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1970-12-16 第64回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中山 正暉君       中村 弘海君    永山 忠則君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    土井たか子君       山本弥之助君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁警備局長 山口 廣司君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         自治大臣官房長 岸   昌君  委員外出席者         防衛庁長官官房         広報課長    中名生正己君         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         公安調査庁長官 川口光太郎君         運輸省港湾局計         画課長     大久保喜一君         海上保安庁警備         救難部長    貞広  豊君         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁予防課長 永瀬  章君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 十二月十二日  木材引取税撤廃に関する請願篠田弘作君紹  介)(第五四六号)  同(黒田寿男紹介)(第六六九号)  区長公選制復活に関する請願松本善明紹介)  (第五四七号)  銃砲刀剣類不法所持罰則強化等に関する請願  (田中榮一紹介)(第七六一号)  積雪寒冷地帯地方交付税増額等に関する請願  (佐々木良作紹介)(第七六七号) 同月十四日  交通管制システム整備五カ年計画促進に関す  る請願井出一太郎紹介)(第七六八号)  同(小川平二紹介)(第七六九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第七七〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第七七一号)  同(羽田孜紹介)(第七七二号)  同(原茂紹介)(第七七三号)  同(増田甲子七君紹介)(第九二四号)  同(松平忠久紹介)(第九二五号)  木材引取税撤廃に関する請願外一件(小沢辰  男君紹介)(第一〇〇五号)  同(梶山静六紹介)(第一一一一号)  地方公務員退職年金等増額に関する請願(井  岡大治紹介)(第一一一〇号)  市街化区域内農地固定資産税に関する請願  (渡部恒三紹介)(第一一八四号)  地方公務員退職年金改定等に関する請願(井  岡大治紹介)(第一一九二号) 同月十五日  地方公務員退職年金等増額に関する請願(井  岡大治紹介)(第一二三〇号)  地方公務員退職年金受給者処遇改善に関する  請願江藤隆美紹介)(第一三二一号)  交通管制システム整備五カ年計画促進に関す  る請願下平正一紹介)(第一四二〇号)  同(林百郎君紹介)(第一四二一号)  木材引取税撤廃に関する請願外二件(藏内修  治君紹介)(第一七五四号)  特別区の区長公選等に関する請願中川嘉美君  紹介)(第一七六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十一日  公共用地取得のための低利地方債認可に関する  陳情書外一件  (第二二八  号)  中小企業公害防止施設に対する不動産取得税  減免等に関する陳情書  (第二七八号)  火葬場建設地方債査定基準引上げ等に関する  陳情書  (第二七九号)  地方財政強化に関する陳情書  (第二八〇号)  救急車配備基準強化等に関する陳情書  (第二八一号)  交通規制に関する陳情書  (第二八二号)  地方公務員定年制実現等に関する陳情書  (第二八三号)  過疎地域振興対策に関する陳情書  (第二八四号)  地方税制改正時期等に関する陳情書  (第二八五  号)  電気ガス税全廃に関する陳情書  (第二八六号)  地方公務員公平審理制度改善に関する陳情書  (第二八七号) 同月十四日  地方公務員給与改定財源確保等に関する陳情  書(第三六七号)  地方税法改正時期に関する陳情書  (第三六八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  警察に関する件  消防に関する件  請 願  一 木材引取税撤廃に関する請願(千葉三    郎君紹介)(第二六一号)  二 クリーニング業事業税軽減に関する請    願(小澤太郎紹介)(第三七五号)  三 木材引取税撤廃に関する請願佐々木    良作紹介)(第四五七号)  四 同(篠田弘作紹介)(第五四六号)  五 同(黒田寿男紹介)(第六六九号)  六 区長公選制復活に関する請願松本善明    君紹介)(第五四七号)  七 銃砲刀剣類不法所持罰則強化等に関す    る請願田中榮一紹介)(第七六一号)  八 積雪寒冷地帯地方交付税増額等に関す    る請願佐々木良作紹介)(第七六七号)  九 交通管制システム整備五カ年計画促進    に関する請願井出一太郎紹介)(第七    六八号)  一〇 同(小川平二紹介)(第七六九号)  一一 同(唐沢俊二郎紹介)(第七七〇号)  一二 同(小坂善太郎紹介)(第七七一号)  一三 同(羽田孜紹介)(第七七二号)  一四 同(原茂紹介)(第七七三号)  一五 同(増田甲子七君紹介)(第九二四号)  一六 同(松平忠久紹介)(第九二五号)  一七 木材引取税撤廃に関する請願外一件     (小沢辰男紹介)(第一〇〇五号)  一八 同(梶山静六紹介)(第一一一一号)  一九 地方公務員退職年金等増額に関する請     願(井岡大治紹介)(第一一一〇号)  二〇 市街化区域内農地固定資産税に関する     請願渡部恒三紹介)(第一一八四号)  二一 地方公務員退職年金改定等に関する請     願(井岡大治紹介)(第一一九二号)  二二 地方公務員退職年金等増額に関する請     願(井岡大治紹介)(第一二三〇号)  二三 地方公務員退職年金受給者処遇改善に     関する請願江藤隆美紹介)(第一三二     一号)  二四 交通管制システム整備五カ年計画促進     に関する請願下平正一紹介)(第一四     二〇号)  二五 同(林百郎君紹介)(第一四二一号)  二六 木材引取税撤廃に関する請願外二件     (藏内修治紹介)(第一七五四号)  二七 特別区の区長公選等に関する請願中川     嘉美紹介)(第一七六五号)      ――――◇―――――
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  請願審査を行ないます。  請願日程第一から第二七までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願の内容については、文書表等ですでに御承知のことでもありますし、また理事会で慎重に御検討を願いましたので、この際、各請願について、紹介議員説明等は省略し、直ちに採否決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第九ないし第一六、第一九及び第二二ないし第二五の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、残余の各請願は、いずれも採否決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 菅太郎

    菅委員長 今国会におきまして、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、地方税法改正時期に関する陳情書外四十七件であります。念のため御報告いたします。      ————◇—————
  7. 菅太郎

    菅委員長 警察に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 三島事件に関連いたしまして、幾つかの点をお尋ねいたします。  新聞その他で当時の状況をいろいろ調べてみました。十一月二十五日、警視庁に第一報が入りましたのが午前十一時十三分、第二報が十一時十七分、第三報が十一時二十分に入った。自衛隊からの一一〇番で連絡があったということですが、これによりまして、日ごろ公安委員長が言っておられますように、一一〇番に連絡をいただけばすぐさま警察はかけつけるというわけでありますが、第一報から十二分後には警視庁の第四機動隊の一個中隊、うち一個小隊は防弾チョッキを着用して総監室に到着をされたそうです。ただ、そこで聞いておりますのは、最初赤軍派ないしRG、そういった極左の集団が楯の会に変装して乱入したというふうに当時警視庁判断をされて、特に佐藤三郎公安課長を先頭にして赤軍担当係員がまっ先かけて市ケ谷に殺到されたというお話でありますが、それは事実でございますか。
  9. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私どもの聞いておりますところでは、市ケ谷自衛隊から第一報が入りまして、直ちに所轄の警察署のパトカーが飛んで参りまして、相前後してその署の次長を長とする三十名、それからすぐ近くに機動隊がございますから、第四機動隊一個中隊が参りました。同時に、いまおっしゃるように、本庁からも係員がかけつけましたが、その中にいまおっしゃるようなそういうものも入っていたかと思いますけれども、それだけではなかったわけでございます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 なぜ私聞いたかと言いますと、結局そういう判断警視庁がされて、そして赤軍派担当係員——公安一課というのは当然そちらのほうの担当でしょうから、その課長も行かれたということは、いわば楯の会というものに対して全くマークしていなかったのじゃないか。ノーマークだったのじゃないかという証拠じゃないかと私は思うのですね。この楯の会というものはいわば右翼団体、しかも行動的な右翼団体としてマークしておったのですか。現実どうだったのですか。
  11. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 事は楯の会の根本的な性格に関連するわけでございますが、私どもとしましては、楯の会は綱領がございませんから、その性格は直接文書ではうかがえなかったわけでございますが、三島が平素申しておるところによりますと、国家危急の際に警察自衛隊で手に負えないときには立ち上がるんだというようなことで、そういう程度において私どもは見ておったわけでございまして、あの時点であのようなことをするとは、もう全然考えておりませんでした。したがって、いまお話しのように、まさか楯の会があるいは三島があの日にああいうことをやるということは予想もできませんでしたので、第一報を受けたときは、あるいは赤軍も関係しておるかもしれないというようなことも、幹部の判断の中には当然あったのじゃないかと思います。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもそういうお話を聞きますと、警察左翼のほうには非常に神経をとがらしておるが、右翼団体のほうは非常にうかつだったのではないか。いわば、いまお話がありましたように、あとから私もお尋ねしたいと思っておりますが、三島由紀夫の書きましたものあるいはその言論等を見ますと、相当過激な分野があったわけであります。しかるに、それに対して何ら注意をしてなかったということはやはり怠慢ではないか。しかも赤軍派が乱入したんじゃないかというような判断を、一部の方であるとはいえ、したということは、私は右翼に対する取り締まりの甘さを露呈していることではないか、かように思うのです。公安委員長、どうなんですか。左のほうばかり力を入れて、右のほうはどうもうかつだということでは困ると思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  13. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 右と左との取り締まりを差別しておるということはございません。結果的に見ますると、いま警備局長お話し申し上げたように、楯の会というものが、まあ、精神的な軍隊だ。三島君自身も言っておったらしいのですけれども、現に実際行動に訴えての暴力ざた等の前歴は一つもございませんので、つい警戒を怠ったと申しますか、結果的にはそういうことであったと言わざるを得ないのですけれども、一般的に左右両団体取り締まりに差別を設けておったということはございません。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 うしろから発言もありましたように、赤軍派の乱入ではないかという判断を一部にしろやったということは、右翼に対する取り締りといいますか、そういうものがきわめて不徹底だ、そういうことを暴露したものと言わざるを得ないと思います。  次に、公安調査庁の長官おられますから、お尋ねしたいと思うのですが、公安調査庁としては楯の会に対してどのような調査を進め、その会の性格というものはどのように判断をしておられましたのか、まずお伺いいたします。
  15. 川口光太郎

    川口説明員 お答えいたします。  楯の会につきましては、マスコミでも盛んに取り上げられておりましたので注目はしておりましたけれども、過去において暴力的な事件を起こしたこともございませんし、いろいろな報道等から見まして、心身の鍛練を目的とした団体、いざというときは立ち上がるというようなことは言っておりますが、大体そういうもので、はっきりした暴力主義的な団体でないということで、正式の調査対象にはいたしておりませんでした。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 三島由紀夫の最近の著書幾つかございますね。「行動学入門」という本がございます。それから「革命哲学としての陽明学」というような近著もあるようでございます。また三島由紀夫精神的自叙伝ともいうべき「大陽と鉄」という本もあるそうでありますが、こういったものを検討すれば明らかに革命というものを志向している。憲法改正のためのいわば革命だろうと思いますが、これらの近著に目を通されたとするならば、もう少し楯の会というものに注目をし、当然調査対象として調査を進めていくのが至当ではなかったかという感じがするのですが、いかがですか。
  17. 川口光太郎

    川口説明員 そういう著書のあることも知っております。全部は読んでおりませんが、大体先ほど申し上げましたように、いざというときには何か行動に出るかもしれないけれども平生デモとかそういうことにも全然顔を出しませんし、左翼の集まりがあるときに、既成の右翼団体等はこれを妨害したりいろいろ行動に出るわけでございますが、楯の会は全然そういうことがございませんし、先ほど申し上げたように、正式には調査をしていなかったのが事実でございます。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点うかつだったのじゃないかと思いますが、例のハイジャック事件のときも公安調査庁あとからたいへん驚かれた、今度も同じようなことでございまして、二度もそういった失態を繰り返すということについては、私ども遺憾に思います。  それでは、その後楯の会に対して、どうお考えですか。破防法第四条に定義がございます。一と二を具備した場合に破防法適用団体としての審査公安調査庁長官が請求できることになっておるようでありますが、明らかに楯の会、しかも三島由紀夫が当日まきました檄文を見ますと、明らかに何といいますか、クーデターを起こし、憲法改正のために決起するという趣旨のことが書かれてありますし、そのために自衛隊員よ立てということを言っておるわけで、明らかに一種の内乱、そしてまた仲間同士ではありますが、殺人という事態もあったわけですね。したがいまして、当然この十一月二十五日の事態を見ました場合に、楯の会というものは破壊的活動としての規制手続を当然とってしかるべき団体ではないかという感じがいたすのですが、公安調査庁としてはどうお考えでありますか。
  19. 川口光太郎

    川口説明員 お答えいたします。  いま御質問の点を、事件の直後から私どものほうで残っている会員につきまして一人一人調査しております。それから、警察あるいは検察庁で、当時現行犯で逮捕した数名につきましての取り調べをしておりますので、その処分の結果もまだきまっておりませんが、その結果を参酌し私どものほうで調べたのを総合いたしまして、近いうちに態度を決したい、このように考えております。  しかし、現在のところでは、将来同じような暴力的な破壊活動をする危険性というものが認められる場合に規制請求するのでございますが、楯の会は三島由紀夫氏の死亡によって解散するのじゃないか、事実上消滅をするのじゃないかという見方が多いので、あるいはその必要がなくなるかもしれません。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 楯の会の行なってきました行動を見れば、この破壊的団体としての規制手続に当然なじむといいますか、そういう団体だとお考えですか。しかし、そう考えてはいるけれども三島由紀夫が死亡したということによって、将来はそういう活動はないであろう、あるいは会が消滅するかもしれない、したがって、現に行なった行動自体破壊団体として取り上げるべきだと思うけれども、そういった将来の見通しの上から、公安調査庁長官が行なうところの第十一条ですかの請求というようなものは考えていない、こういうふうに了解してよろしいわけですか。
  21. 川口光太郎

    川口説明員 さようでございます。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 公安調査庁長官にはまたあとで伺いたいと思います。  次に、銃砲刀剣の関係についてお尋ねをいたしたいと思いますが、当日、楯の会の五名が日本刀一振り、関の孫六だそうでありますが、それからよろい通し短刀、この三つを持って総監室に行ったようであります。日本刀の長さ、よろい通しの長さ、これは銃砲刀剣類等所持取締法所持の禁止をしておる物件に当然該当すると思います。短刀につきましては長さがわかりません、たぶんこれもそうだろうと思うのですが、これら三つは、いずれもこの第十四条、文化財保護委員会規定による登録を受けておったのですか。
  23. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 関の孫六それからよろい通しについては受けておったことははっきりいたしておりますが、もう一本の短刀ですか、これについてはいま捜査中でございまして、まだはっきりわかりません。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、これは東京都の教育委員会ですか、そちらのほうと打ち合わせをすわば、十四条の登録を受けたものであるならば、これははっきりするのじゃないのですか。まだわからぬというのはおかしいと思うのですね。
  25. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 遺憾ながら、いま申し上げましたとおり、一本についてはまだちょっとはっきりわかりかねますので、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、短刀については銃砲刀剣類等所持取締法違反であるという疑いがきわめて強いということになるのですね。
  27. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 そういうふうにも考えられます。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 遺留品というのはそうたくさんないのですから、そのうちの一つ銃砲刀剣類等所持取締法規定にいわば違反しているかしていないかぐらいのことは、これははっきりしたものがなければ困るのじゃないかと思います。  さてそこで、これらを持って総監室にすらすらと入ったということが、私ども常識からいってたいへんおかしいと思うのですが、荒木公安課長からお話も聞きましたが、車で乗りつけて、正門から受付まで車でそのまま行ったということであって、警察の側から、この銃砲刀剣類所持して総監室に行くというようなことについては、チェックができなかったことは一面やむを得なかった面もあろうと思います。  そこで、防衛庁にお尋ねしたいと思うのですけれども、午前十一時に正門に車がつきまして、それから車で本館受付まで行きまして、本館受付を通って、そうして隊員が、三佐だったというお話を聞いておりますが、案内して午前十一時三分ごろ総監室に五名が入ったわけですね。そのときは当然日本刀はぶら下げていったわけでありまして、よろい通し短刀も当然持っていったわけでありまして、私はこの正門なりあるいは本館受付でそういうものについては当然注意をすべきだったろうと思うのです。それを何ら注意することなく、しかも三佐の方が案内して、総監室にそのまま御案内申し上げたというようなことは、私どもたいへん奇異に感ずるわけでありますが、防衛庁としてはなぜそういう手抜かりをいたしたのですか。
  29. 福田勝一

    福田説明員 その点でございますけれども、実は十一月二十五日に三島東部方面総監を訪問するにつきましては、事件発生の四日前の十一月二十一日に、三島から東部方面総監業務室に対しまして、電話で二十五日に市ケ谷会館で楯の会を開くので当日十一時ごろ総監に会いたい、こういう申し入れがありましたので、それに対して面会を了承したわけでございます。そういうこともございまして、当日正門警備に当っておりました警備員に対しては、こういうわけだからお通しするようにということで、業務室のほうから正門のほうにも通知が来ておりましたので、そこで警備に当たっておりました曹士が、三島である、すでに了解を得ておるんだ、いや、それは連絡があるということで、車に乗ったままの状態で通過をさしたということでございます。これにつきましては、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、車にちょうど五人乗っておったために、三島が腰に下げておりました刀をチェックできなかった、こういうことでございます。それからさらに、正門に参りまして、澤本という業務室の三佐が出迎えたわけでございますが、その際、澤本三佐は、三島が腰につっております刀に目を向けまして、どうして刀をつっているのですかというふうに質問したわけでございますが、それに対しまして三島は、本日は楯の会の会合なので正装しているのです、これは指揮刀です、かように答えたわけでございます。そこで澤本三佐は、高名な三島のことであり、他に不自然な点もなかったということで、それ以上追及しないで総監室に案内した、こういうことでございます。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 明らかに関の孫六の日本刀をつっておったのを承知しておったのでしょうけれどもよろい通し短刀というのは確認しなかったのですか。  それからまた、先ほどのお話でありますが、一応聞いたけれども指揮刀だと言われて、そのまま御案内したということですが、この三佐に手落ちがあったと防衛庁はお考えなのですか。それに対して何らかの処分は行なわれたのですか。
  31. 福田勝一

    福田説明員 よろい通し短刀の件でございますが、これにつきましては、三島随行者である学生がかばんに入れて持っておったということで、そのかばんもそうあまり厚くなかったので澤本三佐はチェックしなかったということのようでございます。  それから澤本三佐か、日本刀をつった——これは実はつくりが軍刀のような形になっているようでございますけれども、この刀をチェックしなかったということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、三島は、その辺のところを澤本三佐に極力疑問を持たせないように、きわめて自然な態度で堂々とそういうことをさりげなく言っている、そういうことから澤本三佐としてもどうも追及しかねたということでございます。  なお、澤本三佐に対して、そのチェックのしかたがどういうことであったかということに関します責任問題等につきましては、まことに恐縮でございますが、私、そちらの担当でございませんので、非常に恐縮なんでございますが、ちょっとお答え申し上げることができないので、お許しいただきたいと思います。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、ただいまの件は私の質問中に答弁できる人を即刻呼んでください。私は中曽根防衛庁長官ないしは官房長の出席要求をしたのですが、どういうわけか、防衛庁は運用課長さんと広報課長さんの二人しか出してこなかったようで、こういうことでは困りますので、即刻ひとつ答弁できる人を呼んでいただきたい。
  33. 福田勝一

    福田説明員 私が承っている範囲内のことにつきまして、それは確実にこうだというふうには言い切れないのでございますけれども、承っている範囲内では、澤本三佐には一応やむを得なかったというようなそういう状況も多々あるので、行政的な責任を負わせるというのは酷ではないか、かように判断されているというふうに承っております。
  34. 菅太郎

