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1970-06-09 第63回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年六月九日(火曜日)    午後一時十六分開会     —————————————    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     二宮 文造君  六月二日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     山田 徹一君  六月九日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     内田 善利君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小平 芳平君     理 事                 河口 陽一君                 亀田 得治君     委 員                 江藤  智君                 小林 国司君                 堀本 宜実君                 山崎 竜男君                 小林  武君                 松澤 兼人君                 内田 善利君    事務局側        常任委員会専門        員        二見 次夫君    説明員        警察庁刑事局少        年調査官     渡辺  宏君        法務省矯正局長  羽山 忠弘君        自治大臣官房参        事官      佐々木喜久治君        最高裁判所事務        総局経理局長   大内 恒夫君        日本国有鉄道常        務理事      山口 茂夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (裁判所営繕に関する件)  (国鉄の職場における憲法第二十八条問題に関  する件)  (刑務所問題に関する件)  (朝鮮人学生に対する傷害事件に関する件)     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、山田徹一君が委員辞任され、その補欠として内田善利君が選任されました。     —————————————
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 松澤兼人

    松澤兼人君 前回裁判所新築にかかる寄付受け入れの問題につきまして質問いたしました。その要点は、ある郡の競輪の益金の配分から二十五万円、裁判所新築の祝い金として出されている。このほかに、ある市からは四十万円、ある郡からは三十五万円というふうに地方自治団体から約百万円の寄付が行なわれているということを質問いたしまして、その調査最高裁判所要請をしておいたわけであります。その内容といいますか、調査の結果についてまず第一にお伺いしたいと思います。
  5. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 前回、当委員会におきまして、松澤委員から、洲本支部寄付受け入れの問題につきましていろいろと御質疑がございましたが、その際、私ども事実を承知いたしておりませんで、十分御答弁申し上げることができなかったことを申しわけなく思っております。さっそく私ども事実について調査をいたしまして、大体事実が判明いたしましたので、本日、御報告申し上げたいと思います。  まず、洲本支部庁舎の新営にあたりまして寄付を受けましたことは事実でございます。寄付を受けました物件につきまして申し上げますと、これは主として裁判所事務室会議室調停室調停委員室等の机、いす等備品類でございまして、現物で寄付を受けておりますが、金額にいたしますと約百五十三万円相当のものと思われます。そのほかに、洲本支部構内には古くから由緒のある庭園がございまして、そこに寄付者造園工事などを行なっておりまして、この洲本支部構内と申しますのは、古く蜂須賀家の家老の屋敷があったそうでありまして、淡路島の三大名木であるという松が一本植わっております。賀集千手の松でございますとか、塩浜の松でございますとか、裁判所の松でございますとか、そういうふうな名称があるようでありますが、そのうちの一本でございます裁判所の松というのが植えられておりまして、これが相当の価値のある松のようでございます。そこに古い由緒のある庭園があるわけでございます。そこに寄付者が木を植えるといいましたような、植樹等造園工事を行なったようでございます。この寄付をした寄付者でございますが、これは淡路公正会という団体でございます。淡路公正会という団体構成員は、洲本支部調停委員でもって構成されている調停委員親睦団体でございまして、これが淡路公正会という団体を構成し、その淡路公正会がこの寄付者になっております。その淡路公正会が、その備品寄付並びに造園工事を行なったということになっておるわけでございます。その造園工事でございますが、これはただいま申しましたような名園をりっぱに維持、保存する。そしてその機会に、さらに庭をりっぱにするといった趣旨でその工事が行なわれたようでございますが、その工事代金淡路公正会が直接業者に支払っております。裁判所淡路公正会から工事代金を受け取って、裁判所から支払ったという形式になってはおりません。したがいまして、形式的、手続的に申しますと、この造園関係につきましては、寄付という形になっておらないわけでございますが、結果として見ますと、実質的には裁判所構内の庭がそれだけりっぱになったわけでございますので、実質上は、やはりこれも寄付と認められるものであろうと私どもは考えます。その工事費は、先ほど申しましたように、淡路公正会が直接支払ったものでございますので、正確なところは判明いたしませんが、おおよそ百二、三十万というふうに思われます。もっとも、そのほかにいろいろ調査費その他をつぎ込んでおるようでございますから、また若干それにいろいろの費用が重なっているかと思われます。先ほど申しましたように、この寄付をいたしましたのは淡路公正会という調停委員親睦団体でございますが、寄付計画を立て、募金活動を行ないましたのもこの団体でございまして、裁判所に対する形式的な、手続的な面でのはっきりした、先ほど申しました備品類寄付といったものも、この団体名義寄付書をもってその寄付がなされております。具体的な手続といたしましては、洲本支部に対しましてその寄付書が提出されまして、洲本支部物品管理を担当いたしております庶務課長から、神戸地方裁判所事務局長に対しまして、寄付を受けてよろしいかという上申をいたしまして、神戸地方裁判所物品管理官でございます神戸地方裁判所事務局長は、それを承認したといった手続になっております。それで、したがいまして、裁判所寄付を実際に呼びかけたとか、あるいは実際に募金活動を行なったということはないわけでございますけれども洲本支部はもちろん、地元のことでございますので、調停委員団体でございますこうした淡路公正会が、裁判所庁舎の新営に非常に協力的な態度を示して、地元側熱意のあらわれとして募金活動を進めておったという、そういう事実はもちろん十分に承知しておったようでございます。そういう事情があったればこそ、洲本支部におきましても、あるいは神戸地方裁判所等におきましても、淡路公正会のそうした配慮には感謝をいたしつつも、募金につきまして決して無理なことをしないようにといったようなことを、再三関係者にしましたといったような事実もあったようでございます。で、もともと洲本支部改築につきましては、先ほど申しました構内名園があるといったような関係から、地元山本洲本市長を中心にいたしまして、多年にわたりまして地元側の特に熱烈な支援協力がありまして、初めて予算計上が実現したといったような以前のいきさつがあります。これに、先ほど申しましたような、歴史的に由緒のある庭園保存といったような事情も加わりまして、結局、本庁でございます神戸支所といたしましても、地元熱意を無にすることはできないから、寄付を受けることはやむを得ないだろうといったような判断に到達しまして、そうしてこれをお受けするといったようないきさつになったようでございます。もちろん、前回松澤委員がこの委員会で御指摘なさいましたように、庁舎が新しくなりましても備品類は古いものを使っても一向おかしくないじゃないかといった御指摘がございました。私ども全くその御意見のとおりだと考えます。で、実は、洲本支部の新営にあたりましては、新営の工事費といたしまして合計一億二千三百万円余の予算が送られております。また、新庁舎備品費用といたしましても、百八十万円の予算最高裁判所から送ってございます。この新舎庁備品費と申しますのは、法廷裁判官室備品を新しく整備するというための費用でございまして、洲本支部ではこれをそのとおりに実行いたしております。最高裁判所といたしましては、裁判官以外の書記官事務官など一般職員の机、いすもむろんおいおい古いものを新しいものに更新していく方針でございましたが、洲本支部ないし神戸支所といたしましては、法廷裁判官室備品が新しくなったのだから、何とか書記官事務官等の机、いすも新しくして、職員執務環境をよくしてやりたい。せっかく淡路公正会好意でもあるしと、そういった配慮が働いたものと想像されます。そこにもう一つき然たる態度が欠けていたことを、私どもははなはだ残念であったと考えるわけであります。寄付収納につきましては、かりに任意の好意的な寄付申し出でございましても、極力御辞退し、抑制しなければならないというのが従来の最高裁判所方針でございまして、各庁にも前々からよく伝達してあるわけでございます。洲本支部の場合は、以上いろいろ申し上げましたような特別の事情がございましたとはいえ、やはり私どもとしては、適切を欠いた措置ではなかったかと考えます。最高裁判所といたしましては、今回、以上の事実を初めて承知したわけでございますが、本件につきまして、あらためて遺憾の意を表したいと存じます。  なお、事実関係の中で、先ほども御指摘のございました地方自治体関係の三原郡あるいは洲本市、その他淡路島所在地方自治体関係募金のことでございますが、これは先ほど申しましたように、募金活動を実際に行ないましたのが淡路公正会でございますので、正確ないきさつについては私どももはっきりつかめないわけでございますが、現在までに承知いたしております事実といたしましては、当初やはりそうした市あるいは町に対しましても、淡路公正会といたしまして募金の働きかけをやったことがあったようでございます。しかし、法律上、そうした地方自治体募金に応ずるということはできないといって、それが途中で変更されたようでございまして、結局、淡路公正会に対する募金は、淡路総合開発協議会という会の名前で、先ほど松澤委員指摘のように、合計約百万円の金がその公正会に送られたといった事実があるようでございます。先ほど松澤委員の御指摘の点は、これに関係するかと思われます。淡路総合開発協議会という会の内容でございますが、淡路島の中にあります一市十町の市長、町長及び同市議会議長町議会議長の方々が会員となりまして、淡路島総合開発の推進を目的とする団体というようになっておるようでございます。その団体名義で、公正会に対しまして百万円の寄付が行なわれたようでございます。その開発協議会とその中のさらに一市十町との関係につきましては、私ども現在はっきりした事実をつかんでおりません。いずれにいたしましても、そうした形で公正会が金をとったことは間違いないようでございまして、これは推測でございますが、裁判所構内名木名園といったものの保存ということと、この総合開発といったことと何か関係があるのではなかろうかとも推測されるわけでありますが、詳細については私どもも存じ上げていないわけでございます。  なお、最高裁といたしましては、以上の調査結果にかんがみまして、去る五月二十七日に、最高裁判所経理局長名前をもちまして、全国高等裁判所地方裁判所所長あてに「寄付受納抑制について」という依命通達を発しました。その内容をここで読み上げますが、「最近、参議院法務委員会において、裁判所庁舎改築の際裁判所外部から備品等多額寄付を受けたことが問題とされ、きびしく批判されました。裁判所における寄付受納については、裁判所の特別の地位にかんがみ、たとえ自発的好意による寄付であっても、厳に抑制すべきものであり、このことは従来再三最高裁判所から各庁に対し通知ないし通達されたところであります。最高裁判所としても、この観点に立って、庁費営繕費等予算の獲得について毎年できる限りの努力を継続してきております。ついては、この機会に、寄付受納抑制に関する従来の方針を確認し、これを完全に励行することといたしたく、この旨を貴庁ならびに貴管内支部簡易裁判所関係職員十分周知徹底方お取り計らい下さい。」といった依命通達を、先ほど申しましたように、全国高等裁判所地方裁判所家庭裁判所所長あてに発した次第でございます。  前回も申し上げ、また本日も申し上げましたが、裁判所に対しまして好意のある寄付申し出がございましても、私どもといたしましては、この通達方針に従って今後も十分戒心して処理する方針でございます。  また、前回も御指摘がございましたが、裁判所における備品等、そういうものは予算でまかなうべき筋合いのものでございますので、私どもといたしましては、今後さらに裁判所庁費営繕費の充実といったことについて懸命の努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
  6. 松澤兼人

    松澤兼人君 私が問題を出しまして、最高裁調査された結果の報告でございますが、大体私が言ったことがそう間違いがなかったということが確認されたようであります。ただ、いまもお話がありました裁判所が直接寄付の依頼をしたかどうか。いま局長は、むしろ外部団体、特に調停委員をもって組織されております淡路公正会が言い出し団体として、そこが寄付の募集をし、会員自体の中からも募金をし、そうして外部に対しても募金要請をしたということになっているようであります。実際そうかもわかりません。しかし、洲本裁判所改築協力委員会というものの事務所裁判所の中にあったという事実は御存じでございますか。
  7. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 建築の途中に、ただいまお話裁判所洲本支部庁舎改築協力委員会といった団体がやはり地元側で結成されたようでございまして、やはり裁判所関係のあることでございますので、そうした事務所と申しますか、実際の仕事がそこでもやはり行なわれておったという事実は確かにあったようでございます。
  8. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、大体そういう委員会というものは、事務所がどこにあるかということが一つの問題ですけれども委員会があればその事務局というものも当然考えられるわけです。その事務局の中に裁判所職員が入っていなかったということも断言できないと思うのです、実際の事務をやる人として。その点はいかがですか。
  9. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 実はその事務局内容まで現在はっきり承知いたしておりませんが、私ども調査いたしました限りでは、やはり裁判所の当時の庶務課長でございますとか、そうした関係職員は実際上こうした動きについてはやはり承知しておったわけでございまして、そうした会合などにも出席したことがあったように、これはほぼ間違いない事実だろうと思います。確認はいたしておりませんけれども、間違いのない事実だろうと考えます。
  10. 松澤兼人

