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1970-03-26 第63回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十六日(木曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     塩出 啓典君      玉置 和郎君     田村 賢作君      鈴木 一弘君     渋谷 邦彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         堀本 宜実君     理 事                 木村 睦男君                 柴田  栄君                 任田 新治君                 山本 利壽君                 吉武 恵市君                 鈴木  強君                 横川 正市君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君     委 員                 岩動 道行君                 梶原 茂嘉君                 川上 為治君                 剱木 亨弘君                 小山邦太郎君                 郡  祐一君                 近藤英一郎君                 白井  勇君                 杉原 荒太君                 田村 賢作君                 高橋文五郎君                 中津井 真君                 中村喜四郎君                 八田 一朗君                 平泉  渉君                 二木 謙吾君                 増原 恵吉君                 柳田桃太郎君                 足鹿  覺君                 小野  明君                 岡  三郎君                 加瀬  完君                 亀田 得治君                 木村禧八郎君                 戸田 菊雄君                 羽生 三七君                 山崎  昇君                 塩出 啓典君                 渋谷 邦彦君                 鈴木 一弘君                 三木 忠雄君                 萩原幽香子君                 山高しげり君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  小林 武治君        外 務 大 臣  愛知 揆一君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  坂田 道太君        厚 生 大 臣  内田 常雄君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君        郵 政 大 臣  井出一太郎君        労 働 大 臣  野原 正勝君        建 設 大 臣  根本龍太郎君        自 治 大 臣  秋田 大助君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  佐藤 一郎君        国 務 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  西田 信一君        国 務 大 臣  保利  茂君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        総理府人事局長  栗山 廉平君        警察庁刑事局長  高松 敬治君        警察庁警備局長  川島 広守君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        経済企画庁国民        生活局長     矢野 智雄君        科学技術庁計画        局長       鈴木 春夫君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        外務大臣官房領        事移住部長    遠藤 又男君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省条約局長  井川 克一君        外務省国際連合        局長       西堀 正弘君        大蔵大臣官房審        議官       高木 文雄君        大蔵省主計局長  鳩山威一郎君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部省初等中等        教育局長     宮地  茂君        文部省大学学術        局長       村山 松雄君        文部省管理局長  岩間英太郎君        文化庁次長    安達 健二君        厚生省公衆衛生        局長       村中 俊明君        厚生省環境衛生        局長       金光 克己君        厚生省薬務局長  加藤 威二君        厚生省社会局長  伊部 英男君        厚生省児童家庭        局長       坂元貞一郎君        農林大臣官房長  亀長 友義君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        運輸大臣官房審        議官       内村 信行君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        建設省計画局長  川島  博君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  大津留 温君        自治省行政局選        挙部長      皆川 迪夫君        自治省財政局長  長野 士郎君       ——————        会計検査院長   山崎  高君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十五年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十五年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開きます。  昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算昭和四十五年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を行ないます。岡三郎君。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 きょうは、大体、総理施政演説中の、民主主義擁護の問題と教育問題について重点を置いて質疑をしようと思います。  まず、この質疑に先立って、先般衆議院で問題になりました国連大学建設の問題についてお伺いしたいと思うのですが、山中議員質問に対して、総理文相並びに外相等から、その趣旨等については十分わかったし、これに対して政府としても対処していきたいというふうな御回答があったと思うのです。特に、私、質問にあたって、総理施政演説をずっと通読をさしていただきましたが、非常に格調が高くて、七〇年代に対処する日本国政府としての方針が、いわゆる軍事大国ということになるのではなくて、率先して世界の平和あるいは世界国々の援助というふうなことについて強く述べられておるわけですが、こういうふうな観点に立って考えてみまして、時間がありませんので、具体的にお伺いしますが、どのような方法で具体的にいま検討せられておるのか。この点について、まず外務大臣文相から聞いて、総理にあと伺いたいと思います。
  4. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 国連国際大学の問題につきましては、御承知のような経緯でございまして、第二十四回国連総会の報告の際に事務総長がこの問題に触れて、将来国際的に教授あるいは学生、広い視野で教育研修をすることが望ましいという趣旨で、これからその構想を取りまとめようとしたいということが提案され、そしてこれが総会でも取り上げられたわけでございますが、具体的な構想、あるいはその規模内容等については、国連当局においても、ユネスコ等と十分に相談をしてこれから想を練るという段階でございますから、国際大学それ自身のほうの計画者のほうも、まだ具体的な案というものがつくられるまでには至っておりません。しかし、その提案の中には、寛容と自由の精神をもって立つような国に協力を求めるということが趣旨になっておる関係もありますから、わが国のような環境にあり、また、わが国のような基本的な政治姿勢をとっている国がおそらくは各国から見ても一つの有力な候補者になり得るであろうという考え方のもとに、ぜひ日本誘致したいという考え方で、よりより政府部内におきましても検討を始めたわけでございます。ただ、いま申しましたように、その国際大学なるものは、一つの国のある場所に総合的な大学機構をつくるのがいいか、あるいは各国に分散してつくったほうがいいのかというような基本的なところも、まだ、さだかでない関係もございますので、日本側といたしましてもそれらの動向を見きわめながら、まあ、できるならば指導的な立場に立って、というとおこがましいかもしれませんけれども日本的な考え方を取りまとめながらこうした動きに対処していくようにいたしたい、かように考えているわけでございまして、ただいまの段階では、具体的な内容等について日本の案というものをまだ御披露するまでの検討は進められておりません。鋭意努力をいたしたいと考えておる段階でございます。
  5. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ただいま外務大臣からお話がございましたわけでございますが、昨年ユネスコ総会がございました際に、私のところの伊藤ユネスコ国内委員会事務総長発言をいたしまして、ことしは国際教育の年であると、したがって、ユネスコにおいても国際的なレベルの大学について研究調査をする必要があるのではないかというような発言をいたしました。これに対しましてユネスコ当局もこれを評価をいたしまして、間もなくウ・タント総長国連大学構想というものを述べ、そうして国際連合におきまして満場一致をもって国際大学構想について検討をするということになったと承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、なお、国連大学構想性格目的、あるいはその組織等々につきましては具体案がきまっておりませんが、私どもといたしましては、これに対して、日本としてどういうような国連大学がよろしいかということについて、国内委員会におきまして検討をいたしておる段階でございまして、われわれもこの国連大学構想につきましては深い関心を示し、慎重ではございますけれども、積極的にこれの内部に入って、そうしてわれわれの望む国連大学に一役をつとめたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  6. 岡三郎

    岡三郎君 私がお願いしたいことは、誘致可能性があるというふうな問題よりも、積極的に国連大学意義を十分生かして、日本誘致する方策というものを立てて、国連からいろいろと構想、あるいは性格なり組織なり、そういうふうな内容的なものが出てくる段階を待たずに、日本の国として国連大学をつくる場合にはかくかくの方法がいいのではないかというふうに、具体的に建策する中において、国民運動的にこれを建設していきたいというふうに考えておるわけです。この点について総理の見解をお願いします。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えする前に、たいへん私の事情できょうのこの委員会開会がおくれたことをまずおわびを申し上げます。岡君に御迷惑をかけたことをお許しを得たいと思います。  ただいま外務大臣文部大臣からそれぞれお答えをいたしましたので、いま言われておる国連大学なるものの考え方というものがまだ固まっておらない、そういう事情であることはおわかりだと思います。そこで、岡君からは、積極的に固まらないこの時期こそ、もっと積極的に日本考え方を提示すべきそのときではないか、こういう御指摘がございました。私は、これは基本的なわが国態度にさかのぼってものごとを考えてみますると、私どもはあらゆる国とも仲よくする、いわゆる自由を守り、平和に徹する、そういう国柄であると同時に、国連中心に諸国との友好関係を進めていくという、そういう新しい国のあり方でございます。しかも、武力を持たない、戦争によって国際紛争を解決するというような方法はとらないと、こういうことを言っておる国柄であります。しこうして、各国繁栄を心から願っておるその立場において、ただいまの、これからの国際教育というか、国際大学というか、そういうもののあり方に非常な関心を持っておる。もうこれからは多元的な方向各国の平和と繁栄に寄与すべきだ、かように私ども考えておりますから、幸いにしていままでも国連中心で動いてきたその観点から、国連大学構想を打ち出された際に、こういうことに協力をすることはたいへん意義のあることだと、実はかように思っておるわけであります。いろいろ国連大学については各国とも関心を持っております。したがって、いわゆる総合的な常置的な大学というよりも、あるいはこれは各国それぞれがその時期に応じて開催するというような国連大学のほうが望ましいかもわかりません。しかし、こういうことはもっと提案者であるウ・タントさんのその意見も十分聞き取る必要があるのではないかと、かように思っております。幸いにして近く万博にそのウ・タントさんがその方向でいらっしゃる、こういう機会もあるのでございますので、私は、ウ・タントさんと会った際に、そういう点を十分確かめながら、私どもの積極的な態度を示すことによって、こういうものが実りあるようなそういう状況に持っていきたいと思います。  伺えば、同時に、国会におきましても、列国議会同盟のその際に社会党の秋山君からもこういう問題について提案されると、かように伺っておりますが、私はたいへんけっこうなことだと思いますので、これは官民心を合わして、ぜひとも誘致する、それでその実現を期する、こういうことが望ましいんではないだろうか、かように思っておりますので、一言つけ加えさしていただきます。
  8. 岡三郎

