運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-12-16 第64回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 上村千一郎君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 永末 英一君       宇野 宗佑君    木部 佳昭君       木村武千代君    坂元 親男君       高橋清一郎君    登坂重次郎君       中島源太郎君    中村 寅太君       丹羽 久章君    福田 繁芳君       松本 十郎君    森  美秀君       阿部 助哉君    平林  剛君       堀  昌雄君    美濃 政市君       貝沼 次郎君    古川 雅司君       春日 一幸君    竹本 孫一君       小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         大蔵省証券局長 志場喜徳郎君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     枇杷田泰助君         厚生省保険局医         療課長     松浦十四郎君         郵政省郵務局業         務課長     吉田  実君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 十二月九日  映画等入場税減免に関する請願大野潔君紹  介)(第三一〇号)  同(井上普方紹介)(第三七八号)  同(小沢一郎紹介)(第三七九号)  同(小澤太郎紹介)(第三八〇号)  同(正示啓次郎紹介)(第三八一号)  同外二件(砂原格紹介)(第三八二号)  同(曽祢益紹介)(第三八三号)  同(園田直紹介)(第三八四号)  同(古寺宏紹介)(第四四五号)  同(坂井弘一紹介)(第四四六号)  同(田中龍夫紹介)(第四四七号)  同(中村拓道紹介)(第四五九号)  減税に関する請願高田富之紹介)(第三一一  号)  退職公務員医療制度等に関する請願田中龍  夫君紹介)(第三八五号)  高老年勤労者所得税控除額引上げに関する請  願(千葉三郎紹介)(第三八六号)  自動車新税創設反対に関する請願佐々木良作  君紹介)(第四五八号) 同月十二日  映画等入場税減免に関する請願安倍晋太郎  君紹介)(第五五一号)  同(田中伊三次君紹介)(第五五二号)  同(田中武夫紹介)(第五五三号)  同(渡海元三郎紹介)(第五五四号)  同外一件(野田武夫君紹介)(第五五五号)  同(藤枝泉介紹介)(第五五六号)  同(愛知揆一君紹介)(第六七〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第六七一号)  同(佐々木良作紹介)(第六七二号)  同(砂田重民紹介)(第六七三号)  同(西宮弘紹介)(第六七四号)  同(不破哲三紹介)(第六七五号)  塩専売制度存続に関する請願井出一太郎君紹  介)(第五五七号)  退職公務員医療制度等に関する請願登坂重  次郎紹介)(第六八〇号) 同月十四日  所得税法控除対象配偶者基準引上げに関す  る請願井出一太郎紹介)(第七八六号)  同(小川平二紹介)(第七八七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第七八八号)  同(小坂善太郎紹介)(第七八九号)  同(羽田孜紹介)(第七九〇号)  同(原茂紹介)(第七九一号)  同(増田甲子七君紹介)(第九二八号)  同(松平忠久紹介)(第九二九号)  映画等入場税減免に関する請願羽田野忠文  君紹介)(第八八八号)  同(古寺宏紹介)(第九三〇号)  同(河野洋平紹介)(第九三一号)  同(古川雅司紹介)(第九三二号)  同(不破哲三紹介)(第九三三号)  同(上村千一郎紹介)(第一〇〇七号)  同(大西正男紹介)(第一〇〇八号)  同(藤波孝生紹介)(第一〇〇九号)  同(今澄勇紹介)(第一一一三号)  同(内海英男紹介)(第一一一四号)  同(和田春生紹介)(第一一一五号)  塩専売制度存続に関する請願鬼木勝利紹介)  (第八八九号)  退職公務員医療制度等に関する請願小沢辰  男君紹介)(第九三四号)  同(箕輪登紹介)(第一一二〇号)  貴石、貴金属製品等第一種物品税課税方式改  正に関する請願渡部恒三紹介)(第一〇一〇  号)  米生産調整奨励金に対する課税減免に関する請  願(芳賀貢紹介)(第一〇六四号)  公務員共済年金増額等に関する請願外二件  (井岡大治紹介)(第一一一二号) 同月十五日  映画等入場税減免に関する請願木野晴夫君  紹介)(第一二三二号)  同(小峯柳多君紹介)(第一二三三号)  同(古内広雄紹介)(第一二三四号)  同(八木昇紹介)(第一二三五号)  同(佐藤観樹紹介)(第一三二三号)  同(北山愛郎紹介)(第一三二四号)  同(木野晴夫紹介)(第一三二五号)  同(田村良平紹介)(第一三二六号)  同外一件(古川丈吉紹介)(第一三二七号)  同(青柳盛雄紹介)(第一四七二号)  同(藤本孝雄紹介)(第一四七三号)  同(日野吉夫君紹介)(第一四七四号)  同外一件(鴨田宗一紹介)(第一五六九号)  同(仮谷忠男紹介)(第一五七〇号)  同(田澤吉郎紹介)(第一五七一号)  同(土橋一吉紹介)(第一五七二号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一五七三号)  同(山本政弘紹介)(第一五七四号)  同(池田正之輔君紹介)(第一七一四号)  同(大石武一紹介)(第一七一五号)  同(亀山孝一紹介)(第一七一六号)  同(神田博紹介)(第一七一七号)  同(鈴切康雄紹介)(第一七一八号)  同(松本忠助紹介)(第一七一九号)  同(山手滿男紹介)(第一七二〇号)  同(青木正久紹介)(第一七五五号)  同(中川嘉美紹介)(第一七五六号)  公務員共済年金増額等に関する請願外五件  (井岡大治紹介)(第一二三六号)  清涼飲料に対する物品税減免に関する請願(高  橋英吉紹介)(第一三二八号)  所得税法控除対象配偶者基準引上げに関す  る請願下平正一紹介)(第一四二二号)  同(林百郎君紹介)(第一四二三号)  退職公務員医療制度等に関する請願佐々木  秀世君紹介)(第一五七五号)  同(田中正巳紹介)(第一七二二号)  支那事変賜金国債償還に関する請願外十八件  (池田正之輔君紹介)(第一七二一号)  染織品に対する物品税課税反対に関する請願  (樋上新一紹介)(第一七四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十一日  台風等に伴う保険共済制度確立に関する陳情  書(第二九二号)  揮発油税等増税反対に関する陳情書  (第二九三号)  米生産調整対策奨励補助金に対する所得税の減  免措置に関する陳情書  (第二九四号)  自動車新税反対に関する陳情書外三件  (第二九五号)  青色申告個人企業税制改善に関する陳情書  (第二九六号)  清涼飲料類物品税撤廃に関する陳情書外一件  (第二九七号)  中部圏工業団地造成事業に伴う被買収者の譲渡  所得に対する課税特例に関する陳情書  (第二九八号)  元朝鮮、台湾両銀行預金全額払戻しに関する  陳情書  (第二九九号)  商工組合中央金庫の融資に係る抵当権設定登録  免許税軽減措置継続に関する陳情書  (第三〇〇号) 同月十四日  共済組合年金改定等に関する陳情書  (第三七二号)  国有地に対する地方公共団体使用料減免等に  関する陳情書  (第三七三号)  勤労所得税軽減等に関する陳情書  (第三八九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の会計に関する件  税制に関する件  金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。上村千一郎君。
  3. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 大臣にいろいろとお尋ねいたしたいこともたくさんございますが、本日は時間の関係もございますので、税金のことに限りまして二、三お尋ねをいたしたいと存じます。  まず、昭和四十六年度税制改正におきまして所得税減税をどういうふうに、またどの程度に行なうつもりであるか。なお、昭和四十四年度、昭和四十五年度の税制改正におきまして、わが党の公約にございましたとおり、夫婦、子三人の課税最低限が百万円以上というような目標、それが達成をされました。現在におきまして、イギリスにおきましても九十二万七千円、西ドイツにおきましても九十六万二千円という点を考えますると、わが国のこの状態はいわばそれを上回っておるという状態でございますので、きわめて喜ばしい実情ではございますが、最近におきますところの物価の上昇その他を考えますと、来年度も相当大幅な減税を行なう必要があろうかと存ずるわけでございます。ただこの予算編成の過程におきまして、その幅なりあるいはいろいろと考えなければならない諸条件もございましょうけれども、大臣はいまのところどのようなお考えを持っておられるか、お漏らしを賜わりたいと思います。
  4. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 四十六年度におきます所得税扱いにつきましては、いまお話しのようにわが国課税最低限、これは必ずしも過酷であるという状態ではございません。先進国並みというところまでいっている。最近の計数整理の結果では、夫婦、子三人の場合におきましては約百六万円、こういうふうになるわけであります。また夫婦、子二人という家庭におきましては九十万円、こういうことでございまして、決して恥ずかしい状態ではない。ところが、それにもかかわらず所得税減税に対する国民的要請は非常に強い。それは私がかねて申し上げておりますとおり、わが国租税体系が直接税、特に所得税に片寄っておる、こういろ点からくるのではあるまいかという基本的な認識を持っておるわけです。そういう認識に立ちまして、昭和四十五年度におきましていわゆる長期税制、これを完全実施するということにいたしたわけでございまするが、四十六年度におきましても所得税につきましては減税を進めていきたい、かように考えておるわけであります。ただその規模につきましては、四十五年度におきまして大規模所得税減税をやった、そういうあとでもありますし、そういうことを考えまして経済情勢変化に即応した減税、こういうようなことを主軸といたし、また特にいろいろな具体的な問題が提起されております。当委員会におきましても指摘せられた数個の問題点があります。それらの問題点を解決する、こういうような考え方税制調査会に対しましては示しておるわけであります。税制調査会がどういう答申をしてくれますか、ただいまこれをお待ちをしている、こういう状態でございます。
  5. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 いまの大臣のお答えを承っておりますると、減税の問題は国民の強い願望でもあるから前向きに検討をいたしていく、こういうふうに了承させていただきまして、次に、従来当委員会でもいろいろと話、また論議が出ておりまするいわゆる妻の座を優遇する税制措置、こういう点に関しまして少しくお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  税制上、妻の座を優遇するという考え方は、しばしばこの大蔵委員会でも討議されてまいったところでございまするが、夫婦間におきまするところの居住用財産贈与につきまして、現在二百万円まで非課税とされておりまするが、地価などの上昇考えますると、妻の座を優遇する見地からいたしますると、との限度をなお相当引き上げる必要があるのではなかろうか。元来この妻の座を優遇する税制のもろもろの処置におきまして、特に居住用財産贈与関係につきましてまず取り上げられておりまするのは、長年にわたりまして夫婦一体となって生活を維持し、また財産のいわば蓄積に努力してきたというのは、将来におきましても生活を安定さしていきたいという願望であろうと思うのであります。しかも、その生活の安定は、この居住用財産というものが基本的なものになるであろうという観点のもとに、この点が大きく対象になっておると存ずるわけでございまするが、しかし現在の地価上昇などから考えますると、二百万円という点は、現状として相当この限度引き上げる必要があるのではなかろうか、こと思われるのであります。また、この制度適用を受けるためには、結婚後二十五年を経過していなければならないということになっておりまするが、しかし現在の実情からいいましても、また社会的な大きな変化からいいましても、この二十五年という要件は緩和する必要があるのではないかというように考えられるわけでございます。なお相続税その他につきましても考慮する必要があろうかと思うわけでございます。多少事務的な問題にもなりまするので、大臣のお考えを承る前に、主税当局見解をも必要とあらば先に承ってけっこうかと思うわけでございます。
  6. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 妻の座を相続税法上もっと優遇しなければならぬ、こういうことにつきましては当委員会でも各党からしばしば意見が述べられておるところであります。また予算委員会におきましても同様な意見が述べられておるのでありまして、それに対しまして従来、前向きで検討いたします、こう言ってきておるのです。さて、いよいよその検討の結果を具体化しなければならぬという時期に来ておるわけでございまするが、お話しのように控除額引き上げ、またその適用をいたす場合の結婚期間の問題、つまり条件緩和の問題、こういう問題につきましてただいま大体考え方をまとめつつあるわけなんです。それで、私のただいまの気持ちといたしましては、控除額引き上げはいたしたい。またいま二十五年、銀婚式にならなければ、こういう状態になっております婚姻期間、これももう小し短縮したらいかがなものであろう、こういうふうに考えておるのですが、これも近く税制調査会から御答申をいただくことになっておりますので、その御答申をまちまして最後の決定をいたしたい、かように考えております。
  7. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 いまの点もいろいろと税調のほうの答申待ちということもございましょうから、お考えは相当進んでおるのではなかろうかと思いますのは、新聞その他でも相当突っ込んだ発表がされておるわけでございまするので、相当大蔵当局としては御検討されておるものだと思います。ただ、いまの手続上他の機関にも御相談をかけておる、その結果が出ぬ先にこの場で漏らされることはどうかという意味と拝承するわけでございますが、こういうふうに承っておいてよろしいかどうか。要するに居住用財産贈与につきまして、現在二百万円というのが非課税となっておる。この額につきまして実はもう少し限度額引き上げるという問題、それから結婚後二十五年を経過しておる、要するに銀婚式というようなあれですが、これの期間を短縮するというような問題について、その方向で検討をされておるかどうか。この点につきましてもう一度お伺いしたい。
  8. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 大蔵省としてはさような考えです。しかし最後的な大蔵省考え方、これは税制調査会答申をまちましてきめたい、そういう段階になっております。
  9. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 この問題につきまして、もうちょっと突っ込んでひとつお尋ねをいたしておきたいわけでございますが、この妻の座を優遇するという観点をさらに進めまして、現在の実情、これは世界的にもそうでしょうが、夫婦一体をなしまして一つ社会単位を形成していく、こういうことはわが国におきましてもまた諸外国においても私は変わらないだろうと思うわけであります。わが国におきましては大家族制というものがずっとくずれてまいっておりますが、しかし夫婦単位家族制度というものは維持されていくべきものだと思います。そして夫婦一体をなして経済活動をしていく、こういう観点から立ちますと、夫婦財産贈与や、さらに相続、こういう問題について一切非課税にする、こういうようなことを前向きに御検討されるおつもりがあるかどうか。と申しますのは、実は現在相続財産が三千万円までについて考えますると、この妻の場合の控除願を二百万円というように大幅に認めておりますし、なお税額控除をも大幅に認めておるわけです。ですから相続財産三千万円までにつきましては相当この思想というものが強く入ってきておる。けれども、今後この考え方を推し進めまして、そして夫婦関係財産につきまして、贈与やさらに相続について一切を非課税にしていく、こういうような問題について前向きに御検討をされておるのか、あるいはその意思があるのか。これは相当いろいろ論議があると思うわけでございまするけれども、その点につきましてひとつお尋ねをしておきたい、こう思うわけであります。
  10. 吉田(太)政府委員(吉田太郎一)

    吉田(太)政府委員 いま先生もおっしゃいましたように、配偶者法定相続分まで財産を取得した場合には非課税ということにいたしておるわけでございますが、ただ夫婦間の相続贈与を全く非課税にいたしますということは、わが国民法のたてまえが夫婦特有財産制をとっておるということからいたしましてむしろ適出でないと考えております。この辺のところは民法のたてまえとのかね合い考えるべき性質のものか、かように考えております。
  11. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 いまの点につきましては、お説のとおりいろいろと多くの論議がかわされておるわけでございまするが、社会その他の変化ということをも考えますと、その点につきまして、いまの時点ではいろいろ何かかけ離れた論議のように思われますけれども、時勢の変化につきましては検討対象になってくるであろうか、こう思いますので、よろしくひとつお願いをいたしたいと思います。  次に、同じく妻の座を優遇するという観点からひとつお尋ねをいたしていくわけでございまするが、現在妻の所得が十万円をこえると配偶者控除が受けられなくなっております。そんな関係もございまするので、この妻の所得が十万円をこえるというふうになってまいりますと、もう妻はいわばパートタイムその他の内職的なことはやめてしまうというようなことが出てくる。ですから、その金額がちょっと伸びることによって、相尚一家の所得税金の支払いということにも関連してまいりますので、それをにらみ合せながら働くというようなことが行なわれておる。これはしばしば新聞などにおきましても報道され、当委員会でも他の委員の方々からお触れになっておった点でございます。そういう点を考えますると、この金額引き上げる必要があるのではなかろうか。もちろんこの金額をむやみに引き上げますと、いわゆる夫婦共かせぎの世帯というようなものとの間のバランスという問題も起きてまいりますので、そこにはいろいろと検討の余地があるわけでございましょうが、少なくとも妻の所得が十万円をこえるというような、この十万円という問題につきましては、最近における賃金の上昇とかあるいは労働力の不足とかというような観点から考えますと、この限度額を相当程度引き上げるという必要が生じておるのではなかろうか。この点につきましてひとつ御見解お尋ねをいたしておきたいと思います。
  12. 吉田(太)政府委員(吉田太郎一)

    吉田(太)政府委員 お答えいたします。  先生お話しのような問題を私どもも実はかねてから検討してまいっております。ただ、先生お話しのような夫婦合算を今後考えていくといったこととのかね合いの問題もございます。税制を複雑にすることとのかね合いで現在少額不追及というたてまえでやってまいるわけでございますが、一方この十万円という金額引き上げるべきであるという議論がかなり強いわけでございまして、そういうことを踏まえまして、現在税制調査会において来年度の税制改正の一環といたしまして検討いたしております。この場合にはもちろんお話しのように、夫婦共かせぎの世帯との負担の均衡を考えながら検討をしておりますので、その結論をまちまして対処したい、かように考えております。
  13. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 次に、公害の問題に関連をいたしましてお尋ねをしてまいりたいと思います。  現在、公害の問題につきましては、いわゆる生活優先人間尊重というような思想のもとに非常に大きな問題になり、これが社会問題化しておることは御承知のとおりであります。なお、今臨時国会がいわゆる公害国会ともいわれるほど、公害につきまして政府当局も強い前向きの姿勢をとっておられるわけでございます。それで、その公害問題につきましての税制税金の問題についてお尋ねをいたしていきたいと存じます。  公害問題は現在最も緊要な問題となっております。企業がこれに対処するためには、公害のための施設を設けるということになってきます。その公害施設を設けた場合におきまして、税制上どういうふうにこれが処置をしていくか。公害施設を設けますれば当然企業としましては資金面に相当の圧迫があるわけです。税制上もできるだけこの点を助成していく、そして公害防止という命題に取っ組んでいく、こういうことに相なるかと思うのでございます。それで、税制上、公害対策につきまして大臣は前向きに検討をなさるということをお述べになっておられる。一体具体的にはどんなふうにお考えになっておられるのか。この十二月八日の当大蔵委員会におきましても大臣の御答弁を承っておりますけれども、特に中小企業に対しましても特別に配慮をいたしていきたいというような御意見、お考えをお述べになっておられます。しからばどんな御構想をお持ちであろうか、こういうふうに思うのでございます。この点は結論的には特別償却というような点も税制上非常に大きな問題になるかと思いまするが、もしある程度の固まっておるような状態にございますれば、ひとつお述べを賜わりたいと思うわけでございます。
  14. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 今回の公害諸法案、これが成立いたしますと、中小企業ばかりでなくて大企業にも、とにかく企業全体、大小通じてかなりの財政的影響があるわけです。そこでこの税制関係はどうなるかというと、二つの面があるのです。  一つは、これらの立法によりまして企業公害対策設備をいたしましたその場合、どういう援助を税制上とれるかという問題それから、企業自体設備はしないが、公害対策事業を国なり市町村が実行した、こういう際に分担金企業に求める。つまり公害防止事業費用負担法、これの結果拠出しなければならぬその拠出金に対して、どういう措置税法上とり得るか、こういう問題があるわけなんでありますが、まず第一に、設備に対しましては従来とも、大小企業全体を通じまして、特別償却制度、それから耐用年数を短縮するという制度、買いかえ制度を認めるという、こういう制度があるのです。今回は中小企業につきましてさらに耐用年数の短縮あるいは特別償却の年限、そういうものにつきまして配慮してみたらどうだろうかというふうに考えて、これも税制調査会の意向を、そういう当省の見解を述べながら伺ってみたい、かように考えております。  それから、費用分担をいたした場合の分担金拠出金、それに対しましては、分担金拠出金損金としてどういう扱いを受け得るであろうか、こういうことですね。それを検討してみようか、こういうことにいまなっておるわけです。もちろんこれを全部損金で落とすわけにいかぬ、資本的支出でございますから。しかしどの程度そういう扱いができるであろうかということにつきまして検討し、企業公害によって支障をそう受けることのないように税制の面からもできる限りの協力をしたい、かような考えであります。
  15. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 次に交際費課税、これも世上いろいろと論議の的になっておる点でございます。交際費課税の特例は昭和四十五年度末に期限が到来するわけです。当然ここで検討の時期に入るわけであります。社用消費につきまして世上なかなか批判が多くございます。この際何らかのこれが処置をする必要があろうかと思うわけでございます。  現在、いわば大企業中小企業も同じように四百万円まで、それから資本金の千分の二・五までが自由になっておる。それ以上の場合につきましては六〇%課税というのが交際費課税の実情になっております。これをどういうふうに扱うか。もし四百万円という金額を下げるという場合におきましては、あるいはこれは中小企業には相当影響が大きいわけじゃなかろうか。六〇%の課税をずっと増額していく場合におきましては大企業のほうへ相当影響を持ってくるんではないか。これは一がいには言えない。いろいろ千差万別の状態を呈しておりますから言えないが、いわば概略申し上げますとそんなふうになってくると思うのでございますが、一体どんなお考えをお持ちになっておられるか。もし煮詰まっておりますればお漏らしを賜わりたいと思います。
  16. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 お話しのように、交際費課税問題には二つの問題があるわけでありまして、一つは課税対象をどういう割合にするか。いまお話しのように現在は六〇%課税ということになっておりますが、これをもう少し広げたい、こういうふうに考えておるのです。これも税制調査会意見を聞かないと当省としての最後の考え方となりませんが、当省といたしましてはこれを広めていきたいという考えでございます。  それからもう一つの面であります四百万円の控除という問題ですね。これは主として中小企業関係が多い問題であります。この四百万円の現在の限度、これを一がいに下げるというようなことになりますと、これはまた中小企業にかなり直撃的ないろいろな影響があるだろう。しかし四百万円につきましてはこのままでいいのかというと、さようにも考えない。そこで、多少複雑にはなりますけれども、これは実際の交際費課税の適用状態なんかも見て、それに合うように常識的な解決をはかるのがいいのじゃないかというふうに考えまして、これもそんなような方向で税制調査会といま意見の交換をしている、こういう最中でございます。
  17. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 時間も参っておりますので、もう一点お尋ねしまして私の質問を終えたいと思います。  入場税の問題です。入場税の免税点を引き上げるというような問題につきましては、いろいろと従来も論議のかわされてきた点でございます。大臣はたびたび、早い機会にこの問題については解決をしたいというような御答弁をなさったような記憶がいたしておるわけでございます。昭和四十六年度の税制改正にあたりましては、一体この点はどういうふうなお取り扱いになるのでしょうか。この点をお尋ねをいたしまして、私の質問を終えたいと思います。
  18. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 入場税の課税最低限引き上げですね。この問題につきましては、当委員会におきましてもしばしばお話しのとおりのことを申し上げておるわけでございまして、四十六年度におきましてはお話しの趣旨の実現をはかりたい、こういう基本的な考え方を持っておるのです。そういうことで、三十円という額を引き上げる、これが当然考えられなければならぬというふうに存じております。ただしかし、一がいにというわけにもいきませんで、ギャンブル、これにつきましては特別の配慮をしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。これも税制調査会にいまそういう意見を申し述べつつ御相談を申し上げておる、こういう段階でございます。
  19. 上村委員(上村千一郎)

