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1970-11-09 第63回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十一月九日(月曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員の異動  十月十三日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     藤原 道子君  十一月六日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         横山 フク君     理 事                 林田悠紀夫君                 竹田 四郎君                 阿部 憲一君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 櫻井 志郎君                 鈴木 省吾君                 高田 浩運君                 鈴木  強君    国務大臣        国 務 大 臣  佐藤 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        通商産業省重工        業局長      赤澤 璋一君    参考人        電子機械工業会        会長       大久保 謙君        電子機械工業会        副会長      平賀 潤二君        全国電器小売商        業組合連合会取        引公正化推進本        部長       田中 次信君        全国電器小売商        業組合連合会東        京都電機小売商        業組合取引公正        部長       平尾 勝蔵君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (消費者行政に関する件)  (当面の物価対策に関する件)     —————————————
  2. 横山フク

    委員長横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、電子機械工業会会長大久保謙君及び同副会長平賀潤二君並びに全国電器小売商業組合連合会取引公正化推進本部長田中次信君及び同連合会東京電機小売商業組合取引公正部長平尾勝蔵君を参考人として御出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 横山フク

    委員長横山フク君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 横山フク

    委員長横山フク君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査中、消費者行政に関する件及び当面の物価対策に関する件を一括して議題といたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には御多忙中のところ本委員会調査のため御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  これからの会議の進め方につきましては、委員の方からの質問にお答えいただくという方法で進めたいと存じます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。  鈴木君。
  5. 鈴木強

    鈴木強君 本日参考人方々には、御多忙のところ、たいへんありがとうございました。  御承知のように、カラーテレビの二重価格の問題をめぐっていろいろ社会的な問題を起こしておるわけでありまして、私ども委員会といたしましても、すでに二回ほどこの問題を取り上げて、通産省に対して行政指導面等においてもできるだけの力を尽くしていただくようにお願いをしてまいりました。また、関係の皆さんにも参考人として御出席をお願いいたしましたが御都合で出席ができなかったということ、非常に残念に思いますが、幸いきょうは、おそろいで御出席をいただきましたので、この機会に、私はカラーテレビの問題を中心にして質疑をいたしたいと思います。  それで、具体的にこれから問題を提起してお尋ねをするのでありますが、その前に、メーカー側として、今日の事態に対して一体どういうふうな御所信で臨んでおられるのか。——いまの情勢を見ておりますと、メーカーというものと消費者との間に不信感というものがだいぶ出ております。それでは私はいけないと思うのであります。せっかくカラー大衆化方向にまいりまして、いま現在、カラーは、たしかNHK契約を見ますと、五百十万台を突破しておると思います。普通の白黒テレビが千七百万台ぐらいいっておりますから、合計すると二千二百万程度契約者がおりまして、これらの方々が、とにかくテレビを通じて、いろいろ社会的な、あるいは教養の面における向上をいたしておるわけでありまして、そういう面から言うと、非常にテレビメーカー皆さんの責任というのは大事だと思います。  昭和三十五年の九月十日に、カラーテレビ放送が大阪と東京NHKが始めた。続いて、NTV、TBS等が始めたわけでありますが、当初、テレビメーカー皆さん白黒テレビに全力を尽くしていただいておったわけですから、カラーというものが入ってくるということになりますと、どうしても勢い二重投資のかっこうになりまして、たいへんだろうと私たちは考えました。ですから、あのときも、自民党、社会党、各党派をこえて、昭和三十五年当時、本放送を開始することについては時期尚早論を唱えたのであります。私もその先頭に立ってやった一人であります。というのは、一つは、テレビ方式が、当時、アメリカ方式あるいはヨーロッパ方式、いろいろありまして、これを国際的に統一することが必要である、せっかくいま国際的な会議が開かれておるのだから、こういう方式統一を待ってからカラーテレビを本格的にやったほうがよろしいというのが一つの判断。もう一つは、せっかく白黒普及をし始めているときですから、メーカー皆さんにはできるだけそっちのほうに力を入れていただいて、やがてまたカラーへの転換の時期というものをつかんだほうがよろしい、そうしませんとたいへんだということから、われわれは時期尚早論を打ったのであります。ところが、とうとう、当時植竹郵政大臣が認可をいたしまして、カラーがスタートをいたしたわけであります。だから、いまでもNTSC方式という方式アメリカにおいて行なわれておる。ヨーロッパヨーロッパで違う方式でやっているのであります。日立さんが先般テレフンケンと技術提携をいたしましたが、こういうことを私ども考えてみても、非常にむだが多くて、当初のカラーテレビというのは、どうかすると、もう高ねの花で、なかなか大衆の手が届かない。大きな旅館のロビーとか、会社の食堂だとか、あるいは公園の片すみ、駅の広場の片すみ等受像機が置かれて、それを見たというような時代があった。  しかし、四十年代に入りましてから、かなりカラー普及が進んでまいりまして、NHKは、ことしも二百五十万くらいの契約を見込んでおるようであります。私は、もっとそれがいくだろうと思います。そのやさきに、このようなアメリカダンピングの問題だとか、あるいはそれを中心とするモデル価格公表が、なおこれに不信を抱かせるようなかっこうになりまして、いま不買運動が続いておるわけであります。それでは私はいけないと思うので、この際、メーカー皆さんにも従来の考え方をひとつ転換していただいて、中間に立つ卸、小売り、それから消費者メーカー、この四者が理解と納得のできるような価格をきめて、そして安いものを、しかもいいものを消費者に提供するという、そういう基本的な考え方に立ってもらわなきゃいかぬと思うのです。特に昭和四十一年にメーカー六社の例の価格協定の問題が公取で提起されました。それから松下の例の再版問題に対する独禁法違反の問題も、その間に、四十二年に出ております。ですから、そういうふうな一連の、カラーテレビについては、中間におけるメーカー皆さん方のやり方に対して、国民は、もとから不信を持っておる。こういうやさきに、これが出てきたわけですから、この際、私は、考え方の大きな転換をしていただいて、経営の方針についても、ここまでカラー大衆化してきたわけですから、ほんとうに消費者皆さんの納得いくような、そういう価格というものをきめてほしいと思うのであります。  これから逐次伺いますけれども、そういうふうな立場に立って、私は、この際、メーカー側としてこれらに対する基本的な考え方があったら、最初に伺いたいと思います。
  6. 大久保謙

