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後藤田政府委員 仰せのように、今日の
交通事故の実態から見まして、私
ども、
事故なり犯罪から国民を守るという
警察の基本的な任務の面から見ましても、今日の
交通問題は私
どもとして最大の課題でございます。したがって、全力をあげておるわけでございますが、そこで、
交通事故をどのようにして減らすかという問題については、昔から3Eということをよくいわれております。
一つはエデュケーションの問題であるし、いま
一つはエクウィップメント、いま
一つはエンフォースメントの問題である。この三つの施策を並行してやっていくべきである、これが各国共通の
交通対策だと思います。
そこで、そのうちのエンフォースメント、つまり取り締まりの面についての私
どもの課題といいますか、今日までやってきた事柄に対する反省といいますか、そういう点について、これからぜひこのように改善をやらなければならぬと思っておる点を申し上げてみたいと思いますが、従来とかく皆さんに御
指摘を受けておったのは、
交通事故の原因に必ずしも密着をしていない取り締まりが多いのではないか、さらにことばを悪くいえば、点数に堕しておりはせぬか、こういう問題があると思います。そこで、私
どもが今日力を入れておりますのは、取り締まりというものは、取り締まりが目的ではない、
事故を減らすための取り締まりであるということにかんがみまして、全国的に
交通事故の実態分析をやる、その分析に即応した各県
警察の取り締まり対策をやっていく、こういう
考え方、これを私
どもは基本と
考えてやらしておりますし、今後さらに推進をしたい。
次のエンジニアリングの問題は——先ほどエクウィップメントと申しましたが、エンジニアリングです。これは、
一つは車それ
自身の問題でしょう。これについては、先般来
お答えしておりますように、私
どもの目から見て、こういう
自動車はこういう安全
基準が要るのではないかということについて、これは率直に運輸当局に要請をする。
いま
一つは、やはり安全施設の問題だと思います。この安全施設につきましては、私は、やはり
道路の整備ということが今日の実態——やや批判にわたって恐縮ですけれ
ども、
道路をよくするという——昔の
道路は、人間が歩くのが
道路だ、今日の
道路は、車が走るのが
道路である。いわばそういう形になっておりはせぬか。そうじゃなしに、やはり人も車も安全に通行できる
道路、つまりは安全施設の面がはなはだ立ちおくれておる。一番問題は、やはり
交通事故を減らすためには、私
どもの立場として建設当局にお願いをしておるのは、人と車の分離、車対車の分離、これを基本としてお願いをしておるわけであります。つまり、人と車の分離については、これはガードレールであるとか、あるいは歩道の整備であるとか、こういった問題になろうかと思います。さらに横断歩道を整備する、こういう問題もあります。また、車対車の分離は、これは対向車がぶつかるというような——一般
道路はやむを得ぬ場合が多いと思いますけれ
ども、少なくとも高速
道路等については必ず中央分離帯を設けてしかるべきではないのか、こういう
要望をしておるわけでございます。
と同時に、私
ども所管の安全施設については、これは
交通信号であるとか、あるいは標識であるとか、いろいろな問題がございます。これの整備が今日非常に立ちおくれております。しかしながら、同時に、この施設をうんとつくれば、今度は車が渋滞をするという結果にもなりかねません。そこで、車も渋滞しないで、しかも安全施設をどのように整備するか、これはやはり大都市等においては近代的な
交通管制の装置をする必要がある。こういう
意味合いで、私
どもの
目標は、歩行者と自転車の
事故、これは非常に後進的な型といわれておりますが、わが国では大体四八%でございます。非常に高いわけです。そこで、歩行者と自転車は少なくとも半減をしたい。同時に、車対車の
事故を大幅に減らす。総計して、大体目安として、
昭和五十年に死亡者の数をおおむね半分毎度までに押えるという
目標のもとに、いま申し上げましたような私
ども所管の
交通安全施設を設けたい、これが今日要求しておる三千七百億の問題でございます。
さらに、エデュケーションの問題につきましては、これは私
どもの所管では、やはりでき上がった運転手の教育の問題が
一つございます。しかし、私
自身は、実はでき上がったおとなの教育というのがどの
程度の効果があるか、これは効果がないとは思いませんけれ
ども、やはり私は、義務教育の
段階から、今日社会生活の中に車が組み入れられておるわけですから、そういった車の安全な運転の教育をやっていく、しかも、その教育のやり方は、今日の学校における教育は、これまた批判になって、そうじゃないとおっしゃられる、おしかりを受けるかもしれません。実はおしかりを受けたほうがいいのですけれ
ども、私は、被害を受けないような歩き方はどうするのだという教育ではいけない、人に被害を与えないような運転はどうするのだという教育を、私は義務教育の
段階からお願いしたい。これは昨年、世界
交通警察官
会議をやったときに、ある国の代表が痛切に私にそれを訴えて、しかも自分の国の例も私は教えられたわけですけれ
ども、そういう面での教育をぜひお願いしたい。
同時に、私
どもは、でき上がっている運転手についての教育と同時に、悪質運転手の排除を徹底してやる必要がある。同時に、運転者をつくっておるのけ私
どもですから、私
ども自身が免許
行政に手を入れていく、こういう必要があるだろう。
こういうような3Eといわれているやり方について、
一つ一つ具体的に私
どもとしては手を入れてまいりたい、これが今日の私の基本的な
考え方でございます。