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1970-04-14 第63回国会 参議院 農林水産委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十五年四月十四日(火曜日) 午前十一時三十六分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
園田
清充
君 理 事 亀井
善彰
君
高橋雄
之助君 北村 暢君
達田
龍彦君 藤原 房雄君 委 員
青田源太郎
君 河口 陽一君 小枝 一雄君 小林 国司君 櫻井 志郎君 鈴木 省吾君
田口長治郎
君 森 八三一君 和田 鶴一君 川村 清一君 武内 五郎君 中村
波男
君 前川 旦君 村田 秀三君
国務大臣
農 林 大 臣
倉石
忠雄
君
政府委員
農林政務次官
宮崎 正雄君
農林省農政局長
池田 俊也君
農林省農地局長
中野
和仁
君
林野庁長官
松本 守雄君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
説明員
林野庁指導部造
林保護課長
塩島 厚一君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
農地法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、衆
議院送付
) ○
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
林業種苗法案
(
内閣提出
)
—————————————
園田清充
1
○
委員長
(
園田清充
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
農地法
の一部を
改正
する
法律案
及び
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
を一括して議題といたします。 まず、両案について
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
倉石農林大臣
。
倉石忠雄
2
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君)
農地法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び主要な
内容
をご
説明
申し上げます。 戦後の
農地改革
により自作農が創設され、これによって
わが国
の
農業生産力
は画期的な発展を遂げ、
農業者
の
経済的社会的地位
の
向上
をもたらしたのみならず、戦後における
日本経済
の復興と繁栄に寄与したことは申し上げるまでもありません。
現行農地法
は、このような
農地改革
の
成果
を維持するという
使命
をになってきたものであります。 しかしながら
わが国
の
農業
の
現状
は、いまだ
経営規模
が零細であり、このため、
生産性
の
向上
をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ません。したがいまして、
農政
の
基本目標
を実現するためには、
農業
を取り巻く諸
情勢
の
進展
に対応して、
生産
、
価格
、流通、
構造
に関する各般の施策を総合的に推進する必要がありますことはもちろんでありますが、とりわけ、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって効率的に
利用
されるようその
流動化
を促進し、
農業構造
の
改善
をはかる上での条件を整備することが肝要であります。
政府
といたしましては、このような
観点
から
農地法
の
改正
をいたすこととした次第であります。 なお、この
法律案
は、前
国会
に
提出
し、
審議未了
となったものと同じ
内容
のものでありまして、本
国会
に再度
提出
したものであります。 次にこの
法律案
の主要な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一は、以上述べました
趣旨
に基づき、
農地法
の
目的
に「
土地
の
農業
上の効率的な
利用
を図ること」を追加することであります。 第二は、
農地等
の
権利移動
の
制限
の
改正
であります。近年における
農業技術
の
進歩
、
兼業化
の
進行
に照応して、
上限面積
の
制限
の廃止と
下限面積制限
の引き上げを行なうこととし、また、国が
売り渡し
た
農地
につきましては、
売り渡し
後十年を経過したものは
貸し付け
ることができることとし、さらに
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
が
農地
の
権利
を
取得
することができることとしております。 第三は、
集団的生産組織
の
育成
と
土地
の
効率的利用
に資するため、
農業生産法人
の
要件
を
実情
に即して緩和するとともに
農業協同組合
が
委託
を受けて
農業経営
を行なう場合には、
農地
の
権利
の
取得
を認めることとしております。 第四は、
小作地
の
所有制限
についてでありますが、
農業生産法人
に
貸し付け
られている
小作地
、
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
に
貸し付け
られている
小作地等
につきましては、その
所有制限
をしないこととするほか、
農業
をやめて
住所
を他へ移した場合にも在村の場合と同じ
面積
まで
小作地
の
所有
を認めることとしております一 第五は、
農地
を貸しやすくするため
農地等
の
賃貸借
の
規制
を緩和することとし、
合意
により
解約
する場合及び十年以上の
期間
の
定め
のある
契約等
についてその
更新
をしない場合には、
許可
を要しないこととしております。 また、
小作料
の
統制
につきましては、
農業者
の
地位
が
向上
し、
雇用
の
機会
が増大した現在では、
戦前
のような高率の
小作料
が発生する
余地
は、一般的にはないものと判断されますので、これを廃止することとしております。しかし、現に存する
小作地
につきましては、十年をこえない
範囲
内においてなお
小作料
の
統制
を続けることといたしております。 第六は、
草地利用権設定制度
の新設であります。これは、飼料の
生産基盤
の
拡大強化
をはかるため、未
利用
の
里山等
について、
市町村
または
農業協同組合
が
草地造成
をする必要がある場合には、
都道府県知事
の裁定により
草地利用権
を
設定
することができる
制度
であります。 以上が、本
法案
の
提案
の
理由
及びその主要な
内容
であります。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。 次に、
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。
農業協同組合
は
農業生産力
の増進と
農民
の
経済的社会的地位
の
向上
をはかることを
目的
とする
農民
の
協同組織
として、
昭和
二十二年に発足して以来、
わが国経済
及び
農業
の歩みとともに発展してまいりました。 しかしながら、近年における
農業
及び
農業協同組合
をめぐる諸
情勢
の
変化
には著しいものがあると考えられます。すなわち、米の過剰問題が生じている反面、
農家
の
兼業化
が進み、
零細経営規模
の
農家
がなお
相当
の
割合
を占めるなど高能率の
近代的農業
を
育成
していくためには幾多の困難な問題に直面しております。 このような事態に対応して
農業構造
の
改善
をはかるためには、
農地保有
の
合理化
を促進するとともに、協業など
生産
の集団的な
組織
を
育成
することがきわめて肝要でありますが、また一方においては最近における米の過剰問題をも配慮して
転用
を
目的
とする
農地等
の
計画的利用
をはかることもまた重要となっております。 また
農業協同組合自体
につきましても、
組合
をめぐる諸
情勢
に対処し得るよう
昭和
三十六年以来進めてまいりました
農協合併
の
進展
の結果、
組合
の
規模
が
拡大
しその
経営基盤
が充実しつつありますが、
合併
後における
組合
の
組織管理面
、
事業運営面
などにつきましてなお
改善
を要する点も少なくなく、また
系統組織
の
運営面
におきましても解決を要する問題が生じてきております。 このような
情勢
の中で、
農民
の
協同組織
であります
農業協同組合
がその
役割り
をよりよく果たすためには、
組合員
及びその
役職員
の自主的な努力にまつところが大きいのでありますが、
制度面
において
改善
を要する点もありますので、このような
観点
から
農業協同組合法
の
改正
を
提案
する次第であります。 なお、この
法律案
は、前
国会
において
審議未了
になったものに一部修正を加え再
提出
したものであります。 以下、この
法律案
の要旨につきまして御
説明
申し上げます。
改正
の第一点は、
集団的生産組織
に関連する
制度面
の
改善措置
であります。 その
内容
といたしましては、まず
農業協同組合
に
組合員
から
委託
を受けて行なう
農業経営
の
事業
を認めることであります。近年
組合
が
トラクター等
の
機械施設
を保有し、
組合員
から
農作業
の
委託
を受ける例が
全国各地
に見られますが、
就業構造
の
変化
と
機械化
の
進展
に伴い、さらに
農業経営自体
を
組合
に
委託
するような必要が生じりつありますので、
組合
が
組合員
の要望にこたえて、このような
事業
を行ない得る道を開こうとするものであります。 次に
農業経営
を行なう
農事組合法人
につきまして、その
経営
の
合理化
や
就業事情
の
変化
に対応して、
組合員資格
及び
員外従事者
に関する
制限
を緩和して、
経営
の
安定向上
をはかるとともに、設立の
円滑化
に資そうとするものであります。
改正
の第二点は、
農業構造
の
改善
及び米の
生産調整
の
必要性等
に対応して、
組合
の
事業範囲
の拡充をはかる
措置
であります。 まず、
組合
が
農業
の
目的
に供するための
土地
の供給の
事業
ができることとするものであります。
農地
の
流動化
を促進して、
組合員
の
経営規模
の
拡大
をはかり、もって
農業構造
の
改善
に資することは、
組合
としても当然意を用うべきことでありますので、
組合
の
事業
として、
農地法
の
規制
のもとに、
農業
の
目的
に供するための
土地
の
売り渡し
、
貸し付け
及び交換の
事業
を行ない得るようにしようとするものであります。 次は、
組合
による
転用相当農地等
の
売り渡し
、
区画形質
の
変更
の
事業等
を認めることであります。 米をめぐる最近の
情勢
に対応し、かつ、
農地転用
の
計画化
による
土地
の効率的な
利用
を促進する等の
観点
から、
組合
に対し、
組合員
の
委託等
により、
農地法
による
農地転用
の
規制
のもとに
転用
を
目的
とする
農地
その他の
土地
の
売り渡し
、
区画形質
の
変更等
の
事業
を行ない得る道を開こうとするものであります。
改正
の第三点は、
農協合併
の
進展
による
農業協同組合
の
規模
の
変化
に対処するための
措置
であります。 まず、
総代会制度
を整備することであります。
合併
の結果
組合
の
規模
が大きくなったため、総会の開催ないし
運営
に困難を生じている
組合
がふえておりますので、このような状況にある
組合
につきまして、その円滑な
管理運営
を確保するため、
総代会
の
権限
を
拡大
し、役員の選挙または選任及び
定款変更
の決議につきましても
総代会
において行ない得るようにするとともに、これに伴い、
総代
の定数の
最低限度
を引き上げようとするものであります。また、
組合
の解散及び
合併
につきましても、
総代会
において
議決
をし、さらに、
組合員
の直接投票による賛成を得ることによってもこれを行ない得ることとしております。 次は、
農業協同組合連合会
