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1970-12-11 第64回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十一日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長代理理事 正示啓次郎君    理事 大村 襄治君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君       藤波 孝生君    井上 普方君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    新井 彬之君       北側 義一君    内海  清君       浦井  洋君  出席政府委員         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     斎藤 義治君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     三野  定君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 十二月九日  国道二四号線岩出地区岡田橋の改修に関する請  願(坂井弘一君紹介)(第四五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため出席できませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団より総裁林敬三君、理事明君並びに日本道路公団より理事斎藤義治君、理事三野定君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まず最初に、ある善良な市民から申告があった事件について、建設省の御見解お願いしたいと存じます。  それは、非常に社会的に信用のあります大手企業が、実はマンション建設しておるわけであります。その場所は、東京都千代田区大手町一丁目四、大手町ビルにあります丸紅不動産株式会社工事責任者といたしまして、現在小石川五丁目六番地に工事中のドミ小石川というマンションであります。このマンション契約いたしました都民のAという方から実は申告があったわけでありますが、この人は、この工事を施工しておる業者が非常に大きなところである丸紅不動産株式会社であり、工事を行なっておるところは清水建設株式会社販売受託銀行安田信託銀行不動産部、こういった一流企業によるマンション建設であり、宣伝でありますために契約をし、これに入居をきめたわけであります。  ところが、この入居をきめました分譲を受けるべき間数、施工いたした設計、これが実は明らかに基準法違反である。寝室に通気、換気、そういったものが全くない、窓もない、こういった状態設計のところを実は本人に売り渡す契約がまとまったわけです。ところが本人は、寝室にあかりなども何にもないし、換気装置もなく、どうもおかしいので、これは一体どうしてくれるのだ、こういうことで業者のほうに申し入れをいたしましたところが、業者のほうでは、それではあなたの御希望に沿いまして設計を変更いたしましょう、そのかわりその設計見積もりとして総額五十一万七千円を工事費としてちょうだいをいたします、こういう見積もり書本人に出されたわけです。  本人は、どうもこれはたいへん高いマンション分譲した上に高い変更工事見積もりを取られる。金を取られる。こういうことからどうもふしぎだということで、東京都の建築指導課照会をいたしましたところが、これは当然基準法上は違反をする設計である、こういうことを本人は初めて知って、直ちに抗議をしたそうであります。ところが、安田信託銀行においてもあるいは清水建設においてもあるいは丸紅不動産においても、そういった基準法違反というのはどこでもやっておるのだ、こういうことで一方的にきめつけられてしまった。  それで本人はそのことをたいへん不満に思って、実はあらゆるところにこれの不当性を訴えた。たまたま私の手元にその方から書類が回ってきて、ぜひ建設省見解を聞いてもらいたい、こういう要望がきたわけなんです。私は、ここで別段取り上げる必要もなかったわけでありますが、ちょうど公害審査をしております委員会のさなかに官房長がおられましたから、官房長にそのことをお見せいたしまして、官房長のほうで、これは一体どうなっておるのかということを私的にお聞きをいたしましたところ、調査をした結果、これは明らかに基準法違反だ、直ちに東京都に照会をして善処方をする、こういうふうな御回答ですから、そのとおり御本人には通知をしておいたわけであります。  しかし、先般も井上委員から、こういったマンションの問題について、マンション建設問題契約問題等についていろいろと本委員会質問があり、宅建業法改正等についてもきびしく行いたい、こういう大臣の答弁も行なわれておるわけでありますけれども、いままではどちらかというと不良業者、どちらかというと悪業者によってそういうことが行なわれておったわけです。ところが、社会的に信用されておるこうした大手不動産会社大手建設業界においてすらこういうことがなされておる。こういう事実を見たときに、建設省としては一体どういう指導をされようとするのか。悪徳不動産業者に対して規制をするために、宅建業法を改正するためにいま努力をしておる、こういうことでありますけれども、その内容は、中小企業と大企業、資産、社会的な信用度、こういったもので区分するようにしたいというようなことが現在審議されておるということを漏れ承っておるわけでありますが、実際的には、社会的に信用されておる大手企業ですらこういうことを公然としておる。しかも、基準法違反工事をしておきながら、入った人に対して再度工事変更の金を請求する、こういった行き方はきわめて私は問題があると思うのです。こういうものについて今後どういうふうにされようとしておるのか、この点をぜひお尋ねしておきたいと思うのです。  こういう業者に対して、最終的には、御承知のように関係法規がございます。建設業法二十八条では、営業停止も行なうことができます。あるいは宅建業法による免許の取り消し、こういったこともいたしておりますが、あるいは清水建設に対する建設業法の取り扱い、こういったものについて、住宅局長なりあるいは政務次官から、どういう処置をされようとするのか、また今後どういう指導をなさろうとするのか、そういう点について詳しく御説明を願いたいと思います。
  6. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の件につきましては、御連絡がありましたので、いろいろ調査をいたしておる次第でございます。まだ十分に契約当事者双方から聞いたわけではございませんが、いろいろ仮定を設けて検討いたしておる次第であります。また、会社側説明によりますと、先生の御指摘の件につきまして、いわゆるドミ小石川契約締結に際しましてお見せいただきましたプリントは、ミスプリントであるということを言っておるわけでございます。しかしながら、これがミスプリントでございましても、もしもそういう事実がありましたり、またその契約の場合にあたりまして、その書面がほんとうの契約添付書類であったかどうかということにも非常に関連がございますので、そういう事実関係をもう少し調べる必要がございます。  しかしながら、相手方会社側のほうがいろいろなことを申しているということになりますと、それは契約当事者相互間の意思に重大な食い違いというものが認められることになりますので、それは法律上にもいろいろな効果というものについていろいろな問題が起ころうかと思います。これは民事関係のことでございまして、そういう民事関係でいろいろ措置がされることと思います。これについて宅建業法の問題につきましては、いろいろ検討いたしますと、二十条の二に、業務に関しまして依頼者に損害を与え、または与えるおそれが大であるという場合には、いろいろな指示をできることになっております。したがって、そのことにつきましても事実関係を十分考えまして、処置を考えたいと思います。  しかしながら、もう一つ、これはそういうミスプリじゃなくて、この図面どおり物件を売買するという契約がなされたということが事実としますと、これにつきましては、その物件が完成しました暁におきましては建築基準法違反となることは、先ほど先生のおっしゃるとおり明白でございます。したがいまして、そういう場合におきましては、関係行政庁から是正命令が出ることになります。そういう、これは建築基準法違反であるという事情だとか、または是正命令が出る、それに伴って買い主負担増が起こりますよということを、あらかじめ契約締結にあたり貸して相手方に十分に説明してないという場合におきましては、宅地建物取引業法十八条に「業務に関する禁止事項」というのがございますが、その一号の、重要な事項について故意に事実を告げなかった行為に該当するというおそれが十分にございます。十八条違反になりますと、行政処分の対象にもなりますし、また罰則もついてございます。  以上いろいろなそういう事実関係につきまして、なお今後早急に関係者を呼びまして、十分調査をしてその事情を明らかにした上で措置を講じたいと思います。  それから、先生のおっしゃいましたこの不動産業者につきまして、中小悪徳業者だけではなしに大手というお話がございました。もちろん、大手業者につきましても法違反行為があったり悪徳な行為がございましたら、十分法に照らし処分をいたす所存でございます。  また、現在の法律は御承知のとおりいろいろまだ不備な点がございまして、現在の取引の実情からいたしまして、消費者の保護と不動産取引の公正を確保するという見地から、いろいろ問題点がございます。そういう点につきましては、現在住宅宅地審議会におきまして十分審議を願っておりまして、近く答申があろうかと思いますので、その答申の結果に基づきまして政府案をつくりまして、早い国会にこれを政府案として提出して十分御審議を願いたいと思っておるわけでございます。
  7. 多治見高雄

    多治見政府委員 松浦先生の御質問の中に建築基準法違反という問題がございましたので、主管局長として御答弁いたします。  問題の丸紅不動産マンション建設でございますが、先ほど計画局長からお答えいたしましたように、何か売買契約の際のパンフレットミスプリントというような問題があったようでございまして、御質問がございましたので、私のほうでも事実関係十分調査いたしました。その結果を申し上げますと、建築確認申請書には、建築基準法違反の点はございません。ただ、もしお配りしたパンフレットの通りの建築ができた場合は、これは違反の心配があるということで、東京都を通じまして注意を喚起いたしまして、実際の建築工事基準法違反のないような工事で現在は実施されているというふうに昨日確認いたしまして、現在の状態といたしましては工事が大体八五%ぐらい進捗しているそうでございますが、現在の段階東京都で確認いたしました限りにおきましては、基準法違反の事態はないということで、昨日報告を受けております。
  8. 松浦利尚

    松浦(利)委員 計画局長、それから住宅局長のほうからお話がありましたが、まず住宅局長にぜひ知っておいていただきたいと思うのです。この問題が基準法違反だということを買い主の人が知って、丸紅不動産ではどうにもならないから、丸紅不動産の代行をしておる安田信託銀行に行った。そうしたら何と言ったかというと、清水建設では絶対に違反していない、出るところまで出てだいじょうぶだからどうぞ遠慮なくやってください、こういうふうに安田信託銀行のほうから本人は言われた。そうして買い主が今度は東京都の建築課のほうに行って関係書類を見せてもらったところが、買い主の人が東京都に行って文句を言ったために、清水建設を呼び出しまして注意したところが、あれはミスプリントでございましたといって届け出書を、設計図を差しかえたというのです。この人はこう言っていました。係官は清水建設に対しおかしいではないかと注意したところが、届け出書を差しかえてきました、そうしてお客さんに渡した説明書添付間取り図ミスプリントでしたから新しい間取り図を持ってきました、こう言って差しかえてきたといいます。ですから、届け出たその限りにおいては、その時点では、差しかえたから基準法違反でない書類になっておる。ところが、この買い主のAという人は、業者から見積り書で五十一万幾ら請求をされた。この人が基準法違反だということでわいわい騒ぎ立てなければ、新たに五十一万幾ら本人は取られちゃったんですね。たまたまこの人が騒ぎ立てたから最終的に差しかえられて、工事設計というものが変えられるような形になってきたんですよ。こういう問題は、騒がなければこのままだったんですよ。この人がたまたま騒いだから結果的に改善される報告が出てきたんですね。しかし、本人はまだ五十一万の見積り書を握ったままなんですね。この見取り図で契約しておるわけですから、これに新たに手を加えて五十一万金を出せと、こういうわけです。それが実際取られるか取られないかということはまだわからない、業者のほうがはっきり言っておらないから。だからそういう点を考えますと、大手業者でも、わかったらもうしようがないから直す、わからなければ適当に基準法違反やっておけ、買う人の無知につけ込んでこういう違法的なことが公然とまかり通っておる。  御承知のようにいままでは中小業者がいろいろと問題を起こした。だから宅建業法も改めなければならぬ、こういうふうに大臣は言われた、ところが、社会的に一応信用されておる——やはり買う人の身になってみますと、丸紅不動産とか、安田信託銀行とか、あるいは清水建設とか、こういう社会的に名の通っておる業者ならそういうことはしておらぬだろうといって買うのは、これは常識的にいってあたりまえなんですよ。ところが、そういう業者がこういうことをしておるという事実を——これは政務次官になると思うのですが、こういうものについては一体どういうふうにこれから処置されようとするのか。これから東京都にはぼんぼん高層ビルが建つでしょう。きょうの新聞にもいろいろなマンション分譲がたくさん出ているのですよ。そういうものもこういうことがないという保証はないのですね。そういう点を考えてみましたときに、建設省としての指導の強化ですね、大手業者だからだいじょうぶじゃなくて、大手業者もこういう悪いことをしておるのだ、こういう事実に対してこれからどういうふうに指導されようとするのか、明確に政務次官のほうから御所見を承っておきたいと思うのです。
  9. 田村良平

