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1970-12-08 第64回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月八日(火曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 倉成  正君    理事 伊東 正義君 理事 小山 省二君    理事 佐々木義武君 理事 増岡 博之君    理事 粟山 ひで君 理事 田邊  誠君       大橋 敏雄君    田畑 金光君       有馬 元治君    小柴彦三郎君       大石 武一君    梶山 静六君       唐沢俊二郎君    小金 義照君       斉藤滋与史君    田川 誠一君       中島源太郎君    早川  崇君       別川悠紀夫君    松山千惠子君       箕輪  登君    向山 一人君       山下 徳夫君    渡部 恒三君       渡辺  肇君    小林  進君       島本 虎三君    山本 政弘君       古川 雅司君    渡部 通子君       寒川 喜一君    吉田 泰造君       寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君  出席政府委員         経済企画庁審議         官       西川  喬君         厚生大臣官房国         立公園部長   中村 一成君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         通商産業省化学         工業局長    山下 英明君  委員外出席者         通商産業省公害         保安局公害部公         害第一課長   児玉 清隆君         運輸大臣官房参         事官      原田昇左右君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         最高裁判所事務         総局民事局長  矢口 洪一君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 十二月七日  結核対策強化に関する請願寺前巖紹介)  (第二一号)  看護婦不足対策等に関する請願浦井洋紹介)  (第二二号)  同(津川武一紹介)(第二三号)  同(寺前巖紹介)(第二四号)  同(東中光雄紹介)(第二五号)  医療保険制度の改革に関する請願中澤茂一君  紹介)(第二六号)  同(柳田秀一紹介)(第二七号)  同(佐々木良作紹介)(第二五三号)  同(辻原弘市君紹介)(第二五四号)  同(中谷鉄也紹介)(第二五五号)  同(原茂紹介)(第二五六号)  同(堀昌雄紹介)(第二五七号)  同(松平忠久紹介)(第二五八号)  精神障害者に対する心身障害者対策基本法適用  に関する請願田邊誠紹介)(第二八号)  同(西宮弘紹介)(第二九号)  同(日野吉夫紹介)(第三〇号)  同(三宅正一紹介)(第三一号)  同(美濃政市紹介)(第三二号)  同(山本政弘紹介)(第三三号)  同(戸叶里子紹介)(第三四号)  患者給食の改善に関する請願寺前巖紹介)  (第九六号)  山村へき地医療保健対策強化に関する請願  (佐々木良作紹介)(第九七号)  失業対策事業存続に関する請願合沢栄紹介)  (第九八号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第九九号)  同(西田八郎紹介)(第一〇〇号)  同(和田春生紹介)(第一〇一号)  同(池田禎治紹介)(第二四八号)  同(寒川喜一紹介)(第二四九号)  同(曽祢益紹介)(第二五〇号)  同(永末英一紹介)(第二五一号)  同(和田耕作紹介)(第二五二号)  管理美容師制度改正に関する請願岡沢完治  君紹介)(第一〇二号)  同(寒川喜一紹介)(第一〇三号)  同(栗山礼行紹介)(第一〇四号)  同外三件(吉田泰造紹介)(第二四二号)  同(岡沢完治紹介)(第二四三号)  同(栗山礼行紹介)(第二四四号)  同外八件(左藤恵紹介)(第二四五号)  療術の開業制度復活に関する請願高鳥修君紹  介)(第一〇五号)  同(松平忠久紹介)(第二四六号)  森永ミルク中毒被害児の救済に関する請願(大  原亨紹介)(第一五九号)  同(加藤陽三紹介)(第一六〇号)  同(木村武千代紹介)(第一六一号)  同(黒田寿男紹介)(第一六二号)  同(佐藤守良紹介)(第一六三号)  同(島本虎三紹介)(第一六四号)  同(田邊誠紹介)(第一六五号)  同(谷川和穗紹介)(第一六六号)  同(中川俊思君紹介)(第一六七号)  同(宮澤喜一紹介)(第一六八号)  同(東中光雄紹介)(第二四七号)  戦傷病者特別援護施設設置等に関する請願  (大村襄治紹介)(第一六九号)  同(藤本孝雄紹介)(第一七〇号)  同(森田重次郎紹介)(第一七一号)  過疎地域小規模保育所設置に関する請願(江  藤隆美紹介)(第一七二号)  スモン病対策強化に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第二六六号)  寡婦福祉資金等貸付金原資増額に関する請願  (鈴木善幸紹介)(第二六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  廃棄物処理法案内閣提出第一五号)  自然公園法の一部を改正する法律案内閣提出  第二四号)      ————◇—————
  2. 倉成正

    倉成委員長 これより会議を開きます。  廃棄物処理法案を議題とし、審査を進めます。  質疑を続けます。大橋敏雄君。
  3. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 今度の公害国会といわれたこの臨時国会でございますが、根本になる公害基本法がいろいろと改善されるというものの、内容は非常に問題をはらんでおります。いずれにいたしましても、経済発展調和条項が削られたということは、環境保全あるいは人命尊重という立場で、いわゆる公害防止厚生省中心で今後進んでいくんだ、このような考えに立ってまず間違いないんじゃないか。大臣の決意をまず要求し、しかも今後の対策に対する熱意をお願いする次第であります。  さて今回提出されました廃棄物処理法案は、その目的の中に示されておりますように「この法律は、廃棄物を適正に処理すること等により、生活環境保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」とこうあるわけでございますが、基本法の中の何条、どこを受けてこの法律ができたのか。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 基本法の一条ですか、二条ですか、要するに私は、公害というものは汚染局地対象策ではなしに、これは人間生活環境のポリューシヨンを排除するのが公害対策であるという観点に立ちまして対処しておるものでございますが、そういう見地から今回の公害対策基本法も何かしらの改正がされております。その中で特に第十二条でございましたか、いままでは下水道の処理施設整備促進のことだけがうたわれておりまして、必ずしも清掃とか廃棄物処理についての権限はございませんでしたので、わざわざそこにその廃棄物処理ついての施策の——どういうことばでございましたか、適正化あるいは推進をはかるべきことをうたい込んでございます。そういうこととも関連いたしまして今度の廃棄物処理法案をつくりました。
  5. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 今度の廃棄物処理法案というのは、要するに公害対策の一環である、あくまでも公害防止対策であるという、そういう基本的な立場に立って改正されたのかどうか、もう一ぺんその辺を確認したいと思います。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 狭い意味公害ということでなしに、いま私が申し述べましたように、人間生活環境保全清潔化というような広い意味での公害対策として私は取り上げております。したがって、基本法におきまして、いわゆる標準公害としては大気汚染とか水質の保全でありますとかあるいは騒音、振動等六つ公害原因が掲げられており、それに今回土壌汚染というものを一つ加えて七つになったはずであります。ですから、その狭い意味標準公害ということではなしに、広い意味人間の生活する条件をでき得るだけ適正、快適なものにする、こういうことが私は、今日的な意味における、新しい意味における公害対策に入るだろう、こういう考えをもちまして今回の法制に対処いたしました。
  7. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 広い意味公害対策意味で今回改正案が出された、こういうことでありますが、このところが一番肝心なところだと思う。廃棄物処理は、確かにその処理のしかた次第では、もう想像もできないような公害を発生していく要因になるわけです。また、処理法案といいながらも、あくまでも環境保全立場に立った公害防止のそうした強い精神の上に今後運営されていかなければならないと思います。これは非常に大事なところでございますので、確認した次第でございます。  次に、第二条の定義の問題でありますが、ここに廃棄物あるいは一般廃棄物産業廃棄物定義内容が明示されておりますけれども、その中に建築関係から排出されておりますいわゆる土砂瓦れきというのが、この定義のどこを見ても示されていないのですけれども、これはどういう理由で入っていないのか、その点をお尋ねいたします。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 土砂瓦れきにつきましては、これは廃棄物として出てまいるような形はとりますが、これはまた有用物である場合が少なくありませんので、そのまま表現するには問題がありますこと、また土砂等ごみ燃えがら汚泥等と混在している場合は、明らかにこれらのものとして観念できることから、条文上の明示は避けてございますが、しかし不要になった土砂瓦れき等は当然廃棄物範囲に含まれるものでありますことは、また当然であります。土砂瓦れき等産業廃棄物となります場合は、第二条の第三項の政令で定める産業廃棄物として指定をすることにいたす所存でございます。土砂については、特殊の工事現場から出る汚泥状のもの、あるいは有害物質を含有する特定のものなどもございますので、そういうことを考えまして、この三項の政令で指定する、こういう考えでおります。
  9. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 どうもいまの説明では納得いきかねるのです。土砂瓦れきは量としては非常に多いので、これをこの中に入れるのはどうも入れにくいのだというような答弁があったと思うのですが、そこをもう一回はっきり答えてください。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 多いので入れないということではなしに、土砂瓦れきはそのまままた有用物として使用される場合もありますので、土砂瓦れきとして、土砂瓦れきの類がすべて廃棄物だということでここで表現してしまいますよりも、土砂瓦れきの中の真に廃棄物となってしまうもの、また有害なもの等を考慮して、それはここにありますような第三項の「廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」、こういう中の政令で定めることを考えております。こういう次第でございます。
  11. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それではお尋ねいたしますが、廃油だってやりよう次第ではこれは使えますよ。御承知と思いますけれども、ヨーロッパではあの潤滑油、あのどろどろした油を一カ所に集めて、そうしてそれを再生あるいは資源活用として、もうすでにそれが実現しているじゃありませんか。そうでしょう。またそれが採算ベースにきちっと合っているというわけですよ。こういうことは最近の新聞各紙にも取り上げられておりましたですよ。そうなれば第二条の中の「この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ燃えがら、汚でい、ふん尿、廃油、」と、こうありますね。いまの理論からいくとおかしいじゃないですか。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 第二条第一項にはいろいろ書いてありまして、その他の「不要物」と書いてあります。ところが土砂瓦れきは、必ずしも全部が不要物ではないし、有用物になる場合も多いので、その不要物になるような類型のものをねらって第三項で政令できめると、こういうわけであります。あなたのようなことをおっしゃると、大根しっぽからネギのしっぽまで、みな書かなければならぬということになったら、これはまたたいへんでありますので、類型的なものをここに載せまして、その他は、この法の目的また処理の状況や実益等に照らしまして政令できめたほうが穏当であろう、こういう考え方であるだけでございます。
  13. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私が言っているのは、産業廃棄物のみならず、廃棄物全体の中で、建設業が占めている量というものはばく大なんですよ。これは大阪の実情を調査した、都市廃棄物処理対策研究会調査内容でございますけれども、ちょっとその資料を御披露いたしますよ。「廃棄物月間排出総量二百二十八万トンを排出源別にみると、最も多量に排出するのは、建設業の百四十八万トンであって、総量の約六五%を占めている。」建設業土砂瓦れきだけで六五%を占めている。「しかもそのうちの九八・六%までが、建設現場から排出されるがれきおよび土砂類である。しかも推計によると建設業から排出される廃棄物昭和五十年には約二百八十万トンに達し、昭和四十三年現在の約二倍となる。」また「建設業から排出される廃棄物量は、他産業廃棄物量に比してきわめて多量であるばかりでなく、その排出量伸び率もきわめて高率である。」これは完全なる調査の結果あらわれた内容なんですよ。大根とかその他のたぐいとはわけが違うんですよ。これほどの大きなウエートを占めている土砂瓦れき名目をこの中に全くうたわなかったということはおかしいんではないか、こう言っているわけです。
  14. 内田常雄

    内田国務大臣 それは書き方の問題でございますが、土砂瓦れきと書いても、土砂というのは土と砂と書いてあるだけでございまして、いろいろな場所から出てきます。ですから土砂瓦れきというものは、ここで除外しているのでは決してないので、問題は、廃棄物としての不要物あるいは汚物等でございますから、二条一項で見ます場合には、「その他の汚物又は不要物」と読んでいただいて、現実にそれが一般廃棄物か、産業廃棄物かということになりますと、私は建築業者等建築現場等で扱っておりますのは、「事業活動に伴って生じた」、そういうものでありますので、政令のほうで表現等は誤りないように実体をとらえて表現するほうがよろしい。これはおことばを返すわけではございませんが、土砂瓦れきは、これらの廃棄物ワク外に置いて、どこに捨てても、どういう処理をしても自由だというふうに放任する意味では全くございません。表現上、土砂と書くわけにもいきませんししますので、たびたび申しますように、政令できめてまいるのがよかろう、こういうふうに私ども考えてきた、こういうことでございます。
  15. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は、ほんとうを言えば、今回の廃棄物処理法という名目で出てきている法律そのものの名称に対しても疑義があるのです。というのは、その中に「一般廃棄物」と「産業廃棄物」とこう出てきておりますね。産業廃棄物とは  一体何だ、これは私は大きな問題があるように思うのです。  なぜならば、わが国の従来の産業発展の足取りを見ますと、石油産業あるいは製鉄産業石炭産業が、それぞれの立場で伸展してきて、わが国経済をささえてきたわけでございますけれども石炭の例をとってみますと、石炭からコークスをとったわけですね。そのときに出てくるかす、それはいわゆるタールというものでございまして、このタールはいわゆる廃棄物だったわけです。タールというものは、もとは何にも使い道がない、いわゆる廃棄物だったんですけれども、現在はどうです、その資源活用内容は。もう引っぱりだこじゃありませんか。このように、一時は産業廃棄物のような姿であったタールが、廃棄物に対する価値観の転換によってずいぶんと内容が変わっている。こういう現実があるわけですね。  また、海洋汚染防止法の中にも廃棄物の項が取り上げられておりますけれども、単に「人が不要とした物」、人が不要とした物が廃棄物であると、一字でこれは片づけられているわけですよ。私がこの定義のことをやかましく言うのはそこにもあるのです。これは海洋汚染防止法の第三条第二号に「廃棄物」として「人が不要とした物(油を除く。)をいう。」、たったこの一行ですよ。ですから、その定義をきめようときめまいと、ただ不要物をそういうんだということになればこれは問題じゃないですか。  そういうことから私はこの問題をやかましく言うわけでございますけれども、今度の廃棄物処理法案をながめてみますと、あくまでもその廃棄物廃棄物そのものとみなして、とにかく捨てることだけ、最終処分することだけを考えているような感じがしてならない。いわゆる使えるものはうんと使え、再生できるものは再生して、なおかつ余ったものの処理をしていく、こういう姿勢が私は見受けられないように感じてならないわけです。そういう点についてはどうです。
  16. 浦田純一

    浦田政府委員 なるほど、確かに御指摘のように海洋汚染防止法三条では廃棄物定義が非常に簡単に出ているわけでございますが、廃棄物処理法案の中におきましては、先生もすでに御案内のとおり、第二条で、定義としてはできるだけ具体的に例示を設けまして、そして廃棄物範囲考え方を明らかにしているところでございます。  それから御指摘のいわゆる資源利用としての考えというものが入っていないではないかということでございますが、これらにつきましては、私どもはかねてから、ことに端的に申しますと、プラスチック類の問題にからみまして、その再利用資源的な活用ということについては、関係のほうにも呼びかけているところでございますが、   〔委員長退席佐々木(義)委員長代理着席〕 この法案の中身といたしましては、やはり三条の二項に「再生利用等を行なう」ということによりましてその精神は盛り込んであるつもりでございます。  また、わざわざ再生利用についての業者の許可というものをこの廃棄物処理法案の中では明定してございませんけれども、むしろ除外した形になっておりますけれども、それは廃棄物ということの処理に着目いたしました場合には、回収し、それを資源的に再生利用するということは、これは純然たる廃棄物処理という観点からは少し次元が違うことではないか。また、最終的にそこから出てまいります廃棄物というものについては、もちろんこの法律の中で適正な処理ということを考えていくことになっておるわけでございます。
  17. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま、三条の二項を取り上げられて、その資源利用のことについては、産業廃棄物再生利用等というところにその精神は盛り込まれているとおっしゃいましたけれども、これをずっと読んでまいりますと、要するに焼却するために運搬等に支障を来たすのでなるたけ量を減らしなさい、量を、減らすための一つ考えとして再生利用もありますよ、こういうふうにしか私は読めないのです。そうではなくて、いま局長さんが言ったようにここは判断するところですか。
  18. 浦田純一

    浦田政府委員 少し私の説明が足りませんでしたが、廃棄物再生利用ということは、厳密な意味廃物棄という範疇にはまだ入っていない前の段階のものである、これはこの廃棄物処理法案とは別の次元で取り扱うべきものである。むしろまた必要があれば関係各省とも御相談して必要な規則なり法律なりの立案ということも、これはもし必要があれば別の段階考えていくというふうに考えまして、今回は、この中では廃棄物という最終段階に着目して整理したわけでございます。
  19. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣、では今度の法律の趣旨からいって、廃棄物処理あるいは処分、それを中心としたので、資源利用等については別に考えてなかった、あるいはほかの段階資源利用の問題は考える、いま局長のこういうお話でありましたけれども、これは重大問題だと思うのです。今後の大事な要件だと思うわけですけれども、では大臣としては、あらゆる廃棄物再生利用あるいは資源活用、そういう点については今後どういう方向でどういう立場でそれを進展させようと考えられているか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 大橋さんの御提案、たいへん御親切な御提案だと思うわけであります。とにかく私どもは、今日廃棄物が出過ぎて、お互いにそれの処理に非常に悩んでおるわけでありますから、廃棄物となって捨てられてしまうものの始末に先立って、出てくる廃棄物ができるだけ少なくなるようなことが望ましい第一でございますとともに、もう一つは、幾ら消費が美徳だという時代になったといいましても、これは地球の面積も資源の存在も局限されております。それが、いかに科学の発達等で埋め合わされたといたしましても、私は無から有は生じないと考えますので、やはり廃棄物としてどんどん使い捨てるというような習慣よりも、もう一ぺんできるだけ再生したり、さらに、使えるものは大事に使う、そういうことが政治要諦である、二宮尊徳まつまでもなく、貝原益軒まつまでもなく、私は政治要諦であると考えまして、そういう私が厚生省におるのですけれども、こういうことを家庭におきまして親としての子供のしつけにつきましても、廃棄物として捨てるなと、できるだけ再生利用するような心がけをさせておるわけでありますが、おっしゃるとおりきわめて大切なことだろうと思います。しかし、大切なことであるにもかかわらず、この法律段階では、そういうお互い心がけをしておるにもかかわらず、なおかつ出てきた廃棄物をどう処理するか、どういう体系で処理するか、またその残された廃棄物も、さらにそれを減量するために再生なり仕分けなりという狭い意味再生利用ということだけしか取り上げておりません。御指摘のような、より高い意味のものは、この法律よりもう一つ上に乗っかるものだ、こういうふうに局長説明されたわけでございますので、それにつきましては、経済哲学あるいは経済原則経済政策の問題として、あらゆる場合に、あらゆることについて、おっしゃったことはこれからもっと大切なことになることと私は心得ます。
  21. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先日の連合審査のときに私はプラスチックの問題を取り上げましていろいろとお尋ねしたわけでございますが、プラスチックがいまいかにやっかいな公害の発生の内容になっているか、十分御承知になったと思います。そして、現実に現在どうやったらいいのかという具体的な対案もないわけですが、そういうプラスチック等を含めた廃棄物処理とともに、その再生利用あるいは資源活用の事柄が厚生省としていま何か案でもありますか。
  22. 浦田純一

    浦田政府委員 全体的ないわゆる資源の再利用、再活用ということにつきまして、総合的な案は厚生省としては持っておりません。  御指摘合成樹脂再生利用の点でございますが、それらの点につきましては通産省のほうにお願いいたしまして、まず合成樹脂の現在の性格のままでの再生利用ということについてひとつ至急に御検討願いたいということを御要望申し上げているところでございます。  それから私ども、局の中でその検討会をしまして、いろいろな具体的な再生利用の方式について文献その他でもって勉強中でございます。それらの知識に基つきまして具体的な面で、たとえば石油工業界方々あるいは私ども直接関係牛乳業界方々もお呼びしまして、いろいろとその点についてのこちらからの要望も申し上げておる、こういったような段階でございます。
  23. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それではさっきのに戻るのですが、土砂瓦れき再生利用の面では非常に内容が充実していると思うので、特にここには定義の中にそういうことばは出さなかった、こういうお話だったのですが、政令できめるとおっしゃるわけですけれども、大体の方向として土砂瓦れきをどのような立場でとらえた政令をおつくりになるお考えでしょうか。
  24. 浦田純一

    浦田政府委員 まだ成案を得た段階ではございませんが、できるだけ具体的にして、その方法といたしましては、土砂につきましては特殊な工事現場、そういうものの種類を特定して、さらにそれから出るたとえば汚泥状のものあるいは有害物質を含有する特定のものといったように、はっきりと反映をさせていきたいと考えております。
  25. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 どうも納得いかぬのですけれども、時間ばかりとりますので次に移ります。  第三条でございますけれども、第三条には(事業者の責務)が示されております。「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」こうあるわけでございますけれども」、この「事業者」というのはどういうものをさすのでしょうか。わかるような気がするのですけれども、個人あるいは中小企業、大企業あるいは法人、いろいろと「事業者」の中には含まれると思うのですけれども、まずそれをはっきりするためにお尋ねするわけでございます。
  26. 浦田純一

    浦田政府委員 ここで申します「事業者」といいますのは、公害対策基本法の中でも「事業者」という表現をしているわけでございますが、事業を営んでおるものということで、いわゆる企業者、事業主、それからもっと広い意味でいきますと公共事業をやっている特定の公団、あるいは場合によりましては公共物の管理者、そういった人たちあるいは団体が含まれる。それから都市活動といたしまして、たとえばごみ焼却場から出る最終的な燃えがら、そういったような場合にその事業者は一体だれかということになりますと、これは市町村長、こういうふうなことで、事業をやっておるその責任者でございます。
  27. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それは、かりに五名、十名の小さな事業であっても当然この中に含まれるわけですね。
  28. 浦田純一

    浦田政府委員 原則的には含まれております。
  29. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それではお尋ねいたしますが、「廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」とあるのですけれども、適正というからには何か基準があると思うのですよ。そういう基準があって初めてこれは適正である、あるいは不適正であると、こう出てくるわけですけれども、一体何をもって適正であるとなさっておるのか、お尋ねいたします。   〔佐々木(義)委員長代理退席、伊東委員長代   理着席〕
  30. 浦田純一

    浦田政府委員 「適正に処理しなければならない。」これは総則で包括的に「事業者の責務」ということでこのような表現になっておるわけでございますが、それの具体的内容といたしましては、第十一条の(事業者処理)というところの第二項、政令で定める基準、これでもってはっきりとさせる考えでございます。
  31. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 政令で定める基準ということばですけれども、私はこの適正処理ということばが非常に気になる。これはざる法じゃないか、つまり適当に処理してもいいような感じに受け取れてしかたがないわけですよ。一体だれが基準をきめるのか。国かあるいは地方公共団体なのか、それとも国民、その地域住民なのか、こういうことに私は非常に関心がいくわけでございますが、いまただ政令で定めるところによりということだけでございますけれども、それでは私はどうも納得がいかないのですよ。
  32. 浦田純一

    浦田政府委員 これはもちろん、政令で定めるということでございますので、形式的には政府できめるわけでございますが、これらにつきましては、すでに生活環境審議会の中の清掃部会というところで、一つ一つのものについての衛生的あるいは生活環境保全上影響のない処理方式というものを現に御検討中でございまして、すでに二、三のものについてはその答申を得ているところでございますが、そういったように学術的に見ましても公正妥当なる、また、その委員会の中には市町村側の代表の方も入っておられる、実務家もおられることでございますので、一般的な地方の実情というものも十分に勘案いたしまして定めていく。形式的には、最終的には政令という形で定めていくということでございまして、「適正」ということばの字句どおり、私どもとしてはその点遺憾なきを期していきたいと考えております。
  33. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 第五条に「市町村は、その区域内における一般廃棄物処理について、一定の計画を定めなければならない。」とありますね。また、第十条には「都道府県知事は、当該都道府県の区域内の産業廃棄物の適正な処理を図るため、産業廃棄物に関する処理計画を定めなければならない。」このようにありますね。これと、いま言われたものとの関連はどうなるのですか。
  34. 浦田純一

    浦田政府委員 第五条によります「一定の計画」と申しますのは、市町村がその固有事務として行ないます一般廃棄物処理、つまり収集、運搬、処分という一連の事業を行なうわけでございますが、それ全般についてどの程度の廃棄物排出量を見込むか、それに対してどのような人員あるいは車両を用意するか、その次にそれをどこに運搬し、どのような施設でもって最終的にどのように処分するかといったような一連の計画を立てるわけでございます。したがいまして、これにはすなわち人員計画とかあるいは施設、資材の計画、予算、そういったようなものが伴うわけでございます。その中身といたしまして、いろいろと技術的な面で廃棄物を衛生上無害に、また環境保全上影響のない形でもって扱っていくという基準が政令で定める中身になってくるのでございます。  また、十条の都道府県で広域処理の計画を定めるという場合には、これもやはり実際には数市町村にまたがった区域でもってこのような計画を立てていかなくちゃならないということで、市町村の場合よりももっといろいろと計画立案について十分に練らなくちゃならないという、中身は少しそういった意味では複雑になると思いますけれども、同様に、人員、資材あるいはそれに伴う予算というもの、総合的な計画ということでございまして、技術的な中身というものが政令によってきまってくる、このように私ども考えております。
  35. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 政令で適正な基準がきめられるというお話でございますけれども、では実質的には結局その市町村できめる一定の計画、それから産業廃棄物に対する処理計画、これに従うか従わないかということになるのでしょうか。
  36. 浦田純一

    浦田政府委員 市町村あるいは都道府県が立てます計画というものは総合的なものでございますが、この廃棄物処理法案目的としております最終的な廃棄物の適正な処分ということの中身、これをいかにして担保するかと申しますと、やはりこれは取り扱いのそういった処分の科学的、技術的な基準であろうと思います。その点を政令で定め、それに基づきまして総体的な計画というものが市町村あるいは都道府県でもって立てられていく。最終的な担保は、やはり技術的な基準として政令できめていく、こういう考えでございます。
  37. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 どうもわからぬですね。いいですか。要するに、政令で定めようと、市町村の一定の計画にせよ、あるいは県で定める廃棄物の計画にしろ、廃棄物処理というものは、収集、運搬、処理、処分、それ以外にないでしょう。したがって、適正な処理ということについては、やはり事業者における適正な処理というものは、収集はこうあるべきだ、あるいは運搬についてはこうあるべきだ、処理についてはこうあるべきだ、最終処分はこうなんだぞ、これがはっきりしないと、はたしてみずからの責任においてどうのこうのということをうたわれてみても、先ほど言ったように、適正な処理ではなくて適当な処理になるのではないか。私が心配しているのはそこなんですよ。その点どうなんですか。
  38. 浦田純一

    浦田政府委員 説明が晦渋でおわかりにくいかと思いますが、市町村で立てます計画と申しますのは、いわば量的な、つまり人員とかあるいは車両の配置とか、施設をどのように整備していくか、こういったような総体的な計画になるわけでございます。それから、政令で定める基準と申しますのは、そのことの中身としてどのようにやれば生衛的に廃棄物が最終的に処分されるか、それから環境保全上影響のない形でもってそれらが行なわれるかということをしっかりと守ってもらうための基準というものは、やはりそれは市町村のほうに個々の判断にまかせるというわけにはまいりませんので、少なくともそれの最低必要限の基準というものは政令でもって定めるという考え方でございます。
  39. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 じゃ、市町村とか都道府県がきめる処理計画等は、適正な処理、適正な処分、これとは直接の関係はないわけですね、いまあなたがおっしゃることからいけば……。
  40. 浦田純一

    浦田政府委員 総体的な計画を立てるにあたって、個々の具体的な収集、運搬あるいは処分の技術的中身、ことに衛生的に見た場合の中身というものは、どうしても国の段階で最低基準は確保する必要がありますので、それに基づいた計画でなくてはならない、中身はそれに基づいたものでなければならない、こういう関係になるわけであります。
  41. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私もそうだろうと思うのですよ。ですから、ここの「自らの責任において適正に処理」というところに、「自らの責任において地方公共団体が計画する処理計画に基づき」こういうふうに具体的に入れたほうが、よりこのことばは的確になるんじゃないでしょうか。この点はどう思いますか。私はこれは大事な——総論の中でうたわれているものだからいいかげんでいいというものじゃないと思うのです。地方公共団体が計画する処理計画に基づき適正に処理しなければならない、このように私は明確にうたうべきだ、こう考えるのですけれども、どうでしょうか。
  42. 浦田純一

    浦田政府委員 条文の表現上いろいろの考えがあろうかと思いますが、ここで廃棄物として取り上げておりますものに、いわゆる一般廃棄物とそれから産業廃棄物二通りに区分して考えているわけでございます。しかも今回の法改正の主目的は、産業廃棄物についての事業者責任を明確にするという点にあるわけでございます。一般廃棄物処理につきましては、原則として現行行なっております市町村の固有事務とその固有事務の体制を踏襲しようということで整理しているわけでございます。したがいまして、法文の表現上、市町村の固有事務にかかわる部分は従来の表現からその考えを持ってきた。しかしながら、事業者につきましては、やはりそのみずから処理しなくてはならないということをはっきりとしなくてはならないというところで、その両方のかね合いでもって、表現上はいまここに書いてありますような表現になったわけでございます。
  43. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、先ほどからの説明を伺っておりますと、結論的には市町村が計画するその内容あるいは都道府県が計画する処理計画、こういうのが現実的には、具体的には適正処理に大きく関連していくんだ、こういうふうに私は理解したわけでございますが、それはそれでよろしいですね。——そうなってまいりますと、市町村あるいは産業廃棄物処理計画を立てる都道府県、この計画を立てる人のそのメンバーといいますか、そこが大事になると思うのです。現在、基本法を受けて、都道府県には公害対策審議会というのがあるわけでございますけれども、その審議会の意見を聞くというのは、産業廃棄物処理計画、いわゆる都道府県の立場だけがうたわれております。市町村のほうの関係については、ただ一定の計画を立てるというだけであって、何のチェックもなければ示唆もない。これでは先ほどの適正処理についての関係からいきますと不十分ではないかという感じがするのですが、その点はどう思われますか。
  44. 浦田純一

