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1970-12-09 第64回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月九日(水曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 菅波  茂君 理事 田川 誠一君    理事 井上 普方君 理事 近江巳記夫君       綿貫 民輔君    石川 次夫君       三木 喜夫君    山中 吾郎君       吉田 之久君    山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      西田 信一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       藤本 孝雄君         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君  委員外出席者         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業大臣官         房審議官    礒西 敏夫君         通商産業省公害         保安局公害部公         害第一課長   児玉 清隆君         運輸省港湾局技         術参事官    竹内 良夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(環境科学技術及  び原子力施設安全確保に関する問題)      ————◇—————
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより一会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中書郎君。
  3. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ただいま公害問題が共同審査にかかっておるわけですが、主として総合行政立場からの論議中心なので、人間形成という立場とか科学技術開発による根本的解決論議というものは非常に乏しいと思う。その点について、私はもことに遺憾に思っておるわけであります。  そこで、科学技術庁において、公害をなくする科学技術についてのいままでの対策あるいは予算要求その他の形の中でどういう努力をされておるか、その観点から、大臣のほうから一応の御説明を願いたい。
  4. 西田信一

    西田国務大臣 政府公害対策本部を設置いたしまして、行政体制を整備いたしますと同時に、環境基準の設定あるいは汚染防止排出規制等措置を講じまするために、基本法をはじめ、各般立法措置を講じておるわけでございますが、しかしながら、いま先生が申されましたように、法律規制のみをもって公害を完全に防止するということはとうてい望み得ないわけでございまして、根本的にはりっぱな環境を保全し、公害を防止するための技術開発科学技術の上に課せられました責任は非常に重いと思います。  そういう立場から、総合調整立場にあります科学技術庁といたしましては、従来もやってまいったわけでありますけれども、さらに明年度におきましてはより積極的な姿勢科学技術の面からの公害防止の面に取り組んでまいりたい、こういう姿勢で各省庁との予算施策等調整も行ないまして、明年度に備えておるわけでございます。また、人材養成等の面につきましても十分な配慮が必要でございまして、これらにつきましての配慮もあわせて行なっておるわけでございますが、詳細につきましては事務当局から説明をさせます。
  5. 石川晃夫

    石川政府委員 科学技術庁におきましては、従来から環境科学技術という範疇におきましてこの公害問題の解決に取り組んでいたわけでございます。ただ、科学技術庁立場といたしまして、主体を研究に置いたわけでございますが、この研究につきましては昭和三十七年ごろからいろいろな種類の研究を行なってきているわけでございます。特に科学技術庁といたしまして、各省庁間で行なわれます公害に対する研究というものに対します総合調整という立場に立ちまして、いろいろな研究を行なってきておりましたが、たとえば大気汚染の問題あるいは悪臭の問題、こういうような問題につきましては、すでに数年前からこれに取り組んでおりました。これは現在公害問題が非常に重要になってまいりまして、こういうような研究がそれぞれ実を結んできたわけでございますが、さらに今後ともこのような研究を、総合調整立場から進めていきたいというふうに存じております。総合調整におきましては、いろいろな公害対策につきまして各省庁のものを集めているわけでございますが、昭和四十五年度におきまして各省庁間におきますこういう公害対策関係予算といたしまして大体十億程度を使っておりまして、四十六年度には十九億程度というものが要求されているわけでございます。これは研究問題でございまして、このほかに実際の公害に対する対策費というものは、各省庁においてそれぞれ計上されまして取り組んでいるわけでございます。
  6. 山中吾郎

    山中(吾)委員 公害に関する科学技術といいますか、そういうものは現在の大学のいろいろの分化した専門を総合化したものでないと、公害防止学術にはならないと思うのですが、そういう立場科学技術庁公害のない生産技術といいますか、そういうものを一つ成果を見るために研究機構はどういう機構でやっておられますか、局長からお答えいただきたい。
  7. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、公害防止あるいは大きな意味での環境科学技術というものは、非常にシステム的にアプローチしていかなければいけないものだと存じます。これにつきましては従来は個々大学においてその分野分野に従って行なわれておりましたが、それを科学技術庁のほうでは総合的にやらなければいけないということは十分考えているわけでございますが、その環境に対する考え方といたしましては、エネルギーとかあるいは物質の利用というものを自然の循環過程において調和させて、全体としてバランスのとれたものに持っていかなければいけないというふうに考えますと、あらゆる分野研究公害の問題と関連してくるということが考えられるわけでございます。したがいまして、科学技術庁自体には公害という問題と取り組んだ研究そのものはございませんので、との公害自体に取り組むということはできませんが、いままでは個々研究ということを総合調整という立場で行なってきておりましたが、今後はひとつ考え方といたしまして、各省公害関係のある研究機関、こういうようなものの成果を総合的に集める方法はないだろうかということで、現在検討中でございます。  そこで、一つ考え方といたしまして、あるテーマにつきまして一つ会議を持ちまして、それを各省庁においてそのテーマを持ち帰って検討いたしまして、その結果をまた科学技術庁会議に集めてくるということで、その成果をあげるという方法を現在考えております。これは一つ推進会議というかっこうでもっていきたいということを考えておりまして、それにつきまして来年度予算要求いたしております。
  8. 山中吾郎

    山中(吾)委員 総合科学だから一つのたとえば公害研究所とかそういうようなものを科学技術庁付設機関として持ってやっていくというならば一つ成果は出ると思うのですが、ただ単なる調整というようなことでは何の成果も出ないと思うのです。そういう公害研究所というような施設をあなた方のほうで要求するとか持っておるとか、私は実態をまだ知らないのですが、それはどうなんですか。
  9. 石川晃夫

    石川政府委員 実は研究所というはっきりした形のものは現在考えていないわけでございます。と申しますのは、この公害といいますのは、先ほどから先生指摘のように、非常に多部門にわたるいわゆる総合的な研究成果というものが公害防止のために必要でございます。世間で以前からいわゆる姿なき研究所というようなことばでいわれているような研究所はございます。これは一つのシンクタンク的な内容のものでございまして、それを一つのところで公害対策に対するテーマというものを取り上げまして、それを各省研究所を使って、といいますとちょっと大げさでございますが、それぞれの省庁研究所でそのテーマと取り組んだ成果を集めてきて、最後に一つテーマにまとめてしまう、こういうやり方がございます。そのやり方が非常に公害対策にとっては有効ではないかというふうに考えておりまして、その研究所という名前は出てまいりませんが、とりあえずの段階としてそういう推進連絡会議もつくりまして、そして進めていきたい。その成果によってはさらに大きなものにまとめていきたい、こういうふうに考えております。
  10. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣にお聞きしますが、いまの局長説明ですが、今度の予算要求環境科学技術推進会議として要求される。そうでなくて、さらに一歩前進して公害研究所で総合的に学術的に研究する、そういうものをやっぱり実現せなければいかぬのじゃないか。いま、公害問題を取り上げた場合は、学問のあり方が根本的に検討される段階に来ているので、一体公害が発生するような生産技術学問ではないのだというぐらいの考え方に立っていかなければならぬ段階にあると思うのです。だから、単なる調整推進会議ではなくて、公害研究所という施設を設置する目的大臣努力さるべきだと思うのですが、いかがですか。
  11. 西田信一

    西田国務大臣 このような深刻な状態になってまいりますと、公害に対処いたしますために相当積極的な対策が必要である、御指摘のとおりだと思います。そこで、公害防止技術開発推進というようなこと、あるいはまた研究所におきます公害防止の取り上げ方等についていろいろな考え方があると思うのです。国立なりの適当な公害研究所といったものをつくろうというのはその一つ考え方だと思います。  ちょっとつけ加えさせていただきますけれども、先般実は国立研究所の所長を集めまして、公害問題にテーマをしぼってそれぞれ意見を発表させたことがございます。相当各研究所におきまして公害問題と積極的な取り組みをしておるということが、その会議の状況からも読み取れたわけでございます。そしてこの公害問題につきましては、各省庁に所管しておりますところの研究所がございますが、いま局長が申しましたように、事、畜産の問題から鉱業方面各般にわたっておりまして、それぞれの立場において相当突っ込んだ研究をやっております。   〔委員長退席木野委員長代理着席〕 しかし、これが国全体として十分総合性を発揮しているかと申しますと、そこに問題があるということは私どもも感じております。  そこで、これをいかにすべきかということでございますが、まだわれわれも政府部内において最終的な結論を持っておるわけではございませんが、いまお話のありましたような一つ研究所にまとめる。これは研究所長なんかの意見もございましたけれども、実際問題として公害だけを抜き出して一つ研究所において取りまとめるということは、実行上、物理的になかなか困難が伴うということもございます。しかし、それはなし得ないことではないかもしれません。しかしそれ以上別な方法があるかといいますと、ただいま申しましたような一つ会議形態をもって、そしていままでの調整機能というよりもっと一歩進んだ環境問題、これは公害だけじゃございませんけれども、やや広い意味環境問題を取り上げていこうという考えでございますが、そこでこの研究所首脳部あるいは各省庁責任者、それに学識経験者等を加えましたそういうものをつくりまして、そこで一つの集約的な公害対策の方針なりを打ち立てていく、そして各研究所はそれを受けてやる、さらにこれをまた集めてきて施策の上に移していくというようなこともつ考え方ではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、まだ私ども政府部内におきますところの最終的な考え結論が出ておりませんけれども、私ども考えておることもつ考え方ではないかというふうに思っているわけでございまして、十分検討してまいりたいと思います。
  12. 山中吾郎

    山中(吾)委員 予算要求の批判をしておるのじゃない。終着駅はどこかということをいまお聞きしておったわけですが、たとえば、通産省あたり公害研究という施設があっても、企業という立場からはなかなか中立性は保たれないし、農林省においてもどこかいわゆる利潤というものと結びつくから、こういう問題は科学技術庁こそ先鞭をとってやるべきではないかと思うものですから申し上げたので、やはり総合的な公害技術研究技術開発中心になってやるところは科学技術庁ではないのかと思って実は申し上げたので、その辺もっと具体的におやりになることを要望いたしたいと思います。  日本公害地図というのを見たのですが、これを見ると周辺の海洋が半分ぐらい汚染地区になっておるし、北海道から九州まで大体六十ぐらいの公害地区というのがこれに載っておるのですね。そうすると、日本列島公害列島になっている。ことに貿易国だから、アラビアの石油を持ってきて日本列島の上で亜硫酸ガスをまき散らすというような工業立国的な立場になっているのですから、公害というものを国策として真剣に取り上げなければ、世界じゅうの公害をみな持ってくる。大体資源の乏しい日本工業化をはかるという日本の進む道からいくと、公害はたいへんな問題だと思うのです。そのときに、単に法律的に外部からの強制力によって公害抑止力というもの、そういう当面の対策だけではこれはおさまらないのです。そのときに、日本行政機構の中で先覚的な役割りを果たすのは科学技術庁ではないのかという認識に立っておるものですから、その辺は先覚的な役割りをもう少しやるべきではないか、要望いたしたいと思います。  そこで、具体的にこの問題を取り上げて終わりたいと思うのですが、こういう一つ学術公害防止技術開発をされて、これを行政化する。各地区公害専門家あるいは企業公害防止専門家を再教育するということがないとこれは行政化しないのですが、聞くところによると、通産省のほうで公害防止大学校ですか、そういう構想があると聞いたのですが、通産省どなたか来ておられますか。——その辺はいかがでしょうか。
  13. 児玉清隆

