○門司
委員 これは行政上の事務配分の形から来るあなた方のお役目があるのです。私が言っているのは、たとえば国民健康保険はどうだとか、県に移せばどうだとかいって行政上の指図などする必要はないと思うのです。そういうことは
厚生省なら
厚生省がやるべき仕事であって、私はそういうところに、最近の
大蔵省はこれを一ぺん解体して
予算局をこしらえなければ、
大蔵省に
予算を預けておくわけにはいかぬと思うのです。
大蔵省はお金の番だけしておってもらって、むだづかいのようなものを監督してもらって、会計検査院からおこられないように。ことしは二十億とかむだづかいがあったと会計検査院は報告しておりますけれ
ども、そういうことだけ気をつけてもらっておけばいいのである。こういうよけいないやみは言わないですむ。もう
一つの要因は、さっき申し上げましたように、
地方の自治体が
ほんとうに先進国並み、やや先進国並みといったほうがいいかもしれませんが、——
下水道などは、イギリスなどは大体一〇〇%行っておりますからね。経済だけは世界の第二位だとか三位だとかいって、
大蔵大臣はじめ、えらい胸を張って、あなた方もいばっているかもしれません。しかし、あなた方の住んでいる
地域でしょう。あなた方といったって市町村にいるんでしょう、日本の外にいるわけじゃない、あなた方の住んでいる
地域社会というものが
ほんとうに住みいい社会にならなければ、経済だけがどんなに伸びてまいりましても、これが正しい国家とはいえないということです。国家にどこかひずみがあるからそういうものができておる。そういうことを考えてまいりますと、
大蔵省のいう
地方財政が豊かだなんということは、これから言わぬようにしてもらいたい。言うならば、その根拠をもう少しはっきりしてもらいたい。
事業量と対比して、それも無制限に私は言うわけじゃない、十年にこれを解決すればどうなるかということを
大蔵省からひとつ出してもらいたい。この間
自治省にこれを求めました。
自治省はきわめて不確定なものだとは言っておりますけれ
ども、大体十年間に一応の、さっき申し上げました
下水道についても五五%ぐらいまでこれを仕上げていくということで全体に普及していくと、大体百十一兆一千億かかるといっているんです。
地方税と国税の総額をどこにも使わないで、住民の
環境整備に使わなければとても追いつかないという勘定が出てくるのです。
地方税はことしは三兆三千億余りしかありませんし、国税が約七兆くらいありますから、
両方で約十兆くらいですね。そうすると十年間に百十一兆使うということになると足らなくなるですよ。それほど日本の
環境整備がおくれている。それを取り戻そうというのが
自治省の苦労であり、われわれの苦労なんですね。そこを
財政が豊かであるからというようなことで済まされておるというところに私は非常に大きな不満があるのです。これは私だけの不満じゃないと思うのですよ。日本全体の不満だと思う。だからもう少し
大蔵省はものの
考え方を変えていただきたい。
その中の
一つとして私は具体的に申し上げてまいりますが、たとえばことしの
予算の中で、あなた方のほうがよく数字は知っているだろうと思いますが、例の運用部資金がある。これは大体総額三兆六千億です。三兆五千九百幾らという数字ですね。その中に最も零細な貯金とされている郵便貯金が一兆一千億ある。これも御存じでしょう。そのほか一般の生命保険のワクの外にある零細な、これは生命保険という形で使われておる簡易保険が約八十億余りあるはずであります。これを二つだけ加えても大体二兆円はあるわけなのですね。ところが、これは国民の零細な資金を集めたものなのです。ところがことしの
地方財政計画を見てみると、四十五年度の場合でも
地方の
起債というのは大体六千億です。そしてその中に直接国が出すものと縁故債その他でまかなうものというのがあるのであって、必ずしも国家資金を使っているのではないということである。国の経済が非常に伸びていって、国民の生活がやや豊かになってきたというような形の中で、しかも零細なそういう資金というものが多く一体どこに使われておるかということは
