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1970-12-11 第64回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十一日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中山 正暉君    中村 弘海君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    細谷 治嘉君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         大蔵省主計局次         長       佐藤 吉男君         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      植松 守雄君         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     榊  孝悌君         建設省都市局参         事官      石川 邦夫君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   阪上安太郎君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     阪上安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出があるので、順次これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 昨日までの衆議院の段階におきまして、公害対策基本法の一部改正法律案をはじめといたしまして、いわゆる公害関係法案が全部議決に相なったわけであります。   〔委員長退席砂田委員長代理着席〕 ただ、その中で私ども野党三党でも要望いたしておったわけでありますが、公害対策基本法の二十三条の規定基づく、国が必要な財政上の措置あるいはその他の措置地方公共団体に講じなければならないという責任問題に関連する法律の制定がおくれているわけでありますが、すでにこの問題につきましては、各委員会におきまして相当審議を尽くしてまいった問題ではございまするけれども、この機会に自治省として次の通常国会におきまして、この残された法律案につきまして提案に相なるのかどうか、その点をまずお聞きいたしたいと思います。
  4. 大石八治

    大石政府委員 御指摘のとおり、その問題がこれからの予算折衝等を含めての最大の問題になるだろうと思うわけであります。例の総理大臣承認のいわゆる公害防止事業計画というようなものを見ましても、下水道の問題が最大のウエートを占めているわけです。ところが、その下水道自体の問題につきましても、いま言った補助対象という問題が明確でないという事実自体から始まらなければならないと思うわけであります。したがって、もちろん国と地方公共団体の間の補助率の問題、いわゆる総理大臣承認の問題については、かさ上げの問題がもちろん出ておるわけですが、それと同時に、いわゆる下水道事業補助対象というものをはっきり確立していただくということがないといけないではないかということを含めて、予算折衝を、各省とも連絡をとって、われわれも全力でやらしていただきたいと思っておるわけであります。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、予算折衝の経過で御努力を願うといたしまして、国の財政上の措置に関する法案というものは、自治省としては準備をして提出する予定で鋭意努力をするということでございましょうか。
  6. 大石八治

    大石政府委員 そのいわゆる防止事業計画に対する問題では、自治省は実は臨時国会にそういう法律案という形で出したいということで財政当局折衝をしてまいったわけであります。なおそれも今後当然続けて努力をしていきたいと思います。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 財政上の措置といたしましては、当然公害防止事業中心といたしまして、国の財政的な負担ということになりますと、私はまず第一に補助負担金の確立していない問題につきまして、補助負担をどうするかという問題、さらにはすでに補助対象事業となっておるものにつきまして補助金かさ上げをするという問題等があるわけであり、さらに補助金なり地方公共団体負担だけでは公害防止事業の遂行というのは十全を期しがたいわけでありまして、起債等につきましても十分の配慮をしなければならぬ、かように考えられるのでありまして、これら補助金制度の確立あるいは補助金かさ上げ等につきましての御意見と、もう一つは、すでに公害基本法十九条で、公害相当発生をいたしまして、その地域の総合的な対策をとらなければならないという地域と、これに準ずる地域につきましては、内閣総理大臣公害防止計画基本方針を樹立し当該府県におきまして公害防止計画を立て、これを実施に移すという地域があるわけでありまして、すでに千葉県、三重県、岡山県等が指定を受け、計画等もできたと聞き及んでおるわけであります。そういったすでに基本方針もきまり、公害防止計画も決定をしております地域、それから同条の第二号の、これに準ずる、相対的に公害防止について総合的な計画を立てなければならぬという緊急性の次ぐ地域、さらにはその他の地域とこういうふうに分かれるわけでありますが、これらの地域指定との関連、いわばどういう補助金制度を確立いたしまして財政上の措置を講ずるかという問題。その際にこの公害発生地域に優先的に対処しなければならないとか、あるいはその他部分的に発生しておる地域に対する問題、こういう問題が出てくるわけでありますが、それらに対してどういうふうな考え方でお臨みになるか、この点は自治省大蔵省両方から御答弁をいただきたいと思います。
  8. 長野士郎

    長野政府委員 公害防止計画を作成いたします地域は、現に公害発生が著しく、そして総合的な施策を講じなければ公害の防除をはかることが非常に困難である地域、そういうようなおそれの非常にあると認められる地域、というようなものにつきましては、内閣総理大臣指定をいたしまして、これに基づいて総合的な防止計画をつくる、こういうことになっておるわけでございますけれども、現に発生している地域とおそれのある地域というのは、逐次地区指定が行なわれ、そして公害防止計画が立てられることに相なるわけであります。そういうところにつきましては、短期間計画的に総合的な事業実施するということでございますので、この辺につきましての事業実施を円滑にしていくということをまず中心に置いて考えるべきであろうと思っております。それ以外の地域、あるいは個々の事業を行なうというその事業をどういうふうに扱うかという問題があるわけであります。これにつきましては確かに御指摘のとおり、どこまで含めるのかという問題については、私どもも現在その点について検討中でございまして、結論を得るまでに至っておりません。
  9. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 公害防止地域公害防止計画作成につきましては、先ほど自治省からお答えのあったとおりでございます。これが円滑に実施されることが必要でございますので、計画実施につきましては最善の努力をしたい、こういうふうに思っております。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 まだ検討中だということでありますが、私の御質問申し上げたのは、いわば財政上の援助ということについて、補助金その他についてどういうふうな検討をなすっておられるかということと、それからその際に、そういう財政上の援助をする区域については、法律的にどういうふうな措置といいますか順序といいますか、そういうものを御配慮になって検討を加えておるかという、具体的にどういうふうな検討を進められておるかということをお聞きしたわけです。
  11. 長野士郎

    長野政府委員 問題は、円滑な実施につきましてどういう措置が加わらなければならないかという問題でありますが、要するに、財政的に考えますならば、公害防止事業につきましては、まずその事業者負担というものがあるわけであります。それから国の負担あるいは補助という問題があります。地方団体自身の問題があるわけであります。それらの三者の関連というものを通常の状態の制度のままで置くべきなのか。もっとその事業実施を円滑にするために国の補助負担割合を引き上げるということを考えるべきなのか。私どもはものによりましては現在補助負担制度もないものもありますから、そういうものにつきましてはやはり適当な措置を考えるべきではないかと思います。また現在補助負担制度のありますものにつきましても、通常はそれらの事業は非常に低い補助率負担率で行なわれておるわけでありますが、公害防止事業として取り上げてまいります場合には、やはり別個の観点に立って、国としての責任というものをもう少しはっきりさせるという意味の立場が必要ではないかというふうに思うわけであります。  それからまた地方団体負担にかかわりますものにつきましても、これは単に一般財源だけで措置ができるか、あるいは起債その他の措置によりまして、そうして事業実施を円滑にいたしますためのそういう金融上の措置——有利な条件あるいは良質の資金の供給、こういうものもあわせ考えていくということが必要になってくるわけでありますから、そういう組み合わせをどのように見ていくか。それにつきまして、いわゆる防止地区の問題とそれ以外の問題——今度は公害関係の立法がいろいろ整備をされまして、いわゆる環境基準というような場合には、全国的にもいろいろな基準が設定されるわけでございます。それと事業のあり方との関連をまずどう考えるか、さらに防止計画のつくられましたところで総合的に事業実施していくところについてはさらにどう考えるか、というような問題と合わせて、総合的に検討しなければならぬということで、現在検討中でございまして、それについていまどうだというふうなことを申し上げる段階までにはまだ至っていない、こういうことでございます。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 すでに特定地域として指定されております千葉三重岡山三県の公害防止計画地方公共団体実施する事業を見ましても、これは千三百八十八億というような相当膨大な額になっておる。これを五カ年計画という短期間に遂行しなければならないという実態にあるわけでありまして、当然私はこれらの地域に対する補助金かさ上げあるいは補助金の創設というような問題が出てまいると思うのでありますが、これらのいわば特定地域以外に、ただいま財政局長お話を承りますと、水域の環境保全地域指定も撤廃になりまして、いろいろ各地域におきまして特定地域の問題をどうするか、公害防止関連いたしまして出てまいっておると思うのであります。そういたしますと、将来財政的措置という場合に、これら特定地域が優先されることはある程度までは予想されるわけであります。そういったある特定地域というようなところに該当しない地域、それらの地域につきましても、下水道だとかその他公害防止事業を早急に実施しなければならぬという地域事業に対しては、いわば地域を総合的に考えていくという以外に、特定地域以外の地域事業対象補助金的に優遇措置を講ずるということも当然御配慮になっているわけですね。
  13. 長野士郎

    長野政府委員 いまお話がありましたような点につきまして、そういうところを、地域的な全体としての総合的な施策がないか、特定事業ということになる場合が多いだろうと思うわけでございますが、その特定事業の取り扱いをどうするかということも、確かに御指摘ございましたようにひとつ問題でございます。この点の扱いについても、ただいまどういうふうに考えるべきかという点で検討を進めておるというような段階でございます。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま岩手県におきましては、釜石のごときは新日本製鉄釜石工場がございまして、あそこの甲子川は相当水質が汚染をしておる。また港湾の水質汚濁の問題もこれに対処しなければならぬ。そういった地域に対する下水道事業補助金かさ上げというような、そういった地域事業に対する補助金も私は当然早急に考えるべきではないか、かように考えますので、基本法の十九条の特定地域に限定をしないで、全国的に財政的の援助という問題についての配慮を当然すべきであるというふうに考えておりますので、将来法律等策定の場合はその辺のことにつきまして十分御配慮を願いたい、かように考えておるわけでございます。そこで、この公害問題は過去の問題になりますけれども大都市中心といたしまして早くから地方公共団体公害防止対策を進めてまいり、すでに二十四年ごろから大都市で逐次公害防止の条例を出すというような措置を講じてきておるわけでございまして、また一面地方公共団体といたしましては、そういうふうな、将来公害発生する地域は当然公害防止についての配慮をする、また急速に企業大都市に集中し、人口が集中することに対応するために地方財政の裏づけというものが十分でないということで、地方公共団体企業誘致ということで固定資産税その他の税収をはかることによって地域住民の福祉がはかられる。こういった考え方が私は全国的に部分的な公害発生の原因である、また大都市におきましては、公害を助長してきたという感じがするわけでありますが、確かに四十二年のときに経済の発展との調和条項というものがこのことに拍車をかけてきたというふうな感じがするわけであります。したがって、今日の段階におきましては、いろいろ企業基盤整備ということで、公害対策ということはなおざりになっておったことが、さらに公害防止ということによりまして、補助金かさ上げ、その他財政上の措置を考えなければならぬ、こういう事態になっておると私は思うのであります。したがって、今後、私どもの党が主張しておりましたように、いわば狭義の公害対策ということよりも環境保全というような広い意味で考えなければいかぬ。そういたしますと、今日大都市以外の地域等におきましても、将来工場分散等によって起こり得る町づくり等につきましては、この公害事前予防あるいは環境整備という意味におきまして十分配慮をしてまいらなければならぬのじゃないか。今日補助金かさ上げ等によりましてとりあえず、いわば公害が非常に重大な問題になっておる地域等に、財政的援助が集中するということによりまして、そういった環境全体の保全ということのほうがさらに後退をする。いわば、いろいろな意味において重点を置いて財政的施策を施しておったことが、それのしりぬぐいをまた財政援助によってやらなければならないということによって、地方はますます格差が拡大されるということも考えられますし、私はそういうことによりましていわゆる公害対策があと追い的に今日特定地域として措置をする、そのためにほかのほうがおくれてくる、そこに公害がまた発生すればその場合に公害対策事業の推進をするということで、公害対策後手後手に回るというようなことも懸念されるわけでありまして、今後の財政的援助あるいは地方公共団体財政配慮するという場合におきましては、事前にいわば地方都市の広い意味都市計画整備ということについての財源の確保ということも十分考えていかなければならないというふうに考えております。大蔵大臣答弁で、交付税というようなことも重視しておるようでありまして、私は、交付税等につきましては、地方都市の将来にわたる環境保全という意味におきまして配慮すべきではないのかというふうに考えられるわけでありまして、今後の公害対策におきまして地方交付税重点を置くということになりますと、結局公害対策のあと追いになる、したがってどうしても財政的援助補助金負担金かさ上げという問題についてまず処置をする、そして起債の充当をはかっていくというような態勢をとることにいたしまして、交付税は広く地方都市環境保全ということ等についても十分な財源が付与できるような態勢でいくべきではないか、かように考えるわけでありますが、この点につきまして自治省大蔵省の御意見を承りたいと思います。
  15. 大石八治

    大石政府委員 御指摘の点は私も全体的にそのとおりだと思っています。現在われわれのぶつかっている問題というのは、すでに非常に深く公害発生している問題の対決を実は迫られている、そのことに関連して予算上の防止事業をやらざるを得ないということでやっているのが、一つの、総理大臣承認を受ける公害防止事業であります。しかし御指摘のとおりに、将来地方都市工場誘致等が出てきて、そういう問題が環境汚染されていくということに対しても対処しなければいかぬというお話意味はわかりますが、私は実は今度の法律その他ができることによって、いわゆる環境基準が設定される、あるいは排出基準が設定されるということで、その前提の上に、その地方が新しい工場設置についてはいわゆる協定を結ぶとかその他によって、今後はそういう事業場ができることによって環境が汚染されないという形で、いわゆる工場設置といいますか、そういうことができるようにしなければならない。だからこれから、工場が来れば公害が起きるのだという前提でなしに今度のいろいろの関係法案というものが考えられ、またそういう意味企業者も来、受け入れる自治体もそういうことでいくということでいかなければならない。だから工場が来れば公害防止のために非常に金がかかるのだということではだめであって、もうこれからは、そういうものが来てもそういうことのために金はかからないという形がとられることが、今度の基本法なりその他関連の諸法案考え方であろう。来れば公害が起きるのだという前提でものを考えるようではいけないというふうに考えておるわけです。ただ、全体としてはお話しのとおりの問題は考えていかなければならぬと思います。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大蔵省の御意見をちょっと。
  17. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 先生の御指摘の中で、地域間のバランスといいますか、公害事業関連して、ある特定のところだけでなくて、その他の地方都市についても十分な防止が行なわれるように配慮しなければならない、こういうお話でございますが、私どももその点は全く同じように考えております。   〔砂田委員長代理退席塩川委員長代理着席〕 これを具体的にやるために、公害多発地域については、どちらかといえば補助金かさ上げでやって、地方一般都市交付税財源でやるべきではないか、こういうお話でございます。方向として、両方が同時にできればこの上ないわけでありますが、実際問題といたしまして、必ずしもそう行かない場合もあるのではなかろうかと思います。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間が参りましたので、十分質問の意を尽くしませんが、ただいま自治省政務次官からお話が出ました公害防止協定の問題であります。これは相当古くから、島根県等でもそういう協定が行なわれておるようでありますが、最近は横浜方式という公害防止協定が、単なる紳士協定というものより一歩先んじまして、ある程度まで企業者を拘束する、公害防止の実をあげるというふうな協定に移行する傾向があると思うのでありますが、いまだに地方におきましては、企業誘致ということによりまして、公害防止協定地域住民を一応納得させるような方向で活用されるということになりますと、ほんとう公害防止の実があがらないわけでございますので、この点の指導につきましてはやはり地域住民の盛り上がりとか、あるいは意思ということが市町村行政に反映いたしまして、公害防止ほんとう地域の健康な文化的な地域づくりに役立つような御指導を願わなければならないのではないか。それと同時に、企業分散等につきましても、これは十分国政策として打ち出していき、地方がいろいろな助成政策によりまして、地域発展をはかろうというようなことに急なあまり、無理な協定になり、あるいは不利な協定になるということにならないように十分御指導を願いたい、かように考えます。  なお、公害防止事業につきましては、下水道あるいは今度の清掃法改正等によりまして、産業廃棄物処理につきましていろいろ問題があり、これらのことにつきましていろいろ問題もございますが、時間の関係で省略したいと思います。一応下水道につきましては、公害防止対策として最も力点を置いて進んでおるようでありまして、ことに広域下水道計画も知事は必要があれば計画を立てなければならぬということになっておりすす。地方都市下水道事業がそちらのほうに重点を置かれるために十分進捗を見ないというよう方ことのないような、均衡のとれた計画を立てていただきたい、かように考えておるわけでありますが、その点、あらましでいいですから承っておきたいと思います。  なお廃棄物処理につきましては、かつて私、市長をいたしておりまして、処理につきましては、実は厚生省技術的指導というものが十分行なわれていなかった。したがって、採尿とごみと一緒に処理する方法だとか、いろいろ問題があり、業者のいわば技術を信用せざるを得ないというようなことがあって、そのことが時として末端市町村の首長の不正事件あるいは関係職員不正事件というような問題にも関連したことがあったわけであります。いわば今後の処理施設等につきまして、将来に対応するような技術指導厚生省十分配慮すべきではないか、かように考えますので、この点を下水道課あるいは厚生省から、簡単でけっこうでございますから承りまして、質問を終わります。
  19. 石川邦夫

