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1970-12-10 第64回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 岡沢 完治君       岡崎 英城君    亀山 孝一君       國場 幸昌君    高鳥  修君       中山 正暉君    中村 弘海君       永山 忠則君    野呂 恭一君       安田 貴六君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁交通局長 片岡  誠君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房長 岸   昌君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 十二月九日  クリーニング業事業税軽減に関する請願(小  澤太郎紹介)(第三七五号)  木材引取税の撤廃に関する請願佐々木良作君  紹介)(第四五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  昭和四十五年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出第一一号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案議題にいたします。  他に質疑申し出もありませんので、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  3. 菅太郎

    菅委員長 道路交通法の一部を改正する法律案に対して林百郎君から修正案提出されております。
  4. 菅太郎

    菅委員長 この際、提出者から趣旨説明を求めます。林百郎君。
  5. 林百郎

    ○林(百)委員 共産党から道路交通法の一部を改正する法律案に対する修正案提出しております。これはお手元に配付してございますので、これを読むことは省略させていただきます。  ただ、この修正案趣旨説明をごく簡単にいたしますが、わが党のこの修正案趣旨は、政府案第百十条の二の、大気汚染防止法並びに騒音規制法に基づく知事要請があった場合に、公安委員会が必要と認めるときという、公安委員会の独自の判断だけにならないようにするために、「必要があると認めるとき」という分を削除いたしました。そしてそれにかえて、これは人命にかかわることでありますので、「すみやかに、」という字句を入れたことでございます。  わが党がこのように修正案を提案いたしましたのは、政府案では、知事要請がありましても、公安委員会判断いかんによっては、たとえば交通の円滑、経済活動に支障といったような理由知事要請にこたえられないこともあり得る、こういうことが考えられるわけでありますし、また国家公安委員長答弁の中にも、理論的にはそういうことはあり得るということも言われておるわけでございます。したがって、交通公害防止のための知事要請は、人の生命や健康に直接かかわるものであるだけに、このような事態にはすみやかにこたえることが必要であります。公安委員会の独自の判断で左右されるようであってはならない。やはり直接地域住民に責任を持つ知事要請がそのまま生かされるようにならなければならない、そう考えたからであります。わが党の修正案はそのような理由で出されたわけでございます。  わが党は、交通公害防止のためには知事にみずから交通規制をする権限を与えることが必要だと考えたものでありまして、またその立場で私も当委員会質疑をいたしましたけれども、しかし、これは警察法の全体、今日の警察の体系全体の問題になりますので、道交法改正の範疇にこれをおさめるということはなかなかたいへんなことでございますので、今回ともかく交通規制知事要請がそのまま生かされるという、知事権限が強化される次善の策として本修正案提出したわけでございます。  何とぞ御賛同を得て御可決願いたいと思います。     —————————————
  6. 菅太郎

    菅委員長 道路交通法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論を行なうのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、林百郎君提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 菅太郎

    菅委員長 起立少数。よって、林百郎君提出修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 菅太郎

    菅委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  9. 菅太郎

    菅委員長 高鳥修君、山口鶴男君、 小濱新次君、岡沢完治君及び林百郎君から五派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して、附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、本動議議題とし、提出者から趣旨説明を求めます。高鳥修君。
  10. 高鳥修

    高鳥委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党を代表し、道路交通法の一部を改正する法律案に対して、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、交通公害の予防に努めるとともに、交通公害発生の場合は、迅速かつ適確防止措置が講ぜられるよう、左の諸点について万全を期するべきである。 一、 道路交通に起因して生ずる大気汚染騒音および振動に関する総理府令厚生省令を早急に作成し、法の実施に遺憾なきを期すること。 二、 公害の監視、測定を行なう都道府県知事交通規制を行なう公安委員会とは、常時連絡を緊密にし、交通公害防止のための交通規制に万全を期すること。三、 公安委員会は、広域にわたり影響を及ぼす交通規制を行なう場合に意見をきくこととなる関係行政機関の長と常時連絡を密にし、緊急の場合においても、事態に即し、すみやかな交通規制が実施できるよう遺憾なきを期すること。 四、 公安委員会は、交通の安全と円滑をはかり、または交通公害防止をはかるため、必要があると認めるときは、道路の構造の改善等について、道路管理者または関係行政機関の長に意見を述べることとし、道路管理者等は、その意見を尊重して必要な措置を行なうものとすること。 五、 交通公害防止のためには、発生源である自動車排出ガス等規制が根本であり、このため新たに生産する自動車およびすでに販売されている自動車に対する規制を強化するとともに、無公害自動車研究開発および燃料の改善を早急に行なうこと。   右決議する。  以上でございます。何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。
  11. 菅太郎

    菅委員長 本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 菅太郎

    菅委員長 起立総員。よって、高鳥修君外四名提出動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  国家公安委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。荒木国務大臣
  13. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、この御趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいりたいと考えます。     —————————————
  14. 菅太郎

    菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  16. 菅太郎

    菅委員長 昭和四十五年度分の地方交付税特例等に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。林百郎君。
  17. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうの党といたしましては、この原案について棄権態度をとる予定でございますが、なぜ棄権という態度をとるかということの趣旨を含めて、一問だけ質疑を、他の同僚の御了解を得てさせていただきたい、このように思うわけでございます。  積極的に賛成できない理由は、第一には人事院勧告内容でありますけれども人事院勧告については、よく人事院総裁は上に薄く下に厚いと言いますけれども、この内容を見ますと、事実は上に厚く下に薄い。たとえば局長クラス以上の指定職給与については、民間企業の役員の給与を考慮して改善したとして、一般職員賃上げ基準を大幅に上回った引き上げをしておるわけでございます。たとえば局長クラス指定職の七号俸の甲というのを見ますと、月額三十三万円が四十万円になって、二五%のアップになっております。ところが、一般職行政職(一)の係員クラスを見ますと、月額二万五千二百八十円が二万九千五百円で、一六・七%のアップになっております。したがってこれは人事院の言うように、上に薄く下に厚いのではなくて、やはり上に厚く下に薄いという実情だと思います。それから高齢者昇給制限を見ましても、対象者は五十八歳以上は最初昇給期間を十八カ月、その後の昇給期間を二十四カ月を下らない期間として、高齢者に対しては非常に冷酷なと言っても過言でないような措置がせられております。その他この人事院勧告を実施するためには、人員の縮減、合理化強制配転など、このようなものがその内容として含まれているわけでございます。  さらに今回の特例法は、五百五十億を措置するについて、交付団体に九十億、不交付団体で二十五億、合計百十五億円の節約額予定しておるのでありますが、それはどこから一体捻出することになるかということになりますと、これは非常な大きな合理化が予想されているわけでございます  このように本案に対してはわれわれが積極的に賛意を表することのできない側面がございます。しかし、給与改善に伴う金繰り措置でありますので、これはかりに人事院勧告が上に厚く下に薄いとしても、公務員としてはこの際ベースアップをするということについては、これはわずかでも家計が潤うことであるし、わが党はこれに反対はいたしません。したがって、この地方公務員給与改善金繰りは、地方自治体としてはどこかから借金をして資金をつくらなければならないという事情にあると思います。しかし、政府は、地方交付税交付金算定にあたって、当初から基準財政需要給与改善のための費用を十分見込まない、押えておる、ここに問題があるとわが党は思うわけでございます。これに対応した交付税交付金の予算を最初に組んでなかったというところに問題があると思います。しかも政府は、現在地方交付税交付金から九百十億円の借り上げを依然としてしておるわけでございまして、資金繰り措置が必要であるということは認めますけれども大蔵省自治省とのこの関係についてはわれわれは賛意を表するわけにはいかないわけでございます。したがって、われわれは将来人事院勧告があって国家公務員給与が引き上げられた場合には、地方公務員給与地方交付税交付金の中から捻出できるようにあらかじめ地方交付税交付金ベースアップ分を十分組んでおくように、地方交付税交付金増額を要求いたしたいと考えておるわけでございます。  このようにして、わが党といたしましては、人事院勧告内容、そしてこの金繰りのやり方については反対の点がございますけれども地方公務員の苦しい生活実情を考えますと、このような内容ベースアップであっても、そのベースアップ地方公務員生活に若干でもプラスになるという点を考えますと、これに機械的に反対するわけにいかないということから、棄権という態度をとりたいと目下のところ考えております。  そこで、質疑でございますけれども、やはり将来には地方交付税交付金の中に、どうせ毎年人事院勧告ベースアップ分がありますし、物価高のいろいろの指数も出ますので、これを十分に地方交付税交付金の中に組むように地方交付税交付金増額を考えたいと思います。また地方財政の中から借金をするとか、さらに今日あるように九百十億の金を中央の大蔵省地方財政から借り上げるというような措置はすべきでない、こういうように考えますが、この点についての政府考え方、すなわち一つは、基準財政需要額給与改善のための費用を十分に見込んで、そして地方交付税増額、そのために場合によっては地方交付税の率を上げるということも含めて、地方交付税増額をわれわれは要求をいたしますが、この点はどうかということと、そして地方財政が豊かだと称して今日政府大蔵省の行なっているように、地方財政から大蔵省が金を借り上げる、現在九百十億残っていますけれども、このようなことはすべきでない。この二つの点について政府側答弁を求め、この法案に対するわが党の態度を明らかにして、私はこの法案に対する態度表明質疑にかえたいと思いますので、御答弁を願います。
  18. 大石八治

    大石政府委員 本年度交付税の中にベースアップ分というものは含んで算定をしたわけでありますが、実情において非常に大きなベースアップということになりまして、あらかじめ予定をしました分をオーバーをすることになりましたので、そのような措置にならざるを得ないと思うわけであります。ただ、地方公務員の場合も国家公務員に準ずるということを考えておりますので、いわゆる国家公務員の場合において予定されるというふうに、地方公務員も数字的にはやらざるを得ないという一つのものがあると思いますので、それに従いますと申しますか、そういう形をせざるを得ないと思いますが、御趣旨の点は十分われわれも気をつけたいと思います。  それから第二点は、借り貸しはもうやりたくないという気持ちで貫くつもりでございます。
  19. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは私の質問はこれで終わります。
  20. 菅太郎

  21. 和田一郎

    和田(一)委員 昨日に続きまして交付税に対する質問をさせていただきます。  原則論を私最初にお聞きしたいわけでございますけれども、きのうもちょっと例にあげましたところの一つ雑誌、これは「地方議会人」という雑誌なのですけれども、その中にいまおいでになりました長野財政局長論文、それから大蔵省佐藤主計局次長論文が出ておりまして、何もこの雑誌がどうのこうのというわけじゃありませんけれども、この中で、地方はいわゆるこれからの一九七〇年代の社会資本の不足をどうしても補わなければならないという自治省としての前向きな考え方と、それから地方団体財政力が裕福になってきた、好転しているというような二つ論文相違点が出るわけでありますけれども、それについて一つ一つ主計官とそれから自治省当局にお聞きしていきたい、こう思うわけでございます。  それで、きのうは、例の貸し借りの問題と今回の五百五十億の問題をお聞きいたしましたけれども、その前に各種長期計画が現在計画されております。また実施されておりますし、またここで改定されようとしております、たとえば道路の五カ年計画であるとか下水道住宅、海岸、港湾、清掃、交通安全、社会福祉のような、どれを見ても国民生活には欠くべからざる施策がこれから行なわれようとしております。そういったことが行なわれました場合、たとえば交通安全の施設ですか、交通管制システムというのは、新しい施策でもって五カ年計画をやっていく。その五カ年計画は三千七百億であるというふうなことが警察庁のほうで発表されました。まだ閣議決定にはなっておりませんけれども、たとえばその内容を見ますと、昭和四十六年度明年度だけをとってみましても、大体地方負担分が約四百億くらいになる。そのように道路であるとか下水であるとか、一ぱい地方負担というものが出てまいります。まだはっきりした数字はおそらくないでしょうけれども、どういうものが改定されるか、また大体どのくらいの見込みを持っていらっしゃるか、ひとつ自治省当局からそのことについて御答弁を願いたい。
  22. 長野士郎