    松澤兼人君 局長は、外部団体から、しいて寄付をもらってくれというお話があって、やむを得ずもらったという形だけれども、しかし、その内部はもうツーツーといいますか、裁判所職員がその事務を手伝っていたという事実も認め、事務所裁判所の中にあったという事実も認めれば、これは突然降ってわいたように、外部の人が裁判所関係なく寄付をして、寄付をもらってくださいというものでないことは、これはおわかりと思うのです。その点はどうです。
  11. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 先ほどは一応寄付いきさつと申しますか、手続と申しますか、そうしたものに基づきまして一応外形的な事実を申し上げたわけでございますが、先ほどもちょっと途中で申し上げましたように、洲本支部——直接は洲本支部でございますが、本庁である神戸裁判所におきましても、そうした動きは十分に承知しておったようでございまして、その点からいたしますと、確かに実際の寄付者公正会から裁判所に対する形式でもって提出されているわけでございますけれども、急にそうしたことが始まったというわけではございません。やはり建築当初からそうした計画が立てられ、その計画につきましても裁判所としても事実上承知しておったということは確かにあったように存じます。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、いまの報告が、全然外から好意ある寄付申し出があって、そうしてやむを得ずそれをいただいたということでないと言えるわけですね。何か連絡あるいは話し合いというものが陰でというか、中であったということ、これはお認めになりますね。
  13. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) もし私の申し上げましたことが、裁判所がそうした寄付の強い申し出があったので、やむを得ずにお受けしたといったふうにお聞き取りになられたとしますと、それは私のことばがはなはだ不十分だったわけでございまして、裁判所としてもそうした動きを知っておった。そうして裁判所としては、そうした好意にはもちろん感謝申し上げたわけでありますが、非常に強い熱意でございますので、結局はそれをお受けした、こういった関係になるだろうと考えます。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこで、淡路公正会ですが、七十人か、あるいは八十人ちょっと欠けるくらいの人数だろうと思うのです。ずっと会員の名簿を拝見いたしますと、ある人は裁判原告になっている、また同時にその人は他の民事の問題の被告になっている。また、ある人は自分の工場から火災を出して、そうして数人の人たちが犠牲になったその損害の賠償を求められているというようなことを考えてみますと、この前にも申し上げましたけれども、そういう入り組んだ調停委員の中における人間関係というようなものが、あるときに、たとえだれかが言い出したにしても、淡路公正会というものがこぞって応分寄付——応分寄付というよりは、中に、ある人は百万円も寄付しているというような話も聞くわけです。そういう調停委員親睦団体といえば親睦団体でしょうけれども、ひとつ裁判所新築に対して応分寄付をしようという、そういう気持ちが裁判調停とか、あるいは原告被告関係とかいうようなことに、何らかの裁判の公正に影響を及ぼさないという保証は私はないと思うのです。人間的な関係からいろいろあると思うのです。この点はどうなんですか。
  15. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 公正会寄付を実際にした人々の中に、ただいま松澤委員から御指摘のような事実が伏在しているというお話を承りまして、もしそれが事実であるといたしますれば、たいへんにこれは困ったことでございまして、私どもそうした事実を把握しておりませんけれども、実際上そういうふうな事実があるといたしますれば、これまたはなはだ遺憾なわけでございます。確かに裁判所に対する寄付の問題は、特別に訴訟関係でありますとか、裁判の公正でありますとか、そういうことに非常に関係をしてまいるわけでございますので、そうした点からも寄付受け入れにつきましては特に細心の配慮をする必要があるわけでございます。ただいま御指摘のような事実関係の有無につきましては、なおよく調査いたしまして、適当な機会に適当な方法によって御報告申し上げたいと存じます。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 私もこういう個人的な関係あるいは人間関係のことについて、あまり深く触れることを遠慮したいと思いますけれども、ある裁判につきまして、原告側の人が淡路公正会会員である、それで、会員でない人を告訴しまして、そのときにある裁判官から、あのことをひとつ頼むというように検事に話があったというようなことを聞いているのです。その検事の方は、いま検事をやめて弁護士をされておりますから、その事実関係について、もし必要があれば私はいつでもそのことを申し上げてよろしいということを言っておられる。これは必ずしも寄付そのものとは密接不可分関係とは私言いません。時期を考えてみると、この起訴状検事が書きました起訴状というものは、四十三年の十二月二十七日です。ちょうど募金やあるいはそういう新築関係があったころです。こういうことは、私、同じ調停委員の中でも、ある人が原告になり、ある人は被告になっている関係の中で、裁判所が三百万円くらいの寄付を受けるということが、どんなに裁判官は公正であっても、非常に情実や因縁というものが何かの関係で出てくるのじゃないかということをおそれるわけなんです。この事実、御存じなければやはり調べていただきたいと思います。  それから第二の問題は、庭園修復の問題ですけれども、これは裁判所所有地といいますか、土地である、その裁判所所有地であるということは、結局、国有財産だと思う。国有財産を修築したという場合に、だれがそういうことを許すのか、かりにこれはよくなったからいいようなものの、悪くなったらそのときの責任はだれが負うわけですか。修築します、あるいはしてもよろしいと、いわゆる申請なり願いなり、あるいは認可なり許可なりという関係がなければ、国有土地をかってにいじることはできないわけでしょう、このことについてはお聞き及びですか。
  17. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) まず、先ほど初めに御指摘のございました裁判官起訴に関する問題でございますが、この点につきましても初めて承った事実でございますので、さっそく調査をいたすことにいたします。  次に、庭園修復の問題でございますが、これはお話のように国有財産でございますので、裁判所の了解を得ないではできないわけでございます。実際上の形式手続と申しますのが、私ども調べてみた限りではどうもはっきりしたものが残っていない、洲本支部については残っていないのでございます。おそらく当時の支部長あるいは庶務課長がこれを了承して、実際上そうした工事を施行したという結果に相なっていると思われます。実際上庭園でございますので、事実上そうした工事をその洲本支部の場合はやったという結果になったと考えております。
  18. 松澤兼人

    松澤兼人君 よくわかりませんけれども、結局、無許可庭園修復をしたのか、あるいは暗黙裁判所がそれを認めたのか、少なくとも国有財産ですから、財産を管理する官庁なり、あるいはその職員なり公務員なりというものがいるわけでしょう、許可なしにやって、きれいになったからいいようなものの、もし間違いでもあったならばだれの責任になるのですか。
  19. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 国有財産事務を管掌するものは所長でございますが、この場合は支部でございますので、そうした支部土地を委任されておるといったことに手続上は相なっております。そこで、洲本支部の現実の造園工事でございますが、これにつきましては、暗黙にという以上に、実際上そういう事実を知っておったわけでございますから、目の前にそうした工事を施行しておるわけでございます。これは裁判所のほうで、つまり地元洲本支部のほうでこれを承諾を与えておったと、こういうふうに私どもは考えております。
  20. 松澤兼人

    松澤兼人君 その工事をやった人の名前もわかっておるのです。大ぜいの労務者なり、あるいはまた造園専門家が毎日毎日出入りしている、裁判所が知らないというわけはないでしょう。そうすると、その修復をして、たいへんいい結果になったからいいけれども、もし間違って、そこから水道管でも破裂してたいへんな被害を与えた、裁判所あるいはその近隣に対して。その責任は結局裁判所が持つのか、あるいはまた淡路公正会が持つのか、これはなかったからいいですよ、あったときにはたいへんなことでしょう。そういう権利関係といいますか、あるいは他人に不利益を与えた場合の責任関係といいますかはどうですか。
  21. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) 実際上のいろいろ具体的な場合によって違った事情があると思われますが、工事の施行について、工事者、つまり業者の責任の問題でありますとか、あるいは依頼をしました公正会責任問題でありますとか、あるいは所長の行政上の責任でありますとか、具体的な場合によっていろいろ違った事情が生じてまいると思われます。しかし、いずれにいたしましても、基本的にそうした造園工事そのものを認めるといったことに関する最終的な責任といいますか、権限、責任神戸裁判所長にあるということになるわけでございます。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 その辺のところはまたさらに調査をしていただいて、どちらのほうから申し出があったのか、調査をしていただきたいと思います。  それから、個人的なことになるし、私もあまり触れたくありませんけれども、二、三の問題を提起いたしますから、これもあわせて調査していただきたいと思います。  祝賀式があったのは四十三年の六月の十四日です。十時ごろから十二時四十分くらい。そこで、そこの所長が祝い酒を飲んで、裁判の開廷のときには泥酔をしていて、そして開廷時間を弁護士と相談の上、延ばしてもらったという事実があります。これも、あなたは何も知らないと思いますから問題を調べてもらいたいと思います。  それから、その公正会で集めた金、婦人の方も一人——婦人の調停委員です、一人二回に分けて合計一万円、そのうち半分の五千円は、約二十人くらいおります婦人の方が、判事が転任されるときに奥さんのせんべつとしてそれだけを差し上げたということがある。こうなってまいりますと、その判事さんの個人的なことになりますから、私もここでそれ以上申し上げません。これも調査していただきたいと思います。  初めは、私もその二十五万円、まあ合計で百万円ですけれども、自治体が寄付をする、そのしかたが問題だということでこの質問をしたわけですけれども、だんだん話を聞いてみますというと、裁判所自体の綱紀の問題に触れてくる問題が出てきたわけなんです。ですから、私はこれ以上申しません。十分にその間の事情調査して、後日また報告していただきたいと思います。
  23. 大内恒夫

    説明員大内恒夫君) ただいままた裁判官の綱紀に関する問題が出てまいりました。私どもといたしましては、非常に重大なことでございますので、さっそく調査をいたしまして、適当な機会に適当な方法によってまた御報告申し上げたいと、かように考えます。
  24. 松澤兼人

    松澤兼人君 佐々木参事官、たいへん、法務委員会なんかに来ていただいてまことに恐縮なんですが、いまもまあ経理局長質疑応答の中で片りんだけは出てまいりましたけれども、淡路の地元の新聞です。いわゆる大きな新聞ではないのですけれども、その新聞の見出しに、「競輪のテラ銭で裁判所の祝賀会三原郡で背任経理」という見出しで、この前に私が質問したようなことが載っているわけなんです。簡単に申し上げますと、さっきもお話が出ましたけれども裁判所新築祝いとして自治団体から百万円ほど集まったということであります。  そこで、淡路は一市二郡あるわけでございまして、いまこの新聞に出ておりました三原郡というところでは、競輪の益金を、郡の中の町長、それから議長、八人で構成している協議会にまかせて、あるいは各町に配分すべきものを、一応、三原郡という郡の中における四町でプールしてこれを預かっているわけなんです。その中には、一部、事務組合として、たとえば、じんかい焼却炉だとか、あるいはまた老人ホームだとか、あるいは産業高校だとかいったようなものに対する補助あるいは援助というような、いわゆる名分の立つ支出もあるわけですけれども、一部は先ほどお話いたしました二十五万円の裁判所新築祝い金というような、まことにわからない費用に四町分として一括支出しているわけなんです。ところが、もう一つの郡の津名郡というところでは、そういうプールをしないで、競輪の益金は町村に直接に配分してしまいまして、町村の予算収支の中に計上されているのです。したがいまして、津名郡に関する三十五万円の寄付金はプールされた金からではなくて、配分された金の中から、議会の承認を得たかどうかわかりませんけれども、各町がまた支出するという形で出している、三十五万円。それから洲本市も落成式の祝い金として四十万円、一般会計から出している。ですから一般会計から出すこと自体、はたしてそういう裁判所新築に対して、自治体がそういうものを負担しなければならないかどうか、この問題もあります。けれども、私いま問題にいたしておりますのは、競輪の益金が各町に配分されないで、郡の構成四町のプールした金として保存されているというのはおかしいが、まあプールされている。そこから必要なものを出すということなんですが、そういうことが競輪経理という面からいって適当であるかどうかということをお尋ねしたいのです。
  25. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 淡路におきまして競輪の施行が認められております団体洲本市と三原町の一市一町でございます。ただ、三原町が競輪の施行団体としての指定を受けましたのは昭和二十四年でございますが、このときから淡路の十町間の話し合いによりまして、いわば三原町が競輪施行としましては、これらの十町村の代表として指定を受ける。したがって、その三原町に配分されるべき競輪の益金は、いわば十町村でそれぞれ分け合うというような慣行がなされているわけであります。これが二十四年以来ずっと継続いたしております。それで、その競輪の益金の配分にあたりましては、一応競輪施行は淡路ほか六市、競輪事務組合という形で一部事務組合の形をとって、この一部事務組合から三原町に配分されます分は、いまお話しの三原郡と津名郡の両郡の町村会が配分を受けまして、その町村会から各町村のほうに配分をするというような形をとったのでございます。ただ、三原郡におきましては、この受け取りました競輪益金につきましては、これをそれぞれの町村に配分せずに、いわば各町村が郡の町村会に分担すべき金のいわば相殺として、相殺するために、直接に町村のほうに配分をしないで、郡の町村会がそれぞれ必要経費に充てるというような形をとっておるわけでございます。この点は経理上非常に問題のところでございます。  こういう点につきまして、兵庫県のほうとしましても、こうした問題が経理、特に予算関係からしまして非常に問題である、違法であるというようなことから、県のほうとして指導いたしまして、昭和四十四年度におきまして、それまでの収益金の配分をせずに、残っておりました金並びに昭和四十四年度分として配分されました収益金、これを合算をいたしまして四十四年末に各町村に配分をするという方式をとりまして、いわば本来の姿に戻したということになっております。したがいまして、昭和四十五年度の予算におきましては町村会のほうに留保せずに、配分されました収益金を、これまでの話し合いによりますところの配分率によりましてその町村に直ちに配分をするという方式に切りかえたというふうに聞いております。
  26. 松澤兼人

    松澤兼人君 四十四年度からそうなっているらしいのでございまして、私もこの印刷されたものを拝見しております。問題は、やはりこういう報告書が各市長のところには届くわけなんでありますけれども、しかし、これは町村会と申しますか、あるいは郡のプールされた益金の経理をだれがするか、だれが責任者であるかというような、こういう報告書が各町長のところに行っておりますけれども責任者の名前も出ていなければ、あるいは年月日も出ていないということで、経理それ自体に非常に不安感があるように思うんです。これが人口なり、あるいは財政能力ということによって直接配分されるならば問題はない。やはり受け入れあるいは支出というものは町の議会にはかられるわけでしょうから、そうなればよろしい。ですから、こういういままでの状態であると、個人に対するせんべつ金、たとえば消防団の団長がアジア消防会議に出席するそのせんべつ金であるとか、あるいは青年団長がどことかへ行くそのせんべつ金であるとか、あるいは県の職員が転任になるそのせんべつであるとか、非常に簡単に、そういう必ずしも適当と考えられない支出がずっと列挙されているわけです。こういう競輪の益金がそういう個人的なせんべつなどに使われるということ、これは自治省としてはもちろんおもしろいことではないとお考えでしょう。ですから、そういうことのために是正をされたんだろうと思うんですけれども、そういう個人的なせんべつとか、あるいは祝賀費であるとかいうような支出は適当でないとお考えだろうと思うんですけれども、その点はいかがですか。
  27. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 本来、競輪の収益金はその施行団体の収入になりまして、その支出につきましては、当然に予算に計上し、議会の議決を経て支出されるのが正当で、したがいまして、町村会に留保して、いわば予算を通じて分担され、あるいは支出されるべき使途に、予算経理を経ないで処理されておるという点については、制度上これは違法な措置であるといわざるを得ないのであります。また競輪の益金の使途につきましては、自転車競技法の第十一条にありますように、「自転車その他の機械の改良及び機械工業の合理化並びに社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、体育の振興その他住民の福祉の増進を図るための施策を行なうのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。」というような規定がございます。したがいまして、私どもの指導といたしましても、住民のいわば生活関連施設でありますとか、住民福祉の向上に資するような公共的な事業の財源に充てるべきであるというふうな指導をいたしておるわけでございます。そうしたいわば交際費的な使途に充てられるというようなことがもしあるとすれば、現在の法律の趣旨からしてきわめて不適当な使い方であると言わざるを得ないと思います。
  28. 松澤兼人

