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1970-12-03 第64回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月三日(木曜日)     午後零時五十九分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 大村 襄治君 理事 田中 龍夫君    理事 床次 徳二君 理事 箕輪  登君    理事 川崎 寛治君 理事 中川 嘉美君    理事 小平  忠君       國場 幸昌君    西銘 順治君       福田 篤泰君    山田 久就君       豊永  光君    上原 康助君       中谷 鉄也君    山本弥之助君       渡部 一郎君    安里積千代君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         沖繩北方対策         庁長官     山野 幸吉君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十一月二十五日  辞任   永末 英一君             補欠選任              安里積千代君  辞任   東中 光雄君             補欠選任              瀬長亀次郎君 十二月三日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     桑名 義治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  この際、当委員会委員になられました沖繩選出の新しい委員を御紹介いたします。  安里積千代君。   〔安里委員起立〕   〔拍手
  3. 池田清志

  4. 池田清志

    池田委員長 沖繩問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。西銘順治君。
  5. 西銘順治

    西銘委員 初めに、沖繩県民多年の悲願でございました沖繩国政参加につきましては、まれに見る全会一致の採択となりまして、国政参加がここに実現されました。このことに対しまして、各政党並びに議員各位、一億国民に対しまして深甚なる敬意を表するものであります。  次に、本臨時国会の劈頭のこの特別委員会の冒頭におきまして質問機会を与えてくださいましたことに対し、委員長をはじめ自民党、各党の議員方々敬意と感謝を申し上げるものであります。  わが日本は、戦後、国民努力政府施策と相まって、すばらしい経済成長を遂げまして、まさに昭和元禄ともいうべき時代を迎えたと思っております。しかしながら、この繁栄の中で終戦の悲劇、また国民的な苦悩が忘却のかなたに押し流されようとしております。沖繩も同様でございまして、この国政参加を頂点といたしまして沖繩問題が忘れ去られはしないかと私たちは非常に心配をいたしておるのであります。戦後二十五年間、私たち沖繩県民は、アメリカの統治下におきまして、もがき、あえぎ、苦しんでまいりました。その中から百万県民各層努力によりまして今日の沖繩を築いたのであります。私たちは、沖繩問題理解解決につきまして、議員先生方の熱のさめないうちに沖繩問題解決の糸口を見出し、豊かな沖繩県づくりの布石をしなければならないと考えておるのであります。私は、二十五年間積もり積もった気持ちをこれから申し上げる質問に集中いたしまして、お話しを申し上げたいと思いまするけれども、無礼にわたる点がありましたら、議員各位の御了解を得ましてひらに御容赦を願いたいのであります。  質問の第一点は、復帰対策要綱についてであります。  御承知のとおり、十一月の二十日に閣議決定を見ました沖繩復帰対策要綱(第一次分)が発表されました。これはまだ沖繩問題に対する施策が網羅されておりません、非常に苦心のあとが見られるわけでございまするけれども。たとえば例をとって申し上げますと、現地におけるたばこ会社に対する補償の問題、また従業員に対する補償問題等について「適切な措置を講ずる」というふうに発表されておりまするけれども、具体的な施策が示されておりません。そこで、総務長官にお伺いしたいことは、第二次、第三次と要綱を発表されるのであるのか。第一次の要綱は私は大綱だ、いうならば総論だと受け取っておりますが、第二次、第三次はその総論を受けての各論になるのかどうか、これをいつごろどのような内容で発表されるのか、お伺いしたいのであります。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 初めに、各議員五名おそろいで特別委員会に入られまして、本日、途中の本会議を除き、五名とも全員、たまたま西銘委員の御表現に、積もり積もった二十五年間の思いをたたきつけたいというお話がございました。私も、この意義あるときに担当大臣でありますることに深い感銘を覚え、また無上の光栄に存じまするとともに、私は、各衆議院五名、参議院二名の選出国会議員皆さまが、外交、防衛等において意見を異にするところが前提にあるとはいえ、しかしながら県民福祉、そして二十五年の間なおざりにされたために起こった問題の数々について、おそらく共通の前提に立って個々の問題に意見をお持ちであろうと思いまするので、今日までこの特別委員会皆さまは、沖繩の意向を最大限にくんだ意見の交換なり努力を積み重ねてまいってはおりましたものの、それは私たちはかく要求するということばであらわすことは不可能であったわけでございます。国会意思によって国政参加法決定されましたそのことによって、選挙手続を経て、県民意思代表して国会に晴れの姿をあらわしていただきましたことを、私もともに喜びたいと存ずるわけでございます。今後は、衆参両院も含めて七名の代表皆さま方と、なるべく最大限の合意を得て、そうして意思の疎通し合った中で、沖縄の円滑な七二年復帰時点を喜びの日となり得るような努力を重ねていく覚悟でございます。  以上、前置きをいたしまして、御質問にお答えを申し上げます。  さきに決定いたしました沖繩復帰対策要綱の第一次分について、今後はそれはどういう形になっていくのかというお話でありますが、これについては、第二次、第三次と、次々と固まったものはまとめ上げて閣議決定に持っていくつもりでございますし、あと残されたものは税制機構とか行政機構とかいろいろございますし、そういうもの等をさらに詰めていきたいと考えておりますが、最終的には、これらのものは全部、一次、二次、場合によっては三次も含めまして、来年の参議院選挙後と常識上予想されております沖繩復帰のための臨時国会、その臨時国会において提案しなければならない返還協定並びにその他の特例措置暫定措置等を含む諸法令整備について、沖繩復興対策特別措置法等前提念頭に置きながら、その中に具体化していく作業を続けていくつもりであります。  一例としてたばこ会社の問題をお取り上げになりました。大蔵大臣がおりませんので、私が担当大臣として御答弁をいたしますが、復帰対策の第一次の要綱に盛られておりまするのは、確かに若干あいまいな点がございます。しかし、原則は、専売法が戦前もあったわけでございますし、戦後もまた日本には専売法としてたばこ存在をいたしておるわけでありますから、したがって、現在、二十五年の間に誕生し存在してまいりました三つの民営たばこ会社というものの存在は、その意味においては残念ながら復帰と同時に存在し得なくなることになるわけでありますが、それに伴って、好きこのんで自分たち会社をやめられるわけではありませんので、政府として私たちあっせん仲介の労をとっておりますが、大蔵省担当官あるいは専売公社等に、それぞれの企業の代表方々が参られまする折衝、すなわち自分たちの今日までの営業実績、並びに今後これが専売法のために民営でなくなるための補償措置を、すなわち従業員も含めた、あるいは営業未来に向かっての、営業しておればどのような収益をあげられ得たものであるかの未来収益補償等も含めまして、ただいま相談をいたしておるわけでございまして、それらについてさして大きな意見の相違はないものと思うのでありますが、問題は、七百名に及ぶ従業員方々が、いわゆる現在の環境の中において直ちにそれらの方々失職の状態に追い込まれるおそれがあるのではなかろうか、すなわち雇用市場環境が七百名もの大量のたばこ会社従業員人々を一挙に、しかもまた円滑に吸収し得る環境がないということを心配をいたしておりまするために、復帰要綱にいいましたように、場合によってはそれらの人々を引き続きたばこ製造事業に従事させるような形も念頭に置いていかなければなるまい。専売公社本来の経理からいたしますと、復帰沖繩に一工場といえども存在して操業しなければならない理由はないようでございます。すなわちそれだけの需要がない、あるいは生産の面も引き続き葉たばこ買い上げるとしても、一工場存在させるには、今日の内地における近代化されました大型工場等から考えて規模が小さ過ぎるというようなことでありますけれども、しかし暫定措置としては、専売公社現地に一応縁は切った形で補償等は済ませた後、引き続き専売公社の仕事が一部続行される、そこにおいて七百名の方々相当部分方々が引き続き、身分は一応切りかえられたといたしましても、直ちに失職につながらないような配慮ができるのではなかろうかというような内々の見通しができましたため、御承知のような表現をいたしておるわけでございます。
  7. 西銘順治

    西銘委員 次に糖業対策についてお伺いいたします。  復帰対策要綱によりますと、「沖繩甘味資源特別措置法生産振興地域に指定し、土地基盤整備優良種苗の普及、農作業の機械化等により、さとうきび生産合理化を図るとともに、糖価安定事業団による分蜜糖の買入れについては、砂糖価格安定等に関する法律に基づき実施することとする。」と相なっております。この点につきまして、沖繩糖買収価格買い入れ方式本土糖と異なるのはなぜか。復帰前にも同一であるべきではないかと思っております。特に含みつ糖につきましては、含みつ糖しかつくれない地域のことを考えますと、分みつ糖同様生産地域に指定し、事業団買い入れ対象にすべきではないかと考えております。買い上げのできない理由は何であるか。次に、買い上げることができないとすれば、含みつ糖に対する施策を具体的に明らかにしていただきたいのであります。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 復帰いたしますれば、ただいまの御質問のように甘味資源特別措置法、その前提としての、その特別措置法を受けた糖価安定法仕組みの中で、奄美大島並みの運用で、途中に輸入糖手続等が要らないという意味では前進すると思うのです。しかし、その復帰以前において、たとえばことしの糖価決定いたしまする場合等において、奄美並みということがどうしてできないかという疑問は、率直にいってそういう疑問をお持ちになるのは当然だろうと思います。しかしながら、これは現在の法律の算定のしかたから考えまして、やはり地域によって歩どまり反収やそういうものが違いますし、工場規模等も違います。糖価安定法は、国際糖価国内糖価とそして国内生産者との三者の関係念頭に置いてつくられておりますので、生産者地域間の問題が、実はこの問題としては若干問題を残したままで一本価格買い入れということになっておりますことは、今後もやはり問題のあるところとして研究する必要があろうと思っております。現在琉球政府のほうで農林省相談をいたしておられまするし、ことしの生産者価格あるいは本土買い入れ糖についての価格について進行中でありますけれども、大きな食い違い点は、昨年よりかことしは作付面積が減っております。それについては、これはもう実績でございますから異論はございませんが、そのあと反収あるいは反収より計算しました総生産量から含みつ糖に回る分について一万トン前後の食い違いがすでに生じ、さらに分みつ糖原料となるべき総トン数において十万トンほどの開きを生じておるわけであります。これは私としても、現地農林局において詳細に検討されました実績であろう、それらの点はなるべく尊重するようにということで、農林省大蔵省折衝の間に入って、いま担当大臣として努力をいたしておるところでありますが、さらにいま一つ問題点は、昨年定められました沖繩産糖歩どまりは一二・四%でございます。しかしことし琉球政府からの御要望原則は一二・〇五%という主張でございます。しかし一方奄美大島はすでに妥結をいたしました前提として一二・二五%になっておりますので、一二・二五%の奄美大島よりかずっと南のあたたかい条件のもとの、キビにとって有利な地帯歩どまりがさらにそれよりか低いということについては、ちょっと私も、分析結果その他の総平均でございますけれども、現在においては予測でございますから、その点はちょっと問題があろう。したがって奄美並みという場合には、一二・四の昨年の実績というものが、いまのところ大蔵農林あたりにおいてはこれをくずす理由はない。すなわち奄美糖についてはことし台風等被害がありましたが、沖繩は幸いにしてことしは宮古が壊滅したとかいうキビ被害等を伴う大台風は襲っていないということにおいて、歩どまりが前年度よりも減少するということになかなか同意してくれておりません。しかしながら復帰の前年でございますから、それらのよってとる基準については、いろいろと理屈はあっても、できれば、沖繩の主張される一二・〇五%というものはこれはとり得ないと思いますけれども、奄美並みの一二・二五%というものくらいはとれないものであろうかということでただいま折衝中でございます。さらに島内直消分といわれておりまする沖繩県内消費される分について奄美並みにやはり全量買い上げろという御要望ももう一つございます。これは昨年三千トンを手当てをいたしまして、現在一万四千トン残っておるわけでございますが、この問題については、一方沖繩においては輸入もなされておるわけでございます。輸入をしていて全量買い上げろということはなかなかむずかしい問題がございます。琉球政府としても努力をされて、輸入商社と見られる大手四社に、ことしは輸入糖は、いわゆる純粋の韓国とか香港とか、そういうところの砂糖は入れないという一応の約束は念書としてとられたようでありますけれども、しかし一方において原料として、普通の調味料としての砂糖には適しないけれども、甘味資源としての価値ならば変わらないという輸入糖需要はあるわけでございまして、それに対して別な商社輸入することを妨げることは琉球政府もできないということを言っておられますので、復帰と同時に全量買い上げは間違いないわけでありますから、復帰前年、この一万四千トンをどこまで買い上げ対象にすることができるかという問題でいま努力中でございまして、前年度の三千トンよりももっと多い量を対象にしてまいりたいという決心でおります。  含みつ糖の問題につきまして、現在、内地のほうの法律では買い上げ対象にしておりません。沖繩でも買い入れ対象ではありませんが、原料については手当てがなされておるわけでございます。しかも、その含みつ糖が、奄美大島も含めて、好きこのんで含みつ糖地帯になっておるわけではない。分みつ糖地区になりたい、そういう工場をつくってもらいたいといっても、その総生産量に限度がある離島、あるいは限られた地域というものはやむを得ず限定された状況の中で黒糖生産しておる環境があることは十分知っておりますが、これらはいずれも総需要とのバランスの関係でございますので、総需要が三万トンをこしていないくらいの中の生産でございますと、ことしなんかたいへん値がよろしいと思うわけでありますが、これをさらに奨励をいたしまして、増産をし、黒糖をふやしますと、これは直ちに需要をオーバーした生産ができるわけですから、値が暴落することは、生産者皆さまも含みつ糖工場皆さんもよく御承知なわけです。  そこで、なぜ買い入れすることができないかということでありますけれども、分みつ糖、含みつ糖買い入れますについては、含みつ糖政府が実際に買い入れて、その物をどのようにして保管できるのか。現在、含みつ糖については、独特の原料並びに消費のルートができ上がっておりまして、独特の消費相場というものが立っております。でありますので、これらの相場があるのに、政府の手で一ぺん買う必要があるのかどうか。しかしながら、生産者の問題としては、含みつ糖地区というものに非常に大きなウエートがあるということで、現在の糖価安定法仕組みというものを根本的にやはりもう一ぺん見直してみる必要がある。単に分みつ糖だけでありましても、種子島から始まる長い弓状の南の島を、緯度も温度も違うのに、それを一律に一本価格で買う現在の制度が、沖繩復帰後もはたして維持されるべきものであるかどうか、大きな疑問もあることでございますから、これは御趣旨も体しながら御相談をいたしまして、政府法律を直しますか、あるいは皆さん方議員提案という形になりますか、いずれにしても沖繩復帰を踏まえた法の手直し、点検というものが必要であろう。その際の一環として、含みつ糖の問題を議論しなければなるまい、かように考えておるわけでございます。
  9. 西銘順治