    長野政府委員 各種長期計画の改定というお話でございますが、まだ中には具体的にはかたまらないものもございますので、その点について国、地方、どれだけの費用が全体としてかかる計画かというのもはっきりしない面もございます。ただ第六次の道路整備五カ年計画であるとか、それから港湾整備の五カ年計画下水道整備の五カ年計画、新空港整備の五カ年計画社会福祉緊急整備の五カ年計画道路交通管理施設等整備の五カ年計画、そのほかには第二期住宅建設五カ年計画というように、いろいろ五カ年計画がございますが、これらの中には内容の一応かたまった道路整備五カ年計画というようなものと、それから内容のはっきりいたしません社会福祉緊急整備五カ年計画あるいは住宅の第二期住宅建設の五カ年計画等、いろいろあるわけでございます。私どもは現在これらの点につきまして、関係各省との間でいろいろ折衝をいたしております。いずれにいたしましても、これらの長期計画には、それぞれ問題を持っております。しかし、全体として社会公共施設整備という方向をねらっておることは、そのとおりでございますが、それに対して国と地方との問の負担区分といいますか、役割りの問題、それからいままでの考え方を踏襲しただけでは、なかなかそういう意味での実効が期しがたいというものもございますから、そういうものにつきましては、財源対策、その他も関係をしてまいる。それから対象事業によりましては、たとえば空港なんかの問題のようなもので、空港についての用地問題について、どれだけ国が補助なり負担なりの対象にするかというようなことは、従来どおりの考え方ではなかなか第三種空港というものの整備がむずかしいのではないかというようなこともございますし、港湾整備につきましても、フェリーボートのための港の整備のために特別な組織をつくりたいというような問題など、いろいろな問題をかかえておるわけでございます。これらの点につきましては、目下いろいろ検討を加えながら、関係各省との間で折衝をしておるという段階でございます。
  23. 和田一郎

    和田(一)委員 いずれにしても明年度からの地方公共団体需要額がふえるということは、これは間違いないわけですね。その点について……。
  24. 長野士郎

    長野政府委員 これらの長期計画によりまして飛躍的に整備をはかるということになりますと、地方負担といいますか、地方負担にかかわるところの需要というものは非常にふえてまいります。
  25. 和田一郎

    和田(一)委員 それからもう一つお聞きしたいのですが、同じような質問ですけれども公害のいろんな法案が現在出されております。特に下水道、これは流域下水道だとか、それから下水道の中でも一番大きな問題は、三年間の間に水洗便所を完備しなければならない。それに対しての地方負担分としては幾ら幾らということはきまっておりませんけれども、これはもう地方公共団体にとっては、どっちかといいますと、えらい問題です。そういう制度の新設、それに対して財政局長、どういう見通しを持っておられますか。詳しいことはまだでしょうけれども、おそらく便所の場合なんかよく考えますと、いま公共下水道でちゃんとやっている場所でも、市によって違いますけれども、五万円とか六万円とか補助しておりますが、なかなか借り手がない、そういう現状ですね。ですから、よほど有利にしてあげないと、住民としてはたいへんだろう。これは三年間でやっていかなければならないというが、おそらく市町村の長の人たちは相当頭を痛めていると思うのですが、そういう問題についての御意見、これは重要だと思いますけれども、いずれにしても、この下水道法案がいま出されているのですが、委員会を通ったと思いますが、自治省としてはどういうふうに考えているか、これをお聞きしたい。
  26. 長野士郎

    長野政府委員 下水道整備五カ年計画が総計二兆六千億というようなことで、緊急に整備をいたしませんというと、現在市街地区域に対する下水道管普及率が二〇%をちょっとこえているぐらいというたいへん低い割合でございます。そういう意味では、都市施設の中でも基本的なものということになるわけですが、ただ、実情は、下水道がだんだん事業として地域地域について末端までの配管ができましても、水洗便所等の切りかえということがなかなかできない。そろいうことになりますと、せっかく整備いたしました下水道に対しての効率も非常に悪くなりますし、また下水道に要しました経費というものを償うことができないということで、財政的にも非常な赤字の原因になる。そういうことで下水道法におきまして、水洗便所施設というもののある程度の設置の義務づけということが行なわれるということでございます。  自治省としましては、やはりそういう現状から考えますと、融資措置というものも現在考慮する措置がされておりますし、融資をしても、なおかつ水洗をつけてくれない、こういうことになりますと、地域によっては水洗をつけてくれた家、水洗をつけてくれない家というようにいろいろ交互に入りまじります。そうしますと、水洗のほうは、それで済みますけれども、それ以外のところには、相変わらずくみ取りというもののサービスをしなければならぬということで、下水道の維持にも非常に事欠きますし、またそういうくみ取りというような仕事を、相変わらず非常に非能率的な形でなさなければならない、こういうことは、私どもはどうしても避けてほしいと思います。やはりそういう融資措置が講ぜられますために、ある程度水洗化というものについて国全体としても協力をして、そうして近代的な都市施設整備に従って生活近代化にもなるのでございますから、ぜひそういう理解のもとに進められるということが必要なのではないか。そういう意味では、ある程度の義務づけというものは、こういう社会に住む国民として当然守られなければならないものではないだろうかという気がいたします。自治省としても、その方向には賛成をしております。
  27. 和田一郎

    和田(一)委員 大臣にいまの問題でちょっとお聞きしたいのですが、いまの水洗便所の問題ですけれども、大体幾らくらいかかるかわかりませんが、自分の便所から管を通すということで、いわゆる工事費がかかります。市町村としては、おそらく貸しつけであるとか補助を出すと思いますし、現在そういうことをどこでもやっているのですけれども、結局自己負担が多いものですから、なかなか進まないという状態です。いま財政局長から御答弁がありましたように、自治省としても考えようというお話がありましたけれども財政負担が可能な方々はやるでしょうけれども、可能でない方々はやれない。それで、現在きたない話ですけれどもバキュームカーが回っているわけですが、そのバキュームカーの回っているところが、あっちこっち水洗ができてしまった。だけれども、ところどころにまだくみ取りがある。そうなったら、くみ取り業者の生存権になってくるわけですね。なくしてしまうわけにいかない。といって今度は料金の値上げということにもはね返ってくるし、あの商売だけはストライキをやられてはどうにもならない。そうなってまいりますれば、これはもう三年間でやるのだったら、ぴちっとやっていかないと、これは住民生活に大きな問題になってくる。これは自治省としてもよほど考えてもらわないと、ただ一戸毎五万円くらい貸しつけますくらいでは、絶対に進んでいかないと思います。ですから、下水道法が上がりますけれども、おそらく閣議には自治大臣も出ていらっしゃったと思いますが、いま財政局長が御答弁になったように、考えようということは当然でありますけれども、これはゆるがせにできない問題です。いいかげんにやったら、えらい問題になってしまう。そういう点について、ひとつ大臣からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  28. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 実は私の家でも水洗便所にしろと女房から言われて、さあその金をどうしようかというので、私も苦労しておるのです。ほんとうでございまして、隣のうちがやるからすぐしなければいけない、これをしてくれないと、あともうやってくれないのだということで、なかなかこれは私も切実な問題です。それで、内地では大体平均五万円、北海道では六万円かかるという標準施設費だそうでございますが、そこで、地方ではやはり融資の制度を確立いたしまして、償還年限五年、月額千円という程度で済むような融資制度をとっておるところが多いそうですが、これが完全にいきません場合には、ただいま和田先生のおっしゃったとおりの問題が出てくるわけでございます。生活保護世帯に関する措置は別といたしまして、一般世帯に対するこの措置をぜひ徹底させなければいけないと思うのです。この点につきましては、なおよく事務的に調査をいたしまして、極力この制度の徹底を期して、ただいま和田先生がおっしゃったような問題の生じないようにつとめたいと考えております。
  29. 和田一郎

    和田(一)委員 これだけはほんとうに重要問題と思いますので、ひとつ御検討願いたい。  さらに、また大臣にお聞きしたいのですけれども、まだ決定ではございませんが、国鉄の赤字路線の負担ですね。盛んにのろしが上がっておりますけれども、これについては大臣のお考えはどうですか。
  30. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 この問題は当委員会でも休会中に問題になりまして、私からもお答えをしていますが、要するに、地方自治団体に今日の国鉄の赤字の責任があるとは考えられません。この国鉄の赤字路線対策としまして、いろいろの対応の措置がいわれておる。しかし、要すれば地方財政で持てということになるわけでございまして、特に交付税あるいは地方特別交付税等で見ろというお話がございます。運輸大臣からも直接私に御交渉がございました。しかしながら、地方交付税の性格から申しまして、はなはだしく不合理な話でありまして、私としては引き受けるものでないことは当然でございまして、はっきりお断わりを申し上げておきました。あるいは地方で特別の公社をつくったらどうかというようなお話がございますが、自治省といたしましては、いずれにいたしましても、地方財政が赤字を引き受ける、あと始末をするということは反対でございまして、さようなことのないように、かたく措置をとるつもりでございます。
  31. 和田一郎

    和田(一)委員 自治大臣と、それから財政局長がお答えになったように、とにかくたいへんには違いないと思うのです。主計官も自治省を担当されていらっしやるので、お考えは大体おわかりになっていらっしゃると思いますけれども大蔵省、どうですか。たとえば三年間も連続して交付税を国のほうに貸した、こういう問題。まあ、いつ返すかはっきりきまっているからいいようなものの、いずれにしてもその根拠というところは、地方のいわゆる財政好転論というのがあるわけですね。それについての主計官のお考え、大蔵省のお考えが一番いいわけですけれども、お聞かせ願いたい。
  32. 後藤正