    浦田政府委員 都道府県が市町村のいわば肩がわりとして広域的に産業廃棄物処理するという仕事をかって出ます場合、一番肝心なのは、現実に即した処理計画を定めるということであると思います。  その手続につきましては、先生御指摘のとおりに、地方公害対策審議会の御意見を聞いて定めていくことになるわけであります。もちろんその公害対策審議会の構成メンバーをどうしようかという別の面があるわけでございますが、形式的にはそのようになるわけでございます。  御指摘のように市町村を直接呼びまして、そしていろいろと聞けという公的な取りきめというものは明らかにされていないわけであります。しかしながら、実際問題といたしまして、これは当然都道府県といたしましては、関係市町村の方々をお呼びして、そしていろいろと相協議するのでなければ適正な計画は立てられないということでございますので、法形式上のことはともかくとして、実質的にはそうなるはずだと思いますし、私どもとしてはそのように強く指導してまいりたいと思っております。
  45. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 適正処理云々の問題は、あとにいろいろと法文に関連していくところでありまして、非常に大事なところですよ。そして、いま言われますように、市町村の一定の計画にしろ、あるいは都道府県の処理計画にしろ、これは重大な問題でありますし、それが結局実質的な基準になるわけですから、いま法律的には何もきめられておらないけれども、実質的にはその県の公害対策審議会の中に市町村の代表も入っている、こういうお話がありましたが、これはやはり何かきちっと条文等で明確にしておく必要があるんではないか、こう思うわけです。この点については大臣でなければ答えられないと思うのです。要するに、いいですか、大臣聞いてなかったからもう一回言いますよ。市町村が産業廃棄物処理計画を立てるときには公害対策審議会の意見を聞いて立てるというふうになっているわけですね。これはわかる。ところが、市町村の一定の計画については、そういうチェック機関は何もないわけですよ。これでは適正処理の問題から見た場合非常に不安を感ずるわけですね、一番柱となるところですから。いま局長は、法文上どこにもそういう内容はないけれども、実質的には県の公害対策審議会の中に市町村の方々の代表が出ているんだ、こういうことです。私は、これを何らかの姿で明確に成文化すべきではないか、こう言っているわけですよ。
  46. 浦田純一

    浦田政府委員 都道府県で広域処理計画を立てます場合には、先ほど申しましたように、現実の問題としては市町村の意見が十分に入っていくように運営してまいりたい、その点は強力に指導してまいりたいと思います。  それから、市町村単位でやります場合、これにつきましては現在までの実績といたしまして、各市町村が条例でもって十分にいろいろの計画を立てていく等やっておりますので、いずれにいたしましても地域住民の方々の御意見が、また、その地域の実情に応じた計画というものが立てられるように配慮されておると思うのです。またこれからもそのようにして指導してまいりたいと思います。
  47. 内田常雄

    内田国務大臣 大橋さんのお説ごもっともと存じますが、法律できめます際に、とにかく市町村が思いつきの処理計画ではなしに、市町村民が見ても、また県が見ても、国が見ても、これならば市町村内の一般廃棄物等の処理がうまくいくであろうというような客観性のある計画を立てることが望ましいということで、この法律には市町村は思いつきではなしに、一定の計画を定めておやりなさいということをうたってあるわけで、その定め方については審議会を設けるとか設けないとか、あるいは、たいがいは市議会などに、ちょうどこの社会労働委員会と同じように委員会制度もございますので、実際にはそういう市議会の分野の検討の対象になる場合もございましょうし、その辺のことはそれぞれの市町村におまかせする。元来が一般廃棄物の清掃というのは、地方自治法のたてまえでも、清掃法のたてまえでも、市町村の固有事務ですから、あまりこまかいところまで規定をしなくても、心がまえだけ、こういうことでこういうふうに書いてあるわけです。
  48. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 今度は特に事業者の責務がはっきり打ち出されて、みずからの責任において適正な処理をする、こうあるわけですから、非常に大事な問題だというわけですよ。公共団体のほうに一任していくこともいいでしょうけれども、また、そうあってもいいかもしれませんが、いま言ったような排出者の責任を明確にしていかないと、今後の公害はおさまらない、こういう立場で私は申し上げているわけです。  そこで、では一歩譲りまして、現在ある都道府県の公害対策審議会の中に自治体の職員の代表を入れてその意見を反映させる、これは私は必要だと思う。いま入ってないでしょう。どうですか、そこは。
  49. 浦田純一

    浦田政府委員 現在では地方公害対策審議会は必置にはなっておりませんが、今度の法改正でもってこの必置義務を都道府県に課したい、かように考えております。また、その構成の中身につきましては、できるだけ地方の実情が反映するように検討してまいりたい。
  50. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ですから、地方の意見が反映されるためには、やはり地方自治体の職員の代表をその中に加えるべきである、こう言っているわけです。これは当然じゃないですか。そうでしょう大臣、そう思いませんか。
  51. 内田常雄

    内田国務大臣 ちょっと私にも答えられない問題でございまして、いままでは公害対策基本法によりまして中央公害対策審議会は必ず置くたてまえなのですが、各地方は置いてもいいし、置かなくてもいいという規定でございましたのを、今度公害対策本部また衆議院の産公特にかかっておりますように、公害対策基本法改正いたしまして、それを地方の必置制にいたしたわけであります。でありますから、必置制になりますと、その構成なんかにつきまして、北海道と九州とがまちまちだというようなことも考えられませんので、おそらくそれは一つの基準を示すような形で進められることと思います。これは公害対策本部の担当大臣がそのほうのことをやっておりますので、ここで私がこうするということはちょっとお答えできませんが、たいへんあなたの御意見に賛成いたします。
  52. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 じゃ、いまの私が言いました地方自治体の職員をそういう審議会の中に代表として入れるというこの私の考え方、いま主張したことは、あなたいきなり返事はできないけれども、その意見は非常に重要なことである、それを尊重する、そして、今後そういう話し合いの場においてそのことを主張していくというふうに理解してよろしいですか。
  53. 内田常雄

    内田国務大臣 それは私がそういうふうにするのが適当だろうと考えますので、ひとつまた産公特のほうでもそのような趣旨で御発言をいただければ、これは両方からそういう運び役となるので、その辺よろしくお計らいください。
  54. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それじゃもう一回、先ほどの問題に戻るようですけれども、第三条の二項に事業者は「再生利用等を行なうことによりその減量に努めるとともに、」こうありますね。これは再生利用のほうと減量というほうとどちらにウエートを置かれた条文なんでしょうか。
  55. 浦田純一

    浦田政府委員 廃棄物処理法案のその処理のたてまえからいきますと、減量ということに重点があるのは当然ではございますが、それだけではなかなか目的が達成されないということで、事業者廃棄物再生利用、そういった根元にさかのぼったところにまで触れておるわけでございます。それから、後段でもってさらにものをつくる、あるいは加工し販売するという場合に、処分のことまで考えておるわけで、減量というところにウエートが置かれておるわけであります。
  56. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 わかりました。その後段のほうですね。「減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製造、加工(販売等に係る製品、容器等が廃棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないように努めなければならない。」こうあるのですね。これは努力規定なのですね。現実問題として、この前も話しましたようにプラスチックの実例がございますね。そういうことになりますと、こんな単なる努力規定ではおさまらぬのじゃないか、これは義務規定にすべきである、こう考えるのですけれども、その点どうですか。
  57. 浦田純一

    浦田政府委員 私も一義的にはそのようにできないかということで、先生の御意見のように義務規定ということで考えたのでございますが、よくいろいろと実態に即して考えてみますと、結局最終的に廃棄物とするというその最終段階は、やはり国民の皆さま方、消費者の皆さま方の意思による。そこに一つのスプリングボードと申しますか、踏み切り台があるわけでございます。したがいまして、これをすぐ即座に現状でもって義務規定にするということは、いささか問題があるのではないか。とにかくこういった項目を設けて御協力をお願いしたいということでとどまるべきではないか。また、ここではいわゆる総則として項目を並べてありますので、実際にはあとのところの項目のところである程度は個々の場合には義務として課することもできるところが部分的には生じてくるかと思いますので、ここではいわゆる努力規定ということで考えたわけでございます。
  58. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ここのところをきびしくしないと、いわゆる公害が発生してくるわけですね。ここが問題なんです。先ほどプラスチックあるいは特殊なものについての処理の問題については、いま通産省のほうにその研究をお願いしているというようなお話でありましたけれども、いずれにいたしましても、ここの条文を、努力規定よりも義務規定に直して強力なものにしていかないと公害はおさまらない、こういうことを私は主張しておきます。  通産省の方にお尋ねいたしますが、いま厚生省のほうからプラスチック等再生利用等についての、あるいは処理方法についての研究を依頼されていると言われましたけれども、どの程度進んでおるのでしょうか。
  59. 山下英明

    山下政府委員 昭和四十四年、去年から技術開発費を予算でいただきまして、工業技術院関係の試験研究所で基礎的には五年計画でやっております。
  60. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、五年後にならないと、ちょっとそうした具体的なものはでき上がらない、あるいは達成されない、こういうふうに考えてよろしいですか。
  61. 山下英明

    山下政府委員 現状では、プラスチックの加工業者あるいはユーザーのほうで工場内で自社再生をやっておる比率が高まってきております。また、削りくず等をまとめて廃品屋が引き取りまして、そしてそれを再生してビーズ等の製品にして販売する業者もふえてきております。   〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 民間側でそういう現実の努力が進んでおりますので、通産省といたしましても、基礎的な研究とまた別に現実の線に沿った、半年先、一年先でもできることも技術指導してまいっておるわけでございます。
  62. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、いまのところ、そうしたプラスチック合成樹脂等の特殊なものについては、自分の会社で再生利用している、そういうのがだんだんふえてきた。これはそちらのほうにまかせておっていいのではないかというようにも受け取れるわけですけれども、通産省のほうで、こうしたプラスチック関係についての排出量、そういうものをお調べになっていると思うのですが、一体現在はどうなのか、あるいは五年後はどういうふうに展開していくのか、数字をあげて説明願いたいと思います。
  63. 山下英明

    山下政府委員 第一次調査でございますが、通産省として悉皆調査をいたしまして、原則として従業員二百人以上の五千の対象工場に調査表を出して、提出されましたものを集計した結果でございますが、合成高分子系の廃棄物、これの処理比率は、約七割を自社の中で処理しておりまして、そのうち三二・五%を焼却処理しておりますが、三三・八%を化学処理しております。なお、物理的処理を一・七%しております。その自社処分いたしました中で一九・二%を再生利用、これは廃品回収業者に売って技術指導して再生化したものを含みますが約二割、一九・二%を再生処理しております。
  64. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それも聞きたかったのですが、私が聞いたのはプラスチックの廃棄量の推定です。通産省で資料があるでしょう。それを聞いているのです。
  65. 山下英明

    山下政府委員 全体につきまして私どもの推定は、かりにことし五百万トン弱のプラスチック総生産があったと見た場合に、御承知のように雑貨その他で家庭用品に回る品物は約半分と見ております。残りの半分はパイプですとか建築用材とかで、家庭以外に回ると思います。  その中でどれだけが廃棄物になるかということは、確たる推定方式はまだございませんが、私どもの立てております計算は、そのうちの三分の一が一年間で寿命が来る。残りのものは、三年もつものも十年もつものもございますが、平均して五年の寿命と仮定をいたします。その年の生産量の三分の一がその年に廃棄物になり、残りの三分の一が五年後に廃棄物になり、残りの三分の一が廃棄せずに済むという想定で計算いたしました結果は、大ざっぱに申し上げまして毎年の生産量の五割前後が廃棄物化する、こういう想定でございます。
  66. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私の手元に通産省化学第二課作成の資料があるのですよ。それを見ますと、現在四十五年でプラスチック生産量が五千三百トンになっておる。そしてそれに対する廃棄量が二千三百一トンです。これが五十年になると一万トンのプラスチック生産量が出て、廃棄量が何と五千百トン。ここまでに伸びてくるぞ、こういう資料が私の手元にあるのです。これは通産省のものですが、こういう資料を出されたことは間違いないでしょう。
  67. 山下英明

    山下政府委員 先刻私が御説明しましたのもそのときの作業基準でございまして、四十四年、四十五年には五百三十万トンの生産で、廃棄物は二百三十万トン、五年後には一千万トンの生産で五百十万トンの廃棄物と想定しております。
  68. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 一千万トンの生産量ですか。
  69. 山下英明

    山下政府委員 そうです。
  70. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これは単位が千トンになっておるのですけれどもね。
  71. 山下英明

    山下政府委員 数字の書き方が少しお読みにくかったかもしれませんが、単位は千トンで一万単位でございますので、一千万トンでございます。
  72. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 わかりました。いまの通産省の説明を聞いてもわかるだろうと思いますけれども、現在のプラスチックその他の特殊なそうした廃棄物というものは全部が回収できるわけじゃない。自分の会社で再生利用しているのが七割あるといっても、きわめてその一部だと思うわけですよ。要するにそうした公害をまき散らす特殊な製品が今後も続々と出ていく可能性はあるわけですね。そういう点からいって、いまの三条二項の問題については、努力規定ではなくて義務規定に改めるべきである。私はあえてこれを主張するわけであります。  なぜならばいまさっき言いましたように、この規定がゆるいと公害が出る。加速度的に増大しております廃棄物処理というものは、現在埋め立てかあるいは焼却ですね。たとえば東京の例をとってみますと、あの有名な夢の島、あれはもう満ぱいになりましたね。そして、今日十五号埋め立て地がそのあとに続いているわけでございますけれども、それも話によればあと三年ということです。その焼却場に持ってこられたものを焼却して三年しかもたない。焼却しなかったならばあと一年か一年半でここはだめになるであろうというようなことでありますが、それは御承知ですね。まずその埋め立ての東京の例を聞いておきましょう。
  73. 浦田純一

    浦田政府委員 東京都が収集したごみの処分について、焼却が大体半分、残りは埋め立てその他で処分しておるという事実については承知しております。それから、その処分地について非常に難渋しておるということも承知しております。
  74. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 そうですね。埋め立ての場所がほんとに困る状態、なくなってきているという事実ですね。それから焼却の施設の問題、この前も話しましたが、数といい、その能力から見ても、きわめて不十分、不備でございます。その上いま申しましたようなプラスチック公害のために続々と破損されあるいは故障しております。焼却能力はもう急激に低下しているというのが現状ではないかと思うわけですね。加えて都市過密による交通の渋滞、これが収集から運搬、最終処分に至る作業を困難にしているために、結局はどこに捨てていいかという問題が出てくるわけですね。交通でも平気で行ける場合ならばまだまだいいのですけれども、交通が渋滞しているわ、焼却場も埋め立て地も不十分である。こうなれば、どうしても河川とかあるいは海、そういうところに不法投棄をせざるを得なくなってくる。また居住地にごみの山ができるという結果になるわけですけれども、こういうのがいわゆる公害になっていくわけです。  そこで私はこう思うのですよ。特に企業の処理責任をまず明確にして、その責任を負わせるのは当然の中の当然ではないか。厚生大臣は、ヤクルトに回収を義務づけて許可条件などとしているけれども、どの程度回収できるのか、それもあやふやなものです。それに違反した場合どうなるかなんというものも、この条文から見る限りにおいては何の規制もありません。したがいまして、くどいようでございますけれども、第三条二項は義務規定に改めるべきである、大臣、どうですか。
  75. 内田常雄

    内田国務大臣 よく私も状態はわかるのでありますが、どういうふうに義務規定に改めるかということになりますと、要するにここの三条二項というのは二つ書いてあります。前段は、自分の事業場から出るものはあまりよそに出さぬようにしてほしい、自分で燃すなり再加工するなり始末しなさいというのが前段であり、後段のほうは、そういう産業廃棄物ではなしに、自分の製品を外に売る、あるいは自分の製品をプラスチックの容器なりあるいは化粧品でもそうでございましょうし、百貨店の包み紙ですか袋でもそうでありましょうが、そういうものを外に売るのでございましょうから、産業廃棄物ではなしに、お互いの家庭にいってしまったものまでについても、そういうものが処分しやすいような状態を来たすように初めからメーカーは努力しなさい、こういうことで、義務規定というのは、努力すべしと書く場合には、これを口語体に直すと努力しなければならない、こういうふうに書くことになるんじゃないでしょうか。どういうふうになるのでしょうか。
  76. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 あなた、そういうふうにごまかしてはいけませんよ。しなければならないとなればいいのです。そして、義務規定というのは、それに対して違反した場合罰則がつくわけですよ。これは罰則がないじゃないですか。そうでしょう。
  77. 内田常雄

    内田国務大臣 そうなりますと、これは厚生省がどうこうということじゃありませんが、非常に議論になっておりますように、今日プラスチック製品というのは塩化ビニール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それが非常に人間生活に必要なものとしてつくられておるのですが、会社、工場が自分で使うのではなしに消費社会に出しているわけです。消費社会に出していますが始末に困っているわけであります。その始末のしょうがどんなことをやってもできるものではないので、とにかくそれぞれの会社も工場も、それからものを売るほうも、みんなで知恵を出し合って始末する以外にないのですが、始末する方法がなければそれはつくらせないというところにいかなければならないと思うのです。つくらせて売り出させておいて、それに対しては義務規定の書きようがない、こういうふうに私は思うのです。  たとえば私自身が、私は大臣で年もとっている。法制局の参事官でもないのですが、私自身がこれについては注文をつけて、こういう規定を入れてくれといって直談判をして、法律上はきれいかどうか知りませんが、私自身が実はここまでやってきたという努力をいたしておるのです。義務規定ということばは、ことばは簡単ですが、それはどういうふうにしたらいいかという問題になりますと、これは一体どういう場合に処罰の対象になるのか。百貨店はプラスチックの容器に入れて売ってはいかぬ、あるいは化粧品もまたそういうプラスチックの容器にしては始末がつかぬから売ってはいかぬというところまでやってしまえば別でありますが、いまの流通界、国民生活の状況においては、そこまでなかなか一挙にできない。だからこれはみんなで知恵をしぼってやるようにして、メーカーにも、自分のところだけじゃなしに、売り出すところについてもそれだけの努力をさせる。それからまた、その処理機構につきましても銭を出すし、費用もとるしというようなこと、また、自分の中にあるものについては、さっき七〇%くらい自社で処理しているというお話でありますが、これは七〇%じゃなしに一〇〇%まで処理させるような指導をしていくというところまで持っていく以外にないと私は考えまして、これまたたいへんな規定でございますが、やっとここまできたというのが私の苦心談であります。
  78. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 あなたの努力を私は認めないわけでもない、それはわかる。わかりますけれども、いまの条文の前段ではなるべく廃棄物は出さないようにしてください、減量してください。それから品物をつくるほうも、現状をよく知って、なるたけそういう処理に困るようなものはつくらないでほしい、そこはわかるのです。わかるのですけれども、そういう甘っちょろい考えでは現在のプラスチック公害は押え切れませんよ。かりに法制局のほうで、それをある意味において義務規定にできるという裏づけがとれれば義務規定になさいますか。
  79. 内田常雄

    内田国務大臣 まず法制局の考え方と——義務規定にするということになりますと、これはわれわれは当然そういうプラスチック製品が一方に果たしておる国民生活上の利便というものも拒否するだけの生活準備ができていないと私はやれないことだと思います。その点は、これは単に議論の問題や文章の問題ではない、人間生活の問題だと思います。
  80. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまのプラスチック公害がどれほど人体に危害を与えているか、お考えになったことがありますか。
  81. 内田常雄

    内田国務大臣 毎日考えております。
  82. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは今度は、経済発展調和条項が削られた。基本法ですよ。それはあなたは産業ベースでものを考えていけばそのとおりになるでしょう。しかし今度は、あくまでも人間の生命、健康、環境保全、これを基本にしていかなければだめだ。だから私は、一番最初に、わざわざこの処理法を公害対策の一環として出されたものでしょうねと念を押したわけです。そういう立場から言っていろわけです。ですから法制局のほうで、この点がこうこうこういう状態ならば義務規定としてきめられますということになれば、そこはのむべきじゃないか、こう言っているわけです。
  83. 内田常雄

    内田国務大臣 それは規定だけの問題ではなしに、法律技術上の問題ではなしに、そういう法律上でプラスチックの使用を規定してしまっていいようないま事態なのかどうかということをも考えてまいらないと、この書き方だけの問題ではないと思います。要するに私は決して企業寄りではない。何しろ厚生省でございます。御承知のように牛乳びんにいたしましても、農林省のほうは——このごろは厚生大臣考え方もあるので、それに従わざるを得ないということで考え方を直してくださっているようでありますが、ついこの間までは、物価の問題、あるいはその他牛乳なり乳製品を国民に飲ませるという利便の問題から、プラスチック容器についてはむしろ前向きの政策をとっておったことも御承知でありますが、そういうことに対しては、私どものほうは、これは厚生省でありますから、全く企業寄りよりも消費者寄り、人間寄りの立場から、それでは困るということを厳重に申し出ておることは御承知のとおりでございます。通産省に対しましても、私は同じようなことで、処分がしにくいようなそういうプラスチック製品は、幾ら人間の役に立っても指導をしないで——それはできるだけ処分がしやすいようなそういう性質のプラスチックというものの開発を検討してもらわなければならない、こういうことを申し入れており、またそういうことを言いましても、現実にはプラスチック廃棄物というものは出るのであります。それをいま一般廃棄物と一緒にいたしますと、御承知のとおりああいう害毒を出しますので、仕分けをして、プラスチックを焼却処理その他の処理をする際にそれに耐え得るような焼却炉などの開発につきましても、私どもは努力をさせております。  最近京都大学でございますか大阪大学などにおきまして、そういうもののある程度の成功をおさめたということを聞いておりますので、私もそれは非常に高く評価をいたしておりますが、そういうような行政方向を一本に持ってきたり、あと始末をする処置を、この精神に従って、社会にいい面ばかり強調しないで、悪い面も考えて、いい面も進めていくようなことをしなければならないということが私の立場であります。ただここで縛ってしまえばそれでいいというふうには私にはどうしても考えられない。私は、これは乏しい能力でありますが、いまの段階としては、この辺からまず進めていくのが一番よろしい、こういう私の結論でございます。
  84. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これ以上論議しても尽きないと思います。それでいま農林省に牛乳のプラスチック容器については差しとめみたいなことをやらした、それを説得した、こういうお話でございましたけれども、当然のことだと思うのです。というのは、生産コストは確かに物価問題とからめて低いかもしれません。しかし今度は処理コストからいけば逆にまた上がってくるわけですから、ちょっと冷静に考えてみれば問題ないことなんですね。ただ一つ問題なのは、いま乳製品の乳業者がそうしたプラスチック容器の生産段階に準備を整えてしまっている、こういうことなんですね。それだけに、この処理についての、あるいはこの方向についての監視というもの、あるいは見きわめというものは大事なことですから、そういう点だけはしっかり腹に入れて押えてもらいたい。  では次に参ります。要するに廃棄物処理については下水道問題も非常に大きな関連があるわけですね。今度第三次下水道整備五カ年計画で事業費総額二兆六千億ですか、これが策定されて進もうとしているわけでございますけれども、これは一体五年後にはどの程度のものになるのか、それを説明願いたいと思います。
  85. 久保赳

    ○久保説明員 下水道整備五カ年計画の第三次計画達成後——昭和五十年度末でございますが、昭和五十年度末には市街地面積全体の約三八%まで公共下水道が普及することを目途にいたしております。
  86. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は専門家ではないので、まことに初歩的なことを聞くようでございますが、今度たしか二十五カ所計画されていると聞いたのですけれども、もともとの法律からいきますと、公共水域が四十九カ所指定されていたわけですね。その四十九カ所がこの五カ年で全部できるということでしょうか。それとも二十五カ所だけができるということでしょうか。その点を説明願いたいと思います。
  87. 久保赳

    ○久保説明員 ただいまの先生の御指摘はこういうことだと思うのでございます。先般九月一日に公共用水域の水質汚濁につきまして、四十九水域の水質環境基準が閣議決定になったわけでございます。その四十九水域に対しまして、二兆六千億の下水道工事をすることによりまして、五カ年内にその環境基準が達成されますのは二十五水域でございます。したがいまして、残りの二十四水域につきましては、五カ年内には達成できませんけれども、可及的すみやかに達成すべく二兆六千億の中に二十四水域の投資額も見積もられておる、こういうことでございます。
  88. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 よくわかりました。要するに五年後に完備したとしても、これは市街化区域のいわゆる三八%というふうに見てよろしいのでしょうか。
  89. 久保赳

    ○久保説明員 そのとおりでございます。
  90. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは全部が完成してみてもわずか三八%ですね。市街化区域の三八%、これは問題にならぬと思うのですが、それにいたしましてもいま議論になっておりますことは、財源の裏づけの問題ですね。従来は五カ年計画で九千億ですか、それが今度は第三次計画では単年度で約五千億以上の予算になるというように計算ができるのですけれども、こういう財源措置は一体どういうふうになっているのでしょうか。
  91. 久保赳

    ○久保説明員 現在の下水道の建設のための財源でございますが、これは国の補助金とそれから地方債並びに一般市費、さらには一部下水道の区域内の受益者から受益者負担金をいただいておりますが、その四つが主要な財源でございます。
  92. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 一番問題になるのは国庫補助の問題なんですね。下水道法では政令で定めるといいながらもいまだに定まっていない。今日四分の一の補助が大体なされているように聞いたんですけれども、こういう実情からいきますとやはり国庫補助のほうは二分の一に早急に改めるべきである、こういう意見がもうあらゆるところに出ているわけですが、これに対してはどういうふうにお考えになっているでしょうか。
  93. 久保赳

    ○久保説明員 下水道事業の建設財源の問題でございますが、御承知のように現行の下水道法第三十四条には下水道の設置、改築その他災害復旧等に関しまして政令の定めるところにより予算の範囲内で国が補助することができる、こういう条項がございます。しかしながら現在まだこの政令は定めておらない、こういう状況でございます。これにつきましては現行の下水道法は昭和三十三年四月二十四日に制定公布になりまして約一カ年の準備期間を置きまして昭和三十四年四月二十三日に施行になったわけでございます。しかしながらその昭和三十三年当時の下水道事業の補助率は、公共下水道についていいますと六大都市が四分の一、それから一般都市は三分の一という状況であり、なお総事業費に対しましてぐく一部が国の補助対象事業になっておる、大部分は地方の単独事業として実施される、こういう状況であったわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、そのような時点で政令を定めるということは、今後大いに建設を進めていかなければいけないという実態からいきますと、適切なる時期ではないんじゃないか、こういうふうに考えたわけでございますが、その対策といたしましては、全体の下水道事業をいかなる財源で、どういうふうに進めていくのが適当であるか、こういう問題を研究をするために全国市長会並びに都市センターに委嘱をいたしまして、関係者寄りまして下水道の財政に関する問題を研究したわけでございまして、その成果はすでに都市センターから発表されておりますけれども、そのような努力を昭和三十五年並びに昭和四十一年と二回続けました結果、その間におきまして、昭和四十年には京都市が単独でございますけれども補助率が四分の一であったものが三分の一になり、それから昭和四十二年には、公共下水道が大都市が四分の一、一般都市が三分の一のものが、現行の十分の四に改められましたし、さらに昭和四十三年には流域下水道という広域的な下水道につきましては補助率が三分の一であったものを二分の一に改める、こういうふうに逐次補助率を改善するとともに、国の補助対象の範囲というものを拡大してまいったわけでございます。現在でも必ずしも十分だというふうに考えておるわけではございませんが、先生御指摘の下水道整備第三次五カ年計画は二兆六千億にものぼる巨額にもなりますので、その五カ年計画策定の時期に国並びに地方公共団体等の負担の明確化をはかって政令を定めることによりまして第三次五カ年計画の円滑なる実施を期したい、かように考えておるところでございます。
  94. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 政令を今度は定められるわけですね。要するに屎尿の処理の問題は廃棄物処理の大きな立場から見て非常に大きな内容を占めているわけですので、これはほんとうに本気になってその対策に乗り出していただきたいと強く希望して、あなたに対する質問はこれで終わります。  次に移ります。第九条でございますけれども、市町村は、単独にまたは共同して、一般廃棄物処理しているけれども、これにあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物処理することができる、こうありますね。また都道府県は、主として広域的に処理することが適当であると認める産業廃棄物処理する、こうあるわけでございますけれども、この「必要であると認める」とか「適当であると認める」とかというのは、これはどこでどのようにきめられていくか。簡単でけっこうです。
  95. 浦田純一

    浦田政府委員 九条の二項の意図しておりますところは、市町村は現行の固有事務としてやっておる清掃事業、これはもちろん従来どおりひとつしっかりおやりください、しかし産業廃棄物というものに対してどのような態度であるべきかということに対して、全然これをシャットアウトするということでは現実としていろいろと支障がありますので、市町村におきましても、一般廃棄物処理以外にも、それとあわせまして産業廃棄物についてその処理を行なうことができる余地を残したということでございます。  それから第三項につきましても、同じように現行では都道府県が産業廃棄物処理という現業をやるという規定ははっきりしておりませんが、今回はこれをはっきりさせて、入ってこられる余地を置いたということでございます。
  96. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この廃棄物処理の区分について、その区分が明確にならないと、市町村もばく大な産業廃棄物処理を余儀なくされるようなことになるのではないか、私はこう思うのですね。きのうの答弁を聞いておりましたら、商店街から出るごみもあるいはビル街から出るごみも、これは産業廃棄物だと言われたように聞いたのですけれども、これを確認の意味でお尋ねいたします。
  97. 浦田純一