の
会員
につきまして一
会員
一票制の
特例
を設けることであります。
合併
の
進展
に併い、
連合会
の
会員
であります
農業協同組合
の
規模
に
相当
の格差を生じ、従来の一
会員
一票制では実質的な平等が確保され難い
実情
も見られるようになってきておりますので、今回、これについて
特例
を認めようとするものであります。なお、
中央会
につきましてもこれと同
趣旨
の
措置
を講ずることとしております。 以上のほか、
農業協同組合
の
事業運営
の
現状
にかんがみまして、
信用事業
につきまして
貸し付け
に関する
規定
の整備を行なうとともに、
信用事業
を行なう
農業協同組合連合会
が行なう
指定金融機関
の
業務代理
を
間接構成員
のためにも行ない得ることとする等の
措置
を講ずることといたしております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及びおもな
内容
であります。何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
園田清充
3
○
委員長
(
園田清充
君) 続いて
補足説明
及び
関係資料
の
説明
を聴取いたします。
中野農地局長
。
中野和仁
4
○
政府委員
(
中野和仁
君)
農地法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を補足して御
説明
申し上げます。 本
法案
を
提出
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由説明
において申し述べましたので、以下その
内容
の概略を御
説明
申し上げます。 まず第一に、
農地法
の
目的
に関する第一条の
改正
について御
説明
申し上げます。
現行
の
農地法
は、
農地改革
の
成果
を維持し、いわゆる旧
地主制
に逆行することを防止するという
使命
をもって制定されたものでありますが、制定後今日までの十数年間にその
使命
を十分に果たしてきたものと評価されるのであります。しかしながら、最近における
農業技術
の
進歩
や
社会経済事情
の
変化等
から見ますと、さらに新しい時代の
農業
の
要請
にこたえ、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって効率的に
利用
されるようにすることが必要となっておりますので、
農地法
の
目的
に「
土地
の
農業
上の効率的な
利用
を図るためその
利用関係
を調整すること」を追加することといたしております。 第二に、
農業生産法人
の
要件緩和
に関する第二条の
改正
について御
説明
申し上げます。
現行
の
農業生産法人
の
要件
のうち、その
法人
の
構成員
以外の者からの
借り入れ地面積
がその
経営
総
面積
の二分の一未満であること、その
法人
の常時
従事者
たる
構成員
が
議決権
の過半数を保有していること、その
法人
の
必要労働力
のうち
雇用労働力
の
割合
が
一定率
以下であること及び
出資配当率
が
一定
の
割合
をこえないことという
要件
を廃止いたしまして、これらの
要件
にかえて、その
法人
の
理事等業務
の
執行
に当たる者の過半がその
法人
への
農地等
の
提供者
であり、かつ、その
法人
の
農業経営
に必要な
農作業
に常時従事する
構成員
でなければならないことといたしております。この
改正
は、
集団的生産組織
の
育成
と
土地
の
効率的利用
に資するためのものであります。 第三に、
農地等
の
権利移動
の
制限
に関する第三条の
規定
の
改正
について御
説明
申し上げます。 その一は、
農地等
の
権利
を
取得
する場合の
上限
及び
下限
の
面積制限
の
改正
であります。これは、近年における
農業技術
の
進歩
、
兼業化
の
進行等
の
情勢
の
変化
に対応して、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって
利用
されるよう配慮したものであります。 まず、
現行法
では
農地等
の
権利取得
の結果
農地
についていえば、
北海道
では十二ヘクタール、
都府県
では
平均
三ヘクタールをこえることとなる場合には、
権利取得者
またはその
世帯員
が主として
自家労働力
により効率的に
農業
を行なうことができると認められるときでなければ
許可
できないこととしているのを改め、
農地等
を
取得
しようとする者またはその
世帯員
がその
取得
後において
農業
の用に供すべき
農地等
のすべてについてみずから
農業
を行ない、かつ、その
農業
に必要な作業に常時従事すると認められる場合には、
面積
及び
雇用労働力
についての
制限
をせずに
許可
できることといたしております。 次に、いわゆる
下限面積制限
については、
現行制度
では
農地等
の
取得
前における
農地
または
採草放牧地
の
面積
のいずれかが三十アール以上なければならないことになっておりますのを、その
取得
後五十アール以上の
規模
になれば、
取得
前の
面積いかん
にかかわらず、
農地等
の
取得
を
許可
できることといたしております。なお、地域の
実情
に応じて、
都道府県
の
区域
を分けてこの
面積
の
特例
を
定め
ることができる旨の
現行
の
規定
は、存続させることにしております。 その二は、国から
売り渡し
を受けた
農地等
については、
現行制度
では永久に
貸し付け
ることが禁止されておりますが、
売り渡し
後
相当
の年数がたちますと
事情
も変りますので、これを改め、
売り渡し
後十年を経たものについては、その
効率的利用
がはかられるよう
貸し付け
ができることといたしております。 その三は、
農地等
の
取得者
に対してその
土地
を効率的に
利用
すべき旨の
要請
を強めることとし、
通作距離等
から見て
農地等
の
取得
後においてそれを効率的に
利用
して
農業
を行なうことができると認められない場合には、
許可
しないことといたしております。 その四は、
農業協同組合法
の一部
改正法案
において
農業協同組合
が
委託
を受けて
農業経営
を行なうことができることとしていることに対応して、その場合に
農業協同組合
が
農地等
の
権利
の
取得
をすることができることといたしたのであります。なお、
農業経営
の
委託
に伴う
農地等
の
権利
の
取得
は、
農業協同組合
が
委託
を受ける場合に限り認めることとし、それ以外の場合にはこれを認めない旨の
規定
を設けることといたしております。 その五は、
農業経営
の
規模
の
拡大
、
農地
の
集団化等
をはかるため
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
が
農地等
の
権利
を
取得
する場合には
許可
できることといたすとともに、その
法人
が
農地保有合理化促進事業
のために
農地等
を転貸する場合にも
許可
できることといたしております。 なお、以上のほか、
農地等
の
権利移動
の
制限
に関しましては、
現行制度
では
小作地等
はその
土地
の
小作農等
以外の者に譲渡できないことになっているのを改め、
小作農等
の同意がある場合にはその
土地
が
農地等
の買い受け
資格
を有する第三者に譲渡されることを認め、差し押えまたは仮差し押えを受けた
自作地等
については、その後それが
貸し付け
られて
小作地等
となっても
強制執行等
によりその
小作農等
以外の者へ
所有権
が移転されることを認めることといたしております。 また、
農地等
の
権利移動
についての
許可権限
につきましては、
実情
に即して整備することとし、
農地等
の
権利
を
取得
しようとする個人がその
住所
のある
市町村
内の
農地等
について
権利
を
取得
しようとする場合には
農業委員会
を
許可権者
とし、その他の場合、すなわち他
市町村
内の
農地等
の
権利
を
取得
する場合とか、
権利
を
取得
する者が
法人
である場合等においては、
都道府県知事
を
許可権者
といたしております。 第四に、
小作地等
の
所有制限
の例外を
定め
ております第七条の
規定
の
改正
について御
説明
申し上げます。 その一は、
一定
の
要件
のもとに、
住所
のある
市町村
の
区域
の外にある
小作地
の
所有
を認めることといたしておることであります。すなわち、
現行制度
では
住所
のある
市町村
の
区域
の外にある
小作地
につきましては、その
所有
を認めていないのでありますが、
農地
の
所有者
及びその
世帯員
が
耕作
の
事業
に供すべき
農地
のすべてについて
耕作
の
事業
をやめ、他の
市町村
へ
住所
を移した場合に、それらの者が
農業
をやめた時に
住所
を有していた
市町村
内にある
小作地
で
農業
をやめる前それらの
者等
が
一定
の
期間
所有
していた
農地
については、
北海道
では四ヘクタール。
都府県
では
平均
一ヘクタールまでは不在村者として
小作地
を
所有
できることといたしております。また、その
農業
をやめたときのその
小作地
の
所有者
からその
小作地
を承継した
一般承継人
についてもその
小作地
の
所有
を認めることといたしております。これはいわゆる旧
地主制
の復活を意味するものではなく、他産業に従事しようとする
農家
が他
市町村
へ
住所
を移しやすくし、
農地
が効率的に
利用
されるよう配慮したものであります。 その二は、従来
農業生産法人
が
耕作
の用に供している
小作地
につきましては、
農業生産法人
の常時
従事者
である
構成員
が
所有
する
農地
であってその者の
住所
のある
市町村
内にあるものをその
法人
に
貸し付け
る場合に
限り小作地
の
所有制限
をしないこととしておりますのを、
農業生産法人
の
構成員
であれば、その
法人
に
貸し付け
ている
農地
については、その所在地がその
構成員
の
住所
のある
市町村
の
区域
内にあるものであっても、またその
区域外
にあるものであっても、
小作地
の
所有制限
をせずその
所有
を認めることとして、
農地
の効率的な
利用
に資することといたしております。 その三は、
農業協同組合
が
農業経営
の
委託
を受けて
耕作
の
事業
に供している
小作地
及び
農業協同組合
の
共同利用施設
の用に供している
小作地
については、それぞれその
所有者
に対し、その
小作地
の
所有制限
をせずその
所有
を認めることといたしております。 その四は、
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
に
貸し付け
られている
小作地
につきましては、その
所有者
に対し
小作地
の
所有制限
をせずにその
所有
を認めることといたしまして、この
法人
が
農地
を借りやすくし、
農地保有
の
合理化
に資することといたしております。 その五は、
都市計画法
による
市街化区域
内の
小作地
につきましては、あらかじめ
転用
のため
届け出
をして
取得
したものを
所有制限
をしないこととなっておりますが、
市街化区域
の性格にかんがみまして
届け出
の有無にかかわらず
所有制限
をしないことといたしております。 その六は、近年
農業経営
における
採草放牧地
のになう
役割り
が
変化
してきたことにかんがみて、
小作採草放牧地
につきましては、その
所有制限
を廃止することといたしております。 第五に、
農地等
の
賃貸借
の
解約等
の
制限
を
定め
ております第二十条の
規定
の
改正
について御
説明
申し上げます。
現行制度
では、
農地等
の
賃貸借
の解除、
解約
または
更新
の拒絶をしようとするときは、
民事調停法
による
農事調停
によって
合意解約
が行なわれる場合及び
信託事業
にかかる
信託財産
につき
解約
の
申し入れ等
が行なわれる場合のほかは、
当事者
は
都道府県知事
の
許可
を受けなければならないこととされておりますが、この
規制
を緩和いたしまして、
農地等
の
所有者
が
農地等
を貸しやすくするため、次の場合には
許可
