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鈴木強君 一つの皆さんの考えるアイデアではあると思うんですね。しかし私は、これはいまの十カ年計画に重大影響を与える問題ですよ、要員の問題にしても。ですから、管理
運営権だからといって労働組合と全然相談をしないで進めるということも、これは重大問題がありますからね、労働条件に関連があるわけですから。ですから、その辺は慎重に配慮して、一つの構想をまとめるならまとめてい
ただいて、私はあえて反対しませんけれども、実施については、法律との問題もあるし、そう簡単にいかぬと思いますから、これは慎重にやってい
ただきたいと思う。お願いしておきます。
それから、次に——いま私が伺ったのは、簡単にいって、大綱、十カ年計画の内容だと思うんですが、ところが、私は最近国鉄の監査
委員をしております角本という方が——新幹線の営業部長をやられ、本社の事務管理統計部長をやられた方、四十一年から監査
委員をやっておられる角本さんが、先般、座談会ではありますけれども、少なくともこれは重大な発言をしているわけでして、彼は国鉄再建十カ年計画というものはむだなものだと、こういう計画は。こういう趣旨の発言をされているんですね。たとえば自動車、航空機との競争の中で、いまの国鉄がどのような合理化を進めても採算ベースには乗らない。現行制度の改革こそ再建の第一歩だと思う、こういうふうに言われておるわけです。結局いま皆さんが苦労して一生懸命やろうとしていることはむだだと、こういう
意見が同じ国鉄の中の役員から出ているということは、これは重要なことだと思うのです。しかもこの発言はわれわれが見てもなるほどという点もあるのですよ。したがって、まあそのあと国鉄
総裁が、日経新聞の三月二十二日号を見ますと、「このような発言を私自身がしなければならない時期があるいは来るかもしれない。)、こういうふうに言っておられる。ですから、必ずしもこの角本発言というものは奇想天外なことでもないし、あまりかけ離れたことでもない、こういうふうに
総裁も思っていると。
ただ、せっかく
国会も再建のために財政的な援助をしようということで、
ただ国鉄だけにこの経営の最悪な
状態をおおいかぶせてはいかぬ、しょわせちゃいかぬということで国全体が考え直そうという時期に来て、せっかく一つの案をまとめているにもかかわらず、そういう時期にこういう発言が出るということは非常に重大な問題だと思う。しかし一面、さっき申し上げたような面もありますので、この扱いについて、私はあえて角本氏の責任を追及しようとかというようなことはいたしません。そういう点はひとつ国鉄
総裁が最高責任者としおられるわけですから、この監査
委員というものはあなたの指揮下に入る役員だと私は思います。したがって、そういうタイミングの問題についてはひとつ御考慮い
ただくこととして、こういう
意見は一つの
意見としてあると思いますね。だからして、国鉄が、
公社か、あるいはその前の国鉄当時でも、独立採算という中でやるということになりますと、これはたいへんだと思うのですよ。したがって、今回約二千億の十年間に国が
負担をしてくれるというのだが、これではとても、
料金値上げを二回やって、二兆なんぼかの増収をはかるという計画のようですけれども、実に至難だと思うのですね。あなたは、またさっきもお話のあったように、東京−大阪間を一時間で突っ走る五百キロの新しい新々幹線をつくろうと言う。一体その金はどこから出してくるか、五十五年度でやろうということですから。そうすると、財政再建十カ年計画の中でその八千億の金をどこから出してくるか。だから、一面そういう中でぱっと出てくると、ああ国鉄は何だ、そんな余裕があるのかというようなことにもなりますね。だから
国民の受ける感じというのは非常にデリケートなんですよ。それでまた一方では、
国会が、議員が発議をして、全国に新幹線を張りめぐらそうというのは、一体それはやれるのかな、しかし、だれに聞いてみたって悪い話ではない、できればいいことですからね、ぜひやってほしい、こういう
意見がある。
ただし、それを
建設をし、
運営をしていくのは国鉄当局ですからね。それは
国民の利益になることであれば、万難を排してやらなければならないが、問題は
建設資金の問題ですね。こういう問題はもう少し社内の中で私は徹底的に討議をしなければならぬし、むしろしたと思うのですね。そういう討議もして、その上でなおかつ鉄道再建の、財政再建の十カ年計画をつくったものと思いますが、いろいろな
論議があって、その上で決定したものか、それともそういう
論議もなしに決定したということであるならば、それはあとから、わしはこうだという
意見も出るかもしれないが、少なくとも皆さんが英知を集めて、そういう独立採算制をはずして、やっぱり赤字のときには国から
負担してもらう、そうでなければ国鉄はどうにもならぬのだという
論議も十分やってみて、なおかつそれはだめなんだ、現実はこの三つの基本を含めた十カ年計画でいこうということであるならば、角本氏の発言というものは少し行き過ぎだと思う。いずれにしても、そういう段階を迎えているだけに、私は率直に
国民一も疑問を持っておるしするので、この際ひとつ
総裁から直接、この
委員会を通じて
国民に明らかにしてい
ただきたいと思います。