    参考人大久保謙君) ただいま鈴木委員から、今日のカラーテレビにつきましていろいろ御意見がございました。また、われわれに対する御要望と申しますか、そういうものを承ったわけでございます。私どもといたしましては、昭和三十八年以来、カラーテレビの発売を始めましてから、何とかして技術的に優秀なものをつくりたい、また、価格の面でも消費者の御満足のいくような価格を出したいということで努力はしてまいったのでございますが、その間、輸出品についてダンピングの問題、あるいはそれらの御説明を申し上げるためにモデル価格を発表したり、そういうような点から、実際問題として、現金正価実売価格との開き相当ありまして、それははなはだいかぬのじゃないかという消費者の声が出てまいりました。私どもも、この点について、どういうふうに解決して消費者皆さんに御満足いただけるか、また、間に立って販売努力してくだすっております卸売り商の方、それから小売り商の方、この方に、はなはだしい御迷惑をかけたらたいへんだ、そういうような点から、みんなでいろいろ考えてまいっておるのでございますが、なかなか製造者が十数社——十三社でございますか、ございまして、それぞれの企業のあり方というものが違っておりまして、これを電子機械工業会といたしまして一本にまとめて、同じように、さっと解決するということは非常に困難でございますので、事実は御承知と思いますが、過般通産省方々に御相談申し上げて、ある種の御指導をいただいた。あるいはその内容等は、通産の方が見えておりますから御発表いただけると思いますが、その線に沿いまして、何とかこの混迷している業界状況を整理しまして、そうして、メーカーも、もちろん赤字を出して倒産するというようなことになっては困るのでございます。その点も考え、また、販売方々もそれ相当の利潤を得て生活向上していける、消費者の方も、これならよろしいと喜んで使っていただけるという値段なり方法なりを、これから急いで研究していきたい、そういうふうに考えております。過般通産省行政指導をいただきました点につきましては、メーカー十三社ことごとく一致した考えで、この線で進んでいこうということに話がまとまっておりますので、今後具体的に急いで対策を講じていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 大久保会長さんから御所見を承りましたけれども、私がお尋ねしようとする基本の問題にちょっと触れていただけなかったわけですね。もちろん、いいものを安く消費者に提供しようということで業界努力されておる、これはよくわかります。もちろん、そうでなくちゃいけないわけです。ただ、私が言っているのは、このテレビ大衆化、そういうふうな時代に来ているわけですから、もう一歩進んで、従来の経営あり方に対してメスを入れる必要があるのじゃないだろうか。その点に対して若干お触れになったのですけれども、たとえば、われわれがこの三ヵ月、四ヵ月間ずっと皆さんの動きを注意深く見守ってまいったのでございますが、通産との間に合意に達した点につきましても、私どもから言えば、通産省行政指導をして、それをメーカー十三社が認めるというようなのは逆じゃないかと思うのですよ。むしろ、業界自体が、現金正価実売価格との間にあまりにも差があり過ぎる、三八%も流通段階で金を使っているというふうな、そういうふうなことを見たとき、この二重価格制というものに対して一体どういうふうにしたら解決ができるのかという、そういう点をみんなが真剣に考えてきたと思うのですよ。ですから、もう少し、メーカー行政指導によってこういうふうな意見統一をするよりも、むしろ、皆さんが率先、こういうふうな態度を出して消費者皆さま方にこたえるというのが私は筋じゃなかったろうか。われわれから見ると、どうもそういう点で姿勢が納得できないのですよ、率直言って。なぜもっと謙虚に、改善すべき点は改善する、至らなかった点は反省していただいて、地婦連はじめ消費者団体が真剣に取っ組んで、消費者立場から問題を提起しているわけですから、それにこたえる方法をとれなかったでしょうか。そういうところに、やはり業者の姿勢の問題についてわれわれは基本的に疑義を持つのですよ。だからして、具体的な問題の質疑の前に伺ったわけですから、それらの点について、もう少しひとつ会長さんから御意見を承れないでしょうか。連合会は、十三社のそれこそ任意団体で、連合体で、窓口の役目しか果たせないものかどうか私はよくわかりませんけれども、それぞれ事業者によって意見が違うわけでしょうから、それを電子工業会一つにまとめていくということは確かに至難なことだと思いますけれども、ものの考え方基本というものが私はひっくり返っているような気がするものですから、その点に対するメーカー考え方というものが、カラー出発当初から比べてだいぶ変わってきているわけですから、大衆化方向に、だからして、それにこたえる頭の切りかえ方というものがなきゃだめだと思うのですけれどもね。その点はいかがなものでしょうか。
  8. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) おっしゃる問題は、よく私どもも受けとめましたのでございますが、われわれも、この二重価格問題について解消をし、流通過程での消費者方々不信感を除きたいということを考えまして、これに対する処置をいろいろと考えましたのでありますが、御承知のとおり、日本流通段階におきましては、各小売り店方々事情によりまして非常に大きな幅がありまして、画一的な処置メーカーだけでとるということも困難でありました事情がありまして、消費者の方とも何回となくお話し合いをしなければ、この問題は、ただわれわれの側だけで解決することのできないような事情にありました。  御承知のとおり、定価との開きは、都会地におきましては相当パーセンテージになっておりまするが、また、いなかのほうの地域におきましては、野越え山越えお納めをし、サービスをし、というような事情にあるお店もありまして、その間には、小売り店一つ一つの品物に対するマージンのとり方に非常な幅がありました。これを画一的にメーカーの側でどうするということもできない一つ事情がありますので、これは基本的に、流通過程といろいろお話し合いをしながら、きめていきたいというのが私ども考えでございます。それに従って、流通過程を含めて、われわれのほうも、経営的にも、流通過程をも含めた全般的な合理化によって、これが皆さまの御納得いくような方向にいけるようにいま努力をしておりますわけでありますので、御了承をいただきたいと思います。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 まだ私は十分に皆さんの意思が把握できないんですけれども電子工業会という立場に立つと、いろいろお立場もあるでしょうから、これ以上私は質問をやめまして、具体的な問題で少し伺いたいと思います。  アメリカ国内ダンピング問題が騒がれ出されてから、それから関税評価が差しとめになっておりますね。こういうふうな、対米輸出の面と、それから、これをダンピングでないという立場から皆さん公表したコンソールの一九型、これを発表になりましたですね。これが十四万八千円ということで現金正価、それからメーカー出し値が九万一千七百六十円、それから物品税抜き価格になると、七万九千七百九十円というふうになりまして、この中には、アフターサービスの技術教育費だとか、宣伝広告費だとか、金利とか、販売及び管理費等がございますが、特に流通経費の中で、小売り店経費が二二%、卸が八%、販売促進費、それから据えつけ費が八%——%で出ておりますから、幾らなのかよくわかりませんけれども、できればこういうものも金額で示してほしいと思うのですが、いずれにしても、出し値の半分ないし半分以上も、流通段階現金正価から見ると安く——現金正価から見ると安くというか、開きがある。流通段階でこんなに金がかかるのかという、まあモデル価格公表によって、逆に国内消費者というのは不信を抱きましたよ、率直に言って。そういうことからして、買い控え運動だとか、ボイコット運動というものが全国的に出てきたわけです。現状皆さんが把握されておる現在、輸出傾向とか、あるいは国内販売の鈍化の傾向とか、在庫品等を含めて、一体どういうふうな現状にあるか、大まかなところで、おわかりでしたら、教えてもらいたいのですが。
  10. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 現在の状況はどうだという御質問が最後にありましたようでありますが、今日、カラーテレビ普及率は三五%くらいに達したということが、この辺で日本カラーテレビについて考えなければならぬ一つの問題であります。もう一つは、いままで真空管式であったカラーテレビトランジスタ式に変わりつつあるという事情が今日ございます。前の三五%と申しますのは、やはり一つ屈折点であるかどうかということについては、いろいろ考え方があろうと思います。まだまだ需要というものは深いものがあり、われわれもその需要にこたえて、できるだけいい品を安くやっていくような努力をしなければならないと考えております。次に申しました真空管からトランジスタへの転換という問題は、世界じゅうに、こんな大きな急激な転換というものは来ておりません。日本では、この一年くらいの間に急転換をしてしまうと存じまするが、アメリカはまだ二、三年かからないと、こういう大きな転換はない。徐々に変わりつつあります。オールトランジスタテレビというものは、たとえばRCAとかモートローラの会社に一機種ぐらいあらわれておるという程度でありまして、これから数年の間に変わっていこうという状態にあります。日本はいまそういう急激な変化に来ておりますことが一つの原因でありまして、ここに真空管機種中心とするストック相当にたまってまいりました。私どもの大体の見当は、メーカー在庫に約九十万台、流通在庫に六十万台ぐらい、合計百五十万台ぐらいのものが在庫としてあらわれてくる状態に来ております。このことは、流通過程にも大きな圧迫になっておりまするし、また、値くずれという問題を促進する大きな要素になってきております。ダンピングの問題ということ以外に、こういう現状がさらに現金正価実売価格との開きを促進するという異常な状態が今日あらわれておりますのであります。今日の状態はちょっと正常な状態であるということではないと私ども考えておりますが、こういう状態の中におきまして、平時の状態におけるマージン率とか、そういうものとを標準的に比べるということには多少無理がありまして、現実には旧機種という形のものが町に相当出ておりまするのが実情であります。  こういう特殊事情というものを別にいたしましてマージン率というものを考えてみますというと、あのモデル公表いたしましたアメリカとのマージンの比較というものは、日本は三八で、アメリカのほうは三六・一というのが計算では出るのでありますが、アメリカの場合には、その下に報奨金というものがありまして、それはパーセンテージがわかりませんけれども日本パーセンテージよりも相当多い、合計すると四〇をこえていることは明らかであろうというふうに私どもは見ておりまして、流通段階パーセンテージそのものについて、あるいはもう一つさかのぼって、われわれメーカーがつけました現金正価というものの値段についても、日本のつけた正価は、国際正価と大体同等であったということを一応考えております。それからマージンの幅も、普通の状態外国と比べた場合の率よりは、日本のほうがわれわれは多少低いと思っておりますけれども現実にあらわれてきました実売価格というものは非常に開いてきておりまして、これは諸外国にも例を見ない非常に大きな差があらわれています。まあ、かりに、平均的に一五とか二〇というような辺が多いようでありますが、この三八というものの中から、過当競争といいますか、ちょっとことばがあれですが、競争によりましてそういう差が起きているのは日本の特有の事情でありまするので、先ほど私が申し上げましたように、マージン率日本のほうが低いというような抽象論だけでは片づけられない現実に来ておるということを私どもも感じております。まあ、そういう辺は、これから流通過程方々とも一緒によく合理化へ向かって勉強をしていきたいと思っておる点であります。  大体以上であります。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 通産のほうにちょっと伺いますが、前回委員会質問したときの在庫は百五十万——いま言われたのは十月に工業会の発表された数字だと思いますが、その後あれですか、十一月に入ってのはわからぬですか、十月の……。これは八月末現在でしょう、たしか、いま示されましたのは。
  12. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 十月末現在で申し上げました。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 あ、そうですか。そうすると、通産のほうの数字とちょっと違うな。
  14. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 前回委員会でお答えした数字をちょっといま正確に調べておりませんが、私どもの正確に統計上出ておりますのは、カラーテレビの九月末現在の在庫は、八十六万四千台、これはメーカー在庫であります。流通在庫のほうは、実はまだ九月末が出ておりません。これが統計の正式な数字でございます。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、百五十万台というのは、さっきお示しいただいたのは十月末でございますね。一番最近のものでございますね。そう理解してよろしゅうございますか。
  16. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) はあ。ちょっとここで御説明しておきたいのですが、メーカー在庫九十万と申し上げましたが、まあ大体多少の前後はあるかもしれませんが、十月末九十万台と存じておりますが、流通段階の数というのは、ちょっと的確につかまえる方法がむずかしいために、見込みも相当入っております。販売会社はわりあいにつかみ得るのでありまして、そこの段階が六十万台の中の三十六、七万台と思っております。販売会社といいますか、卸し店ですね。そこから先の小売店の店頭にあるものについては、一々これをチェックするのは非常にむずかしいものですから、大体の推定をいたしております。合計をしまして百五十万台と思います。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 対米輸出の面では、あれですか、具体的にこの数ヵ月の間にどの程度に減少しておるか、それの数字はわかりますか。
  18. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 輸出ストックというものは、大体マッチしておりまして、少ないのでありますが、輸出在庫というのは数万と思っていただいていい……。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 在庫でなくて、輸出量です、台数台数は減ってますか。
  20. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 輸出台数を申し上げますと、ことしの一月から九月までに輸出いたしましたのが七十二万台であります。一九六九年には百一万八千台になっております。六八年は七十六万六千台、その前が三十三万二千台、六六年が二十六万六千台、その前は四万台ということになっております。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 そうじゃなくて、私の心配しておりますのは、ダンピング問題が発生してから輸出傾向はどうですか、減っておるんじゃないかということを聞いておるんです。
  22. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 現在までは下がっておりませんが、これからそういう影響が出るんではないかと思っております。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 それから、ダンピング対策については私たちも意見はあります、アメリカのやり方に対して。繊維をはじめ、一連の輸入制限等については重大問題だと私ども思っております。特にカラーテレビダンピングについては、業界として各社それぞれやっておられるようでありますが、統一して工業会のほうからアメリカに対する対策というものは、どういうものを持ってやっておるか、もし差しつかえなかったら聞かしてもらいたい。
  24. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) いま起きておりますダンピング問題は、法律問題の段階に来ておりまして、一社一社——五社ございますが、その五社のどの機種ダンピングに触れるか触れないかという法律的な問題に来ておりますので、自然、各五社がそれぞれの事情説明して、これを解明するというのが直接のやりとりになっております。しかし、漸次、工業会といたしましては、これを全体的な共通した最大公約数といいますか、日本アメリカとの間の電子工業というような角度、あるいはもっと大きく、日米間の経済という角度からこの問題を取り上げまして、それぞれ向こうの電子工業会意見調査をし、財務省にもそういう話もしておりますが、いまの段階では、その辺から上の大きな問題につきましては、通産省の御援助を得まして、御指導を得まして、通産省におかれましても、過日は赤澤局長がアメリカをお回りくださいましたが、財務省等と全般的な日米の電子機械工業に関する角度からの折衝をいたしていただいております状態であります。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 十月十四日に、ワシントンでアメリカ政府の公聴会が開かれておるんですが、その際に業界から代表が行かれたんですね。政府は、この公聴会等の経過を見て具体的にどういう対策を立てておられるのか。赤澤さん、差しつかえない点で、われわれに聞かしてもらいたいと思うんです。時間が制約されているから、要点だけ。
  26. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 私、九月の終わりごろでございましたが、アメリカの財務省当局責任者と話し合いをいたしました。その際、やはり日本政府として一番主要な関心を持っておる点を特に申し述べたのでございます。その点は、国際アンチダンピングコードにもございますように、各国における流通の実態を十分しんしゃくをしなければならないというのが、ダンピング認定の場合の基本原則でございます。ところが、現在まで私どもが各社を通じて得ております情報からしますと、どうもアメリカの流通実態と日本の流通の実態というものがあまりにも違っておるためだと思いますが、必ずしも日本の現在の流通実態を正確に把握したような査定が行なわれてないのではないかという点が一番の疑念を持っておる点であります。したがって、そういう点について十分アメリカが今後調査もし、正確な認識のもとに判定をしてもらいたいというのが私どもの主張であります。そういうようなことも含めて、先般公聴会が行なわれ、これは各社別々のものでありますので、各社からアメリカ政府は意見を聞いた。その後私ども特段のニュースを得ておりませんが、当然、公聴会における議論を参酌し、また、それがきわめて抽象的ではありますが、ある種の事実に基づいて申したことにつきましても、向こう側は参酌して現在財務省において検討中であるというふうに承知をいたしております。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 これはまあ、チューナーが評価差しとめになりましたね。したがって、これは甘く見てはいけないと思いますから、もう少し日本の実情等もよく説明をして、できるだけの努力をしていただくようにお願いしたいと思うのです。これは国益の問題です。党派とか、そういうことは超越して、国民として考えておるわけですから、その辺はひとつよろしく。  それから時間の関係があるから、二、三ポイントをしぼってお尋ねするようにしますが、これは会長のお話の中にもありましたように、一応、現金正価実売価格との間にものすごい差があるということに対する解決のめどというものが、十一月六日の通産省赤澤重工業局長発言というものが了承されておりますから、一歩前進したようには思うのです、私も。ですから、この間の努力は多としますが、ただ、さっき申しましたように、むしろメーカー側が、なぜ進んでこういうような態度を表明されなかったのか、非常に遺憾に思いますけれども、とにかく一歩前進であることは間違いない。ただし、われわれが疑義を持っておるのは、はたして、この約束が十三社一致してやられたというけれども、効果の面でどうなってくるかということを非常に心配する。この現金正価というのは、公取が昭和四十四年に事務局長通達で出しておりまして、現金正価を認めているのは、要するに、実売価格現金正価というものですね、これに差がないようにやるというのが、追認した現金正価の趣旨だと思うんです。ところが、この趣旨が大きくくずれておるから、事務局長通達というものにたいへん離れている。はっきり言えば違反したようなかっこうになっておるから、現金正価の追認は消えたと、こう私は理解をするんですけれども、この重工業局長発言の中の第一点の、「現金正価実売価格の著しい開きを是正し、消費者が安心してテレビを購入できるようにするため、」——ここはいいでしょう。あとがたいへんです。「各テレビメーカーは、現行機種について、小売店等の動きに対応し、暫定的にいわゆる現金正価の表示を撤廃する。その後、テレビメーカーは、実情に即して引下げられた新しい価格の設定を行なうものとする。」、これは、言うならば、何ヵ月か知りませんよ、暫定というのは二ヵ月か三ヵ月か知りませんが、しばらく現金正価ははずしましょう、そしてその後、小売り店等の動きも考えながら、実情に即した引き下げをやって、それが新しい価格になりますよということですから、これはやはり現金正価を残すということでございましょう。消費者団体国民も言っているのは、現金正価をなくするということは、即、実売価格というものをもっと下げてもいいんじゃないか、もっと安く売れるのじゃないかという、そういう疑義を持っておるから、皆さんのほうに攻撃がいっているわけですよ。だからして、もう一歩進んで、現行機種についても現金正価をはずし、実売価格というものを下げるという、そういう方法がどうしてできないのでしょうか。この点をお聞きしたい。これは通産省が発意したものだと思うのでありますが、その点が非常にあいまいもことしておって、これじゃどうなるのかさっぱりわからぬ。もとのもくあみになる危険性があるから、これはメーカーのほうから……。
  28. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) この点につきましては、メーカーの間で非常に実は議論のあったところでございます。私どもがこういうことを要望いたしました趣旨は、現行機種については、いま小売り店のほうが、消費者団体との話し合いにもよりまして、暫定的に、いわゆる現金正価、こういったものをはずそうというふうに考えておるということを踏まえまして、メーカーとしても、その動きに対応して現金正価なるものの撤廃を行なってもらいたいということであります。で、この現金正価を撤廃したあと、どうなるかということでありますが、直ちに新しい価格というものを設定するというのにはいろいろ問題があろう、と申しますのは、現在のように非常に在庫がたくさんある、また、先ほども御発言にありましたように、地域によりまして実売価格というものは非常に違っております。そういったようなことを踏まえて考えてみますると、やはり現金正価なるものを、まずはずしてみて、そしてその後どうなるかといえば、小売り店が実情に即した価格というものを今度は店頭に表示をいたします。そういった表示価格に基づいて消費者との間で実際売り買いのできる価格というものが漸次固まってくるであろう、流通の実態面において固まってくるであろう、そういったものが固まってきた状態のもとに、新しい何らかの価格表示ということをすることのほうが実際的でもありますし、また、一番実行可能な方法ではあるまいか、こういうことであります。したがって、基本的には、私ども、何らかの価格表示があると、それが消費者にも便利であるということを前提に置いております。そういう考え方のもとに考えますと、いま申し上げましたように、つまり非常に離れておる架空の——まあ架空と申しますと語弊がございますが、実際問題としては、あまり消費者がそれを見てすぐわかるということじゃないような価格をいつまでもつけておくということは不合理でございますから、まずそれをはずす。そして流通の実態において実際のテレビ価格というものが固まってくる。それも機種により地域により、非常に違うと思います。そういったような千種万別の状態が実態の流通価格の中で固まってくる状態をよく見て、そこの上で新しい価格というものをつけ直してもらいたい、こういうのが私どもの趣旨であります。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 趣旨は一応わかるのですけれども、問題は、現金正価を一応暫定的にはずすということ。暫定的だから、将来またつけるということですね。それは、その場合に、はたして実売価格現金正価というものが縮まってくるかどうかということ。これはまあメーカー側努力にかかってくると思うのですけれども、そういう点が、なかなかこの文面ではよくわからないのです。「新しい価格の設定」という、この「新しい価格」というのは、おそらく現金正価だと思うのですが、そういうふうに、何かあいまいもことした表現になってきているわけです。だから、ほんとうにこの公取事務局長通達のような姿に戻してもらえるという確約をしていただけますかどうか。現金正価。これは流通段階合理化とか改革とかしなければならぬと思いますが、そういう問題をして、暫定的にというのは、いつ一体これはやってくれるのですか。何ヵ月待ったらそういう事態になってくるのか。私のおそれるのは、現行機種の中には、真空管式がほとんどだと思いますけれども、三年前につくったものがあるのか、 二年前につくったものがストックされているのか、最近は、二年前につくられた機種のものを安く売っているものがありますよ。ストックされている百五十万の中に、年度別にはどういうふうになっているのか、もっと実態を知りたいのですが、そういう、新しい価格の設定を行なおうとしているということは、従来の基準のやり方というものを変更しないのか。私が最初に言ったような新しい経営状態に切りかえていくという、これから私が皆さまにもお伺いする小売り段階における系列化の問題とか、リベートの問題とか、そういった一連の問題の中でやり方を変えてやる、思い切って現金正価をはずして、実売価格というものを下げていくという、そういう方向皆さん考え方を出していただいたほうがいいのじゃないかと思うのですが、この辺はどうですか。
  30. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 「実情に即して」ということでありますが、現金正価が撤廃されるといなとにかかわらず、実売価格に対してわれわれは何らコントロールするつもりを持っておりません。今度の場合には、現行機種について暫定的にはずすということに御指導いただきまして、はずすのでありますが、はずした結果下がるという約束を私どもがするのは、筋が通っておらないのであります。下がるのもあろうと思いますし、どういうふうになるか、これは実情を見るよりしようがないと思います。しかし、下がってくるということを相当に予測できるのではないかという点もございまして、その実情に応じて、そのときには、正価をつける段階がまいりますれば、それに近づいたものにしたいということを、基本的に通産省へもお約束しております。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 赤澤局長、下がるのもあるし、上がるのもあるという、上がるものがあるというのは、これはどういうことですか。それじゃ、皆さんが前提として確認した、いいものを安く売ろうと、そしてテレビ大衆化に即応する業界姿勢を出したわけでしょう、前段において。それと反するんじゃないですか、少なくとも、現行より安くするという方法でなければ、これは何にもなりませんよ。ちょっと驚きましたね。私は。
  32. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) これは、平賀参考人から、もう一度正確に御答弁願ったほうがいいと思いますが、私どもの意図は、要するに、現金正価なるものをはずせば、とにかく実態に即した価格の設定が行なわれるであろう、そういう実態に即した価格というものは何かといえば、現状百五十万台の在庫圧力がありますから、必ず下がる、こういうふうに考えております。したがって、実情に即して引き下げられた新しい価格、必ず下がったものになるはずであるから、そういった実態を踏まえて、下げられた新しい価格をつけてもらいたいというふうに要望し、かつ、それが私は了承していただいておるものと確信しております。
  33. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) そのとおりでけっこうです。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 さっきのは訂正しなければならない。その点を。
  35. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 先ほど申し上げたのは、価格が下がるだろうということは経済的に考えられるのでありまするけれども、それは実態できまってくる問題であって、メーカーが実態の価格を下げるというふうなことができる、コントロールのできる問題ではないという点を申し上げただけでありまして、上がるような御印象を受けられたならば、それはまた意味が違うのであります。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、議事録をあとから調べてみれば、はっきりあなたがおっしゃっておるわけですが、確かにリベートの問題とか系列化のいろいろ複雑な問題があるわけですから、たとえば出し値を一万円下げるということも可能かどうか、これは検討する余地があるでしょうね。それから、リベート関係におけるマージンも、ある程度やっぱり考えておく必要があると思うのです。実際には現金正価十八万とあっても、十一万で売っているわけです。あるいは十二万で売っているわけです。ですから、マージンの三八%の中でかなり弾力的に伸縮があると思うんですよ。たくさん売れるところでは、三万円のマージンのあるものを一万円にしたって、量産量売でいけば、そのほうが得になる場合はあるでしょう。たとえば、いなかのような小さい小売り店の場合には正確にはわかっていないでしょうが、その場合には会社のほうで、ある程度のコントロールをしてあげるかすればいいので、メーカー側が全然値段に対して調整権がないようなことをおっしゃるので、これは理屈に合わないと思いますよ。だから、いま赤澤さんのおっしゃることを、平賀さんがそのとおりだとおっしゃるのですから、われわれは、幅についてはどうなるかは別として、とにかく下がった新しい価格が生まれてくるということを確認して、なおひとつ今後できるだけ実情に即して下げられるような努力を、通産メーカーも一体になって、やっていただかなければ、これは消費者は絶対納得しませんからね。そういう点をひとつ踏まえて、これから年末になって、どうせ買うだろうからという、そんな気持ちじゃなくて、もっと真剣に消費者立場に立って考えてほしいと思います。  それからその次の、新しい機種の場合ですけれど、皆さんが十一月の六日に、各テレビメーカー価格の引き下げを伴う新機種を早急に発売し、その際に価格引き下げの内容を消費者に明確にすると、こういうふうに言われております。それから製造年月日をつける、これもけっこうですと。ところが、その夕方に、松下が、新しい機種について一〇%の引き下げをするということを消費者団体に発表しておりますね。そうすると、価格引き下げというのは大体一〇%というふうにあらかじめ話をしておったわけですか、この申し合わせするときに。この辺はどうなんですかね。
  37. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 全くそういう事実はありません。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、松下さんは独自でそういう発表をなさったわけですか。
  39. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) そうです。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますとですね。「その際価格引き下げの内容を消費者に明確にする」ということは、これこれこういうふうな理由によって新機種についてはこれだけの値下げができましたということを発表していただくわけですね。皆さんが企業機密だと言ってなかなか一般には発表できないようなモデル価格を、八月二十六日ですか、御発表になっておりますね。ああいうものを発表したら、たとえば一九型のコンソレットのそれもやったっていいじゃないかと。ところが、皆さんのほうでは、外国向けのダンピングを対象にやったものですから、同じようなものを出してきたと思うんですね。もっと、ああいうものが出せるならば、消費者にわかるように、あらゆる機種についてやったらどうかと、こういう意見も出てくるわけです。皆さんのほうは、できませんと、こう言うのですけれども、一方ができて一方ができないということはおかしいじゃないか、正直に国民が理解するように出したほうがいいじゃないかという意見もあるわけです。ところが、これはなかなか応じてもらえない。いずれにしても、全体の価格の構成というものも含めて、新しい価格はこれだけ引き下げたということを消費者にやってくださるわけですね。
  41. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) はい。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 これはそれでいいですか。
  43. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) この御指導のとおりにいたします。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 それからですね、その次に、私は、きょうおいでいただいている平尾さん、田中さんにも、この際ちょっと御意見をお願いしたいんですけれど、日本の場合は、テレビ販売については特殊な系列が、かなり強い縄が張られておりましてね、全商運さんのいろいろの動きも最近私はよく注意して読ましていただいておるんですけれど、まず第一に、系列の販売店、それから非系列の販売店というものは、大体比率にしてどの程度あるかわかりませんか。そういう問題との関係で問題になってくるのは、やっぱりリベートだと思いますけれども、このリベートの実体というのはどういうふうなものか、この際、皆さんのほうからお示しいただけないでしょうか。これはやっぱり機密で、いけないのですか。まあ、卸の場合ですね、それから小売り店の場合、今日どういうふうな点が問題になって、それをどういうふうに解決してほしいという、そういう御意見をお持ちだと思いますから、お二人から簡単に要点だけ拾って、ひとつ発表していただきたいと思います。
  45. 田中次信