    浦田政府委員 ちょっとことばが、法律上のことばと、一般的に考えておりますことばと多少のそごがあろうかと思いますが、事業主がその事業活動によって出るものは原則的には全部、私どもはまず産業廃棄物というとらえ方をするべきであると思います。しかしながら現状、一般的な実情というものを考えますと、全部ここの法律で明定している産業廃棄物として処理させる、それに伴ういろいろな責任を事業者に課するということは適当でないという場合があろうかと思います。その例として、いろいろ零細な商売をやっておる方々の店先から出るごみでございます。これはその方の一般消費生活、家庭生活から出るごみと事実上区別ができないということもございまして、これは原則的には厳密なことば意味から、一般的な日常のことば意味からいきまして産業廃棄物かもしれないけれども、この法律では、この場合は除くという考えでおるわけであります。その意味産業廃棄物についてはいろいろとここに明定してあります。こういう考えであります。
  98. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの説明もわからぬでもないのですけれども、ただ私がひっかかるのは、第九条の三項にいう都道府県が処理するという、いわゆる主として広域的に処理することが認められる産業廃棄物、それ以外の産業廃棄物はみな市町村の責任において処理しなければならない、こういうふうに読めるのですけれども、ここはどうでしょうか。
  99. 浦田純一

    浦田政府委員 これはすでに総則で、第三条で、事業者の責務ということで明確に書いてありますように、またあらためて第三章の御指摘の第九条ではっきりと書いてありますように、事業者がその産業廃棄物をみずからの責任で処理するという原則は一貫しておるわけでございます。では第二項、第三項のきめはどうかといいますと、市町村が全然産業廃棄物についてノータッチであるということは、現状に即さない場合も出てくるだろう。市町村において余力があった場合に、一般廃棄物とあわせて産業廃棄物等を処理するということができる余地があってもいいんじゃないか。第三項についても、都道府県が行なう場合も同じ考えでございます。したがいまして、その根底に事業者の責任ということがあることを御了解いただきたいと思います。
  100. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、産業廃棄物というのは結論としてその廃棄物の性質といいますかあるいはその量、こういうもののほうからとらえていくほうが適切だ。いまのように主として広域的な処理以外の産業廃棄物なんというと、非常にこれは不明確ですね。むしろ量ないしはこの内容からして産業廃棄物であるかどうかということを定義していったほうがいいんじゃないか。私はこう考えるわけです。またさらにそういうふうにはっきりしていきますと、排出者の区分、企業区分が明確になってくるとも考えられるわけですね。そういう点について……。
  101. 浦田純一

    浦田政府委員 また第二条の定義に戻るわけでございますが、産業廃棄物というもので、先生の御指摘のように物の量あるいは質というもので考えらるべきではないか、御意見ごもっともと思います。ただこの法律で取り上げます場合には、単にその量とか質とかいうことだけでなく、その根底にいわゆる事業活動に伴って生ずるということがなくてはならないと思います。したがいまして、第二条第三項におきましては、特に「事業活動に伴って生じた廃棄物」といたしまして、その排出源を明確にして、それと、それ以外のものと二つに分けておるわけでございます。さらにこれを今度は横割りといたしまして、燃えがらとか汚泥、廃油とか具体的に例示いたしまして、それらのたとえば先生御指摘の量とか、具体的なこれよりももっとこまかい質の問題とかいうことにつきましては、政令で定めていくことが適当ではないかというふうにして区分けしたわけでございます。
  102. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、そういう産業廃棄物、それから一般廃棄物内容については、こまかくは政令で定められるわけですね。わかりました。そこが非常に大事なところだと思います。そういう区分けが明確になっていかないと、たとえば手数料等が産業廃棄物から家庭廃棄物へまたがってしまって心配されるわけです。こういう点、ややもすると住民負担がしいられる結果になりますので、その点は政令でその基準を厳密に規定すべきだということを要望しておきます。それからいずれにいたしましても、今回の法の内容から市町村は、産業廃棄物処理施設があるいは改築せざるを得ない状態になっていくわけでございまして、大幅な設備投資を要することが予想されるわけでございますけれども、きのうの連合審査のときにも、国庫補助で云々ということがあったんですが、実質的な補助率が高まるように、この際もう一回確認したいと思いますので、その点大臣からお答え願いたいと思います。
  103. 内田常雄

    内田国務大臣 大蔵省がここにお見えかどうか知りませんが、私どもが補助の際に一番不満に思うこともございます。事実、せっかく補助金が三分の一、四分の一ということになりましても、その補助率をかけられる事業の対象というものがしぼられますので、したがって、たとえば一般廃棄物の焼却施設をつくります場合には、補助の対象となる部分だけではその施設ができ上がりませんので、全体をつくります際には非常に巨額の金が要るのに対して、補助率は実質的には非常に薄められるということになりますので、今日廃棄物が多くて急速に焼却の施設その他の処理の施設をいたさなければならない際に、でき得る限り実質的に助成の高まるようなことを私どもも強く希望してまいりますとともに、また現在ちょうど第二次五カ年計画の明年が最後の年になりまして、その年についてはいままでありきたりの清掃に対する考え方の年度割りの最後の年になっておるわけでありますが、こういう法律もできますし、また産業廃棄物の実態が数年前とまるで違ってきておりますので、実質的には明年度は新しい廃棄物処理の長期計画、中期計画の初年度と考えまして、現に四十五年度の補助予算よりも相当大幅な要求を大蔵省にいたしておりますし、また財政投融資につきましても要望いたしておりますので、そういう点が貫徹されますようにできる限り努力をいたしてまいる所存でございます。
  104. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 処理施設については市町村では深刻な問題ですから、いまの精神をほんとうに踏襲していただきたいと思います。  それから今度の四十六年度の厚生省予算の要求を見た場合、五カ年計画に基づく清掃施設整備費というものが計上されております。その写しをいま持っているわけでありますけれども、それに屎尿処理施設整備費、地域屎尿処理施設整備費、ごみ処理施設整備費、新産工特地域等の分として出ておりますね。これと先ほどの終末処理施設、建設省との関係ですね。これは全然もう調整とか関連はないんですか。厚生省厚生省で一本でこうしてやっていくんですか。
  105. 浦田純一

    浦田政府委員 屎尿処理の点につきましては、これはいろいろと方式はあるわけでございまして、最も現代における理想的な方式と申しますのは、申すまでもありませんが、公共下水道による方式でございます。したがいまして当然私どもがそれ以外のくみ取り屎尿の処理につきまして計画を立てる場合は、この下水道の計画との関連においてきめていくということでございます。それは清掃施設整備緊急措置法という法律がございまして、その中ではっきりと屎尿処理施設を整備するにあたっては下水道の処理計画と十分に連絡をとってそごのないようにしろという規定がございますので、それに従ってやっておるわけでございます。
  106. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 当然そうあってほしいわけでございます。しかし実情はいま建設省の下水道整備費についても非常に立ちおくれておりますし、また市町村のそうした屎尿処理についてはいろいろな問題が起こっているわけですから、こういう計画も慎重に立てていただきたい。  そこでまた話はちょっと変わるのですけれども、企業の廃棄物に対する費用負担、排出の責任の原則から明確にすべきだと思うのです。はっきりそういう企業の廃棄物に対する費用というものは全額企業負担、こういうふうに基本的に考えるべきではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
  107. 浦田純一

    浦田政府委員 この法の趣旨にもその点ははっきりと、産業廃棄物については事業者の責任であるということは書いてあります。その意味は先生のおっしゃったとおりだと思います。
  108. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それで、事業者は要するに全額企業負担が原則である、こう確認してよろしいですね。  それでは十二条の二項、これは産業廃棄物の手数料を規定しております。それから第五条の六項は家庭廃棄物の手数料を規定しておりますけれども内容はもう全く同じですね。読んでみると、こういう点で非常に何か矛盾を感ずるのですけれどもね。
  109. 浦田純一

    浦田政府委員 おことばを返すようですけれども、市町村は、「一般廃棄物の収集」——つまり家庭から出てまいりますごみを主体としたものの「収集、運搬及び処分に関し、条例で定めるところにより、手数料を徴収することができる。」ということで、やってもよろしいというか、そういったような意味合いの表現になっております。ところで第十二条の第二項では、この一番最後のところが「徴収するものとする」ということで、これは当然そうしなさいというふうな表現になっておるわけでございまして、精神がそれだけ違っているわけでございます。
  110. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それではもう時間もだいぶたってきましたので結論的に申し上げていきますが、一般家庭の廃棄物は市町村が直営または無料、こういうものを原則とするという考え方はどうですか。
  111. 浦田純一

    浦田政府委員 現行の市町村が行なっております清掃事業につきましては、現行の法律をお読みいただきますればおわかりいただけるかと思いますが、また実際の運用といたしましても、市町村の固有事務といたしまして原則として直営でやってくれ、それができないときにはその手足として業者に一定の基準を定めて委託しろ、また許可するならできるだけほんとうにできないというときに限って許可するようにしろということで、その思想はやはり市町村がみずからの仕事としてやってくれということであろうかと心得ております。したがいまして、それに伴います手数料ということになるわけでございますが、これらに関しましては、現状を考えます場合に、必ずしも市町村の全域に収集義務がかかっておったという実態でもなかったということでもございますし、それから当該市町村における清掃事業そのもの、たとえば施設設置も含めまして非常に緊急の事態に置かれておりまして、やはり財源としていろいろと考えていかなくちゃならないというような実態もございまして、それらも勘案いたしまして、実際上の問題としてはそれぞれ当該市町村の判断において、条例を定めて手数料を徴収していくという現行の規定ができておるわけでございます。したがいまして、今回の法改正においてこれをどう取り扱うかということでございますけれども、必ずしも現行におきましてもそれらの状況が一挙に改善されたというふうにも受け取れませんし、まあ原則としては現行のものは、まあ今回はほかでいろいろ問題もございましょうけれども、やはり従来どおりの線で踏襲したというようないきさつもあったわけでございます。
  112. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それじゃ厚生省考えとしては、一般家庭から出るごみについては無料というのが原則なんだ、市町村にいろいろな事情があって一応いままで徴収しているところもあるけれども、原則としては無料の方向が望ましい、こういうふうにお考え考えてよろしいかどうか。
  113. 浦田純一

    浦田政府委員 まあその辺につきましての判断はいろいろあろうかと思いますが、私どもはやはり厚生省立場としては、それぞれの市町村の実態あるいはまたその市町村の中で、自治省のほうできめておりますいわゆる基準財政需要額と申しますか、その中身との関連もございますので、一がいには言えないんじゃないかと思います。
  114. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これは非常に大事なところだと思うのです。今度の改正案の中で手数料が全部徴収されるようになるのじゃないかと非常に心配をした住民も多いわけですから、こういう点はさっき言われました、直営、無料というのを原則として、当分の間はやむを得ないところにおいては徴収もよかろうというような、そういう精神に立って進んでいただきたい。  そこで第六条の第二項ですね。一般廃棄物処理業の許可の要件でございますけれども、ここのところはさっき局長が言ったように、市町村が直営するのが原則だ、どうしても手が及ばないところだけを民間業者あるいは下請業者にやらせているんだということでございますので、今度この六条の二項の中に、いままで清掃法の中にあった、当該市町村による一般廃棄物の収集、運搬及び処分が困難であることという、これを私は盛り込んでおく必要があると思うのですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  115. 浦田純一

    浦田政府委員 これは第六条、またその前におきまする第五条の市町村の責務と市町村における処理計画といったようなものをずっと一貫して流れております考え方からいたしまして、特に現十五条の二のような表現を入れなくても、当然に市町村が立てる一定の計画というものは市町村みずからがやるということは明らかである、こういうことから今回の改正法案の中にはそれをことさらに入れる必要はないのではないかということで、条文上の整理をいたしたわけでございます。
  116. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は入れるべきであると思うのですね。ここのところはここでは即座に返答はできないと思います。大臣、ここのところは非常に大事なところですから、あとで十分検討されて、必要であろうとお感じになったならば入れる、ここはどうでしょうか。
  117. 内田常雄

    内田国務大臣 昨日から議論になっている問題でございまして、大橋さんがこの廃棄物処理につきましては全く私どもと同じ気持ちで非常な情熱を傾けられておるお説を伺っておるわけでありますので、これは原理原則からいうと、一般廃棄物でも、これは市町村もやれば、あるいは手が足りない場合には委託もするし、あるいはそれでも手が足りない場合には特定業者に許可する、あの手この手で廃棄物をなくなす、こういうことだろうと思います。しかしこれはせっかくいままで育ててきた、一般廃棄物については市町村を中心とする処理体系の仕組みがあるわけでありますから、私どももそういう仕組みをぶっこわして、新方式でやりさえすれば万事うまくいくとは思いません。その辺は私もよく心得ておりまして、あなたからそういうお話が、また他の議員から昨日もございましたが、あったということだけを十分テークノートいたします。
  118. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それは十分検討していただきたいところです。  もう時間がずいぶんだってきましたので次に移りますが、海洋投棄の問題でございます。今度は法律を見ましても、海洋投棄のところになると海洋汚染防止法に譲られているし、海洋汚染防止法から見ますと、逆に今度はそこにはまだ何もきめられていない。政令で定めるというようなことで非常にあいまいなんですね。私はこの廃棄物処理法案の一番重要なところはここではないかとも思うわけです。この点について大体どういうものを海に捨てようとなさっているのか、基本的な考えを聞かしていただきたいと思います。
  119. 浦田純一

    浦田政府委員 いわゆる廃棄物の海洋還元の問題でございますが、これは従来とて小規模では自然のサイクルの中に入れるということで、ある種の廃棄物については行なわれておったところでございます。いまさしあたって考えられますものといたしましては、当座、施設の能力から申しましてどうしても処理し切れない屎尿あるいはある種の汚泥、こういったようなものについては、海洋において浮遊物が発しないようにあらかじめ來雑物を除去するとか、あるいは不快な臭気とか、その他支障が生じないようにある程度の薬剤の添加をする、それから、ちゃんと海洋の浄化力というものに見合った量を投入する、その他、海洋中にいろいろな危険な細菌類がわかないようにちゃんとした消毒をする、また、そこで行なわれる漁業上の作業に支障がないようにする、そういったようなことを条件といたしまして行なうという考え方でございます。
  120. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間がないから次へ行きます。  これは厚生省の検討の資料だと思うのですが、この資料を見ますと、要するに、海洋投棄するのは、食品衛生業から出る——スラッジAという符号が書かれてあります。それから畜産業、都市施設、スラッジA、それも海洋処分するのだ、それから廃アルカリ類あるいは廃酸類も化学処理をして海洋投棄するのだ。要するに厚生省は、ものと質と量、これをきめると思うのです。つまり、陸上では厚生省範囲であるこれとこれとを海に捨てますよということがいずれ政令で定まると思うのですが、それについて、今度は引き受けるほうは運輸省ですね。  運輸省の方来ていらっしゃいますか。——いまのような品物がいずれ厚生省のほうで示されると思うのですけれども、一体それはどこにどのような方法で捨てられようとするのか、もう計画は立っているのですか。
  121. 原田昇左右

    ○原田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  廃棄物処理法の第五条三項または十一条二項の政令におきまして、海洋を投入処分の場所とすることができるものと定められました廃棄物につきましては、廃棄物の性状に応じまして、海流、水深等の海象条件などを考慮いたしまして、海洋をよごさないように、かつ、沿岸及び海洋におきます諸活動に影響を与えないような排出海域とその排出の方法を定めるということが、海洋汚染防止法の第十条第二項第三号の政令の基準になるわけでございます。  そこで、現在大まかな考え方はございますけれども、その具体的な基準につきましては、むしろ各分野におきます学識経験者あるいは関係行政機関の専門家等の意見を十分徴しまして、今後政令基準として定めていきたい、このように考えております。
  122. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 問題は屎尿なんですが、厚生省調査によれば、毎日一万四千百四十七キロリットルが海洋投棄されている。厚生省としては、大体、屎尿は海洋投棄するのが当然だと考えていらっしゃるのか、それとも、そういう方向はなるたけやめていこうという考えでいらっしゃるのか、その辺ちょっと聞かしてください。
  123. 浦田純一

    浦田政府委員 厚生省といたしましては、終始、できるだけ早い機会に屎尿の海洋投棄というものはやめさせたいというのがいまの方針でございます。
  124. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 要するに、厚生省としては、屎尿の海洋投棄は本来ならばやりたくない、しかしいまは施設やその他の条件が整わないためにやむを得ず投棄しているのだというわけですね。それでは厚生省としては、海洋投棄しないで済むような施設その他を整備しなければならぬと思うのですけれども、それは計画はあるのですか。
  125. 浦田純一

    浦田政府委員 これは全般的には下水道の整備計画との関連もあるわけでございます。厚生省といたしましても、もちろん下水道の終末処理場というものに対してその維持管理の監督権を持っているわけでございますが、それと関連いたしまして、問題は、先ほども少し触れましたが、くみ取り屎尿の処理施設というものが現実として要るわけでございますので、すでに屎尿処理施設につきましては、第二次の五カ年計画を実行中でございますが、昭和四十二年に発足いたしまして、四十六年度を最終年度といたしまして、少なくとも対象人口の約九千三百九十三万人の人々の屎尿をことごとく処理施設でもって処理できる——これは下水道も入れましてでございますが——ように進めていく。現在、四十四年の計画量でございますが、それが約八割近くまで進捗しているようでございます。
  126. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それではいま厚生省が思っているように、海洋投棄しないでも済むというところまでは、大体いつごろまでかかると予想されていますか。
  127. 浦田純一

    浦田政府委員 当初の見通しといたしましては、昭和四十六年のこの計画が完了するところでほぼいけるのではないかという見通しを立てておったのでございますけれども、実はその後の特掃地域の人口——今度特掃地域はさらに廃止されるわけでございます。それと既存の施設のある程度の破損といいますか、そういったようなことで能力が落ちたといったようなこと、あるいは人口移動に伴ういろいろな問題があって、多少そこら辺のところに見込み違いが正直申しますとございまして、これをさらに第三次の五カ年計画というものを立てて、昭和五十年を目途として全体的に屎尿の海洋投棄は廃止するようにつとめたいということで、目下計画を策定中でございます。
  128. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは厚生省は計画としては大体五十年になるうちにはもう海洋投棄する必要はなくなる、そこまでがんばるということに理解していいわけですね。しかしながらその五十年まではある程度の海洋投棄はやむを得ないという立場に立っているわけですね。これは運輸省のほう、しっかりお願いします。やむを得ない立場で海洋投棄するわけですよ。ところがいま屎尿を運んでいる船というのは非常に小さいわけですね。貧弱です。だから今後運輸省で定められるであろう深海あるいは遠海、そういうところまで実際問題として運搬していくのが非常に困難だと思うのです。私が言いたいことは、そういうところから不法投棄がまだまだ続発するのではないか。したがいましてその監視体制、これについてがっちりと対処していただきたい、こういうわけですが、その監視体制のほうはどの程度にきめられているのか、説明願いたいと思います。
  129. 原田昇左右

    ○原田説明員 海洋汚染防止法案におきましては、廃棄物の排出をいたします船につきまして、第十一条で海上保安庁長官の登録を受けなければならないことになっております。そして登録する場合にはその船の設備等についての一定の基準、それから同時に、船に登録番号等を外から見やすいように表示しなければならぬようになっております。そしてさらに十六条で廃棄物処理記録簿を船に持たせまして、廃棄物の投棄についての詳細な記録をさせる、こういうことによってまず船自身に自律的に、その規範を与えまして厳正に投棄をさせる、指定した場所にしかやらせないということをまず担保いたします。そのほかに海上保安庁の監視取り締まりも強化いたしましてこれに対処していく、こういう仕組みになっております。
  130. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間があればその点もう少し詰めてみたいところですけれども、不法投棄は環境を汚染する一番大きな問題でございますので、その監視体制を強力に充実してもらいたい。ヘドロの投棄なんかも次から次へ起こるわけなんです。  ヘドロの話が出ましたので、ちょっと経企庁の方にお尋ねいたしますが、北九州の洞海湾、ここが十一月に水質基準が告示された。その内容を見ますと、非常にきびしい水質基準でございますので、その点についてはわれわれは御苦労さんと言いたいところでございますけれども、たとえばあと五年するうちに、絵の具を流したようなきたないあの洞海湾にボラが泳げるようになるとか、ボート遊びができるようになるとか、現地の部会の答申案の中にそういう案が出ているわけでございますけれども、はたして五年でそうできるのかどうかという問題なんですね。またヘドロを掲げた場合、相当なヘドロがいま予想されておりますけれども、それは一体どこに処理されるのか、そういう点具体的にもし計画があればここで説明願いたいと思います。
  131. 西川喬

    ○西川政府委員 洞海湾につきましては、先生がいまおっしゃいましたとおり、排水基準を決定いたしました。この排水基準を決定いたします根拠となります環境基準につきましては、洞海湾の外の響灘はA類型、若戸大橋までがB類型、そのほかがC類型、このように当てはめて行なっております。  環境基準によりますと、B類型までは魚が住むのに適当であるということになっております。C類型につきましては、魚もむろんいないわけではございませんけれども、相当強い魚でないといない、ただ環境保全上、においがしなくなるというような程度が最低のランクといたしましてのC類型になっております。CODで申しますと八PPMということでございます。  現在の洞海湾の水質基準をきめましたときに、計算によりますと排水規制だけで環境基準はほとんど達成されます。四十八年一月一日に最終のきびしい基準がかかることになっておりますので、それによりまして、計算上は奥洞海のほうのごく一部を除きましてA、B、Cとも達成できる、こういうことになっております。ただ海域の場合につきましては非常に潮の関係その他ございまして、川の場合の希釈と違いまして、排水の水質が海の中におきましてどのようになるかというようないろいろな計算式がございまして、現状の洞海湾のデータから見まして、この式が一番合うであろうというような式を使っているわけでございますけれども、これはあくまで計算式でございますので、実態に合うかどうか、現実を見てみないとわからないわけでございます。  そのような問題がございますので、排水規制だけで一応環境基準は達成できる計算になっておりますけれども、さらに環境保全の万全を期しますために水質審議会で審議している過程におきまして、ヘドロの処置を考える、それから浄化用水の導入についても検討する、このような条件がついているわけでございます。  そのうちヘドロの処置につきましては、どのようなヘドロがどのくらい堆積しているか、あるいはそれを処置するにはどうしたらいいか、それが水質のほうにどのように影響を及ぼしているかというようなことにつきまして、現在地元のほうも、港務局のほうにおきましても協力いたしまして、調査の二カ年計画をつくったわけでございます。そのつくりました二カ年計画、早急に本年度から始めたいということで、政府のほうにおきましてもこれに協力する立場から、経済企画庁で所管いたしております調査調整費の一部を緊急にさきまして、運輸省のほうから調査の一部を分担することにいたしたわけでございます。それによりまして県、市のほうも協力いたしまして、現在その調査にすでに着手している段階でございます。この調査は二カ年計画でございまして、その調査の結果を待ちましてどのように処置するかということを最終的にきめる段取りになろうかと思います。  それから浄化用水の導入につきましては、ヘドロの調査と問題点とを比べますと、現在まだ熟度が低くなっております。そのために一応審議会におきましては検討ということになっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、まだ実は環境基準につきましては審議会におきまして最終的な審議をいたしておりません。現在まだ部会の審議の段階でございます。最終的に環境基準を閣議決定いたしますときには一これは排水基準と違いまして、政府といたしまして閣議決定するわけでございますので、政府の施策といたしまして、しゅんせつの処置あるいは浄化用水につきましての考え方というものを最終的にとりまとめまして、どこがやるか、どのようにしてこの計画を進めるかというようなことを決定いたしたい。これはあくまで先ほど申し上げましたように、より環境保全の万全を期すためにそういう方向でいこうじゃないか。その点の余裕を見込みまして、一応洞海湾の環境基準達成目標五年以内、排水規制だけでは三年ということでございますが、一応五年以内というふうに考えておるというような現在の状況でございます。
  132. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 洞海湾のあのきたない水が計算の上では三年目には大体基準に達する、しかし計算だけでは済まないが、実態的には五年後には何としても洞海湾をきれいにするのだ、このような方向で進んでいらっしゃることは私は非常に画期的なことであろうと思うのです。私はあそこの調査をこの目で見、はだで感じてきているだけに、それを感ずるわけです。そのような経企庁のお話が、ただ現地にも伝わっているわけですけれども、地元のほとんどの方はある意味では半信半疑なんですね。はたして五年でなるんだろうか、もし五年でそのようにきれいになるならば、もうすでに、たとえばヘドロのしゅんせつ作業等が現実に始まっているか、具体的な何かがあるべきだ、二年目はこうだ、三年目はこうだ、四年目はこうだ、五年目にこうなるんだという具体的計画があるはずだ、あるいはそれに対する、五年間のうちに浄化するその予算として幾らくらいが予定されているか、その程度くらいはもうきまっているはずだろう、それがなければ信用ならぬというようなことを地元の方々はよく言うわけですけれども、その点についてもし答えられるならば、その点を含めて御答弁願いたいと思います。
  133. 西川喬

    ○西川政府委員 水底にありますヘドロの問題でございますけれども、これは従来各地におきますいろいろなデータから見ましても、水質そのものにあまり影響がございません。隅田川等におきましては、これにはにおいのほうに相当影響がございます。隅田川のヘドロのしゅんせつをもうすでに十何年にわたっていたしてございますが、ヘドロしゅんせつをやることによりまして水質そのものがよくなるということにはなっておりません。ただ、においに対しては非常に効果がある。それから干潮時におきましてこの隅田川などにおきましてはヘドロが露出してくる、非常に見た感じが悪い、そういうようなことがなくなりまして、見た感じとしてよくなるということでございますが、水質そのものにつきましては、数字的にはあまり影響がございません。そのような状況でございます。ですから私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、水質そのものをよくしますのはやはり排水規制あるいは浄化用水の導入ということを考えなければならない。ただ、いま申し上げました見た感じというような問題からヘドロの処置を考える。それからまた御承知のように、一部かつての蓄積でございます水銀とか砒素とかいうもの、いわゆる微量重金属も蓄積しておる。これは微量重金属でございますからじっとしておけば一番いいのかもしれないが、そのような問題もございますので処理すべきではないかということでしゅんせつということを念頭に置いているわけでございます。それにつきましてはいままだ実際の計画というのは立ってないわけでございますが、これはやはりこの調査の結果を待ちまして、その調査結果によりまして早急にそのあとの事業の計画というものを策定する、こういうふうにならないといかぬのではないかと思っております。
  134. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その調査結果というのは、あと二年かかるのでしょう。
  135. 西川喬

    ○西川政府委員 本年度から着手いたしておりますから一応四十五、四十六年度という二カ年を予定いたしております。
  136. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その調査結果から、作業を始めていわゆる五年目にはきれいになるという大体確信目標といいますか、それが立つわけですね。
  137. 西川喬

    ○西川政府委員 先ほどから申し上げましたように、排水規制のほうが完全に効果をあらわすということとあわせまして、万全を期するための問題でございますが、五年でしゅんせつが全部完了するとは考えられないと思います、その点は考えられないと思いますが、しゅんせつを始めることによって状況は改善される、このように考えております。
  138. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ひとつそういう具体的な問題がまとまりましたならば、それは早急にやはり公表していただきたいと思います。では、洞海湾の件についてそれで終わります。  最後に厚生省に一言。いまお話がありましたように工場から出てくる廃水の排出規制をやります。そこの排出規制をやっていろいろと施設がなされるわけでございますが、その下にいろいろないわゆる沈でんする汚物、汚水があるわけですね。また汚水施設もそうですけれども、汚水施設の下にいわゆる汚水ますと言いますか、汚水ますの浄化槽等に沈でんする汚泥等があるわけですね。その蓄積された廃棄物処理に関して、これは一体どこが責任を持って、どのような方法でやるのかということなんですね。これについて厚生省の見解を聞いておきたいと思います。
  139. 浦田純一

    浦田政府委員 事業者、具体的には工場などがいろいろと廃油あるいは廃酸、廃アルカリあるいはその他排出物を出しまして、それを公共水域に出す前のいわゆる前処理として、場内所属の施設等を設ける、その結果工場内あるいはその施設の底に汚泥がたまる、これをどうするかという、これはもちろんこの場合には事業主の責任でございます。それからもう一つの場合に、公共下水道などの汚泥があります。これは下水道管理者、つまり事実的には市あるいは町の責任者、町長ということに相なるわけでございます。
  140. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 そういう点を今後明確に規定して対処していかないと、思いがけない公害がまたそこから発生するのではないかと思います。  最後に大臣に一言。いろいろいままで法案の逐条的な審議をやってきたわけでございますが、時間が短かくてほんとうに意を尽くすほどまでの議論ができなかったわけでございますけれども、問題はまだまだたくさんあるように思われます。したがいまして、かたくなにもうこれでいいんだというような考えでなくて、もし修正を要求されれば、のめるものは大いにのんで、よりりっぱな処理法案としてこれを成立させる、こういうような考えで進まれんことを望むわけでございますが、大臣の御決意を聞きたいと思います。
  141. 内田常雄

    内田国務大臣 私どものほうといたしましては、この法律は現行の清掃法にさらに現況に即した前進を加えることを目標とした十分な推敲をしてここまで持ってきたものでございますので、政府みずからがこれの修正をするという考え方はございません。しかし法律は国会が御審議になり、また国会が唯一の立法機関でございますので、修正等のことにつきましてはこれはもう委員長以下皆様の御意向によることであると私は考えております。
  142. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 終わります。
  143. 倉成正

