運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-12-08 第64回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月八日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 塩川正十郎君    理事 砂田 重民君 理事 古屋  亨君    理事 山口 鶴男君 理事 小濱 新次君    理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中山 正暉君    中村 弘海君       永山 忠則君    野呂 恭一君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    井岡 大治君       阪上安太郎君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁交通局長 片岡  誠君         自治政務次官  大石 八治君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      神川誠太郎君         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         文部省体育局学         校保健課長   橋本  眞君         厚生省環境衛生         局公害部庶務課         長       藤森 昭一君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      斎藤  顕君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十二月八日  辞任         補欠選任   門司  亮君     西尾 末廣君 同日  辞任         補欠選任   西尾 末廣君     門司  亮君     ————————————— 十二月七日  木材引取税の撤廃に関する請願(千葉三郎君紹  介)(第二六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 幾つか簡単な御質問をいたしたいと思います。  まずこの法律ですが、第二条の定義を改正される予定で案を示されておるわけですが、「交通公害 道路交通に起因して生ずる大気汚染騒音及び振動のうち総理府令厚生省令で定めるものによって、」云々と、こうなっておるわけでして、一体どのような状態になったら、以下改正いたします各条項が発動するかということは、この総理府令なり厚生省令が明確でなければわからぬわけであります。まだ厚生省はお見えでないそうでありますから、総理府警察庁のほうにお尋ねしたいと思うのですが、この総理府令はどういうものをどのような時期にどういう形におきめになる予定でございますか、そのことをまず最初に承っておきたいと思います。
  4. 片岡誠

    片岡政府委員 総理府令厚生省令で現段階において予定しておりまする考え方を申し上げますと、この大気汚染騒音につきましては、御承知のとおり、公害対策基本法環境基準をきめることになっております。その環境基準を目安としまして、私どものほうでは厚生省協議いたしましてきめてまいりたいと思っております。振動につきましては、そのような環境基準がきめられる法的な手当てはございませんので、これらにつきましては、別途同じようなかっこうで厚生省協議をいたしましてきめてまいりたい、このように考えております。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 総理府からお見えだと思いますが、警察から出る省令総理府令ということになるのだろうと思います。そうすると、こちらは警察に一切おまかせをして、総理府のほうとしては関係ないということになるのですか。公害対策本部総理府にあるということからして、御相談は受けるという形になるのでございますか。その点は……。
  6. 神川誠太郎

    神川説明員 ただいまお尋ね総理府令厚生省令は、それぞれ警察庁厚生省におきまして共同省令の形になりますので、現在のところは両省庁におきまして、測定データとかあるいは人の健康にかかわる、特にいまは一酸化炭素環境基準のほうで設定されておりますので、COの人に及ぼす影響ということとそれから環境基準、またこの共同省令交通規制を行なう一つ根拠となるべきものが定められるものでございますので、両省庁におきまして現在データをいろいろ収集しておるさなかでございます。そして現在のこの協議の方向によって、両省庁でこの共同省令が定まりますならばそれでけっこうでございますが、もしこの場合、必要がございましたならば、公害対策本部といたしまして、かたいことばで申し上げますと、調整することにつきましてもやぶさかではございません。現在のところ両省庁作業進捗状況等をも伺っておりますが、現在の協議状況によって今度の省令が定められていく、かように私ども考えております。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 振動というのは公害基本法にもない。そして道交法の二条に振動というものが出たわけですが、公害基本法にないものを載せたのはけしからぬと、私言っているのじゃないので、基本法にないものをあえて道交法に入れたという警察庁努力、またそれをお認めになりました関係各官庁、総理府等の勇気にむしろ敬意を表するわけなんですが、そうしますと、総理府のほうにお伺いしたいと思いますが、道交法交通公害——公害の一種ですね、交通公害というのは。それに振動というものを今度入れたわけですから、将来公害基本法の中に振動というものも入れるんだ、こういう前向きのおつもりでおるのですか、どうなんですか。それは道交法だけであとは知らぬ、こういうつれないというか、そういうおつもりなんでしょうか。
  8. 神川誠太郎

    神川説明員 お答えいたします。  現在、振動につきましては、公害対策基本法におきまして典型公害として入っておるわけでございますが、ただ、現在の公害としてとらえる場合に、振動をどのように測定をするか、その測定手法につきまして現在厚生省においていろいろ研究をいたしておるわけでございます。現在のところ、道交法におきまして振動を、個別法はございませんけれども、いわゆる感覚公害とでも申しますか、住民の方から自動車運行に伴います自動車振動というものに対する苦情なりその他の声がございますので、そこで交通公害一つの部分としてとらえられておる、かように理解いたしております。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 思い違いしておりまして失礼いたしました。定義の中に振動というのはございます。ただ問題は、これに関する法律がないということだと思うのですが、そういたしますと、将来振動については根拠法律をおつくりになる、こういう前向きの姿勢でおられるのかどうかというふうに聞くべきだったと思うのですが、そのことに対してお答えをいただきます。
  10. 神川誠太郎

    神川説明員 お答えいたします。  公害対策基本法にとらえられております公害につきましては、一つずつそれぞれに実体法として個別法を設けることが基本的な姿勢としてとらえられておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、実態的な測定の問題あるいは環境基準の設定をどのようになすべきであるか、まだ科学的に完全に把握されておらない。現在その手法検討している段階でございますので、将来の問題としては考えられるわけでございますけれども、現在の段階ではまだそこまでまいっておらない、かような状況でございます。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 厚生省見えになりましたからお尋ねいたしたいと思います。また警察にも関連してお尋ねいたしたいと思いますが、結局、この二条二十二号で大気汚染騒音振動について総理府令厚生省令が出るわけですね。そうして特にこの大気汚染防止法、それから騒音規制法、将来は振動規制法というような法律ができるかどうか知りませんが、その各号に規定する基準をこえたというときには、道交法第七条による交通の禁止、制限、こういうものを都道府県知事が要請をする、公安委員会が実施をするというようなことになるだろうと思うのですが、この場合の一酸化炭素環境基準は、一体具体的に何PPM、何時間値というものを想定しておられるのですか。現在一酸化炭素につきましては環境基準がきまっておりますが、この環境基準をそのままとるのですか。それとも、もっとゆるやかと申しますか、交通制限をするというような相当高い濃度になったときに、それをやるというふうに考えておられるのですか。この点は一体いかがでしょうか。
  12. 藤森昭一

    藤森説明員 いま御質問がございました点につきましてお答え申し上げます。  御承知のように、今度の大気汚染防止法の二十三条、緊急時の措置、この中には二点ございまして、第一は、自動車運行自主的制限を求める場合の基準でございます。第二点は、第四項でいっておりますように、いわゆる緊急時そのものの重大な被害が生ずる場合としてきめられるべき基準でございます。  前者のほうについて申し上げますと、これは現在大気汚染防止法施行規則において定めております。主として硫黄酸化物について定めてございますけれども、たとえば〇・二PPMが三時間継続する、あるいは〇・三PPMが二時間継続する、あるいは〇・一五PPMが四十八時間継続する、あるいは〇・五PPMが出現する、こういうふうな事態をきめております。二十三条一項のほうにつきましては、現行の施行規則の値を大体踏襲してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから先生御指摘の第二点の四項のほうにつきましては、私ども現在のところいまの基準よりはもっときびしいものでなければならない、つまり光化学スモッグ出現等、短期間の暴露においても人体に有害な影響があると考えられますような事態政令で定めるということを考えております。これにつきましては、現在厚生省生活環境審議会専門部会におきまして、炭化水素あるいは炭素酸化物等環境基準値について検討が進められておりますけれども、その中で関連してこの基準数値につきましても御討議をいただいて結論を得たい、こういうふうに思っております。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いま亜硫酸ガスですか、SO2については数値をあげてお答えがあったのですが、自動車考えます場合は、SO2のことを議論したってこれはあまり意味がないのでありまして、一酸化炭素の場合、その自主的制限をする場合は、一体どのくらいの濃度であり、それからまた緊急時の基準一体どうなのか、現在きめられております環境基準比較をいたしましてどうなっておるかというお答えがないと、どうもピンぼけだということになるのじゃないかと思います。それをまずお伺いいたします。  それから次に、光化学スモッグについてお話がございましたが、光化学スモッグにつきましては、この炭化水素それから酸化窒素というものが作用いたしまして、あと日光等関係があると思いますが、光化学スモッグが発生するわけでございまして、こちらについてもまあ研究中というお話なんでございますが、すでに昨年光化学スモッグについては何回かいろいろ問題があったわけで、当時の数値等測定をせられておるわけでございますから、これから研究してというお話でなくて、いまのところはおよそこの程度濃度考えておるんだというようなお話がなければ、まさにこれは空をつかむようなお話で、国会の審議としてうまくないと思うのですが、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  14. 藤森昭一

    藤森説明員 最初の御質問の第一点の一酸化炭素の問題でございますが、御指摘のように、自動車の場合には、硫黄酸化物というよりは一酸化炭素濃度が問題になるわけでございますが、現在定められております一酸化炭素環境基準といいますものは、大体ポイントが二つありまして、一つは、連続する八時間の測定値平均値、これが二〇PPM以下であるというのと、それから二十四時間の測定における一時間値の平均が一〇PPM以下であるというこの二つの要件でございます。いままでは、今回提出しております二十三条の一項あるいは四項の規定するものの基準の中には一酸化炭素が考慮されておりませんでしたけれども、今回はこの環境基準というものをひとつ基準にしながら、これとリンクした基準をつくろうということで考えております。  それから、第二点のいわゆる光化学スモッグの点につきましては、御指摘のとおり、まだ十分なる検討が進んでおりませんが、現在生活環境審議会専門部会においてその数値につき検討を進めております。大体いまの見通しでは来年の二月末から三月にかけて結論が得られると思っておりますので、それによってこの二十三条の一項ないし四項、とくに四項でございますが、四項の基準をつくりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 来年の二月か三月といえば、光化学スモッグが発生するのは冬は少ないわけで、いわば日光の強いときということですから、夏だろうと思いますが、そうしますと、少なくとも来年光化学スモッグが東京あるいは阪神等で発生を——起きないほうがいいわけですが、起きる可能性がある、そのときまでには自主制限基準についても、それから緊急時の基準についてもりっぱに基準ができておるというふうに了解してよろしいわけですね。
  16. 藤森昭一

    藤森説明員 御指摘のとおり、私ども考えております。ちょうど大気汚染防止法及び騒音規制法——騒音規制は直接お尋ねではございませんですけれども、いずれも法律施行は公布の日から六カ月以内で政令で定める日となっておりますので、必ずそのときまでにはいまの基準をつくる、こういう作業の手順を組んでおります。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、私、厚生省お尋ねしたいのですが、どうもわが国は汚染基準に対してPPMとか、あるいはさらにシビアなものを要求する場合はPPBですね、百万分の一単位のものがPPM、それから十億分の一がPPBでしょうが、そういった、何といいますか比率ですね、これを基準にしておられる。ところが、外国ではそうではなくて、絶対値というものを基準にする。たとえば小名浜だったと思いますが、シアンが何PPM流れておるというようなことで問題になりましたが、PPMで見るとたいしたことはないようですが、それに流量をかけて絶対値を出すと、一時間にシアンが何キログラム流れておるということになると、たいへん問題だということになるわけです。厚生省としては、PPMもけっこうでしょうが、将来は私はやはり絶対値でもって、空気中に何、ミリグラム存在した場合はいかぬというような形で、むしろ基準を定むべきではないのか、そうすることが私は今後とも必要ではないのかというふうに思います。話は違いますが、カドミウムなんかが問題になっておりますけれども日本で二千五百トンカドミウムが生産されておる。このうちたれ流しになっているのが一体何トンあるかということを押えるのがやはり必要だと思うのですよ。将来、厚生省としてはどうですか、そういった絶対値でもってこの基準を定める。全部絶対値で押えるというのはむずかしいと思いますけれども、押え得るものについては絶対値で押えていくということについてはどうお考えでしょうか。
  18. 藤森昭一