    西銘委員 沖繩の含みつ糖生産地域は、奄美地区の分みつ糖地域内における含みつ工場とは違うわけでございます。したがって、相場がいいときには含みつをつくる、悪いときには分みつ原料として出すということではなくて、長官も御承知のとおり、沖繩の含みつ地域原料生産関係からいたしまして、どうしても分みつ化できない地域であります。もちろん長官沖繩の津々浦々を回られて、その実情をつぶさに調査して知っておられると思うのであります。したがって、この問題は、政治的な配慮としてどうしても生産振興地域に指定いたしまして、買い上げ対象に持っていかなければならないと思っておるわけでございます。  長官にちょっと申し上げたいのですが、いま私あてに「離島農民の生きる道は黒糖以外にありません。第二次復帰対策要綱黒糖買い上げ保護の実現と今期の臨時糖業助成費黒糖補助金を上乗せできるよう御尽力願います。」という長文電報が、与那国町長竹富町長多良間村長伊是名村長伊平屋村長与那城村長沖繩離島における分みつ、含みつ地域町村長から陳情されているわけでございまして、特に強調いたしたいことは、どうしても分みつ化できない地域でありまするので、もしこれが分みつ生産地域として指定することもできない、また事業団買い入れ対象にもならないということでありますならば、これに対する助成について特別の御配慮をお願いしたいのでございます。  次にお聞きしたいことは、奄美島の蔗糖価格決定にあたりまして、このたび一キログラム当たり台風災害費として四円の手当てがなされているわけでございます。ところが、従来沖繩蔗糖価格の構成にあたりまして、この災害対策費が全然考慮されておりません。私は暴風雨対策費として四円が盛られたことに異議があるのではございません。沖繩の場合について、この暴風雨被害に対する考慮がどこまで払われたのか、農林省関係にお聞きしたいのであります。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 臨時糖業振興費予算の問題については今後も努力をいたしてまいりますが、これは復帰のときになくなる予算でございますので、やはり基本的な問題として含みつ糖の問題をただいまの離島苦一つとしてとらえていって十分検討してみたいと思っておりますが、これは私一人だけできめるわけにいきませんので、関係各方面、農林省を中心として法改正につながりますので、研究してまいりたいと思いますが、いますぐ二次の分で含みつ糖買い上げるということを決定できないかとおっしゃいますが、これについては決定できないということであります。  それから、災害対策費奄美に払ったということでありますが、災害対策費は払っておりません。災害を受けたために反収減、あるいはブリックスや糖度の低いもの、あるいは折損茎等の見積もりについての配慮が現実に計算の上で出てくるということでございまして、価格はあくまでも同じ一本価格であるということでございます。
  11. 荒勝巖

    荒勝政府委員 いわゆる奄美大島台風については価格の中に織り込んだという御質問でございますが、当時昭和四十一年だったと思いますが、宮古大台風というものがございまして、それまでは農林省特連局との間では価格だけで沖繩産糖につきましても手当てをしてまいったのでありますが、宮古島大台風ということで、その問題についてその当時の年度で初めて臨時糖業振興費という形で三億円を支出するということになりまして、それ以来年々台風とは無関係に三億円が逐次増加してまいりまして、ただいま四億五千万円が予算に計上されているのではなかろうか、こういうふうに私は理解している次第でございます。
  12. 西銘順治

    西銘委員 たくさん質問したいところがございますが、時間の制限がございますので、最後に一点だけお伺いいたします。  実はきのうの読売新聞の報道によりますと、星議長からの復帰後の暫定措置に対する要請と関連いたしまして、主席の任期が来年十一月で切れますので、その切れた後の措置といたしまして、自治大臣による暫定知事任命という対策庁長官の構想が報道されておりますけれども、この件について真相をお伺いすると同時に、さらに沖繩世論の動向からいたしまして、せっかく主席について公選制度が実施されましたものを任命制度に戻し、自治法の規定に基づいて自治大臣による暫定知事任命をするということは、沖繩世論が受け入れないところでございます。それについて総務長官の御見解をお伺いしたいのでございます。
  13. 山中貞則

    山中国務大臣 事務当局事務当局としていろいろな法律をひねくり回して研究をいたしますが、私のほうからはっきり申し上げます。  そのような任命制という形は、法律上解釈し得る条項があるとしても、とる意思はございません。沖繩県民の選んだ意思に沿った形において、どのような形で復帰時にそれができるか、あるいは御質問もあるかと思いますが、県民意思によって主席選挙はやるか、あるいは復帰まで延ばすか、それらすべて沖繩県民方々が現在施政権者である米側との間の布令、布告等の問題に関連してお話を詰めていかれれば、私どもはそれを好意的な援助という形で助言申し上げていく形が正道であろうかと思います。
  14. 池田清志

