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金山参考人 ただいま御紹介をいただきました
金山でございます。
日本視聴者会議という
放送番組向上のための
視聴者運動をやっております。
大ざっぱな言い方を許していただきますと、
放送は、よきにつけあしきにつけ
国民生活に与える
影響がきわめて多い
ことば御存じのおりでございまして、
幼稚園教育はもとより
学校教育そのものよりも
影響が大きいというようなこともいわれておる時期でございます。それで、好ましい
番組をいつも見つけているのと、好ましくない
番組を見つけておるのとでは、先へいって
国民の
精神形成と申しますか、文化の上に大きな開きが出てくるということは、まぎれもなく想像されるわけでございます。そういうわけでございますので、なるべくいい
番組をたくさんやってもらおうじゃないか、悪い
番組はなるべく少なくしてもらいたい。幸いにして
電波は
国民のものであるというような規定もございますので、他の映画とか演劇のメディアとはいささかそこに相違があって、
放送の
受け手側の
意見を結集して、
送り手側にお返しするという場があっていいのじゃないか、そんな発想のもとに結成されましたのが
日本視聴者会議という
団体でございます。三十九年の一月に発足いたしまして約七年間の
運動を継続しているという
状態になっております。
ところで、現在の
放送界を大観してみますと、
御存じのとおり、情報として教養としてあるいは娯楽として有意義ですぐれたものもたいへん多いことは言うまでもございませんし、
放送によってわれわれが非常に裨益されているということは申すまでもないところでございますが、同時に
低俗目をおおうものあるいは子女の
教育上好ましくないというようなものもたくさんございまして、
国民の
精神をむしばんでいるようなものもまたたくさんあるわけでございます。
それではどこに
番組の
低俗化または
俗悪化の
原因があるかと申しますと、これは
放送局にも
スポンサーにもあるいは
視聴者の側にもその
責任が多少ともある、考え方によっては国にも政府にも
責任があるというふうに考えておるわけでございます。
さて、
低俗化の
原因でございますが、
幾つかの点がございますが、これは申し上げてもしかたがないことかもしれませんけれ
ども、
順序を立てて申しますと、まず、東京に
放送局、
キー局が多過ぎるというようなこともいえるのじゃないかと思うのです。これは許可してしまったものですからどうしようもございませんけれ
ども、あまりにも局が多くて、一日に何百という
番組が流されているということになれば、当然、たとえば
ドラマに例をとってみましても、種切れ、いいものが切れている、いいものはつくられてこない、手間ひまかけていられないというようなことから粗雑なものがはんらんするということはいえるのじゃないかと思います。
第二に、これも筋道として申し上げるのですが、
放送事業者のモラルといいますか、
企業意識がきわめて低いというようなことがいえるのじゃないかと思います。と申しますのは、やはり
電波を預かっている
放送事業者というものは
一般企業者と多少そこに違いがありまして、
コマーシャリズム一辺倒では困るというのですが、
コマーシャリズム一辺倒に流れているきらいがある。
放送事業者の
企業意識の変革が少しでもできるというようなことになれば、したがってたいへんいい結果が出てくるのじゃないか、こういうようなことが考えられます。
なお、
視聴率競争、局と
スポンサーによって
視聴率競争が行なわれている、
視聴率をとるためにはどんな低俗なものでもやろうじゃないか、
視聴率を上げてもうけようということになりがちで、これは大きな問題だと思います。
また、こまかいことを申し上げれば、
スポンサーの
番組内容への
介入ということもかなり行なわれているようですし、またもっとこまかいことを申し上げますと、たとえば
ドラマの場合には
脚本家が冷遇されておって、タレントに大金をかけておるとかいうような点も大いにあるかと思いますが、最後には
視聴者の側の
責任、というのは
視聴者の
意識がまだまだ低いというようなこともいえるのじゃないかと思います。つまらないものを喜んで見るという
視聴者も多いというようなこともいえるのじゃないかと思います。
以上のものが因となり果となって
低俗化の
傾向をますます助長しているというようなことがいえるかと思います。
さて、
低俗番組をチェックする段になりますと、どこにもこれといった強力なこれだというきめ手はないばかりか、さらにめんどうなことは、たとえば物価の問題であるとか
カラーテレビの二重価格の問題とかいうような悪いときまりきったことですと、
基準がきわめてはっきりしておりますので、強力にこれに対抗するという措置がとられ得ると思いますが、
放送番組あるいは
放送CMの場合には、俗悪だと判定する
基準がまことにあいまいで、はっきりこれをはかるものさしというものがどなたにもつかない。非常に悪いというものについては大体人間の良識ではかることができますけれ
ども、あいまい微妙なところが大きいので、これをチェックすることがなかなかむずかしい。しかしながら、そのまま放置して
低俗化がますますエスカレートするということでは困るわけで、何とかしょうというようなことが
方々で考えられておるわけでございます。
ということで、長年、まあ長くもございませんけれ
ども、
視聴者運動をして、
番組その他を注目してまいりました私といたしましては、本日、これらに関する知識を多少とも用意してきておりまするので、後ほど御
質問をいただければ、そのつど逐次
意見を述べさせていただいて御
参考に供したい、こういうふうに存ずる次第でございます。
これでひとまず終わります。