで新聞を見るとたくさんの汚染された地域がありますが、この中で、ことしに入って四月から十月までの新聞を見ただけでも、黒部のカドミウム
最高
五三・二PPM、それから群馬の安中二〇PPM、それから佐賀のノリ、それから多摩水系カドミウム一四PPM、それから山口県の下関
土壌
汚染カドミウム六・六一PPM、それから福島の磐梯町水田の
土壌
汚染カドミウム五三・九四、それから最近になって東京の府中一三・八、それから昭島、立川一・九五、こういうふうにたくさんのものがまだまだあるわけですけれ
ども
、この点についてはどういうふうにしていくのか、その点をお
伺い
します。
中野和仁
225
○
中野政府委員
農林省
のほうでも、予算要求をいたしまして調査を緊急に進めておりますので、そういう点が明確になれば、明確になった際に逐次指定をしていくということになると
考え
ております。
鶴岡洋
226
○鶴岡
委員
この対策計画に入りますが、この設定の場合に県にその対策地域が指定されるわけですけれ
ども
、たとえば県外にこの対策計画がまたがる場合もあるのではないか。特に河川等は県境になっている例が非常に多いわけです。この点についてどういうふうに調整し、対策計画を立てていくのか、この点をお
伺い
したいと思います。
中野和仁
227
○
中野政府委員
この
法律
では、都道府県知事に地域指定をやらせるということにしてあるわけでございます。大体普通の場合は一県内の問題として片づくかと思います。まだ将来のことでわかりませんが、もし二県以上またがるような場合につきましては当然
農林大臣
としては両県知事に対しまして、同時にそういうことをやるようにということは要請するわけでございますし、またそういう指導もしなければならぬと思っております。
鶴岡洋
228
○鶴岡
委員
それでは端的にお
伺い
しますけれ
ども
、対策計画の省令の
考え方
、この点についてお
伺い
します。
中野和仁
229
○
中野政府委員
これはこの計画を立てる手続的なことを省令できめたいということを
考え
ておるわけでございます。
鶴岡洋
230
○鶴岡
委員
それでは次に第五条の二項の二号、イロハとありますけれ
ども
、この点について少しお
伺い
します。最初は「
土壌
の特定有害物質による汚染を防止するためのかんがい排水
施設
その他の
施設
の新設、管理又は変更」等がありますけれ
ども
、この新設等について具体的に
内容
、
程度
はどうするか、この点をお
伺い
します。
岩本道夫
231
○岩本
政府
委員
農用地の汚染を防止しますために農用地にかかる水の水源を転換するために頭首工や排水路のつけかえをするとかあるいは集水暗渠を設ける等の事業を第一に
考え
ております。また、現在のかんがい排水
施設
はかんがい用と排水用と未分離のものが多いわけでございますが、用水と排水とを分離して悪水が入らないようにすることも必要でございますので、そういう用水分離の
施設
を設けることも頭に置いております。さらに沈砂池、中和
施設
あるいは毒源の物質を処理する
施設
を新設、改修することも
考え
ておりまして、さらにそういう
施設
の維持管理の面につきましても
土壌
汚染の防止に
関係
するものは含めて
考え
たいと
考え
ております。
鶴岡洋
232
○鶴岡
委員
農用地の対策地域内にある農用地にかかる事業でありますけれ
ども
、この事業の実施主体はどうなのかという点で三点お聞きします。 第一点は、これを県営事業または市町村営事業とするのか、その辺がはっきりこの法案にはないように見えます。これが一点。 それから二番目は事業の実施方法ですが、従来ある土地改良法、災害復旧法等を取り入れてやるのか。もし土地改良法でやるとすれば、これは現在は
申請
主義ということになっておるわけです。したがって、組織として組合、改良区等を組織するのかどうか。これが第二点。 第三番目は、この事業にあたって
費用
負担
の問題でございますが、連合審査のとき山中総務長官は農民に
負担
をなるべくかけないようにする。もちろん原因が企
業者
であるということがはっきりすれば問題はありませんけれ
ども
、県営事業となると農家に多少なりとも
負担
率からいって
負担
がかかってくるではないか、このように思うわけであります。この辺についてお
伺い
したいと思います。
岩本道夫
233
○岩本
政府
委員
御
質問
の第一点の事業主体の問題でございますが、この対策計画に基づきます農用地の汚染の防止と申しますか、改良の事業は、土地改良法に基づいて実施をすることに相なりますので、事業主体としては国、県、市町村土地改良区が
考え
られるわけでございますが、この事業の性格にかんがみまして、農民のために非常に重要な事業であるという見地から、現在では県営の事業として実施してはどうかということで
考え
ております。 それから事業の実施方法でございますが、先ほど申し上げましたように土地改良法に基づく諸手続を踏んでやるつもりでございます。この
土壌
汚染防止法の対策計画は一つのマスタープランでございまして、具体的に事業を実施いたします場合には土地改良法に基づいてその諸手続を踏まえて事業を実施することになりますから、当然
申請
主義ということに相なろうかと思います。したがいまして、県営事業でやるつもりでございますが、この
申請
主義を適用して事業を進めるつもりでおります。 さらに
費用
の
負担
につきましては、すでに連合審査会で御
答弁
がされておりますし、本日も三ツ林
委員
の御
質問
に答えたところでございますが、原因者のはっきりしておりますものにつきましては、
費用
負担
法の手続によりまして、まずこの原因者の
費用
をはっきりさせ
負担
をさせる。
残額
についてはできるだけ農民の
負担
にならないように処置をしたいと
考え
ておりますが、原因者がはっきりしない場合もございます。この場合には一般の土地改良事業に準じて
考え
ていくことに相なるわけでございますが、御
質問
のようにその原因の重要性等考慮しまして、また農民が困っておるという立場も考慮しまして前向きに検討してまいりたいと
考え
ております。
鶴岡洋
234
○鶴岡
委員
いまも出てきましたけれ
ども
、これは先ほど長谷部
委員
が
質問
したとおり原因不明であり、しかも広い範囲、先ほどの例に申しましたけれ
ども
、多摩の昭島等を
考え
てみますと、あれは原因不明であり範囲が非常に広いわけです。この点について広範囲の場合は国営事業でやるべきではないか、このように私も思うのですけれ
ども
、いかがでしょうか。
岩本道夫
235
○岩本
政府
委員
原因不明ということではなしに、原因者がだれかわからないということでございまして、特定有害物質によって汚染されておるという原因と結果がはっきりしたものが、この
土壌
汚染防止法の対策計画の
内容
になるわけでありますから、そうむやみに広くなることはないと
考え
ますが、この対策計画に載りましたものにつきましては、
法律
の定めるところによって処置をし、また農民の立場も配慮しましてこれを運用してまいりたいというふうに
考え
ております。
鶴岡洋
236
○鶴岡
委員
次に「農用地の
土壌
の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業」とこういうふうに載っているわけです。この客土はどの
程度
のものか、一応の
基準
はあるのかどうか。
費用
の面等から
考え
ると、客土というのは非常に
費用
がかかるものとなっております。土地改良にしても少ないところで一反三十万から四十万、これは一番少ないところですけれ
ども
、その
程度
の
費用
がかかるわけです。そういうことから踏んまえて、この客土の規模はどうするのか、この点をお
伺い
したいと思います。
岩本道夫
237
○岩本
政府
委員
客土等とございますが、客土ではなく、むしろ有害な
土壌
を外へ排出をする排土も必要であろうかと思います。また御
質問
のように客土にはたいへん経費がかかりますので、被害がそれほどでないという場合には客土でなしに
土壌
改良剤の投入とかあるいは深耕、天地返し等で済む場合もあります。したがいまして、この客土を一体どの
程度
やるのかという御
質問
でございますが、それは現地の被害の実情あるいは
土壌
の
条件
また土取り場の遠近等経費のかかりぐあい等を見まして、
費用
等効果と経済ということを
考え
てやらなければなりませんので、いまここで抽象的にどの
程度
やったらいいということは申し上げにくいわけでございますが、今後実施されます
土壌
の汚染に関する調査の結果を踏まえまして合理的に判断をしてまいりたいと
考え
ております。
鶴岡洋
238
○鶴岡
委員
「その他の事業」というのはこれは何ですか。
岩本道夫
239
○岩本
政府
委員
例をあげて申しますと、代替農用地の造成の事業等も
考え
