○国務大臣(佐藤一郎君) 本日午前中の
物価対策閣僚協議会におきましては、前回の
物価対策閣僚協議会におきましてすでに議論をした分の具体化というものを含めまして、数項目にわたって一応決定したわけであります。輸入政策の積極的活用、それから食料品価格の安定
対策、それから事業許認可制の再検討、それから物価行政機構の強化と、こういうような四点につきまして
対策を協議したわけであります。もちろん、これがすべてではございませんので、今後もわれわれが気のつく限りの問題を取り上げていかなければならないと、こう思っております。
輸入政策の積極的な活用につきましては、
残存輸入制限
品目について、本年の末までに自由化することになっている
品目が十八
品目あることまではきまっておりますけれ
ども、それの具体化については必ずしもはっきりしておりませんでした。そうして、その中でも国民生活に比較的
関係の深いレモンジュースとか、マーガリンとか、ショートニングとか、カラーフィルムとか、そうしたものを明示しまして、日常生活に密接な関連を有するものをできるだけ多く含めて自由化を行なう、こういう方針をきめたわけであります。品物の中には、実は対外通商交渉上、明示することが必ずしも適当でない、こういうようなものもある程度あります。
また、豚肉についても、これは、機動的に輸入を行なうということで、しかも自由化の方向でもってこれを検討しなければならぬ、ただし、豚肉については価格安定制度等がございますし、そういうことで、そうした問題との調整をどうするかということの検討もあわせて早急に行なう、こういう
考え方であります。
ノリの輸入の問題についても、従来の生産者だけの組織であったノリ協会を改組する、そうしてこれに消費者の代表等も入れてこれを行なうようにするというような点であります。
あるいはまた、バナナの関税につきましても、これをできるだけ現在の税率を引き下げるという方向で検討する。そうして国内果実に対する影響は季節関税で進めていこう、あるいは、前回国内消費量の二%以上の輸入割り当てを行なうという方針を決定しましたけれ
ども、それは方針だけを決定したわけでありまして、これらの品物について、すべて所要の割り当てを本年度上期中に実行に移す、こういうような点等を含めて輸入政策について考えてみたわけであります。
また、食料品の価格安定につきましては、
卸売り
市場法案が前国会で継続審議になりまして、私
どもまことに残念に思っております。今後これの早期成立をはからなければならないと思いますし、今後、予約相対取引の導入であるとか、大口購入者の売買参加であるとか、いわゆる卸売り
市場における取引の改善、合理化を進めなければならないのでありますが、
法律案の成立がもちろん重要でありますけれ
ども、他面、
法律案の成立を待たないでも
処理し得るものについて、これを実行していかなければならない。
あるいは、産地直結取引等につきましても、これまた、小売り店の協同事業であるとか、あるいは消費生活協同組合、こういったものと農協、漁協というようなものとのいわゆる計画的な出荷、あるいは直結したところの取引、こうしたものを一そう促進してまいるということを農林省がはっきり決定いたしまして、これに基づいて具体的に実行をしてまいる。その他、まあいろいろこまかい
対策が生鮮食料品等については決定されておりますし、もちろん、これらは地方団体の権限に属する分野が非常に多いわけでありますから、国が地方団体の指導を積極的に行ないまして、そうしてこの方面における体制を一刻も早く実現をしたい、こういうふうに考えております。
流通機構の改善の問題以外に、基本は、何といっても野菜の安定供給の確保であります。これらにつきましても、施設ものにつき、あるいは露地ものにつき、計画的にこの大量出荷が可能なような方向で、これの造成を計画的に進めてまいる、こういう方向を打ち出しております。あるいはまた、現在生産と出荷の計画化と組織化が不十分であるというところに問題があるわけでありますから、そうした面を推進するとともに、それに応じたところの具体的精密な情報というものが、生産者あるいは
流通業者あるいは消費者に十分行きわたるような配慮をすることが考えられております。あるいはまた、稲作からの転換の問題、その他、前回サジェストしております点も、相当ここでもって具体的な事項として決定を見ているわけであります。
食肉のプレパッケージの問題、あるいは牛乳の問題におきましても、いわゆるワンウエイ容器の導入を積極的に進めるために、政府として、償却制度あるいは融資等についても相当思い切ってこれをやってまいらなければならない、あるいは共同で受け入れる体制というもの、受乳体制というものの推進をはかってまいる、こういった点であります。
あるいはまた、
先ほど輸入について申し上げましたが、ノリの
流通機構の改善についても、同じような思想で、小売り業あるいは消費生活協同組合というものとの直結取引の推進であるとか、あるいは産地共販に参加する資格制限を緩和するとか、こまかい具体的な問題を決定しております。
生鮮魚介の輸入の積極的な活用という点につきましても、同様に具体的な決定を見ております。
また、食料品の小売り業者の共同仕入れ、共同配送、公設
市場の整備、こういった問題は従来から取り上げられていますが、これの推進を、今度は本格的に、着実に推進していかなきゃいかぬ、こういうことで取り上げております。
それから事業許認可の問題につきましては、薬局の開設制限でありますとか、あるいは酒類小売り業についてのいわゆる新規参入を容易にするための条件の緩和でありますとか、あるいは米穀についても同様の問題でありますとか、あるいは理髪業につきましての、協定による料金つり上げを抑止する問題でありますとか、そういう点についても政府として方針をきめ、各省においてこれをさっそく具体化する、こういうことにいたしております。タクシーにつきましても、これを今後さらに増車する問題を取り上げております。あるいは消費生活協同組合の事業活動の助長であるとか、あるいは大型店舗についての売り場面積増大をさらに進めるという点であります。
また、物価行政機構につきましては、今後も
対策協議会を随時開いてまいるということを前提にしまして、また、各省にある審議会について、消費者の意見を十分適切に反映させるように、
委員につきまして、
委員の構成について、これの改正を行なうようにする、あるいは、
都道府県と中央とが密接に
一体になって推進する以外にはないことでありますから、
都道府県においても、いわゆる物価担当官式なものを置きまして、そうして中央との間に随時
会議を開いて、そうして中央の方針が地方において十分浸透されるようにしなければならない、こういうような意味での全国物価行政
会議というようなものの新設も考えておるわけであります。また、公共料金に準ずるような重要な行政価格につきまして、今後企画庁に対する協議の範囲を広げる。
こういうような点をおもな内容としているのが本日の協議会の決定でございます。
簡単でありますが、大体以上であります。