    参考人(田中次信君) 系列店の比率でございますが、アウトサイダーの問題につきましては、ちょっと不明でございますが、組合員の中では八割が系列店であると、このようにいわれております。したがって、非系列店は二割くらいではないか、そういうことであります。  それから、リベートに対する私どもの希望でありますが、多いメーカーで約七種類、少ないメーカーで三種類ぐらいが現在使われておるリベートの種類でございます。で、私ども小売り屋といたしましては、このリベートは複雑なほど小売り店の原価意識を失わせます。元値ですね。原価を失わせる関係がありまして、いまのように競争の激しい商売の場合では、その日に仕入れた品物の原価は、その時点で知らなければ価格競争の計算ができないわけであります。原価計算ができないわけでありまして、この問題につきましては、約一年ほど前からメーカーとの交渉をいたしておったわけでございます。一向にらちがあきません。で、今回の問題に関連させまして、ここで一挙に解決を願うべく要求をしたわけでありまして、できるだけリベートは簡素化していただきたいと、こういうわけであります。リベートの点について、詳しくお話をするべきかどうか、ちょっと御質問の要旨がわかりませんので、この辺で打ち切らしていただきます。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 全商連の、九月の二十日から二十一日にかけて、熱海で全国理事長会議を開かれておるわけですが、そのときに、メーカーに対して申し入れをし、もしいれられなければ実力行使も辞さないという、非常にきつい態度をおきめになった。これは無理もないと私は思います。しかし、私は、いま小売商団体が要求しているのは、一地域一販売会社制の廃止ということですね、それからリベートの簡素化、現金正価制度の廃止、系列小売り店における共同仕入れと混売の承認、こういうふうに集約されておると考えてよろしいんですか。  それから、もう一つ。われわれはどうも、九月二十日ごろの意気込みから見て、その後だんだんと全商連が後退をしてるような印象を受けているわけですけれども、それには何か他の力が加わって、そういうほうにカーブを切りつつあるのかどうか。これは、私がもし間違った見方であれば取り消しますけれども、私はそういうふうに感じておりますから、その点のいきさつはどうですか。
  47. 田中次信