    倉成委員長 午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時四十三分開議
  144. 倉成正

    倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、最高裁判所長官等の出席説明の承認に関する件についておはかりいたします。  今会期中、国会法第七十二条第二項の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合、その承認に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
  146. 倉成正

    倉成委員長 廃棄物処理法案を議題とし、質疑を続けます。田畑金光君。
  147. 田畑金光

    ○田畑委員 今度の国会には、公害対策基本法の一部改正法をはじめ、事業者の費用負担法、あるいは特に公害関係の深い大気汚染防止法、水質汚濁防止法の改正法案、あるいはまた農薬の土壌汚染防止法案等々十四の関係法律提案されておりますが、これらの立法措置というのは、わが国のこれからの公害行政を進める上において、確かに一歩前進である——あるいはもっと前進であるかもしれ軽んが——考えますが、大臣としては、今後の公害行政全般を考えたときに、法整備の面から見てこれで十分であるとお考えであるか。あるいは、さらにまた公害防止のためには新たな立法措置なり、あるいはさらに現在の法律そのもの改正等についても必要であるとお考えになるのか、まずその所見を承りたいと思います。
  148. 内田常雄

    内田国務大臣 今回の公害対策基本法をはじめ一連の公害関係法の改正は、現行の公害規制体制を数歩あるいはそれ以上前向きに前進させたものだと、私はほんとうに心から思っております。ただし法律の条文等につきましては、それだけで公害が解消するわけではございませんので、要はこの法律をどう運用するか。さらにまたこの法律や行政官庁の運営に相対応して、公害の発生源でありますところの企業の心がまえや対策が、どの程度この法律に相対応して前向きに進むかというようなことにも大いに期待を寄せてこそ、初めて今回の法改正目的が達せられると私は思います。しかしそれはそれといたしまして、私はこれで全部が整って、日本の公害対策が欠くるところなしとは決して考えませんので、状況の推移に応じまして今後さらに必要とあらば、補足や強化やその他の改正もいたすべきであると考えております。  ただ、この際さらに一言つけ加えさせていただきますと、公害対策本部というものがこの夏できますまでの間は、私ども厚生省が国民の健康やまたは生活環境を預かるという立場から、公害対策についての指導方針を打ち出すことに、私は正直に責任を感じ、また省内の体制などもそういうことで整えてまいりました。その間私は五つほどの、公害対策を進めるべき原則というものを打ち出したことがございますが、今度のこの法の改正は、いずれも私の五つの原則に触れ、その原則に従って改正をされたものであることに、私は満足を覚えております。
  149. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの答弁について私はもう少し深めていきたいのでありますが、大臣お話のように法律ができたといたしましても、公害を防止するためには企業責任をもっときびしくし、また企業者の心がまえがもっときびしくあらねばならないと思うわけなんです。法律上の責任をきびしくすることが必要でありますが、問題はその法律が運用の面において、実際現実にもろもろの公害を受けておる被害者について救済措置たり得るかどうか、こういう問題が一番大事な問題として、あろうかと考えるわけなんです。人の健康と環境の問題、人間と自然環境の相互作用の問題等について、もっと根本的な解決をはかるために政府は努力すべきだろうと思いますが、そういう意味においては、政府の出しておりまする基本法中心とする法律は、その面においてまだ欠ける面があろうと考えるわけです。同時にまた、現実に起きておる公害被害者についての救済措置等について、私はもっと法律の面において深めていかなければほんとうの解決にならない、こう考えておりますが、そういう点について厚生大臣はどのようにお考えになっておられるのか、お尋ねしておるわけなんです。
  150. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、今回の法体系というものは私ども厚生省におりまして所期しておった幾つかの原則に合致するものとして私はおおむね満足をいたしておりますが、しかしこれは法律だけで済むことではございませんので、この法律の実施の状況に照らしてさらに補整する必要があれば補整も、強化もいたす、改正もいたす、こういう心がまえでございます。一つ二つ、できたらばこの際解決をしたほうがよかったと思うものなきにしもあらずでございますが、しかしそれらにつきましても、いま言うように今後の実態に即した補整、強化またさらに再検討というようなこととあわせて、私は検討をしていきたいと考えます。
  151. 田畑金光

    ○田畑委員 公害対策本部というのができましたが、公害行政について国民の生命と健康を守りあるいは環境保全をはかっていく上において、一体公害対策本部が今後その中心的な機能を果たすのか、厚生省がそれを果たすのか、その両者の関係というものがわれわれには正確に理解できぬわけでありますが、要すれば、この公害行政というものについては——内閣の責任はもちろん総理大臣でありましょうが、その下にある公害対策副本部長である総務長官なのかあるいは厚生大臣なのか、どちらが今後の行政面においてより大事ないわばイニシアチブを持っていくのか、この点どうなんですか。
  152. 内田常雄

    内田国務大臣 正直に申しまして、私は今度の公害対策本部というものが総理大臣を本部長としてできましたことは非常によかったと思います。それは、たとえばいままで私どもが国民の健康や生活環境を守る責任ある官庁として公害対策についていろいろ指導原理を打ち出しましても、正直申して、通産省を引き連れていったり農林省を連れてまいったり、あるいは運輸省まで一緒に厚生省が連れてまいるということができないで、私はそういう際に通産省とも二人三脚、あるいはまた運輸省も含めて、自動車の問題等あるいは大気汚染の防止等三人四脚で進んでまいっておるつもりであって、したがって、運輸大臣も通産大臣も厚生大臣になっていただいたつもりでおり、また私自身もそういう公害発生源を管轄する役所の大臣になったつもりでやってまいりますということを言ってきましたが、実際はなかなか厚生省の思うとおりにそれらの公害発生源を管理監督する役所の動きというものはついてきませんでした。しかし今度は中央公害対策本部というものができまして、そうして総理が本部長、総務長官が副本部長ということで、私どもだけの二人三脚ではなしに、指揮するもの指揮されるものとの関係、あるいはそれぞれの官庁がそれぞれの見地から公害対策を編み出すのではなしに、みんな一ぺんそこへ持っていって足並みをそろえて進むということになりますから、厚生省で私が唱えておりました原理原則なども、そういう仕組みのもとにおいて初めて出た面が幾つかございまして、したがって、私は今度の仕組みもいいし、また公害対策中心にはやはり総理大臣に立っていただくのがよい。これはたとえ話が適当かどうかわかりませんが、いわば厚生省は国民の生活環境を守るという立場から、野球のチームでいえばキャッチャーでありますので、ピッチャーがキャッチャーの受け取れるようなたまをいつも投げてもらえるように、これはやはり監督者、総理大臣がおりましてチーム全体のチームワークをとっていただく、こういうことになってたわけでありまして、私どものほうは受け身のキャッチャーということで、悪いたまは遠慮なしにボールだということを宣言していただいて、ピッチャーにストライクを投げさせていただくような仕組みで始めたと私は考えております。
  153. 田畑金光

    ○田畑委員 先ほどの答弁の中で、厚生大臣が五原則というようなことをよく言われておりますが、五原則というのは何と何なのか、さらにあなたの答弁の中で、なお、一、二の法律についてやはり整備をすることが公害行政を全うする上において前進であろう、こういうお話でございますが、その一、二の法律というのは何をさしているのか、それをもっと具体的に説明をしてもらいたい、こう思うのです。
  154. 内田常雄

    内田国務大臣 公害対策中央本部長ができましたので、私の五原則もそちらにお譲りしてしまったわけでございますから、厚生大臣としての立場の五原則というものはいま残っているわけではございませんが、私がそれまでの間に考えましたものの第一は、もう御承知のとおり、産業経済との調和条項の廃棄ということで、産業経済優先主義ということをやめることが第一原則。  第二原則は、いままでの公害対策というものは汚染局地対応主義であったと思います。水質にいたしましても水域指定、大気にいたしましても地域指定、あるいはまた騒音とか廃棄物処理などにいたしましても、ごく狭いほうの地区だけを指定してそれに対する対応策をとってきましたが、私は、公害というものはそういう局地対応策で済むものではなしに、広く生活環境保全すること、こういう意味からすれば、全国あるいはまたでき得る限り広い地域をその対象として規制をし、また公害の防止をはかるべきだということを第二原則として唱えておりましたが、それが大気汚染防止法の改正、あるいは水質保全法あるいは産業廃棄物処理法あるいは騒音防止法などにおきましても、それらの地域が、私が述べてきたような原則に合った改正が今回提案をされております。  それから第三番目は、特定有害物質だけを狭く規制の対象にしないで、いままで緊急時などにおいてのみ対象にされておったような有害物質もできる限り広く常時規制の対象にすべきである、こういう規制物質局限主義の是正ということを私は唱えておりましたが、それも今回大気汚染防止法などにおきましても、そういう改正がなされてまいりました。  それから第四番目の原則は、規制権限の地方委譲ということでございましたが、これも御承知のとおり一〇〇%ということはいえないといたしましても、これは私の第四原則の達成せられる改正が行なわれることになったと考えております。  第五番目は、これは公害発生者の責任強化、こういうことを唱えておりました。これは今回の改正法のあらゆる分野においてそれが抽象的に、またものによっては具体的に規定がされましたが、それとの関係において無過失責任賠償原理というものも私は派生をするのだということも述べてまいったことがございます。  以上が私が考えてまいりました五原則でございまして、一、二この際は間に合わなかったが、今後さらに追加を必要とすると考えられる一つは、いまの無過失責任主義に関する法制の整備というようなこともその一つでございます。
  155. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣の御答弁を聞いておりますと、公害対策本部ができたので、何かそこが主役になったように、しかも厚生大臣は、公害防止の五原則を堅持したのだけれども対策本部ができたことによって五原則もそっちのほうにいってしまったのだ、こういうようなお話ですね。また厚生省はキャッチャーで、キャッチャーの役割りさえやっておればいいんだ、こういうようなお話でございますが、私はやはり厚生省側は公害問題については、国民の生命と健康を守る最も大事なこれからの行政とすれば、厚生省こそピッチャーであって、実質的にはここが五原則に基づいて公害対策本部にかくあるべし、こういうことで積極的な機能を果たすことによって、厚生行政が真に国民の福祉のための行政たり得る、こう思うのですね。そういう意味においては、厚生大臣公害対策本部ができたことによってわが仕事の半分くらいなくなったような御答弁でございますが、これは私は遺憾であるし、またそうあってはいかぬと思うのですね。  さらにもう一つ、厚生大臣みずからが五原則の第五番目に、無過失損害賠償の立法化の問題を考えていらっしゃっていたわけですね。私はこの問題については実はお尋ねしたいのでございますが、厚生大臣なかなかいいことを言っておられますよ。この間の連合審査会等における答弁などを見ておりますと、九月の例の一日内閣のときに、総理大臣が無過失損害賠償制の立法化について発言されたということで大いに気をよくしたと、こう言われておりますが、大いに気をよくしただけでは私は困ると思うのです。この問題についてもっと積極的に取り組む意欲こそ厚生大臣の姿勢じゃないか、こう思うのですが、この点について大臣の心境を伺っておきたいと思うのです。
  156. 内田常雄

    内田国務大臣 ただいま田畑さんの御意見の前段のほうでございますが、私は仕事の半分を公害対策本部に押しつけて身軽になったとも考えませんし、責任が解除されたとも考えません。むしろ厚生省としては非常に仕事がやりやすくなって、私ども考えていることの効果があるようになった。通産大臣を二人三脚で私が連れていかなくても、公害対策本部長である総理大臣から指揮命令権が発動されるわけでありますし、運輸大臣についてもまたしかりとこういうことでございますから、ある意味では私は一そう国民サイドに立ちやすくなった、こうさえも考えております。  ところで、いまの無過失賠償責任に関する検討でございますが、私は総理がああいうことを言いだした——あの原稿は私が書いたものではない、おそらく山中君が書いたものでありましょうが、そもそもは私の第五原則の発想に関係がある、私らはほんとうにそう思うものでございます。しかし、ああいうものを演説されたのは総理大臣でありますから、私といたしますれば、だんだん私の考え方方向に向かっていくことと非常に満足をいたしております。  ところで、そのやり方につきましては、これは対策本部ができ、本部長ができましたので、どういう方法でやるかということにつきましては総理大臣また副本部長、また当面の法務大臣関係大臣と協議の結果、このやり方については二つの方法がある。一つは、横断して、いかなる発生原因、いかなる毒性物質、いかなる有毒物質によるかを問わず、また大気、水、その他の公害の態様を問わず、横にはらったような、民法の七百九条の例外規定としての無過失責任法制を一本にしてつくれるかという問題と、それからもう一つは、それは実際言うべくして行なわれないので、個々の有毒物質が発生する損失なり、あるいはまた大気なり水質なりその他の公害の発生する態様に応じて、いわばたて割り方式で個々に無過失賠償責任の法規を整備するか、それはひとつお互いに研究していこう。法務大臣は、横割りの総括的な民法の例外原則法というものは、それは言うべくして実際行なわれないので、いま私が御説明申しましたようなたて割りの個々の無過失責任法規というものをつくる方向でいくべきだということで、結局その両方につきまして目下関係各省が検討をいたしまして、そして公害対策本部へ持ち寄って、そこで結論を出すということになってきております。私だけがここで独走をして結論を申し上げることは、かえってこの問題のまとまり方を阻害することになりますので、このことにつきましてはいまのような態度で、総理大臣みずから言われたことを各閣僚がそれぞれの立場から検討して持ち寄っておりますので、しばらくおかしをいただいておいたほうが、私は結果としてはいい結果が生まれる、こう考えるものでございます。
  157. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの御答弁は、要するに無過失損害賠償の立法化については、民法の特例法としての包括的な一本の法律としてではなくして、個別法として検討しておるんだ、こういうことですね。個別法として検討しておられるとすれば、厚生省関係されておる法律としてはどの法律がその対象になっていくのか、この点もあわせてひとつ御説明願いたいと思うのです。
  158. 内田常雄

    内田国務大臣 私はひそかに考えるところはございますが、いまお尋ねの点につきましては厚生大臣が先走りして申し上げる段階にありませんので、それはもう少しひとつ私にお預けをいただきたいと思います。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席
  159. 田畑金光

    ○田畑委員 私は大臣の答弁を聞いておりますと、そのあたりをもう少し大臣としても整理をして、はっきりとした識見なり方針なりを持つことが、政府全体の公害行政を進める上において大事なことだと思うのです。お話のように過失責任というのが近代法の原則であるわけでございますけれども、しかし最近の社会経済上の移り変わりであるとか、公害の発生、そしてまたこれに伴う疾病構造の変化というものを考えたとき、従来の法律の理論の中に閉じこもっていたのでは、この急激に変化する環境の条件に即応することはできないと思うのです。やはり健全な社会の環境を確保しながら、そしてまた人間の福祉をあくまでも優先しながら、人権というものを守りながら健全な社会生活を確保していくためには、どうしても従来の法律だけで処理できない、はみ出てきた部分が非常に多くなってきておると思うのです。せっかく大気汚染防止法の一部改正あるいは水質汚濁法の改正法案提案されておるわけでありまするが、すでに今日いわゆる熊本、新潟の両水俣病等についてその原因が何であるのか、あるいは四日市ぜんそく等についてその原因が何であるか、こういうようなことはおおよそ結論は出ておるわけです。しかも、すでにいわゆる四大公害訴訟としてこれは裁判に係属中の案件であるわけです。そういうことを考えてみますと、私は今度の立法というものはそれなりの意味があるかもしらぬけれども現実にこのような公害の被害を受けておる人方についても、被害者救済措置という面から見るならば、具体的に何一つ成果は保障されていない、私はこう申し上げても過言でないと思うわけです。そういう意味において、これらの気の毒な人方を、いわゆる十年訴訟という冷たい裁判で、あるいは故意過失の立証責任云々の堂々めぐりで長い時間の空費を黙って見ておるのが行政なのか、あるいはこういう問題等についてやはり立法の面から解決の方向を打ち立てることが真の政治であり、行政であるのか、私はここに問題があろうと考えておるわけです。そういう点から見ますならば、私は今回の一連の新しい法律提案あるいは法律改正というものは画竜点睛を欠くもはなはだしいものがある、こう見ておるわけでございまして、したがってその意味において水俣病にいたしましても四日市ぜんそくにいたしましても、厚生省の所管である大気汚染や水質汚濁との関係でこれらの病気が出ておるということを考えるならば、まず大事なことは、厚生大臣みずからがこの問題にからだを張って取り組むという意欲と勇気と前進的な姿勢が必要であると考えるわけでありまするが、この点についてもう一度大臣考え方を承っておきたいと思うのです。
  160. 内田常雄

    内田国務大臣 田畑委員のお考えは、私はたいへんよく理解できます。現に私自身が同じ発想に立った原則を出したわけでありますので、私が無理解であるはずはございません。ただ今回の基本法をはじめ一連の法制改正公害の発生そのものを極力押えて規制する、またその規制の地域を全般的に広めるとか、あるいはまた原理原則として公害発生事業者に対する責任を強化する、こういうような面に立っての改正でございまして、公害が発生してしまって不幸にして健康等に、あるいはまた財産等に損害を受けた人に対する救済措置というところまでは、今度の改正では及んでおりません。その面が、いま田畑さんがおあげになり、また私がかつて述べておりました無過失責任と大きな関連を持つものであると考えますので、私が補整とか強化とか、さらにこの上必要なる場合には改正とかいうことを申したのも、そういうことも頭に置きながら申したことであります。  私はもともと法学者ではございませんが、たまたま私はポケットに——あなたの御質問に答えるために持ってきたんじゃない、みずからひそかに研究をしているものの一端がポケットに入っていたから出したのですが、無過失賠償責任の法理についてはすでに御承知のように幾つかあります。ここにあるだけをあげましても、原子力損害の賠償に関する法律というものがあり、また鉱業法がございますし、またあまり人は言いませんが、水洗炭業に関する法律というものが昭和三十三年にあります。これなども無過失責任をうたった法律でございますし、あるいはまた独禁法の二十五条にも明らかに無過失賠償責任というアイテムまで掲げての条文がございます。また国家賠償法等につきまして、おおむね同じような思想を入れた法制があります。私は公害などにつきましての問題を取り上げる際に、縦割りがいいか横割りがいいかは別といたしまして、こういうことも参考になる法制であると考えまして、私も内閣の一員として、総理大臣がこの問題を検討するというわけでありますので、大いに検討の資料を出してまいる  つもりでございます。
  161. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣お話のとおり確かに鉱業法の百九条であるとか水洗炭業法の十六条あるいはまた原子力損害賠償補償契約に関する法律の第三条、労働基準法、国家賠償法の二条、独禁法の二十五条等々いろいろ無過失損害賠償責任の立法というものがあるわけです。たとえば水洗炭業法の十六条を見ますと、「水洗炭業者がその行う次の各号に掲げる作業により、他人に損害を与えたときは、当該水洗炭業者が、その損害を賠償する責に任ずる。」これは何かというと「ぼたの採取」であるとか「廃水の放流又は土砂の流出」、こういうような作業で他人に損害を与えたような場合は水洗炭業者自体損害賠償の責任を負わねばならぬ、こういうことですね。その他の法律も似たり寄ったり、無過失損害賠償を立法化しております。  特に、公害に基づいて発生した疾病というものは非常に悲惨な病気が多いわけですね。いまさら言うに及ばないと思うのです。そういうことを考えてみますならば、今回の一連の立法措置の中でこの無過失損害賠償責任の立法化を政府がたな上げをした、あるいは、いろいろ総理の答弁などを聞いておりましても、法理論上むずかしい問題がある等々、いろいろなお話がございますが、そういう面もないとはいえません。しかし私は、この法律をつくることをやめたということは、やっぱり政府の姿勢というものを世間から問われる原因だと思いますね。私はこの法律をつくって初めて公害問題についての政府の姿勢がきちんとなった、こういえると思うのです。私は公害の今度出ました処罰法案等よりももっと大事なのは、無過失損害賠償の立法の問題だと思うのです。そういうことを考えてみますならば、先ほどの大臣の答弁は非常に形式的な答弁で終わっておるわけです。これについてこう考えるのだ、いま民事特例法として一本化の法律はやらないのかやるのか、この問題をはっきりしてもらいたいと思う。もし一本化の法律でやらぬとした場合に、特に厚生省の所管である大気汚染とか水汚質濁、こういうような個別法規の中で検討するのか、いや検討が現に進行しているのか、このあたりをもうちょっとはっきりひとつ答えていただきたい、こう思うのです。
  162. 内田常雄

    内田国務大臣 私はその場限りの御答弁を申し上げているのではなしに、現に厚生大臣であり、また公害対策本部ができるまでは私がその公害の責任大臣ぐらいのつもりで、ほんとうにこの問題を考えてまいったわけでございますので、決してこれを避けてそのまま厚生大臣を終わろうとは思っておりません。おざなりの答弁ではございませんので、私は自分の検討の結果をこの際公害対策本部に提出して、そして一日も早く妥当な法制化の結論が出ることを私自身も期待をするものでございます。ただ、これも賢明なる田畑先生ですから何でもおわかりだと思いますが、かりに無過失損害賠償責任の法律ができましたといたしましても、これは因果関係の認定というものが伴わなければ、故意、過失を要件としないといたしましても、その損害賠償の実行は行なわれません。それからまた一体その賠償の金額をいかに定めるべきかという問題もあるわけでございまして、因果関係の認定とか、あるいは補償、賠償の金額の認定というようなものは、すべてこれは裁判にかかることでございますので、故意、過失を論ずるだけの必要がなくなるだけの前進はございますが、いま私が申し述べましたようなことにつきましても、いろいろむずかしい点がございます。水のほうの所管は実は厚生大臣ということには形式上はなっておりませんで、経済企画庁長官、こういうことでありまして、このほうはわりあいに水の中に含まれる特定有害物質等の原因による損害がはっきりしている場合もあるようでございますが、大気汚染に至りますと複合汚染の問題が出てまいりますので、いまの公害による健康障害の特別措置に関する法律などで、この慢性気管支炎の患者にある程度の医療費とか、医療手当とか、介護手当とか出すようなことはできましても、それの発生責任者との因果関係の結びつけというものは必ずしも簡単でないというような問題もございますので、私はそういう点につきましても究明していかなければならない問題がありますこと、これは決して逃げるわけじゃございませんが、事実上そういう点をも究明をしないと、拙速主義で法律をつくったが、被害者はやはり長い間裁判にかかって、因果関係とかあるいは金額の認定とかでらちがあかないということがないように、できるならば一歩も二歩も進められるようなことを考えていかなければならない、こういう気持ちもいたすのでございます。
  163. 田畑金光

    ○田畑委員 水質汚濁防止の法律が、これは経済企画庁の所管である、確かにそうでございまして、私、先ほどちょっと厚生大臣の所管とこう申し上げたが、それは訂正しておきますが、大気汚染防止法、それから騒音規制法、これは厚生省でしょう。水質汚濁の防止法についてはこれは一応経企庁長官ということになっておりますけれども、これに基づく、たとえば有機水銀に基づく病気の発生ということになってきますと、やはり私は厚生大臣、こうすぐ頭にくるわけですよ。それだからして、私は厚生大臣にひとつこの問題について真剣に取り組んでもらわなくてはならぬ、こう思うのですね。  あなたのいまのお話を聞いておりますと、いわゆる無過失損害賠償の立法化だけでは問題の解決にならぬ、そのとおりだと思うのです。なるほど民法の七百九条の不法行為を見れば、故意または過失によって他人の権利を侵害するということが原因で損害賠償ということになるわけでございまするが、その場合、加害者の行為と損害との間の因果関係の立証、この問題が一番大事なことになってくるわけです。しかし問題は、この加害者と損害との因果関係の立証というものが、被害者自体のサイドで立証の必要がないということになってくれば、いわゆる裁判の迅速化ということが当然期待できるわけでございますね。  それで、私の申しておることは、いずれにいたしましても、無過失の立法化ができたから直ちに裁判が不要であるとかなんとか言っておるわけじゃないのです。問題は、気の毒な人方が十年裁判あるいはそれ以上の裁判といわれているような気の毒な状況下のもとで損害賠償を請求しなくてはならぬ。しかもまた、企業の側と被害者の側との財政的な実力の相違などを見るならば、これはやはりその不利な条件をだれが補ってあげるかというと、やはり私は政府であり、行政であり、厚生大臣であるべきだ、このように考えておるわけなんです。だから、そういう意味におきまして私は、いまの大臣の御答弁というのは、どうも私の質問しておる最も大事な点を避けておるような答弁に承ったわけでありまするが、私の質問の趣旨もおわかりだと思うのです。したがって、この際大臣としては、抽象的な答弁で避けるのではなくして、もっとはっきり、政府部内でいまこうなっているならこうなっている、こういうことを明確に述べていただきたいと思うのです。ことに私は、大臣がこの間の内閣の改造でどうなるかということを実は心配していた一人なのです。ところが幸い、大臣は近来にない留任ということになって、これはわが国の厚生行政のためにたいへんプラスである、こう実は喜んだ一人なのです。ましてや四十六年度の予算編成という大事な作業、あるいはまた、これに伴う医療の問題、医療保険の問題その他重要な問題を厚生省はかかえておるわけですね。この臨時国会で間に合わなければ次の通常国会において、公害行政の面においては法律、予算等々でさらに充実することができるわけで、大臣はその大事な責任を背負っておるわけですね。そういう意味におきまして私は、この無過失損害賠償の立法化についてどういう取り組み方をなさっておるのか、もう一度はっきりお答え願いたい、こう思うのです。  ことに私は、新聞の記事によれば、昨日の公害特別委員会において山中総務長官は、一般法としてはこれはなかなか無理だから、個別法の中で処理するように関係大臣に検討をお願いしておる、関係大臣が検討しておるという答弁をなさっておるが、この二つの大事な問題、一般法としての提案というものはもう政府は取り下げたのか、そして個別法だけでやっていこうという考えに帰着しているのか、このあたりをあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  164. 内田常雄

    内田国務大臣 水質保全法なりあるいは農薬汚染法なりというものが厚生大臣の形式上の法律の所管であろうがなかろうが、その公害の被害を受けるのは一般国民。一般国民の健康や生活環境保全したり、さらに、でき得るならば被害者となる一般国民の心情を考えて、そうして国民の側の役所であるのが私は厚生省の任務だと心得ておりますので、そういう個々の公害規制法の所管にとらわれないで、私は被害者を守る役所の大臣という意味で、この問題でも、実はこの問題の発想もし、またこの問題のプロモートもいたすわけでございます。でありますから、総理大臣でも、また副本部長である山中大臣であれ、あれは考えておらぬとか、あれはやめたとかいうことは言わせないつもりでおります。これはやめたということは言い出せないはずです。そんなことになった場合には私も覚悟もあるわけでありますが、そのときは私が今度は厚生大臣案というものを出すかもしれません。しかし、いまのところは本部長があり、またいろいろな法律を所管した各省がおって、いま田畑さんがお話しのように、せっかく各省並びに本部でも、法務省でも、前向きで検討中、こういうことでございますので、いま私がここで、その検討の中間報告はこうである、そういうことを言える状態にございません。でありますから、こういうことに政府全体としてなりました、こういうことになることを私は期待し、また一そう推進をいたします。  それから、個別法か全体法かということにつきましては、法務大臣は一方の一般例外法としての立法は、これは実態にも合わないし、技術的にも無理であるということを今日でも強く述べられております。でありますから、公害の態様に応じ——そういうことばは使っておりませんけれども、私が解釈するのに、公害の態様に応じ、また発生源の有害物質の種類等に応じた縦割りの法律でやる以外にない、こういうことを主張されておりますが、それはまあ法務大臣としての御研究でありますので、また私どもは、個別でやればこういうことになるし、全体でやればこういうことになるというようなことを、自由な立場から、私は法務大臣でありませんので、自由な立場から厚生大臣として、これをまとめる過程におきまして持ち出すこともあり得ると考えております。山中国務大臣もおそらくそういうふうな意味のことを言ったと私は聞いておりまして、それは個別法だけでいくことになりましたというだけではなしに、いまのような法務大臣考え方を伝え、また個別法としてのやり方でいくのが一応その方向づけはされているが、しかしそれはきまったわけでもない、さらに詰めていくんだ、こういうことを言っているはずだと思います。私もそう考えて、個別法であれ、あるいは一般法であれ、どっちがよくてどっちが悪い、こういうわけではございませんので、実態に即して、被害者の方々がその法律の恩典をたいへん受け得るような姿の法律であることがよいと思います。
  165. 田畑金光