    岡三郎君 いまの総理の説明で大体了解できるわけですが、四月にウ・タントさんが来る、その節に総理のほうから積極的に国連大学の点についていろいろとお話をするということで、日本意思というものを伝えたいということでございまするが、私は、全体としていろいろな構想があると思うんです。ただ問題は、最近における世界各国の学生運動なり、あるいは青少年の不良化問題等、これはわが国だけではなくして、世界共通の部面が非常に多いと思うんです。これは、一方においては科学技術というものを振興させる、これに対して、最近言われている人間としての育成とか心の持ち方とか、こういうふうな問題については、これは保守あるいは革新ということばにとらわれずに、非常に強く言われていることだと思うんです。そういうふうな面から考えてみて、特に経済繁栄日本現状から見て、ともすれば、経済興隆が非常な過当競争の中で行なわれ、エコノミック・アニマルというようないわゆる誤解というものが非常に生まれてきている。その中において国連精神というものを生かすということは、人類的にいっても、世界の平和の段階においても、いま非常に大きな問題をかかえている際でありますから、これに一役買って、ただ時期的なものとしてこれをとらえるんではなくして、恒久的な世界平和に対する一つの大きな礎石をつくるんだという気持ちであるならば、政府の音頭だけではなくして、国民的な規模においてこの国連大学建設という問題を考えてみたらどうかというふうに考えるわけです。  そういうふうな点について、これは内閣に対する質問になるかどうかわかりませんが、できるならば、国民意思表示として、この国会衆参両院において、やはり国連大学誘致という問題について積極的な姿勢というものを国民自体の中からつくり出していきたいというふうに考えているわけなんです。したがって、その建設の方途というものも、外務省なり、あるいはいま文部省が言われた国内委員会等でやられるということもけっこうですが、やはり国連大学誘致という国民的な規模における組織といいますか、そういうものをぜひお考えいただきたいと思うんです。これは、一国の内閣がやるということも重要ですが、国民的に国連というものを理解し、そうして国連大学というものについて意義を見出して、国民総力をあげて協力すると、こういう組織をぜひつくっていきたいというふうに考えておるわけですが、これに対する総理考え方をお願いしたい。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの構想考え方としては、私もしごく賛成でございます。ただ、問題は、いま国連大学そのもの構想なるものが実は非常にあいまいもことして、つかみにくい状態なんで、かような際に、いち早く、と申しますか、先走ってもいかがかと、かように思いますので、その時期は、一番適当なその際を選ぶべきではないだろうか、かように思います。せっかく岡君の御提案でございますが、——私は、国民的規模においてそういう全体が一致して国連大学誘致、そういうことに進むべきではないかという岡君の御指摘は、まさしく私同感であります。ただ、それがはたしてただいま申し上げるような時期に来ているか、また、各国考え方もございますから、そこらは、もうちょっと打診し、実態をつかんだ上でしかるべきではないだろうか。いいことに違いないんです。ただ、いいからやろうというだけでもいかぬように思いますし、せっかく決議をする以上、十分の成果があがるような、そういうことでなければならない、かように私考えておりますので、もうしばらく、ちょっとその問題は検討さしていただきたい。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 いろいろと、総理の脳裏、あるいは文部省当局外務省においても、いまの国際情勢の中においての国連大学性格あり方、いろいろとこれ、むずかしい点があると思うんです。しかし、端的に言って、国連が、二大強国の中において、これが拒否権等問題等において、その存在が非常に疑われている、こういう際において、国連大学自体というものが、それこそイデオロギーを抜いた、ほんとう意味における学術なりあるいは世界の人類の友好関係、こういうものを通してやるということを考えていく場合に、やはり、せっかくつくったものがイデオロギーの闘争の場になるようなことでは困るし、そうして、これについてはアメリカもソビエトも、世界各国が、そういうふうな世界友好親善、平和を、ほんとうにこういうふうな大学で人材をつくるんだという意味意義をやっぱり明確にしなきゃいかぬと私は思うんです。そういう面で、いろいろと性格等についての検討があることは当然だと思います。  ただ、外相に聞きたいんだが、国連当局として、二十五周年を迎えて、外務大臣、いよいよ総理のほうに招待状が正式に来た。これに対しては、後継総裁問題等があるかどうか知りませんが、総理もはっきりしない。しかし、せっかく向こうが総理に対して招請しているということになるならば、こういう機会を利用する、ということはことばが過ぎると思いますが、こういう絶好の機会ですから、ウ・タントさんとの話し合いと同時に、そういうふうな問題については、ひとつ、それまでには国連自体構想というものもある程度出てまいりまするので、日本国政府としてはやはりそういう問題については積極的に国連の場に出て、日本趣旨というものを十分徹底させるというふうなことが非常に平和外交としては重要ではないかと思うんですが、この点についてはどうですか。
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず、国連大学の問題で申しますと、私の心組みとしては、こう考えておるのであります。おそらく、ユネスコとの関係もございますけれども、七月に経済社会理事会があるわけですけれども国連の事務的な考え方から言えば、そういうところがまず一つ中心になるのではないか。したがいまして、できるならば、その前に日本として、先ほど来申し上げておりますように、ウ・タント事務総長の来日などもございますし、いろいろ国連側考え方ども打診をしながら、大体この七月ごろまでにおおよその日本側としての本件についての態度、あるいは概略の考え方というものをまとめて、この委員会等においても十分日本の主張ができ得るように心がまえをつくり上げていくのがいかがであろうかと、こういうふうに考えております。  それから、国連の二十五周年記念総会の問題は、先般当委員会でも申し上げましたように、いわゆる運営委員会、二十五カ国かで構成されておりますが、この結論的な、具体的なものは、まだ正式にきまっていないようでございます。したがって、どういう形で各国元首またはこれに準ずる人たち招請をするのかどうか、そういう手続などもまだきまっておりませんから、日本政府に対しましても、この記念総会をどういう形でどういうふうに運営していくかということについての詳細な内容を盛りました招請というものはまだ来ておりません。各国に同様であると考えておりますが、大体十月の十九日から二十四日ごろを中心にして、できれば各国元首またはこれに準ずる人たちにそこで演説をしてもらいたいということを国連事務総局では考えているようでございます。ところが、御案内のように、毎年九月の第二火曜日から、総会一般演説、討論が行なわれることになっておりますので、それとの調整をどうするか。で、そこで大体有力な国々は、九月の総会ももちろん政府代表出席して演説をする。同時に、十月下旬に行なわれるであろうところの元首あるいは総理大臣出席を前提にしての、もう一度そこでさらに一段と高い次元で、演説各国の意向を表明することにしてはどうか、その両者の関係をどうするかということについて、各国それぞれいま考え中というのが現状のようでございまして、ある国々は、その双方ともに自国の態度を表明するということにして、一応の準備だけはしておこうかというような程度でございます。日本といたしましては、そういう点もございますので、なお十分に検討した上で最終的に態度をきめればいいのではなかろうか。しかし、いずれにいたしましても、九月の一般総会については、もちろん、これは日本代表が出まして、日本態度を表明するということは当然のことと考えて、このほうは、もう態度をきめておる次第でございます。
  12. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 国連大学構想につきまして、国民的なコンセンサスを得て進めていくというお考えに対しては、私は賛成でございます。したがいまして、その必要性目的、それから任務、組織機構、経費、それから教育研究内容、そういう点につきまして、もうすでに検討を始めておるわけでございまして、国連への具体的の提出につきましては、七月の、いま外務大臣お話しになりました経済社会理事会に間に合うように、五月ごろまでにはまとめたい、かように考えておる次第でございます。で、わが国といたしましては、東西文化の接点にございますし、そういうユニークな伝統を持っておりますし、ユネスコ国際的な文化センターの設立につきましても検討してまいった次第でございまして、その調査費も今度の予算にも計上いたしておるということでございますので、ひとつ、そういう前向きの姿勢でこれに対処したいと考えております。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 誤解はないだろうと思いますが、私のさっきの発言、これは別に国会の諸運動を制限するという意味じゃございませんから、議運その他それぞれ各党で意見を交換されることについては、もちろん異議を持つものではございません。また、政府自身を御鞭撻賜わりますなら、これまた一そう連携を緊密にしたいと、かような趣旨でございますから、その点つけ加えさしていただいて、誤解のないように願いたいと思います。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 いま、政府の、文相外相、それぞれ慎重に、しかも精神的には積極的にこれを推進する、具体的な構想というものも十分練りつつ、また、国連のそういうふうな内容等も分明次第積極的にこういう問題に対して対処していこうということがわかりましたので、この点はひとつ、総理以下、金がかかることですから、大蔵大臣も、ひとつはっきり了解しておいてもらわなきゃいかぬ。大蔵大臣、大蔵大臣も、一九七〇年代の問題、これは心の問題だということを、あなた積極的にずいぶん言われておる。ただ、あなたのは、言うけれども、金を出すときには非常に小さくなる。これは大蔵省の性格もあるから、よくわかるわけですが、しかし、いいことには積極的に使う、特に諸外国に対して経済援助をするというばかりでなくして、こういう面については積極的にやっていくという姿勢がほしいんですが、この点どうですか。
  15. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私も、七〇年代は教育の年代である、そういう認識を持っております。私も、予算の執行、編成にあたりましては、非常にけちけちをしておりますが、しかし、それは、必要なところに十分出し得るようにという配意からであります。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 それは、趣旨は大蔵大臣も賛成でしょうね。
  17. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) たいへんけっこうなことだと思っております。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 それでは、時間がありませんので、この問題は一応政府の熱意を了として、次に移ります。  非常に質問内容が広範にわたっておりまするので時間切れのおそれがありまするから、具体的な内容のあるものから先にやらしてもらいたいと思います。  その第一の問題は、外国における日本人青少年の教育、日本人学校の問題ですね。この問題については、イデオロギーを抜きにして、先般マレーに行った皇太子殿下が日本人学校を訪問したところについて私は敬意を表します。それはどういうことかというと、あまりにも日本の外遊は非常に多い。非常に多いけれども日本人子弟の教育、日本人の学校というものが比較的見られておらない。それで、戦後ずっとわれわれも在外公館等を通じて日本人学校を見学さしてもらってきておりますが、非常に、中身がまるで任意学校みたいな形になっておるのではないか。こういうふうな点について、先般列国議会同盟があって、ニューデリーにおける日本人学校を見せていただきましたが、そのときにも在外公館につとめておられる人たちがひとしく心配しているのは、この日本人学校の問題について、国としていろいろと外交上の問題があっても、実質的にこれが心配のないような方向でやってもらいたいということについては強く要望されてきておるわけです。こういう点について外務大臣文部大臣のほうで一こういう問題について、先般はタイの日本人学校の校長さんですか、不始末を起こして日本本国へ逃げ帰ったとかいう話があって、これは一つの例ですが、まことに嘆かわしいと思うのです。そういう点でひとつこの点については、この際しっかりとした国の方針のもとに心配のないような運営というものをしてほしいと思うのですが、外務大臣とそれから文部大臣の御回答を願いたい。
  19. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはまことにごもっともな御質疑であり御意見でございまして、外務省といたしましてもこの対策には非常に苦心を払っておるつもりでございます。  御承知のことと思いますけれども、念のため現状を簡単に申し上げますと、要するに在外日本人の子弟に対して国内に準じた教育を行ないたい、そういう趣旨で在外日本人学校をつくりましたものが現在で二十一校ございます。そして、この教員の関係などにつきましては、文部省にお願いいたしまして推薦をいただいた文部教官あるいは大学の新しい卒業生等を教員として委嘱して、必要な経費を政府負担によって派遣をするということにいたしておるわけでございます。ところで、昭和四十五年度におきましてはこれを二十四校にふやしまして、派遣教員の総数も百三名にいたす予定でございます。そしてなお四十五年度からは、国内に身分を現に持っていない大学の新卒業生というようなものの派遣は取りやめることにいたしまして、文部教官のほかは、各都道府県の協力をいただいて、広く公立学校の教員の現職の人たちの中から適格者を選考して派遣することにしたい。なお同時に、こうした派遣教員については、国内の身分を保有したまま赴任してもらうようにいたしてまいりたいと思っております。それから在勤中の待遇等につきましても、在勤手当の単価を増したり、配偶者の手当を支給いたしましたり、相当の改善措置を行なう予定にいたしております。こうして徐々にではございますけれども、まず教職員にしっかりした人を派遣する。そして教育の内容を充実するということに努力を傾けてまいりたいと思っております。なお、在外の学校のことでございますから、それぞれ国情によりまして事情が異なりますけれども、これらの諸国の理解と協力を求めることがやはり前提でございます。そういう点についても遺憾なく各国の理解と協力を求めるように今後とも引き続き鋭意努力をいたしたいと思っております。
  20. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ただいま外務大臣から大かたのことをお話しいただきましたわけでございますが、私から補足して申し上げたいと思います。  現在、在外日本人の子女は約六千名というふうに推定されておるわけでございますが、在外期間中にやはり日本国民としての教育を充実するということが必要でございますとともに、また帰国後におきましてわが国の学校教育の中に円滑に溶け込む、そして適応した教育が受けられるようにすることが必要であるというふうに考えておるわけでございます。日本語教室がいま二十四カ所くらいできておるわけでございますが、やはり一週間に数時間日本の国語、あるいは社会等の補習教育を受けておるわけでございます。しかし、何と申しましても、やはりこの先生にりっぱな先生を得るということが大事でございますし、そのことによって教育内容の充実ということが期待できるわけでございます。  ところが、いま御指摘になりましたようないろいろの問題も惹起していることは事実でございます。したがいまして、本年度からは大学の新卒者はやめまして、そしてやはり教職の経験を持った三年以上の文部教官、あるいは教職員を身分を持ったまま向こうへ派遣をするということにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。ただいま四十五年度派遣教員は、文部教官が十六名、それから公立学校教員が四十四名、大学新卒者が四十三名ということになっておりますが、大学新卒者はなるべくやめまして、三年くらいの経験のある方を出すという方向にいたしまして、教育の内容を充実させたい、また、現地におけるいろいろの人たちとの摩擦のないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 いまの答弁で大体の大筋はかなり改善されるというふうに承っております。ただ問題は、いままで戦後二十五年間このまま放置してきたということ自体私わからないのです。というのは、いま言われたように、新卒で全然国内に身分とかそういうものがなくて、現地との自由契約みたいな形で、しかも、特定の学校が基盤になっているというふうな形で、閉鎖された中において希望者をつのってくるという形ですから、現地に行って日本人の子弟を教えて帰ってくるというと、身分が全然ないから二年、三年おくれてまた就職試験を受けてやる。そうするというと、その間における給与というものの差が出てくるし、もうそういうものは年金にもすべて全部ひっかかってくる。それだから篤志家の篤志を仰いでいままでやってきている。いかに経済が重要だといったって、人間の面についてあまり手おくれが多過ぎたんではないか。だから外務省が細々とまあ一生懸命にやられておっても、限界があったということはよくわかるのですが、文部省のほうとして、ひとつこの点については積極的にしっかりした人を、いまの人もしっかりしている人が多いと思うのです。特にいまの人は希望というより、そういうふうな面に応じて行っている人ですから、こういう人たちに対してもいままで基本にさかのぼって、在外に勤務した人に対してはそういう差別というものがないようにするかどうか、その点を聞きたいのです。これはむずかしい問題ですけれども。これからだけじゃなく。
  22. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 従来、確かに御指摘のとおりの点があったと思います。これはもう率直に反省をすべきだと考えておるわけでございまして、これからひとつ十分検討いたしまして、そういうことのないようにいたしたいというふうに思います。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 坂田さん率直にそうあやまられるというと、ちょっとこっちはほこ先が鈍るのですが、実際言って、初中局の中にもこれのめんどうを見る機関というものが出てないのですよ。これからますます在外公館なり一般の日本人が海外に出かけていく。しかもその人たちがいろいろな経済的な行為なり、いろいろな外交的な行為をしていく場合について、やっぱり自分の子弟の教育というものが一体どうなるのか、心配でしょうがないから、じゃ、国に残してくる。奥さんと主人は向こうへ行ってしまう。特に女子の教育という問題と男子の教育の問題について、まだまだ日本においては男子の教育については非常に親が神経質になっておりますから、そういうふうな片手落ちの中では、とてもじゃないけれども、まともな教育ができぬということで、非常に心配をしておるのですよ。いまの点、坂田さん答えてないんだが、慎重検討じゃないけれども、部局をつくるのか、何もこれは一局削減とかなんとかということじゃなくて、そういうきちっとしたものを文部省に置いて、外務省と連絡をとって、その待遇とかそういうものについても、十分考え、いままで犠牲的奉仕をしてきた人々に対しては、一体これをどうするのか、その点もう一ぺんはっきり言ってくださいよ。
  24. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 前に行っておられた方方に対してどうするかということは、いま直ちにここでこうするというお答えはなかなかできないと思います。しかしながら、御趣旨はよくわかっておるわけでございますから、やはり喜んで向こうに行き、また喜んで帰れる、そうしてその待遇等についてもちゃんとつながっていくというようなことが望ましいことはもうわかるわけでございますから、この辺をどういうふうにしてつなげるかということについて、私は前向きに検討いたしたい、こういう意味で、お答えをいたしたわけでございます。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 どうも前向きということばは私あまり気にくわないのだけれども、実質的にそういうふうになるようにやってくれると了解して、これはやめますが、ひとつこの点については外務大臣外務大臣も自分の多くの在外公館の人々を中心にしてやっているのに、いままでどうしておったのか、私わからないのですよ。文部省がわからずやなのか、外務省がこういうものについてはへっぴり腰だったのか。二十五年間このまま放置して、希望者をつのって向こうへ行って、そうしてその人々が気にくわなくなったらさっさと帰ってきてしまう、こういうことで在外——外地にいる子供らは義務教育を受ける権利があるのですよ。教育権があるのですよ。教育を受ける権利があるのですよ。これを放置しておいたということ、これは責任がかなり私はあると思うのですよ。しかし、これ以上は言いませんが、いまの文相のそういう返答を十分に期待して、これはやめます。次の質問に移ります、時間がありませんから。  もう一つは、過疎の問題がおとといから論じられてきておりますが、過密の問題です。過密の問題で、特に義務教育の学校の施設が過密地域においては非常にめちゃめちゃになってきている。これは一応私の地元の横浜のあれですから、どういうふうになっているか、この写真で、総理はもう見ていられると思うのですが、ね。大蔵大臣、きょうはこれは文部省はよくわかっていると思いますから、この中身を見ておいてもらいたいと思うのです。結局五十年までに、横浜の例をとってみるというと、小学校の学童が大体十万人増加する。中学校が大体三万五千人増加する。それで昭和五十年までに大体百二十校近い学校を建築しなければ子供たちを収容できない、義務教育として責任が果たせないということになっているわけです。そういうふうな実態の中で、ことしの予算の中においては昨年よりも一歩前進しております。しかし、根本的にいっていま中小都市のいわゆる市長さん方やあるいは全国の過密都市の教育長さん方が強く要望しているのは、こういう過密地域に対しては特別法をつくってもらいたい。これは山中長官いるかな。——あなたは過疎地帯になかなか熱心だけれども、過密については寡聞にして聞かないのだがね。これは両方とも同じ犠牲ですよ。過疎の人について十分やられることについては私は敬意を表する、しかし、過密に対して、日本の人口がどういうふうに移動しているのか。あなたは長官に命じて人口の流れを捕捉しているといいますが、いまの東海メガロポリスとかいろいろ言われておりますがね、日本の今後の人口の流れというものについて、どういうふうにこれに対処していくのか、的確に判断するのか。少なくともいま言ったように、向こう六カ年間の学童の増加についてもそういう趨勢なんです。これは東京は八王子にしても町田にしても、埼玉県の草加にしてもあるいは昨日言われた加瀬さんの市川のほうについても、大体年間一〇%程度学童がふえているわけです。ですから一万ふえるというと一校つくらにゃならぬ、二万ふえるというと二校、そうして中学校が一校という形で、いまの市町村の財政ではとてもこれはやり切れない。したがって、プレハブになっているあるいは特別教室を解消している、そういうふうな形の中で建築費をもう少し国庫の助成をふやしてもらいたい、それから土地の購入については非常にもう難儀をしている、こういう問題については一体どうしてくれるのか、こういうことについて昨日は自治大臣からもいろいろと、土地基金の問題とかいろいろなことを言われておりますが、そういう点についてはとてもじゃないけれども急場の間に合わない。そういうことでこれは文部省に聞くのですが、文部省としては、この過密対策、特に義務教育の学校施設、これは自治体にまかしておっていいのかどうか、従前と同じように。この際抜本的に、国としてこういうものについては見て見ぬふりをしている段階ではないということで、積極的に文部省のほうとしては大蔵大臣にぶつかったのかどうか。この点大蔵大臣にもその心境を聞きたいのです。それは文部大臣から……。
  26. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 過密地域におきます社会増、そしてまたそれに伴う小中の義務教育諸学校の建築、これがなかなかたいへんであるということは承知をいたしております。特にプレハブ等が増加をしてきておる。また、それでなければ義務教育がやっていけないということで、全国の一四%ぐらいが、まあ神奈川あたりではプレハブだということでございます。われわれもいろいろ検討いたしてまいったわけでございますが、いろいろ、たとえば比率アップの問題も実は最後まで大蔵省と詰めました。しかしながら、ことしの最終結末といたしましては、むしろ事業量の拡大ということで折衝を終わったということでございます。その結果しかし小学校につきましては昨年度に比しまして約四二%ぐらいの増、それから中学校につきましては一八%増というような事業量を確保いたしたわけでございまして、またこの運用等につきましては、特に社会増の激しい点につきまして柔軟な、ひとつ幅のある運用をいたしたい、かように考えておるわけでございます。しかし、またいまお話のございましたように、土地の問題がなかなかこれはたいへんでございます。昨年度の予算折衝におきまして、整地費というものを三億五千万大蔵省と折衝しましてきめていただいたわけでございますが、これを四億にいたしましたものの、これではどうにもならない。まあ土地に対して何か補助金というようなことも考えましたけれども、今日の段階ではそこまで至りませんで、結局、起債にたよらざるを得ない。しかし、まあ起債につきましては、昨年度の五十億から八十億ということ、しかもその償還の年限を現行の十年から二十年及び二十五年まで延ばすということには成功したということでございます。しかし、それらのことをやりましても、なかなか直ちにこの社会増地域のプレハブその他をすぐさま解消するということはなかなか困難かと思いまするので、将来はやはりこの土地の問題その他につきまして利子補給その他のことを考えなければならないというふうに思っておる次第でございます。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 いま利子補給と言われたが、私のほうとしては大胆、この人口がいつまでふえ続けていくのか、これがわからないんですよね。しかし、文部省が過密の学校の問題について、そのうち楽になるだろう、まるで「植木等」の、「そのうち何とかなるだろう」みたいなことを言っているんですよ、振興課長が。私はけしからぬと思うんですよ。ではいつ人口の波がとまるのか、これは自治大臣だけじゃだめだな、山中総理府長官、人口の情勢がどうなるか、ひとつ該博なる意見を述べてもらいたい。文部省だというと、そのうち人口増がとまるようなことを言っている。
  28. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) たいへんむずかしい問題でございますが、私が足鹿委員に立案者の立場で答弁をいたしました過疎地域対策特別措置法というものの前提は、十年間で人口移動がほぼ定着するであろう、逆に過疎地域における人口流出もそのために一応終わって、そして過疎地域というものは日本から見失われがちな美しい自然、あるいはきれいな空気、水、そういうものが見直されて、逆に人口というものは、あるいはレジャー人口的な一時の人口、もしくは定着して、帰って自分たちの郷里にもう一ぺん住み直そうという流出人口の逆流、そのようなことが考えられてよろしいではないか、おそらくそういうふうになるであろう、そうなるためにこの法律をつくろうという趣旨を持っておるわけであります。  さてしかし、人口の移動というものは、過疎現象ということばからいうと、人口の年率一%台の移動流出では、これは近代工業国家へ変貌しつつある諸外国の例をとってみても、大体一%前後の移動はあるようでありますから、異常と思われる現象はやはり年率二%をこえたものでなければならないだろう。現に一番過疎で騒いで増加しろといっているのは年率三%をこえたような町村であるということ等から、おおむねの腰だめ的なものに一応基準をつくったわけでございますが、諸外国の食糧供給人口等を概観いたしますと、大体多くて一二%、少なくて一〇%程度であったように思いますが、日本の場合はまだ一八から一九、大体全食糧供給の人口をひっくるめますと二〇%前後のものがまだ人口比率として存在をしております。そうすると、日本の非常に高度な経済成長、先ほどお話のありました太平洋ベルト地帯にメガロポリスを構成しながら発展した近代工業国家へのささえは、農山漁村のそのような貴重な労働力の流出によるささえ、いわゆる労働力の供給というもののおかげに負うところがたいへん大きかったのだと私判断をいたしますが、そのような現象は、余地といたしましては、諸外国と比べてまだ相当なパーセンテージの産業労働力供給の余力が日本の国土全体としては秘められておる、こう考えておりますが、しかし、これは推測でありまして、いつごろには移動がとまるであろうかということは、日本の国の産業構造なり、人口構造の分野がどのような形に定着するであろうかということの前提がはっきりいたしませんと断定できませんので、先ほど申し上げましたとおり、一応の推測は十年くらいでそのような急激な動きというものは正常な流動以外には流出的なものはとまっていくだろうと判断をしておるわけであります。
  29. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。いま岡さんの御指摘になりましたような問題の解決を、起債によるというような文部大臣の御答弁でございますが、あと数年たちますと、償還額を起債を仰いで償還をしなければ間に合わないという状況が、大都市を除きまして、小都市では非常な問題になっておるわけでございます。起債はするけれども、償還に充てるということでは起債の効能がなくなってしまいます。こういう現状を御存じかどうか。そこで、どうしても次の問題としては、先行投資をして土地の先取りをしておかなければならない。しかしながら、これは縁故債その他があるにはあるとしても、これには限度があります。どうしても先行投資のための財源というものを国でめんどうを見てもらわなければやりくりがつかないという状態になっておるわけでございます。そこで文部省もいろいろと御努力のようでございますが、その用地を獲得するために補助金のかさ上げを大蔵省と交渉なさっておったようでございますが、御報告にもございますように、これは実を結ばないようでございますが、用地費を補助対象に入れるということと、建築費に対するこの急増地域に対しては補助率を引き上げるということがなければ、これはもう市町村ではどうにもやりくりのつかない状態でございます。こういう点ももう少し大蔵省との折衝、大蔵省の認識、そういう点についてお答えをいただきたい。お願いをいたします。
  30. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 先ほどお答えを申し上げましたとおりでございまして、この補助率アップということは、やはり非常に大事なことであると考えております。また、私はその点、ことしは大蔵省と折衝の段階でまとまりませんでしたけれども、その考え方は捨てておりません。今後とも努力いたしたいというふうに思います。しかし、また有効な方法として、むしろ起債につきまして、利子補給等のことを考えることも私は必要かと考えて、この両面作戦でいきたいというふうに思っておるわけでございます。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 大蔵大臣、さっきのあれに答弁してください。
  32. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 社会増地帯の学校問題、これは私ども大蔵省としても非常に気を使っておるわけでございまして、特に岡さん御指摘の用地費の問題です。これにつきましては起債をする、その起債の償還をことしからは——いままでは十年だったのを二十五年に延ばすという措置を講じ、かつ、その用地費に対しましては国庫補助を行なおうということもいたす、さらに起債でありまするから、いずれ二十五年に延びましても、これは償還をしなければならない、償還をする場合におきましてはその大半を地方交付税によってその元利をまかなう。つまり基準財政需要に元利償還金を入れる、こういうふうにいたすわけでありまして、仕組みといたしましては、かなり整備されたものを持っておるわけであります。なお、起債によって交付税の算定基準に元利償還金を入れるというふうにいたしまして、その差額も出るわけであります。そういうものに対しましては、社会増特別配分を行なうというようなことにいたすわけでありまして、大体この問題が財政的には解決の方向に向かっておる、そういうふうに見ております。ただ問題は、地方財政全体の問題でありまして、学校だけの問題ではないのです。それは道路もつくらなければならぬ、上水道、下水道いろいろな問題がある。それに対処して、社会増地帯の町村、この財政をどうするか、こういう問題があるわけでありますが、それに対しましては昨日も私の感想を述べたのでありまするけれども、どうも県と市町村とのこういう社会変化の多い地域におきましては、財源対策のアンバランス、そういうものがあるのじゃないか、そういう方向に大きく目を転ずる必要があるのじゃないか、そんなことも考えている次第でございます。
  33. 足鹿覺

