○塩出
啓典君 第四
分科会の
審査の
経過並びに結果について御
報告申し上げます。
本
分科会の
審査の対象は、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治
省所管でありますが、去る十三日より本日までの三日間にわたり慎重
審査を行ないました。その詳細につきましては
会議録でごらん願うこととし、ここでは
質疑のあらましにつき簡単に御
報告いたします。
まず、文部
省所管でありますが、小・中学校教員の充足問題について、現在小・中学校における教員の不足が問題化しているが、文部省は教育界に人材を集めることでどのような対策を持っているか。明治以来、教育
公務員には待遇の上で特別の配慮があったが、戦後の教員の給与は全体的に低過ぎる。このようなことでは、ますます教員不足を来たすのではないか。この際、十年もつとめた教師には研究費を支給するなどの
措置を講ずるとともに、教員の全国的人事の交流につき行政的配慮を行なうなど、法制面での改革も必要と思うがどうか、との
質疑がありました。
これに対し、坂田文部
大臣から、教員不足の現状は教育上の大問題で、これは待遇のいい産業界などに人材が集中することなどが
原因だと思うので、安心して教育に専念できるような体制をつくるよう鋭意
検討している。教員の給与等が戦前に比べ実質的に低下していることは確かなので、最近の給与
実態調査を分析の上、前向きに対処したい。また、教員の人事交流については、必要な点は十分承知しているが、教員個人の承諾を得ないとやれない面もあるので、なおよく
検討し、善処したいとの
答弁がありました。
このほか、外国人留学生に対する取り扱い一元化の問題、人口急増地域における学校
建設用地費国庫補助の問題、国立大学教官の待遇並びに定年制の問題、私立大学等に対する人件費など助成費の分配基準並びに私学振興財団の人事、運営問題、幼児教育、特に公私立幼稚園のあり方の問題、防災科学に関する研究体制の問題及び都道
府県教育長の権限範囲、都教組問題の最高
裁判決、私大医学部の入学寄付金等々の問題につき、熱心な
質疑が行なわれました。
次に、厚生
省所管におきましては、僻地医療の確保、保育所
建設用地費の国庫補助、潜在看護力の活用、児童手当
制度見送りの
理由、母性保護の立場からの育児休暇
制度、公害対策費の内容、騒音規制法から交通騒音を除外した根拠、
農業者年金の
国民年金に及ぼす
影響、保育所保母の給与
改善、大衆保健薬の認可基準及び神経性難症を保険対象にすることの問題点等々につき、活発な
質疑が展開されました。
このうち、過疎地域における医療確保の問題をめぐって、僻地の市町村では医師を求めるのにたいへんな苦労を重ねている。たまたま医師が見つかっても、五十万から百万という大金を払わないと来てくれないし、せっかく
診療所をつくっても、医者の来手がないというのが実情である。僻地に医師を呼ぶために、医学志望の学生に対し、一定期間僻地に赴任することを条件に、特別の給費
制度を設ける等、思い切った優遇
措置を講じられないか、との
質疑があったのに対し、内田厚生
大臣から、僻地医療の実態はお説のとおりで、所によっては
診療所が遊休
状態のままになっていることも承知している。厚生省としては、さしあたり親元病院が責任を持って
診療所を見るよう、その費用を助成するとともに、
診療所が
赤字になった場合の
予算措置を講じる一方、巡回診療、患者輸送などを行なって、その運営費を見るようにしているが、まだ十分とは言えない。また、奨学金
制度については、なるたけ僻地に定着するよう、大学卒業後も必要経費を貸与するなどの点を含めて
検討中であり、同時に、若い大学卒の医師だけでなく、中高年層の医師の採用も
考えているが、いずれの場合にも義務づけるわけにはいかないので困っている。今
国会に提案されている「過疎地域対策緊急
措置法案」には、これら医療面にわたる
措置をも規定しているので、この際十分御
審議されたい旨の
答弁がありました。
次に、労働
省所管では、現下の労働力不足の問題が大きく取り上げられました。すなわち、高度成長十年、さらにこの先十年の
経済発展を
考えるとき、労働力がどう推移するかはきわめて重要な課題である。労働力の不足から中小企業の倒産が相次ぐ中で、これからの
日本には工業の地方分散が必要だとして、いろいろ
計画も進められているが、これに要する労働力の問題を抜きにしては、せっかくの