    藤森説明員 規制基準お話でございますが、ただいま御指摘ございましたように、現在厚生省としましては汚染質汚染物質性質によりまして、いわゆる比率で押えるのとそれから絶対的な重量で押えるもの、これを区分して処置いたしております。  前者比率において処置いたしますものは、大体汚染物質性質としまして、拡散の効果等を期待し得るものというふうに一応考えております。それから、いま御指摘のように、粉じん、特にカドミウム等につきましては、今回新たにいわゆる有害物質としまして規定をするつもりでおりますけれども、この規制につきましては、御指摘のように、立米当たり重量で押える、こういうことにいたしております。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 総理府からも来ておられますが、公害対策本部としてもやはり絶対値で押えるものは押えていくということをこれからひとつ——厚生省お答えがありましたから、お答えはけっこうですが、ひとつ念頭に置いていただきたいと思います。  さて、そこで運輸省お尋ねしたいと思うのですが、いま新車、それから中古車に対して一酸化炭素排出基準をきめておられますね。これはPPMですな——PPMではないが、パーセントですから、PPMと同じことで、比率ですね。これは何で絶対値で押えるような努力はしなかったのですか。
  20. 隅田豊

    隅田説明員 御指摘のとおり、濃度で押えるのと絶対値で押えるのでは、全体に出てきます有害ガス量そのものには非常に影響がございます。ただ、私たち最初規制を始めましたころは、この濃度測定する簡便な方法というものがまだ開発されておりませんで、そのときにわれわれの技術的にできましたのが濃度測定ができたということでございます。それでございますので、一応パーセント規制で押えるということになっております。  しかし、現在鋭意その検討をしている最中でございますが、できるだけ早い機会に重量規制のほうに移行しようと思っております。いまのところ目標としては、四十八年を目標としてそういうふうに考えております。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 現在アメリカはすでに絶対値、重量規制でやっておりますね。そういう意味で、日本は少しおくれているのじゃないかと思いますが、いただきました資料を見ましても、四十八年、五十年、両方低減目標を見ますと、これについては一キロメートル走った場合一体何グラムかということで、重量規制、絶対値でもって規制しているようですから、その辺は進歩だと思いまして、けっこうだと思います。これはアメリカマイルで出しておりますが、結局四十八年の制限目標、五十年の制限目標、それをアメリカの現在の規制基準、それから一九七五年、昭和五十年の規制基準、あるいは一九八〇年の規制基準と比べるとどの程度差がありますか。
  22. 隅田豊

    隅田説明員 私たちのほうでさきに計画をしております四十八年、五十年の重量規制数値と、それからアメリカの五十年あたりの規制数値との御比較かと思いますが、大体、ほとんど変わらない程度になるだろうと思います。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうですね。アメリカマイル当たり昭和五十年一酸化炭素十一グラムですね。ですから、日本の場合はキロメートル当たり七グラムですから、ほぼ匹敵する。了解いたしました。  さてそこで、警察庁お尋ねしたいのですが、私は日本の車というのはモデルチェンジばかり熱心で、安全性、それから公害防止ということについては少し怠慢だったんではないかという気がいたします。警察のほうでは一体率直にどうお考えであるのか。  それから、かつて警察庁ホンダN360、これについて事故三十三件のうち七件、これは構造上に欠陥があるということを指摘されました。その間の事情を御説明いただきたいことと、運輸省としては、警察庁が提起をいたしましたホンダN360の構造上の欠陥については、現在どの程度この問題については検討が行なわれ、運輸省としてはどういう態度をとっておられるのか、あわせてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 片岡誠

    片岡政府委員 自動車メーカーがその自動車安全性だとか公害防止について怠慢であった、そういう趣旨のお話だと思いますが、私自身、確かにさらに安全なもの、さらに公害を出さないものということに対する研究、開発がおくれておったということは事実だと思います。  それからホンダN360の件でございますが、これはユーザーユニオンからの要望もあり、私ども自身、はたして欠陥がありやいなやということで、さらに要望のあった以外のことにつきましても、データを取り寄せまして、慎重に調査をいたしました。その間運転自身に起因するような例も多々あったと思いますけれども、疑義が残る車につきましては、それを抽出しまして、さらに技術的な検討運輸省のほうにお願いした、そういういきさつでございます。
  25. 隅田豊

    隅田説明員 後段のホンダの件でございますが、警察庁のほうから七件、技術的な検討をしておいてもらいたいという書面をいただきました。現在のところ、警察庁のほうから提供されました事故の概要、それからその際の調書と申しますか、そういうような技術的に参考になるデータをいただきまして、目下それを全部読みながら検討を加えておる段階でございます。一つ一つ事故再現ということは私どもの立場では非常にむずかしゅうございます。そういう意味で、目下非常に苦労をしているというような実情でございます。  それからホンダN360そのもの構造上の問題ということにつきましては、これは別途、七件全部の問題ではございませんが、一部裁判鑑定という形で関係方面、学者あるいは研究所のほうへ依頼が出ております。これはわれわれ行政のほうでタッチすべき問題ではございませんけれども、一応そういうことがございますので、その結果ももし参考にできるならばしたいというつもりで、何と申しますか、待っておる、そういう両方状態でございます。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも警察庁が七件の事故に対して慎重に調査をされまして、運輸省に正式に鑑定依頼をしたということは、それは警察庁としても相当な根拠がなければそういうことをされるはずはないと私は思います。したがいまして、運輸省の側もこれを受けてひとつ十分御検討いただきたいと思うのですが、おおよそいつごろにはこの警察庁鑑定依頼をいたしました問題——警察でも一生懸命調べたのでしょうが、警察には技術の壁があってなかなか最終的な判断ということはできがたい。したがって、そういう意味では、技術的に権威のある運輸省のほうに鑑定依頼をされたんだろうと思いますから、やはりこれはできる限りすみやかに、しかも本質をえぐってこの判断をすべきじゃないかと思うのですが、おおよそその時期のめどはいつごろになりますのか、内容についていろいろ聞きましてもどうかと思いますから、時期のめどだけひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  27. 隅田豊

    隅田説明員 先ほど申し上げましたとおり、現在の提供されましたデータの限りでは、実は非常に苦労しております。実際上の事故がどういう状態でどういう物理的状況で起きたかということにつきましての再現が非常にむずかしゅうございまして、その点で目下われわれも技術的には見当のつかない面が非常に多々ございまして、いまのところめどがつきかねているというのが正直なところでございます。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 後藤田長官、少なくとも警察でそういう鑑定依頼したのですから、運輸省のほうにまかせ切りということではなしに、運輸省がまたそのときの状況等再現する必要がある、さらに警察庁のほうの資料もほしいということを言ってくるかもしれませんから、その点は相協力して事態を究明する、こういう熱意でやはり当たっていただきたいと思うのですが、長官のお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私ども熱意をもって事態の究明に当たるつもりでございます。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのしゃべり方はあまり熱意があるようでなかった。もっとそういう意味で、熱意ある態度お答えをいただいたらと、これは要望申し上げておきます。  それでは次にお尋ねしたいと思うのですが、通産省もおいでだと思うのですが、こういった交通公害交通規制もしなければならぬ、まさにこれは考えようによってはたいへんなことだと思います。そういう意味では、自動車の製造等につきまして、あるいは燃料の問題については、通産省いろいろな面から御努力をいただいたのだろうと思うのですが、通産省としてこういった交通公害防止のために今日までどういう努力をして、今後ともどういう努力をしようとしておられるわけですか。自動車課長さん、それから燃料の面からは石油業務課長さんにお答えをいただきたいと思います。
  31. 大永勇作

    ○大永説明員 通産省の仕事といたしましては、一般的なメーカーに対します行政指導のほかに、技術開発関係あるいは生産体制の整備といったところが仕事の中心になるわけでございますが、まず技術開発関係につきましては、通産省の傘下に公害資源研究所とかあるいは機械試験所、それから工業技術試験所といったような国の試験所がございます。そういうところでもって排出ガスの問題、浄化装置の問題、それから電気自動車その他の無公害車の問題、あるいはこれに使いますところの電池の問題、あるいは光化学スモッグの生成過程の研究といったような、各般にわたります安全公害関係研究をいたしております。それからもう一つは、業界におきましては自動車研究所というのが谷田部というところにございまして、それに対しまして機械工業振興資金その他でもって補助金を出すというふうな点もございます。さらに、開発銀行からの融資の問題といたしまして、たとえば安全と公害に関連いたします自動車部品の製造設備等に対しましては、開発銀行から融資を推進する、あるいは部品企業が共同で安全、公害関係の試験所をつくるといったような場合にも、やはり開発銀行からの融資を推進するというふうな各般の措置をとっているところでございます。  来年度におきましても、電気自動車の開発のための大型プロジェクトの予算要求その他各般にわたりまして、今後さらにいま申し上げましたような技術開発の推進並びに生産体制の整備という点に焦点をしぼりまして進めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  32. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 燃料のほうからの問題といたしましては、大きく分けまして鉛の加鉛の問題、その他排気ガスに対する燃料の影響というふうに分けられると思います。  加鉛の問題につきましては、これはもう十分皆さん御理解いただいておるところでございまして、詳しく繰り返す必要はないと思いますけれども……。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いいです。鉛のほうはいいから、そうでないほうですね。
  34. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 燃料がその他の排気に及ぼす影響と申しますと、先ほど先生御指摘光化学スモッグ、これとどういうふうにかかわり合ってくるかということでございますが、ただいま燃料の改良は、自動車排気を触媒コンバーターで吸収して浄化していくという方向で進められておりまして、それにミートするにはどういうふうに燃料があるべきかという方向で検討しております。したがいまして、自動車工業会と石油連盟というものが共同研究の場を持ちまして、現在その方向で進めておるところでございます。  また特に鉛の問題につきましても、四十九年から無鉛のガソリンを出そうという方向で考えておりますけれども、これもバルブレセッションという問題と非常に大きな関係がございまして、バルブレセッションを生ずることによりまして、また別の有害な排気を生ずるという問題がございます。したがって、これも燃料及びエンジンという切り離すことのできない関係の共同研究を進めているところでございます。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大石政務次官の時間の都合があるようですから、ちょっと話の途中で、いまの問題はしばらくおきまして、大石さんのほうにお尋ねをしたいと思うのですが、わが党では、細谷議員ほか三党提出によりまして、公害防止事業の実施を促進するための地方公共団体に対する財政上の特別措置に関する法律案を出しております。実はこういうものは、本来出す必要はないと言っては恐縮なんですが、政府のほうから出していただけば、あえて何も私ども出す必要はないんで、三党がこういうものを出さなければならなかったという点は非常に残念だと思っております。いま道交法関係で議論しておりますが、道交法関係で、都道府県の行なう事務あるいはその他十四の法律に伴います各地方自治体の事務、これによりまして必要とする経費、これは当然措置をしなければなりません。こちらのほうは交付税で措置する、あるいは補助金で手当てすべきものはするということだと思いますが、そのほかに公害基本法によりまして、第十九条で、公害が著しく発生しておる地域あるいは人口、産業の急速な集中により公害が著しくなるおそれがある地域というところの公害防止計画については、総理大臣が承認をする、そうしてこれに対しては二十条で、国、地方公共団体は、公害防止計画の達成につとめる、とうなっております。こちらのほうの関係法律案は、自治省のほうでもいろいろ苦労をされて、やや案を固めつつあったのでありますが、どうも大蔵省その他がうんと言わぬで、提案に至らなかった、こういう実情のようであります。その間の経過をひとつ率直にお話をいただきたいことが第一。  それからいま一つは、公害基本法の第二十三条によりまして、地方公共団体に対する財政措置——大石政務次官の選挙区は静岡でありますが、当面内閣総理大臣の承認する公害防止計画というのは、水島、四日市、それから千葉。将来近く指定しようとしているのが大阪、東京等の地域。ところが、静岡におきましても、あの田子の浦のヘドロ公害、その他たいへんな公害が発生しておる。しかし、これはどうもいまのところ政府は、著しく発生しておる、あるいは人口、産業の急速な集中により公害が著しくなるおそれがあるというところからはちょっと抜けておるようなわけでありまして、そういうことでは私は困ると思うのです。田子の浦のようなああいう地域の公害防止事業——ヘドロ対策もありましょうが、それに関連する公害防止事業というのは当然あるべきことだと思いますが、こういうものについて、せっかく自治政務次官の御出身の近くの田子の浦、それに対する防止計画の財源措置について、自治省が考えていないことは私はないと思うのですが、万一もないと思うのですが、そちらのほうは一体どうなっておられるのか、これを第二の問題としてお聞かせいただきたいと思うのです。
  36. 大石八治