    参考人(田中次信君) お答えいたします。  あとの御質問のほうから先にお答えしたいと思いますが、全電商連は、腰折れ、Uターンの事実はございません。あの当時と同じ姿勢で、現在、メーカーの出方を、対峙の状態で見守るという状況であります。たまたま報道された記事の中に、Uターン、腰折れというようなことばがありましたが、一向にそういうものはございません。それだけははっきり申し上げておきます。  それから、先ほど平賀さんがお答えいたしましたお話の中で、この二重価格問題は、トランジスタ真空管テレビの切りかえ時期に起こる現象のような印象を受けるお答えがありました。それは、そうではなく、この二重価格問題につきましては、過去十年間以上の業界の問題であります。この点は、はっきりさしておきたいと思います。まあ、そういったようなことがありまして、熱海での七項目、そのほかのものもあとから追加いたしまして、現在八項目にわたる要求をいたしておりまして、これは何としてでも貫徹をし、そして明るい明朗な業界をつくらねば、消費者価格に対する信用は受けられない、ちょうだいできないというような考え方で今後もやってまいりますが、何せ、この暮れを控えまして、私ども有給の役員でありませんでして、無給でありまして、そういう関係もありまして、暮れは一応積極的な人海作戦的なものはできないという事情がありまして、ちょっとほこをおさめているというような状態でありますが、これが、もし解決つけられないならば、来春にでも、春闘ということになりますか、大いにがんばりたいと、そのように考えております。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 お聞き取りのように、通産省がいろいろ努力をしていただいているわけですけれども、これは、メーカー皆さんも、きょういらっしゃるわけですから、よくいまの田中さんの御意見をお聞きいただいていると思いますが、これでは、私は、もうどうにもならぬと思うのです。要するに、つくるほうと売るほうが力関係でやらなきゃならぬというような、そういうぶざまな状態というのは非常に残念だと思いますよ。ですから、もう少しメーカー側小売りさんのほうの意見を十分に聞いて、それが実現できるような努力というものをしていただいているものなんでしょうかどうでしょうか、私は非常に心配するわけですよ。ですから、ここの二項目に「小売り段階における合理化に資するため、」として、リベートの問題にしても、通産省の窓口でつかんでおらない。したがって、実態調査というものを早急にやる、そして、「当面各メーカーはこれが過度にわたり、二重価格の発生の原因とならぬよう、また、小売店の自由な活動を促進するようその在り方を再検討し、具体的措置を講ずる。」というので、これはいま直ちに具体的な解決になっておらないわけですよ。したがって、いまのような、メーカー小売りとの間には春闘まで考えなきゃならぬような、そういう険悪な状態にあるわけです。  したがって、リベートも、時間の関係もあって私もあまり詳しくお聞きできませんけれども、たとえば、私もいろいろ調べてみましたけれども台数リベートとか、金額リベートとか、現金仕入れリベートとか、シーズンリベートとか、いまお話しのように幾つかの問題があります。そして、それをうまく操作することによって、この小売り店のほうをコントロールしていくという、これはメーカー側あるいは卸側でやるんですかどうか、よくわかりませんけれども、そういうようなやり方もある。特に系列については、メーカー側のそういう取り扱いがかなり出てきていると思うのです。だから、やはりこういう点に徹底的にメスを入れて、そして少なくとも最大公約数で、メーカーさんのほうと小売りさんのほうで、これならひとつ行こうじゃないか、そういうような、やはり流通段階における問題の解決をしていただかなければ、これはもう、正価をはずしてみたって、どうやってみたって、根本的な解決にはならぬと思います。そこのところに抜本的なメスを入れるように……、これは通産としての行政指導の面ではなかなかむずかしい。むしろ、メーカー側がそういうふうな決意に燃えて、考え方転換をして当たっていただかなければいかぬと思うのですね。その点、どうでしょうか。これは、会長がきょうおられるわけですからね、ひとつ伺っておきたいんです。
  49. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) お話のとおり、私どもメーカーのほうと流通過程とは、もう車の両輪といいますか、一体となって消費者方々にできるだけのサービスを差し上げる、こういう筋道であるべきものと存じておりまして、過日来、 メーカーのそれぞれ、あるいはグループになって、消費者方々ともお話し合いをいたしまして、いま御指摘のありましたような点について解消していくことをお約束しております。これについて、それぞれ手のつけ方や実情に応じた実施が必要であろうと思いますが、メーカー全部がこれを解決していこうという方向に決心をしておりますことを申し上げておきます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 これは、私、要望事項ですけれども、いまの御見解も出ておりますから、ぜひ、もう少し思い切った革命的流通変革というものをひとつやってもらいたいと思うのです。  それで、通産省の諮問機関である取引条件適正化委員会というのがあります。この委員長をしておる三上先生が、 こういうふうに言っていますね。「過去の成長期にメーカーの系列店育成にはメリットがあった。しかし、スーパーが成長した現在のような流通革命期には弊害が多い。メーカー販売店育成策をとるため、どうしても小売店経営の自主性が失われる。またリベート、販売促進費等、正規のマージン以外のあやふやな流通経費が多くなるので、それが最終的には消費者に転嫁されることになる。」ですから、この系列化というものは端的に言ったらやめるべきだ、やめなければ、もっと思い切った改革をすべきだという意見を述べております。私も全く同感であります。ですから、世間は、すでにそういう方向に来ているわけです。カラーが始まった当時の古い考え方でなくて、問題をひとつ転換をして、大衆の、消費者の希望に沿えるような政策をぜひ出していただくように希望したいと思います。これは私の強い要望でございます。  それから、委員長、ちょっと時間を超過いたしましたが、経済企画庁長官が見えましたので、一つだけ簡単に……。  長官、御苦労さんです。実は、前回私は日銀総裁に質疑をやったんですけれども、十月二十八日に公定歩合が下がりまして、昨年九月以来の政策は中止になったわけですね。そこで、いま、はたして景気が鎮静化しているのかどうかという問題。まあ一面、一方では、〇・二五の引き下げじゃないか、今度は少ないじゃないか、昨年九月一日に引き上げたのは〇・四一も上がっているのだから、もっと再引き下げしていいんじゃないかという意見もあるのですが、せんだってあなたが閣議で報告した際に、佐藤総理からも、景気が鎮静しているなんということを言っているけれども、そうじゃないんじゃないか、最近は物価を見てもいろいろ憂慮すべき点があるんじゃないか、もう一回総合的に考え直していいんじゃないかというような意見があったように新聞では報道されております。この金融引き締めというのは、一つには鎮静化と、もう一つは、物価は、卸が中心だったですが、消費者物価を含めて物価の安定ということが目標だったはずだ。景気は鎮静したかもしれないけれども、物価は依然として上がってきておるわけですよ。おそらく十月は九%をこすでしょう。四・八%なんという政府の当初の経済見通しはくずれておる。だから、ここで思い切って消費者物価の値上がりに対する措置をとってほしい。特に野菜なんか、ものすごく上がっておりまして、これはとんでもない話だと私は思う。農林省は、この一月から三月ころは、私たちが国会で質問すれば、天候に支配されたと言う。天候に支配されない方法で野菜がつくれないことはないはずなんです、やる気になれば。今度また上がってきてしまった。また天候に支配されて上がった、そんなことは国民は聞き飽きておる。もっと思い切った対策を立てるべきじゃないでしょうかね。ですから、もう四・八%はだめですよ。あなた修正しなさいよ、消費者物価。実情に合わないんだから。こういう事態が来ていることは極端なインフレですよ。この経済の見通しに対するあなたの考え方、当面生鮮食料品をどうして下げていくか、これを真剣に考えてほしいと思うのですが、どうですか。
  51. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 公定歩合の引き下げの問題は、本来日本銀行の決定事項ではございますけれども、もちろん、日本銀行がこれを決定するにつきましては、やはり、いわゆる金融引き締めの効果が実態経済にも相当浸透してきておるという、もちろん評価をいたしておるわけであります。引き締めを解除したとたんに、また急に景気がおかしくなったから、また大急ぎで引き締めをするというようなことは、中央銀行としてもとれないところでありまして、いわば、公定歩合を引き下げ、いわゆる金融引き締めの解除をこの際行なっても、経済の実態全体として急にそういう反発なんということはない、むしろ鎮静化のムードがここしばらく続くであろうと、こういう判断に、もちろん立って行なっておるわけであります。  ところで、全体の経済が鎮静化に向かいつつある際に、ただし、それについては物価の問題が残っておる。まさしく御指摘のとおりでございます。われわれも、まことに残念、遺憾ではありますけれども、四・八%の見通しというものが実現できないということは、これはもう認めざるを得ません。そこで、今日の異常とも言うべき消費者物価高と申しますのは、卸売り物価につきましては、実は本年の三月から九月まででとりまして、〇・二%しか上がっておりません。もちろん、この前年がずっと高くなってきておりますから、全体としての対前年度比較におきまして、いわゆる「げた」を計算いたしますと、ある程度高くなりますが、年度に入りましてからは卸売り物価は鎮静いたしておりまするが、消費者物価は、残念ながら、相当高くなっておるのは御存じのとおりであります。  そこで、結局、これには二つ問題がありまして、一つは、何といいましても、季節商品の問題でございます。それから、季節商品以外のものにつきましても、実は手間賃その他が上がったというようなこともございまして、また、流通系統のマージンの引き上げ等もございまして、相当に上がる強含みの状況を示しております。で、私どもは、この二つの面の対策をこれからどうしても推進していかなければならない。  季節商品につきましては、これもまた、残念ながら、野菜が中心でございます。いまこれを詳しく申し上げる場ではないかもしれませんが、実は、主として食料品の全体の消費者物価上昇に対する寄与率が五割をこえました。したがって、結局、この食料品を中心とする、しかもその中心が季節的な商品を中心とするこの物価高に対処するということが、さしあたっての重要事でございます。私も、もちろん当然のことですが、非常に事態を憂慮いたしておりまして、農林大臣と、ごく近々に、物価問題を中心にして全農林行政について話し合いをいたそうと思っております。率直に申し上げまして、やはり今日の農業が必ずしも正常化しておらない。一方において、農業の中心である米が生産過剰である。そういうようなゆがんだ農業の姿をしております。そして、農民が主力を米に注いでおりますから、従来の観念としては、どうしても副食の系統である野菜等について必ずしも十分な関心が農林行政において払われておったとは私は思われない。そういう点も、もう一回基本的に反省してもらわなければなりませんし、この際、いわゆる転作等のこともございますから、こういうことを足がかりにして、蔬菜の生産について、もっと本格的な腰がまえで取り組んでもらいたい、こういうふうに実は考えております。一例をとりますと、畑地かんがい等につきましても、従来口で言っておりますけれども、あまり実績が進んでおりません。こういうような点も取り上げて、本格的に、季節によって左右されない——ほかのものがこれだけ文明化しておる際に、われわれの主食の重要な一環であるところの蔬菜があまりにも季節性に左右され過ぎておる。この点について何とかひとつ推進していきたい。こう思っております。  それから季節性以外のものにつきまして、何といいましても、いわゆる高度成長が続いたところのその結果としての異常な需要の強さ、こういうものを、やはり何とかして鎮静させなければならない。そういう意味で、引き締めも一つ方法であったわけであります。最近における経済全体の鎮静化というものを一つの足がかりにいたしまして、何といたしましても一三%という実質成長率というものは日本の経済の実力に比してあまりにも過大である、せめてこれは、本年においては、見通しとしては政府は一一%前後といっておりますが、そこいらのところまでは持っていく、そしてこれを足がかりにして今後安定成長を実現していかなければならないということで、まあ一〇%台の経済成長を目途にしていることは御存じのとおりでございます。一〇%の経済成長といいましても、国際的には非常に高いものでございますが、しかし、今日までの実質の一三%平均というものはあまりにも異常な高さである。まず、これを経済の安定的な環境を実現するということを基本にいたしまして、しかもなお、そのほかにいろいろな構造的な問題、そのほかの問題がございます。これらについては、ひとつ、しんぼう強く、長期にわたって価格対策を個別的にも総合的にも行なっていかなければならない。  こういうことで、主として季節ものを中心にいたしまして、その他のものについてもひとつ本腰を入れてこれをやっていく、それにつきましては、関係各省とも十分協議を進める。従来の閣僚協議会のような、どっちかというと大世帯でございますが、こうしたものではなかなか取り扱いにくい問題も、個別の協議という形でこれを進めていこうと、こういうふうに考えております。鈴木さん御心配の点は私たちもともに憂うるところでございまして、何とかひとつ、このむずかしい時期を、むずかしい問題を乗り切ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  52. 横山フク

    委員長横山フク君) 竹田君。
  53. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 時間がありませんから、一問だけ御質問いたしたいと思います。  この間は、出かけてまいりまして、たいへん御懇切な御説明をいただきまして、ありがとうございました。  そこで、通産省が最近出しました指導方針といいますか、その第四項に、共同仕入れなどをして小売りの協業体制の確立ということを一項うたっております。もちろん、これ一つだけでカラーテレビ値段が下がるというふうには私ども思いませんし、最近やっております新しい型のテレビを出すということは、私は、全体的にカラーテレビ価格を引き下げて行くという方向に必ずしもならない、場合によっては、その実売価格との差額をなるべく縮めようということで、比較的高いところへ将来また——まあ現在のものよりは若干低くなるかもしれませんが、ある程度高いところへ現金正価というものがつけられる心配も実際はあるわけです。そういう面では、これはメーカー側でも、ただ新しい、前よりも若干低い現金正価を出せばいいという、そういう立場であっては私は困ると思うのですけれども、そういう問題は、先ほどもお話がありましたので、この点は省きたいと思います。  現在、物価を全体的に高めて、しかも、大企業製品が、大量生産、技術革新の中で、安くならなければならないものを押しとどめている問題というのは、一つ流通段階であるし、先ほどもお話が出ました系列店制度、あるいはテリトリー制度といいますか、こういうものが、かなり小売り価格を引き下げていくものをチェックしている例というのは、いままでもあったわけであります。たとえば、かつては、新聞紙上に載っておりましたように、あるメーカーが、電気冷蔵庫に、ある符号をつけて、見えないような符号をつけて、実際それをあとで、幾らで売ったかということで、調査をするなどというようなことも前には行なわれましたけれども、このテリトリー制というものが、実際には、あるいは罰則を課するなり、あるいは何らかの報復手段を講ずるなりして、小売りが安く売ろうとするのを妨げている面というものも各所にあるわけです。そういう意味で、第四項というのは、テリトリー制の廃止ということを行政指導によって実際やろうとしているのだ、こういうふうに私は理解したいのですけれども、そのように一体理解していいのかどうなのか。先ほどの平賀参考人のお話でも、この指導というものは全面的にその指導に従うというふうなお話もあったわけでありますが、メーカー側は一体こういうような第四項のテリトリー制の廃止について、それではどうしようとしていらっしゃるのか。それから全商連の皆さんは、この四項について、具体的にこれからどうしようとしているのか、どういう態度で進んでいこうとしているのか。このテリトリー制の問題、すなわち系列店制度というものを私は廃止すべきだと思いますけれども、これ、全体的な問題にも関連してくるわけでありますので、この点について、おのおの、通産省メーカー側、全商連側からお答えをいただきたいと思います。
  54. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) いま御指摘の「協業体制の積極的な導入」ということばの意味でございますが、御指摘のように、系列制度あるいは地域制限、こういった問題が小売り店にございます。この点につきましては、その前の段落でうたっておりますように、小売り店の自由な活動を促進するということが私ども基本的な眼目でございます。そういうことによって、いまお話しのように、実態に即した実売価格と申しますか、そういうものの引き下げも可能になるであろう、こういうことをねらっておるわけであります。  そこで、実際問題といたしましては、小売り側におきましても、他の先進諸国と違いまして、資本力も弱く、かつ全国に五万軒もあり、これがお互いにしのぎを削って競争しておるという実情でありますから、いきなり抜本的にそれにすぐにメスを入れるということにはいろいろ困難があろうかと思っております。したがって、私どもは、そういった個別の問題につきましては、いろいろ実情を調査した後におきまして、もっと実態に即した指導方針を具体的に出したいと思っておりますが、とりあえずのところとしては、いま御指摘の点も含めて、とりあえず、できるような協業体制、これを考えてまいりたいということで、一例として私がその会議の際申し述べましたことは、たとえば共同仕入れ、こういったようなことは、そう何も、系列問題、地域問題を離れても、すぐできることではあるまいか、こういったことは、とりあえず、まずやっていただいていいことではないかというような例をあげて説明をいたしたのです。あと、御指摘のような点につきましては、いろいろ複雑な実情があろうかと思いますので、私どもといたしましては、今後実態を明らかにいたしますにつれまして、具体的な指導方針を出し、メーカー小売り店両方の立場をうまくかみ合わせるように今後は指導していきたい、かように考えております。
  55. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) テリトリーといいますか、の問題と協業体制のことでありますが、協業体制は、広い意味において共同仕入れをも含み、あるいはサービスを一緒にやり、広告もできるだけ一緒にやるというようなことによって、小売店経営というものが合理化へ向上するようにわれわれも考えたいと思っておりまするし、その基本は、赤澤局長がお話しのように、自由な商業活動によって成長してもらうことが基本であります。ただ、長い間、慣習として、それぞれの会社は、支店というような形、あるいはいろいろな形において一つの単位に締めくくった売り方をしておりまするけれども、いまの締めくくるということの面における合理的な売り方といいますか、コストの上においては、それが整理上有利であるというような点もありまして、その辺を商組の方々とも各社が話し合っておられます。それの優劣をよく判断をしながら御趣旨の方向に沿うていきたいというのが、いままで商組に対してお返事をしております返事で、各社の最大公約数の返事であります。
  56. 田中次信

    参考人(田中次信君) いま四項という御質問なんですが、四項というのは、どの四項なのか……。
  57. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 通産省のほうで言われた共同仕入れなどによって小売りの協業体制を確立するというのが、何か四番目の事項のように私は記憶しておるのですが、その件を……。
  58. 田中次信