    田村政府委員 お答え申します。  いまの問題は、両局長から御答弁いたしたのですが、やはり社会正義の通念から申しましても、大中小企業の実態のいかんにかかわらず、住宅を求める人々に対する迷惑な点あるいはミスプリントというようなことでまかり通るものじゃないと思います。したがいまして、いま計画局長も御答弁申し上げましたように、事実をもっと詳しく調べまして、やはり一罰百戒で不良業者に対しては断固たる処置をとらなければならぬ、私はそのように考えまして、局長ないし都庁とも打ち合わせをいたしまして、結果によりましては、仰せのとおりいろいろの処罰規定がありますので明確にいたして、国民の皆さんに御迷惑をかけないような方向にリードする、このように考えております。
  10. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後にぜひお願いをしておきたいのは、間違っておるからこれを訂正されておるわけですね。工事そのものは現に基準法違反でない工事に改められておるのです。ところが、実際にこのマンションに入った人は五十一万七千円なりの請求書を突きつけられておるわけです。この五十一万七千円何がしの金を入居者が新たに取られないように善処することもあわせてお願いしておきたいと思うのですが、どうですか。
  11. 田村良平

    田村政府委員 みずからの計画書に誤りがあって、なおかつ相手方から金を取ろうなんというようなことはとても許されることじゃないと私は考えますので、それが事実とすれば、それにつきましても明確な指示をいたします。
  12. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、この書類はすでに建設省のほうにお渡ししてありますので、ぜひ、いま政務次官が言われたように、善処方お願いをいたしたいと存じます。この問題は一応これで終わらしていただきます。  次に、風の問題なんですが、都市風公害といいますか、このことについてぜひお話を承っておきたいと思うのです。  御承知のように、本委員会でも貿易センタービルの問題で、速記を中止して、大臣を含めて、周辺住民の声をお聞かせしたわけでありますけれども、きょうの新聞でも御承知のように、江東区のゼロメートル地帯に高層城郭都市が実現をするということが報道をされておるわけです。さらに新宿の一角に京王関係のホテルが現在建っております。あそこは御承知のように十一近くの高層ビルが建つ地域に指定されておるわけです。また日本テレビでは雲の上に頭を出すような六百メートルのタワーを現在計画中である、こういうこともいわれておるわけですね。そうなってまいりますと、都市風という問題について無関心ではあり得ない。現在科学技術庁のほうで風害についての調査を自主的に行なっておられるようですけれども、超高層建築に対する都市風の問題については日本では全くおろそかにされておる。  一つの例でありますが、今度の江東区にできる東京都の計画いたしております高層城郭都市、これをかりに設計をした場合にどういうことが想像されるかといいますと、なるほど高潮その他は城壁で防ぎとめることができる。しかし、高層ビルができることによって、火災の場合、全体的に中央に煙を巻き込む。そういうことについて一体どういう研究がなされておるのか。科学技術庁のほうではそういったことについてまだ何ら具体的な報告もないし、そういう研究もされておらない。あの貿易センタービルへいまでも行ってみられたらわかるのでありますが、並み木の若芽ですら風のために飛んでしまって芽吹きが悪くなる。あるいはかわらが飛ぶ。あれは貿易センターピル一つ建っておって、それだけの障害が実際に周辺に起こってきておる。それが二つ、三つ、四つとこういうふうに建ち並びますと、どういう都市風が吹くかわからない。こういうことがいま非常に危険視されておるわけであります。  そういった意味で、これから都市開発、その他の問題を含めて、都市風というのは大きな公害問題として対処しなければならぬのじゃないか。確かに日本では耐震構造で、地震に対しては非常に研究が進んでおる。ところが、耐風というか、風に対応する研究というものは、日本の場合全くお粗末である。気象庁の研究所のほうでは、気象のほうに一生懸命予算が回って、都市風については全く予算がない。そういった意味で、実際に都市開発の衝に当たる建設省として、こういった都市高層化に伴う都市風に対して現在どういう対策がとられようとしておるのか、具体的にどういうふうに処置しようとしておるのか、こういったものについでぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。
  13. 多治見高雄

    多治見政府委員 お答えいたします。  いまお話がございましたように、高層ビル建設によって、風の都市的な影響というものが非常に大きな問題であるということは、実はいまの御質問の中にございましたように、確かに日本においては非常に研究のおくれている問題でございまして、さきの国会建築基準法の御質疑の中で先生から御指摘がございまして、その後実はわれわれといたしましても、これは非常に大きな問題であるということで、早急にこれについての対策を立てたいということで検討を進めている問題でございます。御質問の中にございましたように、確かに研究はおくれております。先生の御指摘もありまして、その後建設省といたしましては、建築家協会というのがございますが、そこに御依頼いたしまして、高層建築物周辺の気流の乱れに関する調査分析及び対策委員会というのをつくっていただきまして、そこで鋭意検討を進めていただいておるわけでございまして、お話のように早急に問題点を解明し、解決策をつくりたいということで努力をしているわけでございます。確かに、御指摘のように、研究そのものがまだ未熟でございまして、最終的な結論という段階になっておりませんが、われわれといたしましては、できるだけ早い機会にこの結論を出して都市風に対する対策を講じたいということで、現在の目標といたしましては、御依頼いたしました研究先に、来年の三月を目途に研究結果を出していただきたいということでお願いいたしておりますが、過去のデータその他について、われわれの考えておるほどのデータがなかなかございませんので、われわれの要望している時点結論が出るかどうかという点につきましては自信はございませんけれども、できるだけ早い機会先生指摘のような点についての研究成果を得まして、それに対する対策を確立いたしたいということで努力するつもりでございます。
  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 民間団体協会のほうに依頼をして調査をしておる、こういうお話でございますけれども、こういった重要な問題はやはり直接建設省が取り組むべき内容じゃないかというふうに思うのです。御承知のように、海の問題でも、大きなタンカーが突然まつ二つに折れて沈没する。ぼりばあ丸とか二隻の船がそうだったのですが、風の影響というものは巨大になればなるほど大きく変わってくるのが風だそうです。そういった意味で、確かにいま日本でも耐震構造高層ビルがどんどん建つようになったわけですけれども、風の問題をおろそかにしているとたいへんな障害が起こるということなんです。  ここで一つ例を申し上げたいと思うのです。実は、丸の内のあの谷間で道路工事のために道路壁を立てておった。ところが、突然それが倒れて、そしてそれに単車が乗り上げて、乗り上げた人が事故を起こしたという事件がいま東京地裁にかかっておるのですね。その問題に対して、裁判所のほうから、御承知のように、風博士といわれる相馬博士依頼をして、相馬博士が現地で調査をなさった結果では、それは風の力で倒れた、こう言うのですよ。ところが、いままでは道路壁というのは常識的には倒れない。構造上倒れないように、危険を伴わないようにしてあるきちっとした道路壁なんですね。ところが、工事中その道路壁が突然倒れた。その倒れた原因がわからないので、裁判所のほうで相馬博士調査依頼したところが、相馬博士は、それは明らかに都市風原因である、こういう意見書裁判所のほうに出して、現在係争中のものなんですけれども、そういったように風という問題は新たな問題を起こしてくる。新たな事故を現実にも起こしつつあるわけですね。裁判の結果として、風かどうかということについて最終的な判決はまだありませんけれども、相馬博士はすでにこれは風だということで意見書を出しておられる。  こういったことを考えてまいりますと、従来と違った近代的な都市開発高層化すればするほど、都市風という問題については、周辺の住民の生活を根本的に変えさせてしまう、生活の危険を与えてしまう、こういう状態を私は生むのじゃないかと思うのです。そういった意味では、都市風というのは公害になるおそれがある。こういう気がしてならないのです。  だから、そういった意味では、いま民間に委嘱をして研究して、来年三月に云々と、こういうことでありますけれども、その前にもビルはどんどん建っておるわけですから、やはり私は、建設省が直接実験をする。科学技術庁依頼をするなり、あるいは建設省自身がそういった建設省の機関で調査をする。大体風洞孔というのは日本にはあまりないのだそうですね。私はしろうとでございますから具体的なことはわかりませんが、学者の意見によりますと、二つの建て物が向き合いまして、向き合った側に換気装置をつけたら、また都市風の方向というのは変わる、こういうのですね。それに三つ建つと、同じところで同じ空気が停滞をする、ぐるぐる同じ場所で風が回る、そういう現象も起こってくる。風というのは生きておるから、形の変わったものとして、高層ビルの建て方によっては風の方向が変わってくる。  そういった意味で、私は民間に委託しただけでは問題は解決しないのではないか、こういう気がしてなりません。政務次官はいつも前向きで発言なさる次官でありますけれども、この際こういった問題について、公害としてこの問題が出てこないように、事前に公害を防止するという意味で、積極的な建設省の取り組みについてお答えいただきたいと思います。
  15. 田村良平