を要しないことといたしております。 その一は、
農地等
の
賃貸借
につきその
農地等
を引き渡すこととなる期限前六カ月以内に成立した
合意
で、その旨が書面において明らかであるものに基づいて
賃貸借
の
解約
をしようとする場合であります。 その二は、十年以上の
期間
の
定め
のある
賃貸借
につきその
期間満了
の一年前から六カ月前までの間にその
更新
をしない旨の
通知
をする場合であります。 その三は、
水田裏作
を
目的
とする
賃貸借
につきその
更新
をしない旨の
通知
をする場合であります。 第六に、
小作料
の
規制
を
定め
ております第二十一条から第二十四条までの
規定
の
改正
について御
説明
申し上げます。
農業者
の
経済的社会的地位
が
向上
し、また
雇用
の
機会
が増大した現在では、
当事者
の自由な
契約
にゆだねても
戦前
のような高額の
小作料
が発生する
余地
は一般的にはないものと判断されること、最近において
農業生産
、
農業経営
が多様化してきたこと等の
理由
により、これらの
規定
を
改正
して、従来のような画一的な
農地
一筆
ごと
の
小作料
の
最高額統制制度
を廃止することとし、これに関連して
小作料
の
規制
に関する所要の
規定
を整備することといたしたのであります。 その一は、
農業委員会
が
農地
一筆
ごと
の
小作料
の
最高額
を
定め
る旨を
規定
した第二十一条を廃止するとともに、この
統制額
に違反する
契約
についてはその
統制額
を
小作料
の額と
定め
たものとみなすこととされている第二十二条を廃止し、これらの
規定
にかえて、
小作料
は
定額金納
で
契約
すべき旨及びこれに違反する
定め
はその効力を生じない旨の
規定
を設けることといたしております。 その二は、
小作料
の
増額
または
減額
の
請求権
の
規定
を設けることとしたことであります。これは、
小作料
の額が農産物の
価格
や
生産費
の上昇もしくは低下その他の
経済事情
の変動により不
相当
となったとき、または
近傍類似
の
農地
の
小作料
の額に比較して不
相当
となったときは、
当事者
は
小作料
の額の増減を
請求
することができることとし、
増額
について
協議
がととのわないときは、
増額
の
請求
を受けた
耕作者
はみずから
相当
と認める額の
小作料
を支払うことをもって足りることとし、
減額
について
協議
がととのわないときは、
減額
の
請求
を受けた
土地所有者
はみずから
相当
と認める額の
小作料
の支払いを
請求
することができることといたしております。そして、
増額
または
減額
を正当とする裁判が確定した場合には、すでに支払った
小作料
の額との過
不足額
に年一割の
割合
による利息を付して精算すればよいことといたしております。 その三は、
農業委員会
による
小作料
の
標準額
の
設定
及び
小作料
の
減額
の勧告の
制度
を設けることとしたことであります。まず、
農業委員会
は、その
区域
内の
農地
につきたとえば
田畑別
、上中下別等必要な
区分
をいたしまして、その
区分ごと
の
農地
につき
経営規模
、
経営能力等
において通常の
農業経営
が行なわれたとした場合における
生産量
、
生産物
の
価格
、
生産費等
を参酌し、
耕作者
の
経営
の安定をはかることを旨として
小作料
の
標準額
を
定め
ることができることといたしております。そして、その
小作料
の
標準額
に比較して著しく高額であると認められる
小作料
を
定め
た
契約
があるときは、
農業委員会
は
当事者
に対してその
小作料
の
減額
を勧告することができることといたしております。 その四は、以上のような
小作料
の
規制
についての
改正
を行なうにあたり、現存の
小作地
の
小作料
につきましては、その小作農の
経営
に急激な
変化
を与えることを避けるため、この法律の施行の日から十年をこえない
範囲
内において政令で
定め
る日まではなお
小作料
の
最高額
統制
に関する
制度
を継続することとし、その
最高額
の基準については、農林大臣が毎年検討を加えて必要があるときはその
変更
を行なうことといたしまして、附則第八項及び第九項にこの旨の経過
規定
を設けることといたしております。 第七に、国からの
農地
または
採草放牧地
の
売り渡し
について
定め
ております第三十六条の
規定
の
改正
について御
説明
申し上げます。 これは、
現行制度
では
市町村
、
農業協同組合
等の団体に売り渡すことのできる
土地
は共同
利用
することが適当な
採草放牧地
に限定されておりますのを改め、草地としての
土地
の
利用
の効率化が進んでまいっておりますことを考慮いたしまして、共同
利用
することが適当な
農地
についても団体に対し売り渡すことができることといたしております。 第八に、和解の仲介
制度
について第二章に一節を設けることとしておりますので、この
制度
につき御
説明
申し上げます。 これは、
農地等
の
利用関係
の紛争が民事調停または裁判によらなくても簡便に解決できるように、
当事者
の双方または一方から申し立てがあったときは、
農業委員会
が和解の仲介を行なうことといたしたものであります。この和解の仲介は、
農業委員会
の委員のうちから
農業委員会
の会長が事件
ごと
に指名する三人の仲介委員により行なうこととし、
都道府県知事
の
許可
を要することとされる事項について和解の仲介を行なう場合には、仲介委員は
都道府県
の小作主事の意見を聞かなければならないものとしております。 なお、
農業委員会
が和解の仲介を行なううことが困難または不適当であると認めるときは、
都道府県知事
による和解の仲介ができることといたしております。 第九に、開拓財産である道路、水路等の譲与に関する第七十四条の二の
規定
について御
説明
申し上げます。 開拓財産である道路、水路、ため池等につきましては、最近有償で売り渡すこととなっておりますのを改めまして、これらの財産の性格にかんがみ、その用途を廃止したときはこれを無償で国に返還することを条件として、
市町村
、
土地
改良区等に無償で譲与することができることといたしております。 第十に、
草地利用権設定制度
について第三章に一節を設けることといたしておりますので、この
制度
の概要について御
説明
申し上げます。 これは、畜産物に対する需要の増加に対応して飼料の
生産基盤
の
拡大強化
をはかるための
制度
であります。 まず、
市町村
または
農業協同組合
は、その住民または
組合員
の共同
利用
に供するため、牧草の栽培またはこれに付随して家畜の放牧を行なうことを
目的
とする
土地
についての賃借権を
取得
する必要があるときは、
都道府県知事
の承認を受けて、その
土地
の
所有者
等に対し、
草地利用権
の
設定
に関する
協議
を求めることができることといたしております。この場合に
都道府県知事
が承認できるのは、その
土地
が自作農の創設に供されるとするならば国による未墾地買収の対象となり得る
土地
である等
一定
の
要件
に適合するものである場合に限ることとしております。 次に、この承認を受けた
市町村
または
農業協同組合
は、
土地所有者
等と
草地利用権
の
設定
に関する
協議
をすることとなりますが、これが整わない場合等には、
都道府県知事
の裁定を申請することができることといたしております。この場合には、
都道府県知事
は、
土地所有者
等に意見書を
提出
する
機会
を与え、その
土地
の
利用
の状況、
利用
計画等を考慮してもなお
草地利用権
の
設定
を望む
市町村
または
農業協同組合
が共同
利用
に供することの方が国土資源の
利用
に関する総合的見地から必要かつ適当であると認めるときは、
草地利用権
を
設定
すべき旨の裁定をするものといたしております。 なお、
草地利用権
は
設定
の初めから通算して二十年をこえない
範囲
内で
更新
することができることといたしております。 また、
草地利用権
の存続
期間
が三年以上にわたるときは、その
土地
の
所有者
等は、
都道府県知事
に対し、
草地利用権
を有する者がその
土地
等を買い取るべき旨の裁定を申請することができることといたしており、
草地利用権
を有する者が正当な事由がなく引き続き二年以上
草地利用権
が
設定
されている
土地
をその
目的
に供しなかった場合には、
草地利用権
を解除することができることとしているほか、
草地利用権
の譲渡等の禁止の
規定
等を設けることといたしております。 最後に、第八十三条の二におきまして、
農地等
の無
許可
転用
者または
転用
許可
の条件に違反している
者等
に対し、農林大臣または
都道府県知事
は工事の停止命令等違反を是正するための必要な
措置
をとるべきことを命ずることができることといたしております。 以上をもちまして、
農地法
の一部を
改正
する
法律案
についての
補足説明
を終わります。 引き続いて
農地法
の
改正
に関しまして参考統計資料を御
説明
申し上げたいと思います。 この参考統計資料は、
農地法
をめぐります基礎的な統計資料あるいはわれわれ日常業務をやっております業務統計を掲げておるものでございます。大部分はごらんいただけばおわかりいただけるかと思いますが、その中でおもな点だけを申し上げたいと思います。 まず下のほうにページ数が書いてありますので、そのページ数をごらんいただきたいと思います。 二ページをお開きください。二ページは最近におきます耕地の拡張、潰廃及び転換の
面積
が書いてございます。これによりますと、すでに御承知のように、田は最近ずっと拡張のほうが多くて潰廃のほうが少なくて、特に四十二年、三年に二万ヘクタールぐらいふえておりましたが、四十四年度は開田抑制との関係もございまして五千七百ヘクタールの増ということになっております。畑は逆に一貫いたしまして拡張よりも潰廃が非常に多い、こういう状況でございます。 次に四ページをごらんいただきたいと思います。
農地改革
後、自作農創設をいたしました結果、この四ページの右のほうの構成比の欄をごらんいただきますと、現在の
農家
の中で純粋の自作農がこの自作というところにございますように八割を占めております。逆に純粋の小作人は一・七%、戸数にいたしまして約九万三千戸という現在の
実情
になっております。 それから少し飛びまして七ページをごらんいただきたいと思います。七ページは最近の離農
農家
の推移でございますが、大体最近は九万戸、あるいは八万戸、一番新しい四十二年から三年にかけましては、七万三千八百戸ということで、離農率は一番最近では一・四%程度ということになっておりまして、その次の八ページをごらんいただきますと、そういう離農した
農家
が一体その
農地
はどうしているかというのが八ページの下のほうに(9)というところにございます。これをごらんいただきますと、手離しました
土地
の中で売却したのが、
農地
として売却いたしましたのが四十二年では二一%、それに対しまして請負わせたり、あるいは
貸し付け
たものが三一%、こういうことになっております。 それから少し飛びまして十一ページをごらんいただきたいと思います。十一ページは最近の一年間の耕地の移動の状況が農林省の
農業
調査結果で出ておりますが、これによりますと、四十三年十二月で差し引き耕地が一年間に増加した
農家
の数は十九万四千戸、その中身をごらんいただきますと、買い入れまして
耕作
したのが二八%、新たに借り入れましたのが二二%、開墾なり干拓その他で二六%、こういう状況になっております。逆に減少いたしまして
農家
は四十三万二千ございます。その中で売却しましたものが、非
農地
として売りましたのが二六%、
農地
として売りましたのは一三%、新たに
貸し付け
ましたのが一〇%。 それから少し飛びまして十四ページから十五ページにかけてごらんいただきたいと思います。これは
農地法
の
統制
の実績でございまして、最近の
所有権
なり賃借権の移動を載せております。これをごらんいただきますと、件数では
所有権
の移動で特に一番多いのは自作地のしかも売買によります有償の移動でございます。
昭和
三十年に三十万件の件数がございまして、約三万九千ヘクタール、一年間に移動があったわけでございます。三十九年から最近五年間をごらんいただきますと、大体件数は四十万件を下っております。それから
