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愛知国務大臣 非常に広範にわたり、かつ
政府の基本的な
考え方とだいぶ違った角度に立っての御質問ですから、なるべく簡潔にお答えいたしたいと思いますが、ちょっと時間がかかるかもしれません。
まず、サンフランシスコ
平和条約の問題でございますが、これはいまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、
日本政府は、このサンフランシスコ
平和条約によりまして、一口に言えば今日の
日本の繁栄を企図し得たものである、あの当時いろいろ御議論が国内にもございましたが、この
平和条約締結に踏み切ったことが今日の
日本再建のいしずえであった、かような信念に立っておるわけでございまして、この点は御
見解が違いますのはやむを得ないことと思います。
それから、第三条の問題でございますが、私はそういう
立場に立って申し上げるのでありますけれども、ここに御承知のように
アメリカが、これこれのところを合衆国を唯一の
施政権者とする信託統治制度のもとに置こうとする国際連合に対する合衆国のかなる提案にも同意する、しかし、このような提案が行なわれかつ可決されるまでは、合衆国が立法、司法、行政の三権を持っている、こういうことになって今日の状態に及んでいることが、
アメリカとの
話し合いにおいて
施政権の円滑な
返還が企図できることになったよりどころであり、政治的に見ましても、この規定によって
沖繩の
返還というものが円滑に行ない得たものである、かように確信をいたしております。
それから第三点は、私ども
政府が言っております
本土並みということは、冒頭に私お断わりいたしておきましたように、
沖繩の風土、どこの水もきれいであり、海もきれい、青空も
日本本土と同じように青空をという、このお
気持ちは全く私も同感でございますが、
本土並みということは、
本土における憲法をはじめとして一切の法令、それから
本土政府が是なりとし、
国民の支持を得て諸外国と締結いたしました
条約は、
安保条約を含めて、すべてこれを何らの
変更なしに
沖繩に適用することである、この
基本方針によって
返還が実現されるということになったことを喜びとしているわけでございます。したがって、
返還協定をつくる場合に、一切の
アメリカ人はいなくなる、
米軍の撤退、一切の
基地の
撤去ということを
返還協定で約定せよといわれましても、これは基本的な
考えが違いますから、
沖繩の百万の
県民の
方々が
本土の者と同じように平和で安全に
心配なく生活していかれるためには、
本土の経験上から申しましても、
本土並みが最善である、こういう確信の上に立っておりますから、
本土並み以上、あるいは
本土並みと違ったような角度で
沖繩というものを別個に取り扱うということになりますと、
政府の
本土並みということとは基本的に違った精神と申しますか
考え方に立つものでありますから、
政府といたしましては、そういう御
意見も拝聴いたしますけれども、遺憾ながらその線で
返還協定を結ぶということは
考えておりません。
それから次に、資産の買い取りの問題でございますが、無償で何でもかんでもということは、
考え方によっては、一これもつの
考え方だと思いますけれども、たとえば電力とか水道とかいうようなことで、現にある
施設で引き続き
沖繩県民のために大いに有用に使われるというものにつきましては、場合によりましてはこれを有償で引き継ぐということも
考えていいのではなかろうかというふうな
考え方を持っておりますということは、従来率直に申し上げておる次第でございます。
ガリオア、エロアというようなものについての
政府の
見解は、従来から申し上げたとおりでございまして、ガリオアあるいはエロアということに限定すれば、これは性質上は
返還というようなことを当時は
考えられていなかったものであろう、こういう
考え方に立脚して
処理をいたしたいと思いますけれども、これらの資金が、いま申し上げましたように、いわゆる三公社その他今後も
沖繩県民のために大いに有用に使われるというその資産として見た場合、その資産をいかに評価するか、そうしていま私が申しましたように、その中でいかなる程度のものが有償であってもしかるべきかということについては、今後も慎重に検討させていただきたいと思いますし、また
米側とも十分詰めて
協議をいたすべき筋合いの問題である、かように存じます。しかしいずれにいたしましても、
沖繩県民の
方々の御要請、お
気持ち、負担をしたくない、率直に言えばそういうお
気持ちというものは、
政府におきましても十分尊重していかなければならないと
考えます。
それから、次の米系の企業の問題でございますが、これはやはり
復帰と同時に当然それぞれの業法とか、あるいはそれに基づく許可でありますとか、あるいは税法の取り扱い、あるいは外国に対する送金の問題というようなことは、すべて
返還と同時に完全に
日本の法令に服すべきものである、こういうことで律してまいるべきものであると
考えるものでございます。経過措置等については、これは
アメリカの外資系というだけではなくて、ほかにもそういう種類のものがございましょうし、あるいはまた個人的な自由職業等につきましても、資格の問題その他もございましょうが、こういう場合におきましては、どこ系ということではなくて、経過的な尊重ということも
考えなければなりますまい。そういう場合におきましては公平の原則でもって取り扱うということが妥当ではなかろうか、こういうように
考えておるわけでございます。