    ○大石政府委員 第一の問題は、公害防止事業計画で事業者負担という問題が出たわけですから、その残りの部分については、国と地方団体がやるということで当然国がどのくらい、地方がどのくらいということが明確化されることが実は望ましいことでありますけれども、実際問題としては、予算編成という問題が実はその中にありまして、全体の予算関係の中でこの部分だけがちょっと先行しにくいという実務的な問題があったと思うわけであります。したがいまして、当然四十六年度予算がこれから編成されるわけでありまして、その進行の中でこの問題に関する地方負担と国の負担の問題を明確化していかなければならぬというふうに思いますし、自治省としても、そういう態度で今後折衝を続けていきたいというふうに考えるわけであります。私自身も、事業の施行者というのは地方自治体でありますから、それがどれだけ金が必要になるのかというめどがつかなければ確かにやりにくいわけです。したがいまして、地方団体の負担部分がどのくらいになるのかということが明確化される、いわゆるフォーミュラをどうしても考えなければならぬだろうというふうに考えております。そのつもりで折衝してきたわけでありますが、ちょうど全体の予算編成の中でこの部分だけが先行しにくいという問題もあったと思います。  それから第二の問題でありますが、いわゆる防止事業計画というものだけが全部ではないと思います。そういう意味では、かなり多発してくるという問題もあると思います。静岡県の田子の浦の問題は、総理府の見解等によっても、これは一応全額事業者負担という形の考え方のようであります。一応その緊急措置としては、いわゆる起債でやるという形をとっておりますが、これは最終的には企業者が負担されるという形で進んでおりますし、公害対策本部の副本部長の総務長官も、将来の問題としては、いわゆる公害罪という形のものも一つの考慮の対象であろうというふうに言われておりますし、私どもも何らかの形で財政的な解決ができるように今後努力いたしたいと思います。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 田子の浦が例として適当であるかどうかは別ですが、たとえば私の地域の安中の公害、これに対して排出をなくするために公害除去施設をきちっとつくる、それからまた土壌汚染防止法も、成立を将来するとすれば、関係汚染土壌を排土するなり客土をするということで事業をするだろうと思います。しかし、これだけではだめなんでありまして、まわりに、たとえばグリーンベルトをつくって木を植える、あるいは排煙の中にカドミウムが入っておりますから、当然住宅等を移転する、これに関係する都市計画事業を進めるということがなければ、完全なる公害防止にはならぬと思います。ですから、そういったものが、各地域で問題になると思いますが、そうした場合、結局総理大臣が承認する著しい地域の公害防止計画、これについての地方団体に対する財政援助の特例をつくっただけでは、やはり問題が解決しない。そういった局部的といいますか、部分的な公害を完全に防止するためには、当然そういった地域の公害防止計画を自治体が作成する、あるいは知事がそれについて助言も加える、あるいは自治大臣がオーソライズするということがあってもいいでしょう。そういうものに対して、地方自治団体に対する財政援助をするということでなければ、完全な公害防止にはならぬ。私は田子の浦についてだって、企業責任でやる部分と、それからさらにある程度自治体が関与いたしまして、いま私が申し上げましたような事例をやる問題があるだろうと思いますね。そういうものを全然放置する、そういうものについての地方団体に対する財政援助というものを考えないということでは、私は話にならぬと思うのです。そういう意味での欠陥を私ども指摘をいたしまして、三党共同の法律案を出した、こういうことでございまして、いま申し上げましたことを踏まえました上で、政務次官の御所見をさらにお伺いしたいと思います。
  38. 大石八治

    ○大石政府委員 御質問意味は十分わかりますし、私どもも今後具体的に検討したいと思います。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政務次官、時間があれだからけっこうです。  大蔵省の後藤主計官、おられますね。予算編成でいろいろお忙しいそうですが、忙しいのはけっこうなんでありますが、われわれが希望するような法律についても熱意を示していただかなければならない。とにかく、国民健康保険の五%の調整を自治体に持たせようなんということで、一生懸命やっておるということだけでは、私はこれは困ると思うのですが、そういう意味お尋ねをしたいと思います。  ただいま大石政務次官の御答弁を聞いておられたと思いますが、時間があれですから簡単に聞きますが、十九条、二十条に対する地方自治団体に対する財源手当ては、大蔵省としてはどうするつもりか。それから後段に私が申し上げたような、各地域の個別的な公害防止事業、こういうものに対する財政援助については、大蔵省は一体どういうつもりなんですか。お聞かせ願いたいと思います。
  40. 後藤正

    ○後藤説明員 自治省のほうから、公害防止事業に対します国の特例措置と申しますか、その助成措置案というものの法案が私どもにいま説明をされておる段階でございます。先生もいま御指摘のように、やはり地域をどのように限定していくのか。あるいは公害防止事業というものと公害防止に関連をしたいろいろな事業がございます。そういうものの限定をどうするのか。それからいま三地域が指定されておりますが、当該地域のほんとうの公害防止事業と考えられるもののいわば集中度、どの程度集中的に実施されるか、これは四十六年度予算編成を通じて明らかにされることと思いますが、そういうふうな集中された場合に、当該地方団体の財政状況、これは私どもが数字でつかんでいる限りにおいては、かなり地方税等の伸びの著しい団体もございます。そういうふうな諸元というものを自治省との周でお互いに詰めながら、事業の施行に支障のないような措置を考えてまいりたい。そのように一般的な考え方を持っておりますが、もう一つ、やはり地域地域で、現存国庫補助制度のないようなしゅんせつ等は、企業負担、原因者負担ということが明らかなものについては十分の十企業負担でございますが、そのほかフラッシュ——私、よくわかりませんが、いわゆる水の自然浄化作用を回復するために、新しい水を入れていくとか、あるいは先生の御指摘のような、いわば土壌が汚染されているものに客土をしていくとか、いままでの土地改良事業というものの範疇とやや違った新規のような事業もございます。こういうふうな問題につきましても、現在それぞれ私どものほうは一応、先生も御案内のように、縦割りで主計官は担当しておりますものですから、それぞれの農林関係なり運輸関係なり建設関係、いろいろなところで現在前向きに検討しておるところでございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいま主計官のおことばの中に、どうもそういう公害等を発生しておる地域は地方税の伸びの著しいところが多くて云々というようなお話がございまして、元自治省税務局長であった後藤田警察庁長官が苦笑いをされておりますが、どうもそういう認識は、私は困ると思うのですよ。どうも本会議の福田大蔵大臣の答弁を聞いておりましても、何か地方財政は豊かになりつつあるのだ、国と地方自治体との間の財源を一体どうするかということが大きな問題だ、その一環として公害防止に対する地方自治団体の財政援助も、そういった国、地方との全体のやりとりの中で検討していくべき問題だというふうに受け取れる趣旨の御答弁がございました。やがて交付税率の問題なり、それからさっき私が例に申し上げたような補助金の問題なり、そういうものと関連して、また自治省と大蔵省との間にいろいろなやりとりがあるだろうと思いますが、その一環としてて公害防止考えるという考え方は、やはりおかしいのじゃないか。たとえば公害の発生しておる政令都市、みんな交付団体ですよ。不交付団体じゃないです。大阪市にしたってそうでしょう、横浜市にしたってそうでしょう。そういう状況を踏まえた上で、そういうところは不交付団体で大いに富裕だというなら別ですよ。そうじゃないじゃありませんか。そういう中で、国と地方との財源手当て全般の中で公害防止考えるというのじゃなしに、やはり公害防止公害防止として、いままで地方がやってきた事務のほかにさらにやらなければならぬ。しかも住民の非常に強い要望の仕事なんですから、その仕事をどう片づけるか、財源手当てはどうするかということをまず考えていくという、そういう姿勢が必要ではないかと思うのです。  そうしますと、あれですか、十九条、二十条に伴う法律案は、次の通常国会には必ず出る、それはある程度明確になったわけですが、それはそれで明確に確認してよろしいわけですね。  それからあとのほうの問題は、どうもまだ大蔵省としてははっきりしておらぬ、これから検討だというととなんですか。
  42. 後藤正

    ○後藤説明員 先ほど申し上げました十九条、二十条関係につきまして、いま問題になっております市原、千葉あるいは四日市とか水島とかは、これは先生御案内のように、いずれも不交付団体でございます。今後追加が予定されておりますような大阪、横浜などにおいては、これは交付団体であります。法案の提出につきましては、これは自治省、大蔵省だけでございません。やはり関係各省非常に多い。ことに公共事業関係がおもでございますので、そういう各省庁との意見を十分煮詰めながら成案を得た上で、対処さしていただきたいということであります。  それから第二番目の個々の問題につきましては、残念ながら、自治省の直接の公害関係の要求は承知いたしておりますが、ほかのほうの要求なり査定については関係いたしておりませんので、ちょっと私からはいまお答えをしかねるわけでございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 確かに水島とか四日市とか、これは不交付団体でしょう。しかし、あそこは、せいぜい人口三十万かそこらでしょう。そういうところの不交付団体というのは、これは不交付団体であっても、そんなに財源がたくさんあるというところとはおのずから違うわけで、そういうことも念頭に置いていただきたいと思いますが、まあ、とにかくあとのほうは全くそれこそ空をつかむようなことで、私ども非常に残念に思います。これはひとつ委員長さんのほうで、わが党からせっかく出しました法律案を十分御検討を、審議の過程でいただきますように、これはお願いをいたしておきたいと思います。
  44. 菅太郎

    ○菅委員長 承知いたしました。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 では、時間もありますから、次の問題をちょっと聞いて終わっておきたいと思いますが、鉛の問題ですけれども、被害者は、確かにまず一番鉛の公害の被害を受けたのは交通警察官であったろうと思うのですね。昭和四十二年、四十三年、四十四年継続して、鉛に関して、どう人体に影響があるかということは、警察は調べておったのじゃないですか。せっかく警察がそういった調査をされていながら、本年になりまして突如柳町の問題が起きまして、政府としては全く調査がないような形でおたおたしましたことは、私は非常に残念だと思うのです。少なくとも政府部内の一つである警察については、すでに数年前からこの人体に対する鉛の被害を研究しておられたのですから、その研究の成果というものは——当時は公害対策本部はなかったですから、公害対策本部というわけにはいきませんでしょうが、厚生省あるいは関係省庁に連絡をして、当然自動車の中に鉛が入っておることはもう天下周知の事実だったわけでありますから、したがって、国の関係省庁がこの鉛被害についても事前の調査をしていく、特に著しい地域等については測定もするという事前の手が打てたはずだと思うのです。警察警察だけで調べていて、どこの省庁にも連絡しなかったのですか、その辺はどうでしょう。
  46. 片岡誠