面積
は七万ヘクタール程度、こういうことで、この五年間あまり動きがございません。それからなお
賃貸借
につきましては、
統制
がいま非常に厳重なものですから、正規の
賃貸借
の
設定
は件数、
面積
とも非常に少ないという状況になっております。 それから十八ページをごらんいただきたいと思います。これは戦後の
農地改革
以来現在までの自作農特別会計によります財産の
取得
、
売り渡し
、管理の状況を書いてございます。
農地
あるいは
採草放牧地
を特別会計で
農地改革
等によりまして
取得
いたしましたものが、ここにありますように、買収が二百二十六万ヘクタール、所管がえ、所属がえ分が三十四万ヘクタールで、合わせまして二百六十万ヘクタールの
土地
を買いまして、これを
小作農等
に売り渡すということになるわけでございます。現在国有
農地
として管理しておりますのは、この表にありますように三千九百九十ヘクタールでございます。 それから一方、未墾地につきましては、
農地改革
の当時から買収いたしましたものが九十二万ヘクタール、それから林野庁あるいは大蔵省から所管がえ、所属がえをいたしましたものが七十一万ヘクタール、合計いたしまして百六十四万ヘクタール、これを戦後の開拓以来入植者に
売り渡し
てまいりましたのが百三十万ヘクタール。現在残っておりますのが約十万ヘクタールでございます。 それから十九ページをごらんいただきたいと思います。十九ページは
農業生産法人
の
組織
状況でございます。最近の統計によりますと全国で
農業生産法人
は二千四百八十でございます。その中で最も多いのは有限会社でございます、千四百六十七。次に
農事組合法人
が九百八十九ということになっております。 それからなお御参考のために、右のほうに構成世帯数別というのがございますが、二千四百八十の中で、一戸一
法人
というのが千三十六というので、かなり一戸一
法人
が多い状況になっております。 それから二十ページをごらんいただきたいと思いますが、自作農が
農地
を買いまして、
経営規模
の
拡大
をはかるというために、農林漁業金融公庫から
農地
取得
資金を融資しておりますが、それの状況が出ております。なお四十三年度まではここに出ておりますが、四十四年度はあとで追加をいたしまして、三百二十億円の
農地
取得
資金ということになっております。四十四年度は三百五十九億円というふうに増加をはかっております。 次に二十一ページでございますが、これは
農地転用
の状況を最近数カ年書いてございます。 それから二十二ページは賃貸約の
解約
の状況でございます。今度二十条の
改正
をいたしておりますので、それの参考の資料でございます。 それから最後に二十五ページをごらんいただきますと、最近の
農地
価格
の推移が書いてございます。お手元に、別に新しく不動産研究所が四十四年に統計を発表いたしましたので、それを追加しておりますが、これをごらんいただきますと、非常な値上がりを示しました
農地
価格
が、四十四年では対前年度の騰貴率が非常に落ちてきておる、こういう状況でございます。 はなはだ簡単でございますけれども、以上をもって参考統計資料の
説明
を終わらせていただきます。
池田俊也
5
○
政府委員
(池田俊也君)
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
を補足して御
説明
申し上げます。 本
法律案
を
提出
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由
において申し述べましたので、以下その
内容
の概略を御
説明
申し上げます。 第一に、農協による
農業経営
の受託
事業
につきましては、この
事業
の性格にかんがみ、
事業
主体を出資制の
農業協同組合
とするとともに、他の
事業
とあわせ行なわなければならないこととしております。なお、この
事業
の実施につきましては、受託
農地
の集団的な
利用
や、高性能
機械施設
の使用などにより、効率的な
経営
が実現されるように指導してまいりたいと考えております。 第二に、
農事組合法人
制度
につきましては、
農業経営
を行なう
農事組合法人
につき、最近における諸
情勢
の
変化
に即応し、
農民
の
協同組織
という基本的性格を保持しつつ、他の
生産
組合
制度
との均衡をも考慮して、
組合員資格
及び
員外従事者
に関する
制限
を緩和することとしております。すなわち、定款で
定め
た場合には、加入の後に
農民
でなくなった
者等
については、その
農事組合法人
との関係においては
組合員
たる
資格
を有するものとし得ることとするとともに、これによって
組合員
たる
資格
を有するものとされる者の数は、
定款変更
等特別
議決
の場合の
議決
要件
などを勘案して、総
組合員
の三分の一をこえてはならないこととしております。また、
員外従事者
の数につきまして、常時
従事者
の五分の一以内という
現行
の
制限
を二分の一以内に緩和することとしております。 第三に、
組合
による
土地
の
取得
等に関する
規定
につき、
組合
による
農業
の
目的
に供するための
土地
の供給
事業
につきましては、
農地
の
売り渡し
、
貸し付け
または交換の
事業
が行ない得るよう道を開くものであり、
農業経営
規模
の
拡大
、
農地
の
集団化等
に資しようとするものでありますが、これにつきましては、
農地法
の
規制
のもとに同法
改正
案により新たに道が開かれることとなっている
農地保有合理化促進事業
として実施することとしております。 次に、
組合
による
転用相当農地等
の
売り渡し
及び
区画形質
の
変更
の
事業
につきましては、
農業経営
の受託の
事業
と同様に、
事業
主体を出資制の
組合
とするとともに、他の
事業
とあわせ行なわなければならないこととしております。この
事業
は、
組合員
が
経営
の
合理化
等に伴い、
農地
を処分するような場合に、これを計画的に行なわせるとともに
組合員
の生活の安定にも資することを
趣旨
とするものであり、本
事業
の実施にあたっては
組合
の性格にかんがみ、
組合員
からの受託によることを原則とするとともに、
農地法
による
農地転用
の
規制
のもとに
土地
の
農業
的
利用
にも十分配慮して行なわれるよう指導してまいりたいと考えております。 第四に、
総代会
につきましては、大
規模
農協の
管理運営
の
円滑化
に資するため、従来行なうことのできなかった役員の選挙または選任及び定款の
変更
の決議をなし得ることとしております。また、解散及び
合併
につきましては、
総代会
において
議決
をし、さらにこれにつき
組合員
の直接投票において総
組合員
の半数以上が投票し、その投票数の三分の二以上の多数による賛成を得ることによっても、これを行ない得ることとしております。このような
措置
に伴い、
組合員
の意思を
総代会
に対しよりよく反映させる必要があると考えられますので、
総代
の定数につき、
現行
の百人という
最低限度
を引き上げ、原則として総
組合員
の五分の一以上でなければならないこととしております。 第五に、
農業協同組合連合会
の
会員
の
議決権
及び選挙権につきましては、
会員
が
農業協同組合
である場合にはその正
組合員
数、
会員
が
連合会
である場合には、その直接または間接の
構成員
たる
農業協同組合
の正
組合員
数等に基づき、定款の
定め
るところにより付加して与え得ることとしております。なお、付加して与える
議決権
及び選挙権の数につきましては、一
会員
一票制の原則に対する例外である
趣旨
にかんがみ、政令で
一定
の
制限
を課することを予定しております。また、
中央会
につきましても、
都道府県
中央会
にあっては
会員
の
議決権
及び選挙権の数、全国
中央会
にあっては代議員の選挙における
会員
の選挙権の数等につき、同
趣旨
の
措置
を講ずることとしております。 以上のほか、
信用事業
につきまして、
組合員
の
世帯員
、地方公共団体等の非
営利法人
または銀行その他の金融機関に対する資金の
貸し付け
に関する取り扱いを中小企業金融機関における取り扱いとの均衡を考慮して
改正
するとともに、
制度
金融の動向にかんがみ、その適正な取り扱いがはかられるように、
信用事業
を行なう
農業協同組合連合会
が
間接構成員
のために
指定金融機関
の
業務代理
をすることができるようにすることとしております。そのほか、
組合
経営
の健全化に資するため、損益計算書を総会の
議決
事項として加えるなどの
改正
をすることといたしております。 以上をもちまして、この
法律案
の
提案理由
の
補足説明
といたします。 次に参考資料につきまして、ごく簡単に御
説明
を申し上げます。 第一ページは、
農業協同組合
の
組合
の数に関する資料でございます。御存じのように、総合農協は六千四百程度、全体は一万八千程度でございます。 次に二ページは、地区別あるいは業種別の
組合
数を出しておるわけでございます。それから下のほうの欄は、年次別の
農協合併
実績でございまして、これは
合併
助成法ができました三十六年以降の実績を示しておるわけでございます。 次のページにまいりまして
総代会
の設置状況でございますが、
総代会
は、四十四年三月末におきましては一六%ほどの
組合
が採用をいたしております。下は
規模
別の状況でございます。右のほうに
連合会
の数等が出ております。 それから次のページにまいりまして、四ページでございますが、
農業協同組合
の
規模
についての資料でございまして、一
組合員
当たりの
平均
的な数でございます。正
組合員
は八百九十人ぐらい、役員は十六人、職員は三十五人程度でございます。出資金あるいは
事業
量はそこに書いておるようなことでございます。 それから次に五ページにまいりまして、正
組合員
の戸数別の総合農協の数の状態を示しておるわけでございまして、一番多いのは五百人から千人未満というところが一番大きな構成を占めております。右のほうは
連合会
の状況でございます。 それから次に六ページにまいりまして、農協の財務の状況でございますが、これも単協につきましては、一
組合
当たりの総合農協の一
組合
当たりの財務の状況でございまして、資産は七億八千九百万ぐらいというような状況に相なっております。資本は二千六百万程度でございます。それから、右は損益でございまして、最近は損失発生
組合
がかなり減少いたしておりまして、全体といたしましては、四十三年末におきましては損失金発生
組合
が四%程度の状況でございます。 それから次に、七ページは
連合会
の財産の状況あるいは損益の状況でございます。 それから八ページは、農協の
事業
の状況でございまして、
信用事業
につきましては、単協では貯金の総額が四兆八百五十七億円、
貸し付け
金が二兆一千四百九十八億円、貯貸率が五二・六%でやや上昇のきみに相なっております。下は信連の同じような状況でございます。 それから、次の九ページにまいりまして、経済
事業
の系統
利用
の状況等を示してございますが、種類によりまして若干の違いがございますが、米でございますと八六%、それから青果でございますと三三%、そういうような状況でございます。資材は肥料が八一%、えさが五三%程度、農機具はちょっと落ちております。それから下のほうは総合農協系統におきます販売、購買品の品目別の構成の状況でございます。省略をさせていただきます。 次に十ページには、共済
事業
の共済金額及び件数を示してございます。 それから十一ページには、農協の
農業経営
の受託に関します指標という意味で、水稲の請負作業の状況等につきまして示しているわけでございますが、全部の作業の受託をいたしておりますのは、十八万戸、五万ヘクタール程度、一部のものが以下に書いてあるような数字でございます。それから下のほうは、大型機械等につきまして、その
所有
主体がどういうふうに分かれておるかというようなことを示してございますが、農協がかなり大きなウエートを占めておるわけでございます。 それから十二ページには
農事組合法人
の状況を示してございますが、数といたしましては逐年増加の傾向にございます。それから、右のほうには、
組合員
