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1970-12-16 第64回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十六日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 鴨田 宗一君 理事 進藤 一馬君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       左藤  恵君    前田 正男君       山田 久就君    岡田 利春君       中井徳次郎君    松平 忠久君       横山 利秋君    岡本 富夫君       松尾 信人君    川端 文夫君       吉田 泰造君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         警察庁刑事局長 高松 敬治君         外務省経済局長 平原  毅君         通商産業省繊維         雑貨局長    楠岡  豪君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      味村  治君         大蔵大臣官房審         議官      中橋敬次郎君         食糧庁業務部長 中村健次郎君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 十二月十五日  商工会経営指導員並び補助員身分保障に関  する請願下平正一紹介)(第一四四四号)  同(林百郎君紹介)(第一四四五号)  中小企業対策に関する請願樋上新一紹介)  (第一七六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  通商産業基本施策に関する件  通商に関する件  請 願   一 商工会経営指導員並び補助員身分保     障に関する請願井出一太郎紹介)(     第八四一号)   二 同(小川平二紹介)(第八四二号)   三 同(唐沢俊二郎紹介)(第八四三号)   四 同(小坂善太郎紹介)(第八四四号)   五 同(羽田孜紹介)(第八四五号)   六 同(原茂紹介)(第八四六号)   七 同(増田甲子七君紹介)(第九六三号)   八 同(松平忠久紹介)(第九六四号)   九 チッソ株式会社水俣工場新規事業の指     導援助措置に関する請願川村継義君紹     介)(第九〇三号)  一〇 米国における金属洋食器輸入制限に関     する請願小沢辰男紹介)(第一一八     九号)  一一 商工会経営指導員並び補助員身分保     障に関する請願下平正一紹介)(第     一四四四号)  一二 同(林百郎君紹介)(第一四四五号)  一三 中小企業対策に関する請願樋上新一君     紹介)(第一七六七号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  この際、本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は十三件であります。  その取り扱いにつきましては、先刻理事会において協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員説明等を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程第一ないし第一三の各請願は、いずれも趣旨妥当と認められますので、採択の上、内閣に送付すべきものと決定するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 八田貞義

    八田委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は十五件ありますが、お手元に配付しておきましたので、御了承願います。      ————◇—————
  7. 八田貞義

    八田委員長 次に、閉会審査申し出に関する件につきましておはかりいたします。  すなわち、  伊藤惣丸外一名提出、兵器の輸出禁止に関する法律案  並びに  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  公益事業に関する件  鉱工業に関する件  商業に関する件  通商に関する件  中小企業に関する件  特許に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  及び  鉱業と一般公益との調整等に関する件  以上、各案件につきまして、議長に対して閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  9. 八田貞義