    参考人(田中次信君) 「小売り段階における合理化に資するため、」という、その項でございますか、その中の(2)のほうですね。「小売店の協業体制の積極的な導入を図る。」、この項につきましては、私ども三年ほど前から、流通業者の経営の近代化というのをテーマにしまして、いろいろ研究もし、また、組合の内部については共同仕入れ的なものをつくれということで指導してまいりました。過去の指導によって、全国随所にそういうようなグループができました。ところが、一たんそれをつくりまして、仕入れをしようといたしますと、いまメーカーの管理下に入っております販売会社では、共同体では物は売らない、そして、個別ならば売ろうではないかというような形で、売っていただけないわけであります。これは、信用の有無ということよりも、そういうグループに品物の台数ランク制のリベートを適用いたしますと、同地区にある系列店との間に仕入れ格差が出てまいります。そういったようなものもメーカー側が勘案して、おそらく売ってくれないのではないかというようなことが考えられまして、たいへんわれわれの近代化も、理屈の上では、また学ぶ点においては十分なところまでいっておるのですが、実施の面では、それができなかったというようなことであります。幸い、皆さんのお骨折りもいただきまして、一社を除いては、共同仕入れには対応しようというようなお答えもいただいております。ですから、従来どおりのわれわれの教育も、より一そう浸透させながら、早くグループ活動の実現、それから経済活動も実施していきたいと、そのように考えておるわけでございます。ただ、メーカーの言われるところでは、テリトリー制というのは物流コストの低減であるということを常に言われます。しかしながら、商業の、実態の中には、物流コスト以外の意外に大きな拡売費が出されるという問題がありまして、われわれとしてはそれをねらうことが販売価格の低減になるのではないか、そのように考え努力いたしておるわけでございまして、単なる物流コストの低下だけだというような学問的な問題以外に、実際的にはそのほかのファクターが大きいのだということをお知りおきいただきたいと思います。
  59. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 赤澤さんのさっきの話というのは、どうも一体いつまでにそれをやるのか。ことばだけそれを言って、具体的にどうやっていくのか。大体期間というものも、三年、四年このままで置いたのでは私は意味ないと思うのです。ある程度明確な期日というものを設定しなければ、着想としては私ある程度敬意を表しますけれども、ことばの上だけでやっていて、具体的に実施にならなければ、これは何ら意味がないのです。そういう点で、ひとつ、通産省のほうでそういうものを一体いつごろまでに実施をしていくのか。やはり何か一つのめどがなければ、いまのカラーテレビの二重価格問題にいたしましても——これはカラーテレビだけでなくて、ほかにもこういう問題がたくさんあると思います。そういう問題にしても、私は解消していかないと思う。そういう点で、メーカー側小売り商側も、ある程度そういう方向にいこうとしていることはよくわかるわけです。やはり通産省はこういう勧告的なものを出しているわけでありますから、これに対して、いついつまでにやるということを私はこの際明確にしてほしいと思う。それができますか、できないですか。それだけのお答えだけでけっこうなんです。できるとすれば、いつごろまでにそれをやり終えるか、はっきりしておいていただきたい。
  60. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) ただいまお話がございましたように、流通の問題といいますのは、各メーカーにより、またディーラーの実態によって非常に複雑多岐でございます。特に、小売り商だけではなくて、現在ではスーパー、そういったような量販店もございます。こういったものの調査を実は従来ともやっておりましたが、一段と進んだ調査をこの月の半ばごろからスタートしたいと考えております。これはアンケート調査だけではなくて、実は個別に面接調査もしたいと考えておりまして、八つの通産局を動員をいたしまして、今月半ば以降調査要領をまとめた上で実施をいたしますが、おそらく、そういったものが最終的に私どもの手元に集計をされ、また、その分析が行なわれるのは、おそらく年末ごろになろうかと思います。こういった実態を踏まえまして、いまお話しのような点につきましては、 メーカー、ディーラー、それぞれまた御意見があり、かつ一つ考え方が出てまいると思いますので、こういった実態調査に基づきまして、私どもは、メーカーとディーラーの間に立って、その間のいわば最大公約数と申しますか、実施できるステップを見つけていくということを考えておりますので、そう一年も二年も先というふうには考えておりません。こういったようなことができ次第、私どもはいわば行政指導に入りたい、こう考えておるわけでございます。
  61. 横山フク

    委員長横山フク君) 阿部君。
  62. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 長官が何かお忙しいようですから、長官に一、二問お尋ねしておきたいと思います。  いま、いろいろとカラーテレビにつきましてリベートの問題がだいぶ論議されております。これについて、リベートはカラーテレビに限りませんで、たとえば医薬品、さらには先般の酒の問題なんかにもいろいろからんでいるように承っておりますが、商習慣全般にわたってのリベートの問題について、結局、それに関連して不正行為が行なわれる、あるいはまた、それに関連したいろいろな事件も起こるというふうに思われますけれども、また同時に、税法上にもいろいろ問題があると思いますが、この辺についていろいろと検討を当然しなければならないと思いますが、これに対しての長官の考え方対策をお伺いしたいと思います。
  63. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 最近、物価問題の見地からいたしますと、流通の問題というのは非常に重要性を増してきております。最近の値上げの実態を見ますると、メーカー側のふところに値上げの増収分が入るというよりも、むしろ流通のマージンの改定によるところの個々の物資の値上げというものが非常に目立っております。従来から、なかなか、この流通の問題の合理化というのは、口で言われているほどには進まない。そして流通マージンにも限界がございますが、そこへ持ってきて、御存じのような人件費の上昇というようなこともありまして、それぞれなかなか、それを吸収し切るような生産性の上昇というものは、どうしても頭打ちになりがちであります。そのために、流通の問題というのはあらゆる物資につきまとう問題でありますだけに、結局、すべての物資の値上げをもたらしがちであります。そういうことで、物価の問題を考えますときに、この流通の問題の合理化くらい今日重要な問題はございません。ただ、この問題は、口で一般的に流通問題を議論いたしましても始まらない点が多いのでありまして、結局、個々の物資ごとにそれぞれの事情に即応して、やはり対策を進めてまいらなければならない。そういう意味で、私たちのいわゆる個別物価対策の重要な項目になっております。そういうことから考えますると、いまテレビ問題なんかも、アメリカの問題を契機にして出てまいりましたけれども、こういう機会に、今後も、そうしたいわゆる合理化のラインに沿って十分に検討していきたい。そして、先ほど通産省業界話し合いを進められましたが、ああした方向で、すみやかにひとつ結論を出していただけるように私は期待をしているわけであります。
  64. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 物価の問題について次にお尋ねしたいと思いますけれども、十月の消費者物価が、去年に比べると九%も上がっているというふうにいわれておりますけれども、この中には、もちろん野菜が非常に急激に上がっておる。それに対しては、農林省は気候異変、天候異変というようなことを言っておりますけれども、これなどが大きな原因になって上がっておりますが、しかし、これは単に野菜が上がったから全体の消費者物価が上がったということには考えられないわけでありまして、その基底をなすものは、大企業の製品がやはり相当じわじわと上がっている、これがまた一つ大きな原因ではないかと思います。むしろ、本来大企業の製品なんかは、御承知のように、生産性が非常に高まっております。当然、値上げというよりも、むしろ値下げを考えなければいかぬというふうに思われるくらいでございますが、この大企業製品の価格の上昇率、これは、この間の新聞で見ますと、昭和三十年から三十五年の五年間では上昇率が年率で〇・一%、非常に低かったのですが、三十五年から四十年では年率一・四%、四十年から四十四年までは年率が二・五%、こういうふうに——実はこの率は引き下げでなくて引き上げ、逆に上がっているわけです。それに、最近になるに従って、だんだんと上昇率が上がっております。しかも、生産性が非常に上がった、あるいはまた、それによって非常に利潤が上がったビール——キリンビールなども先般問題になりましたけれども、しかもこれが大幅値上げをしたということでございますが、長官は、かつて生産性の高い分野の製品は引き下げるというふうに希望を述べられておりましたので、この点についてひとつお伺いしたいと思います。
  65. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 総体的に申しまして、今日におきましても大企業製品の上昇率は比較的低位であります。中小企業の製品、あるいはまた一次産業部門の製品の上昇率に比べますと、ずっと低い率で上がっております。もちろん、かつてのように下がるということでなくして、じりじりと、わずかでありますけれども、上がる傾向にあるという点が、まさしく御指摘の点だろうと思うのであります。従来は、比較的下がる——もちろん、従来といえども、上がっておるものと下がっておるものと、いろいろとまじっておりまして、部門によって、これはどうしても違いがございますが、その総平均において、どっちかというと、横ばいもしくは下がりぎみであった時代がございます。今日においても、なお下がっておる部門もございますし、上がっておる部門もございますが、総体としてやはり上がっている、上がる部門のウエートが増してきた、こういうことであろうと思います。結局、生産性の上昇は大企業において高いわけでありますが、それを越えるいわゆる人件費の上昇というようなことが、こういうふうに打ち続いて行なわれてきております。そうしたことが今日になって一つの大きな要素をなしておると思うのであります。  私どもといたしましては、特にこの生産性の上昇という問題が、これ、なかなか実際はとらえにくい問題であります。御存じのように、経済が非常なピッチで拡大いたしておりますときには、いわゆる一人頭の生産額というものが上昇いたします。日本でいう生産性上昇というのは、ほんとうの意味——と言うと語弊があるかもしれませんが、技術的な革新であるとか、あるいは合理化であるとかいうことによって一人頭の能率が物理的に見て上がるということばかりじゃなくして、いわゆる全体の経営規模が拡大するということによるところの一人頭の生産額の上昇という内容を持っている性格が非常に高いわけであります。そういたしますと、いわゆる経済の拡大がややスローになってまいりますと、直ちに一人頭の生産性の上昇は落ちてまいります。四十四年度におきまして、一人頭の生産性が工業全体の平均で一五%、これは従来にない高さを示しました。しかし、今後一人頭の生産性の上昇一五%というものが期待できるかどうかということは、なかなかむずかしい問題で、私はなかなか困難であろうと思っております。  そうなってまいりますと、一方において生産性の上昇自体にも頭打ちの傾向が出てくるのじゃないか。そこで、結局問題は、人件費、いわゆる賃金の上昇というものがいままでのような勢いで行なわれてまいりますれば、どうしても生産性の上昇をますます越えるということになります。これは、いわゆる物価とのスパイラルを起こしがちでございます。そういう意味において、何といっても、やはりこちらでもって全体の経済の鎮静化をはかる。そうして、その中で賃金上昇の勢いというものにやはりある程度ストップをかけざるを得ない。ストップをかけるというのは、もちろん、われわれが行政的もしくは法律的に意図するわけではありませんけれども、全体の勢いといいますか、経済の環境全体を安定していく。そうしないと、すべて人件費の上昇を価格に転嫁するという、今日のいま憂えられている傾向を押えることができません。そういう意味において、われわれも経済の鎮静化ということを一つの目標にしておったわけであります。まあ、実際に浸透してきたということで、先ほども申し上げましたように、一応解除をいたしました。  なお、安定した安定的な経済環境の維持ということにつとめまして、それを足がかりにいたしまして、一方において構造的な問題に取り組んでまいる。結局、いろんな魚皮からこれを行なわなければならないわけであろうと思うのであります。  いま御指摘のそうした点、たとえば大企業についても少しずつ前と違って上がってきているんじゃないか、こういう点は、われわれも十分注目をいたしております。まあこれは、ものにもよることでありますけれども公正取引委員会ども十分これについての調査をしているものもございます。そういう意味において、そうした過去における硬直化した問題というものが物価の問題にあまりはね返ってくるということのないように、われわれとしての全体の環境を維持しながら方策を進めたい、こう考えております。
  66. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 長官のお考え、わかりましたし、この上とも、大企業製品については、もっと、何と申しましょうか、きびしい態度で行政指導なり何なりしていただいて、物価の安定に努力していただきたいと思います。  先ほどちょっと触れましたところの野菜の問題ですけれども、これも、先月に比べて、何ですか、三四%ですか、非常な大きな値上がりをしております。これなどにつきましては、これはむしろカラーテレビというような問題よりも、もっと国民全般にとっては真剣な問題であり、生活上の大きな問題であります。したがって、これが、来る年も来る年も、秋になれば上がる、また、冬が過ぎて春になれば上がってくるということを繰り返しているようなのがいままでの現状でございます。これにつきましては、長官が非常に努力されていることはよく私もわかります。近々、あすですか、農林大臣と、あるいはまた農林当局と、いろいろとこの点についてお打ち合わせなさるそうでありますけれども、ひとつ、ぜひ実効のある対策を打ち立ててもらいたい。また、それを実行していただきたい。少なくとも、去年も、おととしも上がっておるということを、さらに今後も続けないようにお願いしたいと思います。長官も、長官になられて一年にならんとしておりますから、ぜひ、あなたの手でもって野菜をある程度とめることができたと、国民に喜ばれるように、がんばっていただきたいと思います。   〔委員長退席、理事林田悠紀夫君着席〕
  67. 林田悠紀夫

    ○理事(林田悠紀夫君) 中沢君。
  68. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 阿部先生が質問の途中でございますけれども、長官がお急ぎのようでありますから、私もいままとめて一つ質問をいたしたいと思います。  最近の、いま問題になっておりますカラーテレビのことですが、価格公表がはっきりしないので、それで消費者不信感を持っていると思いますが、この点について、経理の公開をさせるために、つまりガラス張りの経営をさせるために、そしてまた、その発表している価格が適正かどうか、こういうことを見きわめるために別の法律をつくる必要がありはしないかと思っております。しかし、カラーテレビの問題についても、今度のビールの問題についても、独禁法は限界があるように思います。その点で、新しい法律を一つつくる必要があるのではないか、こんなふうに私ども考えているわけです。そこで、いまの現状の寡占企業に対して管理価格の監視委員会、そういうふうなものを設置してはどうか、こういうふうに御質問を申し上げるわけです。そして、寡占業種の事業者は、寡占価格を決定したり、あるいは変更したりするときは事前に通告をしてもらう、あるいはその管理価格公表させるとか、その価格が適正であるかどうかということを調査する、その権限を持つような新しい法律を、ひとつこの辺で考えてごらんになる御意思はありませんか、どうですか。
  69. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 率直に言いまして、当委員会でも管理価格の問題がしばしば出ておりますが、私は、日本においては、この管理価格の概念自身が必ずしも明確ではございませんけれども、諸外国との比較におきましては、管理価格といわれるものは、そんなにウエートを占めておるというふうには実は考えてはおらないのでありますが、しかし、これについてはいろいろ議論もございます。そういうことで、われわれはまず実態をとにかく究明しなければならないというふうに考えております。率直に申しまして、一体、Aの商品は管理価格であり、Bの商品は管理価格でないというようなところになりますと、私は非常にむずかしい問題を含んでいると思います。そしてまた、それによって、Aは経理の公開をする、Bはしないというふうな形が適当なものかどうか、私はそれについては疑問を持っております。そういう管理価格の実態そのものがいろいろに言われておりますけれども、しかし、どうもまだ十分にそういう点について納得のいくものはありません。そういう意味においては、私は実態の究明が必要であろうと思っておりますが、また、先ほどのビール問題等を通じて、国民皆さまがやはり管理価格的な実感を得たということも事実であります。そういう点もありますから、われわれも、公正取引委員会等を通じて十分実態を調査するということを、まず先決にしたい。いま直ちに、いわゆる経理の公開ということを、さしあたっては考えておりません。今日の価格の問題につきましてはこうした問題を含んでおるかもしれませんが、われわれは、何といっても今日やはりデマンドプルが強過ぎる、そしてその基礎に、経済の成長というものがあまりに急角度過ぎるという点が一番基本的であるというふうに実は認識しております。でありますから、そういう意味において、やはりその点を訂正いたしませんでは、どうしても需要ばかり強くて、したがって、いたずらに供給者のほうにいわゆる利潤を発生する機会を与えることになる。そういう意味において、デマンドプルを一番重視し、いわゆる成長の安定化ということを一番中心考えておるわけでございます。しかし、個々の品物につきましては、御指摘の点は十分わかりますから、まず実態を調べてみたいい。そう考えておるわけでございます。
  70. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もうあと一分でございますので……。  いま私の申し上げました管理価格ですが、これには、いま長官から御答弁になりましたように、いろいろ解釈のしかたがあると思いますが、私の申し上げました管理価格というのは、言いようがありませんので管理価格と申し上げましたけれども、その内容は、寡占業種に属する企業の製品の販売価格ということで、いま管理価格ということを申し上げたわけですけれども、こんなに消費者がいま不信感を持っておりますので、いま申し上げたような意味で、管理価格の監視委員会、こういうふうなものを、ぜひひとつ、つくっていただくように持っていっていただければ、消費者は非常に助かるのではないか、こんな感じがしております。
  71. 佐藤一郎