    足鹿覺君 関連をして一つだけ伺っておきますが、山中さんが中心になられて立案をされましたのは、前回の国会で成立を見るに至りませんでした。そこで一昨日私もこの問題で触れたのでありますが、現在の指定基準によりますと七百七十六しか指定されないことになるわけです。山中さんのお話によりますと、本年の国勢調査等によって、何らかのこの基準の問題については措置を講じたい、こういう御意思を先日もお述べになりましたが、たとえば山村振興法の場合における旧合併前の行政区域を区域として、林野率を八〇%とはじいた先例もございます。そういったような点で、与野党間においてよく話し合って、この全国三千以上もある市町村の中でわずか七百七十六をもってしては、まことに趣旨達成に不十分だという声は、これは与野党の中に一致してあると思うのであります。ただ問題は大蔵省が問題でありまして、この点について何らかの緩和措置、あるいは国勢調査後における適用地区の拡大、その基準率の是正、こういったことについて、十分理解あるお考えをこの際明らかにしていただくことが必要ではないかと思いますので、大蔵大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  34. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 過疎地帯に対しましては、私は理解を持つこと人後に落ちない、こういう自信を持っておるのです。私は山村振興連盟の会長——大蔵大臣になったのでやめておりますが、会長をずっとしておりましたので、御指摘の点等につきましても、十分配意しながら今後善処したい、かように考えております。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 総理にお伺いしたいのですが、いま過密地域の学校の状況、これは場所によれば飯場学校といわれて、こま切れ財政投資ですから、四教室くらいつくっては、手を伸ばしておいて、そのあとでまた六教室をつくるという形で、子供はもう一年から上がって五年間くらい、まるで工事現場で、遊ぶに遊べないという現象が多々起きているわけです。しかも、これは埼玉、横浜でもだんだんだんだん二部授業になっているので、二部授業にしてはいけないというのでプレハブでやる。ところが、プレハブには一銭の補助金もついていない。結局、金のないところが、焼け石に水のような金を使わなければならぬような現象になってきている。これは自治体の罪ではない。これは佐藤総理の罪であるかどうかは別として、こういうふうに高度工業国家でいばっていられるけれども、こういうふうなアンバランスについて、よく総理は調和、調和と言われている。日本国土全体の調和ある発展を念願するならば、先般大蔵大臣も言ったけれども、地方の産業振興策というものをつくって、調和ある日本国全体の発展というものをどう考えていられるか、これは総理に聞きたいと思うのです。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今度は全国総合開発計画というものをもって、全国的にバランスのとれた方向で、ただいま言われるような問題と取り組む考えでございますが、ただいままでのところで弊害の生じておるのは、国あるいは公営等の住宅団地の場合は比較的問題が少ないのではないだろうか。どうも民間の住宅団地の場合に、しばしばそういう問題が起こりやすい。私は、住宅をつくる以上、上下水道の整備はもちろんのこと、学校、保育園、そういう関連施設をも含めて、初めて住宅計画は進めらるべきなんだ。どうも家さえつくればいいと、こういうことをやっているから、ただいまのような問題が次々と起きるのだ。さかのぼって、やはり抜本策を立てる必要があるのだと、こういうことをしばしば指摘しておるのであります。  私は、民間の住宅も必要でありますし、また、民間の住宅が——あるいは建設費が高くなるかわかりませんけれども、やはり必要な道路は一応民間住宅でも取っております。さらに、それがただ単に道路だけでなしに、その通路がもっと拡大され、そうして近代的住宅になるように、上下水道の施設も、これはやはり直接そのまま計画者が負担しないまでも、何らかの計画があってしかるべきじゃないか。ことに、ただいま仰せになるように、家だげはどんどんできるが、子供の収容のことは全然別途に考えるのだと、しかもその間に連絡がないと、こういうようなことでは、とんでもない状態だと私は思います。もともと住宅団地を建設する場合には、それぞれの自治体が許可するのでございますから、そういう際に、ただいま言われるような必要なる社会的施設、そういうものに十分目を通して住宅団地が許可さるべきではないだろうか、かように思います。私はそこらにやはり基本的な問題があるだろう。これからの指導におきましても、そういう意味の指導を必要とするのではないだろうかと、かように考えておる次第であります。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 この問題は、時間がありませんので、一般質問のほうにまた譲りますが、とにかく、いまは学校建設費の国庫補助を二分の一、三分の一を三分の二にしてもらいたい。いつまででも恒久的にしてくれと言っているのじゃないのです。臨時的に、とにかくふえ続けている、いまのピークのところをどうするのかということについてやってもらわないというと、この禍根がずっと先へ延びていってしまう、そういうことなんです。  それから用地費の点についても、先ほど大蔵大臣は、用地の国庫補助をやったと言いますがね。これは基準財政需要額の中でいろいろ見ているとかなんとか言っておりますが、四十四年度の分については、地方債の元利償還相当金額として、標準団体で一小学校が三十九万六千円、中学校が三十三万円、これを単位費用の中に算入しているということを言っておりますが、ことしはどうなったのですか、この点。とにかく四十四年度までは用地費の取得については何らの措置がとられていないのです。これをどうしてくれるのですかということなんです。これは自治大臣と文部大臣、それから大蔵大臣にあとで答えてもらいたい。
  38. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お話しのように、四十四年度は学校関係の起債につきまして元利償還、その六〇%、これを財政需要として見ているわけであります。そう聞いております。四十五年度は……。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 用地費は見ていないですよ。
  40. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いや、用地費見ております。用地費につきましては、その整地部分に対して新たに国庫補助を始め、その他の部分は起債をもってする。また、そのほか、起債の元利償還に対して交付税の基準需要としてこれを算入すると、こういう方式ですが、おそらく自治大臣からお答えがあろうと思いますが、四十五年度につきましては、まだそれを六〇%にするかどうか、それは検討中のことかと存じます。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 自治大臣と文部大臣、われわれの調査では四十四年は見ていないんですよ、全然。
  42. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 四十五年度の交付税の点については、四十五年度はいま検討中でございます。
  43. 岡三郎

