○瀬長
委員 愛知外務大臣を逃がしてしまいまして、非常に残念でたまりません。それで
愛知外務大臣に対する
質問も関連させて、特に
沖繩担当の大臣でありますので、山中
総理府総務長官に
質問いたします。
その前に、
コザ事件について最初に
質問いたしますが、ここに持ってまいりましたのは、あの二十日の午前一時十五分から始まったいわゆる
コザ事件における
県民の怒りがどんなものであったかということを証拠立てております。これは
アメリカの
自動車、これが焼かれた残骸であります。これを私が持ってまいりましたのは、
愛知外務大臣もいま答弁の中で、この
事件の
背景は二十五年にわたる
アメリカの支配に対する
不満のうっせき、このあらわれだということを言われておりました。表現の違いはありますが、これは
沖繩県民の
アメリカの二十五年にわたる軍事的植民地的専制支配、これに対して
沖繩県民は歯を食いしばってがまんにがまんをしていた。そしてときには組織的に大衆の大会を持ち、集会を持ち、デモをやる。そしてB52が落ちたら命があぶないんで、B52を撤去してほしい。そして
日本政府にも要請をし、お願いをしてきました。
アメリカ政府にも幾たびかそういった
人権無視の
事件を取り上げまして、とにかく命だけは何とかして長らえたいという基本線、これであります。だが、いま、二十日に起こりました
コザの
アメリカに対する
県民の決起、これはほんとに怒りが爆発したものである。この怒りの強さは鉄をも溶かす強さだ。そのために私は証拠を持ってきたわけであります。いずれ総務長官は
沖繩現地に行かれて、現実どのくらい怒りが深く、そして広がっておるかという点については
現地調査されればわかりますが、屋良
政府主席が不在のため、主席代行をしていた知念副主席は、この
事件を取り上げまして、いまや対米
沖繩県民の姿勢は一触即発であるということを言っております。この一触即発というのは、基地
そのものが油である、油田である、そこに一点でも火種を点火すると燃え上がる、この表現だと私は見ております。しかもあの
事件、私
調査に行きましたが、
現場を見、さらに
琉球警察、それから公安
委員長、さらに基地司令官のクーパー大佐にも会って、あの小学校の焼け
あとも見ました。この場合、自然
発生的なものであるとはいえ、
コザの市民に対する被害は一文も与えておりません。ガラス
一つも割られておりません。
沖繩の
県民の相手というのがだれであるか、非常にはっきりわかると思います。この集まった群衆、四時にはすでに一万人余りに達したといわれております。こういったようなことを再び起こさない抜本的な基本的なものは何か、それは基地であります。基地があるがゆえにこのようなことになっておるし、
アメリカが
沖繩にいるからこのようなことになっておるんだ。ヤンキー・ゴーホーム、あの群衆の中から自然に出た
ことばは、
アメリカ人は
アメリカに帰れということがすでに
沖繩県民の広範な層に定着しつつあるということを示すものと見なければいけないし、だからこそ知念副主席は一触即発という
ことばを述べたわけであります。
したがって、私はいま
質問に入りますが、このことがありましたのが二十日、二日おいて、いま
上原委員の
質問の中にもありましたが、
沖繩北部の国頭郡に約百九十五万坪にわたる実弾演習場を設ける。これは具志川市の天願にあるキャンプ・コートニー第三海兵隊の実弾演習射撃をするということを、民
政府を通じて
琉球政府に通告があった。これに対しましては、地元の人は、絶対この演習場を許さない。さらに自由民主党の県連会長の大田政作氏も、断固反対するとはっきり表明し、
琉球政府主席もこれをはっきり表明しております。国有林が大部分であり、そこは入り会い権の問題もからみ、二百名余りの部落民が、この山を取り上げられたら生活ができないという状態。さらにあの森林地帯は実に美しい森林地帯であり、先ほどノグチゲラという世界にも珍しい鳥がおり、その鳥類保護地域に指定されている。水源地も枯渇する。いろいろな面からこれには断固反対するという、もう
県民的な反対運動がいままた盛り上がろうとしております。国有林の問題を含んでおります。これは、なお占領支配の中に
沖繩があるということを事実をもって物語っておる証拠である。
独立国日本、その
独立国日本といわれておる
日本の南の
沖繩に百万おる。この百万の
県民は、このようにして土地を取り上げられる場合にも三百も反対できないという状態に置かれてはいかぬというのが
沖繩県民の真の願いであり、心である。さらに、
独立国といいながら、殺されてもこれに対する
一つの抗弁もできないし、そして
強姦されても何とも言えない、強盗を働かれても火をつけられても何とも言えないという状態は、治外法権とかいう
ことばで名づけられておるが、これが
独立国日本の国内の一角にある。しかもそこには百万
県民が住んでいる。こういうことを私たちが念頭に置いて、真にいま申し上げました鉄をも溶かす怒りがあの強さの中にいまある。これに対して、きのうの参議院の沖特委での山中総務長官の発言の中に、新聞だけしか見ていないので真疑のほどは知らないが、こういったのはあげて
日本政府の責任であるといったようなことが書かれておりますが、はたして
日本政府の責任であるとするならば、
一つは、いま申し上げましたあの全
沖繩県民が反対しておる北部の演習地帯、これを絶対にさせないという方向、これは核抜き、
本土並み、七二年
返還が宣伝されたようなあの裏がどんなに危険なものであるかということを示すものであるが、誠意をもってこの演習場をやめさせるということが言えるかどうかという問題が
一つあります。
もう
一つは、
糸満町の
事件から
発生しておると俗に言われておる
コザ事件でありますが、
糸満町の
事件は、夫は七カ年間肺をわずらって寝ておる人であり、その
主婦の金城トヨさんが殺された翌日、私も行きました。この
事件はあまりにも殺し方もむざんであり、そうしてMPがやってきて、この加害者の車を持っていこうとしたとき、だれも呼ばないのに五十名集まり百名集まり、とうとう包囲してしまって、この車はそのまま置いた。そうしてここで数日間団交が始まる。団交というのは
アメリカ軍人の
凶悪犯罪糾弾協議会、これがつくられたわけであります。この糾弾協議会といろいろ問題が出て、
裁判を公開する問題、さらに
損害賠償一万七千ドルを
要求しておりますその
損害賠償の問題、さらにいまでは何を言っておるかというと、サル芝居の軍事法廷を許すな、
軍事裁判を許すな、だから
無罪判決になったあの結果を、
琉球政府が推薦する者をも入れて
裁判をやり直せという
要求が熾烈になっております。これに対する山中総務長官の見解。
もう
一つは、いま
外務大臣の数名の
委員に対する答弁の中で、
毒ガスの問題であれ、さらに
軍事裁判を
琉球政府に移譲する問題であれ、七二年
沖繩返還が
実現するまではどうにもならぬということになっていたが、これまでその
あと二カ年間
沖繩県民は
毒ガスを抱いて生活せよということになるのかどうか。さらに
裁判権の問題にいたしましても、七二年まで二カ年間単に警察と
アメリカと結んだ協定の改善くらいでがまんしろということであるのか。ここら辺が明確にならないと、
沖繩県民は安心して暮らすことができないような状態に置かれております。まずそういったようなことについて山中長官に御
質問いたします。