    ○後藤説明員 国と地方公共団体関係でございますが、これは相対立する関係では絶対にないと思うわけでございます。これは国と地方公共団体が、国民各層と申しますか、いろいろな層からのいろいろな行政需要につきまして、お互いがどの段階でやるのが能率的であるかあるいは住民サービスが徹底するか、行政コストとして安いか、いろいろな観点から事務配分をし財源配分をしながら、それを相補完しながら、そういう需要をまかなってきておるというのが現状だろうと思うわけでございます。  これにつきまして、過去いわば御案内のように、交付税創設当時は、二十九年でございますが、その当時交付税率というのは国税三税の二〇%程度でございました。それが現在では三二%になっておる。あるいは地方関係につきましてもいわゆるたばこ消費税とか、あるいは特別トン譲与税とかあるいは地方道路譲与税とかいろいろな譲与税の措置、あるいはさらに国庫負担制度につきましても再建整備から後進地域のかさ上げ、それからその後におきます各種地域立法に伴います補助率のかさ上げとか、こういうことをしながら、お互いが車の両輪のように回って行政需要をまかなってきておるということだろうと思うわけでございます。  いまの好転論でございますけれども、これはいわば国と地方、両方の比較論と、それと地方の過去と現在との比較論という二つの観点があろうかと思うわけでございますけれども、たとえば交付税率の引き上げ、最近大幅な引き上げがございました。四十一年当時は確かに経済の落ち込みがひどくて、その当時いわば所得、法人、酒、三税というものは二兆三千で、結局一%引き上げということは二百三十億の引き上げを意味したわけでございますけれども、四十五年、地方財政計画と申しますか、国の当初予算では五兆三千というふうに、一%、五百三十億になっております。来年はそれがどうなるか。法人税等の見方が非常にむずかしい問題でございますけれども、そういうふうに四十一年当時と今日ではかなり違ってきておる。四十一年当時、財政計画上、いわゆる私ども地方交付税地方税、それから地方譲与税等、一般財源と称しておりますが、この総額の見込みでも千五百億くらいの増加見込みであったものが、四十五年度には約九千億、八千九百六十何億というふうな一般財源の増加状況になってきておるというふうなことで、——いまの地方の行政水準が満足であるということは決して申しておりません。これは自治省も申しておりますように、地方道をとってみましても、それから環境衛生、いろいろなものをとってみましても、これも決して十分なものではございません。非常に不満足なものだろうと思います。しかし、それは同じように、直轄のいわゆる一級国道をとってみましても、特定重要港湾をとってみましても、いわば直轄河川の改修をとってみましても、国のほうもなかなか思うようにいっていないというのが現状でございます。いま御指摘がございましたが、やはり国、地方というものはそれぞれの財政需要等を勘案しながら、お互いが協力するところは協力し合って、全体として適当な財政規模の中でいろいろな行政需要をまかなっていく筋合いのものじゃなかろうか、このように考えます。
  33. 和田一郎

    和田(一)委員 お説よくわかりました。  それで、いまの交通事故、先ほども道交法が上がりましたけれども、一年間に約一万七千名の方が現在でなくなっていらっしゃる。そうして死傷者合わせて年間百万人、結局自動車の増加に追いつかない道路ですよ。その道路の大半は、はっきり言いまして地方道ですよ。さらにいま公害が起きています。カドミウムの入っているお米を配給して、どこかの都市で食ってしまったということがきのうの新聞に出ておりましたけれども、重金属がお米に入っている。現実に公害が進んでいるのです。それをやっていくのは、そういう面から考えて、地方なんです。  もう一つこういうこともあるのですよ。たとえば義務教育の施設整備。これは自治大臣もひとつお聞き願いたいのですが、いわゆる人口急増地帯、どんどんふえているところがあります。確かに校舎をつくった。義務教育の施設をつくった。小学校で三分の一、中学校では二分の一国のほうからもらえる。けれども、お国からもらえるのはほんの微々たるものです。ほとんど地方団体の単独事業なんです。いわゆる国のほうの補助対象事業、義務教育の施設整備に占める補助対象事業の量は、一般の市町村では七二%となっているけれども、人口急増市町村では四五%だというのですよ。あとはみな地方財政負担になっておる。いまおっしゃったことはわかりますよ。けれども、ほとんど住民生活をささえているのは地方だと私は思うのです。国のほうも、それは港湾であるとか一級道路であるとか空港であるとか、これは当然です。だけれども空港にしたって地方負担が入るのですよ。そういう面から考えますと、私は、交付税の三二%の率、これは今後ますます上げてもらわなければならないというように考えておりますけれども、しかし、やっとこさで地方人たちが獲得した税率を、その中から借りるとか——それは去年の話で、ことしは借りないと思いますが、それはわかりませんが……。  もう一つはこういうことがあるのです。国民健康保険の国庫負担分の五%を都道府県に肩がわりさせる、それから義務教育の教科書の五%とか一〇%とかを肩がわりさせる、さらに地域立法のかさ上げを廃止する、さらに国庫補助職員の切り捨てというのはどういうお考えなのか、そこのところがぼくらにはちょっとわからないのですが、よくわかるように御説明願います。
  34. 後藤正

    ○後藤説明員 いま先生御指摘のような、国保について五%の都道府県負担導入とか、義務教育についてのある負担の導入とかいうような具体的なお話があったわけでございますけれども、国庫補助負担制度と申しますのは、地方事務は、いわば固有事務とかいろいろな事務の考え方がございますが、それについて、それぞれが十分な財源を持って独自でやれるということが一番望ましい姿でございます。しかし、税源の偏在状況等から考えまして、交付税制度というふうなものがございますのと、やはりいろいろな事業の性格に応じまして、国が進んで、奨励的な意味と申しますか、全国的にナショナルミニマムというふうな線である程度の補助金を出して整備をしたほうがいいとか、あるいはともすればあまりやりたくないようなことでも、将来を見渡したところ奨励的な補助金を出してやらしたほうがよろしいとか、いろいろな補助金についての性格があろうと思うわけでございます。こういう補助金というものは、やはりいろいろな社会経済情勢の変化に応じまして、いろいろな補助金の廃止、あるいは地方の一般財源を回すということもありましょうし、それから状況によって、いろいろな補助金は戦前からございますけれども、いろいろな意味合いにおいて、事業の性格、重要性等に応じて、やはり補助率のかさ上げというような措置もいろいろとってまいっております。それから地方が単独でおやりになっておるようなことも、新たに補助事業として採択するというような面もかなり強く入っております。しかし、国も、御案内のように、全体としての国民租税負担率といったようなかっこうで財源が押えられておりますし、それからいまは予算制度というものが制度として確定しておる限りにおいて、かなり当然増経費というものがございます。したがって、新規施策の財源は非常に窮屈な状況にございますし、したがって、何か新たな事業をやるということになりますと、やはり既存の補助金等の見直しを行なって、地方に御協力願うものは御協力願うというふうな方向で検討せざるを得ないということだろうと思うのです。
  35. 和田一郎

    和田(一)委員 いわゆるさいふは一つだから、入ってくる金もきまっているからということはわかるのですが、ことしはどうなんですか、やはり交付税のほうから幾らか国へ借りるような、そういう話が大蔵省内にあるのですか。
  36. 後藤正

    ○後藤説明員 非常に困った御質問でございますが、財政制度審議会が現在審議を継続しております審議の中、それと、先生も御案内のように、四十四年度中に自治大臣と大蔵大臣との間で、当分の間お互いに交付税率の引き下げとか引き上げとかいうふうな問題は言わないようにしようということ、それと貸し借りはできるだけ避けようというふうな覚え書きをかわしておりますし……(「それを破ったじゃないか」と呼ぶ者あり)申しわけございませんが、まあ四十五年度はできるだけそういう方向でまいったわけでございますが、万やむを得ないでお借りしたというふうな事情にありますが、現在審議中でございますし、御案内のように、年度間調整制度ということにつきまして、自治省大蔵省の間で、かなりその調整の基準であるとか調整の段階であるとか、いろいろなことについて意見が相違っております。これは非常に重要な問題でございますので、それぞれ両省十分協議し合いながら、お互いが納得のいくような線でないと、私はなかなか制度としての確立はむずかしかろうと思っております。そういうことで、現在大蔵大臣の諮問機関であります財政制度審議会で審議がされておるということでごかんべんを願います。
  37. 和田一郎

    和田(一)委員 その財政制度審議会の中で、交付税のいわゆる貸し借りの問題も審議されているのでしょう。そうなんですか。そのとおり解釈していいのですね。
  38. 後藤正

    ○後藤説明員 貸し借りという具体的な問題は、まだ審議されておりません。
  39. 和田一郎

    和田(一)委員 自治大臣、この点いかがでしょうか。そういう気配が見えているのでしょうか。
  40. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 貸し借りの問題は、どうも、当委員会でもしばしば問題になりまして、前回はやむを得ずいたしましたが、次回からは、これを避けまして、決してしないという覚悟を私はかたくきめ、事あるごと機会あるごとに大蔵大臣にはその私の意思を申しておるところでございます。
  41. 和田一郎

    和田(一)委員 とにかく貸し借りは、主計官も、自治省担当なんですから、局内で反対してもらいたいと思うのです。でないと、また委員会へお呼びしてお聞きしなければならなくなる。  もう一つ自治大臣に聞きたいのですが、ただいまの人口急増地帯の義務教育、この補助対象事業の充当率なんですが、この補助対象事業の充当率が、あまりにも低過ぎる。特に人口急増地帯の補助対象事業というのは、四五%なんです。あとの五五%は全部単独負担です。これはおたくのほうからもらってきた資料なんです。間違いございません。これは子供がふえた、ふえたからすぐつくれといっても、間に合わないのです。前につくっておかなければならぬ。そしてどうぞお入りなさいと持っていかなければならない。それだけにこれはえらい問題なんです。それに対して、ひとつこの人口急増地帯のいわゆる義務教育の施設整備費についてどうお考えになっていらっしゃるか。それから主計官ひとつ……。
  42. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 人口急増都市における義務教育施設につきましては、これがこれら該当地方公共団体の財政を著しく圧迫をいたしております現況を重視いたしまして、自治省といたしましては、いろいろ対案を研究いたしまして、文部省ともお打ち合わせもし、文部省側から御賛成を得て、その点につき大蔵省に概算要求をしております。  その内容は、一定の数値によりお子さんがふえておる都市における校舎その他施設補助率を三分の二にし、かつ用地費を半分は持っていただく。そしてただいま先生のおっしゃったとおり、現状は、子供が入ってからようやく数を調べ、九月ごろに該当市町村の議会できめる、それから建設にかかる、あとあとになる、プレハブ校舎になるという現状でございますので、三年くらいの趨勢をとって、そういう点にあらかじめ手配をするということによって、先生のいま御指摘のあったような不便を取り除こう、こういう案をつくって、文部省からもこれを提案されておりますので、できますれば、ぜひこれを実現いたしたいとかたく要求をし、文部省とともどもこれが実現をはかっておるところでございます。  なお、これらの市町村における過去の累積起債につきましても、元利についても特別の助成、補助的な措置を講じたいと考えております。
  43. 和田一郎

    和田(一)委員 主計官の答弁の前にちょっと。  人口急増のあり方ですけれども、一年間にひどいところは倍ぐらいぐっとふえるところもあるらしいですね。ひどいらしいですよ、これを見ますと。だから、それは一カ所か二カ所くらいのデータが出ておりますけれども、とにかく徐々にふえていくのではなくて、がさつとふえるという、そういうふうでございますので、それを念頭に置いた上で、ひとつ主計官、お答え願います。
  44. 後藤正

    ○後藤説明員 人口の急増しております市町村につきまして、義務教育施設費が確かにたいへんな財政問題であるということは、先生の御指摘のように、私どもも思っております。しかし、人口急増市町村と申しますと、どちらかといいますと、現在のところ、首都圏とか近畿圏 中部圏、新産、工特圏というような地域でございまして、やはりこれらの地域につきましては、御案内のように、ある程度のいわば利子補給の制度であるとか、市町村事業についてのかさ上げの制度とか、こういうものもすでに設けておるようでございます。問題は、それと同時に、やはりこれは人口が急増することによって、それからいろいろな工場ができるとか団地ができるとかということによりまして、事業税とか固定資産税とか不動産取得税とか住民税とか、いろいろな税収の増加も将来期待できる。問題は、そういった増収を期待できる時期と、現実に投資しなければならぬ時期とのギャップの問題がかなり大きな問題であって、結局その間、現在のいろいろな財源手当てを見ましても、かなり起債措置にたよっておるという現状がございます。それが、現在の起債がどういう条件でどういうふうな循環サークル、まあ償還条件と申しますか、そのようなことによってカバーされるのかそういうふうないわば実際の財政状況等も見ながら現在検討しておりますが、何ぶん、いま出されておる文部のほうの状況は私は知りませんが、来年度だけで三百八十数億というふうないわばかさ上げの要求、用地補助の要求でございまして、四十六年度のいろいろな予算編成とからみまして、やはり慎重に審議していかなければならない問題である、このように考えております。
  45. 和田一郎