    片岡政府委員 警視庁では、御承知のように、交通警察官の健康管理上の問題として、大気汚染による影響については三十六年ころから研究を始めておりました。当時一番問題になりましたのはやはりCOでございます。一酸化炭素が一番当面の問題として、その濃度の濃いところに勤務している警察官には酸素ボンベを渡すというようなことでやってまいりました。鉛につきましても、当時から問題にはなっておったようでございますが、許容度の五分の一くらいであった。それがだんだんふえてきておる。しかし、最近になりまして、一時的ではあるけれども許容限度を越える事態が生じてきた。ここ一年くらいからそういう傾向が出てきたということのようでございます。私ども直接やっておりましたのは、道路のまん中に立っております一番濃度の濃いところに勤務している警察官の健康管理上の角度から検討はしてまいっておった、そういうことでございます。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 だから、警察のほうでは、名古屋大学に委託をして数年前から調査をしておられて、とにかく許容限度に近づきつつある、あるいはこえるものもあるというデータが出てきたわけですね。でしたら、それを警察だけであたためておくということではなくて、当然厚生省等に連絡をする。それは警察官の方が一番被害がひどいでしょう。しかし、場合によっては、地域住民にもそれが広がっているということは十分予想されるわけなんですから、そういう点を厚生省等に連絡をしておれば、柳町の問題等についてももう少し早く手が打てたはずではなかったかと私は思うのです。そういう意味で、厚生省等に警察調査の結果は御報告されておったのかどうか、この点です。
  48. 片岡誠

    片岡政府委員 警視庁の健康管理室長である梅沢先生、彼は当然厚生省のいろいろな環境基準をきめる委員会の有力なメンバーでもございますし、技術者同士の仲間では当然検討が始められておった。お互いに厚生省のほうにもそのデータは行っておりますし、そういう技術者段階での連絡というものは密接になされておると思います。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 厚生省藤森さんおられますが、直接担当かどうか知りませんが、技術者同士で交流があったというのですから、当然柳町で問題が提起される以前に厚生省としても検討がなされておってもしかるべきだと思うのですが、その点はどうだったのですか。
  50. 藤森昭一

    藤森説明員 私、直接の担当ではございませんので、的確にお答えがいたしかねますけれども、現在、鉛の環境基準を策定するための作業生活環境審議会において進められておりますが、その中では当然警察で調べられたデータ、その他人体影響に関する内外のデータ検討が進められていることは事実であります。  なお、柳町の事件が起こる前におきましても、厚生省といたしましても、自動車交通量の増大等に伴いまして、鉛の問題は一つの問題点になるということの問題意識を持っておりました。したがって、当時といたしましては、ただいまお答えがございましたように、主としてCOの問題が中心ではございましたけれども、鉛につきましても関連が当然出てくる、こういう考え方からいたしまして、外国のデータの収集、その他のデータ収集は行なっておりました。しかしながら、ああいった問題が発生いたしたわけでございます。その際に、私どもとしましては外国のデータとの比較その他において、濃度と人体影響の問題との関連についても若干の問題点があるのじゃなかろうか、こういうことを問題点として持ったわけでございます。  いずれにいたしましても、ああいう問題が出ましたのははなはだ残念なことでございますが、今後は各省庁とも十分連絡をとりながら、生活環境審議会の場におきましてこの環境基準の策定には全力をあげてまいりたいというふうに考えております。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく交通公害、いままで出ておりましたのはCO、それから鉛あるいはやがて酸化窒素であるとか炭化水素であるとか、それが複合いたしました光化学スモッグとか、さらにまた私どもが予見し得ないような他の重金属による被害あるいは私どもが予見し得ない大気汚染による公害というものが、これから科学技術の進歩とともに発生することは、不幸なことではありますが、やはりあり得ることではないかと思います。そうした場合、まず一番最初に被害を受けるのはやはり交通警察官の方々であろう。こういう方々の人権を守るということは、私どもきわめて重要な仕事だと思います。そういう意味で、警察におきましては十分健康調査をしてもらいたい。警察の方にそういうものがあらわれてくるということは、やがて地域住民にもそういうものが発生してくるということにつながるわけでありますから、そちらの研究を十分にやっていただきますと同時に、その結果については即刻関係省庁に連絡をしていただきまして、そして住民保護という立場で、手おくれでなく、事前に手が打てるような体制の確立に警察としても努力をいただきたい。そうすることが警察官の方々の人権を守ることであり、住民の人権を守ることだと思います。この点、ひとつ警察のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 片岡誠

    片岡政府委員 御趣旨に全く同感でございます。私どもそういう趣旨に沿ってやってまいりたいと思っております。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最後に、大臣に一、二のことを聞いて終わりたいと思いますが、当委員会で繰り返し議論になりました第百十条の二の問題でありますが、法文からいけば、条文上にはいろいろ法文解釈というのもあると思うのですが、実態として大気汚染防止法あるいは騒音規制法によって緊急時の基準をこえた、そういう中で都道府県知事から要請があったという場合、「必要があると認めるときは」というこの文章はあるけれども、現実には公安委員会は即刻手を打つ。むろん交通規制をする場合に、どの範囲、どうしなければいかぬとか、技術的な問題はありましょう。ありましょうが、知事がせっかく要請したにかかわらず、公安委員会がああでもないこうでもないといっておって、その知事の要請にこたえなかったというようなことは、現実的な問題としては起こり得ない、いわば公安委員会都道府県知事の要請に十分こたえる努力を必ずやっていくであろう、こう私は思うのでありますが、法文から離れて実態論として、公安委員長は、いま私が申し上げたことに対しましては、一体どうお考えでありますか。ひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  54. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 理屈抜きに申し上げまして、都道府県知事が常時測定しておる根拠に基づいて要請された場合には、要請に応じた措置をとることがほとんど大部分であろうかと思います。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大部分か小部分かということになるとあれなんですが、大部分であろうという気持ちはわかりますよ。しかし、大部分というのじゃなくて、その当該地域に火災が発生したとかあるいは地震があって交通規制がとてもできないとか、よほど突発的な事態があればいざ知らず、そうでない限りは、せっかく道交法にも公害防止という趣旨を定義にうたったわけでもありますし、都道府県知事からの要請があれば、いま申し上げた特に特別な事情がない限り、知事の要請はそのまま受けて、公安委員会は事務を行なうことになるというふうにはお答えいただけませんかな。
  56. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 そのとおりだと思います。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それから歩行者天国、この問題につきましては、将来七条の改正も考えたいと言っておられるわけですが、これは次の通常国会に道交法改正として出てまいりますか。大臣のほうから……。
  58. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 現行法第七条で実施しておるということでございますが、幾ぶん無理があろうかと存じます。次の通常国会に提案します道交法の改正案について考慮をしたいと思います。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 同じく百十条の二の二項でありますが、「公安委員会は、交通公害の防止を図るため第七条第一項の規定により自動車の通行を禁止し、又は制限しようとする場合において、その禁止又は制限を行なうことにより、広域にわたり道路における交通に著しい影響が及ぶおそれがあるときは、都道府県知事及び関係地方行政機関の長その他政令で定める者の意見をきかなければならない。」ということなんですが、条文として私も全く理解しがたいということではないのです。ただ問題は、今度の公害基本法の一部改正にあたりましても、「経済の健全な発展との調和」云々ということを削除したわけですね。ここで関係行政機関の長の意見を聞くということは、陸運局長とか通産局長とか農政局長とか、そういう人たちの意見を聞くのだろうと思います。結局問題は、広域にわたって制限、禁止ということになりますと、経済の流通等にも差しつかえがあるということから、通産局長等の意見も求めるのだということだろうと思うのですが、都道府県知事とそれから関係行政機関の長を同格に並べておるわけですね。そうしますと、公害とそれから経済の流通というものを同格に扱う、形ではそうなると思うのです。これは公害基本法第一条の経済との調和云々というものをせっかく削除した趣旨とそぐわないのではないか。むしろ公害と経済を考える場合に、公害防止のほうに重点を置くのだということになれば、法文上にはこういうふうに書いてありますけれども、実質的には公安委員会は経済よりは公害のほうを当然優先するんだ、こういうふうな考え方で私はしかるべきではないかと思うのですが、この点、公安委員長のお考え方をひとつお示しをいただきたいと思うのであります。
  60. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 公害を重視して考えねばならぬということは、一般論としては当然のことだと思います。ところが、相当広い地域にわたって交通規制等をやります場合に、経済的な社会的な条件にいかなる影響を与えるか、その影響次第によりましては、公害と同じような重大な事態が連想されることもあり得ると思います。そこで、こういう規定があることと思うのでございます。その意味において、都道府県知事と他の行政機関の長とを同格に扱ったとおっしゃいますが、事柄の性質上、同格的に扱っておるだけであって、それによって公害を二の次に置くんだという考えは含んでいないと思います。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 繰り返しますが、公害対策基本法第一条の「経済の健全な発展との調和」というものを今回の改正案で削除をされた、その趣旨でこの法律の運用についても当たるのだ、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  62. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 そのとおりでございます。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 質問を終わります。
  64. 菅太郎

    ○菅委員長 小濱新次君。
  65. 小濱新次

    ○小濱委員 道路交通法の問題で若干質問をさしていただきたいと思います。多少重複する点もあるかと思いますが、わが党としては最後でございますので、よろしく御答弁をお願いしたいと思います。  最初に、提出されました今度の法案の中で、第一条に「道路交通に起因する障害」と書いてございますが、これは公害以外の問題もさすのかどうか、この点について局長から御答弁をいただきたいと思います。
  66. 片岡誠

    片岡政府委員 第二条の定義に規定してございます交通公害を含むそれより広い概念でございます。
  67. 小濱新次

    ○小濱委員 しからば、少し具体的にお尋ねしていきたいと思います。たとえばどろ水をはねられた、あるいはまた道路上で砂利が飛散してガラスが破損された等、こういう問題もはたしてこの中に含まれるものであるかどうか。また道路振動によってがけから石が落ちてくる例がたくさんございます。こういうことによって人体または自動車等の物件に損害をこうむるような問題もございまするけれども、こういう問題はどういうふうに解釈されますか。
  68. 片岡誠

    片岡政府委員 ガラスの破片が散るとかあるいは石が落ちてくるというような場合は、もうすでに交通の安全にかかわるものだと思います。したがって、従来もそれ自身は対象だったと思います。しかし、どろ水をはねるというのは、必ずしも交通の安全に直接かかわるようなものでございませんので、今度の交通に起因する障害といった場合に該当すると思います。  さらに、たとえば音の問題でございますね、これは直接安全には直ちに関係はないとしても、道路交通に起因する障害であるというふうに私ども考えております。
  69. 小濱新次

    ○小濱委員 落石なんかは……。
  70. 片岡誠

    片岡政府委員 落石の場合は、障害もそうでございますけれども道路交通の安全そのものにかかわっておるのじゃなかろうかと思います。
  71. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一つ例をお伺いしたいと思います。  だいぶ前の話になりますが、LPガスのタンクローリーが衝突をして、そして一面にガスが充満をした。あるいはまた、その瞬間に爆発をして、風圧によって民家がたくさん被害をこうむった。幸い私の知っている事件では、死者はなかったのでありますが、そういう問題が、これはもうちまたにいま起こっておるわけです。こういう問題を事故として取り扱うことはちょっと不適当と思われる点もあるわけですけれども、こういう問題についてはどういうふうに解釈されているか、こういうことでございます。
  72. 片岡誠

    片岡政府委員 その障害が、車が単独で引っくり返る、横転して転覆してしまうとか、あるいは、ほかの車と衝突するといったような問題は、それ自身はもう安全の問題だと思います。ただ、それから派生的に起こる事態につきましては、道路交通に起因する障害だと思っております。
  73. 小濱新次

    ○小濱委員 危険物運搬車に対して規制はどのようにしているのか、具体的にお伺いしたいわけでありますけれども、不幸なことがまた一つ起こったわけでございます。これは関連しておりますので、ひとつ委員長、お許しいただきたいと思いますが、七日の朝七時十分ごろ、秋田の河辺郡河辺町の十三号国道で、バスを待っていた学童の列に、砂利を満載したダンプカーが突っ込んできて、小学生二名の男女が死亡いたしました。それから、中学生、幼稚園の園児を含む八名の人が重軽傷、こういう惨事が起こったわけでございます。そこで、その報道を聞きまするというと、その中に、なくなった恵子ちゃん、この方は、三つのときに交通事故によって、同じその国道で事故を起こして、そのときには義足をはめておったというのですね。いろいろと記録がたくさんございますけれども、こういう問題が起こっております。そして、必ずといっていいくらいに、この事故を起こす運転手はみんな若い人たちばかりであります。こういうものに、どのように規制をし、対策を講じていこうとされているのか、具体的にお示しをいただきたいと思うわけです。
  74. 片岡誠