    松澤兼人君 私、聞いたことがあるのですけれども、競輪の益金があれば、交付税交付金ですか、交付金はかげんされるという話を聞いているのですけれども、それだけ、競輪から益金の配分があると、何かこう少し減らして交付金を支給するとかいう話があるのですけれども、そういうことがあるのですか。
  29. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 現在競輪の収益金は、普通交付税の算定にあたりましては基準財政収入額の計算には入っておりませんので、普通交付税の算定にあたりましては差し引きをするという措置はとっておりません。ただ、特別交付税の配分にあたりましては、その特別交付税の趣旨が、いわばその地方団体における特殊な財政事情というものを見て配分するわけでございますから、競輪の収益があります場合には、やはりその団体におけるいわば特殊の財政収入があったという見方を一部とって、ただ全額差し引くということはいたしておりません。その財政事情に応じまして一定額の減額措置はいたします。
  30. 松澤兼人

    松澤兼人君 何か益金の七割は特別交付金ですか、つまり三割を切り捨てるとかいうような話があるのですけれども、そういう固定した率ではないのですか。
  31. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 特別交付税の計算の場合には、その地方団体の特殊な財政需要の種類によりまして、たとえば災害復旧でありますとかいうような、いわば避けられない財政需要というものにつきましては、減額措置をしないで計算いたしますけれども、そのほかの、いわば私ども一般項目といっておりますけれども、そういうものにつきましては、それぞれの地方団体のいわば財政需要額に応じまして、これは収益の額なり財政需要の額によりまして差がございますけれども、平均的には三割程度くらいのものが減額されるような措置になっております。
  32. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういうプール計算というものが違法か、あるいは不当であるということで、各町の歳入の中に入れるように指導されて、そういう結果になっているということを聞きまして、私もたいへんけっこうなことだと思います。いずれにいたしましても、住民の利益ということを第一に考えなければならないのに、全く経理の責任もあいまいであるし、当然それだけ大きな金額でありますから、会計監査も行なわなければならないだろうし、あるいはまた議決に際して、町長及び町議会議長が何人が出席してといったような会議録もなければならないわけでありますが、その点、あるかないか私も知りません。しかし、いわば事務局的な人々がかってに——かってにというのは非常にことばが悪いですけれども、ごく少数の人たちが話し合いで、そうだそうだ、それをひとつ出しておけというようなことで支出され、住民の利益に本来還元されなければならないものが、そういういわばつき合い的な、いい顔をするというようなことのために、そういう競輪の益金が使われているというようなことになってはならないと思います。今後やはり実際としては、もちろん警察とか、あるいは裁判所はあまりの例のないことでしょうけれども裁判所に津名郡、三原郡その他で百万円も出すということは、自治体にとりましては、そう簡単に出せる金額じゃないわけです。今後、自治省としましては、そういう地元負担というようなことが強制的であるにせよ、あるいはまた自発的であるにせよ、いわば新築の祝い金的なそういうものを出すべきでないというか、あるいは厳正に支出をしなければならないというような行政指導をやっていただきたいと思うのですが、この点はいかがですか。
  33. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 国の施設なり、あるいは国の行政機関なりに対して地方団体がこれに寄付をし、あるいはその他の名目を問わず財政負担をするということにつきましては、一定の法律に定められたもの以外につきましては禁止をされているところであります。ただ、地方団体が負担いたします場合に、いろいろな名目を使ってやっている場合がございますけれども、あくまでも法の趣旨は趣旨として、その適正な執行にあたらせるよう私どもも毎年指導を続けておるところでございますけれども、やはりたまにこういう問題がございまして、まことに私どもも遺憾としておるところでございますが、さらに厳正な予算の執行にあたりますよう十分注意してまいりたいと考えております。
  34. 松澤兼人

    松澤兼人君 最後に、佐々木参事官に念のために申し上げておきますけれども、これは裁判所から直接に各地方自治体に話があったことでないかもしれません。そこで、裁判所新築協力委員会というのは、淡路の開発協議会という、先ほど経理局長が言われましたそういう団体の会長が裁判所新築協力委員会の会長をやっている。そこで、各地方自治体裁判所に直接寄付をするという形じゃなくて、淡路の開発協議会というようなものに寄付をして、それが同時にまた裁判所新築協力委員会——会長が同じですから、それが受け取って、そこから裁判所に渡っている、クッションを置いてありますけれども、しかし、実際は自治体の金が裁判所に対する新築の祝い金という形で出ておることは間違いない。ですから、そういうことが今後も起こるようなことになりますと、どんなにクッションがあっても、そういう官庁、あるいは関連の新築祝いなどに自治体が金を出すというようなことは厳に慎まなければならないので、この上とも行政指導をお願いいたしたいと思います。  それから経理局長には、先ほど申しました点、いろいろ申し上げたいことがございますけれども調査して後日また報告していただきたいと思います。
  35. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、国鉄労働組合並びに組合員が憲法二十八条の団結権並びに団体行動権が国鉄当局によって侵害されておる事案が最近方々で起きておる、こういうことを放置するわけにはまいりませんので、この点につきまして若干国鉄のほうに質問をしてみたいと思います。  問題が非常にたくさんあるわけでして、あるいは本日は問題を指摘する程度に終わり、主としてそれに関連した資料等の提出を願って、自後にそれらの資料をもとにして具体的な論議をするということになろうかと思います。また、地域的に見ましても、ほとんど全国にわたっておるわけですが、その中でも、たとえば静岡だとか、長野、大阪、こういったようなところに非常にたくさんの問題が起きております。私、本日は、先だって大阪の現場等を調査した関係がありまして、それらの調査資料をもとにして、その中の重要な問題点だけをお聞きすることにしたいと思います。  そこで、まず第一にお聞きいたしたいのは、管理者が勤務時間中に仕事をしておる労働組合員を呼び出して、そうして労働組合からの脱退を勧誘する、こういうことは私は当然許されないことだと思うのですが、国鉄当局としてはどういうふうにお考えになっておるんですか、これは具体的な問題というよりも、一つの考え方としてどういうふうにお考えになっているか、それをまず聞きたい。
  36. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) お尋ねの点でございますが、勤務時間中の職員を管理者側が呼び出しまして、組合からの脱退等を勧誘することは不当労働行為になると思います。
  37. 亀田得治

    ○亀田得治君 勤務時間中でなくても、これは組合の運営に対する介入ということになるわけでして、これははっきりしております。いわんや、それを勤務時間中に呼び出して行なう、こういうことをずいぶん、私、調査に参りまして具体的にお聞きをしました。私もたいへん驚いておるわけなんですが、だれが呼び出して、だれが呼ばれたか、具体的な資料等を私も相当部数持ってきております。そこで、こういうことはおそらく国鉄の本社のほうでもある程度知っておられるのじゃないか、ともかく職場に行くといろいろの人がそういうことを言うわけですね。そういううわさがそれほどたっている以上は、当然本社の、ことに担当の常務理事である山口さんは知っておるのじゃないかというふうに思うのですが、そういう点はどうなんでしょうか。
  38. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 御承知のように、現在国鉄には総評系の組合が二つ、同盟系の組合が一つ、三つの組合がございます。大体の数字は、総評系の国労二十七万、総評系の動力車組合六万、同盟系の新国労七万というような分布になっております。この三組合の間では常に多少の出入りがございます。しかし、大体ここ数年余りこの数字は大台までは変わっておりません。それが現況でございます。次いで、いまお話のような組合間の組合員の獲得ということは現実にはかなり行なわれております。これは組合間の問題でありまして、当局側が支配あるいは介入する事実はございません。一般的に言えますことは、激しい闘争等がございますと、そういう指導についていけないという職員が脱退をするという傾向はございます。その場合に直ちに他の組合に移る者、あるいは他の組合に入らずに前所属の非組合員として立場を保留する者等いろいろございますが、それは地区によって、あるいは闘争の計画等とある程度比例しまして、かなりの動きがございます。  それから、御指摘のような、当局側がその組合員の去就について介入するのではないかというお話でございますが、一般的に申し上げましてそういう事実はございません。現在御指摘の大阪地区では、そういう関係で労使間で多少のトラブルのあることは事実でございます。これにつきまして地方調停委員会——公労委の中央機関でございますが、そこの事案の性質上、公益委員の御意見を伺って、労使双方で当事者間で解決するようにというような非公式見解のもう一つ前の段階の御意見を承っているように聞いております。したがいまして、多少の紛争のある地区はございますが、事柄が労使間の問題でございますので、労使間でよく話し合ってトラブルのないように解決すべきだと思っております。
  39. 亀田得治

    ○亀田得治君 公労委で扱っておるのは多少問題が違うはずです。私がいまお尋ねした、当局が組合の脱退について介入しておる、こういう問題について、そんなことはないはずだ、こうあなたは言われますが、私は非常に具体的な資料を持ってきておりますよ。何時何分、場所はどこで、そうして管理者の側のだれ、明確に名前もはっきりしている。そうして介入を受けた組合員の名前、その経過。私も発言する以上は具体的にはっきりしたものでなければいけませんから、それで資料等もそろえてきているわけなんです。したがって、あなたは抽象的にそういうふうに否定されますが、最初のお答えでは、そのようなことは不当労働行為であってよくない、こうおっしゃっているんですね。もしそうだとすれば、そういう具体的な事実が明らかになったならばどういう処置をとりますか。
  40. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 最初の御質問は一般論としての御質問でございましたので、不当労働行為になるということをお答えしました。現実に大阪の局の当局側でそういう事実があるかないかということはまた別問題だと思います。かりに事実があるとしますればこれは法に触れることでございますから、所定の救済手段がとらるべきだと思います。現段階におきましては、われわれはそのような事実はない、かように確信いたしております。
  41. 亀田得治

    ○亀田得治君 山口さんは何か大阪のほうに照会されたですか、この問題について。その結果に基づいてそういうお答えをされておるんですか。そういうことはしないが、そういう法に触れるようなことはやっておらないだろうということなんですか。どっちですか。
  42. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 現在、大阪で労働関係を担当いたしております総務部長は、私が本社の職員局時代に補佐として使いまして、労働関係は非常に詳しい男でございます。また、大きな問題のあります場合には、地方問題として扱わずに、本社なり、あるいは直接組合本部なりと話し合う能力を持った人間だと思っております。したがいまして、御指摘のような間違いを起こすことはないと思います。具体的には、先日、諸先生方が大阪の管内の現場長とお会いになったという報告を聞いておりますが、具体的内容については別段のことを照会いたしておりません。
  43. 亀田得治

    ○亀田得治君 若干のことについては照会しておるという意味はどういうことなんですか。
  44. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 京都、向日町、梅小路、吹田、この四現場に諸先生方がおいでになって、大体どういう質問をなさいましたかというようなことを報告を受けております。
  45. 亀田得治

    ○亀田得治君 何も事実がないものを、単なるうわさだけで、この忙しいのに調査に行くわけがないんです。そのとき出た問題等について報告を山口さんとしては求めておるんですか。
  46. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 具体的な事案については照会をいたしておりません。
  47. 亀田得治

    ○亀田得治君 それでは私からあらためてその調査方を要求しますが、第一は、さっき申し上げた、勤務時間中に当局側の者が呼び出しをかけて、そうして組合脱退の勧誘をしたことがないかどうか。それから第二は、ついでに、時間も制限されておるから一緒に申し上げますが、組合脱退勧誘の際に、言い方は多少人によってニュアンスが異なるようですが、利益誘導を盛んにやるわけですね。国鉄労働組合におると、試験とか、昇格、昇給などの場合不利益になる、そっちを脱退したらいいようにしてやる、こういうことをはっきり言う人がある。それからもう一つは、管理者の立場の人が脱退届けを持って歩いておるのですね。そうして、連れてきた組合員に、これに署名捺印して出せと。口頭で言うだけじゃないのですよ。印刷された脱退届け、それを持ち歩いておるわけですね。これははなはだけしからぬと思うのです、こういうことは。それから、勧誘をする場合に、一ぱい飲みにいったりしておるのがあります。また、夜分家庭に菓子箱などを持って出かけていって勧誘をする、こういうのもあります。いま私が指摘したようなことは、一般論としてはおもしろくないことでしょう。一般論としてはどうです。
  48. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) そのような事実がありますれば、一般論としては適当でないと思います。
  49. 亀田得治

    ○亀田得治君 ところが、そういういま私が申し上げたようなことに当たることをいろいろ聞かされてきた。だから、国会でこういう質問があるが、こういうことをした人はあるのかないのか、調べてください。一人もそれがないということなら、私のほうから資料を出しましょう。言った者と聞いた者の関係ですから、具体的にそれは出すことにしましょう。ことさらに私も事を荒立てる——同じ職場で仕事をしておる関係ですから——そういう気持ちはありませんが、しかし、国会でそんなことをおっしゃるのはとんでもないぬれぎぬだというふうな調査の結果の報告であれば、私も言い出した以上はもっと明確にしなければならぬと思うのです。だから、そういう意味で、あなたの担当のようですから、これははっきり調べてほしいのです。できますね。
  50. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 御指摘のありました五点につきまして、事実の有無を調べまして、後日御報告を申し上げます。
  51. 亀田得治

    ○亀田得治君 どのくらいかかりますか、調査に。
  52. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 先生のほうの御都合をまずお伺いいたします。
  53. 亀田得治

    ○亀田得治君 次の委員会が来月の十日ですから、その一週間前ぐらいまでに文書で報告を願いたいと思うのです。
  54. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) かしこまりました。
  55. 亀田得治