    岡三郎君 四十四年度は。
  44. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 四十四年度は六〇%を見ておると、そういうふうに聞いております。
  45. 岡三郎

    岡三郎君 文部大臣、見ていないんですよ。用地費は見ているんですか。
  46. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 四十三年度は四十二億、四十四年度百一億見ているわけでございます。
  47. 岡三郎

    岡三郎君 用地取得費については見ておられるんですか。これは学校の建設分には見ているんですが、用地費にはついていないんですよ。大蔵大臣、困るよ。それは建設分ですよ、学校の。自治大臣、おかしいよ、そんなことは。学校の建設分には見ているけれども、出ていないんじゃないですか、どうかね、これは。
  48. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ちょっと私が事務当局からの聞き取りに少し不正確な点がありますが、最近用地費に対する起債を始めたんです。
  49. 岡三郎

    岡三郎君 起債でしょう。国庫補助をしていると言ったんじゃないですか、もうさっき。速記録を見てください。
  50. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) したがって、その元利償還はまだ起こらない。起こらないが、学校建築につきましては六割分を基準財政需要に見込んでおる。したがって、用地費につきましても当然そういうことになるだろうと、これは将来の問題になります。
  51. 岡三郎

    岡三郎君 そんなばかな。
  52. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それから補助のことでございますが、これは新たにその学校の用地費につきましては、その整地部分に対する国庫補助を創設することにいたしたのであります。これは先ほど申し上げたとおりでございます。
  53. 岡三郎

    岡三郎君 自治大臣、先ほどの答弁は間違いだよ。文部大臣、全然問題にならないじゃないか。
  54. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 四十四年度は用地費について交付税の中で多少の積み増しをしておると、その金額は事務的に私まだつまびらかにいたしておりませんが、多少の積み増しをしておる。四十五年度については、さらに検討中であるという状況でございます。
  55. 岡三郎

    岡三郎君 委員長、これで時間をとるのはもったいないから、ああいう答弁をしたんじゃ時間ばかりとるから、これはひとつとめておいてもらいたい、時間を。  大蔵大臣が初めに答弁したのは、用地費に対しては国庫補助をしておる、あとで起債だと言う。いいんですか。これは私が言ったように、建築費の中で、すでに建築された部面については、いわゆる小学校については三十九万六千円ですよ、元利償還金相当として、基準財政需要額の中に単位費用として見ているんです。ところが、用地取得については何らの措置がされていないんですよ。これをしているしていると言うから、錯覚を起こして、やっているようなことを言う。私が調べてきたからいいけれども、うっかりしておれば、あなたの言うとおり、大蔵大臣だから信用して帰ってしまうわけですよ。これはだから、あなたは過疎ばかり言って、過疎をやることは大切ですからけっこうですが、過密のほうにももうちょっと真剣になってもらいたいと思うのだ。答えてください。
  56. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は先ほど来から申し上げておるんですが、用地費につきましては、最近これに起債を充当する、こういう制度を認める。それから、本年から用地の整地費部分に対しまして国庫補助を行なう、こういう方式を創設する、こういうふうに申し上げておるのであります。そのとおりなんであります。
  57. 岡三郎

    岡三郎君 その用地の整地費ですね、こんなものはすべて焼け石に水で、ことし四億五千万ですか、昨年三億で、ことし一億五千万ふえた。これで肩がわりのような答弁にはなりませんよ。こんなスズメの涙というか、ノミの涙か知らないけれども、こんなもので過密対策をやっているとは思えないよ。文部大臣、これに対してどう答えてくれるのかね。大体いま言っているように、一生懸命に用地の取得費に対しては見ている見ていると自治大臣は言っているが、文部大臣はどうなんだ。
  58. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 補助金としては、いまの整地費は、昨年度三億、ことし四億五千万いただいたわけであります。
  59. 岡三郎

    岡三郎君 それだけ。
  60. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) それだけでございます。そこで、これはやはり一つの試みとして、これの芽をふやしていきたいというのが文部大臣としての考えであったわけでございますが、今日は四億五千万円になったわけであります。しかしながら、いまおっしゃいますように、地方財政措置の中におきまして、四十四年度から織り込まれておるという……。
  61. 岡三郎

    岡三郎君 それは建設費でしょう。
  62. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いや、建設費だけでなくて、用地費も考えておると、こういうことでございます。
  63. 岡三郎

    岡三郎君 考えておるだけで、幾ら出しているか。
  64. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私の書類によりますと、一応百一億ということになって、まだこれは査定中ということになっておりますけれども
  65. 岡三郎

    岡三郎君 査定中……。
  66. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ええ。
  67. 岡三郎

    岡三郎君 予算が出ておって何が査定中なの。どういうことなのかわからぬ。
  68. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 自治省と話し合いをいたしておるということだと思います。自治省と文部省とで話し合いをしておると思います。ちょっとそこのところは事務当局からはっきりお答え申し上げます。
  69. 岡三郎

    岡三郎君 委員長、ちょっと休憩してもらいたいと思うのだな。何かさっぱりわからないのだ、両方で言っておることが。休憩して、もっと統一見解だか、はっきりしてもらいたいと思うのだ。用地費は出していないでしょう。
  70. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 四十四年度交付税で、基準財政需要額の中で用地に対する積み増しを百一億円やっておると、いま数字的な事務的な報告がございましたので、お伝えいたします。何%ということはちょっと計算はないが、百一億円、交付税で、急増地帯の学校の義務教育の用地について、そういう数字が出ております。(「不交付団体はもらえないのだ」と呼ぶ者あり)
  71. 岡三郎

    岡三郎君 まあいずれにしても、その数字が出てくるのにかなり時間が経過してようやっと飛び出してきた。しかし、百一億というものを、いま文部大臣が言うように、自治省と一体どうするのかという問題について打ち合わせ中と言っておりまするが、これは、いま加瀬さんも言っておるように、不交付団体には関係ないですよ。不交付団体についても、過密地帯のこの学校増という問題について、児童増というものはこれはどうしようもない。そういうふうな点で、これは総理大臣にはっきりと、これは要望ということよりか、強い要求ですがね。私はとにかく、いま累増する学童の処置について、義務教育なるがゆえに、道路とか下水をおいても、これは学校だけはつくらなければいかぬですよ、憲法に基づいて。ほかのものもやらなければいかぬけれども、どんなことがあっても、子供についてだけは、義務教育だけについては、これを実行しなければいかぬ。それが教育の機会均等とおよそかけ離れて、飯場小屋みたいなところへ子供を入れていかなければならぬ。まあそういうふうな窮迫した状態の中で、国を守る気概を持てなんと言ったって、ちゃんちゃらおかしいのだ、これは。そういう点で、やはりこの義務教育の問題だけはきちっとしてもらいたい。この点について、総理大臣、だから、いまもう間に合わないから、横浜あたりでは、学校建設公社をつくって、二十校分つくって、あとで自治体でぼつぼつそれを買っていくという構想がある。私は、ここまでくるならば、文部大臣に尋ねる時間が惜しいので、もったいないのだけれども、全必要事業量がどのくらいあるのか、どのくらい学校を建てなければならぬのか、年度計画で、これが文部省に私はできていないんじゃないかと思うのですよ。過密地域における緊急措置をしなければならぬ、学校の建築。だから私は、できるならば、部局をふやすということよりも臨時措置として全国の学校建設公団というものをつくって、むだな投資をやめて、つまりこま切れ建設なんですね、学校というものは全部。だから、そういうふうなむだをやめて、積極的に必要なる学校数だけはどんどんとここで五年なら五年の間につくって、そうしてそれについて自治体に償還を命ずる。自治体に償還能力がなければ、税金の配分の問題ですね。大蔵大臣、その他抜本的に考えて、義務教育に対して最小限度支障がないように、こういう措置というものを願いたいんです。いまの状態では財政がないから、みんなもう切れ切れのこま切れ建築ですよ、もう全部。だから、こういうむだがずいぶんあって、一つの学校をつくるのに三年、四年かかって、ひどいのは五年かかっている。だから、こういう面からいっても、一つの大きなそういうものを総合的に遂行する団体があるならば、経費の二割や三割はたちどころに私は安くあがってくるんじゃないか、子供のほうも非常に恵まれてくる、こう思うんですが、総理大臣どうですか。これは真剣に考えてください。
  72. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 真剣に考えますが、いまの学校建設公団の話ですね、私は学校建設公団という構想は初めていま聞いたのです。私は、先ほど申し上げるように、本来住宅建設をする場合に——一戸ずつの場合は別ですよ、しかし、相当多数を収容するいわゆる住宅建設を進める際には、当然付帯施設というものを考えて、それで自治体においてもその建設を許可すべきではないか、かように思っております。私は、どんどん住宅建設が進んでおる際にただいまのような点がどういうように取り運ばれているか、こういうことをいろいろ注意してみますると、まず一応宅地は造成する、同時に、その間の通路といいますか、その道路は整備される、そこまでは一応の付帯義務として負わしておるようですが、上下水道になるともうその次、まして学校、保育園等になりますと次の段階に考えられておる。こういうことが一緒になって考えられないことには、これは十分の建設ということにならないんじゃないのか。住宅を提供したということにはならないのじゃないのか。ことに、最近は公害等が非常に叫ばれておりますし、大きな問題になっておる。学校も、そこに住んでいて遠方まで出かけるという、これも一つの公害だと思いますが、同時に、浄化装置が不完全で、そういうものが近所の川にどんどん流れていく。そういうものがそのままほうってある。一応浄化装置で片づけたとはいいながらも、いまの汚濁はずいぶんひどい状況だと思います。子供がああいう近所の小川で魚取りや何かしておれば、これはたいへんな問題だと、かように思っております。いまの学校の施設も、そういう意味で、私は建設者にある程度の負担を負わしてもしかるべきじゃないかと、かように実は考えております。少なくとも土地はそういうところで余分に計画されてしかるべきだと、住まいだけを契約するということでなしに、もっと計画的に住宅建設を進めるという、そういう問題に取り組めば、ただいま言われるような問題は、その費用の負担はともかくとして、一応解決されるのではないだろうか。これが解決されれば、当然費用の負担をどういうように取り運ぶか、こういう問題になると思います。ただいま国あるいは公共団体の公団等は、それらの点を合わして考えておるはずであります。私が視察した団地などはそういう意味でたいへん恵まれた環境にある。そういう意味では、在来からその部落に住んでおる人たちは上水の利用もできない、井戸水だと、下水も十分に利用されない、そういうことで、在来から住んでいた住民は団地の人たちとは格段の相違がある。しかし、いま言われるような学校問題にまで団地の人たちのために在来の人たちが非常な迷惑をこうむると、こういうことがあってはならないと思います。だから、住宅建設をするというそのことは、住む家だけをつくるとかいうだけの簡単なものでないということを十分われわれも認識して、そうして政治を遂行していくと、そうすれば、起こることが予想されるような事態も回避できるのじゃないだろうか。私は、漸次そういう方向に進むものだ、進むべきものだと思います。幸いにして自治体自身が無許可で、許可なしにどんどん家を自由に建てるという状況ではないはずですから、そういう際に十分チェックして、ただいまのような社会施設の整備もあわせて考えていくと、こういうことに考え方を切りかえれば、いまのような問題はよほど改善されるだろう、かように思います。
  73. 岡三郎

    岡三郎君 いまの総理の答弁からいって、結局、大規模宅地開発事業については、当該事業主体に対して学校用地の無償提供の義務ですか、こういうものを負わせるような法制化をしてもらいたいという声もあるのです。つまり、弱小都市においては、なかなかそういうふうな点が非常にむずかしい。だから、そういう点については、ひとつ文部大臣、それから自治大臣、十分検討してもらいたいと思うのです。それから大蔵大臣には、とにかくいま言ったような現状ですから、用地費の問題については一歩前進したということを言っておられますが、われわれから見るというとまことに些少である。したがって、ここを私は、いまの大体自治体が計画しているのは六カ年を通じて五カ年でこれを何とかする。というのはいまの文部省の建築の認定は、その年の予算が通って五月の一日にどういう学校の補助をするかということをきめてかかるのですから、一年間がズレているのですね、いまの文部省の学校建築の計画は。これは文部大臣わかりますね。したがって、わかっていながら単年度にこれが全部原則としてやられておりますから、結局、プレハブとかそういうものに行かざるを得ない。だから、そういうふうな点について、ひとつ十分これは文部大臣最後の決意として、大蔵大臣が何と言おうと、過密地区における過密教育の施設の急速なる充足、これについてひとつ決意を持ってやれるかどうか答弁してください。
  74. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 義務教育は、過密地域におきましてもやはり欠かすことのできないものでございますから、これは大いに努力をいたしたいと考えております。それから、ただいまお述べになりました公社案でございますけれども、たとえば横浜で四十五年度から学校建設のための公社を設立して、そうして民間資金を導入して校舎整備をはかる、それを市が買収をしていくという方式をとっておるように聞いておりますが、この買収費につきましても、住宅公団等の場合と同様に、国庫補助の対象とする考えでございます。それからまた、この場合の補助裏財源措置につきましては、交付税措置あるいは地方債措置についても、今後自治省と調整をはかって、学校建設に支障のないように配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  75. 岡三郎