    片岡政府委員 免許行政の面では、御承知のように、免許そのものを試験、あるいは免許を新たに付与するという場合に、その段階一つのチェックをしていく、その段階で不適格な者をできるだけ排除するという体制はまずとっております。それから、あとは、免許を一ぺんもらった運転手が、運転している間に違反を繰り返すとか、事故を繰り返すという人を、多くのドライバーの中から、運転者の中から抽出していくという仕組みを考えまして、すべての運転者の免許台帳も警察庁に集中しておりますし、違反者、事故を起こした人の台帳も、いわばブラックリストを警察庁のほうに保管しておるわけでございます。そういう多くの運転者をかかえた行政でございますので、特に危険な運転者、違反事故を繰り返す危険な運転者に対してわれわれの監視の目を集中していきたい、そういう仕組みで現在やってまいっております。しかしながら、何ぶん運転者そのものの数も多うございますし、まだ完全に徹底していないうらみは私自身痛切に感じております。それから、特に若い運転者の場合、御承知のように、大型車を運転する運転者の年齢は、一般の運転者の場合よりも一応高く押えておりますけれども、この若い運転者に対するどのような規制をさらに考えていったらいいかというようなことも、今後さらに検討なり研究を進めてまいりたいと思っております。
  75. 小濱新次

    ○小濱委員 いまのようなお答えをいただいて、これはいままでのような事故の少なかった時代ならば一応は了解ができるわけですけれども、ところが、御存じのように、最近の事故件数、死傷者の数が、これはもう年々最高記録を更新しているという状態になっております。今回の公害問題についても、いろいろと地域をあげられたその地域での死者は、私どもの調べでいきますと、約二百七名、それから被害者が九百十七名、これだけの人たちが被害をこうむっておられるわけです。数字から見れば、交通公害交通事故のこの内容から見ると、まことにぐっと低い数字になっていくわけですね。昨年度は御存じのように、死者が一万六千二百五十七人、負傷者が九十六万七千人、すでにことしもう死者一万五千人をこえております。それから本年度は一万七千人をこえるであろうと、こう言われております。昭和五十年度には二万人に達するということは、科学的データから推して間違いないと、こういわれておる。年間百万人からの死傷者を出すことについて、私は非常に皆さんと同じような気持ちでざんきにたえないわけですが、この責任を感じながら、何かもう取り急いで対策を講じていかなければならない、こういうふうに考えるわけです。今回も、秋田で起こした事件の内容を見ますと、昨年の十一月に交通違反で三十日の免許停止処分を受けている。そのときには免許証を持っていなかった。そうしてその免許証を携帯してないままにダンプを運転して、そしてああいう事故を起こしている。こういうことから、私は、これが交通事故なのか、あるいはまた、交通公害といわれるのか、あるいはまた、災害とこういわれているのか。それはいろいろとことばはありまするけれども、今度のこの法案の審議にあたっても、私は、こういう問題を前提にして、生命の尊厳ということを第一義に考えながらやはりこの法案の審議は進めなければならないと、かたい決意に燃えているわけですから、責任を追及するわけじゃありませんけれども警察としても大きな責務をになっているわけでございます。  そこで、いままで御答弁いただいたような、いうならば、なまぬるいといいますか、たよれないといいますか、そういう御答弁では私どもとしては納得ができないわけです。事故の起こったこの十三号の国道を見ても、秋田市に近い国道で、しかも幅十メートルの広い道路である。しかも、そこはゆるやかなカーブの地点である。ここでああいう事件が起こっているわけですね。そしてガードレールはぐにゃぐにゃになっている。御存じのように、ガードレールも車が当たれば、もう全部ぐにゃぐにゃです。あれによって防御されたという例は、人が中におった場合には、おそらくなかろうというような幼稚なものです。いろいろ申し上げたいことはたくさんありますけれども、こういう問題について責任ある御答弁をやはりいただいておかなければならないと思うわけですが、ちょっともう一度さらに御答弁をいただきたいと思います。
  76. 片岡誠

    片岡政府委員 いまおっしゃっておる秋田の事件につきましては、私ども報告を受けておりますのは、幅員五・五メートルの舗装道路でございます。そしてこの運転手は、私自身見ましても、初歩的な知識を欠いていると思います。というのは、橋の上でスリップをした。御承知のように、橋の上は、凍結がほかの道路よりは非常に強うございます。橋の上でスリップをして、そして橋の欄干にぶつかって一回転して、バス停にいた子供さんたちを傷つけておる、こういう事態だと思います。この運転手、年は二十三でございます。御指摘のとおり、一度人身事故を起こしまして、一カ月の免許の停止を受けております。こういう運転手、しかも積載量十トン積みのところに十八トン積んでおります。こういう積載を超過して、しかも建設工事現場に砕石を運ぶというダンプのあり方につきましては、一番問題の多い危険な車である、あるいは危険な運転手であるというのが一般的な常識だと思うのです。こういう小規模な経営の採石業者あるいは輸送業者のダンプの運転者対策ということにしぼりましても、まだまだ——現在まで御承知のとおり、ダンプ対策の手が国会でも打たれましたし、私どももそれなりに打ってまいったと思いますけれども、今後ともこういう悲惨な事故が起こらないように私ども全力をあげて戦っていきたい、このように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  77. 小濱新次

    ○小濱委員 一応は理解できますが、この事故の件数の中には、もういろんな問題が含まれている。内容を検討してみますると、やはりどうしても警察庁のほうでこれは全面的に力を入れてもらう以外になかろう、こう考えるわけです。たとえば今度の事故件数を調べてみても、一番いわゆる大手といわれるところが愛知とか北海道、神奈川が入っています。それからあと都心部で東京、大阪が入る。一番事故の多い愛知県は、御存じのように、道路行政が非常に進んだ県です。私どもも何回か視察に参りました。そういう愛知県が一番事故が多いという。一生懸命道路行政に力を入れて整備をして、そして拡幅もでき、膨大な予算を注入してつくり上げた結果は、事故日本一になってしまった。これは警察としては、このことについてはやはり責任を持っていると思いますが、原因はどこにおありになると思いますか。
  78. 片岡誠

    片岡政府委員 道路が舗装され、拡幅され、改良されると、そのあと事故がふえるというのがいままでの傾向でございます。いろいろ原因があろうと思いますが、私、判断しますのに、私の意見では、一つはやはり道路はつくったけれども、それと同時に安全施設と申しますか、その道路交通を管理する仕組みが立ちおくれておったというのが、一つの原因だろうと思います。それから道路がよくなりました場合に、その地域住民が道路がよくなったことに適応できないでいる。先生御承知のとおり、新しく道路ができますと、その道で犬やネコもたくさん殺されます。犬やネコも適応できないわけです。人間もやはりいままでの速度感覚でなかなか適応できないというのが実情だと思います。したがいまして、そういうことで住民の教育の問題も確かにあろうと思いますが、同時に教育と申しましても、なかなか徹底しにくい問題だと思いますので、施設の面で歩行者や自転車に乗っている人たち自動車にはねられないという仕組みも、これは安全施設であり、交通を管理する仕組みであろうと思いますが、何としても弱い道路利用者を強い道路利用者から分けていく、分離交通と申しますか、分けていく。さらに事故が多い地点についての信号機だとかあるいは標識だとか、そういうものを集中的に管理していく仕組み、そういうものをつくっていって、やはり相当な資金を投下して安全に歩行者や自転車に乗っている方々も通れる、自動車自身も安全に通れるという体制を今後精力的に築き上げてまいりたい、このように考えております。
  79. 小濱新次

    ○小濱委員 後藤田長官お尋ねしたいと思いますが、いま局長が御答弁なさったように、どう考えてみても、安全施設にやはり重きを置かなければならぬことははっきりしております。たとえばスピードの出し過ぎだとか、あるいはまた渋滞をして、そのガスの被害を受けて、いらいらむらむらとして、またいろいろととっぴなことをやり出すようです。そこでいま局長の答弁のような内容が非常に大事になってくると思うのですが、とにかく何としてでも警察庁で言われているように対策を講じて、今度は死者一万以下にしたい、その決意はよくわかるのですが、やはり具体的な内容が示されていかなければならないと思います。その内容を示すについては、膨大な予算といういまお答えがあったわけですが、これはもうわれわれもともどもに戦いながら予算獲得に全力を注いでいかなくてはなりませんが、示されたその安全施設に対する予算獲得については、これはもう国家公安委員長は、獲得のために全力を尽くすと言われましたが、その内容を検討してみますと、まだまだ足りない。私は一県のデータを持っておりますが、その一県だけの規模、基準と予算を見てみますと、とうていあの予算ではできない内容になります。こういうことからも、人命を何とかして守っていく立場から、長官のやはり抱負なり決意を伺っておかなければならない、こう思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  80. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御承知のように、依然として事故がふえておりますが、まことに遺憾でもあり、私どもも責任を感じております。  この対策でございますが、これまた御承知のとおりに、やはり道路の問題、車両の問題、教育の問題、労働の問題、取り締まりの問題、各般の行政の総合力を発揮して取り組んでいかなければならぬと思いますが、そういう意味で、今日総理府等が中心になって施策の推進をはかっておるようなわけでございますが、私どもの責任分野におきましても、やはり一番重要なことは、安全施設の整備だと思うのです。さらには、でき上がっておる運転手の教育の問題、あるいは取り締まりの問題、さらには免許行政のやり方の問題、こういう点について一そう施策の推進をしなければならぬ、これらについては、昨年来お約束しておりますように、でき得る限りの準備を整えて、次期国会で立法上の措置も得てまいりたい、かように考えておりますが、同時に、一番重要な施設の問題については、何ぷんとも金が要る問題であります。しかし、金で解決できることであったならば、人命にはかえられません。そういう意味合いから、私どもとして、今日要求をしておる予算は、交通管理の施設予算として三千七百億、五カ年計画、こういうことで要求しておりますが、私どもこれでは、ただいまのお説のように、県の実情から見ると、少ないような県もあるではないか、こういうことでございますが、これはもちろん多々ますます弁ずでございましょう。しかしながら、やはり何と申しましても、私どもとしては、行政の推進をはかる場合に、一定の目標を立て、その目標の達成にどれだけ金がかかるかということで、はじいたものでございまして、一応私どもとしては、三千七百億の交通安全管理施設にお金がいただけるならば、今日の死亡事故の半減を実現できる、こういう決意で予算折衝に当たっておるわけでございます。ただ、昨日もお答えいたしましたように、何ぷんともに、やはり金のことは無から有を生むわけにはいきません、勢い国民のふところの中から出していただく。したがって、そのふところ加減で、どうしてもおまえさんのところにはこれ以上やれない、こうおっしゃられれば、私どもとしてはいかんともしがたいというのが今日の実情でございますが、私ども努力目標は、あくまでも三千七百億を獲得する、そうして国民の期待にこたえたい、これが私の今日の決意でございます。
  81. 小濱新次

    ○小濱委員 国家公安委員長に、国務大臣の立場でひとつお尋ねをしておきたいのですが、一万七千人からの死者が、毎年これからまたとどまるところを知らない、こういう姿で死者がふえていく、年間百万人近い負傷者が出ていく。そこで、いま三千七百億の五カ年計画の構想をお伺いしましたけれども、命という立場から、あるいはまた総理大臣の発言の内容からも、どうしても最低はいまの線でしょう。それからこれから御努力を願って、それ以上のまた半減の半減ができるような、そういう施策を講じていかなければならない、こう思うわけですけれども、国務大臣として、いろいろそういう機会に参画される立場でありますから、大いに強調してもらわなければなりませんが、ひとつお考えを伺っておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  82. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 私は元来、道路建設五カ年計画などという感覚がありますが、道路計画がそれだけでザッツ・オールであるということは、画竜点睛を欠く。道路をつくったということは、そこを人が通行し、車が通行することを意味するので、人や車の通行に関連して、傷害ざたを起こさないような道路をつくることが、本来の終局目標なのではなかろうか。それにもかかわらず、道路計画があって、交通安全施設計画がないということは、まさに画竜点睛を欠くという意味で、道路五カ年計画に相相応して、安全施設の五カ年計画が必要であろうということをかつて閣議で発言いたしまして、それがばく然とながら定着いたしまして、三千七百億の要求に結びついたわけでございます。それのみならず、道路だけではむろんいけませんので、運転者の教育の問題、沿線住民の常識高揚の問題等もむろんその一環をなすわけでございますが、警察の守備範囲としての交通安全施設の整備だけでは、何としても獲得したいものだと存じておる次第でございます。全力を尽くします。
  83. 小濱新次

