○
国務大臣(
坂田道太君) やはり就学前
教育というのは、非常に私大事なものであるというふうに
考えております。現在五一・八%が幼稚園に入っておる。本年度中に大体五六%まで持っていきたいというふうに思っておるわけでありますが、そのうちで御
指摘のとおりに、
私立が七十数%、公立が二十何%ということでございます。それから保育所が、これまた二九%ということでございます。合わせてまあ八〇%くらいになるし、それに
労働省所管の
関係もあると思いますが、全国をずっと私調べてみますると、非常にばらつきがございまして、たとえば香川とか兵庫とか徳島とか、つまり瀬戸内のほうは非常に幼稚園
教育というものが大きいわけでございます。ところが、まあ、したがいまして、今度は保育所のほうは少ないと、ところが
教育県といわれる長野県なんかは、幼稚園
教育はあんまり、一六・一%でございまして、そうして保育所が実に六二・一%、こういうことになっておるわけでございます。これを一体どう
考えていったらいいかということは、私自身も非常に頭を悩ましておるわけでございます。
一昨年、私はちょっと幼児
教育ということだけでドイツ、フランス、イギリスを見て回りました。そうすると、ドイツは非常に、何と言いますか、幼稚園
教育というものが幅広く、そうして内容もこう徹底してやっているかと思いましたら、私の見た限りでは、むしろ
日本における保育所みたいな
考え方、つまりしつけとか、あるいは幼児の
教育は両親がやるべきものであって、幼稚園というのは補完的
意味だということがはっきり理念として確立されておる。したがって、保育所の中において音楽
教育だ、情操
教育だ何だと、われわれまあ
考え、また期待を持って行ったわけですけれ
ども、実際はそうじゃなくて、もうけがをさせないように遊ばせて、そうしてあるいは食事等について十分衛生的な食事を与えるという、まあ
日本で言いますと保育所でやっているようなことをやっておるということで、私見まして、これも
一つの
方法かなという感じを率直に実は持ったわけです。イギリスに参りましたら、従来幼稚園というものが就学前の
教育としてあったわけですが、これをやはり義務制にしなくちゃいかぬということで、五歳児から入学させて、インファント・スクールで出発させておる。ところが、幼稚園の一番総裁の女の人でございますが、その人にお会いしましたら、まあイギリスでは就学前
教育というのは、これによってだめになってしまったと、インファント・スクールをあなた見に行かれるようだけれ
ども、ナースリー・スクールをごらんにならなければいけないと、ナースリー・スクールは、前の保守党政権もそうだったでしょうけれ
ども、新たにつくることはできなくなったんですと、これではいけないというまあ
考え方。しかし、五歳児からインファント・スクールで
義務教育をやっているという点は、また一応の
意味があるというふうに
考えられるわけです。
それから、フランスに参りましたら、これは二年保育で四歳、五歳が八〇%、そうしてまた
学校教育は別なんだ、これもはっきりした理念のもとにやっている。
日本の場合はむしろやはりこのフランスのやり方のほうがいいんじゃないかということを、個人的に私は感じたわけでございまして、やっぱり就学前の
教育というものを徹底してやるということ、そうしてその場合に
考えましたことは、幼稚園と保育所との
関係、これはやはり
文部省と
厚生省と、それから
労働省とが一体となって、単に各省のなわ張り争いというようなことはやめて、
厚生省は
厚生省で保育をかぶる、人の子供たちを預かるということでございましょうけれ
ども、そこで当然やはり
教育というものもなされなきゃならないわけですから、その
教育をなす場合においては、十分にわれわれの幼稚園の
方針と同じような形において、できるだけひとつ相
協力し合いながらやっていったほうがいいんじゃないか、
日本の実態から
考えて、こういうふうになっておるということを
考えた場合には、そういう取り扱い方がやれないものかどうかということでございますが、これは
昭和三十九年三月二十三日付で幼稚園
教育要領というものができておりますし、それから保育所の保育指針というのが、その当時
厚生省においてもできておりまして、それ以来、
文部省と
厚生省とはかなり緊密な連絡のもとに幼児
教育あるいは保育ということについて
施策を進めておる、こういう
状況でございます。
私といたしましては、七カ年計画が終わりますけれ
ども、さらに来年度からは新たなる年次計画を立てまして、この幼児
教育の充実ということをはかってまいりたい。本年度も
大学の私学に対しまして経常費の助成をやりましたが、同時に
自治省と御相談を申し上げまして、高校以下の
私立学校にもこの
地方交付税で
措置をしていただくということで、しかも、これを
私立幼稚園、つまり
学校法人の
私立幼稚園までも及ぶということを一応お願いし、できるようになったわけでございます。