    岡三郎君 この問題また一般質問で伺いますから。  次に、根本問題について伺います。総理が施政方針の中で、内政の第一の柱として民主主義の擁護、これを唱えております。これについて具体的に行政の能率化、それから裁判の迅速化、国会運営の正常化、こういう声が国民の中から高まってきている、こういうふうに言われておりますが、もちろん、この点については私は異議ございません。こういう面について、立法、司法、行政、それぞれの立場でやられるということについて十分これは意義あることだと思いまするが、私は民主主義というものに対して国民が抱いている疑惑というものが幾つかあると思う。これは政府のほうの側として、こういうふうな機能を十分に発揮していきたいということはわかりますが、その第一は選挙の公正さという問題。民主主義というもの、それから議会制民主主義というものをとにかく確立していくその根底は、やはり何といっても選挙の公正さにあると思うのです。その選挙の公正さについて、先般、暮れの総選挙においていろいろと各新聞の時事漫画として、「一億当選、七千万落選」のような漫画がたびたび出た。これは総理も見てると思うんですが、こういう点について総理、どういうふうに感じられたですか。
  76. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお尋ねは非常に限られた選挙だけでございますが、まあ立法、司法、それについて私がただ国民の声を紹介しただけで、私は干渉するつもりはございません。それから立法、司法も同じように民主主義、それをひとつやっぱりやっていただきたいと。ことに私ども一番いま気になるのは暴力行為、右も左も暴力行為、この暴力をなくするということが民主主義を育成するためにも絶対に必要なことだと思います。国会におきまして言論の自由が叫ばれておる。それもやはり民主主義擁護立場だと思います。しかし、どうもこの点がまだまだ、国会自身の言論がやはり圧力が加わるというような現状でございますから、言論の自由を唱えながらやっぱり言論の自由がまだないという、これは、国会自身においての発言自身が圧迫を受けるというようなことがあってはならないと思います。まあそういうことも考えて、これはよけいなことですが、お尋ねがなかったのですけれども、私はこの民主主義がいかに大事かという意味で申し上げたわけであります。  ところで、この民主主義、その基盤をなすものはやはり選挙だと思います。国民意思代表する、それは選挙を通じてだと。その際に、ただいま仰せのように、御指摘になったように棄権が非常に多いと。これは私、まことに残念に思っております。国民すべてが民主主義を要望し、心から願いながらも、なお十分活用の機会というか、自分らの権利を活用すべきその機会を見のがしてる、こういうことはまことに残念のように思います。ただ私、前回の選挙はその時期が年末でもあったということで、私は国民側にもいろいろいわれが、理由があるだろうと思います、棄権の理由が。私ども、それらの点については政府自身もまたよく考えて、国民の棄権のないような、自由に自分たちの意思を濶達に発表し得るような、その時期が必要だろうと思いますので、時期の選び方が前回は間違っていたんじゃないだろうかと。これはまあ私自身は私なりに、あれ以外に方法がなかったと、かように考えておりますから、一応割り切ってはおりますが、今後の問題といたしましてそういうことは十分に考うべきだと、かように思います。ただ、この年末の多忙さ、このことはわかりますが、同時に、どうもリクリエーションその他に、選挙権を放棄しながらそちらには出かけたと、こういうようなものも見受けられるのでありまして、こういう点は国民ともどもに反省すべきではないだろうかと、かように私は思います。したがって、十分に民主主義が生かされるような、そういう状態において選挙が公正に行なわれるべきだと、これはもう基本的な問題であります。  そこで、あるいは重ねてのお尋ねかと思いますが、ただいまの人口の移動等の状況もございますから、いまの棄権ばかりではない、同じ一票の値打ちとは言えないような状況だと。これはまあ今度人口の調査もございますから、そういう点でそれらを参考にいたしまし三選挙制度調査会でも十分考えていただきたいとかように思っております。
  77. 岡三郎

    岡三郎君 結局私は、暮れの特徴的なものは、今回の選挙においては非常に金がかかってきて、もう一億という金が漫画に出てくるという現象は、国民に非常に選挙そのものに対して嫌悪感を持たせるというふうにも考えられる。漫画的に非常な選挙費用がかかるということの象徴が、一般の人にこれが映っていく。いま言ったように少なくとも民主主義の土台である選挙の公正さ、これは党のエゴイズムというものを抜いて、これはやっぱり国民が納得する方向でこれをきちっきちっと整備しておかないというと、私は肝心なときに政府が民主主義の重要性を唱えても、そのことば政府に返ってくるのではないかということを思うのです。そういうふうな点については、やはり選挙自体を国民ほんとうに納得せしめるような方策というものを、これはふだんから政府自体も考えておいてもらわなければいかぬと思います。ただ、選挙制度審議会そのものが政治資金規正法について勧告した。総理が骨一本抜かぬといって、全部これがたな上げになってしまった。これについて総理はいまどう考えているわけですか。これは、私がやろうと思っても、自民党がそれをいうことを聞かないのだと、それでできないのだと、こういうことなんですか、その点はどうなんですか。
  78. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 前回の選挙で一億かかったと、こういうような表現がされておりますが、一億なら当選、七千万なら落選だと、かようなことがいわれておりますけれども、さように金を使ったものはおそらくどこにもないだろうと思います。もしもあれば、それは現実に選挙違反がはっきりしたものである。が、そういうような状態は非常な誇大表現だと実は思っております。しかしながら、とにかく金が相当かかっておると、こういうことは、その選挙直接費用とは別に、何やかやの名目で金が使われておるそのことを私も否定するものではない。根本的にはこれはやっぱり個人本位の選挙である。これはやっぱりもっとくふうされれば、選挙制度そのものがくふうされればこれは変わってくるのじゃないだろうか。政党本位——本位とまでは申しませんが、政党を加味することによって、選挙費用の出し方、支出のしかたは変わってくるのじゃないだろうか、かように思います。とにかく欠点の多い問題でありますし、これはこのままでいいとは思いません。そこでいわゆる政治資金規正法なるものが選挙制度審議会からも意見が述べられ、私も取り上げ、そして私も総裁としてそれは出した、しかしその中身についてはいろいろな議論がございまして、これが過去出したものはとにかく成立しておらないのです。今回ももちろん私は出したいと思いましたが、過去の苦い経験から、さらに私どもが十分検討して成案を得ていく、しかる上で提案すべきじゃないだろうか。もともと選挙資金の問題は、それだけを切り離して出したところにも問題があろうと思います。私は、やっぱり全部これが小選挙区と関連しているとか、さように申すわけではございませんが、ただいま申すように、個人本位の選挙からやや政党をも考えた選挙制度に移行したそういう際に、やはり一緒に政治資金規正法、これも出すべきじゃないだろうか、そういう意味で、私の考え方にも変化があるのであります。この変化が正しいかどうかはいずれ御批判をいただくことになると思いますけれども、とにかく私は、在来のような考え方で、政治資金だけを押えてこれを提案いたしましてもなかなか成立しない。野党よりも、実は与党の中にもずいぶん批判の意見があるのでありまして、総裁といたしましてそれらを十分反省しながら、いまのかかっておる金の状態をもっと金がかからないようにしなければ選挙は公正が保てないし、また、すべての人が選挙に加わるという、もっと熱意のある選挙をなかなか執行できないんじゃないか、かように思ってただいま反省中であり、ただいま考慮中でございますので、今回は出さないということを一早く実は明言したような次第でございます。
  79. 岡三郎

    岡三郎君 私は、選挙制度そのものの全般にかかわりありといっても、やっぱりいいことは一つずつやらなければこれは私はならぬと思うんです。だからいま総理が言ったように、率直に、これはもう与党の内部にそういう問題があるということで、これは総理のリーダーシップの問題になると思うんですが、それは自民党のほうとして小選挙区制がどうかこうか、それはいろいろと検討があると思うんです。前にもそういう提案がなされたことがあるわけです、岸内閣のときにね。だからそういうふうな点については、それは中選挙区制がいいか大選挙区制がいいか、あるいは比例代表制がいいかいろいろと考え方があると思うんです。しかし、少なくともいまの現実的に国民が願っていることは、あまりにも金がかかり過ぎてきたなくよごれ過ぎているんじゃないか、まあこういう観点だから、私はやはり若い層が非常に昨年棄権している、こういう点についてもあわせて十分考えてほしいと思う。  時間がありませんから次に進みますが、次に、順法精神について説いておりますね。これについて私は一番問題点は、憲法と自衛力との関係だと思うんです。国民が非常に疑問に思っている。一体歴代の自民党内閣は防衛ということと自衛ということから考えて、憲法の第九条と全体を貫く精神から考えて、一体自衛力の限界はどうなんだと、これは羽生さんからも言われましたが、私は防衛に関する調査特別委員会を社会党が国会に設けるべきである、そういうふうなことを言っております。時間がありませんので端的に申し上げますが、長官が五原則を言われた。これはあくまでも私的な問題ですね、長官。いまこれは政府の方針としては出てない。総理のほうから言うと、総理の施政方針の中には、「国力国情に応じて」、それから世界の情勢の中にゆだねられてとかいろんなことばがありますね。これは非常に抽象的で非常に疑問、疑惑に答えてないと思うんです。ですから防衛力と憲法の問題については、もうちょっと具体的に明確にすべき国民に対する義務が私はあるんではないか。これは二次防、三次防、四次防と漸次これが拡大されてきている。一体これはどこまでいくのか。一体これは第九条があってもなくてもおんなじじゃないか、こういう問題がここにあると思うんです。ですから結局、総理が言っている施政方針の中で一番あいまいもことして国民が納得できないのは、これは自衛力の問題ですよ。しかもこの自衛力については、一番さきに必要だと、こう言っている。この点についてもう一ぺん総理に自衛力の限界というものを聞きたい。
  80. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私どもはいまの平和憲法、この平和憲法自身が自衛力を否定しているものではないと、また自衛力、これはちゃんと肯定していると、したがって、その範囲においてわれわれが平素から備えることも、これは当然のものだと思っております。ただいま限界は一体どうだと、こういうことでありますが、この限界が幾らが限界だと、かように申すことはなかなか困難でございます。私はしかし、いまの陸上自衛隊、これは大体限界にきているんじゃないだろうか、また海上や航空自衛隊、この点はまだまだ不足している、かように私、考えております。いろいろGNPとの。パーセンテージで適当なものがないのか、こういうことを言う人もございますが、しかし、ここではもうすでに中曽根君と御議論がありましたように、GNPはどんどん伸びていくんですから、おんなじ一%と申しましても金額的には非常にふえていくだろう、かように思いますから、そういうこととは別でございます。また国際情勢も刻々に変わっております。私は、最近はたいへん平和への道を各国ともたどっておる、そういう意味でたいへんわれわれが喜ぶべき状態に置かれておる、かように思っております。しかしながら、国内的な内乱その他の機会が全然ない、かように言えるかというとそうも言えない、やっぱり警察だけでは不十分だ、かように思っておりますので、いまの自衛隊そのものをやっぱり強化していく、これが私どもの基本的な考え方であります。そこでまあ岡君からもっと具体的に言えというお話だろうと思います。私は、さっきお話を聞いていながら、ときどき非常な飛躍があると思います。団地に学校ができない、そのために国を守れというのはそれは無理だと言われた。これはたいへんな、ずいぶん飛躍があるなと、聞きながらいまの自衛隊の問題について答弁に立ったわけであります。私は、おそらく日本国民自身はみずからの力でこの国を守ろう、こういう気持ちは十分にあるだろうと思います。しかしながら、しからば非常ないま核戦力時代だといわれておる、核兵器を持つかというとさようなものは持たない、また外国に対して仮想敵国をも考えているかと言われればそういうものも考えておりませんと。私どもは現実にわが国に対する侵略、侵害があったときに、そのときに初めて立ち上がってこれを守るのだ、こういう気持ちでございます。またそういう考え方でただいまの準備をしておる、これがいわゆる限度といわれればそれが限度であると、かように申してもしかるべきかと思っております。だから持たないほうを申し上げることによって限度がおのずからわかるのではないだろうかと、他国に脅威を与えるような武器は持たないという、これも限度の一つだろうと、かように思います。そういうことで、とにかくまあ民族的な願望というか、自分たちはこの国をどこまでも愛する、愛するがゆえにこの国を守りたい、国土だけではない、われわれの民族の生命、民族の財産を守るのだ、こういうところへ国民すべてが立ち上がってもらいたい、かように思っておりますので、だんだんそういう方向で何事も考えてまいりたい、かように思います。  先ほど来の教育問題等についても、住みいい社会をつくるということも、住みいい社会であるがゆえに一そうそこに愛着を覚えるということにもなりますし、愛着を覚えればやはりわれわれの力をもってその制度を守っていこう、その秩序を破壊されないようにしよう、こういうことにもなろうかと思います。  少し抽象的でありましてお尋ねにお答えしたということにはなかなかならないかわかりません。しかし私は、この機会を通じて国民の皆さん方に訴えたいことは以上申し上げたような事柄でございます。
  81. 岡三郎