得ると思います。汚染された農用地を放棄をしまして別に新しい農地をつくってやるといったようなこともその他の事業として
考え
得ると思います。
鶴岡洋
240
○鶴岡
委員
次は地目変換ですが、都道府県知事が汚染の
程度
によって
農業
の用に供するものとまた著しく汚染しているものは農用地の利用の合理化をはかるための地目変換その他の事業に利用するものとに区分されるようでありますけれ
ども
、この「地目変換その他の事業」とは具体的にどんなものを
考え
ているのか。林地、樹林地等に利用するために行なう場合の地目変換の施策、どうなのか。植木とか庭木それからお茶の畑、いろいろ
考え
られますけれ
ども
、これに対して近代化
資金
等また改良
資金
等が
考え
られると思いますけれ
ども
、この助成対策についてお
伺い
したいと思います。
中野和仁
241
○
中野政府委員
地目変換でございますからいろいろのことが
考え
られるわけでございますが、宅地に変える場合それからいまおっしゃいました林地に変える場合それから他の畑に変える場合等ございます。それぞれに応じまして近代化
資金
の活用も可能でございますし、公庫の標準融資も可能である場合があるわけでございます。
鶴岡洋
242
○鶴岡
委員
次は、第五条の第三項でございますが、ここは三行になっております。この最後の「必要かつ適切と認められるものでなければならない。」こういう規定になっておりますが、その「必要かつ適切と認められるものでなければならない。」というこの
意味
を説明してもらいたい。
中野和仁
243
○
中野政府委員
土壌
汚染対策計画を立てますには、この三項によりましてその計画が具体的な地域の汚染の度合いなり
費用
なりあるいはそれの事業をやりました効果なり、緊急性というものから見まして必要でありかつ適切ということですから、これは当然のことを規定したわけでございまして、不必要なことを計画でやるというのは必要ないわけでございますから、当然のことを規定したわけでございます。
鶴岡洋
244
○鶴岡
委員
これから見ると、これは認定事業であるわけです。そうすると、たとえば汚染の
程度
があまりない、それから
費用
がかかり過ぎると思われる場合、それから事業をやってもその効果があがらない、こういうように認めた場合、さらに緊急度はあまり要しない、こういうように思われた場合には、これはやめるのですか。
中野和仁
245
○
中野政府委員
具体的な場合に即してこれを責めるわけでございまして、これを反対に言われますれば、いまみたいなような
考え方
もあろうかと思いますが、われわれといたしましてはこの計画を立てる際の知事の心がまえと申しましょうか、ここではそういうことを書いてあるというふうに御了解いただきたいと思います。
鶴岡洋
246
○鶴岡
委員
この点でございますが、この対策地域計画は都道府県知事がやって、この計画に対してまたここで知事自身が
内容
についてしぼるといいますか縛るといいますか、このように私は
考え
るわけです。聞くところによりますと、この第三項はこの法案ができる前夜に挿入された、このようにも聞いておるのですけれ
ども
、そうすると、わざわざ都道府県知事がきめて、それを締めつけるようなことを
考え
れば、この項は必要ないのじゃないか、このようにも
考え
るのです。この項があるためにかえって事業が進まぬということも
考え
られないわけではありません。そういうことでこの点についてどう
考え
ますか。
中野和仁
247
○
中野政府委員
われわれといたしましては、こういう規定があって知事が適切な計画が立てられるというふうに判断をしております。
鶴岡洋
248
○鶴岡
委員
次は第七条に入りますが、これは先ほど
質問
があったようですけれ
ども
、第七条の「人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が
生産
され、又は
農作物
等の生育が阻害されることを防止するため必要があると認めるときは、
水質
汚濁
防止法第三条第三項若しくは大気汚染防止法」こういうふうになっております。この排出
基準
についてでございますけれ
ども
、先ほどの
質問
のように、
農林大臣
がきめてもよいようになっておったのですけれ
ども
、いわゆる
水質
汚濁
防止法、大気汚染防止法にゆだねて、言うなればあなたまかせだということになるわけですが、それで事足りるのかどうか、もう一度お
伺い
いたします。
中野和仁
249
○
中野政府委員
先ほ
ども
今度の七条の運用のしかたと申し上げたわけでございますが、この両方の
法律
で知事がよりきびしい
基準
が定められるということになっております。普通の場合は一般的な政令での
基準
でよろしいのでございますが、なお知事がきびしい
基準
を定める。その場合に当然これまた
土壌
汚染のことも
考え
てそういう
基準
ができるはずでございますけれ
ども
、特にこの汚染の
程度
とかあるいは対策計画の
内容
を見まして、そういう
基準
ではだめな場合は、知事みずからがこの
条文
にもございますように、よりきびしい
基準
をきめるというために、ここに「必要な措置をとるものとする。」ということに規定をしてございますので、これでだいじょうぶだというふうに
考え
ております。
鶴岡洋
250
○鶴岡
委員
この排出
基準
でございますけれ
ども
、排出
基準
というのは、工場のいわゆる出口だけのことであって、
基準
を順守しても、多量にまた長期にわたって排出した場合には、当然
土壌
が汚染されるということが
考え
られるわけです。また蓄積したその汚染物は分解しにくい。ここで人体の健康、また
農作物
の生育阻害となるわけですけれ
ども
、この辺はどういうふうにお
考え
であるか。
中野和仁
251
○
中野政府委員
先ほ
ども
申し上げましたように、排出
基準
をきめる場合に、
土壌
汚染という観点から蓄積が進むといった場合は、当然排出
基準
そのものにそういう観点が加えられなければならないというふうに思っております。これは人の健康との
関係
ではございませんが、現に渡良瀬川の
水質
基準
につきましては、排出
基準
が現行の
法律
できまっておりますけれ
ども
、それは
土壌
のことを
考え
た上で当然排出
基準
をきめておるわけでございます。そういう例のごとく当然そのことを含めて
考え
るということになるわけでございます。
鶴岡洋
252
○鶴岡
委員
第十条のこの勧告の件でございますけれ
ども
、いわゆる作付規制を行なう場合、単なる勧告をもってだいじょうぶなのか、これが一点と、まじめに勧告を受けてやった場合には、当然そこに何らかの損失というものが出てくるわけです。その損失の補償
責任
。それからもう一つは、勧告に従わなかった場合にはどうなるのか。先ほどは買い上げをしないという話がございましたけれ
ども
、カドミウムから今度亜鉛、銅ということになってくるわけです。そうした場合にお米だけではなくて野菜等も影響してくるわけです。こういう場合にはどうするのか、この辺をお
伺い
したいと思います。
中野和仁
253
○
中野政府委員
これはカドミウムにつきましては一PPM以上のカドミウムを含んでいる米のところを特別地区として指定をいたしますので、農家もおそらくその指定はわかります。したがって、そこへ普通の場合、農家は米を植えないはずでございますけれ
ども
、たまたまそれを知らなかったというようなことから作付をしないようにということを勧告するということでございますので、勧告で私はだいじょうぶだと
考え
ております。それから勧告を聞かないで作付した場合、これはそこまで注意したにかかわらず作付したということは、これはもう農家が
責任
を持つべきではないかと思います。 損害賠償の問題でございますが、原因者がおればこれは当然その原因者がその損害賠償をすべきだということでありますが、もししない場合はこれはやはり自然汚染といいましょうか、そういうものに似ておるわけでございまして、やはり早く対策事業をとりまして、そういうことがないようにということになるわけでございまして、国がそこはかわって損害賠償をするとかそういうことはございません。 それからなお銅や亜鉛という話がございましたが、これは人の健康をそこなうおそれのある地域だけを特別地域として指定するつもりでございまして、銅、亜鉛等について生育障害の場合、これは人の健康に
関係
ないので、特別地域の指定をするつもりはございません。
鶴岡洋
254
○鶴岡
委員
第十一条でしたか、ここで「
農林大臣
は、農用地の
土壌
が工場又は事業場から排出される排出水、ばい煙等に含まれる特定有害物質により汚染されることを防止するため特に必要があると認めるときは、
関係
行政
機関
の長又は
関係
地方公共
団体
の長に対し、
水質
汚濁