  15. 國場幸昌

    國場委員 われわれ沖繩県住民の長年の悲願であった祖国復帰が佐藤・ニクソン会談により一年有余のうちに実現することになり、これに先立ちまして、国政参加が実現されて、ここに沖繩住民の声を反映させていただく機会を得ましたことは、日本一億同胞のあたたかい励ましと関係各位のなみなみならぬ御努力のたまものとして深く感謝するものであります。  沖繩の復興問題に関しては、これまでにも本委員会等におきまして真摯な御討議をいただいてきたわけでございますが、沖繩の現状はまことにきびしいものがあり、現地の声を反映させていただくために、なお一そうの深い御理解と御協力を望むものであります。  御承知のとおり、沖繩は二十五年間にわたって米国施政権下にありながら、灰じんに帰した廃墟の中から立ち上がり、今日の復興を見たのでありますが、なお本土との格差はあらゆる部門においてきわめて大きなものがあります。産業、経済、教育、文化、社会福祉等のあらゆる面に格差と立ちおくれが露呈されているのでありますが、その最大の要因は、何といっても経済基盤の脆弱性にあると言えるのであります。  ちなみに、一九六九年度の沖繩貿易収支の実績を見てみますと、輸出は約九千万ドルに対して輸入は約三億八千万ドルであり、実に三億九千万ドルの輸入超過となっておるのであります。この貿易収支の差額は、直接、間接による基地収入によって補てんしている現状であり、基地依存の割合がいかに大きいかを如実に示しておるのであります。さらに対外輸出額の低さは、第一次、第二次産業ともその規模が小さく、またそれが脆弱であることを端的に物語っており、特に基地関連サービス業を中心とする第三次産業の占める割合は異常に高く、正常な経済構造の形態とははるかにかけ離れた実態となっております。  このような劣悪な経済環境の中で沖繩住民は、戦後二十五年間苦難を克服しつつ生活を切り開いてきたのでありますが、いかんせん、基本的な経済基盤の欠如はおおうべくもなく、現在においても本土の一人当たり国民所得約一千三百ドルに対して、沖繩にありては約七百七十ドルという大きな所得格差を余儀なくされているのであります。  あと一年有余に迫った祖国復帰を前にして、沖繩住民は、長年にわたる悲願達成への努力が実を結んだものとしてこの喜びをかみしめつつ、祖国日本へ寄せる期待はまことに大きなものがあるのであります。しかしながら、米軍統治という特殊な政治体制のもと、ゆがんだ経済環境の中での生活を余儀なくされてきた沖繩住民は、復帰をすなおに喜びとする反面、復帰後の諸問題に対して多大な不安感を持っておるのであります。この復帰不安はあらゆる分野に及んでいるのでありますが、突き詰めてそのよって来たるところを考えますと、県民生活の基盤がどうなるのかという経済不安に集中しておるのであります。このことは、沖繩の置かれている変則的な経済立地条件を考えれば十分御理解いただけるものと思います。  日本の敗戦によって施政権を米国にゆだねられた沖繩は、日本の引き起こした戦争の犠牲を集約的に負わされたものであり、さらに戦後二十五年間にわたって米軍基地として極東の安全、ひいては日本の安全に寄与してきたものであり、この点は、本土一億同胞に十分に御理解いただきたいものであります。かつて佐藤総理が沖繩来島の際、日本の今日の発展あるはまさに沖繩県民の犠牲によるものであり、物心における援助は責任を負うと言われたとおり、この貢献度はきわめて大きなものがあります。また、沖繩の返還なくして日本の戦後は終わらない、政府は全力をあげて沖繩復興に努力するので、いましばらくしんぼうしてほしいと申しておりましたが、このことばに間違いないと信じたいものであります。われわれ沖繩住民は決して恩着せするわけではありません。すべての英知を結集し、最善の努力をいたすことは言うまでもありません。しかし、あらゆる面における著しい格差は、沖繩本土と切り離されたことによりもたらされたものであって、そのために県民がこうむった不利益については、施政権返還に際し完全に是正し補てんすべきであり、沖繩が自立の道を歩むことができるまでその責務を全うしていただくことを切に要望する次第でございます。  沖繩の現在置かれている状態は、沖繩住民がその意思で選択したものではないことは明らかであり、沖繩住民が抗し得ざる外的要因、すなわち日本国家の大きな歴史の流れの中に置かれた状態であると解釈できるのであります。この観点から考えますと、沖繩問題は単なる一地方の問題ではなく、国家全体の問題としてその施策を策定することを要請したいのであります。ただし、国家全体の問題としてとらえるということは、常に他府県とのバランスのワクの中で考慮するということではなく、国家的な立場から総力を結集して沖繩の復興に当たっていただきたいことを希望するわけでございます。  私は今回、戦後初めての国政参加選挙に臨むにあたり、幾多の困難な問題があるといえども、この経済不安の解消こそまず当面の急務であると訴えてまいりました。幸いにしましてその任に列せられ、責務の重大さを痛感するものであります。沖繩問題に関しては、あらゆる部面に解決を迫られている問題があり、教育問題、医療問題、農業問題、経済問題等いずれも重要な問題ではございますが、時間の関係上まず経済問題に焦点をしぼり、他の問題については後日、当委員会において質問をいたすことにいたしまして、本日は政府の基本施策について二、三御質問をいたしたいと考えます。  まず最初に、第一点としまして、沖繩経済の振興についてお伺いしたいのであります。  さきに発表されました復帰対策要綱を見ましても、総合開発計画策定にあたっては、さきに琉球政府の発表した長期経済開発計画を尊重するというだけであって、政府は経済振興についての明確なビジョンを打ち出していない。この点、沖繩県民は非常な不安の念をもってその成り行きを見守っております。また、ごく最近発表された沖繩の国勢調査概数によると、沖繩の人口は五カ年間に一・二%という戦後最低の伸びしか示しておらず、沖繩県民沖繩にも人口の過疎化が始まるものではないかと感じ、経済振興についての不安をますます深くするとともに、一刻も早く本土政府がその振興計画を具体的に示すことを切望しているのであります。この際政府は、この県民要望にこたえ、できるだけ早く復興の青写真を明らかにしていただきたいと考えますが、その計画策定の作業はどうなっているか、具体的にお答えをいただきたいわけでございます。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 祖国の沖繩に対する償いは、私としては、全力をあげてやりましても償い得ない分野も多くあろうかと思います。しかし、ただいまの國場君の御質問前提にございましたとおり、私たち祖国は、沖繩方々の主張に対し、一言もこれに対し弁明することばを持っておりません。したがって、全力をあげて御要望の数々を実現できるように努力をしていく義務を課せられているものと考える次第でございます。沖繩方々がそのような特異な環境の中で、なおかつ一人当たりの県民の所得が低いとはいえ、さらに低い離島も全体を含めた総平均値においてそれだけの、鹿児島県を上回る県民所得までこぎつけておられるということについては、私は非常に大きな尊敬を禁じ得ないものがございます。復帰した後に、ただいまの御質問にありましたように、経済不安や生活の不安にこれがつながって、結局は沖繩が過疎県になっていくのではないか、過疎化の傾向はすでにことしの国勢調査の概数でも見えてきつつあるということについては、私も同じ不安と心配をいたしております。逆に、私は決心の前提に、沖繩を過疎県にしてはならない、もし沖繩が私たち祖国と同じ状態で、同じ一県であったならば、今日の、戦前五十七万の人口が九十四万五千、正確にそうなったわけでありますが、一応百万県民という倍増に近いふくれあがり方をしたであろうか、それは私たちとして本土の他の各県における過疎化の傾向を見まするときに、すく近くの鹿児島県あたりが最も大きな今回の調査の人口流出の率の高い県であることに思いをいたして、ぜひとも、沖繩がこの環境の中から新しく祖国の一県になるにあたっても、われわれは沖繩を過疎県にしてはならない、そのための施策はいかにあるべきかに全力を傾注していきたいと思います。  経済振興計画につきましては、これはただいま検討中でございますので、どのような金額や年次やという問題等について明示するところまでまいっておりませんが、少なくとも特別の復興法あるいは特別の金融措置等についての決断は、当然の前提として持たなければならないと思いますが、奄美大島昭和二十八年に返りました後、前期、後期二カ年間の復興計画、さらに前期、後期、ただいま第四次五カ年計画の中途でございますが、前後通算二十年の特別の補助率等を伴った振興計画が進行しておるということを念頭に置いていただかれてもたいして間違いはなかろう、すなわち相当長期にわたり沖繩人々の御苦労に対して完全に報い得る、すなわち精神的なものは取り返しのつかないことでありますが、われわれの償いが形にできるものは完全に償い得るまでわれわれはその措置を続けていかなければならないという決心でおる次第でございます。
  17. 國場幸昌

    國場委員 さきに発表された沖繩復帰対策要綱の末尾に「沖繩の経済、社会の開発、発展を図るための施策の推進に関する立法措置を、一括して明年内に国会審議を終了することを目途」とするものとあるが、これは当然沖繩開発基本法をさしているものと考えるが、それでよろしいか。なお、もしそうであるとするならば、現在沖繩北方対策庁がこの基本法に基づいて沖繩開発庁に改組すべきものと解するが、政府の明確なる見解を承りたいわけでございます。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 これはまだ名称等はきめておりませんが、沖繩復興対策特別措置法にいたますか、あるいは振興対策特別措置法にいたしますか、いずれにしても特別沖繩のみに向かって適用されるべき国法を根拠として数々の振興の計画を樹立していくべきものと考えておる次第でございます。  さらに、それを所管する官庁の復帰後のあり方については、これは総理大臣の、いわゆる政治の最高責任者としての御判断が前提に立ちませんと、私としては省とか庁とかということの明言はいたしかねるわけでございますが、しかし少なくとも法律上、予算上、金融上、税制上、いろいろの措置が残ってまいりますので、当然それに対する専門の責任を持つ官庁というものは引き続きなければなるまいというふうに考えておるわけでございますが、これはまだ政治として最終的に結論を得ている機構の問題ではございませんので、私の考え方のみでお答えとさせていただきたいと思います。
  19. 國場幸昌

    國場委員 産業基盤の整備についてお伺いいたします。  沖繩は、あの困窮した経済状態の中にありながら、二十年間日本のためにコンスタントにドルをかせいできており、最近においては一億ドルに及ぶ実績を持っており、一時は、日本のドル収入の少ない時期に日本にとって有力なドル供給圏となったこともあるのであります。現在盛んに議論されている中共との貿易収支の実績が一億数千万ドルであることを想起すれば、今日の日本経済の発展に対する貢献度はまことに大なるものがあります。  このような観点に立てば、政府はこの際思い切って沖繩の産業基盤の整備のための施策を推し進めるべきではないかと存ずるわけでございます。電気、水道、道路、港湾用地等の先行投資についていかなる計画がありますか、お伺いしたいわけでございます。
  20. 山中貞則

    山中国務大臣 経済振興の自力達成の前提が基盤の整備にあることは論をまたないところであります。したがって、すでにことしの予算等においても、復帰記念事業として、最も経済振興の前提である道路、すなわち経済の動脈といっても差しつかえないと思うのですが、本島北部の縦貫、あるいはその他の主要離島四島の循環道路について着工を開始いたしておりまして、これはすみやかな改良、拡幅、舗装、新設等が行なわれて、おそらくそれらの効果は大きいものがあると考えるわけであります。しかしこれをさらに前進させるためには、電力と水道の問題を考えないで経済の発展なりあるいは企業立地等はレイアウトできないわけでございますから、まず現在の沖繩の電力の問題、さらに水の問題、ことに工業用水等の問題については、慎重な配慮が必要であると考えます。ことしの予算におきましても、北部の水系のうち安波川、晋久川等について調査費を計上いたしました。そして現在進行中の福地ダム、これは主として那覇中心の中南部の飲料水等も念頭に置いての設計でありましょうが、この二次着工の進捗状況等を見ながら、さらに来年度においても安波川、晋久川等の具体的な着手計画あるいは塩屋、屋我地等の具体的な内陸の入り海の淡水化、これを工業用水としてどのように計画できるか等の調査をいたしてまいるつもりでございます。これらの調査前提となりまして、沖繩の工業用水を中心とする新しい未来への大道を計画しなければならないわけでございますが、少なくとも進出いたします企業については、やはり沖繩の雇用需要に十分貢献をし、そして現地においてその成果を、果実を期せしめ得るもの、そういうようなことを念頭に置かなければなりませんし、その前提には粒々辛苦二十五カ年間に築き上げられました現存する既存産業について、それを倒産もしくは吸収合併等に追い込まないような配慮等も必要であろうかと考えるわけでございます。ただし、現在の琉球政府の今日までの新しい国土づくりの計画を見ますと、工業立地は、今日までのところでは全部平安座島から南の中城湾一帯となっておりますが、私としては、工業用水が何としても北部山系にしか求められない、あるいは屋我地、塩屋等も北部に存在するわけでございますから、それらの工業用水の問題も考え、さらに一番人口稠密な中城湾等にこれ以上の工場進出というものを前提に考えますことは、やがて沖繩をも大規模な産業公害の被害地にしてしまうおそれがあるとも考えますので、北部大浦湾等も十分念頭に置いて、いまいろいろと検討中でございます。
  21. 國場幸昌

    國場委員 次に、企業誘致についてお伺いいたします。  沖繩に外国企業を誘致するに際して、国益か県益かという議論もあるようでありますが、沖繩に存する種々の格差を是正し、さらに経済の自立発展をはかっていくためには、外資系企業の誘致も一がいに国益に反するとも言えず、むしろ大局的には国益に通ずるものであると考えられる場合もあるわけでございます。沖繩県民は、安楽に援助のみを要求しておるものではなく、名実ともに日本国民として仲間入りのできることを願い、みずから立つ意欲によって、積極的に日本国家の建設に貢献したいという希望を持っておるものであります。沖繩現地としてはできるだけ本土資本の進出を望んでいるのでありますが、県民福祉につながる企業であればあえて外資とていとわないという考え方もあるわけでございます。このような沖繩県民の感情について政府はどのように考えておられるか、お伺いいたします。  また本土企業は、調査団は何回もやってくるが、沖繩進出については必ずしも積極的な熱意を示していないように見受けられる。沖繩の産業構造の実態から考えても、第二次産業の振興は絶対必要な条件であると考えるので、新規企業の誘致対策をどのように講ずるか、お伺いしたい。  特に、現時点までの調査の結果、どのような業種が適当と考えているか、その後の調査内容を含めてお伺いしたいわけでございます。  また、現在沖繩進出に意欲を持つ日本の民間企業にどのようなものがあるか、お伺いしたい。  さらにまた新規立地企業に対する税制、金融上の措置はどういう内容のものを考えているか、お尋ねをいたしたいわけでございます。
  22. 山中貞則