    和田(一)委員 慎重審議だけじゃなくて、ひとつ前向きに取り組んでもらいたいと思うのですよ。主計官、これはほんとうにお願いします。主計官、前向きに計算してもらいたい。  それから四十七年度には沖繩が返ってまいりますね。沖繩についてはどのようにいわゆる交付税対象にされるのかどうか、これを一つ財政局長からお聞きしたいと思います。
  46. 長野士郎

    長野政府委員 沖繩が完全に返還を受けました暁には、交付税法が適用されることは当然でございますし、そういう意味では、交付税対象区域つまりほかの府県や市町村と同じ形で対象地域になることは当然でございます。
  47. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、三二%じゃワクが少なくなってしまいますね。その点どうなんですか。
  48. 長野士郎

    長野政府委員 その点につきましては、沖繩の関係におけるところのいわゆる収入とそれから需要というものがまた新たに加わってくるわけでございますから、そういうものの加わり方によりまして、交付税率の変更をする必要があるということになれば、これは変更をするということに相なると思います。
  49. 和田一郎

    和田(一)委員 大蔵省、どういうお考えですか、その点については。
  50. 後藤正

    ○後藤説明員 ただいま財政局長から申しましたように、沖繩の税制というのは、国税それから県税相当、これはどういうふうに分けられるか、現在非常に問題でございます。したがって、復帰時にどういうふうな税制をしくかという問題もありますけれども、一体どの程度の国税があがり、それに伴って交付税——三税にどの程度はねかえるか、あるいは逆に今度は基準財政需要としてどのくらい見るかというふうな問題が一つということと、もう一つには、交付税は、私はやはり大蔵省の一員といたしまして、やはり交付金というふうに考えておりますし、交付税交付金につきましては、六条の三にありますように、いわば率というよりも、地方の一般財源不足額と普通交付税総額との乖離の関係がやはり一番重要な問題だというふうに考えますので、やはり復帰時点におきます財政見通し等によりまして検討してまいるようなことではなかろうかと考えております。
  51. 和田一郎

    和田(一)委員 沖繩は一応置きます、時間がふりませんから。  公害問題で今度は相当要る。きのうからも、きょうも同じような御答弁がございました。大蔵大臣もおとといの大蔵委員会で、交付税で見ていくというようなことを御答弁されたそうです。さらに不交付団体に対しては特交または補助金を考える、こうなっているわけですね。今後交付税の中のいわゆる単位費用積算の新しい費目をつくらなければならぬ。その点についてどうでしょうか。現在では、公害に対する交付税の中で、県では平均千百二十四万一千円、それから市町村ではわずか八十四万五千円ですよ。この点についてどうでしょう、財政局長
  52. 長野士郎

    長野政府委員 現在交付税の上で考えております公害対策経費と申しますものは、いわば公害関係の行政を執行するための人件費とか測定のための機械器具等の費用というようなものを中心にいたしまして、言ってみますれば、公害プロパーと申しますか、そういうような関係の経費について算入をいたしておるわけでございます。その関係では、標準団体におきましては、先ほどお話がございましたが、府県におきまして三千二百三十五万九千円、四十五年度でございます。それから市町村分につきましては、標準団体で百六十二万四千円というような額を基準にいたしまして、交付税全体に算入をいたしております額は県分といたしまして二十億、市町村分といたしまして十億、合計三十億ということで一応算入をいたしております。
  53. 和田一郎

    和田(一)委員 いまの御答弁は現在でしよう。三十億というのはどこのものですか。全体で三十億ですか。——いずれにしましても、今後増を考えられますか。
  54. 長野士郎

    長野政府委員 この公害関係につきましては、一つは国で責任を負うべき分野と事業者が負担を負うべき分野、それから地方団体の負うべき分野、こういうふうに分かれるわけでございます。今回のいろいろな公害関係の立法で、都道府県知事を中心にして規制権限をゆだねるというような道が相当いろいろなものに開かれるわけでございます。そういう場合には、やはり国の行政を行なうという立場における知事の立場ということになるわけでございますから、そういう意味では、それらの役割りの新しい仕事を受け持つといたしましても、これは当然に全部それに要する経費が地方負担というわけではないと私は思っております。むしろそういう面では、国が当然に措置をしていく、国費をもって措置をしていくという分野が非常にある。しかしながら、同時に地方団体が受け持つ分野ももちろんございますから、その点につきましては、地方負担をすべきものについての新しい財政需要というものは交付税措置その他によって十分反映をさせていく必要がもちろんあると思います。  それから事業の執行という問題になってまいりますと、この公害対策事業というものにつきましての執行にも同じような三者のかかわり合いというものがあるわけでございますが、実際の事業を行ないます主体は、主として府県、市町村、特に市町村だと私は思っております。したがいまして、その関係での三者のかかわり合いあるいは事業量の問題を考えますと、これに対して措置をする場合にも、地方だけが措置をするということではなく、国としてもその事業実施の円滑化のために、促進ができるような意味での財源措置の充実というか、あるいはそれを補助負担制度の充実という形でぜひ行なっていくことが私は必要だと思う。それに対する地方負担分につきましては、これはまた一般財源的な措置を必要とすることも当然でございます。そういう面で、たとえば交付税の問題で考えましたならば、需要額の増加が交付税の中でも適正に算入されるようにすべきであろうと考えております。
  55. 和田一郎

    和田(一)委員 それから、今度話がまた変わりますけれども、今回の五百五十億の問題でありますけれども、この財源不足団体に対しては五百五十億。これは逆に財源超過団体ですね、超過団体のところの計算をずっと読んでいきますと、六十五億不足になっているのですけれども、この点についてはどうされますか。財政局長
  56. 長野士郎

    長野政府委員 今回お示しした資料の中では、確かに六十五億不足のような計算になっておりますが、これは従来いわゆる不交付団体には算定上超過財源が非常にあるわけでございます。いまのこの関係における不足の六十五億というのは、当然そういう超過財源によって消されていくという見込みのついている中の一部になるわけでございまして、そのために特別な措置は必要でない、こう考えております。
  57. 和田一郎

    和田(一)委員 超過財源が確かにあるかどうかひとつはっきりしないとまずいですよ。こういうことは大蔵省の方が、どうせ超過財源があるのだから、六十五億不足であってもだいじょうぶだからというので、好転論ということになってくるのじゃないかと私思うのですけれども、それは別にしまして、もう一つお聞きしたいのです。  自治大臣にお聞きしたいのですけれども、清掃法が改正になって、廃棄物処理法になった。一般廃棄物と産業廃棄物とに分かれまして、産業廃棄物の処理業者というのができることになりましたが、処理業者のいわゆる料金、廃棄料ですね、処理料が条例できめるというふうに今回なってないのです。その点について自治大臣、御意見をおっしゃらなかったのかどうかわかりませんが、廃棄物の処理業というのはいわゆる生殺与奪の権を持っているのと同じなんです。一応値段をきめて、さらに物価が上がったから値上げしたい、値上げに反対したら、これこそストライキをやられたらどうしようもないのです。私どもは屎尿くみ取り業者のそういった問題でいやというほどその点は体験しておりますけれども、やはりああいったものも各地方団体の条例でちゃんときめていくようなやり方でないと、今後地方団体が困っていくのじゃないか、こう思うのです。いま資料がなければあとでけっこうでございますけれども、その点についてはひとつ御配慮願いたい。そういうことでひとつ御答弁をお願いします。
  58. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 廃棄物処理も処理業者の資格要件等も問題になろうかと思っております。ただいま問題にされました料金、もちろんこれがやはり確定的なふうにいろいろ処理できる機構ができておりませんと、非常に困ることになろうと思いますから、その点どういうことですか、条例等できめるようにするか、調査検討いたしまして、急速に適正な措置をとるように配慮いたします。
  59. 和田一郎

    和田(一)委員 その点につきましては、こういうことなんですよ。一般家庭の汚物に対しては、市町村がとる場合は条例でそれをちゃんと定める。ただ産業廃棄物についての業者のその分はないのですよ。これは重大問題ですから、さっそく考えていただきたい。  最後に、大蔵省にお聞きいたしますけれども昭和四十六年度の予算要求が自治省から出ております。その点についてどうですか。全部のんでいただけるのですか。その御答弁を聞いて私の質問を終わります。
  60. 後藤正

    ○後藤説明員 自治省からいろいろな要求が出ておりますけれども、これは現在目下真剣に作業しておりますので、のむのまないというお話はひとつごかんべんを願いたいと思います。
  61. 和田一郎