    田村政府委員 お尋ねの問題は、非常に新しいケースもありますし、重大な問題でありますし、大きなビルがどんどん乱立する状態であります。したがって、いま御指摘のように、ただ単に民間にお願いをして結果待ちというのでなくして、建設省が主導権を握りましてこの問題と取り組んでおります。官民合同といいますか、一生懸命になって、いま局長から答弁いたしましたように、三月までには何とかひとつ結果の報告を願って皆さま方にも御報告もするし、また御検討も願うという段階で進んでおりますので、御了承願います。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま、三月までに結論を出す、こういうことでありますから、ぜひ——官民一体、こういうことばを使われましたので、それ以上いろいろは申し上げませんけれども、御承知のように、東京駅の地下街、あれがこの前地下鉄の工事で出水して全滅しかかったのですね。幸い食いとめ得たからいいようなものですけれども、あの地下街に対して、そういったように全く予防措置はとられておらなかった。想像しておらなかったことが現実に起こったわけですね。幸い食いとめられたからよかったけれども、あれで水がだあっと地下街に流れ込んでおったらたいへんなことになったと私は思う。こういう問題はおそきに失したらだめなのです。そういう意味では、積極的にこういう問題を取り上げていただきたい。  しかも、あの地下街でも、風の問題についてはやはり問題がある、こういうふうに学者は言っておられる。これは論文で読んだのですが、どういうことを言っておられるかというと、あの地下街の換気は、上のほうの悪い空気、よどんだ地上の空気をそのまま持ってきて、そして下の地下街の空気をまた上に上げる、結果的に、循環する間にその空気そのものは浄化をされておらない、同じものが換気されておるのではないか、一体、あの地下街の空気の浄化、換気というものについてどういうふうになされておるのか非常に疑問だ、そういうことが計算されておるのだろうかと、こういうことも学者が言っておられるのですね。  そういうことを考えると、近代建築様式に対応し、都市構造改革に対応したような行政——先取りですね。そういったものについて、私は、建設省の積極的な御指導研究をぜひこの際お願いをしておきたいと思います。政務次官お願いいたしますね。  それでは、風の問題についてはそれで終わらしていただきたいと存じます。  次の問題は、実は道路局長にお尋ねをしたいのですが、道路局長にお聞きする前に政務次官にお尋ねをいたします。  あの十兆三千五百億の道路財源については、きょうお集まりの議員の皆さん方はみんなそうだと思うのですが、自動車新税を早く通して道路財源を確保せよという陳情と、いや、自動車新税は反対だという陳情と、こういう両方からのはさみ打ちを受けて、十兆三千五百億という財源がどっちにどう動くのか、いつも聞かれる問題なんですが、十兆三千五百億の道路財源について、その見通しについて政務次官のほうからまずお聞きをしたいと思います。
  17. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  懸案の問題でありますし、御案内のように、爆発的な交通量の増大に伴いまして、六兆六千億をキャンセルして、わざわざ十兆三千五百億の新しい計画を立てたのであります。ところが、どう計算いたしましても、建設省のサイドでは、低く見ましても五千億、財投関係で五千億、合わせまして約一兆円不足いたします。これは四十六年の予算編成までに処理をつけるということで、われわれもそのつもりで了承いたしまして、この問題は進んできております。したがいまして、自動車新税といいますか、要するに新規財源を見つけてこれが計画を達成をするということで、いませっかく検討もしておりますし、この問題の実現については大蔵当局はもちろんでございますが、それぞれの機関を通じまして一生懸命に実現方に努力をいたしております。したがいまして、それの財源ができませんと、またせっかくの計画が実施不可能になりますし、非常に責任の重いことでありますから、一生懸命に財源獲得に努力をいたします。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 一生懸命やっておられることはわかるのですが、どういう財源をそれでは確保されようとしておるのですか。その点をお聞かせください。
  19. 田村良平

    田村政府委員 局長から詳しく申し上げます。
  20. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま政務次官から答弁がございましたように、ことしの三月六日に十兆三千五百億の第六次道路整備五カ年計画が閣議了解されたわけでございますけれども、その閣議了解の本文の中に「本計画を遂行するために必要な財源措置については、昭和四十六年度予算編成時までに所要の検討を行なうものとする。」という項目が入っております。これを受けまして、建設省といたしましては、十兆三千五百億の財源の不足がどの程度であるかという試算を行ないまして、それに対する財源手当てはどうすべきかという検討を行なってきたわけであります。いまほど政務次官の御答弁のように、国費におきまして大体四、五千億、財投において約五、六千億、合わせまして一兆円不足である。それに対しまする手当てといたしましては、道路を利用することによって利益を得る者、つまり受益者負担という原則と、それからもう一つは、道路を損傷する、あるいは破壊する、そういう者に対する損傷負担という、この二つの考え方から新しく自動車に税をかけたらどうかということで検討を進めているわけでございます。ただ、税をかける場合に、現在乗用車等につきましてはすでに物品税がかかっております。したがいまして、現在の税制の不均衡を是正することも勘案いたしまして、かつ、先ほど申し上げました道路の損傷の度合いを勘案いたしまして、乗用車につきましてはただいま検討しておりますのは二万円から五万円の範囲内、それからトラック、バス、これが道路を一番損傷するもとになるわけでございますが、トラックについては五万円から三十万円の範囲内、それからバスについては七万円ないし十万円というふうな検討を進めております。ちなみに、乗用車の二万円ないし五万円と申しますのは、製造、移出のときの額の五%になるわけでございますし、トラック、バスにつきましては一〇ないし一五%の税率になることになります。こういうふうにしてみますと、四十六年度以降四カ年間に約一兆円に近い財源が入るわけでございます。  なお、こういう新車だけではなくて、現在走行している車につきましても部税金をかけるのが均衡上よろしいのじゃないかという見解から、現在走っております車に対しましては、ただいま申し上げました新しい車の大体五分の一程度の、二〇%程度の税をかけていく、ただしこれは一回限りでございますが、そういうことで現在検討しているわけでございます。  その見通し等につきましては、ただいま建設省計画しております自動車新税、あるいはわれわれはこれを道路新税と申しておりますが、それ以外に、御承知と存じますが、運輸省が提案しております総合交通税と申します大きな構想がございます。単に自動車だけではなくして、国鉄の新幹線の建設と赤字の補てんと、それから大都市における地下鉄建設の費用、そのほかに総合ターミナルをはじめ相当たくさんの計画を出しておるのでありますが、そういうものに対する手当てを含めた総合交通税という考え方も出ております。したがいまして、各省それ以外にもいろいろ提案がなされておりますので、今後これがどういうふうに進んでいきますかは、現在の段階では私たちははっきりわからないのでございますが、ただ、申し上げられますことは、われわれの道路整備五カ年計画は、先ほど説明いたしましたように、閣議了解においてすでに財源等を四十六年度予算編成までに検討するという、政府がそういう約束をしておるわけでございますので、必ずこれは実現できるものというふうにわれわれ期待しておるわけでございます。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、建設省の構想、運輸省の構想のどういう構想をとるかということについては、まだ政府の一貫した方針はない、まだ確定しておらない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  22. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま申し上げましたように、運輸省以外にも——通産省からははっきりと反対の意思表示が出ております。それから自治省からは地方財政に対する新しい税を創設すべきであるという意見も出ております。なお、警察庁からは新しく交通安全施設のための五カ年計画の策定を計画しておりますが、それに要する費用も新しい税として考えておるようであります。したがいまして、各省それぞれ別々な要求をしておるようでございますが、これは四十六年度の予算編成時におきまして、政府首脳部の間に決定されるものと思われます。
  23. 井上普方

    井上委員 関連して少しくお尋ねいたしますが、実は、私は、この自動車新税の問題につきましてはなはだ不愉快なことを数多く経験するのであります。と申しますのは、私どものところに県の役人が陳情に来る。自動車新税をつくってくれといって、県の道路課の役人が来る。課長などが来る。あるいはまた、建設協会業者団体が私どものところに自動車新税をつくってくれといってやってくる。一体、あなた方はほんとうにそう考えておるのかと言って聞きますと、建設省の道路局のほうから頼まれたのでわれわれは来たのだ、こういうことを盛んにいままで耳にいたすのであります。ここで問題になるのは、建設省が、いままでの陳情というようなことをやっておるのに、急に、あなた方のほうから業者に声をかけて、陳情しろ、これを通させろと、いわば圧力団体をあなた方が自由自在に使っておる事実です。これはまさに憲法上の問題でもあり、かつまた国家公務員法上の問題でもあろうと思うのです。こういうような財源獲得のためのあなた方の手段といいますか、はなはだ不愉快なものがあり、われわれ納得できないものがあるのです。これについて政務次官はどう考えますか。建設省の自動車新税、この特例を取り上げましょうと道路協会のほうから自発的に来られるならば、私どももこれは考えられます。民間団体でございますからね。しかし、県庁の道路課の役人が建設省の道路局に頼まれて陳情に来る。文書も私見ました。あるいは建設協会業者団体が陳情に来る。だれに頼まれたのだといいますと、道路局から頼まれたと言ってやってくる。新しい税金をつくるというような実に重大なる国の方針、これに対してこのような業者を使って行政府が行為をするということは私は許されぬことだと思います。これについて政務次官、いかにお考えになりますか。
  24. 田村良平

    田村政府委員 道路局がどういうように指示したか、私直接わかりませんが、大きな問題であります。民間の団体に新しき税金に対しまする理解、協力を求めておることにつきましてはいろいろ問題があろうかと思います。ただ、明確に道路局がいかにも命令を下しておる、おまえらも行ってこいというようなことがありとすれば、その点は行き過ぎがあれば是正しなければなりません。しかし、どういう事情か私は直接は聞いておりませんから、道路局長のほうでわかっておる範囲内で答弁させますが、そういうこと自身はどうこうということはございませんが、問題が問題でありますので、各位にも協力は得ておるものと考えております。
  25. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの件につきましてお答え申し上げます。  建設省の道路局から各府県の土木課、道路課に対しまして、この財源についてそういうふうな陳情をしろという指示をしたことはございません。ただ、われわれといたしまして、現在道路局の最大の問題がこの道路財源の問題になっておりますので、これには全力をあげて取り組んでおるわけでございますが、たまたま陳情者が、これは市町村長等が多うございますが、お見えになった場合には、何としても道路財源をとらなければ実施できないのだということはわれわれ繰り返して申し上げております。もし、そういうふうな誤解を招くような、県の職員が先生のところに出向いたことがございましたならば、これは私たちの指導の不行き届きと思いますので深くおわび申し上げますが、ただいま申し上げましたように、そのためにこちらから先生のほうにお願いするようなことを指示している事実はございません。
  26. 井上普方