    山中国務大臣 お話しのとおり、外資企業というものを一律に排除する意思はございません。でありますから、県民福祉につながるものというものは私たちとしても歓迎をしなければならないたてまえであると考えます。しかしながら、昨年十一月の佐藤・ニクソン会談以後に、日本沖繩が返ってくる、それを見越して日本の国内市場へ、現在の制限の外資法なり、あるいは石油であれば石油業法等なりのワク外としておどり込もうというような計画はちょっと困るということを言っておるだけでございまして、返りました後もできれば現在の安謝港の近くにあります小さなフリーゾーンというようなものをもっと発展させまして、台湾とかプエルトリコとかいろいろと例がございますが、現在安謝港といわれている那覇新港の後背地あるいは浦添の地先等々をレイアウトすることによって、そこに相当大規模なフリーゾーン地帯を設けて、それらの外資も本土資本も一緒にそこらに出まして、それらの資本が落としまする付加価値等が沖繩に潤いを与えるように、そういうこともこれから念頭に置いてまいりたいと考えるわけでございます。現在の本土企業のやり方は、ことばだけであって、なかなか行動を起こさないという御批判もごもっともな点があるかと思います。あるいはアルミ五社が共同でいこうといったが、しかし一向に会社はつくらぬじゃないか、それはアルコア社の進出を防ぐためにやったゼスチュアではないのかという御批判等も、ことばには出されませんが、念頭におありのことと思いますが、幸いにしてアルミ五社も今月の十五日には会社設立をするということを琉球政府に申し入れたようでございまして、その手続が進んでおるわけでございます。これからの問題としては、できるだけ雇用市場に大きく貢献し、そして賃金収入その他の関連産業等を通じた収入が沖繩の地元に落とせるような企業というものに出ていってもらいたいものであると本土資本については考えております。でありますので、内陸型としては松下あたりがすでに進出を決定しておりまする電子機器等の会社等は絶好のものでありましょうし、また造船等も、それの鋳物とかその他の関連産業の振興を考えますと、規模にもよりますが、公害もあまり出しませんし、造船企業界も意欲的でございますので、近くそれらの造船関連産業の進出等も行なわれるものと確信を持っておるわけであります。現在は沖繩は御承知のような環境にございまして、どうしても内地と同じ税制の適用ができませんので、したがって復帰までは少なくとも輸銀の低利、長期の金を充当する、そしてそれに対応して、沖繩政府の中で法人税なり事業税なり固定資産税なりについての御配慮をもし賜われば、それに対する歳入のあるべき収入が得られないということになりますので、それらの補てんについては本土政府も十分配慮してまいりたいと考えているわけでございます。
  23. 池田清志

    池田委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十六分休憩      ————◇—————    午後五時四十四分開議
  24. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。國場幸昌君。
  25. 國場幸昌

    國場委員 本会議の前の本委員会におきまして、私は沖繩経済開発のビジョン、産業基盤の整備本土企業の進出についてお伺いいたしたのでありますが、最後に、既存企業の保護育成についてその具体的対策をどう推し進めていくか、お伺いしたい。  特に、復帰対策要綱に、沖繩の中小企業対策として、「復帰本土と同様の中小企業施策を実施し、中小企業近代化促進法の適用にあたっては所要の特例措置を講ずる」とあるが、この特例措置の内容はどのようなことを考えているのか、お示しいただきたい。  また、これらの対策が、復帰前に通用することが考えられないかどうか、施政権という基本的な問題があるとはいえ、復帰以前に通用する方法がないのか、長官のお考えをお示しいただきたい。  なお、沖繩問題については、あらゆる面に問題が多うございますので、後日に保留いたしまして、本日の質問を終わります。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 既存企業についてどのような配慮をするかということでございますが、本会議で中断以前にも若干申し上げましたとおり、普通の既存企業と違いまして、特殊な環境下にしいられた中において、不屈の闘志をもって築き上げられた企業ばかりでございますので、これを本土の企業が世界に雄飛した日本の経済の中で持っておる力を直ちに沖繩に無原則に注入することは、結果的に既存企業の倒産等につながるおそれもございますので、法制上どれとどれが規制できるということはいまのところ言えませんが、行政指導上も、沖繩のためになる企業であって、しかも沖繩でみずからつくり上げておられる既存企業を脅かさざるものにしたい。したがって、あらゆる行政指導上の知恵を出して、脅かすような企業が出ないように行政指導していくということを申し上げておきたいと考えます。  さらに、既存企業の中でも、中小企業の対策について、ただいま復帰要綱の第一次分の表現についてお話がございましたが、私たちは、当然に復帰と同時に本土の各種中小企業対策の税制、金融等の措置がそのまま適用されることはもちろんでありますが、復帰前に実質上そのような手当てをしてあげなければならないと考えておるわけでございまして、たとえば最近本土においてもみそ、しょうゆ等について近代化促進法の指定業種となることがきまりましたけれども、これを予定しないで本年度の沖繩予算は組んでおりましたので、対策庁長官に命じまして、本土のほうで適用になったのであるから、幸い沖繩においてみそ、しょうゆの完全自給はあと一歩である、ここでみそ、しょうゆ業界に対して直ちに既定予算の操作によってでもその資金を充当して、沖繩のみそ、しょうゆ等が近代化資金の対象業種として、復帰のときには一〇〇%の県内自給率を持てるようにしてあげなければならぬということを指示しておるわけでございます。一〇〇%の自給があれば、輸入——現在の体制であれば輸入でありますが、内地からわざわざ船賃をかけてということは常識上あり得ない状態が形成されるわけでございますので、一例をあげるならそういうようなふうに考えているわけでございます。  さらに、内地のほうですでに行なわれておりますいろいろな中小企業の団地等についても、来年度予算等については、印刷団地等について具体的なケースとして予算要求の対象に入れておるつもりでございます。
  27. 池田清志

    池田委員長 上原康助君。
  28. 上原康助

    ○上原委員 時間が限られておりますので、答弁をなさる方にあらかじめ御要望申し上げておきたいと思います。答弁は歯切れよくポイントだけ御答弁いただきたいと思います。  まず最初に、軍関係労働者の問題についてお尋ねをいたします。  政府が去る二十日に発表なさった第一次復帰対策要綱の中には、この軍関係労働者の問題について触れられておりません。私の理解をする限りにおいては、日本政府としてはなるべく七二年の復帰前に間接雇用に移行するということを、長官沖繩現地においても、あるいはこれまでの国会答弁の中からもそういう姿勢を示されておったと思います。しかし、今日に至るまでこの問題がほとんど進展をしていない。その理由はどこにあるのか。現地米軍側あるいは米国政府とどの程度この問題について詰めてこられたのか。その面を具体的に内容のある御見解をまず賜わりたいと思います。
  29. 山中貞則

    山中国務大臣 米軍基地労務者の間接雇用体制への移行の問題については、ただいま上原君の言われましたとおりの努力を続けておるわけでございます。ただ、第一次の要綱になぜ入れなかったかという話でありますが、外交折衝を通じて相手方と了解に達しないと書けないものについては、米軍資産の米財務省と日本大蔵省との交渉等にもありますような種類のものとして見られるものの範囲は一応除いてきめておりますので、特別にこれをわざわざ除いたというものではございません。ただ、私の言っておりますのは、米側の姿勢というものは、ことに政権の実態から見て実質軍政でございますし、なかなか復帰の前に本土並みの完全な間接雇用の実現はきわめて困難である。しかしながら、それに準ずる措置、すなわち琉球政府もしくは本土政府が関与して米側も了解に達した機関を設置して、そのような準じた措置でもってでも雇用関係については一義的に祖国なりあるいは沖繩県というものが責任を持てるような体制をつくり上げたいということが私の復帰前における念願の目的でございます。
  30. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、七二年の施政権返還前には本土並びの間接雇用に移行するということは不可能というとらえ方ですか。
  31. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私ひとりだけではちょっと、政府の態度としてどうつかまえているかということになりましょうから、責任もっては言えないのでありますが、やはり外交ルートというものでも一応確認をしなければなりませんが、今日までの、つい先般行ないました日米協議会等の席におけるこれは非公開ということの内容においても、その問題について相当議論をかわしておりますが、やはり依然として米側としては、施政権の存在するうちは、すなわち、完全にアメリカ側がタッチしない形における本土のような完全間接雇用というものについては、きわめて厚い壁を感じたということだけは申し上げさせていただきたいと思います。
  32. 上原康助

    ○上原委員 さらに突っ込んだ面につきましては後日に譲るといたしまして、これと関係のある点で二点ほどまずお尋ねしておきたいと思います。  一つには、防衛施設庁、あるいは復帰の準備のための沖繩現地にそういった出先機関を設けるということがこれまで報道されております。その場合、現地でそういう事務処理に当たる職員については、日本政府から派遣をするのか、あるいは現に沖繩でそういう仕事に従事をしている職員の中から採用なさるのかどうか、そういう具体的な面がありましたら、一点聞かせていただきたいということ。  時間の都合上あと一点加えますが、間接雇用に移行する場合の軍雇用の退職手当の計算問題についてです。たとえば現在の沖繩の軍雇用の退職手当は、一九五二年の五月一日以降その人がやめる段階まで継続勤務年数として換算されております。しかし七二年のかりに四月一日なら四月一日に返還される、その時点で間接雇用に移行された場合に、その間の退職手当というものは一括支給するのか、さらに継続して勤務年数として換算するのか、そういう面のお話し合いは米国政府となされているのかどうか。まずこの二点についてお聞かせ願いたいと思います。
  33. 山中貞則

    山中国務大臣 もし対外折衝の了解がとれまして、日本政府の出先、すなわち沖繩北方対策庁の沖繩事務局等に機構の中の一つとしてそういうものが設けられれば、そういう形で処理したいと思いますし、あるいはそれが困難である場合は、琉球政府日本政府と両者の間に合意された一つの機関を了承事項として、もちろん現地方々がそれらの雇用事務に携わるという形を念頭に置いたものも考えていかなければならぬと思いますが、いずれにしても、沖繩の間接雇用というものは、将来は全部現地方々においてその事務はとられることになるわけでありますから、かりに復帰前にこちらのほうから参りまして御指導や、いろいろな現地の実態等について調査をいたしまする場合でも、それはあくまでもそれらの間接雇用事務についての本土側の実務、体験というものを学んでいただくということでございまして、こちらのほうが便宜上、私たちでなければ米側がのまない場合等を考慮して、一応は考えておりますが、現地の人たちの手によって将来は処理されるということは、内地においても各県に委託しておるという事情で判明しておるとおりでございます。  なお、退職手当のそれらの具体的なこまかな問題につきましては、一応解雇者の出ましたときについては、計算方式その他の若干の差はありますが、それを踏まえた上のことであるにいたしましても、本土との退職金の差額等についての予算措置を逐次講じておりますることは御存じのとおりでございます。将来の復帰時においてそれらの権利というものはどのような継承がなされるか、それらについてはいまだ議論をいたしておらないところでございます。
  34. 上原康助

    ○上原委員 次に、これも関連するわけですが、最近の本土での動きを見てみますと、在日米軍が来年の六月ないしは七月ごろまでに大幅に引き揚げるという報道が近日なされております。これと関連いたしまして、沖繩の基地の縮小あるいは軍雇用員のそういった新たな大量解雇の問題等が米国政府から日本政府を通して何らかの示唆があるのかどうか。また日本政府の御判断でどのようにこの米軍の動きを見ておられるのか。当然沖繩基地とも関係すると私は判断いたしますが、そこいらについて見解を賜わりたいし、さらにこれと関連して、本土で一万名余りの解雇が出るというような事態が沖繩においても生じた場合に、本土政府としてはこれに対してどのように対処していかれるお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私たちもまだ直接は聞いておりませんし、間接的にも、正確な米側の計画として、正式のルートを通じて確定した方向として情報を得ておりません。でありますから、具体的には、日本側の防衛庁長官、外務大臣、米側の大使並びに在日司令官の四者で構成される協議委員会においてそれらのものが具体化すれば、発表されあるいは協議されることになるかと考えますが、後段の沖繩にも当然関連をもって波及していくかということは、これは私の一応のいままでの過程を踏まえての想像でございますが、米側理由が、日本側の主張を聞いたという形よりも、むしろきわめて財政の運用にきびしいと申しますか、財政困難ということを理由にしてやっておりますので、これらの点から考えて、当然沖繩の米軍基地の縮小並びに人員の削減と申しますか、実際には解雇という事態に及ぶおそれがあるというふうに見ております。しかしこれは、おそれと申しましても、基地を撤去していくことについてはわれわれは賛成するものであり、また解雇者の人々にとってはそれは好ましくないおそれであることもよくわかりますので、先ほど申し上げましたとおり、不幸にして解雇される方々については、いままでとりました措置をなるべく手厚い措置として補ってまいりたい。そして再就職や指導、技能再訓練その他に手落ちのないようにしてまいりたいと考える次第でございます。
  36. 上原康助