    ○亀田得治君 次に、これもひとつ資料を先に出してもらって議論をしたほうがいいかもしれぬのですが、新八職への昇格問題、これも職場でずいぶんいろんな苦情を聞きました。つまり、当局のやり方が不公平だと、こういうことなんです。  それから三月九日、大鉄局管内の新八職への発表で、まあこういう問題は、どういう人がよくきちんと仕事をしておるとか、腕があるとか、これは職場では大体みんなわかるわけですね、日常見ておるから。したがって、そういう中で不自然な無理なえこひいきというものがありますと、これは職場の空気というものは非常に悪くなるわけです。特に新しい給与の段階をつくったときの処置などは非常に大事なんですね。で、いろいろこれは具体的な苦情を聞きました。聞きましたが、それについて論議をする前提として、三月九日発表された新八職への昇格の資料をまず出してほしいと思うのです。これはもう調査も何も必要がない、ちゃんと一覧表があるわけでしょうから。その資料の中身としては、個人名、それから組合所属、それからどこの職場——職場名、それから入社年月日、それから現職についた年月日、年齢と、まあこの程度の一覧表をつくっていただければ次の質問のこれは土台にできると思うのです。つまり、国労の諸君は非常にまま子扱いされておる、こういうことなんです。これも抽象論で言えば、いや、そんなことはないはずだ、山口さんはそんなふうにお答えになるにきまっておる。これはそうなっておらぬから問題が下から起きておるわけですから。その資料はすぐできますね。
  56. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) いまの新八職昇格の問題でございますが、先生からお話のございました資料の中で、個人名はごかんべんをいただきたいと思うのです。A、B、Cか何かで出そうと思います。国会の高い次元の場でございますので、部内の昇格等の個人名を出すのはどうかと思いますので、符牒を用いる。あとは組合所属、職場名、現職、年齢、けっこうです。
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、本来は比較するには個人名がないと非常に不便なんです。不便なんですが、個人の秘密にも関することというふうなこともあるかも、しれませんので、まあA、B、Cか一、二、三でもいいし、一応番号で出してもらいましょう。これは何名ぐらいありますか。
  58. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 地方にまかせきりのことでございますので、人数等は現在覚えておりません。調べまして提出いたします。
  59. 亀田得治

    ○亀田得治君 それからもう一つは年休問題ですね。いままでの慣行を無視して、年休を申請しても当局が許さない、こういうケースが昨年以来非常にふえてきておる。特に手不足で困るといったような事情等もない。大体その拒否の理由は、年休を取って労働組合の活動に参加するんじゃないかと、そういうことが最大の理由のようですね。しかし、年休は法律上認められた権利であり、それから、年休に入ってしまえば、どういう行動をとろうとこれは自由なのです。当局にとってあまり思わしくないことでありましても、自由に行動できるわけですね。ところが、労働組合運動をやるために年休を取っているという角度から許すとか許さぬとか、そういうことをずいぶんやっておるようですね。これはずいぶん行き過ぎた行動ではないかと思うのですがね。
  60. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 年次有給休暇は当然に取り得るものでございます。ただ、国鉄の業務の性質上、ポカ休としておりますが、急に突発的に休まれますと、交代の者がたれか乗務をしなければならない。二十四時間、汽車を動かしておるわけでございますから、ある人間が権利を主張すれば、たれか代務で迷惑をする者がいるわけでございます。したがいまして、地方別にはいろいろなルールをつくりまして、他人に迷惑をかけないように年次有給休暇の取り方というものを慣行としてとられているわけでございます。それがここ数年来急に変わったというぐあいには考えておりません。ただ、昨年、一昨年、非常に労使関係が不安定な時期がございまして、闘争の手段として年次有給休暇を取るという傾向が見られた個所がございます。あるいはそういうところで年休の規制というようなことが行なわれたのかもしれませんが、これは想像でございます。具体的に、いかなる現場でどのような不都合があったか、御指摘があれば、さっそくそれを取り調べをいたします。
  61. 亀田得治

    ○亀田得治君 業務の運営に支障がなければ、申請してくれば許すのが当然でしょう。業務の運営に支障がある場合まで私は言っているのではないのです。それはどうですか。
  62. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 業務の運営の支障の認定の問題でございますが、一般的に、支障のない場合には与えるのが原則でございます。ただ、多数の者が一時に参りますと、当人の判断では業務に支障がないと思いましても、管理者側で見ますと、そう一度に年休を取られては困るという事態もあろうかと思います。したがいまして、御指摘のような問題は、具体的な業務機関について調査した上でお答えをいたしたいと思います。
  63. 亀田得治

    ○亀田得治君 だから、私、いま抽象的にお聞きしたわけなのです、考え方を。業務の運営に支障があるかないかは、それは具体的な場合に判断しなければならないことでしょうが、ともかく抽象的な一般論としては、業務の運営に支障がなければ、この申請があれば許す、これが当然でしょう
  64. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君)若干の時間的の余裕があって措置をできる場合には、お話のとおりでございます。
  65. 亀田得治

    ○亀田得治君 その場合に、年休を取った人が労働組合の運動に参加する、しない、そんなことは自由ですわね、業務の運営に支障がないのだから、年休を取った人がどんなことをしようと。それはもちろん悪いことをしてはいけません、それは年休であろうが何であろうが。そんなことじゃない。ともかく自分の好きなことをやれるのがこれは年休なんですから、したがって、労働組合運動に参加したって差しつかえないわけでしょう。もちろん、それは一度にどっと行くとからっぽになってしまう。そうだと、それは第一の問題で問題になるわけですね。だから、そうではない。それはもう過ぎておるのだ。私は次の二番目のところを聞いているわけです。第一の問題点は支障がないということなら、あとはどんな行動をとろうとそれは自由でしょう。それはどうなんです。
  66. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) お話しの、悪いことをしなければ当人の自由でございます。
  67. 亀田得治

    ○亀田得治君 悪いことをしなければというのは、労働組合運動は悪いことじゃないでしょう。
  68. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 労働組合運動を悪いと申し上げたのではございません。
  69. 亀田得治

    ○亀田得治君 ところが、いまあなたがお答えになるようなことと違うケースをたくさんこれもまた聞かされたのです。はなはだしいのは、一たん年休を許しておいて、そうしてあとから取り消す、こういうケースがある。それから、もっと極端なのは、年休を取って、これはもう正規に許可を受けて、許可を受けた以上は、労働組合運動をやろうが何をやろうが自由ですからね。それはぼくらは競輪や競馬に行ったりするよりもよほど見上げた行動だと、こう見ておるのですが、ところが、そういう人について、二カ月ほどたってから、あの年休を取り消しますと、こういうことをやっているのがあるのですよ。許可を受けて、そうしてその人は休んで、もうそれで終わっているわけですね、事態が。それを、一月も二月もたってから取り消す。取り消した結果はどうなるかというと、無断欠席ということになりますからね。だから、賃金カットでしょう。それをやられているのがおるのですよ。前の月の給料も払ってしまって、それでもう一つ次の給料からわざわざそのときのやつを差し引いている。それじゃひどいじゃないですかね、こんなこと。  だから、あなたにお調べ願いたいのは、昨年の暮れからことしにかけて大鉄局管内で年休を拒否した案件ですね。これも一、二、三でいいですわ。これの拒否した理由、これを明らかにしてほしいのです。組合の所属ぐらいははっきりしてほしいと思うのですね。名前はもう一、二、三でけっこうです。  それからもう一つは、年休を許可しながら取り消したやつですね、この取り消した中には二通りあって、年休のその日が経過した後に取り消した、それについては幾らの賃金カットをしたか。これはそんなに私はよけいあるケースじゃないと思いますから、最後のほうは、これは皆さんがすぐ照会されたらはっきりしてくると思うのであります。これは最初の不当労働行為の問題と違って、数字的にこれははっきりしているはずですから、こういうことはできますね。この調査は簡単です。
  70. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) いまお話のございました年休の問題は二つございまして、年休を拒否したもの、これをすべて計上することはおそらくできないんではないかと思います。年休の願い出がありまして、これを操作いたしまして、許可しない場合には、実務上の出勤簿等には全然載りませんので、出勤した者は出勤ということに埋没されてしまう。したがいまして、拒否した件数というのは、三万人おる職員でございますので、すべてを出すことはできないと思います。  それから、二番目の、許可して後に取り消した、その日を経過した後に取り消して、賃金カットを行なったもの、これは調べれば、あるいは全数ではございませんが、ある程度職場を御指定いただきますれば、そう過去にさかのぼらなければ、調査が可能と思います。
  71. 亀田得治

    ○亀田得治君 職場としては、大阪鉄道局管内の京都から大阪にかけての職場ということにしておきましょう。
  72. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 京都から大阪でございますが、これは三万人のうち三分の一ぐらいいる大きな機関でございまして、京都、大阪の間には、駅以外にいろんな業務機関ございますが、それすべてをということになりますと、小さな管理局一局分くらいになりますので、もう少し限定願えないでしょうか。
  73. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、年休を許可して取り消したというのは、そんなに私は数があると思わないのです。だから、これはそのつど組合のほうでも問題にしておりますからね、大鉄当局では、これはすぐ資料はそろうと思うのですね。だから、どうしても膨大でそろわぬというなら、そのときの話にしましょう。そんなにそろわぬくらいにたくさんあるんだったら、これはまた大問題ですね、実際。
  74. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 小一万の人間の過去一年間の出勤簿を全部繰るということになるわけでございます。で、月ごとに別冊で倉庫に入ってしまうわけです。したがいまして、これをもう一度引っぱり出して全部チェックするということは、ある意味ではむだなことではないかと思います。したがいまして、御指摘のような事実がありますならば、むしろ、原告側の組合側から資料をもらいましてその事実を確かめるほうが早いと思います。いかがでございましょう。
  75. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、私のほうは、具体的にもう聞いてきておるわけなんです。しかし、それが全部とは限らぬわね。行政調査というのは、一つの具体的な問題を機縁にして、そして国鉄当局の全体の労務政策というものを調べていくわけなのですから。そういう意味で、あなたのほうから全部の資料を出してくれなきゃ、こっちじゃわからぬわけなんです。こちらは部分的なんですよ。だから、そこで、何年間にもわたってといえば、これはたいへんでしょうが、昨年の後半から現在までにかけての時点に限定しましょう。一年間ですね、約。
  76. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 正式に国会からの御要求ということでございますれば、時間をいただきまして調査をいたします。ただ、三月には相当の数の異動がございます。退職者もございます。現在在籍しない者たちをえり分けること自体が、出勤簿の中ではめんどうなことになります。したがいまして、転勤をしていった者、転入してまいった者、退職をした者、全数調査をしなきゃならないわけです。したがいまして、何か事務的に簡便にできる調査をわれわれも考えたいと思います。これは後ほど、もう少し、どういう調査ならできるかということを考えまして、先生のもとへ御相談に上がりたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  77. 亀田得治

    ○亀田得治君 京都−大阪でも、特に京都駅関係、向日町関係、梅小路関係、それから吹田の関係ですね、大鉄局になりますかな、大阪駅ということになるかな、その辺に限定したら、わりあい簡単にやれるんじゃないですか。
  78. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 吹田というのは、吹田操車場と駅と両方ございますが。
  79. 亀田得治

    ○亀田得治君 両方。
  80. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 両方でございますね。この程度なら努力をいたしてみます。また途中で、経過でいろいろ指示を仰ぐことにいたしたいと思います。
  81. 亀田得治