    石川説明員 御指摘下水道でございますが、下水道事業はもちろん公害防止的な観点が非常に強いわけでございます。われわれ現在策定いたしまして推進いたしております、計画いたしております第三次五カ年計画におきましても、公害防止観点から、水質汚濁環境基準の定められた地域について一つ重点を置いておるわけでございます。同時に下水道はやはり都市施設の基本的な施設でございます。御承知のように新しい都市計画法が発足いたしまして市街化区域ができ、あるいはそういう設定のないところでも人口の集中しました市街地におきましては、根幹的な施設として今後下水道整備していかなければならないというふうな、都市施設としての面があるわけでございます。この両面を同時に達成できますように、この計画の中で十分配慮して推進してまいりたい、かように存じております。
  20. 榊孝悌

    榊説明員 いま承りました御意見につきましてお答え申します。  廃棄物のいろんな処理技術につきましては、お話がございますように、最近の廃棄物実態から見ますと、やはり処理技術の面でいろんな問題がございます。今後廃棄物処理法関係のいろんな処理技術策定、これは政令によって行なわれるわけでございますが、そういう段階で御指摘のような点が改善されますように、私どもとしては十分努力をしてまいりたい、このように思っております。
  21. 塩川正十郎

  22. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に、公害対策本部植松審議官にお尋ねしたいと思います。  基本法の十九条に「内閣総理大臣は、次のいずれかに該当する地域について、当該地域において実施されるべき公害防止に関する施策に係る計画基本方針を示して」と書いてございますが、一番先に指定をいたしました千葉三重岡山について示された基本方針がどういうものであるかお尋ねいたします。
  23. 植松守雄

    植松説明員 基本方針の骨格をなすものは、もとよりその地方における環境基準の達成ということでございます。それは大気、水質汚濁中心でございます。したがって、さらにその場合に、基本方針が示されましたのは昨年の五月でございますから、まだ十分に環境基準の設定がなされてないものもあったのでございまして、それにつきましては都道府県知事がこれにかわるべきものとして定めた行政目標ということになっておりまして、さらにその後環境基準が設定された場合にはそれによって当然変更されるべき旨、こういうものが指示の中心になっております。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 そういたしますと、千葉三重岡山については本部のほうから基本方針を示されたのですか、あるいは知事の目標に基づいて計画がつくられたのですか。  さらにお尋ねいたしますが、その後に指定をされております東京、大阪、神奈川についてはどうなっているのか、その辺をお尋ねいたします。
  25. 植松守雄

    植松説明員 御承知のように基本方針が示されましたのが昨年の五月でございまして、五月にはまだ本部は発足しておりませんので、いまおっしゃいました本部が示したのかというお答えについては、当時はまだ本部ができておりません。当時は政府はいわば厚生省が代表いたしまして、厚生省中心に取りまとめたわけでございます。ただし本部発足以来、この事務の中心的な役割りは当然のことながら本部が果たしておりまして、最後の取りまとめは本部がやっているわけでございます。  それからいま御指摘の東京、横浜、川崎、大阪でございますが、これにつきましては相当広範な予備調査が必要でございまして、これは各省にわたって予備調査が続けられまして、その最後の取りまとめの段階に入っております。年度内、来年の三月までにはその基本方針を示すべくいま準備を進めております。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 私はどういう基本方針が示されたのか——千葉等の最初のものについては厚生省中心になっておやりになった。その後は公害対策本部ができているわけですから、当然公害対策本部で取りまとめて基本方針を示されたのではないかと思いますが、この基本方針というのは非常に重要なものなんですね。これの内容について、千葉三重岡山についてどういう基本方針が示されたのか、東京、神奈川、大阪についてはどういう基本方針を示したのか、その内容をひとつ教えていただきたい。時間がありませんから、あとでその示された基本方針をコピーでもよろしいのですが、はっきりしていただきたいと思うのです。
  27. 植松守雄

    植松説明員 基本方針は、それではコピーにして後刻御提出いたします。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 二つともね。
  29. 植松守雄

    植松説明員 二つといいますと三市のことでございますか。あるいは東京、大阪を含めてのことですか。——東京、大阪は、先ほど申し上げましたようにまだ基本方針が示されておりません。したがいまして、千葉岡山三重についてはお示しできます。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 基本方針を示さぬで大阪、東京、神奈川、どういうふうにして防止計画をつくるのですか。
  31. 植松守雄

    植松説明員 先ほどお答えしたと思うのでございますけれども基本方針は本年度中には必ず示します。そしてそれに基づいてこの三都府県が向こうの防止計画を出してくるということでございます。  なお、ちょっと付言いたしますと、先ほど基本方針の全体の骨格は環境基準を達成するということが基本であるということを申し上げたのでございますが、それ以外にそれぞれの細目にわたって企業が講ずべき措置あるいは地方団体が講ずべき措置、それぞれについて相当詳細な内容のものになっております。これは後刻三市についてここへ提出いたしたいと存じます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから次に進みます。  そこで基本方針に基づいて千葉あるいは三重岡山等は公害防止計画というものをつくった。当然その基本方針に基づいては、この防止計画ができあがった場合にはどういう環境になる、大気汚染の状況はどうなる、現状から行きつくところはどうだ、水質はどうなるか、そういうものを含んでやっておることは申すまでもありませんけれども、各地から出た——たとえば私はここに日本経済新聞の十一月二十五日の「千葉・市原地区公害防止計画」という記事を持っております。新聞記事というものは私は正確だと思うのでありますけれども国会では全部否定されてしまうのですが、まことに残念に思います。「要求削られ規模縮小」こういう見出しで、どういうことが書いてあるかといいますと、「千葉県は二十四日、公害対策基本法に基づく千葉・市原地区公害防止計画をまとめ、中央公害対策本部に提出したが、県、市町が実施する事業費は総額約六百二十六億円と決まった。しかし公共下水道整備事業に対し要求額の半分しか予算が認められなかったのをはじめ、各事業とも規模縮小を余儀なくされ、「公害のない都市づくり」の前途は楽観を許さない見通しだ。」こう書いてあるのですよ。基本方針を示した、それに基づいて公害防止計画をつくった。ところがその計画が今度は数字の面では、下水道のごときは半分に削った、こういうふうに新聞に書いてあります。事実ですか、これは。
  33. 植松守雄

    植松説明員 それと前後した新聞におそらく出ておったと思いますが、同じ公害防止区域である岡山県では、岡山県知事の談話といたしまして、県の要求はほとんどいれられた、こういうことできわめて満足の意を表した談話が出ておりました。そうして下水道の要求でございますけれども、これは建設省の方もお見えになっておるわけでございますが、いわば本部が三県の利益を代表いたしまして建設省と、予算の復活と同じような要求で、ずいぶん最後までねばったわけでございまして、当初の計画に比べて相当大きな事業量が確保されたとわれわれは考えております。御承知のように今度の二兆六千億の建設省の要求がございますが、その中で三県に割り振られておりますのは一兆三千億のワク組み、これは四十九水域についての水質汚濁防止のための事業費の割り振りがなされておるわけでございますけれども、それを相当こえたところの、つまり事業費の先取りという形で相当の事業費が確保されたとわれわれは思っておるわけでございます。したがいまして、基本方針で示したところの川、たとえば千葉でありますと、養老川にわれわれは村田川と都川を加えたわけでございますけれども、養老川については五年間で環境基準が達成される見込みでございます。それから村田川につきましても同じ五年でこの環境基準が達成されるということで事業費が設定されておるわけでございます。現状においては、全体のバランスの中で考えまして相当傾斜的な配分をしたつもりでございます。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 千葉・市原のやつを岡山にすりかえてしまって、あとのほうでちょこっと養老川とかに思い切って傾斜配分したというのでは困るのですよ。時間がありませんから……。  久保さん、これによりますと、公共下水道整備事業に対し要求額の半分しか予算が認められなかった、基本方針を示して現在はこういう水質だ、これをこういうふうに防止事業によって変えていかなければならぬのに半分に削られたと、この新聞に書いてあるのですよ。「県の説明によると」いまお話のありました「比較的よごれの少ない養老川区域」——養老川は傾斜配分したというのですね。「養老川区域、村田川区域についてはほぼ県の要求通りとなり」——いいですか、その次が重要ですよ。この二つについては「目標達成が可能だが、BOD最大一九四・〇PPMにも達するほどよごれのひどい都川関係事業費が認められないので、河川浄化の見通しも立たない。」こういうふうに書いてあるのです。久保さん、どうなんですか。
  35. 久保赳

    ○久保説明員 ただいま都川に対する先生の御意見でございますが、確かに都川は千葉市の中を流れている都市河川でございまして、非常によごれておるわけでございます。したがいまして、先ほど公害対策本部植松審議官のほうから、傾斜配分をしたと、こういう御答弁がありましたが、それはそのとおりでございます。しかし、傾斜配分をいたしましても、知事さんがおきめになるであろう環境基準を達成できないのが、現在の下水道投資全体のワクの状況でございます。ちょっと御説明いたしますと、先般九月一日に、環境基準の水域類型の閣議決定がなされたわけでございまして、四十九水域につきましては、いまの養老川、村田川は入っておるわけでございますが、これは五年以内に達成するということが可能でございますけれども、四十九水域のうち二十四水域につきましては五年以内にその環境基準が達成できるような形にはならないわけでございます。五年以上、少なくとも残りの五カ年計画の中で達成できるのではなかろうと思いますが、それと比較いたしますと、都川のほうは残りの三年以内に達成できるというような予定でおるわけでございまして、そういう意味では、ほかの水系に比べますと傾斜配分をしたといってもいいじゃないか、かように考えております。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 傾斜配分はしたけれども、銭この問題では、基本方針を示したけれども、その基本方針を半減した、これはお認めになりますね。
  37. 植松守雄

    植松説明員 正確に申しますと、環境基準が設定されておりますのは、千葉県の場合に養老川だけでございます。それで、また都川につきましては、その辺についてはどの程度でどの辺で達成するのか、今後基本法の改正によりまして、御承知のように環境基準の当てはめが都道府県知事に委任されることになるわけでございまして、それから後の問題になるわけでございます。  それからもう一つ、新聞では要求額の半分に削られたというようなことが書いてあるようでございますけれど、要求額なるものは非常に折衝の過程におきまして——実は最初に三県から出てまいりましたのはことしの五月でございます。しかも、そのときには全体の事業量についてそれぞれの事業費を幾ら、どの程度の計画を立てるかということについての事業費の金額の見込みはついておらないわけでございまして、ただ総ワクとして三県約千億ということになっておったわけであります。それが最終的にはその後三県で千四百億円ということになっておるわけでございまして、この折衝の過程においていろいろな数字が出たことは事実でございます。しかし、その中には、ある県のごときはたとえば下水道だけでも千億という数字もございまして、それはどの程度にとらえて半分といわれるのか、そこが問題だと思います。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうことではいかぬわけですよ。私は筋道を立てて聞いておるわけです。基本方針を示した。基本方針に基づいて年度計画を追うて公害防止事業をやっていく。五年なら五年という形でやっていく。その場合には、県が計画をつくってきて政府が承認するわけですから、その場合に千億が九百億とか何とかいうことになることはあり得ると思う。これは経済効果をねらわなければいけませんから。しかしこの記事は明らかに一番ひどい都川についてはてんでできぬと現地は言っておるのです。ですから、私は、基本方針を示したらば、それに基づいた計画が出てきたらば、これは事業遂行の意味において査定するのはいいけれども基本方針が達成できないような減額の査定なんということは、金目を減らす意味においてこんな査定をするのならば意味がない、基本方針なんて全く作文だ。こういうことを私は申し上げたいから、基本方針防止計画と一体どういう関係にあるのかということを、この新聞の記事を読んで気にかかりましたから御質問しておるのです。ですからあなたは、そういう年次を追って——この記事では、間違いなくこの事業、この計画は一年おくれておるんですね。おくれておるんですよ。それでその上に、いま久保さんのお話を聞きますと、五年なら五年でやるものが、とてもじゃないが、目標達成のためには七年とか十年かかるような御答弁でしたから、それではいかぬのではないかということを申し上げておるわけです。  その次に、時間がないのだから聞きますが、「千葉市でも」——新聞記事ですよ。「千葉市でも、事業費総額のうち地方自治体の負担分が多すぎる、計画の対象区域が限られていることで大気汚染など絶滅できる保証はない」こういうふうに書いてあります。これはうそじゃないと思うんですよ。そして別の十二月一日の朝日新聞——先ほどは日本経済新聞です。朝日新聞の記事では、「公害対策本部の試算では、公害防止事業の費用負担法が今国会で成立したとして、三つの公害防止計画にかかる総事業費の約六〇%は企業、三〇%は地方、一〇%は国の負担となる。」と書いてあります。この記事は正しいでしょうか、お尋ねします。
  39. 植松守雄

