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国務大臣(
山中貞則君) まず第一の資産買い取りを中心とした
大蔵省に対する記事だったと思うのですが、「あわてず騒がず」という、これはおもしろい表現をしたと思うのでありまして、こちらのほうからこれだけは買い取る用意ありというのには少し、
先ほど申しました実態の把握も足りませんし、うっかりそういうことを言いますと、ああそうか、そこまで買ってくれるのか、という結果になりかねないおそれもございます。かといって、米側のほうが態度をきめてほしいということは言っておるわけでありますから、アメリカ側から持ってきました要求というものに対して、日本側はそれは受け取れない、たとえば国道一号線というものをアメリカ側は、これは軍用としてやったものであるから、国道に日本が受け取ってやるなら道路も買い取れというようなことをあるいは言うかもしれません。そういう場合には、こちらのほうはとてもイエスとは言えないわけでありますけれ
ども、向こう側の出方、売り手というとおかしいのですけれ
ども、一体占領時代に二十五年も現地の当事者であったものが当然やらなければならなかったことであるという
範囲を、一体どういうふうにアメリカは考えているであろうか、そこらのところがいま少しく不明でございますので、現地の復帰準備
委員会並びに日米協議会というものを活用いたしまして、それらの感触を詰めてみる。そうしてやはり、アメリカ側の感触を詰めて、日本側がそれに対してあらためて対案と申しますか、感触を出して詰め合っていくということになるだろうと思います。
それから沖繩復興開発金融公庫という記事が出ておりますが、あるいは金額四百億というようなものもある新聞に出ておりました。これは私としては全く寝耳に水でありますし、そういうことは知りません。それは通産省と
関係があるとは思いませんが、通産
関係の
外郭団体でもありませんし、何ですけれ
ども、そういう感触の上に立った
民間の団体による見解の発表でございまして、大蔵あたりもあるいは
作業の過程で相談を受けているのかもしれません、その発表文の感触から見ますと。したがって、私のほうは
総理府自体で、そういうことをいまのところ考えておりませんでしたし、四百億ということも全然したがって、ないわけです。ただ私は国会の
答弁で、奄美大島が復帰した後現地に、一県の単位でもないわけですけれ
ども、郡ですけれ
ども、奄美大島郡に奄美大島復興金融公庫というものを設けて、復興基金でございますが、基金というものを設けて、現在まで至っており、もう二十年近くになるわけです。こういう事実もございますから、やはりいまの既存の日本の本土
政府における金融形態あるいはその分類というものと、現地の金融機関等のあり方、さらにまたアメリカの管理する公社等の受け取り方等とも関連をいたしてまいりますが、国会
答弁でも一応私は、奄美大島ですらそういうことをやったのですから、金融機関についても、沖繩についてはもっと特別なことをしなければなりますまい、ということを答えております。かといって、いまの段階でそういうことをすぐに金額まで明
示してやるということは、いまのところそこまで検討はいっておりません。ただ全体的な感触としては、すぐにやれるものからやったほうがいいという御感触でございまして、気持ちは私も同じでございますけれ
ども、ただいまも少し触れましたように、現地の琉球
政府の持っております特別会計、公庫、公社あるいは本来ならばそういう形になっていなかったであろうと思われるアメリカのほうの所属財産と申しますか、機構の中に入っております電力、水道等の三つの公社等の引き取りの形、譲り受ける形等と関連をいたしまして、やはり、そちらのほうの
作業のほうが先決するのではなかろうかという気がいたしておりますが、いずれにいたしましても急がなければなりませんし、そのような形の問題と別に、沖繩において普遍的であってなお底流として非常な心配を持っておられるのに、復帰までに円の切り上げがありはしまいかということがございます。これはもちろん、円が切り上げられましたら、いま流通しておりますと推定されております七千万ドルないし一億ドルというものが、これが物に化け、あるいは海外に逃げるということも当然考えられることでありますから、私のほうから
大蔵大臣に、適当な機会に少なくとも復帰までには日本の円の切り上げはないということを沖繩に対して言ってくれ、あるいは何らかの方針を
示してほしいということを言っております。私のほうはもう直接いろいろの方法で言っておりますけれ
ども、やはり外国為替、そして日本の貨幣価値の管理者である
大蔵省というものがこの円切り上げは、沖繩が復帰してくるまでにはいたしませんということを明示する必要が、しかも早急にあると考えまして、このような要請をいまいたしておるところでございます。