    菅委員長 どうしますか。呼びますか。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 呼んでください。  いまのような御答弁は納得できませんよ。とにかく自衛隊とすれば、総監といえば、きわめて重要な地位にある方でしょう。そういうところへ、とにかく日本刀を持った人が、しかも三佐の案内で堂々と通った。しかもそれに対して何らの処分というものを考えていないというようなことは、常識では考えられぬことですよ。これはひとつ答弁できる方を呼んでいただくとして、この問題を保留して次に進みましょう。
  36. 菅太郎

    菅委員長 了承しました。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも楯の会に対する防衛庁態度というものを見ますと、非常に過剰サービスをし過ぎているという感じを私どもはどうしてもとらざるを得ないのであります。防衛庁内の庁内紙として「朝雲」というのがあるそうですね。本年の二月十二日中曽根防衛庁長官と作家三島由紀夫氏との対談というのが大きく載ったようであります。しかもこの冒頭に、三島氏はみずから楯の会を主催し、学生とともに体験入隊するなど、文壇にあっては自衛隊を知る第一任者である、こうきわめて高く評価し、称賛しておられるようであります。対談の中身をざっと拝見いたしましたが、明らかにこの対談の中で三島由紀夫は、自衛隊内部に精神教育、思想教育を徹底的にすべきであるということを言っておりますし、さらに、大臣は憲法九条をそのままにしてよろしいと思うのかということを質問し、さらに、この憲法九条はあくまでも改正すべきである、そうでないと自衛隊は堕落をするということを非常に強調いたしているわけです。防衛庁は、憲法を改正すべきである、こういうような教育を自衛隊員の人たちにしようと考えておられるのですか。少なくとも公務員は、採用されたときに宣誓をするはずですね。私は憲法を守りますという宣誓をするはずです。しかるに、この自衛隊の庁内紙に堂々と憲法を改正すべきだ、そうでなければ自衛隊は堕落をする、こういう主張を大々的に載せて、しかも防衛庁長官との対談で載せて、そうしてこれを自衛隊員に配ったわけですから、やはりそういう教育というか、そういう考え方を自衛隊員に普及させるべきだ、こう思っているとしか理解しがたいように思うのですが、一体防衛庁はどういうお考えなんですか。
  38. 中名生正己

    ○中名生説明員 防衛庁といたしましては、憲法またはそのもとに成立をいたしました民主主義政権というものを暴力で破壊する、そのようなことを信条とするようなものは一切否定しておりまして、教育訓練におきましても、憲法に反するそのような考えは一切持っておりません。  それから「朝雲」でございますけれども、これは作家と防衛庁長官との対談ということでございます。これは作家の個人的意見というものをそのまま掲載したということでございますけれども、この新聞そのものが教育資料でもございませんし、これは率直な一個人の意見が載っておるというだけのことでございまして、そこにおきましても防衛庁長官はそれに同調したというような意見は載っていないわけです。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 防衛庁長官がそれに同調しているというようなことを私は一言も言っておるわけじゃないのです。ただ、三島由紀夫は明らかに憲法九条を改正すべきだ、そうでなければ自衛隊は墜落をするのだということを口をきわめて主張しておられるわけですね。そういう意見を防衛庁の正式な庁内紙である「朝雲」に掲載をした。自衛隊員の方々の目に触れるわけでしょう、これは。今後も自衛隊は庁内紙を使って、個人的意見ではあっても、この憲法九条を改正すべきだ、そうでなければだめだというような主張を載せるつもりなんですか。そういう個人意見はどしどし載せる、こういうつもりなんですか、どうなんですか。
  40. 中名生正己

    ○中名生説明員 ただいま庁内紙という御指摘でございましたけれども、「朝雲」は庁内紙というものではございませんで、ただ、共済組合で買い上げておるというだけの関係でありまして、これは防衛庁で発行いたしますとか編集内容について防衛庁が規制する、そういうような内容の新聞ではないわけでございますから、御了承いただきたいと思います。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 予算は毎年何ぼ支出しているのですか。各官庁は雑誌等で、それは編集は外部にまかせる、しかし大部分を各省の経費で買い上げているものはずいぶんございます。しかもそれはある程度その当該官庁の準公的な見解を知るための資料として、国民の人たちに広範に読まれているというものが数々あるわけですよ。それと同じじゃありませんか。いまの御説明ではそうでしょう。
  42. 中名生正己

    ○中名生説明員 たびたび申し上げまして恐縮でございますけれども、「広報アンテナ」というものは広報課で出しております広報資料でございます。このようなものは買い上げるといいましても、実態は企業でやっております新聞の一部を共済組合でまた買っておるというわけであります。防衛庁の予算で買っているとも言いかねるわけであります。
  43. 井岡大治

    井岡委員 関連。防衛庁が関係をしてないから、そういうものを配ることはやむを得ない、こういうようにお考えなんですか。
  44. 中名生正己

    ○中名生説明員 やむを得ないというわけではなくて、そういうものを規制するという立場にはないというわけであります。
  45. 井岡大治

    井岡委員 明らかに憲法違反であるということがわかっておってそれを規制しない、どういうことなんです。
  46. 中名生正己

    ○中名生説明員 これはある作家の個人的意見でございますから、防衛庁の意見というわけではございませんので、憲法違反ということではないと考えます。
  47. 井岡大治

    井岡委員 少なくとも防衛庁は憲法の範囲内における行動であってしかるべきだと思う。公務員でしょう。公務員じゃないのですか。
  48. 中名生正己

    ○中名生説明員 防衛庁の職員は公務員でございますけれども三島個人の意見というものを否定するということはできないわけでございます。
  49. 井岡大治

    井岡委員 公務員である限りにおいて憲法に違反をする場合、それを見のがすということがあっていいのかどうかということなんです。
  50. 中名生正己

    ○中名生説明員 憲法改正ということを主張しておりますのは三島個人でございまして、防衛庁の職員ではないわけでございます。
  51. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、共済組合というのは金を出しておるのですか。
  52. 中名生正己

    ○中名生説明員 でき上がりました何部かを共済組合が購入しているというだけの関係でございます。これは一般の新聞にいたしましても、多少関係のございます研究雑誌にいたしましても、買い上げておる部数というものはございますが、それと同じことでございます。
  53. 井岡大治

    井岡委員 防衛庁の共済組合の規定を出してください。防衛庁は何ぽか負担をしておるはずです。
  54. 中名生正己

    ○中名生説明員 恐縮でございますが、共済組合は私の担当でないものでございますので、詳細につきましては御了承願いたいと思います。
  55. 井岡大治

    井岡委員 そんなことを言うものじゃないですよ。あなたも共済組合員でしょうが。共済組合という限りにおいては防衛庁も負担しておるはずですよ。そういうわけのわからぬことを言うものじゃないです。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これもどうも答弁ができないという人ばかりで困るのですが、少なくとも共済組合のことについては、ある程度承知をしておるつもりですが、これは防衛庁の共済組合それから各官庁の共済組合、いずれも共済組合運営については関係省庁が経費を出しておることは明らかなんです。したがって、この「朝雲」は一体毎回何部刷っておるのか、そうして年に何回発行し、そうしてそのうち防衛庁の共済組合が買い上げておる部数は一体何部なのか、残りの「朝雲」はだれがどの程度購入しておるのか、どういう方々が読んでおるのか、この点資料を出していただきたいと思います。そうしてこの共済組合の運営に対して防衛庁の庁費から、幾ら一般会計からの支出がなされておるのか、それをあわせて資料として提供いただきたいと思います。その上でこれについては議論をいたしたいと思います。  次に、体験入隊の問題ですが、三島は昭和四十二年春、四十五日間体験入隊しておるそうであります。これは実に五ケ所にわたりまして四十五日間、こういった体験入隊をされた方が他にございますか。きわめて異例であるといわれておる。当時三輪防衛庁事務次官が特に口添えをいたしましてこの体験入隊をすることになった、かように聞いているのですが、その間の事情はいかがですか。
  57. 中名生正己

    ○中名生説明員 三島由紀夫の体験入隊につきましては、連続したものではございませんで、四回にわたりまして実施しておられるわけであります。第一回目は前川原にございます陸上自衛隊の幹部候補生学校に八日、その次に御殿場の富士教導団に六日間、同じ駐とん地にございます富士学校に十八日間、それから習志野にございます第一空挺団に八日間、このように四回に分けて入隊しておるわけでございますが、合計いたしますと、相当な日数に相なるわけでございますが、これだけ同一人に対してやったという例はないわけでございます。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それから楯の会は、六回にわたりまして新入隊という形でそれぞれ三十日間程度二、三十名の人たちが体験入隊をしているそうです。こういう例が他にありますか。それからまた、再入隊と称して五回にわたって、期間は一週間あるいは四日、五日というような日にちのようですが、再入隊をしている、こういう例も他にございますか。
  59. 中名生正己

    ○中名生説明員 およそ四週間にわたりまして三島並びに学生グループに対してやりました同数は、全部で五回でございます。それから七日が一回、五日が一回、三日が三回、そういう形の体験入隊をいままで認めたわけでございますけれども、長期にわたる例といたしましては、あまり古いことは承知しておりませんけれども、最近の例では十日ないし二十日という例が十件ばかりございます。
  60. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本年六月から楯の会が市ケ谷会館で毎月例会を開いておったそうです。その後、市ケ谷の駐とん地で訓練をしておったようでありますが、こういう例は他にございますか。  それから、昭和四十四年十一月三日、国立劇場の屋上で結成一年の記念パレードを行なって、軍楽隊と観閲官の派遣を要求したそうですが、軍楽隊は出しませんでしたが、観閲官として元富士学校長である自衛隊の幹部をやっておられた方を派遣したという事実があったそうですが、このような例が他にございますか。
  61. 中名生正己

    ○中名生説明員 毎月三島並びにそのグループに対しまして、六月より五カ月間でございますが、五回にわたりまして二時間、市ケ谷におきまして体験入隊を認めた例があるわけでございますが、そのほかの団体あるいは個人に対してそのようなことを認めたという例は承知しておりません。  それから、昨年十一月三日の国立劇場屋上の楯の会のパレードでございますが、これにつきましては、口頭で中央音楽隊の派遣という希望が三島からあったわけでございますけれども、これは当方で派遣いたしませんで終わったわけでございます。それから、観閲官として元富士学校長の碇井氏が出たということになっておりますけれども、これも碇井氏もすでに退職した人でございまして、これは個人的に三島の希望によりまして観閲台に立ったということでございますので、防衛庁は一切これに関係してないわけでございます。
  62. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この碇井氏という元自衛隊の幹部が観閲官として行ったという事実はあるわけですね。そうしますと、楯の会に対しては、他の団体とは全く別個に、異常な過剰サービスといいますか、便宜供与といいますか、そういうものをやってきたようでありますが、これはまさに楯の会と自衛隊とは非常な癒着関係にあった、私はこう言わざるを得ないと思うのです。さらに、先ほど私があげたような「朝雲」に二回にわたって三島由紀夫は現職の防衛庁長官と対談をしておられる。そういう記事が自衛隊の人たちにも配られている。したがって、私は、今回のこの事件、これはまさに自衛隊が楯の会に対して異常な過剰サービスをやったというところに、いわば原因があるのであって、今回の事件は当然私は防衛庁長官、防衛庁幹部、こういう人たちに責任の一端あり、こう考えるのが至当だと思うのです。これについても、官房長が来なければ、あなた方に聞いてもしかたがないと思うのですが、どうなんですか。そういった反省というのは防衛庁はやっておるのですか。
  63. 中名生正己

    ○中名生説明員 三島並びに学生グループに対します体験入隊といいますのは、高名な作家であります三島由紀夫の依頼によりまして、彼に従う学生に対し、所定の手続を経ました上で実施してきたものでございますので、特に間違っていたという点はなかったかと思います。しかし、将来につきましては、これは疑惑を招くということのないように十分注意したい、このように考えております。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも認識が少しあれですが、それでは防衛庁は、先ほど私が例にあげた——高名な作家、作家ということを盛んに言っておられるのですが、この「行動学入門」なりそれから「革命哲学としての陽明学」なり、彼の精神的自伝といわれている「太陽と鉄」とか、こういったものを読んで、考え方は危険だという気持ちは毛頭なかったのですか。  それから楯の会に対して、一体こういう中心になっておる作家がこういったことを盛んに書いているけれども右翼団体として心配はないのかというようなことを、警視庁その他に連絡したということは全くないのですか。
  65. 中名生正己

    ○中名生説明員 体験入隊といいますのは、自衛隊の隊内生活を体験していただきまして、それによりまして自衛隊の実態を知っていただく、そういう広報の観点から実施しておりますので、特に三島著書を検討した上で学生グループに対してどうこうというところまでは考えていなかったわけでございます。
  66. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 警視庁防衛庁からの楯の会に対する照会などというものは一度もなかったのでありますか。
  67. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 ございませんでした。
  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これはやはり防衛庁ともあろうものが——二・二六事件だってそうじゃないですか。右翼の方と当時の少壮軍人という人たちとのいわば同志的な関係、癒着の関係というものがあって、ああいう事件が起きたんじゃありませんか。そういう過去の経験というものを考えた場合に、他の団体と違って著しく過剰サービスをやったということでなければいいですよ。しかし、他の団体には全くない特別な過剰サービスというか、便宜供与を楯の会にやってきたわけですね。しかもそういう中で楯の会の中心である三島由紀夫著書等について全く検討もしなかったということは、私はこれは防衛庁としてたいへん手抜かりだったのではないかと思います。荒木国家公安委員長、どうですか。国務大臣という立場で、過去の二・二六事件等の経過を考えて、防衛庁が特定の団体に便宜供与をしていたにもかかわらず、その会の性格について何ら調べもせぬし、またおたくの所管である警察に対しても何の照会もしなかった、まことにうかつ千万だと思いますが、こういうことに対して閣僚の一人としてどういった感想をお持ちでありますか。
  69. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 当然連絡をすべき課題ではないと思います。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 連絡だけではなくて、いま私が申し上げた趣旨に立って連絡をすべきだったと私は思いますけれども、当然すべき課題でなくとも、してもよろしい課題というのが当然あるわけでしょう。しなければならぬ課題ばかりでなくて、してもよろしい課題もあるわけでして、しかも過去の歴史的な経過からいって、行政権を行使する内閣の重要な閣僚の一人として、防衛庁のいま私が指摘したようなうかつな態度というものに対して、当然感想ぐらいあってしかるべきだと思うのです。今後どうされるかというお考えもあってしかるべきだと思う。その点いかがですか。
  71. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 それは緊密をたっとぶ意味において、何らかの連絡があってもよろしいという課題としては受けとめます。
  72. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今後はどうあるべきだと思いますか。
  73. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今後は、類似の事件が起こらないように、細心の注意を払って善処すべきものと思います。
  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 うかつで今回のような事件を引き起こしたということについては、御感想はいかがですか。
  75. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 さっきも申し上げましたように、結果論としては、はなはだ遺憾千万、申しわけないという気持ちがいたします。今後同じことが起こらぬようにという意味において十分注意をしたいと思います。
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも大臣、日ごろ雄弁で、たいへん御答弁されるときもあれば、非常に寡黙なときもございまして、今回はきわめて短い答弁のみに終始されたようで、その点は残念に思います。  時間もあれですから、以下簡単に聞きたいと思いますが、市ケ谷会館で例会をし、その後市ケ谷の駐とん地、特に第三十二普通科連隊、この敷地を使いまして訓練をやっておったようであります。また三島も当初は、三十名で体操訓練と称して三十二連隊の敷地に入り、そうして三十二普通科連隊の宮田連隊長を拘束してクーデターを起こす、こういう計画を立てたようでありますが、このように第三十二連隊の敷地でいつも訓練を許しておったということは、当然楯の会と第三十二普通科連隊との間に非常な親近感といいますか、関連というものがあった、こういうふうに私ども浮け取らざるを得ないのですが、その点はいかがですか。
  77. 中名生正己

    ○中名生説明員 先ほど市ケ谷におきまして二時間の体験入隊を五回認めたと申し上げましたが、これがその例でございまして、実際やっておりますのは、市ケ谷のグラウンドにおきましてかけ足とか体操とかあるいは徒手訓練、騎馬戦、そういうようなものを二時間やったわけであります。これは三十二連隊が訓練をいたしますグラウンドでやったというだけの関係でございます。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その指導は三十二連隊の隊員の方がやられたわけですね。
  79. 中名生正己

    ○中名生説明員 これは三十二連隊は関係しておりません。
  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、自衛隊の隊員以外の方が自衛隊内の敷地で訓練か体操かやっておる。それに対して自衛隊のほうは全然それはかまわぬ。それを注目しておるということも全くないのですか。
  81. 中名生正己

    ○中名生説明員 この市ケ谷の二時間の体験入隊につきましては、東部方面の広報班から二名ついておりまして指導に当たっております。
  82. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今度警察にお伺いしたいと思いますが、私ども地方行政委員会理事会荒木公安課長から、事件直後でありましたが、いろんな事情を聴取いたしました。その際、生き残りました三名を取り調べた過程において、昭和四十五年の三月ごろ、自衛隊とクーデターを起こさなければだめだ、こういう趣旨の意向が三島から話された、さらに昭和四十五年の九月、このクーデター計画をさらに具体化し、国会を占拠して憲法改正を強行しよう、こういうような案を聞かされた、そうして十一月に入りましてから、具体的な行動計画をいろいろ話され、特に先ほど申し上げたように、当初は、十一月二十五日、楯の会の例会で三十名が体操訓練をすると称してこの三十二連隊の敷地内に入る、そして三十二連隊の連隊長を拘束して連隊の決起を促す、こういう計画だった。しかし、当日三十二連隊の宮田連隊長が留守だったということから、急遽計画を変更し、東部方面総監である益田陸相を拘束してそして事を起こそう、こういうようなふうに変更になったという話があったというわけであります。楯の会はこういったクーデター計画計画し実行しようとしたということは明らかだと思いますが、この点はその後の取り調べではいかがですか。
  83. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 三島個人につきましては、いろいろな考え方の変化がこの一年近くの間にあったかと思います。いまおっしゃいましたように、これはクーデターといっていいかどうかわかりませんが、とにかく自衛隊の決起を促すためにやらなければいけないというようなことをいろいろ考えておったようでありますけれども、それがクーデターというような具体的な何か目標なり具体的な手段を考えておったかどうかということは、必ずしもはっきりいたしておりません。とにかくその十一月二十五日の時点において考えますと、クーデター計画というものは全くなかったということが取り調べではっきりいたしております。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その二十五日、宮田連隊長が留守だ、益田陸将を拘束するということを最終的にきめた段階では、これはアジ演説をして自殺をするという計画だったようでありますから、これはクーデター計画というにはなじまないかと思いますが、しかし、その前の三月、九月さらには十一月の当初の段階ではクーデター計画というものもある程度想定をし、計画をしておったということは言えるわけですね。
  85. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私どもの調べでは、そういうことは具体的には出てきておりません。
  86. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、私ども地方行政委員会荒木公安課長からお話を聞いたときには、そういった計画を話された。三名の取り調べの過程でそういう供述があったというお話をされておるわけで、その後どういうわけか知りませんけれども、内閣委員会では、クーデター計画はなかったと警備局長さん言われたそうですが、私はやはり公安二課長の当初のお話と食い違うのじゃないかと思います。この点はひとつ明確にしていただきたいと思います。  それから時間がありませんから、あと防衛庁にちょっと聞きますが、二十六日、黒い喪章をつけた菊の花束が総監部の廊下にあったそうでありますが、総監部の幹部がこれを見つけてあわてて捨てたということだそうですが、そういう事実はございましたか。あの三島由紀夫行動に対して、その後自衛隊員の方がどういう反応を示したかということで私は重要な意味があろうかと思います。  それからその後千名の隊員を無差別で調査をされたそうですが、大部分の人はこの三島由紀夫考え方、特にまきましたあの檄文の考え方には共鳴するというふうにお答えになったそうであります。大部分の方が共鳴をしている。少数ではあるが、大いに共鳴するという方もあったそうであります。ただ、行動にはついていけない、こういう答えがついておったそうでありますが、大部分の方が檄文の考え方には共鳴する、少数の方が大いに共鳴するというふうに答えているということは、私は重大だと思うのです。この点はいかがですか。
  87. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 公安二課長も厳密な意味でクーデターというようなふうに言ったとは、私、了解いたしておりません。クーデターという以上は、やはり政府を転覆するというようなことでございますから、そこまでは三島考えないで、ただとにかく自衛隊に決起を促すということであって、それもただ精神的に鼓舞激励するという程度であって、具体的にどういうふうに立ってどういうことをするのだというところまでは、彼は全然考えていなかったようでございますから、厳密な意味でクーデターということになるかどうか、私どもとしてはむしろ否定的に考えるほうが正しいのではないかというふうに考えております。
  88. 福田勝一