大蔵省のほうがよく知っているわけですね。これは産業用資金にどう使うとか、いや貿易振興にどう使うとかいうようなことが、数字を言ってもいいが、ちゃんと書いてあるのです。だから私は
大蔵省の認識というものはその辺から少し改める必要がありはしないか。かりに世界に例がないわけではありません。あなた方も御存じだと思うが、イタリアの今日の資金部資金の運用というのは一体どういうことになっているかということ。イタリアは御承知のように郵便貯金が非常に多くの資金を集めております。市中銀行はあそこは非常に少ないのでありまして、大部分が郵便局に集めておる。そうしてこれは
一つの郵便貯金だけの特殊法人とでもいうか、銀行のような形を示して窓口を持っておる。大体
地方の自治体のいろいろな仕事をする
財源をここから出しておるといっても差しつかえがないかもしれません。こういうふうに、
地方の住民の意思と住民の持っておる経済力と、その
地方における
環境整備との
財政的の結びつきというのが
地方の行政の中には非常に大事なことである。いまの税制のように、たとえばことしの税制の割合が一体どうなっておるか、国民所得の大体一八・八%ですか、税の比率は。その中で国が一二・八%を取って県が三・三%を取って、市町が二・七%、こういう配分になっているでしょう。これが
大蔵省に言わせると、しかしそういうけれ
ども一兆六千億の
交付税も出しているんだしというような話をされて、大体それを全部平均しても
地方財政計画の六二%くらにしか当たらない、あとは借り入れ金であるとか、いろいろな手数料であるとかいうようなことで間に合わされておる。こういうふうなことをずっと考えてきますと、いま税制改革をして、そうして
地方の
財源を潤すというようなことは、私はなかなか困難だと思う。税金というのはいつの場合でも新税は悪税だといわれておりまして、あまり賛成する人は少ないのであります。そこで問題になってくるのは、先ほどから話しておりまする
財源の再配分というものが当然行なわれなければどうにもならないのじゃないか。
地方は伸びているとかいろいろいわれておりますけれ
ども、さっき申し上げましたように、一番伸びてないのは市町村税です。だから
大蔵省の言っていることは私はちっともわからぬのですよ。どういうことをお考えになっているのか。国民の側からいいますと、一八・八%の税金を納めておる。この税金に対してこれがどう使われておるかというようなことが、やはり自治意識の高揚になり、国民意識の高揚になるわけなのです。ところが税金はそういうふうに納めるが、
ほんとうに自分たちの直接の市町村に来る税金は二・七%しかないんだ。だから市町村ではほとんど仕事ができない。あとは国からお金をもらわなければならない。そして、私
どもが、行政上できわめて不愉快に
感じているのは、いま全部の国民が
大蔵省は日参しなければならないという現実です。
大蔵省に諸君はその上にあぐらをかいておって、だれが何といったって、日本のきんちゃくはおれのところが持っているんだから、おれのところにたくさん頭を下げてくる人にたくさん配分してやろうという悪い
考え方を、私は持ってはいないと思うけれ
ども、心のすみのどこかにそういう
考え方がありはしませんか。そうすることが、また効果があるということで、国民が国会あるいはあなた方のところに陳情する費用が一体どのくらいになっているのか概算したことがありますか。これはむだな金ですよ。この点については、
大蔵省に聞いたってわからぬでしょうから、
自治省のほうで、都道府県、市町村
関係の諸君が東京にそういうことで陳情に来る数字くらいは大体わかっていようかと思いますが、もしわかっているとするならば、一応そういうむだな費用があるということ等について、出してもらいたい。ここから行政がゆがめられているということです。だから、
自治省でそれがわかるなら一応発表しておいてもらいたいと思います。市町村の数が幾らあって、議員さんが幾らおって、それが一年に二回ずつ上京してくれば幾らかかるくらいのことは大体わかるでしょう。