の数等によります区別でございますが、やはり十人未満というような
組合
が比較的大きな
割合
を占めておるわけでございます。 それから最後に業種別の
農事組合法人
数を示してございますが、畜産の中で養鶏等でございますとかあるいは果樹作等につきましての
組合
が比較的多いと、こういう状況でございます。 以上をもちまして参考資料の
説明
を終わります。
園田清充
6
○
委員長
(
園田清充
君) 本日は、両案に対する
趣旨説明
、
補足説明
及び参考資料の
説明
のみにとどめておきます。
—————————————
園田清充
7
○
委員長
(
園田清充
君) 次に
林業種苗法案
を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
川村清一
8
○川村清一君 この
法案
の
目的
につきましては、第一条に「優良な種苗の供給を確保し、もつて適正かつ円滑な造林を推進して林業総
生産
の増大及び林業の安定的発展に資することを
目的
とする。」こううたわれておるわけでございますが、そこで私はこの
法案
の背景をなす林業の基本的な問題を中心として若干お尋ねをしたいと存じます。 今日の日本林業の実態等につきまして先般
国会
に
提出
されました林業白書によっていろいろ調べてみますというと、日本の林業というものは、たいへんな段階になっておるということを理解するのでございます。 まず、日本林業というものは完全な外材主導型の林業になっておるのではないかという印象をまず強く受けます。高度経済成長下におきまして、木材の需要が年々非常にふえております。大体年率六%程度伸びておりますのに、だんだん国内
生産
のほうは停滞の一途をたどり、四十三年度におきましては、対前年度比七・二%も減少しております。外材輸入は、総需要に対しまして四七%、四千三百立米に達しておるわけでございます。金額にして、約四千四百億円、
日本経済
全体から考えてみましてもこれはたいへんなことでございまして、国際収支を大きく圧迫しておると、かようにこれは考えます。 第二には、一方、造林のほうでございますが、造林
面積
のほうは、三十六年度をピークとして年々減少の傾向にございます。将来の林業
生産
及び国土保全の上から考えてもたいへんな事態と言わなければならないと、かように考えるものでございます。 第三には、山村地帯の過疎化現象が増大していっていることは御承知のとおりでございます。林業労働者がきわめて不足してきております。このことは、今後の日本林業に大きな暗影を投げかけているものと理解をするわけでございます。これらのものを総合して考えてみまするに、まさに現在日本の林業は重大な危機に直面しておる、こう言っても決して過言ではないと私は考えるものでございます。 そこで、このような日本林業に対処して、今回御
提案
になっております
法律案
はどのような一体
役割り
をになうのか、どのような責任を分担するのか、こういうことを明らかにしなければならないと思うわけでございます。林業は私が言うまでもなく、ことし木を植えたから来年すぐに切って、これが直ちに経済的価値を生むものではない、工業製品とは根本的にその性質を異にしておるものでございます。したがって、国家百年の大計に立って林業政策を展開をしていくことは今日的な急務である、かようにも考えております。 そこで、最初大臣にお伺いいたしたいことは、この日本の林業の危機を乗り切るために今後林業種苗行政をどう位置づけ、どうこれを発展展開していくかということを、この際ひとつ明確にしていただきたいこと、これが私の第一の質問でございます。
倉石忠雄
9
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) 林業の状態が先ほど御指摘のように、外材がかなり大きな部分を占めております。たいへん大事な時期であると私どもも思っておるわけでございます。林業施策の方針と申しますならば、その
内容
は申すまでもなく木材需要の増大、それから国土の保全等の国民的
要請
に対しまして、森林の持つ経済的機能、それから公益的機能の発揮を通じまして、林業総
生産
の増大、それから林業の安定的発展、森林の持っております公益的機能の発揮等を実現し得るものでなければならないと考えております。そういうような林業施策全体の中で今回の林業種苗の施策につきましては、林業の
生産基盤
でありますと同時に、国土の保全その他公益的な機能を有する森林の造成、すなわち造林施策の一環として位置づけられると存じます。このような位置づけにおいて、今回の林業種苗法の
改正
は適正かつ円滑な造林がはかられることによりまして、健全な森林が造成されるように、優良な種苗の質、量、両面での確保とこれらの種苗の造林への適切な供給をはかることを
目的
とするものでございます。
川村清一
10
○川村清一君 そこで重ねてお尋ねをいたしますが、林業基本法第十条第一項の
規定
によって策定いたしました
昭和
四十一年四月一日閣
議決
定を経て発表いたされました「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」、さらには四十四年九月の林政
審議
会は、
わが国
における木材需給について農林大臣に対しまして建議をしておる次第でございますが、これらの長期の見通しなり、あるいは林政
審議
会の建議というものを含めまして、木材需給の今後の見通し、これをお聞きしたいわけであります。私に言わしていただければ、これらの
政府
の打ち出した計画というものが現実の問題としては非常に大きく狂っておるのではないか。この狂った原因はどこにあるかといったようなこともやっぱり究明していかなければなりませんので、これらを踏まえて木材需給の今後の見通しをこの際ひとつ明らかにしていただきたいと存じます。
松本守雄
11
○
政府委員
(松本守雄君) お答えいたします。 木材需給の
現状
につきましては、
昭和
四十三年に九千二百万立方の需要に対して国産材が四千三百万、四七%、そういう
事情
になっておりますが、四十五年度の需要は
構造
変化
の影響を受けながらも、なお四十四年度に対しまして四%ぐらいふえるだろうという見通し、結局九千九百万立方ぐらいにはなるであろう。また供給につきましては、国産材はほぼ前年並みぐらいしか見通されない
現状
でございますが、したがって需要の伸びる分は外材に頼らなければならないというのが需給の
現状
ないし来年度あたりの見通しでございます。中期見通し、長期見通し、これは先生いまお話の林政
審議
会の答申を受けております。また長期的には四十一年に策定されました森林資源に関する基本計画、また長期の見通しというものがございまして、将来的には
昭和
九十年度を見通しますと、森林資源の整備、強化が逐次効果をあらわして、一応九割ぐらいまでは国産材によって
生産
されるであろう、自給率が九割ぐらいまでには高まるであろうという見通しでございます。
川村清一
12
○川村清一君 結論的に言いますというと、その当時立てた長期の見通しと現在の需給というものは大きく狂っておるのか、狂っていないのか、これをもう一度明らかにしていただきたい。
松本守雄
13
○
政府委員
(松本守雄君) 一言で申し上げますと、だいぶ狂っております。といいますのは、当時積算予測をいたしました前提である経済成長率というものが約八%ぐらいの伸びで進むだろうということを前提に予測をいたしております。その後のここ数年の成長率の伸びは一〇%をこえておるというようなこともございまして、したがって、予測の大もとである経済の伸びというものが変わっておりますので、当時推定されました予測というものは大幅に変わっておる状況でございます。
川村清一
14
○川村清一君 そういうことになりますれば、その責任を私は追及するとかなんとかいうことじゃございませんが、この
政府
の決定いたしました見通しというものは林業基本法第十条第一項の
規定
によって策定されたものでございますので、
昭和
四十一年当時において打ち出された計画、見通しが、その後の経済の非常な高度発展によって狂ったものであるとするならば、それに合わせて、この長期見通しというものを改定すべきものではないか。かように考えますが、これに対してどのような御見解を持っていらっしゃいますか。
松本守雄
15
○
政府委員
(松本守雄君) 確かにそのように狂っております。したがいまして、昨年の九月の終わりに林政
審議
会の建議を受けておりますが、その建議も、そういった
事情
を踏まえまして、中期の見通しを一応立ててもらったことがございます。それが昨年の林政
審議
会の建議の結果に出ておるわけでございますが、したがいまして、長期の見通しにつきましても、今後の労働
事情
、国内供給
事情
というようなものがだんだん変わってまいりますので、その変わってまいります過程におきまして、そういった長期見通しも改定をする必要が出てくるではないか、このように考えておりますが、いまのところは、長期、
昭和
六十年、九十年という見通しそのものをいまの時点で改定し直す必要があるということはすぐには考えておりませんが、なお
情勢
の
変化
の推移を見ながら、この改定につきましても検討をしてまいりたいと、このように思っております。
川村清一
16
○川村清一君
昭和
四十一年に策定された見通しが、
昭和
いま四十五年、ことし狂ったのではなくて、
昭和
四十三年においてもうすでに狂っておるのであります。つくられた見通しが、二年か三年のうちに大きく狂ってしまった。私は責任を追及するのじゃございませんよ。そういう、出発点においてもうすでに狂ってしまったものが、これから
昭和
七十年においてどうだ、八十年においてどうだ、九十年においてどうだと、そういうずっと長い先の一つの見通しがあるわけです。いま、始まったばかりでこんな狂ったものが、
昭和
九十年にいったらどのくらい狂うのか。そうこれは常識的に考えられるわけです。だから私は、当然これは改定すべきではないか。でないとすれば——この問題と種苗行政とは全然遊離したものとは私は考えないのであります。いわゆる先の需給の見通しがあって、それに対処して現時点における種苗行政というものは行なわれていかなければならないものではないでしょうか。先ほど申し上げましたように、木を植えた、すぐあしたそれが経済的価値を生むものではないのでありますから、この木を植えた、これが四十年後、五十年後になって初めて生きてくるわけですから、したがって、先の見通しに即応して現時点のこの林業政策を行なっていかなければならない。そして、高度経済成長に伴って非常に需要が
拡大
した。このことはわかります。しかし、経済が成長して国民の生活水準が上がっていく。食糧にいたしましても、米を食べておった人が米を食べないで、パンを食べる人が非常に多くなってきた。また乳製品を食べる人が多くなってきた。魚類にしても、大衆魚でなくて高級魚を需要する人が多くなってきたということになりますれば、その樹種についても、松、杉、ヒノキあるいは外材、ラワン材、いろいろあるわけでございますが、現時点においてはかりに松の需要が非常に多い、しかし四十年後においてはどういう一体樹種の需要が多くなるか。一生懸命米つくれ、米つくれといって
農民
を督励して米をつくらした、何年もたたないうちに米を食う者がなくなって米の需要が減った、米は余ってしまった、そのしわ寄せはだれが一体受けているのか。全部
農民
が犠牲になっておるではありませんか。いま多大の投資をし労力をそこに投じてそうして苗木をつくる、その作業をやっている。その種苗そのものが、四十年後、五十年後の国内の需要に即応しておるかどうか。やはり長期の見通しを立ててやっていかなければこれは狂ってしまうのではないか。でありますから、こういう点から、この長期の見通しというものを、だんだんもう一度検討して、やり直してみる必要があるのではないかということを私は申し上げておる。これはいかがでございますか。
松本守雄
17
○
政府委員
(松本守雄君) いま答弁申し上げましたことにさらにつけ加えさしていただきますが、確かに
情勢
が変わっております。その変わった
情勢
、変わった前提条件というものを置いて計算し直しますと、将来、先の木材需給の見通しも変わってくるはずでございます。ただ、それがどのように変わるのかといいますと、いま非常に大きな、木材の使われ方の変革の時期に当面をしております。また国内
生産
も、頭打ちといいますか、減退傾向にある。これが、その
理由