    植松説明員 先ほどの、大気汚染の防止はその程度の事業量では全然期待できないというようなことをいっておる記事を引用されたわけでございますが、これは細谷先生一番詳しく御存じのように、大気汚染防止につきましては、主体となりますのは、何といいましても企業がみずからの公害防止施設を設けるということ、さらに低硫黄重油の問題であるということは、もう御承知のとおりでございまして、公害防止計画の中には二色あるわけでございます。一つ企業みずからの設置すべき公害防止施設の問題であり、一つ地方公社団体が主体となって実施する公害防止事業でございます。ところが、地方公共団体実施する公害防止事業と申しますのは、事柄の性質上、大気の場合よりもやはり下水道といったような問題が中心になるわけでございます。そこで千葉・市原では大気汚染に何がしかの貢献をすると思われるところの例のグリーンベルト、緩衝地帯の設置の問題がございますが、これにつきましては全国に先鞭をつけて、すでに市原では相当りっぱなグリーンベルトができておるというような状況でございます。  それから、先ほど費用負担法が制定された場合に、負担法によって一定の、企業が六割それから云々というような数字の引用がなされたわけでございますが、今度の計画では、千葉県におきまして今後五年間に企業公害防止のために実施する見込みの投資額は六百二十億でございます。それに対しまして地方公共団体が主体となって行なう公害防止施設及びそれに関連する都市施設整備のための施設が六百四十億ということになっておるわけでございます。その六百四十億の中で国が幾ら、地方が幾らであるかという問題あるいはその中には事業者が費用負担するものも幾らか含まれておるわけでございますが、それにつきましては、御承知のように各事業ごとにこの補助基準がきまっておりますので、いまにわかにどのくらいの割合になるか、お答えすることはちょっとむずかしいのでございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 ようやくこの計画案の内容に入れるわけです。御説明によりますと、事業者実施する事業、これが六百十八億、それから地方公共団体実施する事業、これが六百三十六億。先ほど、事業者がプロパーでやるものが大づかみに六百二十億、そうですね。地方公共団体実施する事業というのがおよそ六百四十億。そこでお尋ねいたしたいのでありますけれども、まあ六百二十億というのは全部企業者負担するのでありましょうけれども、六百三十六億というものの負担区分は一体どうなるのですか。これをひとつ御説明いただきたい。
  41. 植松守雄

    植松説明員 その六百三十六億の事業量の中で見込まれておりますところの事業の種類というのは非常に多岐多様でございます。先ほどもちょっとお答えいたしましたように、それぞれの事業につきまして国の補助がなされるようなことになっておるわけでございまして、その補助等はそれぞれによって違っておるわけでございます。また、中には特別都市下水路計画のように事業者負担が当然伴うものもございまして、その辺につきましてはいま詳細なデータは持っておりませんけれども、それぞれの事業について既存の補助率というのが定められておるわけでございますから、それらによって算定して合計をすれば出てまいるわけでございます。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの新聞記事によりますと、千葉の市原地区のは千二百五十億、これを大づかみにつかみますと、企業がやるものは五〇%弱、地方公共団体実施する事業というのが五〇%強、そうなりますね。そうすると、先ほどのような総事業費のうち六〇%が企業だ、三〇%が地方だ、それから一〇%が国だということになりますと、大づかみな理論としては、千二百億の半分はもう企業がプロパーでやるのですね。そうすると残りの一〇%でありますから、およそ二〇%ぐらいしか——地方公共団体実施する事業に対しては、全体としての一〇%、その半分を地方公共団体がやるわけですから、そうすると二〇%弱ぐらいしか企業負担しないということになるわけですね。そうでしょう。これは自治省のほうも試算されたと思うので、六百三十六億の財源の内訳を、ひとつ本部と自治省がつかんでおるので示していただきたい。
  43. 長野士郎

    長野政府委員 私のほうでまだこれは本部と内容を精細に詰めておるわけではございませんが、一応試算をいたしました場合には、六百三十六億のうち、財源内訳といたしましては、国が大体百二億、県が二百八十七億、市と町が百五十六億、企業その他が九十一億、こういうような形に一応推定がされるようであります。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、いま六百三十六億の内訳というのは、国が百二億でありますから、おおよそ二割、県がおおよそ四十数%、それから市が三〇%弱、企業のほうが十何%、こういう数字になりますね。本部、そういうことになっていますか。
  45. 植松守雄

    植松説明員 私、いまその辺の内訳をここに手持ちは持っておりませんので、ちょっとわかりませんですけれども……。それからいま言われたので、ちょっとよくわかりませんが、起債が大きなウエートを占めておるわけでございますね。その起債はどこに入っておるのか、やはりその辺がちょっとわかりません。おそらく県のところに入れたのだと思いますが、その辺をどう考えるかということが、一つのウエートをはじく場合の問題になると思います。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 起債起債なんて、起債に話を持っていったって困るんだ。起債はもらい金じゃないのですよ。返さなければいかぬのですよ。利子をつけて返さなければいかぬのですから、これは地方団体の金ですよ。ただ一ぺんに払わぬでいいということだけで、利子がついているのです。  本部、この計画千葉三重岡山、いま千葉の例に問題をしぼっておるのですが、何年でやるか知りませんが、かりに五年としますと、この公害防止事業だけに、千葉県の負担というのは五年とじますと、年間五十五億くらい投資しなければならぬわけですよ。市町は幾らかといいますと、年間三十億の投資をしなければいかぬわけです。できますか。金を借りればいいじゃないかといったって、そんなことは、返さなければいかぬのですから、できますか。
  47. 植松守雄

    植松説明員 先ほど申しましたように、確かに起債は借りた金でありますから返さなければならない。しかし、これは五年据え置きで二十年償還でございます。それで二十年ないし二十五年の償還になりますれば、さらにこの中には、工業用水道計画というのが、実は千葉の場合に三百十二億入っておるわけであります。工業用水道でありますと、これは事柄の性質上、起債で建設をいたしまして、あとはその利用料金で回収をしていくという特別会計的なものでございますから、その辺をやはり考慮しなければならないと思っております。  全体としての資金繰りで考えた場合に、いまおっしゃったように確かに五年で見た場合に非常に大きな事業量じゃないかとおっしゃるのでありますけれども、それに伴って起債が必ずつくわけでございますし、さらに国の補助もあるわけでございまして、実施できない事業とはわれわれ決して思っておりません。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 長野さん、実施できない事業ではないと、公害対策本部は言い切っている。大体、普通の金を借りれば、起債なんていっていますけれども、二十年でだいぶ条件はいいようですけれども、二十年も借りたら大体常識は、地方団体負担というのは元金の同額以上になってくる利子を払わなければいかぬわけですよ。二十年ということになると、元金を一〇〇としますとおそらく利子は一二〇くらいになっているわけですよ。長野さん、公害対策本部は、めくらヘビにおじずということばがありますけれども地方財政状況を知らぬで、できると思いますとこう言っているのですか、あなたもそう思いますか。
  49. 長野士郎

    長野政府委員 まあこれは前から申し上げておりますとおり、公害防止計画事業を五カ年に計画実施する、もちろんこの中には先ほどお話がありましたように都市施設整備というのも入ってております。それから施設公害防止施策に相当する事業も入ります。ですから、その点についてのいろいろ問題を分けて考えなければならない面もありますけれども、この事業を五カ年間で実施するということは、これはお話しのとおり相当な負担でございまして、これらの地方団体財政運営の中で占めるウエートというものはたいへん大きなものになってまいります。したがいまして私どもは、ただこういうことで総合的に防止計画を立て、総合的な事業計画的に一定の期間でやっていくということを、国との間で、そういうかっこうがつくわけでございますが、それについて、通常の仕組みだけでそのまま地方団体実施主体としての責任をもろて円滑にやれるのだというふうに、単純に考えるわけには私はまいらないと思っております。したがって、これについてはやはり特別な措置というものを考えまして事業実施に遺憾のないようにすべきであるというふうに私どもは考えております。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、この関係の、基本方針地域を示されたでしょう、その地域のおもなる地方公共団体財政状況をつぶさに分析したわけじゃありませんけれども、私の頭の中にあるものから想像しまして、県が一年間に六十億近い金を、そして市町村が一年間に三十億近い金を出せといったってとてもじゃないが出てこないんじゃないかと思うのですが、一番金のかかるのが下水道だ。下水道は金がかかるけれども下水道水質汚濁に一番有効であることは間違いないのです。あなたも地方公共団体下水道をやりたいけれども金がないということでずいぶん苦労されておる。そこでしょうがなくて、受益者負担を取っておらぬと補助はやらぬぞなんという、追い詰められた建設省の気持ちなり方針というものが出てきておるのじゃないかと思うのですが、本部は簡単に考えておりますけれども、あなたはこれをどう見てとりますか。
  51. 久保赳

    ○久保説明員 確かにいま一つ下水道事業を例にとってまいりますと、公共団体のほうも実は財政負担たいへんだろうと思いますけれども、これはこのたびの第三次五カ年計画の中でもだいぶ議論をいたしまして、その財源につきましては、国のほうも、それから公共団体のほうも、地域の住民の方々も相互に負担をしてとにかく総事業費を達成するのが一番重要なことだという趣旨から相互に努力をするということで考えておるわけでございまして、もちろんその中には使用施設ができましてからそれをどういうふうに維持管理していくかという問題を含めまして相互に努力していくことによって達成は可能であるというふうに私どもは考えておるところでございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 もう時間がないのですから、久保さんに重ねてお尋ねするのですが、水質の面をとりまして、下水道の現在の補助率でこれだけやっておれば、それから東京、大阪、神奈川でやっておけば片づくという筋の問題じゃありませんね、今日の水の問題をとっても大気の問題をとっても、公害現象というのは。そうしますと、総理大臣指定、そして政府が基本方針を示した防止計画ばかりではなくて、公害防止のためにはほかのほうも急がれておる、しかしなけなしのワクがあるものですから、重点的にひどいところからやっていくということでありますけれども、これだけやっておけば公害対策基本法の線に沿うてやれるというものではないと思いますけれども、いかがですか。
  53. 久保赳

    ○久保説明員 確かに、先ほど私もちょっと環境基準が閣議で決定されました四十九水域の問題について述べたわけでありますが、建設省が提案をいたしております第三次の五カ年計画二兆六千億程度の投資額では水質汚濁に対応する環境基準を五カ年以内に達成することは不可能な地域がかなりございます。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで政務次官、大体もう常識的に結論が出たわけであります。いろいろやりたいけれども、もう時間がないから結論だけやります。  いまお聞きいたしますと、十九条の公害防止計画も、とてもじゃないが地方公共団体としては負担しきれないということが明らかになりました。そればかりでなく、すでに環境基準が示されておる四十九域の早急な——ということは五カ年以内ではできないということでありますから、十年かかるか十五年かかるかわかりませんが、しかしそれは早くやらなければならぬという事態でありますから、言ってみますと基本法二十三条の問題、いわゆる総理大臣指定を受けないところも、これは公害防止という点から喫緊の問題であります。そうしますと、十九条に基づく二十条の措置はむろんのこと、この二十三条の措置も当然やってやらなければ、いかに法律ができても実効があがらぬということに必然的になってまいります。これについて自治省はどう対処するのか、ひとつ基本的な決意のほどを承っておきたい。
  55. 大石八治

    大石政府委員 建設省でただいま計画しております二兆六千億の五カ年計画というものは、どうしてもこの事業の総ワク自体が、いまお話しのとおり、それでいわゆる指定地減等が達成されるとは保証できないという数字のようでありまして、したがいまして、この二兆六千億という数字につきましては何としても事業のワクとしてこれを実現をするように予算的な問題で折衝を建設省と一緒にやりたい。なお先ほどもちょっとお答えしましたが、現在下水道については補助対象になるのかならないのかということ自体が非常に不鮮明でありますから、その問題について、はっきりいわゆる補助対象という問題を全体的に広げてやるという制度をつくる。その中でまた一体国がどれだけの補助をするかということも明確にしていくということで事業ワク、それから対象のワク、それからそれに関する国の負担率というものを拡大するということで、私ども建設省と一緒にその実現に協力をいたしたい、こう考えております。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、いま政務次官は建設省と一緒にやりたい、こういうことでした。私が心配している点は、久保さん、あなたのほうは、この間の連合審査等でも問題になりましたように、下水道は非常に重要でありますが、十年たっても政令ができない。現在の四〇%という補助率、三分の一を四〇%にした。これをどうしてもやはり二分の一なり三分の二にしたいという気持ちがおありであろうと思うのです。ところが、公害防止事業というものは下水道もありますけれども、グリーンベルトなりあるいは大気汚染の問題なり、いろいろとあります。ところが下水道補助率にこだわって、自治省の考えておる公害防止事業についての補助率の引き上げについて建設省と自治省との間の意見が折り合わなくて、大蔵省に漁夫の利を占められたといううわさがあります。私はうわさだろうと思うのでありますが、これは建設省の下水道補助率を全般的に四〇%を二分の一なり三分の二に上げることについては賛成でありますけれども、それだけで公害防止事業は片づくわけじゃありませんから、防止事業計画についての地方団体最大限を尽くせばやり得るだけの財源措置というものは、二十条、二十三条を問わずやはり措置してやるべきだと私は思っております。これについてひとつ建設省の大所高所からの態度をお聞かせいただきたい。
  57. 久保赳

    ○久保説明員 公害防止計画の中で下水道事業が非常に大きなウエートを占めておるのでございますが、公害防止計画は現在のところ三地区だけでございます。しかし全国の下水道事業を見ますと、三地区を含めまして四十九水域というような非常に広範囲に環境基準を定められ、大都市等の下水道整備も非常に急がれておる、こういう状況にあるわけでございまして、その中でやはり総事業費というものを大幅に確保されるということが一番大きなテーマであろうかと思いますが、たとえば二兆六千億という建設省案の中で一番大きなウエートを占めておりますのがいわゆる公共下水道です。これが二兆四百八十億ほどになるわけでございまして、先ほど来いろいろ御議論がなされておりますように、その公共下水道に対する財源問題が一番大きな問題でございまして、政令もまだきまっておらない、こういう状況でございます。したがいまして、その公共下水道財源の中で、国の補助率を上げるという問題と、それから国の補助対象をどうするか、こういう問題があるわけでございます。第二次五カ年計画では、公共下水道補助率の範囲というもの、これが五四%という段階できまっております。建設委員会でも、建設大臣がその問題に対してはっきりと答弁をされておりますが、建設省の五カ年計画の中では、国の補助対象事業というものを拡大をはかって、国の補助率は引き上げをしないということで、実際の地方公共団体財政負担を軽減していく方向努力したい、そういう方向財政当局折衝をしておるわけでございまして、補助率引き上げの考えは、建設省は五カ年計画の中では持っておらないわけでございます。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 わかりました。  最後に、そうしますと、これはもうどうも自治省と建設省が、公害防止事業地方負担についての財政措置について、意見の食い違いがあったといううわさは事実無根である、自治省としては、公共下水道についての補助対象事業のワクを広げる——それはそうです。四十センチ以下のやつは補助対象にしないというのでありますから、これも補助対象に、補助対象事業を広げていただきたい。そのワクを広げてくれということは、もう全国の自治体の熱望であります。そういうことでありますと、現に公害防止のために積極的に計画を推進していこう、消化していこうというところに対しては、自治省はひとつ責任をもって、地方団体がやっていけるように、十分な財政措置を考慮していただきたい、こう思います。よろしいですね、政務次官
  59. 大石八治

    大石政府委員 極力努力をいたすつもりであります。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  61. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  62. 和田一郎

    ○和田(一)委員 最初に大蔵省の主計局次長の佐藤さんにお聞きしたいのです。  きのうの私の論議のむし返しの点があるかもわかりませんが、以前から、国民健康保険の国の負担分、あの五%を府県に肩がわりさせるという話が大蔵省当局から出てきた、このように伺っておりますけれどもほんとうですか。
  63. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 昨年四十五年度予算編成のときにあたりまして、国民健康保険の割合を、国のほかに県に一部持ってもらってはどうかということが議論されたわけでございます。
  64. 和田一郎

    ○和田(一)委員 議論されただけで、それは立ち消えになっているということですか。
  65. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 最終的には、御承知のように話だけになりまして、大蔵大臣と厚生大臣との間の覚え書きで、継続をして審議を続ける、こういうことになっています。
  66. 和田一郎

