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国務大臣(愛知揆一君) ウ・タント事務総長との間には、これは何と申しますか、定期協議とかいうような形のものでございませんから、あらかじめ議題の整理をして
一つ一つについて討議するという形はとらないことになっております。同時に、隔意のない意見の交換をやりたいと思っておりますので、大体次のようなことを考えております。
これは
政策的な問題もあり、あるいは事務的な問題もありますので、それらを取りまぜて申しますと、
一つは、しばしば御
質疑にございましたが、二十五周年の記念の総会というものをどういうふうに運営していくことがいいかと、この点についてはいろいろ伝えられておりますけれども、まだ、二十五周年の記念総会についての運営
委員会というようなものも正式に意見を決定しているわけでもない。それだけに、各国が若干まだとまどいのていであって、たとえば定時総会は九月中旬から開かれるわけでございますが、それとの
関係をどうしたらいいか、あるいは、各国も、たとえば大統領とか総理
大臣とかの出席というものもまだ確定をしていない、まあ、状況待ちというようなところもあるように見受けられますので、この国連二十五周年の総会というものをどういうふうにやっていったらば一番
効果があるか、ということについて意見の交換をしてみたいと思います。これはむしろやや事務的と申し上げてもいいのではないかと思いますが、差し迫った問題なので、これも話し合ってみたいと思います。
それから
一つは、先ほど来お尋ねのありますような、国連の
あり方を再検討することについて、昨年、私も、事務総長と若干の意見の交換をいたし、また、その直後に総会で
発言もいたしておりますので、大体の私の発想は事務総長もよく了解しているはずでございますけれども、この国連の
あり方、先ほど申しましたような、その中には数点検討したい点があるように思われますが、これがいわば
一つの重点事項と思います。
それから次に第二次国連開発の十年ということは、これはまあ国連全体の現在のかまえ方がそういうわけでございまして、一九七〇年代の十年間の国連開発の第二次計画と申しましょうか、これにつきましては
日本に期待されていることも非常に多い。例のピアソン報告等の関連もございますが、こういう点についての意見の交換ということが必要なことではないかと思います。現に国会のほうの御了解も得て、エカフェの定時総会に私も出席することになっておりますが、それとの関連もございますので、打ち合わせを十分にしていきたいと思っております。
それからその次には、これまた
日本の国内の世論が非常に積極的に動いておりますが、いわゆる国連大学
——いままで国連で呼んでいる名前は国際大学と訳すべきでございましょうけれども、この国際大学の構想、これも事務総長の
発言というものはきわめて簡単で、きわめて抽象的でございますけれども、この
発言がありましてから若干の時間もありましたから、その後、事務総長として抱懐しているもう少し具体的な意見というものがあれば聞きたいし、なければ
日本側としてユネスコ国内
委員会などでいろいろ検討されている
考え方、あるいは各地域からすでに誘致運動等も相当始まっており、その中にはそれぞれまた示唆のある提案もあるわけでございますから、こういう
日本国内のこの大学問題に対する非常に高まっておる関心、それから意図としておるようなこと、これは相当積極的に
日本側の状況を理解してもらい、そして将来
日本への誘致ということに対する積極的な意思表示をあわせていたしたいと思っております。
それからその次は、これはまた多少事務的になりますけれども、かねがねいろいろの
機会に申し上げておったかと思いますが、国連の特に中心になっておる事務総局の機構の中に実際は割り当てられている数があっても、
日本の特に政治面等における高級職員の数というものは、きわめてりょうりょうたるものでございます。これについてはやはりかねがねウ・タント総長にも具体的なこちらの提案もいたしておるわけでございます。やはり国連の機能の強化ということを、
日本として大いに提案もしつつあるときでもございますから、やはり
日本人の何と申しましょうか、力というものを、大いに国連の事務総局の中でも活用してもらいたい。これは御必要がございますれば
資料などを差し上げてごらんいただきたいと思いますけれども、実に
日本の入り方は微弱でございます。いろいろそれにはそれなりの理由もあるようでもございまするけれども、
日本としては、こういうポストにこういう人を入れれば、国連自体も強化するのではないかというふうに考える面もございますので、そういう点もわれわれとしてはこの
機会にあらためてまた促進したいと考えております。
それから、その他、具体的な懸案とでもいうべきものがかなりございますので、そういう点についての
政府の
考え方、あるいは姿勢というものを明らかにしていきたい。たとえて言えば、先ほどもちょっと申しましたけれども、この現在の
日本の立場から言えば少しほど遠いように考えらるかもしれませんけれども、UNRWAに対するわがほうの資金的な供与というものについても、先方も相当の期待があるようでございますが、これらに対していわゆる難民救助等についての問題についての
日本側の寄与を、もう少し大きくする等の積極的なかまえを示してもいいのではないかと思われます。
それから、これは二十五周年の
関係もございますわけですが、世界青年
会議というものが計画されております。世界青年
会議というのは、国連二十五周年を記念する
意味で国連本部で各国から約八百名の青年を集めて開催されるわけですが、年齢二十五歳以下、国連二十五周年を記念するので二十五歳以下の青年をもって青年
会議を開催したい。これなどにもわが国としては積極的に参加してしかるべきものではないか。そういうふうなややこまかい問題、あるいはちょっとほど遠い、
日本の中ではそれほど取り上げられていない問題ではありますが、懸案になっているようなものなども、この際片づけていくほうがいいのではないか。なおそのほかに、これは先ほども中国の問題の
お話もございましたが、国際
情勢あるいは政治経済全般についての、もし意見交換の時間がございますれば、そういう点にも触れてみたいと思っております。それで、明日そういう点についてまず私が話し合ってみたいと思います。引き続き明後日それらの点のうちの次元の高い問題については、総理
大臣と事務総長との会談というのもぜひ実りのあるような会談をしてもらうようにいたしたいと存じます。