    ○田畑委員 きょう裁判所のほうからおいでいただいておるわけですが、いわゆる四大公害裁判といわれておる熊本、新潟の水俣病の問題、あるいはまた富山県の神通川のイタイイタイ病の問題について、現在裁判がどの程度進行しておるのか、どういう状況になっておるのか、そしてまた、今後の見通し等についてはどうなのか、この点をひとつ御説明をいただきたい、こう思うのです。
  166. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 現在のところ一番早く進行いたしておりますのが富山県のイタイイタイ病の件でございます。これはグループが五つに分かれておりますが、全部がそうであるというわけではございませんで、第一次、当初の訴訟につきまして、先月までの間に前後三十五回の法廷を開きまして、大体原告側の立証、すなわち被害者側の立証を終わり、被告側の因果関係を否定しようとする鑑定の申請を却下した段階でございます。  訴訟そのものといたしましては、この段階で被告側から裁判官忌避の問題が起こりましたので、いまその問題の審理が別方面で行なわれておりますので、現在のところ一時進行がストップいたしておりますが、遠からずそれが片づけば、まあ事務的に見ます限りは、そう遠くない段階で一応の結論を出す方向に進むのではないかというふうに見ておるわけでございます。しかし、これはあくまで事務的な見方でございまして、裁判そのものは現地の裁判官が独自のお考えでおやりになるということは御了承いただきたいと思います。  その次に進んでおると客観的に思われますのは阿賀野川の有機水銀の事件でございまして、これはやはり先月までの間に三十四回の法廷を開きまして、これまでに証人三十四名、それから本人、原告本人でございますが、三名の証拠調べを終わり、検証も前後五回いたしております。ただこれにつきましては、被告側、会社側から因果関係を否定する関係の鑑定申請等もございますので、訴訟そのものといたしましては、大体原告側の立証をほぼ終わり、被告側の立証段階に入ったということが申し上げられるかと思います。したがいまして、その様子を見ませんと、今後どの程度で一応審理を終了するという段階に至るか、いまのところはっきりとは申し上げられない状況でございます。  四日市にございます大気汚染事件でございますが、これも証人九名の取り調べを終わりまして、法廷は前後三十一回開いております。この証人九名の中には原告側の証人としての鑑定人等六名を含んでおりますので、原告側の立証を一応終わったという段階といえるかと思います。しかしこれは、新聞によって私ども承知した限りでございますが、被告側の証人が出廷をいたしませんでした関係で、被告側の証拠調べに移りながらもその進行が一時ストップしておるという段階にございます。これは被告側の証拠調べが今後どのように進行いたしますか、それとのかね合いでもって律せられる問題であろうと思います。ただ前二者の水の問題と違いまして大気汚染の問題でございますので、因果関係の積極的な立証あるいは積極的な反証ということが非常にむずかしい問題であると思いますので、いましばらく時間を要するのではないかと考えております。  最後の九州の水俣病の問題は、実は訴訟が起こされましたのは昨年の春でございます。証拠保全のための証人調べを一部行ないましたけれども、まだ主張を整理しておる段階であります。年内にも法廷が開かれれば、そこで双方が証拠の申請を行なうということになる段階ではなかろうか。したがってその審理状況は、少なくともあと相当の期間を要するのではないか、そのように考えておるわけでございます。
  167. 田畑金光

    ○田畑委員 いま局長の御答弁で、いわゆる四大訴訟の裁判の進行の状況についておおよそ事実関係を把握できたわけでありますが、私お聞きしまして感ずることは、第一の富山県の神通川流域で発生したイタイイタイ病の訴訟案件については、すでに被害者側の立証が終わっておる。三十五回も口頭弁論がなされて被害者側の立証が終わり、これに対して被告側のほうから、いわゆる企業の側から、イタイイタイ病とカドミウムの因果関係についての鑑定申請が出されてそれが却下をされた。そこで、今日この事態では裁判官忌避の問題が起きておる、こういうことでございまして、いずれそう遠くない段階で結審になるであろう、こういうお話でございますが、私は、この事件について大臣よく考えていただきたいと思うのですが、いまの神通川問題の三井金属鉱業会社を相手取った損害賠償請求、これは昭和四十三年の三月訴訟の提起ということになったわけでありますが、それが一番早く結審になるであろう、こういうことなんですね。ところが、その他の三つのケースについては、新潟の水俣病の訴訟については、すでにこれも三十四回の口頭弁論を終わって、被告側から因果関係の鑑定申請がいま出されておる。こういうことで、これはおそらく第二に、時間の面からいうと、結論が出る訴訟事件ではないか、こう思います。いずれにいたしましても、この事件も、これは四十二年六月にスタートしているわけです。  第三の四日市のぜんそくについては、大気汚染というような非常にむずかしい問題が原因であるだけに、四十二年九月に訴訟が提起されて、三十一回の口頭弁論が終わって、被告側の反証の段階に入った、こういっておりますけれども、これも今後、判決が出るまでには相当の時間がかかるんじゃないかと思うのです。  第四の熊本の水俣病については、昨年の春の訴訟提起、こういうようなことで、時間的にもおくれておるというのも、裁判全体がおくれている一つの理由であると思いますが、私はこの三つの事件を考えたとき、この神通川の三井金属神岡鉱山の公害に基づく原因ということが、いわゆる鉱業法の適用ということが、この第一の富山事件については法律の根拠が鉱業法の問題でございますので、したがって鉱業法百九条による無過失責任制を根拠にしているから、やはりこの裁判のスピードアップというものが出ておるのじゃないか、このように判断するわけなんです。その他の三つの事件についてはそうでないわけです。この点について、私はこの際、矢口民事局長の所見をひとつ承っておきたい、こう思うのです。
  168. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のように、イタイイタイ病は鉱業法の百九条によります主張でございますが、この四つの中では、いわゆる無過失損害賠償責任ということの事件でございます。ただ、私ども実務を担当いたしましております者として見てまいりますと、やはりこの損害賠償で問題になりますのは、故意、過失の問題と因果関係の問題でございまして、その中で、どちらがさらに一番問題かといいますと、どちらかと申しますと後者、因果関係のほうが大きな問題であろう。因果関係がこの四つの事件ではどれも最大の争点になって、原告も主張、立証を尽くし、被告側も防御の全力をあげておるというところでございます。もちろん、故意、過失の立証が要るか要らないかという点で、要らないほうがいいにはさまっていますけれども、この四つの公害訴訟の全体を流れます最大の難点と申しますか、争点は、被告の行為と被害との間の因果関係をどのように見ていくかというところに難点があるわけでございまして、田畑委員お話ではございますが、裁判官の一番苦労しておるところは、やはりこの因果関係の存否の問題である、このように見るのが事案の見方として首肯できるものではなかろうか、現在のところそのように考えております。
  169. 田畑金光

    ○田畑委員 因果関係の立証が問題であるということは確かにそうだと思うのです。しかし、富山事件の場合は、原告側すなわち被害者は、三井金属神岡鉱山の事業活動によって被害を受けたのだ、こういうことを証明すれば、鉱山側の故意か過失かというような問題まで論争しなくても損害賠償の結論が出せるわけで、私は、そこに一番ポイントがある、このように考えておるわけです。特に矢口局長のような法律専門家であればあるほど、いまさらそんなことをわれわれが申し上げる必要はないと思うのですが、民法七百九条の不法行為、これを公害問題に当てはめて、公害事件の裁判にあたって、因果関係をめぐって科学的な論争ということになってくれば、現在こういう問題については学説がなお対立しておる状況下において、その被害者と損害との因果関係の立証ということになってまいりますと、裁判自体が、これはいわばたいへんな迷路に入ったような結果になって、非常な時間的な経過というものが必要になってくることは、これは法律のしろうとだってわかることだと思うのです。  私の言いたいことは、やはりこの四つの訴訟の中で、富山事件の問題とその他の三つのケースというものは、よってくる法律の根拠において大きな違いがあるわけでありますから、その問題がやはり裁判のスピードという面においても当然影響があるのだ、私はこう考えるのです。これはひとつ公正な見解を承っておきたいと思うのです。
  170. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 大きな争点のうちの一つが立証しなくてもいいわけでございますので、客観的に申し上げましても、田畑委員のお考えのようなことがあり得るわけだろうと思います。ただ、この四つの事件の中で、はたしてそういう関係で進行がおくれておるかどうかということになりますと、いろいろな要素がございますので、いまここで一がいに申し上げかねますけれども、客観的な問題といたしましては、確かに争点をなくしたほうがいい。ことに、損害賠償事件では、大きな争点というのは、先ほども申し上げましたように、因果関係の問題と故意、過失のいわゆる責任の問題でございますので、その一方をなくすということは、訴訟の進行のために非常に寄与するものであるということが言い得るのではないかと思っておるわけであります。
  171. 田畑金光

    ○田畑委員 矢口民事局長に対する質問並びに私の求めていた答弁はそれでいいのですよ。私は、裁判の訴訟進行において、故意、過失の責任の有無の問題が裁判のスピードアップができるかどうかという非常に重大なかぎを握っておる、こう思うのです。だから私は、厚生大臣に、いまの民事局長の答弁をお聞きになって、そこに立って大臣の見解を承りたいのでございます。  要するに、無過失責任の法律的な根拠というものは、たとえばある種の危険物を管理する者は、絶対的な注意義務を負い、自分のみずからつくり出した危険については責任を負うという、いわば危険責任論、こういうのがやはり無過失責任の法律的な根拠だと思うのですね。先ほど、原子力損害賠償補償契約に関する法律を、大臣自身も無過失損害賠償の一例をあげられましたが、第三条を見ますと(無過失責任及び責任の集中)として「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責に任ずる。」私は今日このように科学技術が進歩し、そしてまた、企業の中にもいろいろ国民の生命、健康に有害な物質の排出をやる企業もあるし、またこの傾向というものは、わが国経済の成長の構成的な姿を見てもますます大きくなっていくんじゃないか。それは必然だと思うのですね。そういうことを考えてみますと、やはり大事なことは、公害行政を全うするためには、一番大事な無過失損害賠償の立法化という問題を解決せずして、企業者の責任をきびしく追及すると同時に、不幸にして公害によって気の毒な境遇にある人方を救済することは不可能だと思うのですね。私は、その意味においてひとつ大臣に、もう一度、先ほどのような一般論的な答弁ではなくて、明確な見解と今後の態度を承っておきたいと思うのです。  先ほど大臣は、被害者救済の問題等について、この間の国会で成立を見た公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法をあげられましたが、なるほどこの法律はことしの二月から施行されておりますけれども、中身は医療費であり、医療手当であり、介護手当の支給、こういうことなんです。これもまた私はけっこうなことだと思うんですよ。しかし、ほんとうの救済措置というものは、悲惨な公害病で現実に病床にうなっておる人方をどう救済するのか、私はこういう問題の解決なくして、公害関係法を幾ら表向き整備しても、最も基本的な問題が忘れられておる、こう指摘したいわけなんです。  公害犯罪処罰法案というものが刑事法の特例法として提案されているわけなんです。この法律の運用の評価についてはいろいろ疑問もあるようでございますが、しかし私は、同様に、民事法の特例として無過失損害賠償の立法化ができないはずはないと思うのですね。これはやはり、私は言いたくはないんだが、政府の施策には財界の圧力や、また政府みずからがそういうところに遠慮をしておる。これも相関作用かもしれませんけれどもね。今度の国会における公害関係法律を見ますと、政府は十四の法律案を出しておりますが、いわば公害犯罪処罰法案というものが政府の十四の法律案の目玉商品のように国民向けには宣伝零れておるわけです。これを出したから、政府がいかに公害行政にきびしい態度をもって臨んでおるか、こういう一つの目玉商品的な役割りを公害犯罪処罰法案に期待しておるようでありますが、私は、ほんとうの姿勢というものは、公害犯罪処罰法案ではなくて、運用の面からいうと、その道の専門家に聞けば、この法律は、成立を見ても適用ということはめったにできないであろうというような意見が多いのを耳にいたしますが、ほんとうに大事なのは無過失損害賠償の立法化だと思うのです。民事特例法の提案だと思います。  そういうふうな意味におきまして、私はもう一度無過失損害賠償の立法化について政府の姿勢、厚生大臣の姿勢並びに今後の取り組み方についてはっきりとした態度をひとつ述べていただきたいと思うのです。
  172. 内田常雄

    内田国務大臣 たびたび申しますが、ぜひ私の真意を御理解いただきたいのであります。私はまず今日のような高密度社会、機械文明、科学的な経済社会が発展してまいりますと、これは公害に限らず、無過失賠償責任の法理というものがいろいろな面に出てくるのは当然だと私は思います。民法七百九条というものは、おそらく私が生まれたころできた法律でそのころの社会経済機構あるいは産業発展状況というものと、今日の高密度化した状況とはまるで違うのでありますから、そういう機械文明の発展と高密度社会に対応する司法上の原理として、いま田畑さんが熱心に御主張なさる無過失責任法というものができるのは社会の趨勢だと考えますので、これは公害関係におきましても、これをつくることがよいという私自身の判断のもとにこれまでもいろいろ進言もしたし、また若干の検討もいたしましたが、今後一そうその態度を前向きに進めたいと思います。また、やり方につきましては、縦割り立法あるいは横に払ったような総合無過失賠償責任法の立法、これはいずれでもいい、いずれでもいいが、被害者がそれによって非常に便益を受けるような方法である内容によって、この法制をできる限り早く政府全体としてまとめていくように、私は私の持ち場において積極的な努力をいたしてまいることをここにお約束をいたします。  それから、いま裁判所の方からもお話がございましたが、それだけでは問題の解決しない点は因果関係の立証の問題でございます。水銀の問題につきましても、カドミウムの問題につきましても、掘り下げれば掘り下げるほどその争点になる問題なしといたしませんが、それはそれとして、とにかくその被害者が相手方の加害者の故意、過失を立証されなければならないような、そういういまのような障害になっている法制につきましては、新しい無過失原則の法制をつくるということで前向きで進みますことを、重ねてその努力をここで表明します。
  173. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣の決意のほどを聞いて私も非常にうれしく思います。やはり公害問題は、もちろんこの臨時国会で終わったのではなくして、これからあらゆる機会に法の整備と同時に、内容を充実することが必要になってこようと思うし、その意味においては、この臨時国会が終われば、引き続き通常国会ということになってくるわけですね。通常国会にはまたいろいろな問題も出てくると思いますが、鉄は熱いうちにたたかないと本物にならぬわけでありますから、したがってこの臨時国会において、公害問題を中心に、これだけ国会の動きを国民も注目し、また国会の中でも、公害問題に白熱的な論議をかわし、その中には幾多の建設的な前向きの、政府が取り入れてしかるべき問題も多々あるわけでございますから、やはりその一番大事な問題として、次の通常国会には、私がいま申し上げた無過失損害賠償の立法化について具体的な成案を得るように期待するし、また当然大臣としても、山中長官と同じように、議会を通じ国民に約束できると思いますが、その点重ねて大臣に御発言をいただきたいと思うのです。
  174. 内田常雄

    内田国務大臣 たびたび申し上げておりますとおり、私は公害の被害を受けられた方々の側に立ちまして、少しでもその苦痛が救われるような、医療面あるいはこういう民事立法面の改善の努力もいたしてまいろうとするものでございます。
  175. 田畑金光

    ○田畑委員 もうちょっと、この問題については、挙証責任の転換であるとか、その他お聞きしたいと思うのですが、いわゆる挙証責任の転換ということがよく政府の答弁の中に出ておりまするが、この点についてはどうお考えなんですか。そしてまた、政府の内部ではどのように検討なされておるわけですか。
  176. 内田常雄

    内田国務大臣 それはまあ主として民事法の構成要素でございますから、何と申しましても専門家の法務大臣傘下の法務省の主体的な活動がなければ結論に達し得ない問題でありますが、私は専門家ではありませんが、私なりに考えますと、挙証責任の転換にはやはり二つの面があるのではないか。一つは無過失損害賠償責任というものの原則までは踏み切れないが、しかし故意、過失があったかどうかという挙証を、被害者側の義務にしないで発生責任者側の義務に変えていくという面と、もう一つは、先ほど来触れております因果関係の挙証が非常に問題でありますので、今日の民事訴訟の組織のもとにおいては、救済を求める側が因果関係の存在を立証する責めがあるたてまえになっているはずでございますが、それにつきましてむしろその因果関係の存在を否定する、その責任を加害者側に与えるという面もあろう。そういう二つの面があるのではないかと私はしろうとなりに考えております。しかし、いま挙証責任の転換というものはどちらの面を主として論ぜられておるのか、そこのところは私も十分には了解いたしません。
  177. 田畑金光

    ○田畑委員 私の申し上げたいことは、いわゆる挙証責任の転換、その内容はいま大臣お話しになったとおりでございますが、ただそのようなことで無過失損害賠償の立法化を逃げるようなことがあっては困る、こう私は申し上げたいわけなんです。それで、当然政府の側からせめて挙証責任の転換くらいは実現したいという答弁がなされておりますので、一体そういう固まった——政府部内で次の機会に法律改正等が予定されているのかどうか、これをお尋ねしているわけで、この点をもう一度お答えをいただきたいと思うのです。
  178. 内田常雄

    内田国務大臣 挙証責任の転換の問題は、いま申しますように、結局は法務省を主体とした御検討に待つしかございませんので、先般連合審査会もいたしましたが、公害関係の八大臣の出席のもとに五つの委員会が開かれておりますので、ぜひひとつ田畑先生から法務委員会等において、この問題について法務大臣にもただしていただきたいと思います。  なお、私どもが申せば申すほどむずかしい問題がございますのは、カドミウムなどの問題にいたしましても、カドミウムの土壌蓄積性というようなものがございまして、いまの時代の企業者が発生したカドミウムによって土壌なり水なりがよごれることはもちろんでございますが、昔からのいろいろな原因による蓄積カドミウムの上に新しい原因のカドミウムが乗っかって、そしてそれによって水がよごれ、あるいは土壌がよごれて農作物等が汚染して、厚生省が定むる許容限度を越えるというようなことになった場合に、その因果関係をどう持っていくかというようなことがございますし、水銀にいたしましても、ある種の魚類は水銀を体内に蓄積する習性があるわけでございます。これは、たとえばマグロとかあるいはサメなどは、その辺に所在する水銀を蓄積するという習性がございますので、その上水銀発生の原因が重なりますと、これはもちろん直ちに許容限度を越えるような事態が生じております。私どもはそれはもう勇敢に、水銀の汚染による健康被害であり、また水銀の許容限度あるいはカドミウム許容限度をきめてまいりますが、それの挙証の問題になりますと、いま言うような問題も現実に出されているようでございまして、そこで無過失の原則に入るまでの間に時間がたっている。その挙証責任の転換ということをはかった場合に、いま言うような事態にどう対処するかというような問題もあるようでございますので、私はとにかく被害者本位に解決するような法制をぜひつくってもらいたいと思います。そういう意味から、失礼な言いぐまかもしれませんが、法務省のネジを巻いて、そうして総理大臣のネジも巻くし山中大臣のネジも巻いていくということにいたしたいと、ほんとうに心から思うものでございます。
  179. 田畑金光

    ○田畑委員 それではこの問題については、大臣の最後の答弁を信用しまして次の通常国会を待ちたい、こう思うのです。またそのときひとつ、この問題については実行されたかどうかよく見てまた質問を申したいと思うし、ぜひひとつ、大臣が最後にお答えになったように実現に最善の努力を払っていただきたい、こう思います。  次に、廃棄物処理法案について少しお尋ねするのでございますが、日常生活の水準が向上するにつれて、排出されてくる家庭のごみの量というものも非常にふえてくるし、またその内容も多様化してきております。申すまでもないことでございますが、耐久消費財などがそれであります。また、人口あるいは産業の都市集中、あるいは上下水道、屎尿処理施設、河川のしゅんせつ等による都市施設の整備等に伴って廃棄物というものが非常にふえてきております。また、最近の都市再開発、建築業の振興ぐあいから見ましても、公共投資による建設資材、廃材の非常な排出など、わが国の今日までのいわばGNPの増大というのは、即廃棄物の増大と同義語だと思うのでございますが、しかし今日のこのような状況というものは今日に始まったことではなく、この十年来の傾向なんですね。ところが、今日まで廃棄物処理等については政府は清掃法によってやってきたわけですね。たまたま今度の国会に公害関係法が提案されるというので、いかにも公害国会に便乗しているような形でこの廃棄物処理法といういわば大きなこの法律が出てきたわけでありますが、この十年間のわが国の高度経済成長のもとにおいて、産業廃棄物というのは、とにかくたいへんな量にのぼっておって今日に来ているわけですね。そのような状況下にあるにかかわらず、今日まで清掃法の改正という問題を怠ってきたというのは、政府の特に厚生省の怠慢である、こう思うのでございますが、この点についてはどういうお考えですか。
  180. 内田常雄

    内田国務大臣 公害対策基本法以下公害関係法律案が今度の国会に出されるということで、私どもはかけ込みで廃棄物処理法案を出したというわけではございません。これはもう私が厚生大臣に就任をいたしましてからでも、この社労また参議院の社労で、産業廃棄物の排出が膨大なる量にのぼっておること、またそれがいまのような清掃法の処理体系のもとにおいてはとうてい処理し得ないような状況につきまして、常に御意見の開陳がございまして、これらに対する処理体制の推進をはかるべき旨の御激励、御要望がたくさんございまして、私も全く同じ事態を認めてまいりました。  そこで、廃棄物処理法を単独に出すこともむろんかまいませんが、しかし、今日の産業廃棄物処理の目標というものは、これまでの清掃法にございましたように、伝染病の発生を予防するといったような、そういう局限的な目的からだけではなしに、もう人間の生存する環境の適性化をはかるという広い見地から処理することが必要だ。そのためには、むしろこちらから進んで公害対策基本法の中に廃棄物処理のこともうたい込ませたいというようなことで、公害対策本部に持ち込みまして、二、三カ所に、全く新しく基本法のほうにも廃棄物処理の推進をすべき旨を載せました。それは第三条でございましたか、ことに、産業廃棄物を排出する事業者の責務というようなことの一つとして、事業者事業活動に伴って廃棄物を出す場合には、みずから処理する責任を負わせるようなことを基本法に入れると同時に、また、地方公共団体と申しますか、あるいは国も含むのでございましょうが、それらは下水道の処理——下水道のことは基本法にございました。この下水道の処理とあわせて、産業廃棄物処理もつとめるべきだという条項を基本法の中にも入れることにいたしましたので、それと頭としっぽをそろえる、こういう意味になりますか、基本法だけ頭を出して何もないということであるよりも一緒に出すということで出したようなわけで、深いおもんばかりをもって実はやってまいりました。  それから、実は私自身もふしぎに思ったのですが、こういう産業廃棄物などを含める生活環境の汚染の状況に対しましては、新しい事態は新しい皮袋に盛るべきだということを、私は従来の経緯は知りませんものですから、天からながめたような姿で思い切った廃棄物処理の方式でいくべきだという、こういうようなことも考えてみましたが、いまの清掃法の現行体制というものなど等も、正直に申しますと、それとの調整といいますか、そういうようなことも現実面としては考えざるを得ない面もございましてこういう形になりました。私はほんとうにもっと早くこういう体制の、総合的な広い廃棄物処理法案というものを厚生省も出すべきであったと実は正直に考えます。ただし、昭和四十二年から昭和四十六年度、来年度までにかけまして、旧体制ではございましたが、このごみ処理施設整備の五カ年計画というのを厚生省が立てられまして、ことしがその四年目、来年は五年目が来るわけでございます。しかし、それは旧体制でございますので、来年の五年目には、実質的にはもうこの法律に基づく新体制による計画に切りかえるような形で、新しい中期計画を立てるようなつもりでやらせていただこう、こういうふうに考えております。
  181. 田畑金光

    ○田畑委員 通産省の方、だれか来ていますか。——通産省が、これはいつの調査か知らぬけれども産業廃棄物処理、処分状況の調査というのを資源化技術協会に委託してやったことがございますね。この調査目的は何なのか、そうしてまた、この調査の結果はどういう内容なのか、同時にまた、この調査の結果に基づいて通産省は何を考えていらっしゃるのか、こういうふうな点について御説明を願いたい、こう思うのです。
  182. 児玉清隆

    ○児玉説明員 お答え申し上げます。  昭和四十五年度の予算事業といたしまして、産業廃棄物処理、処分状況の調査というものを四月から実施いたしまして、その実施機関は、資源化技術協会というところでございます。国の委託調査として実施をいたしました。  その概要をかいつまんで御報告申し上げますと、調査対象になっておりますのは、いわゆる産業廃棄物ということで、今回の廃棄物法の対象と必ずしもぴったりではございませんが、通商産業省所管にかかりますところの廃油、廃酸、廃アルカリといったものあるいは固形状のものというものでございます。その排出の主体は、製造業と電気業、ガス業というものに限定いたしました。対象工場五千工場でございます。この調査が返ってまいりましたのはその約半分でございまして、二千四百四十三工場でございます。  調査の項目といたしましては、まず、総排出量についてでございます。総排出量は、昭和四十四年という時点をとりまして、その一年間に調査対象二千四百四十三工場から出されました排出物の総量は、約四千万トンということでございます。ちなみに、これを全工場、いま申し上げました工場の出荷額が大体日本全国の製造業の出荷額の七割を占めておりますので、それで割り戻しまして、一応の全製造業ベースに焼き直しますと、五千八百四十万トンという数字になります。それが第一の調査項目の結果でございます。  それから、第二の項目といたしまして、どういう種類別廃棄物内容構成になっておるかということでございますが、これは大きく分けて四つになりますが、そのうち一番大きいのは、固体状の不燃物というものでございまして、これが五七%を占めております。それから次に、大きいのが、どろ状あるいは液状の不燃物というものでございまして、これが三六%を占めております。   〔増岡委員長代理退席、伊東委員長代理着席〕 それからあと二つは、問題なく燃えるものということで、木くず類等が四%でございます。それからもう一つは、一番問題になります、燃せるけれども燃した場合に煙等に問題があるものというのがございます。これも八十三万トン程度ございまして、全体に占める比率は二%と低うございますけれども、絶対量としては相当大きなものでございます。  それから、将来の予測といたしまして昭和五十年の一応の推算をいたしておりますけれども、これは先ほど申しました全国ベースの五千八百万トンの約倍ということで、一億一千万トンという数字を推定いたしております。  以上でございます。
  183. 田畑金光

    ○田畑委員 四十四年度の調査で五千八百四十万トン、五十年になれば一億一千万トンという見通しだというお話でしたが、これは産業廃棄物だけなのか。さらに、あなたと直接関係ないけれども廃棄物処理法一般廃棄物というようなものも含めているのか。産業廃棄物だけなのか。  それから、第二のお尋ねは、この調査目的は何なのか。  第三、この調査の結果に基づいて、通産省はこの廃棄物の問題についてどのように今後の行政の運営に反映されようとするのか、この点をひとつお答え願いたいと思うのです。
  184. 児玉清隆

    ○児玉説明員 この法案で取り上げております一般廃棄物というものは対象にいたしておりません。したがいまして、この法案で申しますと産業廃棄物、しかもその中の一部ということになっております。と申しますのは、通産省所管にかかる産業の分だけでございます。したがって、建設業等の廃材等は含んでおりません。  それから、第二のこの調査目的でございますが、これは排出者責任主義を貫きましてこれを行政指導いたしますためには、まず調査をする必要がございます。しかも、その廃棄物を支障のないような形で処理、処分をさせますためには、やはり業種の所管大臣といたしまして十分行政指導をする必要がございますので、その実態把握ということで予算をつけていただいたわけでございます。  それから、これを今後どういうふうに生かしていくかということでございますが、三点ございます。一つは技術開発の基礎データにするということでございます。特に燃せるけれども煙等に問題があるというものにつきましては、相当緊急に技術開発を展開する必要がございます。それからもう一つは、前処理という段階で、現在は三割程度前処理をいたしておりますけれども、全体といたしまして前処理はまだ完全でございませんので、事業者に前処理を十分やらせる。そのためにはいろいろな施設をする必要がございますので、その施設を指導、助成するという必要がございます。それからもう一つは、全体といたしまして、産業基盤という問題にかかわってまいります。これがふん詰まり現象を起こしますと産業が健全な発展もできませんし、国民生活の高度化というものもできませんので、そういった面からの免許行政に生かしていきたいというふうに考えております。
  185. 田畑金光

    ○田畑委員 厚生省にお尋ねしますが、生活環境審議会の中で、「都市・産業廃棄物に係る処理処分の体系及び方法の確立について」というのが第一次答申として今年の七月十四日に出ておりますが、この中で取り扱っておる廃棄物というのは、いま通産省の説明のあった産業廃棄物を含めてその他一般廃棄物、こういうことになると思いますが、この調査に基づくわが国廃棄物の実態というものはどういう内容であるのか、これをひとつ説明願いたいと思うのです。
  186. 浦田純一

    浦田政府委員 ことしの七月十四日に答申をちょうだいいたしました「都市・産業廃棄物に係る処理処分の体系及び方法の確立について」という中におきまして、産業廃棄物は、ただいま通産省のほうから御説明がありました産業廃棄物を含んでおるわけでございます。
  187. 田畑金光

    ○田畑委員 含んでいることはよくわかりますが、たとえば、この生活環境審議会の中で、廃棄物についていろいろ分析しておるが、その中で、たとえば一例を見ますと、家庭の廃棄物に対して産業廃棄物は二十倍にのぼっておるというふうなことなどがいわれております。通産省の所管しておる産業廃棄物だけでも、もうすでに昭和五十年には一億一千万トン予想される。こういう状況下において、その他の産業廃棄物並びに家庭から出てくる一般廃棄物というものは、厚生省としてはどの程度の量にのぼるとつかんでおるのか。この法律は、したがってそのような数字の上に立って処理される法律だと思いますが、その基礎数字がどうなっているかということをお尋ねしているわけです。
  188. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほど通産省のほうからの御説明にありましたのは、通産省のほうからもお断わりがありましたように、通産省管轄の産業から出る廃棄物でございまして、別途私どものほうといたしましては、大阪府下におきます産業廃棄物の廃棄量の調査をもととして、それを全国的に推計いたしまして、昭和四十二年末の調査でございますけれども、一応日量は百十万トン余というふうに出してございます。この中には畜産業あるいは種々の製造業、建設業、それから第三次産業あるいは都市の機能として出てまいります上下水道からの汚でいあるいは屎尿処理施設ごみ処理施設から出ますごみ残滓、こういったようなものも含まれているわけでございます。  それから一般の廃棄物、ことに家庭から出ます廃棄物の量でございますが、これは私どものほうといたしましては、第二次五カ年計画を策定する場合に、十分にその辺の実態を調査いたしまして、それに応じた設備計画を進めているということで、たとえば昭和四十二年から四十六年までの五カ年計画の年次ワクでございますが、四十二年におきましては、屎尿処理施設につきましては一人一日当たりの排出量を一・二リットルといたしまして、それの五千二百九万人分を四十六年までに処理するということで、事業量で申しますと七万二千七百キロリットル毎日という処理施設をつくるということを最終目的とする。またごみにつきましても、一人当たりの排出量を四十二年のスタートにおきまして、予測を八百七十三グラム毎日一人当たり出るというふうに、実績に基づいた数字で自今の五カ年間の事業量、また事業の目標というものを定めまして、四十六年におきましてはこの数字をほぼ毎日六万トン処理できる能力を備えるというふうにして、いずれも私どもとしては調査をいたして計画を立てているわけでございます。
  189. 田畑金光