    福田説明員 花束を総監室の前に供えたという事実でございますけれども、これは実は確かにございました。だれがやったかということにつきましては、現在調査中でございます。それからその花束の処置でございますが、用務員室の者がさっそくそれを撤去いたしております。その事実がありましてすぐ直後に撤去いたしております。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それから千名の調査はどうですか。
  90. 福田勝一

    福田説明員 いわゆる反響の問題でございますけれども、おっしゃるように、若い者の間に若干そういうものがあるということも聞いておりますけれども、しかとした数字はあれしておりません。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 警備局長、少なくとも憲法を改正しなければいかぬ、それには自衛隊に決起を促し、国会を占拠して、そして憲法改正を断行するのだという趣旨の話をしているというのです。ですから、これはやはりクーデター計画考えた、こう言って私は差しつかえないと思うのですが、その点念のためにお尋ねしたいと思います。  それからいまお話のありました千人の調査、あの檄文の考え方に共鳴すると答えた人は一体何%で、大いに共鳴すると答えた人は一体何%あったのですか。
  92. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 国会を占拠し云々というようなことはあるいは——この春ごろからそういう十一月二十五日のことを考えておったようでございますから、その期間においていろいろな考え方があったかと思います。ですから、公安二課長が説明いたしましたそういうような問題につきましても、三島の心の中によぎったことはあると思います。ただ、それが何ら具体性を持たないというとでございますから、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、クーデターというような計画はなかった、こういうふうに理解しております。
  93. 福田勝一

    福田説明員 その数字につきましては、資料を持っておりませんので、ここでお答えできかねるのでございます。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 官房長もわかりませんか。それからついでだから聞いておきますが、当日三島由紀夫が演説をいたしましたときに、最後に声を張り上げて天皇陛下万歳、こう叫んだそうです。これに応ずる声が若干聞こえた。だから、三島が天皇陛下万歳と言ったときに、これに応じて天皇陛下万歳と言った人が若干名はおったということが、内閣調査室が監修し、内外情勢調査会が委託編集をしている「国際情勢資料」の中に書いてあります。この事実は一体どうだったのでしょうか。
  95. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 後段のお尋ねの三島が演説をした場面は、大体事実関係は御承知と思いますけれども、ああいう事態のときに急遽部隊に連絡をしまして、約千人程度の者が集まっております。やじも相当ありまして、演説そのものもそう正確には聞き取れなかったようでございます。先ほどのお話しの調査につきまして、天皇陛下万歳とかその他のことが聞こえたということは、私自身直接耳にいたしておりませんが、いろいろなやじが飛んでおりますから、いわば不規則発言といいますか、そういうやじの中の一種ではなかろうかと推測いたします。ああいう場面ですから、いろいろなやじが飛んだということではなかろうかと思います。  それから隊内の意識調査のお尋ねでございますが、これもああいう事件が起きましたので、部内を動揺させないように、大臣から直ちに訓辞が出されました。その訓辞を出すと同時に、隊内の反響ということを当然陸海空ともいろいろ調査をしてみましたが、とりあえずのことでございますので、そう正確にアンケートで数をきめてきちっとというふうにはまいっておりません。いろいろ面接調査なんかをしまして、陸海空ともほとんど全部の者が三島行動、やり方等について全く共鳴していない、批判的である、ほとんど一〇〇%の者が批判している、いわば時代錯誤であるということで、隊内は動揺してないということで、われわれは安心をしておる、こういうことでございます。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 行動にはついていけないという答えはみんなしたそうですが、檄文の内容には共鳴する、大いに共鳴するという答えが多かったそうでありまして、これはひとつ資料としてきちんと出してください。  それからさらに、先ほどお尋ねして答弁する方がいなかったのでお尋ねいたしますが、少なくとも軍刀を持っていった五名の人たちを澤本という三佐が案内して総監室まで行ったということは、私はきわめてうかつなことだと思うのです。一応、これは何ですか、指揮刀ですというような問答はしたそうでありますが、そういった危険な銃砲刀剣等のたぐいを持って——まあ日本刀は一振りですが、よろい通し短刀それぞれ一振りずつ、合計三本持っていったわけです。しかも日本刀の場合ははっきり見えておったわけですから、これを総監室に案内した澤本三佐というのは、少なくともうかつだったんじゃないかと私は思います。このうかつさによってこういう事態を引き起こした、当然責任は問われてしかるべきだと思うのですが、それに対して防衛庁としてはいかなる処分を行なったのですか、またこれからどのような処分をしようとお考えになっておられるのですか、その点お答えをいただきたい。
  97. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、意識調査のことにつきましては、資料というものをはっきりつくってやっているわけではございませんので、資料の御要求でございますけれども、私のお答えで御容赦をいただきたいと思います。  それから澤本三佐の行動でございますが、先ほど御説明したと思いますけれども、確かに三島氏及びそのほかの数名の者が日本刀を持って入っているわけです。結果的には、確かにお話しのように、うかつであったと言わざるを得ないかと思いますけれども、当時の状況から見ますと、事件前の三島由紀夫氏を想像していただけばよろしいかと思いますが、国際的にも非常に高名な作家であり、国内的にもそうで、いわば日本の誇る作家の一人であったわけです。しかもこういう異常な事態を起こそうということはだれ人にも予想できなかったというのが、当時の、事件前の状態でございます。三島氏が楯の会をつくりまして自衛隊の幹部等とわりあい親密な関係にあったわけです。その三島氏から事前の連絡もありまして、通常の手続でやってきたという状況のもとにおいて、軍刀らしいものを見ましたので、それに注意を喚起している。それは何ですかという注意を喚起しているということでございますので、当時の状況からしますと、いわば期待可能性がないといいますか、通常なし得る注意はしている。それ以上望むのは、結果論としては、確かに異常な事態が起きておりますけれども、沢本三佐に対してそれ以上望むのは無理ではなかったかという感じをわれわれは持っております。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 「朝雲」という新聞、これを共済組合が買い上げておるそうですが、共済組合の予算幾ら、防衛庁から出ております一般会計の予算幾ら、そして「朝雲」については何部印刷され、そのうち何分の一がこの共済組合に買われて、他はどのような形でどのような人たちに購読されておるのか、その状況はいかがですか。
  99. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 「朝雲」の全体の発行部数は約九万部でございます。共済組合のお金としまして約二千五百万円ばかりを使いまして、九万部の発行部数のうち約五万五千部程度を買い上げているという状況でございます。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 「今週の日本」というのはほとんど政府が買い上げて出している新聞ですね。九万のうち五万五千を買い上げているということになれば、いわば必要経費のほとんど全部をこの共済組合が引き受けている、こう言って差しつかえないと思うのです。しかも共済組合は、自衛隊員の掛け金もあるでしょうけれども防衛庁の一般会計の予算から相当額支出されているものでしょう。そうすると、ほとんど国の予算でその大半が買われている、こういう状況だ、こう理解してよろしいんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  101. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 数字は先ほど申し上げましたようなことで、約半分あるいは半分以上のものは共済組合が買い上げて部隊に配布をしている。二十数万人おります隊員の福祉厚生、広くいえば、そういうことのために共済組合があるわけですが、娯楽のことも考え、教養のことも考えまして、共済組合としてそういう事業をやっている、こういうふうに御理解いただけばけっこうだと思います。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 問題は、その内容の中に、先ほどから指摘したのですが、三島由紀夫は中曽根防衛庁長官との対談の中で、憲法を改正すべきだ、九条を改正すべきである、そうでなければ自衛隊はろくなものにならぬ、ということを口をきわめて主張をいたしておるわけです。公務員は憲法を守る義務がございます。憲法を守る義務のある自衛隊員、公務員である自衛隊員諸君に対して、公的な金で大半を持っているこの「朝雲」というものをばらまくということについては、私は非常に遺憾に思うのです。どうなんですか、その点は。公務員というのは、入ったときに憲法を守るという宣誓をするわけですから、そういった隊員の人たちに憲法を改正しろという主張の内容を盛られた新聞を、公の経費を大半出している形でばらまくということは、私は非常に遺憾なことだと思うのです。今後こういうことをまだやるつもりですか。
  103. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 「朝雲」に大臣と三島氏の対談が確かに載っております。それ以外の人たちの対談もいろいろな教養という意味で載せておりますし、今後も載せることは多分にあるだろうと思います。その対談の相手方は、もちろん役人の方まおられるでしょうし、政治家の方もおられるでしょうし、いろいろな評論家の方もおられるでしょう。その方々、対談の相手になる方々の思想について、われわれは特に個人的な思想を批判してどうこう申し上げるわけではございませんが、中にはそれは憲法改正を主張される方もおられるでしょうし、別の主張をなされる方もおられると思います。大臣がそれを受けて、その必要はないとか自衛隊はこういう姿勢であるとかいうふうなことを全般の隊員が読むということは、隊員の一般的な教養の向上には役に立つことではないか、かように思います。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これを憲法を守るという義務を持っている人たちに対してばらまくというところに問題があるわけですよ。それは言論は自由ですから、いろいろあってけっこうです。しかし、憲法を守るという宣誓をやっている諸君に、公の経費で買い上げた新聞、しかもその中に憲法を改正しなければいかぬ、そうでなければ自衛隊はだめなんだ、こういう主張のものが入っているというところに問題がある、私どもはかように言っておるわけです。そういった主張を持った方々との対談を今後とも載せるつもりですか。そうしたら私は問題だ、こう思いますがね。
  105. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 たとえば朝雲新聞は、さっき申し上げたように、共済組合も相当買い上げておりますが、朝雲新聞が憲法改正なりあるいはほかの政治的な主張を社説なら社説で掲げておるということでしたら、別の問題になろうかと思います。しかし、評論家の方がいろいろな主張をなさる、それを大臣が受けて、その必要はないとか、そのまた批評をされるというふうなことをやることは、一般に教養、教育のためにある程度必要なことではなかろうか。やはり昔のように制服に与えられたある考え方一本やりだというだけでは、幅のある自衛隊になりませんので、いろいろな主張があり得る、しかし、防衛庁長官としてはこう考えるということを隊員一般に知らすことは必要なことではなかろうかというふうに考えます。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間が参りましたからこれでやめておきますが、私はいままでの問答を通じまして考えますことは、一つは、この楯の会というものに対して防衛庁が非常な過剰サービスをされた、いわば自衛隊と楯の会との癒着関係のはなはだしさが今回のこのような事件を生んだ。しかも三島由紀夫氏は確かに高名な作家です。私はその点は尊敬をいたします。しかし、近著を見れば、「太陽と鉄」とかあるいは「行動学入門」とか、そういったものを見れば、この際革命をやらなければいかぬ、やはり行動を起こすべきときだというような主張を盛んに書いておられるわけであります。そういった危険な思想、今回の事件を想起させるようなそういう文章というものを最近三島由紀夫氏はたくさん書いておるわけですが、そういったものを、先ほど聞きましたら、防衛庁は全く関心を持っていなかった、注意もしていなかった、警察等に対して連絡をするということも一切なかった、こういうことであります。したがって、自衛隊が非常な過剰サービスをしておった団体、しかもその責任者が非常に過激な思想を持っておったということに注目しなかった自衛隊というものは、非常にうかつだったのじゃなかろうか。しかも日本刀を持った人を総監室に案内するというごときも、これも同様遺憾なことだと思います。しかもその後、事件あとにおきましても、三島由紀夫行動に対してある程度の共鳴を感じている隊員の人もおるようだ。花束がささげられたということもその一つのあらわれでしょう。それからまた「国際情勢資料週報」によれば、天皇陛下万歳ということを最後に叫んだときに、大部分はばかとかなんとか言った者がおったそうでありますが、それに同調して天皇陛下万歳ということを唱えた隊員も若干ではあるがあったということを記載いたしております。そういったことを考えましたときに、この際、防衛庁は姿勢を正すべきじゃないのか。今日までの楯の会との異常ともいえる癒着関係というものがこういう事件を引き起こした、これに対して私は、自衛隊はその責任の一半を感ずるべきではないか、かように思うのです。その点に対して防衛庁としてのお考えを承っておきまして、不十分ではありますが、質問を終わっておきたいと思います。
  107. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 いろいろ御批判をいただいたわけでございますが、結論としましては、私どももうかつだったという感じは持っております。しかし、常識的に考えて、まさか高名な作家がこういう異常なことをやるということは万々思い及ばなかったということが、現実の問題でございます。思い及ばなかったのがうかつだったとおっしゃれば、そのとおりでございますけれども、現実の判断としてはそういうことであった。三島行動については、先ほども申し上げましたように、隊内としましてはほとんど全面的に否定をしておりまして、楯の会との関係等につきましても、いろいろ御批判をいただきましたが、体験入隊をたびたびさしたということは確かに反省しなければならない。当時の判断としては、高名な三島氏を全く信用したというところにあったわけでございますけれども、結果的にこういうことになりました点は十分に反省をし、今後そういう体験入隊等あるいはそのほかの団体等の体験入隊等につきましても、十分姿勢を正していきたいという考え方を持っております。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく五・一五にしても二・二六にしても、右翼と当時の軍隊との癒着の関係がああいう事柄を引き起こしたということは、歴史的な事実だろうと思います。やはり当時は高名な作家だからこういうことはせぬだろうと思った、あとになってみれば遺憾だったというようなお話でありますけれども、しかし、そういった歴史を考えました場合には、私は防衛庁というものはもっとこれらの問題について真剣に対処すべきでなかったかということを考えます。しかも、その後海外の新聞の論調等を見ますと、この事件が再び二・二六事件の前ぶれにならなければいいが、あるいは軍国主義復活ということが懸念されているそういうときに、この事件がどういう作用をするだろうか非常に懸念をされる、というような論調も数多くあるわけであります。そういうことを考えましたときに、私は、ただいまの防衛庁の御答弁では、どうもまだ認識が足らな過ぎるのではないかということを考えざるを得ません。五・一五あるいは二・二六事件等の歴史を繰り返さぬように、防衛庁としては今後とも十分な注意をいただくことを強く要請をしておきたいと思います。
  109. 菅太郎

    菅委員長 岡沢完治君。
  110. 岡沢完治

    ○岡沢委員 最初に、私は、自衛隊あるいは防衛庁内部における安全と秩序の維持、具体的には個人の生命、身体、財産を守る責任は警察がお持ちであるのか、防衛庁自身あるいは自衛隊自身がお持ちであるのか、守備範囲の問題をお尋ねいたします。
  111. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 自衛隊内のそういう問題につきましては、当然自衛隊が第一義的に責任を持っておると考えます。
  112. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 自衛隊内の秩序の維持ということは、第一義的に自衛隊がやるべきことであろうと考えます。
  113. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私はその答弁が当然だと思いますけれども、現実には自衛隊の内部、特に方面総監という最高指揮官の一人の部屋で起こった事件に、自衛隊から警察に一一〇番される。私は国民の一人としても納得できない感じがいたします。警察が手に負えない治安の維持等で自衛隊に応援を求められる、これは自衛隊法上も認められておりますし、当然だと思いますけれども、国の安全の責任を負う自衛隊がみずからの安全を守れない、警察に出動を要請する、私はどう考えても納得できないと思うのですが、防衛庁の御意見を聞きたい。
  114. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 国の安全、国の防衛は自衛隊が第一義的に責任を負います。そのことは疑いないと思いますが、今度のような事件が現実に起きたわけですが、そのときに自衛隊行動としましては、部内にすぐ異常ということを伝達しまして、一般の警備員を招集すると同時に、自衛隊内についての捜査権を持っております警務官というのにも連絡いたして、すぐ現場にはせ参じております。同時に警察のほうに二〇番等によりまして連絡いたしております。このことは私どもはしかるべき措置であったというふうに判断をいたしております。  理由としましては、単に隊員がけんかをしたとかというふうなことですと、通常隊内の捜査権を持っております自衛隊の警務官で処理をいたしておりますが、こういう総監が監禁される、命を脅やかされている、しかも上司が何人かけがをさせられているという異常な事件でございます。社会的にも国際的にも、結果的にも非常に大きな反響を呼んだわけですが、こういう異常な事態につきましては、もちろん自分のほうでやるということもいま申し上げましたようにやりましたが、自分だけでやるということでは、事件の処理はなかなかうまくいかないというのが、やはり一般社会とのつながり、一般の第一義的な警察が持っております——警視庁なり警察庁のほうに連絡をしてしかるべきであるというふうに判断をいたしております。
  115. 岡沢完治