    八田委員長 それでは、通商産業基本施策に関する件、通商に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。これを許します。中村重光君。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣お尋ねをいたしますが、かつて、道路財源確保という面から自動車新税構想というのが田中幹事長から出されまして、各方面から相当賛否両論が戦わされたようであります。また、予算編成が大詰めに近づいてまいるに伴いまして、この財源確保ということで、最近非常に公式にこの問題が議論され、自民党もそれぞれの機関において検討をする、そういったことが報道されているわけでありますが、通産大臣自動車関係所管大臣として、この自動車新税というものに対してどのような考え方を持っておられるのか、この際ひとつお聞かせいただけば参考になると思います。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 道路長期計画、いわゆる十兆円余りの五カ年計画との関連財源として話題になっておるわけでございますが、政府としては、御承知のように、まだ終局的な結論には立ち至っておりません。  私は、この問題を考えます際に、十兆円余りの投資に見合う財源の計算というものをもう少ししっかり客観的に打ち立てる必要があるであろうということを考えております。つまり、何年後に自動車登録台数がどのくらいになるのかというような見通しの問題がございますので、こういう点について、とかく従来のわが国経済予測というのは過小評価をしやすいわけでございまして、いろいろな数字が議論されておりますけれども、どうもその中でやはり過小評価があるのではなかろうかということを、私としては感じておるわけでございます。そういたしますと、その点をまず究明いたしませんと、現実に財源不足になるのかならないのかということも必ずしも明確でございませんし、また、一般会計がどの程度負担をするかということにつきましても、過去におきましてはかなり負担しておりましたが、これを今後どの程度に見るか、また地方の負担をどう考えるかというように、資金の需給計画をもう少し客観的に正確に検討する必要があるのではないかということを前提として、実は考えておるわけでございます。本来、自動車相当たくさんの税金を背負っておりますので、さらにこれに税金を背負わせるということは、私としては好ましいこととは実は考えておりませんが、まずそういう財源予測検討というところから、問題をそこに立ち返って考えてみる必要があるのではないかというのが、ただいまの私の態度でございます。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 目的税的なものをやたらに新設をしていくということについては、いろいろ問題があるであろうというふうに感じられるわけですが、自動車新税に対する通産大臣の、非常に健全な、慎重な考え方というものに対しては、十分理解できるわけです。あとで悔いを残すということがないように、十分ひとつ所管大臣としてもさらに検討をしていただきたいということを要請をいたしておきます。  次に、繊維の問題について大臣考え方をお聞かせいただきたいと思うのですが、けさの新聞でございましたでしょう、「一両日中にも一新訓令」というのが報道されているわけでございます。また、自民党福田繊維対策特別委員会委員長その他数氏が、訪米をいたしておるようであります。この前の当委員会におきましても、アメリカ側提案に対する日本反対提案と申しましょうか、あるいはそれに続いて日本側最終案というようなものを中心にいたしまして、いろいろとお尋ねをいたしてまいりました。この日本側から提示いたしました最終案に対するアメリカ側の反応と申しましょうか、それはどういう形に出ておるのでございましょうか。   〔委員長退席武藤委員長代理着席
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 双方の案とも、幾つかの要素から、当然のことながら成り立っているわけでございますが、その中のあるものについては、まず話ができるという感じのものもございますが、その他の、これも一点ではございませんが、幾つかの点についてなかなか両方意見が合いませんで、ただいま、さらにその幅が狭められないであろうかどうかということを、先方検討し、私ども検討いたしておるような状態でございまして、すでに十回あまり、交渉当事者二人の会談は続けられておるわけでございますが、いわば問題の幅が狭まるに従いまして、両方意見調整が困難になりつつあるというのが、ただいまの段階でございます。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 この牛場フラニガン会談で、かつてアメリカ側が、二十品目を十九品目修正してきておったということであったわけでございます。ところがまた、そうした会談を重ねていく中で、もとの二十品目修正をされたということも伝えられているわけですが、そうしたようなアメリカの硬直した態度というものが、具体的に出ているのでございましょうか。
  15. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はそこらあたりは、何度かの国会における、あるいは委員会における御決議と関連をいたしておりますところでありまして、私どもは、交渉対象になる品目というものは、極東の地域からの輸入相当の量に達しておることがやはり前提ではないであろうか。今回の交渉は、わが国、韓国、台湾、香港等がその当事者になっていくわけのものでありまして、ヨーロッパ諸国交渉の相手方になるわけではございませんので、したがって、これらの地域から相当量のものがアメリカ市場に入っている、そういうものが交渉対象になるべきものではないのか。逆に申しますと、ヨーロッパ地域からの輸入相当量を占めておるというものは、われわれとしてはいわば直接関知しないのでございますから、そういうものは交渉対象になることは適当でないという考え方を終始とっておるわけでございます。その辺の問題をめぐりまして、相当量というのが何%ぐらいであるか、というようなところで考えが開いておりまして、その考え方いかんによりましては二、三品目動きが出てくる、こういうことかと見ております。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 私どもは、繊維問題で当委員会においてお尋ねをし、議論をやっておりますけれどもお尋ねをして、お答えの中でその動きを知るということ、また新聞報道を通じてそうした情報を知るということ以外には、全く何もないわけです。したがいまして、新聞報道等通じまして、非常に重要な問題点であるというように感じておりましたことについて、お尋ねをしてみたいと思うのですが、日本側は、規制期間二年九カ月ですか、以後の取り扱いについていわゆる歯どめを設けず。以後延長しないというのが歯どめであったと思うのですが、それをはずして、事実上規制が延長できるという具体的な新たな譲歩案を提示したということが伝えられているのですが、この点事実でございましょうか。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は事実ではございません。私どもは、この取りきめは一定期間経過後に終了すると、はっきりあとへ尾を引かないという表現を確保しなければならないと考えておりますし、実態もまたそうでなければならないと思っています。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 考え方としては明らかにしていただいたわけです。ところが、いま私が申し上げましたのは、たしかきょう牛場フラニガン会談というのが、十二回会談だと思うのですが、きょうこのことが提案されるというような報道になっているようですね。全くそういうことは考えていない、それよりもむしろそのようなことは日本から提案することはない、というように理解をしてよろしゅうございましょうか。
  19. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それでけっこうでございます。今日、牛場フラニガン会談がありますかどうかは、実は私つまびらかにいたしませんが、私どもとしては新しい訓令を実は送っておりませんので、かりに会談がございましても、それは何かいままでのこととの関連であろうと思いますので、そういう訓令をいたしてはおりません。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 業界は御承知のとおり、日本側相当譲歩した案を最終提案その他でお出しになっていらっしゃる、それに対しては、もちろん反発をしている、納得できるものではないという態度を堅持しているということですね。そうなってまいりますと、さらにこれに譲歩をした案をお出しになるということであるなら、とうてい業界側が受け入れることではないであろうということは、通産大臣もよく理解をしておられると私は思うわけです。  これまた新聞報道されておることですが、愛知外相は、業界を説得できないような譲歩案では自由規制が実施できない、暫定合意書は、そうなってくると空文化する、日米外交には大きな汚点を残すだけではなく、日米通商の面でも米側の報復を招くという配慮から、米側暫定合意をとりつけることに対し二つ条件をつけたということが伝えられているわけです。その条件というのは、「業界を説得できる暫定合意を取りつけること」、二点は、「暫定合意の内容が業界説得に足らない場合、交渉技術説得工作など戦術的な面で打開可能とすること」、この二つ条件通産大臣につけた。これが可能であるならば、通産大臣暫定合意書出しなさい、こういうことは、聞き方によっては——非常に弱腰であると伝えられて、譲歩譲歩を重ねていることは、むしろ外務大臣のほうがイニシアチブをとってそういう方向に進められておる、というようにいままで伝えられ、私どもそういったような感じ方をしてきておる。ところが今度は逆に、愛知外務大臣のほうが通産大臣に対して、あなたのほうで譲歩するならばこの二点ということを頭に置いておやりなさい、そういったような、外務大臣のほうがえらい強腰になって、官澤通産大臣のほうが弱腰アメリカに屈服をしていっておる、それに対して開き直ったような感じすら受けるわけですが、そのような条件をつけられたという事実はないのかどうか。また、これらの点に対して、大臣はどのような態度で今後の交渉に臨もうとしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 外務大臣と私とは常に密接に連絡をとっておりますし、また両省の間でもさようでございまして、このようなむずかしい交渉に、ともするとありがちな意見の疎隔、摩擦といったようなものは、幸いにして今日までなしに進んでおるわけでございます。それで、ただいま御指摘になりました報道は、実は私も読んだのでございますけれども、全然思い当たりがございませんばかりでなく、実はその報道意味が、私にもう一つはっきり、どういうことを言っておるのかわからなかったことすらございまして、事実もございませんし、その意味しておるところも、実は私には明確でないような感じでそれを読んだわけでございます。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 日本側は、十四日の第十一回会談米案修正した暫定合意書を提出した、そういうことが伝えられているわけですが、暫定合意書の中で問題点と私ども感じますことは、これまで日本側が当然のこととして強固に主張してまいりましたものは、グループ内のシフト自由の原則であったと思うわけです。ところがこの原則修正をしてシフト率上限を設ける。しかもその報道では、その上限は何か八%というように具体的に伝えられているわけですが、このように、絶対に譲るべきでない、修正すべきではないグループ内のシフト自由の原則を改められるというようなこと等が話題にでもなったかどうか。また、そのような意思をお持ちになっておるのかどうか。私はないとは思うのでございます。まあ念のためひとつ伺っておきたいと思います。
  23. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御承知のように、繊維製品は、たとえば鉄とか自動車とかいうふうなものとたいへんに違いまして、毎年の流行、ファッションで、ある年にはあるものの輸出がふえますけれども、翌年はそれがばったりとまって、また別な新しいものが突然ふえていくというように、毎年相当流行の入れかわりの大きな品物でございます。またメーカーとしても、どちらかといえばむしろそうやって新しい流行をつくっていくというようなことで、商売をしておるのでございますので、具体的に品物一つとらえて、それはこれ以上伸びてはいかぬというような考え方が、たとえば鉄なんかでございますと、これはある程度意味があるのかと思いますが、どうも繊維製品の場合には、それが適当でもないし、あまり意味がないというふうに私ども考えております。したがって、何かの規制ということに落ちつくのならば、それはやはり一つのかなり広いグループの中で規制をするのであれば、これはたくさんの品物がそこに入ってまいりますから、いまのような問題も起こらないであろう、そういう不都合、不便というものも避け得るであろう、こう考えたわけでございまして、したがって、そうやってグループでくくりました中では、どの品物があるときには伸び、あるときには伸びないといったような自由というものがなければ、このグループというものを設けるというものの考え方そのものと合わぬではないかということを、私ども考えておるわけでございます。したがって、ただいま仰せられましたような、グループの中での動きを狭い幅で制約しようという考え方には、私どもは賛成し得ない、こういう立場でございます。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 アメリカ側品目間の修正を、平均であるのかどうかわかりませんが、何か三%という制限を付して、これに同意をするというようなこと等も伝えられておったようでございますが、そのようなことが牛場フラニガン会談の中で具体的に出ているのでございますか。
  25. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこで、ただいま申し上げましたように、グループとしてとらえるということがわれわれの基本的なアプローチであるわけでございますけれども、たいへんに極端な場合を想像するといたしますと、たとえば数品目で一グループをなしておる、何かのぐあいでその中の一つだけが非常な伸びを示して、そのグループの数量をほとんど独占してしまう。事実上はあまりありそうもないことでございますけれども、そういうことになったらどうするかというような問題提起がございました。これは、言ってみますと、突如としてある品物が急速に伸びていって、いわばそこへの過度集中といったようなものが起こるというときには、これは被害の問題が起こってくる。あるいは市場撹乱の問題が起こってくる。いまの問題の焦点はそういうことになるわけですが、その場合にどうするかという問題提起があったわけでございます。私どもは、そういうことは頭の中では考えられますけれども、実際には、おのおのの品物をみなある程度輸出をしていくわけですので、グループの総ワクで押えておけば、一人がそれを全部食ってしまうというようなことはまあ起こりそうもない。起こりそうもないが、そういうところが御心配ならば、それはその結果市場撹乱が起こる、あるいはエクセシブ・コンセントレーションと申しますか、過度集中一つ品物に起こりましたときには、これは被害の問題に通じましょうから、それはそのときに考えてもいい。しかし、これはおそらく非常に極端なケースの場合であって、通常起こり得ないのではないかといったような議論が何度か繰り返されておるわけでございます。  いま中村委員の言われましたようなものの考え方は、ただいまのような危険を防ぐ一つの方法として議論になったことは事実でございますけれども、どうも私どもは、そういう極端なことは想像する必要がないし、そういう極端な場合を防ぐためにいまのようなことをするというのは、目的と手段とがいかにも相応していない、こう考えますので、そういう考えには私どもは賛同し得ないという立場をとっております。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 これまでどおり、グループ内のシフト自由の原則を堅持するということで十分了承できるわけでございます。  いま一つ、たいへんな問題点だというふうに感じましたのは、特定品目輸出規制ワクに達した場合、日米間の協議事項というものが働くということになろうと思うのですが、協議がまとまらなかった場合、——これはこの前の委員会で私が大臣お尋ねをした条項になるわけですが、ガット規定によって米側が一方的に決定をするが、その場合に日本は、これまたガット規定によって代償請求権というものが働くということになろうと思うのですが、大臣はそういう方向考えているということであったわけですが、ところが今回、この協議事項の中におけるガット規定代償請求権日本側が放棄するということも伝えられているのでございますが、そのようなことが事実かどうか。非常に重要でございますから、この点もひとつお答えいただきたいと思います。
  27. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 日米両国ともガット加盟国でございますし、その取りきめはガットとの関連においてなされるわけでございますから、先方ガット権利を行使するということであれば、わがほうも当然ガット権利の行使は留保をいたさなければならない、それを放棄するということはこれはあり得ないことであります。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 そのとおりであると思います。私は、アメリカ側自由貿易を阻害しようとしていること自体が、これはガットに反しているわけだから、日米繊維交渉の中で万が一自主規制というものが実現してきたというような場合において、アメリカ側ガット権利を主張するという資格はない、そのように言い切りたい気持ちを実はいまなお持っているわけでして、そういう意味でこの前は申し上げたわけです。  次にお尋ねしたいのは、実質伸び率日本側は九%を主張してまいっておるわけですが、これも引き下げることもやむを得ないという態度のように伝えられておるわけですが、そのような考え方があるのかどうか。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもといたしましては、この繊維輸出についてオーダリーマーカッティングが必要であろうということは、基本的には同意しておるわけでございます。この点は業界も、考え方としてはやはりそうでしょうというふうに考えておられるように思います。  ただ、オーダリーということは、どのくらいのオーダリーであるかということになりますと、やはり私どもは、自分の国の経済成長率なり、その他の品物輸出伸びなり、これをオーダリーだと、こう自然考えたがるわけでございますが、先方はまた、自分のほうの経済成長率というような話になってまいります。そうしますと、わが国経済成長率だけが、実は御承知のように世界から飛び抜けて大きいわけでございますから、われわれが頭の中で持っているものさしが、どうしても自然日本だけ大きいということになりまして、国際的にはなかなか、われわれがオーダリーと思っているものがオーダリーとして通用しないというようなことは、十分ありがちでございます。この繊維の場合、したがって、どの程度であればお互いにオーダリーとして認め得るかということは、実はもう一つ詰めなければならない点なのでございますけれども、あっちこっちの要素論争点になっておりますから、まあ取りきめというものが最後にできるときには、いわゆるパッケージディールをすることになろうかと思います。そういたしますと、ただいまの伸び率の点なども規制の範囲なり、あるいは方法なりということと結びついて一体になりますので、そこで取りきめができるようでありましたら、いわゆるパッケージディールの一環として考えてみよう、こういうふうな態度でおるわけでございます。しかし、今日までわれわれは、当初申しました姿勢を、その点について変更したことはございません。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 それから、この輸出規制ワクの年間拡大率は、当初一七、八%程度というのが日本態度であったように思うのですが、それは修正提案をされた事実があるのでございますか、どの程度これをお考えになっていらっしゃるわけですか。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 輸出伸び、いわゆる実質の伸びというものは、幾つかの要素から成り立ってくるわけでございまして、ただいま御指摘なりましたワク伸びというものもつでございますし、そのほかに、グループの間のシフトでありますとか、あるいはキャリーオーバーでありますとか、キャリーインでありますとか、幾つかの要素がございますので、そこで、その幾つかの要素を長いこと一つ一つ議論しておりましたけれども、こっちを出すとこっちがへっこむという関係になりますから、それらの函数関係にあるものを特にしぼるとすれば、それは結局実質伸び率ということになるわけで、それで、そういう幾つかの要素をこんがらかって議論するよりは、実質伸び率議論をして、それさえきまれば、あと要素は、相関関係で自然に函数できまってくるではないか、こういう考え方に途中から交渉のベースを移したわけでございます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 日本交渉再開前に個別規制を約束した。そこで、日本があくまで個別規制ということに反対であるという態度を堅持しておることに対して、アメリカ側日本に対する不信感を強めておるということが伝えられているわけですが、交渉再開の際に、アメリカ側の主張しておる個別規制日本が了解を与えたという事実があるのかどうか。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点につきましては、過日、佐藤総理大臣自身が、そういうことは全くない。アメリカ側でそのようなことを言っておるではないかというどなたかのお尋ねに対しまして、言っておるか言っておらないか自分は知らないが、そういう事実はない、という答弁をしておられます。そのとおりであろうと思います。私につきましてももちろんございません。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 御承知のとおりに、交渉牛場フラニガン会談の中においてどんどん進められてきておる。日本も、いま大臣のお答えでは、譲歩したというふうには実は感じとれないわけなんです。譲歩してない、重要な点は一歩も譲らないというかたい態度を堅持しておるというように、私はいまそういう感じを受けたわけです。ところが新聞報道では、相当日本側譲歩をしたというようなことを私ども感ずるような報道が、絶えず行なわれてきておる。  そこで、あらためて大臣お尋ねをいたします。業界が納得しなければ、日米間においてかりに交渉が妥結をしても自主規制は行なわれないことに実はなるわけでございますから、大臣としては、そうした認識、その理解の上に立ってやはり交渉を進めておる、こういうことでございましょうか。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる強権発動する考えはないということは、本院におきまして、総理大臣がしばしば言明しておられるところでございますので、それらの論理的な帰決は、当然中村委員が言われたようなことになるわけでございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 ところが、申し上げたように、また大臣も御承知のように、きょうも共立講堂において反対のための全国大会が開かれている。大阪大会は一昨日でございましたが、開催されている。また新聞報道によりますと、自民党の福田繊維対策特別委員長その他一行の訪米に対しても、迷惑祝しているのではないかと感じられるような報道であるわけであります。それらのことを考えてみますと、いま日本側最終案として提示をしておる内容でもって妥結をいたしましても、それは業界は受け入れられない。受け入れられないということが明らかであるのにかかわらず、アメリカ側との間に妥結をしたということになってまいりますと、どのような結果が生まれてくるのでございましょうか。愛知外務大臣通産大臣条件をつけたという事実はいま否定なさいました。しかし、新聞報道の中にありますように、結局、妥結をいたしましてもそれが実施できないということになってまいりますと、これは日米関係におけるところの外交上の大きな汚点になるでありましょうし、通商上の大きな問題点になってくることは間違いございません。いま日本側が、アメリカの無理押しに対して、がまんにがまんを重ねて交渉を進めておりますものは、裏面においては、沖繩問題ともからめていろいろな秘密協定があるからかもしれません。しかし、それを否定しておるわけでありますから、私どもは、それはそれとして、大臣がお答えになっておられることを信頼をして、意見を申し上げ、質問をする以外には実はないわけであります。そうなってまいりますと、日米関係というものは、妥結をしたものが実施をされない、空文化してしまったという中におきましては、かえって悪化する結果を生み出すのではなかろうか。そのようなことを、どうして業界に納得させることを先にやらないで、アメリカ側との交渉のみを譲歩譲歩を重ねてお進めになるのでございましょうか。どうしても私どもは、常識的に考え理解ができないわけであります。大臣はいまなお、妥結した内容において業界が納得するという自信を、依然変えておられないのでございましょうか。  いま一つは、当委員会が決議をし、また本会議におきましても決議をいたしました。先日の本委員会においては、委員長政府に対する注意喚起の発言もいたしました。そのようなことに対して、いま政府が進めておる方向は、これに反してないという確信を持ってお進めになっていらっしゃるのでございましょうか。それらの点についてお答えをいただきたいと思います。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 牛場大使が米国側と交渉いたしておる際に、私どもとしては、二つワクといいますか、制約があると考えておるわけでございまして、一つは国会における累次の御決議でございます。もう一つは、不承不承でも業界が納得をしてくれませんと、まさに御指摘のように、話ができましてもそれは実行に移せないということになる、その点の考慮。これは、強権発動しないというたてまえに立ちます以上、当然そういう制約が出てくるわけでございます。この点は、しばしば交渉に当たりまして、米国側にも説明をいたしておりますし、また、承るところによりますと、自民党から派遣されました福田一氏一行も、その点について米国議会側に説明をされる意思のようでございますが、そういう二つの制約がございますので、どういう形ででも取りきめができればそれでいいんだというわけにはまいりません。  他方で、先ほど御指摘のように、取りきめはできた、しかしそれが実行できなかったということになりますれば、これはゆゆしい問題でございますので、そこでかりに、この程度ならば不承不承でも業界が乗ってくれるのではないか、と私どもが思う程度の取りきめができるという段階になりましたならば、これはそのような性格のもの、つまりこれでひとつ業界を説得してみましょうという、そういう具体的な案であって、日本政府アメリカ政府にこれを約束するという性格のものではない、最善の努力をいたしましょうという案である、こういう点ははっきりさせておかなければいけないと思います。また、これが外交上の傷になりませんように、どのようなプロトコルをとりましたらそのようなことができるかということは、実はかなり長いこと、外務当局に研究を願っておる問題でございます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 佐藤総理大臣は、二、三日前の予算委員会において、田中委員の質問に対して、業界の中にもいろいろな意見がある、したがってアメリカとの間に妥結ができたならば何とか業界が納得してくれるのではないか、という期待を持っておるような印象を受けた答弁がございました。受け取り方によっては、業界切りくずしの意図を持っておるというようにすら受け取られる答弁であったと私は思います。おそらく業界は、そうした総理の発言に対する反発と警戒の念をさらに強めたであろうと私は考える。担当大臣である宮澤通産大臣、多数の業界の中には、なるほどいろいろな意見があるかもしれません。しかし、少なくとも業界は、自由貿易を守るために、繊維業界を守っていくためにひたむきの努力を続けておることは言うまでもありません。団結を固めてあくまで権利と生活を守っていきたい、繊維産業を守っていきたいという悲痛な決意であろうと私は思います。どんなことがあっても業界切りくずし工作ということをやるべきではない、日本の経済を、貿易をさらに振興させるという考え方から繊維業界を犠牲にするというような態度は、断じてとるべきではない、私はそのように実は感じるわけでありますが、通産大臣としては、いろいろな手をもって業界説得工作を進めている——私がいま申し上げましたのは、反対の意見を持っておる人たちに対し働きかけて、いわゆる内からゆさぶり工作をやるといったような、そういうようなお考え方はお持ちではないと私は思うのでありますが、そのことをこの際はっきり明言をしていただきたい。  愛知大臣条件ということを否定なさいましたが、この中にあります第二点目の、「交渉技術説得工作など戦術的な面で打開可能とすること」という、このことは、いま私が指摘いたしました、いろいろな手を使ってともかく業界を説得していくのだ、切りくずし工作等もやむを得ないこれは戦術なんだ、というようにすら解しかねないと私は思います。それらの点に対して、この後対処される通産大臣の決意と申しましょうか、考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたことの中で、これは前後関係から、もちろん誤解を生ずるおそれはないとは思いますものの、かりに取りきめができましたら、それが最終的に両国政府を拘束する云々と申し上げましたことの意味、多少誤解を与えやすい表現を私がいたしましたので、そこをそうじゃないように言い直さしていただきます。  つまり取りきめというものは、私どもが、まず不承不承でも業界が納得をしてくれる範囲のものでなければならないわけでございます。それとして、かりに合意ができましたら、これは私どもは、全力をあげて業界を説得するという責任を、アメリカ側に対しまして持つことは当然でございます。そういう意味で、できました取りきめに私どもは拘束されるわけでございますけれども、しかし、これが両国間の正式な合意であるというようなことになりますれば、万一のときには傷を残すことになりますので、そうでないようなプロトコルを考えたい、こういう意味で申し上げました。  それから次に、ただいまの点でございますが、そのような取りきめがかりにできましたら、私どもは、全力をあげて業界の納得を得るように試みたいと考えております。と申しますのは、総理大臣がしばしば答えておられますように、このような話は、何とかしてでき上がることが、私は、わが国の国益になりますし、また世界の自由貿易のためにもなる、基本的にはそういうふうに考えておるわけでございます。ただ、それにもかかわらず業界は、国益あるいは世界自由貿易というようなことを主としてお考えになる団体では、当然のことながらございません。繊維業界繊維業のことを考えればいいというのが、私はたてまえと思いますので、私どもと多少そこのものの考え方立場が違うことは、これは私は当然理解しなければならないことだと思いますので、私どもが国益に沿うと考えましても、即業界がオーケーといううなことにはっながりません。したがいまして、私どもは、取りきめができましたら、業界に対して、まずこれぐらいのところなら納得をしてくれないかという説得は全力をあげていたすつもりでございますし、また、取りきめそのものが、そういう私どもの説得に業界が不承不承でも応じてくれる、その限界内のものでなければ取りきめというものはできない、こういうことであろうと思います。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 いまの最後のお答えの中で、繊維業界繊維のことを考えればよろしいのだ、ところが政府立場は違う——なるほどそのことはわかります。だがしかし、大臣も最後にお答えになりましたけれども繊維業界が、ただ自己の利益追求ということのみを頭に置いて、非常に納得のいかないような、理解できないような無理な主張をしている、聞き分けのないような、同情に値しないような態度に終始しておるというのであるならば、私は、業界に対してある程度無理を要求をしていくということも、これは当然であろうと考えます。だがしかし、そうではないということであります以上は、日米間の話し合いを煮詰めてしまって妥結をして、これはやむを得ないのだから、国際信義の問題等々もあるのだから何とかして聞いてもらいたい、という形で押しつけていくということは、絶対やるべきではない。立場の違いはあったにしても、ともかく業界の主張は正しいのであるから、その業界のそうした反対に対して全く一顧もしないで、最後にまとまってから説得すればよろしいのだという考え方でいまのような交渉を進めていくということは、私は間違いであると思います。それはあくまで、政府が権力というようなものをもって業界を押えていこうとする以外の何ものでもないということを、指摘しておきたいと思います。大臣が、不承不承にも業界に納得してもらわなければならぬとおっしゃるならば、少なくとも日米交渉に先んじて、日米交渉と並行して、業界に対する説得工作ということを進めていかれるということが、政府のとる態度でなければならない。私は、間違ったやり方であるということを、指摘せざるを得ません。担当大臣である通産大臣とされては、特にそれらの点に対して反省をされてこの後対処していただきたい、ということを要請いたしまして、私の繊維問題に対する質問を一応終わります。  次に簡単に、最近、チッソであるとか、あるいは富士銀行の株主総会における、無法状態と指摘してもよろしいような動きに対して、政府はどのようにお考えになっておられるのか。これは民間企業のことであるから、政府がこれにとやかく口を差しはさむべきものではないというような考え方でおられるのかどうか。どなたからお答えをいただけばよろしいのか。通産省の企業局は、企業という立場から関係があるようにも思うし、かといって、このようなことは、どうも企業局の所管ではないように思うし、大蔵省の証券局、これは証券の問題だけだから、企業の運営上の問題はわがほうは関係なしというようなお答えが出てきそうにも思うし、法務省の民事局、これは法人であるから、ここが一番距離が近いのではないかというようにも感じられるわけでございますが、ともかく政府としても、閣議等の話題にもなったのでございましよう。おそらく予算ということでなくて、これは決算等もやったのでございましょうし、その他重要事項の議題というようなものがおそらく用意され、十分議論を尽くされなければならない問題点等々が、私は準備されておったのではないかと思うのですが、それが五分やそこらで、しかも、その全員が異議なし、賛成賛成であれば別として、雇われた総会屋と称するものが一株株主等の発言等を押えてしまって、強引に社長である議長としめし合わせて、五分間総会で終わったというやり方に対しては、これが法人であるだけに、特に問題をお感じになっておられるのではないかと思います。通産大臣のこれらの動きに対する——何といってお尋ねしたらよろしいのか、感想といえばよろしいのか、政府はどのように対処すべきかということ等について、もしお感じになりましたならば、この際ひとつお聞かせいただきたい。質問する側は重要ではあるけれども、どうもどこがぴっとお答えいただけるのか、非常に苦しんでおるわけです。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 株主総会における株主の権利の保護につきましては、商法に詳細に規定されておることは御承知のとおりでございますから、その範囲内におきまして、株主総会の運営というのはやはり会社内部の自治問題であろう、こう考えておりますから、法的にどうこう介入するつもりはただいまございません。  しかし、ああいう現象をどう思うかと言われることについて、いわゆる総会屋なるものがゆするというようなことになれば、もちろん、これはそれなりの罪を構成いたしますが、そうでありませんでも、どうも、会社の執行部と総会屋がぐるになって総会を運営したほうがうまくいく、便利だというようなことは、私ははなはだ感心しない習慣であると考えています。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 感心しないということだけではなくて、おそらく、ああいうものはどんどん流行してくるのじゃないでしょうか。総会屋というものは、ますますもってはびこってくるのじゃないでしょうか。ああいうやり方をしますと、おそらくたんまり入っているだろうと私は思うのです。そうすると、全く無法状態になってしまう。これは株式会社その他の会社や法人である。政府法律案提案して、立法府である議会はこれを議決をして、その限りにおいては、私は重大な関心をもって対処していかなければならないと思うのです。私どもが予想しておったような方向に運営がなされていないというこの事実の上に立っては、あらためてこれを見直していかなければならないのではないか。このあり方を何らかの形において是正をしていくということでなければならぬと私は思います。あくまで秩序を守っていくような方向で対処しなければいけないわけでございますから、通産大臣としては、この点に対して、これに対処する方針と申しましょうか、いま少し前向きの考え方があってしかるべしと思います。いかがでございましょうか。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは御承知のように、戦前から成り立っておる商売のようでございまして、御承知のように、戦前には紳士というような呼ばれ方をしておったかと思いますが、外国にもまたあることで、株主として発言をするということは、これはもう自由でございますから、これを拘束するわけにはどうもいかないわけでございますが、事実問題として、特定の人たちがあらかじめ会社の執行部と打ち合わせをして、それに基づいて発言をし、しかも何らかの報酬を受けておるというようなことになりますと、いかにも同じことをまた申し上げるようですが、どうも感心をしない商売であるというふうに考えておりますが、さてどのように介入したらいいかということになりますと、さしたる名案もないものでございますので、介入も実はいたしておりません。感想を申せと言われましたので、率直に申し上げたのでございますけれども、何か適当な法的な介入の名案でもございましたら、むしろ御教示を得たいというような感じでございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 総会屋はなるほど昔からあったわけですね。これは外国にもある。私もそのように伺っているわけです。しかし大臣、チッソの場合、水俣病患者というものがどういう立場に置かれているか、いまや大きな政治問題であり、社会問題である。そのことが、おそらく株主にいたしましても、あの総会に大きな関心を持って、これに対する質問もし、発言もしたかった、これは私は当然であろうと思います。また、富士銀行の株主総会において、十九億円という不正融資の問題等々、これまた重大な問題点であるわけであります。いままでの総会屋というのは、少なくとも、チッソあるいは富士銀行において行なわれたあのような動きと申しましょうか、露骨な運営がなされたという事実を私は知りません。政府としても重大な関心事でなければならない。これらの両事件を中心とするあの株主総会のあり方と総会屋の動き、会社側の動き態度ということを考えてみますと、一般の総会における総会屋の動きと同一視してはならない。これから大きな問題が出てくるでありましょう。あのようなことが露骨になってまいりますと、収拾できないような事態が起こってくるのではないでしょうか。私ども大臣の御意見のように、いろいろとこれらの問題に対処する研究をしていかなければならぬと思います。しかし、行政当局である政府といたしましては、さらに直接の責任として、この問題に対するところの、秩序を維持するための一つの研究と申しましょうか、方針をお立てになるということは、私は当然でなければならないと思います。お答えはよろしゅうございますけれども、十分ひとつ検討していただきたいということを要請しておきたいと思います。  刑事局長にお尋ねいたしますが、警察庁の調査で、総会屋というのは相当数にのぼっておるようであります、いわゆる会社ゴロと申しますものが。しかも、会社はばく大な金を会社ゴロに対して支出をしておる。しかし会社は被害届を出していない。きょうは、税関係の担当者に御出席いただいておりますれば、そのことをお尋ねしたかったわけでございますけれども、後日に回しますが、被害届けを出していなくて、むしろこれを利用しておるということも報道されているのでございますが、警察当局としては、これに対して捜査をお進めになっていらっしゃるのかどうか。これらの点に対しての見解、この後の御方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 高松敬治