    上村委員 終わります。
  20. 毛利委員長(毛利松平)

  21. 松本(十)委員(松本十郎)

    松本(十)委員 予算の政府案の年内編成の方針もきまったようでございまして、何となくあわただしい感じが出てまいりましたが、この機会に私は大蔵大臣に対しまして、最近の経済の動向あるいは今後の見通し、またそれとのかね合いにおきましてこれからの財政金融をどういう方向で運営されていくのか、二、三の問題にしぼりまして質問を申し上げたいと存じます。  まず最初に、最近の経済情勢でございますが、いろいろな指数等を見ておりますと、何となく鎮静化したという感じがするわけでございまして、マクロ的にこれを見れば、かねがね福田大臣が言っておられます安定成長の路線をたどっているかと思うのでございますが、ミクロ的に見てまいりますと、家電業界あるいは自動車業界、さらには鉄鋼業界等を見まして、若干供給過多と申しましょうか、在庫がふえて、かげり現象が出ておる。全体としましても、在庫指数というのが昭和四十年度以来五年ぶりに一〇〇をこえておる。こういうことでございまして、先行き何となく必ずしも明るくない、こういう感じがするわけでございまして、最近ジャーナリズムのほうではスタグフレーション、こういうことばを使い、アメリカなりあるいはヨーロッパ諸国が、経済停滞のもとでの物価上昇、かげりのもとでのインフレ、こういった病気に悩んでおるわけでございますが、日本もまた同じような病気にかかると申しましょうか、悩みをこれから持つんではないか、こういう言い方もされておるわけでございまして、こういった意味におきまして、大臣の、経済の現況あるいは今後の見通しにつきましてのお考え方を伺いたいと存じます。
  22. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 私は、日本経済の最近の動きを見ておりまして一番心配をいたしておりましたのは、この成長の高さ、これが高過ぎる。これはもう非常に基本的な問題でありまして、昨年までの四カ年の日本の経済の動き、これは平均して実質一三%成長だ、しかもそれがさらに激化しようというような勢いにあったわけです。その勢いを続けますと、実に今後五カ年間で日本の経済が、GNPがまた倍になる、こういうような勢いだった。そのGNPが五年で倍になるというような事態がもしかりにありとすると、これはたいへんな奇跡的なことでありますが、そういうことは実は絶対に実現できないのです。資源が一体そんなに海外から入手できるか。鉄鉱石にしても原油にいたしましても、その他もろもろの非鉄金属その他の諸原材料、これは非常に入手難である。また入手がかりに海外でできてもこれを国内に輸送できるか。この輸送力も、これもとてもそう簡単には調達できない。また国内に運ばれると仮定いたしまして、これを国内で生産をして一億国民の消費に乗っける、流通過程に乗っけるということを考えてみましても、国内の輸送力ではとてもそんなものを運べない。倍のものを運び切れるだけの能力はございません。さらに問題なのは労働力の需給ですよ。そんなことを考えますると、賃金はますます高騰する。賃金が上がるからまた物価を押し上げる。賃金、物価の間にとめどもない悪循環を生じ、日本の経済は、五年後というようなことでない、もう一、二年であらゆる面で壁に突き当たる。成長の高さを落とさなければならぬ問題です。また、いま現に問題になっておる公害の問題にいたしましても、これと非常に大きな関連がある。  そこで、成長の高さを押えようというので、昨年の九月に金融引き締め政策を始めた。ところが一年を経過したこの夏までの勢いでは、どうも実体経済に対する影響というものは出てこない。ところがこの秋口からいよいよ実体経済に対する影響も出てまいりまして、ただいま御指摘のような状態になってきておるわけです。まあ通観いたしまして、ことしの上半期は大体私は一二%ないし一三%の実質成長の日本経済であったと思います。それが急速に下がってまいりまして、下半期は一〇%ないし一一%の線を彷徨しておる。だんだんと下がっておりまするから、ことしの年度末、来年三月ごろの時点の日本の経済はおそらく実質一〇%成長の程度の経済になるだろうか。  そこでその先が一体どうなるだろうかということをいま松本さんが問題にしておるんじゃないか、そういうふうに思いますが、国民の消費が非常に旺盛です。日本経済を動かす五〇%以上は国民消費なんですが、これは非常に堅実な勢いで伸びておる。それから輸出ですね。いまわが国の卸物価が非常に安定をいたしておりまして、世界第一の安定度であります。したがいまして、この輸出物価、わが国の物価面から見た輸出力、これは強化されるばかりである。アメリカあたりでいろいろ問題を起こしておりますが、それらを乗り越えて日本の輸出というものは進むであろう、こういうふうに見ておるわけであります。  問題は、財政並びに産業投資がどういうふうになるか、こういう問題でございますが、産業投資のほうは、金融緩和、そういうような施策がとられておる、そういうようなことでさほどの落ち込みを来たすというような状態ではなかろう、こういうふうに見ております。私が一番希望しておりますのは、来年というその年が、三月ごろ一〇%成長の水準に落ちたその辺を横ばいでずっと動いてくれればなあ、こういうことなんでありまして、そういうふうに動いていく日本経済でありますれば、私は万々歳である、さように思います。  そういう考えのもとに昭和四十六年度予算というものを編成いたしたい。つまり景気に対しましては、これは中立型ということがよかろうじゃないか。しかしいろんな見方が立つであろう。また昨年までのような過熱状態に逆戻りをする、金融緩和の結果そういうようなことになっては、これはたいへんなんだ。その際には金融上、財政上これを抑制するという手段をとらなければならぬというふうに考えます。それからまた一〇%に落ち込む——一〇%というのはこれは高い成長率でありまして、ヨーロッパ水準の三倍の高さになるわけでありますが、それでも、日本の経済人はどうも高度成長麻痺症というか、そういう病気に取りつかれておりまして、不況感を感ずる、こういうような状態でございますから、一〇%を大きくめり込むような事態を私は避けたい。そういう徴候があらわれるという際には、金融政策上の配慮もできますが、しかし財政上もそういう配慮をすべきであるというふうに考えまして、財政上そういう配慮が実現できるように弾力のあるかまえ、これを予算の仕組みの中に取り入れてみたい、そういうふうな考えでございます。
  23. 松本(十)委員(松本十郎)

    松本(十)委員 大臣の見通されますように、一〇%程度で横ばいと申しましょうか、平たんの道を来年度の経済が歩けばほんとうにいいことであり、われわれもまた望ましいと存ずるわけでございますが、必ずしもそうとは言い切れない要素も多いようでありまして、民間のほうが熱した場合は、これはまた水のかけようもございますが、問題は先ほど大臣言われましたように、万々ないとは思いますが、落ち込んだ場合にどうするか、こういうことだろうと思うのでございます。やはり財政金融政策はこれに応じて機動的、弾力的に運用さるべきだと思うのでございますが、事金融政策につきましては、昔から沈黙のうちに決断する、こういうことがいわれておりますので、こういう委員会の席でどうされますかとお聞きするのはあるいは筋ではないかと思いますので、情勢の変化に適応して、時期を失せず、適時適切なかじのとり方を要望いたしまして、金融政策の問題はしばらくおきたいと思いますが、財政につきましては、何と申しましょうか、やはりその景気調整機能というものをまた十分に生かす方策をおとり願いたい。五年前のあの四十年とは全然様子も違うと思うのでございますが、しかしあのときに果断に公債政策を導入されまして手を打たれたことが、この四年、五年にわたる大型景気上昇一つのきっかけになったと思うわけでございまして、歴史的に評価されると思うわけでございますが、来年度の経済は、微妙な段階でございまして、国の内外の動きから見ましてもなかなか一筋なわでは行きにくいんじゃないか、こういう感じがしますので、特に財政の面での御配慮をお願いしたい。  その際に、税制というのは、何と申しましょうか、効果が着実にあらわれますが、時間がかかる。やはり予算の、と申しますか、財政の金融的な側面、金融的な機能というものにある程度ウエートをかけた適応策、これが必要と思うわけでございまして、そういう意味では財政投融資計画をかなり弾力的にやっていただく。一方ではこの数年間民間の設備投資がどんどん進んでまいりましたが、その投資の増加割合に比べまして、公共投資と申しましょうか、社会資本の充実ははるかに——予算措置が講ぜられて実現せられたのでありますが、民間の投資に比べればはるかにおくれておりまして、そのギャップが大きい。それやこれやを考え合わせまして、先ほど公害の話も出ましたが、公害対策のみならず、やはり交通難を解消する意味においての道路の整備、あるいはまた衣食住の中で一番最後に残っております住宅問題、いろいろ五カ年計画その他がございますが、こういったものを果断に実行できるように、そしてまた一方で経済の落ち込みがあった場合には思い切ってこれが規模を拡大して実施することができるように、何かいいくふうと申しましょうか、施策を、これまでにないやり方というものを予算なりあるいは財政投融資の中に織り込んでいただけないものか、こういう感じがするのですが、いかがでございましょうか。
  24. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 ただいま申し上げたように、いま松本さんがおっしゃるような気持ちで予算の編成に当たっていくべきである、さように考えておるのです。あの方法はどうか、この方法はどうかと、いまいろいろ考えておる最中でございまして、御期待に沿うように必ずいたしたい、かようにお答え申し上げます。
  25. 松本(十)委員(松本十郎)

    松本(十)委員 そこで、私なりの意見を述べさせていただきますと、どうも伝統的に、大蔵省のみならず日本の国全体に、戦争中の公債のいやな思い出、財政インフレの記憶というものがいまだにそのあとをとどめておりまして、公債発行即財政インフレ、こういう先入観があり過ぎるのではないかと思うわけであります。やはり歳入の両輪をなすものは片や租税であり片や公債である、こういうことでありまして、この四、五年間の公債発行を見ましても市中消化の原則がそのとおり実現しておりまして、公債発行がインフレにつながるということは実際上見られない、こういうことでございますので、将来やはり公債政策というものを、これまでの先入観を払拭すると申しましょうか、やはり一つの財政の方向としては適当に加味することがむしろ望ましいのではないか。その際に、必ずしも公債といえば国債だけに限りませんで、政府保証債——昔は鉄道公債のようなものが国債として出ておりましたので、政府保証債も広くいえば公債の一種になるわけでございますので、そういったものを、公債市場と申しますか金融市場の情勢のまにまに、あまりこだわらないで、必要とあらば、また出し得る情勢ならば思い切って出す、そういうふうにやって道路なり住宅なりその他の建設、公共投資ができるということでございますので、そういうことについてこの際、必要によっては思い切ってやるぞというふうな姿勢を示していただければありがたいと思うのでございますが、それについてはどういうようにお考えでしょうか。
  26. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 いま公債のお話がありましたが、基本的な問題は公債の問題じゃないのです。問題は財政の規模一体どうなるか、こういうところにあると思うのです。その財政の規模が総需要総供給、そのバランスを破るような状態でありますと、これはたとえ公債が財源であろうが租税が財源であろうが、これはインフレに影響する、こういうふうに見ておるのです。公債を私は別に好きこのむわけじゃございません。ございませんけれども、それが適正な限度——つまり、これは建設国債という性格であるべきである、こういう国会の意思になっておるわけです。それからもう一つは、消化可能の限度であるべきである、これも国会の意思としてかたく確立されておる条件です。この二つの歯どめを踏んまえまして、その軌道をはずれないという節度は守っていくべきじゃあるまいか、そういうふうに考えております。来年度の景気が一体どうなるか。それに対して財政がどういうふうに対処すべきか。それは公債をどうするかという論議の前に、その規模、財政需要が、国の総需要の中でバランスのとれた姿であるかどうか、そういうところで考えるべき問題である。その角度からきめられました財政規模に対し、公債がいいかあるいは租税がいいか。それは金融情勢だとかそういういろんな角度を勘案いたしましてきめていきたい。公債恐怖症は持っておりませんです。
  27. 松本(十)委員(松本十郎)

    松本(十)委員 公債か租税かというお話が出ましたところで、世上いろいろ議論の的になっております自動車新税についてお伺いしたいのでありますが、日本の道路は世界の先進諸国に比べて、はるかに整備が立ちおくれておる、急いでやらなければならない。これはもう喫緊の課題であること、国民ひとしく認めるところでございますが、しかしその財源を自動車の保有課税というのでしょうか、いろいろ議論はあるでしょうが、自動車から取る。これについて、道路のためならばしかたない、これがある意味においては国民全般の共通した意識じゃないかと思うのでございますが、最近になって新しい、新幹線に自動車税の財源を少し回してほしいとかあるいは都市交通の地下鉄に回したらいいじゃないか、こういう議論が出ているようであります。こうなってまいりますと、目的税という税の性質から見ても、何かゆがんだ議論ではないか、あるいはまた国民一般の感じからしましても、道路だけじゃなしにそんなのにいくのに税金を払わなければいかぬのか、こういう議論も出るかと思うわけでありまして、これも今後の検討をまつべき問題だろうと思うのですが、道路財源としての自動車新税かあるいは道路公団債かあるいは国債か、こういったことについて、この段階ではまだまだお答えをいただくのは無理かと思いますが、感触だけでも伺えればありがたいと思います。
  28. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 昭和四十五年度より道路五カ年計画を行なうということになったわけです。ところがこの五カ年計画を見ますると、道路を建設するほうの計画はちゃんとできておるのですが、その財源が一般会計において三千数百億足らないのです。これが足らないままになっておるわけでありますが、国会に対しまして、四十六年度予算編成までにはこの財源対策を明らかにする、こういうふうにお答えをいたしております。そういうことで、五カ年間三千数百億円でございますから、年額にいたしますと数百億のものでございますが、この財源調達をしなければならぬ。  さてそれをどうするか、こういう問題がありまして、問題は道路だ。道路をこわすのは自動車だ、だから自動車にというふうな考え方でいいんじゃないかという声が盛り上がってまいりまして、自動車新税論というものが始まってきておるわけです。ところが同時に、自動車ばかりじゃないじゃないか。これからの交通は新幹線問題も考えなければならぬじゃないか。また地下鉄のことを考える必要がある。それからさらに航空機による輸送、これも考えなければならぬ。そういう空港整備問題、それらをひっくるめて計画を立て、そしてそれに対する総合財源対策という考え方を進めなければならぬが、その際にやっぱり主軸となるのは自動車新税ではないかという考え方、つまりこれは総合交通対策の一環としての新税構想という考え方も出てきておるわけです。  また、その税を、それじゃ自動車に求めるという場合にどんな形をとるか。いま物品税が、トラックとライトバンとバス、これにかかっておらないのです。これが物品税のかかっておる他の車種に比べて元権衡ではあるまいかというところに着目をいたしまして、トラック、ライトバン、バスに対する課税というようなことも考えられる。しかしこの際、そういう物品税のかからない三車種に限定しないで、広く自動車全体に対して薄く車検税というがごときものを考えたらどうだという説もあるわけなんです。いろいろ考え方が出てきており、一利一害というところでありますが、いずれにいたしましてもある程度の新税は必要になってくる、こういうふうに見ております。調整の最後段階になってきておるわけでありまするが、税制調査会意見等をとくと承りまして政府考え方をきめたい、かように考えております。
  29. 松本(十)委員(松本十郎)