    児玉説明員 まだほんの構想程度でございますが、来年度の予算要求で一応設立準備調査費というものを要求いたしております。金額は一千万円程度でございますけれども、俗称、私どもはわかりやすくは公害防止大学というふうに呼んでおります。組織論からいきますと、公害防止担当者研修機関ということになろうかと思います。  御存じのように、私ども役所はいわゆる公害に関しましては発生源対策をやっておりますが、そういった観点から、従来とも実は講習会研修会という予算制度がございました。いままでに研修会と称しまして、いわゆる地方公共団体取り締まり官研修を短期間実施していた制度がございます。そこの三十九年度からの卒業生が大体千三百八十人ぐらいおります。それから講習会と申しますのが、いわゆる民間の各工場における公害担当者講習でございます。これも短期講習でございますが、三十九年度から実施いたしておりまして、大体二万人程度卒業生を出しております。そういう実態でやってまいったのでございますけれども最近の公害問題というのは御存じのように非常に複合的あるいは集積的な公害が多うございますので、少し高度な技術処理というものを各工場第一線でも必要といたしますし、地方公共団体取り締まり官におきましても、そういった高度のシステム的な公害防止技術の知識が必要になっております。そういった若干高度のもの、いままでやっておりました短期講習的なものでなくて、少し高次元のものを取り入れよう、そのためには何らかの研修機関が私ども役所としても必要でございます。それで来年度はさしあたり設立準備調査ということをやりたいということでございます。中身につきましては構想程度でございますので……。
  14. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私はそういう専門家養成教育機関が非常に必要だと思うのですが、たとえば建設省に建設大学があり、防衛庁に防衛大学があり、自治省に自治学校があって、おのおの再教育をして専門行政官をつくっているわけなんです。そこで、企業保護立場にある通産省で、公害行政官の再教育ということ、公害防止専門家ほんとう技術的に人間形成という立場からできるかということを少し疑問に思うものですから——私は公害課長を疑っているのじゃありませんよ。児玉公害第一課長は、通産省の中で一つ抵抗精神を持ってその任務を果たす立場だが、通産省機構そのものとして、そこに公害学校があるのがいいのかどうかということを私は非常に疑問に思うのです。どうしても企業環境の調和という原理で運営される行政ですから、人間尊重人命尊重を哲学として持っていくぐらいのところで初めて教育というものはできるのですから。そこで私は常識的に科学技術庁所管公害防止大学校が主張されてしかるべきではないかと実は思っておったのです。こういう研究成果科学技術として成果が出たものを行政化するについて、各府県における行政官公害専門技術養成をするとかあるいは企業から委託を受けてつくるというふうなことは科学技術庁がやるべき任務であり、それがいいのだろうと思って、実はきょう質問しようと思ったのは、科学技術庁の中に公害防止大学校でもつくったらどうかという質問をするのが目的だったのです。そうすると、聞いてみると通産省にそういうなにがあるんだ、そして調査費程度要求があると聞いたので、科学技術庁は何をしているんだというふうな実は率直な感想を持って矛盾を感じながら質問しているわけです。  そこで、これだけが質問目的ですが、科学技術庁長官通産大臣の中でもう少し高次の政治的な識見の交換をして、それこそ科学技術庁公害防止大学校というふうな公害に関する科学技術の再教育機関をお持ちになるのが正しいのじゃないか。いままでの経過からいえば、通産省にあるといっても国民は信用しないと思うのですね。ほんとう人命尊重という一つ精神と、それから科学技術という能力開発とが一致した教育機関ができるかどうかということを感ずるので、ひとつ長官通産省お話をされて、そういうことができるならば努力されたらいかがであるか。いわゆる各省のなわ張りというふうなことで、一たんどっちか言い出したならばもうだめなんだというなら、それはどうにもならないのですが、まだできていないものですから、そういう感じがいたしますが、長官どうですか。そういう努力をされたらいかがですか。
  15. 西田信一

    西田国務大臣 いま通産省サイドで御答弁がございましたが、私の承知しております限りにおきましては、通産省でお考えになっておりますのは、公害防止担当者あるいはまた民間の方のことも考えておられるかもしれませんが、主として担当者研修、再訓練といいますか、養成といいますか、公害防止担当者養成するというほうにねらいがあるのだろうというふうに伺っておるわけでございます。それからまた、厚生省でもやはり同様な考え方で、地方公害担当者研修会というようなものを、やはり同じような似通った構想考えておられるわけでございます。それで公害法律だけではできません。新しい技術開発も必要でありますし、またやはりいわゆる公害防止指導とかそういったことも必要だと思います。そういう意味におきまして、それぞれの担当省において監視とか指導とか、そういったことも必要なことじゃないかと思うのでありまして、そういうことに備えての構想のように承知しておるわけでございますが、そういう意味では科学技術庁にということも一つ考え方かと思いますけれども科学技術庁はまた、各国立研究所等は全部私どものほうが総合調整立場に立っておるわけでございまして、その限りにおきましては、各省考えもあながち一がいに不適当だと排斥できないのじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  それからまた人材養成という立場になりますと、また少し考えが変わってまいりまして、研究者養成というようなことになりますと、文部省あたりともよく相談いたしまして、適切なことを考えていかなければならぬと思います。  それからこれは少し余談になって恐縮でございますが、人材の問題に触れまして、例の技術士制度というものをつくっていただいたわけでございますが、これも十分に活用されておるかといえば、まだその活用が不十分だという面もあるように思います。ああいった技術士制度ども大いにこれから活用考える必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございまして、これもまた技術士は単なる公害だけのことじゃありませんけれども公害防止などにつきましても、技術士制度どももう少し活用の道があるのじゃないかというようなことも考えられるように、私個人でございますが、いまそんな気持ちがいたしておるわけでございます。  十分なお答えになったかどうか知りませんが、せっかく各省でみずからの担当官養成というような、その研修というようなお考えであるといたしますと、それを科学技術庁のほうに引き取るということもいかがなものかというような気もいたします。
  16. 山中吾郎

    山中(吾)委員 通産省の場合については県庁の商工課とか、商工課役人を再教育することになる。厚生省民生課あたり役人研修になるでしょう。そういうのでなくて、一般の基本的な教育の場合は文部省大学でやる。一つ行政に結びついた再教育各省がやるという日本行政慣行があって、自治学校とかいうように、先ほどいったようになっているわけですね。したがって、この公害については大気汚染から空気の汚染、それからあらゆる開発技術関係しての問題だから、各省研修というのはほとんど意味がないと私は思うのです。それで科学技術庁以外ないじゃないか。この間、公害についてのNHKのアンケートが衆議院にあって、公害省の設置はどうかということに対して七、八〇%くらいが賛成している。それができなくても科学技術庁の中に公害局くらいあって、この辺の中でむしろ推進していくというふうなことが第一段階としてはいいのではないか、どうしても科学技術庁あたりがもっと中心になり、長官が、各省がおのおのというふうな考えでなくて、もう少し先覚的に考えていくという行き方をしたらいかがですか。検討されたらどうですか。それから通産省のほうはやはり拘泥するのですか。そういう再教育についてはあなたのほうでやらなければいかぬのですか。
  17. 児玉清隆

    児玉説明員 先ほどちょっとおっしゃいましたけれども科学とか技術とかいうものは、別に色はついておりませんので、どこの省でやっているからということはないと思います。  それから第二の点でございますが、私どもがたとえば取締まり官研修をやりますときには、やはり大気汚染防止法なら大気汚染防止法で、地方の部局は商工課ではございませんで衛生部あるいは企画部、そういうところで厚生省担当も同じでございます。それで両省共管で実施いたしておりますので、私ども研修いたします相手が商工課課員で、厚生省衛生課課員というわけではございません。やはり広い層にわたってそれを専門的に扱うということでございます。  それから実際の取り締まり機関あるいは発生源対策をしますときは、どうしても技術的によくわかっていただく必要がございますし、それもやはり発生源対策の重要な一環であるというふうに考えておるわけでございます。その限りにおきまして第一線担当者を再教育ないし養成するということが一番の基本ではなかろうか。これからの企業公害防止体制を整備する一つの中核としてはそういったものを緊急に、生産技術だけにたんのうな人ではなくで、むしろ工場内でそういった公害防止のシステムを十分こなしている人に目をつけていくということが必要でございますし、それから取り締まり官のほうは、水につきましては経済企画庁と通商産業省とでやはり監督の立場にあります。それから大気につきましては厚生省通産省でやっております。その実際の監督の実務は地方公共団体でやっていただいておりますので、それに対する研修のサービスというのは、やはり私ども役所で十分背負っていかなければいかぬのではないかということで従来もやっておりますし、それをさらに高い次元からこういった形で発想したわけであります。
  18. 西田信一

    西田国務大臣 十分な答弁を申し上げなくて恐縮でございましたが、先生のお考え、お気持ちはよくわかるのでございますが、これはいま通産省からもお答えがございましたが、公害取り締まり官養成というようなことも必要でございましょうし、それからまた企業自体も公害をどんどん出すような企業というものは、これはもうとても育たないと思うのでありまして、企業自体が公害防止の問題としっかりと取り組んでいかなければならない時代だと思います。そういう意味におきまして、企業公害の管理者といいますか、そういった人たちもしっかりした人がいないといけないのではないかと思います。そういう意味通産省としてはこういうことをお考えになっているのだろうと思うわけでございます。それから、われわれのほうも科学技術という立場におきましては重大な関係がございますし、積極的にやらなければならぬわけでございますが、われわれの役所の性格から申しまして、総合調整という役割りをになっておるわけでございますが、積極的な人材養成というか、そういう立場ではいわば現在はやっておらないというようなこともございますし、慎重に考えて検討してみたいと思っておるわけでございます。そういう気持ちで申し上げたわけでございます。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 よくわかりました。通産省のほうは、できた公害関係の立法の執行についての専門行政官養成するのだ、法執行の立場ですね。そこでぼくは科学技術庁というのは公害防止技術、そういうものの専門家というのはやはり国のほうにおいて単なる大学の学部だけではできないから、大学卒業生を再教育する機関、そういうものが科学技術庁に必要ではないかとぼくは考えているのです。で、岩手の場合でも宮古市にあるラサ工業でカドミウムの問題があって、私も視察に行ったことがあるのですけれども、そういう場合のそういう専門的な技術官というのですか、そういうものがないものだから、みな手おくれになっておるのです。法律がざる法ならば、その法執行官というものは逆に公害防止役割りを果たさない。だから、やはりそういう技術行政官というのですか、そういうものが養成される必要がある。それは科学技術庁ではないか。そういうものが科学技術庁行政の中に私はあるべきであると思って、役割りを果たすべきだという趣旨で私申し上げているのです。そういう点で、いつも科学技術庁の場合については技術養成というものが抜きになって作文に終わるものですから、何かひとつこういう機会にそういう方向の実践的な行政ができるような点を、いま研究所構想を終着駅とした推進会議ですか、姿なき研究所だって科学技術庁のある役人が言っておったのですが、そういうものをもっと充実して、現実に技術養成に一役買うということで努力を願いたい、こういうふうに思うのです。大臣の善処を要望いたします。
  20. 西田信一

    西田国務大臣 貴重な御意見でございます。十分検討さしていただきます。
  21. 木野晴夫

    木野委員長代理 次に近江巳記夫君。
  22. 近江巳記夫

    ○近江委員 今国会は公害国会、このようにいわれておりますが、原子力に関することにつきましては各法案とも、原子力基本法等にもきびしく規制されておるとかそういうようなことであまり審議にものぼっておらないわけでございますが、しかしながらこうした廃棄物もウナギ登りにふえてきております。そうした点を見てまいりますと、非常に重要な問題が山積しておるんではないか、私はこのように思います。そういうことで廃棄物の処理の問題等につきまして、まず初めにお聞きしたいと思っております。  まず初めにお聞きしたいことは、現在原研で原子力の廃棄物関係を全部処置されておる、このように聞いておるわけですが、現在の概況についてお聞きしたいと思います。
  23. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 廃棄物につきましては非常に問題でございます。それで、ただいまの御質問の原研につきましては、おもに放射性同位元素協会というものがございまして、そこで取り扱いますアイソトープ関係の廃棄物とそれから原子力研究所並びに隣の原子力発電所の一部の処理をいたしております。  現在まで廃棄物は順次相当たまりまして、それをドラムかんに入れまして、そのドラムかんに入れたものを——現在までで約一万本弱でございます。ドラムかんは大体二百リットルでございます。それのうちの大体半分がセメントでございまして、半分が廃棄物でございます。その中に詰めまして、それをコンクリートの部屋を地下につくりまして、その中に埋蔵しております。それから、毎年増設をいたしておりますが、いまつくっておりますのができ上がりますまで若干分が、安全ではございますが、地表に並べて置いてあるわけでございます。
  24. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでこの液体の場合、あるいは固体の場合、あるいは低レベル、高レベル、いろいろあるわけですが、それについての処理ですね、それについて簡潔にひとつお願いしたいと思います。
  25. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 液体の低レベルのものにつきましては、IORPの基準に沿う薄いものはそのまま捨てております。それから低レベルより濃いものあるいは中レベルのものについてはイオン交換樹脂等で前処理をいたしまして、そしてその残りのものをいまのドラムかんに入れてしまう。  それから固体につきましては、焼けるものは一応焼いて体積を少なくいたしましてそれでドラムかんに詰める場合、それから焼けないものにつきましては、これを圧縮いたしましてそれでドラムかんに入れてこれを処置するという形をとっております。
  26. 近江巳記夫

    ○近江委員 この低レベルの場合、そのまま投棄をしておるということでございますが、一日にどのくらいの量を出すのですか、数量にしまして。
  27. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在ごく低レベルのものにつきましては許容濃度が一般的には十のマイナス七乗マイクロキュリー・パー・CCという形になっております。実際に現在毎日捨てておるものは大体十のマイナス八乗、一けた下がっております。これは日によって違いますが、私いま資料を、毎日平均どのくらい出ておるか、ちょっと持っておりません。
  28. 近江巳記夫

    ○近江委員 その十のマイナス七あるいは八マイクロキュリー寸それはわかるのですが、そこにくるまでですね、希釈をするとかいろいろな形で放流しているわけですが、量がどのくらいになるかということをお聞きしているわけです。
  29. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 二ないし三立米パーデーでございます。
  30. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、それを希釈をして大量の水で流しているわけでしょう。だからその量はどのくらいあるかということを聞いているのです。どのくらいの立米あるのですか。
  31. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 いまここで計算いたしましたら、希釈いたしまして、量としては一日に大体二千から五千立米でございます。
  32. 近江巳記夫