    ○高松政府委員 私どものほうで把握しておりますいわゆる総会屋、会社ごろ、出版ごろといわれるものの数は、全国で大体二千二百ぐらいでございます。そのうち東京に約千七百というふうに数を見ております。それで、いまほど御指摘がございましたように、いろいろな活動をやっておりまして、これに対しまして、警察といたしましても、私どものことばで特殊暴力、こう言っておりますけれども、こういうものの取り締まりを強めてまいるということで、従来からかなりいろいろな施策をやってまいっておりますが、なかなか思うにまかせないところがございます。東京で申しますと、たとえば中央あるいは丸の内、久松、築地というふうな十ばかりの警察署の管内では、それぞれそこに所在する会社と一緒になりまして、こういう特殊暴力防止協力会というふうなものをつくりまして、いわゆる取り締まりについて相談をし、取り締まりを進めるという段取りでやっておりますし、また大阪、神奈川、愛知というふうな府県でも、大体こういうふうな体制をどこでもとっております。   〔武藤(嘉)委員長代理退席、進藤委員長代理着席〕 その結果、年によって違いますけれども、年間大体二百名から百名くらいのものを検挙している。昭和四十四年では百五名ばかりのものを検挙いたしております。  今後ともこういう形の検挙は続けてまいりたいと思っておりますが、御指摘にもございましたように、一番難点は被害がはっきりつかめないということでございます。かりに、被疑者が広告料という名目で、あるいは賛助費というふうな名目で会社から金を受け取っておるという事実が出てまいりましても、それについては、別に恐喝されたわけではないというふうなことで、なかなか恐喝の被害自身が確定できない。そういうこともありまして、私どもとしても、たいへん歯がゆい思いをしておることも事実でございます。しかし、こういうことにつきましては、何ぶんにも長い間の歴史と慣行のあることでございまして、そういう気風を変えるためには、私どももじっくりと腰を据えて、じわじわとこれを締めていくという方針でいくより、いまのところ方法がなかろう、かように考えておる次第でございます。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 警察当局の苦心のほどはよくわかるわけです。私は先ほど、チッソと富士銀行の株主総会のあり方を申し上げたのですが、常識的に考えて、あの株主総会においては、相当会社が会社ゴロを利用したであろうことが想像できるわけです。また相当数であったというようにも伝えられているわけです。これらの二つの問題は、典型的なものとして何か特別の捜査というような方針を持って対処しておられるという事実はないわけでしょうか。
  47. 高松敬治

