○
国務大臣(
橋本登美三郎君) いま自動車保有台数の話が出ましたから、保有台数を一応運輸省で想定したものを申し上げます。
わが国の自動車保有台数は、本年二月末で千六百四十六万台となっております。その中には、約百万台の二輪車と特殊自動車が含まれております。最近数年間の年間伸び率は二〇%
程度でありますが、今後は若干の鈍化傾向を示す増加を続け、
昭和五十年ごろから横ばい
状態に近づくものと言われております。
昭和五十年の自動車数の推定といたしましては、
運輸省自動車局では、昨年行なった試算で約三千四百万台、うち百万台は二輪車と特殊自動車となっております。また、最近の推定として、先日経済審議会から答申されました新経済
社会発展計画の参考
資料では、二輪車と特殊自動車を除いて二千九百万台と推定されております。
以上、
資料的な話を申し上げましたが、そこで私は、いまおっしゃるように、自動車はこの推定に基づいて、大体こういう調子でふえていくと思います。しからば、その自動車を動かすところの道路あるいはその他の使用されるべき道路等がそれに追いつくかどうかという問題、また、自動車は今後ともに激増していくかというお話でありますが、私は、大体自動車はこのとおり、いわゆる予想どおりに大体ふえていくと思います。ただ、問題は自動車の使用方法が変わってくる。これはまあ、
春日さんもお
考えであると思いますが、たとえば、東京とか大阪とかという、これは
性格が最近変わりつつあります。われわれは、工場を地方に分散すれば、そこで人口は減ることができるだろうと、こういう
考え方で、実は十数年前から工場の地方移転ということを
考えたが、ところが、実は、最近における科学技術の発達、モータリゼーション、こういうもので、自動車工場のいわゆる人間を必要とする、労働力というものは非常に減ってきております。たとえば、四日市の石油コンビナートに使われる工場労働者の数と、今度できます、鹿島港にできました石油コンビナートの数では、人間は三分の一にすぎません。すなわち、あとの二人は分機械化されてきておる。モータリゼーションされてきておる。あるいは水島、最近できあがりましたが、その水島のいわゆる石油コンビナートの使いまする人間と、鹿島港、二、三カ月前から工場が操業されましたが、それとの間には、水島に対して二分の一であります。水島が二人使うのに対して一人であります。でありますからして、いわゆる工場を外部に出せば大都会の人間は減るんじゃなかろうかと、こういう
考え方でやってまいりましたが、
社会、産業の変革等によりまして違ってきた。ということは、御承知のように、最近のいわゆる流通的な傾向といいますか、流通センター的なもののあり方、及び産業におきましても、管理センター、情報に基づいてコンピューターによってこれを片づけていく、こういうために、工場というものは地方にあって人間は少なくなりましたが、それらを総合していくためには、管理センターで人間を多く必要としてきておる、これが
一つであります。
もう
一つは、教育が普及されるにつれて、そこで教育人口が非常に都会に集中してきた、あるいは役所の事務が非常に増加してきたために、役所の人間というものはなかなか減ることができない。こういう
社会構造の変化に伴って、いわゆる大都市の人口というものは、わずか十年間に、東京においては約四百万の人口の増加を来たしておる。大阪においては約二百万人の人口の増加を来たしておる。
一つの県がふえちゃうんですね。あるいは大きな県が二つ。こういうことは、
社会、産業及び政治構造の変化に基づいてきておる。したがって、自動車がどんどんふえてまいりましたが、これはなかなか、いま
春日さんがおっしゃるように、道路を広げていくということが追いつかないことはそのとおりです。したがって、自動車それ自体の使用方法が変わってくる。自動車を買う率は多くなってくる。大体予想どおりふえてきますけれ
ども現在使っておりますように、オーナードライバー、通勤者がそれを通勤用に使うということがだんだん困難になってきます。そこで、大都市交通圏というものが、地下鉄なりあるいは近郊鉄道のいわゆる通勤傾向に使う、こういう代替をしなければならぬ。しかし、自動車は——たとえば、将来おそらく一週間の五日制はもう間もないでしょう。そうなりますというと、レジャーというものにやっぱり使われる、こういうように、一部においては自動車自身の使用目的が変わってきますからして、したがって、自動車の激増につれて道路をそれだけ拡大しなければならぬか——原則はそのとおりでありますが、ある
程度比例しますけれ
ども、必ずしもいわゆる一〇の自動車がふえた、道路を一〇ふやさなければならぬ、こういう情勢では、いまの
社会構造ではない、かように
考えていまするが、しかし、
先ほど申しましたような、大都市におけるところの人口増加の発生源というものが変わってきた。これに対して、政治なり
行政はどうすべきかという根本問題が当然
考えられなければならぬ問題であります。したがって、交通問題というものは、単なる自動車の問題、道路の問題ということだけから対策を講ずるだけでは、これは
解決がつかない問題であって、総合的ないわゆる国土総合開発あるいは拠点都市、こういうものの総合開発から、ものを
考えてまいりませんというと、根本的な対策はできない、これは私の私見でありまするが、さように
考えておるものであります。