    ○岡沢委員 先ほどの警備局長の答弁も、官房長も、自衛隊内における秩序と安全の維持は第一義的には自衛隊が負うということを確認されたわけです。ところが、いま官房長はいかにも言いわけ的に理屈をつけられた。私は、東部方面総監部で処置できないようなこれは事件か、たった五人が、しかも、のこのこと総監の部屋まで日本刀を持って入らしたということ自体も、警察の責任というよりも、自衛隊の国民の信頼を裏切る軍規の弛緩と申し上げてもいいと思うのですけれども、さらに警察官の応援を得たことを当然のことのように官房長がおっしゃる。昔の軍隊で警察の力を借りて内部の治安あるいは安全の維持に当たったなどと聞いたことない。いまの自衛隊が軍隊そのままだとは思いませんけれども、重ねて官房長、いまの御答弁で当然だというお考えかどうか、質問いたします。
  116. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 かりに昔の軍隊でございましたら、あるいは陸軍の憲兵隊等で処理をしたかもしれません。しかし、現在の自衛隊はそういう考え方をとりません。もちろん一般の自衛隊の中の秩序維持のこと、それから一般の警察との関連ということで、一般的に最初にお尋ねになりましたので、関連的には隊内の秩序維持は当然自衛隊が第一義的に負うことでございますとお答え申し上げたわけですが、それは警察を排除するという意味で申し上げたわけじゃございません。先ほどもお答えいたしましたが、第一義的にもちろん自衛隊が責任を負うわけでありますけれども事態によりましては、当然一般の警察、専門の強力な警察力を持っているほうに連絡をして事態の鎮圧なり処理に万全を期するというのが当然なことであるというふうに考えます。今度の事件にそういう考え方を当てはめてみまして、今度のような事件がかりに二度起きた場合には、やはり同じような処置をとるべきではないか、警務官ももちろん働きますけれども自衛隊だけで処理するというようなことをしないで、一般の警察のほうにすぐ連絡をして、協同して事態の鎮圧にも当たるし、捜査にも当たるということが正しいやり方ではないかというふうに考えております。
  117. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私は意見が違います。自衛隊内部の、しかもたった五名によるこういう暴力事件一つを自分の手で秩序を保てないで、どうして国の安全、秩序の維持に当たり得るという信頼を国民が持ちますか。私は先ほど来の官房長の答弁を聞いておりますと、幅のある自衛隊、わかったようなことをおっしゃいますけれども、われわれはもちろんシビリアンコントロール、また昔の軍隊と違うものを要求します。しかし、少なくとも自衛隊の内部においては軍規の維持と申しますか、厳正な規律ということは当然要求される。そうでなければ、われわれが四次防とか、大きな国民の税金の負担でどうして協力できますか。たった五人の暴漢に対する鎮圧を強圧な警察権を持っている警察——自衛隊よりも警察のほうが強力な警察権を持っているのですか。私は国の安全と防衛を任とする自衛隊のほうが当然警察以上の、この事件に対しても強力な武器を持ってあたりまえだと思うのですが、どうですか。
  118. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 御意見でございますけれども、私ども考え方は多少お説と違うように思います。国の防衛、たとえば侵略がありました場合には、それを防衛するという防衛行動と、それからそういう暴漢なり殺傷があったという場合の警察行動と、おのずから事態性格が違うと思います。そういう殺傷事件があるというふうなことは自衛隊の専門的な分野ではございません。やはり日本国内における行政組織の中で一番専門的分野は警察であろうと思います。税をとることは税務署が専門である、事態を鎮圧したり、そういう刑事事件がありました場合に、それを捜査したり鎮圧したりすることは警察が一番専門である、国に対して侵略があった場合に、だれがやるかといえばそれは自衛隊である、役割りはそういうふうになっているものとわれわれは考えます。
  119. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私は官房長とこれ以上つまらぬ論争をしたくないと思いますけれども、この人が官房長であれば、私はいまの日本の防衛に対する信頼感というのは国民の一人として持てないということを、はっきり断言したいと思います。間接侵略に対しても自衛隊は国の安全を守る義務があるはずです。いまの場合、東部方面総監が、陸将が、昔の大将が、あるいは軍司令官がたった五人に縛り上げられて手も足も出ない。これで防衛庁あるいは自衛隊に対して国民が安心して税金を払い、あるいはわれわれの安全をまかせられると思いますか。
  120. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 間接侵略のことをおっしゃいましたけれども自衛隊法をよく御存じだと思いますが、自衛隊は、まず国を防衛することのほかに、治安維持に当たることも任務として与えられております。しかし、よく御存じと思いますけれども、間接侵略その他の緊急事態がありました場合には、第一義的に警察がやれよと書いてあります。相手がもっと大きくなりまして、警察力が不足する場合に、初めて自衛隊警察のうしろ立てとしてお手伝いするのであるというふうに書いてあります。(岡沢委員「一般の場合はそうだけれども自衛隊内部の問題はどうなんだ。」と呼ぶ)そういう一般の刑事事件としては、やはり警察が第一義的に処理をされるというのが筋であろうというふうに考えます。
  121. 岡沢完治

    ○岡沢委員 重ねて官房長に聞きます。自衛隊内の安全と秩序の維持は、第一義的な責任はどちらにありますか。
  122. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 先ほども申し上げましたが、自衛隊の管理権の及ぶ自衛隊内部の秩序維持は、第一義的には自衛隊であるというように考えます。
  123. 岡沢完治

    ○岡沢委員 今度の十一月二十五日の三島事件は、自衛隊内の事件と違うのですか。
  124. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 その点では自衛隊の施設の中の事件であることは明白です。そこで警察との関連がお尋ねのように出てまいるわけです。それで、先ほどの答えと重複するかもしれませんけれども、こういう社会とのつながりも、大きい異常な刑事事件に関しては、自衛隊ももちろんやりましたけれども自衛隊だけでやるという考え方はいかがなものであろうかというようにわれわれは考えているということを申し上げたわけです。
  125. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私は一官房長を責めてもしかたがないと思いますけれども、ほんとうに防衛庁の姿勢がこんなであれば、私は四次防なんかに協力する気持ちは全く失う、国民としても防衛庁に対する信頼をぐらつかせざるを得ない。単なる事件以上の問題がいまの官房長の姿勢にある。本日の委員会に対しましても、先ほど山口委員も指摘されましたが、防衛庁長官も出てこない、政務次官も出てこない、局長も出てこない、やっといま防衛庁の官房長が十二時までと時間を区切って出ておる。これだけの大きな事件で国民に大きな衝撃を与えながら、全く姿勢がなっていない。軍隊の命脈は軍紀なり、規律が弛緩していかにたくさんの税金を使い、人員を使っても、国民に信頼される強力な防衛力がどうしてできますか。私は、どう考えてもいまの官房長の態度は納得できません。反省があってしかるべきだと思いますが、国務大臣として荒木国家公安委員長の御意見を聞きます。
  126. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 防衛庁自衛隊は、あくまでも第一義的な秩序維持の責任を持つべきものと思います。
  127. 菅太郎

    菅委員長 委員長として、いささか異例かもしれませんけれども、岡沢委員が聞いておりますことは、防衛庁内で起こったことについて、あとの刑事捜査のことを言っているのではありませんよ。秩序の維持について、総監がやられておる状況に対して、自衛隊は自分で排除する力がないのかということを聞いているのであります。その点について官房長、もう一ぺん御答弁願います。この委員会でこういうことをはっきりさせておかなければいけません。
  128. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 お尋ねが、警察との関係のように私には受け取れましたので、警察との関係を先ほどのように申し上げたわけでございます。  総監が監禁されましたときの状況でございますが、先ほどあるいは事実関係は御説明申し上げたかもしれませんが、すでに御承知かもしれませんけれども、不意をつかれて監禁をされたわけです。それを救うのに、もちろんいまのお話の、部内の秩序維持ということから、自分は何もしないで警察をすぐ呼んだというわけではございませんで、異常ということですぐ部内の警備員を招集する、捜査権を持っている警務官も招集する、そして隣の部屋で会議をしておりました幕僚、副長以下十数名の者がすぐかけつけて、ドアをけ破って中へ入っております。もちろ三島が刀をふるうということも、当人もまだそのときにはわかっておりませんで、け破って入りましてから顔を切られ、背中を切られ、腕を切られたというふうな、異常な事態が瞬間において現出したわけです。そこまではそれ以外の方法はちょっととれないぐらいに即座にやりまして、観念的に言いますと、秩序維持という、そういう法律的なことを考え行動したわけじゃないと思いますけれどもあとから裏づければ、部内の秩序維持は自分たちでやるのだということに、観念的に言えば言えるかと思います。同時に、もちろん自衛隊警備員も招集して周囲を固めております。と同時に、こういう異常な刑事事件であるというふうなことから、警察のほうにも連絡をして、以後は一緒に捜査をしている。部内の鎮圧にも相談して一番いい方法をやっているということになっているわけでございます。
  129. 岡沢完治

    ○岡沢委員 ここで理屈をごねることは避けたいと思いますけれども、昔の軍法会議等がないだけに、裁判とかあるいは起訴とかを裁判所にまかされ、あるいは補充的な捜査を警察官にまかされる。それは被疑者と申しますか、犯罪者と申しますか、これを自衛隊から警察に引き渡された以後において、警察の御協力を求められるということはよくわかります。しかし、自衛隊総監——東部方面総監といえば昔の東部軍司令官でしょう。この人がたった五名の民間人に縛られて、その防衛といいますか、安全を守るために警察の助けを借りなければならぬ、これで国民にほんとうに自衛隊を信頼する気になれとおっしゃるのは無理じゃございませんか。特に軍隊の場合、やはり秘密の保持ということもございます。警察自衛隊はそれぞれ任務も違います。私は、簡単に警察の方々が自衛隊に、当然の権利として、あるいは義務としてお入りになるというようなことがあった場合に、やはり多くの問題が起こってこようという感じもいたします、危惧もあります。私は、防衛庁の官房長としての宍戸さんの姿勢というものについては、どう考えても納得ができない。私が委員会でこういうきつい発言をさせてもらうことは、過去四年間にめったになかったことですが、国民にかわって、いまの防衛庁官房長の姿勢は納得できないということを指摘させてもらいたいと思います。  それから、事実関係の中で、特に千名の隊員を、三島の命によってかどうか知りませんが、お集めになって、しかもその演説が終わった以後、解散という指示をだれかがなさったそうですけれども、隊員は、三島の自決等をそれとなく聞いて、その命令に従がわぬで、ほとんどの者が解散しなかったという新聞報道がございました。指揮官の命令に従わない自衛隊、軍隊、これも国民から信頼されない。こういう三島事件の事実関係と結びつけて、この自衛隊の軍紀の弛緩、これは軍ということばをそのまま使っていいかどうか別問題といたしまして、指揮の命令を無視するような隊員によってささえられる自衛隊というものに対して、国民の一人としてどう考えても私は信頼感を失うわけであります。私は、ここで申し上げるまでもなく、いかに数量を誇る自衛隊の充実がありましても、国民の信頼を失った自衛隊が何で国の安全と秩序を守れますか。こういう点から申しましても、今度の事件は単に三島事件以上のものをわれわれに問題として提起していると考えるのでございますが、官房長の見解を聞きます。
  130. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 あのときの事態考えてみますと、事実関係を追ってみますと、やむを得ず部内に放送等をしまして千人ばかり集めましたが、いま御批判のような命令ということで集めたわけじゃございません。部内のことばでいいますと、事務連絡といいますか、回報といいますか、部隊を直接上下の関係で指揮する、この部隊はこういう行動をとれとかいうふうな命令とは違いまして、ああいう事態のときに万やむを得ませんので、総監の命を救うためには三島の要求どおりにせざるを得ないだろうということから——いろいろな部隊があそこにまじって入っておるわけですが、命令系統の違う部隊も入っておるわけですが、それを集めまして、三々五々集まってきて次第に千人くらいになったというのが、まず事実でございます。それで、ああいう事態になりまして、三島の割腹ということがわかりまして伝わりましたので、みんなはショックを受けたと思います。それで解散ということをあるいは連絡したかもしれません。その事実そのものは、私は何時何分に解散というようなことをだれが言ったかいま確かめておるわけではありません。もう済んだから解散ということは、だれかが言い得ることだと思います。しかし、それも直ちに上下の関係における命令、法律的にいいます命令というわけではないと思います。しかし、事態がおさまって総監も出てきた。総監もそこで若干の訓辞的なことを言っているようですが、済んだから部隊はみんな職場に戻れというような注意は当然したと思います。しかし、非常に異常な、全くあり得べからざる事態で、隊員も非常にショックを受けておったというようなことから、一斉に普通部隊行動を整々とやりますけれども、ああいうときですから、いろいろの私語をしながら、批判をしながら自然に解散をして、職場に戻ったというのが事実だろうと思います。  そういうことから考えますと、御批判のように、直ちに上官の命令を無視する自衛隊というふうにおとりになるのは、少し酷ではないかという感じがいたします。自衛隊は二十数万おりますけれども、われわれの見ます限り、もちろん例外的なのも絶無とは申しませんけれども、規律も正しい自衛隊である、そういうふうに育っていきつつあるというふうに考えております。
  131. 岡沢完治

    ○岡沢委員 さっきからの答弁を聞いておりますと、高名な作家だからとか、万一予想もしなかったからだとかおっしゃいます。しかし、予想しない事態に備えるのが防衛庁の任務の一つじゃありませんか、万一に備えるということが。またいまのお話を聞きましても、だれが指揮をして集めたかもわからない、解散を命じたかどうかもわからない。しかも千人からの隊員が集まっておる。こういうことで、ほんとうの指揮命令系統がはっきりしている、あるいは上官に対する服従がはっきりしておると言えますか。益田陸将が縛られたらそれにかわって当然次の資格のある人が指揮をとるべきじゃありませんか。そういうこともはっきりわからないということ自体、私は異常だと思う。簡単に、二十数万の自衛隊は士気を保っておるとおっしゃったって、現実の行動、現実に軍司令官が、総監が、たった五名の民間人に縛り上げられて、それで軍紀は弛緩してないとおっしゃったって、それは無理じゃございませんか。ほんとうの意味で、私はもっと真剣な自衛隊であっていただきたい。私たちは法律問題、憲法問題を抜きにして、国民に愛され、国民に信頼される自衛隊こそ、ほんとうに必要だという感じを持っておるわけです。そういう点からしました場合に、官房長の御姿勢というものあるいは防衛庁全体の姿勢につきまして——私は何も、昔の軍隊をつくれとか憲法違反の軍隊でいいなんということは、決して考えておりませんけれども、やはり何か弛緩したものあるいは国民から見てだらしない、不信感を持たざるを得ない現実をまのあたり見せられた感じです。三島事件とは別に、私は防衛庁の姿勢そのものをこの際正していただきたい。むしろ願望に近い意見を私は述べたいと思うわけです。昨年でしたか、防衛庁に対する暴力学生の侵入事件がございました。防衛庁の場合は第一戦部隊でないだけに救われた感じがいたしました。ある意味で、それほど日本の防衛庁がいわゆる平和に徹しておるという見方すらできましたけれども、今度の場合は、東部方面総監、第一戦の、しかも首都を守る軍司令部じゃございませんか。その軍司令官が縛り上げられて手も足も出ない。警察に助けをかりる。それで自衛隊を信頼せいは無理じゃございませんか。何千億の予算を使いながら、そうおっしゃっても無理じゃございませんか。私はどう考えても、防衛庁の、本日の委員会に対する姿勢も含めて、反省を求めたい。  いろいろ申し上げとうございますが、時間の関係で質問を終わりたいと思います。
  132. 菅太郎

    菅委員長 官房長に申し上げますが、いまのような質問に対して、あなたは、今回の事件における防衛庁のあの数時間の警備、防衛の非常なだらしなさに対して、防衛庁を代表して遺憾の意を表する気持ちはありませんか。あなたは言いわけをしておられるが、それはみな納得していない。与野党通じてのことでございますよ。何らの所感がこの点についてないというのは、当委員会は不服であります。委員長として申し上げます。あなたは少なくとも遺憾の意を表明されたらどうですか。
  133. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 事実関係のお尋ねにつきまして事実関係としてお答えしたつもりでございますが、いまの委員長の御発言に対しましては、ああいう事態東部方面総監部の中で起きたことは、自衛隊としましてたいへん遺憾に存じております。
  134. 菅太郎

    菅委員長 岡沢委員、それでよろしゅうございますか。
  135. 岡沢完治

    ○岡沢委員 与党から、委員長から言われたら遺憾の意を表された。私があれほど言っても、全く責任感のない御答弁に終始されたということに対しては遺憾でありますけれども委員長のお取り計らいに対しては敬意を表して、終わります。
  136. 菅太郎

    菅委員長 次に、林百郎君。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、この問題で主として警察との関係についてお尋ねしたいのですが、これは言うまでもなく、この檄文を見ますと、「憲法改正がもはや議会制度下ではむずかしければ、治安出動こそその唯一の好機であり、われわれは治安出動の前衛となって命を捨て、国軍の礎石たらんとした。」要するに、憲法改正を治安出動の力で行なおうということが、この檄文にも載っているわけなんですね。そうしてこれは楯の会の結成の趣旨と目標ですが、左翼と対決するには量と質が必要な時代である。武器も要る。武器を入手して使い方を知らなければならない。したがって、自衛隊に体験入隊一カ月以上の者で結成するという目標を持って、そして軍人精神の涵養、軍事知識の体得、軍事技術の練摩というようなことを行なっておる。これはとうてい現憲法下では許されない組織なんですね。しかも、ことし発行されました「右翼事典」社会問題研究会編、双葉社発行で見ますと、これは昭和四十三年の九月に結成されております。容共政権の成立や外国軍隊の侵入に備えた民兵になるのだ、こういうことが参考としてそれには書いてあります。要するに、結成は昭和四十三年九月、それから例会は月に一回、訓練は月に二回行なっていく。こういう極右翼の、非常に危険な、とうてい現憲法下で存在を許されない組織が、昭和四十三年九月に結成されておるのですけれども警察では、いっこの楯の会の組織についてお知りになったのですか。
  138. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 九月——どもは十月と思っていましたが、その時点は別にいたしまして、楯の会が設立されました当初から、楯の会の性格に応じた視察を私どもはやってきております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、四十三年の時点では、九月、あなたは十月と言いますが、そのころからマークしていたことは間違いないですね。もう一度念を押します。
  140. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 申し上げるまでもなく、警察警備情報活動というのはたいへん広うございまして、遠い将来をおもんぱかっていろいろなことを考えながらやっておるわけでございます。楯の会につきましては、いろいろ、ただいまお読みになりました檄文なり、あるいは昨年の十一月三日の国立劇場でパレードをやりましたときに配られました「楯の会のこと」という文書の中にもいろいろ書かれておりますけれども、私どもは、そういうものを総合的に判断いたしまして、あえて申しますれば、蓋然的に将来危険性があるといえば言える。だから、私どもは、その程度においてずっと視察をしてまいっておるわけでございまして、昨年十一月三日の国立劇場のその行事については、私ども十分見ておりました。また、この十一月二十五日に市ケ谷会館で三十二名の楯の会の会員が集まりましたそのことにつきましても、私どもはそれなりに視察員を派遣いたしまして見ておったわけでございまして、あの時点で、ああいうことをやるとはだれも予想できなかったわけでございます。ただ、将来の蓋然的な危険性に備えて私どもとしてはいろいろ見ておった、こういうことでございます。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 当日ああいう行動の起きることは予想しなかったと言いますけれども、これはもう最初から武器が必要だということを言っておるのですよ。武器を使用して、そして治安出動する、国会で、議会制のもとでは憲法が改正できないから、治安出動によって憲法を改正するということを前から言っている団体で、みずからも武器を持つ必要がある、そして左翼勢力に対しては民兵としての役割りも果たすということを言っているのですから、蓋然的で想像がつかないなんてばかなことないじゃないですか。先ほどからの話を聞けば、有名な人だったとか、あるいは文学の権威者だったと言いますけれども、それじゃ、有名な人なら、文学者なら何をやってもいいのですか。こんな、公然と憲法を否定するようなことを檄文にしてまいたり、あるいは国立劇場でパレードをやったり、あるいは、この規約によりますと、月に二回ずつ自衛隊へ行って実地訓練して、武器の使用を訓練するというのでしょう。そんな危険な組織を、蓋然的に危険があるということは考えていましたが、具体的には考えませんでした。先ほど、防衛庁のだらしなさを同僚議員が指摘しておりましたが、私は、警察もだらしないと思うのです。だらしないんじゃなくて、防衛庁警察と一緒になって、むしろなれ合いで育成してきたとすら私は考えたいのですけれども、この日の前日、警視庁で署長会議を開いて、最近の行動右翼の動向について厳重な警戒を指示したということが新聞に出ております。これは事実あったのですか。これは新聞に出ている記事です。
  142. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 警視庁のそういう署長会議があったことは私ども承知していません。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 これは公安調査庁長官にお尋ねしますが、こういう目標を持った組織は、危険な右翼暴力団体と認めるべきだと私は考えますけれども公安調査庁ではどういうように考えているのですか。
  144. 川口光太郎