    井上委員 指示したとこの場でおっしゃるわけにはまいらぬでしょう。しかしながら、私どものところに陳情に来るのはそういう連中が来るのです。私どもは、どうしたのだ、業者の方がなぜ自動車新税で来るのだと言うと、建設省のほうから頼まれたのだと言う。建設省のどこだと聞くと、道路課ということをはっきり申すのです。事実、建設協会の方々もわれわれのところに自動車新税をつくってくれということを陳情に来られる。何だというと、いや私どもは建設省に弱うございましてとはっきり申します。こういうような、新しい一つの政策を立てるときに、それに対して行政府が民間団体を使って圧力をかけるというようなやり方に対しましては、きびしい態度でもって望んでいただきたいことを政務次官に強く要求いたして、私は関連質問を終わりたいと思います。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題は、井上委員のほうからありましたけれども、その内容、背景がどうということは私はここで申し上げるつもりはございませんけれども、率直に申し上げまして、自動車新税をつくってもらいたいという陳情が来ておることは各議員全部同じだと思うのです。しかも、建設省のほうも道路財源のためにというパンフレットを出しておられることは事実です。今度は、通産省のほうは自動車新税にいかにして反対をするかというパンフレットを出して、自動車メーカーが私たちのところに陳情に来ることは事実なんです。こういうふうに反対、賛成の陳情合戦が道路財源をめぐって行なわれておるという事実に対して、いま井上委員指摘したと私は思うのです。(「そんなことありゃしないよ」と呼ぶ者あり)建設省パンフレットは、道路財源だ、自動車新税だといって各議員に回す。通産省のほうは、自動車新税はかぬぞといって、同じ政府の機関からそれぞれ違ったパンフレットが出されるということを言っておられるのじゃないかと思うのです。業者の方が陳情に来るのは民主政治だからいいでしょう。政府は一つ、行政府は一つですから。ただ、通産省と建設省と違うだけですから。そういう点について井上委員指摘をしておるのだと私は思うのです。これは私はむだだと思うのです。いまその辺で、不規則発言があって、大臣経験をなさった方が盛んに何か言ったり笑ったりしているが、(「大臣経験者なんかじゃないよ」と呼ぶ者あり)建設省パンフレットだって税金ですよ。通産省で出すパンフレットだって税金ですよ。同じ日本の佐藤政府が道路財源に対して両方のものを出し合うということに対しては、あまりよくないのじゃないですか。そのことを井上委員指摘をしておると思うのですよ。たいへん重要なことですから、私は政務次官のほうに井上委員のことにつけ足してお願いをしたわけなんですよ。そういう点は、気持ちはわかりますよ。そのことを井上委員指摘をしておることを私はぜひ御理解いただきたいと思うのです。  次の問題は、道路局長にぜひお尋ねをしておきたいのですが、最近新聞紙上をにぎわしていることで、その真相はわかりませんけれども、道路と鉄道が並行して走っておるものについては、道路について地元が希望する場合には道路、鉄道について希望する場合には鉄道、そのいずれかを地方団体が選べ、こういう大蔵省の考え方が表面に出されておる。鉄道の赤字路線をかかえておるところと、それに並行して走っておる国道、そのいずれかを選びなさい、こういう言い方が最近大蔵省を中心に政府部内に出てきている、こういう話をお聞きしたのですが、そういう事実はあるのでありますか。
  28. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの国鉄の赤字の問題につきましては、大蔵大臣の諮問機関でございます財政制度審議会というところがございまして、そこで赤字の対策が議論されております。その議論の中の過程に、いま御説明のございましたように、第一点として、国道と赤字路線とが並行しているところにつきましては、もし地元が赤字鉄道の廃止に賛成するならば国道を優先的に整備すべきであるという項目が出ております。これを受けまして、事実、国鉄から道路局に対しまして、具体的には、根北線と称します北海道の斜里から越川というところに達する鉄道がございまして、それに並行しました国道がございますが、その根北線を廃止するので国道の整備をお願いしたいという依頼がきております。したがいまして、大蔵大臣の諮問機関であるそういう審議会で出した結論でございますので、道路局としても協力するつもりで現在進めております。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 道路局長にぜひこの際お願いをしたいのですけれども、道路は道路として、地元にとっては非常に重要だ、鉄道も重要だ、こういうのが私は一般の地方自治団体の考え方だと思うのです。ですから、大蔵省の諮問機関のほうでそういう考え方があったにいたしましても、やはり建設省としては、そういったところについても道路についての投資をぜひ積極的に進めていただきたい。特に過疎地帯に対しては、道路も必要だし鉄道も必要だという過疎地帯が非常に多いわけでありますから、そういう意味で、建設省として、道路投資については、そういうところについてもぜひ積極的な投資をお願いしたい、こういうふうに思うのですが、道路局長どうでしょうか。
  30. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの件につきましてはごもっともでございまして、従来、道路局といたしましては、過疎対策に対しましても十分配慮して道路の整備を進めておるわけでございます。したがいまして、そういう地域に対します道路の投資は、傾斜配分いたしまして特に手当てをしているつもりでございますが、今後もそのように努力したいというふうに考えます。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に道路局長にもう一つお尋ねをしておきたいのですが、高速縦貫道、これの整備計画の発表になっておらないところ、これはこの前天野委員が本委員会で発言をして答弁を求めたのですけれども、これについては十二月中には発表できるというように御答弁があったと記憶しておるのですが、道路審議会が開かれておらないためにおそらく発表はおくれておるのだと思うのですが、いつごろその発表ができるのか、その点を最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先般のこの席上におきまして、前道路局長が、たしか、十二月中には調査が終わりまして審議会を開ける段階になろうかというふうな発言をされたというふうに聞いております。ただ、その後、主として東北地方の十和田町周辺のルートの雪に対する調査がたいへんおくれまして、それからもう一つは中国縦貫道の千代田—鹿野間の調査もややおくれておりまして、現在の段階ではまだ完全に調査が終わっておりません。したがいまして、年度末の三月中には完了すると存じますが、いまの段階でまだ終わっておりませんので、完了後できるだけ早い機会に整備計画を出すようにしたいというふうに考えております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃこの次の道路審議会はこれが終わったあとというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  34. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 三月末に調査が完了いたしまして、その成果を照査いたします。したがいまして、現在までの段階で申し上げられますのは、審議会の開催時期はおそらく五、六月ごろじゃなかろうかというふうに考えられます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではいろいろと質問をいたしましたが、私の質問をこれで終わります。
  36. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 新井彬之君。
  37. 新井彬之

    ○新井委員 私は、道路の問題と、それから住宅問題等について若干の質問をしてまいりたいと思います。  現在交通公害というものが非常に問題になってまいっておるわけでございますけれども、これからも道路の整備、また車の増加等に伴いまして、そういう地域、いろいろのところがふえてまいるとは思いますけれども、道路公団の、世田谷区の烏山の鳥山北住宅を通る中央高速道路、これが昭和三十七年に計画をされまして、現在それを施行しようとしている段階におきまして、その団地を横切るということで、その住民の方々が非常に心配をされて、今後いろいろな公害問題が起こってくるのではないかということで問題があるようでございますけれども、その経過並びにその現状について知っておることをまず道路公団の方にお値いをいたしたいと思います。
  38. 三野定

    三野参考人 ただいま御質問のございました中央自動車道の世田谷区の烏山付近における問題でございますが、この地区の中央自動車道につきましては、工事を始める準備ができましたので、本年の七月一日、現地の住民の皆さんに御参集をいただきまして、工事の概要について説明を申し上げたわけでございます。ところが、この工事については何も知らされていなかった、十分に知らされていなかったということで非常に皆さんが騒がれまして、その後、この中央自動車道の建設に関連いたしまして、計画ではこの両側に都市計画道路をかかえて通過するという計画になっておりましたために、この二つの道路によってただいま御指摘のございましたような騒音あるいは排気ガスその他の悪影響がこの鳥山北住宅の住民の方に及ぶのではないか、そういうことで強い反対がございました。その後七、八月とそれから九月にかけまして、地元の方々とずっといろいろと折衝があったわけでございますけれども、都、公団におきましても、どういう影響があるかというような点につきましていろいろと検討をいたしまして、かなり考えた対策案をつくりまして、これを先月の二十日に現地住民代表の方に提示をいたしまして、できるならば十二月の十日に工事を始めたいということを申し入れたわけでございます。地元の方は、まだこの対策について納得が、できない。納得ができない状態で十二月十日に着工するというようなことはとうてい容認できるところではないという強い抗議がございました。その後、私も地元代表の方々と面会をいたしまして、いろいろと御相談もいたしましたが、なお私どもとしても考えるべきことがあるようにも思います。またこの道路の計画の問題が、中央自動車道のみでなく、両側の都市計画街路にも関連をいたしますので、都並びにこの烏山北住宅を管理いたしております都の住宅供給公社、この三者と十分に話し合いをしまして、地元ともよくお打ち合わせをして、なお具体的な対策を証し合うということで現在に至っているわけでございます。
  39. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま経過がございまして、たびたび話し合いをされたというようなお話しでございますけれども、現在の時点におきまして、住民の方との話し合いがだいぶ進まれたとは思いますけれども、ここまで持ってくる間、この住民の方々が非常に努力をされた。初めはどこへそういう心配ごとを持ち込んだらいいのかということで、話し合いの場でいろいろと質問した経過等の書類等があるわけでありますけれども、それはなかなからちがあかない。そういうわけで、世田谷の区議会であるとか、それからまた都議会であるとか、いろいろのところにその現状を持ち込みまして、そういうようなことで、だんだんと話し合いが進んできたわけでございますけれども、これは一つは、昭和三十七年当時の道路行政、今後車がどんどん増加をされてそして混雑をする、したがって高速道路というのは当然必要である、そういう一つ計画のもとに実施をされてきたもの、また住宅をいかに住みやすい環境に置くべきであるかというようなことであるとか、いろいろといまの複雑な都市構造の中にあっての問題というものが現在になってようやく浮き彫りにされてきた。ところが、三十七年の当時、そういう計画が立てられた時点におきましては、現在は公害が非常に問題になっておりますけれども、そういうような議論が一切抜かれて、そういう設計というものができてきた。こういうぐあいに思うわけであります。したがいまして、居住者の方々とか、都とか、住宅公社の方とかそういう三者の方々といろいろ話し合いをされたというようないまの御意見でございますけれども、あそこに、あの住宅を道路が四つに区切っていくという、そういう道路行政、そういうことが望ましいことなのか望ましくないことなのか、それをまず公団の方にお伺いしたいと思います。そのあと道路局長にも、そういうことがどうかということの意見をお伺いしたいと思います。
  40. 三野定