    ○和田(一)委員 佐藤次長は、地方財政補助金等の担当だと承っておりますけれども、それに間違いありませんね。——佐藤次長のお考えはどうなんですか。
  67. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 私どもも、個人の考えでございませんで、大蔵省予算当局といたしまして、国民健康保険の一番合理的なあり方はどうであるかというふうなことで、そういう見地から検討しております。
  68. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それが一番合理的な方法だとおっしゃるわけですね。
  69. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 いろいろな考え方があろうかと思いますが、私どもは、いままでにでき上がっている制度をどう変えるかということは、たいへんむずかしい問題でございますが、白紙で考えました場合には、私どもの考えている案も非常に合理的ではないかと思っています。
  70. 和田一郎

    ○和田(一)委員 非常に不合理と私は思うのです。これは国民健康保険だけにしぼられてしまうかもわかりませんけれども、加入者が大体どのくらい負担しているか、さらに地方公共団体がどれだけ持ち出しているか、御存じですね。おっしゃっていただきたいと思います。
  71. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 国民健康保険のたてまえは、保険料で医療を相互扶助でまかなう、こういうたてまえでございます。ところが、この制度が発足いたしましてから、事業負担がないという見地から国が補助すべきではないかということで、昭和二十九年法律改正がありまして、これは旧法でございますが、そこで国庫補助二割ということが始まったわけであります。その後給付率が五割から七割に改善されたということで、七割の給付をする場合にその中の四割五分が国で二割五分が保険料、こういう仕組みになっているわけでございます。そこで私どもの考えておりますのは、国と、あとはすべて地域住民ということになっているたてまえでありますので、地方団体が介入してないことになるのではないか。そこで地方団体が介入する、財政的にも参加をする、こういうふうに仕組みを変えたらどうか、こういうふうに検討したわけでございます。
  72. 和田一郎

    ○和田(一)委員 国民健康保険というのは、いわゆる保険金でまかなうべきだ、これがたてまえだとおっしゃるわけですね。地方団体がまだ介入してない——まあ介入してないのは確かに実際のところを言うと、府県かもわかりません。しかし府県の財政といいましても、これは政府のほうからその分だけ府県に対して出してくれるのですか。そういうお考えですか。
  73. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 県で国民健康保険に負担をするということになりました場合には、現行の交付税制度のたてまえで考えますと、それは当然各県みな普遍的にやっておるわけでありますから、基準財政需要ということになります。したがって、交付税面で基準財政需要としての裏打ちをするということになろうかと思います。
  74. 和田一郎

    ○和田(一)委員 県道の舗装率、改良率、御存じでしょうか。さらに特に県が主体でやっておるところの社会福祉施設、精神薄弱者だとか身体障害者の施設はもう完備しておるのですか。
  75. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 最近、年を経るに従ってだんだんとよくなってきている、こういうことだろうと思います。
  76. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それはたぶんよくなるでしょう。しかし、たとえば一つの例をとりますと、まあ例ですから当てはまるかどうかわかりませんが、精薄者、特に児童の場合、大体どれくらいの人が施設に入っているか、御存じですね。ほんのわずかですよ。それは全部県の仕事ですよ。わずかな財政の中から特にやっているわけですね。現在の財政措置の中からやっておるわけです。そこへまたあなた、交付税措置するといまおっしゃったけれども、じゃ、いままでやっておるのを少しやめてこっちに出す、こういう議論になると私は思うのですが、そういうことも、大蔵省はそのほうにやっていきたいというお考えなんでしょうか。
  77. 後藤正

    ○後藤説明員 先ほど次長は数字をお持ちになりませんでしたが、たとえば国道でございますが、現在国道の舗装率は一級国道で四十年当時五九%でございましたけれども、四十三年で七九・四、それから都道府県道が二八・七でございましたが、それが三一・八、市町村道は非常に低うございまして、四・四が七・六というような数字になっております。昨日もちょっと御答弁申し上げましたように、いずれもがやはり大事な問題でございまして、バランスをとりながら整備をしていくということでございます。
  78. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ですから、私きのうもあなたに申し上げましたけれども、現在公害はどんどん進んでいる。それから交通事故は毎年百万人の死傷者がある。ですから地方財政はまさに住民福祉の立場でやっていかなければならない。ところが現在だぶついて金が余っているわけじゃないのにそこへ五%の負担分の肩がわりを持たされるわけなんです。たとえば県のほうでいろいろな仕事をしても、全部市町村から負担金を出しているわけですよ。県は県だけだという意味じゃないのです。全部市町村に通じてしまうのです。そういった意味で、とにかくこういう考え方はやめていただきたい、このように思うわけでございますけれども、これについて、ひとつ政務次官のほうから、自治省の立場でちゃんとおっしゃっていただきたいと思います。
  79. 大石八治

    大石政府委員 国民健康保険の制度自体の問題から、これを都道府県に一部負担させるという原則的な考え方に実は反対であります。  なお、私自身の見解を申し上げますと、いわゆる保険制度をどういうふうにするかということの根本的な検討をするという問題を前にかかえているわけです。しかも医療制度それ自体についても、どういうふうにするかということをやろうとしている矢先であります。そういういろいろの不確定要素をたくさん持っている、そういうことをいま確定しようとするような段階を前にしながら、ただ財務的な関係で、たいへんだからひとつおまえのほうも持たないかという御相談はたいへん受けつけにくい問題であると考えております。
  80. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ただいまお聞きのように政務次官おっしゃいましたけれども、それに対してひとつ次長のお考えをおっしゃっていただきたい。
  81. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 四十六年度予算編成もだんだんと大詰めに近づいてまいりましたので、この問題につきましても十分に関係省、自治省厚生省と相談をしてまいりたいと思っています。
  82. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もう一つ、つけ加えてお聞きいたしますけれども、教科書が現在無償配付になっておりますが、その一〇%ですか五%ですか、はっきり知りませんけれども、やはりそれも地方負担させるという話を聞きましたが、それも事実ですか。
  83. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 義務教育の教科書につきまして、現在全額国費負担でやっている。ところが義務教育の本来のたてまえは、国と地方と折半でやっていくということが、人件費をはじめとして原則になっております。したがって教科書につきましても、その線に照らしてみていかがなものであろうかということで検討しております。
  84. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これについて政務次官どうでしょうか。
  85. 大石八治

    大石政府委員 これは政党の話を持ち出してはいけないと思いますけれども、もともと教科書の無償配付という問題を出したときには、これは全額国費だという前提で実はスタートしたと私どもは思っています。無償であるということは、その地方費あるいは国費を含めて無償であるという解釈ができますけれども、しかし教科書ができるスタートのときは、実は無償ということは、これは明らかに国費であるという了解の上にスタートをしたものだと私どもは思っております。そういう意味では文部省もそういう了解をしているように考えますので、私どもはいただくなんという考え方はとても出てこないような感じがいたします。
  86. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そろそろ本題に入りますけれども、以上のように、すべて地方財政をいまねらっていらっしゃるように思うのですね。そのほかに、国鉄の赤字路線に対する地方団体へのおぶさりについても話がございます。今度は公害問題が出てまいりました。相当地方負担分があるのですけれども一つお聞きしたいのですが、四十六年度の各省から出ているところの公害関係の要求ですね。たとえば下水道では、建設省から出したのが国費が七百一億円であとは地方補助残または単独でやれ。ですから、下水道は二兆幾らですか、ちょっと私忘れましたけれども、いずれにしましてもこのようにたくさん出てきているわけですね。ですから四十六年度の各省の予算要求に伴うところの各地方団体の単独費または補助残は大体どのくらいになるか、お調べになっていらっしゃいましょうか。
  87. 後藤正

    ○後藤説明員 ちょっとあれでございますが、一応四十五年度予算計上額は、下水道を含めまして六百六十三億七千万でございます。四十六年度要求額につきましては、下水関係が七百二十六億というふうに大幅にふえておりまして、そのほか各省から相当多額の公害関係予算の要求があり、総額で約千六十二億、六〇%増の要求に相なっております。
  88. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この千六十二億というのは各省からの公害関係だけの数字ですね。これは国費分ですね。ですからこれに対する地方負担分は大体どのくらいかわかりますか。千六十二億に対する地方団体としての負担分、わかりませんか。これは国費でしょう、千六十二億というのは。単独事業があるわけですね。あるいは補助金だって全部いただいているわけじゃないし、途中でばっさりやられちゃうんですからね。あとは地方団体でやらなければならない。
  89. 後藤正

    ○後藤説明員 これは御案内のように総理府から始まりまして、警察、防衛施設、経済企画、科学技術、文部、厚生、農林、通産、運輸、労働、建設全部関係しておりまして、ほとんどのものが補助体系を持っております。それから新しい観測機器の整備というふうなものとか、あるいは実態調査の委託費とか、いままで出ておらない新規要求も多々ございまして、先生御指摘のように、これで地方負担がどうなるかというのは現在計算ができておりません。
  90. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それは、自治省からでもいいし大蔵省からでもいいのですけれども、資料を出していただけませんか。いかがでしょうか。
  91. 長野士郎

    長野政府委員 必ずしもぴたっとした数字はありませんが、私どものほうでいま各省が出しております予算要求に対応いたします地方負担分の概算を出しておるものがございますが、それによりますと、それにかかわる予算地方負担分は大体千二百八十億くらいという額になるようでございます。両方合わせますと二千三百三十億程度になる、こういうことでございます。
  92. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それじゃ財政局長に伺いますけれども、この約二千三百億というのは、これは一般分で行くのですか、または起債で行くのですか。そういうお考えはどうでしょうか。
  93. 長野士郎

    長野政府委員 もちろんその地方負担分につきましては、相当額は起債措置したいということでございまして、それについては地方債の中で要求いたしております。
  94. 和田一郎

    ○和田(一)委員 大蔵省のお考えはどうでしょう。相当地方団体財政が窮屈になってくると思うのです。現在でも必要な経費はどんどん出ておるし、さらにやるべき仕事は一ぱいあるということで、それだけ公害対策費がふえる。これは四十六年度だけでありまして、今回のいろいろな関係法案が通ったあとで、またぐっと仕事量がふえてくると思うのです。そういったことに対してのお考えをお聞きしたいと思うのです。
  95. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 地方財政につきまして、たいへん窮迫しているのではないか、その中で公害防止計画実施しなければならないということでなお困るのじゃないか、それに対して国は、地方から金を取り上げることだけを考えておって、どうもおかしいんじゃないか、というようなことでございますが、地方と国との財政の仕組みは、いまさら申し上げることもないのでございますが、地方財政規模は七兆九千億円ということでございまして、その財源といたしましては、交付税だけで本年度一兆六千億円ございます。しかも、この交付税は毎年たいへん急増いたしておる。それからそのほかに地方税につきましても、税収の伸びがございます。そういうことで、それぞれの地方財政におきましての自己財源というものと補助というもの、この組み合わせでできておるのでございますので、国費の割合が高まるということが必ずしもいいことかどうか、問題があるのじゃないか。要するに、全体としての財源配分の問題であろうと思っております。
  96. 和田一郎

    ○和田(一)委員 地方団体はそれだけ税収が伸びている、交付税も伸びている。それと同じように、全体の収入、国のほうのあれも伸びているわけです。もう一つは、地方団体の仕事がものすごくふえているのですよ。いま仕事がふえています。これは話が大きくなるかもわかりませんけれども、GNPに関係するわけです。特に人口急増地帯とか、または逆に過疎であるとか、それから人口が急増したためのいろいろな公害だとか、やらなければならない仕事は一ぱいあるのですね。だから、ただ単に、去年よりも増収があるとか、そういった見方だけで論議されてははなはだ困ると思う。先ほどちょっと主計官の方がおっしゃったように、市町村道の改良率は一四・一%です。市町村道ですから、山の中の道もあるかもわかりません。しかし、一四・一%、舗装率がわずか七・六%です。とにかく仕事があることはあるんですね。それだけに税収があるとか交付税がふえているとかいうことだけでは困ると思います。さらに、それにまたかぶさったところの公害の問題が出てきた。  時間がありませんから、もう一つお聞きいたしますけれども、こういう例もあるんですよ。たとえば市原市の隣の館山だと思いましたが、市原ではものすごい大気汚染がある。その大気汚染が風の関係で隣へ流れていく。隣町じゃ何も工場がない、一つ工場がない。しかもそれだけにいろんな固定資産税等が入ってこない、そして持っていきようがないのです。どこへなにしていいかわからない、おれたち一体どうすりゃいいんだというような問題もあるわけです。しかも大気汚染の測定器を備えつけなければならない、そういう面もあるわけです。いまの例は大気汚染だけですけれども、しかし、それ以外に私の選挙区の栃木県でもあるのです。小山市というところでカドミウムが流された。それが農業用水に乗っかって隣町に行ってしまった。野木町というところです。そしてその辺一面のたんぼが全部カドミウムに汚染されて、今度は買い上げ不能になってしまった。今度はたんぼのどろを上げなければならないわ、土壌改良をしなければならないわ、えらい問題です。しかし、自分のところには企業はない。こういう面もあるわけです。ですからひとつ、今後のお考えにもよるでしょうけれども、ただ単に、公害の問題は交付税でやるとかなんとか、簡単な考えじゃなくて、もう少し慎重に検討してもらいたいと思うのですが、そのことについてもう少し具体的に答えていただけませんか、いまのお考えを。
  97. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 公害防止が非常に重要である。特に産業が来ておって、まあ私どもは、基本的には、公害のあるところは税収入も非常にあがっているところだ、税収入があがるようになって公害もふえてくるというふうに思っていたわけでありますが、いまの例のように、被害のみある地域もその隣接にあるではないか、こういう御指摘であります。そういうふうなところにつきましては、収入がなくて経費のほうが出るということでありますから、これはまた国としても十分考えなくてはならないと思います。要は、そのそれぞれの地域におきましての財政状態とそれから事業の需要額というものを両方を見まして、それで適当なる補助制度と組み合わして公害に対処したい、こういうふうに思います。
  98. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかくひとつ、それこそ合理的に検討していただきたいと思うのです。  もう一つお聞きしますけれども、これは佐藤さんがお書きになった「明年度予算重点施策」なんです。この中に沖繩のことが書いてあるのですが、「沖繩復帰という事態に対処し、特別交付税の活用をはかるべきであると考える。」これはどういうお考えで、どういうふうに具体的にされるおつもりでお書きになったか、ちょっとおっしゃっていただきたい。
  99. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 この原稿は、まことに恐縮でございますがだいぶ前に書いたものでございますので、ちょっと読み直していないので記憶が薄れておりますが、現在におきまして、沖繩関係の問題につきましては、復帰に備えて鋭意準備をしておるわけでございます。そこで、沖繩の財政の状態を見ますと、沖繩の市町村に対する沖繩県からの財政援助というものについて問題があるし、それからさらに進んで、沖繩県自身の一般財源の問題これは復帰して税収入の区分けが国と地方と分かれないとはっきりしないのでありますが、いずれにしてもそこに問題がある。そこで、いずれにしても、返ってくる沖繩について、これを財政的に迎えるというときに、自治省も当然これを受け入れるわけでありますので、両方協力してやったらどうか、こういうことを考えておるわけでございます。
  100. 和田一郎