防止法、大気汚染防止法、鉱山保安法その他の法令の規定に基づき」云々とありますが、この中で、「汚染されることを防止するため特に必要があると認めるとき」としていることは、どういうことを想定しているのか。その辺をお
伺い
します。
中野和仁
255
○
中野政府委員
先ほど第七条のところで申し上げましたように、知事は特別の排出
基準
をきめるために必要な措置をとるということになっておりますが、そういうことをなお
農林大臣
から知事に要請をする場合、あるいは
水質
汚濁
防止法でありますとこれは企画庁長官が主管をいたしておりますが、大気汚染防止法でありますと厚生
大臣
、通産
大臣
が主管でございますので、それぞれの
大臣
にその
法律
に基づきまして、
土壌
汚染と
関係
のあるものにつきましていろいろな要請をする。鉱山保安法でありますと通産
大臣
に、いろいろなそれぞれの
法律
できめられております措置を各
大臣
がおとりになる場合、それらの
法律
に基づきます地方公共
団体
の長がいろいろな措置をとるわけでございます。そういうことをやってくれという要請をするわけでございます。
鶴岡洋
256
○鶴岡
委員
私が
考え
るのには、なぜこのような措置、要請の規定を設けたのかということですが、いわゆる
関係
地方公共
団体
の長にしても、
関係
行政
機関
の長にしても、当然公務員であり、憲法上からいっても
法律
を順守するのが義務であるわけです。そこで、もちろん順守すべきでもありますが、あえてこの
条文
を入れるということは、この長が
法律
を守っていないところがある、このようにも解釈されるわけです。これを前提としてこの規定を設けたのではないか。そうすると、
農林大臣
が参画さしてくれ、要請ということはお願いということですから、これではちょっと弱腰ではないか、このようにも
考え
られるわけですけれ
ども
、こういう解釈のしかたはどうでしょう。
中野和仁
257
○
中野政府委員
われわれといたしましては、
関係
の行政
機関
、通産省なりあるいは
厚生省
なりでございますので、行政
機関
同士でありますから、こういう要請をいたしますれば合理的なものは聞いていただけるわけでございますので、この規定でよろしいかと存じます。
鶴岡洋
258
○鶴岡
委員
この中の鉱山保安法ですが、聞くところによると、鉱山保安法は非常にルーズなところがある。このようにも聞いているのですけれ
ども
、通産省の方がおられないので、次に進みます。 調査測定の件ですが、第十二条の「農用地の
土壌
の汚染に関する調査測定等」でありますが、この中で「特定有害物質による汚染の状況に関し、必要に応じて調査測定を実施し、その結果を公表するものとする。」こういうようにありますが、これもたいへん恐縮ですけれ
ども
、前の原案要綱では一番最初は常時監視し、汚染の進行状況等を調査測定するものとする。こうなっておったそうです。次には、これが定期的に変更になった。最後にこの原案が出てきたのですけれ
ども
、この原案によると、「必要に応じて」と、このようになっておるわけです。われわれから
考え
れば、公害はいつ起こるかわからない。一般
国民
の
国民
感情として常時やるのが当然であるし、またそうしてもらって公表してもらえば安心できる、こうなるわけですけれ
ども
、言うならば
国民
感情に背を向けてそういうようになったというのはどういう理由なのか、この点をお
伺い
します。
中野和仁
259
○
中野政府委員
法文上、いろいろ変転があったわけでございますけれ
ども
、
土壌
につきましては、すでに
農林省
としまして大体農用地の八割ぐらいはもう調査をしてしまっております。これは一般の川の水等と違いまして、
土壌
を常時測定をしておく必要はございません。ただこういう問題が起きておりますので、念のためにわれわれといたしましては来年度予算を要求いたしまして、もう一ぺん
日本
全国のそういう
土壌
につきまして総点検をいたしたいと
考え
ております。それからあとは、それによりまして問題となる汚染される可能性のあるあるいは汚染のおそれのあるようなところを精密な調査をする。その上で地域指定をやり、対策計画を立てていくわけでございますが、そういう地域につきましては、その後の蓄積状況等の動態調査をやるということになりますので、そういう段階になりますと、当然定期的に調査をするということになるわけでございます。そういう三つのことをいろいろ含めて
考え
たものですから、法文としてはこういうふうに書いたわけでございますが、
内容
はいま申し上げたことをやるつもりでございます。
鶴岡洋
260
○鶴岡
委員
農林省
の各地方県の
農業
試験場
には、地力
保全
調査職員というのが約三百名全国におる、こういう話を聞いておりますけれ
ども
、この調査、測定、研究強化等を
考え
あわせて、公害問題は最近の問題でありますけれ
ども
、非常に重要な問題でもあるし、この点について
農林大臣
としては増員する
考え
があるのかどうか、その点をお
伺い
します。
中野和仁
261
○
中野政府委員
ただいまお話のありましたように、現在三百九名が県の
農業
試験場
に調査部等を置きまして
土壌
の調査をしております。非常にベテランがおりますので、人員的には当面それでだいじょうぶだというふうにわれわれ
考え
ておりまして、むしろそういう方々のやる機具、機械と申しましょうか、そういうものの整備が先決ではないかと
考え
ておりますが、いずれ先々増員の必要があれば当然増員の努力をしなければならないと思っております。 〔三ツ林
委員長
代理退席、丹羽(兵)
委員長
代 理着席〕
鶴岡洋
262
○鶴岡
委員
人間の食
生活
について、
生産
物である食品等とこの
土壌
の問題というのは同サイクルにあって、非常に重要な問題だと思いますので、今後の体制として
厚生省
等、
関連
機関
との協力体制の確立が私は必要だと思うのです。今後の
方向
はどういうふうにするのか、また決意をお願いしたいと思います。
中野和仁
263
○
中野政府委員
その点はまさに御指摘のとおりでございまして、この法文の作成中もいろいろ
厚生省
とも御相談申し上げましたし、また
審議
会をつくりますとそれにお入りもいただきたいと思っておりますので、今後とも人の健康をそこなうということの最終判断は
厚生省
でございますので、われわれは
厚生省
と緊密な連絡をとりたいと思っております。
鶴岡洋
264
○鶴岡
委員
ここでひとつ、十一月二十七日の読売新聞ですが、この新聞には
食糧
事務所の合理化というのが出ております。この中には「この合理化を進めると、定年退職者を含めても、なお二、三千人の職員が余るため、その配置転換を必要とする。これに対しては、労組の反対が予想されるが、当面人手が足りない
植物
防疫所とか、今後新設される公害監視員(
土壌
汚染、
水質
汚濁
、
農薬
など取り締まり)に配置できるよう研修
制度
を整備する
方針
である。」こういう
記事
が新聞に出ておるわけです。この新聞からすると、これは公害問題を機会にしてその監視体制強化のため、これを理由にして食管
制度
の改廃またはなしくずしに持っていくのではないか、このようにも勘ぐれないわけではないのですが、この点についてお
伺い
したいと思います。
内村良英
265
○内村説明員 お答え申し上げます。 私もその新聞報道は見ておりますが、現在のところ
食糧
庁といたしまして
食糧
庁の職員を公害
関係
のほうに回すということは全く
考え
ておりません。御承知のとおり現在
食糧
庁には二万六千二百人の職員がおりまして、
食糧
管理に関する事務に従事しているわけでございます。ところが最近の公務員のベースアップに
関連
いたしまして、
政府
といたしまして将来人を減らしていくという問題がございます。現在の
食糧
庁の機構は
食糧
庁、各県の
食糧
事務所、各支所、出張所、こういう
構成
になっております。そこで人間がだんだん減ってまいりますと、場所によっては出張所に一人しか職員がおらぬところも出てくるというようなこともございまして、
食糧
庁といたしましては、現行の
食糧
管理法で
食糧
庁に与えられた使命を忠実に実施するため少し末端の機構を整理して、場合によっては二段階制にしていこうということを
考え
ております。このようなことが可能となりますことは、最近のように道路が整備されてまいりますと、支所に末端の人々を集めまして仕事をやるということもできるのではないかということで現在そういうことを研究しておりますが、
食糧
庁の人間をほかのほうに移すということはいまのところ
考え
ておりません。
鶴岡洋
266
○鶴岡
委員
それじゃ最後に一点。 十五条の第一項の最後のほうです。これは「立入調査等」の件ですが、「その必要の限度において、その職員に、農用地に立ち入り、
土壌
若しくは
農作物
等につき調査測定させ、」云々とありますが、そのあと「必要な最少量に限り
土壌
若しくは
農作物