    三野参考人 ただいまこの烏山北住宅の付近における街路網計画というものが、あるいは道路計画というものが、適正であるかどうかという御質問でございましたけれども、私どもは中央自動車道を担当いたしておりまして、この中央自動車道の計画は、ただいま御指摘のございましたように、昭和三十七年当時すでに路線があらかたきまっておったわけでございます。この当時、まだ沿線が開発をされていなかったわけでございまして、将来の開発を予想しまして、この沿線と道路との調和という問題につきましては都市計画で十分考えなければならぬ問題と考えますので、そういうことで東京都の都市計画担当部局との御相談の上、その辺を十分に配慮した都市計画決定をいただいておるというふうに私どもは理解しております。そういう点で、この都市計画決定が是か否かという問題については、私どもちょっと批判をいたしかねますけれども、そういうふうに都の都市計画によりまして十分考えてなされているものというふうに私どもは理解しているわけでございます。
  41. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの中央道の烏山地区におきます道路計画の問題でございますが、いまほど三野理事から御説明がございましたように、都市計画決定をいたしまして街路の上に高架の道路をつくるような計画になっておりまして、道路それ自身は計画としては正しかったというふうに私たちは考えております。ただ、客観的に考えてみますと、ただいま東京都の住宅供給公社がおつくりになりました建物ときわめて接近しているということでございますので、これにつきましては、最近の公害等の問題もございまして、もう少し調整を十分にやって、騒音等の公害もできるだけ少なくするような配慮が必要ではなかったのだろうかというふうに考えられます。  ただ、ここで申し上げたいと存じますのは、すでに用地買収も完了いたしまして、ルートも動かすことはできない状態でございます。したがいまして、地元の皆さま方に十分納得していただくように、騒音等については十分の手当てをするように道路サイドでも考えたいと思っております。
  42. 新井彬之

    ○新井委員 いま御答弁いただいたわけでございますけれども、現在のあの烏山北住宅というのは非常に静かなところでございますけれども、あそこに道路が通れば、その住民の生活というのは確かに大きく変化をすると思います。その設計図等があるわけでございますけれども、それが道路公団のほうで一日何万台の車が通るかという試算は全部計算はできておると思いますけれども、そういう状態になったときに、自分がもしも団地に住んでいた場合に、これは当然排気ガスの問題だとか、騒音だとか、——これはいままでの計画があって、土地も買ってきたのだからという事情は別といたしまして、自分がこれから住んでいく場合に非常に心配するのじゃないか。先日も地元の方が参っていろいろお話をしておりましたけれども、そういうえらい方に住んでいただいておれば、一日たりとも休むことはできないのじゃないかというようなことも言っておったわけでございますけれども、現在の地元の方々が心配をされていること、それについて、当然そればそうなんだということを前提に認めた上で、現状がこういうわけで、土地が買ってあるからいま設計変更とかということは認められないのだというのか。そんなことはない、当然これは騒音も何もなくてだいじょうぶだから通れるのだということなのか。どちらなのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。道路公団の方にお願いします。
  43. 三野定

    三野参考人 私ども、この道路が通りますにつきまして、現在の烏山北住宅の環境に影響がないというようにはもちろん考えておりません。道路が通ります場合に、どこでも御指摘のように環境の変化というものがあるわけでございます。ただ、通常それをある程度がまんをしていただく範囲のものであればまあ通させていただいておる、これが全国的な実情であると申し上げてよろしいかと思います。  で、烏山北住宅の場合に、一部のアパートにつきましてはかなり騒音のレベルがひどくなるというものも認められるようでございます。私ども調査の結果そういうところが認められますので、それにつきましては対策を十分立てなければいかぬと思っております。よりよい対策というものを求めて現在協議をし、研究をいたしているという状況でございます。
  44. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま対策お話がありましたけれども、計画変更ができないということはないと思うわけです。ただ、それが大きな問題か、それとも小さな問題か、お金がたくさんかかるか、少しで計画変更ができるかという問題になると思います。それで、どういう状態にあろうとも、歴史の流れを一つ見ましても、やはり一番基本になることは人間が住みやすいように、そしてまた、いかに豊かに生活ができるかというようなことを目標にいたしまして、極端にいえば毎日が設計変更の連続である。高速道路ができたということ自体も、これは長い目で見ていけば、基本的な道路の考え方からどんどん社会の発展に伴っての設計変更になっております。そこで、設計変更というようなことも、これは努力次第で絶対にできると私は思うわけでございますけれども、そういうようなことも含めて、今後検討される余地があるのかないのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  45. 三野定

    三野参考人 私が申し上げるまでもございませんけれども、このような大事業計画というようなものを遂行いたしますには、やはり長期的なかまえでやらなければなりませんし、その長い期間の間にいろいろ環境の変化が起こったということが現在の実態であろうかと思います。もちろん、なし得る範囲で構造も考えられましょうし、ということでございますけれども、それにはおのずから限度があるかと思います。できる範囲では十分に案を練りたいというふうに考えております。
  46. 新井彬之

    ○新井委員 もともと設計変更はできないというふうな考え方で検討したところで、それは決して何もいい知恵が出てくるわけはないと思います。先ほど答弁にもありましたけれども、昭和三十七年に長期計画としてつくられた道路でございますから、その時差というものが現在の都市化とマッチしないということは当然出てくるんじゃないか。したがって、それをそのまま進めるということは常識的に考えても非常におかしなことであって、そこに手直しをされなければならないことがあればどんどん手直しをして、そしてその地域の住民の方にも喜んでいただかなければならない。私は、これがやはりいつも心がけていかなければいけない施策の一つであると思うわけでございます。そういう意味において、美濃部都知事がちょうど何か区民集会かなんかを行なったそうでございますけれども、そのときに、住民との話し合い抜きで道路が計画されることは、これはもうとんでもないことである。  それから二番目の問題は、団地は住宅地であるから、その中を幅の広い自動車道路が通る、そうして十文字に切ってしまうというようなことも反対である、それから公害を生む多くの道路が通るということは当然考えられるわけでございますけれども、そういうようなことについての科学的なデータの裏づけがないところにそういうものをつくることは問題である、こういうようなことで都知事にただしまして、都知事のほうも大いに検討しようというようなことで言っておるそうでございます。  そこで非常に問題になりますことは、今後の話し合いについていろいろなことをお聞きになっていると思いますけれども、一つは騒音でございまして、これはもう高速道路でいろいろと苦情等も出ておるところも聞いておるわけでございますけれども、たくさんの車が通る場合に、その騒音はどの程度になるかということを、道路公団としてもきちんとした科学的なデータを出して納得をしてもらわなければいけない。  それからまた排気ガスの問題も、現在自動車では、中古車でとまっているときは五・五%ですか、そういうようなことで規制はどんどん行なわれてまいりましたけれども、そういうようなことも、非常に近くを通るということで、それもある科学者の話によりますと、風のない場合等については、数万台の車が一日通った場合に、そこの空気は非常に悪化して、人間が生息するような状態ではなくなるというようなことも考えられる。これもこまかいデータをいまあげるわけではございませんけれども、そういうようなことも至るところに本が出ておるわけでございます。  そういうようなことで、ほかにもいろいろの問題点があるわけでございますけれども、今後そういう面をひとつ前向きに検討していただいて、道路公団はこれだけの守備範囲である、都のほうではこうだ——いろいろ複雑な機構の中にあって非常にたいへんなことではございますけれども、ひとつそういうことについて前向きに検討していただきたい、このように思うわけでございます。  この問題であまり時間を食っていてもしかたありませんので、前向きにやっていただけるということでおいておきますけれども、政務次官、こういう問題について地域住民の方が非常に困って、仕事をあるときは休み、また苦労して、自分たちでもって何か防衛をしなければいけない、自己防衛を自分たちでやらないとだれもめんどうを見てくれないというようなことがあるわけでございます。これは建設省であるとか、または道路公団であるとか都であるとか、いろいろと組織的にもありまして、確かにそういうことの調整というのは非常にむずかしいわけでございますけれども、こういう問題が起こったときに、住民側の立場としてなるほどそうだというときには金がかかるとかかからないとかは別にして、それを認めるところは一切認めてそういう問題を解決してあげなければいけない、このように思うわけでございますけれども、そういう点について、建設大臣が今後そういうときにどのように調整をはかってくれるか、そうしてまた、一歩前進した住みやすい道路や住宅をつくるかということについての見解をひとつお聞きしたいと思います。
  47. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  ただいまの問題につきましてそれぞれ御答弁もありましたが、問題は、人のいやがることはできるだけしないほうがいいのであります。しかし、場合によりますとまたごしんぼう願ったり、御協力をいただいたり、さらには力強い御支援も願わなければいかぬという問題がたくさんあろうと思います。そういったことですでに計画も実施されたということでたいへん不幸な状態が起こっております。道路公団、あるいは東京都庁、さらには住宅供給公社三つの機関がございまして——私も役人になってみましてわかりましたが、役所のなわ張りというものは相当激しいものがあります。それを調整しまして地域住民の福祉にこたえるということは非常に責任の重いことだと考えます。したがいまして、三つのこれだけ大きな機関がありますから、一千万をこえる人口をかかえた東京都庁でもありますから、まさかそう知恵のないこともないと思います。したがいまして、私どもといたしましては、関係三機関に対しましても、そういった住宅の皆さんができるだけ住みよい環境で御理解願えるような方向で、一生懸命でこの問題の善処を推進しなければならない、このように考えております。三機関にもお話を伺いまして、現在の不幸な状態がよりよい方向に推進できますよう、私も何とかできる限り懸命の努力を払いたいと思います。
  48. 新井彬之

    ○新井委員 このことにつきましては質問を終わりますけれども、道路公団の方もいつも御苦労されておることは私もよく存じておるところでございまして、この問題も、道路公団としては一生懸命に長期計画を立てられたが、テラスとの間が一・四メートルですか、そういうように道路と住宅との間がたまたまあまりにも近いような現状になってしまったというようなこともあるようでございまして、たいへんではございますけれども、そういう話し合いを続けられて、そうして話し合いが円満に解決された後にりっぱな道路をつくっていただくことをお願いいたしておきます。きょうはどうもありがとうございました。  次に住宅問題で少しお伺いしたいと思うのでございますけれども、第一次の住宅五カ年計画というものは本年が最後になるわけでございますけれども、いよいよ来年から第二次住宅五カ年計画を組んでまいるわけでございますが、この計画については、建設省として、昭和四十三年の住宅総合調査や戦後のベビーブームに生まれた人が結婚適齢期になることや、また核家族化の問題をとらえた住宅宅地審議会答申によって策定されたということを聞いております。第二次住宅建設五カ年計画案として発表されておりますけれども、その重点をどこに置かれて策定されたのかということをまず初めにお伺いしたいと思います。
  49. 多治見高雄