    ○国務大臣(佐藤一郎君) 実は、そういうこともございまして、お聞き及びかもしれませんが、一方において、経済審議会の総合部会で、先般、いわゆる価格検討のための物価・所得・生産性委員会をつくりましたが、それと同時に、あえて管理価格ということは申しておりませんけれども、工業製品価格の形成の実態を究明するために、そしてそれを分析するために、委員会を物価安定会議のほうに特に設けまして、先ほどから申し上げましたように、そうした点をひとつ十分に究明してみたい、こういうふうに考えております。   〔理事林田悠紀夫君退席、委員長着席〕
  72. 横山フク

    委員長横山フク君) 阿部君。
  73. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 参考人皆さんに、この間現地調査に参りましたが、いろいろと御協力を願いまして、ありがとうございました。きょうは、お忙しいところ、ありがとうございます。  二、三お伺いしたいと思います。いままで委員側からも相当の御質問をいたしましたので、なるべく重複しないようにお伺いいたしたいと思います。  先般、テレビメーカー皆さん通産省との間で、一種の二重価格についての協議ができた。というのは、その協議は合意に達したといいましょうか、そのようなことを承っておりますので、その内容について私どもちょっといろいろとまだ疑問があるんですけれども、現在市販中の機種は暫定的に現金正価を撤廃する、その後実情に応じて、引き下げられた新価格を設定する、こういうふうに合意されたと承っておりますが、このとおりでございましょうか。
  74. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) そのとおりであります。
  75. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、何か、こちらの見た感じでは、ただ抽象的な申し合わせといいましょうか、合意のように思いますが、この中で、現金正価を撤廃しよう、ただそのくらいならいいんですけれども、「暫定的に」ということは、まあ言い方を別にすれば、一時的にというふうにとれますが、ということは、結局、あれでしょうか、いまのこういったいろんな消費者との間にトラブルが起きた、そのために業界にもある程度の混乱があった、それでは困るから、その期間だけは現金正価を引っ込める、また落ちついた時期にはまた片に戻って出そう、 こういうお考えでしょうか。
  76. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 私どもは、基本的には、ある価格というものをこの機種についての基準として示すことが、消費者皆さまのためにも、安心してお買いになる意味において、必要であろうということを考えておりますのであります。このたびは、現行の現金正価ということばが、もうまことに悪い連想しかないことばになりまして、どういう角度から見ても遊離してしまっておるというようなこと、あるいは不信感が伴っているというようなこと、いろいろな点から、まあそのとき通産省ともお話が出たのですが、ちょうど旧円を新円と切り換えたようなもので、こういう不信感を伴うようなことばは一ぺん廃止してしまって、さて実態は避離しておるのでありますから、マーケットでは一本の値段小売り店皆さんによってつけられるということによって実態的な値段が生じてくるであろう、その生じてくるのが、どういう定価で、場所的にどういうものが生ずるかということについては、われわれも、まことにいま予想しがたい状態でありますので、そういう実情が生ずるに従ってそういうことを復活して、それに近づけたものを新しい価格としてつけていくということが、やはり今日の状態として最も適当であろう、こういうふうに考えましたのであります。
  77. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 結局、御説明では、将来のことは将来判断する、しかし、現金正価というようなものはまた設定しなきゃならぬ、いずれは。というようなお考えのように思いますが、私ども現金正価そのものは、これはもちろんカラーテレビに限りません、いろいろな商品についてもそういったこともありますけれども、これは、言うならば、現金ということは、月賦といいましょうか、それに対応した価格だと思います。したがって、一応一つのスタンダードである。消費者にすれば、それの値段で現金さえあれば買える、現金が間に合わないから、しかたがない、より高い月賦価格で買うんだという程度。そうすると、まあ現金のある人は、少し安いから買おうということですが、ところが、実情は、御承知のように、今日の事態になる以前におきましても、たとえば東京におきましては、秋葉原その他等々の特別のマーケットでは現金正価相当の割り引きをしているということを聞きますと、結局、普通の店で現金正価だから安いなあと思って安心して買う人、これは非常にばかをみるわけですね。正直者はばかをみる世の中、これは、現金正価というものが正直者にばかをみさせる大きな原因をつくっている。したがって、現金正価そのものが実態にそぐわない、実際の販売価格と関係ない、ただ、一つ幾らだよという表示ならば、むしろ、消費者のために、ないほうがいい。たとえば、デパートで売っているような品物については、大体表示した価格で売っております。ですから、そのような信憑性のある価格というものを設定していくべきじゃないかと私どもは思います。したがって、現金正価は、要するならば、正直者がばかをみるというようなものをつくる、それからまた、現金正価は不当表示の疑いまでかかるような現状でもありますので、私どもの希望としては、この現金正価なるものを、むしろ、いま暫定的にとおっしゃるのじゃなくて、永久的に設定すべきじゃないじゃないか、こんなふうに思います。この辺について、いかがでございましょう。もう一度お伺いしたいと思います。
  78. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 非常な後進国で、値段も何もつけずに、ただやりとりして、二、三日かかって値段をエンジョイしておるイランのような国もありますが、やはり先進国では、大衆に対する、こういう大量製品については、あるサゼストしたプライスといいますか、そういうふうなものを出しているのが通例でありまして、全く定価がないということでは、かえって消費者に対して不都合なんじゃないか。問題は、その新しいつける値段というものは、やはり合理的なものであって、現実現金正価で買ったために損をかけたということのないようなものであることであるならば、これのあるほうがいいのじゃないか。問題は、やはり正価の本質のところに来るであろうと考えております。
  79. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま平賀参考人のおっしゃったように、ぜひ今後価格というものをそういうふうに設定していただきたいと思います。  それからなお、「実情に即して引下げられた新しい価格を設定」するとありますけれども、そうすると、一体いつごろ新価格を設定されるのか。まあ、ちょうど年の暮れも迫りますので、消費者側としても、新価格がきまったら買おうという気持ちでおる人も相当多数いると思います。したがいまして、ずるずるべったりに、新価格をきめないでほおかぶりしていくというおそれも——私の承った「実情に即して」ということばどおりであるとするならば、そういった心配というのがあります。そうすると、消費者によっては、もう少し先にいって、実情に即して新価格がきまるまで、しかたがないから、買い控えをしようということが起こりまして、非常に不安定なマーケットになりやしないかと思います。この辺のところは、「実情に即して」というのは、どのようなお考え方、基準に基づいての協定でございましょうか。
  80. 平賀潤二

    参考人平賀潤二君) 工業会といたしまして各メーカー状態を見ておりますと、現行機種というものの中には、トランジスタでできたような新型のものもございますし、中間のハイブリッドもありますような状態でありまして、それをストックのほうの計算から言えば、先ほど申し上げたような状態であります。したがって、会社会社によりまして、この問題に対する感じ方がだいぶ違っているというふうに観測いたしております。そこで、この暫定期間というものがまことに出にくいのでございまして、そのために、私どもは、実情に即したようになりましたと、つまり、あんまり早く現行機種値段をぽんぽんと、またすぐつけてしまうというのではおかしくなりますし、また、非常におそくなってもおかしいという事情が、おっしゃるとおり、ございます。百五十万台のストックというものがこれから、はかれていく期間というものは、それは六ヵ月ぐらいでは無理であろうと思いますので、そういうふうな間に、それぞれの機種に従って実情に応じたものを通産に御相談にあがるということを私ども考えておりますので、御指導を得て、それぞれを最も現実状態に近い合理的な状態において処理していきたいというふうに考えております。
  81. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 通産省にお伺いしますけれども、いま私が参考人の方にお尋ねした点についてですけれども、どうも申し合わせそれ自体が、非常に、何と申しましょうか、りっぱな文章になっておりますけれども、何か内容のはっきりしないような、どうにでもなるといいましょうか、一応うたい文句だけ並べて、あとはほっかぶりできるという感がなきにしもあらずでございますけれども、この辺、その合意の相手方である通産当局におかれては、どのようなお考えを持っておられるか。いまの現金正価の撤廃の問題とか、あるいはまた、新価格設定の問題とか、それから現実に、先ほどの参考人からのお話で、百五十万台のストックがあると、これは相当業界にとってもゆゆしいことだと思います。それはいろいろ原因があると思いますけれども、このような状態のもとに新価格を設定するときの困難性というものは、私どもはよくわかります。しかし、それだからといって、いまの状況では新価格が出ないんじゃないか、だから先まで待とうというんじゃ、この合意内容そのものがおかしくなる。そこの辺から考えまして、通産当局においてはこの内容をどんなふうに実行に移さしていこうかということがあると思いますが、その辺について、どのようにお考えでございましょうか。  それからなお、承るところによると、今日いろいろと問題がエスカレートしたのも、通産当局が、どっちかと言えば、メーカー側のほうに寄り過ぎていたというような批判が出ておりますけれども、結局、この新価格の設定なんかにおきましても、やはり通産省側としては、ほんとうに消費者立場に立っての——もちろん、消費者ばかりではなく、生産者の立場考えなきゃなりませんけれども、公平にやって、そしてこの新価格の設定なりについても臨むべきじゃないかと思いますけれども、この辺について、どのようにお考えか。またさらに、これについての行政指導がされるはずだと思いますけれども、その価格についてどのような態度でこれからお臨みになるか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  82. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) テレビ価格あるいは実際の流通問題ということになってまいりますと、まず、メーカー並びに小売り商、それと、実際これを買います消費者、こういった三者の間でいろいろな意見の違いもあり、また、実際問題として利害の衝突するところがあることは事実でございます。こういったような意見の違い、利害の衝突というものを、どこかでうまく調整しなければならないということでございますから、私ども行政当局といたしましては、どちらかに片寄ってものを考えるという立場では絶対にございません。やはり全体の実情をながめながら、しかも実情に即したやり方でできるだけ早く、しかし、一歩一歩確実に行政を進めていくということが私どもの態度でなければならないと思っております。  そこでいまお話しの、一体この実情に即して新しい価格の設定はどうなるかという御質問でございますが、この問題については、先ほど平賀参考人からもお話がございましたように、私ども、こういった点を強く打ち出しました際に、やはり私ども自体も、メーカーからの反応といいますか、やはりそれぞれメーカーによって感触が違うなということも事実問題として感じとっております。現行機種ということになりますと、各メーカーによりまして在庫状態も違います。また、現行機種と一がいに申しましても、今後生産をやめてしまうような機種もあれば、また、その機種の売れ行きがよくて、一、二年前の機種といっておっても、非常に消費者に喜ばれておる機種もあれば、いろいろな段階のものが入りまじっております。さらには、地域によりまして、それぞれ大都会、あるいはへんぴないなか、こういうところでそれぞれまた違っております。こういうように内容自身が、現行機種と一がいに申せないような事情もあり、メーカーによってまた内容が違っておる。こういうことでございますので、私どもとしては、やはり一応この際、メーカーのつけておりますような価格表示を撤廃させる、このことによって、実際の販売段階における各機種ごとの実態価格というものがほぼいろいろな形で設定をされてくるであろう、そういったような設定をされてくる実情に応じて、新しい何らかの価格、たとえば基準になりますような希望小売り価格、こういったものが、おそらく出てくるに違いないし、その価格は、現状から言ってみれば、おそらく、現在つけているような、まして現金正価よりも相当引き下げられたものになるに違いない、こういう観測のもとに、こういう指導をしたわけでございます。いまお話しのように、ただ言いっ放しではしかたがございませんので、工業会のほうとも御相談をいたしまして、私どもとしては、これの実行の推進のための委員会をひとつつくってもらいたい、その委員会に私どもしばしば出てまいりまして、実際の現状はどうなっておるのか、こういったことについて十分承知をし、かつまた実情に即した促進もしたい、こう考えております。この点につきまして、工業会のほうも、ただこういったことについてやりましょうというだけではなくて、実際にこれが実行に移るような仕組みをひとつ考えます、こういう御回答をいただいております。そういった機関、仕組みを通じて、私どもとしては実効があがるように推進をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  83. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの、在来の、といいましょうか、機種についてお尋ねしたのですけれども、新機種については、業界のほうでは、初めから二重価格制ではなくて現金正価を実情に即したものにするということで合意ができたようでありますが、これについて、特定の会社に触れて、ちょっと恐縮に思いますけれども、松下さんがさっそく新機種なるものをお売りなさるということが新聞に伝えられております。そのときに、私どもちょっと奇妙に思うのは、新機種正価を一割引き下げるという御発表でございます。それについて私自身が現段階でふしぎに思うのは、現実に松下さんの現金正価より現行取引はその二割以上、三割近く引いたところで取引をされておる。新型を出して一割しか引かないというのは、ちょっと矛盾を感じておるのでございますが、この点について、あなたのほうでは、かえって業界が混乱する、警戒するといったようなことが新聞に出ておりましたけれども、この辺について、どういうふうにお考えになっていますか。
  84. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 個別の問題でございますが、松下電器が今回新機種を発売するについて、ああいう発表をしたことは私も承知いたしております。ただ、松下電器の発売される新機種というものが内容としてどんなものであるか、どういう型のものであるか、内容はどういうものであるかということの詳細については、私どもにまだ報告がまいっておりません。したがって、従来の型のものに比べて格段に性能がいいものであるのか、あるいはどうであるか、こういったことがわかりませんので、いま一割というのは、はたしてどういうものであるのか、ちょっと論評できないと思います。そういう意味もありますので、実はこの前、工業会のほうにも要望いたしました中に、新しい製品を出して、それを実際の価格に近づけた価格でひとつ売り出してくれという場合、消費者側から言えば、実は比較するものがないわけで、全く新しいものである場合には、したがって前のモデルチェンジであるのか、全然新しいデザインで新しい技術を取り入れたものであるのか、その内容はいかなるものであるのか、そういったことを、消費者価格を判定するときに十分わかるような資料をつけて、その内容をつけて価格をきめて発表してもらいたい、こういうことを実は要望いたしておるのでございます。そういった意味から、おそらく、この線に沿って新しい価格をつけた新機種が、あるメーカーで売り出されるといたしますと、その内容、性能等につきまして十分消費者が判断し得る材料をつけてくるものと私は思っております。また、そういうふうにぜひしていただきたいということで、メーカー側も考慮いたしております。そういったふうになってくるだろうと思います。現在のところは、まだ内容を承知いたしておりませんので、いささか論評いたしかねる状態でございます。
  85. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この問題に関連いたしまして、公取にちょっとお伺いいたしますけれども、この際、値下げ幅の調査でございますね。要するに、その引き下げの下ざさえの協定になるというようなことも考えられまして、これは十分注意していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  86. 吉田文剛