    岡三郎君 防衛庁長官にもう一ぺんお願いしたい。それはいま総理が答えられたことについて、わかったようなわからないような、はっきりしないのですね。ここにいま問題点があると思うのです。総理自体も、言いたいけれどもなかなか言い尽くせない。長官として五原則を言われましたが、一体この三次防、四次防を通していって陸上自衛隊の問題は一つの限度にきているといま総理も言われました。あと空、海ですね。こういう問題についてどう考えているか、具体的にひとつ申し述べてもらいたいと思うのです、抽象的ではなくて。
  82. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 総理が申されたとおりでございますが、陸上自衛隊について限度がきているという意味は、定員について限度、当分の間は限度である、そういう意味であると私解釈しております。日本の防衛力の問題を考えますについては、アメリカとの安全保障条約との関係を抜きにしては考えられないと私考えます。それで、このアメリカの安全保障条約との結合状態を見ておりますと、日本はいままでいろいろ敗戦以来の歴史的事情もございまして、日本の防衛というものが不自然な形にあった、そう思います。これを自然体に戻していこう、本来あるべき姿に次第に回復していきたいというのは私の念願でございます。昭和二十七年に独立しましたときは、日本の防衛力はほとんどゼロにひとしい状態で、そこで安全保障条約を締結してほとんどアメリカにおぶさっておったという状態です。そのために裁判権も向こうに取られておるとか、あるいはそのほかいろんな面において日本は弱い劣弱的な地位にあったと思います。その後経済成長が進みまして、国力が次第にふえるに従ってこの自然体に回復しようとする努力が行なわれてきたと思うんです。少なくとも自民党はそういう考えでやってきたと思います。そこで昭和三十五年の安保条約の改定ということが出てまいりまして、これで裁判権を回復するとか、内乱条項を削除するとか、行政協定を地位協定に変えてNATO並みにするとか、あるいは十年の期限を設定して、これを再検討する期間を設けるとか、そういう努力がなされたと思うんです。その後また十年たちまして、日本の国力はまた回復してまいりました。そこでアメリカに依存し過ぎている部分を是正して、日本独自でやれる部分をできるだけ回復していこうと、それが自然体であると。ただしそれは憲法及びいままで制約された範囲内においてできるだけ行なおうと、そういう努力をやって日本の自主性をかなり回復しておきませんと、もし万一非常事態が起きたという場合になりますと、あまりにも依存し過ぎておると、どうしても向こうに引っぱられ過ぎるという危険性もあります。自主性を持っている部面が強ければ強いだけ、日本の自分の意思で貫かれるという要素もございます。そういう面からしまして、憲法の範囲内でまた国民的コンセンサスのいわゆる範囲内においてできるだけ外国に依存する部分を減らしていこうという考えに立って私は防衛問題というものをとらえておるわけでございます。ことしは六月二十三日以降安保は自動継続になりますが、一年の予告でいつでも安保は一方的に廃棄できるという情勢になってきておるわけです、法律的には。そういう情勢を見ましても、やはり自主性を高めて外国に依存する部分をできるだけ減らしていこうということは、国家としても当然すべき努力であると思うんです。しかしそれについては、国民的コンセンサスとか、あるいは憲法の諸条項の規定するところに従うということは非常に重要な要件でありまして、その範囲内においてどの線を座標の交点として求むべきかということを努力しているわけです。そこで数量的にこれを表現することは非常にむずかしいと思うんです。数量的な表現にやや近いのが国力国情に応じてという国力という部面が一つあります。たとえば国力の一番大きな要素は経済力とかGNPということにすぐなります。に応じてということになると、比例してというふうに考えられます。そうするとGNPがおそらく十年後には百四十兆になるとか何とかいっておりますが、それに比例してということになると、かなりの大きな数字になる。それが適当であるかどうかは私は検討を要すると思っているわけです。そこでこの四次防の編成に当たりまして、毎日自分は考えておりますが、いままで自分が考えてきたことや申し上げたことを整理いたしまして、私の四次防に対する心組みとして個人的にあの自主防衛五原則というのを申し上げたのであります。あれにつきましては、いろいろ御批判をいただきまして、直すべき部面があれば十分直したいと思います。要するに国民の皆さんに私の考えをむしろ積極的に開陳いたしまして、いろいろ御批判をしていただきたい。そしてその声を聞いて公のものとして次第に整備していきたい。そういう考え方に立っておるわけでございます。そこで現有勢力とそういう考えとを考量してみまして考えますところでは、陸上においては定員はもうこの程度でよろしい。しかし機動力というものは足りないであろう。それから海上におきましては、これは海上要員を海上訓練のために練習をするという意味における単位の程度のものはできておる。しかし、有効なる防衛力という点にまで至って整備しておりません。そういう意味におきまして、海上は整備していく必要がある。ただし、これは日本近海、日本本土及び近海及び海峡等を防衛するという点に主力を置いていくべきである。そういう点から、いままで日本の海軍が持っておったような太平洋渡洋決戦みたいなああいう思想は一擲しなければならぬ。むしろ小回りのきく非常に性能のいい小艦艇を整備するということも考える必要がある。そういう点について補強する必要があるのではないかと私、考えます。  それから航空につきましては、いろいろナイキとかホークとかという防空体制においても、まだ完全ではございません。それからファントム、そのほかの要撃戦闘機隊の整備につきましても、まだ十分とはいっておりません。そういう部面において防空部面ももう少し増強する必要がある。そういうところを中心にいろいろ考えて推進していきたいと思っておるのでございますが、要は数量的なものよりも、政策の考えの基準が一番大事だと思うのです。これが政治であると思いまして、幾つかの選択がある中で、どれを選択するかという政治の考えの基準というものを国民の皆さまに明確に御理解をいただき、また御批判をいただき、その基準から具体的にどういう政策が出ていくか、それは次の段階でまた皆さんの御批判をいただきたいと思うわけでございます。そういう考えに立ってこれからやってまいりたいと思います。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連質問。関連ですから簡単に質問いたします。詳しくは一般質問あるいは分科会でいたしますが、この自主防衛の限界につきましては五原則を出されて、あとで訂正されましたね。国力国情に応じてということについては、GNPがどんどん大きくなればそれに応じていけば防衛費も膨大になる。だから必要に応じてというふうに訂正されましたね。しかし防衛庁長官もそれから総理大臣もそうですが、日本の自主防衛を考える場合、何か日本政府の考えでほんとうに自主的に防衛ができる、また防衛力を組織できるように説明されております。しかし、それには限界があるのです。MSA協定との関係が全然触れていない。この間、私もちょっと質問いたしましたが、防衛庁長官はMSA協定第八条をお読みになったですね。あの中ではっきりと、日本は防衛義務を負っているわけです。ミリタリー・オブリゲーションがはっきりあるわけです。そうして防衛義務については国力国情に応じてとある。総理大臣や防衛長官がいわれる国力国情に応じてというのは、自主的に日本政府がいうのでなく、MSA協定にはっきり書いてある。それは軍事義務を負っているのです。ミリタリー・オブリゲーションはある、ほんとう日本政府が自主的に防衛を考えるならば、MSA協定は一年の事前通告で廃止できるのです。なぜこれを廃止しないのですか。これがある以上はいかに日本政府がいっても、口先で防衛庁長官は日本の防衛につきましてはだんだんアメリカにごやっかいになっている部分を減らして、自主的にだんだんとごやっかいになっている分を減らす、こう言われました。ところが逆にアメリカのほうはそうじゃないのです。日本に自主防衛をさせたいのです、アメリカは。そうしてMSA協定に援助を与えて日本に防衛費を、防衛をふやして、アメリカの防衛負担を減らそうとしているのですよ。そっちのサイドからも見る必要があるのです。何か日本のサイドばかりから見て、あたかもほんとうに防衛力の限界を自主的に日本政府できめられるように進めていますか、私はそうじゃないと思うのです。自主的にきめられないのです。その場合にはMSA協定によれば、アメリカが軍事援助を受ける場合にはこれに制約があるのです。御存じでしょう、一九四九年の相互防衛援助法、一九五一年のアメリカの相互安全保障法によって、これには厳重な資格制約がある。アメリカの国家的利益とアメリカの安全保障に役立たないような訓練をしているときには軍事援助は取り消されるのですよ。そういう関係も十分に考えながら、私は日本の防衛を考えませんと、何か日本政府が、MSA協定がありながら全然その制約を受けずに自主的に防衛をきめられるような言い方ですから、私はどうも理解がいかないのです。その間について御説明願いたいし、また関連質問ですから、私は何回も質問できませんから、あと納得いかない点は一般質疑なり、あるいは分科会で質問いたしますけれども、そういう点について、ひとつわからぬ点でございますのでお伺いいたします。
  84. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたいわゆる自主防衛五原則の中で、前にいろいろいわれました国力国情云々というところを、必要に応じてとされたということは、誤解なのであります。私が読み上げました文章は、「外交と一体、諸国策と調和を保つ」と、そう申し上げてあるのです。必要に応じてという部分は、それは防衛というものは相対的なものであって、客観情勢に応じて伸縮する、伸びることもあればへっ込むこともあるでしょうと、そういう必要というもので考える基準というものも一つは入っていなければいけないんですと、そういう意味で申し上げたのであります。  それから第二番目に、MSA協定との問題がございますが、私が申し上げました諸国策との調和を保つという意味は、日本の政治経済条件をよく勘案して、そして妥当なところに防衛の線を押えていくと、そういう意味で申し上げた。むしろ国力国情というものをこのまま将来生かしていった場合には、そのほうが弊害が多いのではないかという心配から、むしろブレーキの意味でそういう表現に私自体は心組みとして書いているわけなのです。それで、MSA協定の内容によりましても、なるほど自助ということは一つの条件であります、自分でみずから助けて自分でやっていくということは。しかし、この前読み上げました中にもありましたように、一つは憲法の諸条件、それからその国の政治経済的諸条件に従って云々と書いてありまして、これはある意味におければブレーキでもあります。また、その国の主体性というものはそれで確保されているわけであります。日本の固有の要望、主体性と、アメリカアメリカ側から要望しているその条件を折り合って、そうして妥協してできているのがあのMSA協定で、向こうの言うことを一方的に聞くというのではああいいう協定は結んでありません。現に、あの協定によっていろいろ援助や何かが有償無償で行なわれておりますけれども、この前申し上げましたとおり、ほとんどはもう国産自主開発に移っておりまして、そうして向こうから有償ないし無償援助で来るというのは非常に減っているわけです。四十四年度におきましては九〇%以上はもう日本の国産ないし自主性において行なわれておる。ただし、ライセンスとかそういう精巧なものについては、日本にまだその技術がございませんから、そういうものを取り入れるという程度でできておるのです。そういうふうにして、時間をかしながら、日本の国力の強化につれて自主性を回復していくということは国として当然とるべき態度でありまして、私はこの態度が悪いと思いません。そういう考えに立ってアメリカ協力しつつ、自主性を徐々に回復していくという方向へ今後も行きたいと思っているわけであります。
  85. 岡三郎

    岡三郎君 私は、防衛に関する調査特別委員会をつくって、これは党としての方針ですが、日本を取り巻く軍事情勢は一体どうなっているのか、それに対する戦略判断、こういうものについてはどう考えているのか、あるいは防衛計画の内容なり、日米の防衛分担について一体どうなっているのか——こういう点については、いろいろの答弁を聞いて、あるいは速記録を読んでも、時々刻々変わっております。したがって、こういう問題についてはやはり的確に国民に対して理解を求めるという方向をとらない限り、法を守れという根本の憲法に対して内閣というものがまことにあいまいなる姿勢である、こういうふうに国民がとっておるならば、法の根本に対する軽視というふうな問題で国民がこれをとるということになれば、順法精神の根本に欠けるのではないか、ここに私はその重要性があると思う。したがって、これについては、勇気をもって国民に対して防衛に関するこういう問題についての疑問に答えると、これは憲法には誤っていないんだというふうなことについては明確にしていくために国会に防衛に関する調査特別委員会を設けろと主張しているわけです。私はこの点については時間がありませんので回答を求めませんが、この点についてわれわれはまたあとの一般質問に譲りたいと思います。  次に、これは公安委員長、最近における学生の動向についてひとつお答え願いたいと思う。
  86. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申します。  極左暴力集団は、昨年秋の総理訪米阻止闘争を契機とする一連の街頭闘争や学園での紛争で、きわめて悪質な集団暴力行為を繰り返してきたのでありますが、警察の厳正な取り締まりと、暴力否定のきびしい世論の前に、国民から遊離し、孤立化の傾向を深めております。このため、各派とも当分の間は街頭での武装闘争を避け、七〇年闘争の最高揚期を目ざして組織の立て直し等全力をあげております。特に、三月には、各派が相次いで全国大会を開き、当面の行動方針を討議していますが、さしあたり四月からの新学期には新入生を巻き込んで学園紛争を再現させ、これを足場に再び過激な闘争を盛り上げようとしております。  また、学生自治会が、主導権をめぐって、極左暴力学生相互間または民青系学生との間に対立抗争が激化するものと思われますので、警察としては、引き続き厳重に警戒し、治安の維持に万全を期する所存であります。
  87. 岡三郎

    岡三郎君 文部大臣に、学制改革に対する政府のスケジュール、文部省のスケジュール、こういうものをひとつお聞かせ願いたい。
  88. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) この一月の十二日に中央教育審議会の大学の基本構造試案が発表されまして、ただいま、公聴会等、あるいは各種団体、それから当該の国立大学、あるいは私立大学、公立大学等々の方々との話し合いあるいは御批判を仰いでおるということでございますが、おそらくは四月の末から五月の初めには中間報告が私のところに答申されるというふうに期待をいたしております。  それからなおかつ、今後そういう基本構造のもとに、一体、将来十年間あるいは二十年間にわたって高等教育機関に学ぶ学生数というものはどの程度までやるべきであるかというような長期的な教育計画というもの、それからまた、それに伴いまして、一体、高等教育機関に投ずべきところの財政措置はどれくらいやったらよろしいかというようなことを一年かかりまして検討していただいて、来年の春ごろには最終答申ができるものだと考えるわけでございまして、その後におきまして私どもとしてはまた考えていきたい。しかし、私といたしましては、あくまでもこういう制度の問題、基本的な日本民族の将来を決定する問題でございますから、国民的合意を取りつけつつ、国民の各界各層の御意見を取り入れながらこの政策を固めていく、そういうやり方をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  89. 岡三郎

    岡三郎君 私は総理にお伺いしたいのですが、結局、この大学改革というものが学生運動から非常に盛り上がってきて、暴力は断固排除するとしても、根本問題は依然として全部残っているわけです。こういう問題に対して、早急にやはり政府として具体的な提案をして各界各層の意見を聞くと、こういうふうな方向については非常にいまテンポがのろいんではないかと私は思うのです。何でも中教審中教審といって、政府自体が主体的に大学を通じあるいは六・三・三・四を通じて新しい教育体制をどうするのか、こういう問題については、国民的にこれを期待し注目しているわけです。こういう点について、いま文部文臣のほうからそういう返答があったわけですが、私は具体的にこの問題についての改革は、もう少しテンポを早めて——慎重にやるということはわかっても、もう少しやっぱり全体的な集約を早める必要があるんじゃないか。そうしなければ、公安対策のほうとしても押えるだけで、具体的に向かうところは一体何なんだ。学校自体は、いま学校の中はどうなっているかということですよ。ブランク状態で無風状態だけれども、みんな意思疎通を欠いて全く大学の場になっておらぬ、学校の場になっておらぬということが私は現在じゃないかと思う。こういう点について総理の見解をお聞かせいただきたい。
  90. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま岡君の言われるように、一応いわゆる学校、大学騒動なんというものは、これは鎮静しているかのようでございますけれども、問題は学制、学校制度そのものあるいは教育内容、あるいは教師の、教官の待遇、あり方等々未解決のものばかりでございます。ただいまもっと急げというお話がございますが、実は私自身も非常にあせっておるその一人でございます。この状態で推移すると、まあ時限立法はいたしましたものの、五年はもうすぐたつということでございますので、実は非常に急いでおるわけであります。しかし、事柄の性質上慎重を要することは、これは当然でありますし、この際結論を急いだためにただいまの騒ぎをまた再燃するようなことがあってもならないと、そういうことで今度はもっと十分納得のいくものにしたいという、そういう意味で、まあ教育基本法にさかのぼってわれわれが考えていこう。どうも、さっきから国家意識が少し強過ぎやしないかというようなお尋ねじゃないかと思いますが、そういうような意味にとられると困りますけれども、私は、教育基本法のいう国家社会というか、そこにいうような人物、人格完成、それがやっぱり教育の真のねらいじゃないかと思っております。そういう意味で、その目的に沿うものがこの際考えられなきゃならないと、かように思っております。だから、まあ慎重ではございますが、目的を誤るつもりはございませんし、また、いままできめられたものがそのままでいいと必ずしも私は申すわけではございませんので、必要なる改正は勇気を持って改正すべきだろうと思いますが、しかし、基本的な問題については、私は、これは変わっておらない、いままで選んだ道は間違いないんだと、かように思っておりますので、その方向でりっぱな教育が与えられる、また学ばれる、そういう環境をつくりたい。そうして急いでおる。相当、私自身としての気持ちを率直に申せば、焦燥さえ感じておるというのが現実の私の心境でございます。御理解をいただきたいと思います。
  91. 岡三郎

