○曽祢
委員 きょうは実は日米繊維交渉についてお伺いするつもりでしたけれども、先ほど
戸叶、大久保両
委員が触れられた日中問題についても、ごく重要な二、三のポイントだけを
外務大臣から伺いたいと思います。
私は、この十一月十七日、十二月四日の本
委員会における
質問で申し上げましたように、
政府の
政策転換は必至である、必要である。ただその間この
国会を通じて
政府の今後の施策の大綱というものが出ていないことは非常に残念である。残念であるけれども、ただまだ検討中というだけなら私はまだいいと思いますけれども、本
国会中における特に
総理大臣の
質疑応答の、応答の
態度といいますかにおいて、どうもたよりないという感じがしてならぬ。したがって、ほんとうならば本
委員会に
総理大臣に出ていただいて、みずから本
委員会の権威において伺いたかったのですが、それができないのが非常に残念だと思います。そこで、やはり
外交問題でありまするから、むろん
総理大臣の統括下ではありまするけれども、責任者は
外務大臣であられるわけなんで、
総理の補佐という意味からいっても、きょうは
総理にかわって
外務大臣を責めるんではありませんが、
外務大臣からお答えを願いたい。
私が心もとないというのは、たとえば本
委員会でも現在問題になりました
日本と大陸との間の
戦争状態があるのかないのか、その法的解釈についてです。これは従来の保守党
政府は、一貫して、
国民政府との
条約で
戦争状態は全
中国において終了したという
見解をとっておる。そのいい悪いは、
政策論は別です。それが、この重要な
中国問題を論議するこの
国会において、少なくとも
総理大臣の
参議院における、
予算委員会における答弁で、第一回では、その法的は少し怪しい、だから事実上は戦争じゃないが、国交は回復してないけれども、
戦争状態ではないじゃないかという答弁、これは重大な
一つの方向転換かと思う。翌日はまたそれを否定して、そして従来の解釈のとおり、法的にもやはり全
中国に対して
戦争状態は終わったという解釈に戻った。
〔永田
委員長代理退席、
委員長着席〕
そういう重大なことが一日くらいでぐらぐらっとするんでは、
国民としてはまことに心もとないんじゃないか、こういう感じがする。
第二の点は、今
国会の約一月前、たったわずか一月前、一月二十一日の
国連二十五周年記念総会において、わが
総理大臣はわざわざ出かけていって、そして演説しておられる。その中で
中国問題もやはり分裂国家の問題であるということを明確に言っておられる。私も事実そうだと思います。国々によってそれぞれ分裂国家の
やり方がいろいろあると思いますけれども、一民族国家に
二つの
政府が争っているという点をもし分裂国家というならば分裂国家に違いない。分裂国家の場合には絶対に戦争で解決するな、武力行使は避けなければならぬ、これも
総理大臣の言うとおりであります。そうして、さらに進んで
総理大臣は、「恒久的な平和のために最も必要なことは
相互理解による解決であります。相対立している当事者が、それぞれの住民の意思を尊重して話し合うことが問題解決の基本であります。」私は原則として正しいと思う。しかし、この問題がもし
中国問題にこのまま適用されるとすると、私は相当そこに重要な問題がある、これは民族自決権をどっちに対しても、すなわち小さいほうに対しても認めるべきだということを含意しているんだと思うのですね。そういう重大な
政策発表なりが
国連の総会において行なわれ、次に大切な
国民に告げるときになると——その間にいわゆるアルバニア
決議案がとにかく多数で可決するという重大な事態の変更が
国連総会において起こったことは事実であると思う。それにしても今
国会における
総理大臣の
態度は
中国問題に対してどうかというと、完全にこれは逃げの姿勢ですね。いわく国際主義は守る、国益は尊重する、第三には国際緊張緩和にプラスする、私がこの間も言ったあたりまえのことを言っている。いま
考えているということはわかる。少なくともここまで
国連総会で大きな
政策宣明みたいなことを言っている
総理大臣が、そのことについて一言も触れていないということ自身が、
国民に対してどうも情ないのではないか。その内容のいい、悪いは別として、私は
中国問題に対する
総理大臣の姿勢においてまことに心もとない感じがしてならない。そういうことから
新聞は、先ほど戸
叶委員が指摘されたように、そう言っては悪いけれども、どんなに高級であっても一外務官僚が
アメリカに事務的な検討の問題に行くんだろうと思う。それが何か日米間に今後少なくとも
国連総会における
中国政策に関して何か打診的な、あるいは予備会談的な意味を持つんじゃないかというふうにマスコミが追っかけるのが無理ないくらい、この今
国会における
総理大臣の
中国問題に対する姿勢は、
国民に対して重大な信頼感を持ちながら、
国民はそれに時間等をかして必ずしも性急な解決を求めていないと思うけれども、少なくとも自信に満ちた建設的な歩みをしていないのじゃないかという感じを持たせていると思うのです。したがって、私は
戦争状態の問題についてはもう御答弁を求めません、それはもうわかっているのですから。ただ、こういったような、ぐらぐらしないように、ひとつ
外務大臣もしっかりやってもらいたいということと、少なくともこの分裂国家と住民の意思を尊重するという点についての
国連総会における
総理大臣の発言は、
中国問題を含めて
一つのプリンシプルとしてそういう方向を
考えておられるのかどうか、この点についてだけ御返答を求めます。