等を無償で集取させることができる。」このようになっております。 〔丹羽(兵)
委員長
代理退席、三ツ林
委員長
代理着席〕 この「無償で集取させる」ということは、
法律
上の理屈の上ではどうなるのか、この点をお
伺い
します。
中野和仁
267
○
中野政府委員
もしこの規定がございませんと、有償なのか無償なのかよくわからない。あとでトラブルが起こってもいけませんし、実際問題といたしましては、
土壌
の一握りあるいは稲の一株というお話でございますので、
法律
的にその辺を無償ということにいたしましてトラブルを避けるという
意味
でございます。
鶴岡洋
268
○鶴岡
委員
まあこれはトラック一ぱいの
土壌
とか一俵、二俵の米とかいうようなことではないから、別にかまわないといえばかまわないかもしれませんけれ
ども
、正確に言えばやはり憲法二十九条に財産権の問題がありますが、これに抵触してくるのではないか、このように思うわけです。 さらにそれにつけ加えて、いま
審議
中の
農薬取締法
の十三条には、「
農林大臣
は、製造
業者
、
輸入
業者
、販売
業者
又は防除
業者
に対し、」「
農薬
又はその原料を集取させるときは、時価によってその対価を支払わなければならない。」こうあるわけです。これに対照しても、この
取締法
のほうは販売
業者
に対しても時価を支払うようになっているにもかかわらず、本法案では無償ということになっているわけです。これはちょっと納得のいかないところなんです。ここで
姿勢
として、先ほど言ったように、トラック一ぱいの
土壌
でもないし、一俵、二俵の米でもないんだから、またそこに調査してやるんだからというような、いわゆる軽率な
考え
がないでもない、このようにも
考え
られるわけです。 つけ加えて申し上げますけれ
ども
、さらに十九条の中には、「調査測定又は集取を拒み、妨げ、又は忌避した者は、三万円以下の罰金」このようにもなっているわけです。この辺がどうもよくわからないのですが、見解はどうなのか、最後にお聞きします。
中野和仁
269
○
中野政府委員
この
土壌
の汚染防止での立ち入り調査、これに似たような規定は、こういうことをやります場合に大体こういう規定になっているのが普通でございます。それでいまおっしゃいましたように、何もわれわれといたしまして罰則までかけて強制的にというのをねらっているのではなくて、やはり一つの
制度
を動かしていくためには、最後の担保としてここまで要るということで、大体ほかの
法律
におきましてもこういう例文ということになっておりまして、それ以上特にこれだけ、この
土壌
汚染防止法だけにこういう規定があるということではございません。
鶴岡洋
270
○鶴岡
委員
それでは
農薬取締法
の十三条の解釈はどうですか。要するに時価によってその対価を支払うということです。
中野和仁
271
○
中野政府委員
農薬
の場合は、これは製品でございますので、こういうふうに書いてあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、
土壌
の場合は一握りの土、一株の稲ということでございますので、一般の
法律
の例のように無償ということにいたしたわけでございます。
農薬
の場合のほうがむしろこれは特別的な規定だというふうに私は
考え
ます。
鶴岡洋
272
○鶴岡
委員
わかりました。 以上で
質問
を終わります。
三ツ林弥太郎
273
○三ツ林
委員長
代理
小宮
武喜
君。
小宮武喜
274
○
小宮
委員
私も農用地の
土壌
汚染防止法について
質問
をしてみたいと思います。 今回
公害対策基本法
に
土壌
汚染を典型公害の一つとして新たに加えて、農用地の
土壌
汚染防止法が立法化されることについては歓迎をするものでありますが、この
法律案
を検討してまいりますと、率直に言ってわれわれの期待に十分こたえておらず、半ば失望したというのが私の実感であります。 この
法律案
の
内容
を読んでみますと、まず都道府県知事が汚染対策地域の指定ができるようにしたことと、二つ目はその対象地域を指定したら、都道府県知事はその汚染対策計画を定めなければならないこと、三つ目には特別地区内においては適当でない
農作物
等の作付をしないように勧告することができるようにしたこと。もう一つは、都道府県知事がこの排出、排水
基準
の設定を行なうために必要な措置をとることができるようにしたこと。五つ目には、
農林大臣
が特に必要あるときは
土壌
の汚染防止に関して必要な措置を要請することができること等になっております。 〔三ツ林
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 以上の大体五点に要約されるのではないかと
考え
ます。これではたしてこの
法律
にうたわれておる
目的
の実現をはかることは可能かどうか。つまり
目的
の達成をはかるためには、その実効をあげることができるかどうかということについては疑問を
感じ
ておるわけでございます。したがいまして、ただいまからいろいろその疑問点について
質問
をしてみたいと思います。 まず
質問
の第一点は、この
法律
によって今後カドミウムによるイタイイタイ病とかあるいは米のカドミウム汚染というような問題が解決されると
大臣
は
考え
ておられるのか。これは
大臣
に
質問
したいと思います。
倉石忠雄
275
○
倉石国務大臣
いままでは汚染米に関する
基準
が必ずしも明らかでございませんでした。
農業
者が
土壌
の汚染の
程度
を知らないで稲の作付を行なってしまったことなどから汚染米が出現したものであろうと存じますが、このたびこの
法律
では
土壌
汚染対策地域のうち、人の健康をそこなうおそれがある
農作物
が
生産
されると認められる農用地につきましては特別地区として指定して稲の作付規制を行なうことになっており、またいまお話がありましたように、対策地域については都道府県知事が
土壌
汚染対策計画を定めて、これによって対策事業を実施することになりますので、この
法律
の制定によりまして汚染米は解消できると
考え
ております。
小宮武喜
276
○
小宮
委員
次の
質問
は、この法案の要綱段階では
農林省
原案の中には
土壌
の場合、水、大気等に含まれる排出物が人の健康に害を及ぼさない
程度
の微量であっても、蓄積する特質があるので無過失損害賠償の規定を設けることにしておったようでございますが、ただいま提案されております
法律案
ではそれが削除されておりますけれ
ども
、その理由についてお
伺い
します。これも
農林大臣
に
質問
します。
倉石忠雄
277
○
倉石国務大臣
これは先ほどお答えいたしましたとおりでありまして、私
ども
は人の権利に関する重大な問題、民法上の大きな問題でございますので、個々別々な
法律
にどのようにしてこの
考え方
を入れるかというようなことにつきましてはもう少し検討する必要があるのではないか、
政府
では公害対策本部を設けて、そういうことについて各省からデータを出させましてそこで統一ある検討をいたした結果、将来についてこれをやってまいりたいということでありますので、そういうことで一般論として
考え
られるべきことであるからというのでこの
法律
には特に書かなかった、こういう経過であることは先ほど申し上げましたとおりであります。しかし私
ども
はこのことについてないがしろにしておるわけではありませんで、
政府
は検討を続けてまいるということであります。
小宮武喜
278
○
小宮
委員
それから第二条の、先ほどからも
質問
が出ておりましたけれ
ども
、この法案の対象となる有害物質として、カドミウム、銅、亜鉛、鉛等の重金属が予定されておるようでありますが、当面カドミウムだけを指定することについての理由、これは先ほ
ども
御
答弁
があって、人体に特に影響を及ぼすということでカドミウムだけを当面まず取り上げたということのようでございますが、このカドミウムだけを指定する理由と、あわせてカドミウム以外の重金属類についても今後どのような措置をとるのか、その方法、見通し等についてひとつお聞きしたいと思います。
倉石忠雄
279
○
倉石国務大臣
これも先ほど申し上げましたように、とりあえず私
ども
はいま人体に害のある重金属性カドミウムについて所要の措置を講じたわけでありますが、しばしばお答えいたしておるように、さらに他のものについても研究を続けてまいって政令に入れる、こういうことであります。
小宮武喜
280
○
小宮
委員
あとは
大臣
でなくてもけっこうですから。 第三条、第四条の汚染対策地域の指定でございますが、汚染対策地域に指定する場合、政令で定める要件に該当する一定の地域としてございます。その要件の具体的
内容
とはいかなるものであるか。これは先ほど御
質問
が出ておったようですが……。また
公害対策基本法
