○曽祢
委員 先ほど来のお話といままでの御答弁でお
気持ちはわかるのですけれども、やはり
返還協定の中にあるからというんじゃ、私は実際政治的には済まないと思うのです。ですからいま言われましたように、私の意見も含めて、日弁連ほど権威があるかどうか知りませんけれども、やはり
憲法上の障害ということはおかしいと思うのです。したがって地位
協定十七条のそれに触れたような
裁判権の
移管も不可能ではないように考えますが、それをしも困難な場合には、ほかの
委員も言われておるように、あるいは
民政府移管の問題もありましょうし、いろいろなことを考えて、とにかく一番大切なことは
返還協定の批准、調印、実施まで待っていられないという緊急な
事態に対する、いわゆる過渡的な問題の
解決をぜひ進めていただきたいと思います。
それから時間がないのでさっそく駐留軍撤退の問題に触れますけれども、私は今回の
日米安保協議委員会の
決定、これは
アメリカのニクソンドクトリンの実施の段階に入ったものだと思うのですけれども、いわゆる在日戦闘部隊がほとんどいなくなる。少なくとも
本土に関しては岩国の部隊以外はほとんど実戦部隊はいなくなる。
沖繩の問題もあとに残りますけれども、しかしこういう
基本的な方向は私は健全な方向だと思うのです。われわれがかねて主張しているような一種の常時駐留なき、
基地がほとんどなくなるような安全保障が、少なくとも条約上じゃないけれども、制度、運営上そっちに行くということは、
日米間のトラブルに対する
一つの緩和剤になることは間違いない。そういう意味では、
基本的な方向としては、私はこれを大いに歓迎するものでございます。ところが、今度の大量の
米軍の撤収とこれに伴う大量の
日本の
基地従業員のいわゆる首切り、解雇が行なわれるに比べてみると、といいますか、その
基地の
日本に対する返し方が非常にけちけちしている。結局、
アメリカ軍がそのまま留保しているというのが非常に多いのですね。それでは駐留なき安保、あるいは有事来援といってもいいですけれども、そういう形にほど遠いと思うのです。それは私はいろいろの理由があると思いますけれども、
外務大臣にぜひお考え願わなければならないと思うのは、やはり外務省が言っておられるように、いまの地位
協定の第二条の(a)ですか(b)ですか、とにかく
日本の現在の地位
協定の考えからいいますと、
日本に
返還した以上、ごく一時
米軍が使うということの余地はあるけれども、そういう
事態は望ましくないけれども、有事に使うというようなことについて、あるいは継続的に使うというようなことは、いまの地位
協定がほとんど予見してない
事態だと思いますね。したがって、私はそういう
事態に応じてやはり
日本側がなるべく飛行場等を
移管してもらい——特に飛行場の場合だと思うのです——その中の不要のものは民間に返す。どうしても
日本の自衛隊が必要なものについては、そして
アメリカ軍が将来有事来援というものについては、これはいさぎよく
日本側に
移管させるためには、どうしてもやはり地位
協定のその点を少し直す必要がある。ところがどうもその問題になりますと、
外務大臣及び
政府一般のお考えかもしれませんが、
沖繩返還は現在の安保条約及び地位
協定をそのまま適用するのだ、これが
沖繩の
本土並み
返還の根幹である、というこのお考えは、原則論としては正しいと思うのです。しかしあまりそっちにとらわれているとやはりおかしなことになるので、少しでも
本土から早く
米軍が常時駐留の形をやめたほうがいいのに、それを何か
米軍がいまの行政
協定——地位
協定の
関係では十分に充足されないかもしれないから、一応念のために欲ばって
米軍が留保しておこう、そういう状態が続くのは、決して
日本のためにならないし、
日米両国のためにもならぬ。だからそういうことの必要があれば、
沖繩に関してだけ特例をつくるのじゃないのですから、全体については新たなニクソンドクトリンといいますか、
日米両国の安全保障の具体的なあり方が変わってくるなら、それに応じて有事来援ということも過渡的には必要だと思います。ただその場合、
日本からの外に対して出撃については、
日本の拒否権というものが厳としてなければなりませんけれども、有事来援の形によって、大部分の
基地をなくしてしまう。常時駐留がなくなることは私はいいことだと思うので、そのいいことのために必要なら、地位
協定の改定くらい考えてもいいんじゃないかと思うのです。どうも私は
外務大臣はその点に関する考え方がかた過ぎるという感じがするのですが、いかがですか。