    ○和田(一)委員 特別交付税というのは現在六%ですね、全体の交付税の中から。その中から出すということなのか、または、特別交付税の税率を変えるという意味なのか、または、その三二%という総額の交付税の率をふやすという意味なのか、ちょっと私、理解しがたいのですけれども、まだそこまでは考えていないでお書きになったのですか、これは。
  101. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 まだそこまで詰まって考えてはおりません。ただ、六%の特別交付税、少ないといえば少ないわけでありますが、大きいといえば、また国の予備費と同じくらいの大きさでもあるということでございます。
  102. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、約一千億をこえる、予備費と同じくらい。これはもう相当でかくなったから、大きくなったからというお考えなんですか。これはもう幾ら一千億になったって、物価も上がっているんだし、貨幣価値も変わっているし、また国全体の規模が上がっているのですから、上がるのはあたりまえだと思うのです、幾ら六%であっても。一千億になったから、ここからひっちぎろうというわけなんですか。そうしますと、これは国税三税の三二%という交付税のワクが狭められるということになると思うのですよ。その点について、ひとつどうでしょうか。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  103. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 一般財源でございますので、その中でどういう需要に対応するかということは、そのときにおきましての状況に照らして、最も優先順位の高いものから組み入れてやっていくということであろうと思います。
  104. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、終わりますが、最後に政務次官、とにかく国保の問題だとか教科書の問題だとか、大蔵省のお考えは、先ほど次長が御答弁されたように、地方から金ばっかり取り上げているというふうにおっしゃっていますがと私に答えられたとおり、そのような印象を受けるわけですけれども、ひとつそういう面で、自治省としての来年度からの予算措置または今後のあり方として、お考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 大石八治

    大石政府委員 新聞にはたくさんいろいろ出ていますし、それ以外に、国鉄をひとつ地方でやったらどうだなんというのも出ておりますし、また、来年の予算編成というものを迎えて、自治省というのは全くやりぶすまみたいな中にいるような感じがいたすわけでありますが、しかし、地方団体財政需要が実質的に非常に重加されているという事態の中で、私どもは、最大努力を払いたいと思っております。
  106. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いま政務次官がお答えになったように、とにかく自治省はやりぶすまだ、そういう意味で、全体のことで、今後、さらに住民の立場に立った、地方自治の立場に立ったところの財政措置を望まれんことを強く要望するわけでございます。最後に要望して、私の質問を終わります。
  107. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 門司亮君。
  108. 門司亮

    ○門司委員 私は、最初に、かなり迂遠なことを聞きますけれども、いろいろ新聞や雑誌、それから、先ほどの大蔵側の答弁等を聞いておりますと、地方財政は非常に豊かになってるように印象を与え、また、事実、そういうことがたくさん書かれているんだが、何を根拠にそんなことを言われるのか、一応聞いておきたいと思います。
  109. 後藤正

    ○後藤説明員 昨日も和田先生の御質問にお答えしたわけでございますけれども、やはり好転論、豊か論というのは、国、地方の比較の問題とか、あるいは地方の過去から今日の趨勢とか、いわばそういうふうなものでございまして、昨日も申し上げましたように、決して、地方のあるいは国の直轄事業等についても、いまの水準が満足すべきじゃないということは、これはもう先生の御指摘のとおりだろうと思いますけれども、やはりたとえば歳入におきます伸びにつきましても、地方税あるいは地方交付税等の伸び、それから、歳出におきましても、いわゆる義務的経費といわれているところの給与費等を中心にしましたそういったもののシェアの程度、それに加わりますところのいわば建設事業、ことに、地方の単独事業の伸び、こういうものと見合いながら、私どもとしましては、やはり総体的にはかなりよくなってきておるというふうに考えます。
  110. 門司亮

    ○門司委員 それが大蔵省意見なんですね。そうだとすると、一体、大蔵省というのは、国のほうをどう考えておるかということが出てくるのですね。国のほうは、経済が非常に発展しておって、いろいろの仕事をしてきているのですね。地方のほうは、実際仕事がうんとあるんだよ。これを文化国家としての大体の水準、たとえばいま下水道の問題が問題になっているが、下水道を押えてみると、日本の下水道の普及率というのは、大体、全体を平均して二二%といわれておる。私は、実際そうなっていないと思う。しかし、いま二二ということがよく書かれている。そうすると、これをかりに五五%まで伸ばす。大体イタリアの少し下ぐらいですか、イタリアは六五ですから、そこまで伸ばすとしても、大体三十兆円ぐらいお金が要るということだ、十年間にやるとしても。一体、そういうことが国全体の考え方の中になきゃならぬのだが、そういうものを全部オミットしておいて、ただ、いままでお金のないところに貧乏人が仕事している、それじゃ、おまえさんの能力はこんなものだ、という大蔵省の考えはおかしい。いまのようなことで、地方財政が豊かになっていると一体どうして言えるんです。地方自治体がそういうものに対して、道路にしても下水にしても水道にしても、それに対処し得るだけのものを持っておれば、それはいいかもしれない。しかし、それは対処し得ないもので、今度の公害国会にしてもそうでしょう、地盤沈下だとかなんとか入れているけれども、地盤沈下を押えようとするにはどうすればいいのですか。地盤沈下を押えようとすれば、夏のクーラーのくみ上げをすることのないように雑用水を供給しなければならない。工場は深い井戸を掘って工業用水に使っているが、それをなくさそうとすれば、工業用水を供給しなければならぬ。これは全部地方団体の仕事でしょう。そうして、一方で、地盤沈下はけしからぬけしからぬと言ってみたところで、これはどうなります。私は、大蔵省がもしそういうことを言われるんなら、国のそうした総合的な視野の中から見て、この程度で十年なら十年のうちにどうなるか、あるいは十五年のうちにはどうなるかということの目安がついていないで、ただ地方財政が豊かになったということは当たらないと思う。税の伸びを見てごらんなさい。どう伸びているか。かりに三十九年を一〇〇として、今日までの国税、地方税の税の伸びを見てごらんなさい。どういう形になっているか。府県税がわずかに国税よりも伸びがよくなってきております。しかし、一番仕事をしなければならない市町村は、国の伸び率よりはるかに低いということです。これが実態でしょう。私が言うより、数字のほうはあなた方のほうが詳しいだろうが、その点はこっちで言ってもいいんだが、そういうことをあなた方は知っているでしょう。交付税がふえたといったところで、これは国税がふえなければ地方税もふえないのですよ。三二は三二で、どこまでいっても三二なんだ。三八にもならないし四〇にもならない。あなた方もふえている。にもかかわらず、交付税だけがふえたかのような印象を与える言辞を吐かれるということは、私は、大蔵省は不謹慎だと思う。一体こういう点をもう少し掘り下げた考方はどうなります。大蔵省、いろいろのことを言うが、私から言わしていただくと、大蔵省は実はけしからぬと思っている。さっきの健康保険の問題等にしても、大蔵省が行政上の意見を出している、県に移譲すればどうでこうでなんて。あなたのところはお金の番さえしていればいいのであって、何も行政的の厚生省の仕事まで取る必要はないのだ。最近の大蔵省というのは行政に対する非常に大きなくちばしをいれてきた。私は従来日本の国で内務省が弊害だったとすれば、このごろは大蔵省公害ですね。(「前のはよけいだ」と呼ぶ者あり)大体こういう人が内務省にもおりますからね、幾らか差しさわりがあるかもしれないけれども、戦前の内務省の非常な強い官僚意識というものが日本の地方行政をゆがめたということは私はいえると思う。しかし、これは官僚組織というのが日本の国の行政組織になっておったものだから、そう昔の知事さんをいじめるわけにはいかぬかと思いますけれども、今日ではそうじゃないのでしょう。各省にずっと分かれて、ことに内務省はけしからぬといって内務省を四つに分けたですね、戦後は。そうしてここだけはやや民主的に化した行政が行なわれるような組織が一応はできた。ところが最近に至ってはまるで大蔵省が国全体の行政面までも支配するかのごとき印象を非常に強く与えている。これは大蔵省としては少し行き過ぎだと思うのですけれども、まあ次長に聞いてみたってそれを返事するわけにはいかぬかもしれませんが、感想はどうお考えになります、一体。
  111. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 たいへんおしかりを受けまして恐縮に存じます。私どもの希望といたしましては、そういうふうに外見で見ていろいろ大蔵省について御批判があるわけでありますが、大蔵省側に立ってごらんいただきますと、いかにどれもこれも各省の言いなりになって泣いておるか、ということがおわかりになるのではないかと思います。
  112. 門司亮

    ○門司委員 これは行政上の事務配分の形から来るあなた方のお役目があるのです。私が言っているのは、たとえば国民健康保険はどうだとか、県に移せばどうだとかいって行政上の指図などする必要はないと思うのです。そういうことは厚生省なら厚生省がやるべき仕事であって、私はそういうところに、最近の大蔵省はこれを一ぺん解体して予算局をこしらえなければ、大蔵省予算を預けておくわけにはいかぬと思うのです。大蔵省はお金の番だけしておってもらって、むだづかいのようなものを監督してもらって、会計検査院からおこられないように。ことしは二十億とかむだづかいがあったと会計検査院は報告しておりますけれども、そういうことだけ気をつけてもらっておけばいいのである。こういうよけいないやみは言わないですむ。もう一つの要因は、さっき申し上げましたように、地方の自治体がほんとうに先進国並み、やや先進国並みといったほうがいいかもしれませんが、——下水道などは、イギリスなどは大体一〇〇%行っておりますからね。経済だけは世界の第二位だとか三位だとかいって、大蔵大臣はじめ、えらい胸を張って、あなた方もいばっているかもしれません。しかし、あなた方の住んでいる地域でしょう。あなた方といったって市町村にいるんでしょう、日本の外にいるわけじゃない、あなた方の住んでいる地域社会というものがほんとうに住みいい社会にならなければ、経済だけがどんなに伸びてまいりましても、これが正しい国家とはいえないということです。国家にどこかひずみがあるからそういうものができておる。そういうことを考えてまいりますと、大蔵省のいう地方財政が豊かだなんということは、これから言わぬようにしてもらいたい。言うならば、その根拠をもう少しはっきりしてもらいたい。事業量と対比して、それも無制限に私は言うわけじゃない、十年にこれを解決すればどうなるかということを大蔵省からひとつ出してもらいたい。この間自治省にこれを求めました。自治省はきわめて不確定なものだとは言っておりますけれども、大体十年間に一応の、さっき申し上げました下水道についても五五%ぐらいまでこれを仕上げていくということで全体に普及していくと、大体百十一兆一千億かかるといっているんです。地方税と国税の総額をどこにも使わないで、住民の環境整備に使わなければとても追いつかないという勘定が出てくるのです。地方税はことしは三兆三千億余りしかありませんし、国税が約七兆くらいありますから、両方で約十兆くらいですね。そうすると十年間に百十一兆使うということになると足らなくなるですよ。それほど日本の環境整備がおくれている。それを取り戻そうというのが自治省の苦労であり、われわれの苦労なんですね。そこを財政が豊かであるからというようなことで済まされておるというところに私は非常に大きな不満があるのです。これは私だけの不満じゃないと思うのですよ。日本全体の不満だと思う。だからもう少し大蔵省はものの考え方を変えていただきたい。  その中の一つとして私は具体的に申し上げてまいりますが、たとえばことしの予算の中で、あなた方のほうがよく数字は知っているだろうと思いますが、例の運用部資金がある。これは大体総額三兆六千億です。三兆五千九百幾らという数字ですね。その中に最も零細な貯金とされている郵便貯金が一兆一千億ある。これも御存じでしょう。そのほか一般の生命保険のワクの外にある零細な、これは生命保険という形で使われておる簡易保険が約八十億余りあるはずであります。これを二つだけ加えても大体二兆円はあるわけなのですね。ところが、これは国民の零細な資金を集めたものなのです。ところがことしの地方財政計画を見てみると、四十五年度の場合でも地方起債というのは大体六千億です。そしてその中に直接国が出すものと縁故債その他でまかなうものというのがあるのであって、必ずしも国家資金を使っているのではないということである。国の経済が非常に伸びていって、国民の生活がやや豊かになってきたというような形の中で、しかも零細なそういう資金というものが多く一体どこに使われておるかということは大蔵省のほうがよく知っているわけですね。これは産業用資金にどう使うとか、いや貿易振興にどう使うとかいうようなことが、数字を言ってもいいが、ちゃんと書いてあるのです。だから私は大蔵省の認識というものはその辺から少し改める必要がありはしないか。かりに世界に例がないわけではありません。あなた方も御存じだと思うが、イタリアの今日の資金部資金の運用というのは一体どういうことになっているかということ。イタリアは御承知のように郵便貯金が非常に多くの資金を集めております。市中銀行はあそこは非常に少ないのでありまして、大部分が郵便局に集めておる。そうしてこれは一つの郵便貯金だけの特殊法人とでもいうか、銀行のような形を示して窓口を持っておる。大体地方の自治体のいろいろな仕事をする財源をここから出しておるといっても差しつかえがないかもしれません。こういうふうに、地方の住民の意思と住民の持っておる経済力と、その地方における環境整備との財政的の結びつきというのが地方の行政の中には非常に大事なことである。いまの税制のように、たとえばことしの税制の割合が一体どうなっておるか、国民所得の大体一八・八%ですか、税の比率は。その中で国が一二・八%を取って県が三・三%を取って、市町が二・七%、こういう配分になっているでしょう。これが大蔵省に言わせると、しかしそういうけれども一兆六千億の交付税も出しているんだしというような話をされて、大体それを全部平均しても地方財政計画の六二%くらにしか当たらない、あとは借り入れ金であるとか、いろいろな手数料であるとかいうようなことで間に合わされておる。こういうふうなことをずっと考えてきますと、いま税制改革をして、そうして地方財源を潤すというようなことは、私はなかなか困難だと思う。税金というのはいつの場合でも新税は悪税だといわれておりまして、あまり賛成する人は少ないのであります。そこで問題になってくるのは、先ほどから話しておりまする財源の再配分というものが当然行なわれなければどうにもならないのじゃないか。地方は伸びているとかいろいろいわれておりますけれども、さっき申し上げましたように、一番伸びてないのは市町村税です。だから大蔵省の言っていることは私はちっともわからぬのですよ。どういうことをお考えになっているのか。国民の側からいいますと、一八・八%の税金を納めておる。この税金に対してこれがどう使われておるかというようなことが、やはり自治意識の高揚になり、国民意識の高揚になるわけなのです。ところが税金はそういうふうに納めるが、ほんとうに自分たちの直接の市町村に来る税金は二・七%しかないんだ。だから市町村ではほとんど仕事ができない。あとは国からお金をもらわなければならない。そして、私どもが、行政上できわめて不愉快に感じているのは、いま全部の国民が大蔵省は日参しなければならないという現実です。大蔵省に諸君はその上にあぐらをかいておって、だれが何といったって、日本のきんちゃくはおれのところが持っているんだから、おれのところにたくさん頭を下げてくる人にたくさん配分してやろうという悪い考え方を、私は持ってはいないと思うけれども、心のすみのどこかにそういう考え方がありはしませんか。そうすることが、また効果があるということで、国民が国会あるいはあなた方のところに陳情する費用が一体どのくらいになっているのか概算したことがありますか。これはむだな金ですよ。この点については、大蔵省に聞いたってわからぬでしょうから、自治省のほうで、都道府県、市町村関係の諸君が東京にそういうことで陳情に来る数字くらいは大体わかっていようかと思いますが、もしわかっているとするならば、一応そういうむだな費用があるということ等について、出してもらいたい。ここから行政がゆがめられているということです。だから、自治省でそれがわかるなら一応発表しておいてもらいたいと思います。市町村の数が幾らあって、議員さんが幾らおって、それが一年に二回ずつ上京してくれば幾らかかるくらいのことは大体わかるでしょう。
  113. 長野士郎