はどこにあるのかというようなことをまず究明をしてからでありませんと、ただ、いままで繰り返し行なわれたような将来の需給見通しというものをやりましても、ただ数字の程度が変わるだけであると存じます。 そこで、四十五年度には、木材の建築方面その他に使われる
変化
の動向を調査しようという調査費も組んでおります。それからまた、国内の
生産
力、これは物的なといいますか、森林の資源的な
生産
力、これが一体どうなっているのだろう、その後どんなふうに変わっているのか、また森林
所有者
の意向がどうなるのか、切り惜しみがあるのかないのかというようなこともこれはやっぱり調べてみる必要があるではないかということで、四十五年度にはやはり森林の
生産
力調査という調査費を計上いたしております。これは、一県当たり千四百ぐらいの標本を抽出いたしまして調査する大
規模
な調査でございます。あるいはまた、外材についても、アメリカとかフィリピンあたりで輸出
制限
の動きがございます。日本でまあ幾ら需要がふえましても、そういった輸出先の国の資源状態はどうなのか、
制限
運動の将来の見通しはどうなのかということを考えますと、将来の輸入外材の手当て先というものは南方、東南アジアの方面に指向されるというのがいまの
現状
でございます。民間あたりの輸入関係方面も南方のほうに力を入れまして、いま開発輸入というようなことにも取り組んでおります。そこで林野庁、農林省も南方方面の資源的なあるいは輸出力の可能性、またその他木材のまあそういう東南アジア方面は発展途上国にありますから、未開発の森林が多いわけであります、その開発輸入というものの将来の問題点というようなものにつきまして、農林省としても調査してみる必要があるということで同じように四十五年度には調査費を計上しております。そういう調査の結果を待って、長期の見通しもまあ改定をしなければいけないということで一、二年先になるかと思いますが、いずれ改定には取り組みたい、このように考えております。
川村清一
18
○川村清一君 ただいま長官のおっしゃっておられますことは私の主張していることと同じなんで、いますぐつくれといってもこれはたいへんだ。拙速しますというと、いまつくってすぐ来年狂ってしまう。ですからただいまおっしゃったような諸般の事項を調査するそれらの問題の長期の展望の上に立って狂わない一つの計画というものを策定しなければならない。できるだけ十分調査の上に立って作業を早く進めていただきたいというのが私の主張なんでございます。 そこで問題を進めますが、ただいま外材の問題について触れられました。白書にもはっきり書いております。冒頭に申し上げましたように、ただいま日本の林業は外材主導型の林業、木は山にあるのじゃなくて海岸にある。森林は山になくて臨海工業地帯に森林がある、妙なかっこうになっております。この外材輸入の動向を白書によって調べてみますというと、年々増加いたしまして、四十三年度は需要量の四七%、四十四年度は五〇%に及ぶのではないかと、かように私は私なりに考えておるわけであります。このまま推移するならば、五十年度におきましては、六〇%台にまでに伸びていくのじゃないかというようなことも推測されるわけでございます。そして外材依存の日本林業というものは今後さらに
相当
長期にわたって続くのではないかと、かようにも考えられるわけであります。 そこで外材の
情勢
を見ますというと、ただいま長官もおっしゃられましたように、アメリカにおきましては、木材が
価格
的に困難を起こしまして丸太の輸出を禁止している。あるいはフィリピンにおきましては、ラワン材の日本への輸出が激増し、そのことによって山は荒廃したと、このようにも聞いておるわけであります。そして丸太の輸出を禁止したと、こういうようなことも私は聞いておるわけでございますが、そういう
情勢
の中で開発輸出ということが白書に強く打ち出されておる。 そこで私はこの外材輸入という問題につきましては、大きな二つの測面があると考えます。一つは四十三年度において四千三百六十七億輸入しております。これはさらに発展いたしまして、五十年度におきましては八千億程度にまで伸びるのではないかというようなことも一応これは推測ですが、考えられるわけであります。そうしますと、二十億ドルに及ぶ外材の輸入ということになります。ほかの資源でございますと、輸入いたしましてこれをさらに加工いたしまして、製品化して再輸出いたします。ところが木材の輸入はその資源はそのまま国内消費です。もちろん輸出になるものも若干ありますが、ほとんど国内で消費されてしまうものであります。したがって輸入されたその材というものが、さらに輸出ということで財をふやすということには相ならない。このことは国際収支を圧迫し、日本の経済全体に大きな影響を及ぼす、かように考えます。こういう一つの側面がある。 もう一つの側面は、一体外材の輸入というものは、日本のますます今後ふえていく需要に即応して無
制限
に幾らでも一体輸入ができるのかどうかという問題が私はあろうと思うわけであります。アメリカにおいて、あるいはカナダにおいて、あるいはフィリピンにおいて、東南アジア等において、それぞれ自国においてもそれを消費するのでございますから、この経済が高度に成長しておる日本において、ますます需要がふえる、この需要に応じて幾らでも一体外材の輸入が可能なのかどうかという大きな問題が、将来生ずるのではないかということが危惧される、これらの問題に対して、林野庁はどのような御見解を持っていらっしゃるか。 それからただいまの長官のお話しによりますというと、東南アジア等未開発諸国に対しましていわゆる開発をする、そういうことで商社等が
相当
動いておる、こういう御
説明
でございましたが、日本の国のこの森林開発なりあるいはまた
生産
増強がなかなか思うようにいかない、そういう中で一体よその国に行ってそんな思うようなことになりますか。自分の国の中でさえできないことが、外国へ行って、そうして計画どおりやれるなんということは、私はちょっと想像がつかない、現在の国際
情勢
の中においてはできるところもあるでありましょう。しかし国際
情勢
というものは常に流動していっているわけです。もしもそういうことが自由にできるなどと考えていらっしゃるとするなら、いささか甘いのではないかと思うわけでございますが、いま私が申し上げましたようなことについて、具体的にどう対処されていくのか、この点をひとつ明らかにお聞かせいただきたいと、こう思うわけでございます。
倉石忠雄
19
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) お示しのように、私どももいまの
わが国
における木材
事情
につきましては、どうしてもやはり国内
生産
材を主として考えるという方式は一番大事なことだと思っております。したがって、外材に対する依存度をだんだん高くするようなことのないようにまずやらなければなりません。そのために、まあ諸般の施策を講じようとしておるわけでありますが、先ほど
林野庁長官
の申し上げました低開発国、開発途上国におけるそれらの国々と結んで、いわゆる開発輸入というふうなことを、これは各東南アジア諸国にもそういう要望をしている国もありますが、これらにつきましては
わが国
の国内においてやるような施策とは軌を一にして考えることは、なかなかそういうことを考えても無理だと思うのです。したがって、現在存在いたしておりますアジア地域の諸国で、
わが国
で必要とするような用材についてのいろいろな計画を持っておる国もございますので、弾力的にやはりそういうものを過渡的には活用することを考えなければいけまい、またそういうことについて協力をすることは
わが国
にとっても必要だと思うのでありますが、やはり要するに、国内材をできるだけ充足してまいるために全力をあげてやらなければいけない、それが原則ではないかと思っております。
川村清一
20
○川村清一君 大臣のお話はよくわかるわけでありますが、私はそれ以上突っ込んでお聞きしたいと思うわけでありまして、いわゆる開発輸入ということがこの白書に大きく出されておる。その開発輸入ということを、先ほど申し上げましたように、自分の国でもなかなか思うようにできないものが、未開発国に行ってそうしてそのようなものが同じようにできるのかどうか。こういうことをやはり今後の需要に対応する処置として
政府
が大きく考えられておりますが、それもなかなか思うようにいかないし、それから需要はどんどんふえていく、これに応じた
生産
はなかなかできない。大臣は外材依存をだんだん少なくしていく、そのために国内
生産
を上げるように努力していかなければならない、それは当然であってそれはそうしていただかなければならないことは私も同感であります。また、
政府
もそのことに努力するでありましょうけれども、言うまでもなく、先ほどから何回も言っているように、きょう植えたからあしたからその木が使えるものではなくて、植えた木が使えるようになるのには何十年という年数を要するわけであります。ですから、すぐそうなるということにはならぬわけであります。それまでの間は外材にやはり依存していくのですから、その外材が日本の需要に応じて輸入される確たる見通し、そしてまた開発輸入ということを言っていらっしゃいますが、その具体策をもう少しはっきりしていただきたいということです。これは長官ひとつお答えいただきたい。
松本守雄
21
○
政府委員
(松本守雄君) いま国内の需要と供給の関係につきましては、先ほど来お答えを申し上げております。そこで大臣からも答弁がありましたように、原則としては、第一義的には国内の
生産
力を上げるということ、しかし当面そういうことをいたしましてもすぐ即効薬がございません。そこで、しばらくの間は外材に依存する度合いがふえるだろうということでありまして、これをやはりある程度積極的に外材を入れませんと、そこに需要と供給のアンバランスが出てまいります。木材
価格
が高騰いたします。あるいは暴騰と申し上げますとよろしいのか、一応
価格
は上昇いたします。そういうことになりますと、木材にかわる代替品の進出ということにもなりまして、将来の日本林業の安定的な発展を期待するには、
価格
をいまの
価格
水準を飛び越えて大幅に値上げをする、そのような期待をもって日本林業の安定的な発展をはかるということは考えられません。そこで、どうしても外材を入れなければいけないということになりまして、この外材を入れる可能性というものを新年度にも予算をとりまして調査をしようということになっておりますが、ただ外材、外材といいましても、現地の伐採開発の施設設備投資もしなければいけない
事情
もございますし、また積み出しの港湾施設もしなければいけない、あるいはこっちへ受け入れる場合の、輸入する場合の港湾輸入施設をしなければいけないというようなことを考えまして、将来とも無
制限
にどんどん入るだけ幾らでも入るのだということにはならないので、逐次その輸入する輸入ができるようなことを総合的に考えていかなければならないということであるわけであります。そういうことで具体的にというお話でございましたが、大体このように考えております。
川村清一
22
○川村清一君 これ長官、白書を出されてから各新聞社の論評等をお読みになったと思うのでありますが、どの社の論評を読みましても焦点をここに当てております。開発輸入の具体策がちっとも述べられておらないのではないかということを指摘しております。それから木材の需要と
価格
を安定させるという
観点
からは、やがて六、七割に達する外材の供給ルートをいかにして確固としたものにするかという方向で政策を考える必要がある、まあ大体の新聞の白書に対する解説といいますか、論評はこういうふうなところに集中されております。それを私お尋ねをしますが、非常に具体性がございません。これ以上はお尋ねしませんが、ひとつこの点は十分検討していただきたいと思うわけです。 時間がございませんから、もう一、二点お尋ねしてやめますが、大臣が言われますように、外材依存度をできるだけ少なくして、そうして国内
生産
を高めていく、これはわれわれの念願しておるところでございます。国内
生産
を高めるためには何といいましても造林を進めていかなければならない。その造林を進める、しかも優良造林を進めていくという
目的
で、ほんとうに
提案
されておるものと思うわけでございますが、
現状