    ○小濱委員 この道路の延長または新設に対して自動車が追っかけっこをしておる、こういう実情でございますし、また野放しになっておるともいわれております。先日からこの根本解決はどうすればいいかということで論議を続けられてきておるわけでありますけれども自動車構造上、あるいはまた製造制限以外にはない、こういうように結論づけられている面もあるようであります。この点について、死傷者を出さない、少なくしていく、その対策として、いろいろと警察の立場からはよくわかりましたけれども、こういう問題については、警察庁としてはどういうお考えを持っておられるか。また通産省もおいでになっておるようでありますが、通産省からも、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  84. 片岡誠

    片岡政府委員 道路がよくなり、道路がふえれば車の増加を誘発していく、そういう悪循環を来たしておるのは事実だと思います。またマイカーがふえると、自家用車がふえることによって、地方でも公共輸送機関が採算が合わなくなって、逆に圧迫される。路線のバスが運行が減ってくれば、逆にまた自家用車がふえるという悪循環を来たしておるのも、また事実だろうと思います。あるいはまた、都市において自動車がふえることによって、公共輸送機関の運行が悪くなる、そうして逆にまた自家用車がふえるというような悪循環も来たしておると思います。問題は、私は自家用車だと思うわけです。しかも自動車といいながら人間が動かしておるわけでございますし、レールがございません。したがって、いまのような道路条件のままで、しろうとがたくさん車を運転するようになれば、事故が起こるのはあたりまえだと思っております。ただ私の申し上げたいのは、そういう基本に立ちました場合に、一番基本的な問題は、公共輸送機関によってやっていく筋合いのものだろうと思います。しかしながら、現に車自身が魅力のあるものであり、多くの国民がそれを持ちたいと思い、現にそれを動かしておるわけでありますから、いわば国民が加害者であり、国民が被害者であるというような問題に現になりつつあるのではなかろうかと私は思います。それだけに施策自身が、車を減らせばいいというだけに一がいに言い切れない問題もかかえておるむずかしさがあろうと思います。私ども考えますのは、何と申しても、弱い道路利用者を凶器と化すおそれのある強い道路利用者から分離していく。分離されていけば、弱い道路利用者が安全になっていくと思いますが、あとは強い道路利用者が自分で事故を起こすか、仲間同士でぶつかり合うということでございます。仲間同士ぶつかり合うことは、それなりに、往復を分離するとか、安全施設の面あるいは交差点に信号機をつけてさばいていくとか、いろいろな手がまたそれなりに、それはそれとして打ってもらいたいと思いますけれども、私ども現在考えておりますのは、その弱い道路利用者——歩行者とか自転車に乗っておる者、今度の秋田の事故の場合も子供です。歩行者です。そういう人の被害をなくするというところに重点を置いてやりたいと思いますし、都市交通におきましては公共輸送車を優先するような方向で今後ともいろいろな規制なり対策を考えてまいりたい、そのように考えております。
  85. 大永勇作

    ○大永説明員 日本の場合、事故の内容といたしまして、歩行者の事故それから自転車に乗っている人の事故というのが、ヨーロッパあるいはアメリカの場合に比べまして、非常に多いというのが特徴であろうかと思うのでありますが、対歩行者あるいは自転車に乗っている人の安全という角度からいいますと、先ほど交通局長からもお話ございましたように、やはり人と車とを分離するということが一番望ましい安全対策であろうと思います。われわれの関係しております車自体の問題につきましては、運転者の教育の問題というのが非常に大きいと思いますけれども、われわれといたしましては、やはり自動車構造上の欠陥によりましていやしくも人を傷つけることのないように、安全面での生産体制の整備、あるいは技術開発の促進というようなことをはかっていくべきであろうと思います。最近では、たとえばブレーキの片さきをなくするためにいろいろな電子技術を応用いたしますとか、いろいろな新しい技術も次々に開発されているような状態でございまして、そういうものを積極的に取り入れまして、いやしくも自動車構造上の欠陥によって人身事故を与えるというふうなことのないようにつとめてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  86. 小濱新次

    ○小濱委員 構造の件については伺いましたが、製造制限の件についての御意見はございませんでした。  それで、もう一つ伺いたいのですけれども、現在、内訳は別にして車の保有台数、十年後の保有台数、これをお示しいただきたいと思います。
  87. 大永勇作

    ○大永説明員 保有台数のほうから先にお答え申し上げますと、現在の保有台数は、正確ではございませんが、大体一千六百五十万台くらいであろうかと思います。それで今後の見通しにつきましては、これはいろいろな見通しがあります。最近では景気が非常にスローダウンしてまいりまして自動車の生産も若干落ちるという事態もありまして、見通しにつきましてはいろいろな考え方があるわけでございますけれども、おおむね昭和五十年ごろ、五年後を検討いたしますと、三千万台くらいになるのではないか、三千万台前後という見通しが多いわけでございます。十年先ということになりますと、五年先くらいからは非常に伸びが鈍化してまいりまして、十年先の見通しは、われわれ通産省といたしましては大体三千九百万台くらいということで、その辺がいわゆる保有限界といいますか、一億人の人間の数という点からいたしまして保有の限界であろう。あとはもうほとんどふえないというふうな状態になるのではないかと、いま考えておる次第でございます。  それから自動車の生産制限の問題につきましては、いろいろなほうからそういう説がございますことも十分よく承知しておるわけでございますけれども、これは諸外国にも例がございません。また輸入車の問題を考えてみますと、これは対外的な問題もございまして、輸入は自由化ということでございまして、幾らでも入ってくるというふうなことにも相なっております。そういうふうな関係を総合的に考慮をいたしました場合に、やはりわれわれといたしましては、自動車の持っておりますドア・ツー・ドアという便利さは、そのままやはり社会の要求でございますので、残しながら安全な車、公害の少ない車というものを開発していくのが本筋であろう、そういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 小濱新次

    ○小濱委員 さて、警察のほうにお尋ねしたいのですが、十年後には三千九百万台の予想を立てているということです。そうすると、必然的に運転者数もふえてくるわけですけれども、私は、この死傷者をこれ以上は何としてでも食いとめたいという気持ちから、やはりこういう発言内容一つ一つに真剣に取り組んでいかなくちゃならないであろう、こう思う。そこで、これは大事な一つの問題点になっていると思うが、現在まで運転者のからだのぐあい、いわゆるてんかん持ちであるとか、あるいはまた気違いだとか、発作的に起こるそういう病気の人もおるようでございますが、こういう問題の人が大体予想でどのくらいおると思いますか。おわかりになりましょうか。
  89. 片岡誠

    片岡政府委員 どうもなりたてで不勉強で申しわけございませんが、実務担当者に聞きますと、国民中に百人ぐらいいるのではなかろうかというようなことでございます。いま現に免許証を持っている人のうちに何人いるかということは、つまびらかではございません。ただ、ときどき御承知のように事故を起こしたときに発見されているというのが現状でございます。
  90. 小濱新次

    ○小濱委員 百万人という数字がいま出てまいりましたけれども、一応推定でしょう。違いあったとしても、五〇%に見ても五十万人、ものすごい数字になっているわけですね。そういうことから、運転をしない人もおるでしょうけれども、中には健康回復ということでハンドルを握ってまた病気が起こったということもあるかもしれない。こういうことからも、やはり警察としてはいろいろな角度から手を打っていかなくちゃならない。そしてもう総力をあげて対策を講じてもらわない限り、この死傷者の少なくなる見通しは立たない、こういうふうに考えるわけでございます。公害問題として今度は臨時国会が開かれました。わが委員会としても道交法の一部改正案が出されました。もうすでに二十人近い人たちがこれだけの法案の審議に参加しているわけです。ですから、どうかひとつ、それでも解決ができないこういう問題についての対策に、総力をあげて今後努力をしていただきたいことを、心から御要望を申し上げておく次第でございます。  最後に一つだけお伺いしておきたいのです。これは長官お尋ねしたいと思いますが、本法の改正での大きな欠点といいますか問題点は、厚生省令総理府令が来年の三月になるという話を聞いております。振動基本法にも単独法にもない。これもまた問題があろうと思うわけです。この点、警察庁は認めているようでございますけれども、三月以前に提出するような見通しはないかどうか。たとえばこの法案が通ったとしても、こういう問題が残されている限り、これは今後の措置について問題としてわれわれは提起しなくちゃならないと思うわけでございますけれども、大切なことでございますので、長官からひとつお答えをいただきたいと思います。
  91. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の法案の中で、どういう欠点を持っておるか、こういうお話でございますが、私どもとしては、国会に提案をいたします以上は、いわゆる交通公害の防止をはかるという意味においては、私はこの案を最善であると信じて提案をいたした次第でございます。ただ問題は、私はやはりこういった法案の御審議を願う以上は、その基準となるべき総理府令あるいは厚生省令といったようなものが、これはもちろん法の施行後につくるものでございますけれども、少なくともその目安というものはどこにあるのだといったようなことは、当然審議の席でお答えできる態勢でなければいけない、率直に私はさように思います。そういう意味合いにおいて、いろんな技術上の観点もあって、その点が必ずしもここで明確に大体どの程度数値でどういうようになればどうだというような内容をお答えできない、この点は私はまことに遺憾に、申しわけない次第である、このように考えております。ただそれらの基準につきましても、先般来厚生省総理府あるいは私のほうからお答えいたしておりますように、一応の目安を三月ごろに置きまして、少なくともこの法律施行までにはきちんとした総理府令厚生省令を当然制定をするつもりでおりますので、御了承賜わりたいと思います。
  92. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、今後の措置については、いま述べられたような内容以上のことは努力しても不可能である、こういうようになるわけですか。三月という点です。
  93. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 その点につきましては、私どもとしては三月ごろを目安にいたしておりますが、厚生省当局との協議等もございますので、厚生省当局からもお聞き取りを願いたいと思います。
  94. 神川誠太郎

    神川説明員 ただいま警察庁長官お答えになりましたとおり、公害対策本部におきましても、この共同省令の内容をすみやかにセットしたいという気持ちで一ぱいでございまして、両省庁協議が現在いろいろと進められて——先ほどもお答えいたしましたとおり、現状におきましては各種のデータを収集するのに手一ぱいでございます。さらにこれを分析いたしまして、また現地におけるそれぞれの問題地域の実測等もあろうと思いますが、そういうものを積み重ねながら、目安とされております三月一ぱいというものに、いまより一歩でも二歩でも内容のあるものに整備していく、そのように私どものほうとしてもつとめてまいりたいと思っております。
  95. 小濱新次

    ○小濱委員 私の質問はこれで終わりますが、いまだ各党での話し合いの内容が残っておりますので、一応質問を保留して、これで終わりたいと思います。
  96. 菅太郎

    ○菅委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  97. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。岡沢完治君。
  98. 岡沢完治