    ○高松政府委員 具体的に捜査の端緒になるようなことを、私どもで把握いたしておりません。
  48. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連してお尋ねします。  いま伺っておると、いわゆる総会ゴロが東京で千七百というが、もっとあるんじゃないの。私ども感じではもっとあると思う。それから、それが脅迫になるのか談合になるのかという点の判断はきわめてむずかしい。先ほどから中村君の言っておるようなことはレアケースであると思いますけれども、こういうものに対する対策としてはいろいろあろうけれども、株主総会をもっと長時間持たす。少なくとも三時間くらいは、株主さん御意見がありませんかとかいうことを何回も言わせていく、というふうな方法等によらないことには、警察が、そんなうしろから見ておったところでわかるものじゃありませんし、大きな会社になりますと、株主総会が始まった、ことしの総会屋への相場は幾らだ——一番高いものはこのごろ十万円、いや、もっとしておるでしょう。昔はもっと安かったけれども、近ごろ物価騰貴ぎみで……。ですから大会社になれば、秘書課長、文書課長、庶務課長等が、百通ぐらい封筒をつくって、来るのを待っている。来たら渡す。それもかなりベテランでないといけないというふうなことで、それは、警視庁の諸君があとから聞きに行ったって、なかなかわかりませんよ。その辺のところのワクをどういうふうにしてきめるか。私は、商法を改正をして、たとえ異議なしと言うたところでいけない。大きな会社になればなるほど、たとえば新日本製鉄なら新日本製鉄が、午前九時から株主総会をやれば、十二時までやるというふうなことにしないことには、そういう人たちをなかなか防げないし、また、そういり人の中にはまれではございますが、なかなか勉強しておるのもおる。ほんとうですよ。勉強しておって、そうして会社が交際費を全く湯水のごとく使っておる、けしからぬではないか、そのとおりだ、——そういうこともないとは私は言えない。ですから、ただ単に取り締まりをするだけではなくて、もっと高い見地から私は検討をしてもらいたい。これは、通産省も警察も体になってひとつ研究してもらいたいというふうな気持ちをもってお尋ねしておるのですが、まずその千七百名というのは少な過ぎるように思います。悪質なものは千七百名かもしれませんが、いわゆる総会屋という中にもいろいろあるというふうなことを考えまして、もっとやわらかく高い見地から、しかも会社のほうも見なくてはいけません。皆さんが会社へ行って、何人に何ぼ出しましたかなんて言ったって、そんな一覧表を出すような会社はおりはしませんよ。大体あなた方は、方々聞き込んでつなぎ合わして、合計して、大体この辺だろうというのでいくという形でございましょうから、その辺のところをもう少し慎重に、しかも積極的に私はやってもらいたい。ある意味ではいまの企業の中の最大のガンでもあるし、両方もちつもたれつである。その辺が非常に重要である。  銀座裏のバーが大いに繁盛しておるのなんかは——私なんかもこのごろは行ったこともございません。ほんとうですよ。皆さんお笑いになるかしれませんが、行っておりません。昔はよく行きました、代議士になるまでは。私は行っておりませんが、そういうところでいろいろな動きをちょっと見たらおわかりになると思うが、もっと真剣に、会社の経営とか日本の産業の興隆とかいうものを——特にそういう点になると、実際まじめに働いておる人たちの側から見ると、そんなところであぶく銭で暮らしておる連中というふうなことにぶつかっていくわけであります。  そこで、まずその点をお尋ねしたいのだが、千七百名くらいでとどまるものであるかどうか。この点を特にお尋ねし、しかも皆さんがそういう対策をお立てになるときには、そんな警察だけではいけません。やはり関係各省のエキスパートを集めて十分に練り上げてやっていただかないといけない。そういう場合に、私はやはり企業側にだけ立つというものの考え方については非常な疑問がある。大体、資本金何百億という大会社でも、株主総会は一時間以内でしょう。そういうばかなことはないので、できたら小委員会でも特別にそのためにつくるとか、検討するとか、そのくらいなことがなされていいと思います。これは世界の企業の中で、日本ほど株主総会が簡単なところはちょっとまれだというふうに私は聞いておりますので、日本の文化の進展とともに、そのようなことについても、あまり昔風な下等なことでやっつけてしまうということのないように、その希望を持って先ほどの数などお尋ねするわけでございます。あなたの見解を伺っておきたい。
  49. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御指摘は、私も実は同様の感じを持っておるわけでございまして、株主総会などでしばしば会社の社長あるいは代表取締役が、よく弊社ということを申しますが、この弊社というのはたいへんおかしな表現ではないのだろうか。弊社というのはいわば謙遜のことばでございましょうから、株主に対してマイ・カンパニィーということを言っておることになりますが、実はユアー・カンパニィーでなければならないはずでございます。その辺の考え方がやはり基本的に十分でないのではないかというふうに私も考えております。  そこで先ほど、総会屋のお話が中村委員からございまして、私ははなはだ感心したことでないという感想を申し上げましたけれども、今度は感想でなくて、少なくとも総会屋といったようなものが他の株主の発言を妨げるというようなことでありましたら、そのような株主総会の運営ははなはだ不適当である、これは公に申し上げて私はいいことではないかと思います。
  50. 高松敬治

    ○高松政府委員 数の問題につきましては、私どもかなり前からこの数を個々に具体的に積み上げて把握いたしております。毎年によって数が多少変動いたしておりますけれども、大体千六百から千七百というところが、かなり私どもは自信をもろて言えるのではなかろうか、ほぼ確実ではなかろうかというふうに思います。ただ最近、総会屋についてよくいわれますことは、以前にはいわゆる大もの総会屋というものが何人かあって、その系列下にいろいろ分かれておった。ところが、そういう人が死亡しあるいは勢力を失うというふうな形で、最近は一匹オオカミの総会屋が非常にふえてきたということがいわれます。そういう点から、あるいは各会社から見れば、一つの会社あたりで考えれば、あるいはそこに関係する、あるいはそこに来る総会屋の数というものは、案外ふえておるように考えられるのかもしれないというふうに思います。特に警視庁管内ではそういう新規の総会屋がいま次第にふえてきつつある、こういうふうに警視庁では報告をしております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 大臣の時間があるようでございますから、まだ同僚の質問が続きますから、これで終わりますが、法務省からせっかくお見えでございますから、いまお尋ねをしましたこと等について、法務省の見解を伺っておきたいということ。  それから、高松刑事局長のお答え、端的なお答えであるわけですが、若干私は冒険な言い方かもしれませんけれども、広告費その他という形で出ておる。したがって、これはいわゆる恐喝というものを伴っていないのできめ手にならない、そのとおりであろうと実は思うわけです。しかし実際問題として、広告費あるいはその他の名目で出ているのだけれども、実際はそうではない。ただ恐喝が伴っていないということだけだ。しかし、そうなってくると、ただ課税上の問題になって、これを損金とするが、事実は広告費でないということになってくると、これを損金に落とすということを否認するという以外にはないのです。これでは全く無法状態になってくるわけです。会社経理の秩序というものは保てないし、株主の利益はそこなわれるという結果に実はなってくると私は思う。いま申し上げたように、冒険かもしれませんけれども、特定なものの利益を与えてくるというところに会社側がぐるになってこれをやっている以上は、業務上横領とか背任なんという問題も構成するのではないかというような感じすら私はいたします。多角的な面からひとつ十分検討し、きびしくこれに対処していただきたいということを要請しておきたいと思います。
  52. 味村治

    ○味村説明員 株主総会は株主からなる会議体でございますから、株主が自由に発言をいたしまして、会社の経営について、その上程されました議案に関しまして、十分に意見を表明した上で会社の意思を形成するというのが、株主総会の本来のあり方であると存じます。したがいまして、商法上も、そういう株主総会において自由な意思の表明が株主によってなされるということを保障いたしますために、いろいろな規定を置いているわけでございますが、先ほど御質問にございましたように、かりに会社が株主ゴロを雇いまして、その株主ゴロが暴力なり脅迫なり、そういうものを用いまして株主総会における株主の議決権の行使を妨げた、発言を妨げたというような場合には、商法の二百四十七条というのがございまして、総会招集の手続あるいは決議の方法、この場合は決議の方法になるわけでございますが、決議の方法が著しく不公正だということで決議取り消しの原因になるわけでございます。  チッソとか富士銀行といったようなお尋ねの事件につきまして、これに該当するかどうかということは、私ども調査をする立場にございませんし、新聞等の断片的な知識しか持ち合わせておりませんので何とも申し上げかねるわけでございますが、抽象的な一般論といたしましては、いま申し上げたようなことになるわけでございまして、現にそのような趣旨の判例もあるわけでございます。決議が取り消しになりますと、かりに配当決議が取り消しになりますれば、配当決議がなかったということになりますので、したがって配当した取締役の責任という問題も起こるわけでございます。  そういったようなことで、商法としては、私法上はそのような手だてによりまして、株主総会が公正に運営されるということを確保しようという趣旨の規定が設けられているわけでございます。ただ何ぶんにも、会社は私人間の団体でございますし、しかも株式会社は資本団体でございますので、私人間の自由ということになりまして、決議取り消しの訴えを株主が起こしませんと、そういう決議が取り消されることはない、こういうことになるわけでございます。  さらに、刑事上は商法の四百九十四条というのがございまして、株主の株主総会における議決権め行使に関しまして、不正な請託を受けて、そして金銭の収受等がございました場合には、刑事罰をもって臨むということによりまして、刑事の面から株主総会の正常な公正な運営をはかる、こういうたてまえになっているわけでございまして、以上申し上げましたような趣旨によりまして、商法上は、株主総会において株主が公正な発言をし、公正な運営がされるということを保障するというたてまえになっているわけでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんから、これで終わります。  商法上その他法律上どうなっているかということについてはわかっているわけですね。しかし、それでは現実の問題としてどうにもならない。一株株主その他小株主が、いまあなたがお答えになりましたような法律の条文をたてにとって、いろいろな訴訟を提起するということが実際問題としてなかなか行ない得ないという立場にある。現在、チッソとか、あるいは富士銀行の総会、それらの問題以前の問題というような、全く秩序紊乱のあり方というものに対しては、私は重大な関心を持ってこれに対処していかなければならないであろうということで政府の注意をうながした、こういうことでございますから、どうかひとつ大臣、十分それらの問題については検討し対処していただきたいということを要請をして終わります。
  54. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 塚本三郎君。
  55. 塚本三郎