    説明員(吉田文剛君) 独占禁止法の立場から言いますと、価格協定は、これは原則として違反になるわけでございます。従来ございました価格協定違反の対象にされました価格協定というのは、価格を維持しあるいは引き上げる協定でございますが、ところが、価格を引き下げる、現行の価格よりもより低い価格で協定をしましょうという協定は、過去においては私の知る限りではございませんです。しかしながら、価格引き下げの協定でありましても、それがより下がるべきものを、その価格で食いとめるという意味を持つものであれば、これはやはり独占禁止法違反になるんじゃないかというふうに考えております。
  87. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまお尋ねしたのは、現在におきましてのストック百五十万台というような状況から考えまして、そのようなことが起こるんじゃないか。それについての公取の態度をお伺いしたわけでございますが、時間がございませんので、催促されておりますので、取りまとめて公取さんにお伺いしたいと思います。  先月の十九日に、独禁法第四十条による強制調査権を発動して、大手十二社に機種別の正価、リベート率、メーカーの利益率、小売り店との取引条件などを二十六日までに書面で提出するように指示されておりますが、これは二十六日までに全部報告されましたでしょうか。また、その調査結果は、いつごろ判明するのですか。
  88. 吉田文剛

    説明員(吉田文剛君) 全部が二十六日までにはまいっておりません。おくれてまいっておるのもございますが、大体メーカーからの事情聴取は終わりましたので、これは近いうちに調査の結果が集計できるものと思います。
  89. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その結果を公表されますですか。
  90. 吉田文剛

    説明員(吉田文剛君) 業者の秘密に属するものはできませんけれども、それ以外のものは、こちらとしてどうするかということをきめましたら、公表いたしたいと思います。
  91. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それでは最後に、二、三問取りまとめて公取にお伺いいたしますが、値下げによらない販売量の維持拡大のために、流通経路の系列化、その支配は、競争促進政策から考えまして、規制すべきであると思いますが、それについての御返事をいただきたいこと。  それから、系列化行為としては、取引拒絶やリベートの差別などによる拘束がありますが、このリベートの場合、売り上げ高の絶対額によってリベートが累進的に定められている場合、取引条件等の差別的取り扱いに該当するのではないかと思いますが、その点、いかがですか、お伺いいたします。  もう一つ。権利金の支払い、広告費の援助、招待、設備の有利貸し付け、これらを販売業者に対する援助として行なわれていますが、この優遇措置は、形は多少違いますが、不当な取引誘引になるのではないかと思いますが、これについて。  もう一つ、最後に。テリトリー制ということで、ほとんどのメーカーが一地区一販売会社制を実施しておりまして、一方的な仕入れ条件を強制される結果になっておりまするが、不当な取引制限になるのではないかと思いますが、この点、いかがですか。  以上、ひとつまとめてお答え願いたいと思います。
  92. 吉田文剛

    説明員(吉田文剛君) だいぶ御質問がたくさんございますが、具体的なケースに即しませんと、すぐ直ちに違反になるかどうか、正確なお答えはできませんけれども、いまおっしゃいました系列化でございますが、系列化ということは、最近非常に多くの業界で行なわれておりまして、専属店化、系列専売化というのが一般的な普通行なわれる形でございますが、これは、場合によりましては、排他条件あるいは拘束条件つき取引、不公正な取引方法になるおそれがあります。  それからリベート、これは、累進リベートであるとか——この累進リベートも、ある限度を越しますと非常に多くなるというふうに非常なふえ方をするような場合、これは実例を見ませんとわかりませんが、不当な取り扱いあるいは差別待遇に該当するおそれがあると思います。  それから地域制度、たとえば一店一帳合というテリトリー制、そういう問題も、これが全部不公正な取引方法のいわゆる拘束条件つきになるというふうには断定はできませんが、たとえば、再販売価格維持契約等とこれは結びつく場合が多いわけであります。そういう場合におきましては、場合によっては不公正な取引方法として違反になるのではないかというふうに考えます。  それから、権利金等の販売店に対する援助、こういうものも、場合によりましては不当な取引誘引行為ということで、景品の場合でございますと、これは不当景品類及び不当表示防止法で規制できるわけでありまして、それがこの景表法に該当しない場合でも、不当な取引誘引行為ということで不公平な取引方法に違反してくる場合があるというふうに思います。
  93. 横山フク

    委員長横山フク君) 中沢君。
  94. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私ども、この間深谷の東芝工場を見学したのですが、そのほか、消費者がいろいろな工場に視察に行きますと、必ず言われることは、消費者は豪華品を好みます、だからモデルを豪華にすればするほど、そういうものに消費者は飛びつかれます、だから、消費者にも考えてもらわなければいけないのですということを盛んに言われるわけですね。私も、この間現にそういう話を聞きましたし、きょうここに参考に持ってきた、ある新聞でも、視察をした結果、そういうことを言われております。だから、消費者もやっぱり少し考え直さなくちゃいけないのだ、こういうふうなことを、みな書いているわけですけれども、それは消費者も確かに一面そういう点があるかもしれませんが、そういう豪華なモデル、そういうものを、ある一部分の人は好むかもしれませんけれども、大半は、そういうものではなくて、たとえば、広告攻勢によって消費者が振り回されている、こういうふうに私ども考えているわけですが、田中参考人のほうにお尋ねをしたいのは、確かにそういうものを消費者がどんどん買っていかれるのか、その辺のことをひとつお伺いをいたしたい。
  95. 田中次信

    参考人(田中次信君) 売りの第一線におります商業組合の側で見ますと、新規の製品、たとえばカラーテレビとか、昔は白黒テレビが新規でしたが、初期にはやはり豪華なもの、その豪華なものが、ある程度普及いたしてまいりますと、今度は実用型というようなものになることは事実でございます。もうそろそろ、カラーテレビも実用的な、輸出テレビのようなタイプのものが受けられる時代に来たのではないかという感じもいたしますが、一般的に、いままでの経験からいくと、初期には豪華、次に簡易型というようなことになることは事実でございます。
  96. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間聞いたところでは、一年間に二へんぐらいモデルチェンジをする、こういうふうなお話がございましたけれども、そんなにモデルをどんどん変えなくちゃならない必要があるんでしょうか、どうでしょうか。
  97. 田中次信

    参考人(田中次信君) 私ども、まあ私自身は技術屋でございますが、技術革新ということが盛んに言われておりますが、現実に技術革新されたがゆえのモデルチェンジであるというようなことが顕著に認められるモデルチェンジは、ごく少のうございます。したがって、 メーカーは、モデルチェンジすることによって流通段階にものを入れる手段とする、それから目先を変えることによって消費者にものを買わせる、というような感じを私ども受けておりますが、現実国内向けのテレビを見ましても、不要な装置がたくさんついております。それが現実消費者がお使いになっておられるという事実も私ども認めがたいようなものもついておりまして、そういう点については大いにメーカーさんもその実態をお調べいただいて、広告攻勢による消費者の幻惑というものをこの際なくしていただくほうがいいのではないかと、まあそのように考えております。
  98. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 消費者がほんとうにもう、広告によって幻惑されている、こういうことは、いろんな点でも私ども感じているわけですが、広告費もばく大なものだと思います。そういう広告費が消費者の負担でまかなわれている、こういうことになると、私ども、やはりここに非常な不満を覚えるわけです。よく聞く話ですけれども、これは自動車の話ですが、ドイツに、国民車といわれるフォルクスワーゲンという車がございます。あの車が、国民のために大体十年ぐらいはモデルチェンジをしない、こういうふうに私ども聞いているわけですが、これだけ、一年に二へんもモデルチェンジをしたり、まあ今度のトランジスタテレビが出るようなことは、技術革新によって新しいものができたということですけれども、そういうふうに目先をどんどん変えて、それを広告でどんどん消費者をつかまえて買わせる、こういうようなことを通産省のほうでは、取り締まるわけにはいかないでしょうけれども、今後も野放しにして、どんどんやらせっぱなしにしておかれるのかどうか、お考えを伺いたいと思います。
  99. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 御指摘の点は、多分に一番問題の点をつかれていると思います。私ども、今後いろんな調査を実施いたしますが、その結果に基づいて十分実態を踏まえて指導して、生産の面、流通の面の合理化をはかることによって、実際の消費者が入手できる価格を下げるべきだと考えているわけで、そういう意味からも、いまお話がありましたようなモデルチェンジのような点につきましては、あまり不要なモデルチェンジは、やはり適当でないという考えを持っております。
  100. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 一九六〇年代は、経済がずんずん非常に進歩をしてまいりまして、繁栄をしてまいりました。そういう中で、最近は、物質が消費者を支配している、こういうふうな感じが非常に強くなっております。それですから、もう消費者は完全に振り回されている。人間がお金を使うのではなくて、お金が人間を追いやっている。そのために働かなければいけないという感じになっておりますので、その辺はほんとうに行政指導よろしきを得てやっていただきたいと、こういうふうに考えます。  それからもう一つ、公取のほうに私はお願いをしたいことなんですけれども、そういうふうなモデルチェンジしてみたり、新しいものが次々出てまいりますので、この辺で、テレビにも、普通の食料品と同じように、製造年月日、こういうものを表示をさせる意思がおありになりますか、どうですか。
  101. 吉田文剛

    説明員(吉田文剛君) テレビにつきまして製造年月日等を表示させるべきかどうか、ただいま検討しております。ただ単に製造年月日というだけでいいのか、あるいはさらに、型とか内容等がわかりませんと、ただ製造年月日だけでは、古い型のものも新しい型のものも一緒にされても、消費者が容易に判断できないという点もございますので、それらの点、それから、これはたとえば公正競争規約というようなもので表示の義務を負わせるべきものかどうかという点については、ただいま検討中でございます。
  102. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 十分検討していただきたいと思います。というのは、ずいぶんたくさんのストックがある。あるいは型がどんどん古くなってきている。こういう電機製品が初め出回ったころは、たとえば電気洗たく機なんかは、ずいぶん早く電機製品の中では家庭に入ってきたと思うのですが、その当時、とにかく早く飛びついたものは必ず損をした。しばらくたつと、じきに、早くできたものは値下がりをしてしまう。だから新しいものには飛びつくなというふうなことがよく言われたのですけれども、最近は、あまり古くなっても、そういうものは値下がりをしていかない。いま、そういうふうな売り方になっているような気がいたします。そういう中で、私は、やはり製造年月日というものを消費者が知ることも、消費者にとってはたいへん利益になるのではなかろうか、こういうふうに思います。その点をこれからも十分に検討をしていただきたいと思います。  そのほか、二、三質問を用意はしておりましたけれども、時間もまいりましたので、きょうはこの辺で、またこの次に譲らせていただきますが、きょうはほんとうにありがとうございました。
  103. 大久保謙

    参考人大久保謙君) ただいま中沢先生の御質問で、モデルチェンジという問題が出まして、田中さん、それから赤澤局長から、いろいろ御説明がありました。私はそれにあえて反論するわけでございませんが、ただ、最近、御承知のように、従来の真空管式カラーテレビからトランジスタ式テレビに移っております。その間、各社が非常にたくさんのモデルの新機種を発売するのじゃないかと思います。ただいまシャドーマスク式でやっておりますが、その中の、まるとまるの空間を黒くしますと、非常に画像がきれいになるというようなことも開発されまして、そういうものも各社がどんどん出すのじゃないか。それからまた、同じトランジスタカラーテレビでも、大きさがいろいろございますので、十九インチのもの、二十インチのもの、それから十六インチとか十三インチとか、今後おそらく半年ぐらいの間に、たくさんの新機種が出るのじゃないかと思いますので、これは従来のモデルチェンジということと少し様相が違いまして、新技術の応用、できるだけいいものを消費者にお届けしたいという意図から出るものでございます。その点はひとつ今後しばらくは、たくさん新機種が出ると思いますので、御了承をお願いしておきたいと思います。
  104. 横山フク