    川口説明員 御承知のように、破防法の対象団体は、暴力主義的な破壊活動を行なった団体で将来もその危険性があるという場合に、この調査対象になるのでございまして、この楯の会は今度初めて暴力的な事件を起こしたのでございまして、その瞬間から私たち調査の対象にして調査を続けております。過去においては単なる心身の鍛練団体ではないかというように考えまして、注意はしておりましたけれども、正式には調査をしておりませんでした。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 左翼に対しては要らざることまでやって、盗聴器まで備えつけたり——これは公安調査庁が直接やったかどうかは別として、公安調査庁の意図を受けて会合に盗聴器までつけて探査をするというような公安調査庁が、楯の会については、事件が起きてから初めて危険団体だということで、対象として調査を始めたようなことは、公安調査庁もまたこれを育成してきた一つの重大な責任があると私は思うのですよ。  そこで、もう一つ危険な事情についてお話しますが、これは、この二十五日のフジテレビで、三島由紀夫・楯の会の自衛隊侵入事件の特集番組を放映したのです。これに出演した藤原弘達氏は、その際の模様を次のように語っている。もちろんこれは去年ですよ。去年、楯の会の青年数名と座談会があったが、そこで会員は、共産党の宮本顕治を殺すと言った。そのとき楯の会の青年は、憲法改正して自衛隊を正式に認めさせる、もはやテロ、クーデター以外にはないのだ、そして共産党の宮本顕治を殺す、いまの体制は気にいらぬ、こういう話をした。共産党の宮本顕治を殺し、全共闘に対する自衛隊の治安出動をきっかけにしてクーデターを起こすなど、あまりひどい——これは藤原弘達氏ですが、あまりひどい内容なので、たしか、放送の座談会でしたが、放送局ではこの部分はカットした。もう二十五日のフジテレビでは、テレビに出るということを意識して、楯の会の会員はこういうことを公然と言っているんですよ。それにもかかわらず、公安調査庁は、いやあ、それはまだマークしておりませんでした、警察は蓋然的にマークしてました、それで責任を果たしたことになるのですか。さらに荒木公安課長のわれわれへの報告によりますと、社会党の本部だとか、あるいはソ連の大使館だとか、あるいは日中友好関係を進めている自民党の議員までも具体的にねらっていたというのでしょう。それなのに、まだあなたのほうは、この会は蓋然的にそういう危険性があるかもしれないが、具体的にこうやるとは思っておりませんでしたなんというようなことだけで、責任を果たしていたと考えられますか。それがいかに高名人であろうと、どんな文学者であろうと——私は三島由紀夫氏の文学については私なりの見解を持っておりますが、だからといって、それが許されることになるのですか、警察庁にお尋ねします。それから続いて荒木さんにも、公安調査庁の長官にもお尋ねします。警察にも責任があるのじゃないですか。
  146. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 先ほどから楯の会についていろいろ御意見がありましたけれども、たとえば個人の人柄にしましても、あるいは団体性格にいたしましても、それについていろいろなことがあるわけでございます。私どもは、やはり客観的に、総合的に判断しなければならないわけでございまして、楯の会でも、三島は精神的な軍隊だということで言っておりまして、そしてわれわれはぎりぎりのときが来るまでは街頭行動もしない、石も投げないというようなことを、楯の会の中ではっきり言っておるわけでございます。そういうようなことから総合的に判断いたしまして、これは何もきょうあすそういう心配なことをやるような団体ではないと、私ども判断いたしたわけでございます。先ほど楯の会について防衛庁と同じように警察が育成したのだとか、いろいろおっしゃいましたが、そういうことは全然関係のないことでございまして、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 客観的にはそうなるということですよ。荒木公安課長が、われわれの理事会で報告をしたときの例によりますと、これはまあ自供によると言っておりますけれども三島は今年三月ごろから、クーデターで国会を占拠し、憲法を改正しなければならないと主張し始めた。それから二十三日、パレスホテルに五人が集まった。二十五日の行動は、三島が自宅から自動車で移動したため、掌握はできなかったが、そういうことがあった。それから特に中曽根防衛庁長官の国会での答弁、佐藤首相の答弁に反発を示してき出している。特に自民党の古井喜實代議士、共産党本部、三十日から開かれる社会党大会、ソ連大使館などを警戒しなければならない状態になってきている。こういうことが起きてから、こういうことを言い出しているのですね。その前からこういうことは知らなかったのですか、楯の会がこういう危険な団体だということをですね。ことに右翼と異なっておるところは、自衛隊へ入って体験訓練をして、そして武器の使用方法を身につけた者を会員にするというのでしょう。こんな右翼団体が他にどこにありますか。自衛隊へ入って体験訓練をして武器の使用をした者、七十名ですか、七十名で組織している。そういう楯の会が、いつ訓練された武器の使用を現実化するかわからない、こういう警戒を警察が持たないということはおかしいじゃないですか。どうですか。
  148. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私どもが知っております範囲では、武器の使用というのは、これは自衛隊の体験入隊、そういうものを通じまして、彼らは心身を鍛練するということのためにやっておったというふうに聞いておるわけでございまして、そういう武器を使って、将来クーデターのときにやるのだ、こういうふうにはいささかも私どもは了解をいたしておりません。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 そんなことを言うのが、警察が楯の会を育成してきたという大きな客観的な事由になるわけです。この檄文を読んでごらんなさい。「われわれ楯の会は自衛隊によって育てられ、いはば自衛隊はわれわれの父でもあり、兄でもある。その恩義に報いる」云々といっているじゃありませんか。というのは、自衛隊と非常に密接な癒着関係があったということでしょう。自衛隊と密接な癒着関係があったということは、自衛隊の中で特別な訓練の機会を得て、武器の使用やいろいろな訓練を受けていた、そして自衛隊の治安出動を呼びかけていた、その機会を待っていた、そういうことじゃないですか。単に道楽で自衛隊に入っていたということじゃないでしょう。そしてパレードですね、昨年十一月国立劇場で閲兵式を行なっている。閲兵式を行なう右翼がありますか。閲兵式ですよ。みんな軍隊の服装をしているじゃありませんか。そういう右翼中の右翼、最も危険な右翼じゃありませんか。それを、自衛隊へ行くのは心身の鍛練であろう、そんなことで見ているという警察はどこにありますか。あなたはそれでほんとうのことを言っているのですか。
  150. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いま昨年十一月三日の観閲式のことをおっしゃいましたけれども、あれは別に銃剣を帯してやっておるわけじゃなくて、三島が楯の会のことで言っておりますように、あるいは人はおもちゃの軍隊と言うかもしれないがというようなことで、まあ銃剣も持たないで、ただ整列しあるいは行進するというようなことは、別にたいへん危険なことだと私どもは見ておらないわけであります。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 見ておらないといったって、現実にそういうことをやっているじゃないですか。やっておることを、見ておらないということは、あなたの目がどうかしているということでしょう。それはあなた、いま捜査しているのでしょう。捜査している連中の自供では何と言っているのですか。武器など使用しないと言っているのですか。その点だけでいいですから、言ってください。
  152. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 武器は使用いたしません。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 武器を使用しなければ、自衛隊で訓練したのは何なんですか。
  154. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、それは心身の鍛練のためであるというふうに了解いたしております。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 了解ではなくて、楯の会の者の自供がどうなっているかということを聞いているのですよ。楯の会のこの檄文を見ましても、「われわれは治安出動の前衛となって命を捨て、国軍の礎石たらんとした。」というんですよ。治安出動の前衛となって命を捨てて国軍の礎石となるものが、武器を使用しなくてできますか。そんなこと、あなたいいかげんな言いわけじゃありませんか。
  156. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 武器と申しましても、そういう禁止されている火器などは持つはずがないわけでございまして、彼は民兵ということばを言っておりますように、そういうおっしゃるような武器を使ってどうこうということはないわけでございます。したがって、おっしゃるような、彼が自衛隊で武器の訓練などということを——どういう形ですか、私はつまびらかにいたしませんが、それはあくまでも心身の鍛練のためにやっているというふうに理解いたしております。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの理解を聞いているのじゃないのですよ。  そうすると、楯の会の綱領を資料としてこの委員会へ提出してもらえますか。
  158. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 楯の会には綱領はございません。したがって、彼の言ったこと、あるいは先ほどからお読みになっている檄文とか、あるいは三島の最後にやった演説とか、そういうことから判断する以外にないわけでございます。  取り調べでどうかということでございますけれども、私どもが今日まで取り調べてまいりました結論を申しますと、三島は、あくまであそこへ行って自衛隊に訴えて、そうしてその場で死ぬということでございまして、それ以上彼が危険なことをやるということは、一つも取り調べからは出てきておらないわけでございます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 自分だけが死ぬのではなくて、ともに立って死のうと言っているのですよ。ともに立って治安出動しようと言っているのです。そうして死のうというのですよ。
  160. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 御承知のとおり、治安出動は、総理大臣が命令するわけでございますから、幾ら三島が治安出動しようと言ったからといって、できるものでもありませんし、また私どもはあの長い檄文をずっと読んで見ましても、結局三島がただ精神的に自衛隊を叱咤激励したということでございまして、具体的な行動をどうしろということは、その中からは私どもは読み取れないのでございます。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、あなたは楯の会が日本刀を使って傷害罪を犯したことは認めないのですか。現実に行なっているじゃないですか。あなたの言うように、武器が火器であるかないかは別として、日本刀をさげていって、その日本刀は切腹するだけじゃなくて、他人も切りつけているじゃありませんか。それが心身の鍛練をしているだけの会だ、他人を傷害するような、あるいは左翼と場合によっては武器を使って対決するような組織では全然ないということがいえますか。現実に人を傷害しているじゃないですか。じゃ、これは心身の鍛練のために切りつけたのですか。あなた、そんなばかな理屈がどこを通りますか。日本刀は武器じゃないのですか。どう思うのですか。
  162. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 武器でございますけれども、別に心身の鍛練のために人を傷つけるということを彼らは学んだわけではございません。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言うことはもう筋が通りませんよ。心身鍛練だ、心身鍛練だと言っていますけれども、心身鍛練ではなくて、それは左翼に備えるために治安出動の前衛になる、そしてまた民兵としてみずからの命を捨てて国軍の礎石になるんだということが檄に書いてあるじゃないですか。ということは、左翼と対決する、その場合には武器を使う、その武器を使うことについては、自衛隊に入隊して訓練を受ける、自衛隊では特別に四十数日間ですか、異例な入隊を許して訓練をさしている、これは自衛隊の責任です。しかし、そういう危険なことをやっているにもかかわらず、それを、あれは心身鍛練をしているんだなんという認識で警察のあなた方が見ていたとすれば、それを泳がしているというのですよ。そんなばかな話がどこにありますか。  それじゃ、お尋ねしますが、昨年の八月ごろ、警視庁警察か、これは伝え聞いているところではわかりませんけれども、最近の右翼について通達を出したことありませんか。
  164. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 警視庁には、御承知のとおり、公安三課という右翼関係を専管する課がございまして、これは絶えず右翼危険性について管内の署に通達を出して十分見るようにとやっておますので、別にいまおっしゃる、そういう八月の時点でどういう内容のものを出したかということは存じませんけれども、絶えず公安三課からは管内の署に対して右翼団体に十分——右翼団体と申しましてもいろいろございますから、そういう直接行動に走りやすい右翼団体については十分注意するようにということの通達は出しておるはずでございます。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 その対象に楯の会があったのですか、なかったのですか。
  166. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 ございません。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 ない。これは私たちが聞いているところでありますが、昨年の八月、これは警視庁警察庁か知りませんが——そうすると、警視庁はいいのですが、警察庁のほうにはないのですか。昨年の八月、右翼の動向について、右翼の情勢について注意しなければならないという通達を出したことはありませんか。
  168. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 通達として出したことはないと思いますが、しかし、楯の会につきましては、先ほども申し上げましたとおり、設立の当初からそれなりの視察はしてまいっておるわけでありますから、そういうものが資料として出ておることはあると思います。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 どういうことなんですか。そうすると、昨年の八、九月ごろ、警察庁のほうから楯の会についての資料を配付したのですか。配付したとすれば、さっきあなたが言うように、心身の訓練のために楯の会が自衛隊に体験入隊しているんだということにとどまらない、だからひとつこういう注意をするようにということの資料以外の何ものとも考えられませんけれども警察庁のほうから楯の会について昨年の八、九月ごろ出した資料というのはどんなものですか。
  170. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 八月ごろ出した資料とおっしゃいましても、なかなかいますぐにはわかりませんので、また調べて後ほどお答えいたしたいと思います。  それから、自衛隊で何か武器の訓練をして、それが今度総監室でああいう人を切りつけるというようなあれになった、そういうようにもとれるわけでございますが、あのときに刀を振り回して人を傷つけるということは、何も自衛隊で一カ月も訓練しなければできないことでもなく、直接関係はないというふうに私は考えております。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 そんな子供じみたことを私言っているんじゃないですよ。人の生命を傷つけても憲法を改正して、そしていまの自衛隊を正式な軍隊にするのだ、そのためには人の生命を断つのだという思想を常に持っているから、日本刀なんかぶら下げてどこへでも出入りする。自分のことをそこなう者は切ってもかまわぬ、そういう思想、そういう組織、そういう訓練を受けている一つのあらわれじゃないかと言っているんですよ。自衛隊へ入って武器の訓練をした、それが日本刀総監に切りつけたことと直接結びつくかどうかということは別としても、人の命を断つ。たとえば左翼、あるいはあなたのほうの課長の言うには、古井喜實さんなどをねらっている。共産党の本部もねらう、社会党の大会もねらう、こういう思想、こういう訓練、こういう性格を持った組織、だから日本刀をぶら下げていって中へ入っていって人を縛りつけて、そして人を縛りつけるような、そういう人権をじゅうりんするようなことはやめよと言う者に対して切りつけるということをやるんじゃないんですか。それはそれでいいですよ。あなたみたいな機械的な幼稚なことを私は聞いているわけじゃない。  それで、昨年の八、九月ごろ楯の会について出した資料というのは、あなたの記憶では大体どんなものだったのか。あなたの記憶に残っていることを言ってみてください。私のほうでも聞いてもおりますが、あなたの聞いたものを言ってください。
  172. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私、ことしの七月から警備局長をいたしておりますので、ちょっと調べないと、昨年の八月ごろのことはいま直ちにお答えはできないのでございます。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、あなたの口で言うのは、昨年の八月、楯の会も含めて右翼についての資料を各管区の警察に配付をした、こういうことなんですか。
  174. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いや、その点が正確にわかりませんので、調べてお答えをいたしたいと思います。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 昨年の八月というのは、あなたの口から出たことじゃないですか。この中でだれか知っている人いませんか。それが大事ですよ。私の聞かんとするのは、昨年の八月ごろ気がついているのに、何でそれまで、ずっと泳がしているのか、そしてこういう事態を起こさせたのかということなんです。昨年の八月、これはあなたの口から出たのですよ。昨年の八月、楯の会の資料を配付したことがあります、こう言っているんですよ。それはあなた、速記に載っているんだから、取り消すわけにはいきませんよ。
  176. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いや、資料を配付したかもしれませんと言ったので、配付しましたとは私言っておりません。それで、昨年の八月よりももっと早く、先ほどから申しておりますように、一昨年の十月から、楯の会ができたときから、それなりの注意は持って見ておったわけでございます。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうで伝え聞いているところによれば、昨年の八月、これは私のほうでは警視庁だか警察庁だかよくわかりませんけれども、そのとき出した「右翼の最近の情勢」という中には、「戦前の五・一五、二・二六事件あるいは戦後の三無事件が示すとおり、右翼だけの力ではいまのところ不可能であり、武器を持つ自衛隊を引き入れなければ成功はおぼつかないと考えられるが、そのため右翼から自衛隊に対する働きかけが盛んに行なわれているのが現状である。自衛隊に関しては非常に微妙なものがあるので、言動その他について慎重に配慮をしてもらいたい。特に注意したいのは、作家の三島由紀夫が学生を集め楯の会を結成しているが、会員は自衛隊の体験入隊一カ月以上の者を資格条件として現在約七十名となっている。この団体は、左翼革命が行なわれたとき、反革命を行なう中核とすべく、会員は自衛隊において、戦術、戦闘訓練のみならず、武器の操作方法まで習得しており、来たるべきときに備えて毎週研究会や身体の練成に励んでいる。」、これは私のほうも伝え聞いたところでありますから、伝え聞いたものを私がメモしたものですけれども、あなたも、去年の八月ごろ楯の会についての資料を配付したやもしらぬ。しかし、最初の速記に配付したと書いてありますよ。速記を見ればわかります。あなた、だんだんそこのところをあいまいにしてきましたけれども、それにはちゃんとはっきり書いてある。特に注意しなければならないのは楯の会だ。これは体験入隊一カ月以上の者を資格条件としており、現在七十名となっている。この団体左翼革命が行なわれたとき反革命を行なう中核となって、会員は自衛隊において戦術、戦闘訓練のみならず、武器の操作方法まで習得しておる。警察、知っているじゃないですか。いまとぼけたようなことを言っているけれども、さような通達だか情報だか知りませんけれども、出したことありませんか。ないと言い切れますか。もし出てきたら、あなた、どういう責任をとりますか。
  178. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 私はあるともないとも申し上げていないわけでございまして、調べてみます、こう言っているわけです。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、その前から知っている人いますか。委員長、こんないいかげんな答弁では困りますよ。去年のことを聞いているのに、去年のことわからぬからというんじゃ、去年から前のこと知っている人いますか。そんなこと取り次ぐべきでしょう。ことに危険だ。内容は、「会員は自衛隊において、戦術、戦闘訓練のみならず、武器の操作方法まで習得しており、来たるべきときに備えて毎週研究会や身体の練成に励んでいる。」。身体の練成に励んでいますよ。しかし、それは来たるべきときに備えてですよ。
  180. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いろいろおっしゃいますけれども、楯の会はやっぱりぎりぎりのとき、いまおっしゃるような左翼革命あるいは治安出動、治安出動と申しますと、これはいままでも、三十五年のときの安保でも治安出動というものはございませんでしたし、この二、三年来暴力学生も大いに暴れましたときでも、そういう治安出動というものはないわけでございますから、これはよくよくのことでないと、そういうことにはならないと思います。そういうときに備えて、いろんなことをやっておったんだろうと思いますけれども、いまいろいろ資料のことをおっしゃいましたけれども、これは私どもの内部の問題でございまして、そういうものを出したか出さないかということを一々先生に申し上げなければならぬとも私は存じておりませんので、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうこと言えるんですか。私のほうから、こういう重大な通達を出しているという風評を聞いているけれども、これは重要だ。そういうことを知っていながら、いままで私がこれを言うまでは、なにあの団体は身体の訓練程度のことの団体で、蓋然的な危険性はあっても、具体的なものはないという答弁をしていたけれども、昨年、これは私たちの聞き知った風評ですけれども、これは確実に見たわけではないんだが、しかし、われわれの聞き知ったところによれば、こういうものが警察警視庁かどっちかから出ているんじゃないかということを聞いておるので、これはたいへんだ、特に危険なのは三島由紀夫の楯の会だとまでいっているのに、それまで何をしていたのか。そうして、当日ああいう事態を起こしてしまった、これは警察も重大な責任があるのだ、だから、そういう文書、通達があるなら提出をしてもらいたい、こういう要求をしているのに、委員長、提出する必要はないという答弁ができるのですか。議員から提出してもらいたいということを言っているんですよ。
  182. 菅太郎

    菅委員長 林君に申し上げますが、官庁内部の書類については、必ずしもそういう義務は私はないと思います。これは行政官庁の判断と思います。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、国会議員からそういう要請があっても、官庁内部の書類ならば出しても出さないでもいい。委員長、先ほどあなたは自衛隊のことを強いことを言っておったけれども警察のほうになるとばかに……。
  184. 菅太郎

    菅委員長 それは話が違う。個々の委員の御要求に対しまして、いまの官庁内部のいろいろなことについては、ここの委員会が正式に決議でもすればまた別でありますが、林委員個人の御要求に対しては、出すか出さぬか、これは官庁のほうではそういう御判断があるわけであります。しいて強行なさるというおつもりでしたら、この委員会の決議を求めてください。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ委員長に、こういうことだけ委員長を通じてお願いしておきます。それでは事実を調べてもらいたい。昨年の八月ごろ、右翼の情勢についての通達か何か、警察警視庁か知りませんけれども出したかどうかという事実の有無。出したとすれば、その内容について。それは官庁ですから、いろいろ言えることも言えないこともあるかもしれませんけれども、内容についても、できるだけ国会議員としての権威にこたえるような答えをしてもらいたい。しかし、あなたは、ないとは言わなかったでしょう。そのことをはっきり聞いておきますよ。そうでしょう。それをはっきり記録にとどめておいてもらいたい。
  186. 菅太郎