    多治見政府委員 お答えいたします。  この第二期住宅建設五カ年計画は現在われわれのところで作業中でございまして、予算編成もからみまして、最終政府案を決定いたしたいということで努力しておる段階でございますので、最終的にはまだ政府案として決定いたしておりませんが、御承知のとおり、全体の住宅需要戸数というものは、従来の第一期計画と同様に、いま御質問がございましたように、核家族化、あるいはベビーブーム期の出生者が結婚適齢期に達するというような特殊な事情も加わりまして、全体として九百五十万戸の住宅をつくらなければならぬという推定になっております。したがいまして、われわれといたしましては、その九百五十万戸を何とかこの五カ年間に建設いたしたいという計画を持っておるわけでありまして、御質問のその中におきます考え方でございますが、大体所得階層の分析をいたしまして、みずから適正な水準の住宅を確保できるという階層を別にいたしまして、何らかの公的な資金によって援助をしなければ適正な住宅を確保できないという階層を対象にいたしまして考えます公的資金の所要戸数は約三百八十万戸であろうという推定をいたしております。その中でこの三百八十万戸をどういう建て方をするかということでございますが、やはりこういった所得階層に対しましては、できるだけ公的な資金による賃貸住宅を重点に置いて供給いたしたいということで、住宅需要に対しまして五五%以上の公的資金による住宅供給をいたしたいということで、数字はいろいろございますが、大体そういった考え方で五カ年計画を策定しているわけでございます。
  50. 新井彬之

    ○新井委員 第一次の住宅五カ年計画では七百六十万戸というのが建設省計画であったのでございますけれども、大蔵省からそれが削減されまして六百七十万戸になっております。現在、都市周辺部の人口集中であるとか、また核家族化であるとか、地価の急騰の原因というものもますます加わってまいったわけでございますけれども、一世帯一住宅という五カ年計画の公約というのがまぼろしのように消えてしまって、今後この五カ年間で、第一次のような状態ではなくて、第二次の一世帯一住宅が完遂できるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  51. 多治見高雄

    多治見政府委員 お答えいたします。  御質問の中にございましたように、十分御承知のことと存じますが、当初建設省で立案いたしました計画数と最終的に政府案として決定いたしました計画案というものには戸数に差がございます。ただ、一世帯一住宅というものを達成しようという目標においては変わらなかったわけでございまして、その戸数の変化は、一世帯当たりの所帯の構成人員の推移についての推定が、建設省の案と最終決定されました政府案の間において若干違っておったということが原因でございまして、目標といたしましては、やはり一世帯一住宅ということを達成しようということで、第一期も努力をしたわけでございますが、御承知のように、確かに、努力目標である一世帯一住宅というものは、この第一期五カ年計画では達成できなかったということになっております。この計画と実際のそごは、都市への人口集中、それから世帯構成の変化、それから御承知のようなベビーブーム期の関係影響というようなものがございまして、そういう結果になったわけでございますが、われわれといたしましては、新しい第二次計画では、どうしてもそういった要素を全部勘案いたしまして、全体として住宅戸数九百五十万戸というものを達成したい、もしこれができれば、いまお話のような目標は達成できるというふうに考えておるわけでございます。
  52. 新井彬之

    ○新井委員 昭和四十三年の住宅統計調査によりますと、その時点で三百六十万戸の住宅難世帯があったわけでありますけれども、この大部分の人々というのは公的資金住宅入居希望であることは間違いないと思います。さらに、低家賃の公営住宅入居したいというのがその実態でありますけれども、これらの実態を考えあわせてまいりますときに、今回の計画の策定にあたって、公営住宅六百九十万戸というのは実態に即しておらないのではないか。また、改良住宅十万戸といっているけれども、第一次住宅建設計画の改良住宅建設計画の半分以下になるようなことにならぬような見通しというものがあるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  53. 多治見高雄

    多治見政府委員 ただいま御質問にありましたような点は、確かに、第一期計画の実行上の大きな問題としてわれわれとしても反省しておる点でございますが、公営住宅建設戸数につきましては、現在の第二次計画策定中の作業におきまして、われわれといたしましては、新しい計画で、改良を含めまして公営住宅を七十九万戸という数字で妥当であるというふうに確信をしておるわけでございます。  第一期計画の期間中におきます改良住宅計画とのそこでございますが、これは、改良住宅の事業執行が、第一期計画中まだ経験が非常に浅かったというような面もございまして、確かに御指摘のように計画どおりに進まなかったという点はございますが、第二期計画では、大体事業の進捗に対しまする当事者の、何といいますか、経験も積みましたし、用地その他の事情につきましても、第一期計画当時とは違った条件が出てきておりますので、この数字は達成できるというふうに確信いたしております。
  54. 新井彬之

    ○新井委員 確信しておるということでございますから、今後の見通しを見なければなりませんけれども、その点については、こまかい面についてはきょうは時間がありませんので議論しませんけれども、確信があるということで承っておきます。万一改良住宅の十万戸というものの達成が見通しがむずかしくなってきたときに、——現在八万戸の改良住宅のうちで四一・九%の達成率でございますから、これはなかなかできかねると思うのでございますけれども、その分を公営住宅に回す意思があるかないか。また、もし現在改良住宅の見通しがあるというのであれば、どの地区にどのくらいの戸数の建設を見通しているのか、それをお伺いしたいと思います。
  55. 多治見高雄

    多治見政府委員 お答えいたします。  いまの御質問は、もし改良住宅十万戸を達成できなかった場合にどうだという御質問だと思いますけれども、第一期計画の実績をごらんになってそういう御疑問を抱かれるのは、われわれといたしましてもまあやむを得ない御疑問であろうと考えます。ただ、第二期計画をつくります場合に、そういった点も十分検討いたしまして、これはできるという積み上げ作業をいたしましてきめました数字でございますので、ただいまのところ、これができなかった場合にはどうという点については、われわれといたしましては何とかこれはやりますという御返事しかできない段階であるというふうにお答えする以外ございません。
  56. 新井彬之

    ○新井委員 そうすると、さっき私がお聞きしましたところの、その改良住宅ができる場合に、どの地区にどのくらい予定があるのかということは、現在まだできていないわけですね。
  57. 多治見高雄

    多治見政府委員 改良住宅の十万戸という戸数でございますが、この十万戸をきめます場合に、それぞれの各地方公共団体から予定計画をとりまして、この地区にこれだけの改良住宅を建てたいということで出てきました数字をわれわれで判断いたしまして、実現の可能性のあるものを選んできめたということになっております。地区的にこういったところにこういう改良住宅を立てるということは、できるだけ詳細に検討した結果きめた数字でございますので、ただいまどの地区に何戸ということはちょっとお答えできませんが、積み上げた数字でございますので、その点御了承願います。
  58. 新井彬之

    ○新井委員 では、それはそれとして、十万戸できますことをお願いしたいと思いますけれども、今回の第二次五カ年計画におきまして、公的住宅建設配分では、大都市にその重点を置くようになっております。そこで、一つ大きな問題がここにクローズアップされてくるのでございますけれども、それは公営住宅入居基準でございますけれども、この入居基準となる所得制限が、公営住宅法施行令第五条によって第一種住宅四万円以下、第二種住宅については二万四千円以下に定められているのでございますけれども、特に大都市における勤労者階層の所得水準は小都市より上昇しており、現行公営住宅法の収入基準では、住宅困窮者でありながら収入面で入居資格にならない人がずいぶんあるということをたびたびいわれておるのでございますけれども、先般も、大阪府の昭和四十五年第一回の公営住宅の申し込みにおきまして、東鳥取の一種鉄筋五階建て物置きつき住宅の公募戸数二百五十五戸が、公募戸数の二百五十五人しか申し込みがなくて、やっと埋まった。それからまた同地区の二種鉄筋五階建て物置きつき住宅百六十一戸では、公募に対して九十六人しか申し込みがなかったので、再度公募するようになっているという現実の問題が出ておるわけであります。このような実情では、物価の上昇、労働賃金の上昇を考え合わせますときに、ますますその矛盾が大きくなってくる実情であると思うのでありますけれども、せっかくばく大な住宅建設の投資を行ない、住宅難の人々が多い都会で、入居基準の収入制限が低いために公募戸数に満たないようでは、国の政策としてお話にならない。これに対して適切なる入居基準となる所得制限にする必要があると思いますけれども、そういうことについて意思があるかないかお聞かせ願いたいと思います。
  59. 多治見高雄

    多治見政府委員 お答えいたします。  いまお話がございましたように、公営住宅につきましては収入基準がございまして、一定の収入以下の人しか入居できないということになっております。したがいましてこの基準をどうきめるかということが公営住宅の使命を達成する上の大きな問題でございますが、御承知のように、経済条件は時々刻々に変化しておるわけでございまして、確かに、いまおあげになりましたような例が最近出てきているということはわれわれ十分承知いたしております。それからまた、地方公共団体のほうからも、実際の入居募集その他の情況から、現在の収入基準を変える必要があるのじゃないかという希望が相当強く出ております。実は、できるだけ早い機会検討して改定したいということで現在作業を進めておりますが、収入基準をはたしてどういうふうにどの程度変えたらいいのかというところで、まだ最終的な結論を得ておりませんので、できるだけ早い機会に、現在の経済情勢にマッチし、しかも低所得者を収容できる基準に変えたいということで現在作業を進めておるところでございます。
  60. 新井彬之

    ○新井委員 この問題は非常に大きな問題でございまして、実際問題として、二万四千円から四万円の収入、それから二万四千円以下というようなことでございますけれども、そういうような賃金、収入であっては現在生活ができない状態でございます。したがって、やはり賃金のアップ等もいろいろあるわけでございますけれども、そういうことで特に住宅に困っておる都市においては、住宅に困っている、土地を買おう、また家を買おうと思っても、非常な金がかかりますし、それだけの金はない。生活も一ぱい一ぱいだけれども、そういう公営住宅に入ろうと思っても入れない。したがって、そういう方々がかえって狭いアパート等で非常に困っておるという例は多々あるわけでございまして、この問題は何もいまに始まったことではなくて、もう数年前からそういう問題というのがだいぶクローズアップされてきたわけでございます。したがって、この問題については早急に検討をしてやってあげなければ、幾ら住宅五カ年計画で一世帯一住宅をうたってみても、住宅は建ったけれども入る人がいなかったというようなことになりかねない場合も考えられてくるわけでございまして、この問題についてはひとつ早急にやっていただきたい。こういう問題について、政務次官、今後早急にそういうことについて検討し、早急にその基準を改めるということについての考え方、決意をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  61. 田村良平

    田村政府委員 お話にありますように、経済界が非常に激しい変化をしておりますから、実は、行政もなかなかよう追いついておりません。いま局長からも御答弁申し上げましたように、こういった問題はお互いの生活に非常に重大な影響を持っておりますので、できる限り早い機会結論を出して、この問題を前向きに進めていくというような方向でいきたいと考えております。
  62. 新井彬之

