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國場委員 われわれ
沖繩県住民の長年の
悲願であった
祖国復帰が佐藤・
ニクソン会談により一年有余のうちに実現することになり、これに先立ちまして、
国政参加が実現されて、ここに
沖繩住民の声を反映させていただく
機会を得ましたことは、
日本一億同胞のあたたかい励ましと
関係各位のなみなみならぬ御
努力のたまものとして深く感謝するものであります。
沖繩の復興問題に関しては、これまでにも本
委員会等におきまして真摯な御討議をいただいてきたわけでございますが、
沖繩の現状はまことにきびしいものがあり、
現地の声を反映させていただくために、なお一そうの深い御
理解と御協力を望むものであります。
御
承知のとおり、
沖繩は二十五年間にわたって
米国施政権下にありながら、
灰じんに帰した廃墟の中から立ち上がり、今日の復興を見たのでありますが、なお
本土との格差はあらゆる部門においてきわめて大きなものがあります。産業、経済、教育、文化、社会福祉等のあらゆる面に格差と立ちおくれが露呈されているのでありますが、その最大の要因は、何といっても経済基盤の脆弱性にあると言えるのであります。
ちなみに、一九六九年度の
沖繩貿易収支の
実績を見てみますと、輸出は約九千万ドルに対して
輸入は約三億八千万ドルであり、実に三億九千万ドルの
輸入超過となっておるのであります。この貿易収支の差額は、直接、間接による基地収入によって補てんしている現状であり、基地依存の割合がいかに大きいかを如実に示しておるのであります。さらに対外輸出額の低さは、第一次、第二次産業ともその
規模が小さく、またそれが脆弱であることを端的に物語っており、特に基地関連サービス業を中心とする第三次産業の占める割合は異常に高く、正常な経済構造の形態とははるかにかけ離れた実態となっております。
このような劣悪な経済
環境の中で
沖繩住民は、戦後二十五年間苦難を克服しつつ生活を切り開いてきたのでありますが、いかんせん、基本的な経済基盤の欠如はおおうべくもなく、現在においても
本土の一人当たり
国民所得約一千三百ドルに対して、
沖繩にありては約七百七十ドルという大きな所得格差を余儀なくされているのであります。
あと一年有余に迫った
祖国復帰を前にして、
沖繩住民は、長年にわたる
悲願達成への
努力が実を結んだものとしてこの喜びをかみしめつつ、祖国
日本へ寄せる期待はまことに大きなものがあるのであります。しかしながら、米軍統治という特殊な政治体制のもと、ゆがんだ経済
環境の中での生活を余儀なくされてきた
沖繩住民は、
復帰をすなおに喜びとする反面、
復帰後の諸問題に対して多大な不安感を持っておるのであります。この
復帰不安はあらゆる分野に及んでいるのでありますが、突き詰めてそのよって来たるところを考えますと、
県民生活の基盤がどうなるのかという経済不安に集中しておるのであります。このことは、
沖繩の置かれている変則的な経済立地条件を考えれば十分御
理解いただけるものと思います。
日本の敗戦によって施政権を米国にゆだねられた
沖繩は、
日本の引き起こした戦争の犠牲を集約的に負わされたものであり、さらに戦後二十五年間にわたって米軍基地として極東の安全、ひいては
日本の安全に寄与してきたものであり、この点は、
本土一億同胞に十分に御
理解いただきたいものであります。かつて佐藤総理が
沖繩来島の際、
日本の今日の発展あるはまさに
沖繩県民の犠牲によるものであり、物心における援助は責任を負うと言われたとおり、この貢献度はきわめて大きなものがあります。また、
沖繩の返還なくして
日本の戦後は終わらない、
政府は全力をあげて
沖繩復興に
努力するので、いましばらくしんぼうしてほしいと申しておりましたが、このことばに間違いないと信じたいものであります。われわれ
沖繩住民は決して恩着せするわけではありません。すべての英知を結集し、最善の
努力をいたすことは言うまでもありません。しかし、あらゆる面における著しい格差は、
沖繩が
本土と切り離されたことによりもたらされたものであって、そのために
県民がこうむった不利益については、施政権返還に際し完全に是正し補てんすべきであり、
沖繩が自立の道を歩むことができるまでその責務を全うしていただくことを切に
要望する次第でございます。
沖繩の現在置かれている状態は、
沖繩住民がその
意思で選択したものではないことは明らかであり、
沖繩住民が抗し得ざる外的要因、すなわち
日本国家の大きな歴史の流れの中に置かれた状態であると解釈できるのであります。この観点から考えますと、
沖繩問題は単なる一地方の問題ではなく、国家全体の問題としてその
施策を策定することを要請したいのであります。ただし、国家全体の問題としてとらえるということは、常に他府県とのバランスのワクの中で考慮するということではなく、国家的な立場から総力を結集して
沖繩の復興に当たっていただきたいことを希望するわけでございます。
私は今回、戦後初めての
国政参加選挙に臨むにあたり、幾多の困難な問題があるといえども、この経済不安の解消こそまず当面の急務であると訴えてまいりました。幸いにしましてその任に列せられ、責務の重大さを痛感するものであります。
沖繩問題に関しては、あらゆる部面に
解決を迫られている問題があり、教育問題、医療問題、農業問題、経済
問題等いずれも重要な問題ではございますが、時間の
関係上まず経済問題に焦点をしぼり、他の問題については後日、当
委員会において
質問をいたすことにいたしまして、本日は
政府の基本
施策について二、三御
質問をいたしたいと考えます。
まず最初に、第一点としまして、
沖繩経済の振興についてお伺いしたいのであります。
さきに発表されました
復帰対策要綱を見ましても、総合開発計画策定にあたっては、さきに
琉球政府の発表した長期経済開発計画を尊重するというだけであって、
政府は経済振興についての明確なビジョンを打ち出していない。この点、
沖繩県民は非常な不安の念をもってその成り行きを見守っております。また、ごく最近発表された
沖繩の国勢
調査概数によると、
沖繩の人口は五カ年間に一・二%という戦後最低の伸びしか示しておらず、
沖繩県民は
沖繩にも人口の過疎化が始まるものではないかと感じ、経済振興についての不安をますます深くするとともに、一刻も早く
本土政府がその振興計画を具体的に示すことを切望しているのであります。この際
政府は、この
県民の
要望にこたえ、できるだけ早く復興の青写真を明らかにしていただきたいと考えますが、その計画策定の作業はどうなっているか、具体的にお答えをいただきたいわけでございます。