    ○亀田得治君 私のほうで、いま限定したもんだから、いやそれではここが抜けておるというところが出てきたら、これは非公式に追加して連絡します。限定してくれと言うからめんどくさいことになるので、ほんとうはこれくらい全部出してもらわなければ、全体の中でどういうことをやっておるのかということを、やはりこちらは見たいわけです。きょうは大阪だけやっておりますが、長野でも、静岡でも、仙台でもどうなっておるかとか、私は、いまの国鉄の労務政策としては、非常な重要な一つの問題点じゃないかと思うんですね。こんな、許した年休を取り消すということはね。これはもってのほかですよ。そうして、賃金カットまで二月後にするなんていうのはね、その労働者にとってはいたたまれんような気持ちになるんじゃないですか。おそらくほかの職場でそんなことはないでしょう。あれは年休を与えるのをちょっとうっかりしておったと、それはあとから後悔する、内心そういうことを考える人はそれはちょいちょいあるだろうけれども、出してしまったものをこんな仕打ちをするというのは、断じてこれは許せんと私は思っておるんです。  それから次は、功労賞の問題ですね、これもひとつ漏れておるんですね。で、この点については、国鉄の本社と国労の本部が、三月二十五日に交渉を持っておりますね。これは功績賞、功労賞、身元保証人問題ですか、ほか、いろいろな問題があるわけですが、そのうち、この交渉の中で、功労賞については国鉄本社の当局がこういうふうに組合に答えておることは、これはあなたが担当者ですから御存じだと思いますが、念のため読み上げます。「功労賞の基準は地方ごとに決めるものであり、地方で説明し、組合の意見は当然きく」、こういうふうに三月二十五日の交渉では当局がお答えになっておるようですが、これは間違いありませんね。
  82. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 本部、本社間の交渉には、すべて出ておるというわけではありません。したがって、三月二十五日にこのような交渉を持たれておるかどうかも、現在記憶にございません。ただ、いま読み上げられました内容は、精神において間違ったことではございませんので、そのように答弁をしておると思います。
  83. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこで、「組合の意見は当然きく」と、こうなっておるんですが、国鉄の本社としては、そういうふうに各地方の責任者に連絡をし指導をしておるんでしょうか。ただ本社と国労の本部との交渉だけで、まあ交渉のそのときの空気で追い詰められてまあこう答えたんで、どうも本心じゃないんだと、あとはほうっておけというふうなことになっておるのか。どっちなんですかね。
  84. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) これはいろいろ労使間でいきさつのある問題でございますので、ここで長々と御説明申し上げるのもいかがかと思います。ただ、原則的な考え方を申し上げますと、職種によりましては、昇職というような機会のない職がございます。一たんつきますと、その職名のままずっと長いこと勤務するというような職種がございます。そういう職種に対して何か刺激的なものが要るんではないかということから、地方では、管理局長ごとに、同一職にあっても事故を長いこと起こさない者とか、いろいろな基準をつくりましてインセンティヴな手段をとっている。ただ、もともと職員のモラルを上げようという目的でございますから、できればこういうものは労使間でゆっくり話し合って、何が一番喜ばしいかということを見きわめた上で実施するのが常識的かと思います。ただ、現在、組合によりましては、こういう当局側からのほめ、あるいは表彰といいますか、こういうものに対しまして方針的に反対する地方、あるいは考え方がございます。そういうところでは入り口論争になりまして、団体交渉事項であるとかないとか、あるいは説明でいいのだとか、そういう門口論議で問題が中に入らないというようなところもございます。したがいまして、この問題につきましては、地区別に、あるいは系統別にいろいろないきさつのある問題でございますので、ここで全般について現在こうであるという御説明ができません。ただ、近く本部、本社間でこの問題、あるいはこれに関連する問題につきまして話し合いをする予定でおります。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、その入り口論争になる、なる場合もあるというふうなことも言われますけれども、それは組合の立場とすれば当然出てくるやはり議論だろうと思います。こういうことがいわゆる労務政策、ことに国労と鉄労との関係といったようなものをからませた労務政策的に使われては困る。これは心配するのはあたりまえですね。事実またそういうふうな不明朗な表彰のしかたをやれば、これは長い目で見て、決して職場全体のプラスに私はなるものじゃないと思うのです。表彰されたほうも、それから落ちたほうも、両方とも気分が悪うなるわけなんです。だから、これは本社が国労の本部に対してお答えになったように「組合の意見は当然きく」と、これをやはり各地方の鉄道管理局が十分やっぱり実行してもらわなきゃいかぬですよ。そのことがいわゆる法律上団体交渉になるのかならぬのかという問題もそれは出てくると思いますが、それはなるべく聞きたくないような姿勢で、ちょっと聞いてみるだけだというような態度に出るから、もともと本来はもう正々堂々と議題にすべきことじゃないであろうかと、これまた組合が開き直ってくるのは、これは成り行き上そうならざるを得ぬでしょう。まあ、表彰制度ということの趣旨からいってみんながおさまるような客観的なひとつ基準等も設けて、そうしてやっていこう、だれが見ても、あああの人が表彰されるのは当然だというふうな表彰でなければ、これは平地に波乱を起こすような結果になるだけなんですね。当然なんですよ。しかし、そのことがやられておらぬから、私、これまた取り上げているのですが、大阪では五月十五日に功労賞の表彰が大鉄管理局長からなされたのですね。ところが、組合への連絡は前日です。本社と国労本部との話し合いのいきさつがあるものですから、まあ一応連絡だけしておかぬと、あとからしっぽをつかまれちゃ困るというような感じしかこれはしませんわね。前日連絡を受けて、組合として何の意見を言えますか。意見を言う前に、やはり組合同士で組合員の中同士でいろいろ検討しなければならぬだろうし、そういうことについて前日に連絡——十四日にはもうちゃんと案ができているんじゃないですか、第一。大鉄管理局長のほうで案を持っておって、形だけちょっと連絡をとるということは、はなはだおもしろくないと思うのですね。これはあなたの耳にも入っているはずですがね、この問題は。どうですか。
  86. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 五月十五日の大鉄の功労賞の表彰のことは、いま初めて——地方別には行なわれていることは知っておりますが、大阪がいつというようなことは存じておりません。ただ、言えますことは、この種の問題は労使間できめる問題でありまして、ぎくしゃくする場合には、それはそれなりの理屈があるのだと思います。片一方だけが特に悪くて、片一方全く落ち度がないというようなことは、労使間の紛争ではあり得ないのではないかと思います。いまもお話しのようなことでございますが、もう一つ、功労賞につきましては地方の意見を聞くということになっておりますが、功労賞というような制度に基本的に賛成であれば、その表彰のしかたについて意見を聞くということでございまして、功労賞のような制度そのものに反対している場合、これは従来の慣行では局長限りで表彰を行なっております。こういうものを、たまたま従来の局長表彰と言っておりました地方の課所長の表彰を、何か全国的に同じようなグレードの名前にして横に並べようではないかということで、名前を変えましただけで、従来の慣行と特に違ったことではない。たまたま功労賞という名前をつけましたために、先ほどお話がございましたように、本社・本部間で意見を聞けよというようなことの話し合いもあった経過を踏まえて、大阪では前日に連絡したのではないかと思います。これは後段は私の想像でございますので、取り調べた上でまた御返事をいたします。
  87. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかく、今年に入って各鉄道管理局で、人は違っても、おのおの功労賞という名前を出されているのだと思いますね。その手続報告してくれませんか。大阪の場合には十四日に通知して十五日にやった。ほかの管理局ではどういうふうになっているのか。それともう一つは、功労賞を受けた人ですね。これも——これはいいでしょう、ほめられるのですから、名前出したって。これは全国ですと二、三千名になるようですが、大阪管内だけでけっこうです。どういう人が五月十五日に表彰されたのか、これも明らかにしてほしいと思います。これはできますね。
  88. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 可能と思います。
  89. 亀田得治

    ○亀田得治君 それからもう一つは、例の功績賞のほうですね。功績賞の問題、これについては法廷闘争にまでなり、ここに判決の全文を持ってきておりますが、東京地方裁判所でも、これは正規の団体交渉の対象にすべきものだ。こまかい理由はいま申し上げませんが、そういう結論を出しているわけですね。国鉄のほうでは、それに不服だということで控訴をしておりますが、この第一審判決の中身をずっと見ますと、ちょっとやはり控訴は通りそうにもないような案件だと思うんですがね。そういうものについて大国鉄ともあろうものが、ともかく控訴するのは負けたものの権利じゃというふうなことをやっているということは、私はどうもおもしろくないと思います。第一回の裁判までは、それはどっちの判断が正しいかわからぬということで、一応の判断を受けてみるということはあってもいいと思うんですが、一審判決が出れば、そこはもう少し良識的に扱うべきものじゃないかというふうにこの判決内容を読んでみてなおさらそう思っているんですが、どうですか。
  90. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 功績賞の問題もいろいろいきさつのある問題でございまして、判決では、ごらんのとおりの判決が出ております。ただ、その中で一部当局側の主張している点が入らなかった面もございますので控訴をしたわけでございます。裁判が係属中の問題でありますので、個人的な意見は差し控えますが、裁判とは別にいろいろな話し合いの場を持っておりますので、しばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  91. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、ともかくこういう問題はそれは早く片づけてくださいよ。第一、人の表彰についてそれが裁判にまで発展していかなければならぬということはどこかにやはり扱い上欠陥があるわけですよ。功績賞の場合は、単なる簡単なこれは表彰じゃないわけでしてね、これはだれが見てもやはり一つの労働条件だという感じを持つわけですよ。それに関連した法規の解釈になりますと、これは専門の法律家が寄れば、どっちにでも理屈のつくものですよ。国鉄の方向でこれを解釈してくれと言えばできるわけですね。しかし、常識的に見た場合に、功績賞の場合はこれは簡単にもらえるわけでもないんだし、一つの大きな労働条件というふうに常識的に考えたらいいと思うんですね。部分的に、規定の解釈か何かその辺で、裁判所のお考えがちょっとわしのやつと一致しないからこの点が気に入らぬからと、そういうことじゃなしに、大局的に見てやはり判断しなければいかぬと思うんですよ。だから、ぜひこれはひとつ早期解決を要望しておきます。  それからもう一つ、これもずいぶん聞かされたことですが、ことしの二月十六日に京都の「はとや」旅館というところで京都駅の研究会が持たれたんですね。この会の目的、時間、出席者、それから費用ですね。費用の支払いはどうなっているのか。当局の管理者が自分のポケットマネーでやったものか、あるいは、業務上の研究会というふうに表向きはおっしゃっているようですから、それならば国鉄の経理から出していいわけですが、この支払いは一体どうなっているのか。この点をひとつ御報告願いたいと思います。なぜ聞くかといいますと、これは表向きは、質問を受けて業務上の必要な研究会とはなっているが、中身は、管理者が国鉄労働組合の脱退者をどうしてふやすかという相談会であった。相当確実な資料に基づいて私、申し上げているわけです。それでお開きするわけです。しかも、これは勤務時間中のあれです。お調べ願えますな。
  92. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 当局側が計画いたしました会であるならば、御指摘のような目的、時間、出席者費用等を取り調べます。当局側の関知しない会である場合には、若干伝聞になるかもしれません。
  93. 亀田得治

    ○亀田得治君 それから最後に、もうちょうど一時間ですから終わりますが、大阪の新しい局長が来てからずいぶん労使間で問題がふえてきているのですね。そういうことにも関連していろいろな不当労働行為をやられているのだが、そういうことについて組合員が正規の手続、たとえば裁判所に対する救済なり、あるいは公労委に対する救済なり、あるいは国会に対する陳情なり、そういうことをしたい気持ちがたくさんあるわけですね。ところが、そういうことをやると、どうも最近の当局の態度というのは、よけい腹いせ的にいろいろな仕返しをしてくるのじゃないか。ここまで職場の人に疑念を持たすということは、私はよくないと思うんですよ。それでお聞きするわけですが、組合員がどうも自分としては腹の虫がおさまらぬということで、それぞれ法律に許された陳情なり、あるいは申請等をした場合に、そういう国鉄の内輪のことを持ち出すのはけしからぬという立場で仕返しをするというふうなことは、私は、その人に認められた法律上の権利をまた圧迫することになりますから、そんなことはよくないと思いますが、山口さんはどうですか。
  94. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 不当労働行為に対する所定の救済手続に対して差別待遇をすることは不当労働行為だと思います。
  95. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、きょうは、いろいろこの間聞かされた問題を抽象的にずっとお尋ねしたのですが、これだけのことをたくさん訴えられるという大阪の現在の実態ですね。これはひとつ山口さん、十分検討してください。あなたの直系の人が総務部長で、そうしてあなた自身も本日の委員会の劈頭に、あいつならそんな間違ったことはないはずだと、非常に信頼しておられるんですがね。どうしてこういうことになっておるのか、事実関係というものを、きょうお約束願った資料をそろえるについても、当然いろんな話をお聞きになることと思いますが、ともかくこういう苦情が出ぬように、資料を集めると同時に指導してもらいたいと思うのです。どうですか。
  96. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 労使間の問題でございますので、大阪の労使双方話し合いをしまして円満に解決するのが第一義だと思います。現に地方調停委員会の公益委員の非公式見解以前のお考えというのもその線です。したがいまして、こういう国政を論議する高い場にこういう小さな問題が出てくることはまことに遺憾でございますが、ただ、何と申しますか、先生のお話を伺っておりますと、何か当局側だけがけしからなくて、組合の幹部はみなりっぱであるというように聞こえるわけでございます。私は当局側の人間でございますので、それでは黙って帰るわけにまいりませんので、やはり労使間の問題は労使双方の責任だ、したがいまして、予断と偏見なしにいろいろな資料は調製をいたしますが、先生のところにいろいろ申し上げた組合側の責任者にも少し反省を要する点があるのではないかと思います。
  97. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこで、そこまでおっしゃるんなら、もう少しまた申し上げておきますが、資料を整備される過程の中で、いろんな問題について具体的な材料に触れられると思うんですね。その際に、山口さん自身が、ここは組合側としてはどうかなというふうな点があったら、それは遠慮なくひとつ御指摘をください、決して私たちそういうことを聞く耳は持っておらぬというのじゃ絶対ありませんから。とにかく、こういう短時間調査に行って、これだけの問題をわんさわんさ聞かされるような現状は、ともかくよくない、こういうことを非常に強く感じてきたわけです。いわんや、勤務時間中に呼び出して、組合やめたらどうか。そうしてちゃんとあんた脱退届け持っておるんです、印刷したものを。それは、われわれが後に国政調査やろうなんというようなことを少しでも考えておったら、そんな印刷物なんか持って歩かぬだろうと思いますがね。こういうことは、これは相手方にどれだけの落ち度がありましょうとも、管理者自身としては、それは絶対すべきことではないです。近ごろはずいぶん時間がやかましいんですね。勤務時間中、たとえば五分、十分と仕事を休む時間があった。それが三つほど重なると、それで三十分だというような計算をして、そして何か四十分ぐらいになると一時間分カットするのですか。そんなこまかい計算までされた人がおるのですよ。私、それ聞いてびっくりしましたが、それは名前もわかっております。一方でそういうことをしておって、自分が不当労働行為に当たるようなことを勤務時間中にやる。そんなことでいまの労働者は納得するものじゃないですよ。だから、そういう、私が最初に申し上げた行為などは、これはもう事実があればこれは弁解の余地がないわけですよ、これは。おそらくあなたに対しては、いや、それは決して脱退までは言うているのじゃないのだ、まあ、どうかなという意見をそれとなく聞いてみたんだとか、これは必ず否認するのですよ、それは。趣旨は否認するのです、趣旨は。会うたことまでは否認できませんよ、それは。だから、そういう、それじゃ、勤務時間中に、一体何でそんな雑談みたいことで会うのか、これ自体がけしからぬことでしょう、一方ではそんな二つなり三つ合わせてこれは一時間というふうなことでやっておりながら。だから、組合に対する批判を聞かされる。で、また改めなきゃならぬ点があれば当然それは改めたらいい。そのかわり、当局としても、明らかにこれはいかぬということが出てくれば、それに対してああでもないこうでもないという理屈をつけるのじゃなしに、ああそれはよくない、今後そういうことはやらぬと、きっぱり言ってもらえば、それはこちらも納得しますよ。そういうことで、ひとつ第一段の御調査をお願いしておきます。
  98. 山口茂夫

