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説明員(羽山忠弘君) まずひとつはっきりお断わり申し上げておきたいのは、私
どもは拘置所内におきましても刑務所内におきましても、どんな事故が起きましても、これを隠蔽するとか隠すとかという気は全然ございません。この点をまずはっきり申し上げておきたいと思います。のみならず私
どもは調べる能力を尽くしまして調べられるだけのことは調べて、そして
責任はとらす、
責任をとるべきものがあれば
責任をとらす、こういう方針でやってまいっておるということだけをまず申し上げたいのでございます。
その次は、
浅井先生のただいまのおことばでございますが、私
どもが理解いたしておりますところと非常に食い違っておるように思うわけでございます。せっかくの断圧あるいは村八分ということでございますので、結局そこから
お答えをせざるを得ないことになるのが遺憾でございますが、この
本人自身につきまして、刑務官としてまことに遺憾な
事柄があるのでございます。現在これはすでに切手事件も
大阪地方
検察庁に引き継いだのでございますが、こちらのほうも引き継いでいるのでございます。この容疑が出ましたのは相当前からでございまして、私
どもは
本人が切手に不正があるということは——これは申しわけないことでございますが、この切手に不正があるということを一番最初に申してまいりましたのは関口という看守でございまして、これは昨年の二月ごろ、どうも切手に不正があるといううわさがあるということを所長、保安課長のところへ申してきております。そこでその当時かなり調べたようでございますが、やはりこれは
調査の能力が足りませんで、その当時いいかげんなことになったようでございます。たまたまそのころに、おそらくこれが
浅井先生のところへ行っておる看守だと思いますが、この看守はもともと非常に収容者と
個人的なつき合いをやる傾向があるということでございまして、その具体的事例をとらえまして、戒告処分にまずいたしたのでございます。これがこの発端でございまして、ただいま勤務評定がEをつけたということでございますが、これはことし初めてEではございませんので、過去相当期間にわたって勤務成績の評定はEということになっておるのでございます。そしてそのころから、どういうわけでございますか、しきりとこれを内部では言ったようでございますが、ただいまのお話では、
本人が切手に不正があるというようなことを所長、保安課長のところに言っていったというふうなお話でございますが、私
どもの
調査によりますると、
本人がそういうことをいろいろ言っているようなので、保安課長その他の幹部が
本人を呼びまして、具体的にどういうことであるかということを聞きましても、それについては具体的な返事をしておらないのであります。で、そのうちに
本人が、これは昨年の八月でございますが、昨年九月に
浅井先生がわざわざ
大阪拘置所までおいでくだすってこういう切手の問題があるぞという御注意をいただいたわけでございますが、それより前にこの書信係で、少しまあふだんはあまり、無口でありまするけれ
ども酒を飲むとべらべら何でもよくしゃべるという癖のある古川という看守をうちに呼びまして、ビールかなんかを飲ませましてめいていいたしておるような状況でその録音をとったのでございます。しかもそれは隠して録音をとったわけでございます。その録音はそのまま握っておったわけでございます。そして
浅井先生が九月に
大阪拘置所においでくださいましたときには、その録音があることを御存じであったかどうか私
どもは存じませんが、それをずっと隠しておりまして、そして本年一月に相なりましてから、これは目下
調査中でございますが、洗濯工場の受刑者に
本人がハイライトとか甘味品というような、たばこを交付し、受刑者からは現金を受け取るというようなことが数回にわたって起きてまいりました。で、これの
調査をせざるを得ないことに相なったわけでございます。それより前に、
浅井先生の御
指摘によりまして、平井検事が昨年の秋
大阪拘置所に参りまして徹底的に調べたけれ
ども、このときもどうも事実がはっきりいたさなかったわけでございます。何ぶんにも、検事ではございますけれ
ども内部の
調査しかできないという制約がございますので、このようなことになったことはまことに遺憾に思うのでございますが、本年一月になりましてから、これはただいまも
調査——
大阪地検に引き継いでおりますけれ
ども、
本人は否認をしております。外形的な事実は認めておりますが、要点を否認しております。たとえば受刑者が来て、
先生、ライターを要らないかと言った、おれは断わった、こういうふうに申しておりますが、受刑者の側から申しますると、受刑者が一人ではないのでございまして、相当多数の関係の受刑者が別の看守のポケットからライターをごまかしまして、この問題の看守に提供をいたしております。提供をいたす寸前のところまで
本人は認めておりまして、提供の申し出があったけれ
ども、私は断わったと、こういうふうなことで来ておるのでございますが、そしてこの不正事実の取り調べがずっと進みまして、
本人が相当まあ詰めて取り調べられましたのが五月の末から六月の初めにかけてでございます。そうすると、その六月の十八日に録音をとっておるということで録音テープが新聞に報道される、こういうことに相なったわけでございまして、それほど去年の八月にとった録音テープを新聞社に持っていって出すくらいであれば、それは私が先ほど申し上げましたように、決してそれが悪いということは言えないかもしれませんが、何ゆえにその録音テープを保安課長なり、あるいは刑務所長に出してくれなかったのであろうかということをきわめて遺憾に思うわけでございます。しかしながらいずれにいたしましても、その録音テープが端緒と相なりまして、今度平井が参りまして約一週間、これも
ほんとうに不眠不休の状況で取り調べを行ないました結果、書信係五人が初めて自供をいたした。自供をいたしましたけれ
ども、これは大部分の事実が一昨年以前の問題でございまして、非常に裏づけをとるのに苦しんでまいったようでございます。その裏づけがとれないと、裏づけをとるためには強力な外部捜査をしなければだめだというような結論に相なりまして、
大阪地検にまず五人を業務横領、信書毀棄ということで告発をする、それから
あとこの問題の看守も枉法収賄その他の容疑のもとに
大阪地検に引き継ぐと、この結論が出ましたのが先週の終わりごろ、こういう経過でございまして、私
どもといたしましては、その問題の看守は後藤というのでございますが、後藤看守が印紙事件の不正をたとえば
浅井先生のところへ言っていったということで後藤を村八分にするとか、弾圧するとか、のけものにするとかいうようなふうには毛頭考えていないのでございます。あくまでもこれは私
どもは、こういう問題は必ず処分は処分といたしまして、将来人事院なり何なりに持ち出される可能性があると考えておりますので、十分公正にやってまいりたい、こういうふうに考えますと同時に、それはそれといたしまして、出ました悪いことは徹底的に調べたい、そうしてとるべき
責任はとらせたい、こういうふうに考えておる点を御了承いただきたいのでございます。