    松本(十)委員 総合交通対策と申しますか、日本の一番隘路になっていますトランスポーテーションのおくれを取り戻すために、道路、鉄道あるいは飛行場その他やるべきことが多いと思うのでございまして、それの財源を大蔵大臣のもとで適宜適切にあんばいしていただいて、国民の期待しておるような交通体系の近代化というものを促進していただくことを期待いたしますと同時に、先ほど来申しておりますように、来年度の予算の編成にあたられましては、万々ないとは思いますが、万一落ち込むようなことがあった場合には適時適切にリフレーション策がとられますように、弾力条項と申しましょうか景気条項と申しましょうか、そういうものをいまから用意しておいていただいて手を打っていただくことを御要望をしておきたいと思うわけでございます。  最後に、少し話が飛びますが、世界的にインフレに悩んでおるわけでございまして、OECDあたり、この辺で所得政策を導入しなければならぬ、こういう言い方をしておるわけです。日本の国内ではそんなものはだめだという議論も強いわけですし、日本の物価を引き上げる要因は賃金コストの物価へのはね返りではなくして、むしろ流通の近代化あるいは低生産性部門の近代化のためにもっと投資をすれば片づくのだ、こういう議論もきのうあたりある学者が報告したようでありますが、私はにわかにそれに賛成しないで、やはりコストプッシュのインフレというものはここで十分に警戒しなければいかぬと思うのでありますが、そういった物価問題はまたお話をお伺いいたすと切りがないわけでありますから、きょうは見送りたいと思いますが、国際的な観点から一つだけ伺いたいと思うのです。  インフレ下のドル問題というのは四十六年に入っておそらく、好ましくないことでございますが、国際金融の舞台で問題になってくるのじゃないか、こういう感じがするわけでございます。この辺につきまして、われわれとしては円の価値を保持し、国際金融体制の中で日本の通貨というものをりっぱに守り続けなければならない立場にあるわけでございますが、それについての大臣のお見通しなり御見解を承りたいと思います。
  30. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 最近数年間、ドルが非常に苦しい立場にある。それでアメリカの国際収支を見ておりますと、数年前までは大体六、七十億ドルの輸出超過なのです。多い年は七、八十億もの輸出超過になる年もあった。とにかくそれだけの輸出超過下において在外米軍の維持、また対外経済協力、これを強力に進めてきたわけですが、その形勢が数年来非常な変わり方です。なぜ変わったかというと、私はベトナム戦争に原因がある、こういうふうに見ておるわけでございます。ここ数年間のアメリカは国際収支の均衡維持、これに非常な苦心をいたし、その苦心にもかかわらずアメリカの外貨保有高はどんどんどんどん減ってまいりまして、百億ドル近くの金保有、そういう状態になってきておるわけです。それで私は、ベトナム戦争というものがアメリカの経済をかなり変えた、こういうふうに見ておるわけでございます。ですから、ベトナム戦争が一体どういうふうになっていくかということがアメリカ経済の今後に非常に大きな影響を持っておる、こういうふうに見るわけです。ニクソン政権がベトナム戦争の早期終息に乗り出しておる、そういうアメリカ側の見通しのようにいきますと、アメリカ経済を圧迫する大きなおもしというものが取り除かれる、こういうようなことになろうかと思うのであります。とにかくこれはああいう戦争状態のことでありますから、われわれから見通しを申し上げることはなかなかむずかしい。  そういう状態下において、世界諸国は、それにもかかわらず、アメリカが国際収支を均衡させるために最大の努力をし、そうして他の世界の通貨情勢に不安と動揺を及ぼさないという責任を果たすべきであるということを、国際社会では非常に強く要請をしており、この要請はだんだん強くなり、それに対処して、アメリカではそれにこたえる趣旨におきまして、昨年の一月成立いたしましたニクソン政権下においては極端なデフレ政策をとった。金融引き締め政策を中心とした増税政策、さらに歳出の削減政策、そういうものを強力に進めまして、昨年の暮れ、それからことしの初めになりますとGNPがマイナスになるというところまでの効果をあげてきた。ところがそれに伴いまして倒産、破産が出る。あるいは失業率が高まってくる。今日では五・六、七%という高い失業率を示すというような状態になってき、これでは社会不安にもつながりかねないという状態であり、そうなりますと、国際収支でもアメリカはよくなり、かつ物価も下がるはずなのです。ところが、国際収支に多少の改善はあるもののさほどの改善も見ないのみならず、物価のほうが非常にぐあいが悪い。消費者物価も上がれば、また卸売り物価も上がる、こういう状態なのです。先ほどお話がありましたが、アメリカにおいては不況下の物価高という最も好ましくない経済状態にいまなってきておる。  これに対してアメリカ政府は、世界の要請を受けまして、何とかとにかく国際収支を改善させ、世界の経済秩序、通貨安定、こういうものに貢献しなければならぬ立場にありますが、どういう手を打っていきますか。きのうの夕刊を見ますと財務長官もかわったというような状態でございますが、非常に苦しい立場にある。しかし、アメリカの経済というものは世界に影響するわけでありまするから、アメリカが何とかして大国としての節度ある財政経済の運営をし、世界経済の安定に寄与してもらいたい、かように念願いたしております。
  31. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 関連質問を許します。藤井勝志君。
  32. 藤井委員(藤井勝志)

    ○藤井委員 先ほど松本委員から御質問のありました自動車関係税制、道路財源をめぐってのお尋ねに対しての大蔵大臣の御答弁に関連いたしまして、簡単にひとつ結論をお尋ねいたしたいと思います。  私は、自動車関係の消費税、物品税を含めまして、非常に目につくでこぼこがある。これを調整して、そしてある程度財源確保の一助にすべきではないかということでございます。もうすでに大臣は十分御承知だと思うわけでございますが、バス、トラック、ダンプ、こういったものに対する課税のあり方が、乗用車、こういったものとの均衡において非常にへっこんでおるということでございまして、端的に申しますと、そういったバス、トラック、ダンプ、これは国税としての物品税は全然納めておらない。そして都道府県の道路財源としてキロリットル当たり一万五千円の軽油引取税を納めておるのみだ、こういうことになっておりまして、他の車は、乗用車は大型、中型、小型、メーカー価格で四割、三割、一・五割が一般会計に入っておりますし、揮発油税キロリットル当たり二万四千三百円——一々申し上げませんけれども、そういうことから考えると非常にアンバランスであって、これは何らかの方法で是正して緊急の財源対策に応じてもいいではないか、このように思うわけでございます。税制というのは簡単に思いつきですぐ手直しというわけにいかない性格のものであることはよく承知しておりますけれども、これはあまりにも目につき過ぎるでこぼこではないかというふうに思いますから、その点が一点。  それともう一つ、道路投資額四十四年度一兆百五十九億に対して、自動車関係諸税、いま申しすした消費税と物品税、これが一兆三百四十三億、このようになっております。相当吸い上げておるというわけでございまして、私の言いたいのは、一般会計の持ち出し分が、特に社会資本の充実の必要性の中でも最たる道路整備に十分ではない、こう思うのでございますけれども、この二つの点、お答えを願いたいと思う次第でございます。
  33. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 自動車新税を考える場合において、バス、トラック、ライトバンが物品税がかかっておらぬという、でこぼこについて考えるべきである、こういうお話であります。いまこの自動車新税問題というのはなかなか機微な段階にありまして、私からこうすべきだというような考えを申し上げられないのはまことに残念でありますが、有力なる藤井委員の御意見は十分頭に置いて私も考えを進めていきたい、かように存じます。  なお、道路財源として、自動車、ガソリン関係が大部分だ、一般会計からの持ち出しが少ない、こういうお話でありますが、そういう財源を特定の財源としてとにかく道路に充てている、これはたいへんなことなんです。これは普通なら一般財源としていいのでありまして、それをそれだけ自動車のほうに向けている、これは偉大な事実でありまして、とにかくわが国の道路建設事業というのは世界に類を見ないスピードでいま進行いたしておるわけであります。そういう際でありますので、いろいろな形でいろいろな財源を調達しなければならぬ、それが道を使う自動車に主としていく、これもやむを得ないことかと思うのです。口答えをするようで恐縮でございますが、そんなような考えを持っておる次第であります。
  34. 松本(十)委員(松本十郎)

    松本(十)委員 時間も超過しましたので、いま一つ、資本の自由化あるいは外資の攻勢に対する対応策、こういうものについて伺いたいと思っておりましたが、次の機会に譲りまして、最後に要望だけをいたしまして質問を終わりたいと思います。  繰り返しいま申しましたように、来年度の経済はなかなか微妙な見通しでございまして、どうかひとつその微妙な動きのまにまにいい財政金融政策をおとりくださることを切望いたします。特に来年度は従来の社会資本のおくれを取り戻すチャンスではないか。おそらく金融情勢、起債市場というものはかなり鎮静化した姿で進むと見ていいのではないか。その際にやはり借り手としての政府が表に出てくるべき時期ではないかという感じがするわけでございまして、弾力的に機動的に運営していただくという方針のもとに、情勢を見てそういう方向を十分生かしていただきまして、国民すべてが要望しております公共投資の促進につきまして格段の御配慮をお願いしたいと思います。
  35. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 平林君。
  36. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 私は、明年度の予算編成を前にいたしまして、当面の経済見通しなどにつきましてお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、やや具体的な問題につきまして大臣のお考えを聞いてまいりたいと思うのであります。  初めに明年度の減税の問題についてでありますけれども、実は先般税制調査会におきまして、これは十一月二十日であったと思うのでありますが、来年度の経済見通しと予算編成の重要課題について大蔵省の方針を聞いたということが伝えられておるわけであります。予算編成の基礎になるところの経済見通し、これはきわめて重要視すべきことでありまして、これが公式の席上で発表されたことはきわめて珍しいことだという報道もございます。私どもが関心を持ちますことは、明年度の減税規模あるいはこれからの税制について検討をしておる税制調査会に対しまして、来年度の経済見通し、予算編成の重要課題について政府が説明をしたということは、税調がこれを基礎にして税制の改正とか減税規模だとかをきめるのではないか、あるいはこれに大きく影響されるんじゃないかということを感ずるわけであります。すでに一部では、来年度の減税はミニ減税だということで、引き続き今日の経済状態の中において大幅な減税を求める国民の期待を裏切ろうという動きさえありまして、われわれ注目しておるわけでありますが、きょうはこまかいことは聞きません。税制調査会におきまして説明をされました経済の見通し、それから予算編成の重要課題、私ら大体のことはわかっておるわけでありますが、そこで説明をされた資料を私どもに提出をしてもらいたい。そうしないと、これを基礎にしてこれからの税制改正あるいは明年度の減税規模をきめるということになるわけでありまして、政府がどんな説明をしたかということは、これは将来の税調の答申に結果となってあらわれてくるわけでありまして、この意味ではわれわれ重要な資料と考えておるわけでありますので、この税調に説明をした政府考え方、これらについてはひとつ文書をもって提出をしてもらいたい。これが私の大臣に対する希望なんであります。そのことをお答えいただきたいと思う。
  37. 吉田(太)政府委員(吉田太郎一)

    吉田(太)政府委員 税制調査会で、経済見通しについて正式の資料を出して討議が行なわれたというような印象をお持ちのようでございますが、実はそうではございませんで、むしろ調査会の席上、種々将来の見通しを議論をしております過程におきまして、たとえば来年の経済見通しはかくかくではなかろうか、かような論議が行なわれたというのが事実でございます。ちょっとその点申し上げさせていただきたいと思います。
  38. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 そうすると、一部の新聞ではありますけれども、この公式の機関で政府の経済見通しと予算編成の重要課題について説明をしたというのは誤りであって、そういう話があったというにすぎないのですか。私はそうではないと思うのです。やはりある程度——これからの税制改正の方向なり、あるいは当面四十六年度予算で解決しなければならぬ重要課題とにらみ合わせて、その財源がどの程度あるかということも税調の答申には相当の影響を与える。ですからやはりある程度責任のある経済見通し、それから当面の問題についての御説明があったものと考えるのでありますけれども、そういうまとまった文書はなかったのですか。
  39. 吉田(太)政府委員(吉田太郎一)

    吉田(太)政府委員 席上提出いたしましたのは、その当時における経済の指標の動き、実績をお出しいたしました。それに基づいていろいろ議論が行なわれたということでございます。経済見通しを来年いかにすべきかということは、もう平林委員よく御承知のように、現在経済企画庁を中心として鋭意いま検討を進めておる段階でございます。
  40. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 それではいまお話しになった文書、それを基礎にしてお話を進められたという文書の提出を求めたいと思います。それはいかがですか。
  41. 吉田(太)政府委員(吉田太郎一)

    吉田(太)政府委員 それでは提出させていただきます。
  42. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 税の問題は大蔵大臣にきょうお尋ねいたしましても、すべて税制調査会検討中であって、その答申をまってというお答えになるだろうと思いますから、きょうは割愛をいたしまして、答申が出されて、その後政府の態度を見ながらいずれ議論を進めたいと考えております。  次に、予算編成を前にいたしまして、この臨時国会公害国会であると呼ばれておるように、公害に関するところの政府の法律案の提出等が行なわれまして、衆参両院を通じて公害問題の論争を続けてまいったわけであります。そこで、この間も問題になりましたように、公害に対する第一義的な責任は国が持つという議論がございまして、第一義的に国が責任を持ちながら、公害関係の予算は少し少な過ぎるのではないか、責任は政府にあるけれども、財源の裏づけは一体どれほどあるのか、こういう議論が展開されて、財政の裏づけが問題になっておることは御承知のとおりであります。  私は何回か前の大蔵委員会におきまして福田大蔵大臣に、来年度の予算の編成にあたってはどういうことを重点に考えるかという質問をいたしましたところが、大蔵大臣は、来年度の予算編成については公害と物価の問題を重視すると答弁をされました。当時の一般の新聞におきましても、物価と公害は二本の柱というようなことが伝えられておったことは御承知のとおりであります。そこで、きょうは公害の問題についてお尋ねいたします。  予算編成にあたって重視をし、二本の柱の一つにされるとお話しになりましたこの公害の柱の太さはいかにということなのであります。政府としては、公害関係予算として一般会計においてはどういう裏づけをお考えになっておるか。特に予算編成にあたっての福田大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 先般も申し上げましたとおり、昭和四十六年度予算、またその以降の予算もそうだろうと思いますが、物価と公害、これが二つの大きな眼目とならなければならない、さように考えております。ただしかし、眼目とは申しましても、予算の量からいいますと、これは何といっても社会資本、つまり公共事業、これなんか大口です。あるいは社会保障、さらに文教でありますとか、そういう金、それから地方公共団体への交付税交付金、これらが大株主になるわけでございます。  公害はどういう意味において私が重要視するか、こういうふうなことでございますが、これは財政も経済運営の中の一環として、その経済運営の中において公害を重視する、またしたがってそれが財政にも反映されてくる、こういうことを申し上げておるわけであります。しかし、費用というものは一体どういうふうな分担になるのか、こう申しますと、これは今回の立法でも明らかにされたように、企業つまり公害発生源が原則として責任を持つ。そうして大方の場合におきまして企業自体公害施設をやるわけです。企業自体公害施設をやるのが適当でない場合においては、地方公共団体公害対策事業をやることもあるし、あるいは場合によると国がいろいろな施策をやることもある。しかし、公害対策事業につきましては、これはその総合的、基本的な部面につきましては国が第一義責任を持ち、その設計と実施に当たるわけでございます。しかし地域的なこれが実施の具体的諸問題につきましては地方団体がこれを担当するというたてまえになる。これは公害基本法第四条、第五条で明らかにされておるところでございます。その地方団体が仕事をする場合におきまして、その費用をどうするかという原則が公害対策基本法第二十二条にきめられておるわけであります。つまりその地方公共団体の対策事業の執行については、国は協力をしなければならないということになっておる。そこでその協力が一般会計予算にも反映をしてくるわけなんです。昭和四十五年度予算におきましては、その関係の費用などを含めまして国が支出をいたしております公共事業の予算総額は六百六十六億円であります。それに対しまして昭和四十六年度予算におきましては、いま関係各省から千億円をちょっと上回る要求が出てきております。なお、財政投融資におきましても二千億円をやや上回る要求を受けておるわけでありますが、それらの要求に対しましては、在来と違った前向き、積極的な姿勢で対処する考え方であるということを言っておるわけであります。
  44. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 いまお話しのとおり、公害関係対策費は、四十六年度の予算要求として、建設省の七百二十六億円をはじめとして、防衛施設庁の百六十四億円がこれに次ぎ、その他各省庁合計いたしまして一千六十一億円の予算要求が行なわれておるわけであります。しかし、その具体的な中身を検討いたしますと、一千六十一億円のうち下水道の整備が七百一億円を占めている。これに次いでおりますのが騒音防止であります。つまり防衛施設庁の騒音対策、基地周辺における騒音対策が一番大きくて百六十四億、運輸省の自動車排出ガス及び騒音対策が六億、航空機の騒音対策として東京や大阪の国際空港における措置が三十二億、これが二百三億でありますから、合わせると、下水道の整備の七百一億円と騒音防止のために要する費用として二百三億円、これで九百億円になるわけです。残ったのはもう百五十数億円にしかすぎないということになるわけであります。しかも百数十億円の予算要求の中で、たとえていうと、国立公害衛生研究所の四億七千万円、あるいは公害防止総合センターの創設のために三億七千五百万円、公害防止の技術開発のために十六億、その他、公害対策本部、中央公害対策委員会の経費などを除きますと、国としての公害対策というものは、まるっきりないと言っては語弊がありますけれども、細過ぎるんじゃないか。公害の問題については物価と並んで予算編成の二つの大きな柱にすると、こう言われましたが、量的に見ますとあまりにも細過ぎるんじゃないか。まあことばをかえていえば、政府のほうで公害対策関係費はわずかに下水道と騒音に限られて、その他は見るべきものがないと言って差しつかえないんじゃないか。これでいいんですか。今日の、七〇年代を迎えて国民全般が公害を撲滅しようという機運にあるときの予算編成における政府のかまえというものはあまりにも小さ過ぎはしないか。それは地域におけるものは地方団体とか発生源が責任を持つとかという趣旨はわかりますよ。しかしそれに比較して政府のかまえというものはあまりにも小さ過ぎないか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  45. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 先ほども申し上げましたように、公害対策は、これは大体公害発生源者が責任を持つのです。それに対しまして政府がいろいろ助成をする、こういう形になると思います。それで、公害発生源者の大株主は何といってもこれは企業です。企業がみずから設備をする場合がある、それに対して政府金融上あるいは税制上いろいろな対策をとってやる。これに補助金を出すということは考えておりませんけれども、そういう税制上、金融上のできる限りの援助をしてやろう。あるいは今度の費用分担法によりまして費用を拠出する——地方公共団体あるいは国がやった公共事業、つまり公害対策事業ですね、これに対して拠出金を出しますと、そういう際におきまして、その拠出に対してまた税制上、金融上特別の配意をしてやる。これはもう非常に手厚い対策なんです。そういう総合的な見方をしてもらわなければ困る。何も政府が一般の税金をそういう企業等につぎ込む、こういうことばかりが能じゃないと私は思う。やはり適切な対策というものはあるのです。それらを総合いたしまして考えて、公害対策というものに、昭和四十六年度予算、これは財政投融資まで含めまして、あるいは民間金融の運営、こういうものまで含めまして、最も重点を置いていきたいんだ、こういうことを申し上げておるわけです。  なお、公害対策事業で、国がそういうことで関連するのは税とそれから金融が多いのですが、まあ一般会計の支出といたしますとやはり何といっても下水道です。下水道はうんとおくれています。先進諸国に比べまして何十年の立ちおくれである。そういう下水道のおくれ、これを取り戻すことがきれいな生活環境を整備する、公害対策という基本的な問題の一つであるということから、下水道を中心といたしまして一般会計では特に重点を置いていきたい、かような考え方がいまの各省の予算要求、そういうものにもあらわれておるのだ、かように考えます。
  46. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 いずれにいたしましても一般会計における公害関係対策費は、少なくとも政府負担をする部分についてはあまりにも少な過ぎるという点を申し上げておきたい。下水道のお話、言われましたけれども、下水道五カ年計画がこれから立てられるでしょうけれども、いまの状態では五年後になってもその普及率は現行の二二・八%から三八%になるにすぎない。この程度ではヨーロッパでも一番最低の生活環境であるポルトガル程度のことでありまして、私はそういう意味ではこれで満足すべきものではない。いわんや他の、空気にしても音にしても水にしても、それらに対する政府の積極的な政策は財源的裏づけにおいては何もない、こういうことを申し上げておきたい。  だから私は、今度の公害関係対策予算全般を見まして大蔵大臣に特に注文しておきたいことは、今度の公害対策関係の予算要求も各省ばらばら、建設省、通産省、それから運輸省、総理府、防衛施設庁、いろいろなところから出されておりまして、たとえば音の問題についても、騒音対策の問題でもばらばらですね。私はそういう意味では、少ない予算の中でもなお効率をあげるような考え方でひとつ——幾ら要求してもどの程度出すか、もっと出してもらいたいと思うのでありますけれども、その中においても効率を考えながら、公害防止については国民の期待にこたえるような配慮をすべきであるということを申し上げておきたいと思うのであります。  そこで税の問題ですが、税の面で大蔵大臣は特に力を入れたいというが、税制の問題で公害防止についてはどういう役割りを果たそうというお考えですか。
  47. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 一つは、企業公害対策施設をやりましたという際に、その企業の財政負担の軽減をはかりたい、こういうことですね。従来とも公害ということは重視されておりまして、特別償却制度がある、あるいは耐用年数の短縮、あるいは買いかえ制度におきましても特例を認めておる、こういう手厚い考え方をいたしておるわけなんでありまするが、今度はまあ中小企業につきまして特に手厚くこれらの措置を拡充してみたいということを考えております。  それからもう一つは、企業設備はしないが、地方公共団体等の行なう公害対策事業、これに対して費用分担法によりまするところの分担をする、あるいは費用分担法によらざる分担をするという、その拠出金負担金を出すという場合があるわけです。その負担金につきまして税制上何らかの負担軽減の措置はできないかということをいま考えております。
  48. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 これに関連して、重ねて私は申し上げたいんですが、公害防止税という考え方はないかどうか。つまり、私は今度の公害問題、いろいろやっておりまして、党では公害対策連絡会議の議長というのをやりまして、いろいろ勉強したんでありますけれども、今度の予算要求の中にも公害防止技術開発に十六億一千八百万円も使うとか、あるいは企業の、公害の発生源は大体企業でありますけれども、そういうものに対してもある程度予算を組んで、補助金ではありませんけれども、いろいろな意味の助成措置を促すとか、いま主として税制の問題では中小企業の問題にお触れになりましたけれども、どちらかというと発生源者が本来やるべき公害防止技術の開発なんぞについても政府自体がお金を出しているわけです。出そうとしているわけです。ほんとうは、社会に対するところの責任を感ずるならば、企業自体がこういう予算を捻出して、これを開発して社会的責任を果たそうというのを、政府みずからがある程度それに助成をし、お金を出すという形になっておるわけです。これから公害防止施設をつくる場合に、ある場合には金融なり税制などについての道を講じ、国がその企業の費用をある程度軽減してやるというような措置をとることになるわけでありまして、これも形をかえた助成、補助金というような形なんですね。  私はこれらを考えますと、やはり公害発生源者であるところの企業、しかもかなりの担税能力のあるところに着目をして、公害防止のための財源ということを主体としてある程度の負担をしてもらう、そういう意味の税制考えるべきでないかということを実は感じておるわけなんです。非常にむずかしいあれだと思うのであります。しかし、たとえていうと、地方の中に都市開発税というのがありまして、これから都市を開発するためにそこに対して都市開発税を課しておる。同じように、公害を撲滅するために公害をなくするための税、公害防止税というものがあっていいんじゃないだろうか、こう思うのであります。この点をひとつ大蔵大臣検討していただいて、そして七〇年代——なかなか一年や二年で完全なる環境保全ができるとは思いませんけれども、一歩ずつ進めるためにはやはりこういうことも考えねばなるまいと思っておるわけなんでありまして、大臣の御見解を承りたいと思います。
  49. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 まさしくお話しのような考え方をいまとろうとしておるわけなんです。つまり、今度の政府考え方は、公害防止対策についての費用負担はだれがするかというと、発生源者がその責任をとらなければならぬ、こういう考え方なんです。ただその限度が、判定が非常にむずかしいものですから、たとえば公害対策事業をやるという際に、ある企業のためにやった、その企業はいかなる額を負担すべきかというと、その判定が非常にむずかしいものですから、四分の三とか、概定の基準というものを設けたわけでございますが、考え方としてはとにかく全部責任を持ってもらうのだ、こういう考え方、これはつまり、名前は負担金であり拠出金でございますけれども、あなたのおっしゃる企業負担による公害税というようなものなんです。この負担に対しまして、これに応じないという際には強制徴収という道まで開いておるのはそういう趣旨なんです。ただ、公害には全然関係のない人に特別の負担を求めるということは、これはまたなかなか理論上も実際上もむずかしいことか、こういうふうに思いますので、税という形よりもそういう現実の責任をとるという形の負担金、これなんかのほうがむしろ受け入れやすいんじゃあるまいか、そんな感じがいたします。
  50. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 その考え方一つのあれかもしれませんけれども、実際地方公共団体が、公害発生源者と公害を直接かぶった人たちとの調整をやって、最終的に長い時間かかってああだこうだとやる事例が多いわけですね。たとえば公害を受けた人たちの補償などについて、それは一つのルールとしてやっておけば、そうした知事が入ってあっせんしたとか公共団体のだれかが長い期間かかってやったかというよりは、すみやかにこうした問題の処理が進められる。そういうものも公害防止税という形で処理することによって生まれてくるのではないだろうか。こんなことをひとつ御研究いただきたいという希望を申し上げておきたい。  最後に登録免許税法の改正につきましてお尋ねをいたしたい。これは大臣でなくてもけっこうでございます。  来年の一月一日から登鉄免許税法が具体的に発効いたします。これは四十二年の登録免許税法の改正によりまして、いよいよ明年一月一日から実施されることになるわけでありますが、ちょっと参考のために伺います。登録免許税昭和四十五年度においてどの程度の実績を示そうとしておるか。今度の改正によりまして現金納付というのが基本になったのでありますけれども、現金納付によるものが幾らで、収入印紙によるものが幾らであるかという実情を御報告いただきたい。
  51. 吉田(太)政府委員(吉田太郎一)