で定められている
土壌
に関する
環境基準
との
関係
はどうなるのか、この点
質問
いたします。
中野和仁
281
○
中野政府委員
先ほど申し上げたとおりでございますが、カドミウムにつきましては当面まだ
土壌
と作物との
関係
から
土壌
を通じて
基準
が設定できませんので、カドミウム一PPM以上含む玄米が
生産
される
土壌
、そういう
土壌
に近くなるおそれのある地域、これを政令で定める要件に当面はしたいと
考え
ております。 ただ、御
質問
のように、われわれの調査研究を早急に進めまして、
環境基準
が
土壌
についてできるという段階になりました際には、その
環境基準
とそれから政令の定める要件
——
その
環境基準
がどういうふうに定められるか
考え
まして、その段階で判断したいと
考え
ております。
小宮武喜
282
○
小宮
委員
この指定地域というのは、先ほどから
質問
に出ておりましたが、現在の要観察地域に指定されておる地域をそのままそっくり指定するのですか、また、八条、九条、十条にいわれておる特別地区とはどんな地区をさすのか、特別地区と一般地区の区別の
基準
についてはどういうものがあるのか、ひとつお
伺い
したいと思います。
中野和仁
283
○
中野政府委員
要観察地域につきましては、なおわれわれのほうで現在調査を進めております。したがいまして、それがそっくりその地域そのままになるのかあるいは地域が広がるのかもう少し狭くなるかという問題はございますけれ
ども
、当面そういうものが対象になると思います。と同時に、これから調査が進みますと同時に地域がふえてくるというふうに
考え
ております。 それから八条、九条の特別地区というのは、人の健康をそこなうおそれがあるということで、現在
厚生省
の
食品衛生法
に基づきまして一PPM以上のカドミウムを含む米は人の健康をそこなう、これはつくっても販売してもいけないということになっておりますので、米が一PPM以上のカドミウムを含んでおるところの圃場、これは特別地区として指定をするということになるわけでございます。したがって指定地域のうちでカドミウムが現に一PPM以上米に入っておる場合だけ特別に指定をする、こういうことになろうと思います。
小宮武喜
284
○
小宮
委員
その点長崎県にも一つありますが、玄米が一PPM以上のカドミウムを含む汚染地域は特別地区に指定されるというふうに理解していいわけですか。結局現在の要観察地域の米はみな一PPM以上のカドミウム汚染をしておるわけです。そこで私が言いますのは、そういった一PPM以上の米の産出される
土壌
のあるところは特別地区だということになれば、いまの要観察地域はほとんど特別地区になりますかということです。
中野和仁
285
○
中野政府委員
その点は現在の
厚生省
の要観察地域という中で、特に米が一PPM以上のカドミウムを含んでいるたんぼを線引きをいたしまして別に指定をしております。したがいまして、その要観察地域そのものは全部米が一PPM以上のカドミウムを含んでおるということではございません。
小宮武喜
286
○
小宮
委員
現実では、しかし要観察地域の米はほとんど一PPM以上のカドミウム米なんですね。そうでしょう。それはいいです。 それではそういった
意味
では、最近要観察地域以外でもいろいろカドミウムの汚染問題が出ておるわけですが、そういったものもこの
法律
の中で、たとえば一PPM以上の米のとれるところでなくて、それ以下のところでもそういった汚染地域として指定することもあり得る。米の場合はすべてただ一PPM以上の場合とか要観察地帯であり、そういったところの中で特に問題なのは、特別地域に指定されたというふうに理解しておったわけですが、それらの一PPM以上の米のとれるところは特別地域ということになれば、そのほかに今度指定される指定地域、一般の指定地域というのは玄米一PPMじゃなくて、それ以下の米の産出されるところも指定される可能性があるということなんですか。
中野和仁
287
○
中野政府委員
先ほど申し上げましたように、汚染対策をやります場合に、現に米に一PPM以上出ているところだけを指定いたしますと、いわば、これは変な言い方でございますが、そこに排出しております工場、事業場の排出規制というのはゼロにしなければいけないはずでございます。しかしそうはなかなかまいりません。したがって現に汚染されておるところは早急に復旧工事をやると同時に、それ以上蓄積が進まないというために特別な地域をもう少し広げて、この
法律
にもございますように、現に汚染されているところ、それらのおそれが著しいところ、これを両方含めまして指定地域として指定をしていくのでございます。 それからなお先ほどの御
質問
にもございました点でございますが、繰り返して御説明しておきますと、現在の
厚生省
の要観察地域は、米が〇・四PPM出るということをスタートにいたしまして、それに基づいて調査をいたします。それをもとにしまして観察地域というものをきめます。その一部といたしまして、現に米が一PPMのカドミウムを含んでいた場所だけを特別に線引きをいたしまして、ここから出る米は
食糧
庁は買わないということになっておるわけでございます。
小宮武喜
288
○
小宮
委員
それではこれも先ほどから
質問
が出ておりましたが、現在農振法で地域指定が行なわれていますが、この農振地域で指定された農用地については、
制度
上やはり公害除去を徹底すべきじゃないか、こういうふうな地域からは公害を全然なくする、除去するということを
考え
なければならないのではないかと
考え
ますが、その点についてのお
考え
があれば承りたいと思います。
中野和仁
289
○
中野政府委員
農振地域につきましては、これは村全体の計画でございます。その村の中にこういう地域がありますれば、村の計画としては当然この計画で定められることを織り込んで計画を立てるということになるかと思います。もうすでにその村で農振地域の計画を立てておりますれば、今度この対策計画を立てるということになりますと、それを含めてまた計画を変更することの必要も生じてこようかと思います。
小宮武喜
290
○
小宮
委員
またこの農振法による指定地域は、都市計画法による市街化区域や市街化の調整区域の線引きが現在も行なわれているわけですが、この
法律
による対策地域は、これらの地域と
制度
的にはいかなる措置を持って対処するのかということをお聞きしたいと思います。
中野和仁
291
○
中野政府委員
制度
的には直接
関係
はないわけでございまして、都市計画法によります市街化区域、調整地域は都市計画法によりまして、十年の間に市街化を
促進
する地域を市街化区域としてきめるわけでございます。それ以外のところは市街化を
抑制
するということで調整地域にいたします。今度もしたまたまそういう地域に特別対策をやらなければならぬものが出てまいりますと、それは調整地域に入りますか市街化区域の中に入りますか、それは今度のカドミウムその他の汚染の出てくる場所によって違ってくるわけでございます。 それから農振地域につきましては、先ほど御
答弁
申し上げたとおりでございます。
小宮武喜
292
○
小宮
委員
この
法律
による対策地域の指定にあたっては
農林省
の当初の要綱案では、
農林大臣
は
土壌
中の含有量の限度を越える地域及び限度を越えるおそれがある地域を指定地域として指定できることとしていたわけですが、本法にうたわれておる対策地域の指定に関する
条文
との相違点はどういうふうなことになるのか、どこが相違しておるのか、その点をひとつ具体的にお聞きしたいと思います。
中野和仁
293
○
中野政府委員
その点は第三条に書いてございますが、
考え方
は当初と変わっておりません。ここにもありますように、その地域内にある農用地の
土壌
に含まれる特定有害物質の種類及び量から見てというふうに書いてございます。ただ問題になりましたのは、カドミウムについて先ほ
ども
御説明いたしましたように、
土壌
から、たとえば
土壌
に一〇PPM以上入っておれば、それは人体をそこなう
程度
のものであるという断定が直ちにできません。そこでこの法文といたしましては、そのあとに「当該農用地に生育する
農作物
等に含まれる特定有害物質の種類及び量」というのを加えたわけでございまして、
考え方
としては当初から変わっておりません。
小宮武喜
294
○
小宮
委員
特別地域に指定された区域では、この農用地において適当でない
農作物
等を作付しないように勧告することができることになっています。それでその適当でない
農作物
の範囲を定めるということになっておりますが、この適当でない
農作物
の範囲とは何をさすのか。米はもちろんのこと、
食糧
に供する作物、これは一切だめだと私は思うのですが、この適当でない
農作物
の範囲とは何をさすのか、その点
質問
します。
中野和仁
295
○
