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吉田(健)
政府委員 バーバラ・バイというアメリカの女性でございますが、
日本に観光客として
入国いたしましたが、観光も相当やったようでございますけれども、その片手間か、そっちのほうがだんだん中心になったようですが、岩国その他米軍の基地に行きまして、反戦運動というか、米軍の兵士に働きかけて脱走あるいはベトナム戦争反対等を勧告する
——これは
本人の信念でそういう活動に従事したということになっておるようでございますが、観光であれば観光客としての行動をしてほしいというのが私
たちのたてまえでございますが、そのうち、
本人は期限が切れましたので沖繩へ行きまして、もう一度舞い戻って、再び観光客として
日本に入りたいということを申し出たわけでございますが、私
たちのほうといたしましては、
本人は、観光客としての活動でないことを主としてやっておるのではないか。しからば、それは違うのではないかということで問いただしましたところ、
本人は、実は反戦運動をやるのだということを申しましたので、それでは困るということで、上陸を拒否したわけでございます。これは、私
たちとしては、当然合法的に法に従って拒否したわけでございますが、その結果、
外国人が
日本に入れるか入れないかはあくまで
日本の主権行為でございまして、
日本が不都合だと思う人を入れなければならない義務はないわけでございますが、
日本に入ってもらっては困るという結論である以上、
本人に
退去命令を出して、帰ってくれ、
自分の国は向こうだから帰ってくださいということを羽田の飛行場で申しましたら、
本人は訴訟に出まして、その帰ってくれという
退去命令の効力を停止させる、本案の訴訟がきまるまで停止させるという訴訟をやったことは御承知のとおりでございますが、それは地裁におきましては、
本人はすでに十分観光をやっておるから、これは
法務省の言い分が正しい。だから直ちに
退去命令を執行してよろしいという判決が出たのでありますが、高裁のほうに行きまして、技術的に法の解釈のこまかいところが出まして、本案で結局
入国を認めていいかどうかという本体の訴訟できめるから、それまでは
本人の
退去命令の効力を停止するという、こういう判決が出たわけでございます。したがって、
入管の
行政の
立場から申しますと、
日本に上陸は認めておりませんので、まだ
日本の本土内では自由には行動できない。羽田のホテルに
本人は泊まっておる。それで訴訟の結果待ち、こういう状態に現在相なっておるという次第でございます。