    ○近江委員 二千から五千立米を毎日放流しておるわけです。ここで考えられることは、薄いものであってもそれが実際に蓄積されてきたときにどういうように海にそれが分布されるのか、またそれが魚介類等に対してどういう影響を与えるのか。さらに、これは当然温度だって上がっているはずですよ。これは何度ぐらい上がっているんですか、その海域では。
  33. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 いま二千トンから五千トン出口から出まして、それが海の水にすぐ拡散されるわけでございますが、原研の場合には全部を一緒にやっておりますので、温度が上がるという実績は出ておりません。これは電力会社とちょっと違いまして、ほとんど温度は上がりません。
  34. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、原研も何ですけれども、電力会社の場合等、どれだけ温度が上がるのですか。
  35. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 電力会社はその場所で違いますが、排水口のところで大体数度上がることになっております。多くて五、六度と考えていただいていいと思います。
  36. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、いよいよ本格的なそういう原子力発電時代を迎えるわけですが、その場合、たとえば敦賀などそうですけれども、敦賀なんかの場合は大体どのくらい放流するんですか、量は。
  37. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 使うほうからやりますとそれが出ますから、海水を十九トン・パー・セック使っているわけでございます。ですから、使っているのは全部戻りますから、一応一秒間に十九トンが回っているということでございます。
  38. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると計算すればわかるのですけれども、膨大な量が出ますね。ですから温度もそのように上がってきておる。そういうことについて実際にそれだけの膨大な量が排出されてくる。当然それが蓄積もされてくるわけですよ。幾ら希釈してあるからといっても、海流だってその地域によって違いますけれども、比較的動かないところもあるわけです。そういうような場合は当然そこに汚染というものが蓄積されてくる。それが魚介類に対してどういう影響を与えるか、また人間がそれをとっていけばどうなってくるか、その因果関係といいますか、そういうような研究等をやっておりますか。
  39. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 海水で海にこれが拡散いたしましてそういうものがどうなるかということは、私たちは主として放射線医学総合研究所、あそこで那珂湊に魚の臨海実験場をつくりまして、そこで一部やっております。それから東海区水研、これは水産庁の研究所でございますが、そういうところで逐次研究を進めております。それから海外におきまして、やはりICRPの基準をつくるに際しての関連でございまして、モナコのIAEAの研究所等が魚に対する研究等を進めております。
  40. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした協会なり何なりがやっておるとは思うのですけれども科学技術庁として、いまこれだけ公害公害ということを言われておるわけですが、それを何となしにまかせきりな態度でいいかどうかということです。それについて今後どうしていくかという問題なんです。これは取り組みの姿勢ですよ。
  41. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 実は先生のおっしゃるとおり温水の問題、それから海水についての魚に対する問題等実際的にやったほうがいいんではないかというのを、先生から言われまして、おくればせでございましたが、実は今年度の予算にも要求しております。そして三年計画で原研のそばに実際的に場所をとりまして、そこで原研の温水並びに隣の原電の温水等も利用しまして実際にそこで魚を飼ってみるという研究を進めることに本年から着手いたしております。
  42. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう問題について今後真剣にやっていただかないと、また大きな公害問題を引き起こしてくる。公害問題などというものはこれはもう国会の各委員会においていろいろと質疑が行なわれておりますが、これはもう人類の名において防いでいかなければなりませんし、それに対しては真剣な取り組みが必要じゃないかと私は思うのです。いま実際にアイソトープ等をはじめとして原電あるいは原子力研究所から出てくる液体あるいは固体の廃棄物がドラムかん一万本というように先ほどおっしゃったわけですが、それはどういうように管理しているのですか。そこの地形的な報告も含めてしてもらいたいと思うのです。
  43. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原研のほうにつきましてはすべて保安管理規程を廃棄物を貯蔵するところにつくってございます。それに基づきましてその設備につきましてもどういう設備をつくるということをはっきりきめましてそれでつくっております。ただ原研の場合にはそれを毎年増設という形で着手してつくっておるわけでございます。したがいまして管理につきましては保安管理規程に基づきまして管理を進めていくという形をとっております。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 これから原子力発電所が急ピッチで建設されてくる。全部原研にくるわけですよ。そうしますと、またこの再処理工場の建設も予定されておる。なるほど敷地は百万坪もあるかもしれませんけれども、将来これから何十年先になってきますと、この処理は一体どうなるのですか。もうすでに一万本があるのですよ。
  45. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在まで廃棄物の中で、アイソトープ関係の廃棄物につきましては原研がやることにいたしております。それから発電所の問題につきましては、これはまだ原研が全部引き受けるという形にはいたしておりません。現在のところ、発電所をつくりますときには、そういうものを置きます場所その他につきましては、安全審査のときに場所をきめて発電所にまかせております。しかし先生のおっしゃいますとおり、これから先相当ふえてくるということでございますし、私たちのほうもそれについては非常に懸念いたしておりまして、いままでやりたかったのでございますが、ただどの辺まで発電所から出るかという調査がなかなか進みませんでした。しかし最近発電所から年間大体どれくらい出るということがわかりましたので、ちょうど去年の七月でございますか、廃棄物を処理いたします検討会を局の中につくりました。それで四十八人の人で部会を七つぐらいに分けまして、実はことしの八月くらいまでにその検討会としての答えをいただきたかったわけでございますが、現在のように地表に置くか、あるいは海洋投棄の問題もございます。そういう点の考え方からどうすべきかということがなかなかまとまりませんで、大体のところいままとまってきたようでございますが、あと数カ月かかるのではないかと思います。私たちはその意見をとりまして、それに基づいて本格的な体制を進めていきたい。したがいまして、その場合に発電所そのものの場所に置くか、あるいは地表のどこかあるところをきめてちゃんと保管の場所をきめるか、そういう点が、あとの行政上の問題として問題が出てくる、こう思っております。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 発電所からどのくらいの量が出るか、いままでわからない。これほど科学技術が発達しておって、しかも原子炉というような高度な技術を要する、当然それにはあらゆる知能を集めて、そういう設計等も行なわれるわけですよ。どれくらいの廃棄物が出るか、そういう量自体もいままでわからなかった、推定もできなかった、そういうずさんなことでいいのか、私はそんなことは決してわからぬはずはないと思うのですよ。要するに全般の公害問題は何から起きているかといえば、ものさえつくればいいのであって、あと始末はほっとけ、そういうことで海も川も空気もみな汚染されてきた。いま人類全部が反省をしなければならぬ世界的な、地球的な重大な問題になってきているわけですよ。はからずもその姿勢がここにはっきり出ているわけですよ。当然ウナギ登りにふえていくにきまっている。原研のところだけでもうすでに一万本ドラムかんがある。今後どうしていくか、ほんとうに緊急を要する問題ですよ。そういう取り組みのおそい姿勢自体が私は大問題だと思う。科学技術の発達イコールすべて廃棄物が出るというのがきまっているわけですよ。このあと始末をどうするか、それをほんとうに軽く考えておったんだということがいまの局長の答弁自体にはっきりと出ておるわけですよ。廃棄物については外国ではどういうふうにやっておるのですか。
  47. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 私はさっき廃棄物処理が明確にいかなかったと申し上げましたが、申しわけございません。実はイオン交換樹脂等、当然使うものは出ていたわけでございますが、案外掃除するときのぞうきんとか、いろいろなものがあったわけでございます。そういうところが経験として実際にどれくらいふえるだろうかということが一部不明であったわけでございます。いま私たちが六十年までの調べをやりましたところでは、六十年には四万三千六百六十立方メートルぐらいの量になる予定でございます。  それで、それに対しての処理ということでいま検討いたしておりますが、外国におきましてはこの問題はやはりいま非常に問題になっております。ただ、アメリカにおきましては、岩塩の層がございます。したがいまして岩塩の層の中へ十分ずっと置いておけるということで、安心といいますかも岩塩層に置く形を考えております。それから、ドイツも大体岩塩の中に置いておく形をとっております。それから、フランスは、海に捨てるとかなんとかいっておりましたが、やはり地上に積んでおくという形で、現在地上に積んでおります。どうもいまの外国の傾向でいきますと、あるところに明確に積んでおくという方向に進んでいるようでございます。そうした場合に問題となりますのは、完全なる、放射能の出ない入れものというような問題があります。この研究につきましては、セメントで固める場合と、それから現在はアスファルトを使うのがいいのではないかというような研究を着々と進めているのが、現在の世界の傾向でございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 世界ではそういうように着々と研究が進んでいるわけですが、わが国はいろいろと模索しながら進んでおられる。そこに取り組みの姿というものが浮き彫りにされているわけです。  そこでお聞きしますが、この原研の敷地からいき、また将来再処理工場もつくっていく、単純計算からいきまして、現在一万本からのドラムかんがある。そういう必要な施設とか、そういうことを差し引いて、あと大体ドラムかん何本置けるのですか。それから考えたって、廃棄物をどういうように処理していくかということは大問題ですよ。どのくらいと踏んでいるのですか。
  49. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原研がアイソトープその他のものを集約いたしますということで、現在私たちが考えておりますところでは、約十五年間の分については十分間に合うというふうな形で考えております。その後の問題はこれから対処いたさなければいけませんが、現在のところ、敷地その他で十五年分はだいじょうぶだということでございます。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 十五年とあなたはおっしゃるのですから、私はそのように受け取りますが、そこで、外国の例というところの中で、フランスの海洋投棄などは、考えておったけれどもやめた。世界各国みなやめているわけですよ。それは、ヨーロッパにおけるENEAで一回だけ、実験的に、ほんとうに小型を大西洋に沈めた例がある。しかもそれがどういう影響を及ぼすかという検討もしているわけです。世界各国の原子力関係の法を見ても、海洋投棄をしてもいいなどということはどこにもないのですよ。わが国の法律の中には、局長さんも御承知のように、原子炉の設置、運転等に関する規則第十四条七号に海洋投棄とはっきり書いてありますよ。二千メートルはどういう根拠ですか。そういうようなことは世界じゅう何もこれは規則でもきめてないのですよ。非常に危険だ。疑わしいことについてはやってはならぬという基本姿勢でおるわけですよ。わが国はどういう影響になるかということも何もわかってないのですよ。それをよくもまあ、こういう規則の中にうたうなという問題なんです。ということは、海中投棄もするわけですか。そういうような何の関連性も科学的に確かめもせず投棄する、そういう意図があるからここに書いてあるのじゃないですか。いまは行政措置でとめているだけの話でしょう。私ども前にどうなってますかと聞いたときに、もうちょっとで船でほうるところだった。私もちょっとこの話を聞いたことがありますよ。言わなければ海にほうってしまっているところですよ。世界じゅうがほうってないのですよ。どうなんですか、その点。
  51. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 規制法をつくります場合、それから障害防止法をつくります場合、その当時としては二千メートル、一・二というのは海外におきましても安全に捨てられるという感覚があったようでございます。それで法律ができたようでございますが、私たちは、その法律ができましても実はこれは捨てない方向でいく、ことに原子力発電のほうについては捨てない方向でいくという形で、現在全く捨てない形をとっております。ただ、先ほど先生おっしゃいました、捨てたことがあるというのは、確かに放射性同位元素協会で、コバルト60を輸入いたしまして、輸入したものを小分けいたしました。そのときののこくずといいますか、そういうものだけは館山沖のところにかつて捨てたことがございます。これも現在やめております。現在のところこういう問題については一切行なわないという考え方で進んでおります。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 館山沖へどのくらいの量投棄したのですか。
  53. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 館山沖四十キロ、深度二千六百メートルのところに、全体合わせましてキュリー数といたしましては五キューリほどでございます。ただ、それはドラムかんの中に少しずつの、〇・〇一キュリー、そのくらいずつ入れて捨てていますので、ドラムかんの数としては相当な量になると思います。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 何本くらいですか。
  55. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 約百本弱だと思いますが……。
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 世界じゆうがどこも——この法律においても規定はしておりませんし、あるいはそういうこともやっていないわけですよ。ですから、あなたが幾ら行政措置としていまほうらないようにしておりますと言ったって、現実にほうっているわけですよ。そのように法律規則でほうっていいとなっているのですから、法的にはしばられないかしれない、それじゃ当てにならぬということは、そのはっきりとした証拠がここにあるじゃないですか。世界じゅうが、まだはっきり今後どうなるかという影響がわからないがゆえにとめているわけですよ。そのようにほうらないという基本方針でいくなら、はっきりとした——私はその規則を取るなら取る、そして科学的に調査をして絶対に安心であるということなればつけ加えればいいんですよ。ほんとうにほうらないならほうらないで、そういうことについては考慮するのがほんとうじゃないですか。
  57. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 つきまして、検討会をやっておりますが、あと数カ月で意見が出てまいります。そこではっきりいたしましたときに、この総理府令そのものについての検討を加えて、必要となればこれを落とす、そのときにもう一度御相談するという形になると思います。そのときにけじめとして私たちはやはり政令の変え方等を考えております。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは将来よく考えて削除をするというような方向でいかれるわけですね。もう一度そのことを確かめておきます。局長大臣と。
  59. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 検討会の意見が大体まとまってまいります。そのときにどうするかという措置が出てまいります。その措置の条件でもって必ずこの総理府令の改正ということを考えられる、こう思っております。
  60. 西田信一