    岡三郎君 時間がきましたので、一応教育の振興上における教職員の待遇の問題なり、あるいはいま総理が言われた教育基本法を尊重する、しかし、時代に即応してこれをどういうふうに新しくしていくかという問題等について、また中間報告について、特に最近においては産業教育というものが非常に言われてきておる。しかし、総理も大蔵大臣も、そういう教育を実施するという中において、人間の心の問題、つまりものを追求する中においてですね、心のあり方という問題が非常に立ちおくれてきた。これは、私は、戦後の教育の中において非常に科学振興ということが強く叫ばれたが、人文科学系においては詰め込みで、何ぼでもほうり込んで、ただマスプロ的に大量生産していけばいいのだという形の中で、心の問題というか、人文科学的な面が非常に閑却されてきたんではないかということを率直に述べたいと思うのです。これは文部大臣よく聞いておいてもらいたい。そういう点で、これは文部大臣が言っているように、新しい教育体制というものの中において産業教育をやられる、いろいろなことをやられるけれども、これによって、ねらいはいいとしても、実際は差別の教育になっている。そういうふうなことが富山の実験例等からも、かなり民間から、一般父兄から出てきている。つまり頭の悪い子供は実業学校へ行くんだ、頭のいい子供だけが一般の高等学校へ行くんだ、こういう形の選別が実際に行なわれてしまっているんですね。ですから、産業教育に行く者は初めから劣等感を持って行っている。だからその仕事に対して熱情が出てこない。親のほうもこれは困ると、こういう形の教育になってきていると思うのです。私は、そういう点については今後一般質問においてやりますが、そのほか私学の助成等の問題についてもあとに譲ります。  いずれにしても、私自体、やはりいまの情勢の中においては、教育基本法というものを十分生かしていく教育というところに人間の心がまた帰ってきたんじゃないか。そういうふうな面についてひとつ政府の教育に対する所信を今後の問題として、一般質問に譲って本日の質問を終わりますが、どうぞひとつよろしく願いたいと思います。
  92. 堀本宜実

    ○委長員(堀本宜実君) 以上で岡君の質疑は終了いたしました。  午後一時再開することにいたします。  これをもって休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  93. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  鈴木強君の質疑を行ないます。鈴木君。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 私は、きょうは時間の関係上、政治姿勢中心にして二、三の問題について総理にお尋ねをいたしたいと思います。  自由民主党の川島副総裁は、先般沖縄空港での記者会見で、自民党大会を十月に繰り上げて開いても党内に異論はないと思うと、こう語られておりますが、佐藤首相は自民党の総裁でもございますが、この副総裁のお考え方には賛成でございますか。
  95. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、どうもいま総裁の交代時期というのが、任期がございますが、それが前からのいきさつ上、十二月——ちょうど予算編成の忙しい最中のとき、そこをやはり避けたいという気持ちが多分にあります。ことに総裁だけの問題じゃなしに、党三役にもそれはつながっておる、そういう人事でございますから、私のほうのことではございますが、やはり国民の皆さんも、予算編成という大事な問題、それとからみ合って時期がどうも適当でないだろう、まあ私の任期中、これは繰り上げることならばだれも異存はないだろう——これで期限が切れるのでございますから。ただ、その期限を延長することはいろいろ他の方に御迷惑をかける。かようにも心配するものでございますから、自分の任期を短くすることですから、これは差しつかえないのじゃなかろうか。そういう意味で十分検討してくれと、さようなことを申し上げております。川島君の発言はそれを受けての発言だろうと、かように考えております。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 いま国民が非常に知りたいと思っておることは、たとえば天皇陛下が皇太子殿下に地位をいつ譲られるだろうかということも関心があると思うのですが、と同じように、佐藤総理大臣が、今度の自民党大会で四たび総裁として立候補されるかどうかということも、これは非常に大事なことですから、非常に関心を持っておると思うのでございます。佐藤総理としては、その御決心はもうきまっておるでございましょうか。たいへん失礼でございますけれども、この機会国民にかわって、国民の知りたいことを私はかわって聞くわけですから、お漏らしをいただきたいと思います。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、鈴木君ばかりじゃなく、記者会見などいたしますと、いつも聞かれるのでございます。しかし私は、これについては何ともお答えをしておらないというのが、いまの現状でございます。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 何とも言わないということは、おやりになるということも含まれていると思うのでございますね。佐藤総理は、この委員会でも健康のことを考えて国連総会出席もちゅうちょしているのだということも言われているようですが、健康上の問題あるいはその他のいろいろな条件がまだ整理しておらないということで決しかねているわけでして、いまの御答弁ですと、やはりさらに一九七〇年、新しい年へ向かって邁進するという総理の気持ちに変わりない、こういうふうにわれわれは理解をするわけですけれども、少し立ち入った御質問で恐縮ですけれども、もう一度お答えいただけませんでしょうか。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 少しじゃない、たいへん立ち入ったお尋ねでございますが、ただいま申し上げたように、何ら自分の態度について——十月における態度について、ただいま何ら考えておらない。このことを重ねて申し上げまして、御了承を得たいと思います。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 それではその点は、またいろいろ国民はどうするかということで判断はそれぞれなさるでありましょう。私は、その点は非常にやむを得ないと思います。そこで、午前の質問でも、国連ウ・タント事務総長からの二十五周年記念総会総理出席をしていただきたいという要請があったわけですね。それを受けて総理としては当然これは御出席になる、これが私は筋だと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まだ招請状がきている段階でございません。いまあらためて外務大臣のところへも来ているか確かめましたら、招請状が来ている段階でないと、またいずれウ・タントさんがお見えになりますから、そういう際に十分御意見も伺いたい。また、そういう際に私の決心も述べたい、かように思っております。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 ちょうど総理がさっきおっしゃったように、自民党大会との関連で問題があるから、直接佐藤総理出席すべきであるという、そういう私の質問に対してのお答えとしてはわかりますが、少なくとも日本総理として、首相として、この二十五周年の意義ある総会出席すべきであるということは、どなたがどうお変わりになっても当然のことではないでしょうか。私は、そういう意味において、日本の首相としてこの記念総会に出べきである、こういうふうに言っているわけですけれども、その点はよろしゅうございますか。
  103. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの問題は、最初の第一問との関連において、やはりやや誤解を招きやすいのでございます。私は、事柄の性質上出席して、そうしてすぐやめても別に差しつかえないと思いますが、しかしそれに出席する以上、これは続いてやはりやるべきだと、こういう意見も一部にあるということ、それを念頭に置かなければならぬと思っております。私は、いまやめても差しつかえないと申しますのは、自民党総裁として、自民党自身の政権交代、そういう状態ではないから、その点ではやはり継続性のある問題だと、かように考えますが——それは差しつかえないのじゃないかと、かように思っておりますが、誤解を受けるので、ただいまのところまだ明確には申し上げておりません。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、官房長官にちょっとこの点はお尋ねしておきたいのですが、あなたが三月九日の記者会見で、佐藤総理が秋の国連会議に出席することについて、佐藤首相が当時首相であれば当然出なければならないし、もしまた新首相が出席するということになっても、とにかく首相が出席することは大切だと、こうお答えになっているわけです。ですから私は、全然問題を切り離して、日本の首相として当然出席すべきだということを官房長官はおっしゃったのだと思いますけれども、この記者会見の正確なところを聞かしていただきたい。
  105. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私が申し上げましたのは、国連の二十五周年記念総会が開かれる、日本としては国連中心としての平和外交を展開しておるときでありますから、どなたが総理大臣であられようとも、とにかく総理大臣が出られることはたいへん有意義なことじゃないだろうか。有意義であると、私はそう思いますということを申し上げたのであります。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 その点はよくわかりました。  次に、総理大臣は施政方針演説の中で、七〇年は内政の年だと、こうお述べになりました。これはまあ非常に抽象的でございますから、よくわかりませんけれども、とにかく外交的には日韓の正常化あるいは小笠原の返還、そして七二年の沖縄返還、懸案でありましたことについてはほぼ佐藤首相のお手によってやられたと思うんです。これは国民は認めておると思います。そこで今度は内政の問題に全勢力を打ち込んでいくんだと、こういう考え方で言われたと思うんでございます。そこで、ひとつ具体的に七〇年のビジョンないし七〇年代の総理としてのビジョンというものがありましたら、もう少し国民にわかるように、ひとつこの機会に御説明をいただきたいと思います。
  107. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお尋ねがございましたが、私は、とかく外交問題に日を追われるというような状況で今日まで過ごしてきた。まだ北方領土は返っておりません。これとはやはり取り組まなければなりません。しかし、そのこともありますが、さて国内の事情を考えてみますると、経済大国になったといわれながらも、内政上には幾多の問題をかかえております。施政演説でこれを項目別に説きまして、そして国民の理解を得たと、かように考えておりますので、そういう方向でこの内政の整備をしていく、これに真剣に取り組もうというのでございます。これは私がいま具体的に申し上げるまでもなく、経済成長がはなはだしい、いわゆる公害問題が起こりますように、内政上全般におきましても不均衡、ふつり合いのものが出てくるようであります。したがいまして、私どもが民主主義国家として自由のうちに一日生活を楽しめるような生活環境をつくらなければならない。ここらに本来の主眼を置いてものごとを考えていくというのでございます。したがって、私が施政方針演説で述べましたまず第一は、何と申しましても民主主義国家としてりっぱな——もうすでに民主主義国家がなりつつありますけれども、まだまだ暴力ざたが至るところにある、順法精神というものがまだ欠けておるとか、こういうような点をやはり是正していくという、そういうところから説き起こして、やはり経済偏重になっている——いわゆる心の豊かさを取り戻す、そういうような諸政策を進めていくということを具体的に施政方針演説では述べたわけであります。ただいま重ねては申し上げませんが、どうかそういう意味で御理解をいただきたいと思います。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 国民は第三次佐藤内閣が組閣され、発足されて、見方によっては今度の内閣は官僚的な色彩が非常に強くなったという論評もございます。私は、まあこの委員会で閣僚の皆さま方の一挙手一投足についてたいへん関心を持って見ておるわけであります。まあ型にはまったように、同じようなことで言っておる人と、それから新しいセンスの中に入っていこうというような方とあるように思うのです。非常に私は自分の意見をどんどんと閣僚の皆さまが言うということはけっこうだと思います。そういう中で、総理中心にして新しいスタートをされたのですけれども、問題は、たとえば先ほど岡委員からもお話がありましたような政治資金規正の強化の問題を一つとりましても、これは選挙制度審議会から答申があり、あれだけ強い注文がついておるにかかわらず、これができていないという問題があります。あるいはまた、行政監理委員会から行政改革をやれと、こう強く言われておっても、それがなかなかなし得ない、しかも逆行しておるようなこともある。あるいは物価問題も今日たいへんな問題と私は思います。明日また私はもっと具体的に伺いますが、これも物価安定推進会議、あるいは物価政策会議等から幾つかの提言がなされておるにかかわらず、具体的にこれが制度の中に取り入れられていないじゃありませんか。これは一つの例でございますが、そういった問題に対して、ほんとうに体当たりでやるという決意を言われているのではないでございましょうか。
  109. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまあげられたような二、三の点、これが内政の措置としてわれわれが取り組まなければならない問題だと思います。私が申し上げるまでもなく、それぞれが出身がいわゆる官僚であった、こういうことで、その事実は私も否定はいたしません。鈴木君御自身も組合の御出身といわれるか、あるいは官僚の出身といわれるか、とにかく役所であったことは事実です。役所でおまんまを食べたから官僚だという、これならば、これは同じだろうと思います。しかし、私は高級官僚というものに一つの型ができておる、こういうものはやはり選挙を通じてろ過されておる、かように思っております。ただいま官吏時代のような考え方で選挙に打って出ましても、これは当選するものではございません。少なくとも選挙を通じて国民代表するその立場においては、もう官僚臭はないのだ、まあしかし三つ子の魂百までと申しますから、どこかにそういうにおいがする、こういってそれを絶えず直そうという反省は必要だと思います。その官僚論は別といたしまして、ただいま言われるたとえば最も官僚としてよくないという点はセクショナリズムであると、かように思います。最近の行政で大事なことは、ただいま一省だけで片づけ得るような問題はきわめてまれであります。多くの場合に、やはり各省にまたがって総合的な政策を樹立する、その用が身近にあるわけであります。そういうことを考えますと、それがやはり総合的に処理されるように、幾ら官僚出身でありましても、やはり訓練されざるを得ないというのが現状であります。政治資金規正法の問題が私はうまくできなかった過去の苦い経験など考えてみると、やはりこれは選挙そのものについて私どもがもっと深い認識を持たないと、ある一部だけを押えて、これで選挙は正しくなる、かような結論を出したらこれは間違いである、なかなか了承してくれない。いいことは一部であっても進めるべきじゃないかという御議論ももちろんありますけれども、しかし、やはり総体的な問題として取り組んでいくことが必要じゃないだろうか、かように思っております。したがって、ただいま、ことしこの国会に政治資金規正法は出しておりませんけれども、しかし問題を、もう手をつけないという状況でほうっておるわけではありません。積極的にさらにさらに掘り下げていかなければならない、かように思っております。これらの事柄がいま要求されておる問題であります。たとえば行政管理庁で機構改革等を指摘しております。これは自由な立場でございますから、なかなか思い切った案ができております。内政の年という以上、勇気をもって、勇断をもってこれと取り組めと、かように御鞭撻される気持ちもわからないではございません。しかし問題をやはり処理する、解決していく、建設的な方向に持っていく、それには、やはりおのずからそれぞれの方法、手段があるわけであります。その時期もあります。そういう意味で私が真剣に取り組む。いままで残された問題があまりにも多い、こういうことがございますので、いま立法、司法、行政それぞれがそれぞれの分野においてこういう点では姿勢を正すべきではないか。国民に対しては民主主義を守れということを要望しますけれども、同時に、行政府自身は、ただいま御指摘になりましたような点に勇気を持ってぶつかっていく、そうして成果をあげるごとが大事でございますから、十分成果のあがるような、そういう方法を考えろ、かようにただいまのお話を理解する次第でございます。私はこれからも進めていく上において、おそらく総合的にものごとを考えなければならぬのではないかと思うし、またときに、より以上の勇気を必要とするのではないかと思います。ことに、最後にあげられました物価の問題、これこそは内政上の一番大事な問題であります。いつの時代でもそうでありますが、ことにただいまのように経済成長の過程において、国民に成長を喜んでいただく、謳歌していただくと同時に、物価が上がらないように、安定するように、それも低いところで安定するように、われわれが最大の努力をしない限り、成長の効果というか、利益者である国民、これは十分に理解していただけないんじゃないかと、かように心配をしておる次第であります。これなどは、私が申し上げるまでもなく、いままで説明いたしましたように、総合的に初めてこの問題と取り組んで成果のあがる問題ではなかろうかと、かように私は思います。たいへん長い話になりましたが、以上でお答えいたします。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 これはまだ不十分ですね。もう少し私は積極的に総理から御意見を承りたかったです、率直に言いまして。結局、いま私があげましたのは、これは一つの具体的な例でございますけれども、こういうものが政治に対する不信を招く。また、国会における審議の方法等についても、これはもう各党とも厳粛に反省をして、ほんとう国会議員というものが国民から信頼されるようなことにならないと、私はいけないと思います。ですから、これは私のことともして申し上げるわけですけれども、そういう意味において、私は昨年の十一月に、毎日新聞と日本地域開発センターが行なった世論調査を拝見さしてもらいました。そうしますと、この中には、十代後半で七〇%、二十代では六四%が政治に対して全く不信だという結論が出ております。せんだって、万国博に、私は都合で行けませんでした。テレビでちょっと見ましたが、総理の祝辞は拍手が普通でしたけれどもね、衆参両院議長の拍手が少なかったですね。これは、私はいやな気がしました、率直に言って。われわれがバッチをつけて外を歩く場合でも、ほんとうに政治家に対する国民の感覚がどうなんだろうかということを、いつも考えながら歩くような現状ではないでしょうか。だからして、私はこういう問題については、もっと思い切って新しい年代の中で、政府態度を出すべきであるし、またわれわれとしても至らざるを反省し、ほんとうに新しい時代をになってくれる、こういう青年層から、もっと信頼を私は受けなければいけないと思うのです。その点に対して、総理はどうお考えですか。
  111. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私も憂いを同じくし、また喜びを共にするものでございます。私は、若い青年層、これらの方が非常にものごとをはっきり区別して、いいことはいい、悪いことは悪いと、非常な判断が明確だと、かように実は思っております。したがって、ただいまの、選挙を通じて支持された方々にしても、その点ではたいへん勇敢にものごとを割り切っておられる、かように思います。同時にまた棄権が相当あった。ことに若い人に政治不信があったと、これはいかぬと言われますが、これも見方の問題でございまして、私は、まあいまの政治家にまかしておいては、これは何にもならない、だめだと、こういう考え方で棄権したと、こういう者ばかりではないんではないだろうかと、かように私は善意にとりたいんです。少なくとも参政権が積極的に国民の参与を得るような、そういうことで考えていかなきゃならぬ、そういうことで、ただいま政治家自身も反省するものは反省していくと、こういうことでありたいと思います。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 どうも青年の胸を打つようなお話が承われないのですけれども、これは時間がありませんから、またいずれかの機会に譲りたいと思います。そこでこれはまた一つの問題として私は提起をするのですが、毎年予算編成期になりますと、たいへんな陳情部隊が大蔵省、政府に押しかけてまいります。それは福田大蔵大臣もおっしゃっておるように、私は民主議会の中で陳情することは国民の権利ですから、そのことはけっこうだと思います。ただ、非常に国家公務員なり地方公務員の中で行き過ぎがあったら、これはひとつ是正してもらわなくちゃならぬと思うのですね。それを私はきょうここで取り上げたいのです。自治大臣に伺いますけれども、一月の二十四日から二月の一日まで、全国の都道府県の知事、副知事、部局長、課長が東京に出張した人たちの数、それからそれに使った出張旅費、これは幾らになるか、お示していただきたいと思う。
  113. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) ただいま御要望の数字につきましては、自治省でつまびらかにしておりません。その用意はございません。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 これはいま質問をして、つまびらかにしておらないということですから、物理的に間に合わないならやむを得ませんけれども、ひとつ全国に調査をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  115. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 御要望ならば調査をしてみたいと思っております。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 これは新聞にも出たことですから、総理もよく御存じだと思いますが、たとえば一月の二十六日に上京した都道府県の幹部、知事定員四十五名中三十五人、副知事が五十二名中二十人、部局長が三百六十名中百六十六人、こういう者が上京しております。まさに首なし地方自治あるいは地方官庁は開店休業、こういう新聞の、ここにもありますけれども、たくさんのこういう見出しを、これを総理ちょっと参考に見てください、こういうものが批判を受けている。少なくとも地方公務員ですね。これは行き過ぎではないですかこれは。厳重に私は自粛してもらいたい、いかがですか。
  117. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たんねんに新聞の切り抜きをしておられますが、ほんとに陳情部隊というものには、私は苦々しい気持ちを持っております。そういう事柄で問題をその曲げるというような、予算編成が曲げられるというようなことがあってはならない、かように申しております。もちろん民主々義のもとにおきまして、私どもの知らない点もございますから、独善にならないように、官僚独善にならないように注意はいたします。注意はいたしますが、これが度を過ぎるとほんとに苦々しい感じがするのでございます。私は吉田内閣時分にも、吉田さんから、陳情部隊を一切寄せつけるなというきつい命令がございました。今回もこれにならったわけではありませんが、私は陳情なら、どこの知事さんであろうと私は会わないと、秘書官に厳達をいたしまして、そういうことで、私自身は陳情を受けなくて済みましたけれども、しかし新聞に出ておるように、苦々しい状態が現出しておる、まことに私残念に思っております。これはやはり適正なる処置がとられておるのでございますし、また国会を通じましても、皆さま方から十分御審議をいただくのでございますし、また私が大蔵大臣だった時分はやらなかったことですが、福田大蔵大臣は特に各党に対しましても、各党の御要望も全部承ったと、私はかように承知しております。それが全部盛り込まれたと、かようには申しませんけれども、とにかく、御意見を聞いたと、これは一つの非常な進歩でありますし、特殊な団体だけの意見を聞いたと、こういうことでなくって、私は時の政権を担当する者として、予算編成上の苦心として、これは私たいへんけっこうなことであると思う。これはいい一つの前例だから今後とも続けていきたいと、かように思っております。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 これは全く「庁内、差入品の山」『「予算」大詰、業者がサービス合戦』「酒びんゴロゴロ飲み放題」こういうような、少なくとも日本の一流新聞に写真入りで出るということは、これはどういうことでしょうかね。これは地方公務員の件は、私はもう厳に注意してもらいたい。これは総理大臣からも御発言がありましたけれども、自治大臣としてもこれは厳命してくれますか、すぐ。
  119. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 過度な陳情、度の過ぎた陳情というものは、地方行政の運用上からも、また経費の節約という点からも厳にこれを慎む、戒むべきものでありまして、従来自治省としてはその方針によりまして指導をいたしておりますが、今後必要があり、また、こういう状況にかんがみまして、その指導を徹底いたしたいと考えております。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、その次にお尋ねをしたいのは、暮れの総選挙で現閣僚五人を含む当選者の六九%に当たる方々の下部の運動員が検挙をされている。これは警察が摘発しておるところでございます。この違反の取り締まりの実情をひとつここで明らかにしていただきたい。
  121. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答えいたします。  衆議院選挙期日後三十日現在における集計によると、総数において七千六百六十七件、一万三千三百四十六人を検挙しております。  罪種別にそのおもなものを見ますと、買収六千百六十一件、一万一千百七十五人。文書違反四百四十二件、七百六十七人。戸別訪問七百五十六件、千十九人。自由妨害四十九件、六十二人。その他二百五十九件、三百二十三人となっております。  なお、検挙総数を前回同期のそれと比較しますると、件数において二一・七%、人員において二〇・五%の減少となっております。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 そのうち起訴された人は何件何名でございましょうか。それから、その中にまだ逃亡してつかまらないというのがおりますかどうですか、これもひとつ明らかにしてもらいたい。指名手配中の人がいますか。
  123. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答えいたします。  起訴のほうは法務大臣に……。
  124. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) いま検察庁が警察から受理したものは、人数にして約一万七千余、その数字はいま公安委員長からお話しのように、前回に比べて八二%ということで減少いたしております。まだ最終数字はわかりませんが、先月末までのものを集計しますると、買収が起訴が六千二百六十五人、不起訴が五千七百二十八名。戸別訪問が起訴が五百五十三名、不起訴が二百七十六名。文書違反は起訴は百六十一名、不起訴が二百九十九名。不正投票が起訴五十二名、不起訴四十一名。その他の罪で起訴が七十五名、不起訴が百八十三名。こういうことになっておりまして、これは、一万七千人の中の処理をしたものがこれだけ。なお未処理が四千人おる。この中には逃亡等のものが含まれておりますが、その実数は私どものところで、いまここでつまびらかにいたしておりません。
  125. 鈴木強