中野政府委員
お説のように、米が汚染されておりますれば、そこへ
小麦
を植えましてもあるいはその他のものを植えましても汚染されるであろうとは思います。しかしこういう特別地区を指定しますのは、当面
厚生省
のほうの
食品衛生法
では、全部食品の
基準
をきめておるわけです。
基準
といいますか制限の規格をきめております。ただいま定めておりますのは米だけでございます。当面は、ここにございます農畜産物とありますのは、米をわれわれは
考え
ておりますが、
食品衛生法
で食品の制限の規格が順次きめられてまいりますれば、それに応じてそういう作物は指定をすべきだと
考え
ております。
小宮武喜
296
○
小宮
委員
この勧告をした場合、従わなかった場合はどうなるのか。勧告は結局こういうような作物はつくるなということをただ単に勧告するだけのものか。さらに勧告をする場合は、これこれはつくってはいけませんよ、しかしこういうようなものをつくりなさいよという作目転換の指導もやるのか、ただ単につくってはいけませんという勧告だけなのか、その点ひとつお
伺い
いたします。
中野和仁
297
○
中野政府委員
第五条にございますように、そういう地域につきましては汚染の
程度
等を勘案しまして利用上の区分をやりまして、そういう農用地はどう利用したらいいかという基本
方針
をきめます。したがって、そこは単に、おまえ、これをつくってはいけないというだけではなくて、指導といたしましては、そのかわりにどういうものをつくれということもあわせていろいろ指導はすべきだと思います。
小宮武喜
298
○
小宮
委員
それではこの勧告に従って作目転換をする場合に、その転換
資金
は国が
全額
融資するわけでしょうか。また作目転換によって収入の道が開けるまでは農家の
生活
保障はどうするのか。ほかに転作するにしても転作
資金
が要るわけです。転作した品物が実際に現金収入となってくるまでには何年かかるわけですね。そうした場合の
生活
保障はどうするのかということなんです。これは米の
生産
調整とも密接な
関係
があるわけですが、いろいろ農家を回ってみますと、そのことが切実に訴えられているわけです。転換をしなさいという、転換
資金
はどうするのか、転換した場合に、それだけの品物が今後金になって
生活
に返ってくるまではだれが
生活
を見てくれるのかというような、そういったいろいろな話を農家の方からも聞かされておりますし、また訴えられておるわけです。したがって、そういった場合は、私は、国が
——
地方自治体でもかまいませんけれ
ども
、国が何らかの形の
生活
保障を
考え
てやるべきだというように
考え
ます。特にこの問題は、そういった今後の
——
新聞紙上によれば三百万トンの
生産
調整をやろうとか転作の問題、いろいろありますし、いま農家の方々が非常に関心を持っておる問題でありますから、明確にひとつ御
答弁
をお願いいたします。
中野和仁
299
○
中野政府委員
対策計画を立てて事業をやりますと、普通の場合は、もとの、米でありますればカドミウムを含まないようなものができるというところまで戻すわけでございます。客土なり何なりやりまして。ただ、そういうことができない、また、今後の
農業
の事情を見ましても、そこまで、米に戻す必要がないということになりますと、転作の問題が起きてまいります。しかしながら、その工事ができ上がってしまうまでの間は、やはり農家の
生活
の問題があろうかと思います。その場合に、原因者がおりますれば、それは暫定的にも損失を与えておるわけでございますから、その民事上の原因者と農家との間の話し合いで、損失補償の問題としてその問題は解決さるべきだと思います。ただ、原因者がいない場合どうするか。その点につきましては、いろいろな、地域によって実情が違うと思います。そこで、地域指定がありましたあとそういう問題が起こりますれば、融資の措置をどうするかということは、具体的にも
農林省
としても
考え
ねばならぬことだと
考え
ております。
小宮武喜
300
○
小宮
委員
そのことに特に
関係
して、第五条、第六条、農用地の汚染対策についてでございますが、この
法律
にうたわれておる汚染対策としては、結局、水田の転換、沈でん池の
設置
、
土壌
改良、土層改良、地目の変換、こういったものがありますね。そうした場合に、「地目の変換その他の事業」とは、先ほどとも
関連
してくるわけですが、具体的にどのようなものを
考え
ておられるのかということをお示し願いたいと同時に、この汚染対策事業を行なう場合、その
費用
については、この公害防止事業の
費用
負担
法との
関係
は具体的にどうなるのか。これが適用されるはずですから、汚染対策事業を行なう場合のこの
費用
の
負担
については具体的にどうなるのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
岩本道夫
301
○岩本
政府
委員
第五条の第二項の二号の口の「農用地の
土壌
の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業」とありますのは、客土ははっきりしておりますけれ
ども
、客土の前提として、汚染した土を排除するという排除の事業も頭に置いております。それから、客土はしないで、
土壌
改良剤を投入したり、あるいは土を上層と下層をまぜ合わせて汚染の度合いを低くするといったようなこと、深耕なり天地返しなりをやることも頭に置いております。 それから、次のハの「汚染農用地の利用の合理化を図るための地目変換その他の事業」、この「その他の事業」は、先ほど
答弁
申し上げましたが、汚染農地にかえて他の農地を造成する事業等を頭に置いております。 法文の解釈は以上でございますが、これらの対策事業をやります場合の
費用
の
負担
をどうするかというお尋ねでございますが、先ほ
ども
御
答弁
申し上げましたように、原因者がはっきりしております場合には、
費用
負担
法の原則にのっとりまして、その汚染の原因の寄与度等に応じて事
業者
に
負担
をかけていくということに相なります。この原則は、汚染の度合い、汚染の原因の度合いに応じて
全額
を事
業者
に持たせるのが原則でありますが、ただ、汚染の
程度
とか、あるいは汚染の原因となる物質の排出が非常に長期にわたる場合だとか企
業者
に全部を持たせるのが合理的でない場合には、妥当な額を減額することができるということになっております。ただ、その減額の
程度
を決定するのが非常に困難であります場合には、概定という規定がございまして、長期にわたってこの有害物質が積もった
土壌
の改良の場合には、四分の三から二分の一の範囲で企
業者
に
負担
させるということになっております。これが原因者がはっきりしております場合の
費用
負担
法の
費用
負担
の
考え方
の原則でございます。
小宮武喜
302
○
小宮
委員
抽象的な表現ではなくて、もう少し具体的に
答弁
をいただきたかったわけですが、これはその企業に
責任
が明らかである場合は、この企業が二五%、国が五〇%、農民が二五%というような
考え方
を持っておるのじゃないですか。間違いですか。
岩本道夫
303
○岩本
政府
委員
との問題も先ほどほかの
委員
の御
質問
に御
答弁
したところでございますが、原因者がはっきりしております場合には、ただいま御
答弁
しました
費用
負担
法の原則によって
費用
を
負担
させますが、その
残額
につきましては、
費用
負担
法には何も規定がございません。したがいまして、これはその個別の事業の実施の際に判断をして決定することになろうと思いますが、事業の特殊性、公害を受けておるという特殊性を判断して、農民にはできるだけ
負担
をかけないという
方向
で判断をしてまいりたいと
考え
ております。
小宮武喜
304
○
小宮
委員
できるだけ農民に
負担
をかけないということでなくて、もう農民には
負担
をかけさせないということで、やはり企業に
責任
がある場合は、企業と国なら国で
負担
をする、それで農民に対しては絶対に
負担
をかけません、できるだけとかなんとか言わぬで、もう少しはっきり言ってください。そうすると私も満足しますから……。
岩本道夫
305
○岩本
政府
委員
個々のケースにあたって決定をしていく、決定されるべき性格のものだということをお答え申し上げましたのは、客土等の事業をやりますと、原状回復の効果を上回って、いわば
増産
効果と申しますか、そういうものが出てくる場合も
考え
られますので、原状回復に当たる分についてはお説のようなことになろうと思いますが、それ以上のことも
考え
られますので、ただいま申したようなお答えをしたわけでございます。
小宮武喜
306
○
小宮
委員
いずれにしても、そういった
土壌
が汚染されたということは農家の
責任
じゃないわけですから、その