    説明員(山口茂夫君) 御要求のございました資料は整えまして、また後日御意見を拝聴することにします。
  99. 小林武

    小林武君 矯正局長にお尋ねをいたします。  羽山矯正局長になりましたときに、「時の人」の欄を私見たんですけれども、その「時の人」の欄に、「矯正局長というポストは割りが合わない」ポストであるということが書かれておりました。前の局長も、思わざることにあいまして責任をとらざるを得なかった。その前の矯正局長もそうだった。二代連続の更迭ということでありまして、なるほど問題の多いところと、こう思うわけです。なおその問題点が、これはどういうことだろうというほどわれわれもふしぎに感ずるくらいの問題であります。そういう矯正局長というポストは、これは羽山矯正局長が言われたことばではないのですけれども、第三者的な意見だと思いますけれども、「割りに合わない」という言い方をされる、そういうものが、やはり矯正局という仕事の中にあるのではないかということを私自身も考えるのです。新聞なんかでも、今度の静岡刑務所の問題につきましては、かなりの議論をしているわけでありますが、その議論の中に、刑務所職員の綱紀の問題を議論しているわけであります。もちろん、私はそういう点の問題もあるだろうと思いますけれども、その綱紀の問題が努力のわりあいには効果があらわれないというか、二代にわたってそういう問題が起こったということについて、私は個人的なとかあるいは偶然的に起こった問題だとばかりは言い切れないものがあると思います。制度機構その他の問題について大いに考えなければならない時期がきていると思うのですが、局長の意見はどうですか。
  100. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 一番最初にお尋ねの、割りに合わないという点でございますが、これは面接に来られました新聞記者の方が書かれたようでございまして、私が申したことばではございません。また前任の勝尾局長が申したのでもなかろうかと思います。ただ、いま二件御指摘がございましたが、実は正確に申しますと、十数年前になりますか、当時の中尾矯正局長は東京拘置所から死刑囚が二回脱走いたしました責任をとりまして、やはり矯正局長をやめられたのであります。その後に、松山事件で布施局長がやめ、それから先般の静岡の事件で勝尾局長がやめると、こういうようなふうになっておりまして、まあ事件があるたびに局長は更迭されるという、少なくとも過去にそういう事実があったことは否定できないわけでございます。で、これはどんな小さな事故でも局長がやめなければならぬというわけのものではなかろうかと思うのでございます。矯正局長の所管の最も重要な業務の一つといたしまして、法務大臣を補佐して各施設の長の任免を行なうという業務があるのでございます。すなわち大臣の最も直接的な施設長の任免権の補佐をする。そこで、たまたまその任命の対象になりました施設長が非常に不適当でございまして、事故を起こすに至ったというような場合には、これはやはり局長としては責任をとるべきであるというふうに考えるわけでございます。刑務所で事故が起きますと、たとえば逃走がございますというようなことは、直ちに周辺の人々に非常に脅威を与えるわけでございます。なお、御承知のように刑務所、拘置所というようなものは、合法的に実力を行使する一つの場でございまして、こういう場所はあまりないわけでございます。そこで、そういう合法的に実力を行使する場におきまして、その実力行使自体が歪曲いたしておりまして、適切に行なわれていないということに相なりますると、これは非常な問題であるということになろうかと思うのでございます。  で、お尋ねの金嬉老の事件でございますが、この事件の特徴と申しますと、まず所内と関係のないところから一つ申し上げますると、金嬉老がほうちょうを持っておりまして、その他いろいろな品物を持っておりますことを接見に行かれました弁護人が発見されて、弁護人が写真を写す、そうしてそれが新聞に報道される、この発覚の端緒がまことに異常でございまして、この点がまず第一に特徴点でございます。  第二点は、二点以下は要するに施設内の責任になってまいるのでございますが、未決拘禁にいたしましても、既決の受刑者にいたしましても、いろいろ所内の規律保持のために、正規のルートを通さずに物品を持つということは許されておらないわけでございます。現在、たとえば安全かみそりのようなものも原則としては所持が許されていないわけでございます。しかるに金嬉老被告の場合は、約百点以上のものがその独居房に入っておりまして、そうしてそれを入れることにつきまして、担当看守その他約十人の者が積極的あるいは消極的に協力をしたという疑いがあるのでございます。そうして、ただいままでの調査によりますると、看守がむしろ金被告に威圧されたと申しますか、すっかり押え込まれたような形になりまして、金被告の思うままにものが入った、しかもここに、静岡地検の調査によりますると、わいろをもらったというような事実がさしあたりないのでございまして、先ほど申し上げましたが、合法的に実力行使の衝に当たります職員が、全くその実力行使をする威力と申しますか権威と申しますか、そういうものを喪失いたしまして、逆に収容者のほうから注文を受け、いろいろ事実上指揮を受けるというような形になっておりまして、それでそのことを、幹部でありまする刑務所長が、これはすでに退職いたしておるのでございますが、約二年間にわたりまして全然知らなかったというわけでございます。これはまことに奇怪なことでございまして、実務家は、私、着任以来多くの実務家にこの感想を求めますと、お恥ずかしくてものも言えませんというのが一致した感想でございます。で、こういうような状況でございましたために、前局長責任をとってやめられたと、こういうようなことになるわけでございまして、お尋ねの綱紀弛緩、まさにこれはそのとおりでございまして、それ以外にちょっとこの原因と申しますか、最も大きな原因はやはり綱紀の弛緩であるというふうにお答え申し上げるのが一番正確に事態を評価したものであろう、かように考えるものでございます。
  101. 小林武

    小林武君 若干局長の答弁については納得いかないところがございます。正直に何でも言ったほうがいいですが、たとえば発覚の端緒が異常であるというようなこと、これはもう発覚の端緒が何であろうとかんであろうと、そういう事実が存在したということが異常な事態なんですよ。異常であったということは、いまも局長が言われましたように、刑務所長も知らなければだれも知らぬ、そういう事態にあるのであって、これは何か弁護人がそれについて責任を負わなければならぬとは言わないけれども、何かそういう感じを持たれることは、これはちょっと私としては受け取れない、こう思うのです。それから、いまの答弁だというと、まあ責任の持ち方というのはいろいろあるということは、これはもちろんそのとおりです。そういう刑務所長を任命したという任命上の責任ということはあっても、直接この事件の責任というようなものは矯正局長にあまりないような御発言のようにぼくは聞こえるんです。私ならば、矯正局長というのは、いかなる刑務所の末端に起こったことでも全責任を持つくらいの迫力がなくて綱紀の粛正というようなことは言えないし、また局長一人の責任であって、大臣はこれについて関知すべきことでないというような、そういうものでも私はないと思う。しかし、それを私は責める気はありません。それだけのしかし責任を持っても、なおかつ——私もまことにお気の毒だと思っているんですよ、こういう事態が起こるということは。まあここの委員会の中で質問が出たときに、起こり得ることでないことが起こったという前の局長の御答弁であったと思いますが、まことに実感のこもった答弁だったと思う。しかし、そういうことが起こったということについて、綱紀がゆるんだ、しかもそれは末端の看守並びに刑務所長、そこらを含めた人たちのゆるみだけだとはおっしゃらないけれども、どうもそこに重点を置いたようなお考えだというと、私は的を射た考え方でなくて、この考え方を改めない限りにおいては、まだそういう事態の根は絶えない、こう考えます。たとえば、ある新聞の社説の中に、昭和四十一年の松山刑務所の問題が起こったときに、綱紀の粛正に関して抜本的な徹底的な追及、究明を行なうということを言ったにもかかわらず、このたび——というような書き方をしている。私は前の問題だってまさに驚愕に値する問題だと思う。私はそういうところに——一歩下がって、問題がどこにあったか、いまの刑務所なり矯正のしかたというものにどういう問題点があるかということに心を配らなければならぬということを考えたわけです。きょうは時間があれしますからこの次のときに譲りますけれども、私が考えていることの中には、私は非常に期待したのですけれども、その人物、時の人の欄を見まして、局長が監獄法を改正することを述べておるのですが、これは御本人が言ったのか、新聞記者が書いたのか、そこらはわかりませんけれども、ここでは局長の抱負のように言われておる。当面の大きな仕事は監獄法改正で、これが羽山矯正局長の非常にこれから取り組まなければならぬ仕事だというふうに考えたものですから、抱負も持たれていらっしゃると思いますからお尋ねしたんですが、私は、監獄法自体の中のやはり現状に合わない——しろうとがそういうことを言わなくても、いまの監獄法というようなものに問題点があるのではないかということが言われておりますし、すでに監獄法を改めようかという作業もかなりいままで長期にわたってやられておると聞いておるわけでありますが、そういう点についての考え方は、局長としてはお持ちですか。
  102. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 監獄法は——いつまで在任いたしますかわかりませんが、できるだけの努力をして、全面改正をいたしたいと考えております。
  103. 小林武

    小林武君 何だか心もとないような話ですけれども、私は、少年法の改正というものにいまの法務大臣、たいへん力まられて——私は少年法の改正もさることながら、もっと監獄法というようなものを、軽視するといいますか、いつになるやらというお話の中にも問題点があると思うのです。私はそうではないと思うのです。監獄法というようなものを、いま局長も御答弁なさいましたが、合法的な一つの国と犯罪人との間の法律関係としてとにかく見ていくという考え方、き然たる態度を持ってやれという考え方は、これは一面としては非常に、一面どころではなく非常に強調されてきたと思うのです。しかし、矯正局という名前がある限りにおいて、私は非常に新しい考え方のことばだということを聞いたことがあるのですが、矯正局という局がそれを取り扱っている限りにおいては、監獄法というものはもっと近代化されなければならぬというふうに考えるのです。このことがとにかく徹底的に主眼に置かれていった場合においては、いまの刑務所の職員の気持ちの持ち方その他において大きな変革が起こると思うのです。私は矯正職員というのは何だろうと思って、この間から一生懸命調べたんですが、よくわからなかったのですが、矯正職員というのは、これは看守を含めてみんなをいうか、そこらのところ的確にわからぬのですが、しかし、矯正職員ということになりますと、私は単なる罪人を見張りしているような、反則をするものがあったら断固許さぬぞという考え方ではなくて、一つの私は、教育者といっても非常にむずかしい教育をやる性格のものだと、だから矯正職員の資質、矯正職員の素養、矯正職員が常時みずからを練摩してそしていくような、そういうものに変わらなければいかぬ。私は、まあはなはだ悪い言い方ですけれども、看守と警察官と比べると、警察官のほうがやはり研修の機会が多いと思うのです。こういうことで、私はほんとうのことを言うと、何か一種の専門職的、一つの職能的誇りを持つようなやり方をやらない限りにおいては、新しい時代に即したこのあれが出てこない。そういう観点からいえば、私は監獄法というものの改正こそ、日本の犯罪の問題を取り扱う——青少年の犯罪行為が非常に多くなったと言いますけれども、これにも非常に大きな影響を与える。いわば少年法というようなものが、罪を犯したものは罰してやれという少年法の改正であるならば、これはたいへんな誤りをおかすのではないか。政府部内の中にもいろいろ、二つの両論があるようでございますが、そういう考え方に対しては局長はどうお考えになりますか。
  104. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 実は昭和三十二年から、昭和三十二年の八月でございましたか、八月から約九カ月ヨーロッパへ参りまして、各地の監獄、刑務所、少年院を六十何カ所見てまいりまして、イギリスにおりまして向こうのプリズンの制度を若干研究いたしました。帰ってまいりましてから発足いたしました監獄法改正準備委員会委員になりまして、当初の改正の準備作業を約三年ぐらいやったのでございます。その後転任をいたしました関係で中断いたしまして、今度帰ってみますると、私が想像いたしましたよりも大幅に改正の準備作業は進んでおるように思うのでございます。御承知のようにこの監獄法はいまから六十年ぐらい前の古い法律でございますが、しかしながらその当時のものといたしましては、やはり小河滋次郎博士その他の方々の非常に近代的な感覚、教育形式を取り入れました近代的な感覚に基づきました法律でございます。で、一つの考慮といたしまして、これはどこの国の法律もそうなっておるのでございますが、一々細部を法律に規定いたしますると、もしぐあいの悪いときに一々国会の御審議を仰がなければならぬということになるわけでございまして、相当大幅に行政命令のほうに委任して立法ができるというような体系になっておるというのが普通でございまして、わが監獄法もそういうようなことで今日に及んでおるわけでございます。ところが御指摘のように、この拘禁というような極度に強い権力の発動に関する法律でございますだけに、人権の制限等を伴う部分につきましては、あまりに法律が、法文自体が広範でございますと、内容が明確と申しますか、具体的内容にわたっておりませんと、まあわかりやすく申しますと当事者の間に大きな争いを生ずるというようなことがしばしばということに相なりまして、実用にたえないということになるわけでございます。そこで、そういう点が今日若干起きつつございますので、その辺を勘案いたしまして、また近代の各国の立法例がいままでのわれわれが考えておりましたようなやり方よりも進んでおる部分がございますので、そういう進んでおる教育とか訓練とかいうことを参考にいたしまして、できる限り全面改正の案をつくりまして御審議を仰ぐことにいたしたいと思って、鋭意努力をいたしておるわけでございます。  ただ、この際ひとつ御理解を賜りたいのは、監獄法はしょせん刑法の付属法でございまして、刑法につきまして全面改正案が確定いたしませんと、監獄法だけを先に御審議をお願いするというわけにまいらないのでございます。一つの例を申しますると、外国のやり方の一つに、たとえば中間処遇と申しまして、刑務所から外の工場に通勤するというようなことがあるのでございますが、刑法の条文のほうで、懲役は監獄内に拘置するというようなふうに書かれますと、これがなかなか監獄法だけで、刑法のほうで拘置をうたいながら監獄法のほうで通勤させるというふうに書くわけにまいりませんので、その辺がなかなか調整を要するところでございまして、大きな問題といたしましては、刑法との調整その他、どこまで広範な規定を具体的に持っていくかというようなことが問題になっておるという点を御了承いただきたいのでございます。  それから、ただいま御意見にございました、監獄の矯正と申しますか、矯正教育と申しますものが非常にむずかしいものだということはまことに御指摘のとおりでございまして、このためには職員の研修その他に非常に力を入れなければならないわけでございますが、従来予算の制約その他がございまして、職員の研修というようなことにつきましては、率直に申しまして、われわれが考えておりまする三分の一くらいのところしか実現ができておりません。で、毎年少しずつ改善を見ておりますが、たとえば研修生を収容する施設にいたしましても、われわれの理想といたしましては、約五百五十人分の施設がほしいということでございますが、いまのところは二百二十人分の施設しかない。それが最近仙台ができどこができということで、少しずつ拡張しつつあるのが現状です。あるいは初等科研修、すなわち矯正職員になりました最初の研修と申しますのが最も大事な研修でございまして、警察官などは一年とか二年とか赴任の研修をやっておるようでありますが、私どもの理想は、矯正職員に少なくとも一年ということを考えておるのでございますが、これもさしあたり三カ月というようなことしかできておらないという現状でございまして、研修の方面にははなはだ内容が貧弱であるということを認めざるを得ないわけでございます。これらの点につきましては、今後御指摘の線に沿いまして、極力改善をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  105. 小林武