    吉田(太)政府委員 お答えいたします。  まず、本年の登録免許税はどのくらい見込んでおるかということでございますが、四十五年度予算におきまして千百七十四億を見込んでおります。それから印紙収入と現金収入の割合がどのくらいになっておるかという御質問でございますが、四十五年度予算におきまして印紙収入の占める割合は八三・五%を見込んでおります。金額にいたしまして九百八十億でございます。  少しつけ加えさせていただきますと、印紙収入の占める八三・五%という割合は、新しく改正されました四十二年以来大して目立った激減と申します傾向はたどっておりません。昭和四十二年度におきます印紙収入の占める割合は八六・二%でございますので、ややわずかずつ下がる傾向を示しておりますものの、やはり八〇%をこえるものが印紙収入でまかなわれておるというのが実情でございます。
  52. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 私も登録免許税法の改正以来今日までおおよそ三年間、収入印紙によるもの、現金によるものの推移をながめてみますと、お話しのように、昭和四十二年、法改正のときは収入印紙によるものが六百二十五億円、現金納付によるものが百億円でありました。昭和四十五年度におきまして、収入印紙によるものが九百八十億円、現金納付によるものが百九十四億円となっておるわけであります。そうすると、収入印紙によるところの伸び率は現金納付による伸び率よりも低くなってまいりました。現金納付は四十二年に百億円であったのが四十五年に百九十四億円でありますから、ほぼ二倍になってまいったわけでございます。  そこで私は、登録免許税法の改正のときに質問に立ちまして問題点をあげました。一つは、いままで登録免許を受ける場合に、収入印紙による納付が基本であったのが、改正によりまして現金納付のたてまえになった。その結果、登録免許を受けようとする国民は、まず金融機関に行ってお金を納めて、納付書、証明書をもらって登録に行くようになる。つまり二重手間になったわけなんですね。これが国民の利便というところで問題がありはしないかということを指摘をしておいたわけなんであります。  第二の問題点は、当時は百億円でありましたが、四十五年は約二百億円に近い。おそらく四十六年度の見込みはこれをこえるでしょう。この二百数十億円になろうとするところの現金納付総額は、金融機関に一定の期間滞留し——これは短い期間、三日間でございましょうが、しかし毎日継続するものでございますから相当の金額金融機関に滞留をすることになり、金融機関はその運用益におけるメリットを受けることになりはしないか。これが私が指摘をした問題点でした。  第三には、印紙収入のたてまえから現金納付になるから、従来の郵便切手売りさばき人、これは全国で約十万、高級印紙を売りさばいておる者でも約三万の人たち、手数料そのものは零細ではありますけれども、この人たちの従来からの権益が侵されるようなことにならないか。こういう改正をやるときは、少なくとも関係者に十分な意見を聞くべきではないかということを問題点として指摘したわけなんです。  郵政省がおられると思うのでありますが、当時、私のこの質問に対し、郵政省は、切手売捌人協会というものがあって、その事務局とも話をしまして大蔵省に返答したと答弁をされておるわけなんです。ところがその後、私は訴えを聞きますと、これだけ大きな金額が動き、そして相当数の人たちの生活権に影響のあるものについて何ら相談をしていなかった、こういうことがわかったわけであります。私は国会におきましてしばしば政府当局と質疑応答をやりますけれども、三年前に私に対して答弁したことが事実に反していたということは、私は何年たっても許せないと思う。三年前であろうが四年前であろうが、事実に反したことをこの委員会においてお答えになることは許せない。でありますから、少し古い話でありますけれども、いまの関係者は違った人になっておるかもしれませんけれども、こうしたことに対して一応釈明はしてもらいたい、これをひとつ郵政省にお願いします。
  53. 吉田説明員(吉田実)

    吉田説明員 前任者の時代でございますので、私、具体的な事件にタッチしているわけでございませんので詳しいことは存じておりません。ただ、前任者からの申し継ぎでは、連絡したというふうに申し継いでおります。
  54. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 私は当時、切手売りさばき人の権益、生活権にも影響があろうから、十分意見を交換して、よろしいということになったんですかと発言をした。これに対して、売捌人協会というのがあって、その事務局とも話をしまして大蔵省に返答したと答えたのです。——話をしていないのですよ。私もあとで会議録を見て、事務局と話をした、こういうことでしたからおかしいなと思ったのだけれども、少なくとも十万人の一つの団体があって——郵政省に協力してきた団体であります。その会長なり副会長なり事務局長と話をして、そして納得したんですかという意味が私の質問だったのですね。これに対して、事務局と話をしている。事務局とはだれだ。実際には、やっておらないということが判明したわけであります。こういううそを言っては困る。特にあれだけの影響を与えるもので、その金額も現金、収入印紙を含めれば一千億円にも相当するものですね。これがこういう形で行なわれるということは適当でないのであります。この際、皆さんに御注意を申し上げておきたいということです。わかりましたね。  それで次に、今度は国民の立場に立ちまして、登録免許税を納めようとする者の利便の問題なんでありますが、非常に今度はたいへんなんですね。二重手間になるわけなんですよ。そこで、登記所に金融機関のあるのは一体幾つあるのですか。これは法務省のほうからお答えをいただきたいと思うのです。
  55. 枇杷田説明員(枇杷田泰助)

    ○枇杷田説明員 現在登記所に金融機関が派出しておる個所はたしか八カ所であったと記憶しております。
  56. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 全国の登記所の数からいたしまして、そこに金融機関が派出しておるのはわずかに八カ所、私の調べでは九カ所、これでは国民が一月一日から法が施行されたときに、法のたてまえは現金納付であります。これはもっとも一万円以上ですが、現金納付でありますが、金融機関がない場合には一体どうするのかということがあるわけなんでありまして、これについてはいかがですか。
  57. 枇杷田説明員(枇杷田泰助)

    ○枇杷田説明員 ただいまお話がございましたような事情がございますので、私どものほうといたしましては、明年の一月一日からは、登記所に金融機関が派出されておるところでは、その収納機関で現金納付をしていただく。それから登記所の近傍、大体登記所から五十メートル程度以内に収納機関がない登記所については収入印紙で登録免許税を納めていただく。それ以外のところは、法律の原則に従いまして現金納付というたてまえにはなるわけでございますが、ただいまおっしゃいましたような事情もございますので、私どものほうとしましては収入印紙をもって登記申請がなされましても、その登記は却下をしない、受理をいたすという取り扱いをきめまして、先日その旨全国の登記所に通達を出した次第でございます。
  58. 平林委員(平林剛)

    ○平林委員 お話はよくわかりました。登記所に金融機関があるのは八カ所ないし九カ所、その他登記所より五十メートル以内のところにも一体幾つ金融機関があるのかということになりますと、これはかなり問題があるわけであります。そこで、法のたてまえは現金納付に改正をいたしましたが、実際上は混乱が起きる。そこで、これについてはいまお話しのように現金納付と印紙納付の併用という形におきまして国民の利便をはかり、同時に混乱が起きないようにすべきである。いま法務当局のお話によりますと、そういう通知を出したといいますが、どういう通牒であるか、私承知いたしたいと思いますから、その通牒を御提出いただきたいと思います。同時に、一月一日から施行されるこの法が混乱が起きないように、また付言をいたしますならば、あまり相談もせずしてやっていることでありますから、この結果、十万の人たちの権益に激変が起こらないような配慮も加えてしてもらいたいと思うのでありますが、その通牒につきましての御提出をいただけるかどうか、それを確認をいたしまして、ちょうど時間になりましたので私の質問を終わります。
  59. 枇杷田説明員(枇杷田泰助)

    ○枇杷田説明員 ただいまの全国に流しました通達、通知は御提出申し上げたいと思います。
  60. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 午後二時より再会することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議
  61. 山下(元)委員長代理(山下元利)