    委員長横山フク君) 参考人方々に一言お礼を申し上げます。  参考人方々には長時間にわたり貴重な参考意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は、今後の委員会の審議に十分役立たせてまいりたいと存じます。厚く御礼申し上げます。  竹田君。
  105. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 経企庁長官がお帰りになりましたので、国民生活局長さん、公取の事務局長さんがいらっしゃいますから、できたら御説明いただきたいと思います。  去る二十一日に、経企庁の国民生活局長さん、それから公取の吉田事務局長さん、それから国税庁の塚本間税部長が自民党の委員会に呼ばれまして、いろいろなお話があったようであります。まあ、新聞の伝えるところによりますと、物価抑制もほどほどにしろということを言われて、だいぶ宮崎さん、たじろいだと新聞は伝えておりますが、私は、たじろいだとは思いませんけれども……。その後、日本の一番大きいメーカーで五十数%のシェアを持っている麒麟麦酒が、同じように十円の値上げをやってしまったと。これが二十四日でございますか。それ前は、長官も、ビールの値上げについてはこれを押えていく、特に利益の上がっているメーカーについてはこれを押えていくということを、この委員会の席上でも、かなり申し述べられたと思います。実質的には、二十四日に、一番もうけている麒麟麦酒が上げてしまった。こういうことで、どうもその点、お三人の方、若干たじろいだのではないかと、こういうふうに思いますが、その後、麒麟麦酒の値上げが終わった直後、国税庁がビールの価格構成を新聞に出しておった。それによりますと、メーカーが約三円弱でありますか、メーカーマージンがふえているわけです。これは一体、麒麟麦酒も同じような形でやっているのか。具体的に麒麟麦酒は、十円値上げの分でメーカーが得られるものは一体幾らか、この点をひとつ、はっきりさしていただきたいと思います。  もう一つの点は、このビールの値上げ問題というのは、再三申しますように、四十三年に値上げをいたしまして、まあこのときも、いろいろたいへん問題がありまして、前の宮澤さんは、これはどうもやみカルテルをやっているんではないだろうかというようなことで、公取委員会にこの問題は持ち出すというようなお話もその当時しておりましたけれども、今度の点でも、どうもそういうやみカルテルのようなにおいが私どもにはするわけですが、この点について、一体公取委員会としては、この問題についてどのように対処してきたのか。またあるいは、対処しつつあるということならば、どのように対処をしつつあるか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。とともに、経企庁では、こういう形でどんどんと物価が上げられていくということになりますと、これは全く国民をばかにしたものであるんではないか、片方では、物価を上げて、せっかく得られた所得というものがどんどんなくなっていく、せっかく貯蓄したものが、そういうもので失われていくというときに、もうけている業者が、さらにそれを自分たちの市場支配力によってどんどん物価を上げていくということは、全く私はけしからない問題だと、こういうふうに思うんですが、この問題について経企庁は、一体その後具体的にどういう措置をとったか。いろいろ、酒の小売り商の免許制度についても、新聞の伝えるところによりますと、国税庁に免許制をやめさせるという申し入れはしたといっておりますけれども、一体その問題は具体的にどのように折衝をしているのか明らかにしていただかない限り、せっかくきょうもカラーテレビの問題を取り上げても、あるいは野菜の問題を取り上げても、すべての問題を取り上げても、どうも私ども、ここで言うことに非常に空虚さを感ずるわけです。何か、ここでしゃべっていることを、ほかのほうではあざ笑っているような感じすら私は受けるわけです。具体的にこの問題について経企庁はどういうことをしているのか、その経過というものを、はっきりさせていただきたい。お願いしたいと思うんですが。
  106. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 御指摘のビールの値上げの問題でございますが、経過は御承知のとおりであります。結局、この全体を通じまして、私どもは非常に今回のビールの値上げが問題であるという判断をいたしております。その主たる問題点は、二つ、大きく言って、あると思います。一つは、このビール業界というのは、何と言っても、過去十年間平均一三%というような非常な伸びを示してきたものでありまして、総体として見れば好況産業である。確かに、朝日麦酒などにつきまして、一部収益の悪化という問題がございましたけれども、一方では、麒麟麦酒のように非常にいいものもある。全体として見れば、今回のような一律的な大幅な値上げというものが妥当であるとは、なかなか判断しにくいという感じを持っております。それが第一点。第二点は、先ほどの御質問にも出ておりましたけれども、今回の値上げの主たる動因が流通問題にあって、しかも、この流通関係については御承知のとおりで、いわゆる免許制度ということによって、従来のいろいろの不合理な面と思われるものも温存されておる。こういうふうに感じております。こういうものが結局今回の値上げのいわば動因になったということは、言ってみれば、値上げを可能にするような流通の面というのが残っておるという問題がある。こういうことを考えておるわけでございます。  そこで、ただいまの御指摘にございましたが、私どもとしては、朝日麦酒の値上げの直後に、値上げ撤回と他の追随を抑制することを国税庁に申し入れたわけであります。結果は、遺憾ながら、全会社についての値上げが行なわれてしまったわけであります。特にこの麒麟麦酒については、会社の収益状況から見ましても、極力これを抑制してもらうように、私どものほうも若干申しましたが、国税庁を通じてやっておるわけでありまして、十月二十四日に値上げが行なわれた。この段階におきまして、私どもとしては、やはり全体として管理価格ということで言われておりますような、こういった価格形成問題というのが基本にある。これについては取り組んでいかなきゃならぬということはございますが、何と言いましても、当面の値上げの主たる要因になった流通問題につきまして、国税庁として早急にひとつ施策を講じてもらいたいということを、三点ほど申し入れたわけであります。第一は、すでにこの六月の物価閣僚協議会の提言にもございますが、小売り業者への免許条件の大幅な緩和ということをやってもらいたい、スーパーとか生協というものにも免許を与えるようにしてもらいたいということが第一点でございます。それから第二は、卸売り業についてでございますが、非常に数も多いし、いろいろ不合理な点があるようだということから、このシステムの弾力化をはかり、もう少し数も減らしてもらいたいということを申し入れたわけでございます。それから第三は、この販売免許について、現在、卸、小売りというふうに峻別されておりますけれども、むしろ、この条件を撤廃をして一体化するということを考えられないか。こういうことによって、かなり競争条件の整備ということが行なわれるのではないかというようなことで、申し入れをしたわけでございます。と同時に、また、酒の価格というのは自由価格であるわけでありますから、これを周知徹底させるように行政指導をしてもらいたいということも言ったわけでございます。  そこで、このメーカーのほうの手取りにつきましては、先ほど三円弱と申しておられましたが、大体三円十五銭ということになっておるようでございます。そうして、流通関係が六円八十五銭。麒麟麦酒につきましては、この卸売りまでの価格を発表されたようでありまして、小売り価格については特に数字を出しておらないということでございますが、実態は全く同じように十円の値上げになってしまっておる。こういうふうに聞いております。  こういった状況でございますので、やはりこのビールそのものが非常に問題でありますが、それ以外にも、いろいろと管理価格的な面の問題が議論になっておるものがございますので、私どもといたしましては、物価安定政策会議の中に第二調査部会というのがございますが、ここにおいて、工業製品の価格形成問題ということで、この問題に取り組んでいくということにいたしました。すでに部会も一回開きまして、ただいま専門委員会を開いて、この問題の検討をいたしておるわけでございます。この面につきましては、公正取引委員会のほうですでに御検討を進めておられますので、そちらともよく連絡をとりながら、なるべく早くひとつ結論を出してまいりたい。調査部会としての結論は大体一年ぐらいというつもりでございますが、必要があれば、中間報告を得ただけでも所要の措置を講ずるようにやってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  107. 吉田文剛

    説明員(吉田文剛君) お答え申し上げます。  ビールが今回十円値上げを一斉に——一斉にといいますか、多少時期はずれておりますが、一番初めに朝日麦酒が値上げをいたしまして、あと次々、最後は麒麟麦酒が十円値上げということになったわけでございます。これにつきまして、独占禁止法の立場からいう、いわゆるやみカルテルがあるかないか、それからさらに、やみ再販があるかどうか。これは、末端の価格が百三十円ということで税務署のほうには届けを出しておるわけでございますが、まず第一点の、やみカルテルの問題でございますが、これは四十三年値上げのときにも同じような問題がございまして、そのときも、公正取引委員会では事情を調べたわけでございますが、どうしてもその手がかり、協定をしたという手がかりがつかめなかった。したがって、単なるプライスリーダーであるのか、申し合わせによって値上げをしたのかという点がつかめないままでございました。したがって、われわれとしましては、公正取引委員会としては、違反であるという証拠をつかみませんと、これは違反として審査ができない。また、その審決を出しましても、さらに高裁、最高裁で争って勝つという自信がございませんので、今回の値上げにつきましても、事情は現在まで調べてきております。しかしながら、まだ、協定をしたという手がかりがつかめてはおりません、現在までのところ。しかしながら、これであきらめるということではなくて、各方面から情報を集めまして、いわゆる協定の事実があったのかなかったのかという点は、今後も厳重に監視をしていきたいというふうに考えております。  それから、やみ再販の点も一応事情は調べたわけでございますが、メーカーのほうとしては、これは決して小売り価格を指示し、それを守るように拘束しているのではない、あくまで希望価格であるということを申しておるわけでございまして、この点もまだ違反の手がかりはつかめておりませんが、このやみ再販の点についても厳重監視をしている段階でございます。  それから管理価格。ビール業界については、いわゆる寡占業界による価格の下方硬直化の傾向があるんじゃないかということで、ただいま管理価格の観点からビール業界調査をいたしております。これは大体来年の一月ごろ結果が出るというふうに考えておりますが、もし、その調査結果によりまして、管理価格というものが形成されており、しかも、その価格形成の過程におきます独占禁止法違反の、たとえば不公正な取引方法、先ほども申し上げましたように、いわゆる拘束条件つき取引、排他条件つき取引、あるいは再販の指示等の不公正な取引方法があれば、これは厳重に規制をしていきたい。ただ、現在調査中でございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、一応われわれとしては、そういうふうに考えておるわけでございます。  なお、自民党の再販小委員会におきましては、ただいま申し上げたようなことを申し上げただけでございまして、決して、突き上げを食って、おたおたした、たじろいだということは、私としてはございません。
  108. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これで終わりたいと思うんですが、国民生活局長、麒麟麦酒がもうけておる、しかも、今度の十円値上げの分を、流通段階で卸なりあるいは消費者にサービスをする、こういうことであれば、私ども、ある意味では納得する面があると思うんです。もうけているところが、さらにほかと同じように、三円十五銭ですか、これを自分のふところに入れておるというのは、私どもがばかにされているだけじゃなくて、経済企画庁自体も、これはほんとうに無視されているというのか、べっ視されているというのか、ふんづけられているというのか、こういうふうに私は思うんですが、この点、経済企画庁としては、こうした形で一方的に押し切られてやられているということについて、何か抗議をしましたか。いまのお話では、何もしたようではございませんが、何らかの形で麒麟麦酒に対して強い意思表示をされたことがありますか、どうですか。
  109. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 今回の顧麟麦酒のやり方そのものについては先ほど申したようなことでございますが、これについて、私どものほうから直接この会社の社長を呼ぶなり何なりして意見を聞くかどうかということは、中では議論がございましたけれども、今回の問題は、最初から、国税庁が申し入れに対してその線で必ずやります、努力しますということで、積極的に国税庁のほうで動いていたものですから、私どもとして直接麒麟麦酒に対して意見を言うことはいたしませんでした。ただ、企画庁としての意見というようなものは、記者会見等を通じて新聞紙上等から意見が十分わかるように私どもはいたしたつもりでございます。  なお、自民党の流通問題小委員会での関係で、私がたじろいだというようなお話がございましたけれども、これは全くそういう雰囲気の問題じゃございませんで、私どもが問題点を指摘をしたことについて御理解願えなかったことはないと思いますけれども、何といいましても、この小委員会の性格が性格でございますので、流通業界のほうのいろいろかかえている困難な問題ということを主張された点は確かにあったと思います。それは必ずしも全部が間違いだとは私は考えておりませんが、いずれにしても、今後としては、先ほど申しましたような方向でひとつやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  110. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 何か、非常に国税庁まかせという感じが私はするわけであります。しかし、あなたのほうは日本の全体の物価行政の大元締めになる、こういうことだと思います。私も前々から、日本のインフレ傾向とか、あるいはインフレマインドという問題はたびたび申しておりますし、あなたもその点については十分御承知のことだと思うんです。そうしますと、どうも、ただ国税庁にまかして、物価行政の大元締めが、ただ新聞発表くらいでお茶を濁しているということは、どうも物価監督庁としての企画庁のあり方かどうかというふうに私は感ずるわけであります。全体的な物価行政をあずかっているあなた方としては、当然抗議の一本くらいやるべきだ、そういう点で、私は非常に遺憾だと思います。今後こういう問題がいろいろとあると思うんですが、そういう点では、他の官庁にまかすだけでなくて、物価全般をあずかっている企画庁として、やるべきは当然やってほしい。それでなければ、一向に消費者物価の抑制には私はならぬと思います。その点、私は強く要望しておきたいと思います、この機会に。  終わります。
  111. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 私どもも、物価問題を担当しているものとしまして、今回のような形になりますと、非常に、何と申しますか、何とも言えぬいらだちを感ずるような次第でございます。何といいましても、現在の行政権限の関係からいきますと、私どもが直接個々の会社にいろいろ指導したり文句を言うことができない形にはなっておりますけれども、物価閣僚協議会の運営等と、ある程度問題をしぼって、それぞれ問題のある大臣と企画庁長官との間で相談をしてもらうというやり方を通じまして、こういった個別に起こってくる問題についても、かなり積極的に企画庁としての考え方なり方針を反映さしていきたいということをやりたいと思っておりますが、なお、先ほど申し上げました物価安定政策会議のほうの検討等も進めまして、こういった問題に対して政府としての対抗手段というふうなものを考えていく必要があるのかどうか、この辺もひとつ検討してまいりたいと思います。
  112. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 関連質問ですから簡単に申し上げますが、いまのビールの値上げの問題について、四十三年はどこが口火を切ったか、ちょっといま覚えがありませんけれども、今度はアサヒビールが口火を切った。こういうふうなことで、ビールの会社が次々に当番をきめて値上げの口火を切っているのだ、こういうふうなうわさがありますけれども、そういう点、お調べになったことがおありになりますかどうか、簡単に御答弁いただきたい。
  113. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 四十三年の場合にはサッポロビールが最初に値上げしましたということになっております。背景的な事情は今回とは必ずしも同じではない。ちょうどその三、四ヵ月前に間接税の引き上げがございまして、酒税が上げられて、百二十七円という、ややはんぱな価格になったということがございます。その他いろいろの事情もあったようでございますが、百三十円になった。こういうことでございます。今回のやり方は、もう御承知のとおりで、そういう契機は一切なかった。むしろ、流通問題が口火を切った、こういうふうに考えております。
  114. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、もう一点だけ。  そういううわさが流れておりますので、これは一ぺんよく調べていただきたいと思います。四十三年のときはサッポロ、今度はアサヒビール、その次はまたどこか、こういうふうなうわさを消費者がやっておりますので、その辺、厳重にこれから調査をしていただきたい、そのことを要望して質問を終わります。
  115. 横山フク

    委員長横山フク君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会