    菅委員長 警察庁のほう、お調べになって、そうしてそういう事実があって、この程度は公表してもいいというところをお答えなさるように御要求します。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 そして、委員長、ないとは言ってないということは記録にとどめておいてもらいたい。ちょっとそれだけ答弁させてくださいませんか。
  188. 菅太郎

    菅委員長 あるやもしれぬという答弁をされたのですよ。それは速記録に載っております。
  189. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 先ほど申し上げたように、あるかないか、その点についてはよく私は承知しておりません。こういうふうに……。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 ないとは断言しないということですね。
  191. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 ですから、ないというふうにも申しておらないわけであります。
  192. 菅太郎

    菅委員長 林君に申し上げますが、時間がだいぶ経過しつつありますので、結論を急いでください。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 では、あと二、三点、自後のことでむずかしい問題がありますので、三点ほど聞きますが、事件の直後、代々木の寺院で会員によって営まれた通夜の席上、遺書が読まれた、遺言ですね。これが読まれたということが、これは十二月十三日付の毎日新聞に書いてありますけれども、このことについては、警察の捜査によれば、そういう事実の有無、またもしあるとすれば、どういう内容だったか、報告してください。
  194. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 事件がありました直後、何カ所かにつきまして押収捜索をやりましたけれども、いまおっしゃるような遺書については、私ども入手をいたしておりませんので、ちょっとその点についてはお答えしかねます。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 お答えしかねるというのは、なかったというのですか。ないから答えられないのですか。しかし、それに似たようなものはあったけれども、捜査の過程だから公にするわけにいかないという意味ですか。もう少し、あなた警察官ですから、正確にものを言ってください。
  196. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 正確に申しますと、入手したものはございません。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、新聞にこういう報道があったのは、これは事実にないことが新聞に報道されているということになるわけですか。
  198. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 事実あったかどうか、それはわかりませんけれども、私どもが令状を得て捜索いたしたときには、そういうものは入手いたしておりません。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 事件の直後、代々木の寺院で会員によって営まれた通夜の席上、警察官は捜査はしているのですか。これはだれか警察官を派遣して、その模様は知っているのですか。
  200. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 その通夜については、遺憾ながら警察はよく承知いたしておりません。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 こういう重要な暴力団の極右翼の組織がこういう事態を起こして通夜をやるというときに、どういう連中が集まってくるのか、またどういう者が関係者なのか、どういう者が共犯なのかということを調べるために、警察官を探査のためにそこへ派遣するのはあたりまえじゃないですか。非常に寛大じゃないですか。そう思いませんか。何かやたらにその人があなたにさっきから耳打ちばかりしていますけれども、そんな寛大なことをしていて、取り締まりになりますか。
  202. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 あの事件につきましては、これはいろいろなところで申し上げておりますけれども、あの総監室を訪れた五人だけが相談してやったことでございまして、他の楯の会員については全然関係がございませんので、そういう人たちが集まってやったからといって、たいへん危険なことが謀議されるというふうに私ども考えておりませんので、まあ、あのときは中へは当然入ることが許されませんものですから、外で見ておった程度では、なかなかそういう遺書が読まれたかどうか、その内容がどうかということについては、残念ながら私どもとしては知り得ないわけでございます。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 五人だが、自分たちの遺志を継ぐために、二人だけは自殺するけれどもあとの三人の者を残している。そして自分たちの遺志を継がせるということは、これはもう常識じゃないですか。各新聞もみな報道されている。そうすると、残された三人がだれに働きかけて再びああいう事態を起こすかどうかということについて、警察が厳重な探査をするのはあたりまえじゃないですか。そのとき通夜の棺の前に警察官が行くことができないにしても、その周囲を探査することは幾らでもできるはずじゃないですか。共産党の会合なんて、やってくれなくてもいいことまであなた方やっているじゃありませんか、隠しマイクなんか入れて。何でこれについてはそんな寛大なことをやるんですか。じゃあ、何人集まったんですか。あなた方はそれもわからないんですか。
  204. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 あのとき、あと残って逮捕されました三人につきましては、三島が命令書を出しまして、君らは残って公判廷で楯の会の精神を十分伝えてくれ、こういうことで、その三人はいまなお勾留中でございますので、当然その会合には参加することができないわけでございまして、他の楯の会員はあの事件におきまして約九十名ございましたから、そのうちの数十名が集まったかと思いますけれども、正確には私ども存じておりません。
  205. 菅太郎

    菅委員長 林君に申し上げますが、あとに消防に関する件がございますので、時間がもうだいぶ、倍近くになっておりますので……。
  206. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃあ、あと二問だけで……。  それでは、右翼の有力団体が、三島事件一ケ月日の十二月の二十五日、この二十五日に三島追悼会をやると伝えられている。このことについては警察は探査していますか。そしてどういう情報を持っていますか。
  207. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 そのことにつきましては、私どもは一応情報を入手しておりまして、御承知の全愛会議と称する佐郷屋嘉昭氏が中心になってやっております。あの系統の団体が集まりまして追悼会をやる、そういうふうに情報を入手しております。
  208. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、事前に、そういう危険な右翼団体が追悼会をやるということについて、警察としてはどういう手を打ってあるんですか。そのまま野放しにやらせるんですか。
  209. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 危険なとおっしゃいますけれども、私ども全愛会議に限らず、あの事件の直後にいろいろな右翼団体の反響、反応というものをつまびらかに見たわけでございますが、そういう全愛会議を含めまして、おおよそ右翼団体はいろいろなことを言っておりますけれども、最後にとにかくいま直ちに軽挙盲動すべきときではない、こういうふうに大体言っておるわけでございまして、危険なとおっしゃいますけれども、いますぐそういうところで集まってどうする、こういうことは私どもはないというふうに理解しております。
  210. 林百郎

    ○林(百)委員 軽挙盲動しないといったって、現実にもう行なわれた直後じゃないですか。それを現実には行なったにもかかわらず、軽挙盲動しないと口で言っているから何も取り締まる必要はないんだということは、これは完全にあなた方右翼を泳がしているという以外に何ものでもない。  それから、もう時間ですからもう一問聞きますが、事件後、学生の極左の東大の全共闘などトロツキストたちが「ぼくらは三島に負けた。この負い目を返さなければならない、ことばではなく行為によってぼくらの弱さを打ち破り真の壊滅へ向かってぼくらも心身ともにハードトレーニングを開始しよう。」こういうビラをまいている。三島事件の後にこうしたいわゆる極左トロツキストの動きが連鎖反応的に極端にあらわれていますけれども、これに対しての捜査、警察はどんな対策を考えていますか。これであと結論で終わります。
  211. 山口廣司

    山口(廣)政府委員 いま東大のとおっしゃいましたけれども、過激暴力学生の、あちらこちらの大学でそういうような似たようなことがあったわけでございます。したがって、私どもとしては、これに対しては十分な警戒をもって臨んでおるわけでございまして、いま取り締まり取り締まりとおっしゃいますけれども、なかなかそう簡単に取り締まりということはできませんので、彼らの動きについては、いろいろ私どもとしては注意をいたしまして、右翼についても同様でございますが、十分警戒をいたしておるところでございます。
  212. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、これで終わります。  国家公安委員長、あなたすわらせておいて質問しなかったんですが、いまお聞きのように、私は率直にいって、非常に寛大だと思うのですよ。寛大どころか、むしろ泳がしているとまで言ってもいいと思うのですね。たとえばトロツキスト学生が、もうすぐ三島の負い目を返すんだ、おれたちもからだを張るんだということまで言っている。それに対しては何ら責任のある捜査、それとそれに対する国会での答弁をわれわれ聞くわけにいかないわけなんですけれども、荒木国家公安委員長としては、こういう事態に対して、右翼、それから極左、暴力行為をするという点では右翼と全く一致し連鎖反応を示してきている極左に対しては、どういう態度をおとりになるのか。それから同時に、先ほど、昨年あたり三島由紀夫については特に危険だというような通達を部内でも資料として出したか出さないか、はっきりしないと言っていますけれども、そういうものも国家公安委員長も責任をもってお調べになって、私に回答をぜひしてもらいたいと思います。その二つを御質問を兼ねて申し上げて、私の質問を終わります。
  213. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 第二の御質問、もしそういうことが通達されたならば、報告するのは当然だと思います。支障のない限り御報告をいたします。  第一の御質問、これはもう左右いずれを問わず、暴力的な団体については公正な監視を続け、それなりの取り締まり等いたすことは当然かと思います。共産党に対しましても、破防法適用容疑団体の範囲内において監視をすることも当然であります。
  214. 林百郎

    ○林(百)委員 共産党のことを聞いているんじゃない。右翼のこと、トロツキストのことについて聞いているんですよ。委員長、いまのことについて私は記録にとどめておいていただきたいと思います。共産党のことは私は一言も聞いたわけじゃない。いまのような楯の会とトロツキストが連鎖反応を起こして身を張って暴力をすると言っているから、それに対しては国家公安委員長として厳正な措置をとるかと聞いているので、共産党のことを、何で私が聞きもしないことを、あなた答える必要があるんですか。もう一度答弁し直してください。
  215. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 例に申し上げたので、破壊活動防止法適用容疑団体としての共産党に対して関心を払うと同様、より以上の取り締まり体制を整えて、左右いずれにしろ公正に取り扱いますということをお答えしたのであります。
  216. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、私これで終わります。国家公安委員長の答弁のうちで、破防法の容疑団体としての共産党などということは、共産党に対する全くいわれのない誹謗で、国民から選挙をされて公然と国会の中でこのように国会活動をしているものに対して、そのような侮べつあるいは暴言を吐くことは、絶対許されないと思います。共産党としてはいまの国家公安委員長の発言に対して厳重な抗議をする。このことがすなわち、いま私の聞いた楯の会だとかトロツキストを泳がせている、あなたのきらいな共産党に刃向かわせるために泳がせている唯一の証拠だ、そのためにあなたのいまのような発言が出たということを私はここではっきりと申し上げまして、私の質問をこれで終わります。      ————◇—————
  217. 菅太郎

    菅委員長 消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。  非常に時間が延長されておりますので、あとの方、御迷惑でございますが、なるべく時間を守っていただきますように。小濱新次君。
  218. 小濱新次

    ○小濱委員 質問通告はいたしておきましたけれども三島事件につきましては三人の方々の御質問もございました。だいぶ重複する点もございますので、この点の質問を中止をいたします。それでもう一点は東京湾内の防災対策について、今度の事件を通して非常に教訓が残されましたので、その問題一本にしぼって運輸省それから海上保安庁、それから消防庁、それぞれの関係官庁に御質問をしたいと思いますので、その他の方は御退場願ってけっこうであります。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕  最初に消防庁からお答えいただきたいと思いますが、去る二十八日横浜港の沖合いで「ていむず丸」の爆発事件がございました。多くの死傷者を出したわけでございますが、この経過とその死傷者の模様とその後の様子等について御報告をお願いをしたいと思います。
  219. 降矢敬義

    ○降矢説明員 十一月二十八日午後三時十五分ごろ、御指摘の「ていむず丸」タンカーが爆発したわけでございます。この原因につきましては清掃中引火したといわれておりますが、われわれが受けている状況では、必ずしも明らかにされておりません。乗船者は当時六十九名ございましたが、行くえ不明も四名、負傷者二十四名、こういうことに相なっております。完全に鎮火いたしましたのが翌二十九日の午前三時三十八分となっております。消防の活動状況といたしましては、海上保安庁のほうの要請もありましたし、保安庁のほうと提携いたしまして、東京消防庁、横浜市の消防局、川崎市の消防局のほうからそれぞれ消防艇が出動をいたしまして、この消火作業に協力しながら消火をしたわけでございますが、同時に負傷者の救急業務につきましては、横浜市のほうで救急自動車あるいはそのために使用の照明車等を桟橋に出しまして、この消防としての活動を行なった次第でございます。
  220. 小濱新次

    ○小濱委員 今回の事故現場において、横浜でも川崎でもないということで、東京湾の平水区域であの事故発生があった、こういうことですが、この火災の模様は二つに分けられると思うのです。爆発と船室火災の二点について、ここでいろいろと教訓があったと私は思うわけですけれども、そういう点について、その火災現場を通してお感じになったことはございませんか。
  221. 降矢敬義

    ○降矢説明員 この問題につきましては東京消防庁のほうで、なおいろいろいま言った教訓といいますか、今後こういう問題に対する対策等について、従来の考え方をどういうふうに直していって前進させたらいいかということについてのいろいろの検討をされているように聞いておりますが、一つは、消防庁の立場からいいますと、海上における七万トン級のいわば大型というか、要するにそういう大きなタンカーの爆発事故というものに対しまして、市町村消防として一体どういう角度からアプローチしていくべきかという基本的な課題があると私は思っております。それは御案内のとおり海上保安庁と消防庁、現地の消防当局との間に、こういう火災における両者の応援協定的なものをそれぞれ結んでおりまして、今回それの発動としてやったわけでございますが、ああいう沖合いにおける火災につきましては、やはり海上船舶安全の責任を持っており、同時にその警備に当たる国——海上保安庁ということになりますが、それを中心に考えるべきではなかろうかというのが第一点の問題。  第二点は、やはり東京湾というような、全体の湾の船舶安全並びにそれに伴ういろいろな災害の防止というものを、一体どういう体制で持っていくのか。その中に自治体消防として港湾を囲む市町村の消防が、どういう姿で投入して接近していくべきか、こういう問題であろうと思うのであります。この点につきましては先生御案内のとおり、たとえば広域内の問題につきましては、東京湾を囲む市原、千葉、東京、川崎、横浜、こういう市におきましては、広域港湾内における火災における業務の応援協定というものを結んでいるわけでございますが、今回のような、もう少し沖合いになるというような場合には、全体の安全航行というものを、国全体の港湾の安全を受け持つ海上保安庁といいますか、国の立場において災害のないような体制をつくるということがやはり一つの大きな問題ではなかろうかと思います。この点につきましては、私たちの聞いておるところでは、すでに運輸省は昨年からある程度の予算を用意いたしまして、東京湾を中心にした船舶の安全航行及び同時にそれにかかわる防災問題というものを中心にいろいろな検討を始められ、つまり安全な運航をシステム化するような方式というものを何とか考え出したいということで、研究に入っているようでございますが、われわれのほうでもそういう研究会に参加さしていただきまして、いま申し上げる点から全体としての、今回の火災にかかる問題に対して消防としてどういう体制で行くべきかという問題の検討をこまかにやらなければならぬと思っております。  もう少し具体の問題に入りますと、たとえば今回の消防艇の問題にいたしましても、活躍しましたのは御案内のとおり海上保安庁の「ひりゅう」という消防艇のほかに東京都庁の持っております「みやこどり」という艇でありまして、かなり大きいものであります。今回のような火災が、ああいう非常に大きな船の中で起きる場合には、接近するという問題もありますと同時に、ある程度距離を離した消火能力というものを持たなければなりませんが、そういう消防艇をどういうふうに今後整備するのか、これも一つの問題点だろうと思っております。同時に、具体の消火の問題に当たりました東京消防庁の臨港消防署の署長さんのお話も私直接聞きましたが、要するに、あそこに乗り込んでいって、同時に二階以下に火が落ちないように消火作業に実際に従事するという場合に、いわば密室火災のような状況の中で、ある程度作業されたということもございます。したがって、今後ああいうふうなタンカーなり船舶火災が相次いで起きた場合に、そういう状況の中で今後どういうような消火訓練、消火作業というものをやるべきかというような、具体の問題も起きておるようでございます。あるいは御案内のとおりと思いますけれども、海上保安庁と東京消防庁の消火現場における具体の連絡というものも、大きな船舶をはさんで波でゆれて、しかも暗やみの中で、照明灯をたきながらやるという困難な作業の中で、しかも無電の周波数が違っておってなかなかうまくいかない。したがって、人を派遣して携帯無線等で連絡をしたという事実もございます。すでに御案内かと存じますけれども、こういうような具体的な消火活動につきましても、今回の問題を契機にしていろいろ反省すべき点があることを承知しておりまして、そういう点はわれわれとしても、今後関係省並びに市町村当局とも十分相談をして解決していかなければならぬ問題である、こう思っております。
  222. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に幅広い立場からの構想をお持ちになっておるようでありますが、もう少し現場に即していろいろと残された教訓はあるわけですね。その点について私は少し質問をしてみたいと思います。そしていまの問題に最後に触れていきたいと思っております。  今度の火災現場では、大体一般人から次々と一一九番に通報があったわけですね。そしてまず自主出動ということで横浜の消防艇が二隻飛んだわけです。そして大体十五時二十二分から十六時、三十八分経過して、その時点で見ると、川崎の消防艇が来ておりました。ところが肝心な自分の持ち場の、指揮責任を持つ海上保安庁が来ていない。これはどういう経過だったのでしょうか。
  223. 貞広豊

    ○貞広説明員 お答えいたします。  私どものほうで所有しております消防船「ひりゅう」でございますが、これは平時の運用といたしましては浦賀水道の安全対策の一環として、十万トン以上のタンカー、それから三万トン以上のLPG、NPGのタンカーが通るときエスコートいたしております。原則として浦賀水道から着桟まで、と申しますのは、浦賀水道では海難による油の流出または火災が予想される。それから、タンカーの火災と申しますのは、航行中の海難を除きますと、着桟し、岸壁にぶつける等の事故、それから荷役を開始するまでの事故、これが多いのでございまして、そういった観点から、浦賀水道から着桟までをエスコートさせておりまして、たまたまあのときはそういう任務を与えて、千葉寄りの京葉シーバースまで行っておりました。全力をあげて、急遽かけつけたのがそのような時間になっております。約一時間以上の距離でございます。
  224. 小濱新次

    ○小濱委員 それでは東京湾の防災体制に対して完全とはいえないじゃありませんか。いまあなたが言われましたように、あの浦賀水道の千葉の富津から横須賀の線を結ぶ第一、第二、第三海堡、あの付近のタンカーによる事故件数というものは、ここ五カ年間を私も調べてまいりました。たいへんな数字になっている。魔の海ともいわれている。しからば横浜、川崎、東京、千葉で起こったら、その現場の指揮はだれがとるのですか。あそこの警戒に当たるために、指揮に当たる船がないということになれば、これは建造しなければなりません。あるいはまた、その防災体制に対する組織体系というものも新しくつくり上げなくちゃならない。いまの協定内容では、これは協力というのですから、どうにもならない。こういう内容から推して、ちょっと私には理解に苦しむようないまの御回答なんです。もう一ぺんお答えいただきたい。
  225. 貞広豊

    ○貞広説明員 基本的には有効な性能を有する消防船を増強すべきだと思います。国としてはそのような方向で全力をあげて体制を固めるべきだと考えております。それから、いまの東京湾における海上保安庁の消防体制でございますけれども、私どものほうでは、先ほど例として申し上げました「ひりゅう」は一隻でございますが、そのほかに数全部からいいますと、消防力を持つものが二十五隻ございます。少しこまかくなりますけれども、消防能力別の内訳で申し上げますと、A級のものが一隻、B級のものが十隻、C級のものが十四隻、このようになっております。そして一たび火災が発生した場合には、これらの船艇を急速に現場に集結させて、消火活動に当たる、このようにいたしております。ちなみに、先ほど申しました「ひりゅう」は、タンカー火災に有効な化学消火の泡沫消火液を毎時約一千トン放出できます。水だけにしますと千七百トンの放水能力を持っております。タンカー火災にはただ水が出るというだけでは有効ではありません。その放水射程の長さ、あるいは放水銃の高さ等が必要でございまして、この船は十五メートルの高さに放水銃を置いて、射程は、はっきり申し上げられませんが、約六十メートルぐらいあわ消火液を出せるというようなものでございまして、先ほど申し上げましたBクラスの、泡沫放水では十倍、水だけの放出では十一倍の能力を持っております。  今後、私どものほうの消防船の建造方針といたしましては、船を代換するときにすべて消火能力を持たしていく、そういうことで、いま相当数の老朽船もかかえておりますが、これらが年次計画でもって更新されていく際に、必ず消防力を付加していく、そのような計画が進められております。しかし、直ちにそのような理想の姿が望ましいのでありますけれども、なかなか現実問題はそういきません。それまでの間は地方公共団体並びに民間団体の消防力と緊密な連絡を保ちつつ、有事の際には協力をして消火活動をするというふうに考えておりまして、たとえば東京湾におきましては、海上保安庁のほかに海運局、港湾局、それから航空関係の事務所、それから一都二県、それからそれらの警察、消防、それから船主団体、石連のような荷主団体、それからその他の引き船とか、そういったものを一連としまして、対策協議会を設けて、毎年訓練も行ない、施設並びに資材の備蓄、いざというときのその運用等について協議を重ね、最善の努力をしておる、これが精一ぱいの現状でございます。
  226. 小濱新次