は民有林におきましては三十六年をピークとして年々造林は減少していっておる、こういう実態でございます。そこで造林が進まないで、むしろ減少の傾向をたどっておる、この原因を林野庁はどのように把握されておるか、その原因をひとつお示しいただきたいと思います。
松本守雄
23
○
政府委員
(松本守雄君) 造林停滞の原因でございますが、まず第一に考えられますのは、伐採がだんだん奥地に移行してまいります。そこで造林に要する経費がかかり増しをしていくような
事情
もございます。一方、労働力も減少いたしております。労働力の面でも造林がしにくくなっておるわけであります。そのような点から造林が停滞をしておるということでありますが、 ただそこに注目しなければいけないのは、造林と申しましても裸地に植える造林がまずございますが、これは戦中、戦後の過伐、乱伐という時代に全国に大
面積
が伐採のまま放置されたということでありまして、この造林をしなければいけないところの造林はおおむねもう完了いたしております。その後出てまいります要造林地というものは、伐採されたあとの造林地ということになります。その伐採をされたあとの造林地に二つございまして、人工造林地が切られた場合のそのあとの造林、これは人口造林地区の伐採が
相当
減っております。したがって再造林というものの造林
面積
も大幅に減っておりますが、一方、今度は天然林、薪炭林というものが伐採されたあとの造林——これを
拡大
造林と林野庁では申しておりますが、幸い
拡大
造林につきましてはそれほど停滞をいたしておりません。そういうことでありましてまあ天然林、薪炭林、
生産
力の低いそういうものを伐採をして体質
改善
をするための人工造林というものは、おおむね所期の計画に近い線でいま
進行
中でございます。 以上申し述べましてお答えといたします。
川村清一
24
○川村清一君 造林が停滞されておる原因を私はお伺いしたのですが、長官のお答えではただ一点明らかになりました。その点も確かに大きな要素であると考えます。しかしそのほかにございませんか。苗木は不足しておらないのでございますか。労働力は不足しておらないのでございますか。それからやはり、何といいますか、非常に造林するためにお金がかかる、そういうこと。いわゆる資金の面から造林がなかなか進まないのではないかと、こういうことも原因の一つではないかと思うのでございますが、これらの点はどうなんでございますか。いわゆる苗木も十分であるし、労働力も十分であるし、造林に要するいわゆる資金の手当てといいますか、そういう点も十分である、また林道の開さくも十分である、こういうことでございますか。大事な要素を私は落としていらっしゃるのじゃないかと思うのでございますが、いかがですか。
松本守雄
25
○
政府委員
(松本守雄君) お答えいたしますが、苗木の点につきましては、ここ数年の傾向といたしまして若干不足をいたしております。 その樹種別の内訳を申し上げますと……
川村清一
26
○川村清一君 そういうのはいいです。
松本守雄
27
○
政府委員
(松本守雄君) それからあとは資金の点でございますが、造林する場合には
土地
と労働力と資金と、この三要素が備わらなければいけないのでございます。
土地
は一応ございますとしまして、あと労働力と資金の面ということになります。労働力は先ほどもお答えしましたように不足傾向にございます。賃金は上昇傾向にございます。資金面でございますが、これは国といたしましても民有林の造林に対して一つは造林補助
制度
がございます。もう一つは、農林漁業金融公庫による低利長期の融資
制度
がございます。この両
制度
を毎年拡充強化をいたしておる状況でございまして、そういうことと合わせまして、今後造林の停滞をしておる原因を逐次排除してまいり、所期の計画的な造林を進めてまいる、このように考えておる次第でございます。
川村清一
28
○川村清一君 私は苗木不足ということも一つの停滞の要素ではないかということをお尋ねいたしましたら、苗木不足はないのだ、まあそのようなお答えを聞きますと、私はちょっと納得できないのでありますが、この
林業種苗法案
というのは、苗木の増産といいますか、こういうことは
目的
でなくて、ただ苗木の質——量は問題でない、いわゆる不良種苗を淘汰して優良種苗をつくるのだ、いわゆる量より質だと、こういう
観点
からこの
法案
が
提案
されているのかどうか。私の理解では量も少ないのだ、したがって
生産
増強するために造林を進めなければならない、それに対処して種苗
生産
を増強して、しかもつくられる種苗は優良な種苗でなければならない、したがって質もよくしていくのだ、量質両面から考えられてこの
法案
が
提案
されておるのではないかと理解しておるのでございますが、そうではないのでございますか、ちょっと私疑問に思いますのでこの点を明らかにしていただきたい。 それから労働力の問題でございますが、賃金が上がってきておるというようなことについてもちょっと納得できませんので、この点をもう一度
説明
していただきたい。 それから資金の面でございますが、これも補助
制度
があることも承知しておりますが、この国三割、県一割の補助
制度
、さらには融資
制度
があることも承知しております。しかしながら低利長期でありましても、とにかく気の長いこれは作業でございまして、何十年たたなければこれは経済価値がございませんから、投資してから価値を生ずるまでには
相当
の年限がかかる。ところが融資
制度
ということになりますと、幾ら低利であっても利子は払わなければならないのではないか。こういったようなことで、伐採前にこの融資を受けた金額に対する償還はできないわけでありますから、こういうもちろん融資は低利長期でございましても、これを完全に償還するまでには非常に時間がかかるわけでございますので、したがって投資効果といったような問題を考えてみるときに、この資金の問題というものをもっと考えてみるか、あるいはまたその
制度
そのものを別な角度から検討して抜本的な何といいますか、解決ということをはからなければならないのではないかというような気もするのですが、この辺はいかがでございますか。
松本守雄
29
○
政府委員
(松本守雄君) 第一点の苗木の点でございますが、先ほど御答弁申し上げましたのは最近若干不足をしておるというふうにお答えをしております。ただその内訳の樹種別には若干過不足の状況が違いますが、四十二年、三年と不足傾向にあるということをお答え申し上げました。それから今回種苗法を
改正
をしようということで御
審議
をお願いするのでございますが、当然、量と質両面を考えてその必要性を痛感するからこそ種苗法を
提案
をすることになるわけであります。 それから労働力と貸金上昇の点でございますが、先ほどもお答えしましたように、不足状況でありまして、賃金も逐年上昇をしております。まあそういうこと。 それから資金の面でございますが、従来の
制度
は二十年据え置き三十年償還ということで造林資金を公庫資金で融通をしておりますが、その金利は低利でやっております。そこで二十年据え置きの三十年償還では少し短いのではないかということもありまして、昨年度手直しをいたしまして、三十五年、五年引き上げております。それから金利も一分の引き下げを実現をしておりまして、今後ともその償還
期間
、金利の問題なお検討をして
改善
をするように努力をしてまいりたい、このように思っております。
川村清一
30
○川村清一君 与えられた時間がまいりましたので、あと一点で質問を終わらせていただきますが、この労働者の賃金でございますが、造林労働賃金が若干上がったというお話でございますが、ほかの労働賃金に比べてどうでございますか。現在一日千円ぐらいではだれも働かないのではないか、少なくとも二千円も出さなければ
雇用
できないのではないか、かように考えます。そこで労働力の不足というものが林業を非常に停滞させておる。いまは造林を問題にいたしましたが、造林だけでなく、いわゆる切り出し、こういうようなものをも考えてみますというと、木林の国内
生産
が停滞して、むしろ減少の傾向にあるということは、これは造林の停滞もありますし、総括いたしまして、林業労働者が非常に不足しておるということが最大の原因ではないかと私は思うわけであります。林業労働者の数が
昭和
三十五年に四十万人おったものが四十三年には二十七万人に減少しておると、こう言われておるのでありますが、いわゆる低い賃金水準、まあ千円程度ではどうにもならぬ。いま町においては大工さんは一日幾ら賃金をもらっておりますか。こういう都会においていろいろ作業されておる労働者の賃金というものは高いわけです。しかも林業労働者のほうは労働条件は劣悪である、環境も劣悪である、労働基準法も適用されておらない、社会保険も適用されておらない、かてて加えてきわめて不安定な
雇用
制度
である、常用ではない、このような
現状
でどうしてこの労働力不足という問題を解消できるか、ここに大きな問題があろうと私は思うわけであります。現在一番大きな問題になっております、日本の国の経済全体から考えてみましてもきわめて重大な問題であると、日本林業を発展させるということはこれはほんとうに大事な問題でございます。そのためには林業に従事する労働力をいかにして確保するかということが、これが最大の問題ではないかと私は考えておるわけであります。したがって農林大臣、
林野庁長官
といたしましては、あなた方がほんとうに日本林業の発展を思うならば、日本林業に従事しておる林業労働者を、労働政策というものをはっきり考えて強力に推進してまいらなければこの問題の根本的な解決は、私はあり得ないと、かように考えております。 さらにこの造林をもっと強力に進めるためにはこの際、この造林資金というものが九九%まで公共的資金導入にたよっておるという現実の姿にかんがみまして、公共的な資金投入による造林
制度
をつくる考えはないか。もっと具体的に言いますならば、以前ありました官行造林
制度
、こういうようなものを復活し、そのことによって後退し、あるいは停滞しておる造林というものに対しまして歯どめをかけて、そして造林
事業
というものをさらにどんどんと発展させていく、こういう政策をとるべきではないかと思うわけでございますが、この点についての御見解を承りまして私の質問を終わります。
松本守雄
31
○
政府委員
(松本守雄君) まず、第一点に対するお答えでございますが、労働力対策についてでございます。これは農林省としましても重点施策の 一つに考えておるわけであります。従来からもやっておりましたが、特に新年度からやろうとしておるものにつきましてお答えをしてみたいと思いますが、その第一が林業労働者の通年就労促進対策でございます。これは
一定
期間
以上働いた者に対しまして、それを
雇用
しておる森林
組合
に対して町村、県が助成をしております、そういうものに対してさらに国が助成をしようという、これは失業保険の当然適用に持っていくための条件整備という意味で新年度からこれをやることにいたしております。 それからもう一つは林業労働力の
流動化
対策、地域間を
流動化
をして通年
雇用
ないしは就業日数の延長をはかろうということで、これに対しましても調査と
協議
機関に対しまして、助成をしようということを考えて、要するに造林施策その他を進めます場合に、どうしても今後考えていかなければいけないものの一つとして、労働力対策を充実をしていこうということでございます。 それから、官行造林の復活に対してでございますが、これは、官行造林
制度
は大正九年に制定された法律でございまして、それがずっと戦後にまで及んで、戦後
改正
をされまして、水源造林というものに官行造林の
内容
が変わっております。その水源造林を
昭和
三十六年から森林開発公団が受けてやっております。森林開発公団の造林もおおむね順調にいっておるわけでありますが、先ほど来お話が出ました
土地
と労働力と資金という三条件について考えますと、
土地
は一応あるとしまして、労働力、これも先ほど申し上げました問題点でございます。あとの資金面でございますが、これも国有林からの特別積立金と、それから財投資金両方でもって公団造林を進めております。なお、各県では公社造林というものも進めております。そういうものを今後とも強化補完をしていって、当面官行造林の復活というものはいま考えておらない状況でございます。
園田清充
32
○
委員長
(
園田清充
君) これにて午後二時三十分まで休憩いたします。 午後一時三十二分休憩 —————・————— 午後二時五十三分開会
園田清充