土壌
改良をやって見返りがよけいにくる場合には、そのことも考慮して幾らか出してもらおうというような
考え方
かもしれませんけれ
ども
、しかし、やはり
土壌
汚染は直接は農家の
責任
じゃないわけですから、そういった
意味
で私が
意見
として申し上げれば、やはりこれは、そういうような企業の
責任
が明らかである場合は、少なくとも企業と国が
負担
をして、農家の方には
負担
をさせないという
考え方
を明らかに、はっきりしてもらいたいと思います。 それからもしその場合、企業に
責任
が明らかである場合は別としても、やはり不明確な場合がありますね。そういうような場合に、企業に
責任
がはっきりしている場合はいいですけれ
ども
、不明確な場合にはどうなるかということなんです。そういった場合は、そういった
考え方
に立てば、少なくとも企業に
責任
がないということで、はっきりせぬということであれば、そういった場合といえ
ども
農民に対して
費用
の
負担
をかけさせてはいかぬ、したがって、その場合は国なり地方公共
団体
あたりでやはりその
費用
負担
をすべきじゃないのかということで、企業の
責任
が明らかになった場合は別として、そういった不明確な場合に対する
考え方
をひとつお
伺い
します。
岩本道夫
307
○岩本
政府
委員
原因者が不明確な場合におきましては、従来の土地改良事業のもろもろの
制度
に準じて対処することになると存じます。ただその場合にも、農民の
負担
につきましては、その公害であるという原因を
考え
、農民の立場を配慮しまして、この事業が円滑に行なわれるように対策を十分
考え
てまいりたいと思っております。
小宮武喜
308
○
小宮
委員
これは地方自治体が
負担
する分についても、現在の地方財政はかなり窮乏しておるわけですから、できるだけ私は、そういうような
責任
の不明確な場合といえ
ども
やはり国が
全額
負担
するというくらいの気持ちで取り組んでもらいたいと思います。 それから汚染防止対策を実施する場合、公害防止事業団との業務の
関係
はどうなりますか。
中野和仁
309
○
中野政府委員
公害防止事業団の業務範囲からいたしますと、おそらく
農業関係
のことはやらないように私記憶しておりますので、また先ほどから農地局長のほうが申し上げておりますように、これは県営事業でやりたいということで
考え
ておりますので、両法は
関係
がないのではないかというふうに思っております。
小宮武喜
310
○
小宮
委員
次は、第七条の特別の排水
基準
等のための都道府県知事の措置についてでございますが、この点については、
農林省
の当初の要綱案では、「
農林大臣
は、
水質
汚濁
防止法若しくは大気汚染防止法の規定により定められた
基準
をもってしては、農用地の
土壌
の汚染を防止することが困難である場合に必要があると認めるときは排水
基準
又は排気
基準
を定めることができる」となっておりましたが、この要綱案による
基準
の設定について、財界からもいろんな苦情が出たように聞いておるわけですけれ
ども
、そういうような
関係
かどうかはわかりませんが、本法にうたわれておるような
条文
に変わっているわけです。この
条文
と当初の要綱案との
関係
でどういうように変わったのか、その点ひとつわかりやすく説明願いたいと思います。
中野和仁
311
○
中野政府委員
当初われわれ
土壌
汚染防止法を
考え
ろということを命ぜられました際は、まだ大気汚染防止法なり
水質
汚濁
防止法がどういうふうに変わってくるかわかりませんでした。そこで
土壌
汚染の側からものを
考え
ればこういう筋書きになるという気持ちで当初の案をわれわれつくったわけでございます。しかし、その後大気汚染なり
水質
汚濁
の
法律
の体系が明確になりますと、そちらのほうで知事が一般の
基準
よりきびしい
基準
がきめられるということになったわけでございます。そうなりますと、そういう
基準
できびしい
基準
を定める場合に、
土壌
のことも普通は当然
考え
た上でつくるわけでございますが、場合によってはそういうことも
考え
ない場合もあり得るわけであります。しかし、先ほどから申し上げております地域指定をやりまして、対策事業を、どのようなところにつきましてはそういう地域があって、どういう計画で対策上やれるかということも勘案した上で、なおもう少しきびしい
基準
が必要であれば、知事はそのことを頭に入れて必要な排出
基準
を定めなければならぬ、こういう気持ちで第七条を書きましたものですから、当初のものの
考え方
とそれほど
——
法文はいろいろ書き方は変わっておりますけれ
ども
、われわれとしまして実質的には同様のことはやれるというふうに
考え
ておるわけでございます。
小宮武喜
312
○
小宮
委員
次は第十一条の農用地の
土壌
汚染防止に関する措置の要請でありますが、その中で「汚染されることを防止するため特に必要があると認めるとき」とあるのはいかなることをさしておるのか。また「必要な措置をとるべきことを要請する」としておりますが、「必要な措置」とは何をさすのか、具体的な事例をあげて説明を願いたいと思います。さらに、このような措置規定を設けた趣旨及び必要性についてもひとつ御
答弁
願いたいと思います。
中野和仁
313
○
中野政府委員
先ほど鶴岡先生の御
質問
にお答えしたとおりでございますが、これは一般的には、先ほど申し上げましたように、水とそれから大気の
法律
で規制ができます。しかし
土壌
のことを
考え
て知事が特別の排出
基準
を定めるというのもこの
法律
で書いてございます。しかし、それがなかなかできない場合というふうなわけではございませんけれ
ども
、その間
関係
各省と連絡調整をよくするために、ここにありますように
農林大臣
が
関係
行政
機関
、通産
大臣
なり厚生
大臣
なり企画庁長官に、もっときびしい
基準
をつくってくれないかという要請をするという
意味
でございます。そういう要請をすると同時に具体的に
基準
が定められますと、工場、事業場に対しまして都道府県知事はいろいろな改善命令なりその他の措置を講ずることが両方の
法律
できまっております。そういうこともひとつやってもらいたいということを
農林大臣
が要請をするという趣旨でございます。
小宮武喜
314
○
小宮
委員
次は十二条の農用地の
土壌
の汚染に関する調査測定についてでありますが、都道府県のこの実施体制の現況と今後の
方向
がどうなっていくか。それと
土壌
の調査測定のみに限らず当然この
生産
物である食品等についても調査を行なうべきだと思いますので、
関係
機関
の協力体制も必要ではなかろうかというように
考え
ますが、この点についてだいじょうぶなのかどうか、ひとつお
伺い
します。
中野和仁
315
○
中野政府委員
各県に、県の
農業
試験場
でございますが、
土壌
のための調査部を
設置
しておりまして、全国で三百九名の職員を専任で置いております。したがいまして、人員的にはわれわれ当面これでだいじょうぶだと
考え
ております。予算といたしましては、そういう職員が働く、また
試験研究
をやるための器具器材の充実をはからなければならないということを
考え
ておりまして、今後ともこの事業の進展に伴いまして充実をはかっていきたいと
考え
ております。それからまた各省とも、この
土壌
の問題がいろいろ食品の問題その他に影響がございますので、緊密な連絡をとるべまだと
考え
ております。
小宮武喜
316
○
小宮
委員
十三条、十四条の
土壌
汚染対策
審議
会の
設置
についてお
伺い
しますが、本法に規定する
審議
会は
公害対策基本法
において設立している公害対策
審議
会との
関係
はどうなるのかということです。この汚染対策
審議
会の
設置
は新設の必要性があるのかどうかという疑問を持つわけです。それよりもむしろ公害対策
審議
会の中にいろいろな分科会だとか部会などを設けても処理できるのじゃなかろうかというように
考え
ます。特に
審議
会の
設置
とか整理統合に関しては昭和四十年にも閣議で決定されて、四十一年には
審議
会等の整理に関する
法律
が成立して、整理統合が行なわれている経緯から見てもむしろ逆行するのではなかろうかというふうに
考え
ますが、ひとつ見解をお
伺い
したいと思います。
中野和仁
317
○
中野政府委員
一般論と申しましょうか、原則的には御指摘のとおりだと思います。行政の簡素化という
意味
で
審議
会等も不必要なものは整理をしておるという段階でございますが、これを特にここに入れましたのは、実は
土壌
汚染の問題を
土壌
の面から公害対策として取り上げましたのは、これはもちろん
日本
では初めてでございますし、諸
外国
にも例を見ません。先ほどから御
議論
がありますように、地域指定の
基準
を定めるにいたしましても、
土壌