    和田(一)委員 以上で終わります。
  62. 菅太郎

  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 人事院総裁が内閣委員会の審議の関係でお忙しいようですから、最初人事院総裁に幾つかの問題をお尋ねをいたしたいと思います。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕  いわば毎年繰り返して論議されている点が多いわけでありますが、今回一二・六七%、八千二十二円でありますが、勧告をお出しになった。この勧告をお出しになります根拠であります。人事院民間企業の調査、これが対象企業の規模が百人以上、五十人以上の事業所ということになっておるわけですが、現実に国家公務員との比較を行なう対象企業としては、実情に即さないのではないか。少なくとも五百人程度の企業を対象として調査をするということでなければ、公務員との比較ということになりました場合、無理がある。特に労働省の調査によりまして本年の春闘の賃上げ率は一八・三%でありますから、昇給率等を控除いたしましても、一二・六七%ではあまりにも低きに失するのではないかという感じを、私ども持たざるを得ないわけです。時間もありませんから、簡単に聞きますから、それに対する総裁の考えをお示し願いたい。
  64. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 労働省調査の一八・三については、これはかつてお答えしたこともあると思いますが、大手をつかまえての、しかも数少ないものが対象となった結果の数字でございますから、私どもの数字とにわかに比較はできないと思います。  ただ、御指摘のように、百人、五十人は少し規模が小さ過ぎやしないかというのが、われわれとしても問題点であろうと思います。率直に申しますというと、特に私ども昔から役人をやっている者としては、五百人とおっしゃらずに、千人、二千人くらいのところで比べろと言っていただきたいくらいの気持ちを持っておるわけです。しかし、これは今日の憲法で、公務員も労働者である、全体の奉仕者であるということで、昔の天皇の官吏とは、基本的に立場が変わってしまっていますし、しかも給与についてはやはり国民大衆の納得もいただかなければならないということから、われわれが比較する対象も、やはり日本の全企業従業員のせめて半数くらいをカバーするところで押えて、そこの水準がこうなっている、ぜひこれはこのままでお通しいただきたい、成立さしていただきたいというようなことでまいりませんと、説得性も少ないだろうということで、前は御承知のように、五十人だったのを、近年百人に上げました。多少そういう諸情勢をにらみ合わせながらの格上げをしておりますけれども、そういう基本的のかまえでやっておりますので、周囲の情勢がさらに変わってくれば、またそれによって考えていかねばならないということでございます。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 総裁、千人、二千人というお話をされました。私どももやはり納税者の立場というものも考えなければなりませんけれども、そういう意味で、五百人は当面どうだという、いわば控え目な提案をしたわけでありますが、少なくとも来年におきましては、五十人を百人に引き上げたと同じように、せめて五百人程度に引き上げるということで、ひとつ対処していただくように、これは要請しておきたいと思います。  それから、前々から問題にいたしておりました住宅手当、今回転勤のある事業所の民間の住宅手当の支給状況も六〇%をこえたというようなことで、三千円の住宅手当を勧告された。従来から見れば進歩でございまして、努力は大いに多といたしたいと思うわけであります。ただ、縛りがかかっているのですね。いわば借家でなければいかぬということになっているわけであります。国家公務員の場合もそうだし、また私どもか特に問題にしなければならぬ地方公務員もそうですが、労働金庫その他から融資を受けまして、そうして住宅をつくったという諸君もずいぶんおるわけであります。当然それに対して月々多額の返済をやっておるわけでございまして、こういう者が住宅手当の対象にならぬということは、いかにもこれは理解しがたいと思うのです。それからまた、持ち家につきましても当然修繕費もかかり、固定資産税という税金の負担もかかるわけでございまして、そういうことを考えれば、持ち家全部に対して住宅手当を支給するということも当然考えていいのじゃないか。したがって、今回はこういう形で縛りがありますけれども、将来その縛りを取っ払うというつもりは人事院としてはあるのかどうかです。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そういう周辺のむずかしい、めんどうな問題のあることは重々承知の上で、しかもここに大決断をもって踏み切ったというところは、大いに評価していただきたいと思います。しかし、われわれの当面のねらいは、そういうようなところはあらゆる面を考え合わせた上で行き届いた措置をとろうというまでの段階、結論にはなっていないわけなんです。それらのことは、いまお話しのとおり、後日の問題でやはり検討問題にしたい。しかし、当面は、安い公務員宿舎に入っている人と入っていない人、このバランスにまず目をつけて、そこから取りかかっていこう、そういう気持ちで踏み出したわけであります。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 人事院の勧告は国家公務員対象にされることはよく理解しておりますが、しかし、国家公務員に対して勧告されたものが、いわば地方公務員にも及んでいくという現在の制度になっているわけです。地方公務員の場合は、公務員宿舎というのは国家公務員よりも率はずっと低いのじゃないかと思うのです。ですから、確かに勇断をもって踏み切って、安い公務員宿舎に入っておる者とそうでない者との差を埋めるということ、理解はいたしますが、しかし、先ほど私があげたような問題もあるわけでございまして、それだけではなく、これはやはり将来拡充をしていかなければいかぬ、当然拡充する。まあ、とりあえずそういうことで踏み切ったということですから、当然将来は拡充していくお気持ちは十分あろうと思いますが、この点については重ねて御決意を承りたいと思うのです。  それからついでに聞きますが、特別給なんですが、昨年も〇・〇八を切った。本来ならば四捨五入すべきであって、八を捨ててということではおかしい、八捨九入ではおかしいじゃないかということを申したわけなんでありますが、今回は〇・〇九を切りまして、〇・二カ月の勧告をお出しになった。こうなりますと、これは九捨十入ですから、これは完全な切り捨てということになるわけであります。今度の公害国会でも教科書の問題が議論されましたが、大体、小学校の教科書、中学校の教科書も、小数点以下の扱いは四捨五入というのが常識になっているわけで、だから、これは国民常識に合わぬのじゃないかと思います。したがって、どうしてそういう国民常識からはずれた九捨十入というようなおかしなことをされたのか、お伺いをいたしたいと思います。
  68. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おっしゃるとおりで、去年も切った、ことしも切った。これはとてもぐあいが悪いなという気持ちは十分持って、なおかつ踏み切った。今度はマイナスのほうに踏み切ったわけでございますけれども、これは従来それらの小数点以下、二から下のこれの端数は切り捨ててずっとまいっております。その理由とされておりますのは、やはりこれは各企業におけるその年その年の業績というものに応じてきめられるものである。極端な例をいえば、業績が悪ければ落ちることもあるというような性格のものだ。そこで、わがほうはそれに一応便乗はしますけれども、それを各企業の分に水増しをしてまでやらんならぬものかどうか。かつわがほうの制度としては、一応国家公務員法という恒久法の形をとって、その中にこのパーセンテージが入ってまいりますから、企業の場合ほど上げ下げ——ことに下げるほうなどを考えますと、あまり下がらないほうがいいという面もございます。そういうことをあわせ考えて、従来切り上げはしないということできておったんだろうと思いますが、またそれは私は正しいと思います。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 正しいと思うと言い切るのは、どうも私ども賛成しがたいわけで、去年〇・〇八切られる、ことしも〇・〇九切るということでは、これはまずいと思います。これは幾ら議論しても水かけ論でしょうから、やはりそういう九捨十入というような国民の常識——佐藤人事院総裁もかつて小学校のときに習いました算術の教科書にも反するということを御指摘申し上げておきたいと思います。  次は、高齢者の昇給延伸の問題ですが、昨年の国会におきまして、この地方行政委員会には珍しく強行採決というような遺憾な事態がございました。大体地方行政委員会という委員会は、警察法改正のときに強行採決ということは例があったんでありますが、警察法以外の法案で強行採決をやったというのは、輝ける地方行政委員会の歴史に一大汚点をしるしたのではないかというふうに私ども考えておりますが、その問題がこの定年制、法案であったことは、人事院総裁も御記憶あろうかと思います。  今度見ますと、一般職の職員につきましては、当面五十八歳ですか、それから現業職員、医療職の職員等は六十歳、これをこえた職員につきましては、明年の四月一日から昇給延伸をしようというようなことが今度の勧告の中に出されております。昨年もそのような趣旨がばく然として勧告に書かれておったことを記憶いたしておるわけですが、何か私どもとしまして、定年制法案について地方行政委員会の一大汚点をしるしたようなトラブルがあった、どうもそっちがうまくいかなかったから、今度はこの昇給を押えてやろうというようなことでは、これは江戸のかたきを長崎でとるというようなことになるわけでございまして、人格者である佐藤人事院総裁はそういうえげつないお考えは持たないだろうと期待しておったんでありますが、どうも勧告を見るとまずい点がある。この点、定年制というものは国家公務員にはないわけですが、これとの関連は一体どういうお考えなのですか。また、こういった勧告を何でも明年四月一日から実施をしようというお考えなのですか。あわせてお聞かせをいただきたい。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 国家公務員の場合の定年制につきましても、これは公務員制度の上では基本的な重大問題でございますから、私どもも十分検討はしております。同時に各省における職員の年齢構成というのは常に見てまいっておりますけれども国家公務員の場合については、一方勧奨退職というようなことも行なわれているということもありますけれども、差し迫って定年制を実施しなければならぬというところまではまだ機は熟しておらぬ、そういう条件が整っておらぬと私どもも考えております。したがって、定年制の問題は全然お預け。  そこで、今度の問題はそれとの関係があるかどうか、これは全然ございません。これは完全に給与制度、特に昇進制度の合理化——合理化ということばにはいい意味と悪い意味とにおとりになる方がありますが、私どもはこれはいい意味での合理化であるというふうに考えておる。それにとどまるわけです。  実施時期をなぜ急ぐかということも、これまた踏み切った一つの——これはあまり大きな声で申し上げるべきではないかとも思いますけれども、まず一つのデータとしては、民間調査の結果、若い人のパーセンテージを比べてみると、給与水準を比べてみても、公務員の若い人が民間よりずっとへこんでおる。ところが、五十六歳以上の公務員方々と、それに対応する民間の方々との給与を比べてみると、向こうのほうがずっと下がっておってこっちが高い、ということから勘案しまして、このままほうっておいたら——去年の場合を常に私は深刻に思い出しますけれども、去年は、給与勧告は一けたか二けたかということで、組合の方が一番熱心だったですけれども、われわれも一けたか二けたかということでやはり注目しておった。そういう場合に、いまのマイナス要因というものをわれわれはかかえております。あるいは去年一一%だったとか、そういうことは申しませんけれども、これが将来だんだんと積み重なってまいります。〇・三%、〇・四%くらいのところまでマイナス要因として大きく響いてくる。全体の格差の問題に響いてくる。全体の公務員としては損をするということになれば、今度は配分の問題として、もう相当功成り名遂げた御老人方と、若くてこれから働こうという働き盛りの人の配分の問題を考えた場合に、これが公平な配分と言えるかということになれば、やはりお年寄りのほうに片寄り過ぎるということになってはまた公平とは言えないだろうということで、そういう筋論が中心になりまして、片や昇給制度として、民間においても多くの会社においては、もう一定年齢以上は昇給完全ストップあるいは昇給を延伸するというような制度をとっておるところが八〇%以上あるということも考えあわせまして、思い切ったわけです。ただし、これは該当の方々に対してはたいへんお気の毒なことになるということは十分わかっている、しかし、それを忍んで大局のためにがまんしていただきたいということでありますけれども、それにしても今回この制度をしくについて、急激な衝撃がそういう該当者の方々に及んでは、これはまたたいへんお気の毒なので、できるだけ衝撃を緩和するような形で生み出していきたい。しかし、さっき申し上げたように、生み出すものはやはり早いほうがいいという気持ちは一方ありまして、四月一日から、そういう法案になっております。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 民間で多くの企業は定年制をしいている。その例をいろいろ見ますと、三井ですか三菱でしたか、まあ、一種の不況対策のような意味で、取り上げて、それが各企業に蔓延したというのが実情のようでありまして、しかし、現在の日本の人口、これからの産業発展等を考えてまいりますと、労働力不足ということはこれは目に見えている。そういう中でいかにしてお年寄りの方々に元気で働いてもらうかということが、これは国の基本的な重要問題としていま取り上げられている。各種の審議会等でも、これらの諮問を受けて議論をしている、こういう状況です。そういう中で、民間におきましても、定年制の延長というのは、もうこれは各企業におきましてもどしどし行なわれている、こういう状況でもございます。佐藤人事院総裁も、御年配ではありましょうが、元気で活躍もしておられるわけでありまして、そういう点を考えますと、いま確かに、民間と公務員高齢者の年齢を比較した場合に、公務員のほうが高いという現実はあっても、ここ何年かの推移の中では、当然それも是正される傾向にあろうと思うのです。ですから、そういうことを考えました場合に、何もいま現時点の調査において直ちにこういう措置をとるということは、これはやはり問題ではないだろうかという感じを持たざるを得ないわけです。その点について御意見を承っておきたい。
  72. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは実は今回の勧告について、各新聞の社説、解説等でいろいろな批判が出ておりましたけれども、評判のよかったのは、いまのこれぐらいじゃないかと思うようなことなので、事務次官の引き上げのごときはまことに評判が悪うございました。これはあとでお話が出るかもしれませんけれども、別にそそのかすわけではありません。評判がいいほうだったのです。  ところで、最近、御指摘のように、民間でも定年の延長ということが盛んにいわれたり、五十何歳というのは今度は六十歳にすべきじゃないかというようなのが出ております。そういう場合に必ず出てきますのは、しかし昇給制度その他においてこれを調整していくべきだという論がある。ある新聞の社説のごときは、そういう場合に今度の人事院勧告を見習うべきであろうということまで書いたのもございますから、その関係はそういうことで御了解をいただいてよろしいと思います。結局われわれとしては、大きな立場からいって、また筋論から申しまして、正すべき筋は正すべきだ、それに尽きるわけでございます。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 せっかく人事院総裁、まだ聞いていただきたい点があるようでございまして、先ほど問題提示もあったと思うのですが、いま内閣委員会の御都合もあるそうですから人事院総裁に対するお尋ねは以上にいたしておきましょう。  自治大臣にお尋ねしたいと思いますが、人事院勧告内容的に私どもから見ますと、いろいろ問題がございます。特に制度からいって、人事院国家公務員について勧告をする。しかし、この人事院勧告がそのまま地方公務員諸君にも準用されているという状況であります。しかし、私は、国家公務員の実態と地方公務員の実態とが相当違う場合があると思うのです。いろいろ例をあげてもあれですから、一、二にとどめたいと思いますが、たとえば通勤手当の問題であります。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 さらに隔遠地手当の問題でありますが、確かに国家公務員の中にも、たとえば地方におります農林省の出先機関である食糧事務所、統計事務所、こういう諸君は僻地にもおるわけでありまして、自転車等の通勤、あるいはバイク等の通勤という諸君も多いと思います。しかし、国家公務員全体、地方公務員全体を考えました場合に、国家公務員の場合は比較的地下鉄であるとかあるいは国電であるとか、こういうものを利用する通勤の可能の諸君が多いと思いますが、地方へ行きますと、どうしても交通が不便である、一時間に一ぺん、二時間に一ぺんというようなローカル線やバスなんかを使っておったのでは、これはとても仕事にならぬということから、やむなくバイクで通う、車で通うという諸君が多いのは当然だと思います。それから隔遠地手当につきましても、これは運輸省、気象庁の職員等で僻地におる、たとえば灯台等につとめておる国家公務員諸君もおるでしょう。しかし、僻地に勤務しております公務員というのは、これはやはり地方公務員のほうが圧倒的に多いというのが私は実情だと思うのですね。そういたしますと、そういう実態を考えますと、私は、当然地方の人事委員会はそういった地域の実態、公務員の勤務実態というものを見て、そうして地方独自の勧告というものがあってしかるべきだと思うのです。通勤手当は当然多くしよう、隔遠地手当についてもかさ上げをしようとか、それから寒冷地手当等については役場の所在地等できめられておりますけれども、現実に学校とか、あるいはその他を考えますと、役場の所在地じゃなくて、分校等で、役場はあったかいところにあっても、現実に学校は山奥にあるということで、この役場の指定とは別に官署指定をするというようなことを当然考えていってしかるべきだと私は思うのです。私は昨年そういう立場で、野田自治大臣であったですが、当然地方公務員独自の手当については、人事委員会がその地域の実態に即した勧告を出せというふうに自治省は行政指導すべきだと言い、いたします、こういう答弁でございました。  で、私は聞きたいのですが、ことしの勧告はこれからいろいろ出るものが多いと思いますが、昨年の場合、人事院勧告とは別個に、当該府県の人事委員会がどの程度独自の手当の勧告をなされたのか、それがどの程度現実に実施をされたのか、この点ひとつ承っておきたいと思うのです。
  74. 山本明

