○後藤
委員 実はいままで
社会労働委員会でも数回にわたって話も出ておったのでありますが、あまりきれいなものの話ではございませんので、特に一番最後にしてもらうようなところまで気を使いながら質問をさせていただくわけです。
今度の
法律で、修正されるかされぬかわかりませんが、
廃棄物処理法という新しい
法律もでき上がるわけです。それまでは
清掃法だということでいろいろな問題の
処理の基本になってきたと
考えております。そこで、先ほどちょっと申し上げましたように、国鉄
関係のこのふん尿のたれ流しの問題なんです。これは
社会労働委員会におきましても小林議員が二回くらいおやりになったと思うのです。さらに去年も話があって、一昨年も話が出ております。ところが、何回この話をいたしましても解決しないわけなんです。ですから、あまりきれいな話でございませんけれ
ども、解決するまではこの問題を取り上げざるを得ないというふうに
考えておるわけでございます。それで今度の新法によりましても、第十五条六項でございますが、書いてあるわけです。六項に「便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を
環境衛生上支障が生じないように
処理することに努めなければならない。」これはなかなか現状を
考えながら書いてある文章だと思うわけでございますが、さらにいままでの
清掃法によりましても、第五条の四項でございますか、同じことが書いてあるわけなんです。しかも国鉄ができましてやがて百年になろうとしておるといわれておる今日でございますし、さらに、先ほど言いましたように、
国会におきましても数回となくこの問題が取り上げられておるにもかかわらず、何ら進展しておらぬ——とは言いませんけれ
ども、その進展は微々たるものである。現在調べてみますると、便所のついておる車が一万七千車両ある。これが全国の各地を走りながらたれ流しをやっておるわけなんです、約二万キロにわたって。しかも、もう
一つ大きい肝心な問題は、一昨年でございますか、大阪におきましてこのふん尿たれ流しの実験をやりました。鉄道沿線から約五十メートルのところまで飛散するわけなんです。これは実際にやったわけでございます。そうしますと、国鉄の四十七万の職員の中で六万四千人というのが、これはあえて皆さんのと言うていいと思いますけれ
ども、皆さんのふん尿たれ流しのその粉末の中で六万四千人の国鉄職員が働いておるわけなんです。これは毎日のことでございます。たとえば、例を申し上げますと、夏暑いときには上着をとって縮み一枚で線路で仕事をしておる。三日もしますると白い縮みのシャツが黄色くなってしまう。これも中から出る汗で黄色くなるわけではなしに、外から出るところの黄害によってシャツが黄色くなってしまう。これは
現実に調べていただければわかる問題であろうと思います。さらに、たとえばいま
厚生大臣にいたしましても、汽車にお乗りになって便所へ行かれると思います。そうするとこれは加害者になるわけです。さらに
厚生大臣が踏切等で汽車を待っておられるとこれは被害者になるわけなんです。こういうふうな
考え方をいたしますると、
日本国民一億が被害者であり加害者である。話はオーバーになるかもわかりませんけれ
ども、そう申し上げましても言い過ぎではないと思うわけでございます。
そこで、今回の臨時
国会で、
公害国会といわれるぐらい
公害問題があらゆる角度から、あらゆる
委員会で、あらゆる問題に対しまして
検討されております。その中でも特にいま私が言っておりますところの、具体的にはどこに該当するんだといえば、いま申し上げました、いま問題になっております
廃棄物処理法の第十五条の六項にこれは該当するわけでございますけれ
ども、ただ私は、きょうのこの
委員会で適当な、抽象的な返答をいただいて、そうでございますか、それじゃよろしくということじゃこれは済まぬ問題だと思うわけでございます。ですから労働省なり
厚生省なり、さらにきょうはまことに有名な
運輸政務次官も来ておられますが、ぜひひとつこの辺の問題を、時間は短時間でけっこうでございますけれ
ども、いままでの締めくくりのような
意味におきまして、それとあわせて
公害問題、いわゆる今度の
国会の開催等も
考えまして、ぜひこの問題の解決に全力を尽くす方向へ具体的話を聞かしていただきたい、こういうつもりで申し上げるわけでございます。