    小林武君 最後に申し上げたいのは、私はいろいろ今度の事件などを考えまして、いま局長からお話しになった監獄法の何といいますか、付属法規といいますか、そういうものに具体的なことはゆだねられると思うのですが、これは法務省矯正局参事官の朝倉さんの監獄法施行規則の一部改正についての文書を読ましてもらいました。私はこれについてはかなり異見があるわけであります。なるほど重箱のすみをほじくるような規則というものは、適用、運用の上においてかえってむずかしい問題が出てくる。しかし自由裁量というようなものが、しかもこの監獄法というものは先ほどお話しになったように、明治四十一年ですか、六十年もたっておる。時代に合わないということだけはどんなことを言ってみてもはっきりしている。前の局長だと思いますが、何かこの間見せていただいた雑誌によりますと、たとえばたばこをのむなんということは、私はのましてもいいと思いますとおっしゃっている。それから家族との面会の問題についても、よその国ではずいぶん何といいますか、人間的な扱いをしている。たとえばそういうような問題が何か裁量で行なわれるということは、これはなかなかかえって歯どめがきかなくなるのではないか。個人の考えによって、刑務所長の考えによってやる、あるいは看守も多少まあお目こぼししてやろうというようなことは、私は深みに入ることがちょっとあろうかと思うのであります。基本的には、私は教育というようなもの、矯正、社会復帰というものを目標にした法の大きな方針があって、しかしながらそれはおのずから社会との問題も考えなければなりませんから、国の一つの権力をもってやるということも私は必要だと思います。思うけれども、そこに根本がやはりしっかりしていないというと、自由裁量というものがともするというととんでもないほうに曲っていく、そういう問題を一つ感じます。だから朝倉さんが書いていて、監獄法施行規則は古くさい、古くさいと言われますけれども、随時改良されておる。そうして監獄法の足りないところを補なっておると思っておるわけです。それは一面いいところもありながら、今度のような問題にはかなりある種の働きが作用しておるということを考えなければいけない、こう思うわけです。  それからひとつ考えますことは、教育の問題ですけれども、いまここでちょっと資料を調査室からもらったんですが、初任者の研修が一年で、ほんとうは九十日でやるというのは、そもそもこの仕事を甘くみておると思うんです。とにかく罪人というのは徹底的にねじあげてやらないというと、というような考え方ですね。私は北海道ですが、月形刑務所が昔あった。月形刑務所はいまは町役場か何かの庁舎になっているんですが、あそこに行って、昔の囚人の扱いの、看守のあたたかい気持ちに感謝する、というあれを見るというと、罪人とは言いながら、人間の悲しさというようなものをほんとうに身にしみて知ることができる。私はそういうものの考え方が少なくとも延長されておるというような気がするんです、いまだに。  それと、これは正木さんの書いた論文を読んだのですけれども、ほんとうにいま一人の罪人が出れば罪九族に及ぶというような、法律には全くそんなことは書いておりませんし、世間でもそういうことを言うはずはないけれども、実際問題としてどうか。家庭はこわれ、罪を犯した者の一族というものは、どういう一体世の中から扱いを受けるかということを考えた場合に、私はやはりいまの憲法のもとでは、もっとやはりすぐれたこの方面の法の改正が必要だ、こう思うわけです。このことについては時間もございませんからきょうはこれで終わりますけれども、私がお伺いしたいのは、やっぱり当面の金嬉老の問題が起こって、これがピストルを持っていたらどうしますかというような事態は、これは単にその関係の看守の問題だとばかりお考えになることは、やはりちょっとそれは甘いのではないかと思うんです。もっと根本に触れた問題をお考えになったほうがよろしい。一つの大きな組織の中にございますから、局長はその面での非常に研究者であって、いまもお話しがございましたが、諸外国のそれも御検討なさっておるようでございますが、私は、刑法その他の関係がございまして、いずれ——というような態度ではなくして、ああいう問題を頻発させないためにも、法務省としてはまずこれに手をつけるべきだと思うんです。あまり反対の多い少年法なんかをここに持ってきて大げんかをするよりは、もっと先にやらなければならないことをやるべきだという考え方を申し上げて、きょうはこれで終わりたいと思います。次にまたやります。  それから警察のほうですが、警察からもらった資料なんですが、この資料は、「朝鮮中高級学校生と日本高校生との対立抗争事案の発生及び検挙の状況」というものがあるのですが、この「朝鮮中高級学校生が日本高校生に仕かけたもの」、これはしかけたほうのことですね。私の考え方ではしかけられたもののことを考えておったのですけれども、しかけたものもあったらひとつお書きなさい、と言ったら書いてありますけれども、これが七十五件中の五十六件。「日本高校生が朝鮮中高級学校生に仕かけたもの」十九件。検挙件数は、朝鮮中高級生がしかけたものは三十三件。朝鮮中高級学校生がしかけられたもの、これが十五件。この数字は一体正確ですか。私は別な朝鮮のほうの資料、それから弁護士会の、弁護士の方の人権を守る会ですか、ああいう資料を見ておりますが、これは一体どういうあれですか。
  106. 渡辺宏

    説明員(渡辺宏君) 朝鮮中高級学校生徒と日本高校生との対立抗争事案の本年におきます警察が認知しております件数は、いま小林先生から御説明いただいたそのとおりでございます。それで、この事件の起きます原因といいますか、そういうものを見てまいりますと、なまいきであるとか、あるいは眼をつけたというふうな一般的な非行少年の対立抗争のような形で起きております。起きております場所も、駅であるとか、あるいは駅の周辺であるとか、駅のホームであるとかいうふうなところが多いわけでありますが、しかけられたから、この前やられたから今度やるんだというふうなことが行き来しておることが多いようでありますが、このしかけた、しかけられたということばでありますが、これはことばとして必ずしも正しくはないかと思いますけれども、この学校同士の対立抗争を見ておりますと、必ず多いほうが、その場所で出くわしたときに多いほうが少ないほうに起こしておると、こういうことでございますので、しかけた、しかけられたと、こういう表現を使っておるわけでございまして、私どもで認知しておりますのは、いま申し上げましたような数字でございます。先生、いま御指摘いただきました弁護士会の方——人権を守る会の弁護士の方、その他朝鮮総連の方々にも私、二度三度お会いいたしましたけれども、そのときにも、たとえば四月の八日から五月二十五日までに二十九件起きておる、こういうふうなことをその場で承ったんですけれども、その二十九件のうち、警察が認知しておりますのは十一件しかなかったということをそのときに申し上げております。それ以外のものにつきましては、被害の届け出も出ておりませんし、それからこういう事件は、多くの場合は一般人からの一一〇番等による通報が多いわけですけれども、通報もございませんし、それからそこに書いてあります日時、場所について関係の駅等へ行きまして調査しても、目撃者もいないというふうなことで、事実の存否がはっきりしないということで、認知の件数にあがっておらない、こういう実情でございます。
  107. 小林武

    小林武君 ここで警察で言っておる十九件、これは六月の四日までですけれども、六月の四日までの分が十九件になっていますね、いわゆる朝鮮の高校の生徒たちが乱暴を受けたというのは。ところがこれについて、東京朝鮮中高級学校の出したのは二十九件ですから、これは認知できなかったのが十件ある。そこで、あなたがいまおっしゃった、しかけた、しかけないというのは、多少ことばの上でちょっとあれだが、しかし人数の多いほう、いわゆる優勢なほうがしかけたと、こうあなたのほうで言われた。私はこの二十九件、ひとつ計算してみたんですが、私はしかし大きいほうをとらないで、六名ないし八名というような場合には六名をとって、そしてその総数が二十九件で、相手方のほうが八百二十三名、朝鮮のほうの学生の諸君は六十三名、その一つ一つの項目を見ても、朝鮮のほうが多いというのはないんですね、どれ一つ見ても。それから非常に問題だと思いましたのは二百名というのがある。二百名という三けたのものがある。二十名というのもあるし、三十名もあれば、そういう一々あなたのほうで違うというなら違うという反証を出してもらって、ひとつこれについてあなたのほうで違うというなら資料を出してもらいたい。これによると二十九件のすべては多数なんだ。ところが五十六件のあなたのほうであげられた多数であったというう、朝鮮の中高級の諸君が多数であったという、あれは出せますね。朝鮮側が何人で相手方は何人であるか、私も確かにそう思います。たいした意味のない小ぜり合いのようなものも、派生的なものもあるだろうから、そういうものは認知できなかったということもあり得ると思います。あり得ると思いますが、あなたのほうの五十六件というのは、とにかく朝鮮の人たちに九十一名しかけたのに、しかけられたほうは六十二人だということになる。この計算は私が先ほど言っているこの表から出てこない。これは検挙された人数、人員ですね。どうして二百人も八百何十人も出たのか、六十何人をあれしたものに……この一つ見ても、あなたのほうの五十六件は別として、これだけ一つ見ても、八百幾らと六十何名というものの検挙者がどうして六十二人で、片一方のほうが九十一人になるのかということについては、資料の上から私は納得いかないんです。これはあなたとわあわあやってみたところであれですから、あなたのほうで私を説得するような資料をひとつ出してもらいたい。認知できた、できないというのはどの程度のものか、どういう責任者が行って、そしてその際どうであったかということをひとつ出してもらいたい。そうでないとこれは明らかにならない、こう思います。どうでしょうか。
  108. 渡辺宏

    説明員(渡辺宏君) 四月八日から五月二十五日まで二十九件であると、こういう話を朝総連の方々から承って書面も見せていただいたんですが、その際に、先ほど申し上げたように認知ができないものがある、こういうふうなことを申し上げましたところ、いや、それは届けてないものがあるかもしれない、こういうお話でございます。それからその際に、届けた場合に処理をしてくれるのか、こういう問いかけも私にあった。ですから、こういう事件は大ぜいいる駅のホームで瞬間的にといいますか、ぱぱっとやって散っていく、非常に捜査のむずかしい事件でございますから、届けたからすぐに右から左に検挙になるとは限らないけれども、しかし、いろいろ捜査をしていく段階において、そういうことはいろいろ届けてあれば、前の事件が検挙になる場合もあるので、できるだけひとつ届けてもらいたい、こういうことはその際にお願いをしておきました。  それから、ただいまの朝鮮高校生のほうがしかけたのを検挙したのは三十三件で、その際に朝鮮高校生を検挙したのは六十二名である。ところが日本のほうは十五件しか検挙してないのに九十一名検挙している。日本のほうは多く検挙しているから、それは多いほうがしかけたというなら、日本のほうがうんとしかけておるのじゃないか、こういうお話のようでございましたけれども、日本側の多いのは、日本の関係の学校に行きますと、生活指導の先生方、その他が非常な協力をしていただきまして、ああじゃないか、こうじゃないだろうかと、いろいろと協力をしていただく関係もありまして多く検挙になっている。朝鮮の高校のほうは、警察官のほうでお願いに行きましても、会っていただけない。こういう状況がございまして、学校側の御協力をいただけないもので検挙ができておらないという面もございます。その点につきましては、学校に対して、ぜひひとつ行ったときには会ってやっていただきたいというお願いも警視庁からしておるように聞いております。
  109. 小林武

    小林武君 あなたのほうの資料というのは、ぼくはよくわからぬです。もうほんとうに、この発生件数が書いてあって、検挙件数を書いて人数がある。しかし、どっちが信頼できるかと言ったら、朝鮮中高級高校のほうは、いつ何線のところで、何駅で、そして相手方はどこの学校で何人くらい、はっきり何人と書いてある。こちらのほうは何という名前のやられたのは生徒であるか、こういうことが書いてある。そして片一方は八百二十三名、朝鮮のほうは六十三名、こういうことになると、これは私は資料として、あなたたちのほうで対抗しようというなら、これをやらなければいかぬです。私は正直言って、一つの小さい学校ですよ。結局。その学校の人たちがこれだけの的確な資料を持っているのに、日本の警察がそんなことできないというのは考えられないです。それは、もしやらないということになると、非常な怠慢な話だと思う。世論はどうですか。世論は警察の味方をしていないんじゃないですか。週刊誌一つ見ても、新聞論調を見ても、これは新聞の種類ではありません。まず大かたの新聞というものは、やはり野蛮な行為だ、やっぱりこれを非難する方向に出ておりますよ。しかもこれは国際的な問題ではないですか。北朝鮮のほうの政府の見解まで出ている。こういうことを考えられたら、私は資料についても納得するようなひとつ形のものを出してもらいたい。きょうはなかなかそういうあれをいつまでもやるわけにはいきませんから、限られた時間ですから。私はなぜこういうことを言うかというと、あなたのほうで一つ大きな問題をやっぱり感ずるのは、六月五日午後二時十五分、朝鮮中高級学校に警視庁少年第二課庶務係萩原という人から電話があって、六月六日に朝高生二百名ほど集まって、総武線の各駅においてけんかをするらしいという通報をした。それには警視庁のもう一人の人がそういう情報をとったというのですがね。同庁少年第二課茂木管理官、この人も情報の出所について知っているというようなことです。これは朝鮮中高級学校に通報をした。どの程度のお考えで通報をしたのか、二百名のあれが、先ほど来のお話であると、子供のけんかみたいであるから認知しない、そういうお話であった。二百名の者が総武線の各駅においてやるというのはたいへんなことですよ。これはどういうあれですか、的確な情報なんですか。それからまた、こういう情報を中高級学校に出した意図というのはどういうことですか。これをお尋ねしておきたい。
  110. 渡辺宏