    ○上原委員 では次の質問に移ります。次に、復帰時点における諸制度の問題との関連もございますが、特に県民生活と密接につながっておる通貨交換の問題についてお尋ねしたいと思います。  復帰対策要綱を見ますと、いわゆる一ドルが三百六十円で交換されるという確たる規定はありません。上下限〇・七五%のあれがあるというようなお話もございますが、かりに日本円の切り上げの問題なり何らかの変化があった場合に、日本政府としては確実に一ドル三百六十円の交換比率でこの通貨交換の問題をやるお考えがあるのかどうか。なぜ、復帰対策要綱にそういった県民生活の不安を取り除くということを強調なされながら、それが明確に出ていないのか、そこいらの関連について一点。  さらに預貯金の利息の面も、現在の本土のあり方と沖繩の場合は若干違います。これに対しては経過措置をおとりになるのかどうか、そこいらについてお聞かせ願いたいと思います。
  37. 山中貞則

    山中国務大臣 通貨の問題の表現のしかたでちょっと苦心をいたしておりますのは、上原議員御勉強のとおり、〇・七五%の上下の幅というものが実際上の為替相場存在するものですから、そういうことをどうしても書かないと、ただ一ドル三百六十円ということだけでは実は正確でないものですから、そうすると、この〇・七五%の幅で、いまのところ円が非常に強いわけですから、復帰までにそういう幅の中でいわゆる沖繩人々にとって現在手持ちのドルから考えれば不利になるような、実質円の切り上げにつながるような措置もあり得る幅があるのではないかという無用の御心配をなさるといけないと考えて、その点は説明の点で、記者会見その他においては、これは一ドル三百六十円ということでありますということを説明はいたしておるわけでございます。ただ、大蔵大臣と私との間で話しておりますし、大蔵大臣国会委員会の場で、公式な場で答弁いたしておりまするとおり、復帰までの予想される時点において一ドル三百六十円のレートを変更する意思もあるいは変更される見通しもない、すなわち、復帰の時点で一ドル三百六十円はほぼ間違いないと申しますか、確定されたものとお受け取りいただいていいと考えます。さらに、預貯金については、御指摘のように本土にはない二年長期のものもございますし、短期についての金利の相違等もございますので、これらのものは、それらの条件のもとに預貯金をされました方々の既得権というものは、その預貯金された期間の幅以内においては権限を既得権として持っておられるわけでありますから、それらのものを経過措置として尊重しようということを意味しておるものであります。
  38. 上原康助

    ○上原委員 もう少し聞きたいのですが、時間がないので、次に社会保障の問題についてお尋ねしたいと思います。  御承知のように、沖繩の社会保障制度というのは非常におくれをとっております。本土との一体化ということで復帰後に、たとえば国民年金その他の制度の違いはございますが、その場合に現在沖繩の社会保障、医療保険あるいは失業保険、そういう面で蓄積されたいわゆる保険金というものは、沖繩の社会保障充実強化のために私は支出を充当すべきだと思うのです。それをただ、黒字になっている分を、本土政府との一体化というようなことで、本土の健康保険制度なんかは赤字になっている、そういうものの補てん財源になっては困ると思うのです。少なくともそういう面につきましては特別な御配慮をいただくなり政治的な判断というものが必要だと思いますが、その点について大臣の御見解を賜わっておきたいと思います。
  39. 山中貞則

    山中国務大臣 各種保険については、当然本土並みになっていただかなければいけませんし、ことにいま沖繩においては医療保険で黒字があり、健保黒字があるというお話でございました。そのとおりでございますが、その理由も、理由があって黒字にならざるを得ない。すなわち自分のさいふと相談しなければ、けがをしたとき、病気になったとき医者の門をたたけない制度であるということの原因が、そこに結果として黒字が残ってしまっているという事実を雄弁に物語っておるものとして私たちは受け取っておりますので、これらの制度がすみやかに本土並みになるように復帰前においても予算措置その他で努力いたしておりますが、復帰の時点において黒字であるから、本土の赤字の中にほうり込むというような措置はいたさないつもりでございます。
  40. 上原康助

    ○上原委員 次に、先ほども西銘委員のほうからも御質問がございましたが、もう一度沖繩産糖買い上げの問題とパイナップルの問題についてお聞きしておきたいと思います。  御案内のように、沖繩の基幹産業は砂糖とパインしかございません。その中で、先ほどの質問で大体わかりましたので、長官の御見解を聞きたいわけですが、理屈はともかくとして、とにかく奄美産糖並みに沖繩糖価というのもきめるべきだと思うのです。それについて総理府としてどうお考えになっているのか。  さらに今後のパインの特恵措置問題等は、当然いろいろ政治的な問題はあるにいたしましても、農民保護あるいはキビ問題等関係で、砂糖振興という立場でこの二つは政治的な判断で保護策を講じていかなければならないと思うのです。復帰の時点では現在のパイン振興法というのがなくなる。その中で果樹農業振興特別措置法に組み入れていくというようなことが復帰要綱に載っておりますが、そこいらはもっと前向きの姿勢で振興法の趣旨を生かしてやっていく。そして糖価については現時点で折衝が相当困難になっているようでありますので、農林大臣とも御相談の上、早急に本土並みの価格買い上げられるような政治的判断を要望申し上げて質問にかえたいと思います。  時間がございませんので、あと一点。新年度予算の件も琉球政府の要求額に対してかなり落ちておるし、きのうの大蔵査定によりますと、従来の三〇%増だ。これでは期待する沖繩の開発というのがおぼつかないと思うので、少なくともそういう面についても、まだまだ最終的ではないと思いますが、復帰づくりという立場で積極的な対策が講じられるように積極的な御配慮をお願いして質問を終わりたいと思います。以上です。
  41. 山中貞則

    山中国務大臣 キビ奄美並みについては、先ほど具体的にこまかく申し上げたところでございますが、私としては、復帰の前年でもあり、沖繩キビ対策をとりまする場合に、黒糖の問題はちょっとケースを異にいたしますが、含みつ糖、分みつ糖の場合において奄美並みの線が確保できるように、計算方式その他で努力をしておるところでございまして、農林大臣もその趣旨については私と同意見であるやに聞いておりますが、目下最終的には大蔵、農林、私、三者の間で煮詰めてもいいと思っておりますが、まだそこまでせっぱ詰まっていない環境のもとで作業をしておるところでございます。  パインにつきましては、本土にはパインに対する振興法のようなものがございませんので、したがって、原料に対して直径七センチ以上のものは幾らとか、いろいろランクがございます。生産者の保護策をどのようにするか。ただ果樹振興の一連のものとして取り上げるには、生産者段階において特別配慮がなされなければならない点がございます。ことに沖繩本土よりも有利な条件で営農ができる柱としてのキビとパインのことでございますので、パインについてはこれからよく御相談も申し上げながら、私も精一ぱいどのような法律ができ得るのか、どのような手段が講じられ得るか努力してみたいと考えます。  次年度予算の要求額につきまして、最終的にほぼ合意はできたのでありますが、琉政側の最終の御要望という形とは約九十億円余りの金の食い違いがございます。それらはいずれも内容の積算のしかたについてちょっと私たちとしてはとり得ないもの、一例をあげますならば、年休の買い上げ制度、こういうもの等を全員復帰のときに買い上げてくれというお話がございますが、復帰の時点で退職される場合は、これは既得権であるからそれをお支払いしなければならぬだろうという計算をしておりますけれども、全員をその退職時において、復帰後といえどもずっと本土にない休暇買い入れ制度を実行することを前提予算を組むということができないというようなこと等がおもな理由でございますが、そういうことで若干の食い違いがございます。その点はやむを得ないかと思うわけでありまして、昨年よりもことしはお互いの間においてずっと相互理解のワクの要求であることは、私は前進しておると見て間違いないと思います。ただ大蔵では、先般何か私も数字を見ましたけれども、そういうようなことを言ったということは、これは各省は各省で要求のアドバルーンを全部ぶち上げますから、大蔵大蔵で、そんなことてこでもきかない、出しはしないぞということを言うのが、大体あまり芳しくないことですが、本土のほうの長年の悪習となっておりますので、これはあまり気になさらぬように、最終折衝の場で幾らになるかきまるわけでありますから、皆さま方の五名の方、参議院の二名の方の御援助も予算折衝のときにはお願いしたいと考えます。
  42. 池田清志

    池田委員長 中川嘉美君。
  43. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私は質問に先立ちまして、今回の国政参加選挙により戦後初めて沖繩より選出された五名の議員を、全国民とともに心から歓迎するものでありますことをまず申し述べておきたいと思います。  ところで佐藤総理は、昨年十二月一日の第六十二回国会の所信表明演説において、「政府は、真に豊かな沖繩県をつくることを目標に、政治、経済、社会、教育、文化等あらゆる面にわたり、積極的な一体化施策を講じていく考えであります。」このように述べ、さらに去る二十五日の今国会の所信表明演説においては、「豊かな沖繩県づくりのため全力を尽くし、」云々と、このように述べるなど、沖繩祖国復帰という歴史的事業の完遂にかける熱意のほどを訴えているのでありますけれども、それでもなお依然として沖繩現地においては、各方面に復帰不安があることはいなめない状況であります。それらのことを踏まえつつ順次質問してまいりますから、問題点一つ一つ明確にしていただきたいと思います。  時間がありませんので、深く掘り下げるわけにはとてもいかないと思いますが、先ほど上原委員からも最初に出た問題でありますが、基地縮小といった問題から軍労務者の解雇は当然予想されると思います。この復帰対策要綱を見ますと、「復帰後の雇用事情の変動に対しては、」云々と出ているわけですが、まず雇用事情の変動の見通しは一体どうかということ。それからこの一番終わりのところに、「本土の法令に基づく各種雇用対策を推進する。」このようになっておりますが、それじゃ一体具体的にどういうふうな形で行なうのか、本土法との食い違い等が出た場合にはどうするか、そういったことについてまずお答えいただきたいと思います。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 この項目で、沖繩において非常に大きなウエートを持つ軍労務者、米軍基地労務者という表現を使おうか使うまいかということをずいぶん考えました。しかしながら、やはりこれを別立てにして考えることはどうだろうかという配慮もありまして、そういうややばく然とした「雇用事情の変動」というように表現したということでございますが、なおそれらの事情を踏まえながら、念頭に置きながら、不幸にして職を失った人々にどうするかという問題は、今日までもいろいろと御答弁しております内地においてとられております各種の雇用、再雇用促進その他の措置等をやっていくということに尽きるわけでございます。  もっとこまかいことが必要ならば、長官のほうより答弁させます。要りますか。
  45. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 はい、もう少し具体的にこの点お聞きしておきたいと思います。
  46. 山野幸吉