    ○岡沢委員 今度の国会はいわゆる公害国会というわけで、はなばなしく公害罪等が脚光を浴びておりますけれども公害の被害者——私は決して公害問題一般を軽視するわけじゃございませんが、たとえば水俣病にいたしましても死者は四十六名、あるいは三重県の四日市の四日市ぜんそくにいたしましても合計で四十数名の死者にすぎない、ということばを使ったらおこられるかもしれませんが、でございます。しかしながら、交通公害と申しますか、交通事故による死亡者は、御承知のとおり、昨年度だけで一万六千人をこえております。これも十分御承知のとおり、一万六千という数字は、事故後二十四時間以内の死亡者でございますから、実質的には二万人の死亡者が昨年一年間で発生した。交通事故件数は七十二万、あるいはまた交通による負傷者は九十六万、まさにベトナム戦争以上の被害を連年、しかもことしは昨年を上回る死亡者数が予想されておるわけでございます。それだけに私は、公害戦争一般も大切でございますけれども交通戦争ということを公害の陰に隠れて忘れてはならないのじゃないか。死者の数に関する限りは比較にならないほどの死者が連日交通の被害者として続発しているわけでございます。一時間に一人の交通遺児が生まれているのも悲しい現実であります。われわれはこの交通戦争にどうして勝つかということは、大きな国民的な課題であろうと思います。この事故防止につきましては、もちろん警察庁国家公安委員会だけの責任でないことは重々承知いたしておりますけれども、ほんとうに交通戦争にはわれわれは勝てないものだろうか、敗北を前提とした見通ししか立てられないものであろうか、どうしたら交通事故をなくし得るか。これは完全に一〇〇%なくすということは不可能でありましても、いまのような文字どおり戦争被害に類する死傷者、これは財産的な面もありますけれども、人命が二万人も年間に確実に失われる。これほど大きな問題は私は他の公害にも見られない交通問題の特徴ではないかと考えるだけに、この交通戦争における戦略、戦術と申しますか、撲滅の見通し、それについての手段、これは荒木国家公安委員長お見えでございますから、国務大臣としての立場も含めてお聞かせいただきたいと思います。
  99. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 交通事故をなくするためには、第一に運転する者も路傍の人も命を大事にするということから始まらなければいかぬと思います。そのためには運転者の教育はもちろんのこと、義務教育、学校教育、社会教育、あらゆる面を通じて徹底をはかる必要があると思います。交通プロパーの警察責任の課題にとりましてももちろん重要な課題でございますが、同時に自動車の機械的な欠陥を生じないような自動車をつくる。欠陥を生じない条件を維持する。しかもなお、中古車等安全の上で欠陥のあるものが出回ったならば厳重に規制する、こういうことから始まって、あらゆる努力をしなければなりませんけれども交通公害に関しましては、大気汚染等の問題としては、道路交通の種々さまざまな方法を通じましての規制をやる、あるいは騒音振動につきましても、それ相応の規制をやるということによって、公害からの被害を最小限度に食いとめる努力警察としてもやらねばならぬと存じます。要するに、国民総ぐるみの事故撲滅の考えに立って、すべての分野において善処する必要があると存じます。
  100. 岡沢完治

    ○岡沢委員 間違っているとは言いませんけれども、あまりにも抽象的な、荒木国務大臣には似合わない歯切れの悪い御答弁ではないか。これは確かにむずかしい問題でございますし、おっしゃるように、国民あげて取り組まなければならない問題ではございますが、しかし、担当の国務大臣がそう抽象論で逃げられたのでは、国民としては、これでほんとうに撲滅できるという確信を持つというようなことはとてもでき、ませんし、政府に対する不信という点につきましても、これは当然起こってしかるべきではないか、もうお手あげだという感じではございませんか。それは人の問題、道路の問題、車の問題、いろいろありますけれども、少なくとも、たとえば五年先、十年先にはいまの死者二万人をどれくらいは減らせる、それについてはどういう計画を持っておる、歩道の整備あるいは安全設備、あるいはまた安全教育、免許行政その他について具体的な拘負を、少なくとも担当大臣である限りは持っていただいてしかるべきだと思いますが、重ねての御答弁を願います。ないならないでもけっこうです。
  101. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 いささか具体的にわたらねばならないかと思いますから、警察庁長官にかわって答弁をさせます。
  102. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 仰せのように、今日の交通事故の実態から見まして、私ども事故なり犯罪から国民を守るという警察の基本的な任務の面から見ましても、今日の交通問題は私どもとして最大の課題でございます。したがって、全力をあげておるわけでございますが、そこで、交通事故をどのようにして減らすかという問題については、昔から3Eということをよくいわれております。一つはエデュケーションの問題であるし、いま一つはエクウィップメント、いま一つはエンフォースメントの問題である。この三つの施策を並行してやっていくべきである、これが各国共通の交通対策だと思います。  そこで、そのうちのエンフォースメント、つまり取り締まりの面についての私どもの課題といいますか、今日までやってきた事柄に対する反省といいますか、そういう点について、これからぜひこのように改善をやらなければならぬと思っておる点を申し上げてみたいと思いますが、従来とかく皆さんに御指摘を受けておったのは、交通事故の原因に必ずしも密着をしていない取り締まりが多いのではないか、さらにことばを悪くいえば、点数に堕しておりはせぬか、こういう問題があると思います。そこで、私どもが今日力を入れておりますのは、取り締まりというものは、取り締まりが目的ではない、事故を減らすための取り締まりであるということにかんがみまして、全国的に交通事故の実態分析をやる、その分析に即応した各県警察の取り締まり対策をやっていく、こういう考え方、これを私どもは基本と考えてやらしておりますし、今後さらに推進をしたい。  次のエンジニアリングの問題は——先ほどエクウィップメントと申しましたが、エンジニアリングです。これは、一つは車それ自身の問題でしょう。これについては、先般来お答えしておりますように、私どもの目から見て、こういう自動車はこういう安全基準が要るのではないかということについて、これは率直に運輸当局に要請をする。  いま一つは、やはり安全施設の問題だと思います。この安全施設につきましては、私は、やはり道路の整備ということが今日の実態——やや批判にわたって恐縮ですけれども道路をよくするという——昔の道路は、人間が歩くのが道路だ、今日の道路は、車が走るのが道路である。いわばそういう形になっておりはせぬか。そうじゃなしに、やはり人も車も安全に通行できる道路、つまりは安全施設の面がはなはだ立ちおくれておる。一番問題は、やはり交通事故を減らすためには、私どもの立場として建設当局にお願いをしておるのは、人と車の分離、車対車の分離、これを基本としてお願いをしておるわけであります。つまり、人と車の分離については、これはガードレールであるとか、あるいは歩道の整備であるとか、こういった問題になろうかと思います。さらに横断歩道を整備する、こういう問題もあります。また、車対車の分離は、これは対向車がぶつかるというような——一般道路はやむを得ぬ場合が多いと思いますけれども、少なくとも高速道路等については必ず中央分離帯を設けてしかるべきではないのか、こういう要望をしておるわけでございます。  と同時に、私ども所管の安全施設については、これは交通信号であるとか、あるいは標識であるとか、いろいろな問題がございます。これの整備が今日非常に立ちおくれております。しかしながら、同時に、この施設をうんとつくれば、今度は車が渋滞をするという結果にもなりかねません。そこで、車も渋滞しないで、しかも安全施設をどのように整備するか、これはやはり大都市等においては近代的な交通管制の装置をする必要がある。こういう意味合いで、私ども目標は、歩行者と自転車の事故、これは非常に後進的な型といわれておりますが、わが国では大体四八%でございます。非常に高いわけです。そこで、歩行者と自転車は少なくとも半減をしたい。同時に、車対車の事故を大幅に減らす。総計して、大体目安として、昭和五十年に死亡者の数をおおむね半分毎度までに押えるという目標のもとに、いま申し上げましたような私ども所管の交通安全施設を設けたい、これが今日要求しておる三千七百億の問題でございます。  さらに、エデュケーションの問題につきましては、これは私どもの所管では、やはりでき上がった運転手の教育の問題が一つございます。しかし、私自身は、実はでき上がったおとなの教育というのがどの程度の効果があるか、これは効果がないとは思いませんけれども、やはり私は、義務教育の段階から、今日社会生活の中に車が組み入れられておるわけですから、そういった車の安全な運転の教育をやっていく、しかも、その教育のやり方は、今日の学校における教育は、これまた批判になって、そうじゃないとおっしゃられる、おしかりを受けるかもしれません。実はおしかりを受けたほうがいいのですけれども、私は、被害を受けないような歩き方はどうするのだという教育ではいけない、人に被害を与えないような運転はどうするのだという教育を、私は義務教育の段階からお願いしたい。これは昨年、世界交通警察会議をやったときに、ある国の代表が痛切に私にそれを訴えて、しかも自分の国の例も私は教えられたわけですけれども、そういう面での教育をぜひお願いしたい。  同時に、私どもは、でき上がっている運転手についての教育と同時に、悪質運転手の排除を徹底してやる必要がある。同時に、運転者をつくっておるのけ私どもですから、私ども自身が免許行政に手を入れていく、こういう必要があるだろう。  こういうような3Eといわれているやり方について、一つ一つ具体的に私どもとしては手を入れてまいりたい、これが今日の私の基本的な考え方でございます。
  103. 岡沢完治

    ○岡沢委員 ただいまの後藤田長官の御答弁には大体私も満足いたしますが、これを実際に実現するためには、いまおっしゃいました三千七百億の予算の問題があります。教育の問題もあります。幸い大蔵省と文部省に来ていただいておりますが、いまの御説明は、例の第六次道路五カ年計画に対応して警察庁で御用意なさっておる交通環境整備安全対策五カ年計画と承ってよろしゅうございますか。それの中身ですね。  それじゃ、ここで大蔵省に、いま警察庁長官がお述べになりました昭和五十年には交通事故数あるいは事故死者数、負傷者数を五割減らしたい、車はもちろんまだまだふえる前提にしながら、しかも事故の数を五割減らす。かなり具体的で、しかも私としては期待したい数字なわけですが、これは計画だけではもちろん話になりません。結局これに対する裏づけ、いまおっしゃった安全設備等を中心にした財源が必要だと思いますが、これについて大蔵省の御見解あるいは御用意、これらを伺いたいと思います。
  104. 渡部周治

    ○渡部説明員 大蔵省の渡部でございます。庁から御要求がございました交通安全施設整備の五カ年計画につきましては、現在よく内容をお聞きして、慎重に検討しておる段階でございます。われわれといたしましては、事柄の緊急性、さらに全体の財政需要、財源の見通し等総合勘案しながら対処してまいりたい、かように考えております。
  105. 岡沢完治

    ○岡沢委員 答弁が悪いとは言いませんが、これもまたあまり模範答弁過ぎる。ほんとうに今度の国会での公害法、私は政府の姿勢とかゼスチュアだけに可能性があって、法律はつくっても公害問題が解決できるかどうかについては非常に疑問を持ちますけれども交通安全対策は文字どおり人間の生命、身体に影響する。しかも先ほど申しましたように、数からいえば、一般の公害とは比較にならないほど大きな被害、あるいは国民に対する不安を与えておる問題ですね、あるいは不幸を与えておる問題ですね。ですから、私は、大蔵省も単なる前向きだけではなしに、警察庁の計画が一〇〇%実現できるような——三千七百億というものは国家予算から見ればそう大きな額だとは私はいえないと思う。これに国民も、また野党も反対するはずはございません。思い切って私は大蔵省としては前向きに対処してもらいたいと思います。大蔵省はけっこうです。  エデュケーションの問題で文部省、いま警察庁長官が御答弁になりましたとおり、私もこの教育問題、われわれは金のかからない教育問題で逃げる気持ちはないので、むしろほんとうに交通安全対策としては、三つの柱の一つにこの交通安全教育、あるいは交通道徳教育、あるいは交通法規の教育ということは、単に免許をとった運転者だけではなしに、義務教育の段階で新しい近代国家の市民としてのパスポートというような意味でも必要ではないか。私は全国民に実施したいわけですけれども、具体的には義務教育の段階でするのが一番とらえやすいし、効果も、将来を考えた場合、大きいということを考えました場合、義務教育課程における交通安全教育あるいは交通一般の教育はきわめて大切だと思いますが、いま長官お答えになった内容も含めて、具体的にどういう教育をなさっているのか、今後いまの長官の御提案のような中身を実際に義務教育の段階で取り入れられる用意があるかどうか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  106. 橋本眞