    説明員(渡辺宏君) その前に、先ほどのことについてちょっと触れておきたいと思いますが、実は小林先生から資料の要求がありましたときに、事件のほうの話もございました。私のほうは、事件といってどれを出すのかなということを実は考えておったわけですが、それで朝鮮の人権を守る会ですか、ここで出しております資料に、実は三月十二日の赤羽事件であるとか、十条事件であるとか、第二赤羽事件であるとかという事件が載っておりましたので、その関係について正確に私どもが承知しておる事件の資料を出そうか、こういうふうにも考えたわけですが、先生のほうから実態を知りたいのだというお話でございましたので、その資料のことであれば、いま申し上げたような事件のことであればここでお答えしたいということで、資料は先生のほうに差し上げなかったわけです。いまお聞きしますと、そこに書いてある事件についての資料を逐一出してもらいたいということのようでございますので、その点は別に考えてみたいと思います。  こういう不幸な——まあ不幸な事件だと思います。不幸な事件をなくしたいということで、警察としては、それぞれ学校を持っております、管轄の警察署を通じて、日本側も、それから朝鮮側の学校にもそれぞれ連絡いたしておりますし、それから警察の措置といたしましても、大体登校時あるいは下校時、あるいは若干の盛り場、こういう所に多いわけでございますので、特に五月二十九日以降は約一千名の警察官をそれぞれの主要な所に出しておりまして、警視庁本部の防犯部の九十五名を含めまして、約一千名の警察官が登校時、下校時に出ております。そのうち六百人くらいが制服、四百人くらいが私服かと思いますが、出て警戒に当たっております。そのためかと思いますが、六月三日以降この種の事件は起きておりません。それから学校のほうにつきましては、五月の二十八日に、都の学事部の仲介によりまして、日本側の関係の学校七校、朝鮮中高級学校が集まっていただいて、こういう問題の解決のためにいろいろ話し合っていただいたわけでありますが、なかなか意見の一致が得られなかったように聞いております。六月二日の日に、警視庁にやはりこの関係の学校にお集まりをいただいて、そうしてそういう事件のないように、この問題は、警察官を配置しての未然防止あるいは検挙ということだけでなしに、教育的な問題として解決していただく面が相当ございますので、警視庁少年二課のほうからるる事件の現状なり、その他を申し上げて、学校と保護者と一体になった生徒指導、学校側の生徒管理ということをお願い申し上げておったわけでございます。そういう両々相まってだと思いますが、六月三日からこの事件は起きておらないというように聞いております。  それから、ただいまお話しございました二百名の情報については、たいへん申しわけなくて私も聞いておりませんでしたが、ただ、おそらく、私感じますのは、こういうときでございますので、そういう五月の下旬近くまで両校の学校がエキサイトしておったようなかっこうでございますので、その二百人が出るというようなことがもしありとすれば、これはとんでもない不祥事になりますので、学校のほうでもひとつ承知していただいて、出ているか出ていないかを確認していただいて、出ていれば、また措置もとっていただく、こういうことで連絡したものだというふうに思います。
  111. 小林武

    小林武君 私は考えてもらいたいと思うのは、この報情の出どころというのが電車の中で聞いた。これは警視庁少年第二課の萩原庶務係が言うんですよ。電車の中で聞いた。なお、そのことについては、先ほど私が名前をあげた茂木管理官が、情報の出所について次のような説明をしているんです。東洋商業高校生が電車の中で、朝高生が総武線の日本高校生を襲撃するらしいと話しているのを安田学園高校生から聞き、これを安田学園高校の担任の教師に伝え、この教師が本所署へ、本所署から警視庁へ連絡があったと、こう言っている。そうすると、これは警視庁のあなたが知らぬというのはちょっとおかしいですね。本所署から警視庁へ言って、茂木さんがそれを言って、今度は萩原庶務係がこれを朝鮮の中高級学校に、おまえさんところのあれが総武線に集まって二百名けんかするらしいと通報した。私はこれはかなり重大なことだと思うのです。あなたどうお考えになっているか知らぬが、私先ほど言ったように、これは少数の一つの学校の中高級生といったところで数はきまっていますよ。それがとにかく大学から高校にわたって、相当数の高校や大学の学生が朝鮮の高校生に対して乱暴を働くということだけは間違いない。警視庁の認識違うかもしれぬけれども、そういう一つの、あなたのほうでも心配して、問題が起きないようにと警視庁が学校側まで集めてやるというような事態でしょう。その中に朝鮮の高校生が二百名集まって、まさに暴動ですよね。二百名も集まって一斉にいまやろうという、こういうようなことは、的確な情報があっての話なんですよ。的確につかんだならいいですよ。ぼくに言わせれば、いまや流言のようなものだ。私は、あなたが知らないというならしようがないけれども、そのときの検事が朝鮮の中高級学校の職員に聞いてみると、さようなことはございませんと、こう答えている。答えてあるにもかかわらず、そのことはどういう形をとったか、あなた知りませんか。これは東京都内の各学校、特に総武線、その近所の学校には私立、公立を問わず通報している。学校側に厳重に警戒するようにという通報を出している。東京都の高等学校教職員組合が把握しただけでも、両国高校、墨田高校、本所高校、向島西高、向島商業高校、深川高校、墨田工業高校、江東工業高校、江東商業高校、小松川高校、江戸川高校、葛西高校、関東学院高校、東高校、これは警視庁から、六月六日に日本の学生を襲撃するとの情報がある。したがって、各学校は注意してほしいということで出した。これは的確な情報だとは言ってないのです、不確定情報だと警視庁は言ってる。私はそこに非常に問題を感ずるのですよ。ちょうど大震災のときのあの不幸な状況というようなものがまた再び再現するかのごとき——私はこういうものが、何かためにするためにだれかがやったというなら、はしにも棒にもかからぬような人間がやったというならともかく、警視庁ともあろうものが、あれだけの一体力を持った警視庁が、事実というものを的確につかむことなしにこういうことをやったということは、私は軽率だと思う。かりにそういうようなことが事実起こったというなら、これはまた私は別だと思う。学校でもそういうことはないと言っている。いままでの、それから起こったことを考えても、少数ですよ。日本に朝鮮の人たちがいるといったところで、六十万ですよ。日本の学生が一体何ぼいますか。私はこれは流言的なもの、不確定情報というか、流言的なものだ。これはひとつ、何ぼ言ってもおわかりにならぬようだから、文句ばかり言ってるように聞こえても困るから、あなたに一つ注文を出しましょう。この情報はどういう形でやったか、その情報のあれについて学校に通達だか、通報だか知らないけれども……。それから学校長にもいってる、校長会にいってる。この校長会にはどういう通達のしかたをしたのか。その受けとめ方についても調べてもらいたい。私の聞いたところでは、学校の中にも授業短縮をやっておるところもある。まさにこれはえらいことだと思うのです。また父兄の中から、ぜひきょうは休んでもらいたいという、そういう申し入れもあったと。しかし、それは各学校が休むというところにはいかなかったようであるけれども、中には授業短縮をやったところがある。  それからもう一つあなたに調べていただきたい。きょうあなたに答弁してもらうというよりも調べてもらいたい。これについて警視庁は、ぼくのほうから出したこれについて、わが警視庁からはこの通報通達はしていない、それは各署長がやったことだと、こう言っている。ところが本所署長は、各学校への通達は警視庁のやったことで、木所署は知らない。これではどっちのことだかわからない。これはどっちがほんとうか。先ほど申し上げたように、警視庁の少年第二課からは直接朝鮮中高級学校に言ってるわけです。名前もあげられているのです。しかし各学校へは、私のやったことではないと、こういうぐあいです。私のほうではないと、こう言っている。本所署はうちがやったことではない。これはこの前も和光大学の問題のときに、地元の警察署が、わしのほうは知らぬ、とにかく警視庁の命令でやったと言っている。警視庁は地元の警察署サイドでやったということで、どっちがどっちだかわからない。命令系統というものが厳としておることにおいては軍隊と警察が一番はっきりしているはずなんです。それがわからぬということは、一体どういうことなのか、そのことをひとつ明らかにしてもらいたい。それをあなたのほうではっきりしたものを持ってきたときに次の会にひとつやろうと思うのです。  それからもう一つ、このごろ怪文書が出ている。豊島区千早町にある城西高校あてに、朝鮮高校親衛隊という名称で、「六月六日なぐり込みにくる、かくごしろ」、こういう文面なんです。武蔵福岡から送られている。はがきは、受け取り人、内容文面、差し出し人がそれぞれ筆跡がいずれも違う。それから同じ日に同じ学校に朝鮮学生連合組合という名前で「吾ら朝鮮の学生は日本の高校の学生に対して集団ぼう力をおこなう。」、六月六日、女子、男子ともにただおかんぞ、必ず行なう、こういうあれを出している。それが目白警察署に保管されているという話なんです。こういう事態、これは一体どういうことなのか。こういう一体怪文書まで飛んでいるということは、こういうことで日本人が大きなあやまちをおかしたという、いわれもないことをやったというような過去の経験もある。しかも、その前において朝鮮の高校生がひどい目にあっている。私は非常にその点でこの問題で感ずるのは、警視庁の見方というようなものが何か片寄っているのではないかという感じがするのです。先ほどの資料一つ見ても、その資料の中に出てくるあれには、わがほうに肩を持ったのか何か知らぬけれども、どうもそういう傾向がある。ある新聞の囲み欄の中に書いてありましたけれども、日本の外国へ行っている子供たちがその土地でもってこういう目にあったら一体どうだろうというような記事を見て私は同感だった。この種の怪文書その他を通して、何か朝鮮の高校生の人たちに乱暴を働くことが当然であるというような合理化の材料に使うようなおそれがあるし、さらには六十万の朝鮮の人たちに不安感を与えるところの重大な問題に発展するおそれがあると、こう考えるのです。  まあ、きょうはもうあなたにお答えいただくということよりかも、そういう資料について十分御検討、出すものは出していただいて、それから説明するものがあったら説明していただく。先ほど名前をあげた人たちの場合にも十分調査をしていただく。七月十日のときにはひとつあなたと、それから責任のある方の御出席をお願いをして、きょうはそれだけでやめましょう。
  112. 渡辺宏

    説明員(渡辺宏君) 調査お話しになった件はそれぞれ調べてまいりますが、ただ、二百人ぐらいおったので危険性があるということを双方の学校にそれぞれ通知をしたというのは、まあ先ほども申し上げましたように、五月の下旬ごろになって両校がややエキサイトした形で、やや頻発的に出てきておったということがありましたので、おそらくそういうことになりますと、さらに不幸な事態が起きますので、そういうことが起きるといけないので、両方の学校に、それぞれの学校の先生にもお願いしたい、そういうことのないようにしていただきたいということで、それぞれの学校に連絡をしたのだというふうに思います。  それから非常に一方的だ、こういうお話でございますけれども、六月二日に両方の学校に警視庁に来ていただいたときに、日本側の学校の中には、一方的に偏した報道なりその他が出されて非常にわれわれの学校が迷惑をしているのだ、事件があって、こういう生徒がいるはずだということで、朝鮮中高校生の学校のほうに連絡をしてみると、そういう人はいませんというそっけない返事だ。これは両方の学校がいるところで朝鮮の学校のほうにそういうことを話しておるようでございます。  それから、おそらくあの朝鮮中高学校の近くの帝京高校だと思いますけれども、学校の近くに、真相はこうだというふうなビラがべたべた張ってあって、それが生徒を刺激してかえってよくないように思うので、あれは何とか処理してもらえないかということを朝鮮の高校側にも話をしておるようでございます。まあそういう点、いろいろ考えてみますと、決して私は警視庁が出したこの警告が一方に偏しているというふうには考えませんし、それからその点については私ども、実は私どものところに来た朝総連の方、それから人権を守る会の弁護士の方にもるる申し上げましたが、そして警察が苦労して大ぜいの警官を出して、事故のないようにそれぞれの駅におってくれるのはよく最近わかる。だけれども、この駅に立っておれば、立っていないところに行って事故を起こして困るというふうなことをるる説明しておられました。警察の努力は最近非常にしておるということはわかります。しかしその間隙を縫ってこういう問題が起きる、こういう話でございました。ですから、この問題は警察の措置だけでは解決する問題ではなしに、これはむしろ教育の問題として解決していただく問題ではないか。そういう点において、両方の学校が十分隔意ない意見を交換して、円満に解決していただく、こういうことが非常に大事なことじゃないか、不幸なことを招かない上において非常に大事なことじゃないかというふうに存じます。警察官がいかに立っておっても、大ぜいの両方の高校生一人一人についているわけにはまいりませんので、また、登下校時といっても、それ以外の場合に起きることもございますから、これはやはり教育の場において、両方とも十分父兄を交えての教育の場において相当解決していかなければならない問題じゃないかというふうに思います。
  113. 小林武

    小林武君 まあそういうことをおっしゃるから一言だけ言っておきますけれども、教育的な解決のしかただとすると、私に言わせれば、それは妥当なことじゃないですよ。朝鮮の高校生が二百人も集まって乱暴すると言っている、だからおまえさんたち気をつけろ、そういう言い方は、ほんとうにそういう事実があるならばこれは別だけれども、お互いが、いまあなたがおっしゃるように、両方がエキサイトするような問題があるならば、あなたのほうの見ているあれが——私はまた別な考え方だけれども、そういうことがあるならば、朝鮮側にこういうことがあるからということよりかも、最近学生間にどうも少しまたやり合うような傾向があるからお互いに気をつけてもらいたいというようなことでやるならばとにかく、朝鮮のほうからしかけられるから、おまえら警戒せよといったら、学校側の受け取り方は——職員会議を開いたところもあるのですよ。そんなことはないだろうというところもあったけれども、さっきのように短縮授業をやったところもある。受け取り方は、結局相手方がしかけるという言い方でしょう。私はまあそういうことは、警察というのはぼくらとは違って、やはり職業的感覚で、どういう一体反響があるかということは、あなたたちのほうが一番よく知っていると思うのです。あなたたちがものを調べるときというのは、ぼくはそれはもう辛らつをきわめるやり方をやるということを知っている。あらゆる手を使う、これが警察というもののやり方だ。それならば、そのような的確な情報をつかんでやらなければだめですよ。そうしてどこで聞いたかわからぬ、だれが言ったか——東洋商業がすると、今度また別のほうの学生のあれが出てくる。そういう不的確なこと、流言飛語のようなこと、これは考え方によってはどのようにでも捏造してやったという疑いさえ持たれるものが出てくるのですよ、どんなに誠心誠意やっても。これは国と国との問題になりますよ、そういうことになると。だから、私はそういう意味で、あなたたちは責任を追及されたとかなんとかいうことでなしに、事を正確に把握してかかることの起きないような、不祥事の起きないようなやり方を考慮すべきだ。それについてぼくはあなたたちのほうに、情報その他について、あるいは警視庁の責任その他を的確にして、そうして出せる資料はきちんと出してもらいたい。その上に立って正当な判断をやるべきじゃないか。もし、私は、あやまってやった場合においては、それは教育界であろうと何であろうと、やはり厳粛な自己批判が必要だと思う。それはこの次にしましょう。
  114. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会