    ○塚本委員 簡単にお尋ねします。  国内資源の開発につきまして、実は、最近の日米経済の問題で御承知のように、アメリカが買ってやらないという各業種に対するさまざまな意見等が出てきております。買ってやらないと言われると日本はたいへん困る立場でありますが、それと同じように、資源を売ってやらないと海外から言われたら、もっと困る立場日本経済は置かれておる。これは御承知のとおりでございます。したがいまして、新しい予算の中にも、海外に対する資源の開発促進については相当意を用いておられるように、予算の数字で見られるわけでございます。しかし、国内資源の開発はどうなっておるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 資源と言われますと非常に広い範囲になりますが、私ども、たとえば石油あるいは非鉄金属等々につきましても、できるだけ、国内あるいはその周辺にありますものを、自分の手で開発をしたいということで、それなりの財政、税制等の助成もいたしまして、それにつとめておるわけでございます。もとよりコスト的に非常に合わないということでございますと、これはどうしても安く、いいものを買うということにはなりましょうけれども自分たちのものを持っておるということが、よそに対してバーゲンをする場合に非常に有利に働くこともございますので、極力そのようなものの開発につとめております。
  57. 塚本三郎

    ○塚本委員 金属鉱物に対する探鉱促進について、実は、かつて本委員会におきましても、金の問題がやかましくいわれたときに、私ども委員会でこんな発言をしたことを覚えております。  外国から五トンほどの金を買い入れておる、そうして国内に流すときに二百円ほどの利幅を実は政府はとっておる。グラム二百円ですから五トンで百億、したがって、そのうちの一割ほど、十億くらいは国内の金の開発のために回すべきだ、こういう意見が小委員会で出ました。強く大蔵大臣にも働きかけまして、これは四十二年でしたか三年でしたか、記憶いたしておりますが、そのときにやっと一千万円という調査費がついたということでございます。調査ですからまずはということで、逐次増加させましょう、こういう話でした。これは一例ですが、しかし、これはずっと見てみると、昨年も金だけで実は一千万円ということであって、ことしやっと千五百万円。私はもう、実施の段階になったから、小委員会における十億はむずかしくても、おそらく三億から五億くらいの要求にはなっておると思ったら、去年も千万円で、ことしはやっと一千五百万円の大蔵省に対する要求、こうなっておるわけでございます。海外に対する探鉱はおおよそ倍から三倍、四倍という要求がなされておりますが、国内資源に対する探鉱助成の促進のための金は、実は倍というよりも一割増しくらいで、全く遠慮した要求になっております。これは、大蔵省に折衝してもだめだというところから、あきらめてこうしておるのか。あるいはそんな必要はないということでしているのか。国内資源の探鉱促進についての予算で通産省から出します数字が、一割くらいしかアップになっていないのです。これは、どういう考え方でこうなったのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はただいま専門家がおりませんので、十分なお答えを申し上げられませんけれども、私ども、国内の資源の開発で有望だと思われるものについては、極力、財政、税制等で支援をいたすべきものである。新しいもので黒鉱といったようなものが有望であるということになれば、またそれもやってみるというようなことをいたしておるわけでございます。おそらく予算が十分でないと御指摘になりますのは、なかなかそのような有望なものが、国内にそうしょっちゅうあらわれないといったこととの関連ではないかと思っておりますが、それは、私どもが軽視をしておるという意味ではございません。
  59. 塚本三郎

    ○塚本委員 その点は要望だけ申し上げておきますが、たとえば金など、当委員会で金山等へも私も参りまして、実施を調査いたしましたけれども、きわめて有望なのはまだたくさんあるのですね。だからやはり、これは金だけじゃないと思いますが、力を入れてやっていただかないと、外にばかり目を向けられて、国内の業界や、あるいはそこに働く労働者たちに、見捨てられたというような失望感を抱かせないように力を入れていただきたい。私たちは、直接当委員会から調査に行きまして、この目で見て、きわめて有望な鉱脈がたくさんあるというふうに見てとっておりますので、この点は要望を申し上げておきます。  それから、大蔵省に一つだけお尋ねいたしますが、最近、景気が沈滞してきたというところから、公定歩合が若干引き下げになりました。そして近いうちに、さらにもう一つ引き下げを行なうということ等が、新聞で報ぜられております。この場合、実は金利の問題ですけれども、上がったときには銀行は容赦なく上げてくるわけです。だから、下がったときには金利は下げてくれるのが当然ではございませんか。ところが、全然それが下がってこないというようなことで、この公定歩合を動かしているときは、上げられても、ほしいときには金利のことを言わずに、借りるほうは借りてしまう。ならば、コストが下がってくるのですから、当然その場合には下げるような指導をすべきだと思うのです。まるきりこの公定歩合の上下というのは、銀行屋のために日本銀行及び大蔵省が働いておるような結果——そんな御意思はないと思いますが、結果としてそうなっておる。これは、中小企業のみならず一般の大企業でさえも、その点はきわめて大きな不満を持っておるということです。だから、国の方針に従って上下させたときには、貸し出し金利というものは当然のごとく動かしてしかるべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  60. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 去る十月二十八日に公定歩合の引き下げがございましたが、それまでの間の金融調整というのは、今回はかなり特色がありました。その大きな一つとしまして、一般の市中の貸し出し金利が非常に急速に上がっていったという点がございます。公定歩合の上げ幅に対しまして、一般の市中の約定金利の平均というものがかなり短期間に上がっていったということがございます。これは一つには、非常に資金需要が強いということの反映でございまして、おっしゃいますように、十月二十八日に公定歩合を引き下げましたけれども、その後の金利の動きというものも、そんなに急速に下がるという様相を示しておりません。ただこれは、十月二十八日という時期が、実は九月決算期法人の決算資金の需要期に当たっておりまして、引き続きまして年末資金の需要というものが非常に大きく出てまいりました。これに加えまして、さらにいわゆるうしろ向きの資金と申しますか、いろいろそういった面での需要が多い、資金需要が依然として非常に強いという様相を示しておるわけでございます。私どもといたしまして、その貸し出し金利のほうは、実は最高限度がかなり高いところにきめてございますけれども一つ一つの金利の約定というのは、需要者と金融機関の間で個々別々にきまっておるわけでありまして、高いということは、ひっきょう、先ほど申しましたように、資金需要が依然として強いということの一つのあらわれではないかと思っております。その中でも、私ども特に注目をいたしたいのは、中小企業者への貸し出し金利が、いわゆる歩積み・両建てでもって実質的に高くなっておるという点、これはかねがね御指摘もございますし、私どもも、そういう点は十分直さなければならないということで、最近の歩積み・両建ての分析をいたし、あるいはまた、去る十月、十一月時点の数字等を見まして、金融機関に対しましては、歩積み・両建ての自粛というものをさらに徹底するように、従来とっております方策の債務者への十分な徹底ということをやり、また、金融機関もそういう方向に進めということを言っておるわけでございます。
  61. 塚本三郎

    ○塚本委員 あなた先回りして、中小企業の歩積み・両建てということを言われたのですが、本委員会では、歩積み・両建てというよりも、それを取りくずせという決議までしているわけです。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 私はいま、そんなことを申し上げておるのじゃなくて、実は公定歩合が下がったのに一般金利は下げていない。これは中小企業の問題だけじゃないのですよ。たとえば日本一といわれる新日本製鉄さえも、全然下げないと言ってぷんぷんおこっている。だから大企業自身だってたいへんな不満なんです。公定歩合の上下によって銀行だけがもうけておるという形、需要が強ければ、自由経済においてはそういう傾向になるということは当然ですけれども政府が指導して下げたときぐらいは、一時的にでもそんなポーズを見せさせたっていいじゃないですか。中小企業だけじゃない。日本一といわれる新日本製鉄だって、全然下げないと言ってぷんぷんおこっておるのです。ましてや日本じゅうの企業が、どんなに銀行の金利に対して強い関心と不満を持っておるか。これは銀行局は責任を持って措置していただかなければいかぬと思うわけです。どうでしょう。
  62. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 先ほど来申しておりますように、資金需要が非常に強いときには、どうしても貸し出し金利は下がっていかないということは、私どもが金利の弾力性ということを一方で進めております以上、やむを得ないことだと思います。  さらに、公定歩合の利率だけでございませんで、実はことしの四月に預金金利を上げたということがございます。預金金利は、一方私どもとしましては、預金者への利益還元ということからも、できるだけ進めておるわけでございまして、預金金利、特に定期の預金金利が引き上がったということも、実は貸し出し金利に影響をいたしておるわけでございます。  それから、さらに輸出関係につきまして、実は今回の公定歩合いの引き下げにおいても据え置きいたしましたし、あるいはまた去る五月には、輸出関係の金利につきましての格別の優遇というのを漸次一般のほうにさや寄せするという措置もとりましたから、そういう点も影響いたしておりまして、資金コストが単に公定歩合だけではできていないということも御予承願いたいのでございます。
  63. 塚本三郎

    ○塚本委員 大臣の時間の関係もあり、同僚委員の発言もありますから、もうやめますけれども、この問題はあらためてお聞きしたいと思います。いま経済界には、この問題でたいへん大きな不満があり、一体、大蔵省は何をしているのだという声が充満しておるということを、十分腹の中に置いて指導していただきたい。このことを強く要望いたしましてかわります。
  64. 八田貞義