    長野政府委員 いまの陳情なり上京の関係につきましての数字、概数でもというようなお話でございましたが、手元に資料を持っておりませんけれども、最近やはりそういう問題も検討しなければならぬということで目下資料を取りまとめ中でございます。したがいまして、できましたところで提出させていただきたいと思います。
  114. 門司亮

    ○門司委員 私は、なぜ聞くかといいますと、実は交付税の中にこういう費用も入れて、算定の基礎をゆるめてもらいたいのですよ。そうしなければ出ないというのだから、必要経費にしなければならないでしょう。その最大の元凶は大蔵省にあるということなんです。見てごらんなさい、そこらじゅうで毎日毎日大会をやって、みな財政の陳情でしょう。何千人集まっているか、何百人集まっているかわからないけれども、おそらくこのことのために東京には万を単位とした人間が毎日ここに押しかけてきて陳情をやっているでしょう。これは私は行政の大きなむだだと思います。  それと同時に、ここからいろいろな犯罪が出てきていると私は考えている。昨年の犯罪統計、と言うとおこられるかもしれませんが、ここに私も一応の資料はございます。地方公務員の犯罪がどのくらいあったかということになると、地方公務員の犯罪はかなりたくさんある。その中で、陳情その他に関係のあるものがどのくらいあるかということをやはり見ないわけにはいかない。二百万そこそこの地方公務員の中で、これは争議行為その他を入れれば別ですが、争議行為を入れなくても、犯罪者として処罰された者が大体二千人余りおるでしょう。これはいろいろな形を示してきておる。と同時に、この現状が地方において、いま申し上げましたような犯罪の一つの要素になるわけであります。国のほうにどんどん陳情していかなければ、お金もくれなければ仕事もできない。地方においては、やはり地方住民が役所にどんどん行かなければ、陳情しなければ仕事ができないというわけであります。ちっとも緊張しない今日の行政を行なっているその最大の元凶は大蔵省だと私は考えておる。そこで、大蔵省に聞いてみますが、あなた方のところでいままでどれだけの陳情者があったか、その辺が大体おわかりだと思うのですが、もしおわかりにならなければ、ひとつお帰りになって、大蔵省全体を調べてもらって報告してもらってもけっこうですが、これは全部地方の行政に関係のあることなんです。それがわかりますか。
  115. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 たいへんいろんな面におきまして、われわれの仕事のやり方について御批判をいただきまして大いに反省するわけでございます。  そこで、先生に申し上げたいことが二、三あるわけでございまして、その第一は、地方財政が好転していると言うのはけしからぬ、やる仕事がいっぱい残っておるという現実をどう考えるのか、こういうお話でございます。確かになさなければならない事業が国にも地方にもたくさんあるということは事実でございます。しかし、最近かんだんと一歩一歩前進してきているということは内外の認めているところではなかろうかと思います。その場合に、そのふえ方が、国と地方と車の両輪であります。その両輪がバランスをとって伸びておるかどうかということを私どもは問題にしておるわけであります。それで見ますと、地方財政は、交付税とそれから補助金等、あと地方税収入で成り立っておる。その中で交付税は所得税、法人税等伸びの非常にいいものにリンクしておりますので、その伸び率は税収全体の伸び率よりも高くなっております。御承知のように所得税については毎年幾らかの減税がありますので、その分だけ伸びは減殺されておりますが、それを引きましても交付税率の伸びは一般の税率の伸びよりも大きい。したがって、国家財政の中に占める地方交付税の割合は徐々に上昇してきておるということがございます。それから、今度は補助金のほうでございますが、補助金の中で、たとえば私どもの問題にしております国民健康保険一つをとってみましても、すでに毎年二割何分の勢いで、三割も伸びを示しております。したがいまして、たとえば四十五年度では三千三百億、四十六年度ではおそらく四千百億になるのじゃないかと思います。つまり八百億の増加でありますから、四分の一ふえるわけでございます。したがって、補助金のほうも四分の一ふえ、裏のほうもまた一般の税収よりも多くふえるということでありますから、両方合計すればたいへんなことになる。それでは地方のほうは金が回り過ぎるじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、事業量との相関関係でなすべきことが多いということはそのとおりでありますが、今後の変化を見ましたときに、著しく地方に片寄っているので、そこのところを少し直していただきたい、こういうことで申しておるわけでございます。  その次にいろいろ陳情のために大蔵省まで来ないとうまくいかないようになっているのは非常に困ったことである、こういう御指摘でございます。私どももできるだけ反省してやっていきたいと思います。ただ一面から考えますと、非常に仕事熱心な国民が仕事をやろうとしても、最後に行きつくのは、合計してみるとやはり思うとおりの仕事をするほどの余裕はないということでございますので、そこのところをどこかでチェックされなければならない。たまたま現在それは財政当局でやれ、財政当局大蔵省だ、こういうことでございますので、できるだけその方向努力をさせていただいておると考えております。
  116. 門司亮

    ○門司委員 もう時間があまりありませんからつべこべは申しませんが、私は一応概念だけを話して大蔵省にぜひひとつ考えてもらいたいということなんです。ほんとうに目に余るものがあって、実際はむだづかいなんです。これはむちゃくちゃなんです。だからその辺は大蔵省でやはり十分な納得のいく、どれが重要であってどれがこうだということを考えていただかなければならぬということ。それから問題は、さっき申し上げましたように、経済大国といわれておる日本ですから、人間の住んでおる社会くらいはせめてイタリアの下くらいには置いておいていただきたいと思いますね。そうしなければ文化国家といえますか。これはさっきから話しておりますように、地方の自治体はどうにもならぬ。さっきちょっと地盤沈下の問題を言いましたけれども、これを食い止めようとすれば、積極的にやろうとすれば、工業用水などを供給してやらなければ、地盤沈下けしからぬといったところで、できない相談なんですね。河川の汚濁だってそうなんです。  また、私は大蔵省にこの際もう一つ念を押して聞いておきますが、行政のあり方というのは一体どういうものかということなんです。文化と行政というものが切り離しては考えられない。   〔古屋委員長代理退席、塩川委員長代理着席〕 世の中というものは、文化がずっと進んでまいりますと、同時に行政需要は非常にふえるものなんです。その伸びを大蔵省は一体どのくらい見ておるか、文化の伸びというもの。これは非常にむずかしいことを私は言うようですけれども、実際そうなんですよ。地方の自治体で——具体的に言わないとあなた方わからぬかもしれぬが、従来は、四、五年前、十年前までは、町村でごみを集めなければならぬ、屎尿の始末をしなければならぬといったことはなかったはずなんだ。ところが文化がだんだん進んでまいりますと家庭生活が変わってまいります。そうすると、そこから出てくるごみはいままでのようにかまどで燃すわけにいかぬ。農村に行ったってかまど一つない。これは必ずどこかに捨てなければならぬ。屎尿にしても、いままでこれを有価物として取り扱っておった時代が日本は非常に長かったのですが、最近は有価物として取り扱えない。そして新しい家ができれば、その屎尿は一体だれがくみ取るかということです。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕 やはりそういう世の中の文化の進展に伴う地方財政の膨張というのは、これは速度を合わせなければならない。いまそれが合っていないところに問題がある。自動車の数は非常にふえてくる、道路はどうにもならない。農村はどんなに近代化しようとしても、農道がいまのような農道では、あそこを機械化するということは困難である、やりにくい。この文化の発展と文明の一つの大きな網の中で、それから来る地方の行政というものは、時代に即応したものでなければならないということである。ところが大蔵省はそこに気がついているかどうかということです。国の財政、国の財政と言われますけれども、市町村も国の中にあるのですよ。日本の国の外に市町村があるわけじゃない。日本の文化、日本の文明がずっと世界の先進国並みに進んでいこうとするところには、必ずそういう変化があるわけだ。いまちょうど日本の状態はそういう変化の一つの時期に来ているのであります。いままではよかったがこれからはだめになる。そうすると町村財政というのは非常に苦しくなってくる。その考え方をひとつ大蔵省に変えてもらいたい。いままでの行き方、いままでの状態であるとするならばそれでよろしいかもしれぬ。教育の施設にしても同じことなんです。過密都市における教育の状態がどうなっているか。はなはだしい例を私はここで言っておきますけれども、たとえば私の住んでいる横浜などでは、あの洋光台の団地に、団地はできたが入居を横浜市が断わったでしょう。何で断わったか。学校がないからですよ。千人も二千人も一ぺんに子供がふえたのじゃ、どこの学校に入れるんだ、教育の責任持てませんぞ。しかたがないから公団のほうでは、半年もそんなことしておくらかしては収入にたいへん大きなマイナスができるから何とかしてもらいたいということで、校舎はないが、とにかくとりあえずプレハブで何とかやりましょうということで、これはやはりさっき申し上げました一つの大きな国の流れの中から来る地方財政の膨張なんですね。自然の膨張ではないのです。そういう環境整備に対する大蔵省のものの考え方が、いままでこうであったからこれぐらいの税制でよかろうというところに私は問題があると思う。これをあなた方おわかりにならないのですか。いままでは下水もそうなくてよかったかもしれない。しかし今日の、川は死んでいるとか海がよごれているとかいうのは、そこから来ているのである。生活環境がだんだん文化化しておるところから来る社会の一つ公害である。その公害をなくそうとするには、地方財政を豊かにして、それに十分調和のできる財政を与えなければできない。だから今度の国会が公害国会といわれておりますけれども企業公害のみに対処しております。しかしこうした社会公害というものに対処することのためには、この点大蔵省は目をあけてもらわなければ、どうにもならぬ時期に来ておる。もしこれを今日の状態のまま過ごしてまいりますならば、これは一体日本の国はどうなるかということです。この辺の考え方はどうなんです。そういう感じにあなた方はなられませんか。私はこれ以上聞く時間をきょうは持ち合わせておりませんので、聞きませんけれども、最後に私はそういうことを申し上げておきます。  くどく言うようですが、社会がずっと進化しておる、それに即応して地方自治体の行政というものは拡大されて膨張するものですよ。それを去年これだけお金が要ったから、ことしはこうだ、という机の上の計算では済まない。これを国が長い間怠っておったので、ここまで来てはどうにもならぬというところに来ておる。この認識、私の言うことが無理なのか、あなた方の認識が正しいのか、一体どう判断されます、あなた方は。
  117. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 地方自治体の立場から見まして、地方住民の需要というものは非常に大きいんだ、しかも日進月歩であるということは、御指摘のとおりだと私ども思っております。したがいまして、国と地方両方協力して均衡のとれた施策をやっていくということがぜひ必要であろうと思っておるわけであります。
  118. 門司亮

    ○門司委員 そういう答弁だとなかなか引っ込むわけにいかなくなりますよ。それではもう少し考えてごらんなさい。いま道路のことを言っておりますが、道路は一体地方の住民のための道路なのか、産業経済のための道路なのか。あのハイウェーは何のためにつけておるか。あれは経済発展のためでしょう。ここから名古屋まで道をつけたところで一体何カ所降りられる、しかもその道路の通っておる当該市町村にどれだけの利益を与えておると思います、住民にどれだけの利益を与えておると思いますか。住民はほとんど一歩もあの上に上がらない、通らないですよ。また通ることも不可能でしょう。均衡のとれたとおっしゃるなら、ああいうハイウェーはたくさんできる。いわゆる産業道路、経済に関係のある経済道路といえるかもしれないが、人間の歩く生活道路を一体どうするつもりか。どうして均衡がとれないのです、この辺の。私は生活道路がないからいま文句を言っておるのです。均衡をとるというなら——この産業道路、経済道路一つとっても、それがどんどんできてきておる。ここへさっき申しました郵便貯金なんかどんどん使われておるわけでしょう。そうして大事な生活道路というものがなおざりになっておるのが今日の状態であるから、いまお話しのように均衡がとれたというなら、こっちのほうももう少しめんどうを見てもらわぬと、私どものほうからいうと、均衡のとれたということはいえない。産業第一主義ということで世界の二番目というところまではい上がることができたが、給与の面で十六番目、社会環境で三十番か三十何番ということになるでしょう。こういう不均衡な事態をかもし出しておるということです。あなた方は均衡をとる、均衡をとるというが、均衡がとれておるならどれだけ均衡がとれておるのか言ってごらんなさい。道路一つとってもそうなんですよ。東京だってそうでしょう。ロンドンと同じようにするには道路面積をどれだけ広げなければならぬですか。ロンドンは大体一つ地域の約一八%から二〇%近い道路面積を持っておるでしょう。東京は一三%です。ロンドン並みにするにはどれだけ金がかかるか。しかも経済はロンドンより日本は伸びておる。均衡がどこでとれておりますか。そういうことはやはり考えなければならぬので、きょうは大蔵省のあなただけえらいいじめて悪いが、これは大蔵大臣に来てもらって文句を言うか、総理大臣に文句を言わなければ追っつかない問題だと思いますけれども、しかし事務当局としてあなた方がいろいろ勘案される場合に、そうした考え方をやはり持っておいていただきたいと思います。そういう点について感想も言いにくいだろうけれども、もし感想が言えるんだったらひとつ話しておいてもらいたい。
  119. 菅太郎

    ○菅委員長 お答えになれれば答えてください。——やはりこれは大蔵大臣か何かに言うべきことでしょうから、事務当局をあまり責めてもこれは感想を言えぬと思いますから……。  古屋亨君。
  120. 古屋亨