    ○小濱委員 私のほうの調べですと、いまお話のあった「ひりゅう」の原液タンクを満タンにした場合、全回転で放水した場合には三十分しかもたないじゃないですか。そのほか横浜の「まもり」艇にしたって七分が限度である。それで今度はどうやってあとをつなぐのか。たとえば今度のあの程度の火災にしても十二時間かかっているのですよ。から船でさえも十二時間。しかも海上保安庁がかけつけたときにはもう相当の時間が経過しておる。こういう体制で、私はこれはもうこのままの体制であっては絶対ならないな、これは何か対策を講じていかなければならない、こういうふうに感じたわけです。前の爆発によるところの船倉の火災は一応もう鎮火したと見込まれたところが、今度は船室火災が起こっている。そのときに海上保安庁は川崎と横浜の船を一たん帰したじゃありませんか。ところが、またものすごい勢いで船室火災が起こったので、急遽また連絡をとって出動してもらった。十二時間かかっている。  ここで教訓として一つ残っていることは、この船室火災に対して、たとえば火災といえばもう船員はふだんの訓練からも、舷窓あるいはめくらぶた、とびら、全部ハッチは締めてしまいますから、そして拡大を防ぎます。これは自然の行動でそういうふうになります。ところが今度の場合、なぜ船室が火災になっていったか。御存じのように、鉄板は燃えます。鉄は燃えます。過熱によって鉄は燃える。燃えれば防水ゴムは全部溶けていきます。そうすると間隙ができます。そこから炎が入っていきます。こういうところから何とかホースを突っ込みたかったのだけれども、ホースが入らない。やむを得ず周辺から冷却をしておった、こういう姿があったわけですね。この点に対して何か教訓、ございませんか。私は何かこの点の対策を講じなければならぬ、こう思うのですが、海上保安庁……。
  227. 貞広豊

    ○貞広説明員 先生がいま申されましたように、ちょうど五番タンクで爆発いたしまして、その火炎でブリッジの構造物、その前面のボールトのガラスは全部割れておりますが、それから火炎が入ったと思います。乗り組み員が退船するときに非常に気をきかしまして、エンジン部分を含めてブリッジ関係、居住区(クリューズクォーター)、全部密閉して退船しました。そしてそれから燃え出しましたので、いわゆる構造物は熱く焼けておりましたので、お話しのように、まず水でもって冷却する、冷却しないととてもじゃないが——火災現場の燃えておりますのが五段のうちの二段以上、クリューズクォ一ター以上でございます。五段目がブリッジでございます。一段はアッパーデッキでございますが、これは事務室その他でございまして、二段以上が居住区でございます。居住区以上が燃えておるので、それが、いま言われましたように構造物が全部熱くなっているので、とてもじゃないが消火できない。それで水で冷却いたしまして、待ちかまえていた派遣消防隊が行った。そのときにいま言われるようにドアが一ぺん熱くなっておりました関係で、少々のパイプでもってあけようとしてもあかないということがございます。それからポールトをこわすということで、まずポールトをこわしたのです。その場合の足場が一つ問題で、軽い携帯用のはしごが要る、現場においてはさようでございます。  そのほか、海上におきましては、陸上の消防自動車のように四つ足で安定できませんので、船がたくさん寄っても有効な放水列というものを形成できません。うまく消防船を展開する、配置につけるということは困難であります。たとえば、できるならば海上保安庁の「ひりゅう」のようなもの——「ひりゅう」は安定できるような構造になっておりますが、ひりゅうのようなものをまん中に置いて、左右にそうでない民間の消防船を抱いて、海上保安庁の「ひりゅう」の横にはそのようにして今度やりました。反対側には消防能力のある巡視船、三百五十トンがおりました。これがぴったりと、「ていむず」の横につけて安定をさして、セッティングしてしまう。その左右に応援をいただいた船を次々と横づけして安定さして消火する、放水する。こういうことを強く痛感いたしました。実際その場合においてはそういう巡視船が前後のもやいをとることもできない状況でありましたので、これらについて何とか前後のもやいをとるようなことを考えたい。巡視船を安定さして、左右にその他の協力消防船を抱いていく、これを非常に痛感いたしました。  それから破壊消防の点、それから言われました通信関係の点、これらが現場における教訓でございます。
  228. 小濱新次

    ○小濱委員 たまたま今回はあき船だった、から船だった。機能を失った乗り組み員は全部退避したわけです。そういうわけで、どうにもならない形で周辺から消火に当ったわけですけれども、何とかこの破壊物処理——外から破壊をしてホースを突っ込むという、この姿ができていかなければ、今後もしか搭載した船等の事故の場合には、今度のように空気マスクをかぶって中へ決死の勇気を持って入っていくことも、あるいはそれを指揮する人もたいへんでしょう。もしか中で爆発したらばとうとい命が相当失われていくのですよ。そういうことをさせない対策を何とか講じなくちゃいけない。これが私の感じた一点です。  それからもう一つ、今回、右左に配置をして、それぞれの中心になって「ひりゅう」が消火に当たったわけですけれども、その場合に、先ほども話がありましたけれども、無線の波が違うために「ひりゅう」からの通信連絡が行かない、こういう不備な点をどういうふうにお考えになっているのですか。これじゃ完全な団体行動、応急処置としての統制を欠くことになりますし、危険は増大するばかりです。こういうことは、これは何としてでも今後の一つの課題になっていくと思う。「ひりゅう」から陸上へ電波を送り、陸上から今度はまた横浜なら横浜の消防局へ今度は無電が行く、そうすると波のあるその横浜の陸上の消防局から今度はまた船に連絡が来るという、そういう手ぬるい活動が今度あったんじゃありませんか。このことについて、何とかやはり体制をつくることと、この不備を補うことの急務であることを私は特に感じたわけでありますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  229. 貞広豊

    ○貞広説明員 当時のことでございますが、船舶電話というのがございますけれども、これがいま日本周辺に行動する航洋船はもちろん、港湾サービスに従事するたとえば引き船といったようなものも、最近は国際VHF系の無線電話を持っております。そのために海上保安庁は全国にそういうチャンネル用の施設をいたしております。日本の船舶が外国へ行きましても、または外国の船舶が日本の沿岸を通りましても、VHFチャンネルでやっていく、これは国際的な傾向でございます。私どもは国際VHFの保安チャンネル、海難等重大な場合にのみ使用を許されるチャンネル一六を使ってやっております。  それから、いま先生の言われるような民間並びに地方公共団体の消防機関の消防船でございますが、それは従来それぞれの波を持っております。従来は訓練のときにはそれぞれの波を持った携帯無線を持ちまして、海上保安庁の訓練統制船にそれぞれの指揮の連絡員が移りまして、そこで統制船から各民間並びに消防機関の消防船に指令がいく、こういう訓練をいたしております。このときはたまたま大急ぎのこともあって、こういったことが実際火災が起きたときには訓練どおり行きませずに、派遣指揮の連絡員が海上保安庁の現場指揮船の「のじま」に移らなかったということがあるようでございます。それで通信が乱れた、疎通を欠いたかと思います。  それで、基本的な考え方といたしましては、火災船を含めて、特に大型船タンカーの火災ということを考えますと、大型タンカーというものは必ず国際VHFを持っております。事日本の領海での火災という場合だけではありません、外国の領海あるいは外国の沿岸近くで火災を起こすこともあるかもしれませんし、保身用の一六チャンネルを必ず持っております。この波をできるならばこういう防災用の船舶は持っていくことが基本的に望ましいと思います。  それから、そういう無線施設を有さない消防船艇等につきましては、これは海上保安庁のほうへ携帯無線局を用意しまして、ボディトーキーを用意しまして、海上保安庁の連絡員が必要があれば連絡をする、そういうことが必要かと思います。それまでの当面の間は、訓練でやっておるように、直ちに現場関係消防船が現場の指揮船に、ボデートーキーを持ってお集まりいただく、ということが当面の方向かと考えます。
  230. 小濱新次

    ○小濱委員 そこなんです。近寄れない火災現場で、指揮船に集まってきて、そしてそれぞれの船から指揮船に連絡員が上がっていく、指示、命令を受けてまた自分の持ち船に乗り移って、そうして示された現場にまた航行して配置について消火に当たる。こういう姿が今度の火災の実情なんですね。それはどこに問題があったかというと、無線に問題があったわけです。通信連絡がとだえる、きかない。だから、その点は今度の火災から教訓として一つ残った問題だな、こういうふうに思った。いろいろとその設備については伺いましたけれども、こういう無線機構の整備ということがやはり今度はひとつ残された教訓だ。先ほどの破壊物処理、この問題とあわせてひとつあったらということ。  それからもう一つは、この体制ですね。あなたの言われたように、任務についておったために現場に急行できない、この場合の協力体制、これがよくわからぬ。いろいろな組織があるようでありますが、そういう形の薄弱性が今度のこの事件にもあらわれておったように思うわけですけれども、この問題は非常に私は大きな問題だと思います。それで、今度の船は排水重量トンが約七万七千余トンでしょう。あなたの言われるような「ひりゅう」が、あるいはその他の船が全部で七はいですか、両舷に配置についている。ところが、木の葉のようじゃありませんか。木っ葉が浮いているような形。そして放水の距離は、先ほどもいろいろ話がありましたけれども、非常に甲板が高いために、波もあり、また風もあったりして、消火剤がまともに船に届いていない、途中からみんな海中に落ちてくるような形、そして下のほうからどういうことかわからないところに放水しているわけです。「ひりゅう」の指揮所はちょっと高いところにあったけれども、それでも全然位置が違う。こういう点で、無線がないために、おまえの船は、この位置の、この右舷の、この角度の、この辺へぶち込め、お前の船はここへぶち込め、こういうような指揮命令ができないのですよ。ただかってにやっているだけ。ここで十二時間も消火に時間がかかったという問題点が残ったのだろうと私は思うわけです。この船がまことに小さく木っ葉のように波間に浮いて消火に当たっていた。この消防艇を何とかもっと大型にしなければいけない、もっと艦橋は高くしなければならない、あるいは放水がまともに問題のところに、中心にぶつかるような姿にしていかなければならない、ということをいろいろと感じたわけです。この点についてはどういうようにお感じになっていますか。
  231. 貞広豊

    ○貞広説明員 全く同感でございます。
  232. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、一生懸命に今後のために一歩でも前進させたい、こういうつもりで部長に御質問しておるわけですよ。いいですね。先ほどもちょっと問題がありましたけれども、私の質問の内容は全然違うのですが、その誠意にはやはり誠意をもって答えてもらいたいと私は思うわけです。こんなことに私が長々と——一時間、時間をもらっていますが、何とかその時間内で早くやめたい気持ちで私はここに立っておるわけですけれども、その誠意がわかってもらえないとするならば、やはり時間を延長しなければならぬ。ひとつそういう気持の上からお答えいただきたいと思うわけですよ。
  233. 貞広豊

    ○貞広説明員 私、そのとおりやらなければいけないと、非常に感銘しましたので、そう答えたのでございます。  いま言われました破壊消防的なものにつきましては、まずポールトをあけるならば、軽便なはしご等が必要かと思ったという、その問題。それから密閉された船橋構造物等に対してこれの破壊ということになると、かなりいろいろ問題があろうかと思いますが、これも何とかそこへ、昔よく聞く肉弾三勇士が爆弾を持って突っ込んだとか、ああいう式を考えて、何かそこで起爆して、簡単に鉄板が破壊できないか。それより何より、今度の場合はタンカーがあのように上が偶然に開いてしまって、爆風でもって穴があきまして、火炎が上がったけれども、突があいておったから、「ひりゅう」は見おろすような形で泡沫消火液を送ることができたので、泡沫消火液を入れることができましたけれども、あれが舷側から船が衝突して、油が流れて火をふいたというようなときにはどうするのだ、むしろアッパーデッキを破壊して、そこへ消火液が入るようにしなければいけない。それにはボール型の、鉄板を破壊できるような——何しろ「ていむず丸」の鉄板が二十七ミリくらいでございました。こんな鉄板をどうして破壊できょうかといういろいろな問題もありますが、考え方としては、水並びに泡沫液を有効に火面に届けるための通路、穴をつくるということは、どうしても研究開発しなければならないと思っております。  それから通信につきましては、そういう船舶は移動しておりますので、船舶を主体とする国際的な国際VHFのものを防災関係の船舶が有していくことが好ましかろう。それまでの間には、私どもが毎年防災用として要求しております二十七メガ帯のボデートーキーがありますので、今度のような場合にかんがみまして、ひとつそれを海上保安庁から配付してもらう。海上保安庁が必要な場合、ほんとうにこの船は有効に放水してもらう必要があるというような船へ連絡しようというときには、私どものほうから船でもって連絡員を派遣する。そこらを考えて実施していきたいと考えております。  なお、このことにつきまして来年の予算要求、四十七年度予算要求に間に合うように、国内の専門家を集めて、今度の火災の教訓から、火面の変化、それから化学消防はいかにして効果をあげていくか、一般に消防施設、資材等につきましていろいろ整備いたしまして、来年になりましたら、日本国内のこの筋のほんとうに技術的な専門家にお集まりいただいて、早くこの教訓を生かして、消防施設、資材並びにその運用等について、さらに検討あるいは開発するものもあるかと思いますが、それをするようにいま部内で補佐官、課長において検討いたしております。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点伺いたいのですが、海上保安庁の船には空気マスクとか防火衣、そういうものは搭載してないそうじゃありませんか。
  235. 貞広豊

    ○貞広説明員 そのことについて、私ちょっと奇異に感ずるのでございますが、私どもの化学消防能力を付与したものには、ちゃんと付与してございます。いま「ひりゅう」クラスの消防船が現在二隻、本年度末でもってもう一隻ふやしまして三隻ございますが、これにはマスクは十二組、それから初期に建造いたしました、主として一般火災用としてつくり、最近の消防態様の変遷につれて化学消防性を付与した消防艇というものがございますが、これには四組、一般巡視船には四、五組、巡視艇には一この巡視艇と申しますのは、化学消防能力を有する最近の巡視艇でございますが、二、三組整備してございます。
  236. 小濱新次

    ○小濱委員 当然だと思うのですね。指揮者が陣頭指揮に立つのに、自分はうしろのほうの船に乗っかって、そうして第一線の消防隊員にああやれ、こうやれと言ったって、第一線の消防隊員がそのまま動くわけはないと思うのです。やはり身につけて陣頭指揮をしていかなければならないと思うのですが、今回の火災で、あのいつ爆発するかわからない船室火災について、勇敢にも指示を受けて空気マスクをつけて入った人たちがだいぶいるわけです。こういう勇敢なる消防隊については、消防庁長官、どういうふうにお考えになっていますか。
  237. 降矢敬義

    ○降矢説明員 現場の指揮をとられました実際の隊長さんにお話を伺いまして、一つは、いつの時期に自分の部下とともにあそこに入るかということについての決断というものが、実はほんとうに生死をともにした人でなければわからぬような、私は戦争で実際指揮をとったことがありますけれども、同じ心境であるように承りました。今回入られました方々につきましてどういうふうにするか、つまり表彰状とか感謝状とか、いろいろな話が出ておりますけれども、私はさっそく大川総監にもお会いいたしまして、実際そこに活動された方々に対しましてとりあえず感謝の意を表明しておきました。その後、横浜、川崎等の消防隊の活動の方もおられますし、もう少し様子をお聞きした上で、自分として適当な方法があればもっとはっきりした形で感謝の意を表したらどうかというのが私の心境でございます。
  238. 小濱新次

    ○小濱委員 実際に船火事に直面してみますると、想像に絶する危険性があるわけですよ。そういう点で、非常に勇敢な消防隊員がおったということを聞きまして、どういうふうな扱いをするのかなという疑問があってお伺いしたわけです。  そこで、少し話は違いますが、全度は運輸省に伺いたいのですが、東京湾内に横浜の港、川崎、東京、千葉とかありますが、そのほかに平水区域があるわけですね。今度の事件でいろいろ調査をしてみますると、あの海堡付近の衝突と座礁、乗り上げが多いわけですね。特にタンカー船等も相当あります。漁船を抜いて、この五年間で八十余隻くらい事故を起こしているわけです。あの海堡が非常に湾内の航行をじゃましているようであります。一日の航行量、湾口に向かって南進をする船の数、あるいはまた北に向かって北進をする船、それから千葉と横須賀とを結ぶ横断をする船——横断をする船だけでも五十隻くらいあるでしょう。全部では一日にどのくらいありましょうか。北進から南進全部入れますと、千隻からにのぼっているはずです。そこで、非常に魔の海といわれるあの海堡付近の海面を見たときに、どうしてもあの海堡がじゃまになるわけです。これは航海してみなければわかりませんが、実際に現場に行ってみると、そういう感じを大きく持ちます。この点はどういうふうになっているのでしょうか。運輸省にお尋ねしたいと思います。
  239. 大久保喜一

    ○大久保説明員 お答えいたします。  御指摘のように、浦賀水道の面は海難事故が非常に多うございます。それで、私どもといたしましても、あそこの航路を整備しなければならないということをかねがね考えておりまして、これまで実施設計調査費等を計上いたしまして、その対策の調査をやってまいったわけでございます。それで、海難事故の原因を基本的に分析してみますと、S字カーブをなしている、そこのところで交通量が多い。しかもS字カーブをなしているところの南西の部分に第三海堡という水面に見え隠れする——これはいまの第一、第二海堡のようにつくったのですが、これが沈下してそういう状態にあるわけですが、第三海堡というものがございます。そういうようなことのために非常に事故が多いようでございます。それで通航船舶も年々ふえてまいっておりますので、私どものほうといたしましても、早急にここの整備をはからなければならないと考えております。それでこの航路の整備のしかたにつきましては、海上保安庁とどのように航路の形をとったらいいかということ等につきまして御相談いたしまして、現在一応の案ができてございます。それで実施設計調査は今年度をもって打ち切りまして、来年度から航路の整備に着工いたしたいと考えておるわけでございまして、現在大蔵省当局と予算の折衝中でございます。  なお、この航路の整備をするにあたりましては、まず航路の形、S字カーブをすなおな形に直すということと、それから通航の可能な幅を広げるということとあろうかと思います。そういう意味合いからしまして、第三海堡の撤去も航路の整備の計画の中には取り込んでございます。ただ、この工事につきましては一つ問題がございますことは、漁業者が許可を受けて漁業等を営んでおります、この漁業補償等の問題もございます。そういうようなことが一つ。それからいま一つは、何ぶんにも相当の費用と工事期間を要します、そういうことがございますので、来年度はまずその漁業補償交渉、それから着工準備ができますれば着工もいたしたいということで、事業予算を折衝をしている状況でございます。
  240. 小濱新次