    ○田畑委員 調査についていろいろ数字を検討してみるとまた問題が出てくるのでそれはやめますが、そこで、この法律全体を通じて事業者の責務ということを強くうたっておりますが、第三条を見ますと、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」事業者の排出した廃棄物は事業者の費用と事業者の責任で処理する、これが法律の一貫したたてまえであるのかどうか、これが第一点です。  それから同じく第三条第二項を見るならば、事業者としては適正な処理が困難なようなものはできるだけ生産など押えねばならぬ、こういうことが書いてありますね。生産を押えなければならぬどころじゃなくてもっと強化しなければならぬ。でなければ産業廃棄物に伴うもろもろの公害というものは防げないと思うのだが、この点についてはどう考えておるのか。通産省としてはいろいろ調査の結果、三つの目的にこれを考えておるというお話がございましたが、産業廃棄物として処理困難なものの生産自体等について、何かこれを抑制するなり規制するなり、こういう点については通産省としてはどう考えているのか。厚生省も、同時にその点についてひとつ明確に、簡単でいいから、御答弁を願いたい。
  190. 浦田純一

    浦田政府委員 三条の一項で出ております事業者責任というのは、これはこの法案全部一貫して通じておることでございまして、原則としては、事業者はその排出物についてはすべて責任を負うということでございます。  それから、第二項の困難なときというこの努力規定をもう少し強めてはということでございますが、実際には、現状を見ますと、廃棄物として最終的に出てくる段階では、どうしても一度消費者の皆さま方の手を経て出てくるといったようなこともございますし、また実際上の問題としては、物の製造、加工その他製品をつくるに際しましていろいろ技術的な制約ということも現実の問題としてあるわけでございまして、現段階としてはこのように努力規定というふうにするのが妥当ではないかと考えております。
  191. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、これは大臣にお尋ねするわけですが、元来関係委員会でしばしば質問され、また大臣も御答弁なさっておるわけでありますが、要するに、たとえば牛乳びんの代用としてポリエチレンの製品を使うとかいう問題等、これは第三条の第二項等からいうならば、できるだけ押えていくということにつながる、こう思うのですね。この問題については、大臣としては、ポリエチレンを牛乳の容器として使うことは私が大臣である限りは認めない、こういうような方針だと承っておりますが、実際そうなのかどうか。聞くところによれば、国立衛生試験所の意見というものは、衛生的な面から見ると無害だ、こう言っておる。同じ厚生省の中でも、環境衛生局の中の乳肉衛生課というようなところは、これは使うべきだと言っているし、公害部のほうは、公害立場からいや反対だ、こう言っている。その上に立って大臣が裁いておる、こういうことのようですが、こういうような問題について、この法律のたてまえから見れば、大臣のとられておる措置がけだし当然だ、こう思うのです。単にこれだけじゃございません、一例を申し上げただけでございますが、この点今後どういう方針でいかれるのか、もう一度お聞きしておきたいと思うのです。
  192. 内田常雄

    内田国務大臣 法理的には非常にむずかしい問題を含みます。この廃棄物処理法におきましても、事業者すなわち企業は、みずから出す廃棄物は自分で始末しなさい、また廃棄物が出ないように自分の企業内において再生とか減量とかいうことをしなさい、それでも出た廃棄物は自分の責任で、自分の銭で始末しなさいというところまではいけるわけです。ところが、事業者が他の事業者目的のために売り渡した、たとえば牛乳びんの容器でありますとか、あるいは化粧品の容器もそうでございましょう。百貨店の手さげバッグもございます。スーパーマーケットもそうでございますが、そういう容器も、これは事業者がみずから出した廃棄物ではなしに、人間生活に有用なる物質として外へ提供したものでございます。今度はそれが要らなくなったものを捨てるわけでございますが、その捨てる状態が一般廃棄物として各家庭から出てくるわけでございますので、事業者のほうは、それはもうそっちの体系でやってくれ、うちのほうの企業内部で起こるものは自分の処理でやるが、こういうことを言うて逃げるわけでございます。ところが、おまえのほうがつくったものが世の中で一時役に立つけれども廃棄物になった、あとはそれがいろいろな生活環境の汚染を生じているんだから逃がさぬよ、やはりあなたさんのほうがそれをつくって外へ売り出すときは、あと始末がつくようなそういうくふうをして外へ出しなさいというのを書いたのがこの三条の二項でございます。ですから、そのものはもうメーカーの手元を離れてしまっている。牛乳びんをもしそうすれば乳業者から離れていますし、また、いまのヤクルトのぴんというものはヤクルトから離れてしまっておりますから、直接の体系のもとにおいてはこの処理体系に乗ってまいりませんが、この三条で、そういう場合においてもそのものの製造、販売等に際しては、外に出すものは、それが廃棄物になった場合まで考えてちゃんと始末をするような方向をとるようにしてほしい、ここではこういう要望といいますか、そういうことを規定をしておるにすぎないわけであります。それ以上いこうと思うと、そのものをつくっちゃいかぬということになりますが、それは今日の社会生活の現状を見ますとできないわけであります。  そこで、私は厚生大臣でありまして、たまたまうまいことに、いまおっしゃった乳肉衛生課という食品衛生法のほうを管轄しておる部局も、それから廃棄物処理しておるほうの部局も、私が上に乗っかっておるものですから、そういう食品に関連するびんなどをガラスびん以外を使う場合には、幸いそれは厚生大臣の認可を受けなければならぬことになっております。しかし、その認可たるや、衛生的見地において十分満足でき得る要素が備わっておれば、これは食品衛生法という衛生法ですから認可するのが私はその見地からだけは適当であると思います。  たとえばプラスチックにおきましても、いろいろな可塑剤が中に入っておる。その可塑剤がしみ出してきて中身と一緒にまじるというような状態が起これば、それは衛生的にいけないからだめでありますが、そういうことにならなければ、衛生的にはプラスチック容器とかいうものが食品衛生法のほんとうの精神からは押えられないわけでありますが、とにもかくにも認可制になっております。そこで認可申請が来た場合には、今度はこの三条を読んで聞かせまして、こういう「努めなければならない。」という条文になっておるから、それはあなた、メーカーはそういうことをおやりになりますか、どういう方法でこの条文を生かしてくれますか、それを厚生省が納得できない限り許可は保留せざるを得ない、こういうことで私がいばっておる、こういうわけであります。  ところが、農林省等は、従来は、それは厚生省でいばってもらっても、やはり乳製品行政上は、人手も足りないし、いろいろな見地からそういうものを使わせることは悪いことじゃない、こういうだけのことでプラスチック容器などについて前向きの態度をとっておったようであります。経済企画庁のようなところでさえも、物価の大勢からいうと、ガラスびんを使うよりも、一ぺん使って捨てる容器のほうが安くつくということで経済企画庁も前向きの姿勢をとる。また通産省、そこにいらっしゃいますが、これは事業が盛んになることだから、あながち押えるというわけでもないわけですから、厚生省だけいばるなということになったわけでございます。それではひとつみんな集まって、それで天下国家のために同じ歩調でやるように会議をしてくれということでずっと会議をやってきました結果、農林省も最近は方向転換して、よしわかった、こういうことのようでございますし、経済企画庁も、物価だけの面、あるいは労働省も、労働力だけの面、通産省もメーカーの事業だけが盛んになればいいという態度ではなくなったようでございまして、厚生省の行き方はもっともだ、こういうことになってきておるはずでございますので、私はそういうことで三条二項と食品衛生法とを結びつけてやろう、こういうことを言っておるわけであります。しかし、そんなことをいっても法体系が違うよということでむずかしい面もございます。がしかし、これはどんなメーカーでもこのくらいのことが守れないようなことでは、社会的批判というものを受けますから、もう法律の問題ではなしに、これだけの規定を入れておけば、世間から愛される企業たらんとするならば、厚生大臣の言うことを聞くだろう、こう思うわけでございます。
  193. 田畑金光

    ○田畑委員 厚生大臣の言うことを聞くだろうと思いましてですか。あるいは関係閣僚の中で、いま言ったような牛乳容器としてばく大なポリエチレンの容器を使うようなことは、今日の公害問題の発生あるいはいろいろなきびしい批判から見て、これはいろいろ事情もあるがやめようじゃないか、こういう政府の方針としてとられるのか。いまのお話を聞いておると、厚生大臣だけはいばっていて、あとは何とかしてくれ、こういう頼むようなかっこうにきておるのかどうか、それはどうなんですか。
  194. 内田常雄

    内田国務大臣 そこがむずかしい問題です。とにかく私がいばるだけではなしに、許可しない。それは少なくとも食品衛生法にある食品の容器としては許可しない。しかし、絶対にしないのじゃなしに、三条に書いてあるようなことを満足して一ぺん外に出しますが、こういうふうな処理の方法を自分の会社がやるなり、あるいは別会社をつくってやらせるなり、配達するときは毎日配達するのですが、回収する場合には毎日回収しないで労力を省略する方法もございましょうし、あるいは処理の別会社をつくる方法もございましょうし、あるいは再生会社をつくらせる方法もございましょうから、こういうことをやるかどうかということになれば、そういうことを守ることを条件として許可する、こういうことで許可するがよかろう、無条件の許可は押え込む、こういうことで各省が私の処置に納得してくださっているようでございまして、これは農林省ばかりじゃなしに、さっき申し忘れましたが、公害対策本部長でありますか、副本部長なども、それはそういうことでいこうじゃないか、こういうことでございますから、政府の行政方針としてそうであると御理解いただいていいと思います。
  195. 田畑金光

    ○田畑委員 それから、もう一つ私がお尋ねしたいのは、今度のこの法律を見ますと、こまかくただせばいろいろありますが、その中で特に都道府県のやらねばならぬ広域的な処理、この問題は非常に重要な問題であるし、同時にまた、市町村の処理業務として一般廃棄物並びに産業廃棄物と、こうなっております。したがってそのための処理施設の財政措置等々、この法律の運用の面から見ますと、地方公共団体の財政負担というのは相当なものであろう、こう思うのですね。同時にまた、どうしてこの膨大な今後の廃棄物処理するかとなってきますと、広域的な都道府県の行政というのは非常に重要になってくると思うのです。  先ほどの局長の答弁によれば、一体いま一日どのくらいのごみが出るんだという私の質問に対して、大阪府の調査を例にとって推量すれば日量百十万トン余であろうというお話でございますが、われわれの聞くところによれば、大阪府というのは廃棄物処理については先進県であると聞いておるのでございます。ことに大阪府のほうでいま計画なさっておる都市廃棄物の広域処理対策ですね、これについて私も要綱を見たのでございますが、いわゆる廃棄物処理センターをつくって一貫的な処理体制を進めていこう、こういうことですね。私は今度の法律の運用を見たとき、少なくとも大臣、清掃公社くらいをつくってやらすようにしなければ、この膨大な廃棄物処理はできないのじゃないかと思うのです。したがって、この法律のどこか一条に、清掃公社くらい頭を出して、そして別に清掃公社法を出して、その清掃公社については、やはりいろいろ国が財政援助等をやるような措置がとられなければ、この法律を見る限りにおいては、結局都道府県や市町村だけが非常なしわ寄せを受ける、こいう結果になるだろうと思うのです。  大体、国の援助措置を見ますと、二十二条と二十三条があるだけで、二十二条は国庫補助、二十三条は特別な助成となっていますが、内容をよく読んでみますと、まことに国の助成というものは薄いわけですね。この点について局長はその専門でございますから、大阪府がいまやっておる計画等についてどう考えておるか。これは全国的な処理センターとして指導する方針はないかどうか。また、そのためにはやはり清掃公社法のような特別の立法も必要であると私は判断するが、大臣はどのようにお考えであるか、この点を御説明いただきたいと思います。
  196. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、私は田畑先生に迎合するわけではないのですが、あなたは私の考えたとおりのことを言われておる。私もそういう公社を設けたい。ただあなたと違うのは、全国一本の公社をつくるのではなしに、現に各都道府県に住宅公社とか道路公社というものをつくって、それが有料道路を経営したりあるいは住宅を建てたりしているから、それらの例にならって、そういう各都道府県ごとに、もしそれを欲する府県は公社にしてよい、そんな形にしてやったらどうか。その公社の資金は、産業廃棄物を排出するところの企業者からも出資させる。そして都道府県やなんかも必要に応じて出す場合もございましょうし、出さない場合もある。国は起債くらいでカバーしてやる。国が出資するというわけにはまいりません。そういうことをしたほうが、産業廃棄物を排出する企業の協力体制のためにもいいのではないかということになりましたが、どうも一躍そこまでいくということにつきましてはいろいろの抵抗があるようでございます。これは厚生省ということではなしに……。そこで、これはあとからごらんくださると、この中に廃棄物処理業者というものがございます。でありますから、それは公社であろうと財団法人であろうと、大阪は財団法人か何かでやられておるようでありますが、財団法人であろうと、あるいはまた民間の株式会社であろうと、基準を与え、管理、監督をしながらやらせるわけでありますから、いまあなたのおっしゃるような全国一本にした公社はできません。(田畑委員「全国一本じゃない。都道府県」と呼ぶ)都道府県の公社ですと、この産業廃棄物処理業者を許可する際に、その案をつくる際に都道府県の条例等でそういう公社にして、そして都道府県知事がこの法律に基づく監督権を——条例等でその公社にいろいろな指導や助成や監督ができるようなたてまえのものもこの法律でやろうと思えばできるのです、公社とは書いてありませんが。しかし、公社にして全国的な一つの基準を与えることになりますと、別にその基準を政令か何かで設けるということの必要も起こりましょうが、一応これで、公社とはないがそうやってもいいという状況のもとで、地方自治団体等の意向がございます場合にはやれないことはない、こういうふうに御理解いただいてもいいと思います。ただ、これは産業廃棄物ではございませんが、一般廃棄物等につきましては、いままでの市町村の処理体系とか、あるいはそれの委託業者の体系とか、従来の関係もいろいろございまして、私は初めは天から降ってわいたようなことを言い出しましたが、やはりどうも既存のいろいろな仕組みを利用したほうが万事ものごとはスムーズにいく場合もこの件についてはあるようでございますので、そういうことも御理解をいただきたいと思います。  なお、いずれであれ、国の助成などにつきましては、きょう午前中も大橋さんその他からも御要望や御議論がございましたが、できる限り国の助成なりあるいは起債のお世話なりをやって、来年度の財政投融資あるいは国の助成なんかにつきましては、新体制が出発した体制において国も協力をいたす所存でございます。
  197. 浦田純一

    浦田政府委員 いまほとんど大臣のほうからお答えがあったとおりでございますが、ただいま大阪府で計画しております処理体制と申しますのは、先生も御案内だと思いますが、関係の市町村がお互いに相寄りまして、出資し合いまして、いわば一つ考えとしては財団法人といったような考えでもって一つの事業体をつくり、そして関係市町村の実際の排出量また廃棄物の種別、それからそれを運搬する場合の運搬の計画あるいはそれをどこでどのような形で処分するか、処理施設並びに最終処分地の決定といったようなことを事業内容といたしましてスタートさせるということでございます。これに対しまして、この事業体の中に、やはりある程度は都市そのものから出てくる廃棄物もある。たとえば下水道の終末処理場から出てまいります汚泥でございますとか、あるいは各市町村の焼却施設から出てまいります最終的な残滓、燃えがらでございます、こういったものの処分ということも実は大問題でございますので、これらの部分については、私どもとしては現行の市町村に対する補助の一環として考えられないか、それの延長として考えられないかとして、補助金ということを要求いたそうと思っております。それからその残りの部分といいますか、大部分は産業廃棄物処理になるわけで、一般の事業活動から出るものの処分になりますので、これらにつきましては、各関係の事業者のほうからの出資と、それから国といたしましては、応分の財政の投融資ということによってそれを援助していく、こういうような考えでもって近々はっきりした法人という形でスタートするというふうに聞いております。また実はこれの計画の進捗にあたりまして、今年度すでに起債を認めておるという段階でございまして、私どもが将来この方式を全国的に広げていくかどうかということにつきましては、ただいままでのところ詳細な検討というものがまだ終わっておりません。また実際に大阪でやっております運営の実績というものも、いまのところスタートしていないわけでございますので、まだ手入できない段階でございます。したがいまして、これは今後の問題として十分に前向きの姿勢で検討してまいりたいというふうに考えております。
  198. 田畑金光

    ○田畑委員 私の質問時間もきましたから、これで終わりますが、私は、大臣、いまの点は全国的にという意味じゃなくして、各府県ごとに公社方式のようなものでどうか、こう申し上げたわけで、その点は大臣考え方と同じわけなんです。ただ大臣はいまある業者中心にということでありますが、私はいまある業者をということは非常に問題があると思うのです。これはもう長くは申しませんが……。
  199. 内田常雄

    内田国務大臣 私が、じゃないのです。
  200. 田畑金光

    ○田畑委員 そうですか。だから、私はそうじゃなくして、大阪方式というもので、やはり厚生省としても十分検討されて、全国的な面でもしそれがいいとすれば、そういう方向で取り組まなければ、この膨大な法律に基づく廃棄物処理ということは私はできないと思うのです。そういうようなことで、したがって私は、大阪がやるのを待って云々というよりも、やはり厚生省みずからがこのような問題については、このような法律を出した責任上から見ても、また全国的な財政、技術指導をやらねばならぬ厚生省立場から見ても、当然こういうような問題についても深く検討し、指針を与えるべきだ、こう思うのです。そういう意味において私は大阪方式を一例に出したわけでありまするが、どうぞひとつそういうような方向で、せっかくこの大法律ができたが、実際上被害を受けるのは市町村であったり府県であったり、そのような混乱などがないように十分ひとつ配慮して、いま私の言ったような公社方式等についても御検討をいただきたい。このことだけを強く申し上げて私の質問を終わりたい、こう思うのです。
  201. 浦田純一

    浦田政府委員 先生の御趣旨に沿って、実際上支障のないようにこの廃棄物処理法案の運営にあたっては十分につとめてまいりたいと思います。  また、先ほどごみ排出量につきましてちょっと数字を間違いましたので訂正させていただきたいと思います。一般家庭ごみ排出量は四十二年が七百五十五グラムということであります。四十三年が八百十五グラムということで、そういうふうにして毎年実際に応じて予想を立て、かつそれに応じた計画を進めているということであります。七百五十五グラム、一日一人当たりということでございます。
  202. 田畑金光

    ○田畑委員 それじゃ質問を終わります。
  203. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 寺前巖君。
  204. 寺前巖

    寺前委員 発言にあたりまして私は委員長にお願いをしておきたいと思います。いま問題になっているところの廃棄物処理に関するところの問題、歴史的に清掃法という形で廃棄物処理が社会生活の上においてきわめて重要な位置でもって仕事をしてきたというものだけに、しかも産業の高度経済政策のもとにおける新たな段階との関連性において産業廃棄物が出てきた。こういう段階において、ここに新しい段階法案として出されてきただけに、現場でいわゆる清掃事業に携わってこられた方々あるいはまた市民の代表、あるいはまた東京都の知事をはじめとする市長さんその他の代表の方々を呼んでもらって、新しい段階における苦労はどこにあるのかということを、本委員会においてひとつ参考人として御意見を聞く機会をつくってもらって、この法案を国民にとってほんとうに意義のあるものにするように私は要望をしておきたいと思うのです。  そこで、これからが質問に入るわけですが、私はこの法案を審議するにあたって、基本的に三つの問題点を持っているというふうに思うのです。  その一つは、歴史的に清掃法ということで住民の生活環境を美しくする、衛生的に保っていく、まさに住民本位の仕事、それがなされておる。ここに新しく事業活動によるところの廃棄物が出てきた。これが社会的の環境を保全する上において悪い役割りをしてきた。そこでここに新たにつけ加わった問題がある。この角度からこの法律は、基本的に住民の環境が衛生的に美しくあるという、それを基本とする法律、それにプラスして事業活動をやるものに対する規制というか、あるいは処理というか、そういうものをどうするか、こういう立場からこの法律がつくられてきているのか、それとも産業廃棄物中心にして、都市の清掃あるいは市町村の全体の清掃問題を考えているのか。私は、いずれの立場をとってこの法律ができているのかというのが一つの基本的な問題だと思うのです。現に、都市におけるところの清掃の仕事をしておられる方々が、住民の仕事をやりながら、全体として産業廃棄物処理屋に変わっていくのじゃないか。その分野の仕事がふえていくのではないか。そこに巻き込まれていく。費用もばく大にかかっていくから、それは下請にしていったほうがいいじゃないかという話のほうに流れて行く。ここらが一つの問題点として社会的になっていると思うのですね。だから私はこの法律をつくるにあたって、基本をどこに置くのかという問題を一つの問題点として論議をする必要がある。最初に、私は基本的問題点だけを提起しておきたいと思います。  それから第二番目に、大臣が何度か珍しく、この法律に限って論議をするときには、地方自治体の固有の権限であるというお話が何回か出ました。一体この廃棄物に対して、国はどういう責務を持たなければならないのか。この問題について明らかにしておくというのが、私は一つの基本的な問題点だと思うのです。  それから第三番目の問題点は、はたしてこの廃棄物処理、ここで出された法案によって廃棄物がうまく処理されるのかどうか。実態はどういう結果になっていくであろうか。ここの問題が一つあると思うのです。  私は大きくいってこの三つの問題点において国民の期待する側にこの法律がなっているのかなっていないのか、この三つの点で深めてみたいというふうに思うのです。  そこで、今度は細部にわたって質問をしたいと思うのです。  第一番目の問題です。歴史的に考えてさましたら、私たちの個人の生活、そこからは家庭生活いわゆる生活系の廃棄物が出ます。都市におけるところの道路、河川などにおけるところのいろんな不衛生な事態が生まれております。従来、これらの問題を清掃法は処理をしてきたというふうに思うのです。これは社会生活を送る上において基本的な仕事だ。私は自治体におけるところの基本的な仕事だと思う。火事から防ぐための消防が要る。いろいろな学校が子供の教育のために要る。これは公共的な事業として、私は、社会生活を送る以上、社会生活を送る個々人の共通したやらなければならないものとして、生活関係あるいは環境のいわゆる公共的な処理、それはもう固有の自治体の使命としてあるだろう。これに対して、事業活動をやるという問題は、その事業活動については、規模の大小を問わず、この住民が持っている環境保全に協力する義務が、事業活動における廃棄物については持つというのが基本的な考え方ではないだろうか。したがって、お互いに住民税を払って生活をする以上は、家庭生活あるいは公共的なそういう生活の事業に対しては、税金、住民税を払っている。そのもとにおける自治体においては、固有の仕事としてするのは当然だ、生活並びに公共的なこういうものに対して。これは私ははっきりさせる必要があると思うのです。私は、この一番考え方の基本点について大臣がそのように思われるのかどうか、ちょっとこれは、ぼくはこの法律のでき方の体系を整理するためにお聞きしたいと思うのです。
  205. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 最初に委員長に対する御要望がございましたが、委員会の運営に関することですから、各党の理事と相談をいたします。
  206. 内田常雄

    内田国務大臣 寺前委員のおっしゃることは私もよく理解できます。それにまた最近の家庭ごみあるいはまた魚屋や八百屋のような事業をなさっておられる方から排出されるごみ、これも類似のものでございましょうが、そういうものも多いし、かつまた狭い範囲のいわゆる産業廃棄物といわれるものも多うございまして、そういうものが一般の家庭から出るごみの十五倍にも二十倍にもなるというような事態に対処いたしまして、今日、地方の住民の方々の清潔で幸福な環境を守るための法律としてこの新しい法律を組み立てたわけでございまして、寺前さんが御指摘になっているような、住民税を払っておられる一般の住民の幸福を犠牲にして今度の法律を組み立てた、こういうことじゃございません。
  207. 寺前巖

    寺前委員 ところが、この法律によると、そうはならないのです。固有の義務だというふうにしようというならば、これはちょっとこの分類のしかたも私は異論があります。一般廃棄物産業廃棄物に分けて、産業廃棄物の指定の以外のものは一般廃棄物だという言い方ですから、産業廃棄物から逆に表現していますからね。そうじゃなくして、私は逆にする必要があると思いますが、そこのこまかい論議は別として、この法律からいくならば、この一般廃棄物処理は、第二章の五条のところにありますね。ところがこの五条によるならば、「市町村は、その区域内における一般廃棄物処理について、一定の計画を定めなければならない。」ということであって、市町村がみずから処理をしなければならないとはなっていないのです。計画はどういうふうに持ってもかまわないのですよ、この解釈は、法律論からいったら。だから固有の権限であるというならば、また固有の仕事だということになるならば、みずから処理をするということをここで明確にしなかったら、法律的には生きてこない。私はこれは基本問題だと思うのです。そうしてみずからやるということになったら、そうすると、いままで委託業者にとらしておった問題については経過措置として、一定の期間の間これこれの条件が備わっている場合には、その問題は委託するけれども、対処をしますよということを明確にしなければ、私はいまの精神は生きてこないと思うのですね。そのかわり、そういう問題を提起したときに、固有の問題であるという問題が明確にされた場合には、財政的にも——したがって、それは無料で取り扱うものとしなければならないという発想に次には押えなければならないこの法律によると、私はそういうふうにならぬと思うのですが、局長どうです。
  208. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、従来の一般家庭生活系から出てまいります廃棄物、いわゆるごみにつきましては、今回の改正法案の中におきましても、これはそのままできるだけ踏襲して、現在あります市町村の清掃事務体系というものは尊重するということが第一の点でございますが、それがいままで市町村のいわゆる固有事務として取り扱われておったのであるという受けとめ方につきまして、今度の改正法案の中でこれはどのように読むのかということでございますが、これは第五条の第一項で「一定の計画を定めなければならない」ということと、第二項の、この計画に従って「生活環境保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分しなければならない」ということで、その表現というものは当然に市町村の義務、またさかのぼりまして第四条におきましても、市町村の清掃に対する心がまえというものがはっきりと書かれておりますので、今回改正法案をつくるという大前提に立った考え方と、それからこの四条、五条の表現、また全般を通じまする考え方というものからいきまして、従来の市町村の固有事務であるという考え方についてはいささかも変わっているものではないと存じます。
  209. 寺前巖

    寺前委員 この法律でいったら五条と六条で、どっちでもいいということなんですよ。ほんとうに明確に市町村がやらなければならないというのだったら、明確にみずから処理すると書いたらいかぬのですか。私は非常に明確になると思いますよ。局長どうです。
  210. 浦田純一

    浦田政府委員 その点につきましては、現行の清掃法が国会で前回論議されましたとき、あるいはそれに至るまでのいきさつにおきましても、市町村がみずから行なうという表現についていろいろ議論が出たところだと記憶しております。その段階におきまする議論といたしましては、市町村がみずから行なうこのたてまえをどのように法の中で読み込んでいくか、あるいは法文としてあらわしていく場合にどのようなあらわし方があるかということでございましたが、実際その当時の現実の問題といたしまして、現にかなりの許可業者の占めている部分があったわけでございます。そして、しかも当時からすでに進行しておりました全国的な都市化、それから工業化、こういう問題も背景にございまして、市町村で実際に取り扱うべきごみの量というものは年々非常な速度で増大してきた、また区域も広がってきた、対象人口もふえてきた、こういったような状況があったわけでございます。これらの現実を踏まえ、さらに一体どの程度まで市町村長の義務として果たせればこれが市町村長の義務としてみずから行なったということになるかという点について少なくとも——まあ具体的な例で申しますと、東京都におけるような、いわゆる委託という形式、これはやはり最終的に市町村長の責任というものが明確であるからして、これは市町村みずから行なうというふうに読めるのではないかといったような議論、それから全体的な傾向といたしましても市町村がどの程度まで義務を負えるかという実態的な問題とのからみで、直営という思想を盛りつつも、みずからといったような、その市町村自身でなければといったような表現については私どもとしては妥当を欠くものではないかというふうに考えておったわけでございます。それから今回の法改正に至りまして、その間の状況が改善されておるが、実は全国的に申しまして許可業者の数としては減少の傾向にあるように聞いております。また直営ということの実際上の運営について、支障のないように進捗しておるというふうにも理解しております。したがいましてこのような実態というものを踏まえまして、今回の法改正で原則的にいまやっておることについてはこのままで盛り込むという考え方一つ。それからこれは少し立論の根拠が違いますけれども、その後実は都市化あるいは工業化といった傾向に伴っての市町村の収集義務というものが減少したか拡大したかと申しますと、これは実はその後も拡大しており、ますますまたその質も多様化しておるといったようなことでございますので、やはり四十年の論議、四十年のそのときに行なわれた議論というものが現在も援用できるのではないかというふうに考えるのでございます。
  211. 寺前巖

