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愛知国務大臣 外務委員会におきまして、
西銘委員を
沖繩からお迎えいたしまして、最初の御
答弁に立ちますことは、私もまことに感慨無量の感じがいたす次第でございます。ただいままたたいへんありがたいおことばをいただきまして、
感謝申し上げる次第でございます。
御
質問の点につきましては、ただいまもお触れになりましたように、
政府としては
機会あるごとに誠意を尽くして昨年十一月の
佐藤・
ニクソン会談による
共同声明の
内容あるいはその意味するところを御説明いたしてまいったわけでございますけれ
ども、あらためて
沖繩県民を代表されるお
立場で御
質問でございますから、お答えを申し上げたいと思いますけれ
ども、この
沖繩返還の問題につきましては、
共同声明においては、その根幹となっておりますところは、十分に
共同声明の上に明確にされておると思います。
一つは七二年中に
返還ということであり、
一つは
本土並みということであり、
一つは
核抜きということでございまして、七二年中の
返還ということについては、
共同声明の上で、それぞれ立法府に対する
手続ということが条件になっておりますけれ
ども、これは特に
日本側におきましては、
返還協定が締結された場合、これを
国会の
承認を求めるということは当然のことでございますから、その当然のことをここに書いたわけでございます。
あとでいろいろ御
質疑もあろうと思いますけれ
ども、ただいまのところといたしましては、
返還協定に関する
日米間の
協議も順調に進んでおりまするから、七二年のなるべく早い時期に
返還の効力が発生して
返還が実現されるようにということを念頭に置きまして、逆算いたしまして、来年の夏ごろまでには
返還協定の調印を終わり、そして来年後半におきましては、
国会の御
審議をいただくということを心組んで、その日程と申しますかを描きながら現在
返還協定の
作成に
努力を傾倒しているわけでございますが、ぜひそういうふうな
日取りで
政府としての最終的な
努力を詰めてまいりたいと思っておりますから、七二年
返還ということには何らの疑いも持っておりません。
米側におきましても、あらゆる
機会におきましてそのことは確認いたしております。
それから、
本土並みということにつきましては、
憲法をはじめ
本土の一切の
法令、それから
本土として締結いたしておりました一切の外国に対する
条約、その
関連の取りきめ、特に重大な意味を持ちますのは
日米安保条約でありますけれ
ども、この
関連の取りきめを含めまして、一切何らの
変更なしに適用されるということが、
共同声明におきましても
合意されているわけでございますから、これがいわゆる
本土並みということの
実態をなすものであります。この
関係につきましては、
アメリカとの間の
交渉においては、
日米安保条約はもとよりこれに
関連する一切の取りきめが何らの
変更なしに適用されるということが
合意されておりますから、それを前提にいたしまして、
返還協定並びにこれに
関連するいろいろの
協議が、その
基本線のワクの中で現在
話し合いが行なわれておるわけでございます。
それから、
核抜きの問題でございますが、
本土並みということでございますれば、
核抜きということが当然のことでございますけれ
ども、特に
沖繩県民の
方々のお
気持ち、そしてまた
日本国民の基本的な
考え方から申しまして、これは非常に大事な特殊な問題でございますから、特に
共同声明におきましても第八項という一項を起こしまして、特に
核抜きにつきましては、
アメリカ側として、
日本国民の核に対するかねがねの
国民的な
感情や
考え方というものを十分に
理解して、その上に立って
日本の
政府の
政策に背馳しないように
返還を実行するということに相なっておるわけでございます。核につきましては、申すまでもないところでございますけれ
ども、核を入れないということが
条約上の
約束になっているのではありませんけれ
ども、核を持ち込むというようなことが
事前協議の
対象になっていることは明白であります。このことは、しばしば
米側におきましてもその点ははっきりさせておりまするし、また
日本の
政策を十分に
理解をして、それに背馳することのないように実行するということは、核の持ち込みに対しては
日本は
ノーという
立場を常にとっているのであるということがここに明確になっているわけでございます。
なお、さらに申し上げれば、古く一九六〇年の
日米安保条約が改定されましたときの、当時の岸・
アイク共同声明において、
日本の欲せざるようなことはやらないのだという
趣旨の
共同声明がございますが、これは先ほど申しましたように、一切の
安保条約に
関連する取りきめというものが
沖繩返還に対しても何ら
変更なしに適用されるということになっておりますので、この
共同宣言も当然これにかぶってくるわけでございますから、それらと相照応いたしまして、
核抜きということはここに確約をされているということは御
理解をいただきたいと思います。
なお
現実の問題といたしましても、この
共同声明が出されましてから核が
現実に撤去されたということも御承知のとおりでございまして、すでに核についてはきれいな
状態になっておる。さらに
返還後におきましては
事前協議の
対象になって、しかも
日本政府がこれに対して
ノーということは明確になっておりますから、これらをあらゆる角度からごらんいただきまして、
核抜きということが確立されておる、かように
政府は確信をいたしておるわけでございます。
そして
返還協定につきましては
あとで御
質疑に応じてまた御説明いたしたいと思いますけれ
ども、
返還協定の
作業それ自体も非常に大切なことでございますけれ
ども、
返還協定を
国会で御
審議をいただきます場合には、直接
返還協定の
文言あるいは約定に入らないことであって、しかも
日本側におきまして、あるいは
米側との
折衝においてはっきりさせておかなければならないこと、そしてそれはまた
沖繩県民の
方々の非常に具体的な御
心配や御希望にかかっている点でございますから、これらの点を明確にさせて、そして来たるべき
返還協定審議の
国会におきましては、それらの点についてすべて十分に解明をし、かつ
沖繩県民の
方々にも御安心願えるようにということで、ただいま国内的なつながりの問題は
沖繩・
北方対策庁が主管いたしまして
総務長官の指揮のもとに鋭意
努力を傾倒しておるわけでございます。そういうわけでございますから、来年の春から夏にかけてというところを時間的な
めどにいたしまして、それまでにできるだけ、万般の問題についても結論をはっきりさせるように、
ほんとうにねじりはち巻きで
関係者一同
努力を集中、傾倒しておるわけでございますが、この
機会に
沖繩選出の
議員の
方々が
国政に参加していただいて、直接こういった問題について御意見を伺うことが
議場を通じてもできますことは、私
どもとしても非常に勇気づけられておる次第でございますので、この上ともいま申しましたような
趣旨が
十分徹低、
理解していただけるように、あるいは
沖繩の
県民の
方々の御
要望をこの
議場を通じまして、
政府に対しましても十分に御要請いただきますように、十分の御
協力をいただきたい、かように存じておる次第でございます。