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加瀬完君 私は
日本社会党を
代表し、ただいま
議題となりました
新東京国際空港公団法の一部を改正する
法律案に対し
反対の意を表します。
以下理由を申し上げます。
反対の第一点は、せっかくの
政府の強行にもかかわらず、
成田空港は
国際空港としての機能を具備しておりません。当初の新
空港計画は、四千メートル
滑走路、二千五百メートル
滑走路それぞれ二本、並びに三千五百メートルの
横風用一本がその概要でありました。しかるに、
成田空港は四千メートル一本、二千五百メートル及び
横風用であります。その規模は二分の一に縮小されました。
国際空港としては最も不備といわれるロンドン・ヒースロー以下となり、ここで当初
計画の二十六万回の機能を処理することは不可能となりました。すなわち、公団法の、長期にわたって
使用にたえる
空港とする、こういう目的とは相いれぬ結果となったわけでございます。このような、十年とは保たない不完全
空港に巨費を費消することを
国民がはたして喜ぶでございましょうか。
反対の第二点は、
成田空港には法律違反の
内容が多いことであります。その一つは、航空法三十九条によれば、敷地の確実な取得がなければ
空港の認可はできないことになっております。確実な敷地の取得が今日においてもなされないまま認可が行なわれ、工事が進められております。その二つは、同じ航空法に、住民の利益を著しく害してはならないと規定されておるにもかかわらず、住民の農業経営権その他
騒音対策等、一般住民に対する生活権の侵害をそのままに工事が進められておる点であります。その三つは、公団が直接必要とする物件は敷地内の財産であるにもかかわらず、宮内庁との交換物件は、敷地外の農地等であります。しかも、農地法をのがれるため、この農地を含む九十七ヘクタールの千葉県への譲渡指定権のみを十一億円相当と評価しているのであります。こういう前例はありません。公団がかかる契約をすることは、明らかに公団の業務権限になじまないものでございます。以上のように、
政府機関が違法
行為によって工事を進めることを黙過するわけにはまいりません。
反対の第三点は、住民の
土地買収価格への不信であります。
空港等公共用地の取得については、従来、閣議決定による公共用地の取得に伴う損失補償
基準要綱によって取り行なわれておりました。ところが、
成田空港の場合は、この要綱第八条の、通常の利用方法に従って利用し得るものとして評価すること、この規定を破り、正式な鑑定方法もとらないまま、呼び値を根拠に買い進み価格で決定、したがいまして、千葉県が同一時点で七十万円で買収した同一地域を、畑百四十万円で買収をしているのであります。このように、
空港賛成派にはばく大なプレミアムをつけ、
反対者には収用法等でその生活に強権圧迫を加える。これで住民の信を得られるということになりましょうか。
反対の第四点は、
成田空港の米軍利用であります。いかに
政府が強弁しようとも、米軍利用が排除される法的または
行政的
措置は全然ありません。そもそも、新
空港の位置が成田に決定をされた理由は、米軍の航空専用路ブルー14の存在のためであることは大方の常識であります。ブルー14の除去もできない
政府の、
成田空港は軍用に
使用しません、それだけの口約束で、米軍の軍事利用による危険性の排除が成立するはずはございません。したがって、安保条約のある限り、住民の軍事不安をぬぐうことはできないのであります。
以上で
反対理由を終わりますが、念のために
政府に申し添えます。
政府がいかに収用法等の強権によって、敷地の取得を急ごうとも、住民に信頼を回復しない限り、
空港の竣工は不可能でありましょう。
一言
警告し、私の
反対討論を終わります。(
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