    ○山下(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  62. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 本日は時間が十分にございませんけれども、まず最初に、昭和四十五年度の経済の実績見込みといいますか、今日時点における問題と、いよいよ予算も年内編成という方針がきまったようでありますから、当然これに伴って昭和四十六年度の経済見通しというものももう数日中には確定をするという段階に来ておると思いますので、最初にちょっとこれらの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  経済企画庁長官にお伺いをいたしますけれども、今日時点で昭和四十五年度の経済の実績見込みという点について、もちろんこまかい端数までは必要はございませんけれども、大体の成長のぐあい、主たる要素別に、それとあわせて今日時点で見通される消費者物価の上昇の問題、これについてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  63. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 本年の消費者物価でございますが、御存じのようにここのところまた相当急激な上昇を来たしております。季節商品の上昇を中心にいたしまして、季節商品以外のものも相当上昇をいたしております。そういうようなことから、最近の全国十月あるいはまた東京都の十一月の数字、われわれの手に入ったようなものから大体推測いたしまして、七%をちょっとこえるぐらいの消費者物価高になるのではなかろうか、そういう感じを持っております。
  64. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 あわせて、昭和四十五年度におきましては当初に名目成長率が一五・八%、実質成長率が一一・一%、こういう見通しをお立てになっておったわけでありますけれども、今日時点で四十五年度の実績見込みを推計されることになると思いますが、当然四十六年度の経済見通しを判断するためには四十五年度の実績見込みをある程度固めなければ四十六年度の見通しは立ちませんので、まず前段として、経済成長率というものは大体四十五年度は今日時点でどのくらいとお考えになっておられますか。
  65. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 これも、上期は相当高い成長を続けてまいりましたが、その後、御存じのように金融引き締めの浸透あるいはまた国際経済情勢の鎮静化、こういうようなものを考えますると、大体実質で申しまして一一%前後、ことによると一〇%台になるかもしれないというような感じのところであります。
  66. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 そういたしますと、いまお話のございました消費者物価大体七%くらいということになりますと、名目成長率は一七%少しこえるというぐらいになるのじゃないでしょうか、いかがですか。
  67. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 これは堀さんも御存じのように、GNPに使いますデフレーターは卸売り物価と消費者物価と両方勘案をいたしますから、そこまではまいりませんけれども、やはり一五、六%ぐらいのところにいくのではないか、こう感じております。
  68. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 実は卸売り物価の当初の見込みが一・九%、それが私の予測では大体三%ぐらいまで上がるのではないだろうか。最近鎮静しておりますから、ここから先はちょっとわかりにくいのですが、感じとしては三%近い。そういたしますと、一一・一で、物価上昇が当初四・八と、それから卸売り物価一・九で見たときに一五・八だったわけですからね。ですからいまの一一%内外というのは、大体ことしは実質成長は見通しの線にほぼいくのではないだろうか。ただ、消費者物価が上がっておりますし、卸売り物価も上がっておりますから、ですから大体これは一五・八であったものが一七くらいになる。いまのお話だと、物価同じとして一五・八ですから、一七くらいじゃないかと思いますがいかがでしょうか。もう一ぺんその点。
  69. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 卸売り物価を見まするとそのくらいになるかもしれません。
  70. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 そこで、いまの情勢を踏まえて、今度は昭和四十六年度の経済見通しをこれからお立てになるだろうと思うのですが、おそらく四十六年度の全体的な情勢は、今度は上期がまだ停滞は少し続くのではないか。下期が少し上向くということになって、年間バランスはちょうどことしと逆のかっこうになってくるのではないかというふうに私も判断をしておりますけれども、四十六年度の見通しは、実績もほぼことしと同じ程度ぐらいはいくのではないか。これは国際収支その他の問題もありますし、きょうはもう時間がありませんから各方面には触れませんけれども、おそらく実質で横ばいという感じで見ておりますが、その点は長官はいかがでございましょうか。
  71. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 四十六年度のところは目下せっかく検討いたしておりますが、大きな私どもの感じでは本年の実績見込みよりももうちょっと下がるんじゃないか。もちろん一〇%台ではございますけれども、もっと下がるんじゃないか、こういうふうに感じております。
  72. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 その点は私も、先の浮揚力がどの程度かという点がちょっとさだかでありませんから、まあまあ横ばいか、おっしゃるように少し下がるという感じではないかという感じがしております。  そこで、いまのような情勢の中で、物価の問題を先にひとつ申し上げておきますと、いま総理府統計局が出しております年間の物価の、たとえば年間七%とかりに申しましても、これは実は係数の詰め合わせのものでして、実際にはそういうものがないわけです。たとえばことしの十月の全国消費者物価を総合で見ますと、昨年比で八・六%実は上がっておるわけですね。生活実感では、私はこれだと思っているわけです。去年とことしとの間の物価の開きが幾らあるか。それはその月々によって違いますから、要するに平均したものというのはさっきのような理論数値があるわけですけれども、実感としては、十月には去年より八・六%総合で物価が上がった、消費者物価が上がった、こういう認識が妥当だと思いますね。こういうような異常な物価上昇でありますから、この間経済企画庁長官が指導されて公共料金一年ストップ問題というのが提案をされたようでございます。私も経済企画庁長官のお骨折りには敬意を表するわけでありますけれども、きょうはその中で、電電公社にも来ていただいておりますので、電電公社に関係をするものでございますね。  電電公社に関係をするものでは、私どもはこの七カ年計画という資料をちょうだいをしておるわけでありますけれども、電信電話拡充七カ年計画と料金制度の合理化についてという資料を見ますと、広域時分制という制度をつくって、現在の通話エリア、単位通話エリアというのですか、それを広げるという発想が一つあるようです。それが完成するのはまだ二年くらい先のようでありますけれども、そうするとそれに伴っていまの七円を十円にしたいという一つの案が出されておるわけであります。それから来年度の予算の中で、現在の設備料の三万円を五万円にしたい。費用がふえるという部分についてはこの二つですね。  それからもう一つは、今度は電報料を上げたい、どういう問題が一つありますね。私は二年くらい前の委員会でもこの電報料にちょっと触れたのですけれども、公共料金といえども経済合理性からあまり離れ過ぎているのは問題がある。電電公社の説明によると、現在電報は百円の電報料に対して六百五十円実は経費がかかっておる。これではちょっと、幾ら公共料金といえども問題があり過ぎるので、私はいま公社が提案をしておりますような不急不要の慶弔電報のようなものとか、そういうものは少し値上げをすることによって——値上げが目的ではなくて、需要を減らすことによってむだな経費を削減をするという経済の効率化といいますか、そういうことについては、私は単にそれを値上げ問題、公共料金の値上げ問題という感じでは見ていないのでありますけれども、この三点については経済企画庁長官はどういうふうに御判断をなすっておるのかをお伺いしたいのであります。
  73. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 御存じのように非常に高い、八%台というような物価上昇の傾向になってきております。われわれもこれが続くとも思っておりませんけれども、しかしいまの事態を放任するわけにはまいりません。したがいまして、政府が自分でもって決定権を持っておるところの公共料金というものは、この際全体の物価上昇に刺激を与えない意味におきましても、こういう時期にこそできるだけ抑制をしてもらわなければならぬ。ところが同時に、いま御指摘になりましたように、それぞれの公共機関におきましてはそれぞれの立場からの制度の改革、合理化、こういう計画をみなお持ちでございます。そういうこととも兼ねまして、この際公共料金の引き上げを希望する向きが軒並みに非常に多うございます。そういうことがもし許されるようなことになりますと、これはたいへんなことでございます。そこで私どもといたしましては、この際、厳に公共料金を抑制する、こういう大きな方針を立てまして、そして、それぞれの制度の立場もわからぬではないけれども、この際はがまんしていただきたい、特にタイミングの悪い時期である、こういうことで公共料金というものについてきびしい方針を打ち出したようなわけでございます。したがって、そういう観点でございますから、もちろんいわゆる凍結令を出すとか、そういうたぐいのものではございません。よくその制度の内容を見まして、そして主要なものはこれを押えてまいる、こういう考え方に立って処理してまいる、こういうことでございます。  そういう観点から見ますると、電気通信につきましては、御存じのように基本的な料金の引き上げ、市内電話の料金引き上げ、これは公社の説明によりますと市外電話のほうの引き下げに充てるのだ、こういうことであります。しかしやはりこれはこれで相当問題がございますから、これはひとつがまんしていただこう。しかし時分制の問題は、これはいずれ公社として手をつけなければならぬ問題である。加うるにこれは本年一年間は料金には関係ございません。もっと長い目でもって公社の制度を合理化する、こういうたてまえのものでございます。特にこの三分というものについて議論もおありのようでありますけれども、まあ実績的に見ると大部分のものはみな三分以内で用が済む、こういうことでございますから、この時分制をとることが直ちに消費者の負担になるという断定はできない。そういうこともあり、当面一年間は少なくともこの問題は先に延ばした話である。こういうことで、やはり長い合理化という立場に立って見ますと、この点は認めざるを得ないのではなかろうか、こういう考えに立ったわけでございます。  それからいわゆる負担金の問題、これもいろいろの考え方がありますけれども、これも御存じのように一方において積滞数はますますふえてまいっておる実情でございます。一方において電話が足らない、足らないということになりますと、やみを発生させる原因にもなり、実質的にやみの価格を高めることにもなるわけであります。ですから供給の増加ということをやはり頭に置き、設備の増大についても頭を用いるということになりますと、これは同時にいわゆる価格ではございませんので、自己負担といいますか、負担金のたぐいに属するものであるということで、いわゆる料金、価格は押えるけれども、そういう角度からこれだけは例外にしようか、こういう考え方に立ったわけであります。  それから電報も、いま御指摘のように、今日この料金問題が非常にやかましくなっている原因は結局賃金問題にあると思います。特に公共機関の場合には人件費の圧力というものが重大なことになっております。それだけに、たださえ少ない労力をできるだけ有効に適正配分をして用いていくということが適当ではなかろうか。そういう観点から見ますと、今日電報制度というもののあり方は、労働力適正配分の見地からいうと非常に問題が多い。そういうようなことから、よく例に引かれる慶弔電報のような問題はこの際制度改革が必要であるという観点に立ちまして、まあこれについてはいわゆる普通料金というものでやっていく、そしてその普通料金については引き上げをがまんしていただく、こういう考え方に立ったわけであります。
  74. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 そうすると、普通料金は押えるけれども慶弔電報は上げてもよろしい、こういうことでございますね。
  75. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 慶弔電報を上げていいとは申しませんが、とにかく不合理な制度をやめる、これはけっこうだと、こう思っております。
  76. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 われわれ議員は実はけっこう慶弔電報を使っているわけですね。おそらく佐藤さんも議員だから、いまは長官ですけれども、お使いになっていると思うんですね。ですから慶弔電報をやめちゃうという話はちょっと困ると思うんですがね。しかし、値段が高くても、よろしい、使おう、というのなら、これはちょっと特例に属するものですから、生活に直結するよりもややその他の用途のほうが多いので、これは多少私は上げてもいいのじゃないかと思っているのです。  実はそれは、関係がありますのは、電報料というものがこれだけ赤字を出して、それが電話料を食っているわけなんですよ。電話の料金を電報がたいへん食っている。この間も委員会でちょっと議論したのですが、七カ年計画でいきますと、おそらくこのままの形でいけば、一兆円ぐらい電話料金を電報へつぎ込むことになるのです。そんなにつぎ込むくらいなら、電報を徐々にではあるけれども合理性のほうに近づける中で電話の負担を軽くするのが筋ではないか。さっきの積滞についても、私は設備料を、電報を合理化することで取らないでもいけるのじゃないか。設備料五千億と見ているわけですから、電報のほうは一兆円からマイナスに立つわけですから……。私は、そこらについての見解で電報のほうは考えたらどうか。特に「チチキトク」なんという式のほんとうの電報なんかは少なくて、最近は業務用電報が非常にふえておるししますから、ここらあたりは検討の余地があるのじゃないかと思っております。  そこで、ここいらで、電電公社の問題に入りましたから、ちょっと公社のほうに伺っておきますけれども、いま長官がおっしゃったように、私は、広域時分制というのと七円を十円にするというのとは話は全然別だと思っているのですが、総裁、どうでしょうか。広域時分制にするというのはそれプロパーの問題で、七円を十円にするのとは別の次元の問題だと思いますが、いかがでしょうか。
  77. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 お答えいたします。  広域時分制にするには、たとえば市外、市内の格差が非常にひどい、たとえば東京で参りますと、東京二十三区とそれから三多摩の間というものを考えますと、東京の場合は現在七円で何分間でも話ができる。ところが、一歩三多摩地方に入りますと、同じ東京の中でも時間によって非常に料金が加算されてくる。そういうために、加入区域を合併してくれという陳情が非常に多いわけであります。ところが、この加入区域の合併というものは、たとえば北九州でも先般いたしましたけれども、投資をいたしまして減収になる。普通ならば、投資をいたしますと当然それによって収益を生むわけでありますけれども、加入区域を合併いたしますと、投資してかえって収入は減ってしまうということになりまして、これを無制限に続けてまいりますと、ちょうど国鉄の赤字線のようにどんどん赤字がふえてくる。これはどうして起こるかというと、加入区域というものが、場所によって面積が非常に違ってくる。将来この加入区域の面積というものを大体、現在全国を自動にしております際に、全国で約五百六十二の単位に分けておりますから、この単位まで加入区域を広げていくというところに意味があるわけであります。そういたしましたときに、これはイギリスの制度にだいぶ似ておりますけれども、単位料金区域ということばで言っておりますが、全国の五百六十二の相互の間の格差というものをなだらかにしておく必要があるのじゃないか。したがって公社といたしましては、原価も考えまして、市内の七円というものを十円に上げる。そのかわり市外は下げる。市外を下げるというのに二つありまして、近郊とそれから遠距離の問題とあるいは分けたほうがいいかと思いますが、そういうことにおいて、いま堀委員が言われましたように、いわゆる七円を十円にする問題、市外を下げるという問題と時分制というものは離れた問題ではありますけれども、加入区域の合併という関連においては、相互に若干関連するところがある、こういうふうに申し上げたほうがいいと思います。
  78. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 いま私がちょっとそう申し上げたのは、企画庁長官のほうでは、十円に上げるのは待ちなさい、公共料金のたてまえから待ちなさいとおっしゃった。もし関連が非常に強いのなら、広域時分制も待たなければならぬと思う。私は、広域時分制はやれると思うんですね。十円は待っても広域時分制はやれるのだから、そういう意味で、関連が全然ないとは言わないけれども、一応関連がなくても処置ができるのじゃないかということなのですが、その点はそういうことでしょうね。七円で据え置かれても、広域時分制を進めるについてはとりあえず支障はない……。
  79. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 ただいま堀委員の言われましたように、七円に置いても広域時分制は実施できるというふうに思っております。
  80. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 そこで、私いま二つの問題を取り上げておるわけでありますけれども、広域時分制にして、かりに十円にしたときには市外は下げるんだという発想が一つあるのですけれども、どうも国民の側からしますと、いま市内区域七円で済んでいる人たちは——東京の場合は非常にフェーバーがあるからいいですが、よその場合はそんなに広くないところがあるわけですから、それが広域時分制になって、かりに十円になったとして、おまけに三分で打ち切られてしまうということになると、実際は相当の負担になるわけですね。私はそこでこういう考え方をひとつとってみたらどうか。同じ広域時分制のような時分制にするのなら、もう一つ七円の下に五円というランクを設けてみたらどうかと思うのですね。これは時分制ですからね。ともかく、いまかりに七円で三分というのなら、それを逆に換算してくれば、五円にすれば二分とかいうような問題が出てくるんじゃないか。これは時間制の問題ですからね。だから、それならひとつ、国民はいま非常に物価高で困っておることだしするから、まず五円というランクを一つ設けて、簡単に話をするなら五円でも済みますよ。そうすると私は、その五円になることは減収になるのではなくて、これまで七円かかっていたのが、簡単に一分三十秒か二分間で話が済めば五円で済むんだということになれば、頻度は上がるんじゃないか。かえって延ばすよりも頻度は上がるんじゃないか。私は決して減収にならないのではないかと思っていますが、総裁、そういう発想をひとつ取り入れて、少しは国民に——市外を下げるのはたいへんけっこうですけれども、市外を下げるというのはおおむね企業向けでして、そこらは私は少し一般住民に対するサービスを考えてみたらどうかと思うのですが、総裁、いかがでしょうか。
  81. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたが、加入区域を拡大するという面におきまして、七円のまま広域時分制にするということにいたしますと、その点では非常に便益を受けられるのじゃないか。たとえば一つ山形県の例をとってみますと、山形の中に単位料金区域が約六つぐらいございますが、そうすると、いままでは山形からちょっと一歩隣の町にかけますと直ちに市外通話になっている。今度七円のまま広域時分制にいたしますと、おそらくそれは三〇%くらい値下がりになってくる。ですから、山形市内からちょっと一歩出ればそういう点で非常に下がりますし、東京の二十三区だけは多少違いますけれども、ほかは全国的に非常に国民の便益につながるんじゃないかというふうに思っております。
  82. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 時間がありませんから次へ進みます。ちょっと電電公社の問題だけ先に片づけておきたいと思います。  大蔵大臣、実は私、この四月に三公社五現業問題でいろいろやりまして、そこで予算の合理性という問題で、一般会計のほうでも公務員の給与費五%というのは、本年給与費に組み込まれておるわけでございますね。だから、国家公務員と三公社五現業同じような条件にあるわけだから、ひとつ三公社五現業も、今日の情勢で見れば——本日、日本経済調査協議会ですか、代表理事植村経団連会長、永野日商会頭という、ここの報告で、賃金上昇と物価の上昇に触れておられるわけですけれども、これはちょっとあとで簡単に伺いますが——来年度も私はやっぱり一〇%をこえる、三公社五現業においても一二、三%程度のベースアップというものは避けられないだろうと思いますので、そうしますと、そいつを組まないでおいてその他項目から流用をさせるということのほうが適当なのか、ある程度、いまの一般会計のように五%なら五%の概算要求に出たものを組んでおいて、できるだけ流用分を少なくしておくほうが予算会計上合理性があるのかといえば、私はやはり後者のほうが合理性があると思うのですが、大蔵大臣、前向きに検討したいとこの前お答えになっているのですが、いよいよ予算の決定時期が前に控えておるわけですが、ちょっとお考えを承りたいと思います。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 お話しのように考えておりまして、ことしは何とかくふうしてみたい、かような考えです。
  84. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 その次に、私ちょっと電電公社の総裁に申し上げておきたいのですが、私もさっきから申し上げるように、電報というのはある程度合理化しなければならぬと思っております。しかし、合理化するについては、いま電報の従業員の方というものが二万五千人くらいおられるのですが、これがやはりいろいろと配置転換とかその他をしなければ——われわれは業務を縮小したいと思っているのですから、ここに非常に一つ問題点があると思うのですね。この人たちは配置転換したり再教育したり、いろいろといま電報に従事しておられる方は将来に対して不安を持っておるだろうと思うのです。しかし、長年電電公社のために努力してきた職員でもありますし、これからは職員も十分ない時期でもありますから、この際ひとつ労働条件関係のあるいろいろな問題、配置転換なり再教育なり、いろいろな問題についてはあまりしゃくし定木にこだわらないで、労使間で十分話し合いを進めて、ひとつ円満な運営をしていただく。そのことが私は電電公社の生産性を上げるのに非常に役立つのじゃないか、こう思うのですが、総裁いかがですか。
  85. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電報につきましては、これまで中継を機械化するとかいうことによりまして、業務のサービスの向上と業務の合理化と両方やってきたわけでありますが、現在は人件費が非常にかかる。収入は公社収入一兆円の中の〇・七%ぐらいしかない。支出のほうは、人でいいますと二十七万のうちに約二万四、五千人かかっている。大体一割近くになっておる。こういう点で非常な赤字を生じておる。それからもう一つは、電報の中身を見ますと、いわゆる「チチキトク」とかいうようなほんとうの電報は四%ぐらいしかない。あとは慶弔電報であるとかあるいはビジネス電報であるとかいうふうに、電報の中身が非常に変わってきたということでございます。したがってまたその通数も少しずつ減りかけておりまして、大体年間、多いときには七、八千万通ありましたものが、ここのところ毎年大体五、六百万通ぐらい減りつつありますが、確かに今後公社として合理化を積極的に進めたいと思っております。  そこで、これの労働問題につきましては、全電通の組合のほうもある程度この問題は現状を理解しつつあるんじゃないか。それで私も先般、組合の四役を呼びましていろいろ話し合っておるわけでありまして、十分理解を深めながら処理していきたいというふうに思っております。
  86. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 電電公社はけっこうです。  その次に、いまちょっと触れました所得政策についてお伺いしたいのですが、私どもこういう主張をかねてしておったわけでございますけれども、きょう新聞に出ただけでありますが、「「報告」の中で賃金上昇と物価高が悪循環を繰返しているという政府や財界の主張に反論しているのは最近の労働分配率(所得のなかに占める賃金の比率)が低下する傾向にあるという理由によるもので、不況の数年間を除いて価値生産性の上昇率は賃金上昇率を常に上回っており、一九五五年以来、十五年間の平均でもこの傾向がはっきりしていると説明している。さらに物価上昇の利益が賃金よりも利潤に多く配分されていると指摘、賃金がコストアップの原因となり物価を上昇させているのではなく、企業のもうけすぎに原因があるとしている。」ということが、これはきょうの新聞に、財界の調査機関である、さっき申し上げた植村さんや永野さんが代表理事をしている日本経済調査協議会というところで出されているということであります。私は、この点については福田大蔵大臣は、現状でそういう賃金に介入するような所得政策は望ましくないというふうにお話しになっているように新聞で承知しておるのでありますが、福田大蔵大臣、この点いかがでございましょうか。
  87. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 そのとおりです。ただ、私が強調したいのは、けさの新聞というような話はありますが、いま日本の物価問題、これが新しい段階に入ってきた。つまり、いままでは需給要因が物価に影響してきております。しかしコスト要因が非常に大きなウエートを持ってきておる。そのコストの中、これを調べてみますると、これはやはり賃金、それから海外の原材料、そういうことですね。賃金問題というのはどうも話しするのがタブーとされておりましたが、そうであってはならない。これはひとつ、賃金問題も物価問題に非常に関係のあるということについては、国民全体の理解を深めるべきであるという考えであります。
  88. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 確かに関係はありますよ。だからその点は私どもは反対をいたしません。しかし、関係はありますけれども、要するに物価の上昇が賃金の上昇に基づくという割り切り方は、きょうのこの報告でもそれは当たらないということを財界の調査機関が発表しているくらいですから、私はきわめて科学的な報告だと評価しているわけです。そこで、実は今度一年半の何か定期預金というものが設けられるやに新聞等に伝えられているわけです。その金利は六%というふうに伝えられております。私はこれまでいろいろと定期預金の問題について、小委員会等でも申してきておりますが、一体物価が一年で八%——私さっき申し上げましたように、十月段階では八・五%も実は上がっている。一年半で延ばして計算すれば、かりに八%としても一年半なら一二%物価が上がるんですよ。一年に八%上がっているんですから、あとこれが半年、もしかりに上がると仮定すれば一二%、十八カ月には一二%物価が上がっておって、そして金利を六%に引き上げたら貯蓄増になるという発想が要するに土台にあるのかどうか。私はこれは非常に疑問を感じているものであります。これが第一点。  第二点は、現在政府は、日本の企業の自己資本比率というものを一体どう考えているのか。年々低下をして、おそらくことしは一六%くらいになるんじゃないですか。だれか事務当局、正確に答えられる人があったら、最近時点の日本の企業の自己資本比率を答えてみてください。
  89. 志場政府委員(志場喜徳郎)

    ○志場政府委員 自己資本比率は一六・八%、これは四十四年度末でございます。
  90. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 自己資本比率はどんどん低下しております。私どもはやはり、この際間接金融か直接金融かという問題を考えるときに、政府はもう少し間接金融に比重をかけてほしい。フェーバーを与えるような方向を考えなければ、今後の国際競争力の場面で非常に不利な条件に日本の企業が立つ可能性が高い。その可能性の高い一つの問題は、借り入れ金が非常に大きい。この問題は、これから——いまはなるほど諸外国の金利がかなり高くなっておりますけれども、実際はアメリカの預金コストというのは日本の預金コストより一%くらい安いですね、預金コストとして見れば。だから彼らのほうは下げられる条件がある。日本のほうは物価が高いということで、やや、われわれはいまや預金金利を上げてもらいたい、こういう問題を提起している時期でありますから、そういう時期ならばなおさら自己資本比率という問題はもう少し重要視していかなければならぬのではないか。ところがそれでなくても、この貯蓄の調査を見ましてもこういうことになっているんですね、現在どの程度に預貯金を各家庭が持っているかというと、四十五年の六月の調査では九七・五%が預貯金を持っている。それから四十四年十二月の総理府の貯蓄動向調査を見ますと、定期性預金は八九・九%、短期性預金は七四・五%の預金を持っている。そうでなくても一般の家庭の貯蓄というのはそこにいっているのに、さらに中期預金にフェーバーを与えて、要するにそちらのほうに預貯金が流れるようにするととが、日本の経済を主導していくために必要なことかどうかという点に非常に大きな疑問があるのです。それと同時に、一年半というような問題は、これは金融制度調査会の中期預金に該当するかどうかという問題があるわけです。この二つの点について大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  91. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 まず、物価が八%上がるということを予想されているようだが、それはとんでもないことで、私どもは、来年八%も上がるなんて、そんなようなことは考えておりませんから、それを前提といたしまして御質問ですが、ちょっと答えようも何もないです。  それから自己資本比率の問題にお触れでございますが、これは私も心配しているのです。つまり、なぜそういうふうになってきただろうということを考えますときに、これはやはり成長の速度です。これがノミナル一七、八%という成長をする、そうするとどうしても設備投資はそれだけをささえる設備投資が行なわれなければならぬ、こういうことになる。その資金をどこで調達するか。とても直接金融ではその調達ができない。そこで手軽な間接金融だ、こういうことになって今日に至っておる。しかも今日まだ、景気停滞とはいえ一〇%がらみの成長、ノミナルにすれば一六、七%の成長だ、こういう状態ですね。そうするとますますどうもこれからも間接金融に依存するということになってくるのです。それで私が非常に心配しておりますのは、やはり景気は変動するという要因があります。それから世界競争というものもこれから激しくなる。そういう内外の情勢の変化に対応するためには、企業は自己資本を充実しなければならない。同時に家庭もそうなんです。これは長い間の、明治百年といっていいぐらいのこの歴史の結果だろうと思いますが、わが日本では、いわゆるフローの所得は高くなってきたにいたしましても、蓄積が非常に乏しい。これを回復しなければならぬという問題に当面をいたしておるわけです。そういうことで、これは間接、直接を問わず貯蓄というものを伸ばしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、いまお触れになりました定期預金の金利の引き上げ、これもそういう考え方に基づいておるわけです。物価との関係はあまり頭にないのです。とにかく一般的にもう少し貯蓄というものにうま味がなければならぬ。そして一般的に預金の増強というものが行なわれるという形がほしいというふうに考えまして、一年半六%定期というようなものを始めたわけです。これは言われるところの二年定期、三年定期、これとは全然関係ありません。
  92. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 そうするといまの御答弁は、少しでも貯蓄にインセンティブを与えるために新しいものをつくった、これはしかし中期預金の概念ではない、こういうことでございますね。  そこで、私がさっき間接投資の関係でちょっと申し上げたのは、一体それでは一年半で、換金自由で、六%以上の投資対象がないのかといいますと、実はあるのですよ。いま公社債投信を新たに申し込んで、そうして一年半たって解約をして一体幾らの金利に回るかといいますと、有価証券取引税を除きましても一年半で六・六八%に回る品物が実はあるわけです。いま福田さんがおっしゃるように貯蓄を奨励するということは預貯金でなければならぬということじゃないんですね。要するに公社債投信のようなものでも、安全であって換金性もあるというもので金利が高ければそれでいいのではないか。最近の貯蓄動向調査を調べてみましても、流動性が三六・八%、安全性が三四・五%、収益性が一九・五%で、四十一年には収益性が八・六%ぐらいしかなかったのが四十五年には一九・五%と、収益性についても国民の関心は高まっておるから、いま貯蓄について福田さんがおっしゃるように、六%のものをつくった、これは一つ国民のニードにこたえる方法だと思うのですけれども、どうも預貯金のほうに比重がかかる点に私は少しひっかかるわけです。公社債投信という制度があって、六・六八%の金利に回って、これはオープンですから流動性においては定期預金よりはるかに流動性が高いのですよ。ですから、ボンドオープンというようなものを何も政府が宣伝する必要はないけれども、こういうものがあるにもかかわらず一年半の六%をつくらなければならぬという理由は私はどうも薄弱なような気がしてしかたがないのです。だからこの点は、一年半のものをどうしてもつくるといわれることに何も特に反対しませんよ。それは一年半で六分になればいまの五・七五分よりいいから反対はしませんが、方向としてはどうも適切でないのではないか。いまのあなたのお考えのように、収益性の高いもので貯蓄を奨励したいというのなら、こういうものがあるということをもっと国民の前に知らしていいのではないか、こういう感じがいたしますので、その点を申し上げておくことと、それから最後に一つだけ。  これもきょうの新聞なんですが、予算に景気調整機能を与えたいということを大蔵大臣が事務当局お話しになっておるということが新聞に出ておるわけです。それには、新聞の中のことですからよくわかりませんが、いろいろなことが書いてありまして、財投で少しふくらまして、もう少しここに弾力性を持たせたいとか、あるいは予備費をうんとふくらましておいて公共事業の予備的な支出に充てたいとか、そういうようなことの検討を指示されたと出ておるのですが、これは事実でしょうか。
  93. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 それは事実でございます。
  94. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 これが事実とすると、予備費というのは本来、そんなふうにどんどんふくらまして、要するに景気調整財源に充てるようなためにあるのではないと思うのです。財政法上ちょっと疑義があると思うのですが、いかがなものでしょうか。
  95. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 予備費といっておるわけではないのです。要するに、予算は予算としてきまりますが、この予算と関連して、もし万一景気が非常に落ち込むというような際には、財投が景気調整機能にも働き得るようなしかけはできないかという検討を命じておる、こういうことでございます。
  96. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 それは私は、情勢を見て必要があれば、そこで補正予算を組んで、国債を発行するなり公共事業費を増額するなり、それが本来の予算の制度であって、非常に不確定な分子に対していまからそれに対応をしようというのは、いまの財政法から見てどうも適当でない。やはりこれは本来の姿とすれば、必要があるときには補正予算を組まれて、そうして国債を発行されても、私はそれに特に文句を言うわけじゃありませんし、特に公共投資の問題については、私はかねがね申し上げているように、来年度は民間設備投資がややスローダウンするのではないか、一五%近くに落ち込めば、この際公共投資をふやしたいというチャンスでもあるわけですから、そこらを含めて、あまりこう、何といいますか、小手先で財政運営をなさる、こういうことをやめられて、やはり筋の通った財政を組んでいただく。必要があればいつでも補正予算をお出しになるというような考え方に立っていただくほうが、私は財政としてはすっきりするのではないかと思いますが、その点を伺って私の質問を終わります。
  97. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 財政運営ですから、もとより小手先のことはいたしません。堂々と、また予算案におきましても十分御審議を願ってきめていただきたい、かように考えます。
  98. 堀委員(堀昌雄)