    山本政府委員 地方公務員給与につきましては、国家公務員給与に準ずるというたてまえをとってまいっておりますが、先生もおっしゃいました通勤手当等は、本年の勧告等にも、やはり実情に応じまして加算をするとか、そういう勧告が実は出ております。したがって、準ずる幅なり準じ方というのがひとつ問題になってまいるであろうと考えております。自治省におきましても、給与問題研究会で御調査願いました結果、国家公務員に準ずるというたてまえはそれはそれでよろしい、ただ、準ずる幅なり準じ方は地方実情があるから、その実情に合った合理的な線を考えるべきである、こういったことを言っておりますのも、そういう点からの御判断だと私たちは思っておるわけであります。したがいまして、通勤手当等につきましては、たとえば自転車を使用する等の多い場合におきましては、これに対する措置も考えておるようでございます。ただ、特地勤務手当の制度につきましては、われわれといたしましては、現在のところは、あくまでこれは離島、僻地等の異動の円滑性という観点からできた制度であるとするならば、国とか県ということになりますと、これはかな。広い範囲で異動いたします。しかし、異動範囲の狭い市町村というようなものにつきましては、国と同様なこういう特地勤務手当制度を採用することについて問題があるということで考えておりますが、しかし、現実にかなり広域的な合併が生まれてまいっておりますので、この点につきましては、さらに実情を見て検討したい、このように考えておるわけでございます。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 府県の人事委員会が、こういり特殊な手当につきまして、人事院勧告よりはある程度上回った勧告をした、それを実施するかどうかということになった場合、自治省としては、準用だから人事院勧告よりも上回った実施をすることは好ましくないというようなことで、ブレーキをかけるというようなことはせぬでしょうな。その点はどうでしょうか。
  76. 山本明

    山本政府委員 その勧告の内容を見まして、合理的な基準といいますか、実情に合っておるというような実態でございますれば、これはブレーキをかけるということは考えておりません。
  77. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 さらに、国家公務員給与地方公務員給与はどっちが高いとか低いとかいう議論がございます。どうも自治省——山本務員部長はどうか知りませんが、以前の公務員部長はどうも高いほうにのみ関心を向けているような傾向がありましていかがかと思ったのですが、やはり低いのもあるわけですね。特に町村職の給与国家公務員よりも低い。学歴、経験年数等のラスパイレス方式等で計算いたしても、町村職の職員は国家公務員の八〇数%程度にしかなっていないという実情は、自治省でもよく把握しておられるだろうと思うのです。これも昨年、私、自治大臣にお尋ねしまして、自治大臣は、当然そのような低い町村職の職員の給与改善のために努力をするということを明確に言明されたわけですが、その後一年たってどの程度実効があがったのか、またさらに、今後より低い町村の職員の給与改善のためにどのような行政指導による措置あるいは財政措置というものを考えておられるか。財政局長おられますから、財政的の措置についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  78. 山本明

    山本政府委員 おっしゃいますように、町村の給与は、ラスパイレス方式で比較いたしますと低いほうであります。大体年々上がってまいっておりまして、四十三年にはやっと九〇%という状況でございます。これは内容を調べてみますと、たとえば初任給の決定の基準をつくっておらないというようなところもございまして、やはり給与というのははっきり制度をつくって、初任給の採用なら採用の基準をつくる、あるいは給与法をこういうかっこうで上げていくんだというような問題がございますので、そういう指導は私どものほらでしてまいっております。現に地方自治体におきましては、交付税措置が国の給与改定に準じて措置されておりますので、町村におきましてもそういうことのないように、実は十分に指導してまいっております。  四十五年の新しいものはラスパイレス方式がまだ出ておりませんので、いずれその結果が出ましたら、御報告申し上げたいと思います。
  79. 長野士郎

    長野政府委員 給与改定につきましては、地方公務員の場合は国家公務員に準じて給与改定をするということでございますから、財政的な措置といたしましては、国家公務員に準じた財源措置をいたしたいと考えております。
  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 財政措置はやっているが、山本務員部長が言われたようなケースもあって、現実には低いという実態になっているわけでございまして、大臣、この点御決意を聞きたいと思うのです。あるいは大臣の御出身地の徳島でも町村職員の待遇が著しく悪いという点もあるのじゃないかと思いますが、全国的な問題として、やはりこれについては低いものをまず是正するということに自治省が力を入れることは当然だと思います。大臣としてどういう決意で御指導されるか、承っておきたいと思います。
  81. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 いろいろ地方的な事情もあろうかと存じます。しかし、これらを十分勘案をいたしまして、合理的な見地において低過ぎるものはこれを上げ、平均的にバランスのとれた——町村等において著しく低いというような点については十分考慮をして、できるだけこれが増額を期してまいりたい。しかしながら、あくまでも合理的な見地に立ちましてやりたい、こう考えております。概してこれを引き上げてまいりたいと考えております。
  82. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣、本年東京都が東京都の人事委員会の勧告を尊重いたしまして五月実施ということをやろうといたしましたときに、いろいろブレーキをおかけになったようでありますが、そちらのほうはいろいろ御熱心に文句を言って、低いほうはほうっておくということでは全く片手落ちだと私は思います。東京都の知事さんに熱心に干渉することは私ども反対でありますが、低いほうの市町村長さんに自治大臣が大いにハッパをかけますことについては、われわれ野党も大賛成をいたしますので、ひとつそういうことで御努力をいただきたいと思うのです。  さて、そこで問題は、行政(二)表、現業職員の問題です。実は今度公害法案一つとして提案されました廃棄物処理法案、この第四条を見ますと、「(国及び地方公共団体の責務)」というのがございます。「市町村は、つねに清掃思想の普及を図るとともに、廃棄物の処理に関する事業の実施にあたっては、職員の資質の向上、施設整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。」こう書いてございます。この清掃関係の業務に携わる職員は主として行政(二)表の職員だと思います。行政(二)表の職員の生計実態を見ますと、要するに、家族二人の生計を維持するということが基本になって行政(二)表の職員の給与体系というものはできているのです。だから、現業職員は子供を産んではいかぬというのが現在の人事院勧告内容、それに準ずるということになれば、自治省もそういう態度であるということになるわけですね。そういうつれない態度でこの給与表をつくっている。しかもこの廃棄物処理法におきましては、市町村は職員の資質向上につとめなさいなんて、非常にけっこうなことを書いておる。子供を産んではいかぬというような給与体系を押しつけておいて、職員の資質の向上なんということができますか。やはりこの際、町村職員の待遇改善とともに行政(二)表の職員、いわば現業職員の給与の抜本的な改善というものをすべきだと私は思うのです。そうでなければ、清掃事業だってうまくいきませんよ。この点ひとつお考え方をお示しいただきたいと思うのです。
  83. 山本明