    ○新井委員 次に私が少し心配しておりますことは、第二次住宅建設五カ年計画が策定されまして、公的賃貸住宅三百八十万戸の建設を目標として大蔵省に予算請求をなさっておるわけでございますけれども、団地建設をすると、学校建設の用地費であるとか、それに伴う公共施設の投資に自治体が財政難におちいるので団地建設はお断わりである、そういう自治体が増加しておるのでございますけれども、計画で策定された戸数が、財源等の問題から、関連公共施設の補助を相当大幅に各省間から出していかなければ、この計画も絵にかいたもちになってしまうと思うのでございますけれども、その点どのような対策を立てているのか、さらに建設用地を確保する確信があるのか、そのことを公団と住宅局長にお聞かせ願いたいと思います。
  63. 多治見高雄

    多治見政府委員 これは、ただいまお話がございましたように、確かに、大きな規模の団地ができまして、地元の市町村が関連の公共施設の必要に応じるだけの財政能力がないという問題があり、最近、われわれといたしましても、住宅建設の上で一番大きな、また一番困難な問題というふうに考えて、これに対する対策に非常に苦慮しているところでございますが、現在やっております施策といたしましては、一番問題は学校でございますけれども、学校につきましては、用地の地方公共団体に対します譲渡価格を半分にする、あるいは施設についての公共団体の支払いを割賦で、できるだけ長い期間で返していくとかいうようなことで、国のそういった義務教育施設に対する補助を、公団が当面何とか間に合うように援助したいということで、その面の努力はできるだけいたしておるつもりでございます。現在やっております施策だけでは、御承知のように非常に人口の少ない地方公共団体のところに急激に大きな住宅団地ができるわけでございまして、当面これに対処するだけの財政能力がないということははっきりいたしておりますので、とにかく、これに対する当面の施策は、何とか公団も力を入れ、われわれも力を入れて、これに対応する処置を講じたいということでやっております。長期的に見ますと、やはり教育施設あるいは道路、下水、公園といったような公共施設は、その公共団体自体が責任をもっておやりになる問題でございますので、時期的な問題が一番大きいいというふうにわれわれは感じておるわけでございます。当面急激にふえた人口に対応するだけの公共施設をつくる財政能力がないという点を、何とかこちらでできるだけの御援助をして、それに対応していただいて、長期的にはここからあがる住民税その他を考えまして、教育施設は本来の地方公共団体の責任として運営していただくというところまで持っていきたいということでいろいろな施策をしているわけでございまして、なかなか十分とは現在われわれも考えておりませんけれども、その面についての努力はいたしておるつもりでございます。
  64. 林敬三

    ○林参考人 ただいま御質問の中にもございましたし、また建設省住宅局長のお答えの中にもありましたとおり、これは、現在私どもが事業を実施いたします事業体として直面している一番大きな問題でございます。ことに一番大きいのがいまお話しのありました学校用地の問題でありまして、小さな自治体のところに大規模の町づくりのような、従来の自治体に匹敵する、あるいはそれよりもずっと大きいものが出てまいりますときの費用の分担という制度がまだできておらないというのが現状でございまして、私ども実施事業体の立場から、所管の建設省に、また文部省、大蔵省に絶えずお願いしておって、またいろいろと学者を入れましたり、関係者を入れた委員会をつくって——基一本的には、教育ということは、学校の用地などについては自治体でやることでありましょう。それが自然のままにというか、そんなに無理なくこれが受け入れられて施行できるような形に、国庫補助なり、起債なり、利子補給なり、あるいは公団のたてかえなり、あるいは原因者負担といいますか、公団へ大勢入ってくる、それの負担の限度。そういうことで、当面十年くらいは自治体は何とか自治体の経済で、在来の方々に対する行政施策も怠らずに、こういうこともできるという方向に持っていかなければならないということで、目下公団としても苦闘いたしておるのでございますし、これは早晩解決をつけていかなければ壁にぶつかる問題だと存じております。
  65. 新井彬之

    ○新井委員 この問題は、やはりあらゆる施策というものがよく連携をとってやっていかないと——その一番の問題は土地政策になると思うのですけれども、確かに、これは公団だけがたいへんであるとか、公営住宅がたいへんであるというよりも、一般の住民の方も、あそこの土地は坪十万円しておる、貯金をして買おうと思ったら、今度はそれが十五万円になった、二十万円になった、それもたまったころには売れちゃったということが各所で行なわれておるわけであります。そのために公団としては、なるたけ遠いところで、しかも山か何か切き開いたところへ持っていかなければいけないということがこれからの五年間にだいぶ想定されてまいりましたね。そういう場合に、学校の問題だとか、それからまたそこへ道路をつける問題だとか、——いまもよく新聞等で問題になっておりますけれども、遠いところから通っている方は、電車から降りたらかけ足でもって女、子供なしにタクシーを取り合いしている。それが行ってしまいますと今度は三十分くらい待たなければならない。こうなるとまた運輸との関係で、そこにやはりバスを走らせなければならない、道路をつくらなければいけない。こういうようなことで、住むところには、いま生活環境の基準というものが非常に問題にされるわけでございますけれども、そのためには非常にいろいろなところと折衝しなければならない、こういうように思うわけでございます。いまもそういうことについてはいろいろと援助もしていくというようなお話もございますけれども、今後の日本の国土をつくるのに、この公団というのは、ほんとうにモデル的な、りっぱな、世界に名だたる都市づくりができるかどうかの非常に重大なテストケースみたいな形になってくるのじゃないかと思います。そういう意味で、政務次官、今後建設省として全力をあげて公団住宅の土地の確保をし、そしてまたそれがみんなに喜ばれてやっていけるというような施策というものを強硬にやっていただきたい、こう思うわけでございますけれども、ひとつ決意を聞かせていただきたいと思います。
  66. 田村良平

    田村政府委員 お答えいたします。  いまお話しの点は、私も率直にそのとおりの見解でありますが、どちらへころがしても国民皆さんの負託にこたえなければならないので、土地取得が困難だの、金がどうのといったって結論は出てまいりません。こういう質問に対して何べんも同じような御答弁をしなければいかぬことば、私自体良心的に苛責があります。いま公団の総裁も、苦闘しておりますが厚い壁ですので、などというたいへんな御答弁でありますが、そういう答弁をさせていること自体、これは国としてもえらくだらしないことだと思います。そういうことですので、ひとつこれは思い切って何とか早く結論を出したいと思っておりますので、御了承を願います。
  67. 北側義一

    ○北側委員 関連して。  私、聞いておりまして一番問題なのは、たとえばこの第二次五カ年計画を策定しまして、公団住宅を相当数、五十五万戸ですか、五カ年で建てるようになっております。都市開発、面開発をやって建てる分もあるのでしょうが、やはり一番困難なのは現在の学校用地の問題です。要するに、公団住宅が建つことによりまして自治体が学校建設もやらなければならないし、関連公共施設もやらなければならない。もう公団はお断わりであるという自治体が非常にふえてきておる。これではたして五十五万戸建つのかという心配があるのですよ。私、いま考えますと、公団がこれからの進んでいくべき方向を少し考えなければいけない時点がもうすでにきておるのではないか、こういう考えを持っておるわけです。たとえば利子にしましても、いわゆる財投の金でいま五分ですね。この利子を補給するとか、あるいは一つのランクをつくって、畳にしましてもあらゆるものが全部大量生産に入るとか、何らかの形をやらなければ家賃は上がる一方。そして実際の問題としては、公団としては、これ以上関連公共投資とかそういうものを出した場合には、公団の第一条の目的であるところの、勤労者に対して良質な住宅を提供するという項目ははずれてくると思うのです。ここらで国全体として、この住宅公団の家賃の問題とか、あらゆる問題に対してどう対処すべきかということを真剣に取り組むべき時期がきておるのではないか、私はこういうふうに考えておるわけです。  それとあわせて、先ほども話がありましたとおり、公営住宅の家賃のいわゆる上限の制限がある。公団住宅は家賃がうんと上がってくる。その中間層はどこにも申し込むところもないという実際。そういう階層が非常に多い。先ほども新井さんからお話がありましたとおり、二種あたりになりますと、もうすでに募集戸数が申し込み戸数よりずっと多い。こういう実態も出てきておるわけです。こういう問題にすみやかに対処していくのがいわゆる政治の施策ではないかと私は思うのですよ。もちろん、検討なさるという御答弁がありましたが、この点につきましても私はお願いしたいことは、やはりここらで第二次五カ年計画を策定なされて、大蔵省で——これはどういう方向で出てくるのかわかりませんが、やはりこれは相当真剣になってやらなければ、その第二次五カ年計画を策定したってまた同じような結果が出るようでは、これは話にならないと思うのです。そういう点で、政務次官、きょう大臣はおられませんので、その御決意を再度お聞きしたいと思うのです。
  68. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  この席でたびたび御答弁申し上げたのですが、実は、第一期の建設五カ年計画が五年目にアウトになっておりまして、これは少なくとも閣議で決定しておいて、最終年次に何とか結末をつけるのが当然の責任なのに、五年目はできませんでしたというので、私ここで何べんも御答弁をして非常に苦しかったのでございます。きめたことをやらぬということは、これは閣議の権威に関することだと思います。途中で計画の変更があったにしても、五カ年を通算したら五年目には約束の建築計画ができなければいかぬということがほんとうの正しい政治だと私は考えておりますので、いま御両所から申されました点、私ほんとうに自分の身に置きかえても同意見であります。したがいまして、せっかく立てました今度の第二期計画が、またぞろ三年目、四年目に何かおかしくなったということでは、私はたいへん責任が重いと思いますので、新しい局長もがんばっておりますので、あらゆる問題を含めまして一生懸命にこの約束の計画を果たすという方向で努力いたしたい、そういうふうに考えておりますから御了承願います。
  69. 新井彬之

