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内田国務大臣 法理的には非常にむずかしい問題を含みます。この
廃棄物処理法におきましても、事
業者すなわち企業は、みずから出す
廃棄物は自分で始末しなさい、また
廃棄物が出ないように自分の企業内において
再生とか減量とかいうことをしなさい、それでも出た
廃棄物は自分の責任で、自分の銭で始末しなさいというところまではいけるわけです。ところが、事
業者が他の事
業者の
目的のために売り渡した、たとえば牛乳びんの容器でありますとか、あるいは化粧品の容器もそうでございましょう。百貨店の手さげバッグもございます。スーパーマーケットもそうでございますが、そういう容器も、これは事
業者がみずから出した
廃棄物ではなしに、
人間生活に有用なる物質として外へ提供したものでございます。今度はそれが要らなくなったものを捨てるわけでございますが、その捨てる状態が
一般廃棄物として各家庭から出てくるわけでございますので、事
業者のほうは、それはもうそっちの体系でやってくれ、うちのほうの企業内部で起こるものは自分の
処理でやるが、こういうことを言うて逃げるわけでございます。ところが、おまえのほうがつくったものが世の中で一時役に立つけれ
ども廃棄物になった、あとはそれがいろいろな
生活環境の汚染を生じているんだから逃がさぬよ、やはりあなたさんのほうがそれをつくって外へ売り出すときは、あと始末がつくようなそういうくふうをして外へ出しなさいというのを書いたのがこの
三条の二項でございます。ですから、そのものはもうメーカーの手元を離れてしまっている。牛乳びんをもしそうすれば乳
業者から離れていますし、また、いまのヤクルトのぴんというものはヤクルトから離れてしまっておりますから、直接の体系のもとにおいてはこの
処理体系に乗ってまいりませんが、この
三条で、そういう場合においてもそのものの製造、販売等に際しては、外に出すものは、それが
廃棄物になった場合まで
考えてちゃんと始末をするような
方向をとるようにしてほしい、ここではこういう要望といいますか、そういうことを規定をしておるにすぎないわけであります。それ以上いこうと思うと、そのものをつくっちゃいかぬということになりますが、それは今日の社会生活の現状を見ますとできないわけであります。
そこで、私は厚生
大臣でありまして、たまたまうまいことに、いまおっしゃった乳肉衛生課という食品衛生法のほうを管轄しておる部局も、それから
廃棄物を
処理しておるほうの部局も、私が上に乗っかっておるものですから、そういう食品に関連するびんなどをガラスびん以外を使う場合には、幸いそれは厚生
大臣の認可を受けなければならぬことになっております。しかし、その認可たるや、衛生的見地において十分満足でき得る要素が備わっておれば、これは食品衛生法という衛生法ですから認可するのが私はその見地からだけは適当であると思います。
たとえば
プラスチックにおきましても、いろいろな可塑剤が中に入っておる。その可塑剤がしみ出してきて中身と一緒にまじるというような状態が起これば、それは衛生的にいけないからだめでありますが、そういうことにならなければ、衛生的には
プラスチック容器とかいうものが食品衛生法のほんとうの
精神からは押えられないわけでありますが、とにもかくにも認可制になっております。そこで認可申請が来た場合には、今度はこの
三条を読んで聞かせまして、こういう「努めなければならない。」という条文になっておるから、それはあなた、メーカーはそういうことをおやりになりますか、どういう方法でこの条文を生かしてくれますか、それを
厚生省が納得できない限り許可は保留せざるを得ない、こういうことで私がいばっておる、こういうわけであります。
ところが、農林省等は、従来は、それは
厚生省でいばってもらっても、やはり乳製品行政上は、人手も足りないし、いろいろな見地からそういうものを使わせることは悪いことじゃない、こういうだけのことで
プラスチック容器などについて前向きの態度をとっておったようであります。
経済企画庁のようなところでさえも、物価の大勢からいうと、ガラスびんを使うよりも、一ぺん使って捨てる容器のほうが安くつくということで
経済企画庁も前向きの姿勢をとる。また通産省、そこにいらっしゃいますが、これは事業が盛んになることだから、あながち押えるというわけでもないわけですから、
厚生省だけいばるなということになったわけでございます。それではひとつみんな集まって、それで天下国家のために同じ歩調でやるように
会議をしてくれということでずっと
会議をやってきました結果、農林省も最近は
方向転換して、よしわかった、こういうことのようでございますし、
経済企画庁も、物価だけの面、あるいは労働省も、労働力だけの面、通産省もメーカーの事業だけが盛んになればいいという態度ではなくなったようでございまして、
厚生省の行き方はもっともだ、こういうことになってきておるはずでございますので、私はそういうことで
三条二項と食品衛生法とを結びつけてやろう、こういうことを言っておるわけであります。しかし、そんなことをいっても法体系が違うよということでむずかしい面もございます。がしかし、これはどんなメーカーでもこのくらいのことが守れないようなことでは、社会的批判というものを受けますから、もう
法律の問題ではなしに、これだけの規定を入れておけば、世間から愛される企業たらんとするならば、厚生
大臣の言うことを聞くだろう、こう思うわけでございます。