    ○山野政府委員 このように復帰以後におきまして軍雇用者が職を離れるという場合におきましては、私どもとしましては、沖繩の開発復興法と申しますか、経済社会の開発の何カ年計画という立法をいたしますから、それに基づく諸計画で公共事業等に相当吸収していきたい。  それから、もちろん本土でもやっておりますが、現在も沖繩に援助費でやっておりますが、公共職業安定所の紹介機能の強化とか、あるいは基地内の転職訓練の実施とか、あるいは不幸にして離職された方には、いま大臣からお話しありました各種の本土と同じような、もう本土に返ったあとでございますから、駐留軍離職者の措置を講ずる。その他、本土でいま行なっております具体的な再就職のあっせんその他の措置は非常にこまかくなりますので、また別の機会にお答えしたほうがよろしいかと考えますので、省略いたします。
  47. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは質問のほうも本件についてはまた時を改めたいと思います。  次に、民間企業においても失業者の出る心配がないか。それは当然あるわけでありますが、この失業者の救済措置はどうするか、こういった問題が出てまいりまして、先ほども午前中の委員会においてたばこ専売のことについても話が出てまいりました。このことについては先ほども御答弁はいただいたわけでありますけれども、このたびの復帰対策要綱には、なるほどそういうふうに具体性という点から見ますと、「適切な措置」ということばで出ているわけであります。  この問題に関して本年の五月十二日の当委員会におきまして、山野政府委員会社及び従業員の配置転換ということについて伺ったときに、長官のほうから、「私どものほうで専売公社とも十分連絡いたしまして、今後企業が円滑に行なわれていくように配慮してまいりたいと考えております。」こういう答弁をいただいております。次に、専売公社が企業を買い取るという問題に対しても、「そいう点は今後検討する問題でございまして、実はいま政府部内でその点をこうするというぐあいには意見が統一されていないわけでございます。いま御指摘になりましたような事情等もあろうかと思います。私ども今後政府部内で十分慎重に検討してまいりたいと考えています。」こういう答弁をいただいているわけですね。  そういうわけで、こういった答弁をいただいてからかなり時間が経過しているわけであります。そのわりには先ほどの復帰対策要綱の内容が「適切な措置」ということで具体性に非常に欠けている。先ほどの総務長官の答弁で大体わかりましたけれども、ここで伺いたいことは、その後の進捗状況、特に専売公社との交渉内容が現実にどういうようなところまできているか、もう少し具体的にこの点お答えいただければと思います。
  48. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもう前に答弁いたしましたように、ほっておけない問題でございますから、私も直接中に入って専売公社大蔵と話し合いをしておるわけであります。したがって、民間企業として三社が厳然として存在しておるわけですから、これに対して営業ができない状態に国の法律がなるとすれば、それに対して補償するのはあたりまえのことでございます。しかしその補償のしかたについて、三社それぞれ事情が違いまして、最初は一本の賠償金額算定の方法をとってこられたのですが、その中で各社の特異事情というものがばらばらに書き込まれておりまして、これではいけないので、やはり一社ずつの計算という形をとったほうがいいということで、いまそういう方式で、しかし全体としては三社全部が納得される形で妥結するという方法を求めておるわけであります。  さらに、現在本土にございません卸の制度等についても、これを認めないということになりますと、失業者というものが一ぺんに出るわけでありますから、失職になるわけですから、したがって指定小売り人というような形で認めていこう。あるいは現在本土の小売り店はいろいろの立地規制がございますが、沖繩においては、御承知のように、数多くのたばこ屋で至るところで無条件で売られておりますので、それらの事実も踏まえて、それは当分の間本土の指定された小売り店と同じ扱いをしていくということを意味しておるわけであります。
  49. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この問題は、どうも時間的に限られておるわけでありますから、次の機会にまたもう少し詳しく伺いたいと思いますが、いずれにしても、政府の政策いかんによって、現実に七百人を上回る失業者が出たときに、これら従業員の今後の生活がどうなるか、これがたいへん心配であります。今後とも現地要望を無視することなく、ひとつ真剣に取り組んでいただきたいことを要望したいと思います。  具体的問題の第三番は、返還後、民政府あるいは立法院等に勤務する公務員がそのまま日本政府あるいは地方自治体に吸収できるかどうかということでありますけれども、もしできないとすれば、これらの人たちの生活をどう保障してあげるのかという問題であります。この点はどうでしょうか。まずこの点を伺いたいと思います。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 現在の琉球政府の公務員については、これは国家公務員並びに地方公務員として、それぞれ国、県の職員として、もちろん首切りとか、そのための強制退職とかいうものが出ないように配慮をして切りかえていくつもりでありますが、ただいまお尋ねの中にはたしか民政府というのが入っていたようでございますが、民政府のほうは実は沖繩人々もだいぶつとめておられまして、私も立ち寄って皆さん心配だなとちょっと肩をたたいた記憶もございますが、それらの方々の特殊な、持っておられまする、民政府につとめたがための技能というものがございます。ある場合においては言語であり、その他の近代的な事務機の使いこなし方なり、こういう人々特別日本政府の責任でやらなければならないというものではございませんが、私たち念頭にはそれらの人々のことも、やはり沖繩県民でございますから、一応置いておかなければならないことである。しかし、これらの人々は非常に再就職の機会が多いのではなかろうか、わりと円滑にいくのではなかろうかと一応推測はいたしておる次第でございます。
  51. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま沖繩で公務員の退職は、何らかの形で事前退職の要請があった場合には、勧奨退職として通常の退職の三倍の退職金をもらえる制度があるわけですけれども、本土復帰した場合、またそれまでの間に退職させられた公務員に対してどのような措置をとるのか、政府の考えをひとつこの際聞いておきたいと思います。
  52. 山中貞則

    山中国務大臣 勧奨退職に対する財政措置要望は、琉球政府としては非常に苦しい財政でございますし、かといって高齢化していく職員の退職については頭を悩ましておる問題でもございますので、本土におきましては御承知のような退職債等があるわけでございますから、来年度予算要求で私どもは主として一番要望の強い教職員の方々の勧奨退職を中心に置きまして、それらの財政需要本土の退職債的なものが充当されるような性格のものを要求いたしておるところでございます。
  53. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは具体的な問題の第四に入りますが、ショッピングとしての沖繩の地位をどうするかという問題は、これは何回も当委員会でも取り上げられてきたわけですが、復帰対策要綱のほうを見ますと、これは全部読んでいると時間がかかりますので、要するに途中からになりますが、「復帰後も一定期間、携帯品免税の範囲内で、現状程度の税負担を維持するような特別措置を講ずる。」こういうふうに述べられておりますが、この「一定期間」とか「現状程度」とかいうことばはまだまだあいまいのような感じがいたします。非常に具体性に欠けているのではないかと考えるわけですが、「一定期間」とははたしてどれくらいを意味するのか、あるいは「現状程度」というのはどういうことか、あるいはまた関係業者の生活をどうやって将来とも維持してあげるのか。この点を、先ほどショッピングの問題も出たようでありますけれども、この際御答弁いただきたいと思います。
  54. 山中貞則

    山中国務大臣 「現状」というのはいまのままの状態、いわゆる税負担率、いまのままの営業形態というものがそのまま続けていけるようにということでございますし、さらに「一定期間」とは、原則として一応五年ずつ区切りますことは、奄美の例でもこういうふうに五年ずつの区切りを一応前提とお考えいただいていいと思いますが、たとえば自動車の右側通行の問題はちょっと五年は長過ぎるのではなかろうか。というのは、条約上の制約がございまして、一つの国内で右と左の両方の通行は認めておらないという前提がございますから、文字どおりの暫定措置ならば了解が得られる。そこで、その暫定の期間を五年ということにするか、それとも現地のバスその他の昇降口の取りかえや、あるいはまた償却その他が済んで新規に買う場合には左側通行用のものを購入することを念頭に置くとか、あるいは現在の沖繩の道路は軍用目的のためにつくられたという感が非常に深く、すなわち安全施設、信号機その他が非常に不足しておりますので、これらのものも設置するときに、いろいろとやはり左側通行へ切りかえるための配慮をしながら安全施設等を設置していかなくてはなるまいということも考えておるわけでございまして、やや短い感じになるかもしれないというのがこの交通問題で、あとは一応念頭には五年ということを置いておるわけでございます。一区切りという意味でございます。
  55. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 第五の点でありますが、石垣、宮古などの先島は非常に過疎地帯なので、労働力がないためにパインとかサトウキビ等の収穫あるいは加工には台湾労務者を毎年数百名雇っておるわけでありますけれども、ところが本土復帰と同時に入国管理の問題が当然起きてくるわけで、台湾労務者に対する入国管理の措置をどうするかという問題が当然考えられると思いますが、こういったことに関して暫定措置で特例法を設けるという考えがあるかどうか、政府の見解をここで伺っておきたいと思います。
  56. 山中貞則

    山中国務大臣 これは入国管理令の問題でございますので、まだ明確に一次分には書いてございませんが、私としては、大体政府部内の合意を得ているものといたしまして、これは季節労務者であるので長期的に入国してくるものではないということで、単に先島周辺の諸島のみならず南北大島等も全部、現在既成事実のございます台湾労務者の季節入域については、これは原則として特例でございますが残しておくという方向でいかないと、キビ作の一番繁忙期に人手が足りないで、あたら歩どまりやブリックスを低下させるという現象につながります。それはやむを得ない措置として法務省当局と話し合いがついておるところでありますが、いずれ機会を見てそれを発表することになると考えます。
  57. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 御答弁いただいたとおり、こういったことも離島の将来に非常に影響を及ぼす問題でもありますので、あらゆる角度からひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思います。  最後に、政府の第一次復帰対策要綱、きょうも資料としてございますけれども、沖繩現地であれほど公選制の持続を要望していた教育委員の選出方法ですけれども、このことについてはここでも「復帰の際、本土関係法令を適用するよう措置する。」こういうふうになっているわけで、したがって本土と同様の任命制ということになるわけであります。このような措置に対しては公明党としても反対せざるを得ない、こういうところでありますけれども、佐藤総理は昨年一月二十七日の第六十一国会の施政方針演説において、本土沖繩の一体化については沖繩同胞の意向を十分くみ入れて推進していきたい、こういうように述べておられるのですけれども、これではいまの教育委員の問題につきましては沖繩要望を無視するのみならず、総理の公約に反するのではないか、このように思うのですけれども、このことをまずどういう見解を持っておられるか、お答えいただきたいと思います。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 私も、沖繩政策について、現地の信頼のない政策を幾ら実行しても、それでは何にもならないと思っております。したがって現地側の事前の合意を得るための努力を必死になってやっておるわけでありますが、この教育委員会の公選制のあり方については、やはり一応本会議でも総理並びに文部大臣等も申しましたように、義務教育の学校生徒の環境は全国民ひとしき環境のもとに置くという意味の立場において、これを押しつけるとか指定するとかいうことでなくて、ぜひこれはわかってほしいという気持ちで話し合いを続けてまいったわけでありますが、過程にはいろいろございました。ございましたけれども、琉球政府のその過程の姿勢その他について言及することは、私はいたしませんが、しかし結果としては現地側において御了解を得られない数少ない点の中の一つであることを、私たちがみずからたいへん信頼感を失うような行動をしたようにとられておりますことについて、私も心配をし、その点つらい思いをいたしておるわけでございますが、結論としては、閣議決定もいたしておりまするし、基本的に、考え方を沖繩のほうにむしろわかっていただきたいと私たちがこいねがっておるという立場を変えるわけにはまいらないということでございます。
  59. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 中央教育委員選挙はこの十二月十五日に、それからまた地方教育委員選挙は来年の三月に行なわれる、こういうことになっているわけですが、かつてフランスとドイツとの間で幾たびか領土紛争となったザール地方が、今次大戦後再びドイツに復帰するに際して、諸制度についておおむね三年間の経過措置をとった、こういうふうにも聞いております。沖繩の教育委員の選出についても、現地の声に耳を傾けて、この例にならって、委員任命制は行く行くは実施するにしても、来年三月選挙される教育委員が四年間の任期を満了されるまで、すなわち復帰後三年間この公選制を継続すべきである、このように思うわけです。ここであくまでも任命制を強行するということになりますと、琉球処分の二の舞いであるという非難が起こって、悔いを千載に残すおそれがあるのではないか、このように思うわけですが、最後にお聞きしたいことは、長官は国務大臣として閣議沖繩要望を実現するようにがんばってもらいたいとひそかに要望するわけですけれども、この点最後にひとつお答えいただきたいと思います。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私と文部大臣とでよく話し合いをいたさなければならないところであり、両者大体の方向はいま一致いたしておりますが、最終的な結論は出ておりません。しかし考え方としては、復帰の時点において、いわゆる間接選挙でありましても、中央教育委員会等においてやはり民意の反映として公選された委員方々のいわゆる権利の残っておる期間等については、特別配慮をする必要があるであろうという方向に向かって合意を見つつあるところでございます。
  61. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ぜひともそのような御尽力いただきたいことをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 池田清志