    八田委員長 松尾信人君。
  65. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 日米繊維の問題で、もう結論だけ承りたいと思います。  いままでの政府態度、これは衆参両院の予算委員会でもはっきりいたしておりますし、また、ただいままでの質疑の中でもこのアメリカの要求する個別規制はとらない——これはとるかとらないか、それはとらないというような、大臣のただいまの御返答もありました。また、自主規制交渉はあくまでも業界立場に立って進めていく、それもそのとおりである、このような答えがありましたので、私は一切これを信頼をいたします。それできょうは、特に大臣の決意を固めていただきたい、これが私の申し上げる主眼でございます。  繊維業界自体も、きょう共立講堂で、この日米繊維交渉につきまして、反対の全国大会を開いております。そういうことでありまして、大臣のいままでの御答弁を聞いておりますると、わがほうの譲歩というものはこれ以上はなされない。とするならば、牛場大使からは、もういままでの状態ではだめだ、何か日本側譲歩する以外にまとまる道はないのじゃないかというようなことを、われわれはちらちら新聞報道等で聞いておりまするが、いま大臣のお答えがそのようでありますると、アメリカ側譲歩以外に、この日米繊維問題というものは最終的な妥結はないのじゃないか、これが一点であります。  それから、先般、私が当委員会大臣に質問いたしましたときには、この繊維交渉の再開というものは大義名分があるんだ、それは、この新通商法案を阻止していこうというのが一つと、また、アメリカの保護貿易化というような動きというものを、やはり何といっても是正していかなくちゃいけない。そこで、この重要課題となっておる日米繊維交渉からまず再開をいたしまして、そのような一つの突破口をつくっていくんだ、このような御答弁でありましたけれども、すでにアメリカのほうでは、ダンピング違反だというような問題でテレビ等も逐次決定されておりまするし、またその他の商品もどんどん決定いたしております。また、ダンピング容疑で調査中のものも十品目をこしておりまするけれども、その行くえもわからない。また、金属洋食器につきましては関税割り当てというものが決定されてしまった。アメリカの保護貿易化というものを防ぐ、そういう大義名分、それで繊維でも非常に譲るという日本立場で、これはもうわかっておるはずでありますけれども、それはそれ、これはこれでアメリカはどんどん自分の思ったことを進めておる。そういう意味におきましても、再開当時の大義名分というものは、もうアメリカ側からくずされてしまったのじゃないか。で、いままでのお答えどおりで、そのような新しい情勢のもとに、今後、大臣といたしましては、どのような線で、どのように最終的に腹を固めてやられるか、それを一言承りまして、私の質問を全部終わりたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 アメリカ政府の意図は別にいたしまして、議会では新通商法案というものが審議が進んでおるわけでございますので、これは日米両国が、業界を含めて何かの形で繊維で妥協ができることによって、このような保護貿易主義立法の成立を阻止したいという考えには変わりがございません。が同時に、先ほども申し上げましたように、われわれの交渉で譲り得る限度というものが、国会での決議及び業界の納得という制約を背負っておるわけでございますので、非常に苦慮しておるわけでございます。もちろん、両方で隔たりの幅を狭めていくわけでございますので、先方へ、あなたも譲歩しなさい、こちらも考え得る限り譲るからというのが、交渉の基本的な態度でなければならないと思いますので、なおしばらく努力を続けなければならないと思っております。しかし、私ども譲歩には限界がありますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  67. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 今後の交渉両方の限界、よくわかりました。大義名分自体ももうアメリカにはない、そういうことをしっかり固めた上で、ひとつ今後煮詰めていくなら、それを基本にしてやっていただきたい、これを特に強くきょうは要望しておきます。  なお、金属洋食器の問題でございますけれども、構造改善事業等でやってまいりまして、そしてこのような割り当て数量の制限を受けておりますると、現地でもかねがね心配いたしておりましたような、いろいろな問題が起こってまいります。この中小企業、燕市にとっては、重大なたった一つの企業と言えるこの金属洋食器の方々に対しまして、はっきりと今後の救済制度というものについてお答え願いたいと思います。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、問題が決着いたしましたらよく業界の話も聞きまして、私どもできるだけのことをしたいと思っております。
  69. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 以上で質問を終わります。
  70. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  71. 川端文夫

    ○川端委員 きょうは食糧庁長官と通産大臣がおそろいのところで質問したかったわけですが、長官の都合がつかないという知らせがありまして、いま業務部長が見えております。そこで、大臣も時間がおありのようで、あとの予定もあるようでありますから、大臣に先に、これは質問というよりは希望を含めた意見を申し上げて、ひとつ大臣に御活躍、御活動願いたいという問題点が出てまいっておるわけです。  御存じかもしれませんが、いわゆる米を入れる麻袋が、食糧管理法のあの赤字補てんのために、いろいろなものにかわりつつあったり、食糧が減ったりするという姿において、現在、年末において大体三千袋の在庫ができてしまった。そういたしますと、来年の見通しから言うならば、全然つくらなくても間に合うという数量に近い数字が出ておるように感じておるわけでありまして、その結果、大手四社中心になって仕事をしておるわけでありますけれども、この大手四社に付随する関連企業や従業員を考えますと、一万有余の人々がこの麻袋に関連して仕事をしている。この暮れの押し迫った姿の中に、来年の見通しもなく、麻袋が全然仕事がなくなるという条件のもとに、非常な苦境の中に悩み悩んでおるという実情を御存じかどうかということが一つです。  もう一つは、これは先ほど申しましたように、食糧庁長官も同席していただいて——まあ実際、問題の原因の中にはやはり食管法の赤字補てんの問題もございますので、事務的には解決つかぬような気がいたします。やはり、食糧庁長官と通産大臣との政治的な折衝の中から、問題の活路を出してもらう以外にないわけですけれども、とにもかくにも三千万袋が年末に余ったというこの事実の中に、後ほどこの問題は質問いたしまして、業務部長なり繊維局長にもお尋ねしたいと思いますけれども、現在、困っている実情を御存じあるかどうか、まず大臣お尋ねしておきたいと思います。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現状を認識しておるかというお尋ねにつきましては、事務当局から話を聞いております。これにつきましては、食糧庁も従来からいろいろ配慮をしてくれておりまして、インド、パキスタン、タイなどが、相当優秀な技術の袋をわが国に送り込むつもりであれば送り込めるわけでございますけれども原則として食糧庁は国産の袋を使ってくれておる。あるいはまた農林中金などから滞貨融資を考えてくれておる。食糧庁も非常に親切にいろいろ考えてくれておると私は思っております。同時にメーカーの数は決して多くございませんし、専門家でございますので、何ゆえにそのような滞貨が生じたのか、ある程度の見きわめというのを持っておったのではないだろうか、というような疑問も持ってはおりますが、しかし私どもとして、そのような発展途上国が優秀な技術を持っておるということでございますので、いまの生産体制というものをそのままくずさずにいけるというふうに考えられるものか、あるいは、一部業種の転換でもしようというのであれば、そういうことについて特別の国の機関からの融資等を考えることも、また必要なのではないかといったような、両方の観点から問題を考えておるわけでございます。
  73. 川端文夫

    ○川端委員 大臣も、専門家のくせにこの見通しがなぜつかなかったのかという疑問点をお持ちであることを、わからぬわけではありません。しかしながら、それはそれとして、現実の問題としてやはり二つの問題を考えなければならぬ。通産省としても、考えられている特恵供与の問題から出てまいる影響に対しては、早くからいろいろ指導されて方針を出されておるようでありますから、この問題は別にして、昨年まではたいした変化なく、生産増強というか、増産の姿で歩みを続けてきて、今年になって急に二千二百万袋も減少せざるを得ない、それがわかったのが六月ごろであったという業界の話を聞いておるわけです。この六月ごろから四割の減産をしてきたけれども、なお三千万袋余った。その理由の中には、やはり関連業種も含めると一万数千の従業員をかかえて仕事を続けざるを得ない、中小企業のことばで言うなれば、自転車操業をやらざるを得なかった原因もある。こういうところに非常な問題点があって、これも、市販できる一般業種の品物なら別として、最終需要家は国家なんですね。食糧庁だから農林省の問題だと片づけないで、国の立場でこれを買ったという立場に立てば、一方においては特恵の影響があるかもしれぬということで、あたたかい配慮を早くから計画を立てておきながら、食糧庁が一手購入という立場になっておるこの品物の急激な変化という現象に対して、これはやむを得ないというにはあまり残酷ではないか、こういう感じがいたしますので、時間の関係もあるから、後ほど繊維局長なり食糧庁の業務部長さんから、私、質問の形で問題点を明らかにしていただきながら大臣にお伝えしていただこうと思うわけですが、やはり経済の元締めともいうべき通産省においては、農林省が最終ユーザーであるとしても、現実に、これだけの企業とこれだけの従業員が明日からの仕事の希望を失うことに対しては、何とかしてやろうという立場に立って御折衝いただけるかどうか、この点を承りたいと思うわけです。
  74. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 米麦用の需要が五〇%くらいあるのでございましょうが、それ以外に、カーペットの床と申すのでございますか、ペースでございますか、インテリアとか、いろいろ新しい用途もございますかと思います。発展途上国との関連では、やはり高級なもののほうへ、技術の手の込んだもののほうへ動いていってもらいたいと思っておりますし、また一部は、あるいは業種転換ということも起こってくるかもしれない。そういう場合には、何とか特別の融資の方法でもないかということを私ども考えております。起こってしまった事態でございますので、どうしてこんなことになってしまったのだろうなどと申しましても、しかたのないことでございますから、できる限りのことは私どもでも考えなければならない、こういうふうに考えております。
  75. 川端文夫

    ○川端委員 大臣の時間が来たようだから、希望を申し上げておきますが、一つは、後ほどある程度問題点を掘り下げさせていただいて、繊維雑貨局長なり業務部長と、話し合いを質問の形でしたいと思いますけれども、とにもかくにも、労働省の問題と通産省の問題とからみ合うかもしれぬが、企業自体が、いまおっしゃるように、一〇〇%麻袋をやっておるとは私も言っておるわけではないが、しかし、麻袋をやっておる大手の関連の業者なりその従業員に影響するところ大きいというこの事実に立って、やはりその原因も突き詰めながら、緊急に問題の処置に立ち上がっていただきたい、そのことを強く要望申し上げて、大臣の時間の関係もありますから、大臣に対する質問を打ち切りたいと思うのですが、もう一度決意を新たにわれわれに示しておいていただきたいと思うのです。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さらによく実情を聞きまして、私どもとして、とれる援護の措置を研究いたしてみたいと思います。
  77. 川端文夫

    ○川端委員 食糧庁の業務部長さんにひとつお尋ねしますけれども、私の持っておるこの資料によりますと、六八年度は、六七年度から見れば六百四十三万袋ほど国内消費がふえておるわけですね。六九年度になって二百二十八万袋ほど減っておるという現象が出てまいりまして、さらに七〇年度に二千二百五十七万三千袋が一挙に減少しておる結果が、これは農林省からもいただいた資料によって明らかにされておるのだが、食糧庁は、よそに売れない品物のこのような現象に対して、どのような需要先に対して御指導されておったのか、その実情をお聞かせ願いたいと思います。
  78. 中村健次郎

    中村説明員 ただいま四十四年産の包装麻袋から非常に減少しておる、こういうのに対してどのような指導をしてきたかということでございますが、御承知のように、四十二年産の豊作を契機にいたしまして、包装用の資材は、麻袋、紙袋、かます等、全部含めまして急激に増加をいたしました。そして四十三年産の一億九千万袋でピークになりまして、仰せのように、四十四年では一億七千五百万袋というふうに、これから減りに入ったわけでございますが、その段階で今後の生産調整とゆうふうな問題が出てまいりましたので、四十五年産につきましては、包装用の資材が急激に減るということは業界にも申し上げまして、これに対応するようにしていただきたいということは申し上げてございます。  特に新麻袋につきましては、御承知のように、米麦の包装用につきましては、食糧庁が何を幾ら使えということを指示しておるのではなくて、生産者の自由選択にまかしております。したがって、生産者の包装容器に対する需要傾向というものが、最近の農村における労働力の事情とか、あるいは自主流通米という経済性の非常に強い米の流通形態が出たというふうなことと関連いたしまして、三十キロ入りの軽い紙袋というものの需要が非常に伸びてきておるという傾向を持ってきておりますので、どうしても、重い麻袋でありますとか、かますでありますとか、そういった容器に対する需要は減ってまいる。総需要が非常に減るところにもつてきてそういった情勢がありますので、十分にこの情勢は業界へもお話をしまして、対応するようにお願いをいたしております。
  79. 川端文夫

    ○川端委員 業務部長のいまの話は、一般論としてはわからないわけではございませんけれども、しかしながら一般論ではない。おたくが最終ユーザーとして、最終需要家であるわけですね。そういう意味において、大きな変化があればどういうことが起きるか、このことを、いつごろ業者に対して指導を明確にされて出されておるのかどうか、この点も承っておきたいと思います。
  80. 中村健次郎

    中村説明員 そういった情勢につきましては常日ごろ申し上げておりますが、特にはっきりといたしましたのは、四十五年産米が百五十万トンの生産調整を行なうということが大体きまってまいりました本年の一月ごろには、非常に四十五年産米の需要量というのは減るということを申し上げております。
  81. 川端文夫

    ○川端委員 私が聞いておるのは、明確に把握できたのは四月ごろ、こういう話を聞いているのですが、いま一月ごろ、こういうお話です。三カ月ほどのずれでありますから、まあ一月は一月としてたいした問題がないとしても、言うならば、業界の話を聞けば、それから四割減産に入って、四割の減産をしたのだが、結果として三千万トン余ったんだ、こういう話です。しかしながら、その一つの話の中には、上昇期に設備をした結果、生産増強の姿の計画の中から四割ということではなかろうか、私もその点は疑問には思っておるのですが、それはそれとして、ともかく麻袋の需要期が大体年内に大きな需要が進むんじゃないか、こう思いますと、それから三月なり四月までは従来どおりのベースで生産をして、なおその後においての減少等をとらえて減産に入っていったものと見ていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  82. 中村健次郎