    山本政府委員 いわゆる技能労務職、これらの方々給与につきましては、やはり国の給与水準に準ずるというたてまえをわれわれはとっておるわけでございます。先般の給与問題研究会等におきましても、特に地方公共団体に特有な清掃職員、こういうものにつきましては、労働需給の関係とかあるいは民間の賃金というようなものを考慮して、合理的な基準を考えたらどうだという案も出ておるわけでございます。したがって、自治省におきましては、地方公務員特有のそういうものにつきましては、いま専門調査研究会で御研究をお願いしようというふうに考えております。しかし、国家公務員と同じような仕事をしておる者につきましては、必ずしも地方が特有だということで独得のものをつくるということは問題があるのじゃないか、やはり国家公務員に準ずるという基本だけは守っていきたい、こういうように考えております。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 パリでもニューヨークでも、とにかく清掃関係の労働者がストライキをやって、清掃業務が一週間くらいにわたってストップしてこれが大問題になったということは、よく御存じだろうと思うのです。まさにいま都会というものは清掃事業が円滑に行なわれてはじめて都市的生活ということはできるのであって、これがとまるということになれば、これはとにかく都市の機能は全く停止をしたといって差しつかえないと私は思うのです。それだけに大臣、清掃業務等はせっかく廃棄物処理法でもこういうりっぱなことをうたっておるわけですから、公務員部長からお話もありましたけれども、そういう職員の待遇の問題は、抜本的に改善するということで自治省は真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。御決意はどうでしょうか。
  85. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま公務員部長から申し上げましたように、いろいろ専門調査研究会でこれらの点を研究を願っておりますから、そういう研究の結果も待ちまして、御趣旨に従いまして前向きに検討、措置をいたしたいと思います。
  86. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 経済企画庁にお尋ねしたいのですが、九日の物価対策閣僚協議会、ここで物価と賃金を誘導するガイドポストを設けてはどうかという意見が出たそうであります。私はこのことは非常に問題だと思います。時間がありませんから、あまりいろいろなことを申し上げるつもりはありませんが、いままでも所得政策というのはしばしば政府部内でも議論になりました。しかし、この所得政策というものを考える場合は、賃金だけを対象にするということは誤りだ。宮澤経済企画庁長官も、当委員会に来て、そういう趣旨のことを言ったことがありますが、当然事業者所得なりそれから利子所得とかあるいは株式配当とか、そういったもの全般を見通した上で所得政策というものを考えるなら考えなければ、これは全く片手落ちだということは当然のことだと思うのです。今回新聞等で拝見したわけでありますが、閣僚協議会では、賃金と物価の悪循環というようなこと、いわば賃金の上昇がコストインフレを招いているのだというような認識で、物価上昇の責任をすべて賃金に転嫁をして、したがって、賃金だけを抑制する、そういう意味でのガイドポストを設けていくというような趣旨意見が出たということは、これは全く間違いではないか、私はかように思います。この点経済企画庁のお考え方は一体どういうことなんでしょうか。
  87. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 御承知のように、現在消費者物価がかなりのテンポで上がっておりまして、これを何とかおさめていかなければならないというその点につきましては、私ども非常に強い要望なり決意を持っております。その場合に、消費者物価の上昇要因というのは非常に多岐にわたっておりまして、ある一つの原因ということではないと思います。ごく一口に申しますと、過去数年の高度成長のいわばツケが回ってきたのが多分にあると思います。現在、御承知のように、景気の情勢が従来の高度成長の過程からやや変わってまいりまして、かなり鎮静化の様相を示しております。そうした状況のもとで、今後物価が上がりあるいはまた賃金がことしと同じ程度に上がっていくということになりますと、物価と賃金、もちろんいろいろな所得も含めてですが、そうしたものの循環的な上昇が今後起こるおそれがあるかもしれません。そうしたことに関連しまして、賃金も含めまして今後のそうした動向には重大な関心を持っておるわけであります。しかし、そうだからと申しまして、いまの段階で直ちにこのガイドポスト政策をとるという考えは、少なくとも経済企画庁としては持っておりません。
  88. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 経済企画庁としては持っていないが、政府としてそういう趣旨のことが論議されたということが報道されますと、きょうの新聞にも出ておりますが、堀越経団連副会長は、政府考え方を聞いた上で経団連、経済同友会、日経連、日商などと賃金抑制の具体策を検討することとなろう、というような先走ったことを言っておるのですね。経済企画庁としては決して賃金のみにガイドポストを設ける気はないという御答弁でありますが、結局は財界の側はえたりかしこし、賃金抑制だ、明年の春闘は徹底的に抑制していこうというふうに進んでいくことが私は問題じゃないかと思います。  そこで、新経済社会発展計画を拝見いたしますと、昭和三十八年から四十五年の実態を見ますと、一人当たり雇用者所得、いわば賃金労働者の所得は、年平均の伸び率が一二・二%、これに対して一人当たり個人事業主所得は、一年当たりの伸び率の平均が一四・二%。ですから、むしろ賃金の上昇率よりは個人事業主所得の伸び率のほうが二%も高いということになっているわけですね。それから昭和四十五年から五十年、新経済社会発展計画計画年度でありますが、この五年間も、一人当たりの雇用者の所得の伸びが一二・一%、個人事業主所得が一人平均一二・三%。ですから、雇用者の所得よりも事業主の所得のほうが、年率の伸び率は若干であるが高いということを見通しておられるわけですね。そういう中で、この賃金労働者、雇用者の賃金のみにガイドポストを設けるというようなことは、経済企画庁が中心になりましてつくりました、閣議決定によるこの計画の実態からいっても、今後五年間の見通しからいっても、私は全く間違った考え方だ。より伸びているのはほかにあるわけですから、押えるならば、むしろそちらを押えるのが当然だ、こう思うのですが、この点はいかがでしょう。
  89. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 ガイドポスト政策、欧米にも若干の例はございますが、考え方としましては、いま先生がおっしゃいますように、貸金だけを対象とするものではありませんで、英語ではインカムズ・ポリシーというように、複数になっております。まさに所得全体を含めてのことであります。これを実施いたします場合の方法として、賃金以外の所得について具体的にどういう誘導方策があるかという点、かなりこれは技術的に問題があるかと思います。しかし、考え方としては、全部の所得でありますから、そのためにはあるいはほかの所得を直接誘導できない場合には、むしろ価格の面で誘導していくということもあるいは一般論としては考えられるかと思います。しかし、いずれにしましても、現在の段階でそうした政策を具体的に導入するという考え方は持っておりません。
  90. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣は物価対策閣僚協議会のメンバーですか。
  91. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 メンバーであろうと思います。昨日出ましたから……。
  92. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 であろうというような自信のないことでは、大臣、困るのです。  そこでお願いしておきますが、やはり自治大臣は物価対策閣僚協議会のメンバーであろう——そっちはあろうであるかもしれませんが、公務員関係の賃金をいろいろ議論します賃金関係の閣僚協議会のメンバーであることは、もう確たる事実ですね。ですから、そういう上に立って私は要請したいと思うのですが、当然地方公務員多数を抱えております自治体のお世話をする自治大臣、いま申し上げたような点をお聞きいただいたと思いますが、賃金のみに対するガイドポストの設定などということは間違いだということで、物価対策閣僚協議会のメンバーであるならば主張をいただきたい、そのお考え方をお示しいただきたいと思います。それからさらに、賃金関係閣僚協議会の一員として、そういった考え方公務員賃金に反映されることのないように、先ほど私が指摘したような問題もあるわけでありますから、地方公務員諸君生活向上のために努力をいただきますように、その点に対するお考え方も聞いておきたいと思います。  最後に、毎年公営企業職員が問題になります。地方公営企業の職員も地方公務員であることは間違いないわけでありまして、地方公営企業職員の給与改定についても、自治大臣、積極的に努力をいただきまして、地方公営企業職員の給与改定だけがあと回しになるというようなことのないように御努力をいただきたいと思いますが、その御決意も承っておきたいと思います。
  93. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 地方公営企業の職員のベースアップがとかくおくれがちである点は、まことにお気の毒に存じておりますが、また企業の性格上やはり独立採算制をたてまえといたしますので、企業努力によりその昇給の財源を出さなければならないというような点から、いろいろ苦心があるわけでございます。この点につきましては、個々の事業につきそれが健全化については前向きに御相談に応じてまいりたいと思っております。  物価と所得との問題につきましては、ただいま企画庁からお話のありましたとおり、非常に複雑な要因によるものでございまして、私といたしまして、専門家ではございませんが、単に所得政策だけをもって万能薬として物価の鎮静に役立つとは考えておりませんけれども、しかしながら、この問題は、この段階におきまして、所得につきましても十分検討をしなければならない問題である。この意味におきまして、何も所得政策をとるという趣旨ではありませんが、昨日の物価対策閣僚協議会においていろいろ検討をされたことでありまして、検討は大いにしていかなければならないと考えております。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 であろうなんということじゃなく、自信を持ってお願いしたいと思います。
  95. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  96. 門司亮

    ○門司委員 あとでまた岡沢委員からお尋ねがあると思いますから、ごく簡単に率直に聞いておきますけれども、この法律を出される考え方なんですが、何かといって交付税を借りたり貸したりするようなことが大体よろしいかどうかということなんです。こういうくせをつけるということ、これはどういう考え方なんですか。いままでは貸して、まだ三百億ぐらい残っているわけです、大蔵省から返してもらう分が。そういうものがそのままになっておって、そして法律で返す年度が来年度になっているから、四十五年度の中へ入れられないという理屈は一応あるかもしれません。あるかもしれないけれども大蔵省から早く返してもらったらどうなんですか。そういう点は政府内部で交渉できませんか。
  97. 長野士郎

    長野政府委員 貸し借りの問題は、確かに御指摘のようなことがあるわけですが、今回の給与改定という問題になりますと、やはり財源措置が必要でございます。その場合に、国のほうで国家公務員についても措置が必要だと私は思います。ですから、国の場合におきましても予算補正の必要があると思っておりますが、その予算補正の時期がたまたま今回でないということになったわけでありますから、地方給与改定についての財源措置は、国の公務員法の改正と同時に財源措置を明らかにいたしませんと、同時に地方給与改定を行なうことができない。したがいまして、国の予算補正によるこの際の交付税の増というものをいま期待するわけにまいりませんので、いまは借り入れ措置をいたしまして財源措置にかえていく、こういうことにいたしたわけであります。
  98. 門司亮

    ○門司委員 あまりこの問題で押し問答はいたしませんけれども、どうも見ているとおかしいですね。貸している分があるなら、返してもらうことのほうが——政府内部の処置でできることですからね。どうしてもそれができないというなら別の話ですが、繰り上げて償還してもらえばいいのであって、何もこの際、こういう大きな借金をしなくても済んだと私は思う。こういうことが地方財政に及ぼす心理的な影響というものは実際に大きいのですよ。借金が五百五十億残る。そして厳密に言えば、私は三百十億だと思うのですが、三百十億は向こうに貸しておるというようなものの考え方について、私はもうこれ以上追及はいたしませんが、少し政府は考えてもらいたいと思う。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この財源措置は公営企業に及ぼすものであるかということは、私はこれは一般財源であって、公営企業にはこの財源を及ぼさない、こう解釈しておるのでありますが、そのとおりですか。
  99. 長野士郎

    長野政府委員 そのとおりでございます。
  100. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすると、結局、公営企業はなるほど独立採算制をとっておりますので、当然そっちで支払えという理屈は一応成り立つ。しかし、人間の生活をしているのは同じであって、それから公務員としての立場からいえば、公営企業に従事している諸君公務員でないとは言えません。そうしてこれは、憲法上からいえば、いずれも地方住民に奉仕をする人たちであることには間違いない。そうしてその昇給自身というものがきた理由というのが、地方の公共団体で定期昇給したとか、あるいはお金が余ったから少しよけいやってよろしいのだというものではないと私は思うのです。いわゆる生活に必要な人事院の勧告に基づく昇給であるとするならば、今度の給与はやはり公営企業にも及ぼすべきだと私は考えておる。ところが、これがこの処置ではできないということになると、公営企業に従事している諸君の財源は、一体どこから出てくるのかということになる。  立ったついでだから、もう少し申し上げておきますが、御存じのように、特別の援助を受けているいわゆる再建団体というようなところでは、年じゅうこのために地方公共団体ではもめているのですね。そうしてまだ去年の分も満足にベースアップが行なわれていないというようなところがある。そのことのためにストライキをやる。ストライキをやって迷惑するのはだれかというと、みんな地方住民が迷惑するということになる。この悪循環に対して、一体どうお考えになるかということです。これが単なる企業の中からくるあるいは事業の経営の中からくる当然の定期昇給のようなものであれば、おまえさんは赤字だから待ちなさいということが言えるかもしれない。しかし、少なくとも人間の生きていく要素を中心に、物価が上がったとかあるいは社会の情勢がこうだという社会的要因によって出てくる問題を、企業の内部にこれを押しつけていくということについては、私は、この点はいささか問題があると思う。そういうふうにお考えになりませんか。私は、これは社会要因からくる一つベースアップだという考え方のほうが、正しいと思うのですが、それを企業の中だけで、独立採算になっているからという、表向きといいますか、条文だけにとらわれて、ここに及ぼさないということはいかがかと思うのですが、一体この点はどうなんですか。
  101. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 近来御指摘の点が非常に問題になっておることを承知いたしております。したがって、独立採算制のたてまえを固執してはいけないのだというような御議論もあるわけであります。しかしながら、この点につきましては、十分検討をいたしまして、この非常に激しい社会経済状態の変化によって、公営企業の本質からどうなるのだという点を、私はしさいに深く検討してみる必要があろうかと思います。都市交通等につきましては、その種の研究機関ができておると承知をいたしております。したがって、今後それらの研究機関の詳細な検討によって、結論をいかにするかはさらに検討してみたいと思いますが、ただいまのところは、やはり独立採算制のたてまえによりまして、内部の合理化等によって所要財源を捻出する。そうしてさらに経営のあり方につきましては、総合的に多角的に各方面から改善をする、こういうことで個々に処置をしてまいりたいと考えております。しかし、今後の行き方につきましては、さらに検討を要するものと考えております。
  102. 門司亮