    寺前委員 いまのお話では、実態がそういう業者がおるということ、事業活動がふえてきている。   〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕 だから実際にはそういうふうにきめても実態に合わぬのじゃないかということが、大体の基本的なお話だったと私には聞こえるのです。大臣、そういうように聞こえるのですよ。いいですか。そうすると先ほどから、精神はそのとおりだとこう言われるけれども、そういうことであるならば、業者の実態がこうだからということが前提だったら、これは経過措置で済む話。事業がふえてきているという話は、事業量がふえてきているという話は、それは産業活動におけるところの結果の事業、この分野の事業活動がふえてきているのだから、産業活動、事業活動廃棄物処理問題をどうするかという考え方の問題として処理しなければならない性格なんです。だから日常生活を送る市民、住民の側の問題から言うならば、基本的に住民の生活は、直営のもとにおける、みずからがその自治体において処理をするという生活の中に入るべきであって、事業活動の新たなる増の問題については、それをどうするかという問題として別個に検討する。だからここで基本的に第五条でうたう場合には、みずからが解決するということを明確にしなかったら、いまの立論の基礎は私は成り立たないと思う。大臣、違いますか。
  212. 内田常雄

    内田国務大臣 私はすなおに伺っておりまして、寺前委員のおっしゃるようなことがこの法文でそのとおりいけるように考えます。つまり市町村における一般廃棄物処理が、市町村のやるものと、また市町村がそうしたほうがいいと考えれば委託をするものと、また市町村がそうしなければやり切れないと考える場合には第三者の業者も、市町村の許可によってそのものをやらせるわけでありまして、市町村がみずから全部やれる能力があるときには、委託をする必要もなければ業者を許可する必要もないわけでございますので、これで御趣旨は十分達成される。できないものまで市町村にしょい込ませるということも、これは最近たいへんごみがふえてきておる状況から見ますると、さっきもお話がありますように、排出量が、いままでは一人当たり五百グラムとか六百グラムとかのものが、このごろは皆さんたくさん食ってたくさん外へ不要物を排出すると見えまして一キロ以上にもなるのだということでございますので、やはり市町村のおきめになるところでこれはきめる、こういうことでよかろうかと思います。
  213. 寺前巖

    寺前委員 それじゃやっぱり違うんですよね。それはおのれの責務としてやるということになって初めて、それじゃ、その費用はそういうことを保障してやるためにどうするかとか、そういう問題で考えていく。社会を構成しているのだから、構成している社会の中でしなければならない固有の仕事——消防というのもそうだと思うのですよ。だから、家庭生活、日常生活の処理というもの、公共的な処理というものは、やはり自治体がやらなかったら、住民税を払ってやっているのは何で住民税だかわからぬことになる。だから、これは固有の仕事だって、自治体で成り立つように国としても保障するということを、これは別個に考えるものであって、それが自治体の必要な構成要件なんだという立場にしっかり立ってもらう。そしてもう一つは、みずから処理するという問題の持っている性格というのは、特に農村へ行くとまた明確になってくるのですね。いま現に行なわれているのは、民間業者に委託している分野が非常に多いのが農村部に多いわけでしょう。そうすると、ここでどういうことになってくるかというと、よくないことではあるけれども、不法投棄の問題が生まれたり、あるいはます目のごまかしの問題が出たり、それをめぐって社会的にいろいろな問題が発生しているという事実から見ても、私は、この問題については、固有の問題としてやってもらう、このき然たる態度をつくり上げないことにはだめだ。そして、ここで重要なことは、産業廃棄物がふえてきているのだから、その処理問題をどうするかということで、新たにつけ加わった問題として検討するという立場に立っていく。この問題については、これはみずから処理するというのが基本的である。みずから処理するけれども事業活動におけるところの廃棄物については、量の面から、質の面から、自治体が、協力を、零細な業者に対する援助をやってやるという問題として処理する分野と、それから、零細であっても、量と質によっては有料にして世話をしてやるという分野と、それから、全く事業体自身がやって、そのあと始末についてはどこどこに置かしなさいという置かす計画まで含めるところの広域的な都道府県の仕事も生まれてくると私は思うのです。これが新たにふえてきた、高度経済成長政策の結果のいまふえていっている分野だから、この分野の問題をどうするかという問題でいかないと、この分野に自治体の清掃業務が従属化されていって、市民生活のほうの分野の清掃業務のほうがそのしわ寄せを受けるという結果が生まれてくる。だから、ことばを変えて言うたら、私は、この法律の一番基本点は、歴史的に考えて、清掃という社会生活全体に対するところの基本的な清掃業務については、市町村の固有の責務の問題として、みずから処理をするという責任を明らかにし、みずから処理するその問題は、料金の面においても無料でやるという立場をき然としてとる。それに対する助成の問題は、国の責務の問題として明確にうたう。この立場をとってもらうというふうにしなかったら、これは基本的にこの法律が狂うてくる。これが私のこれを見ての第一番目の意見です。  時間もありませんから次に移りたいと思います。  次に、国の責務の問題です。大臣、この法律の中で国の責務は何ですか。
  214. 内田常雄

    内田国務大臣 これはそれぞれ市町村の責務、都道府県の責務、国の責務ということで第四条にございまして、国は、いまおっしゃる、市町村がみずからの計画でおやりになること、あるいはまた、産業廃棄物などで広域的に、今度都道府県などが廃棄物処理について若干の仕事も出てまいるでございましょうから、そういう場合における市町村、道都府県のその仕事が円滑にいくように、技術開発の推進でありますとか、あるいは技術的、財政的な援助を与える、こういうことが国の任務と考えまして、国営の廃棄物処理場というものはまだ考えていない、こういうことでございます。
  215. 寺前巖

    寺前委員 ここは「努めなければならない」という規定でしたね、国の規定は、技術開発とそれから財源上のやつを。そうでしょう。第四条の三項で「市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」援助をするとは言っていない。しかも、財政のところを見たら、「国庫補助」というところがあるでしょう、二十二条。それから二十三条、ここへきましたら、「国は政令で定めるところにより、市町村に対し、次に掲げる費用の一部」とわざわざ入っているんだよね。費用の補助をするとは言っていない。「一部」というんだから、ほんの一部分だろう。「一部を補助することができる」というんだね。補助しなければならないとは書いてない。その次に、「特別な助成」の場合に、「国は、」云々と書いてあって「資金の融通又はそのあっせんに努めるものとする。」これも「努める」なんだよ。一般廃棄物処理施設あるいは産業廃棄物処理施設その他の廃棄物処理施設ですから、これは民間に対しても融資の世話をする。大企業の民間にもということになるわけですね。この条文からいって、都道府県に限りませんから……。そうすると、国の責務というのはこういうことになってしまう。しかし、いま実際に清掃の業務の面からいうと、国にやってほしいことは、市町村がやらなければならないその固有の仕事としての廃棄物処理ですね、この分野で出てくるのは、先ほどから何回も問題になりました第三条の二項によるところの、いわゆるワンウエー方式のプラスチック容器の類ですね。これが実際には、高熱を発し有毒ガスを発して、たまったもんじゃない。品物は家庭用品の中に入ってきて、家庭から出てきた。市町村は、自分がそんなものを使うてもよろしいとか、使ったらいかぬと言う権限は持っていない。使ってもいいというのは、ある分野に限って厚生大臣が持っているけれども、使ってはいけないという権限は全面的に持っていない。そうすると、結局、業者自身がどんどん家庭生活の中にはうり込んできて、あと始末だけはものすごい苦労しなければならぬというのが市町村の悩みだろうと私は思う。だから、ほんとうに押えようと思ったら、この使ってもよろしいというそこの分野において、国が責任を果たしておいてくれたら——それは市町村が果たせといったって、その品をつくるのは、京都でつくって東京へ持ってきたり、東京でつくって秋田へ持っていったりということになりますから、だから、これは広域的なものなんだから、したがって、国がそこのところにおいて、使ってよろしい、その使ってよろしいという場合には、こういうふうにして回収されるからこれはよかろうとか、条件があって初めて、使ってよろしいということがきめられると思う。だから、一番大もとにおいて押えておいてほしいというのが願いだと思うのです。あのアメリカのコカコーラですか、あれだけ最大の利益を追求していく上では世界的に大きなあすこでも、いまだにびんでしょう。あれにいったらもっと安くあがるからぱあっとやりよるけれども、なかなかアメリカでもそうはさせてくれないわけでしょうが、だから、ああいうものの使用については、どういう結果になるかという責任を国家がそういう面で果たす。それは私は、自治体に対する使命だと思う。そういう意味では、私は、事業者がつとめなければならないという、これは努力規定でしょう。そうじゃなくして、国の使ってよろしい、使ってはならないというそういうことの責務の問題を明確にうたってくれい、そうしなかったらこれはだめだ、これが国の責務の問題として抜けている私は重要な一つであろうと思う。  それから、もう一つ重要な問題は、これはそのあとの産業の問題となってきますけれども産業廃棄物がずうっとふえてきた。この産業廃棄物が、おたくのほうの資料を見ても、埋め立てに使われるのが五〇何%だ、こうなっておりますね。そうでしょう。そうすると、どんどん埋め立てをやっていくというたって、これは都道府県のお世話によってあそこへほかしてよろしい、ここへほかしなさいということの計画の中に従属した仕事になってくるわけですね。だから、今度の法律で大きなウエートを占めるのは、その産業廃棄物処理問題が入ってきていると思うのです。この産業廃棄物はみずからが処理をするけれども、みずからが処理するものをどういうふうにやるかということは都道府県が計画を立てることになっているでしょう、十条ですかに。だから都道府県が結局計画を立てて、そしてどういうふうに処理するかということを明確にさせて、そして、そこへそれぞれの業者が、発生しているところがやりなさい、こういうふうになってきてもほうっておくわけにいかぬから、都道府県がこういう問題の計画を立てなければならぬわけでしょう。ところが、計画を立てるけれども、実際には事業体はどんどんかってにやっていく。都道府県はそれを押えることはできないのだから、何ら押える権限がないのだから、都道府県としてはたまったものじゃない。そこで、これの処理問題というのに都道府県がものすごいウエートを取られてくるということは目に見えておりますよ。特に財源上の問題からも、この分野の責務というのが非常にかかってくるだろう。現に東京都の担当者の話を聞いておっても、要するに、この法律を見ていて、都道府県の云々問題が一番頭痛い、こう言うのです。明確に都道府県がここにぱっとクローズアップしてきているという問題は、計画しなければならないという問題で出てくるのだけれども、結局国は財政的には何も考えないわ、一体何をしてくれるんだ。おれらだけしんどいじゃないか。だから私はそういう意味において、家庭廃棄物の中に入ってくる問題、すなわち第三条二項の事業者責務という問題に終わらしているという問題を、国の責務において押えるということによって市町村に協力してやるということは重要な使命だと思うのです。  もう一つは、都道府県の負わされるであろう諸計画を考えた場合に、財政上の責務の問題というのはもっと考える必要がある。それから市町村のみずから処理しなければならないという義務、これを保障するための責務を国としてもっと明確にうたう必要がある。それがこの法律の中における国の責任が非常に弱い問題点ではないかと私は思う。大臣、意見を聞かしてください。
  216. 内田常雄

    内田国務大臣 非常に広範な御意見、お尋ねでございますが、三条二項の産業廃棄物、なかんずくプラスチック製品などの製造加工あるいは製造加工されたものの容器についてまで、産業廃棄物ではなしに一般廃棄物になってしまうものについてまでも私どもはこういう義務を負わせましたが、これを寺前さんのようにもう一歩進めますと、寺前さんのそのめがねはもしべっこうでなければプラスチックでございます。私はここに万年筆もサインペンも持っておりますけれども、これもみなプラスチックでございまして、これの使用を禁止してしまわなければならない。いま見ると、このお盆もプラスチックでございます。それほど国民生活に入っておりますから、それを禁止をするぞ、こういうところにまでいかないわけでございます。だから、その事業場の中において生ずるそういうもののかず、廃棄物は事業場処理の責任にいたしますけれども、一般消費者の手に渡ったものについては、私も、できれば寺前さんのおっしゃるようにすればいいのでありますが、そうするといま言ったようなめがねや万年筆や何かみんなそういうことになりますので、そこで私どもは、そういう努力規定をかげながら、一方においては、いま例に引かれましたようなコカコーラなどがかりに私のほうにあの容器をプラスチックにしたいという申請がございましても、この三条の努力規定による処置について明瞭な計画を持ってこない限り、私はたとえアメリカに関係があるコカコーラの会社といえども許可などは絶対にいたしません。  それからまた地方公共団体に対する国の責務、なかんずく補助などの問題につきましても、たびたび申し上げておりますが、これだけ廃棄物がふえてきておりますので、産業廃棄物のほうは各事業者みずからが責任を負うのは当然でありますから、国から補助なんか出すべきではないと私は考えますが、市町村等がやる廃棄物処理につきましてはできるだけ国の補助、助成というものを高めるように努力をいたしたいと思います。ただ、「一部」と書いてあるのはほんのちょっぴりであろう、わざわざ「一部」と書いたのはけしからぬとおっしゃるが、全部出すことにしますと、地方税なんというものはみんなやめてしまったり、国から地方へ出します例の交付税をやめてしまって、全部国の収入にしておいて、それから仕事のたびに分けてやるということにいたしますと全部いくのでありますが、地方に固有財源が相当いっておりますから、それとのかね合いにおいて固有財源を交付税の配付基準として計算をしながら、一方においてはまた直接の補助金もできるだけ私どもががんばって出していこう、こういう両手づかいでできるだけの心配はいたすつもりでおります。
  217. 寺前巖

    寺前委員 さっき言ったのは禁止することもあるし、しないこともあることを私は言っているので、たとえばプラスチック一つとってみても、決定的な問題になってくるのは、プラスチック容器のワンウエー方式というものですね。ワンウエー方式のものが決定的になってくるわけでしょう。量が違うんだから。毎日があがあだから。だから問題は国の責務においてこの程度だったら、いまの使っている量はこうだからある程度いけるだろう、そこらを全面的に分析しながら、しかも個々の会社の回収方式を総合的に検討しながらやっていくということで、国の責務として明確にうたう必要がある。厚生大臣の権限をひとつふやそうじゃないかという問題ですね。これは事業者の責務の段階に終わらしておいてはだめだという問題の提起、これが一つ。  それからもう一つの問題は、財源の問題については、私がさっき言ったように家庭排出物に対するところの廃棄物、それから公共的なもの、これは自治体の固有の仕事だ。それにふさわしい財源保障を計算して無料でやれるようにせよ、この立場に立った財源保障を明確に市町村に対してやりなさいということで、計算し直してやりなさいということを言っておるのです。私の言っているのは非常に明確なんです。それで無料方式をやるにふさわしい財源方式をやりなさいということです。どうです。
  218. 内田常雄

    内田国務大臣 ワンウエーの乳製品等に対するプラスチック容器につきましては個々に、この法律ではなしに食品衛生法のほうで、透明なガラスびん以外のものを使おうとする者は厚生大臣の許可を求める、こう書いてございます。したがって始末の方式がつかないものについては食品衛生法のほうでワンウエーの許可はできない、こういうことで私ががんばっておる、こういうことは御了承のとおりでございます。  補助の問題につきましては、いま申し上げたとおりでございまして、地方財源をみんな国にとってしまっておいて全額補助するよりも、おっしゃるとおり地方の固有事務であるならば、やはり地方に固有財源を与えておいて、それでその足りないところを一部国がめんどうを見てやるという両手づかいの方式でいまやっておる。しかもそれもできるだけフルパーセントで、そのために地方住民の税金を引き上げたり、あるいは手数料を新しく引き上げるというようなことがないように、私どもも補助などについては考えてまいるように努力をいたします。
  219. 寺前巖

    寺前委員 これは、時間がないのでその程度にしておきます。  それから第三番目の問題、産業廃棄物処理の問題に入りますが、これは何といっても発生源で押えなければ、こういうものは困るわけです。ですからたとえば、さっきも言いましたけれども、知事はその地域における産業廃棄物の計画を立てろということが十条で義務づけられていますね。これは義務だよ。「定めなければならない」だよ。「処理計画を定めなければならない。」二項で「基本的事項を定めなければならない」 「都道府県公害対策審議会の意見を聞かなければならない。」これはまた、きびしくきちっと規定したわけですね。ですから、自分の都道府県内における産業廃棄物処理状況についてきちっとした計画を持てということでしょう。ところが計画を持つにしても、それぞれの会社がどういうふうに処理をやっていくか——こういうような処理施設では、おまえさんのところの工場はやってもらうわけにはいきませんという、一番大もとの都道府県知事にちゃんと許可を求める——それだったら私の計画の範囲内に入る、よろしい、こういう関係を確立しなかったら、大もとで押えられぬじゃないか。大臣、どうですか。
  220. 内田常雄

    内田国務大臣 これは市町村の、先ほどから固有事務だとおっしゃるが、一般廃棄物処理につきましても、先生よく読んでいただいてたいへんありがたいのでありますが、やはりこの五条の二項で、市町村は収集し、運搬し、処分しなければならないと書いてあるのと同じように、都道府県のほうもそうしてございますし、また事業者についても、第十一条には事業者はみずから発生する産業廃棄物をみずから運搬し、処分しなければならない、こういうわけで、これは一般廃棄物であれ産業廃棄物であれ、外へほうり出されたままであってはならないわけでありますので、それぞれの市町村の区域の計画、また広域計画はございましょうが、合理的な計画を立てていただくということで、いずれも、「ならない」、こういうことに実はいたしてございます。
  221. 浦田純一

    浦田政府委員 各都道府県段階で、いわゆる産業廃棄物の広域処理をするという事業を行ないます場合には、前もって十分にその当該地域の産業廃棄物の種別の量、それからそれがどれほど事業体自身でもって処理されておるか、都市のほうにどれだけの廃棄物が出てくるかといったような、そういう実態を全部調べる。それからそれに基づきまして具体的な収集計画、運搬計画、それから処分の計画というものを立てさせるわけでございまして、これで私どもは来年度には、これらの計画を推進するための費用というものも大蔵省に予算として要求中でございます。
  222. 寺前巖

    寺前委員 局長、都道府県がその計画を持つんでしょう。持つのはいいけれども、自分の都道府県内におけるところの産業廃棄物がどういうふうになるんだという計画を立てるにあたっても、そこの個々の会社がどういうふうに処理していくか、べらぼうな産業廃棄物を出して、みずから処理するというけれども、その出してきたものをどこへ持っていって最終的始末をするのかというところまで見届けなかったら、都道府県としては責任が持てぬわけだよ。そうなると、個々の会社がどういう計画を持つのだ、その計画でよろしいということと関連して都道府県の計画を持っていなかったら、仕事にならぬじゃないか。とすると、個々の会社の持つ計画——この会社は産業廃棄物をこれだけ出して、それはどこへどういうふうに処理する、よろしい、全体としてそれだったら私の府県の環境を保全することができるということの責任を都道府県知事はそこで初めて持てるわけだから、逆に言ったら、個々の会社の廃棄がどうなるかという問題について許可を取るということを明確にしておかなかったら、その環境を守ることにならないんじゃないか。厚生大臣、どうですか。
  223. 内田常雄

    内田国務大臣 それはもう十一条にみな書いてありまして、都道府県知事が、事業者がやるやり方がまずい場合には、それはもういつでも立ち入り検査もできるし、その運搬、処分、保管の方法の変更命令もできる、その他必要な措置を命ずる、こういうことになっておりまして……。   〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕 都道府県が暗やみで、事業者のほうには手も触れないということではなしに、大いに監視をして事業者を取り締まらせる、こういうことでございます。
  224. 寺前巖

    寺前委員 それではだめなんだよ。計画というのは、全面的なことなんだろう。だから個々の会社がどういう状況にあるかという問題と全体との関係の問題なんだから、おまえさんのところは行くえがわからぬようなそういう状態で、つくってしまってあとから立ち入り検査してもだめだから、つくる段階においてこういうふうに産業廃棄物が出る、これについては東京湾のどこどこにほうり込ませていただけませんか、あるいは千葉県のどこどこにお願いしてできております、よろしい、一つ一つの会社との関係で初めて計画が成り立っているのだから、自分が計画を立ててみたって、個々の会社が何をやっているかわからぬという状況では責任を持てない。だから個々の会社が、まず建設するにあたって処理計画を明確にして、私のところはこういうふうに処理をいたしますよといって、これを当局へ持っていく、当局のほうではよろしい、許しましょうということと計画とが関係する、こういうふうにする必要があるんじゃないかと言っているんだ。
  225. 浦田純一

    浦田政府委員 寺前先生十分御存じでいろいろと御質問しておられるかと思いますが、第十四条に産業廃棄物ということで都道府県知事に対する事然届け出ということが明記されているわけでございます。それから第十八条で必要な報告の徴収ということを、都道府県知事に権限が付与されることになっております。さらに第十九条では、これらの施設に対する立ち入り検査ということが認められているわけでございます。さらに第二十条では環境衛生指導員として、これらの立ち入り検査をする者は、一定以上の資格のあるちゃんとした、目の備わった人たちを任命しろ、こういうしかけでございます。また、これから都道府県でもって広域処理計画を立てるということは、実はあしたやれということではございません。大阪については、ある程度具体的に計画ができている、したがいまして、幸いにしてこの法律が成立をいたしますれば、直ちに大阪としては来年度からでも対応できると考えておりますけれども、その他の都道府県におきましては、必ずしもそこまで進んでいないということで、来年度この法律の成立を待ちまして、具体的に計画の立案作業というふうに、この点から着手していくということに相なろうかと思います。もちろん、そのような全体的な計画が立つというまで待っておれるようなゆるやかな事態ではございませんので、既存の体制というものを十分に活用して、その間の補いをしてまいりたいと考えているわけでございます。
  226. 寺前巖

    寺前委員 これも、もうあまりやりませんが、問題は届け出なんだよ。明確に許可しなければだめなんだよ。発生源というものを明確に許可にして、よろしい、これだったら責任が持てるというふうにしておいたらいいのだけれども、届け出だけの話だったら、それでおしまいなんだから、責任を持つということをやらなかったら、あと始末だけさせられたおったらたまったものではない。これはもう一回考えておいていただきたい。  それから同時に、今度は罰則だ。これも何回も出ている話だけれども、たとえば禁止された場所で投棄した場合どうなんだ、五万円の罰金だ。大きな産業廃棄物をみずから処理しなければならない、それでみずから不法投棄をしに行って五万円で済むのだったら、ひどい話だ。しかしこれは非道徳的なことだから、そんなものは何ぽかけたって、それはあかぬといえばあかぬかもしらぬ。しかし非道徳的なことが公然とやられておるというところに公害の特徴があるのと違うのかいな。阿賀野川の問題にしたって、イタイイタイ病の富山の問題にしたって、みんな平然と非道徳的なことをやってきておるんだ。それを考えてみたら、非道徳的なことに対してこんな五万円やそこらの——十六条に基づくところの罰金は五万円以下でしょう。十一条四項に基づくところの問題は六カ月以下の懲役、五万円以下だ。十八条、十九条一項、二十一条の一項によるところのものは三万円だ。非道徳的なことを公然とやってきた人間を相手にして、こんなもので許されるのだったらどうにもならぬ。大臣、どう思います。
  227. 内田常雄

    内田国務大臣 不法投棄は罰金でございます。しかしそれが事業者に対しましては、不法投棄したものの回収命令を出してそれに従わない場合には、今度は体刑で六カ月でございましたか一年でございましたか懲役を食らわせる、こういうことでございますので、五万円の罰金で済むということにはなっておりませんこと御承知のとおりでございます。
  228. 寺前巖

    寺前委員 しかもこれは、結果的には事業主そのものにいかないようなことになるのでしょう。どうなるのです、事業主にいくのか、社長にいくのか。
  229. 内田常雄

    内田国務大臣 それは実態によりまして、社長が指揮したり、またここで見ないふりをしているような場合には、私が検事であります場合には社長に及ぼすようにすすめます。
  230. 寺前巖

    寺前委員 ところが実際には担当者にいってしまうというのが落ちになる。  もう時間のようでございますので質問を終わりまするけれども、もう一度もとへ戻って全体的に考えてみると、市民生活、社会生活を送る家庭、住民、ここを基本とした法案の立て方、そういうふうにはなっていないように私はこれについて基本的に思うし、国の責務の問題においても問題を持っているように思うし、それから産業廃棄物処理活動における処理のしかたにおいても幾つかの問題がある。だから当然、この法案については基本的に修正を要するのではないかというふうに私は思います。  これで発言を終わりたいと思います。      ————◇—————
  231. 栗山礼行

    ○栗山委員長代理 次に、自然公園法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。唐沢俊二郎君。
  232. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 さきの六十三国会で国立公園、国定公園の海中景観を保護するための改正案を成立させましたし、また引き続き本国会でも緑地の保全、自然環境の保護のために、わが国で最も美しくあるべき自然公園について、国及び地方公共団体、事業者及び自然公園の利用者等の責務を規定する等の改正案を提出せられました。このようなことで自然公園法が徐々に整備されることは非常に喜ばしく思うものでございます。ただ問題は、法律案提案理由の説明の中にありますが、「最近、国立公園及び国定公園の自然環境の汚染が著しく進行し、このまま放置することが許されない状況となっておりますことは、御承知のとおりであります。」このように述べておられるわけでございます。従来法律がなければともかく、国立公園法は昭和六年に制定されました。自然公園法は三十二年十月からすでに施行されておる、ここに問題があると思うわけでございます。自然環境の汚染が著しく進行しているというのは、特別地域及び特別保護地区における湖沼とか海中公園だと思うわけでございますが、事実私は一年の五分の一くらい自然公園の中で生活をいたしております。確かに、著しくは汚染していないけれども、かなり汚染をしておることは事実でございまして、よその人を連れていっていつも恥ずかしい思いをすることがある。今後は所得の増大、労働時間の短縮等によって自然公園の利用が急速に高まると思いますが、過剰利用によって自然環境が今後また阻害されるのではないかと非常に憂慮にたえません。今回の改正で湖沼等への汚水の排水を規制されまして、これはかなりの効果はあると思いますが、責務を定めた規定とか訓示規定を加えただけではどれほど効果があがるか疑問に思うわけでございます。  なお罰則も四十九条以下にありますが、あまり適用されたことはないようでございまして、特に管理員がわずかに五十五名しかおらない。自然公園はわが国民の貴重な資産ともいうべきものだと思うわけでございます。その管理員が五十数名しかいない、まことに寒心にたえないわけでございます。今回の公害国会を機に管理員の大幅な増員をしていただきたいと思います。  また同時に、自然公園の美化に必要な施設でございますが、これがわが国の場合非常に利用者が多いわけですから、その利用者に比較した場合に非常に少ないと思うわけでございます。東海自然歩道等の新規の計画ももちろんけっこうではありますが、既存の公園の維持管理のための予算を大幅に増額していただきたいと思うわけでございます。ですから、今度改正案提案される場合には自然公園が著しく汚染しというような文言は入れないで済むようにどのような措置をとられるか、また管理員の増員と予算の大幅な増額についてぜひ大臣から伺いたいと思います。
  233. 内田常雄