    西田国務大臣 原子力発電所等から出ます廃棄物の処理の問題は、きわめて重要な問題でございます。したがいまして、われわれのほうでも慎重な検討を続けておるわけでございます。世界各国ともこの問題については相当慎重な配慮をいたしておるようでございまして、かつては欧州原子力機関等で海洋投棄のことも行なわれたようでございますけれども、現在IAEA等でも海洋投棄の基準等検討しておるように伺っております。これは、各国が慎重に扱うと同時に、国際的にもいろいろ検討さるべき問題だと思います。そういう意味におきまして、わが国といたしましても慎重に扱ってまいりたいと考えておりまして、その結論を待って万全の措置を講じたい、こう考えておるわけでございます。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 世界じゅうのそういう結論を待つというようなことをおっしゃっておりますが、世界じゅうばこういうことはどこでもやっていないですよ。ですから日本独自として、いま局長がおっしゃったように、この三カ月以内に結論を出して、そういう前向きの方向でいきたいということをおっしゃっているんですよ。そうすると長官は、世界的にそういう困果関係がはっきりしなければしないとおっしゃるのですか。
  62. 西田信一

    西田国務大臣 これはわが国でも慎重な検討をしておることが、まず一つでございます。それから世界各国もこういうことについては慎重な配慮を加えておる。IAEAでもそういう基準について検討されておる。それほどこの問題については世界各国が慎重に扱っておるから、そういう立場でわが国も十分の検討を加えていきたい、こういうことを申したのです。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 わかりました。  それで、この一万本からの廃棄物の貯蔵庫なんですが、これは実際何人で取り扱っているのですか。
  64. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 職員として十五名——たしか私は十五名か十六名で扱っておると思っております。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは向こうへ電話をされたらすぐわかると思うのですよ。私の聞いておるのはもっと少ないですよ。しかも、この技術者というのが一名か二名か——初めはもっとたくさんおったのですけれども、そんなごみばかりのところではおれないと、希望を失ってみな出ていく。そういうような主任技術者もおらないようなところで、一万本からのドラムカンを管理しておればどうなるかという問題ですよ。そういう管理のことについてどう思っておられるのですか。それはどのようにチェックされておるのですか。
  66. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいま申し上げました人数は、たぶん先生のおっしゃいましたのは——確かにアルバイト的の人間を使ったことがあると思います。ただそれは処理する分野でございます。  それから一万本を入れた場合、入れたものにつきましては保物管理——保物がございます。原研の中で安全監視を全体的にやっております保物のところで安全管理をさせておるという形の体制をとっております。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 本委員会が終わるまでにさっそく問い合わせていただいて、現在何名で、技術者は何名おってどういうようになっておるかということを詳細にひとつ聞かしていただきたいと思う。私の聞いておる範囲では、そういう少人数で、しかも技術者が一名ないし二名。初めはもっとたくさんおった人が離れておる。そういうずさんな管理でいいかという問題ですよ。  しかも、そうした廃棄物の貯蔵等については、地形とかいろいろな条件が私はあると思うのです。そこで常識的にもあるいはそういう処理のことについて、いままでいろいろと検討なさっておって、どういう地形が大事であり、どうなっておるかということについてはおきめになったことが私はあると思うのですよ。これはどういう地形が適しておるのですか。
  68. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 廃棄物処理の場所をつくりますときに、原研がやはり地形関係を検討してあの場所をつくっていただきました。もちろん地盤の問題が一つと、それからたとえば水が出た場合、その水がどちらの方向に行くか、その点につきましては海岸のほうに出やすいという方向を選んでおるわけであります。そういう関係は十分考えて場所を設置いたしております。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは権威ある——たしかあとで調べていただいたらわかりますが、その会合で、一つは降雨少量なこと、二、河川、湖沼、海岸より隔たっておること、三、人口密集地より遠いこと、四、好質で締め固められてない土で溶解性カルシウム塩を多く含まぬこと、五、地下水位が深いこと、六、地質学的地形変化の少ないこと、七、地下水の流速が小さいこと、八、地表水に出るまでの距離が大であること、こういうような項目から見ていったときに、海岸からこれは隔たっていることになっておりますよ。あそこは一体海岸から何メートルのところにあるのですか。
  70. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 私の見た感じ、知っておる限りにおいては、海岸からの長さといたしますと、たしか八百メートルくらい離れておると思いますが、いま先生のおっしゃいました水位の高さでございますね、それはちょっといま存じません。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 その八百メートルというのを一ぺんお調べになっていただきたいと思うのですよ。そんな八百も離れていないはずですよ。私も間違いということもあるんですから。地形的に見ても、そう理想的なところにはないわけですよ。しかも半地下式になってきておりますし、あそこは海岸に、護岸も何にもないんですよ。津波なんか来たらどうしますか。過去にあの一帯は津波がありますよ。過去の津波の例を調べていますか。調べておったらそれを言うてください。
  72. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 津波の例は私もちょっと存じませんが、いま先生のおっしゃいました津波その他の考え方、当然あると思います。ただそのものずばりがこわれないし、それからそのものが放射線を出さないという形で、先ほど申しましたようにドラムかんの中に約半分しか入れないわけでございます。それでそのものがころがっても、あるいはそのときに雨に当たっても、そういう問題については十分だいじょうぶな形をとっております。したがって、場所とそれからそのものを入れて保護する入れものとのかね合いを十分考えてあの場所でやっておるわけでございます。その点、原研ではやはり非常に気にしまして、その点については十分の措置をとるということで努力いたしておるわけでございます。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も資料不足ですが、気象台で調べたのは、一六七七年には関東・磐城沖で家屋流失が一千戸、死者五百名出ています。一九三八年、磐城沖、これは家屋全壊が二十、死亡者一名、一四二〇年日立沖、地震、津波甚大な被害あり、こうなっているんですよ。そういう点からいけばないとは言えませんよ。そういうような点について慎重な配慮対策というものをとっておらなければいけないのじゃないか。いまはそんなことを予測した構造じゃないでしょう。そういうようなことを考えていったときにいまのままでいいですか。
  74. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原研におきましては常に廃棄物については検討会をやっておりまして、要するにいまの地下のところにコンクリで固めたポンドをつくりまして、そのポンドに入れておりますが、そのポンドの耐久性というものについては相当な計算をしてやっております。その関係でポンドの中でもし漏れても絶対だいじょうぶというところ、それからドラムかんからは絶対に漏れないというところの安全率をかけてやっているわけでございます。その点、これから先も十分そういうところは検討に検討を重ねながら進めていきたいと思っております。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでまた警備の問題ですけれども、アメリカでこの前ガソリンタンクですか、工場のあれが大火災をしました。そういう点からいきますと、ここはもしも大事故になった場合どうなるか、そういう施設なんですよ。そういう点からいったとき警備の状態なんかどうなっていますか。いまは何名で何交代でやっていますか。
  76. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ちょうどいま調べさせておりますので、すぐ御返事します。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 これも驚くような少人数で無理がかかっているわけですよ。そういうような悪いことばかり何も考えたくはありませんけれども、しかしながら少なくとも慎重な上にも配慮をしていくのが私は国民に対する政治じゃないかと思うのです。責任、義務というものについては私はもっとシビアーなものでなければいけない、このように思うのです。どう思われますか、長官
  78. 西田信一

    西田国務大臣 お尋ねのとおり、この廃棄物につきましては保管あるいは保管に伴うところの警備その他に万全を期さなければならぬことは当然だと思います。また私も実はよく実態がわかりませんので、いまここで具体的に申し上げることはできませんけれども、私は万遺漏ないものであると考えておりますが、なおいま局長も申しておりますように十分に再点検をいたしまして、もし適当なものがありますれば十分改善をしたいと思います。私は現状におきましてはそういうことはないものだと信じておりますけれども、なお十分に注意いたします。   〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後十分な配慮対策をとっていくと言われましたので、あとは向こうで問い合わせをしていただいて報告をしてもらいたいと思いますが、いずれにしましても、そういう廃棄物等の問題については科学技術庁としてもっと真剣に取っ組んでいただきたい、このことを特に強く要望しておきます。  それからその次に、いよいよ民間の原子力発電所が稼働したわけであります。敦賀発電所でありますが、この敦賀発電所で燃料棒が破損したということが伝えられ、地元ではわれわれをつんぼさじきに置くものだと大騒ぎしておるわけです。この件についての報告をまず最初に聞きたいと思います。
  80. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 敦賀発電所につきましては、動かしましてから約半年いたしましてこの間定期検査をいたしました。初めに予定として大体四十五日間かける検査をする、それで定期検査をいたしましたときに、燃料棒を集合体として一つずつ調べていくわけでございますが、その調べたときに、私たちからいいますればある程度成績の悪い燃料があった。それで最初でございますし、そういうものは予備燃料も当然とってございますし、念のためにそういう燃料は取りかえたほうがいいということで、あそこは四本取りかえたわけでございます。しかし全体の冷却水その他の調べからいきまして、その燃料を取りかえなければならないというような、燃料が肉眼的に悪いとか内容として悪いというわけではございません。ただほかの燃料と比べましてその燃料がいささか成績が悪かったということで、それを念のために四本とったわけでございます。これにつきましては、確かに、新聞に出します発表のしかた、手続等、やり方にいささか悪い点があったようでございます。しかし私たちのほうも、そういう燃料はいまの際に取りかえたほうがいいであろうということで取りかえたわけでございまして、その燃料自体はいまも調べておりますが、その燃料が非常に緊急性のある悪いものであるというような、事故を起こすような燃料ということではございません。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 ヨード一三一が検出された。燃料が完全無欠のものであれば漏れるわけはないでしょう。この点についてはどうですか。
  82. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 もちろん燃料が完全であれば、漏れるわけはございません。それで中に数本比較的漏れやすいところ、そういう徴候の出たものがあった。ただし、それがわれわれのほうで使います安全基準その他の関係から見て、非常に悪いとかいう線ではございません。確かに痕跡としてそういう程度のものが出てくるというものは、やはり悪いとしていま取りかえたらいいのじゃないか。もちろん燃料も、そういうことがあり得るとして初めから予備燃料をつくってあったわけでございます。それでそれとそういうふうに取りかえたということでございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、そのときどれだけの量が出ておったのですか。あなた方が定期検査なさってつかんだ数値。
  84. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 集合体に燃料が入っておりますが、そのすぐそばに入っておりますところの原子炉水をとるわけでございます。許容の範囲からいきますと原子炉水の放射能は許容値の一%、許容値からして一%以下の程度が出ております。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 許容値の一%、それは一応きめられた安全性という点から考えれば、私は問題はないように思います。問題ない、そういう言い方はいけないかと思いますけれども、まあ心配はないといいますか、しかしこの敦賀発電所は言うなら民間の第一号ですよ。しかもすでにアメリカ等においてもかなりの事故も発生した例もありますし、そういうことを考えていきますと、やはり小さなことが、まあいいじゃないか、そう心配ないじゃないかということでほってきたことが重大な事故につながっておるわけです。それだけに、地元の人にしてもまた国民の皆さん方全部に与える不安というものは大きいわけですよ。完全無欠のものであれば、たとえ微量であっても漏れぬわけですよ。やはりこれは漏れておる。しかも疑わしいものをそこでとった、抽出をした。成績が不良のものであった。この四本の燃料棒、これは原電では燃料棒にピンホールがあった、ところが科学庁ではクラックがあった、このように地元では新聞に載っているわけですよ。どこから出たのですか、そういう表現は。はっきり究明されたのですか、その燃料棒について。
  86. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 確かに新聞で、うちでクラック、向こうでピンホールがあるという話が出ましたが、現在のところピンホール、クラックともございません。それで四本の燃料棒についてはポンドに入れまして慎重に調べているところでございます。しかしそういう目立った痕跡というものは現在のところ認められておりません。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 その四本の燃料棒はいまどこに置いてあるのですか。
  88. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 使用済み燃料棒のポンドというものを初めからつくってございます。そのポンドの中に保管してございます。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは一括して入れてあるわけですか。
  90. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 四本一括してポンドの中に入れております。
  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 一括はわかるのですけれども、燃料池にはいろいるな燃料棒をたくさん入れているわけですよ、実験用のやら。発電するまでには相当数のものがあるのではないですか。一緒に入れているのですか。
  92. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在のところはポンドの中はからで四本だけでございます。先生のおっしゃいますのは、どこにどういうのがいつも入っているかという戸籍というか場所を明らかにする、それは明らかにすることになっております。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 これから、要するにピンホールかあるいはクラックかということを調べられると思うのですのですが、しかしいまのところではそういうことはわからないぐらいの微小なものである。それじゃそのまま池に沈めておいて放置しておくのですか。少なくともヨードが出ておるわけですよ。しかもその燃焼の成績の悪いのを四本中止したわけですよ。大きな疑いがあるわけですよ。それを池の中にそのまま入れておいていいかという問題です。少なくとも原研にはホットラボラトリーがあるわけですよ。敦賀の原電にありますか、それは。こまかいことになればそういうような科学機器を使ってやらなければわかりませんよ、これは。いつまで池に沈めておくのですか。原因究明は絶対に私はやるべきだと思うのです。
  94. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 もちろん原因究明いたしまして、原因究明によってそれの保管等については早急な体制をとるという形になっております。したがいましてポンドの中に入れておいてもいいものであるかあるいはポンドでなくてそれに対して保護装置をつけるべきか、それはすぐやらなければいけないと思います。
  95. 近江巳記夫