    ○門司委員 時間の関係もありますから、これ以上私は聞きません。しかし、いま申し上げましたように、社会要因からくるベースアップの問題を企業に結びつけて考えるということは、今日、私は、公務員法のたてまえからいってもあるいは公営企業法のたてまえからいってもおかしいと思う。そうして最近の交通関係の赤字というもの、これも内容がずさんであるとかあるいはいろいろな問題が私はあると思いますよ。あると思うが、しかし、大部分と言っていいほど、社会要因なんですね。市電が赤字になるからといったところで、これは赤字になるように社会要因ができておるのであって、これだけ交通が混雑してくれば、そうなることはわかり切ったことであります。そうだとすると、今日の公営企業に対する赤字の要因も社会要因であり、ベースアップ社会要因であるならば、これは差別する必要は毛頭どこにもないという考え方に立つ必要があるんじゃないかということです。企業サイドだけで集約できる、さっき申し上げましたような定期昇給であるとか何とかいうようなことについては、あるいはそういうことが配慮されるかもしれない。これは独立採算制だからということがあるいはいえるかもしれない。しかし、ここで私は独立採算制がいいか悪いかというさかのぼった議論はいたしません。その限りにおいてはそういうことがいえるかもしれませんが、今日の人事院勧告のたてまえというのは、そういう企業サイドの問題じゃございませんので、いわゆる社会情勢に応じたベースアップに対する勧告でありますから、これは私はやはり公営企業の諸君に対してといえども素直に受けて立つということが順序ではないかと考えておるのです。それがこの法案には忘れられているということになりますと、これはいかがかと実は考える。これはこの法案というより、むしろそういうことになれば、別個の法案があるいは必要かもしれない。そういうことでは地方の公共団体というのは、円満に住民の利益を守っていくという立場、ことに今日のふくそうしておる交通関係というようなものが円満にやれない。さっき言いましたように、ストライキ等があったりしてはほんとうの地方住民が迷惑する。これは私は政府の配慮が足りないのじゃないかと思います。この点については、もうこれ以上文句は言いませんが、ひとつよく考えていただきたいと思うのです。今度のベースアップの本質というものと公営企業の本質というものを考えていただければ、私のいま話していることは大体おわかり願えると思うのです。  したがって、今後の問題になろうかと思います。これはこれとして一応始末をつけまして、公営企業のほうは今後の問題になろうかと思いますが、ひとつ大臣のほうも当局者のほうもその点は十分配慮していただきたいということを希望申し上げておきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  103. 菅太郎

  104. 岡沢完治

    岡沢委員 持ち時間の範囲内で一つの問題だけやらしてもらいたいと思います。  国家のあり方としていわゆる高福祉高負担ということをいわれます。私は、公務員のあり方と申しますか、行政機関のあり方として、いわゆる高給与高能率ということが正しい姿ではないかというふうに感ずるわけでございます。最近、私の選挙区にございます高槻市と茨木市という二つの市が、高槻市のほうは、市長が背任容疑で検察庁の臨床尋問を受けるという事態が発生いたしておりますし、隣接する茨木市では、すでに市長が選挙違反と背任で有罪の判決を受けました。いま控訴中でございますが、市民からリコール運動が行なわれております。これはいずれも二十万都市でございます。こういう都市ですら、市民のほうから見て、行政当局に対する不信ということを全く払拭できないような事態が相次いで起こっているわけでございます。これはひとり私の選挙区だけの現象ではないと思います。最近の地方公共団体住民に対して負っております行政内容と申しますのは、今度の国会でも明らかにされておりますように、公害を中心にきわめて高度の技術、新しい分野の事務能力を要求されているわけでございますが、これにつきましても、最近の地方公共団体の実態と申しますか、行政能力あるいは人の問題等を考えました場合に、国民の立場からしてきわめて不満足なものがあると指摘しても、私は決して言い過ぎではないというふうに感ずるわけでございます。そうしてまたこの委員会で三万都市法案、前国会で通りまして、七月から施行されてすでに五カ月になりますが、新しく二十八市が誕生しておる。市にはなりましたけれども、その行政の内容、人的構成、全く市民の負託にこたえるかどうかという点では問題があろうかと思います。  自治省としても、地方自治行政、自治というたてまえから、自治省が関与されるべき分野には限界があることは十分承知いたしておりますけれども地方行政の改革について、特に公務員の研修等あるいは事務配分等について、結局一人一人の公務員の自覚ももちろん必要でございますけれども、やりがいのある職場あるいはやりがいのある仕事を与え、仕事を明示するということが、現在実質的な能力のない自治体に対して行政指導することが、自治省としてもきわめて重要な分野ではないかと思うわけでございますが、これに対する自治大臣の見解と、担当行政局長はお見えでないようでありますから、公務員部長、なお、財政局長は四十三年当時行政局長をしておられて、当時行政改革についてのアンケートの責任者でもあったと思いますが、そういうことも含めてお答えいただきたいと思います。
  105. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 現代の地方行政の職務はいよいよ複雑になり、また公害等いろいろむずかしく、かつ種類も多くなっている。これに対する高度の行政処理能力が要請をされるわけであります。したがいまして、自治省といたしましては、地方自治の範囲を侵さない立場に立ちまして、地方公共団体理事者並びに職員その他の方々のこれらの行政処理能力の向上につきまして、重大な関心を持って適切な指導を時々刻々にいたしておるわけでございまして、この点に関しましては、高能率高賃金と申しますか、適切な賃金及び俸給の実現を期しておるところでございます。
  106. 山本明

    山本政府委員 承知のように、民間におきましては高能率高賃金ということをやかましくいわれております。しかし、一方、地方公務員におきましては、賃金のほうは民間の給与に合わせまして上がってきますけれども、いわゆる能率あるいは生産性という面につきましては、御指摘のように、必ずしも十分ではないと私も思っております。この場合に、おっしゃいましたように、研修が一つ大きな問題でございますが、これは私のほうでは二つに分けまして、一つは、管理監督の責任のある者に対する研修というものを必ずきびしくやらなくちゃならぬ。一般職員につきましてはもちろんやっております。従来、府県におきましても、一般職員に対します研修はかなり熱心に行なっておりますけれども、管理監督の地位にあります者に対します研修が不十分である。また、たとえば不祥事件等を起こしましても、実際に起こしました者についての懲戒処分はございますけれども、管理監督の責めにある者に対する追及が弱いと申しますか、薄いと申しますか、そういう点もございますので、自治省といたしましては、管理監督の地位にある者に対する研修あるいはその責任体制を確立する、こういうものを推進してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  107. 岡沢完治

    岡沢委員 長野財政局長、先ほど申しましたように、あなた、行政局長当時に地方行政改革のアンケートをおとりになって、たとえばあの際は農業委員会の廃止とか食糧事務所の廃止、また一方で、先ほど指摘しましたように、公害行政の職員の必要性、事務配分ということも、職員に働く意欲を与えるという意味できわめて大事だと私は思います。いま財政局長関係ないという逃げ方をされないで、宮澤行政局長は見えないので、こういう事務再配分の問題、行政改革の問題等も含めて、見識のあるところを御披露いただきたいと思います。
  108. 長野士郎

    長野政府委員 いろいろ御議論があるわけでございますが、私どもが最近非常に痛感いたしますのは、やはりこれだけ社会経済の状況が変化をいたしておりますから、行政の需要というものもどんどん変化をしております。総体としては行政に対する要求はふえてまいるのでありましょうが、それにしても行政の当面する問題というものは大きく動いていっていると思います。したがいまして、それに対応いたしまして行政の刷新なり改革ということの必要は、今日ほど急務中の急務と思われる時期は私はないと思っております。そういう意味で、国のほうにおきましても、来年度行政改革というのをまた取り上げられております。しかし、この取り上げ方につきましては、いろいろ問題があると私は思います。というのは、そういうような抜本的な考え方というもので国、地方を通じてほんとうに洗い直しをいたしまして、そうしてもう一ぺん事務の再配分あるいはそれに伴う財源の再配分というようなことを行なうべきだと私は思います。しかし、それがどういう——言い方が少し差しさわりがあるかもしれませんけれども、やはり各省の縦割り行政というものの問題、そしてセクショナリズムというような問題、こういうものをほんとうに断ち切るだけの一つの見識というか力をもって改革を用意するという準備なり態勢というものがどれだけしっかりしておるんだろうかという感じを実は持っておるのでございます。その点ではやはり相当思い切った考え方でやっていかなければならない。予算のたびごとに、ある補助金を下げるとか、国庫負担をある程度どっちかへ肩がわりするというようなことで問題が片づくわけではない。これは一つの財政的な見地に立ってだけものを考えておるという批判も当然起こってくるわけでございます。そういうことじゃなしに、むしろ——そういう要求は予算当局の一つのあせりとか苦悩としては私は評価をしなければいかぬと思いますけれども、同時にそのことはやはり行政の実態なり必要というものがどんどん動いている。しかし、それに対応して考えていくべき国、地方等の関係地方自治のあり方あるいは行政に対するあり方というか考え方が非常に違っているということを痛感しております。
  109. 岡沢完治

    岡沢委員 たくさんの委員がお待ちでございますので、これで終わりますけれども、いま長野局長もお答えになりましたけれども、実行されないのが行政事務の再配分、特に各省の縦割り行政による弊害の除去だ。私はやはり勇気をもって、勇断をもって指導あるいは各省間のお話し合いをなさらなければ、給与だけ上がる、国民負担だけは大きくなる。われわれはもちろん給与が上がることは否定はいたしませんけれども、しかし、納税者としては納得できない。憲法上あるいは地方公務員法上の全体の奉仕者としての責任を公務員が果たしているかどうかにつきましては、本人たちの自覚も必要でございますけれども、指導監督の立場にある自治省の怠慢も指摘せざるを得ないと私は思うわけでございます。  私はあらためて自分自身にも言い聞かす意味地方公務員法三十条の服務の根本基準、「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」三十五条の職務に専念する義務として「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」  全くこれとは反対の現象が、国民から見た場合、公務員に対する評価ではないかと思うわけでございます。私はそれについて、これは個々の犯罪を犯した公務員に対する問題ということを抜きにして、一般に日本の公務員、ほんとうの意味での全体の奉仕者としての自覚と行動力に欠けるところありと指摘されてもしかたがないような状態にかんがみまして、私は高給与についてはもちろん不満はございませんけれども、高能率という点あるいは全体の奉仕者としての責任追及という点に、もう少し規律の厳正を監督官庁としても持っていただくべきじゃないかということを指摘申し上げまして、質問を終わります。     —————————————
  110. 菅太郎

    菅委員長 本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  これより討論を行なうのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  111. 菅太郎

    菅委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  113. 菅太郎

    菅委員長 次回は、明十一日午前十時より理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会      ————◇—————