    ○堀委員 終わります。
  99. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 松尾君。
  100. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 企画庁長官が非常に時間がお忙しい模様ですので、順序を変えて、最初に私は物価対策についてお伺いしたいと思います。  明年度の物価上昇見込み、それから経済成長見込み等については、いま堀委員からの質問がありましたので省略いたしますが、いずれにしても明年度も相当の物価の上昇が見込まれる。こういう中で長官が非常に物価問題について努力されている点には深く敬意を表するのですが、ただ先般来、八日の閣議並びに九日の物価対策閣僚協議会等で公共料金の凍結問題について勇気のある発言をなさった。公共料金を一年間凍結したい、この口火を切られた長官に伺いたいのですけれども、閣議でも、それから協議会でも、各省からのいろいろな強い抵抗が非常にあった、こういうことが新聞等に報じられておるのです。先ほども電話並びに電報の問題でお話があった。それから郵便料金は、九日に至ってはこれをはずさなければならない、こういう情勢になっておりますが、いま物価の上昇を何とか押えたいと、こう考えている長官に、はたしてその他のものについては可能性があるのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  101. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 この間の閣僚協議会でございますけれども、これは各大臣、率直にいいまして非常に協力的にやっていただいたと思います。少なくとも会議の席上においてはそういういざこざ的なことはございませんでした。もちろんこれは関係者も広いことでございますし、事務当局考え方等もいろいろと報道には反映されていると思います。そういう意味において立場立場からいろんな批評があるいは出たかもしれませんが、閣僚協議会においては、何とかこの方向でもって、できる限り立場の相違を捨てて協力をしよう、こういうムードでございました。そこで私といたしましても、できるだけ私の提案の趣旨で実現をはかりたい、閣僚も協力してくだすった、こういうことでございます。  したがって、電報料金は先ほどの議論で御存じのような結果になったわけであります。それから郵政関係について、予算との関係が非常に密接なものですから、これについては大蔵大臣、郵政大臣ともう一回打ち合わせをするということになりましたけれども、基本的な点についてはその抑制の方針に沿って行なう、こういう条件をつけて、そして再度相談をする、こういうことになっております。そのほかの料金につきましては、私がそのときに今日話題になっておるような料金を掲げまして、それらについてはみな閣僚の同意を得まして、そして抑制をする、こういうことになったわけでございます。
  102. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 郵便料金の値上げが、関係閣僚で協議をする、こういうことになったというお話がいまありまして、これについては大蔵大臣考え方というものは非常に大きく影響すると思います。そこでまず順序として、いよいよ近々にもうこれも決着をつけなければならないと思いますが、これに臨むにあたって非常に国民が大きく期待しておるわけです。郵便料金の値上げというと非常に大きい影響がありますので、したがってこれらを考えて、また財政的な面を考えると、立場としては非常にたいへんだと思いますけれども、この関係閣僚協議会に臨むにあたって大蔵大臣はどういう腹がまえを持っておられるか。これをひとつお答え願いたいと思います。
  103. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 佐藤長官が提案しました公共料金の抑制政策、私はこれは基本的には賛成であります。特にその中で問題になるのは御指摘のように郵便、電信料金であります。これにつきましても、いま長官がお答えいたしたように、基本的なものは抑制政策の本旨にのっとりましてこれは据え置く。いろいろこまかい点で検討しなければならぬ点はあるのですが、基本的なものは据え置くということで長官に協力をしていきたい、かような態度でございます。
  104. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 郵便料金の問題については非常に、いま具体的な答えというのはむずかしいと思うのですが、ただ基本的なものには長官の意見に協力をするということではあまりばくとしておるのですが、この郵便料金の決着が間近に迫っておるのですから、もうちょっと具体的には伺えませんか、大蔵大臣
  105. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 いまこれの話し合いの非常にデリケートな階段でありまして、まあちょっと、具体的にこれはこうだと、こういうふうに申し上げかねるのです。これはまことに恐縮なんでございますが……。しかし物価抑制は非常に大事なことである。そのために効果のある公共料金の抑制政策、これには基本的に協力する。郵便、電信料金につきましては、これはまあとにかく抑制政策をとったと言えるようにしたいという気持ちでございます。
  106. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 それでは次に移りますが、このたび、一年間凍結したい、これが、当分厳に抑制する、こういうふうに変わってきておるわけでありますけれども、この公共料金、いまいろいろ値上げを要求されているものを合わせますと、大体、概算でもけっこうなんですけれども、どの程度のものになるのか。これはおわかりでしょうか。——概算でけっこうです。
  107. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 いま個々のものについては多少資料がございますが、全部についていまちょっと申し上げる数字を持っておらないのでございます。まあ、今度の公共料金の抑制ということについて、過去の経緯等から見まして物価抑制には相当影響を与えるであろう。これもいろいろのこまかい試算でございまして、はっきりいたしませんが、〇・四、五%くらいのところの影響を与えるのじゃないか、こういうふうに私は思っています。
  108. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 ごく概算で物価抑制に〇・四、四%寄与するということは、この際非常に有効だと思います。こういう効果のある措置をとっても、結局この公共料金値上げストップが、従来見られたような、据え置いた期間はよかったけれども、今度はこれを解除した場合に急遽はね返る、こういうようなことがあってはせっかくの苦労も意味がない、こういうふうになると思うのです。そこで、この凍結については、効果を十分考えると同時に、その間に、凍結解除後の対策についてはあわせて深く考えておられると思うのですが、そのお考えをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  109. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 先ほど一年間というお話がございました。これについてはいま御指摘のようなこともございまして、一体一年間というような言い方がいいかどうか議論がございまして、それでは一年たったらまた上がるのか、こういうことでも困りますので、この際としては公共料金全体をできるだけ抑制していくという表現のほうが適切である、こういう判断をしたわけでございます。したがいまして、ものにもよることでございますけれども、一年間たってからもなおできるだけ抑制し得るものはしなければならない。これはまあものにもよります。それからまたそのときの価格、物価の情勢によると思います。今度の措置は、特に最近の上昇が非常なものでございますから、そういう現状と照らし合わせて特にこういう措置がなされたわけでございますから、これからわれわれとしても、ほかの総合対策をできるだけ進めながら、十分にその点を頭に入れて、そして今後のことを対処していかねばならぬ、こういうふうに考えているわけです。
  110. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 そうしますと、一応値上げが要求されるであろうという郵便料金をはじめ八項目に対しては、いまのような値上げでは困るということで一年間ストップしたい、こういう考えで出発したけれども、結局そのつどそのつど検討した上で、抑制するものは抑制するし、できないものはやむを得ない、こういうふうに大きく変わったということですか。
  111. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 もともと原則として押える、こういうことでありますから、個々のものは今後出てまいりましても、これはもう抑制ということがまず前提でございます。まあこれは私は、ものによって——先ほどの議論にもありましたように、一がいに料金といい物価といいましても、ものによると思いますけれども、原則は抑制ですから、その基準に照らして判断をしていく、これはもう当然であります。
  112. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 そうしますと、それぞれ値上げを要求する理由があるわけです、郵便料金にしろ電報料金にしろ。とにかくいまの物価上昇を押えたい、メリットも全体の相当高い比率を示すから押えたい、こういうことなんですが、今度要求側はそれぞれ財源がなければ困るということで要求しているわけですね。この財源については、これは新聞の報道でありますけれども、長官は、来年度の自然増収も相当大幅に見込める、それから財源の裏打ちについては大蔵省に頼もう、こういうようなことを記者会見で発言をされたように私は記憶しておりますけれども、この財源の裏づけについてはそのように理解していいのか。いまお考えをあらためて伺いたいと思います。
  113. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 これは大蔵大臣のお答えが適切かもしれませんが、もちろんそういう意味においてあえて予算編成前にこの問題を取り上げたわけでございますから、方針が一たびきまりますれば、それに応じて、もしどうしても必要なものがありますれば予算的な処置を伴うものも当然出てくるわけでございます。これはもちろん安易な、合理化を前提としないものの考え方は排しなければいけませんけれども、その上でなお処置する必要があるものは出てくると思います。もちろん、今後のことになりますれば、これは予算編成の後のことでございますから、これは別の角度から抑制をしていかなければならぬ、こういうことになろうと思います。
  114. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 いま自然増収には触れられなかったのですけれども、財源についてはひとつ大蔵大臣に理解をしてもらう、こういうお話です。しかし、先日の閣僚協議会後の大蔵大臣の発言も一緒に新聞には報道されておりましたけれども、これについては、財源については大蔵大臣は難色を示しているのだ、こういうような意味の報道があったわけですが、大蔵大臣、この点はどうでしょうか。あわせて自然増収についても。
  115. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 公共料金抑制政策として企画庁から提案されたものの中で、一番ウエートの大きなのは郵便料金なんです。郵便料金引き上げによる増収が七百億円を上回る額だったと思います。それが一挙に引き上げ停止となったら、七百億円の増収見積もりがそれだけなくなるわけなんです。ところがこの増収計画は、少なくとも三カ年、昭和四十六年、七年、八年と、この三カ年度をこれでもういけるのだ、こういう程度の引き上げ率になるわけなんです。七百何十億円平年度引き上げいたしますと、六年度はもとより、七年度、八年度、これはもう引き上げの必要は少なくともない。したがって、四十六年度だけをとらえてみますると、その引き上げじゃかなり黒字になるのです。ですから、かりにこの引き上げの計画をかなり大きく修正いたしましても、それによって四十六年度の郵政会計が赤字になるかというと、そうたいした赤字にはならない、こういう状態でありますので、そういう程度にきまりますればその程度のことは何とか処置できる、そういうふうに考えております。  それから四十六年度の全体の自然増収ですね、これは見方が非常にむずかしゅうございます。むずかしゅうございますのは、何といってもこれは所得税、法人税でございますが、所得税のほうは、賃上げもどうせある程度あるのでしょう。これはかなり伸びる。ところが法人税になりますと、景気が調整過程に入っておる。しかも賃上げが大きい。そうすると利益部分として残る額がかなり減ってくるのじゃないか。来年三月期の決算、これなんかそう芳しいものじゃないのじゃないか。それから来年九月期の決算が一体どうなるか、これもちょっと見当はつきませんけれども、ことしの九月期のような、あるいはことしの三月期のようなわけにはとうていいかない。こういう状況を考えますと、法人税収がことしの税収よりは、予算で見たよりは伸びることは伸びるでありましょうが、伸び率が非常に鈍化するのじゃないか。そんなふうなことを考えますと、税収全体として本年度みたような状態ではないのです。しかし予算は予算、何とかしのがなければならぬというので、いま苦心をしておる最中でございます。
  116. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 この問題を掘り下げるのはまた次の機会にしたいと思います、時間の関係で。しかし先ほど長官にお尋ねした中で、反動的な値上げですね。この前の三十九年の場合を見ますと、押えた一年間は三・九%にとどまったけれども、との凍結を解いた翌年には一挙に六・六%、倍以上にはね上がっていますね。こういうことがあったのではせっかく苦心の措置が無意味になる、こういうことでお伺いしたのですが、凍結後の手当てについて、それぞれ目標がありましたらこれを一点伺っておきたいと思います。
  117. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、一年たったら必ず上げるというわけのものではございません。ものにもより、そのときの物価情勢にもよる判断であろうと私は思いますが、いま御指摘になりましたように、四十年等の経験もわれわれは経ておるわけでございますから、ああいうような状態にならないようにまた処理をしていかなければならぬ、こう考えています。
  118. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 なお、この公共料金を抑制していく方向については強い決意を持たれておるのですが、しかし、物価を抑制するために、この公共料金抑制も大きな一つの手段ではありますけれども、私はそれ以外に重要な問題が一ぱいあると思うのです。さっきもちょっと述べられておりましたけれども、現に最近ずっとこう高騰を続けている季節商品のうち、とりわけ野菜の高騰、これらを見ましても、何とか物価の上昇を押える、こういうことで努力されているにもかかわらず、消費者側から見ると、これがほとんど野放し状態じゃないか、こういわざるを得ない状態です。こういった点。それから最近目立っている、大企業並びに寡占企業等で価格を操作できる、こういう傾向の問題。さらに特に、先ほど堀委員が指摘しておりましたけれども、日本経済調査協議会で指摘した低生産性部門の近代化に対する対策ですね。非常に二重構造、特に低生産性部門、消費サービス部門等の——これは大企業の賃上げについていくにはどうしても値上げ以外にはないわけです。こういう点がほとんどそのままにされて手が打たれない、こういう状態であってはせっかくの公共料金ストップも効果がないということが考えられますので、佐藤長官が物価を何とか引き下げたいという強い努力を払っておるのですが、これらに対して具体的にどういうふうに持っていこうとしているのか。その点を一点聞かしていただきたいのです。
  119. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 お話しのように、この食料品の価格の問題は今日非常に物価の中でも重要でございます。これが、四十一年、四十二年、四十三年と三カ年の平均がわずかに四%しか上がっていないのです。ところが四十四年に至ってそれが二〇%上がりました。これが四十五年度に至りましてやはり二〇%くらい上がっておる。ですから、四十一、二、三の四%に比して、その方面の価格が二割も上がっているということは非常に大きな問題でございます。  これにはいろんな問題がございますけれども、何といっても供給が不足でございます。でありますから供給の安定化をはかるということが基本になっております。結局、御存じのように、今日の日本の農政というものは転換期といいますか、非常に大きな困難を含んでおります。一方において余っておるものがあるかと思うと、一方において足らないものがある、こういう情勢でございまして、これらは議論も出ておりましたが、やはり低生産性部門におけるところの投資配分の問題等も大きな問題でございます。そういう意味において、たとえば野菜の場合に、野菜のかんがい投資一つとってみましても従来はなはだ不十分であった。こういうものに思い切って投資をしなければならない。そして、いわゆる天候によるところの影響というものをできるだけ遮断するようにしなければならない。こういうようなこともいま、農林省もせっかく努力をしてもらうようにわれわれとしても強く要望し、農林省もその方向で対策を検討してもらっておりますが、まあこれにもある程度の時間的な余裕が必要でございましょう、根の深い問題でございますから。こうした問題が解決できれば食料の安定ということがもたらされる。それによって食料価格が安定いたしますと、これは全体の物価にも非常に好影響を与える、こういうことになろうと思います。  これらを含めて、総体的に低生産性部門に対する投資というものをもう少しやっていく。そこで考えられますことは、今日まで政府がいろいろと、財政投融資をはじめとして、低生産性部門に対する投資をできるだけふやすという努力をしてまいりましたが、これを打ち消すかのごとくに、輸出関係、大企業関係の投資がさらに上回って行なわれるために、確かに一面格差が出ておる。これはどこから来ているかといいますと、先ほどの自己資本の問題とも共通でございますが、成長があまり高過ぎる。この成長が度を越えておるということが一面においてそうした政府の努力を無にする要素を非常に持っておると思います。そういう意味において、私たちはやはり成長を適正なところに持っていかなければならぬ。そういうことで引き締め等も行なったわけでございまして、来年はおそらく一〇%そこそこのところまで、実質でございますけれども、成長が少し鎮静化してくると思っております。そうしたことも非常に好影響を与える、安定をさせる一つの環境づくりになろうか、こういうふうに期待をいたしております。
  120. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 これはもちろん即決するというような問題ではありませんですが、この大蔵委員会においても、先般の寡占企業の価格の問題いわゆるビールの問題で非常に論議をしたわけですけれども、結局は、結果としては値上げになっている。収益をあげている麒麟麦酒までが値上げをした。もう情況証拠等を見るとはっきりしておるわけです。だれが考えてみても打ち合わせをやって上げているなということははっきりしているわけですが、これに対して、企画庁長官も努力された、国税庁も努力したけれども上がってしまったということなんですね。こういうことが今後もこのままおけば当然繰り返されるわけです。これらについて、公共料金に強い姿勢を示すと同様に、これら寡占企業が価格を支配できるような体制についてはどういうふうに来年度取り組まれるか。この一点だけ最後にお聞きしておきます。
  121. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 総体的に見ますると、管理価格といいますか、という問題のウエートは、まだ日本は諸外国から比べますとずっと低いと思っております。すなわち、需要供給の影響というものが価格に影響する度合いというものは、諸外国に比しまして日本はまだ高い。よく最近硬直化という話が出ておりますけれども、したがって硬直化の度合いは比較的少ない。まだ経済の体質の若い構造を持っておるとは思っておりますけれども、部分的に、部門的にこれを見ますると、いま御指摘になったような問題が出てまいります。で、これらにつきましては、今日の体制におきましていわゆる独占禁止法の運用というものをよほど十分に行なわなければなりません。いまお話しのように、話し合いがあったということなんですが、さて具体的な問題になると……(松尾(正)委員「あったとは言っていない」と呼ぶ)そうですか。なかなかそこをつかむことがむずかしい。そうした運用の強化という問題は、これはぜひとも進めていかなければならない。それで、総じてこのところに来て四年間の高度成長に非常に影響されまして、せっかく生産性の上昇というものがもたらされながら、その結果生じてきたところの果実というものを私企業の中で、労使だけで配分をするということになれてきてしまっていると私は思っております。これの一部をやはり消費者価格の引き下げに回すような、そうしたやはり空気というものを醸成しなければならぬ。そういう意味におきましても、やはりこの独占禁止法の運用の強化ということを非常に重視しているわけであります。
  122. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 長官の時間が急がれますので、次に所得政策の問題について二、三伺いたいのですが、まず、今回政府考えているいわゆる所得政策ですね、これについてはいろいろ定義があります。それで、所得政策ですから、当然私は所得全体に対しての政策でなければいかぬ、こう思うのですが、実際に今日までの総理の発言、通産大臣の発言等を通してみますと、ただ賃金の抑制だけを考えているような方向に見えるのですけれども、はたして、政府が今回やらなければならない、あるいはやりたい、こう考えている所得政策は広い意味のものなのか、あるいは狭義の賃金だけをまずさすのか。その点をひとつ伺いたいと思います。
  123. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 これは、所得政策については非常に人によって使い方が違います。まあ、普通いわれておりますのは、熊谷委員会というものの報告がございまして、これにおきましては、賃金所得以外の非賃金所得についてもこれをできるだけ抑制をしていく、こういう方向のものを所得政策であると、こういう定義づけを行なっております。  ただ、問題は、今日いわゆる企業の収益というものは、御存じのように景気の影響が非常に濃うございまして、景気のいいときには収益が上がりますけれども、景気が悪くなるとずっと下がってまいる。まあ今後も相当収益が下がるであろうといま予測されておりますけれども、そういう際に賃金が硬直的に上がるとそれが対照的に目立つというようなことで、おそらく、ことばを使う人たちが、あるいは賃金中心に使っている人があるかもしれません。しかし、私どもが所得政策と申しますときには、いま申し上げたような、熊谷委員会の報告のような意味での所得政策と、こういう概念を持っております。
  124. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 そこで、順序はちょっと前後しますけれども、賃金が非常に上昇しているということですけれども、最近の主要企業の賃金の上昇率、これだけ見ますと、確かにここ一、二年、生産性を上回った、こういう現象が見られます。しかし、これを直ちに、物価上昇の原因がもう賃金にあるんだ、こういう考え方は私は問題だろうと思う。きょうの、先ほどのお話しの経済調査協議会の報告の中にも、原因は、賃金が物価を押し上げているという、この悪循環ではないんだ、こういうふうに指摘しておりますが、結局、先ほどちょっと触れました寡占体制とかあるいは流通機構、こういう低生産性部門、こういったものの野放しが、結局手をつけられない点がおもな物価上昇の原因になっているんだ。したがって、こういう点を考えないで、ただ一気に賃金に持っていってこれを何とか押えたいということには、私は問題があると思うのです。そこで、賃金が高いという問題ですけれども、わが国の製造業の労務者の賃金、これを欧米先進国と比較した場合に、これはもちろん資料その他でむずかしいとは思いますが、総体的に一時間当たりではどういうふうになっているか。この点はどうでしょうか。
  125. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 二点問題があるわけでございます。  この第一点の、賃金だけを物価上昇の原因であるということは、政府はそんな考えを持っておりません。とかく過大に報道されておりますけれども、われわれもかねがね申し上げておりますように、今日の物価高というものは原因が非常に錯雑しております。特に四年間続くところの超高度ともいうべきこの高度成長、やはりこのことが物価に大きな影響を持っている。さらに言えば、この十年以上続いた高度成長のツケがいま回ってきた、極論すればこういう言い方もできるくらいに、この高度成長というものがやはり全体として物価に影響しておると思います。そして、しかし同時にその高度成長によりまして労働力の需給が逼迫してまいった。であるからどうしても賃金は上がらざるを得ない、これもまた事実でございます。しかし、賃金が上がるからといって、すぐそれが物価にどうということではございません。たとえば大企業をとってみますると、大企業においてはまだ生産性のほうが賃金の上昇より高いのが大部分でございます。これは産業部門によって非常に違います。労働集約的なもので、いま御指摘の生産性の低い低生産性部門でございますると、同じ製造業の中でもいわゆる生産性をはるかに越えて賃金の上昇しているものもございます。しかし最近のように合理化の進んだ大産業部門は、まだほとんどそれを越えておらないのであります。さらに、御指摘の低生産性部門と称する中小企業、農業に至りますと、これはもうはるかに越えているといわざるを得ません。こういうことでなかなか複雑でございますけれども、しかし、自分のところだけ生産性が上がったからといって一部門で賃金が上がりますと、そうすると他の部門に波及する。そして生産性の上がっていない部門では、労働力を確保する自衛手段上どうしても賃金が生産性を越えて上がる、そしてそれが物価に、価格に転嫁される、それも事実でございます。でありますから、賃金の平準化、この平準化という運動がだんだん波及してまいりまして、主として中小企業あるいは農業、農産物系統の物価の押し上げになってきておる、これもまた事実でございます。あるいは、御存じのように今日は国際的なインフレが非常にわが国の物価にも影響している、これも事実でございます。こういうことでいろいろな問題が、原因が錯綜して今日の物価高をもたらしておるのであります。  ただ、私どもが特に心配しておりますのは、今度いわゆる景気が鎮静化してまいりますと一人頭の売り上げが減り、したがって一人頭の生産性が縮小してまいります。昭和四十四年には一人頭、製造業の生産性は一五%といわれておりましたけれども、おそらくこれは四十五年にはずっと下がる。一二とか一三とかいう数字になろうと思います。生産性が下がってくるのに賃金の加速化がもし加わると、そこに生産性と賃金とのふつり合いがかえって激成してくる。そういうところから、よくいわれる不景気のもとにおける物価高という問題が生じかねない。そういう点を十分この際見きわめたい。率直にいって、賃金と物価の問題は理論的にはむずかしいのです。そういうことで理論的な究明もしたいし、それからまた、かりに所得政策というものを実施するにしましても効果がないと今日までいわれてきています。その効果の測定、一体ほんとうに効果的な対策が実施できるのか、効果が少なくて混乱だけ起こすものなのか、そうしたことも十分検討するに値する、こういうことで私ども審議会でもって検討しておるようなわけであります。  それから、御指摘の第二の労働分配率の問題でございます。この点は確かに日本は低うございます。国際的に低うございます。そこで、低いことは、これはその国の産業構造あるいはいろいろな条件によって今日まできまっておりますが、概してこの労働分配率は長期的に見るとそんなに動くものではございません。ただ景気の上昇期においては労働分配率は低くなり、不景気になりますと分配率は高くなる、こういうことがいえるということだろうと思います。しかし同時に——長期的に見て、したがってわれわれ分配率の問題を扱う気はないのですが、短期的に幾ら労賃を上げようと思っても、いつまでも生産性を越えて上がり続けるということは、これは経済全体とのバランスで無理がくる。そういう、つまりどっちかというと短期的な今日の問題としてそれを考えざるを得ない、こういう問題でございます。ですから、日本の分配率が低いこともわかっております。同時に、分配率は低いけれども非常に成長の度が高いものですから、絶対額は諸外国に比べてどんどんふえてまいっておることも事実であります。かつてフランスやイタリアは日本の労賃の二倍近くであったのでございますが、今日はイタリア、フランス、日本は、一時間当たりの労賃はほとんど同じになりました。そのくらいに、分配率は低いが絶対額が伸びていくピッチというものは世界で一番高い。これは成長が高いのですから当然です。そういういろいろな点もございますから、一がいに分配率の問題だけ議論する必要はない。まあ今後よく情勢々見きわめて、そしてこれが物価にさらにさらに影響を与えるということを非常に心配しておるようなわけであります。
  126. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 いま長官が言われるように、確かに労働分配率も低い。それから製造業の労務者の賃金等を比べても、時間がありませんからこれは伺いませんけれども、非常に低くなっております。アメリカの大体四分の一程度、こういう状態で、さらにこれに国民生活水準、これを比べてみても決して高いとはいえない。こういうことで、極端な言い方をすればもっと賃金は上昇させていいんだ。ただし、いま長官が言われたように、生産性を上回るようなものについてはこれは考えていかなければなりませんけれども、もっと生活水準、賃金水準というものを上げてしかるべきなんだ。こういうときに、いま政府所得政策ということを考えておるわけです。いま長官は相当準備期間をというお話ですけれども、先日予算委員会の総理の答弁等を聞くと、生産性を上回った賃金についてはこれは抑制していくのが当然だ。さらに宮澤通産大臣が八日の閣議では、家電業界、造船界あるいは私鉄、これらの例を引いて、来年度がガイドポスト導入の期間だ、こういう準備にもう入る時期だ、こういう発言をしておりますが、これらを総合をしてみると、どうも政府考えている賃金抑制ということに来年度あたり手をつけようとしているのではないか、こういう意図が察しられる。労働団体等においても、これに対しては徹底して抵抗していくというようなことがすでにいわれておりますが、この時期については、大体見通しはどうでしょうか。
  127. 佐藤(一)国務大臣(佐藤一郎)