    ○橋本説明員 お答えいたします。  義務教育段階の学校教育につきましては、子供の発達段階に応じた教材教具等を使いまして、交通安全教育を小学校、中学校、高等学校にわたって行なっております。ただ、小学校の場合は、たとえば使いますところの教材といいますものは、あるいは自転車の正しい乗り方とか、あるいは交通法規とか、あるいは正しい横断のしかたとか、そういった子供の年齢に相応した、発達段階に応じた形になりますが、筒等学校になりますと、これが一応変わってまいりまして、実際に原付二輪車とかあるいは自動車教習所との提携とか、そういったことで交通法規あるいは運転のしかた、そういった形で指導しておるものが全国で約四十県くらいになっております。そしてこのことにつきましては、先ほど御答弁がありましたとおり、私どものほうもそういった方向で今後さらに交通安全教育ということを教育課程の中において行なってまいりたいと考えております。
  107. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いま御発言がありましたように、通り一ぺんの答弁ではなしに、実際にカリキュラムの中にどういうふうに入れておられるか。あるいはもし入れてないという場合に、初等教育、中等教育でどういうふうなものを入れるかという問題を含めて私はお答えをいただきたかったわけです。もし具体的にお答えできるならお願いします。
  108. 橋本眞

    ○橋本説明員 具体的な教育内容面でございますが、小学校につきましては、実際に教科書というものを用いないで、学級指導と申しますか、特別活動と申しますか、そういうところで交通安全教育の手引きというものを作成いたしまして、それに基づきまして行なっておる。それから中学校におきましては、今度御存じのように、新しい学習指導要領が四十七年から実施されますが、その中におきまして交通事故とその防止というふうな——失礼いたしました。小学校の場合は、教科の体育の中の保健というところ、それから先ほど申し上げました特別教育活動でございますか、そういう中で行なっております。中学校におきましては、保健体育科の中の保健という教科の中で、特に交通事故とその防止という項目を学習指導要領の中に設けまして、そこにおきまして行なっております。高等学校につきましても、四十八年から学習指導要領の改定を実施するわけでございますが、中学校と同じような考え方で行なうようになっております。
  109. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いまの教育に関係して一点だけ文部省にお願いをしておきたいわけです。  いまおっしゃいましたような交通安全関係事故防止関係の教育ももちろん必要ですし、それを重点にやっていただきたいわけですけれども、私の知っておる限り、記憶に誤りがなければ、国連の担当機関が調査しました数字によりますと、交通事故の死亡者、日本の場合年間二万人のうちで、救急措置といいますか、事故があった直後の措置が適切であれば、その二〇%は人命が救えたという数字が出ておったと思います。そうすると、救急措置の適切さによって、日本の場合四千人の人命を救えるという数字的な結果が出るわけでございます。そういう意味から、救急方法につきましても、ぜひ交通安全教育と結びつけて、一般の社会人、特に将来の日本を背負う青少年に教育をしていただくということが非常に効果的ではないかと思いますので、その点を要望しておきます。文部省けっこうです。  最初に時間を節約すると約束いたしましたので、あと二、三問で本論に入りたいと思います。  本論に入ります前に、私は正直言って、今度の道交法の改正案は悪いとは申しませんが、これだけ大騒ぎをして今国会の重要法案の一つだ——苦労なさったことはわかりますけれども、ほんとうの効果はどんなものだろうか。一般的に法律というのは朝令暮改はいけないわけなので、ほんとうに必要なものは、それはもちろん改正するにやぶさかであってはいけないわけでありますけれども、大きな費用をかけ、また当局も苦労なさり、しかし、結果としては目まぐるしい法規の変化ということは、私はそれを守り、あるいはまた義務づけられる立場の者からして、必ずしも賢明な策とは思えないわけです。ほんとうに効果のあるものなら私は異議は申しません。しかし、環境基準その他につきましてもまだ政令も用意されていない、あるいは閣議決定もないという段階で、急いでこの法案だけを特に取り上げて御提案になった理由、単に公害がやかましい、政府の公害に対する姿勢だけを示すというものでは意味がないのじゃないか。前国会におきましても道交法の改正がございました。来国会にも予定されているはずであります。ことさらいわゆる交通公害のいわば一条をつけ加えるために、しかもそれをつけ加えたところに意味があるかもしれませんが、実際にそれではこの改正によって交通公害がほんとうに防げる自信とメリットを確信しておられるかどうか、その辺をお尋ねいたします。
  110. 片岡誠

    片岡政府委員 メリットの問題につきまして、私どもは法案を提出したわけでございますので、当然メリットがあるものだという考えに立って御提案申したわけでございます。ただ、御指摘のような点につきましては、本来は個々の発生源の規制によって、大気汚染なり騒音なり振動を抑制していくというのが本筋の考え方だろうと私ども思っております。ただ、それにある程度時間がかかったり、それによってのみできるかというような問題もございますので、そういう意味では、いわば二次的だと思いますけれども、事柄が人の健康なり生活環境に被害を及ぼす問題でございますので、交通規制によってそういうものが軽減されるという手段方法がある限り、それもあわせてやっていくべきではないか、そういう御趣旨で御提案申したわけでございます。
  111. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私もメリットは全くないとは申し上げないのです。しかし、デメリットのほうが、先ほど申しましたように、朝令暮改、あるいはたいへんな御苦労、金も使い、人も使い、それに見合うだけのメリットがあるかという意味でございます。  ついでに、いま朝令暮改の問題を申し上げましたが、ことしの第六十三特別国会におきましても、後藤田長官も二年間にわたって道交法の抜本改正を考えたいという御発言がございます。当然に来たるべき第六十五通常国会にも道交法の改正を用意されていると思いますが、その中身をいまの段階でおわかりの範囲、御用意の範囲を示してもらいたい。われわれも法案になって出てきてからけちをつけたりするよりも、できるだけ早く知らせてもらって、われわれもそれに対する意見を法案の作成の段階で申し述べる機会を与えてもらうというところにも意味があろうかと思いますので、次の国会に予定されておる道交法の改正のあらましでけっこうでございますから、方向をお示し願いたいと思います。
  112. 片岡誠

    片岡政府委員 大きく分けて二つに分類されると思います。一つ交通規制についての問題でございます。その内わけとしましては、生活道路、買いもの道路なりあるいは子供の遊戯道路あるいは通勤、通学といった、そういう生活道路で、歩行者の保護が十分はかれるような、そういう裏付けをする規定をひとつ盛り込んでいきたい。そういうことが可能なように、疑義なく行なえるようにしていきたい。それからもう一つは、都市交通の混雑緩和対策として、公共輸送機関、特にバスの優先のレーンを設けていく、あるいは場合によりますと、一定地域を限って車両の乗り入れ制限をしていく、車両の絶対量を削減できるというようなことができる権限を公安委員会に与えていく。そのようないわば交通規制によって歩行者も保護できるし、あるいは交通渋滞の緩和対策もできる、そういう考え方が一つの点でございます。  それからもう一点は、御承知のように、交通法規ができましてから、もう十年たちます。その間に道路もよくなり、あるいは車の絶対量がふえてまいります。特に自家用車が非常にふえてまいったという現状を踏んまえまして、時代の変化に即応できるような、適応できるような、より合理的な交通のルールをつくっていきたい。そのルールをつくりまして、それを国民にわかりやすいような教本なり、まあイギリスで、御承知のように、ハイウエーコードというものがございますが、そういうものを参考にしながら、わかりやすいものをつくって、教習所で教えるのもそれを教え、試験にもその中から出していくというようなことをいたしまして、いわば運転者教育をもっと徹底していくということ、大体その二点について中心に考えて現在検討中でございます。
  113. 岡沢完治

    ○岡沢委員 簡単に改正法案の中身についてお尋ねしますけれども、第一条の改正は、交通の安全と円滑に加えて、「交通に起因する障害の防止」という条項をお入れになったわけでございますが、安全と円滑、そして障害防止、ある面では調和ができると思いますが、ある面では二律背反的な要求かと思います。この辺の運用について、あるいは矛盾点の解決について、どういう御用意があるか、お尋ねいたします。
  114. 片岡誠

    片岡政府委員 理想としましては、安全、円滑かつ公害の防止がすべてできるのが理想と思いますけれども、御承知のとおり、時と場合によりましては、安全、円滑、交通公害の防止が相矛盾する場合が出てまいろうかと思います。そのときの観念的な、いわば抽象的な判断基準として私ども考えておりますのは、まず一番重要なのは安全である、その次に交通公害、それから円滑、抽象的にはそういうような順位になろうかと思います。しかしながら、場所と時とによりまして、場合によってはその順位が若干変わる。たとえば交通公害と円滑とを彼此判断した場合に、常に交通公害の防止が必ずしも優先であると言いきれない場合も起こり得るのではないかという危惧の念を持っております。それはやはり個々の事態に即して、具体的に万人が納得できるような方法で解決していきたいと思います。
  115. 岡沢完治

    ○岡沢委員 まあ、むずかしい問題ですから、これ以上御答弁願っても無理だと思います。  第二条の「総理府令厚生省令で定めることによって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」この総理府令厚生省令がまだ決定されてないことは、ここで何回も御答弁になったとおりでありますが、三月ごろまでに環境基準が閣議決定されて、それから先になる。もちろん、この法律の施行が成立後六カ月でございますから問に合わせになるおつもりだと思いますが、この省令あるいは府令の段階で、警察庁としても当然そのお立場から、その作成等についてあるいは結論等について関与をなさるべきだと思いますけれども、その場合の警察庁態度、あるいはすでにこういう意見を具申したというような事項、御用意がございましたら、明らかにしてもらいたいと思います。
  116. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のように、公害対策基本法の九条によりまして大気汚染、それから騒音につきましては、環境基準をつくるということにされております。したがいまして、その大気汚染なり騒音につきましては環境基準ができ次第、それを目安としてこの両省令厚生省協議してきめていくことに相なろうと思います。それから振動につきましては、公害対策基本法の九条に基づく環境基準の対象になっておりません。したがいまして、振動につきましては、厚生省と具体的に協議をしまして、共同省令でどのような形でとらえていくかということを詰めてまいりたい。御指摘のございますように、たとえば大気汚染につきまして、もう一酸化炭素につきましては環境基準ができておりますから、できたものから逐次詰くてまいり、この法律の施行までに完全なものをつくって、この法律が実効のあがるようにいたしたいと思っております。
  117. 岡沢完治

    ○岡沢委員 これで最後の質問にしたいと思いますが、先ほど交通安全対策について教育の重要性ということを長官からもお答えございました。これは一般国民あるいは運転者、歩行者の教育も大切でございますけれども交通行政の衝に当たる交通警察自身の教育の問題もゆるがせにできないのではないか。警察行政の中で交通行政というのはいまきわめて重要な部門だ。これは先ほどの死傷者の数一つを見ましても指摘できるかと思いますが、この交通警察官教育として新任、現任教育をどういうふうにやっておられ、どういう抱負、計画をお持ちか、あるいはまたそれについてどういう予算措置等についての御計画なのか、お尋ねいたします。
  118. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のとおり、初任教育としては府県警察学校で一年間の警察官の教育をやっております。その間に交通行政のプログラムも十分織り込んで、第一線でも、交番に立ったときにすぐに役立つような知識をまず与えております。それから巡査部長になりましたとき、あるいは警部補になりましたときに、管区学校で交通の専攻的な課程も設けております。さらに警察大学でも交通専攻科というものがございまして、それなりに各階級に応じて教育をいたしております。と同時に、白バイに乗り、あるいは交通パトカーに乗っております警察官のためには、実技の面でも、自分自身事故を防止するためにも、あるいは適切な職務を執行できるためにも、実技の練度を高める、白バイなり交通警察自身がベストドライバーであるということが理想と私は思いますので、その方向で中部管区警察学校で実技の訓練も現在やっております。
  119. 岡沢完治

    ○岡沢委員 お約束の時間もありますので、これで終わります。
  120. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明九日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時十二分散会