○
中野政府委員 ただいまの問題、先ほど
田中先生のときにも出たわけでございますが、もう一ぺん整理して申し上げたいと思います。
われわれこの
法律を
改正いたします立案者として
検討を進める
段階ではこの問題は
検討したわけでございますが、その問題を
考えます場合に、
製造業者の
取り消しをした場合の
製造業者の
責任と
製造業者に対する
責任という問題がまずあるわけでございます。これにつきましては、やはり先ほ
ども申し上げましたように、
登録制度というものの性格から見まして、それからまたいわば人畜に危害のあるような
農薬はつくって売ってはいけないという
メーカーの社会的義務という問題から
考えまして、
登録を
取り消した場合に国に法的
責任はないのではないかというふうに
考えるわけでございます。
それから次は、起こってまいりますのは、
販売業者の
段階問題、あるいはそれを買った
農家の問題が起こってまいりますが、これにつきましても、いま
製造業者のところで申し上げました
登録の性格なりあるいはそういう危害のある
農薬を使ってはいけないという社会的義務があるかと思いますが、それと同時に
登録というものの性格を
考えてみますと、これは御
承知のように
農薬取締法の三条でこういう場合は
登録は保留して、場合によっては却下する、それ以外は遅滞なく
登録しなければならないということで、いわばその申請のときの
一つの権利関係といいましょうか、そういうものを公報に記載しておる、記載しなければ売れないということになっておるという
登録の性格から見まして、国として
メーカーなり
販売業者に売ることを義務づけたりあるいは奨励をしたものではないという
考え方をとりますと、やはり
販売業者あるいは
使用者についても、そのときどきのいわば一種の私的な
経済行為でやったものではないかということになるわけでございますので、やはりその場合の損害賠償は
製造業者、
販売業者等の間で民事的に解決すべき問題であって、国に法的な
責任はないというふうに結論を出したわけでございます。ただその場合に、そうかといって、
責任がないから国は知らないよということでは確かにいけないと思います。そこで、先ほ
ども若干申し上げましたが、個々のそういう
取り消しました薬の種類によりまして、いろいろ対策は違うと思うのです。そこで、そういうそれぞれの具体的な場合に即しまして、これはどうしたらいいかということは、当然
農林省として
行政責任をもちましていろいろ末端まで
指導しなければならないというふうに
考えておるわけでございます。
それからもう
一つの問題は、先ほ
どもお話に出ましたが、たとえば
残留許容量をこえまして、食品衛生法の規格に適合しないで
販売が禁止されるといった場合でございますが、この場合は、先ほ
ども申し上げましたように、その
地方地方でのそれぞれの特産物の評価、それが落ちるということから、たいていの場合は自主的にその
あと続いて出る
出荷物の
出荷停止をしておるという実情があるわけでございます。これにつきましても、そこまで国がそれぞれの
農家なり
団体の
経済的な
損失を賠償をするというのは、やはり法的にはないのではないか。ただ、それによる打撃につきまして、
行政責任といたしまして融資その他のいろいろな措置は、その具体的な問題が起きた際に当然われわれ
考えなければならないことではないかというふうに
考えております。
それからもう
一つ、先ほどのところで申し上げればよかったわけでございますが、そういう問題、たとえば
取り消しされてまだ流通に若干残っておるという問題がありますが、いわば
回収をどうするかという問題でございます。これにつきましても、それでは国が全部
回収をするということになりますと、もしかなり大量に残っておる場合には、捨てどころその他、一カ所に集めるその他やりましても、たいへんでございます。たとえばしばらく前にも起こったわけでございますが、ブラスチンという薬がありまして、これは一体どうするかといった場合には、これは都市のごみとまぜまして、コールタールで固めて、鉄化石というのだそうですが、そういう石にしまして海中深く沈めるという廃棄方法をとったわけでございます。そういうような一例で申し上げましたように、相当具体的にきめる。そして禁止されたものが使われないような措置をとらなければならないのではないかというふうに
考えております。