    佐藤(一)国務大臣 だれしも賃金が上がることを望み、生活水準が上がることを望んでいるのですが、日本ぐらいどんどん上がっている国は世界じゅうにないこともこれまた事実であります。でありますから、決して上げ足りないということは私はないと思いますけれども、ただそれは無手勝でできることではございません。やはり、生産性が上がるということに伴って上がってまいる。幸い日本は今日までは生産性の上がりぐあいが世界で一番高かったから、賃金もこれだけ早いピッチで上がってきた。フランス、イタリアに追いつくようになったわけでございます。そういう意味において、上げるということ自身については、もうこの政府の政策自身がもともと基本的に反対でないことは御了承願いたいと思います。われわれは別に賃金の抑制を目的にしているのでも何でもございません。しかし、生産性を越える賃金の上昇が、ごく短期的なら別でございますけれども、長期に続くということになれば、これは当然のことながら物価にも影響しますし、経済のアンバランスを激成する結果になる、こういう意味でわれわれは十分注目しておる、こういうことでございます。
  128. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 時間がなくなってしまいましたので、次に税について二点ほど伺っておきます。長官はこれでけっこうです。  私は、四十六年度の税制改正の大きな課題というのは、所得税減税はもちろんでありますけれども、もう一つは租税特別措置の整理合理化、こういう点があげられると思うのです。すでに税制調査会の第二部会でもこれについてやっておりますが、先般私が指摘しました輸出振興税、それから貸倒引当金、交際費の非課税問題、あわせて医療保障制度の問題、これらについて十分公平という立場で進めてもらいたい。こういうふうに希望するわけですが、ただ一点だけ、前回指摘しました医療制度の問題について、大蔵大臣は、間もなく制度改正が行なわれる、こういう答弁があったわけです。そこで、保険局長来ておられますか——。保険局長にお伺いしたいのですが、保険制度改正の経過とそれから今後の見通しについてお答え願いたいと思います。
  129. 松浦説明員(松浦十四郎)

    ○松浦説明員 まず、医療保険制度の改正の件でございますが、これは現在社会保障制度審議会、それから社会保険審議会に諮問を申し上げまして、そちらで検討していただいているという階段でございます。さらに、診療報酬の体系の適正化ということにつきましては、これは中央社会保険医療協議会におきまして本年の一月に建議をいただきましたときに、診療報酬体系の適正化ということは今後進めていくということがきまっておりまして、現在そちらのほうで鋭意診療報酬体系の適正化ということを検討している、こういう階段でございます。
  130. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 見通しはどうですか。
  131. 松浦説明員(松浦十四郎)

    ○松浦説明員 診療報酬体系の適正化でございますが、これはたいへんむずかしい問題でございまして、その点につきまして早期に、できるだけ早く結論を得るように検討していこうということで、現在御討議いただいておるわけでございます。その見通しがいついつまでということについては、必ずしもはっきりしているということがない段階でございます。
  132. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 大臣に伺いたいのですが、いま聞いたとおり、大臣は近々に制度改正の見通しがあるということですけれども、非常にむずかしい模様です。したがって、今年度は、もし改正の結論が出ない場合にはやはりこれは手をつけずにいくのか、それともここで何とかしたいのか、これが一つ。  もう一点は、ほかの特別措置には全部期限が二年ないし三年と切ってあるわけです。ところがこれだけは議員立法等の理由で無期限になっております。この点もどうも不公平だということがあげられますので、これに期限をつけていくような考えがあるかどうか。この二点について。
  133. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 医療費の特別措置、これは松尾さんもよく御承知のとおりの件でありまして、昭和二十九年でありましたか、各党が共同で議員立法で成立した措置なんであります。それで、これは当時医療費の点数単価の処置とからまって決定されたものであります。そういう体系でずっと今日まで来ておるものですから、この点数単価問題の合理的な解決ということと並行しないでこの問題を処置するということがきわめて困難な状態にあるわけなんです。私どもも非常に苦慮しておるわけなんでありますが、いずれにしても、これは所得税体系の中で非常な大きな特例になっておるわけでありまして、何とかこれは解決の方向をたどらなければならぬ、こういうふうに考えております。いままで医療体系の抜本改正ということがいわれておったのであります。私どもはこの機会がこの問題の処置に非常にいい機会じゃあるまいか、そういうふうに考えておったわけでありますが、それが私どもの期待と違いまして、だんだんとずれてきておる。しかし、これと離れてこの問題の解決の糸口が見出せるかというと、これもなかなかむずかしいので、やはり根本改革を急いでもらうということがこの問題を解決する一番の早道じゃあるまいか、そういうふうに考えておるのです。ただ、この問題はそれと離れまして、財政制度審議会あたりから是正の努力をすべしという建議をいただいておる案件でありますので、抜本改正と離れて解決の道があればとも思っておるのですが、いまなかなかそういう方向が見出し得ざる状態で、苦悶をいたしておるというのが現状でございます。
  134. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 それではこれは答申が出たあとでも、またもう少し詰めてまいりたいと思います。それからもう一点は、きのう実は税について大臣のところへ申し入れをした、その一つ結婚控除を何とか考えてもらえないか、考えていくべきではないか、こういうことがあるのです。現在の結婚挙式の実態を見てまいりますと、非常に結婚費用が暴騰している、あるいはまた結婚しても住宅がない。こういった経済的な要素が影響して、結局挙式できないで内緑関係を結んでいる。これらが社会からも法律的にも冷遇視されて、それがためにいろいろな問題を起こしている、こういうようなことを大臣も耳にしているのではないかと思うのです。いよいよ結婚をして、社会人として、いわゆる人生の第二の出発を祝福する意味で、大企業等に優遇するのとは違って、今後の日本を背負って立つこの若い人の結婚に対しては、何とか税の面で少しでも寄与できるのじゃないか。問題をあげれば数限りなくあります。現在の税の課税最低限の構成人員が四人じゃないかという議論がありますが、人口問題から考えて、実際に一家四人家族というようなこともこれは軽視できない問題です。こういったことを考えると、祝い金という措置では相当大幅なものが必要でしょうが、二十万円程度の税の結婚控除、いわゆる雑損控除の中にこれを何とか含めていくべきではないか、こういうふうに考えるのですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  135. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 結婚控除論ですね、きょう初めて伺うわけで、何かきのうお話があったということですが、それは承っておりません。またどなたからもこの考え方については聞いたことはありませんが、なお、御意見でありますので、よく考えさしていただきます。
  136. 松尾(正)委員(松尾正吉)

    ○松尾(正)委員 だいぶ時間を急いでいるそうですから、もう一点あるのですけれども次の機会にして、これで終わります。
  137. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 春日君。
  138. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 当面しております課題について、特に政府の方針を確かめておかねばならぬと思われる二、三の問題についてお伺いをします。  第一番に、中小企業向け年末金融の問題でありますが、政府は十一月十三日の閣議で、政府関係三公庫に対して合計千五百九十億円の年末貸し出し増を決定されたのであります。これは政府関係三公庫でありまするから、当然これに対する政府の財源原、原資措置等がなされるでありましょうから、これはこのまま実行されると思うのでございます。ところが同時に、その閣議決定に基づいて、民間金融機関に対して中小企業向け貸し出し増の要請が行なわれまして、これを受けた民間金融機関が、全国銀行で七千九百億、相互銀行三千五百億、信金が四千六百億、合計一兆六千億という年末に向けての貸し出し増を決定をした、こう承っておるのでございます。  ここで私がお伺いいたしたいと思いますることは、御承知のように現在倒産が相次いでおります。この中で、特に年末資金梗塞は中小企業において非常に顕著なものがあるわけでございまして、何らかの救済金融というものが特に要請されておると思うのでございます。しかしながら、政府の政策金融が千五百九十億の増であり、これに対して市中金融機関の増が実に一兆六千億という、こういうプランが立てられておるわけでありまするが、このように実行されるものと政府は期待しておるであろうかどうか。期待されておるとするならば、この原資というものはこれら民間の金融機関はどのようにして調弁、調達するであろうか。これをひとつ伺っておきたいと思うのでございます。と申しまするのは、いずれにしても金融機関が資金難でああだこうだというて、去る十月、一応金融緩和の措置がとられたとはいいながら、たちまちにして大企業その他から、公害融資の問題もあり、あるいは長期設備投資の融資も殺倒しております。こういう中で一兆六千億の資金増、年末にあたり特に中小企業にイヤマークをつけてこれだけの貸し出し増を行なおうとすれば、それだけの原資というものの手当てが確保されなければならぬと思うのでありまするが、どういうぐあいにこの三つの金融機関は原資調達を行なうであろうか。政府はこれに対してどのような合力をせんとしておるものであろうか。この点を伺いたいと思います。
  139. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 政府関係三機関につきましては、財投を中心といたしまして完全な財源手当てをいたします。また貸し出しのほうも予定のとおり行なわれる、かように見て差しつかえない。間違いない。  それから民間のほうは、これは統制をいたしておるわけじゃないので、民間金融機関がこのくらいの努力をするという見通し、その数字でございます。もちろん金融機関のほうでその見通しを出すにあたりましては、日本銀行からの借り入れ、そういうものを含めまして、財源対策というか原資の対策を整えておる、こういうふうに考えられますが、もし詳細が必要でありますならば銀行局長からお答え申し上げます。
  140. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 私が特にこの際伺っておきたいと思いますことは、閣議の決定に基づいて民間金融機関にこれこれの貸し出し増が年末中小企業金融として行なわれることを要請されて、よろしいといって、全銀、相銀、それから信金がこういう計画を立ててまいっておるわけでございます。われわれがここで確認したいことは、そのような計画が実行されることを期待するのであるが、客観的にそれを期待する以上は、そういう原資がどこからどのように調弁、調達をされるものであろうかという、このことなんでございます。たとえば全国銀行ならば日銀から借りることもできるでございましょうし、日銀はその場合はイヤマークをつけて貸し出すことに相なろうかと思うのでありますが、相互銀行あるいは信金等は日銀と取引関係がございませんから、そういう金をどこから持ってくるのであろうか。その資金源が明確に立証されませんと、貸し出すというておいて貸し出さなくてもそれで済んでしまう、こういうことに相なるのでございます。したがって、この点の経緯を——新聞報道によって全国の中小企業者は民間金融機関にそれぞれの期待を寄せておるでありましょうから、この辺の内実をひとつ御説明を願っておきたい。
  141. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 この間の閣議できめましたのは、三公庫の年末金融対策をきめたのです。その際参考として、民間金融機関は年末中小企業融資をこのくらいするという見通しを申し上げた、こういう性格のものです。なお、その見通しといってもこれは空なものじゃございません。その原資をどういうふうに調達をするかというようなことは銀行局長のほうからお答え申し上げます。
  142. 近藤政府委員(近藤道生)

    ○近藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの各機関ごとの原資の計算につきましては、それぞれ過去のトレンドから見まして、資金の、預金の増加率、増加額を算定いたしまして、各協会ごとに、それに基づきまして、貸し出し中このくらいのものは十分中小企業に回せるということを算定いたしまして、はじき出しております。
  143. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 そういたしますと、閣議決定に基づいて民間金融機関に、年末にあたってそれぞれの貸し出し増を行なってもらいたいという要請が行なわれ、それにこたえてこれこれの計画、数字が出されておるわけでありますが、その原資となるものは、言うならば預金の自然増というものにもっぱら依存せんとしておるものであるのか。あるいは、全国銀行にしてみればそのために日銀から特別ワクで貸し出しが行なわれるのか。単なる期待であり——というのは、自然増に期待をしておれば、自然増がなければ何ともならないし、特別の措置というものは政府で何か行政指導その他でとっておるのかおらざるのか、この点をひとつ銀行局長から……。
  144. 近藤政府委員(近藤道生)

