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米原委員 私は、日本共産党を代表して、今回
提出された
公害関係諸法案及び今後の
公害対策に対する
政府の基本的な姿勢と態度について若干質問したいと思います。
公害は、言うまでもなく一つの社会的な犯罪であります。人の生きていく環境を破壊し、生命や健康に害を及ぼしていく。そういう意味では本質的には戦争犯罪と同じ社会的な犯罪であります。そういう中で、わが国の現実は、その
公害が世界の先端を行く実情にあります。その中で、水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく、数多くの死者や病人を出しております。こういう事態で、このいわゆる
公害国会が開かれておる。
政府はこういう事態に対して、特に被害者に対しても、私はもっと謙虚な態度で
答弁していただきたいと思う。
昨日からのこの
委員会の問答を聞いておりましても、私は
政府にそういう真剣な態度が見られないのをはなはだ遺憾とするものであります。ことに、その中で、総理が世界に冠たる
公害諸法などと大言壮語された、これには私は怒りを覚えます。昨日来同僚議員からもこの点について
指摘がありました。特に社会党の中谷鉄也君は、総理がこういう大言壮語を取り消すべきである、そういうふうに要求されました。私も全くその点では同感であります。もっと謙虚な態度で臨んでもらいたい。単に日本の
国民に対して謙虚であるばかりでなく、私はこのことばは国際的にもはなはだよくない
影響を与えると思うのであります。一九六八年の国連総会十二月三日にいわゆる第九十一
提案というものが行なわれた。一九七二年にスウェーデンで
公害問題に対する国際的な会議を開く、この
提案に
提案国になることを日本は求められながら、これを拒絶しております。こういう態度では、真剣に日本の
政府が
公害対策をやっている、やる態度があるとは国際的にも認められていないのであります。その中で、ことばだけ世界に冠たるなどというようなことは、私は根本的に誤った態度だ、こう思うのであります。このことばはぜひ取り消していただきたいのであります。
公害対策の根本は、要するにいろいろな法案や手続はあるでしょうが、しかし、根本は人間の生きていく環境をはっきり守る権利、これを第一に保障することでなくちゃなりません。その点では、
政府もすでに御存じでしょうが、この十月一日からアメリカのミシガン州でいわゆるミシガン法というのがすでに実施されております。その
法律によると、
公害を受けるおそれです、現実の
公害がまだ発生しているとはいえない、おそれがあった場合には、何人といえ
ども裁判所に対して衡平法上の救済を受けることができる。単にこれは損害賠償を求めるというだけの問題じゃありません。その
公害を引き起こすおそれのある企業がその操業を停止することを裁判所に対して求める、こういう権利がすでに保障されております。しかもこういう方向は、アメリカの単に州法じゃなくて連邦法にもなろうとしている動きがあるということを聞いております。こういう中で、いま出されている
公害基本法その他の諸法案が、そういう根本的な点では決して十分じゃないということがいえると思うのです。単に個々のそういう人間の権利を保障するというだけでなくて、私は、同時に
住民の代表であるところの
地方自治体に十分な
公害防止の
権限を与えなくちゃならぬ。この
地方自治体の
権限の問題にしましても、昨日も大正五年の工場法の制定の問題から引用があって質問が行なわれました。実際にも工場の認可とか水の
規制とか大気
汚染の
規制とか、そういう
地方自治体が本来持っておった
権限が逆に奪われてきたというのが
公害諸法の歴史ではありませんか。私はどうしても、今度のようなただ
知事に
委任するというような
委任事務の問題じゃなくて、
地方自治体に
権限をほんとうの意味で移さなくちゃならぬ、そういうふうに考える。そういう
立場に立って私は具体的な質問をしたいと思うのです。抽象的な論議を繰り返して、本日の諸新聞が報道しているようなコンニャク問答などという批評を受けたくありませんから、具体的な問題で聞きたい。
いま、
国民の多数が望んでいるのは、ほんとうに
公害がなくなるということであります。そうしてまた
公害を発生した加害者に対して十分な責任をとらせる、
処罰を加える、こういうことが保障されることを望んでいるのであります。どういう法案をつくりましても、もちろんどんな法案でも穴というものはあります。ですから、問題は法案だけの問題じゃありません。それに対して
政府がどういう態度で今後臨まれるかということが根本問題だと思うのです。簡単にいえば、たとえば東京都民の大多数は、この夏発生しました
光化学スモッグあるいは硫酸ミスト、こういうものを絶対に起こしてもらいたくない、一掃してもらいたい。どういう法案が出ましょうとそういうことができなければ意味ないのです。ですから、私はもう率直に聞きますが、今度の
大気汚染防止法によって東京の空から
光化学スモッグや硫酸ミストを一掃することができるかどうか、大気
汚染をほんとうになくすることができるか、この点について率直にひとつ
答弁していただきたいのであります。