を通じての
専門家
がかなりいるわけでございます。ところが中央の公害対策の
審議
会は
委員
二十名で組織されているだけでございまして、こういう
土壌
の
専門家
がなかなか入れにくいという特殊な事情がございまして、行政簡素化の中にありまして、特に
関係
方面の御了解を得ましてこういう
審議
会を特別に置いていただくということにしたわけでございます。
小宮武喜
318
○
小宮
委員
十五条、十九条の立ち入り調査の問題ですね。これは先ほ
ども
質問
が出ましたけれ
ども
、
農薬取締法
で明らかに立ち入り
検査
の問題は触れておるわけですが、そういったことについて先ほどの
質問
では私は不均衡が生じないかということなんです。片一方では有償にしておきながら、片一方では無償だ、そういう不均衡な問題がいろいろ農家の方の協力を得る場合に、やはり問題になってきはせぬかということをひとつ
考え
るわけですが、その点は御心配ないですか。
中野和仁
319
○
中野政府委員
先ほ
ども
御説明いたしましたように、この場合はここにありますように、
農作物
なり
土壌
なりほんの少量最小限度いただくといった場合に、具体的な調査に県なりあるいは国の職員が行きます場合に、トラブルを起こしてはならないので、
法律
上の最小限の担保といたしましてこういうふうに規定したわけでございます。実際問題といたしましては農家に手ぬぐいを持っていくとかそういうことは事実上やっているわけでございます。その辺はわれわれ心配ないというふうに
考え
ております。
小宮武喜
320
○
小宮
委員
それから現在要観察地帯に指定された地域でのやはり汚染米の
取り扱い
ですね。これについて再度
質問
したいと思います。これは私も九月十日の本
委員会
でも
質問
したわけですけれ
ども
、
食糧
庁長官はとにかく一PPM以上の米は買い上げませんという一点ばりであったわけです。この問題は、やはりいまの
土壌
汚染の防止法が成立してもすぐには解決できる問題ではないし、今後も依然として私は残る問題だというふうに
考え
ます。したがってそういうような立場から、私はいまでも国が全部買い上げるべきだという主張には変わりはありませんけれ
ども
、不本意ながら一歩譲ったとしても、今度提案されておる公害防止事業の
費用
負担
法あたりに準拠して何か、そういった企業
責任
が明確である場合は、先ほど汚染対策事業の場合に
答弁
されましたね、そういうような立場から、企業の側に
責任
があることが明らかになった場合は、そういった
考え方
で、ただ買い上げませんということではなくて、国なり企業なりが何らかやはり買い上げて農家の
人たち
にあたたかい手を差し伸べるということをすべきじゃないのかということを私
考え
るわけです。そういう場合、また不明確な場合はどうするかという問題があります。そういう場合、私はやはり国が買い上げるべきだというふうに
考え
ますが、このことについて再度
質問
をして、買い上げませんという一点ばりのこの
方針
、
姿勢
を再検討する意思がないかどうか、ひとつ重ねて
質問
します。
内村良英
321
○内村説明員 お答えいたします。 申し上げるまでもなく、現在の
食糧管理制度
は、
国民
の
生活
に必要な米を
政府
が買いまして、これを
登録
指定
業者
を通じて配給する、こういうたてまえになっているわけでございます。したがいまして、食管
制度
で扱う米はあくまで人間が食える米でなければならないわけでございます。ところが汚染米につきましては御承知のとおり、
厚生省
が
食品衛生法
に基づきまして一PPM以上のカドミウム含有米については販売、加工等一切の処分が禁止されているわけでございます。したがいまして、
食糧
庁といたしましてもそうした米は買うことができないというたてまえになっているわけでございます。 そこで、現在のところ、それでは一PPM以上のカドミウム含有米の線引きをした中の農家の米はどうなっておるかという問題でございますが、これにつきまして私が承知しているところでは、富山も群馬もそれぞれ企業が反当八万円何がしの補償をいたしまして、それからその保有米につきましては、人間の口に入れるわけにまいりませんので、
食糧
庁と県であっせんいたしまして、富山のものは新潟のライススターチの工場に売り、それから安中のものものりの
業者
に売っているということで、そういった保有米につきましても売買のあっせんをしまして、人間の口に入らないような形で処理しているわけでございます。したがいまして一PPM以上の米については、
食品衛生法
上の措置がとられておりますので、
食糧
庁としても買えない、こういうことになっております。
小宮武喜
322
○
小宮
委員
たてまえはたてまえとして、この種の問題はそういった一つの政治ということも
考え
なければならないのではないかというふうに
考え
ます。そういった
意味
では
政府
もようやく、要観察地域の一PPM以上の農家の保有米については
政府
米と無償で交換するということを決定したように新聞に報道されておりますが、この
考え方
をさらに一歩前進させて、そういったまあ政治でこの問題は解決できないものかどうか。これは、言ってもいまの
答弁
以上のことは出ないと思いますから、要望として申し上げておきます。 そのことと
関連
して、これはまた
食糧
庁のほうに
質問
しますが、最近の新聞で東京都が一PPM以上の汚染米の買い入れを決定したとか、あるいは〇・四PPM以上の水田を作目転換をさせる、それに対して必要な融資をするということが報道されております。この問題について山中総務長官が、それはいかにも食管法違反だというようなことを発言をしているわけですけれ
ども
、私はこういった問題についてはむしろ東京都がとったそういう
姿勢
がほんとうの政治ではなかろうかというふうに
考え
ます。したがってそれをただ
法律
論だけでとやかく
——
いろいろな法的な
関係
もありましょうけれ
ども
、そういった問題をただ食管法違反であるかのごとき発言をしたり、水田の転作の問題にしても、買い上げの問題にしても、それはやれ法的な拘束力はないというようないろいろな問題はあったにしても、法理論的なものは別として、ものの
考え方
としては、こういった東京都がとったような
姿勢
というものがほんとうに農家の
人たち
の
生活
、いろいろな点に対してのあたたかい政治の姿だというふうに
考え
ます。そういった
意味
で
食糧
庁長官としてこの問題についてどのような御見解を持っておられるか、山中総務長官はそういったことを言っておるわけですけれ
ども
、ひとつ
食糧
庁長官の見解を承りたいと思います。
内村良英
323
○内村説明員 お答えいたします。 十一月二十五日にいわゆるカドミウムの汚染米と
政府
米との交換ということを
政府
が発表いたしましたが、これは要観察地域のカドミウム汚染度一・〇PPM以下の保有米と
政府
の米とを交換するということをきめたわけでございます。 次に東京都の問題でございますが、御承知のとおり現在の
食糧
管理法では自主流通米と特別の場合を除きまして、米を
政府
以外に売ったり買ったりすることは禁止されております。したがいまして個別に
農林大臣
の許可を得なければならないわけでございます。したがいまして
産業
公害対策特別
委員会
で山中長官が御
答弁
になりましたのは、東京都が食管法上の許可を得ないでやれば、これは食管法違反になるということを言われたわけでございます。そこで現在東京都は
食糧
庁にタッチしてまいりまして、いろいろ東京都と相談をしております。東京都といたしましては、個別的に
農林大臣
の許可を得て買い上げるということをやりたいという
方針
のようでございます。そこで十一月の二十五日に交換が発表になりましたので、ただいまのところでは東京都のほうも交換に非常に関心を持っておりまして、交換の手続等についていろいろ
食糧
庁の担当官と話をしているという現状でございます。
小宮武喜
324
○
小宮
委員
これで私の
質問
を終わります。
——
——
◇—
——
——
草野一郎平
325
○草野
委員長
この際、
参考人出頭要求
に関する件についておはかりいたします。 農用地の
土壌
の
汚染防止等
に関する
法律案
の審査に資するため、参考人の出頭を求め、その
意見
を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
草野一郎平
326
○草野
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
草野一郎平
327
○草野
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は明九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十二分散会