    ○近江委員 すぐやらなければいけないって、いま肉眼ではそういうものはないとおっしゃっているわけですよ。それじゃあとホットラボラトリーによって調べるしかないでしょう。これはどうなさるのですか。いつまで池に入れておくのですか。
  96. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 調査してその措置をすぐやるということでございます。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 その処置を、調べてという過程において、いまのままではわからぬということを言うておるわけですよ。これだけ国民の皆さんが不安になっているのに調べてって、どうやって調べるのですか。いつ原研にあるホットラボラトリーにかけて調べるかということなのです。
  98. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ポンドに入れました場合に、まわりに水が入っております。したがいましてそこの濃度その他というものは年じゅう見て、そこのまわりに危険がないように全部いたしております。それから燃料そのものを随時調べまして、その燃料を将来どうするかということはもうしばらく検討さしていただきたいと思います。
  99. 近江巳記夫

    ○近江委員 当然今後の原因究明という中にそういう原研にあるこうしたポットラボラトリー等を使って詳細に調査をするということなんですね、これは。
  100. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在まだどういう調査をしてどういうふうな燃料であと対処するか向こうで検討中で、間もなくわれわれの手元に届いてくるかと田ひいます。
  101. 近江巳記夫

    ○近江委員 当然そうするとその中に私が申し上げたそれも含むわけですね。
  102. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先生のおっしゃいました点も当然考えられると思いますが、要するにやはり安全ということでございますので、それに十分対処するような体制で進めていきたいと考えております。
  103. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは私はどんなものでも人間がつくるものについては完全無欠はないと思うのです。人間自体もそうです。ですから何もそうだからそれはけしからぬじゃないか、こういう言い方をしているのと違うのです。将来の重大な事故につながってはいけないから、それについては真剣に取り組みをしなければいけない。したがって、もしもホットラボラトリー等の検査によってピンホールあるいはクラックがあったとすれば、これはたしか米国の燃料ですよ。たしかGEの系統じゃなかったですか。そうであれば当然先方に対しても確実な燃料棒を要請しなければならないし、あるいは悪いのであれば国産でいかなければいけない。そうした問題もあるわけですよ。ですから、小さなことであっても決して小さくはないわけです。それに対していまから対策考えてやりますという、そういう後手に回るようなことでいいかということです。私は真剣にそれと取り組むべきではないか、こう思うのです。
  104. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 実は先ほど申し上げましたように、四本抜くか抜かないかというのは相当問題でございました。しかし、私たちのほうは四本抜くということが当然会社で考えられるのでガイダンスしたわけでございます。と申しますのは、やはり先生のおっしゃいますように、こういう燃料は必ずりっぱなものにしていかなければいけないということでこういうものを原因究明してみる。それから、これから先も燃料をだんだんかえていくわけでございますから、今後の燃料を十分なものにするということの材料としても当然大切なものでございます。したがいまして、それの取り扱い、調査等については十分果たしたい、こう思っております。
  105. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、今回の事故に対してこの燃料棒を製造した米GE社に対して何の申し入れも要請もしてないと聞いているわけですが、それははっきりピンホールあるいはクラックということがわからないからということで、まだそれはおいておられるのじゃないかと思いますが、しかしやはり燃料棒に重大な疑いがかかっているわけですよ。それであれば少なくとも技術者を要請するとかあるいはどうだというような、そういう問い合わせなり何なりの具体的なあらゆる総合した動きがなかったらいけないのじゃないかと思う。その点についてはどういう処置をされましたか。
  106. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 もちろんこういう問題につきましては、一方経済的なペナルティーの問題もございます。そういうような関係から当然これは下打ち合わせばGEとやっております。本格的にこういうものをどうするかというGEとの打ち合わせ等については当然やることになっております。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこでさらに一つ心配なのは、これは定期検査でわかったわけですよ。はっきり黒かどうかということはあなたの今後の調査によるわけですが、重大な疑いがかかっているわけですよ。定期検査でなければわからないのかという問題なんです。その点が私は非常に今後の原電——民間の電力会社がどんどんつくってくるわけですよ。そういう点が非常に心配だ。定期検査でなければそういう疑わしいこともあるいは事故も発見できないのか。一体そういう監視システムはどうなっているのかという問題なんです。
  108. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 実際にこの燃料棒が悪くなった場合には、第一次冷却水——これは外へ出る冷却水ではございません、中を循環しているわけでございます。そのまわりを水が通って、それで発電しているわけでございます。その中の濃度は定期的に観測いたしております。もちろん、はからずもといってはことばが悪うございますが、定期検査の前にもそういうものが基準以上に動いてきた場合には必ずつかめる形になっております。もちろんこれもその前に基準以下でございますがある程度の傾向があったようにあとで聞いておりますが、そういう点が先ほどの一%程度というところにひっかかってまいりますけれども、一次冷却水の中における汚染濃度というものは常時はかって調べておるわけでございます。
  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 定期検査で初めて疑わしいから抽出しようじゃないか、定期検査でなくてその以前で若干でもそういうように疑いが出た場合、それは数値の上で機械で出るわけですから、それであれはどうかという、そういう小さなようなことには見えますけれども、しかしそれに対する真剣な取り組みという姿勢がなければいけないということを私はここで申し上げているのです。民間の電力会社等について、責任ある科学技術庁として今後どういう指導をされていくのですか。
  110. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 確かに先生おっしゃいますそのとおりでございます。しかし電力会社そのものの過大事故その他を安全審査いたしましてある程度きめております。ちゃんとそこできめた範囲内で、ある基準のところが少し動いた。その点は、そこですぐストップしてあけるか、これは経済性との関係がある程度あると思います。その点においては、今度の点については、動かしてから約半年目であらかじめ定期検査はしたわけでございます。おっしゃるように、ちょっとした動きということで発電所をとめたという場合には、発電所の経済性という面に相当引っかかってまいります。その点を勘案いたしまして発電所の保安規程、それから安全基準等を考えておりまして、できるだけそういう処置はとっておりますが、その点もある程度考えいただきたいと思っております。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 はからずもここに経済性と安全性ということがまた出てきたわけですよ。どちらをてんびんにかけるか。経済効率が悪いから、それは少々心配だなと思うデータがあってもほっておけ、一応許容値まで上がらなければ極端にいえばほっておけばいいのですか。その辺の歯どめはどこでかけるのですか。
  112. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 いま申し上げましたのは、許容値に比べまして一%、非常に下でございましたので申し上げました。もちろん私たちのほうでは許容値になるまではどんなことをしてもほうっておいていいというわけではございません。それから、もちろんほかに燃料棒その他を外から当然監視いたしております。その原因究明ですぐわかれば、そのときはもちろんすぐとめますが、今度の場合は、そういうところから勘案して、とめるところまでの汚染をしているという判断はしなかったわけでございます。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは定期検査でわかった。日ごろからの報告義務というのはどういうようになっているのですか。これはどんどんこれからできるのですよ。その点はどうなっておりますか。
  114. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先ほど申し上げましたように、一%以下のところに濃度が上がった傾向というのは確かに定期検査のちょっと前にあったようでございます。しかし、その四本のどれが悪いかということを、開いた定期検査のところでどの場所が悪いかがわかったわけでございます。したがいまして、たとえばこの定期検査がもっとおくれておりまして、それでも、許容濃度をいまの第一次冷却水をはかっておりまして、途中でそれがほんとうに悪いということが出ましたら、当然定期検査でないときにとめるということは十分考えられます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、その辺のめどというものを、これは数値の上でいけばこういうふうに出てくるわけですよ。それだから、定期検査を待つまでに当然それはチェックをしなければいけないという何らかの基準というものを私は設けるべきじゃないかと思うのです。許容値をきめてあるそのレベルからさらに下回ったその辺の微細なところに至るまでのそうした安全管理というもののあり方について、私はそういう体制というものをつくっていかなければいけないじゃないか、このように思うのです。
  116. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在の安全のとり方でございますが、周囲の第三者に対して全く影響のないようにということで安全審査いたしております。したがいまして、それから基づいてシビアな許容値を考えておるわけでございます。その許容値から見ましても、その許容値をある程度越えても第三者には絶対影響ないんだというところを保安管理規程ではっきりきめておるわけでございます。したがいまして、それ以下のところのやり方ということにつきましては、その原因究明で、中のどういうところが悪いかという、わかったところの、技術的に見たそのかね合いにおいてとめる場合が出てくると思います。それにつきましては、いま先生おっしゃいましたどういう基準というのは、新しい技術とその機械の動きでございますので、簡単にその間に、たとえばどういうときには許容値にあってきめろというような形がもしとれるといたしますれば、これは安全審査のときにそれを当然考えていくという形になるかと思います。いまは、したがいまして、安全審査で通します場合に、第三者の方々に影響のないところを過大評価して重大事故まで考えてとっているわけでございます。そうしてまたそれに安全率をかけた許容値という考え方で進んでいるわけでございます。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在、報告の義務なんですけれども、どの程度までこれを課しているのですか。
  118. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 定期的には必ず三カ月ごとに報告が来る形になっております。それから、その間に事故的なものが起こった場合には、もう直ちに長官のところに報告が来るという形になっております。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、そこのところを厳重に科学技術庁において監視をしていただきたいと私は思うのです。これは通産省にも原子力課もあると思いますけれども、よく連携をとって十分にそれをやっていただきたいと思うのです。  それから、この四本の燃料は、どのくらいの燃焼率だったのですか。何メガワット出たのですか。
  120. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 取り扱い燃料の燃焼度は、三千六百メガワット・デー・トンでございます。それから、三千四百と、四千二百と、三千九百と、この四種類がまざっております。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後の経済性ということもやはり考えていかなければならぬわけですよ。そういう点からいけば、核燃料は非常に高価なものですよ。そういう点について、この燃焼度については、科学技術庁としてはどういう見解を持っていますか。
  122. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 実は現在こういうところへ使っております炉というのは、先生御存じのように軽水炉でございます。軽水炉につきましては、これは海外からの導入という形をとっておりまして、これ以後のものについては、もちろん、新型転換炉やなにか、これは国産技術といいますか、自主技術でいくわけでございます。したがいまして、安全審査会等で、このバーンナップの燃焼度等の問題については、海外のデータ等を利用いたしまして審査しているわけでございます。それで適格という形をとっておるというのが現状でございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 これなども、当然GEのそうしたところに照会もして、この辺から国民の少なくとも——こういう民間のところはなにですけれども、しかし、それだって電力料金にもはね上がってくるのですから。やはり高価な核燃料を使うのですから、そういう経済性ということについても、これはやはり真剣に考えなければならぬ問題ですよ。ですから、そういうことについて、たとえば燃焼度ということについてGEのほうへ問い合わせしましたか、これについて何か意見を求めるとかなんとかいうことで。どうですか、その点は。
  124. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 私たちの聞いていますところでは、もちろんGEにある一つの規格がございまして、何万キロワットのどういうタイプの場合にはどの燃料というので、信頼度のある燃料を納めてくるわけでございます。したがいまして、それに対しての安全性その他を主体としての問い合わせ等についてはやります。そういう形でこれは使っておりまして、あと第一次燃料はこうやってGEから入れておりますが、第二次燃料からは国産化でいくわけでございます。したがいまして、今後の燃料については、当然そういう点をGEと検討しながら第二次燃料を国産化でつくっていくという形になっております。
  125. 渡部一郎

    渡部委員長 原子力局長に申し上げます。  ただいまの応答は、討論がすれ違いであります。と申しますのは、近江君は、今回の事故に関しての、科学技術庁がどういうふうな対策をとるか、これまでの処置に間違いがあったかなかったかを何回にもわたって質問しているわけであります。局長の答弁は、現在の科学技術庁の原則論についてお答えになっているわけであります。これではいつまでたっても討論は煮詰まらないし、時間がかかるばかりだと私は思います。したがいまして、近江君の質問に対して、今回までの処置が適切であったかどうか、また今後いかなる処置をとるか、この点について明確に御答弁になるようにお願いします。
  126. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 まことに申しわけございません。ちょっとすれ違いになっておるようでございますが、要するにいまの燃料というのはいま申し上げた形でございます。それで、今度こういう形で燃料が入ってきましたが、もちろんGEといたしましても成績の悪いのがあるのではないかという感覚で、当然予備燃料はついてきているわけでございます。それで、成績が悪いということはここでわれわれのほうも究明いたしますし、GEにも究明いたさせまして、その間で問題が出れば第二次燃料からは日本でつくるのですから、そういうものももちろん使っていかなければいけないということの問題の究明は早急に進めていくという体制を当然とっております。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、今回のこの事故のそういう伝わり方等について地元はつんぼさじきに置かれた、これは初めにちょっと触れられたわけでありますが、今後そういうようなことについて地元に対してもあるいはまた国民全般の方々に対してもどういう方向をとっていかれるのか、具体的にひとつお聞きしたいと思うのです。
  128. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 PRのしかたの問題というのはいろいろ皆さん、先生方から前々からおしかりをこうむっているわけでございます。私たちは実はこの敦賀それから美浜等に発電所ができましたときに、これはほんとうを言いますと、東海発電所を抜きますと日本で第一回目でございます。そういう関係から地元の安心感といいますか、地元に対して不安感を持たせないようなPRのしかたというものを地元として十分考えてくれということを常々各電力会社の幹部の方に申し上げているわけでございます。今度のも私たちのほうに四本こういうものが出たという情報がきたときに、十分なるpRのしかたということをお願いしたわけでございますが、実は本部と現地との多少の行き違いがあったようでございますが、確かに要らざる不安感を起こさした点が非常にあると思います。その点については、これから先ももっとうまい行政指導をさしていただきたい、こう思っております。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それについて長官、あなたはどのように思っておられますか。
  130. 西田信一

