○
政府委員(新谷正夫君) 法務局の現状につきましては、ただいま大臣から
お話がございましたように、いろいろの面で解決を期さなければならない問題がございます。特に、現在の
社会情勢と申しますか、
経済情勢が最終的に法務局にその成果を持ち込まれますために、その事務が円滑に迅速にかつ的確に行なわれるかどうかということは、
国民にとりましても非常に重大な問題でございます。とかく、従来、登記所の仕事というものは受け身の仕事であり、しかも最終的な処理の問題でございますだけに、あまりはなばなしく
国民の目には映じなかったようでございます。しかし、現在の公共事業
一つとって見ましても、登記所の処理ができませんと補償金の支払いもできないというようなことで、だんだんお困りの向きも多いようでございます。私
どもとしましても、できる限りすみやかにこの登記事務の処理体制というものを確立してまいりたいということを
考えておるわけでございます。それには、人員の問題もございますし、庁舎その他の
施設、設備の問題もございます。また、整備そのものの問題もございます。また、事務の処理体制の問題もあるわけでございます。あらゆる角度からこれを詰めていかなければならないというふうに
考えておるのでございます。これは全国的な問題といえば全国的な問題でございまして、私
どもといたしましては、これは御意見が一部にはおありかとも思いますけれ
ども、人員の充実、
施設の整備のほかに、さらに法務局のあるべき姿、これは組織、
機構の面でございますが、こういったものにつきましても根本的に
考え直す必要があろうと思いまして、もうすでに早くから登記所の統廃合という形で実はだんだんとやってきたこともございます。しかし、これにつきましては、いろいろ複雑な事情もございまして、必ずしも現在ではそれは円滑にいってないというのが
実情でございます。さればといって、これを放置するわけにはいかないだろうと私
ども考えておりまして、ただいま基本的に法務局の組織がどうあるべきかという、基本的な理想図のようなものを描こう、その上に、さらに現実の登記所の配置というものも
考えてみたい、こういうことで、いま鋭意作業をいたしておるのでございます。これには、
国会方面からも十分な御理解とお力添えをいただきたいと思っております。
それはそれといたしまして、非常に
経済事情あるいは
社会情勢の変動の激しい地域が、御
承知のように、随所に出てまいっております。これに実は登記所が追いまくられているというのが
実情でございますために、私も実は昨年、登記所の内部の処理体制のことはおおよそ私
どもわかっておるつもりでございますが、いかんせん、従来のわれわれの執務体制といたしましては、法務局から報告のございます
実情あるいは統計、数字といったものを頭に置きながら、実はいろいろなことを
考えてまいりました。しかし、これではとても
社会の進展、進運に追随できないのじゃないかということを
考えまして、実は、千葉県下、神奈川県下の背景を、役所を見ることは二の次にいたしまして、実は世の中の動きそのものをつぶさに私見ようと思いまして、そちらのほうへ重点を置いて見てまいりました。たとえば千葉県の場合、汽車に乗って、あるいは自動車に乗って素通りした場合の感じと、その問題になっておる地域に入り込んで見た場合と、これはもう私の想像以上の違いがございました。そういうことを
考えまして、今後の法務局をどう持っていくかということについて、少し
考え方を改めようじゃないかというので、全国一律の、先ほど申し上げましたような登記所の再配置ということもこれは必要でございますけれ
ども、さらに、さしあたって緊急を要する地域について、たとえば首都圏とか近畿圏というふうなところで特別に開発の進んでおるようなところ、
社会情勢の変動のはなはだしいところ、こういうところはこういうところで、別途また角度を変えて少し法務局のあり方というものを研究してみたい、こう思って、いまそういうことも考慮に入れながら作業をさしておるわけでございます。なかなかたいへんめんどうな問題でございます。また、地元の市町村との
関係もございますし、早急に解決するということが非常に困難な問題であることは重々わかるのでございますけれ
ども、しかし、いろいろの現在の情勢を頭に入れます場合に、どうしてもこれはやりたいという気持ちで実は研究をいたしておるというのが
実情でございます。