    鈴木強君 逃亡者はいまわからないのですけれども、わかるでしょう、検察庁のほうで。
  126. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今回の総選挙の選挙違反で、所在不明等のため指名手配をされたものは六十八名であります。現在なお未逮捕のものは十九名であります。警察は、このような者に対しては断じて逃げ得を許さないとの方針で臨む、全国警察に指名手配を行なう等、鋭意その所在捜査につとめているところであります。
  127. 鈴木強

    鈴木強君 非常に買収が多いわけですが、これはひとつ総理大臣にもぜひ聞いておいていただきたいのですけれども、市川委員の補正予算のときの発言にも関係があるのですが、私はここで氏名は申し上げませんが、たとえば埼玉一区のある候補者の方は、法定選挙費用が一人四百三十万円でございますがね、ここは。ところが、実際に買収容疑でつかまった買収額というものは五百三十万円になっている。それから逮捕された人が百四十人ですね。それから滋賀県のある候補者の方は、法定選挙費用がここは三百十五万円ですが、三百九十万円の買収を行なったということで検挙された、運動員が。そして五十人の人たちがつかまっている、こういう事件があるわけです。ですから、非常に買収という悪質の行為が多いように思うのですね。これは政治資金規正との関係もあるのです。私は、こういうことは警察でよくお調べになっていると思いますし、また、鹿児島県下では暴力団に選挙資金が流れて、その関係人たち組織をあげて活発に動いたというような、こういうこともあるわけですよ。私はこういうことを一一ここで内容を明らかにしようとは思いませんけれども、こういったことについては、ほんとうに、さっき総理もおっしゃいましたけれども、民主政治の基本は選挙である、その選挙がほんとうに正しく行なわれなければだめだという、それに徹するならば、ほんとうに政治資金の面でもっともっと強い規制をしなければだめですよ、これは総理。私は、抽象的じゃなくて、ぜひ——いろいろあるでしょう、問題はあるでしょうけれども、何とかして次の通常国会くらいにはおそくも出していただくようにしていただかないと、これは国民は納得しません。総理考え方を承ります。
  128. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政治資金規正法については、先ほども申し上げたように、私は苦い過去の経験がございますので、今度はこの国会には出しませんが、次の機会にはぜひとも出したい、かように考えております。
  129. 鈴木強

    鈴木強君 これは自治大臣に、いずれまた横川委員からも専門の立場から質問があると思いますが、すでに選挙制度審議会から提案をされております戸別訪問とか文書配布の自由ということは、これはもうやったらいいと私は思うのですけれどもね。その点はいま選挙制度審議会を持たれておりまして、いろいろ広範な検討をせられておりますけれども、それが長引くようだったら早くこれはやるとか、そういう御措置はとってもらえますか。
  130. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) たしか第五次選挙制度審議会からの答申であったかと思いますが、確認団体につきましては時間あるいは人数等の制限を付しながら、いろいろ戸別訪問であるとかあるいは選挙時における文書図画を通じての運動の自由化についての答申があったように思うのですが、これにつきまして、自治省としても考えたのでございますが、やはり政党本位と申しますか、政党に重点を置いたこの選挙運動の体制というものが整っていない現状におきまして、ただいまお話しのような、お示しのような選挙運動の自由化ということはどうだろうかということで、議が合わず、政党間の合意も得られなかったので、これは制度化するに至らなかったのでありますが、しかし、今後各方面の意見も聞きまして、自由なる選挙民の意思の表明という点に関連いたしまして、十分検討もし研究もしてみたいと考えております。また進めております。
  131. 鈴木強

    鈴木強君 この前の選挙で初めてテレビ政見放送が行なわれたんですが、これに対してこの視聴実態というのはどうなっておりますか。また、特にその調査をされた結果、こういう点は、こうしてこう直したほうがよりベターだというような、そういう問題点がありましたらお聞かせ願いたいんですが。
  132. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 前回行なわれました衆議院選挙におけるテレビによる政見放送、これは大体において成功であったという考えを、結論を得ております。と申しますのは、政府で得ました調査によりまして、自分の選挙区の候補者のテレビ選挙演説を聞いたという方が五九%という数字になっております。そして、それが候補者の選定、選挙に大いに参考になったという方の率が、その調査の中で七六・四%になっております。こういう点を見ますと、大体成功であったと思っております。しこうして、将来の要望につきましては、もう少し見やすい時間にしてもらいたいというのが二二・五%、それから時間が少し短いじゃないか、もう少し長くしてもらいたいという数字が一五・二、それから候補者同士がもう少し、ただ一人ずつしゃべるのじゃなくて、討論形式でお互いに話し合い論駁し合っていったらどうか、そういう方式を取り入れてもらいたいという要望が、その調査では一二・四%あったということでございます。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 これは自治大臣、検討して直す御意思があるのですか。
  134. 秋田大助

    国務大臣(秋田大助君) 時間帯ということは、これはまあテレビ会社あるいは放送——NHK等との打ち合わせもしたいと思いますが、地方のほうでは比較的いい時間帯がとれた。中央のほうでは、都市ではなかなかむずかしいというような傾向があるようであります。それから時間をもう少しく延ばせという御要望につきましては、やはりテレビ事業者といろいろ打ち合わせをしてみる必要があろうと思います。いま直ちにこれをどうこうという結論を得ておりませんが、比較的その数字は低いという点がありますので、テレビ事業者との間にいろいろ打ち合わせ検討してみて、少しでも御要望に応じたいと思っておりますが、いまのところまだ確たる結論は得ておりません。
  135. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 鈴木君の質疑の途中でありますが、残余の質疑は都合により明日行なうことにいたします。明日は午前十時三十分開会することといたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五十四分散会