  63. 安里積千代

    ○安里委員 質問に入ります前に、いままで本委員会沖繩問題についていろいろと御尽力をいただいたこと並びに今回沖繩選出議員として当特別委員会に属せしめていただいたことを感謝申し上げます。  ところで、沖繩選出議員が、国会におきまして満場一致で議決されました沖繩住民国政参加特別措置法の目的に沿うて選出されたのでありまするけれども、議会の審議の実態の中におきましてはいろいろと制約を受ける部面があるようでございます。われわれは先例、慣例にもふなれではありまするけれども、少なくとも衆議院規則の四十五条並びに六十八条の精神と、それから今度の沖繩国政参加特別措置法の目的に従いまして、皆さん方がわれわれに議会活動の場を十分に与えていただきたいことをまず冒頭に希望しておきたいと思います。  総務長官にお伺いするわけでありますが、山中総務長官は、われわれ沖繩現地におきましても、これまでも沖繩問題に関しまして非常な理解と熱意を示しておられることをわれわれは承って、心から敬服をいたしております。いま重要な時期にあたりまして、ますます長官の立場は大きな任務が課せられておると思います。そこで、政府のあらゆる施策に対しまして長官が主体性をもって、沖繩復帰に備えてのあらゆる問題に、政府の方策に臨んでいただきたいことをまず希望しておきたいと思います。  ところで、非常な制約がございまするので、ごく大綱の問題についてだけお伺いいたしたいと思います。  沖繩復帰対策要綱というものが示されております。長官のそのような熱心さにかかわらず——おそらく長官の持っておられまする仕事の部分というものは、復帰前提といたしまして、これに備えるところの対策であると考えますが、復帰対策要綱もそういう立場においてなされておると思うわけであります。ところが、復帰前提にしまするならば、復帰までには、共同声明にも示されておりますように、いろいろな条件がついております。この条件が満たされて返還の協定がなされたときに初めて復帰は実現するということになっておるようであります。そこで長官とされまして、復帰に対する対策、その前の復帰の条件を満たすところの返還協定、これに対して長官の立場としてどのような関係を持たれておるか、それをまずお聞きしたいと思います。
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 返還協定の交渉につきましては、私はタッチできない立場にございます。しかし沖繩の百万県民の生活、民生、福祉、そのようなものを私の責任としてあずかっておりまする以上、絶えず外務大臣の接触しておられまする返還協定締結交渉に沖繩県民意思が反映されますように、今日までも努力いたしてまいりましたが、今後も、選出の代表方々がすでに出てこられましたし、皆さま方の直接の声並びに担当大臣としての私の考え方が反映していくように最大の努力を払うつもりでございます。
  65. 安里積千代

    ○安里委員 私が申し上げますことは、おそらく外務大臣あるいは総理にお聞きすべき性質のものだとは思うわけでありますけれども、沖繩返還協定は、日本及び極東の安全をそこなわないという前提のもとにいろいろな協定事項がなされ、それが立法府において承認がされたときに七二年返還ということがあるというふうに理解をいたしておるわけであります。  そうしますと、この返還そのものがどのような内容をもってなされるかということが、長官のこれからなされます対策に非常に影響あるものだ、こう思うがゆえに申し上げたわけであります。この点は外務大臣のときにお聞きしたいと思っております。  ただ、ここで私は、前回の本会議におきます総理並びに外務大臣のお話の中から非常に奇異の感を受けるのであります。と申しますのは、総理も外相もひとしく、いま復帰の準備を進めておる、かつ事務当局において密接に協議を進めておる、こういうことが言われております。そして来年の春あるいは夏には協定ができ、秋には国会の承認を受けるというふうな趣旨の御答弁がございました。そうしますと、沖繩返還問題は事務当局、行政が非常に先んじておって、大きな基本的な政治問題というもの、国会の承認は、その行政当局のやった協定の内容、事務的に進められておるところの返還協定がなされて、国会の審議はあとにおいて事後承認させるのだといったような感じを受けるわけでありまして、私は、この沖繩返還問題は非常に行政が先行しておる、政治そのものがあとにおくれているのじゃないか、この政治的な基本的な線が国民の前に明らかにされていない、国会においても明らかにされていないということは、どうしても事務が先んじて、行政が先んじて国会が無視されるあるいは政治があとになっている、こういったような感じを受けるわけでありまして、そういう点がないかどうか。長官とされましてどのようにお感じなさいますか。
  66. 山中貞則

    山中国務大臣 政府のたてまえは、もちろん返還協定は外務大臣が作業を命じ、外務大臣の責任においてそれが進捗をいたしておるわけでございますから、外務大臣が全く関与しない範囲において事務当局が行動しておることはないわけでございます。ただ、そのような御疑念を国会との関係において表明されますことは、当然の御疑念だと考えますが、やはり政党政治でございますので、一応政府与党の立場においてまとめ上げたものが、形式上は国会においてその承認を求めるという形式になりますことは、これはいかんとしても防ぎようのない、一種の形式と申しますか、そういう形でございますので、その意味ではあるいは私が努力いたしましても御要望に沿いかねるような形式になるかもしれないということを残念に思います。
  67. 安里積千代

    ○安里委員 次に、いまの対策要綱の態様についてお聞きしたいのでありますが、対策要綱の終わりのほうにおきまして「各般にわたる総合開発計画を策定することとし、その策定にあたっては、先に琉球政府の発表した「長期経済開発計画」を尊重することはもとより、各界各層の意見を反映できるようにすることとする。」こう述べておるだけであります。問題は、いろいろのことが並べられておりますけれども、基本になるのはこの総合開発計画だ、こう思うのでありますが、これから調査の段階、まだ緒についただけで、これが示されていないというふうに考えられるわけでありますが、このできるめど、いつごろ完成できて、こうした沖繩づくりのプランをいつまでにまとめるところかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、予想される臨時国会と申しましたが、参議院選挙との都合もございまして、そのあとになるだろうということを踏まえての話でございますが、そこへ、締結されました返還協定というものを国会の承認を仰ぐために提出いたしまして、それに伴って沖繩に対する一切の措置国会の御承認を仰ぐために提出をいたすわけでございます。琉球政府のほうで立てられました「計画を尊重する」と書いてありますのは、実は琉球政府の計画の初年度が復帰以前の年、すなわち来年が初年度となっておりますために、私たちのほうとしては作業に一年のズレが出てまいります。われわれとしてはその臨時国会にこれを提案するつもりでおりますけれども、その骨組みが琉球政府前提と一年間ズレがございますために、そのままを採用して計画を決定することができかねる点もございまして、その点は事前によくお話は申し上げてございますし、これからやはりそれを踏まえて、また本土琉球政府との間で意見の疎隔のないように注意をしながら新しい計画に向けて進みたいと思いますが、念頭には、本土のほうにも経済開発計画がございますので、それに合わせて沖繩未来像が描ければ一番いいなというふうに考えておる次第でございます。
  69. 安里積千代

    ○安里委員 その政府の策定しまするところの総合開発計画、これに対しましては沖繩の持ちまする自然的、歴史的条件を生かすことに最大の考慮を払わなければならない、私はこのように思うわけであります。具体的に申し上げますならば、沖繩の海洋を生かし、あるいは沖繩の亜熱帯地域を生かし、おそらく日本政府といたしましても東南アジアその他に対するいろいろの農業指導もやるでありましょうけれども、そういった場合におきましても、沖繩の持っておる地位というものは、これら世界に通ずる、アジアに通ずる沖繩としまして、平和的な意味における非常に大きな役割りというものがあろうと思います。それは沖繩のためであると同時に、非常に大きな文化の、世界のためになると思うのでありまするが、そういった沖繩の持ちまする歴史的条件、地域的条件を最大限に生かす、単に企業を導入して、本土におきまするところの公害問題もあらわれるような、そういったようなものじゃなくて、もっと平和的に沖繩の条件を生かすという立場を十分考慮してもらいたいと思うのでありますが、そのような構想がありますかどうか。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 全く同感でございます。私たちは、単に沖繩が返ってくることを、南のほうへ日本列島が長く伸びたもとの姿に戻るのだということだけでつかまえてはならないと思っております。すなわち、具体的には、現在本土で新全国総合開発計画といわれるものが打ち立てられておりますが、沖繩は、その中において、ただ復帰の時点において考慮するという表現がなされているだけでありますけれども、しかし日本列島が奄美大島の与論島でいま消えておるわけでありますが、この奄美大島の切れておる地点までの南西諸島の持つ価値は十分生かされておると言えないと私は思うのであります。しかしながら、沖繩が列島として、日本の四つの大きな島に連なる南の果てとして、台湾の中部まで至る波照間島までの長い列島の持つ経済的な付加価値というものははかり知れないものがある。したがって、たびたび皆さま方の御参加くださいます前の国会委員会等において答弁をいたしておりますが、沖繩の持つ、いわゆる東洋全体、極東全体に位する沖繩の立地条件、経済的な付加価値というものに深く思いをいたして、沖繩が返ったら、日本の新全国総合開発計画は、沖繩のあまりにも大きな付加価値を添えるために書きかえる必要があるということを私は表現をいたしてまいっておるわけでございますが、これから、戦前の沖繩が置かれた姿と、軍事大国でない経済大国となりました日本沖繩をながめる目とは、当然沖繩が持つ立地条件、自然環境、そういうものがあらゆる面に、日本全体の計画の中に大きく浮かび上がってくるようにしなければならないと考えておるわけでございます。
  71. 安里積千代

    ○安里委員 格差是正ということが一つの大きな対策上の問題にいわれておるわけでありますが、沖繩本土との格差、これは何によって生じたかという原因を探究することがこの格差を是正する上に大事だ、こう考えます。それで格差の生じたことは、決して沖繩県民人々の能力が低いということに原因するものでなくして、もちろん足りないところはあるかもしれませんけれども、大きな原因は、やはり軍事基地として、アメリカの軍事優先政策のために本土の政治から切り離された、そして本土政府のいろいろな援助、おそらく本土の各県とも政府の援助や助言というものが復興に大きく役立ったろうと思うのでありますが、そういった一面におきましてはアメリカの軍事優先政策、生産手段であるところの土地もずいぶん取られた、こういう点、長い間本土政府からの配慮というものがおくれたという点が格差を生じた原因でないか、こう思うわけでありますが、長官においてはどう思われるだろうか。もし同意でありましたならば、この二つの原因を是正するということが格差是正の基本的な問題にならなければならぬのではないか、こうも考えますが、長官の御意見を承りたいと思います。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 基本的には大きな原因の一つであることには私もそれほど反対ではございません。ことに沖繩本島の中南部を占める基地の密度の異常さというものは、基地に伴って一応の基地経済というまた大きなウエートを占める収入をもたらしているにいたしましても、やはり島であることには変わりはない狭小な面積の中に占める密度は異常であり、ことに嘉手納村等においては、沿岸一帯のわずか旧嘉手納村の面積の十分の二ぐらいのところにみんなが密集して住んで騒音に耐えておる状態等は、胸を強く打たれるものがございます。その点私自身がこの基地の整理の問題にものを言う立場にございませんが、将来の計画としては、中曽根君ともよく打ち合わせいたしておりますけれども、それらのことを十分に念頭に置いてこの問題を解決しない限り、新しい沖繩の経済の基本的な設計書というものはでき上がらないということにおいては同感でございます。
  73. 安里積千代