    ○古屋委員 私は、簡単に地方財政公害関係財政の問題についてお伺いをいたしますが、この間NHKで衆議院議員四百九十名全員を対象にして、面接と郵送を併用して十一月に「公害意識調査」というものをやりました。回答者はこれによると八三%で、四百九十人のうちで四百九人回答したそうでございまして、自民党が七六%回答し、社会党は九〇%、公明党は一〇〇%回答しておる。民社党は九三%。その問題全部の問い、答えを一々言うわけにいきませんが、そのうちで第七番目に「公害対策予算についてどう思いますか」という質問があるわけであります。その答えとして「現在程度で充分だ」というのは、回答者は一人でありまして、〇・二%であります。「不充分なので、もっとふやすべきだ」というのは、四百人でありまして、九七・八%であります。それから「あまりふやしても意味がない」というのは、四名でありまして、一%であります。それが予算についてどう思うかという衆議院議員のNHKの調査の回答でございます。  それからもう一つ、十一番目に「地方自治体の公害対策をどう思いますか」というので、「よくやっている」というのは、回答者十六人、三・九%、「まあまあだ」というのが百七十人で四一・六%でありまして、一番多いのは「不充分だ」というので、二百十八人、五三・三%、最後に「行きすぎのところもある」というのは回答者ゼロ、したがってパーセントはゼロ、こういうことになっております。  これともう一つ、この間NHKがやはり自治体首長百名について、あるいはまた企業百社について、あるいはまた労働組合百組合について、おのおの百ずつの公害についてのアンケートをとっておりますが、NHKが、地方自治体の首長につきまして、都道府県は四十六都道府県、それに公害問題をかかえている五十四市の市長で合計百名、七月の二十六日に紹介したものでありますが、これによりますと、その一つの「あなたの自治体では現在公害問題とどのように取り組んでおられますか」というのに対しまして、公害に対する取り組み方につきまして「最重点施策」といっておりますのが、市長は三四%、知事は四〇%でございます。「重要施策一つ」といっておるのが、市長が六二%、知事が五七%であります。「今の公害対策で十分か」というと、「十分でない」というのが、さっきの衆議院の場合にもありましたように、市長が九八%、知事が八七%になっています。そこでまた設問を変えまして、公害対策についてどういう問題が一番問題であるか、つまり「自治体の立場からみて、あなたは現在の国の公害対策にどのような問題があるとお考えですか。次の項目の中から該当するものをあげて下さい。」というので、項目が「行政機構の不統一」「自治体に対する財政援助の不足」「自治体に与えている権限が弱い」「国の公害基準がゆるすぎる」「国の基本方針が住民福祉より企業優先に傾いている」「公害に対する研究の立ち遅れ」「その他」というふうにありますが、この結果を見ますと、「財政援助の不足」というのが八八%でございます。「公害研究の遅れ」というのが八二%でございます。それが首長の関係で、企業あるいは労働組合等もやはり調査が出ておりますが、これは時間の関係で省略いたします。ただ労働組合の関係で、「あなたの企業公害で、住民に被害が出、住民との間に補償問題が起きた場合、どうすべきだと思いますか。」という設問に対して、一番多い六七・五%を占めておるのは、「補償はすべきだが、企業ばかりでなく国や地方自治体なども協力して、補償に当るべきだ。」というのが、組合の面接の結果一部にそういうことが出ておるわけであります。  こういうことから考えまして、私は、公害対策の費用につきまして、実は公害対策基本法の十九条、二十条の点は先般他の委員会においてお伺いいたしましたし、大体自治省大蔵省考え方等もお話を伺っておるのでありますが、公害対策基本法二十三条、「地方公共団体に対する財政措置」、つまり計画事業でない一般の公害に対しての費用の援助の問題でございますが、ただいまお手元に、指定都市につきましての本年十二月一日現在の調査による四十五年度の「公害対策費の予算及び国庫補助金の現況」というのを自治省大蔵省にお配りいたしましたが、これは「各指定都市が、大気汚染、水質汚濁等の測定、監視、規制及び苦情処理等に直接要する費用であり、人件費、下水道整備費、河川改修費、道路改良費、中小企業に対する融資、工場跡地買収費等広義の公害関係予算は含まれていない。」ということになっておりますが、たとえば横浜市について公害対策費の予算を申し上げますと、そこにありますように二億二千四百四十七万九千円で、国庫補助金が百七万円、〇・四八%でございます。大阪市について言いますと、二億四千六百二十七万四千円で、国庫補助金が二百十六万六千円でございまして、〇・八八%、指定都市全部六市を合わせますと、七億八千六百二十四万四千円でありまして、そのうち国庫補助金が千五百七万八千円、一・九二%というような状況になっております。したがいまして、もう一度お伺いをしておきたいのは、地方団体財政上の特別措置につきまして、基本法十九条、二十条によるものは、先般三地域については十二月一日付で総理大臣承認を受けたのでございますが、二十三条に基づく地方公共団体に対する財政措置の問題で、いま指定都市の数字を申し上げましたが、どういうように対処しようとしておられるか、その点を自治省大蔵省からひとつ——もちろん数字の点はこれから予算をやるわけでございますから、ただそれに対してどういうようなお考えで具体的に進んでおられるかということをお伺いしたいと思います。
  121. 大石八治

    大石政府委員 このお配りを受けた指定市の場合の予算額、それから国庫補助金をどういうふうにもらったかという問題について、実はこの内容がわからないわけですが、自治省としては、実は四十五年度の交対税の配分の中で、こういう観測その他の関係、人件費等で都道府県に二十億、それから市町村の関係で十億という数字を入れたわけでありますが、これは四十六年度でこの体制整備のためにはさらにその点を強化をいたさなければならないというふうに考えております。この補助金の中で特殊な観測装置等で国の補助金が来たものがあるのではないかというふうに考えておりますが、同時に、総合観測体制というようなもので自治省が今度四十六年度で大蔵省に要求しているものがあるわけであります。それから先ほどの三県の指定防止事業をごらんになってもわかりますとおり、その一番大きなウエートを占めているものは、いわゆる下水道と工業用水道の問題であります。したがって、財政的な面ではその二つが非常に大きいわけでありますから、先ほどからお話がありましたとおり、私どもはいわゆる指定地区下水道のみでなく、一般都市が、いわゆる下水道整備がされるためには、先ほどほかの方にお答えいたしましたとおり、来年からかかろうとする第三次下水道整備計画というあの計画が完全に実施される、そのときにいわゆる対象の拡大及び補助率の拡大というような問題が一般の市町村の場合の公害対策に非常に強く適用されますし、またいわゆる工業用水道の事業関係財政措置というものをしっかりやるということが大きなポイントになるだろうと思っています。
  122. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 いま古屋先生から資料をお見せいただきまして、内容が、個々の事業種目がよくわからないものでございますので、はっきりしたことが申し上げられないわけでございますが、おそらくこれは事業種目ごとにいろいろ負担区分がかなりはっきりしておるわけでございますので、その区分に従って計算をしたものじゃなかろうかと思います。全体を通じまして、このように国庫補助率が低いのは問題じゃないか、こういうことであろうと思います。ただいま自治省のほうからお答えがありましたが、私どもといたしましても、自治省その他の関係省と相談をいたしまして、四十六年度やってまいりたいと思っております。
  123. 古屋亨

    ○古屋委員 もう一つ、政治的な判断の問題でありますが、こういうことが事務的に考えられるかどうかということをひとつ企画庁あるいは公害対策本部にお伺いしたいと思います。いま日本の経済伸展に伴いまして、いろいろの五カ年計画、十カ年計画、ビジョンというものが出ておるわけでありますが、たとえば公害につきまして、来年度予算が決定した暁において、たとえば公害のまだそれほどあらわれていない十年前の状況に戻すためには国民の所得の何%ぐらいをこれに充てるのが適当であり、そしてどのくらいの金がそういうようなきれいな空、きれいな水にするためにはかかるかというような、つまり経済が五年あとにはどうなるかということ、また国民生活がどうなるかということが、いまいろいろな審議会その他で数字で発表されておりますが、公害をなくすという点においての何年間のビジョンというものはいまのところまだ示されていない。また、これから来年度の予算編成にかかるわけでありますから、いますぐには不可能でありますが、来年度予算編成の暁において、ひとつ公害というものをなくするためにはどういうビジョンを持ち、数字的には、たとえば先ほど言いました国民総生産の二%くらいを充てる。聞くところによると、企業側におきましては、公害排除のためにはたしか四%程度の費用が出ておるが、四十五年度は七%ぐらいになっておる。近く一〇%くらいまで企業で必要であるという話を聞いておりますが、国としてもそういうビジョンを出すことが——事務的にどういうふうに不可能であるか、あるいはそういうことがある程度可能であるか、またいつごろになったらそういうビジョンというものを出すことができるかというような点について、ひとつお考えを、これは政治的判断は別でございますが、私はぜひ示してもらいたいと思うのです。非常にばく然とした大きい問題でございますが、これに対する意見をお伺いいたしたいと思います。
  124. 植松守雄

    植松説明員 いまの御質問でございますけれども、当然やはりそういうビジョンは持つべきものであるというようにわれわれ考えます。ただし、公害と一口に申しましても、そこにはいろいろな態様のものがございまして、またそれに対する対応策も非常にバラエティーに富んだものでございます。たとえて申しますと、大気汚染について考えれば、これは国や地方団体がなすべき施策というよりも、やはり企業がやらなければならないという問題でございまして、しかもその場合に問題になりますのは低硫黄重油ということが基本的な問題になろうかと思います。それからさらに水質汚濁防止につきましては、これは企業の排水処理の問題とそれから家庭用排水にかかるところの下水道整備というようなことであろうかと思います。そこで、たとえば下水道を例にとった場合に、現在の全国の河川の汚濁の形態、それから今後経済の発展が見込まれますから、いまのままでいきますと当然汚濁の度合いは進んでまいります。それらを織り込んでこれを処理するためにはどの程度の下水道処理計画が必要であって、たとえば建設省におきましても、四十九河川についてすべて環境基準を達成するためには三兆何がしの金が要るというような計画を持っておるわけでございます。そういうものを積み上げれば、どの程度のものが必要であるかという計画ができないわけではないわけであります。それから大気のほうは、先ほど申しましたように、公共事業でやるということよりも、むしろ低硫黄重油をいかにして確保するかというような形の排煙脱硫、重油脱硫、あるいは天然ガスの問題とか、そういうようないろいろな低硫黄の原料の問題と、それからやはり企業の設備投資の問題であるとか、この辺はむしろ企画庁のほうが専門だと思いますが、やはりそういうビジョンは持つべきであると思うし、また個々に積み上げて検討をしていかなければならないというふうにわれわれは考えております。
  125. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 ただいま公害対策本部のほうからもお話がありましたが、たとえば水質汚濁関連いたしましては、下水をどの程度整備するとか、この点は新経済社会発展計画でもある程度の検討をいたしておりますし、またそれに関連いたしまして各省で個々のいろいろ長期の計画をいま作成しておりますが、その場合にも、たとえば環境基準を守るためにはどれだけ公共投資をしなければならないかということから、具体的な計数もだんだんできてきております。しかし、いま先生のお話しのは、あまりそういう一つ一つのだけでなくて、全体として十年前の状態に戻したらということでありますが、そうなりますと、そうした公共投資も重要な一環でありますが、それだけでは済まなくて、企業自身の投資増大あるいは立地をどう考えたらよいかというようないろいろ諸般の問題を総合的にやっていかなければならないことは御承知のとおりでありまして、現在のところ、そうしたものを全部総合的に考えて一つのビジョンをつくるということは、非常に必要なことだと思います。今後やっていかなければならないと思います。ただ現段階におきましては、それをまだ十分積み上げるだけのデータの整備が遺憾ながらできておらないのでございまして、いまそういうものがあるかといわれますと、まだそこまで全貌を数字的にあらわしているものがございませんが、しかしそうしたビジョンは重要なことであります。私どもといたしましても、そうした問題に今後十分取り組んでいきたいと思っております。
  126. 菅太郎

    ○菅委員長 山口鶴男君。
  127. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 まず大蔵省の主計局次長さんにお尋ねしたいと思うのですが、大蔵省政府委員として国会が承認をいたしました方々は多数あります。官房長、主計局長、主計局次長が三人、あと主税局長、関税局長、理財局長、証券局長、銀行局長、国際金融局長、国税庁長官と、こうおるわけであります。国会法を御存じだろうと思うのでありますが、国会法の第七十一条によりますと、「委員会は、議長を経由して国務大臣及び政府委員の出席を求めることができる。」かようになっております。ところがどういうわけか知りませんが、当委員会当初、鳩山主計局長に来ていただきたいというのが委員全体の希望だったわけであります。しかるに大蔵省というところは妙なところで、せっかく政府委員に任命されておりながら、主計局長は予算委員会にしか出ない、こういう悪習があるそうですね。先ほど来門司先生が大蔵省公害の問題をたいへん問題にされたのでありますが、私は主計局長がなぜ国会の委員会に出ないのか、まさにこれは国会法違反だと思うのです。なぜそういうつまらぬ習慣を大蔵省はおつくりになったのか、この点をまず承っておきたいと思います。
  128. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 主計局長がどういうふうにやっているかということでございますが、私、残念なことにそのほうはよく存じていないのでございます。
  129. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この承認をやるのは議運でやるわけで、私も議院運営委員の一人でありますが、少なくとも院が政府委員にすることを承認し、国会法七十一条によって、政府委員委員会が要求すれば出席をしなければならぬということになっておるのですから、私はやはりこれは大蔵省部内においても国会法七十一条を尊重してやっていただくということを、ひとつ十分御検討いただきたいと思うのです。  それからさらに委員長がおられますが、国会の運営は、もちろん議院運営委員会で院内のことをいろいろやっておりますが、委員会運営につきましては、常任委員長会議というのがございまして院の運営をやっておられると思います。この国会法七十一条は委員会に関する問題でありますので、ひとつ委員長会議の席上でも問題にしていただきまして、国会法七十一条がりっぱに守られる、そういうことを実現していただくように、これは委員長のほうにもお願いをいたしておきたいと思います。  大蔵省、どうですか、国会法七十一条を守る立場で大蔵省部内でも検討いただけますか。
  130. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 できるだけ努力いたしたいと思います。
  131. 菅太郎

    ○菅委員長 山口君の仰せは、私もその旨を常任委員長会議に持ち出しまして、議運の問題としてもあらためて検討いたすように話をいたします。
  132. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 次に、佐藤さんにお尋ねしたいと思いますが、地方財政に対する考え方ですが、門司委員からいろいろな角度からお話がありました。時間もありませんので、私はごく簡単に聞きたいと思いますが、歴代の大蔵大臣は、地方交付税地方財源だということをなかなかおっしゃらなかったのであります。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 私と同じ選挙区であります福田さんが大蔵大臣になりましてから、初めて大蔵大臣として、地方交付税地方財源であるということを言われたわけです。これは大蔵省一つの進歩だと思って、その意味では評価をいたしております。ところがどうも主計局次長さんや主計官が出てまいりまして話をすると、どうもその辺が明確でない。これはたいへん遺憾に思います。先ほども議論を聞いておりましたら、昨年は三百億地方から召し上げたわけでありますが、どうもことしは八百億くらい交付税が多過ぎるのじゃないかというような御認識で、たとえば国民健康保険の補助金を市町村の責任に五%押しつけるとか、あるいは教科書がどうとか、あるいは府県の人件費補助をどうするとか、いろいろなことを考えておるようであります。しかし私はそういうことは誤りであると思う。少なくとも交付税地方財源であるという趣旨に立つならば、私は三二%の交付税は一般会計に入れるということは認めるべきだ。そして三二%相当額を交付税譲与税特別会計に入れる。そうしてもし年度間調整が必要とあるならば、私はこの交付税譲与税特別会計の中において操作をすべきであって、国と地方との間のやりとりなどというものはすべきでない、かように思います。本年の予算委員会で私、福田大蔵大臣にも質問いたしました。貸し借りはせぬということを約束をしていながら、これを破ってまた貸し借りをやったことはけしからぬじゃないかと言いましたら、まことに申しわけありません、こういう大臣の答弁でございました。したがってことしは少なくとも貸し借りは絶対やらない、この点は大蔵省、言明できますか。  それからさらに地方財源であるというならば、交付税譲与税特別会計に入れて、年度間調整が必要とあるならば、その中でやる、こういう形を貫くお考え方がございますか。あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  133. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 交付税の本質が何であるかということにつきましては、以前から異なった見解がございます。地方国有の財源であるということに力点を置いて考える考え方と、やはりこれは交付されるものというところに力点を置いて考える考え方とございまして、その決着はついていないのじゃないか、こういうふうに考えております。  それから、それはまあ性格論でございまして、今度は具体的に交付税のいわゆる貸し借りというものを四十六年度においてやるのかどうか、こういうお尋ねでございますが、これについては目下そういうことも含めまして検討しておるという程度でございます。  それから特別会計にストレートに入れて、そこで、かりに年度間調整をやるとするならば、そういう場でやるべきであって、一般会計と特別会計との窓口でやるべきではないという御指摘でございますが、これはどこの段階でやっても年度間調整の目的にどれがそぐうかということで考えればいいのじゃないかと考えております。
  134. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうもただいまの御答弁、いずれも納得できないのですが、時間がないからあまりいろいろなことは言いませんが、少なくとも大蔵大臣はあなたの上司でしょう。それが国会へ参りまして当委員会交付税地方財源です、こう明確におっしゃったわけなんですね。そのことはあなたも知っているでしょう。大臣がそう言っておきながら、その性格については両論があって決着はついていないというようなことを言うことは、私は福田大蔵大臣をないがしろにするといいますか、たいへん遺憾な態度だと思いますよ。どうなんですか。
  135. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 ただいま申し上げたとおりでございまして、私どもなおしかりを受けるかもしれませんが、そういうふうに考えておるわけでございます。
  136. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 日本の政治は、議会制民主主義政党政治ということになっております。そして行政権というものは内閣が行使をする。内閣を構成するのは各国務大臣ということになっています。これが国の行政の方針をきめるわけでしょう。そうですね。それに対して、内閣の方針がきまっておるのに官僚がかってなことを言う、大臣の見解とは違ったことを言う、そういう日本の政治形態——行政権はそうだ、行政のあり方はそうだというふうに大蔵省は考えておるのですか。一体どうなんですか。
  137. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 具体的な指示なり方針というものは、上司の方針に従ってやっていくわけであります。ただいまの地方交付税の本質は何であるかということは、いささか学問的な問題ではあろうかと思います。したがいまして、それは学説でありますので、どうであるかというはっきりしたものはないんじゃないかと思っております。
  138. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 間違っては困りますよ。私はここで学説を聞いておるのじゃないんだ。いろいろ学説はあるでしょう。しかし、佐藤内閣なり福田大蔵大臣としては政治的にどう判断をするのか、政府の方針としてはどういう判断をしておるのかということを私どもは問題にするわけなんでして、何も学説を聞こうと思って私ども委員会をやっておるわけじゃない。少なくとも大蔵大臣地方財源だと言えば、大蔵省の方針、政府の方針というものはそうなんだ、こう受け取って私議論しておるわけなんですから、その前提がくずれたら、それは学説だなどということだったら、国会で議論をする意味がないじゃありませんか。間違っては困るんです。
  139. 後藤正