    中村説明員 先ほど申しましたように、減産をしなければならないであろうという情勢は、これは四十五年産米の麻袋の準備を始めます一月ごろからわかっておったと思います。われわれもそういうことは申し上げておりますけれども、その後努力はされたわけでございましょうが、何しろ設備が非常に増強されておったということで、設備増強から見れば、先生のおっしゃいましたような操短をされたのかと思いますが、われわれが扱ってまいりました新麻袋の数量から見ますと、一番多く使いましたのが、四十三年産米が約五千四百万袋。四十四年産米が五千三百六十万袋程度に若干減ってまいった。それから四十五年産米が、現在のところの見込みでは四千百五十万袋程度でございまして、使用量の傾向としてはそう非常なダウンをしたということではございません。したがいまして、三千万袋に近い在庫ができておると聞いておりますが、この点につきましては、メーカーの方が非常にお困りになっていることもわかりますし、われわれとしても苦慮いたしておるような次第でございます。
  83. 川端文夫

    ○川端委員 いま数字の点は多少食い違いがありますが、私らも頭はラフだから、あまりこまかい数字をここで繰り返そうとは思いませんが、とにもかくにも、そういたしますと、この問題の原因は業者にあるからおれら知らぬということになるのか。結果の問題としては、これだけ在庫ができて、来年もなお米麦の生産調整が行なわれることが明らかであって、減ってもふえない条件になっているのだから、そういう意味においては、わしらは知らぬと突っぱねられるかどうかということ、この点は食糧庁としての見解はいかがでしょう。
  84. 中村健次郎

    中村説明員 御指摘のように、四十六年産米につきましては、現在、生産調整をどの程度やるかということが鋭意詰められておりますが、昨年よりもかなり多くなるという空気でございますので、それらのことを考えまして、四十六年産米の使用見込み数量は非常に減ってまいるということでございます。それに対して在庫が相当多いということなので、われわれは、そういうことに関しては何ら関心がないということではなくて、できるだけメーカーの打撃を緩和するというふうな措置をとっておりますし、また今後もとっていかなければならない、このように考えております。
  85. 川端文夫

    ○川端委員 食糧庁に対しては後ほどまたお尋ねすることもありますが、繊維雑貨局長、通産省として産業を育成し振興していくというこの立場に立って、さきに出された特恵供与の問題に対して深い関心をお持ちになっていることは私も理解できるのだが、現実いま起きているこの問題、在庫がたまって、へたをすると、来年は一枚もつくらぬでも間に合いそうな条件が出てきている姿に対して、いま食糧庁と私とが質問の形でやりとりした中から、局長はどういうふうにお考えになっているか。この点は、何か局長としての考え方があれば、お聞かせ願いたいと思うのです。
  86. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 ただいま食糧庁のほうからお答えがございましたように、麻袋の需要のほうの減少は、これは需要そのものの減少につきましては、どうもいたし方のないことでございます。それで業界のほうは、実はこれから三年間、ほとんど従来どおりの六千万袋を食糧庁が使うように通産省が頼んでくれというようなお話もあるわけでございますが、私どもも、食糧庁自体の経理状況というのも正確ではございませんまでも、非常に御迷惑をかけられるほどのものではないということは存じ上げておるわけでございますし、業界の御要望をそのまま実はお取り次ぎするわけにもいかないように考えておったわけでございます。  ただ私ども業界をかかえております原局といたしましては、やはり何とかこの苦境をひとつ考えなければいけないということで、いろいろ苦慮しておるわけでございますが、この麻袋の業界は四社、麻のいわば大企業でございまして、そのほかに、先生さっきおっしゃったかと思いますが、約二百の下請がございます。それで、四社を対象といたしますと、これは大企業でございまして、大企業向けに特別の融資というような点も非常に無理かと思います。あるいは中小企業対策として何かできますかどうか、この点も実は検討いたしましたが、下請業界がまとまって一本になっているというような状況が、この業界にはございません。いろいろな面から、私どものいわば政策的にアプローチする手段が非常に限定されるようでございます。業界から数字等もいただいておりますけれども、さっき大臣も申されましたように、なお私どもとしては、中身をよく検討いたしまして、詰めるところを詰めなければいけないのではないかという感じでございます。先生おっしゃいますように、もう年末は目前でございまして、非常に対策の時期は切迫しているという感じがございますが、一方、業界の方々の、自分でどうしよう、こうしようという点についての計画は、もう少し検討する余地もあるようでございまして、なお私ども、十分、しかも急いで検討さしていただきたいと思います。
  87. 川端文夫

    ○川端委員 いたずらにこまかい議論をしておりまして時間を費やすのも、皆さんに御迷惑だから、私の考え方をひとつ申し上げて、これに方向つけできるかどうかということも考えて御答弁願いたいと思うのです。  まずもって繊維局長には、この三千万袋というものを一つの買い上げる形において蓄積できないか。そうして新しい四十六年度の買い上げの数量はある程度低い数字に見込んで、そして生産を継続しながら転換をさせるということが、やむを得ない事実になってきたのではないか。これはいま在庫融資もされておるわけですけれども、金利もかかるし、倉敷料もかかって、じり貧になってしまって、結局倒れてしまわざるを得ない結果が出るのではないか。出るか出ないか、帳簿を見たわけではないし、私はこまかい数字はまだつかんでおりませんけれども、働く人々の悩みから考えれば、そういう悩みのほうが深刻に受け取っている。特に大手四社も七千五百ばかり、その他の関連業者を入れると一万何千というこの従業員は、年の瀬を迎えて、いま深刻に、うちの会社がどうなるのか、こういう悩みを持っていることを考えたときに、私は、最終需要家である国が、これらの問題は、一般に持ち歩いて売れない品物であるから、やはり年度を分けてこれを取りくずして使いながら、最小限の操業をやれるという条件を、通産省としては総合的な計画の中から指導していくということ。したがって、それらの緊急対策に対しては、通産大臣なり農林大臣なり大蔵大臣と政治折衝によらなければ解決つかないのじゃないかという気がしてならないのですが、その根回しをするのは、やはり原局である通産省の局長じゃないかと思うのだが、そういう考え方になれるかどうか、そういう考え方があまりにも乱暴な意見かどうか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  88. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 ただいまの、現在三千万枚の在庫の買い上げにつきましては、率直に申しまして、たとえばの話でございますが、国が金を出しまして買い上げてストックしておくということはむずかしい、あるいはできないではないかという感じでございます。ただいま農林省のほうの御配慮によりまして、農林中金からその約半分につきまして滞貨金融を受けておられるようでございますが、問題は、先ほど申しましたように、大企業の製品のストックに対する金融というところで、特別な措置をとることにつきましては、事務的に非常にむずかしい問題があるように、私ども考えておる次第でございます。
  89. 川端文夫

    ○川端委員 まあ事務ベースではそうであろうということは、私も多少調べた結果わかっておるわけです。しかしながら、昔から仏つくって魂入れずということがあるわけです。何とかしてやると言いながらじり貧になってつぶれていく、こういう結果が出てから騒ぎを起こしてみても始まらぬのじゃないか。言うならば、大企業だから融資の道も限界があることは、よくわかっているわけですが、たとえば米の問題にしても、現在、膨大なる在庫をかかえておることは、やはり農業政策の立場からやむを得ないものとして、今日まで国が責任を負って買い上げてきているじゃないか。これは米でないから関係ないのだということで見殺しにしていいのかどうか。したがって、一年で三千万の在庫を取りくずしはできないという事実が明らかになっておる以上、この三千万は、金を借りてやるから、世話をしてやるからだけでは、実質的には、金利の問題なり、先ほどから言っております倉敷料の問題等から考えて、単にめんどうを見ているような顔をするだけで、最後にはめんどうを見たにならない悪結果が出てくるのじゃないかということをおそれるわけです。食管の赤字があることは、どういう立場で赤字が出たのだろうか。やはり国民の立場理解した上に立って、農民もわが国の食糧生産に協力してくれる以上は、生産者米価というものをきめて、その赤字が累積され、なお在庫がふえておるというこの事実の上に立って、ようやく今年度から生産調整したにすぎないではないですか。企業に対してはそれは違うという理屈があるであろうか。私はこのことを皆さんに十分納得できるようにお聞かせいただければありがたいと思うのです。私のそういう理論はないのなら、企業はもう自由主義経済だから関係ないのだと言い切れるかどうかということです。これは業務部長さんと繊維局長さんのお二人から——その考えがある以上は問題の解決になりませんよ。解決しようとするならば、やはり新しい何か思い切った手を打って、したがって、業者の不明なり何かの損失はある程度認めさせなければならぬだろうけれども、基本的には、やはり現実の問題に対しては何とかしてやるという、このしてやれる条件というものがなければ、何にもできないことになりはせぬのだろうか、こう思うのだが、いかがでしょうか。
  90. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 私どもの所管の産業でございますから、何とかして立ち直るようにお手伝いしたいという気持ちでございます。決して見殺しにしていいということではないわけでございます。ただ、先ほど大臣もちょっと申されましたように、やはりこれは工業でございますし、それから麻袋の生産は大体総生産の半分くらいでございます。それから会社としましても、大体一割以上の配当をしております会社でございまして、農民の方々が作付転換が非常にむずかしい、あるいは生産転換がむずかしいというのと、この黄麻工業の方々の生産転換がむずかしいという度合いは、やはり私は違ってくるのではないかと思います。したがいまして、私どもは産業のお手伝いをしないというわけではございませんが、やはり産業自体にも、いわばおんぶというかっこうではなくて、御自分もやはり努力される、それで政府はその足りないところを補うというような形で、お互いに協力して問題を解決していくという形にするのがほんとうではないかという感じでございます。  ただ、繰り返して申しますが、私どもも、この産業がどうなってもいいやということではございませんで、長期的には、合理化対策なりあるいは転換対策なりお手伝いをしようというわけでございますし、ただ、目下差し迫ったこの問題につきまして、実はどうすべきか非常に心を痛めておるというのが現状でございます。
  91. 中村健次郎

    中村説明員 食糧庁といたしましても、われわれの米麦用の包装麻袋をつくっております麻袋メーカーが非常な苦境にあられるということにつきましては、心を痛めておるわけでございますが、先生のおっしゃいますように、食糧庁が余っております麻袋を買い上げて、それを国の負担において貯蔵する、こういうことは食糧管理のたてまえからもできないことでございます。食糧管理法では、米を買うためにその包装を買っておるのでございまして、包装自体を買ってこれを貯蔵するというふうなことはとうていできない問題でございます。  そこで、私のほうでは、今年度の緊急の対策といたしましては、こういった在庫が多くなるということがだんだん明らかになりました時点からいって、集荷団体に話をいたしまして、特別に在庫融資のあっせんをいたし、これが相当な多量の在庫融資をいたしております。今後もこういった努力は続けたいと思いますが、一方におきまして、できるだけ新麻袋の需要というものが伸びるということになれば、在庫を消化していく助けになるわけでございますので、できるだけ新麻袋の需要が伸びるということには、集荷団体等とも協議をいたしまして、努力をいたしてまいりたいと思っておりますが、先ほども申しましたように、包装につきまして、食糧庁が幾ら使えというふうに命ずるわけにはまいりません。自主性を尊重するということになっております。集荷団体ともよく相談をいたしまして、できるだけこの事態を打開していくというふうにつとめてまいりたい、このように考えております。
  92. 川端文夫