    西田国務大臣 今回のことに対して地元の方々に無用な不安感を与えたといたしまするならば、それは将来是正しなければならぬと考えておりまして、十分PRその他に万全を期したいと思います。  それからまた安全性確保の問題につきましてはただいま質疑を通してお答え申し上げておりますように、将来に向かっても十分慎重を期してまいりますように指導してまいりたいと思います。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後のことはわかったわけですが、今回のこういう発表のしかたとか、いろいろなことについて非常に不安を与えたこと等についての反省が一つもそこにないわけですよ。長官としてはそういう点についてどのように感じていらっしゃるのですか。
  132. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 実は発表の問題ではいま近江先生のおっしゃるように、長官から私はきつく言われているわけでありまして、ことに原研その他の問題、前にございまして、できるだけ早くこっちから率直に発表するんだという体制を前々からとっていたわけでございます。いまのところ原研その他、うちの管轄下のものは大体そういうふうになったわけでございますが、はからずも今度は民間とのつながりで発表のしかたというところにちょっとそつがあったと思います。この点については十分改善措置を進めていきたいと思います。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 民間との疎通の点において非常に反省すべき点があったと率直におっしゃったわけです。民間の発電力というのは大きいわけですよ。ですから事故があれば重大なのは民間なんです。一番危険性の多い、心配な民間においてそういうような反省すべきところがたくさんあるということについては、私は問題だと思うのです。それについて、通産省にも原子力発電課もありますし、今後具体的にどういうように考えているのですか。
  134. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 実際の問題としてやはり問題が起こりますのは、事故と判定するか事故と判定しないかということが一つだと思います。そういたしますと、ある程度の異常が出たとき——異常といいますか、先ほど申し上げました安全ケースの中のこまかい異常といいますか、そういう場合の発表のしかたというのがいまのところ問題だと思います。その点については私たちもやはりなるべく早く民間の皆さんに安心していただくということでできるだけ先がけて発表していくという形をとってくれという指導を現在やっておるわけでございます。それ以上に、こういうものは発表する、こういうものは発表しないという基準がちょっとつくりかねるのですが、まだ発電所が二つだけでございますので、その点についてはもうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はどんなことでも領域と領域のそういう隘路でもって非常に大きな抜け穴が出ることをおそれるわけです。通産省の公益事業局の原子力発電課があった。それぞれのそういう監督の領域が違うということもあるわけです。しかしながらそういうところに重大な欠陥があると私は思うのです。ですからその辺一体となった監督をしていくという点において今後どのようにやっていかれるか、もう少し具体的にひとつお答え願いたいと思うのです。
  136. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいまのお話にまいりますと、われわれ原子力局と通産省、それから民間、この三つどもえになりますので、三つどもえの連絡体制ということだと思います。いまほかの行政に比べまして通産と私たちのほうの原子力というのは予算も一括になっておりますので、その点は非常に結びついております。たとえば今度の定期検査等につきましても、法律上からまいりますと、われわれのほうは最初の設置までは安全施設指導をいたします。そしてそれを動かす許可をする場合には通産省でございますが、当然そのときには合同でわれわれのほうも行って安全審査上立ち会っておるという形までしておりまして、そういう点では非常に密接にやっておりますので、これから先もこの密接さはもっともっと続けていきたいというふうに考えております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 この安全性ということで、たとえば原研でたしか二月ごろだと思うのですが、ボイラーの爆発があった。これには大体五つのボイラーがあってその一つが爆発した。空気調節などをやっておる。これなども要するに直接原子炉ではないけれども、それからつながっている関連性のところに欠陥が出てくるわけですよ。こういう事故についていままでどこで発表されましたか。あるいはこれはだいぶ前の話ですが、二年ほど前だと思いますが、制御台の、コントロールデスクのところのスイッチが漏電して燃えた。しかもそのときには担当者もおらなかった。そして警備の者が行って、地下室から煙が出ておる。地下室が燃えておるんだと思って一生懸命消した。あとになって、制御台が燃えておった。そういうようなずさんな安全管理でいいかということです、これはちょっと前の話ですけれども。そういうようなことがあるから私は言うのです。民間であればなおさら不都合なことは隠してできるだけ処理しようという、私は何もそれを完全に疑って言っているわけではないけれども、そういう可能性があるから私は言っておるわけです。そういうことも含めて、今後の安全性、管理という問題について、またこの具体的な問題にも触れながらお聞かせ願いたいと思うのです。
  138. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先般のJR3の問題がありましてから約一年かけまして原研の安全体制の問題等についての組織のあり方等全部検討して確立したわけでございます。そういう関係の途中からボイラーのからだきというのが出ました。これにつきましては、そのときの処置といたしましてそういう問題がちょくちょく起こってはいけないというので、すべて所内に対してそういうことがあってはいけないということで、あったときごとにそれを公表いたしております。そしてなるべくそういう問題が起きないようにという体制は中でとっておるわけであります。今後ともそういう体制で、ほかのところでまたルーズになってはいけないので、なるべく所内でお互いにその点は見きわめるという形をとる。それからもう一つは原研の幹部が必ず月に一度所内の安全性等についての打ち合わせをするという体制を現在とっております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで私はここで一つの問題を提起したのは、要するに原子炉の周辺のところばかり安全管理をするというけれども一つはこの大きなシステムの中で一つでも故障があればそれは重大なつながりがあるわけですよ。したがってその安全管理という問題は、直接放射能に触れるとか汚染されるとか、それだけじゃなくして、私はそこのシステム全体に対してあらゆる配慮、シビアなそういうチェックがなければいけないんじゃないか、こういうことを申し上げているわけです。これについては今後どういうように科学技術庁としては指導あるいはまた対策をとっていかれますか。
  140. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 確かにいま先生のおっしゃるとおりでございます。先般これを改正するときもそれを考えました。したがいまして、個別でございますが、そこが全般的なジステマティックを検討して、定期的な検査、監査をしていくという形で全般を総括してながめていくという形をとっております。それから現場、現場はそれぞれのところの責任においての安全管理をとる。それでもまだ個別だけではまずいというので、先ほど申し上げましたそれがすべて役員の幹部のほうへつながるということで原子力研究所の役員とのつながりを月例でやるという体制で、総合的なまとめで全部見ていくんだという体制をとらせていただいたわけでございます。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんのでもうすぐやめますが、今回のことについても長官から非常にきびしいそうしたおしかりを受けたというようなお話もあったわけですが、私は長官に申し上げたい。最高責任者はやはり長官ですよ。部下の最高責任者に対して注意するだけですむわけじゃない。長官が一番責任を負わなければならぬわけですよ。また今後の安全性ということについても番真剣に取っ組んでもらわなければならぬわけです。そういうことを含めて長官の率直な反省を私は求めたいし、また今後の決意も承りたいと思うのです。
  142. 西田信一

    西田国務大臣 おっしゃるとおり私が一番の最高の責任を持っております。したがいまして、このような安全性に対する管理上の不安を持たれたり、あるいはまたその間に各機関の連絡等において隔絶があったりあるいは連絡不十分があったり、そういったことのないようにこれは常日ごろからそういうことは十分に伝達しておるつもりでございますが、さらにこういう機会に将来に向かってひとつ十分私自身戒慎してまいり、またそういう体制をしいてまいりたいと決意をいたしております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 これでもう終わりますが、先ほどのボイラーの件もこのシステムの中の一つなんですが、これはいま初めておっしゃるわけですか。このことについて……。
  144. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ここでいまお話では初めて出たと思います。なおこのボイラーにつきましては、私たちも、前にありましたときに、中の取り扱いの処置が非常に悪かったということで戒告を出したりして十分な措置をとったわけでございます。  それから、先ほどの御質問の件でございますが、東海研の廃棄物の処理の職員でございますが、これは十五人でございます。その中に安全取り締まりの主任技術者が三人おります。それからアルバイトが一人おります。それから警備員につきましては、そこばかりではございませんが、全体の警備員として二十七名おります。それが二直の三交代でやっております。  それから先ほど申しわけございませんでしたが、海岸からの距離、一番近いところは百五十メートルだそうであります。ただそれの海抜は八メートルほどあるそうでございます。  以上でございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの報告をお聞きしたわけですが、そういう管理の体制、警備の体制、また海岸から百五十メートル、高低差も八メートルということについて、私はいままでずっとお聞きしてきたわけですが、それについて具体的にお聞きしたいと思うのですが、そういう体制でいいわけですか、今後考慮なさらないわけでございますか。
  146. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ことしまで増設を毎年しておりますが、増設していく場合に、常に考慮いたしております。また来年度の予算で増設もございますが、先ほど先生津波その他でと言われて、いま原研に聞きましたところが、そういうことは一応考慮に入れまして、百五十メートル、海抜八十メートルでもだいじょうぶと思っていまやっている、しかし気象観測その他については当然あそこのモニタリングでずっとやっておりますので、その傾向は常に考えながら検討していきたい、こう申しております。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと次の方がいらっしゃいますのでこれで終わりたいと思いますが、いずれにしましてもこうした安全性の問題等あるいは管理の問題等について、やはり最高の所管官庁は科学技術庁でございますし、これからも絶対に油断することなく気を引き締めていただいて、今後のそうした監督、運営等について十分な御配慮をひとつやっていただきたい。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  148. 渡部一郎

  149. 山原健二郎

    ○山原委員 私は海洋汚染と原油基地の問題について、通産省、運輸省、水産庁、そして最後に長官の答弁をいただきたいと思います。  通産省昭和四十三年の六月二十日に、いわゆるCTS、原油基地ですが、原油基地の研究調査を終えまして、全国に十六カ所の候補地を選定をしたわけです。この選定によりまして、現在各企業が原油基地設置の計画を立てつつあるという状態です。青森の陸奥湾から南は志布志湾というところを十六カ所。この十六カ所を見て見ますと、非常に特徴的な問題が三つあるわけです。一つは風光が絶佳であるということ。非常に美しいところですね。それからもう一つは海洋の汚染をされた場合に影響が非常に大きい。たとえば陸奥湾の場合ですね。このどまん中に原油基地をつくって、もし事故が起こった場合には陸奥湾全体が汚染をされる、そういう内容を持っている場所。さらに漁業者がたくさんおるいわゆる漁場を控えた場所。こういうところを十六カ所選定することによりまして、いわゆる通産省企業進出の道を開いて、そしてその至るところで現在大きな問題が起こっているわけです。私は最初に通産省担当の方に対しまして、どうしてこの十六カ所を選んだのか、その基準、そういったものについてお答えいただきたいのです。
  150. 礒西敏夫

    礒西説明員 通産省が四十二年以来、いわゆる原油輸入中継基地として、一般にCTSと申しておりますが、CTSの調査をやった経緯につきまして御説明申し上げます。  御承知のように、最近の石油需要の伸長は非常に増大してまいっておりますし、今後も相当な飛躍が見込まれておるわけでございますが、特に原油の輸送部門におきまして、タンカーの大型化あるいは港湾施設の能力の限界の問題、それから船舶のふくそう化等によりまして、わが国の主要港湾におきまして近い将来個々の製油所ごとにタンカーをつけるということはなかなかむずかしくなってくる、こういうふうに予想されております。したがいまして、われわれといたしましては、原油搬入の合理化をはかるとともに、あわせて昨今におきます海上交通の緩和とか災害、事故の未然の防止、そういう点に十分留意をいたすために、所要の予算を計上いたしまして、いわゆる原油輸入中継基地に関する諸般の調査を行ない、具体的導入に対しての諸問題について検討してまいったわけでございます。十六基地の問題でございますが、これは石油流通合理化部会というのがございまして、そこでいろいろ検討した結果、十六地区が出てきたわけでございますが、これはただいま申し上げました背景から、石油の流通の合理化の可能性、いわゆるタンカーの大型化の問題とか、備蓄の増強の問題とか、経済性とかいうことを考慮いたしまして、特にそういう基地の機能ということに着目して、全国各地の立地適地を調査して選ばれたものでございます。
  151. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいまの御答弁のように、いわゆる需要の問題、経済性の問題、機能の問題、これが中心になって十六カ所を選定をしているわけですけれども、ではそこで私が先ほど申しましたように、たとえば今年の第六十三特別国会において海中自然公園、こういうものが選定をされておる地域がこの中にあるわけですよ。だからそういう観光資源といいますか、住民の慰安の場所といいますか、そういう風光の問題、あるいは漁業者の問題、こういった問題については全く配慮せずにこの決定がなされたのか、その点伺っておきたいと思います。
  152. 礒西敏夫

