○降矢説明員 この問題につきましては東京消防庁のほうで、なおいろいろいま言った教訓といいますか、今後こういう問題に対する対策等について、従来の
考え方をどういうふうに直していって前進させたらいいかということについてのいろいろの検討をされているように聞いておりますが、
一つは、消防庁の立場からいいますと、海上における七万トン級のいわば大型というか、要するにそういう大きなタンカーの爆発事故というものに対しまして、市町村消防として一体どういう角度からアプローチしていくべきかという基本的な課題があると私は思っております。それは御案内のとおり海上保安庁と消防庁、現地の消防当局との間に、こういう火災における両者の応援協定的なものをそれぞれ結んでおりまして、今回それの発動としてやったわけでございますが、ああいう沖合いにおける火災につきましては、やはり海上船舶安全の責任を持っており、同時にその
警備に当たる国
——海上保安庁ということになりますが、それを中心に
考えるべきではなかろうかというのが第一点の問題。
第二点は、やはり東京湾というような、全体の湾の船舶安全並びにそれに伴ういろいろな災害の防止というものを、一体どういう体制で持っていくのか。その中に自治体消防として港湾を囲む市町村の消防が、どういう姿で投入して接近していくべきか、こういう問題であろうと思うのであります。この点につきましては先生御案内のとおり、たとえば広域内の問題につきましては、東京湾を囲む市原、千葉、東京、川崎、横浜、こういう市におきましては、広域港湾内における火災における業務の応援協定というものを結んでいるわけでございますが、今回のような、もう少し沖合いになるというような場合には、全体の安全航行というものを、国全体の港湾の安全を受け持つ海上保安庁といいますか、国の立場において災害のないような体制をつくるということがやはり
一つの大きな問題ではなかろうかと思います。この点につきましては、私たちの聞いておるところでは、すでに運輸省は昨年からある程度の予算を用意いたしまして、東京湾を中心にした船舶の安全航行及び同時にそれにかかわる防災問題というものを中心にいろいろな検討を始められ、つまり安全な運航をシステム化するような方式というものを何とか
考え出したいということで、研究に入っているようでございますが、われわれのほうでもそういう研究会に参加さしていただきまして、いま申し上げる点から全体としての、今回の火災にかかる問題に対して消防としてどういう体制で行くべきかという問題の検討をこまかにやらなければならぬと思っております。
もう少し具体の問題に入りますと、たとえば今回の消防艇の問題にいたしましても、活躍しましたのは御案内のとおり海上保安庁の「ひりゅう」という消防艇のほかに東京都庁の持っております「みやこどり」という艇でありまして、かなり大きいものであります。今回のような火災が、ああいう非常に大きな船の中で起きる場合には、接近するという問題もありますと同時に、ある程度距離を離した消火能力というものを持たなければなりませんが、そういう消防艇をどういうふうに今後整備するのか、これも
一つの問題点だろうと思っております。同時に、具体の消火の問題に当たりました東京消防庁の臨港消防署の署長さんの
お話も私直接聞きましたが、要するに、あそこに乗り込んでいって、同時に二階以下に火が落ちないように消火作業に実際に従事するという場合に、いわば密室火災のような状況の中で、ある程度作業されたということもございます。したがって、今後ああいうふうなタンカーなり船舶火災が相次いで起きた場合に、そういう状況の中で今後どういうような消火訓練、消火作業というものをやるべきかというような、具体の問題も起きておるようでございます。あるいは御案内のとおりと思いますけれ
ども、海上保安庁と東京消防庁の消火現場における具体の
連絡というものも、大きな船舶をはさんで波でゆれて、しかも暗やみの中で、照明灯をたきながらやるという困難な作業の中で、しかも無電の周波数が違っておってなかなかうまくいかない。したがって、人を派遣して携帯無線等で
連絡をしたという事実もございます。すでに御案内かと存じますけれ
ども、こういうような具体的な消火
活動につきましても、今回の問題を契機にしていろいろ反省すべき点があることを承知しておりまして、そういう点はわれわれとしても、今後関係省並びに市町村当局とも十分相談をして解決していかなければならぬ問題である、こう思っております。