    ○川端委員 中村業務部長さんにお尋ねしたいのだが、いまの答えでは、全く血も涙もない、冷たい答えにしかならないのですね。私は、業者の窓口四社は大手であることも聞いて知っておりますが、そのもとに働く労働者は一万数千人おって、家族を入れると五万人近いものが大きな影響を受けるという社会問題はどう御理解願うのか、こういうことにもなるんじゃないか。いわゆる在庫融資の問題を、もしなお必要ならば——大体半額されたようですが、千六百万袋に対して在庫融資をお世話してやっていただいたようですが、残る千四百万袋というものがなおある。在庫融資を受けられるとしても、そうなった場合に、それだけでは来年度は一枚もつくらぬでいいんじゃないかという結果が出るんじゃないか。やはり金利、倉敷料等を考えた場合に、つくれないという事実も出てまいって、当然そこに、単なる操短という文字だけでは済まされない、倒産なり廃業という問題が出てくるんじゃないか。これも私はやはり考えてあげられる問題点ではないか。そこで、農林省の食糧管理という法律のたてまえだけではなくて、やはり日本の政治の中に産業政策として、通商産業省があってこれらの産業擁護というものもあるし、労働省はやはり労働者の救済という立場でいろいろな問題点をいま考えている面もある。  したがって、私が申し上げたかったのは、冒頭に言ったように、大臣と長官とで政治的な配慮が行なえる道が、私のへたな説得でできるかどうか知らぬけれども、そういう立場でものを言いたかった。しかし、事務レベルの最高責任者であっても、事務の立場ではそういうことではあろうけれども、いま申し上げている私のへたな質問の中の裏を考えて、奥を考えて、もう一つ考えられる道がないかということで大臣なり長官と御相談を願う用意があるかないか、お尋ねしておきたいと思うのです。
  93. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 再三申しましたように、私どもこの問題は非常に心配しておりますし、また、どうしたら解決できるかということで苦慮しておる次第でございまして、当然大臣にも御相談すべきものと考えております。
  94. 川端文夫

    ○川端委員 業務部長さん、どうだろう、考える余地はありませんか。
  95. 中村健次郎

    中村説明員 食糧庁といたしましては、再三申し上げておりますように、食糧管理をやる立場にございますので、その制約がありますことは、十分先生も御承知だと思います。その中で、できるだけ御指摘の御趣旨をもちまして長官ともよく相談をしてまいりたい、このように思っております。
  96. 川端文夫

    ○川端委員 これ以上質問を繰り返しておっても、なかなか問題の解決になりそうもないので、ある程度で打ち切りますけれども、私はやはり問題点は、食糧会計の中だけではなしに、それはどこででもいいんじゃないか。いろいろな問題点考えられるんじゃないか。たとえば全購連なり農協なりに協力を求める手も、皆さんの政治力ならできるはずじゃないかという感じもするわけです。そういう意味において、当面、このたまったものの責任の所在が明らかになった場合においては、業者にその責任を何割負わせるということは当然であっても、最終需要家が食糧庁である限りにおいては、不足の時期にはやはり増産に対して要請した事実もあったらしいことを聞いておるわけですから、足らぬときにはつくれつくれと言っておいて、余ったら知らぬぞではひど過ぎるんじゃないか。こういう点をも十分御考慮願って、年度だけでは解決つかぬこの在庫を何年間かで取りくずすために、死なぬ程度の、生きられる姿において問題の処置をしてやってほしいということを強く要望申し上げて、通産省からも強い要望を出していただき、合議して問題の解決点を見出していただきたい、このことを心からお願いするのですが、私の要望は無理でしょうか。
  97. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 私どももなお十分検討いたしまして、本件を何とか解決しますように努力いたしたいと思います。
  98. 川端文夫

    ○川端委員 いかがですか、中村業務部長さん。
  99. 中村健次郎

    中村説明員 通産省から御要望があれば、われわれのほうとしても誠意をもって検討してまいりたいと思います。
  100. 川端文夫

    ○川端委員 委員長、それではあともう少し質問がありますが、食糧庁はこれで打ち切りますから……。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 関連して。  それでは、食糧庁、中村業務部長にちょっとお尋ねしますが、対馬の佐須、樫根部落、あそこのカドミウム汚染米は、まだ何か買い入れを押えているということが伝えられているんですが、どうなんですか。
  102. 中村健次郎

    中村説明員 対馬のカドミウムにつきまして、四十五年産米の買い入れの取り扱いは、先日来、県のほうにも通達をいたしておりますように、一PPM以上の米がとれる地帯のものは政府は買わない、それ以外の地域の米は買い上げる、こういうことではっきりいたしておりまして、県のほうで、この地帯の米が一PPM以上あるというふうに線引きをされた地域の米は買わないことになっております。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 だからあなたのほうは、その地帯が一PPM以上の地帯だから買わない、こういうことを堅持しているんだ。ところがその地帯の農民というのは被害者ですよ。被害者がそのままいつまでたなざらしにされることになるのですか。そのまま放置されてどうにもならぬじゃありませんか。食糧庁はこうだからほかのほうで適当に解決しろ、そんな無責任なことじゃどうにもならぬ。すべての米が一PPM以上の汚染米じゃないんだから。その地帯でとれた米だけじゃないんです。それ以外のところでとれた米だけれども選別はできない。したがって買い入れは押えられておるのです。被害者を踏んだりけったりですよ。そういうことではだめです。一日も早く解決する。公害対策という形でやるんだったらやるように、それぞれ関係省と合議をして問題解決に取り組む。そういうことをおやりにならなければ、被害者としてもどうにも救われないということになる。そうは思いませんか。
  104. 中村健次郎

    中村説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、そのために、私のほうは県に、四十五年産米につきまして、この地帯のものは一PPM以上ありそうだという地域を、極力調査をして正確にきめていただく。なお、その地帯の中でも、四十五年産米につきまして県のほうで分析調査をいたしまして、一PPM以下だということがはっきりした米は買い上げますということで進めてまいっておりまして、現在、そういった買わないという数量は非常に少ない数量しか出ていないというふうに聞いております。
  105. 中村重光

    中村(重)委員 関連だからこれで終わりますが、いずれにしても、その地帯の農家の米がカドミウム一PPM以上の汚染米の地域であるからということで買い入れが押えられていることに変わりはない。私が先ほど申し上げたように、被害者なんだから、踏んだりけったりというようなことでいつまでも放置されておるということは許されない。だから公害対策という形で、全部その地域の米を買い上げるなら買い上げるように、やはり関係省と合議をして最終決定、処理をしていただきたい。委員会はきょうで一応終わりますから、その解決の時期はいつごろ、どういう方法で解決するのか、文書でもって回答してもらいたいと思います。よろしいですね。
  106. 中村健次郎

    中村説明員 食品衛生法で一PPM以上の米は政府としても買えないということになっておりますので、したがって一回、一回検査するわけにはまいりません。そこで、一応推定で地域を県のほうできめてもらっております。その中でも、県のほうで分析をされまして、一PPM以下だというものは、私のほうで買い上げるということを県にも言っております。県も鋭意そういうことをやっておりますので、問題は解決する、このように思っております。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 それがそうなっていないから、私が言っているわけだ。一PPM以上の米は買い上げない、わかり切っておる。それは公害対策で処理しなければならない。農民は加害者じゃないんだから、被害者だから、それはそういうことをやってもらいたい。しかし、一PPM以下の米は、やはり一PPM以上の汚染米が出た地域だから買い入れを押えられているということが伝えられているんだから、県のほうで、そういうことがないようにやれということを指示しているんだったら、調査する県の方針がどうなのか、いつごろどういう方法で解決をするのか、それらのことについて文書で回答をしていただきたい、こういうことなんです。よろしゅうございますね。
  108. 中村健次郎

    中村説明員 現在の状態を調査いたしまして回答をいたしたいと思います。
  109. 川端文夫

    ○川端委員 通産省にお尋ねしたいわけですが、最近の綿・スフ織布の現状について、御存じの点もあろうかと存じますけれども、伝えられるとこによると、織物の製品の価格の横ばいと糸の価格の上昇、加工賃の下落などで、悪条件等が高まって非常な不況的なムードが強い。その中において、主要生産地が操短をしようという相談をしているという話があるのを御存じかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  110. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 ただいま主要な産地におきまして、年末及び年始の休みをふやすという話が、それぞれ個々にあるように聞いております。
  111. 川端文夫

    ○川端委員 御存じであればお尋ねしますが、いましようとする操短の中には、原料である糸の価格の問題だけを目ざして操短を考えておるようであるが、時間の関係上、私の聞きたいことを全部言いますけれども、やはり別の角度から、特に主要生産地においては、構造改善事業として構造改善の準備、近代化の準備をしている、こういう一面があることは御存じだろうと思うのです。したがって、この糸価対策としての操短だけでは問題の解決にならない。やはり構造改善によって近代化されたものが増産になっておる現実の中から、こういう問題も派生的に加わって出てきておるのではないかという見方もしておるものがあるわけです。この点はいかがでしょうか。
  112. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 現在、原糸が高くなりまして、そのわりに織物が上がらない、あるいは織物がむしろ下がりぎみであるという状況でございますことは、先生御指摘のとおりでございます。それと、構造改善によりまして、綿・スフ織物業は、設備の近代化をはかりますとともに過剰織機の整理を行ないつつあるわけでございます。具体的に申しますと、織機を導入いたしますと、その織機の能力によりまして、それに相当する一倍半の古い織機をスクラップするという方向で、合理化による過剰生産を防いでおるわけでございます。したがいまして、いまの操短問題と構造改善というのは、私どもはつながらないというふうに考える次第でございます。  なお、構造改善の行なわれております産地の、それぞれの構造改善を実施しました組合員の実績を見ますと、むしろ、かような不況の時期におきましては、不況に対する抵抗力が、構造改善に参加しなかった業者と比べますと非常に強いように、私どもは見受けております。
  113. 川端文夫

    ○川端委員 原因の問題をここで掘り下げて討論をやろうとは思わぬけれども、やはり構造改善が行なわれつつある土地においても、これは必ずしも愛知とか大阪とか、そういうところだけではなくて、石川にしても福井にしても問題点があるが、最近、無籍織機屋というものがふえる傾向にある。こういう点に対しても、せっかく構造改善をやろうとする意欲、理想というもの、目的というものが、その地域産業の業界に十分浸透し、それを活用できるような方策がひとつ足らぬじゃないかという点を考えざるを得ないと思うのです。したがって、糸価だけを操作するための操短というものはどうかという問題点を持って多くの従業員が見ている、この点を申し上げたかったわけです。  言うならば、織布に関係している従業員が約三万人ほどになるようでありますが、これらの人々が操短という——不況という事実はわかるけれども、その事実の上に立って操短だけがいい道かどうか、この点を非常に不安な気持ちで見ている。特に構造改善については、生産性向上に対して協力している全繊加盟の組合員は、一部の組合のように、生産性を否定した立場に立ってやっているものでない。構造改善にも積極的に協力した組合が、操短ということを何も聞かされないまま一方的に行なわれることに対して、非常に強い不信感を持っておることに対して、やはり指導的立場にある繊維局としては、何か考えざるを得ないというお考えが浮かんでこないかどうか、お伺いしたい。
  114. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 構造改善事業につきましては、かねてから労働組合の協力を要請しておるところでございまして、構造改善計画の樹立及び実施につきましても、組合側のいろいろな積極的な参加あるいは協力を、企業側としても要請してきた次第でございます。したがいまして、構造改善の成果があがってまいりました原因といたしましては、やはり組合側の熱意というものも当然あるわけでございます。ただいまの操短問題、これも実は年末年始の休日をふやすということで、正確な意味で操短と申し上げられるかどうかわからないのでございますが、当然これは労働者に関係する問題でございまして、私どももかねて、こういう問題は労働側とよく相談しながらやるように——申しおくれましたが、こういう問題は、各地の組合が中心になって行なうことでございまして、組合がたとえば操短問題等を考えます場合は、労働者ともよく相談してやるようにという指導をしておるわけでございます。もし今回の問題につきまして、労働組合側との話し合いが不十分であるというようなことがございましたら、私どもも、労働者側とよく話し合うようにという指導をしてまいりたいと思います。
  115. 川端文夫

    ○川端委員 いまの楠岡局長の答弁で大体いいと思うけれども、やはりこれからの新しい産業体制の中において、産業秩序を守るという立場に立って、働く労働組合の立場意見を十分聞くという雅量がないで、使うときだけ使って、要らなくなれば切れたぞうりのように捨てるという立場では、長い産業秩序は守られないではないかということを十分理解して経営者に御指導をいただけることを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 八田貞義

    八田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十八分散会