    礒西説明員 一応昭和四十二年度におきまして十六地点を選ばれたような形になっておりますが、今後の具体的問題につきまして、いわゆる原油輸入中継基地についてどういう企業が進出し、どういうふうな構想でもってやるかということの具体的な話が出てまいりました場合には、いま先生のおっしゃいましたいわゆる自然公園法との関係の問題とか、あるいは漁業の問題とか、そういう問題を十分調整できておるかどうかということは、当然われわれとしては見ざるを得ません。ただ先ほど申し上げましたように、全国を一応適地調査、いわゆる立地の問題を調査した場合に、たとえば海象条件、いわゆる海の気象の問題とか、あるいはその基地にタンクを置く場合に、その基地の地盤がいいとか、あるいは港湾関係はどうなっておるかというふうな観点から見たものでございまして、実際に具体的にそういう問題が出てまいったときには、その点からいま先生のおっしゃいました、たとえば風光の問題、自然公園法の問題、あるいは事故の問題、そういうこととの関連においていろいろ調査をし、十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  153. 山原健二郎

    ○山原委員 四十二年の段階で十六カ所を選定したのだが、その後の状態、特に今度の国会は公害国会といわれる、公害問題が最大の課題となっているわけですから、そういう問題とからめて、さらに具体的に検討する用意があるという点で、時間の関係もありますから先へ進みたいと思います。  全国的に見まして、通産省がこういう発表をしたために、各企業が乗り出していく計画を立てたために、各地において紛争あるいは特に漁民の間に不安、焦燥というものが起こっているわけです。たとえば、青森県の陸奥湾の場合ですね、この場合は原油基地、石油精製所というものが予定されておるわけですけれども、これにつきましてはやはり青森県の漁民が反対の決議をいたしまして、そしてボーリングもやらせないというふうな問題が起こっておるのです。これは当然のことだと私は思うのです。そこで私は少し焦点をしぼりまして、四国の問題についてちょっと申し上げてみたいと思います。  四国の場合、一つは瀬戸内海の汚染があります。これは田子の浦に次ぐ汚染といわれる川之江・三島地区の大王製紙の廃液による汚染というものは、これはものすごい状態です。だから瀬戸内海はまさに死の海になろうとしておる。ところがその瀬戸内海の入り口に当たる徳島県の橘湾、これも風光絶佳なところといわれておるわけです。西の松島といわれておる。ここもやはり通産省の十六カ所の中に入っておるわけです。そしてここには四国石油が導入をされようとしておる。ここでは県議会が約一週間にわたって開会することができないという大問題が起こったわけです。漁民七百名が県議会に押しかけて、ついに県議会は白紙に戻すという状態が起こっております。さらに香川県の坂出沖にできております番ノ州工場地帯、ここにはアジア石油がこようとしておるのです。これに対して坂出住民、特に漁民を中心とする反対運動が起こっておる。一方では先ほど御質問がありました原子力発電所の問題。四国電力が設置するということで、四国電力は予定地を転々と変えているわけです。たとえば、徳島県の海部町、次には高知県の佐賀町、次には愛媛県の津島町、そして現在は愛媛県の伊方町に原子力発電所をつくるということで、一企業である四国電力によって四国の住民が振り回されるというふうな状態も起こっているわけです。このようにして次第に海洋の汚染というものが激しくなってまいりまして、ただいま私のところに来た電報だけですけれども、これは全部漁業協同組合です。これは一部だけ持ってきたわけですが、ほとんど全四国の漁業協同組合から電報が入りまして、もうこれ以上の海洋の汚染は許せない。だから、今度の公害国会において法案についてはざる法にならないようにやってもらいたいという、これは漁業者の切実な要求として出ているわけです。その四国の状況を最初に申し上げまして、その中で高知県の宿毛につくられようとしております、まさに世界第一の原油基地、伊藤忠がこれを行なおうということで、現在調査その他が行なわれているのです。これにつきまして、通産省に対して伊藤忠のほうから構想あるいは説明があったのかどうか、これを伺っておきます。
  154. 礒西敏夫

    礒西説明員 伊藤忠商事株式会社が宿毛湾にCTS、いわゆる原油輸入中継基地を設置しようとするような話でございますが、本件につきましては、そのような調査を実施しているようでございますけれども、われわれとしては具体的な計画についてまだ十分聞いておりませんので、今後よく実情を調査してまいりたい、こういうふうに考えております。
  155. 山原健二郎

    ○山原委員 六月十五日のサンケイ新聞には、伊藤忠はすでに構想の一部について通産省説明、了承を得ておると発表いたしております。さらに、これは地元新聞でありますけれども、本年の十一月五日、伊藤忠企業は本年六月通産省をたずねCTSを宿毛湾に建設する構想を提示して、了承を求め、同省はこれを了承した、こう出ているわけです。ではこの新聞が何か先走りをして書いたのかどうかわかりませんけれども、あなたのほうにはそういうことは全くなかったわけですか。
  156. 礒西敏夫

    礒西説明員 聞いておりません。
  157. 山原健二郎

    ○山原委員 すでに伊藤忠は四千万円の調査費をもって宿毛湾一帯の調査を完了しております。そして私の手元には、調査表なるものがすでにできているわけですね。これも知らないのですか。
  158. 礒西敏夫

    礒西説明員 そのような具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように聞いておりませんが、きょう先生からこういうふうな御質問があるということで、一部調査を実施しておるということを聞いただけでございます。
  159. 山原健二郎

    ○山原委員 その程度のことしか把握していないということになりますと、伊藤忠は全く通産省の了承その他も得ないでやっておるということになるわけですが、地元の人たちに対しましては、すでに構想の一部は通産省説明、了承を得ておるというふうに——これは地元の新聞またはサンケイ新聞にもはっきり出ておるわけですね。では、伊藤忠が現在出しておりますところの構想というのはこういう構想なんです。原油の常時備蓄といたしまして三百万トン、そして貯油タンクが一基十万トンのが三十基、面積が一基一万坪、計三十万坪という形で出ておりまして、これは現在世界第一の原油基地といわれる鹿児島県の喜入町の実に二・五倍の構想を持っておる膨大なものなんです。  こういう構想がすでに発表されておる。これは地元の商工会議所の会報にもはっきりと出ているわけですね。そうしてそのことによって地元住民は非常な不安におちいっているわけですね。これは通産省が知らないとすれば、伊藤忠に対して地元の人たちはその点を追及するだろうと思いますけれども、そういう構想がずばりと出てきておるにもかかわらず、実は漁民には全く知らされていない。これは九月二十五日の朝日新聞をちょっと読み上げてみますと漁民にとっては「うわさばかりで、漁民はつんぼさじき。公害考えるにも資料がない。こんな不満が宿毛市漁協にくすぶっている。」という書き方でありますけれども、実は漁民は全く知らない間に四千万円の調査費で、そうして綿密な調査が行なわれ、しかも建築にあたっての労働力などについては、建築労働者の賃金が一人七百五十円から千二百円まで、これは建設省の労働賃金と比べまして、いま二千七十円でありますから、全く低劣な条件で労働力を便って建設するという、そういう計画まで出ているわけですね。私はこのことについて通産省は知らないというのですが、水産庁にお伺いをしたいのでありますけれども、漁民に対するこういう不安を各地において与えておるこれらの計画について何らかお聞きになっておるのか。それから新全総に基づくこういう原油基地の問題について漁民を守るためにどういうお考えを持っておるのかちょっと伺っておきたいのです。
  160. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁といたしましては、原則といたしまして、企業側と漁業者と十分な話し合いで、漁業者の納得のいく線でまとめるというような指導をいたしておりまして、現在まではそのようになっているのが例でございます。  そこで、ただいまのお話の香川県の番ノ州のアジア石油につきましては、私どもも漁業者のほうから何回も話を聞いております。しかし、宿毛湾につきましてはいままでのところ全然聞いておりません。
  161. 山原健二郎

    ○山原委員 宿毛湾の漁民千二百名が先日集会を開きまして、全員原油基地に対しては反対するという、非常に強固な意思を表明をいたしておりますし、その点で私も陳情を受けたわけでありますけれども、そういう状態になっている。なぜそういうことが起こるかということで、今度は通産省のほうにもう一度伺いたいのですが、現在の原油を輸送するタンカーの事故について、大体事故件数がどれくらいになっているか、昭和四十四年あるいは四十五年、最近の例でけっこうですけれども、全国的にタンカー事故というものはどうなっているか、伺っておきます。
  162. 竹内良夫

    ○竹内説明員 私港湾のほうの担当でございまして、運輸省といたしましては海上保安庁がそれを担当しております。それで現在手元に資料ございませんので、保安庁のほうと話しまして資料を後刻提出したいと思います。
  163. 山原健二郎

    ○山原委員 時間の関係で、私のほうが調べた数字を言ってみますと、タンカーの事故は、昭和四十四年に百三十二隻、それから昭和四十五年に入りまして十一月二十八日現在で百二十五隻となっておるわけです。  そこで一、二事故の例を申し上げてみますと、鹿児島県喜入町の場合、これは私直接参りまして調査をいたしたわけでありますけれども、昨年の十月五日に、これは工事完成したと全く同時期に満ぱいのタンクのバルブをあやまって開いてしまったために、基地に噴出した重油が二十トン、うち五トンが鹿児島湾に流出をしておるわけであります。ちょうど湾内はボラのシーズンでありましたけれども、一週間後にくさいボラがとれるという状態が生まれております。これが第一回の事故ですね。この喜入町の場合は、非常に重要な参考になる、新しい日本石油の基地なんです。新しくできた、最も合理化された基地ですね。もう二度と油漏れがするような事故は起こさないという約束を企業はいたしております。  ところが本年の五月二十八日に至りまして、リベリア船籍のワールドチーフ号、二十一万七千トンでありますが、これが陸揚げを終えて、バラスト水を吸入する際に、ポンプを始動する寸前にンーバルブ——海水取り入れ口をあけて船倉の底に残っていた原油が四トン流出をいたしております。ちょうど指宿という名物の砂ぶろの温泉があるわけですけれども、この温泉におりました観光客のゆかたに重油らしいものがつくという状態が出ているわけですね。  そしてそれで済んだかと思えば、また三回目の事故が起こっておるわけです。これが本年の十月二十二日、ノルウェー船籍のゲルベック号、流出原油は約一トンでありまして、前よりは少ないのですけれども、十四、五メートルの強風にあおられて原油がオイルフェンスを越して湾の奥に拡散するわけです。そして原油は約五十メートルの幅で延々六キロにわたって長い布を敷いたというような状態になっております。この基地ではむしろ一千枚で油を吸い取るというふうな形で処理しなければならなかったわけです。こういう状態が起こっている。そこでそういう事実を知っておる宿毛漁民にとりましてこれは重大な問題です。一万トンの油が流れた場合、かりに油膜の厚さが〇・一ミリといたしますと、百平方キロメートルにわたって汚染をされるという結果になるわけです。ところがちょうど宿毛湾というのは約百平方キロメートルあるわけですから一万トンの油が漏れた場合には全湾内が汚染をされるという状態におちいるわけであります。こういう事実を知っておりますか。
  164. 礒西敏夫

    礒西説明員 日本石油の喜入基地の問題につきましては、これは先ほど先生から御指摘のあります原油輸入中継基地でございますので、本件についてタンカーは別にしまして流出した昨年の十月五日の問題と、それからことしの五月二十八日の二件については承知しております。したがいましてこうした事故が生ずることのないように強く指導をしておりまして、日本石油におきましても事前予防対策あるいは緊急対策をつくって喜入町と県に約束をしておる、こういうような状況になっております。たとえば事前予防措置につきましては、運転員の再教育とかあるいは配管、バルブ、ポンプ等設備の再点検あるいはオイルセパレーター等の油除去装置の再点検あるいは緊急対策措置におきましては従業員に対する定期的な防災演習、教育の実施あるいは油の回収船、オイルフェンス及び油分散剤等の装備検査、こういうふうなことをやるというふうになっております。  なお、われわれといたしましては原油流出事故の発生防止、事故時におけるすみやかな処理を確保するために石油保安公害調査によりまして、製油所、油槽所等における回収船、オイルフェンスあるいは沈降剤等の設置状況等を調査をしておりまして、今後こういう事故がないように、石油企業各社に対しまして事故防止に万全を期するよう指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  165. 山原健二郎