計画もこま切れになるおそれがある。労働省は労働力不足の実態をどうとらえ、また、七〇年代の見通しをどのように
考えているのか、所信のほどを聞きたい、との
質疑がありました。
これに対し、野原労働
大臣並びに
政府委員から、七〇年代には、労働力人口の
伸び率が漸次低下し、労働力供給の面では、学卒者数が次第に減少し、新規労働力の学卒
構成も
昭和五十年には中学卒と大学卒がほぼ匹敵するようになり、同時に、出生率、死亡率の
関係から、労働力の高年齢化が進むことは各種の資料に徴して明らかである。このため、労働省としては、職業訓練、技能者養成等で労働力の質的向上を目ざすとともに、労働力のむだ使いをなくすることにつとめる一方、新しい労働力を開発する意味から、今後ふえる傾向にあるパート・タイマー、家内労働を含めた婦人労働力の活用をはかる必要があり、この点で、厚生省とも密接な連携のもとに、婦人が安んじて職場で働けるよう、保育所、託児所施設の
整備を急ぐなど、でき得る限りの方途を講じる所存である、との
答弁がありました。
なお、このほか、中小企業における求人難、パート・タイム雇用の問題点、保育所用地費の国庫補助、企業内保育所の現状、専売公社の二交代制と女子従業員の立場、ILO八十九号条約の批准、身障者、精薄児の就業
状況、下請、孫請会社の労働実態、労働基準法と育児休暇
制度の
関係などの問題について
質疑がございました。
さらに、科学技術庁
所管におきましては、資源
調査会勧告の実施
状況、東京十二チャンネルの役割りと経営
状態、東京十二チャンネル・プロダクションの事業内容、宇宙開発事業団の四十五
年度計画、宇宙開発に関する日米交換公文、国立防災科学技術センターの大型降雨実験施設、原子力軍艦寄港時の監視体制、放射能による海水汚染、海洋開発に伴う功罪両面の問題等につき、熱心な
質疑がありました。中でも、海水の淡水化の問題については、現に通産、厚生両省のほか、科学技術庁の原子力研究所でも、それぞれの目的、方法による研究が進められており、将来に備えて、この際科学技術庁を
中心に、海水の淡水化研究を強力かつ総合的に推進する必要があると思うが、新
年度の科学技術庁
予算にはそれらの点に関する
予算措置が何らなされていない。科学技術庁はこの問題について真剣に取り組むつもりなのかどうか、との
質疑がありました。
これに対し、西田科学技術庁長官から、科学技術庁としては、問題の重要性はかねてから認識しており、すでに原子力研究所において、海水から真水を
生産する
調査実験を行なっているが、特別の
予算をもらってやっているわけではない。しかし、通産省の
予算にはこのための経費六億五千万円が計上されており、近い将来、厚生省その他、
関係機関の
調査研究が拡大され、
経済性の効果が出てくるのに応じて、さらに真剣に取り組む
考えである、との
答弁がありました。
最後に、自治
省所管についてでありますが、昨年末の総選挙に見られた、十万票で落選、三万票で当選した事例、現行の法定選挙費が最高四百万円、最低二百万円台できめられていること、選挙違反者が恩赦によってたやすく許され、選挙運動に参加していること、などの事実を指摘し、
国民はすでに選挙に対し深い疑惑と不信を抱いている。選挙の公正を期するため、この際、議員定数の是正
一つきめかねている選挙
制度審議会の運営を根本から
考え直すとともに、党派をこえて、現行公職選挙法を政党本位の
方向に改正すべきだと思うが、
担当大臣の所見はどうか、との
質疑がありました。
これに対し、秋田自治
大臣から、公正な選挙は健全な民主主義確立には不可欠な問題で、現在のように野放図な選挙のやり方には、節度のくふうが必要だと反省している。定数是正等の問題は衆参両院でしばしば論議され、
政府においても
検討を加えており、政党本位の選挙にすべきだという趣旨にも大筋において同感だが、選挙
制度審議会が形骸化しているとは
考えていない。
政府としては、
審議会の答申をまってあらゆる点の是正をはかりたい、との
答弁がありました。
このほか、自治省における
電子計算機導入の効果、地方自治体における身障者の雇用率、自治体病院の看護基準、
土地公示
価格、固定資産税の課税方式、地方税と国税のアンバランス及び救急業務の問題点等々について
質疑がありました。
以上をもちまして、第四
分科会担当予算の
審査を終了した次第であります。
以上御
報告申し上げます。