    ○小濱委員 第三海堡の撤去問題については、これは賛成でありますが、その予算についても時期についても、これは急を要することになりますけれども、現在起こっている事故対策としては、たとえば時間航路にするとか、それから事故が起きないように昼夜監視をさせるとか、あるいはまたそういう指示標みたいなものを立てて事故にならないようにしていくとか、いろいろ手を打たなくちゃならない問題があろうかと思うんですね。そういう点で、とにかくあそこで起こる事故が非常に多いということ、起こった場合には、あの近所の風浪は高いわけです。横浜も本牧あたりに行くと風浪がずいぶん高い。この間も四、五十トンの船で行ったんですけれども、大体十人が全部へどを吐きました。大体本牧あたりでもちょっと波があるというと全部へどを吐いている状態。それで海堡付近に行くと、相当流れが強い、風波もある。こういうことからあの辺で事故が起こった場合には、いまのような消防艇では、三十トン、四十トン、これくらいの船じゃどうにもならないわけでしょう。ですから、あとは大きいといっても横浜の五十七トンくらいがせいぜいでしょう。千葉に一隻くらいしかない。東京にはあるけれども、みな小さい。川崎は三十トン、四十トンくらいで二隻しかない。こういう消防体制で、はたしてあそこまで行けるかどうか。行っても作業になるかどうか。その場合にどういうふうな対策を講じたらいいだろうか。こういう疑念が起こってくるわけです。そこで早急にその対策を講じなければならないと思うのですが、とにかく事故が起これば何名かの人が死んでいくわけです。何十名かの人がけがをしていく。こういう人の命ということの問題からも、これはどれほどの予算がかかろうとも、その問題は解決をしていかなければならないわけですから、この点について運輸省として非常に大きな課題であろうと思いますが、どうしてもやってもらわなればならない問題であります。私は政務次官にきょうは出席を要請したのですが、残念ながら来ていただけませんでしたけれども、ひとつこの問題について考えをもう少しお答え願いたいと思います。
  241. 大久保喜一

    ○大久保説明員 当面の安全対策の点につきましては、海上保安庁のほうにお答えいただくと思いますが、第三海堡の撤去を含めて、港湾の航路の整備につきましては、私ども非常に緊急を要するものと考えておりまして、この点につきましては大臣も非常に航路の安全確保のために、この航路の整備を急ぐようにということで、港湾局長以下私ども大臣からも指示をいただいております。  なお、当面の、それができるまでの安全対策につきましては、海上保安庁のほうでいろいろお立てのようでございます。港湾のほうからはこれだけお答え申し上げます。
  242. 貞広豊

    ○貞広説明員 それでは、具体的に御説明いたします。  先ほど、浦賀水道はS字形だというふうに言われましたが、従来海図上に推薦航路をはっきりと書いてございまして、その上に水路の中央を示す中央掲灯浮標を設置してございます。そしてその右側を船を通すこととして、海図上に明確に指示しております。中でも二十万トンをこえる大型タンカーにつきましては、こういった一般航法を明示するほか、通峡時の速力を制限しまして、おおむね十二ノット以下、それから引き船等の警戒船をつけさせる、それから追い越しを制限する、夜間、それから狭視界時には通峡をしない、このような指導をいたしてきておりますが、十月末の第一新風とコリントス号との衝突事件にかんがみまして、運輸省が浦賀水道緊急安全対策を打ち出しております。  それの一環として、海上保安庁としては右のほかに、外国船がよく水路不案内、海図の未訂正というふうなことからのし上げますために、外国船に対しては水先人を乗船させるように指導する。それから、従来昼間だけ高速巡視艇で現場において交通整理、航法指導をいたしておりましたけれども、夜間もこれをするように、他の区域から適当な船艇を増配して、夜、昼とも交通整理、指導させる。  それから、コリントス号がぶつかっていった第一新風というのが小型鋼船でございますので、こういう海難を起こすおそれのあるグループに対して、海難防止講習会を緊急開催いたしまして、十二月以降、すでに四カ所で実施いたしております。  それから、二十万トンをこえることの対策としてそのようにしましたが、十万トン以上、それから三万トン以上のLPG、NPGタンカーにも、二十万トン以上に準じてそういう指導をする。  それから先ほどの、航路標識が中央に設置してございますけれども、航海者の声を聞きますと、南の入り口と北からの入り口のあかりが少し見えずらいというので、光力の増大、それから問題になっております第三海堡も見えにくいというので、これの光力の増大、ライトブイのほうはすでに実施いたしておりますが、第三海堡は早急に実施するよういま仕様書ができて業者に発注の過程でございます。  それから、最終的には、そういう施策とともに、港湾計画において航路が開発されることのほかに、やはり海上交通情報というものを船長に親切に、あらゆる面からの安全——船長が航法を決定するに必要な要素の情報を与えることでございますので、そういう計画を海上保安庁は昨年来実施いたしておりますが、これを四十五年と四十六年度で横浜、川崎地区を終えて、浦賀の狭水道のところに情報センターを設置するシステムでございますが、その次、東京湾一円に対しても航行船舶の長に海上交通情報を与えるシステムを早急に、五カ年計画でありましたのをできるだけ早く実施する計画に変更して、いま努力中でございます。
  243. 小濱新次

    ○小濱委員 昨年度の東京湾に入港した船は、大体五百トン以上の船が約六万隻になっている。この六万隻の船の中には、いまお話にあったように、相当大きな船もあるわけですね。そこで、中近東からほとんど原油は運ばれているようでありますが、中近東ではこれは満載するでしょう。ところが、日本までその油を使用してくるわけですから、燃料を使うわけですから、相当量減ったタンクもあるわけです。満タンの場合には火災発生はおそらくない、あった例がないということですけれども、今度は遠隔の地から油を運んできた場合には、東京湾に至るまでには相当量減っているわけですね、どこかのタンクが。その場合に、座礁あるいはまた衝突等が起こった場合に、火災が、爆発あるいはまた油の流出が想定される。そこで、火災は起きないとして、油が流れ出たとします。これは一万トンの船の例が一つここにあるわけですけれども、三十分以内で原油の揮発成分はガスになって大気中に拡散する、こう書いてあるのですね。そうすると、原油が流れてから二十七分後に原油は船から約三百七十メートル、この状態が流れ広がっていくという。ところが、こうなっていって、ガスは約手メートル離れたところまで広まっていくという。このガスが非常に爆発力を持っているし、危険性があるというのですね。そこで、この流出油の対策ですが、オイルフェンスですか、この貯蓄量も問題になりまするけれども、東京湾内に蓄積してあるこのオイルフェンスはどのくらいあるのか、あるいはまたこのガス濃度が非常にそれ以上に広まってくるわけですけれども、これの対策等についてひとつ消防庁長官のほうからお答えをいただきたい。
  244. 永瀬章

    ○永瀬説明員 東京湾の周辺に、消防を含めまして保有しておりますオイルフェンスの量は、これはいろいろな種類がございますので、はっきり数字的にはどれを取り上げるかはいたしませんが、約一万メートル程度があると存じております。  それからガスの問題でございますが、流出油の場合に非常に時間がたちますと薄くなってまいります。薄くなってまいりまして、ある一定の範囲、半径の約一倍半くらいなところないし二倍くらいまではガスが流れる危険はあるようでございます。でございますが、時間の経過とともに軽い火のつきやすい成分が蒸発していきますので、大体その範囲から広がっていくことはまずないだろうと存じます。
  245. 小濱新次

    ○小濱委員 あなた、おかしいじゃありませんか。たとえば、先ほどお話があったように、事故の発生個所は、岸壁かブイにつなぐときに間々多いという話があったでしょう。そうすると、いま言ったように、油が流れ出した。そして保有量は一万メートルですか。一万メートルということになると、円形を描くのでしょう。そうすると直径どのくらいになるか。三分の一くらいになっちゃうじゃないか、三千メートルくらいの距離しかそれは包囲できない。こういうことになるでしょう。そうするとガスはそのまわりにあるわけですね。今度は風の方向によってそのガスが風下へ押し流されていくわけでしょう。そうしたならば、その停泊している船にも火があるかもしれない。あるいはまた伝馬船なんかのだるま船はガスなんかありません。いまは持っているかもしれませんが、何か炭でもおこしているかもしれません。あるいは民家でいろいろ施設を持っているかもしれない。そうなると、この爆発の危険性が出てくるのじゃありませんか。これは太平洋のまん中でやるのなら心配ありませんけれども、岸壁で事が起こる事例が多いということになれば、岸壁でいまのような事態が発生した場合にはどうなるかという危険性が起こってくるでしょう。それについては非常に蓄積量が少ない。今後二十万トン、三十万トンでしょう。いま長崎でつくっているのは何万トンですか。四十五万トンですか。四十五万トンの船がたとえば就航した。この船は幾つの隔壁に切られるのですか。一つの隔壁が流れ出したとしても何万トンでしょう。それが爆発したということになりますと、隔壁が破られますから、三つも四つも、あるいは今回のように全船倉が爆発をした。船室はそのまま五階まで全部類焼していった。こういうことになればたいへんな事件になるじゃありませんか。こういったときの対策が、いまのオイルフェンスの問題は全然役に立たない、対策がない。こういうことになるかと思うのですが、この点について、消防庁長官、今後の対策の問題はどういうふうにお考えになっておられますか、お答えいただきたいと思います。
  246. 降矢敬義

    ○降矢説明員 オイルフェンスそのものの蓄積量というものは、公的な面及びいわゆる自衛消防を含めました私的な面におきまして、いま御指摘のような大流出の状況に対してはおそらく足りないだろうと思います。われわれといたしまして、公的な面における措置としては、予算等を通じまして、いわゆるコンビナート対策の一環として、来年何とか実現したいといま思っておりますコンビナート地帯における防災資器材センターの設置、こういうものに薬品並びにオイルフェンス等も増加いたさなければならぬと思っております。また、同時に、御案内のとおり、自衛消防隊を持つ各種の会社におきまして、この自衛措置としてもオイルフェンスその他の薬剤等の備蓄をさらに推進するということで働きかけていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  247. 小濱新次

    ○小濱委員 一つまた伺っておきたいのですが、今回の火災でエアホーム、気泡剤、消火剤というのでしょうか、あれは船のまわりに落下したために浮遊物となって浮いておったわけです。何時間かたったらあれが海面からなくなっておりました。いま公害問題が叫ばれておりますが、これは防腐剤が入っておるわけですけれども、海面に溶けてしまった場合に、魚等に影響はないのかどうか、公害問題はどういうふうになっておるのか、消防庁長官、お答えいただきたいと思います。
  248. 降矢敬義

    ○降矢説明員 エアホームの原液の主成分はたん白質だそうでございまして、したがって、いま言われましたように、魚介類に非常に悪い影響を及ぼすというようなことはないと考えられているようであります。しかし、全然何もないのかというようなことになりますと、どうもはっきりしていないようであります。ただ、先生御案内のとおり、さしあたってこれにかわって用いられる有効な消火に当たる薬剤があるかというと、必ずしもこれにまさるようなものもなさそうであります。したがって、今後さらに研究はしなければいかぬかと思いますけれども、御指摘のエアホームを使わざるを得ない、こういうふうに考えております
  249. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に一点だけ、これもまた教訓として残された大きな問題ですので、慎重にお答えをいただきたいと思います。  先ほどの無線の問題、破壊物処理、オイルフェンスの問題、これに関係して、東京湾の組織体系はどうも内容が明確にされていない。横浜海上保安部と横浜市消防局との業務協定を調べてみましても、第一条は業務協定の問題、第二条が管轄する水域の問題、これが明記されておる。第三条でおしまいのほうに書いてあるのが問題なんですね。第三条「本協定の区域内の左に掲げる船舶の消防は横浜市消防局及び消防署の責任とし、横浜海上保安部は、これに協力するものとする。」これは、横浜港内に限られた水域内においては横浜市の消防局が責任をもって当たる、これに対して海上保安部は協力するものとする。逆の場合には、「海上保、安部の責任とし、消防機関はこれに協力するものとする。」こうなっているわけです。ここで私は、これをつくった年代が問題だと思うのです。昔はこれでよかったでしょうが、いまは四十五万トンとか、あるいはまた東京湾だけでも五百トン以上が六万隻も航行している。ことしはまたそれの二割、三割増しになる、こういうことである。船体が特に大型化した今日のこの時点では、どうしても活動の上において危険度が増してくるわけです。  そこで、私はいまの体制をもう一歩前進させる意味においても、総合的な組織力をぶつけて防災対策に当たっていかなくちゃならない、こういうふうに思うわけですけれども、これは海上保安庁にお尋ねしたいのですが、そのことについて前々から私どもも検討してきた問題があるわけですね。それは、この横浜海上保安部と横浜消防局との実行対策本部ですが、この設置についていろいろと協議が重ねられてきたようであります。横浜海上保安部では一応了解をしたようでありますが、どこでつかえているのか、一年以上もこの問題に対する回答がない。いつ起こるかわからない事故に対する明確な責任体制をつくりながら、その拡大を防ぎ、消火に当たろうとする、そういう建設的な意見に対して、一年以上もこの問題に対する回答がないということは、第三管区海上保安本部の辺でとめられているのか、どこでこの問題が停滞しているのか御存じでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  250. 貞広豊

    ○貞広説明員 一般的には先ほど御説明申し上げましたような、東京湾内における連絡防災協議会がございますが、具体的に横浜海上保安部と横浜市消防局との間では、要した費用の負担の問題と、指揮権の問題で、なお協議を進める必要があるということで、その問題について話がまだ煮詰まっていないので、協定になっていないという現状のようでございます。
  251. 小濱新次

    ○小濱委員 警備救難部長、いろいろと残された協定、協約の内容、私みな持っているわけです。一応これも全部読んでみました。内容が非常に弱いですね。そこで、この問題については、経費は論外だ、設備、これも要らない、現状でやれる、ただこの組織をつくることについて海上保安部のほうの御了解を求めたい、こういう実行対策本部の設置の要綱が示されてからすでに一年以上にもなるじゃありませんか。予算だとか設備だとか、そういうことは毛頭言っていないじゃありませんか。しかも要綱を見ると、参加民間団体は全部明記されておる。こまかく内容も書いてありますけれども、予算はまずいい、設備も要りません、組織体系をつくっていただいて事故の防止に当たらさせてもらいたいという、ほんとうに建設的な意見じゃありませんか、こういうことがなぜ一年も討議されないのですか、回答がどうして与えられないのですか。これは横浜の問題ばかりじゃありません。この横浜についても、あるいは川崎、全部ぐるっと沿岸を調べてみますと、この湾内でどのくらい事故が起こっているかわからない、しかも十分な消防艇の配置が見られない。しかもいまのように消火剤、気泡剤ですね。あるいはオイルフェンス、こういうものも十分蓄積されていない。いまのように設備も少ない、体制も悪い中で、どうやって事故を防止していこうか、拡大を防いでいこうか、こういうときにこういう建設的な意見がどんどん出ているにもかかわらず、どうしてこの問題を取り上げることができないのですか。この一点でもういいですから、明確に御回答いただきたいと思う。  私は、じゃ、救難部長さんにお伺いする前に、消防庁長官、長官も御存じでございましょう。これはまさか知らないとは言わないだろうと思うのですが、この問題についてお答えをいただきたいと思うのです。
  252. 降矢敬義

    ○降矢説明員 いや、私はその事実は承知しておりません。いまおっしゃったような、何か業務協定の実施対策というようなことで現地においてそれについて協定が得られずにおるということは、実は正直に申し上げて承知しておりません。
  253. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、いつだれがだれに報告したかもちゃんと持っていますよ。長官のところへ行かないのですね。じゃ、どこかにとまっているんだ。そういう無責任な——ひとつこの問題は真剣に考えていかなくてはならないと思うのですよ。だれか知りませんけれども、長官をつんぼさじきに置くようなそういう取り扱いはまずいと思う。もっともっと何でも意見は、いい面はどんどん報告して決裁を仰ぐようにしていかなくてはいけないと思うし、また長官としては、どんどんこういう問題については横の連絡をとって促進をはかっていただきたいと思うのです。救難部長、もう一ぺんお答えいただきたい。
  254. 貞広豊

    ○貞広説明員 私どものほうの出先が、経費云々はいいではないか、組織だけでもがっちりと組もうではないかという、そういう御意見に対して、いやだといって反対するということは、私は考えられないと思いますが、この件については早急に検討いたします。  それから、私どもが、先ほども申しましたが、お互いに使った経費をどのように、使ったあとどうするかという問題が詰められてないように私は聞いておるのでございます。と申しますのは、現在、海上保安庁と消防庁とで、海上保安官署と消防機関と協定をつくる場合の覚え書きがございまして、消火活動に要した経費については出動した機関がそれぞれ負担し、特に多額の経費を要した場合は、そのつど協議の上定めるようにという基準に従って協定を結びなさいということを流しておりまするので、この項目について何か問題があるかと思いまするが、いずれにいたしましても、経費は別に、組織化するということは当然のことであり、けっこうなことだと思います。この点について、なお早急に検討させていただいて、より早く、この経費の面も含めまして、できるならばすること、先生の言われるように経費が別問題でもよろしいというならば、海上保安庁がそれで協定を拒否するようなことは毛頭ないと思いまするが、よく検討いたします。
  255. 小濱新次

    ○小濱委員 港湾災害対策の問題点について私も詳しく内容をここに持っておるわけです。昨年の八月以来今日まで延々とその返事を待っておる。そこで、もう時間もだいぶ経過しましたから、これでやめますけれども、こういう問題について、この東京湾内の実行対策本部、これは仮称ですけれども、そういう体制をつくる必要があることがいままでの論議ではっきりいたしました。特にモデル地区として、横浜市と横浜の海上保安部とこの体制をつくっていきたいというこの内容。それからもう一点は、先ほども大型船に対する消防体制がまことに幼稚である、この建造の必要と、それから破壊物処理、これに対して対策を講じていかなければならないということ、これが一つ。もう一つはオイルフェンスの問題。それからもう一つは無線の問題。海上保安庁はどこの現場へ行っても指揮権を持つわけです。こうしたときに、小さな小船も全部その指揮下に入れて綿密な通信連絡ができて効果ある消火ができるような体制をつくっていかなければならない。この問題については、今後の課題でありますけれども、どうかひとつ真剣に取り組んでいただいて、これが一日も早い実現を心からお願いをするわけですけれども、この点について最後に何か御答弁があらばお答えをいただきたいと思います。
  256. 降矢敬義

    ○降矢説明員 いままでの御質問を通じまして要約された点、われわれとしても十分に拝聴いたします。特に私も冒頭に申し上げましたとおり、南京湾全体の船舶航行の安全並びに防災という問題につきましては、ただ一消防庁あるいは市町村、各自治体の消防力のみによっては対処し得ない問題でございますので、海上保安庁、運輸省とも十分連絡して、全体としての体制を整えるように努力をいたしたい、こう思っております。
  257. 貞広豊

    ○貞広説明員 先生の最後に締めくくられました消防施設、資材、その運用、これにつきまして、先ほどもちょっと触れましたが、今度の「ていむず丸」の教訓にかんがみて、いま部内で検討いたしておりまするが、それが一応の骨格ができましたならば、国内の専門家にお集まりいただいて検討を進める計画でございますので、その節は消防庁の専門官にも当然出ていただくことになっておりますので、消防庁と十分緊密な連絡をとって、日本のモデル地区として東京湾の施設の整備はもちろん、その運用についてもりっぱなものを仕上げるようにさらに努力をいたしたいと思います。
  258. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへん長時間ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  259. 貞広豊

    ○貞広説明員 先ほどちょっと間違いがございましたので……。  この前、浦賀水道の安全対策の件につきまして、海上交通情報の整備を四十四年度というふうに申し上げたと思いますが、四十五年度から五カ年計画でございます。間違っておりましたので、訂正さしていただきます。      ————◇—————
  260. 菅太郎

    菅委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件及び消防に関する件  以上の各件について、閉会中審査の申し出を議長にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十八分散会