    ○山原委員 海洋汚染防止法によれば、単なる企業に対する勧告ではなくして、これは当然企業責任を追及すべき問題だと思うのですが、それはあとで申し上げることにします。  もう一つ、事故の問題を申し上げてみたいと思うのです。これはやはり宿毛湾のすぐそばにあります宿毛市と隣接している大月町柏島でタンカー事故が起こったのが四十三年の十月二十一日です。これは小さな重油タンカー第二幸宝丸が座礁しまして、その船腹がどす黒い重油を吐き出して、黒い帯はぐんぐん広がり、湾内に流れ込んだと新聞は書いております。そして宿毛湾西端にある幡多郡大月町柏島におきましてはハマチ、真珠母貝の養殖場をまつ黒に塗りつぶすほどの重油であった。漁民は血の気を失い、ぼう然と浜べに突っ立っていたとその当時のことを書いております。そこにはもう足摺国定公園、海中自然公園の美しい海はなかったと書いてあります。これは重油そのものは一週間ほどで海上から消えております。だが重油が砂浜にしみ込みまして、砂浜を少し掘ると油が油田のように出てくるわけです。それをひしゃくですくって漁民はのけているわけです。重油を砂浜からのけるために五カ月時間をかけてやっているわけです。そしてハマチ十万尾、ブリ五万、真珠の母貝七十五万個、そのほかテングサ、トコブシ、こういうものが全滅をいたしました。その柏島漁民の受けた被害が一億二千万円であります。ところが船会社から出しましたところの補償金はすったもんだの末わずかに八百万円しか出ていないわけであります。しかもこの八百万円というもの、これは漁民の手には渡らないわけです、漁業補償の特例として。非常に補償金の分配が困難なわけですが、それは水産庁よく御承知のことと思いますけれども、こういう事故が目の前で二年前に起こっているわけですね。その上に今回私が申し上げましたような重油基地を伊藤忠が持ってくるということに対して漁民が反対をするのは私は当然のことだと思うのです。そういう状態の中で漁民がいま立ち上がって、伊藤忠に対してやめてもらいたいという要求をいたしておるわけです。  そのような説明を皆さんに申し上げておきまして、そこで、この重油の廃棄物、油の海上廃棄の問題でありますけれども、これについてまず海洋汚染防止法には処理施設の義務づけがないわけですね。これは私は義務づけをすべきだと思うのです。その点についてお考えを伺っておきたい。
  166. 竹内良夫

    ○竹内説明員 ただいまの廃油の処理施設のことでございますが、私は港湾のほうの担当をしておりまして、港湾の中におきまして、船舶のバラスト水とかそういうものを処理するというほうの関係でございます。港湾におきましては、船舶から出てくる廃油に対しまして関連の業者にできるだけやっていただく。これは通産省のほうとも十分お話しいたしまして、石油精製業者あるいは配給のための業者そのほか造船業者、その業者の方に十分つくっていただきたい。それで足りない部分につきましては、港湾管理者のほうで整備いたしまして、その港湾管理者に対しては二分の一の補助をする形で万全を尽くしていきたい、このような体制をしいている次第でございます。
  167. 山原健二郎

    ○山原委員 原油の輸送の場合に、タンカーの中にバラスト水、ビルジ、これは当然発生するわけでして、これを処理する施設を海洋汚染防止法に明記しなければ、あっさり言ってたれ流しでしょう。何にも規制がないわけですから企業がつくる必要もないわけです。指導上つくってもらいたいというふうな指導をするだけであって、これをつくる義務づけというものがないわけですね。これは今後日本の海洋汚染の問題で非常に重大な問題です。これにつきましては長官の御意見を伺っておきたいのですが、こういう形で日本の沿岸が汚染されるということをどうしてとめるかという点で見解を伺っておきたいのです。
  168. 竹内良夫

    ○竹内説明員 海洋汚染防止法では海に油を捨ててはいけないということがきめられているものだと思います。それで、その船のほうで、たとえば、ハラスト水を捨てなくちゃいかぬという場合には、そこに処理施設というものが港のほうにつくられておりますので、そこに持ってきてもらいまして処理をするという形で廃油処理施設を整備しているわけでございます。本来、海洋には油を捨てないんだという精神が貫かれているのではないかというふうに考えます。
  169. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が経過しておりますので簡単にやりますが、そのようなことでこの海洋の汚染——先ほど私が説明したのは、瀬戸内海の問題からずっと御説明してきたわけですけれども、そういうような規制措置で、どうして全日本の海洋の汚染を防ぐことができるかという問題ですよ。これはできないのです。だから、現在川崎、横浜、千葉で廃油処理施設がつくられております。つくられておりますけれども、この利用率は、川崎の場合は二〇%から三〇%、全国的に見まして、処理施設の利用率というのは一〇%以下です。だから、あとは全部バラスト水、ビルジが海洋に流されておるといっても間違いでないわけですね。そうして、流した場合の罰則というのは、今回の法律によりましても、現行犯で懲役六カ月、そして二十万円以下でしょう。二十万円なんて、原油だとほんのわずかな部分で、罰金で済むわけですよ。こういう規定しかない。しかもその罰則は、企業が受けるかといえば、現行犯の場合、おそらく下請の会社の労働者が受けるということすら考えられる。この罰則の適用を受けるのは、企業責任者ですか、どこですか。海洋汚染防止法の罰則の適用を受けるのは企業責任者ですか、だれですか。
  170. 竹内良夫

    ○竹内説明員 私、そちらのほうの専門でございませんので、詳しく罰則のところまで知らないわけでございますが、条文を読みますと、たとえば港湾管理者がその施設をつくるというようなことでもございまして、港湾管理者にまで罰則を及ぼしているというように、非常にきつい罰則ではないかと私は見ているわけでございますが、企業のほうになりますと、廃油処理施設をつくる者、廃油処理施設責任者等が罰則を受けるというように出ているわけでございます。船舶のほうにつきましては、私ちょっとまだ勉強不足でございまして申しわけございません。
  171. 山原健二郎

    ○山原委員 先ほど言いました喜入町の場合でも、油を流している、その油を流した責任者というものははっきりしているのですけれども、これは告発をして裁判になって、裁判の結果有罪になった場合、その場合に懲役六カ月で罰金二十万円以下と、こういうわけですから、全くざる法というのは、ここにざる法といわれる原因があるわけです。しかも処理施設をつくる義務がないわけですから、これは日本の海は、これからよごれっぱなしという状態になるわけですから、こんな法律で一体いいのかということですね。このことを私は強く指摘をしておきたいのです。そしてさらに、私はこの法律によりますと、何人も油を排出してはならない、と書いてあるのですが、それもいま言ったように、だれが責任を負うのかもわからないような状態では、これは日本の海洋の汚染を防ぐことはもちろんできませんし、公害を防止することはできないと思うわけです。そうしてさらに問題になりますのは、この原油基地を設置する場合に、設置の場合の許可の適用はどこから受けるかというと、これは通産省が許可するのじゃないのです。これは消防法の適用を受けるだけなのです。ここにも非常に重大な問題があると思います。ただ、石油精製所をつくる場合には、石油業法によって、通商産業省の省令の定めるところによって、通商産業大臣の許可を受けなければならないとなっておりますけれども、この膨大な、世界一といわれる油を貯油するところの原油基地については、消防法の適用を終わるという、消防本部または市町村の許可さえあればやれるという、こういうところにも非常に大きな欠陥があると思うのです。  そこで、最後に伺っておきたいのですが、こういう状態の中で、法律的にも保護されないその中で、漁民たちが不安、焦燥を感じておるわけですが、そういう漁民たちの不安や反対を無視してこういう原油基地の設置をやるのかどうかという問題であります。まず、その点について通産省の見解を伺っておきたい。
  172. 礒西敏夫

    礒西説明員 ただいまの先生お話、いわゆる許可問題については全くそのとおりでございます。したがいましてわれわれがCTS、いわゆる原油輸入中継基地の設置にあたりましては、これは石油政策の関係あるいは石油精製との関係もございますので、その辺は十分検討、調査をしてまいらなければならないのでございますが、特に先生のおっしゃいましたのは、おそらく地元関係者との調整はどうなるのか、というのが根本問題だと思います。これは石油精製会社の設備、石油精製設備の設置許可の場合においても、地元との調整、いわゆる円満なる話し合いをもってくるというふうにしておるのでございますが、それに準じまして、本件につきましてもそういうことが望ましいのでございます。さらにわれわれとしては、そごが出てきた場合には、ただいまおっしゃいました公害対策の問題あるいは石油流通対策とか立地問題とか、そういうふうな各般の諸点について十分調査し、検討してやってまいりたいと思うのでございますが、特に漁業問題につきましては、これは従来とも石油精製業の場合に、水産庁と御相談していろいろやっておる状況に準じまして、水産庁と十分協議をしてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  173. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に一つ、水産庁にその辺の決意を伺っておきたいのですが、このままでいけば、日本沿岸における漁業はもう成立しません。まさにそういう状態になっております。特に水産庁は宿毛湾のことについては、これは十分御承知だと思いますし、私の県議会当時から宿毛湾の漁業問題については、ずいぶん長期にわたる紛争や問題があったわけでして、この問題を御承知だと思うのてすが、この点について——しかも、ここは黒潮の起点なんですよ。ここを汚染されると、これは私のしろうと考えでありますけれども、場合によっては紀伊水道から和歌山沖まで汚染される可能性はないとはいえないのです、三十万トンのタンカーが百何十隻も出入りするという状態になりますと。これは水産庁として、日本の漁業を守るという観点から——私は、通産省は経済効果あるいは需要の面というようなことから言われておる面もあるわけですけれども日本の漁業をどうして守るのかという点について見解を伺っておきたいのです。  そして、最後に長官に対しまして伺いたいのですが、科学技術庁として。石油の供給量はこういうふうに伸びていっておるわけですね、昨年、四十四年が一億六千万キロリットル、それから四十八年になりますと二億五千六百万キロリットルと石油の供給需要量がふえてくる、供給しなければならぬという計画になっております。そうしますと二億五千六百万キロリットルで、含まれている硫黄が二百九十万トンになるわけです。これは石油連盟の調査であります。そこで、しろうと考えでそれを類推していきますと、この硫黄から生ずる亜硫酸ガスは、硫黄を二百九十万トンにいたしまして、亜硫酸ガスは五百八十万トン、あくまでも概数でありますけれども、出てくるわけですね。そしてその硫黄は燃えて亜硫酸ガスになり、亜硫酸ガスがやがて水に溶けて硫酸になる。そして昭和四十八年には現在の計画でいけば約二百九十万トンの硫黄が放出をされ、亜硫酸ガスにして実に五百八十万トンというものが生じてくるわけです。これは日本列島に生活する者全員の生命と健康に関係をしてくるという重大な問題があるわけです。これは近い将来に必ずそういうふうになってくる。また現在の新全総でいくならばそういう計画になってくるわけです。そうすると、この日本人全体の生命と健康を守るという点で、科学技術庁としてはこの問題についての対処のしかたがあると私は思うのです。あるいは研究調査、そしてそれに対してどう対処するのかという問題です。この将来の展望、しかも目の前に迫っておるこの問題について科学技術庁としてどういうお考えを持っておるか、伺っておきたいと思います。
  174. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 漁船といたしましても石油をたくもので、油の輸入については異論ないところでございますけれども、漁業側といたしましてはこれから絶対に公害を起こさないということを約束させるということを目標にしてやっております。  ただいま先生指摘の点は沖ノ瀬漁場のことだと思いますが、こういうところは御指摘のとおり和歌山県からも漁船が集まるというような漁場でございますし、黒潮がそこにぶつかって北上するところでもございますので、設置場所等につきましては先ほど通産省からお答えがありましたように、私どもも御相談があれば十分話を詰めたいと考えております。  また漁業者のほうにつきましては、企業を誘致する場合に漁業者が納得できるようないろいろな条件をつけて覚え書きを交換する、そして納得がいってからそこに企業が設立されるような指導をいたしておりますし、今後もいたしていきたいというふうに考えております。
  175. 西田信一

    西田国務大臣 わが国の経済の伸長と関係が深いわけでありますが、原油の量がふえてまいる。これが大気汚染その他の非常な原因をつくっていくということは、これに対処していかなければならないたいへん重要な問題であると考えます。  そこで、科学技術庁ももとよりでございますが、通産省その他関係省庁がいま懸命にこれに対処するための対策として考えておりますことは、重油脱硫装置の促進、このことにはもうすでにかなりのウエートをかけて進めておるところでございますし、さらにまた、低硫黄原油の確保ということはなかなかむずかしい問題でございますが、こういう問題にも十分対処していかなければならない問題であると存じます。  それから煙突から出ますところの排煙脱硫の問題、これの技術開発ということも重要な事柄であると存じます。  その他、先ほど来御質問にございましたようなもろもろの海洋汚染その他の影響等もございますし、こういう問題につきましても、科学技術立場から具体的にこの問題を取り上げまして、いろいろな対策を練って実行しようといたしておるわけでございます。  さらにまた私ども立場からいたしましては、将来のエネルギー需要にこたえまして、比較的大気汚染等の懸念の少ない原子力発電等の推進の面におきましても力を注いでまいりたい。かような総合的な対策によって、ただいま御指摘になりましたような公害を極力排除してまいる、こういうことに努力したいと考えています。
  176. 渡部一郎

    渡部委員長 それでは、本日ほこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会