    ○近藤政府委員 ただいまの特別の措置をとっておるということは、特にございませんが、たとえば四十四年度で申しますと、一兆三千六百億という目標額に対しまして実績が一兆三千九百二十五億ということで目標を上回るということでございまして、目標に達しなかった年もございますが、各協界といたしましてそれぞれ自主的に積み上げ計算をいたしまして、たとえば、都市銀行の場合、日銀借り入れ等を含めました全体の計数のうちで、中小企業にはこれだけ回せるということを計算をいたしまして出すようにいたしております。
  145. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 そういたしますと、政府で別に資金計画というものがなされておるものでもないことにかんがみまして、どうかひとつよろしく頼む、できるだけやりましょう、こういうようなことで数字が出てきておると思うのでございます。しかし、過去の実績が大体そうだといういま御答弁々得ましたけれども、実際的に、現実にそれだけの貸し出し増がなされておるかどうかというようなことについては、政府関係三公庫の場合とは違いまして、確認する手段というものはあってないようなもので、一方的報告を信頼するしかないと思うのでございます。少なくとも信用を生命とする金融機関がインチキの報告を政府にするとは思わないけれども、特に金融梗塞がひどい現状にかんがみまして、政府が要請し、彼らがオーケーと答えたことが確実に実行されますように、今後とも十分ひとつ御配慮を願いたい。このことを大臣に強く要請をいたしておきたいと思うのでございます。  次は、企業倒産とこれに関連する救済措置についてお伺いをしたいのでありますが、東京手形交換所の記録によりますと、十一月の倒産が九百十八件、一千万円以上の負債で、こういうことになっております。十月の最悪のレコードがかくのごとくに更新をされておる。これは言うならば、十月に金融緩和がなされたけれども、この実効はいまだあらわれてはいない、こういうことなのでございましょう。同時に一方、あの一年一カ月にまたがりまするところの金融引き締めのしわというものが、ようやくにして十月ごろからぐっとあらわれてまいっておる。片一方においてはしわが濃くあらわれておる、片一方においてはその緩和措置が効力をまだ発生していない、こういうことによって十一月の倒産というものがふえておる。私は、十二月もさらにこの悪いレコードを更新するのではないか、こんなことが心配されます。  さらにもう一つは、公害防除施設に対しまするところの、中小企業関係公害防除施設を義務づけられるとかなんとかいうことによりまして、この資金増も相当のものがあろうと思います。そのことがやはり経理を苦しくして、みんなお手あげになってくる、こういうこともあろうと思うのでございます。したがって、私はこの際、公害防止施設に対します金融、これが政策的に何らかの強力な措置を講ぜられる必要が特にあると思うのでございますが、これはただ単に中小企業対策というばかりではなくして、公害防除の政策を強力に推進するためにも、当然まず金融、同時にこれに対する税法上の特別措置を、同時並行して強力に措置される必要があると思うのでございますが、これについて政府の御見解、方針はいまどうなっておりますか、お伺いをいたしたい。
  146. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 お話しのとおり、公害対策金融はきわめて重要だと思うのです。これに対する考え方といたしましては、既存の金融機関を活用する。たとえば大企業につきましては開発銀行、これはいままでも特別融資をしておりますが、なお強化する。あるいは中小につきましては中小三機関があります。この資金の拡充をはかる。それから公害防止事業団、これが公害対策を従来ともやっておることは御承知のとおりでありますが、この機能も強化する、こういうことでやっていきたい。こういうふうに考えておりますが、このシステムを変えるということはなかなかむずかしいと思うのです。たとえば公害対策だけが金融じゃないのです。ほかのいろいろな問題と並んで公害対策金融というものが行なわれる。中小公庫が一般の金融をいたしておるある企業につきまして、公害だけの問題は別の統一された金融機構が担当するんだということになると、そこにまた判然としない問題も起きてくる、こういう不便もあるわけであります。したがって、中小企業中小企業担任の政府三機関にこういう公害も担任させるというような考え方をとっておるわけなんです。それでやってみます。やってみて不都合があればまたひとつ考えるところがあるかもしれぬ、こういうふうに思いますが、いまはとにかくそういう考え方のもとに既存の機関を活用するという考え方であります。
  147. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 その任務を担任せしめる人格は、いまお示しのようにさまざま国の機関としてある、これらにやらしめる、こういうことでございますが、なお広くは民間金融機関を活用する、こういうのでありますが、戦中、戦後ありました金融準則というものは、もうなくなってしまったのではないかと思いますが、いまでもありますか。金融の優先順位を定めたもの、あれはいまでも有効でありますか。
  148. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 ただいまのは融資準則だと思いますが、これはありません。
  149. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 私は、そのような事情にかんがみまして、いずれにしても中小企業公害防除の施設を急がなければならない、でなければ存立の基礎を危うくする、こういう時点に立ちまして、少なくとも公害防除施設に対する資金というものが強く要求されてくるのは当然の事柄であろうと思いますし、したがって供給体制というものを適切に整備する必要があろうと思うのであります。  そこで、いま大臣がおっしゃったように、公害防止事業団とか中小企業金融公庫とかあるいは中小企業振興事業団ですか、こういうものにその任務を背負わせるといたしましても、やはり問題になるのは、政府関係ではその原資でございます。民間金融機関ではやはり金融順位、貸し出し順位みたいなものではないかと思うのでございます。したがって、政府関係においてはその原資をひとつ十分準備してやってもらいたいということ、民間の金融機関については、ここにあらためて融資準則みたいなものを設定するのはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、公害防除施設設備することのために必要なる資金については優先的に応諾せしめていくというような、何らかの効果ある措置をとっていただく必要がありはしないかと思うのでありますが、この点の御見解はいかがでございますか。
  150. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 金融機関も公的な任務を持っておるわけでありまして、融資にあたりましてもやはり国家的、社会的要請ということを第一義に考うべきものである。かように考えます。そういうことで、国家的任務の遂行、そういう運営が望ましいということで、銀行協会あるいはその他の金融団体と常日ごろ懇談しておるわけです。そういうこともありまして、公害が当面の非常に大きな問題である、そこで金融機関の中では、公害を特別に重要視いたしまして、公害特別勘定というような勘定科目まで設けて融資に当たるというところも出てくるというような状態でございます。行政指導といいますか、金融機関との接触のつど、公害対策の重要性を強調いたしまして、おのずからそういう実績があがっていくというふうにぜひともいたしてみたい、かように考えます。
  151. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 私は、そういうような社会的責務というか、当事者の良識にまつ、またこの間、行政府がそのような訓示や指導を行なっていくということも効力がないとは思いません。けれども、末端金融機関というもののその社会的責務に対する自覚だけにこれを期待するということで、効果があがれば文句ございません。われわれはその効果を論じておるわけなんでございます。ところが、この間うち新聞紙上をさまざまにぎわしておりますように、金融機関、もとより信用が生命の機関でございまして、比較すればレベルが高いでございましょうけれども、中には無軌道な連中もなくはない。そういう中で、さまざまな融資が申請されます中で、これは公害融資なんだから、社会的に国家的に抜き出して、どうしても応諾しなければならぬという判断をもって実行するという金融当事者が大部分であるか、あるいはごく少数であるか、これはにわかに判断の立てがたいところであろうと思うのでございます。だから私は、立法措置とまで言うのではございませんけれども、なるたけそれに近いところの行政措置等によって、一つは環境の整備、一つ中小企業がそのような社会的要請にこたえて公害防除というものをスピーディーに完結できるように、適切な措置をとっていただくべきであろうと思いますが、この点についていかがでございますかという質問と、それから前の質問の、三公庫並びに開銀、そういうところに対します、必要なる公害防除に対する原資の手当ての措置はどういうふうにお考えになっておるか。両点、ひとつ御答弁願います。
  152. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 開発銀行政府関係中小三機関に対する原資の手当て、これは四十六年度予算において十分配慮いたしたい。(春日委員「どのくらい」と呼ぶ)まだそこまできまっておりません。  それから民間の金融機関に対する行政指導につきましては、できる限りの努力をいたしてみたい、かように考えます。
  153. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 来年度の政府関係金融機関に対する原資の手当てがまだ明確に定まってはいない、こういう御答弁でございますが、この間、本委員会でございましたか、ちらっと伺ったところによりますと、政府の予算措置が一千何千億、それから財政投融資がざっと二千億とかいうようなことをここでお述べになったような感じがするのでありますが、私の聞き違いでありますか。  それからもう一つ伺っておきたいと思いますのは、この間も、わが党では竹本政審会長ですが、四党政審会長会議でこの問題でいろいろと案も出てまいりました。わが国におきまする産業公害というものを完全になくするためには、一体どのくらいの金が要るであろうと概算を尋ねましたところ、それは明確ではないけれども、三十兆円くらい要るのではないだろうか、こういうような意見を聞いたことがございました。私は、そういうような天文学的数字はなかなか手当てすることは容易ではないと思いますが、しかし、そういうような資金規模を要する大きな仕事でございますから、これに対します初年度四十六年度の財政投融資というものは大いにふんばって踏み出していただく必要があると思うが、初年度の予算規模はまだ何にも固まっておりませんか、伺っておきたいと思います。
  154. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 千億、二千億というのは、あるいはどこかで申し上げたかもしれません。これは各省からの要求がそれだけだ。つまり、一般財源について千億余り、それから財政投融資の増額要求が二千億ちょっと、これは二千二、三百億になりますか、そのくらいということなんです。公害対策はたいへんな金が要るのです。これはちょっと見当がつきません。つきませんが、大方は公害発生源であるところの企業でありますとかその他の者がこれが負担に当たるわけでありまして、次いで公害対策事業の実施主体である地方公共団体、それからまたそれに協力する立場の国、こういうことになるので、一般財源といたしますとわりあいに金額としてはありません。しかし政府関係で融資をいたしますとか減税措置がありますが、そういうようなもの、それらを総合いたしますとかなりの対策になるのではあるまいか、かように考えております。
  155. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 前の質問の中で、金融上さまざまな手を尽くそうと言われたが、税制の優遇措置はどういうふうに考えられておりますか。まだ固まっておりませんか。
  156. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 二つの場合に考えております。  一つは、これは企業公害防除施設をなす、その施設の出費に対しての税制対策であります。これに対しましては従来とも特別償却、また耐用年数の短縮措置、買いかえ制度、これを認めるというような措置がとってあるわけでございますが、これはかなり手厚い措置であります。しかし中小企業につきましてはさらにこの手厚い措置をもっと厚いものにしようという方向で考えております。  それからもう一つの場合は何かといいますと、企業自体は防除施設公害対策施設はしないが、しかし公共団体等が公共事業として対策事業をやる、その費用を分担するケースがあるわけです。これは費用負担法によるわけで、その分担する費用に対しましてどういう税制措置をとるか、こういう問題でありますが、これは全部が全部というわけにはまいらぬと思いますけれども、一部が損金として考えられないかという方途についてただいま考えております。こういうふうに御了解願います。
  157. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 ぜひともひとつ大幅にお願いをいたしたいと思います。  それから、次は公定歩合の問題について。問題が若干大き過ぎる感じがいたしますが、十月に六・二五から六%に下げられまして本日に至っております。この間、米国では十一月十一日に六%から五。七五に下げられまして、その次に末の三十日に五・五と再度引き下げがなされました。なお一方、西独でもこれが十二月三日に六・五%から六%と、こういうぐあいに、公定歩合がずっと一種の風潮のような形で引き下げられております。こういう情勢のもとにおいて、わが国がここで六%の公定歩合をなお当分堅持する方針であるのか。あるいはこれを再度引き下げる方向に向かって検討がなされているのであるか。問題は、こういうような情勢でありますと、結局は外貨の短資が日本にことさらに流入してくることによって、日本のいま国際的にさまざまな問題になっております外貨保有高が著しく増大するようなことにはならないか。そのことがまたさまざまな問題を発生することにはならないか。いろいろと思案がなされておると思いますが、公定歩合について大臣は、ここ当分の間この六%を堅持されるか、あるいはアメリカの例にならって国際的にその歩調を合わすように検討がなされておるのか。大体のことをお伺いいたしておきたいと思います。
  158. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 公定歩合は、これは日本銀行がきめる問題でありまして、私どもが口を差しはさむことは少し出過ぎたことになるのじゃあるまいか、そういうふうに考えます。お話しのように、あるいはドイツにおいて、あるいはアメリカにおいて公定歩合の引き下げが行なわれたわけです。それに伴いまして、ことにアメリカの公定歩合の引き下げ、これがわが日本に有形無形の影響はなしとはいたしません。しかし、いま御指摘のように短期資金がそのために日本に入ってくるというようなことは、それはそう心配する必要はないというか、わが日本では短期資金につきましては厳に抑制する——出たり入ったり、これを抑制をするという政策をとっておりますのでそう心配はございませんが、いま景気が非常に機微に動いておるという情勢でございますので、日本銀行もこれは、これから春にかけての景気の動きということを注目しておられることじゃあるまいか、そういうふうに存じます。
  159. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 この問題はやはり景気の動向を決定する相当の要因であろうと考えられますし、日銀の所管事項ではありましょうが、当然大蔵大臣の合議事項であろうと考えます。この点については、言うならばいま日本の景気は好況と不況とが同居しておるという、低気圧と高気圧とが同じところで同時に発生しておるみたいな感じがいたします。万一その施策があやまつがごときことがありますと、事態憂慮すべきものがあらんと考えますので、事前の措置、万遺憾なきを期していただきたい。この点を要請いたしまして、最後に自動車新税について、午前中松本君、藤井君から御質問があったようでございますが、わが党からも大臣の方針をひとつよく確かめておきたいと思うのでございます。  われわれの調査しているところによりますると、四十四年度の自動車関連の税収総額が実に九千七百億円である。しこうしてこの道路の投資総額というものは四十四年度において二十億円下回っておるという、これが示されております数値でございます。もっとも、この下回っておるという中には、有料道路に対する投資額は含まれておりません。ことほどさように、自動車の製造あるいは所有あるいは保有、使用、各段階にまたがって八つもの税制がございまして、道路投資額よりも税収が三十億円も多いというその現実から考えまして、この問題については慎重なる検討が必要ではないかと思うのございます。発案者の御意見によりますと、社会投資、社会開発のために原資が必要であり、その原資をこういう方向に向かって求めんとしておるようでございますが、私は、なるほど道路にしても橋梁にしても、あるいは港湾にしてもあるいは鉄道にしても、整備充実せなければならぬとは思いますけれども、だからといってそれを自動車のユーザーだけの負担によってということはいかがであろうか。たとえば、現代に生きるわれわれだけがそれを負担するのでなく、道路にしても、そういうような社会資本というものは相当長期の生命を持つものでございますから、これは後代の諸君も適切にそれが負担できるような方法で考えてもいいではないか。すなわち公債政策というようなものをこの社会開発の原資の中に導入していく、そういう時期がいまやここに到来をしておるのではないかと思われるのでございます。日本の経済のかっぷくは大きくなっておりまするし、あるいは天井も高くなっておると見るべきでございましょう。こういう中で、いままでのような短期公債ということになりますると、これは結局は翌年から買いオペの対象になるということで、先般も堀君から論じられておりましたように、結局はこれは赤字公債そのものである。だから建設公債的性格で長期公債、こういうものを発行することによってそういう社会資本という本のの原資に振り向けていくということは論理もかなった問題であると思うのでございます。そういう意味で、いま全国的にこれはユーザー、関係国民が声を大にして猛烈な反対をいたしております、このときに、しかもその反対の論拠も相当論理がかのうております。また政策的に検討いたしましても、物価高になったり中小企業を圧迫したり、さまざまなデメリットも多いのでございまして、こういう中に早急にこの自動車新税を創設断行することは、何かしら非民主的な印象が強いのでございます。大臣、この問題は現段階、デリケートだから、いまここで意見を端的に述べがたいという午前中の御答弁であったようでありまするが、このような事情にかんがみ、なおこの際大臣の御所見、方針というものを、可能な限りひとつ明確にお示し願いたい。  十日ばかり前には、自民党商工部会はこれについて反対だ、だからもうけじめがついたと報道されておりました。けさの新聞によりますると、地方行政部会が何らかの形で創設すべしというふうに踏み切ったということで、消えたと思われた焼けぼっくいにまた火がついたり何かいたしております。関係国民はたいへん騒いでおります。特にわれわれ自動車労連、全国自動車労働者も、みずからの労働条件を脅かすおそれありということでたいへん気をもんでおります。大臣は所管責任者としてこの問題についてどういうような方針で取り組んでおられますか。この際御所見のほどを伺っておきたいと思います。
  160. 福田国務大臣(福田赳夫)

    福田国務大臣 先ほども申し上げたのですが、道路五カ年計画というものがあります。これは五カ年間に十兆三千五百億円が要る。その財源といたしまして、どうしてもその財源欠陥三千数百億、五カ年間のものですが、これを埋めるということを考えなければならぬ。ところが新しい交通問題として地下鉄の問題が出てくる、あるいは新幹線網をつくるという問題も出てくる、あるいは飛行場の整備、これも焦眉の問題になってくる。この機会に総合的な交通体系を立ててみたらどうだろうか。そうしてその財源というものを検討したらどうだろう。そうするとこの自動車新税というものも、道路五カ年計画の規模よりはさらにさらにこれを拡大する必要が出てくるのじゃあるまいか、こういう説が出てきておるのであります。また、したがってこの税は道路にもっぱら使用すべき性格のものじゃないか。つまり、自動車から求めるものでありまするからこれは道路だけに限定して、飛行場だ、あるいは新幹線だ、そういうところに使うのはちょっと筋道が違うのじゃないか、こういうような議論、それからいまお話しのように、国がそれだけの財源対策をするならば地方のほうでも同時にしなければならぬ、こういうことから、国がそれだけの税をととのえるというならば、地方も何らかの形で別に税を取るとか、あるいは国で徴収したものを幾らか分けろとか、そういう問題も起こってくるとか、いま非常に複雑ないろいろな問題をはらむようになってきております。議論もたいへんでありまして、百家争鳴というような状態でありますが、いずれにいたしましても、これは最小限、道路五カ年計画という計画に対しまして財源を充実させなければならぬ、こういう問題があります。したがって、自動車新税——いろいろな組み合わせによるいろいろな構想が出ておりまするけれども、何らかの形の財源を調達するという必要に迫られておる。しかしそのやり方につきましては、いろいろな波及する影響がありますので、慎重にも慎重を期してやっていきたい、かような考えであります。
  161. 春日委員(春日一幸)

    ○春日委員 私、ちょっと汽車の時間が来ておるものでございまして……。  まあ、現実の問題としまして、大臣はかつて公債政策に踏み切ったチャンピオンでございますから、あの短期公債に踏み切られたときの心境と勇気をもってすれば、今度長期公債に踏み切るというようなことは私はそう困難ではないと思う。あの当時から比べますると、日本経済のバイタリティーというものはこれはもう大きなものになっております。したがって、そういうものを吸収消化する能力はもうあるものと見通しを立てるべきでございましょうし、あの当時から行なわれておりましたところの建設公債論というようなものもだんだんと客観的に合理性、妥当性を持ってきたようでございます。したがって、道路の費用というものがいろいろ要るであろうことは、これはみんな認め合っておるのでございますが、それを自動車にのみ目くじらを立ててここに求めるというような考え方は、これは私は適当ではないと思う。もとより、かねがね、あの目的税というものが行財政を硬直化せしめることによって、これは適当じゃないという理論も本委員会でしばしば強調し合ってまいったところでございまして、こういうような意味合いから、とにもかくにも、この際、新しい税制の変革期にもございましょうし、さらに公債政策の画期的な変革期にも到来しておるものと見れると思うのでございますから、かれこれ総合的に判断されまして、広く国民の期待にこたえるようにひとつ善処を願いたい。  以上、強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
  162. 毛利委員長(毛利松平)

    毛利委員長 次回は、明後十八日金曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会