    内田国務大臣 唐沢さんからたいへんありがたい御激励をいただいたと私は思いますが、今回わざわざ自然公園法改正案を出しましたのは、私の考えでは、従来の自然公園法についての私ども考え方というものは、自然の風光を保存して国民にレクリエーションやまた人間修養の場所を与えるというような考え方がおもだったように思います。ところが一方公害立法を見ますと、自然公園の存在するようなところは、これまでは指定水域にもなっていないし、指定地域にもなっていないというようなことでございまして、私はその考え方はたいへん間違いだ。よごれておるところあるいはよごれている水域を指定地域や指定水域にすることも必要だけれども、理想とするところは、よごれていないところをきれいに保たせる、そのままきれいに保存するということが、これこそが広い意味における公害対策あるいは環境汚染防止の眼目だということで、国立公園についてのものの考え方、指導方針というものを、公害的な要素を入れて自然環境の保全ということからもこれを見るべきだ、したがって場合によっては、国民の聖域だから、どこの省の所管であるにかかわらず、そういうことを超越して厚生大臣が自然公園の区域については特別の基準でも何でもつくれるようにしたいというような意気込みをもって、この関係の方面を督励をしてまいりました。幸いに今回水質保全改正大気汚染防止法の改正が行なわれることになりまして、これらの狭い指定地主義がなくなりましたので、それらの環境保全のための排出基準というものは、当然自然公園の区域、自然公園の水域にも全部かかることに相なりました。しかし、それだからといって安心できませんので、従来の、木を切ったり大きい建物を建てたりすることを規制するばかりでなしに、今回ここに述べましたことを、厚生大臣なり知事なりが国立公園保全のためにやれるようにいたしたことを、ひとつまず御理解いただきたい。  それから、国立公園管理等のための人員、国の人員、また予算はまことに少な過ぎると私は感じております。わずかに十億か十五億か、その辺の程度でございます。人間については、国家公務員である者はいまのお話のとおりでございます。もっともこれに対しては地方も相当のお金を出していますし、また人員も協力をしていただいておりますし、また民間のボランティアと申しますか、自然公園監視員というようなものを民間でもこしらえて、このほうは数百名おられるはずでございますが、それのみでは十分ではございませんので、明年度は予算につきましてもさらに私どもは要望を出しておりますので、御期待、御激励に沿うように今後も努力をいたしてまいりたいと考えます。
  234. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 大臣お話はよくわかって非常に期待申し上げているわけですが、部長は、国立公園関係の予算ですが、大体どの程度の要求をしておられるか、前年比の増加率をちょっと教えてください。
  235. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 ただいま先生に御指摘いただきましたとおり、私どもも国立公園関係の予算が十分でないので、日ごろからこの飛躍的な増大をいろいろと努力をいたしてきているのでございますが、十分でないことはまことに申しわけないと思っております。明年度におきましては、特に自然の保護の強化という点に重点を注ぎまして、そういう関係の自然保護のための植生の調査でございますとか、あるいは湖沼の水質の調査、あるいは自然の保存のための土地の購入費の補助金、あるいは清掃関係の補助金、それからいま先生御指摘の管理員の増員、そういうような経費に重点を注ぎまして、本年度の予算としまして約三割五分増しくらいのことでただいま要求いたしております。
  236. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 時間がありませんのでこまかいことは伺いませんが、三割五分では十分足りるかどうか、私は非常に疑問に思います。ただいまの大臣の御発言を期待をいたすということで、この問題はこれで終わります。  今度の改正案で問題となりますのは、特別地域及び特別保護地区における河川への排水についての規制がないということです。湖沼とか、海中公園における汚水等の排水については、十七条、十八条において規定を設けることになっておりますが、河川が入っておらない。どうして河川に対して同じような取り扱いをされなかったのか。水質の汚濁は公害対策基本法において典型六公害一つにあげられている重要な問題でございますし、特に内陸地帯の自然公園は河川の一番上流に位するものであって、影響するところはきわめて大きいわけでございます。河川と湖沼、湿原等に分けて排水がどのくらいあるか伺いたいと思うのですが、これは非常にむずかしいと思いますので、これは省略いたしますが、河川でも湖沼の周辺一キロメートルの区域内においては十七条が適用されると思いますが、これではもうとても問題になりません。そして湖沼、湿原、海中公園等、これだけ取り上げて規制をして、幾らこれに対して規制をいたしましても、それをつなぐパイプ役であって、しかも実質的に距離は一番長いと思われる河川を野放しにしていたのでは、大臣の意図せられた効果はあがらないのではないかと思うわけです。特別地域等における河川についても同じように排水設備を設けていただきたいと思うわけでありますが、その点について伺いたい。どうしてこれを除外せられたか、それについて伺いたいと思います。
  237. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 河川でございますが、私どもも、自然公園におきますところの自然環境の保全につきましていろいろと議論をいたしまして検討を重ねてまいったのでございますが、今回河川が入っておりませんのは、排水につきまして、厚生大臣または都道府県知事の許可を得なければそこへ排水できないという、こういう法律のしかけにいたすわけでございまして、一方から申しますと、その周辺に生活しておられる方々あるいはそこでいろいろ事業をやっておられる方々につきましては、この排水の許可制と申しますことは相当な規制になるわけでございます。そこで私ども、河川並びに湖沼の、極端な場合は自然公園の全区域につきましてやるべきでないかという議論もいろいろとやったのでございますが、いまさしあたって一番問題は、湖沼が一番汚染された場合の回復がむずかしい、復元ができない。河川の場合におきましては、河川の自然の浄化作用というものに期待することができる。ところが湖沼あるいは湿原の場合におきましては、これはもういまさっそく予防措置をとらないとたいへんなことになってしまうというので、私どもはいろいろ検討を重ねておりますが、とりあえずこの国会におきましては、最も重要な湖沼、湿原並びにその周辺一キロメートルの水域あるいは水路というものに対する排水を規制する。そうしてそれを、先ほど大臣お答えしましたとおり、厚生大臣または都道府県知事の許可がなければ許さない、こういうしかけにいたした次第でございます。
  238. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 湖沼及び湿原等が一番汚染しておるから、まつ先にこうやりたいということはよくわかりますが、河川も自然公園内全部やるわけではないので、指定すればよいわけですから、特別に指定すべきものはやはり私は指定していただきたいと思うわけでございます。特に問題となっておる河川はいまのところありませんか。
  239. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 現在、河川で自然公園の区域内におきまして私どもやや心配になりますのは、吉野熊野国立公園におきまする、いわゆる瀞八丁の景でございまして、ここは水の美しさが非常に特徴でございますので、そこにおきましては慎重な取り扱いが必要だと思っておりますが、いまのところ、自然公園の中におきましての、特に特別地域におきましては、幸いにいたしまして問題になっておるところはないと私どもとしては考えております。
  240. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 では、時間がありませんから、次へ行きます。  特別地域とか特別保護地区における許可を要する規制は、特別地域とか特別保護地区に指定されるかもしくはその区域が拡張された際に未着手であった行為のみに適用されまして、既着手の行為は除外されております。これでは現在以上に汚染されるのを防ぐだけであって、より美しくすることはむずかしいのではないか。自然公園内の水というものは、山紫水明ということばのあるように、最も清澄でなければならないわけでございます。改善命令を出すことはできるわけでございますから、今後著しく汚染されることのないように行政指導を強化していただきたいと思うわけでございます。この点で一番問題となるのは、従来からある旅館や民家からの排水でございます。私はいやしくも自然公園内に生活する者は自然公園の美化に協力する義務と責任があると思いますが、しかしいまさら急に地域住民に過重負担をかけるのも問題だと思いますので、今国会を機に何らかの措置をとっていただけないものでしょうか。
  241. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 ただいま御指摘になりましたとおり、自然公園法のたてまえといたしましては、公園が指定になりました場合に、その指定以前にすでに着手した行為につきましてはこれを認めざるを得ないという法律の立て方になっておるのでございますから、今回の場合も政府の部内におきましていろいろ議論いたしました結果、今回の場合におきましてもこの方式はとらざるを得なかったわけでございますけれども、しかしながら、ただいま御教示いただきましたとおり、改善命令を出すということが政令で認められておりますので、そういう点を十分考慮するとか、あるいは融資のあっせんをするというような措置によりまして、今回の改正が成立しました暁におきましては大いに努力を重ねたい、こう考えております。
  242. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 たとえば下水道法三十四条を根拠とする政令で、都市化している地域に対して下水道を敷設する場合に補助金を出しておるようですが、そういうようなことを考えていただけないかとか、また特に国立公園内にいろいろ浄化槽などを設ける場合にも補助するということは考えていただけませんでしょうか。
  243. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 ただいま御指摘になりましたとおり、自然公園の区域内におきましての浄化のための施設につきまして、これを公園の事業といたして補助の対象にするということは、これは十分研究さしていただきまして、私どもとしまして大蔵当局その他とさっそく検討させていただきたいと思います。
  244. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 次に罰則でございますが、自然公園で職員の指示に従わないでみだりにいろいろなものを捨てたりなんかした場合には一万円以下の罰金でございますが、今度の廃棄物処理法では投棄禁止は五万円ということになっております。これは当然五万円が適用されると考えていいと思います。いろいろ条文の前後の関係で、これは変えるということはむずかしいと思いますが、廃棄物処理法の罰則が適用されるということだけを確認しておきたいと思います。
  245. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 そのとおりでございまして、適用になるわけでございます。
  246. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 では、最後に大臣に伺いたいと思います。  今回の自然公園法改正に関連して、ここに観光政策審議会の答申がございます。「国民生活における観光の本質とその将来像」というのがございますが、それとの関係について伺いたいと思いますので、ちょっと聞いていただきたいと思います。  わが国では古来、汗を流して働くことを美徳として余暇を軽視してまいりました。しかし、科学と経済の長足の進歩によって、それに伴うストレス解消のためにレジャーとか気分転換は、日常生活において労働力再生産のため必要欠くべからざるものとなりました。むしろそれなくしてはあすの産業活動に支障を来たすという現状になりました。特に高密度激動社会である都市に住む者は環境を変えることによりまして、たとえばいい空気を吸うとか景観を楽しむとか、その他さまざまのよい刺激を得ることによって精神が安定する。幸福の条件は生きがいのある生活、精神的な豊かさを求めるようになってまいりました。さらに所得の増大と労働時間の短縮により観光に充てられる時間も大幅に増加している。このような現状認識と観光についての考え方に立ちますと、国民のこのような観光欲求を充足するために厚生省も、いままでのように自然公園の自然保護とか管理、維持ばかりではなくて、積極的にりっぱな観光地を造成するお考えはないでしょうか。すなわち自然公園における保存と開発との調和を、いままでのように受け身ではなくて積極的に考えるべきではないか。私はもちろん無秩序に自然を破壊するのには絶対に反対の立場に立つものでありますが、反面自然保護の美名に隠れて、どこもかしこも千古おのをしらぬ原始林に放置するのも無策だと思います。自然保護が大事である地域に対しては、自然の回復能力以上の人間の立ち入りを制限することだってあり得ますし、反面場所によっては自然美に人工美を加えて、りっぱな施設を設けて国民に最高のいこいの場を提供する必要があると思うわけでございます。現在までの開発状況を見ますと、自然公園では、開発してもよさそうなところがまだ手をつけてない、そうでないところは心ない人間によってなしくずし的に無計画に開発をされている状況でございます。これでは本来なら一級の観光地になるところが二流三流の観光地になっている、素材としては世界で最も美しいわが国の自然が生かされていない、まことに残念なことだと思います。  そこで自然公園以外につきましてはこれは別にいたしまして、国立公園について伺いたいわけでありますが、幸い自然公園は国有地や公有地が多くて、たとえば国立公園では国有地と公有地が八割を占めておる、しかも法の規制があるからあまり荒されていないわけです。そこで大臣、ぜひ国立公園くらいは公園別に長期的な計画を早急に立てていただきたい。だから保護計画と利用計画を含めた公園別の計画を早急に立案していただきたいと思うわけです。これが十二条の規定の精神にも沿うことだと思います。いままでなぜこういう規定があるのに公園別の公園計画を立てなかったのか、ぜひ早急に立てていただきたいので、そのお約束をいただきたいと思うわけであります。
  247. 内田常雄

    内田国務大臣 私は唐沢委員の御意見まことにごもっともであると思います。今日また今後、国民の所得水準も上がり、また勤労条件なども非常に進みまして、一週五日制というようなことも行なわれるような時勢になってまいってきておりますし、またレジャーとかレクリエーションとかいうものは次の労働強化のための体力の温存というようなことではなしに、もうレジャーとかレクリエーションそのものが人間生活の一部になってきているような、そういう事態にきているという認識を私は持つものでありますが、それと国立公園行政というものの運営は私は今後一そう結びつけて考える必要があると思うのであります。一般の人々がレジャーとかレクリエーションを求めて休みの日に外に出ましても、むなしく疲れて帰ってくるというような場合が多いことはお互いに感じているところでございますので、それらに対応して、私どもは自然を温存すると同時に、これらのレジャー、レクリエーションに対する健全なる施設を整備する、いわば第二種区域というような考え方をも取り入れまして、その方面の施策、計画というものを具体的に立てるのがよろしい、これはもうぜひひとつそういうことで御協力をいただきたいと存じ、お答えといたします。
  248. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 部長に伺いますが、いままで個別の公園計画がなかったというのはどういうことなんでしょうか。
  249. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 御指摘自然公園法十二条におきますところの公園計画及び公園事業につきましては、たとえば集団施設地区でございますとか、あるいはその他の保護、利用につきまして、ある程度の計画は当然ございまして実施しておるわけでございますが、ただいま御指摘を受けましたような将来のこういう増大いたしますところの利用に対しまして、おっしゃいますような大規模な総点検と申しますか、あるいは総合計画ということにつきましては、不十分な点があったかと思っております。たとえばアメリカの国立公園の行政を見ましても、最近におきましてはそういうようなアメリカの国立公園の中を幾つかのグループに分けまして、そしておのおの保存を徹底すべきところ、あるいは野外レクリエーションに大いに開放すべきところといったような分類をいたしまして、積極的にその保護あるいは利用のほうを進めていくとこが着々と進んでおるようでございます。私どももそういう外国等の状況も見、かつわが国の現状に顧みまして、ただいまそういうような総点検、計画のやり直しということをやっているところでございまして、なるべくすみやかに計画を樹立したいと考えております。
  250. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 いま総点検をしていただいているそうで、非常にありがたいと思いますが、確かに部長のおっしゃるように、その場合、類別化指定とかレイアウトをぜひ考えていただきたい。そうすれば、お話のようにそのまま自然保護に徹底した公園も出てくるでありましょうし、また、いまより若干開発される公園も出てくる。また、場所によっては同じ公園が幾つかの地区に分かれて、自然のままのところとか、あるいは自然の遊歩道くらいできるところもある。また、静かな別荘地や会議場にいいところもあるでしょうし、一般的観光に開放するところも出てくると思うわけでありますので、ぜひいまの線に沿って早急に公園別の計画を立てていただきたいと思うわけでございますが、そのような総点検をされる場合に現在の部で十分かどうか。大臣は積極的に汚染による公害を除去するだけではなくて、よい環境をつくろうというお考えでありますので、観光行政が非常に重要になっているということをお考えになって、昔局であった部をさらに局に昇格させて、じっくり取り組むお考えはないかどうか、その点を最後に伺いたいと思います。
  251. 内田常雄

    内田国務大臣 これは局でありましても部でありましても、行政の内容を充実させるのが私どもの眼目でありまして、一方におきまして行政機構の問題などもございますので、当面私はこの部を局に戻すというような計画は立てておりません。
  252. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 時間が来ましたので、局でも部でも一生懸命やっていただけるということでありますので、今後とも自然公園を最高に美しい、そして最も品位のある観光地として造成していかれることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  253. 粟山ひで

    ○粟山委員長代理 渡部通子君。
  254. 渡部通子

    渡部(通)委員 大臣、あしたは御都合がお悪いとかで、たいへん長期間になりますが、大臣に対する質問だけを数点お伺いしたいと思います。  第一点は、今回の改正による目的の問題なんでございますが、第一条でうたってありますとおり、この自然公園法目的は、一つには国土の自然の保護でございますね。第二点として国民が広く利用する、この二点がうたわれております。しかしながら、今回の公害関係法としてのいろいろな立法を見てみますと、交通規制あるいは騒音防止あるいは農薬等の使用規制によって野鳥の保護とか、そういったさまざまな関係法案が成立してまいりますと、どうもこの二つの目的が矛盾してきはしないか、これを感ずるわけでございます。ですから、どうしても国立公園を自然のままで保護したいというその保護と、それから先ほど大臣もおっしゃいましたが、そこをレジャー等に使用したいという国民の念願、こういったものの目的が、今回の改正によって移行されはしないだろうか、そのたてまえが今後どのような方向に進んでいくものか、大臣のこの法律に対する基本的な姿勢を伺いたいと思います。
  255. 内田常雄

    内田国務大臣 今回の法改正にあたりまして、自然公園法第一条の目的改正には触れていないはずでございます。しかし、自然公園というものについての政府当局である私ども考え方、また国民の方々考え方というものを少し変えていってもいいではないかとかねて思っておりました。それは、従来の目的に加えまして、自然公園というのはわかりやすいことばで言うと人間の聖域である、こういうふうに考えまして、ことにこれまでの公害対策が、局地汚染主義と私は言っておるのでありますが、水域などにつきましても、国立公園の中にありますところの河川、湖沼等は指定水域に指定することなく、よごれるにまかせてもいいようなたてまえをとっておった、大気汚染につきましても、国立公園の地域につきましては指定地域からおおむねはずされておった。そこで、そういうことはおかしいのだ、公害対策というものはよごれておるところだけをきれいにするばかりではなしに、人間の聖域としてきれいであるべき自然公園のようなところには、経済企画庁やその他の役所が環境保全をやってくれないならば、厚生大臣みずからそこに特別の規制をかけていこうというようなことを言い出しまして、私は閣議へまでそういう話を持ち出しました。そして、この聖域を守る考えを述べてまいりましたが、幸い水質保全法も大気汚染防止法も局地主義をやめまして、国立公園を含む全水域、これは河川も湖沼もまた大空もこれらの規制の対象となることになりましたので、私はそれで非常に満足をいたしておるわけであります。  しかしながら、今回提案をいたしましたような最小限の規制はやはりしておいたほうがいいと考えますと同時に、利用者の方々、また地方公共団体等につきましても、同じような考えを持っていただくという意味において、補完的な改正をいたしたわけでございます。そしてまた、国立公園の内容をどう充実させるかということにつきましては、いわば第一種地域と第二地域があるように私は考えます。これはいままでの特別保護地域ということとは別に、第一種の地域というのは自然環境の保護ということを目的にして整備をするところ、第二種の地域につきましては、その中の利用計画、また利用施設というものも国や公共団体がお金をかけてつくりまして、国民のレジャーやレクリエーションの対象としてもほんとうに満足されるようなレクリエーションの環境をつくりたい、こういうことを私はねらいとして、また目的として考えるものでございます。
  256. 渡部通子

    渡部(通)委員 そのたてまえはわかったのですが、現実の問題として、尾瀬沼なら尾瀬沼をきれいに保護しようという一つの行き方と、それから日曜日レジャーで尾瀬沼へ行こうといって押しかけてきた大衆に、もうこれ以上自動車が入っては困る、あるいはマイカー族もこれ以上入れたくないといった場合に、一体来た人間を帰していいのか。もう自然保護のほうへ重点を置かれるのか、それとも多少汚染は目をつぶった上でも自動車の乗り入れや遊び、レジャーのほう、国民の利用というほうに重点を置かれるのか。いま大臣の御答弁ですと、それを第一種と第二種に地域を分けて規制をするというふうに受け取れましたけれども、その基本姿勢はそういうことでございますか。
  257. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 先ほど唐沢先生の御質問にもございましたけれども、私どもは、ただいま自然公園の中を完全な原始状態に保つところと、それからレジャーのために使用するところと、そういうふうに分けていきたいと思っております。  それで、ただいまお話しのような地区、場合によりましては非常に原始性を保つためにはある程度利用を制限せざるを得ないというところも出てくるかと思います。これは御承知かと思いますが、目黒に文部省でやっておりますところの自然植物園というところがございまして、あそこは常時三百人しか入れないということで、入場を制限いたしておるようなこともございます。自然公園の場合は、ああいうような都市公園と違いまして、そういう現実的な規制はできませんが、たとえば尾瀬沼のごとき、ああいう狭い橋を渡らないと通れないというやり方は、一面においては自然保護のために利用をある程度制限するという効果も実は持っておるわけであります。いろんな手法を考えましてやりたいと思っております。
  258. 渡部通子

    渡部(通)委員 いろいろ制限するとなると、今度は情報の提供等でいろいろなめんどうな問題が起きてくると思うのですが、きょうは大臣の要点質問だけにしぼらせていただきます。  先ほども話が出ましたけれども、管理体制というものの非常な不備というものが私も一番問題だと思います。先ほど管理員が五十五人ということでございました。面積にすると日本国土の総面積の約一割強、一三・二%が国立公園だけでも計算をされておりますが、その管理体制の不備ということに対して、特に人員増強あるいは予算措置にに対して大臣の御自信のほどはいかがかという点を伺わせてください。
  259. 内田常雄

    内田国務大臣 自然公園についての価値判断というものは、いろいろな意味から公害などとも関連しながら高まってきていると私は思います。いままでは、ここに大蔵省の方がおられるかどうか知りませんが、自然公園というようなものはあと回しというようなことで、あまり予算もつけられなかった。せいぜい十億か十五億程度だったと思いますが、最近では自然歩道というようなものさえも、世論の力に押されて長期計画の予算をつけていただけるような時代になってまいりましたので、私はこの自然公園の管理また活用のための予算もぜひふやすようにできるだけの努力をいたしてまいりたいと思います。現にまたそういうたてまえから、四十六年度の予算要求もいたしております。  それから管理体制の人員でございますが、これは東京にあります皇居前のあれは国民公園といいますが、あるいはまた新宿御苑なども国民公園で、これは直接厚生省の役人が管理をいたしておりますが、自然公園の中、国立公園、国定公園でも、都道府県知事にその管理をお願いをする分野がたくさんあることは言うまでもございません。でございますので、五十五人というのは、国家公務員である国立公園の監視員と申しますか管理員でございまして、そのほかに都道府県の当該関係方面の職員の方々の協力はたくさん得ておるわけでございますし、また、国立公園指導員という名前のもとに国家公務員でも地方公務員でもない民間のその方面のボランティア、愛好者を編成いたしまして、その数約八百人くらいと存じますが、それらの方々に国立公園の管理、活用につきまして御協力をいただいておるわけでございます。これらについても、決してそれで十分だとは考えられませんので、国立公園の価値判断が上がるのに応じて、私は、管理体制、人員などにつきましても、さらに整備の方向へ進めるべきだということで努力をいたします。
  260. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 予算の点につきまして、先ほど唐沢先生の御質問のときに、間違った答弁をいたしたのでございますが、明年度三割増と申しましたのは、八割の増で要求いたしたのでございます。まことに申しわけございません。訂正させていただきます。
  261. 渡部通子

    渡部(通)委員 次でございますが、湖沼等への汚水の排出規制でございますが、これが「厚生大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートル」、こういう指定が行なわれたようでございます。ですけれども私は、これはやはり特別地域全域に及ぶべきであって、一キロメートルというワクをはめたのはなぜなのか、あるいは一キロメートルをこえて特別地域がずっと広がっている場合もたくさんありますが、そういう場合には特別地域全体を規制の対象とすべきである、こう思いますが、いかがでございますか。
  262. 内田常雄

    内田国務大臣 御承知のとおり特別地域につきましては、いろいろの施設を設けます際はすべて許可にかかっているわけで、ほうとうはそのままでいいのかもしれません。しかし、せっかく私が言い出しまして、国立公園は聖域であるから、そこにある川でも湖水でも、厚生大臣あるいは厚生大臣の系統を引く知事にさらに規制の措置をかけさせたいということがございまして、いわば厚生大臣の言いぐさに義理を立てたようなかっこうで、これは水でございますから経済企画庁が、水質保全法並びに今度改正されました排水規制法によって、そんなことはみんなおれのほうがやるのだ、もともとそんなことを言っても——昔はやっていないといっても、それは昔の話で、昔は指定水域に入ってなかったが、今度はみんな指定水域に入りますから、向こうがやってくれる。また経済企画庁が、水質保全法の系統を引く地元の知事がやるわけでございます。しかし国立公園は聖域なんだから、おれのほう並びにおれのほうの系統を引く知事にやらせるということで、単に水質保全の規制をかけるということでは経済企画庁と重複になりますので、その排水施設を設けて、そしてその水を流す場合は施設の許可ということで、私どものほうが特別監視をする、こういうことに実は相なりました。  一キロの制限につきましては、大体大規模なものは、それはもういまの法律でも施設のほうは取り締まります。工場をつくったりあるいは大規模の営造物をつくることは全部——これは公害ということではなしに、風光的見地からだろうと思いますが、許可制になっておりまして、それで運営はつくわけでありますし、水そのものは水質保全法でいきますが、湖沼周辺の、たとえば旅館とか料理屋とかあるいはキャンプ場とかというようなもので、必ずしも従来の特別地域における規模の大きい工場とか施設とかいうものにひっかからないもので水をよごす施設が、最近はごらんになっていただくとたくさん出てきております。旅館類似のモーテルなどというものも私は気に入らぬのでありますが、そういうものから出されるような水に着目いたしまして、水を流すためには必ず、といや施設がつくられるのでありましょうから、その施設で経済企画庁の力が及ばないところはこっちがやる、こういうことでやっておるわけで、まずこれでいける、こういう考えでございます。
  263. 渡部通子

    渡部(通)委員 大臣の意向はわかったのですが、どうせそこまでお考えいただいたのでしたら、やはり特別地域内全体において規制はする、こうしていただいたほうが、やはり国立公園を守り国定公園を守るという上からいっても、たてまえ上もそのほうが筋が通ると思うのです。なぜ一キロに限定しなければならないかということは、根拠は非常に薄弱であろうと思いますし、川というものは長いものでございますので、上流どの辺からそういった汚物が流れてこないとも限りませんし、ぜひともこの条文においては、一キロという排出規制ははずして、公園全体に及ぼしていただきたい。これはあしたもまたこまかくお願いをするつもりでございますけれども、これはぜひこう変えていただきたいと思うわけでございます。  もう一点質問申し上げますが、特別地域における排水の許可基準の問題でございます。  特別地域における排水については、やはり「国立公園にあっては厚生大臣の、国定公園にあたっては都道府県知事」という十七条三項の規定でございます。この排水の許可基準というものが一体内容的に水質の許可になるのか、あるいは排水施設の許可を含むのか、そういった内容をまずちょっと簡単でけっこうでございますが……。
  264. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 許可の基準でございますが、特別地域の中でも特に規制の厳格でございます特別保護地区におきましては、原則として排水は許可しない、こういう方針でございます。したがいまして、これは許可でございますから本来排水は許可すべきじゃない、認めるべきじゃない、自然の流水以外は認めないということを原則といたしまして、ただしどういうぐあいに認めるかという基準でございますけれども、この場合にはやはり一つ一つの湖沼あるいは湿原ごとにつくっていくわけでございますけれども、それぞれに環境基準、それから排水の基準と分けまして一つ一つについてつくっていく、こういう方針でございます。
  265. 渡部通子

    渡部(通)委員 そうすると公園別にケース・バイ・ケースで環境基準、排水基準を設けるというお説でございますね。
  266. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 公園別と申しますか、一つ一つの湖沼あるいは湿原でございます。たとえば尾瀬沼なら尾瀬沼はどの程度なら認めるかという一つ一つをつくっていくわけでございます。
  267. 渡部通子

    渡部(通)委員 それで、対象となる湖沼、そういったものはどのくらいございますでしょうか。
  268. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 現在国立公園の中にございますところの主要なる湖沼が百二十八、それから国定公園におきましては五十五の湖沼がございます。それから、おもなる保護すべき国立公園の中の湿原と申しますのが十数個ございまして、国定公園におきまして六個の湿原、これは保護すべき非常に貴重な価値のあるものがございます。そういうようなものにつきまして、一つ一つについて基準をきめていくと考えております。
  269. 渡部通子

    渡部(通)委員 それを一つ一つ調査をして環境基準、排出の許可基準をつくるということは、全体調査は終わっておりますでしょうか。
  270. 中村一成

    ○中村(一)政府委員 まだ完全にでき上がっているわけではございませんが、現在のところにおきましては、先ほど大臣もお答えになりましたように、指定すべき湖沼、湿原等はまだ実は汚染がそこまで至っていない。むしろ予防的な意味におきまして、一歩前進して今度の改正をやっておりますので、いわゆる一般の公害のようによごれてしまったものを復元するというよりか、現状を、その湖の持っているその状態を、そのまま維持するということをやれば十分であるという場合が大部分でございます。
  271. 渡部通子

    渡部(通)委員 大臣にちょっとその点の御所見を伺いたいと思いますが、いま復元的な考えはないという部長さんのお話でございますが、予防的なということだけではなくして、やはり現在実態調査をするとかなり汚染されているところもあると思います。そういったものを、この許可基準というものは全然回復基準としての実態調査による設定はなさらないのか。全くこれからの問題であって、現在汚染されているものをどれほど回復させるかという意味の許可基準の設定なり、あるいはそういう法の運用のしかたはなさるおつもりはないのか、その辺の姿勢をお伺いいたします。
  272. 内田常雄

    内田国務大臣 一つ一つの許可基準がまだ部長から私には相談はございませんが、まず第一には、部長のお答えしたとおり、よごれていないものをよごさないように、まず排水は許さない。特別保護区域は排水は許さない。その次の特別地域というものについては環境基準のようなものをつくりまして、それもやはりこれ以上よごれないことを目的とした基準をつくりますが、よごれてしまったものもあるわけであります。それにつきましては、私はそれが水の自然の自浄作用によってきれいになるまでの間はより強い環境基準をかけるべきだと考えますので、状況に応じてこれはケース・バイ・ケースにきめていかなければならない、そのよごれ方によってきめていかなければならないと思いますので、よごれたものはやむを得ないとして、国立公園内の湖沼について目をつぶるということはいたさないつもりでございます。
  273. 渡部通子

    渡部(通)委員 わかりました。  そうしますと、現在霞ケ浦だとか猪苗代湖だとか、そういうたいへん汚染のひどいようなところ、そこには特別の許可基準を設けて回復をしたいという大臣の御答弁と伺いましたが、それでよろしゅうございますか。
  274. 内田常雄

    内田国務大臣 よろしゅうございます。経済企画庁のほうから別に排出基準というものがかかるのでありましょうが、それを横目で見ながら、私のほうは私のほうで、この法律において目的を達するようなことをやるのがこの法律目的でございます。
  275. 渡部通子

    渡部(通)委員 もうちょっとお願いをいたします。  今回の法律が施行されますと、たいへん小さな旅館やホテル、そういった方たちが非常に苦しむようなことになりはしないか。そうした人たちが水の浄化装置等をつくるにあたっての助成については、お願いができますでしょうか。
  276. 内田常雄

    内田国務大臣 旅館や何かですと環境衛生金融公庫がございます。幸いにそれが厚生省の管轄下にございますので、一つの衛生基準の改善の方途として資金を出すようにつとめてまいりたいと思いますし、またそれの対象になり得ないようなものにつきましては、これは国民金融公庫なり中小企業金融公庫なりという方面から、一般の公害に対する資金のあっせんなどと同じような意味において心配をいたすようにいたしたいと思います。
  277. 渡部通子

    渡部(通)委員 最後に国立公園内における民有地でございますが、これは買い上げていただければ、自然保護にとっては一番大事な、前進的なことになると思うのでございますが、現在四百二十万三千六百ヘクタールと聞いたのですけれども、その民有地を買い上げの方向大臣はお考えでございましょうか、あるいは財源的な裏づけはありますのでしょうか、最後にこれを伺わしてください。
  278. 内田常雄

    内田国務大臣 何しろ国立公園、国定公園を入れますと、その数は百近い数字になるように思いますので、たいへんでございますが、毎年若干の予算を計上いたしましてぜひやりたいというところから、実は買い上げを行なっております。でございますので、今後もそういう考え方を続けて、国有地にしておくほうがいいところは国有地にし、また県に御協力を求めまして、ある県などは非常に御熱心で、ほんとうに県有地として買い上げられて、そして非常な汚染防止といいますか、風致阻害の原因を遮断しておるところもございますので、そういうことをなお助成するようにいたしてまいりたいと思います。
  279. 渡部通子

    渡部(通)委員 終わります。
  280. 粟山ひで

    ○粟山委員長代理 次回は明九日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会