    ○新井委員 さっきもお話がありましたように、この住宅問題は、今後ベビーブームを迎えまして非常に大事な問題でございます。たいへんな問題であることもよくわかりますけれども、いま次の五カ年で確実にやるということですので、どうかそのことばが間違いでないように、ひとつお願いをいたしたいと思います。  どうも日本住宅公団の方、ありがとうございました。  あと、道路問題をいろいろお聞きしようと思ったのですけれども、時間もあまりないので一つだけお聞きします。  これは去年の二月だったと思いますけれども、姫路バイパスの促進についてのことをお伺いいたしまして、その際に、建設大臣は、先行取得をやればどんどん仕事をやりましょうというように言明をされました。また建設局長だったと思いますけれども、本年は二十二億円ぐらいかけて用地の先行取得をやります、そうして二車線、四車線を検討しておりますけれども、その問題はなるたけ四車線にしたいということで努力をするというようなことでございましたけれども、この姫路バイパスの状況については、前にもいろいろ説明したとおりでございますけれども、どのような状況で建設されておるのかひとつお聞かせ願いたいと思います。
  70. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 姫路バイパスにつきましては十分御案内と存じますので省略いたしますが、この東の端のほうは高砂市の魚橋からスタートしているわけでございますけれども、その東のほうには、例の加古川バイパスがございます。加古川バイパスはすでに供用を開始しておりまして、このために相当交通が混雑している状況でございます。西の端は太子町の山田というところでございまして、ここで国道二号線に接続しているわけでございますが、延長十八・二キロメートルで、現在、地元の県の公社が金を支出しまして、市が中心になって用地買収を行なっている状況でございます。  なお、先ほど御意見のございましたように、最初は二車線で供用するつもりで直轄で開始したわけでございますが、その後の交通量等を勘案いたしますと、先ほどの加古川バイパスも昭和四十七、八年ごろには四車線にする必要が出てくるようでございます。そうしますと、それを受けまして姫路バイパスが二車線ということになりますと、またそこで混雑を起こすおそれがございますので、これはやはり全幅員を完了する必要があるということで、計画の変更をいたすことにしたわけでございます。これはこまかくなりますが、東の端の魚橋から明姫幹線の入るところまでは四車線でございますが、そこからさらに中地と申します姫路の町のところまでは六車線の計画になっております。中地から終点の山田までが四車線の計画でございます。これを、先ほど申し上げましたように加古川バイパスの四車線の完了に合わせまして、暫定で姫路市内に入る。中地まで四車線で完了する予定で準備を進めているわけでございます。なお、継という地先から姫路までは平面街路になりますので、町の中に入りますので、その間は六車線というような計画にしたわけでございます。したがいまして、そういうことから事業の金が非常に大きくなりまして、当初二車線で暫定的に供用開始するつもりのものが資金が不足することになりましたので、昭和四十六年度より日本道路公団に有料道路として整備を進めるように指示いたしまして、日本道路公団から予算要求されているわけでございます。それによりまして、昭和四十八年度には全区間が供用開始できるような計画になっております。  なお、用地買収につきましては、四十六年度には十六億五千万、四十五年度には二十五億、来年度は十億で完了することになっております。
  71. 新井彬之

    ○新井委員 この道路行政の中で一番大事なのは、何といいましても日本の幹線道路をすみやかに通していくということが大事だと思います。現在の大阪のラジオ等を聞きましても、交通渋滞が起こっているのは加古川バイパスが終わった地点から姫路を抜ける地点でございまして、これか車の増加とともに年々ますます増加の一途をたどってくる。そういうことであまり混雑をしますから、いままであそこを通っていた車が市街地の道路を通る。したがいましてそれが非常にいたむ。それでそれを補強しなければいけないような状態になることと、もっと道路を整備しなければいけない。こういうようなことで、よその車のためになぐり込みをかけられているというような現状があるわけでございます。これは、幹線道路がずっと通っているところは至るところにそういうところがあるとは思いますけれども、そういうときに、事業認定をした場合に、やはりほかと同じように、そういう状況をわきまえないで予算がきめられてしまうというようなことがあるようでございますけれども、これは時間がないのでこれだけにしておきますけれども、そういうことについては道路の十分な効果ある運用という面からひとつ今後ともよく検討していただきたい、このように思います。きょうはもっともっと基本的な道路予算についてのお話を聞こうと思いましたけれども、時間もたってしまいましたので今後に残しますけれども、どうかひとつそういう点についてはよろしくお願いいたしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  72. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 三木喜夫君。
  73. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いま姫路バイパスのお話が出ましたが、二つの点でひとつお考えをいただきたいと思うのです。  実は、有料バイパスだというお話が出ました。これは非常に安易な方法をとっておると思うのです。道路というのは、たとえば観光とか、有料にして、そして償還をやらなければならぬというようなことを考える場所もあると思うのです。しかしながらこれはバイパスということになりますと、みな苦しまぎれにそちらにバイパスをつくるのですから、それから金を取るというのは苛斂誅求もはなはだしいと思う。こんなやり方はやめてもらいたいと思うのです。いま、京都と兵庫県とよく比較されるわけなんですが、京都には有料道路というものはない。たった一つ比叡山にはありますけれども。兵庫県は各所に有料道路をつくろうとする悪いくせがある。これは県の姿勢にもよりますよ。県の姿勢にもよるけれども、それにおんぶして、建設省がそういうことにイージーな方法をとってはだめだと思う。これはひとつ改めてもらうような方向を打ち出してもらいたい。  それからもう一つ。バイパスをつけるというのなら、ひとつ大きい計画を一ぺん踏まえて考えてもらわなければならぬ。ということは、一方では本四連絡架橋の問題がある。これが根っからはっきりしない。これは鳴門にするのか、瀬戸大橋にするのか、始まりはわかったようなまだわからぬような、わけのわからぬようなことを言っておる。しかし現実に瀬戸大橋をやるというんなら、あの山陽道の国道はもっと複雑になる。そうした場合にどう関連してやるかという計画を持ってもらわなければ困ると思う。たとえば姫路バイパスができて、山田のところで先どまりになりましても、そこから先どうする。ただ一時のがれに車の流れを次々と向こうへ押し寄せてしわ寄せするだけの話ですから、そこから向こうのバイパスというものについてどういう計画を持っておるのかという点も一つの見通しとしてやらなかったら、日本の道路計画というものがその場のがれになってしまう。この二点についてお伺いしておいて、私も地元等の関係もよく考慮しながら今後そういうような対策を立てなければいかぬと思う。あなたのお話によって、ですね。
  74. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 最初の有料道路の問題につきましてお答え申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、われわれも道路は無料公開が原則だと考えておりまして、有料道路は必ずしもこちらから積極的に推進する意思はございません。ただ、御案内のように、道路投資を上回るような自動車の台数の伸びが日本の国土の至るところに交通隘路を生じておるような状況でございます。したがいまして、われわれは全力をあげて無料の道路をつくろうと努力しておるわけでございますけれども、なかなか資金的に間に合っておりません。たとえば、先ほど御説明いたしました姫路バイパスにしましても、県の公社に約五十億近い用地費を借りておるわけでございます。これは単にここだけではございません。姫路バイパス以外にも、たとえば広島バイパスにいたしましても、これは約六十億くらいの用地費を貸してもらっております。現在ただいま全国で五百億円の借金を計上しておる、こういう現状でございまして、それでも生懸命で直轄で無料の道路をつくる努力を続けておるわけでございますけれども、そういうような状況で、何とも道路投資が間に合わぬというような実情でございます。そういうようなたてまえから、これは何としても道路をつくらなければいかぬという個所につきましては、一部有料道路制度を採用しておるわけでございます。有料道路には、御案内のように、国の代行機関である日本道路公団が行ないます有料道路と、それから地方道路公社が行ないます有料道路がございます。ただ、日本道路公団の場合にはやはり財投のワクにしばられましてなかなか実施がむずかしいようでございます。最近は地方道路公社にお願いするようなかっこうになっておるような現状でございます。  いまほど御指摘のとおり、われわれは必ずしも有料道路を推進しているわけではございませんけれども、そういうふうな事情で、たとえば特に交通量がふえております兵庫県におきましては積極的に有料道路を採用しておるようなことは事実でございますが、御指摘のように、われわれは必ずしもこれはいいことであるというふうに考えておるわけではございません。  それから第二点の姫路バイパスから西のほうでございますが、これは通称西播バイパスあるいは播磨バイパスというようなことを言っておるようでございますが、これの計画につきましては、地方建設局はすでに数年前から調査を進めておりまして、これにつきましてもいまほどと同様に無料でつくるのが最もよろしいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、姫路バイパスですら無料をこの五カ年計画で手当てするだけの金がございません。しかし、そうしておきましても、何としても姫路バイパスが完了すれば太子町でまた交通混雑を起こすおそれは十分ございますので、現在は高速自動車国道、山陽自動車道とわれわれは言っておりますが、その調査がかなり進んでおりますので、それでやるか、ないしはいままで申し上げました日本道路公団の行なう一般有料道路でやるか、いずれかの方法であろうということで検討を進めております。  ただいまの見通しでは、一般自動車道につきましてのルートと高速自動車国道のルートとが完全に一致する場合には高速自動車国道として建設するほうがよろしいのではないか。これはきわめて事務的な話でございますが、そういうふうなことで高速自動車国道でやってはどうかということで検討を進めております。
  75. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いまのお話の中で、なるほど実情はわかりますよ。それから西播バイパスについても、地元は苦しまぎれで有料でもけっこうですと言っておるのだけれども、本心じゃない。それで、いまあなたのお話の中で二つ問題点がありますよ。一つは、有料道路というのはその地方の地価を上げるのです。償還できるからというので、相当高い値で買うということなので、そういう地価をつり上げる一つのえさになってしまう。新都市計画も実施されたのですから、公共用地については、そうそう住民の言うことだけ聞いて地価をつり上げるような方策をとってもらったら、これまた住民にはね返ってくるのですから、そのイージーな方法というのは土地の値段をつり上げる一つの方法だということを考えてもらわなければいかぬ。これをひとつお考えの中に入れておいてもらいたい。  それから、いまお話し申し上げましたように、兵庫県とか、大阪とか、京都とかいうのは、山陽道で国の一番サンプルになるところですよ。あるいはまた、山陽道の表街道というのは、観光の道路、お買いもの道路であり、国民の生活道路ですよ。そういう日本の一番表玄関でどこでも有料道路にして、それでえたりかしこしとやっておる姿勢というものは私は問題だと思う。こんなところに有料道路をつくって、これは一番恥さらしですよ。そういうことをひとつ考えに入れて検討してもらう必要があると私は思うのです。答えを出しておいて次官に聞くのはおかしいですけれども、次官、どうですか。そういう道路政策というものを私は非常に不満に思う。政務次官、どうですか。ひとつあなたの意見を聞いておいて——どうせ局長が耳打ちするようなことを言われるかもしれぬけれども、いいです。ひとつ検討してください。
  76. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  先に御意見を出していただきましたが、私も無料で公開するということが当然だと考えます。しかしながら、バイパス利用も需要でありますから、できるだけ早期に需要にこたえて、便利な交通網、輸送網の整備をはからなければならぬ。ただいま申し上げておりますように、ある場合にごしんぼう願ったり御協力願う場面が出てくると思います。いま道路局長もこの点について具体的な御答弁を申し上げましたが、おそれ入りますが、ひとつ三木先生におかれましても、また何らか建設行政に御協力願うということから、あわせてひとつ御検討お願いいたしたい、このように私のほうからお願いも申し上げたいと思います。できる限りいい方向に行くということが政治の前進と心得ておりますから、この点もひとつあわせて御協力をお願い申し上げて、答弁にならなかったかとは存じますが、ひとつ……。
  77. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 次回は来たる十六日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会