いろいろと申し上げたいことはたくさんあるわけでございますけれ
ども、時間の
関係がございますし、時間もたいへんおそうございますから、私が言わんとするところをあまり多く申し上げようとは思いません。ただしかし、いま申し上げましたところのこのたれ流しの問題につきましては、特に
大臣等も駅に行かれまして汽車にお乗りになる。新幹線等はそうじゃございませんけれ
ども、在来線にお乗りになりますと、駅の待合室へ行けばたんつぼもちゃんと準備されております。これはいたずらにたんを吐き捨てると軽犯罪法にひっかかる。ですからそれにひっかかっちゃいかぬというので、たんつぼがちゃんと準備されておるわけなんです。それでお乗りになるお客は、そのたんつぼにたんを吐いて、汽車に乗ろうとしてホームに出る。ホームへ出ますると、線路の中を見れば、いまの話じゃございませんが、ふん尿があちらこちらに飛び散っておる。この
現実を
考えると、一体どういうふうに解釈をしたらいいのだろうか。軽犯罪法の面から
考えましてもこれは非常に問題があると思います。さらに保健所法から
考えましても問題があると思います。さらに
清掃施設整備緊急
措置法から
考えてもこれは大きな問題になろうと思います。さらに、いままでありました
清掃法から
考えても問題になりますし、今度できょうといたしておりますところの
廃棄物処理法から
考えましてもこれは問題になるわけでございます。この問題を一体どう解決したらいいのだろうか。くどいように申し上げますけれ
ども、先ごろから数回
委員会で論議が行なわれておりますけれ
ども、抽象的な論議に終わってしまっております。おそらくこのままいきますとこのままのかっこうでまた済んでしまうのじゃないか、そういう心配もあります。
その心配と、その反面、先ほど言いました、
日本の全国二万キロにわたる国鉄を、夜となく昼となく守っておるところの保線の労働者がおるわけなんです。六万四千人おるわけなんです。その方方々がまるかぶりで、そういう
衛生上まことに悪いところで作業をしておられる。そこで働いておられる保線労働者の立場を
考えましても、これは国鉄に金があるとかないとかいう問題じゃないと思います。少なくとも国鉄というのは国家
機関の一部だと私は
考えております。日鉄法の六十三条を読んでみましても、やはり国鉄というのは国家
機関であり、国鉄総裁というのは
大臣に匹敵するような
権限も与えられておる。そうなりますと、国家
機関の一部である国鉄が、こういう
法律を守るためには率先垂範をしなければいけない。その
機関が長い聞こういうような状態で放置されておる。これは許しがたい
現実であろうと思いますし、とにかく早急に解決する必要があるというふうに私は
考えておるわけでございます。
そこできょうは、国鉄の常
務理事が御出席だと思うわけでございますけれ
ども、いま私が申し上げました問題等も含めまして、去年の十月末でございますか、国鉄の常
務理事会におきまして、ふん尿たれ流しの黄害対策として予算約五十五億を投じて東京、大阪、福岡に基地を設ける、また車両を改造する、これはタンク貯留式にするわけですね。そして昭和四十六年度の初めから東海道、山陽本線の優等列車について使用を開始をする、これを大体新聞記者会見で国鉄としては発表されておると思うのです。これが新聞記者会見で発表されておるということは、
国民の皆さんに、こういうふうにやります、申しわけなかったというので確約されたと言ってもこれは間違いじゃないと思います。
ところが、現在どうなっておるかと申しますると、予定されておるところの三つの基地のうち、着工して年度内に完工予定は大阪の宮原のみでございます。これが大体予算が三千万円から四千万円、東京なり福岡等は着工予定もなく、したがって四十六年度初めから使用開始というのはこれはできない。これからの計画というのはできておらないというふうに私聞いておるわけでございます。これらを全部完了するためには、予算として車両
関係で四百億くらいですか、基地
関係として四百億、八百億くらいの予算がないことには、全車両貯留式でタンクをつけることはむずかしいというようなことも聞いておるわけでございますけれ
ども、去年の新聞一記者会見で発表されました以降、一体今日どういうふうな
考え方になっておるか、常
務理事に
お尋ねいたしたいと思います。