    ○後藤説明員 先生の御質問のときの大臣の答弁を、議事録で正確には覚えておりませんが、地方一般財源である交付税で、少なくとも国税三税の三二%ということをきめられておる限りにおいては、それは国が地方に渡すべき金であるということは確かにおっしゃっていると思いますが、また一面、これは地方の標準的な行政を保障したり、あるいは地方財政を調整するための交付金的な性格も持っておるというふうにおっしゃったように私は記憶しております。
  140. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 財政局長の見解はどうですか。
  141. 長野士郎

    長野政府委員 私どもは、地方制度調査会の答申にもありますように、地方交付税地方の共通財源地方の固有財源であると思っております。
  142. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これは、福田大蔵大臣が内閣自動延長で留任されたようですから、また来ていただきまして議論するとして、一応これで終わっておきましょう。  次にお尋ねしたいのは、この新経済社会発展計画であります。これを見ますと、昭和四十五年から五十年にかけました六年間、五十五兆円の公共投資をおやりになるということであり、内訳を見ますと、環境衛生につきまして三兆一千四百億円というものがございます。私どもも、先ほど来議論がありましたように、公害を追放する、環境基準を厳格に守り、日本の国土の環境保全していくということにつきましては、まず第一義的にはこれは企業の責任であることは当然だと思います。しかし、同時に企業が責任をもって公害防止施設整備する、あるいは改善をすることは当然でありますが、一方ですでに破壊された環境もあり、それからまたさらに今後の推移を考えますならば、整備をしなければならぬ公害防止施設が多多あるということは当然だと思います。確かに憲法で財産権、それから営業権というものは保障されています。しかし、これはいずれも公共の福祉を害しない、あるいは公共の福祉に適合するという形で、カッコづきで財産権とそれから営業権というものは憲法二十二条、二十九条で保障されているわけですね。ところが、私ども環境保全公害の問題で問題にしております憲法二十五条、人間の文化的な、そして健康な環境を保障するという問題は、これは公共の福祉云々というカッコづきはないわけであって、そういう意味では、憲法二十五条をこそ私ども優先をしなければならないというふうに思っております。  そういう角度から考えますと、もちろん他の部面にも公害防止関係するものはありますが、主として一番関係深いのはこの環境衛生三兆一千四百億円だろうと思うのですが、この内訳は一体どうなっておるのですか。下水道が幾らで、それから簡易水道が幾らで、清掃施設が幾らで、都市公園は一体幾らか。この内訳はどうなっておりますか。
  143. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 新経済社会発展計画できめておりますのは、ただいま先生が言われましたように、全体の公共投資額五十五兆円、その内訳といたしまして、環境衛生三兆一千四百億、ここまでがきまっておりまして、その内訳はこの新経済社会発展計画そのものできめているものではございません。ただ、この計画を答申いたしました経済審議会で、その審議の過程で一つの試算として考えているものがございます。それによりますと、下水道が二兆三千億、清掃三千五百億、簡易水道六百億、都市公園四千三百億という試算が載っております。
  144. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そこで厚生省、今度廃棄物及び清掃に関する法律ができました。この三千五百億の投資で、プラスチック公害等が激化する中における廃棄物処理がはたして十分可能だと思いますか。  それから建設省来ておられると思いますが、この二兆三千億で、すでに四十九水域、環境基準がきめられている、これらを整備をする、それ以外に下水道整備しなければならぬ地域もあると思いますが、昭和四十五年から五十年にかけて、二兆三千億の投資でもって足れり、かように考えておられますか。いかがですか。
  145. 榊孝悌

    榊説明員 お答えいたします。  私ども計画といたしましては、この新経済社会発展計画の中で盛り込まれております五十年までの投資額については、清掃施設関係処理といたしましては、一応全人口の九五%をカバーする施設整備、こういうことを目標にして考えております。
  146. 石川邦夫

    石川説明員 下水道につきましては、先ほど御説明ございましたように、この計画の中には二兆三千億見込まれているわけでございます。しかし、この計画は六カ年間でございまして、今年度におきましてすでに二千億円程度の事業をいたしておりますので、四十六年から五十年までには二兆一千億でございます。しかしながら、現在の河川の水質の汚濁あるいは新しい都市の基盤整備というふうな面から見ますと、この二兆一千億では必ずしも十分ではないということで、われわれといたしましてはこの予備費にあります一兆円の半分を取りくずしまして、五千億を足しまして、二兆六千億というふうな計画にいたすことで現在努力しておるわけでございます。この二兆六千億でそれでは十分かということになりますと、やはり先ほど申し上げましたように、水質環境基準の定められた四十九水域のうちで五カ年間に達成できるのは二十水域であるというふうなことで、全体として下水道事業の伸びはかなり大きくなるわけでございますけれども、決してこれだけで十分ということではありません。
  147. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 厚生省に聞きますが、現実に補助率が屎尿は三分の一、ごみ処理場は四分の一という補助率になっておりますが、補助対象が限定されておるために、かりにごみ処理施設を二十億円ぐらいの大きなものをつくるということになれば、現実の補助率は二十分の一程度にしかなっていない。これが現実じゃありませんか。それから下水道につきましてもお答えがありましたが、一昨日になりますか、下水道法を審議いたしました建設委員会では次のような附帯決議を付しておりますね。「現行公共下水道十分の四、流域下水道十分の五、都市下水路三分の一を公共下水道、流域下水道各四分の三、都市下水路二分の一の方向で大幅に引き上げること。」それからさらにいろいろなことを書いておるわけでありますけれども、こういうことで国会の意思としては現行の補助率を引き上げるべきであるという意思決定だと思うのです。先ほど御答弁を聞いておりますと、とにかく起債対象が現在五四%、この充当率を六〇%に引き上げる、それをやりたい、当面補助率を引き上げる気はない、こういうようなことをあなた御答弁されましたね。私はこれは院の意思に反するのじゃないかと思うのですね。私はそういうことは困ると思うのです。ですから建設省としては補助対象を引き上げなければいかぬ。また国会の意思として補助率の引き上げもいわば義務づけられたようなものであろうと思うのですね。そうした場合に、二兆三千億のうちすでに二千億使って二兆一千億、予備費等を充当いたしましてこれを二兆六千億にさらに拡大してやっていっても十分でないと言っているのですから、経済社会発展計画が閣議決定された本年五月の段階ではそれでよかったかもしれぬけれども、これほど公害国会といわれ、国会が真剣な議論をしていろいろな法律もつくり附帯決議もつけたという段階では、当然この基礎数字というものを変えていかなければいかぬ、こういう気持ちに建設省もなっておるのじゃないかと私は思うのです。この点厚生省と建設省の御意見を聞いて、さらにあとでまた大蔵省の御意見も聞きたいと思いますが、とりあえず両省の御意見を聞きたい。
  148. 榊孝悌

    榊説明員 御指摘補助額の向上ということにつきましては、今後とも私どもといたしましても、その実態に沿いますように、いろいろ御意見等を十分尊重いたしまして努力いたしてまいりたい、このように考えております。
  149. 久保赳

    ○久保説明員 下水道につきましては、先ほど私が申し上げたことは、総事業費を確保いたしまして、できるだけ早くいろいろな公害対策その他に対応できるようにしたい、こういうことの中で財源的には現状では国の補助の対象になる範囲が非常に低い、したがってそれを改善することによって実質的に地方負担を減らしていく、こういうことが現実的ではなかろうか、こういう意味合いから補助率を上げるということを今度の五カ年計画の中では考えておりません、ということを申し上げたわけでございます。それに対しまして、ただいま先生から御意見がございましたように衆議院の建設委員会における附帯決議があったわけでございますが、この附帯決議はそういう国の財源措置につとめること、こういうことで幾つかの問題点が指摘されたわけでございますが、建設大臣もそれに対しまして、尊重して今後遺憾のないようにしてまいりたい、こういうふうに答弁をされております。その建設大臣の答弁のように考えてまいりたいというふうに思っております。
  150. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうなりますと、そのワクをきめておいて、補助対策を広げるか補助率をどうかということは、これはもう決着がつくはずはないので、結局ワク自体をある程度是正するというか検討していかなければ、これは院の意思にも反するし、大臣の言明にも反するということになるだろうと思うのです。  そこで公害対策本部もおりますし、経済企画庁もおられますが、結局昭和四十五年五月一日にきめた計画だけにこだわっておったのでは、現状激化する公害に対処できないことは明らかだと思うのです。そういう意味も含めて、失礼だとは思いましたけれども、山中さんのことを山吹大臣ではないかということを申し上げたわけなんで、問題はこの計画自体を手直しをしていくという気持ちがなければ私はこれは問題は解決しないと思うのです。公害対策本部としては、この計画特に環境衛生については、手直しをするお気持ちですか。また経企庁においても水質汚濁については責任を持っておられ、環境基準を守る責任があるわけでしょう。そうした場合に、はたしてこれで済むと経企庁はお考えなのか、この点はどうですか。
  151. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 新経済社会発展計画では、先ほど申し上げましたようなことを決定し、あるいはその議論の過程でも試算数字が出ておりますが、それに関連いたしまして、関係各省でそれぞれまた計画をつくっております。下水道につきましては、先ほど建設省からも答弁がありましたように、五カ年計画として二兆六千億という案を持っておられることも聞いております。その点につきましては、ただいま御指摘がありましたように、環境基準をなるべく早期に達成していくということと同時に、全体のバランスも考えながら、何といいましても公害問題が非常に重要な段階でありますので、なるべく前向きに対処してまいりたいと考えます。
  152. 植松守雄

    植松説明員 いま企画庁から申されたような気持ちをわれわれも持っておるわけでございます。われわれとして一番関係が深いのは下水道問題でございまして、御承知のように今年度の予算要求におきましても一般会計の予算要求の中では七割が下水道予算ということになっております。何と申しましても、国なり地方公共団体がやる公害対策、公共事業として行なわれる公害対策の中では、圧倒的に下水道のウエートが高いということであります。ところがその下水道の普及率が今年度末で二二・八%というような状況でございますから、われわれぜひこれを重点的に推進しなければならないと思っております。また二兆三千億、これがここ五年では、二兆一千億という数字が二兆六千億ということを建設省は言っておられるわけでありますが、われわれとしてもその必要性は非常に感じておるわけであります。
  153. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 各省の御意見はずっと聞きました。さらに先ほど細谷委員のほうから、総理大臣承認をした三地区公害防止事業についても、自治体の負担はたいへんではないか、当然これらの地域に対して補助金かさ上げをするなりいたしまして地方財政の特別措置をしなければこれはどうにもならぬじゃないか、こういう指摘もございました。また経済社会発展計画自体もこれを改定していかなければ、現在の公害に対処できないというのか各省の意見だろうと思うのです。  そこで、先ほどから問題になっております、さいふを握っておる大蔵省としては、この総理大臣承認した地域地方団体に対する財政措置法律、これを一体どうするつもりですか。これは当然つくらなければどうにもならぬでしょう。それから、さらにさっき言いました発展計画に対する財政措置は当然でありますが、それ以上の負担というものも当然していかなければいかぬということだろうと思いますが、そのお考え方を聞いておきたいと思います。
  154. 佐藤吉男

    佐藤(吉)政府委員 公害防止計画の達成につきまして特別な財政措置をするかどうかということにつきましては、所管省であります自治省その他の省でどういうお考えで臨まれるかということをよく連絡をとってやっていきたいと思っております。その連絡をとってやっていく際の基本的な考え方は、私どもの思っておりますことをちょっと申し上げてみたいと思いますが、公害発生地域防止事業をやるということになりますと、あるきまった年限の中に仕事を急いでやっていかなければならないということで、資金的にも予算的にもたいへんであろうと思います。しかし同時に、現在計画のできている三地域を見ますと、いずれも不交付団体でございます。合併によって経過的な交付団体になっている倉敷の例もございますが、それは過渡的なものでございまして、いずれも不交付団体になっている。その財政の内容を見ておりますと、税収入の増加、その他の財源増加もかなり著しいし、将来減免しておる固定資産税がまた入ってくるというような状況もあろうかと思います。一方先ほどからたびたび出てまいります二十三条関係のその他の地域を見ますと、ここでも公害は、なるほど公害発生地域ほどは出ないかもしれないけれども、その他の財政需要というものは劣ら互いほどあるんじゃないか。したがいまして、その間の地域間のバランスというものをどういうふうにして均衡をとっていったらいいか、現在あります首都圏、近畿圏等の補助率かさ上げ制度ともあわせまして、どういうふうにしたら一番いいかということで検討していきたいと思って  おります。
  155. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 もう時間がありませんが、成田の整備計画をやっていますが、あそこは首都圏ですね。その上にさらに成田もかぶせているわけです。ですから、当然こういった集中的に公害防止事業をやらなければならぬ地域は、いずれも首都圏、近畿圏等に、あるいは新産業都市というところに入っているでしょう。しかし当然成田と同じように、その上に私はやはりかぶせるべきだ、またかぶせなければ、これは仕事ができるはずはないと思います。それからさらにその他の地域についても公害はあるわけですから、しかもそういうところは財政力も貧困なところもあるでしょうし、先ほど来お話のあった越境公害なんということもあるわけですから、そういうことを考えました場合に、当然私は公害関連事業全般について補助金を見直す、補助率を引き上げる、それから充当率を引き上げていく、そうしてさらに地方財政に対する財源手当も法律を考えていくということでなければ、これは日本の公害は決してなくならぬ。またそういうことをやらなければ、大蔵省は大蔵公害を振りまくと同時に、そうでない産業公害もいつまでも放置しておる、こういう考え方だといわれても私はやむを得ないと思うのです。  もしお答えがあればお伺いすることにして、質問を終わっておきます。
  156. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 次回は、来たる十六日水曜日、午前十時から理事会、十時半から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十四分散会