    ○安里委員 時間がございませんが、いまお答えありました点は私は関連してお聞きしたがったのであります。と申しますのは、本臨時国会は公害国会といわれております。本土において公害対策に関するいろいろな法案が出されておることから考えてみまするときに、沖繩における基地公害というものは、これは非常なものである。現に受けつつある。こういった基地公害に対し、単に本土におきまする公害問題を論ずるだけでなく、事実いまおっしゃいましたような大きな基地公害というものに対しましても当然配慮がなされなければならないのではないか、こういうように思うわけであります。重ねて御答弁は要らぬと思いまするけれども、そういった点もあわせて、本土国会においては沖繩の実態を把握せられ、そうして今後そこに平和な沖繩づくりのために十分な配慮を願いたいと希望申し上げまして、質問を終わります。
  74. 池田清志

  75. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 質問に入ります前に、山中総務長官も本会議で申されておりましたし、さらに委員長、各委員から沖繩選出議員に対する歓迎のことばがありまして、私感謝申し上げます。  それと同時に、沖繩問題をここに提起する場合に、何といいましても私一年議員でありますから、御協力さらに御助言をぜひやってほしいということをお願いいたします。  それに関連いたしまして、最初に議会制民主主義に関連して、この委員会の民主的運営について意見を申し述べ、さらに山中総務長官意見をもお聞きしたいと考えます。端的に申し上げまして、私の場合には十分間と制限されております。私はかつてアメリカの軍事裁判にかけられまして、二カ年の懲役を言い渡されましたが、そのときの法廷における判事の制限時間、すなわち被告としての瀬長は十分間、私それを考えていま非常にぞっとしております。  そこで、今度の国政参加によって私たちがここに参りましたのは、皆さんがおつくりになりました沖繩住民国政参加特別措置法、これに基づいてわれわれ選挙されてここに来ましたが、その第一条に「この法律は、日本国民たる沖繩住民意思をわが国のあらゆる施策に反映させるため、沖繩住民選挙した代表者が国会議員として国会における国政の審議に参加するための特別措置を定めることを目的とする。」ということが書かれております。したがって、この法律の趣旨から申し上げましても、委員の発言時間の制限というものは、やはりはっきり衆議院規則にきめられたものを尊重して、それに基づいてやっていかなくちゃいけないんじゃないか。たとえば衆議院規則、これは私ここに参ります前に沖繩でも読みましたが、委員の発言、第四十五条「委員は、議題について、自由に質疑し及び意見を述べることができる。委員から発言を求めたときは、その要求の順序によって、委員長がこれを許可する。  委員から発言の順序について、異議の申立があるときは、委員長は、これを委員会に諮らなければならない。」とはっきり書かれまして、さらに発言の制限につきましても明確になっております。すなわち発言時間の制限、第六十八条「委員長は、委員会に諮り質疑、計論その他の発言につき、時間を制限することができる。予め時間を制限する場合は、各委員に対して均等にしなければならない。」ということを明確にされております。理事会の権限の中にそういったことは見当たりません。したがって理事の問題については、委員長が事故あるとき委員長の仕事をやっていくということしかありません。これは先例であり慣例であるかもしれませんが、現在慣例であり先例であるものが、こういう沖繩県選出議員の発言を極度に制限したりあるいは全然できないような形にしたりするような先例は直すべきだと私は考えます。「今回の国政参加によって国会に議席を得られた七人の沖繩選出議員各位におかれては、七二年祖国復帰という歴史的事実に対して、党派を越え、互いに力を合わせて取り組んでいただくよう心から期待するものであります。」というふうに佐藤総理は述べられております。さらに山中総務長官は、「私たちは、一億の国民すべて、そしてまた党派を越えて、沖繩のための償いの心をもって、あたたかく迎えたいと思っていることにおいて変わりはない、そのことだけは、ぜひわかってほしいと思います。」と、はっきり言っておられます。その保証は何と申しましても、衆議院規則に基づいて沖繩選出議員の発言を保証すると同時に、制限する場合でも均等にやらなくちゃいかぬという衆議院規則に基づかなくちゃいけないと私は考えます。その意味で、委員長の答弁をここで私求めはいたしませんが、各委員のこれに対する御配慮をお願い申し上げまして、さらに山中総務長官にそういったような意味でぜひ発言を保証したいといったような御意見があれば、それに対するお考えをまずお聞かせ願いたいと考えます。  次に、一括して質問いたしますが、沖繩の経済復興の問題。沖繩返還協定の問題は対米折衝をしておられる外務大臣にまとめて聞くことにいたしまして、いま復興計画の問題でありますが、沖繩県復興特別措置法、これは当然できなくちゃなりませんが、その骨子といたしまして、私は十カ年かかってはおそい、五カ年間で沖繩の経済を、公害もない、基地もない豊かな平和な県をつくらなくちゃいけない。大体私の想定では、三十億ドル五カ年で政府資金を投入すればまず他府県並みの経済復興はできると考えます。この三十億ドルというのは、円に直せばもちろん一兆一千億円内外であります。この件を私が申し上げますのは、これはすでに沖繩のことを考える政府であるとすればできてなくちゃいかぬと思います。幾らぐらいの金をつぎ込めば他府県並みにできるか、他府県並みに格差を直して引き上げることができるかということの想定はなくちゃいけません。これは、七二年から始まる第四次防衛計画、その防衛計画にすら五兆八千億円ということを予想されていることはすでに新聞記事でも見えております。したがって沖繩復興については大体何十億ドルあればいいかといったような点の想定があると思いますので、それに対する山中総務長官の御意見を承りたい。  最後に、渡航の自由の問題であります。渡航の自由の問題は、沖繩県民のほんとうの長い間の戦いによりまして、いまでは沖繩から本土に渡る場合には大体制限なしに来れるような状態であり、これは私が十二年間やられましたが、私にパスポートをおろした段階からもうすでになくなっているような形でありますが、ところが、本土から沖繩に渡る場合もっときびしくなっております。具体的に申し上げますと、この前の選挙で「赤旗」の記者が三名渡航を申請したら拒否された、好ましくないなんというようなことで。そういったようなものはいまあってはならないと考えます。これは憲法に規定された往来の自由、これを保障するためにも、七二年を待たずに渡航の自由だけは何といってもかちとらなくちゃいかぬことだと考えておりますが、そういういま申し上げました三つの点につきまして御答弁をお願いいたしたいと思います。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 お話しの気持ちは痛いほど私もよくわかりますが、議会のほうの運営には、あるルールがございまして、そのルールによって定められておるものでございます。私はいま政府側でございますので、そのルールについて私が言及することはできない立場にございます。しかし私は、きょう沖繩から初参加されました皆さんが、時間の違いはありましても、全員五名がすべて発言をされるということに大きな感銘を覚えておりますし、しかもその時間の操作について、社会党の持ち時間をお譲りいただいたらしいということも承りまして、たいへんうるわしいことであると思っているわけでございますが、何しろ国会運営のほうのことでございますので、これ以上私のほうの立ち入った発言はできない立場にございますことを申しわけなく存じます。  さらに、具体的質問の第一点である沖繩の経済発展計画につぎ込むべき金額のおよそのめどはどうなんだ、自分のほうでは五カ年で一挙に三十億ドルつぎ込んだら他府県並みとかなんとかというようなことを言わなくても沖繩はりっぱにやっていけるんだという御趣旨でございました。私もそういうことももちろん考えられると思います。しかしながら、実際には、私たちも具体的に予算の編成という立場から、沖繩について三十億ドルが不可能だとは言えない立場にございますが、現実の問題として五カ年でめどをつけるということは私も同感でございますから、まず最初の五カ年でどこまでいけるかについては、具体的にはやはりめどをつけつつ計画を立てていかなければならぬと思いますけれども、それに要する総体の費用について、いま政府としてはどれくらい考えているというところまでまだ詰めていないわけでございます。その点申しわけなく存じます。  それから、渡航の自由に関して、現在沖繩側からこちらに参ることの自由は、もちろんおっしゃるとおりでありますが、本土のほうから沖繩に参ります際に一種の制限が加えられている、この点も事実として認めざるを得ないのでございますが、私たち本土政府のほうとしては一切制限をいたしておりません。何らのチェックもいたしておりませんし、すべての人が渡航を申請いたしました場合には自由であるということで、われわれとしては、その事務等も、比較的沖繩渡航の実績の多い大阪とかあるいは兵庫とか鹿児島、そういうところを選びまして、県にその事務を委託しておるくらいすでに完全に自由にしておるわけでございますが、米側のほうとしては、やはり入域許可権というものを行使することについて非常に強い態度をとっておるわけでございます。私もたびたびの委員会あるいはその他の場所において、私の大臣室等においても御要請等も承っておりますので、この問題の完全自由化ということが日米双方のためにも長い目で見て結果はプラスするのだということを前提に置いて、ずいぶん話もいたしておりますけれども、非常にかたいものがございます。やはり施政権のもとの入域をチェックする権利は自分にあるという姿勢がいまのところくずれていないということをたいへん残念に思いますが、これについては、沖繩側からこちらに来るのは自由であるならば、本土のほうから沖繩に行くのももう自由であってもいいというたてまえは私も一致いたしておりますので、それの実現のためにさらに努力を惜しまないことをお約束いたします。
  77. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さらに一言申し上げたいと思うのですが、これは七一年度琉球政府予算審議をする場合もありましたが、いまでも日本政府琉球政府予算に支出金を出す場合、アメリカ政府の許可がなければできないのかどうか、この一点。  さらに、あとで御要望として私申し上げましたあの四十五条の委員会委員の発言の問題、制限の問題については、委員長ほか各位の御配慮をぜひお願いいたします。
  78. 山中貞則

    山中国務大臣 形式上は、米側のほうの一応の事前の承認並びにその後の変更等について、軽微なものを除いては、本土予算について米側の了解が要ることになっておりますけれども、現実には、援助といっております今年度予算の段階においても、すでに予算本土政府ででき上がりました後、アメリカ側との間に日米協議会を持ちまして、事後通告みたいな形で行なわれております。したがって、来年度予算沖繩復帰対策費ということに費目も変えるつもりでございますので、もちろん形式上はそういう権限が米側に残っておるように一応見えますけれども、実質はそのようなものは形骸化いたしておりまして、米側もこの点については何ら固執していないことを申し添えておきたいと思います。
  79. 池田清志

    池田委員長 委員会の運営につきまして、安里、瀬長両君から御要望あるいはまた御意見の開陳がございまして、私がお答えしなくてはならないという立場ではないわけでありますが、御参考のために申し上げておきます。  委員会の運営は、委員長が最高絶対の責任者であります。でありますから、この委員会における最高絶対の責任者は委員長池田清志でございます。池田清志は、法規典礼を順守し、この委員会における前例等も尊重いたし、そしてまたそのつど理事諸君の意見を徴しまして、円満に公平に運営してまいることを期しておる次第です。今後におきましてもその方針に変わりございません。  次回は、来たる八日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五分散会