33
○
委員長
(
園田清充
君) ただいまから
農林水産委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続いて
林業種苗法案
を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。中村君。
中村波男
34
○中村
波男
君 最初に、林業種苗法の大要について若干お尋ねしたいと思うわけです。 本案が
提案
されました最大の
理由
は、幼齢結実や凍霜害の多発にあると言われておるわけでありますが、まずその実態を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
松本守雄
35
○
政府委員
(松本守雄君) お答えいたします。 凍霜害の被害の実態でございますが、まず第一は、凍霜害について例をとりますと、その年の気象状態によって変動がございます。
拡大
造林が開始されました
昭和
三十年ごろには、せいぜい数千ヘクタール程度の被害でございましたが、最近では例外的な年は別にしまして、いずれも一万から三万ヘクタールくらいの被害が出ておる。これが凍霜害の被害の状況でございます。
中村波男
36
○中村
波男
君 いまお聞きした中に幼齢結実、この状況はどうなっておりますか。
松本守雄
37
○
政府委員
(松本守雄君) 失礼しました。 幼齢結実につきましては、従来、林木の種が二十年から二十五年で実を結ぶというのが普通でありましたけれども、最近では造林がふえておるということと、それからその苗木の移動が激しいというようなこともございまして、林野庁が四十四年に調査した結果では、二齢級で約半分ぐらいの結実を見られるということでありまして、まあ苗木として幼齢結実を見るのは、一応不良の苗木であるか、その植えた場所が不適地へ植えたか、まあいずれかが原因として考えられるような状況になっております。
中村波男
38
○中村
波男
君 そこで、この凍霜害の被害が出るということと、いわゆる種苗の不良なものとの関係というのはあるのかないのか明らかにしていただきたいと思います。
松本守雄
39
○
政府委員
(松本守雄君) まあ種苗の不良というものを分析いたしますと、まずそのほんとうの種そのものが不良である、遺伝子そのものが不良であるということ、それからもう一つは、ある産地系統の苗をその系統が適するところへ植えられておればいいのでございますが、それ以外の
土地
へ植えられた場合には成績不良になるということでありまして、この凍霜害についてはあたたかいほうの、まあ大ざっぱにいいましてあたたかいほうの産地系統の苗木を寒いほうに持っていくと凍霜害の被害にかかりやすいという傾向はございます。
中村波男
40
○中村
波男
君 凍霜害の原因の中にいわゆる適性でないものが違った地域に植えられるということからくる凍霜害ということはわかりますが、具体的にですね、今度の種苗法でそれらを
規制
するという、そういう実態を除去するという具体的な
措置
というものはどのようになされる考えでありますか。 〔
委員長
退席、理事
高橋雄
之助君着席〕
松本守雄
41
○
政府委員
(松本守雄君) 今度の
改正
法の中ではまずその産地品種系統をはっきりさせようということで母樹林の指定
制度
、言いかえれば採取源を確定するということとそれから、それからつくられた苗木の系統を山へ出すまでにはっきりさせるということで苗木に対する表示
制度
を考えております。で必要とあれば県知事がそれを証明をするという
制度
、それからもう一つは、そのつくられた苗木の配布先を、まあ適当な地域へ配布するように
制限
をするという、この三つの方式で一応考えておりまして、凍霜害、まあこれはこの
法案
にはございませんが、一方、育種
事業
のほうでは耐寒性、凍霜害に強い品種をつくり出そう、見出していこうという研究も今後は進めなければならないというふうに考えております。
中村波男
42
○中村
波男
君 そこでですね、採取源の
政府
計画として四十五年以降に四万三千ヘクタールにする予定だということになっておるわけでありますが、その内訳は、特別母樹林は千二百ヘクタール、これを三カ年計画で整備する、普通母樹林は四万二千百ヘクタールを四カ年計画で整備すると、こういうまあ農林省において計画をお立てになっておるようでありますが、しかし従来の実績から見まして、三カ年または四カ年でこの目標を達成するということは、私は容易ならざるものがあるんじゃないかと、こういうふうに考えておるわけであります。したがって、いま申し上げましたような年次計画をお持ちなのかどうなのか。お持ちであるとするならば、それを達成する具体的な計画、また、達成できる見通し等を具体的に明らかにしていただきたいと思うわけです。
松本守雄
43
○
政府委員
(松本守雄君) 年次計画は別にございませんが、一応特別母樹林は三カ年計画、それから普通母樹林は四カ年計画で指定を終わろうということを考えておりまして、一方、おおむねこういったような優良な系統の山はどこにあるのかという見当はある程度ついてはおります。といいますのは、これは三十一年につくられました育種
事業
指針という長官通達がございます。そこで、一級採種林、二級採種林——これは旧種苗法の母樹林とは違いますけれども、育種のほうで見当をつけてはおりますのが、ある程度の
面積
、ございます。そういうようなものも勘案いたしますと、三年ないし四年で指定が終わるという大体の根拠もあるわけでございます。
中村波男
44
○中村
波男
君 そうしますと、いま私が指摘をした数字というものについては計画は持っておらない、ただ指定を終わるという計画のみである、こういうふうに理解してよろしいのですか。
松本守雄
45
○
政府委員
(松本守雄君) いや、計画は持っておるわけであります。その計画は、特別母樹林について申し上げますと、国有林で八百、公有林で百、私有林で三百、合計で千二百。普通母樹林のほうは、国有、公有、私有、それぞれ申し上げますと、六千六百、八千二百、二万七千三百、合計しまして四万二千百ということでございます。 〔理事
高橋雄
之助君退席、
委員長
着席〕
中村波男
46
○中村
波男
君 よく勉強しておりませんが、この
法案
によりますと、特別母樹及び特別母樹林を除きます——いろいろ名前がついておりますが——母樹林については、今回の法
改正
によって、
届け出
制にいたしたのであります。実際問題として、
届け出
制ということによって、長期に優良な種苗を確保するという計画を立てるといたしますと、これは私は不安定きわまりない状況の中に置かれるというように思うわけです。それに関連いたしまして、特別母樹、母樹林については、
政府
が
一定
の補償を与えまして、したがって、これを確保するという予算的な裏づけにおける
措置
が行なわれておりますが、
届け出
制のものについては、具体的にはそういう考え方が明らかになっておらないわけであります。したがって、これを今回二通りに分けたという
理由
と、いま申し上げましたように、
届け出
制によって
目的
を達成する上に支障がないのかあるのか、こういう点をひとつ
説明
を願いたいと思うわけであります。
松本守雄
47
○
政府委員
(松本守雄君)
届け出
制のお話がございましたが、この
改正
法では
届け出
制でなくて、特別母樹林のほうは農林大面が指定をいたしまして、それから普通母樹林のほうは県知事が指定をいたします。ただ、その農林大臣が指定するものは、原則として禁伐である。それで禁伐に対して通常生ずべき損害を補償するというたてまえ。それから県知事の指定しますものは禁伐になっておりません。一応、森林計画によって伐採するものは伐採して差しつかえない、伐採するときに
届け出
てくれという仕組みになっております。これは何といいますか、絶えず、伐採でその母樹林が減りました分だけはあとでまた新しく追加をしていこうということで、循環をする仕組みに考えております。
中村波男
48
○中村
波男
君 そこで、従来の実績から見て、特別母樹林に対しますいわゆる補償ですね、これは予算的に見まして、大体一年間どれぐらいの費用がかかっておりますか。
松本守雄
49
○
政府委員
(松本守雄君) 毎年二千万程度の予算でございます。
中村波男
50
○中村
波男
君 こういう二つの方法を考えられた背景の中に、やはり大蔵省が
相当
予算的な制約を加えてきた、しかたがないからこういう方法で対応されようとしておるというふうに聞いたのでありますが、そういう事実はありませんか。
松本守雄
51
○
政府委員
(松本守雄君) 私の聞いておりますところではそのような事実はございません。
中村波男
52
○中村
波男
君 いまさら長官が——まあ御存じないということならば、そういうことがなかったというふうに理解してよろしいかもしれませんが、もちろん、そういういきさつがあっても、そのためにこういうふうにしたという答弁は、これはなさらないのがあたりまえだとも思いますが、私はこれだけ、いわゆる種苗で不良なものが出たために、凍霜害やあるいは幼齢結実が出ておる事態からいいまして、何としても、種のよいものを確保するという立場からいいますならば、やはり財政的な投資が多くなりましても、従来のように特別母樹林
制度
を多くいたしまして、 〔
委員長
退席、理事商橋雄之助君着席〕 そうして、やはり完全にりっぱな苗木をつくる母体である母樹林を確保するということが望ましいのではないか、そういうふうに考えて質問をいたしたわけでありますが、そこで、法二十二条の関係において、少し質問をしてみたいと思うのでありますが、「
生産
事業
者は、種穂を採取するときは、指定採取源から採取するように努めなければならない。」と種穂の採取についての努力義務
規定
を設けておるわけであります。これは全くの努力目標であって、指定採種林から採取をしなければならないという、こういう
規定
はどこまでも努力でありますから、したがって、そういうところからしり抜けがありまして、いままでの実績からかんがみて種苗法の
改正
をなされようといたしておりますが、これではまたまた従来のような種苗が出回る危険があるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、その点はいかがですか。
松本守雄
53
○
政府委員
(松本守雄君) 確かにそのような考え方もできるかもしれませんが、一応この努力義務ということにしましたのは、かりにこれをはっきりと禁止をすると、採取源以外からとるのを禁止するというふうにしましても、その種のとれる木は方々にあるわけでございます。今回指定をしました採取源はその一部でございまして、手近いところに種のとれる木がある、それを取り締まる技術的な方法があるかないかということなども考えまして一応努力義務ということにしたのでございますが、もう一つは、一方はこの二十三条の種穂の採取の禁止条項でございまして、特定の悪い林分からは種をとらないように、これは禁止義務を考えております。そういうこととあわせ考えまして一応努力義務と
規定
をした次第でございます。
中村波男
54
○中村
波男
君 どうも長官の御答弁を聞いておりまして納得がいかないわけでありますが、採取源以外にもよい種の母樹林があるのですから、したがってそちらからとることもやむを得ないんではないかということでありますが、私は少なくともこの法律の
改正
は、いわゆる種苗業者が苗をつくります種というのは、
政府
のいいますところの指定した母樹なり母樹林からとることを原則としておるのではないかというふうに考えておったんでありますが、そうではないわけですか。
松本守雄
55
○
政府委員
(松本守雄君) そうではないわけでありまして、ただ、採取源からとったものないしはそれ以外からとったもの、いずれにしましても表示
制度
を義務づけておる。この苗木はどこどこからとったものということをやっておりますので、こういう
制度
が逐次定着をしていく中で、今度は需要者のほうでそういったこの業者の
生産
した苗木は優良な苗木であるという評価が表示
制度
なり証明
制度
で一応確保されてまいるわけであります。一応こういう程度の
規定
で当面やってまいりたい、このように考えているわけであります。
中村波男
56
○中村
波男
君 一そうわからなくなるわけでありますが、「指定採取源から採取するように努めなければならない。」、こういう義務
規定
はありまするけれども、努力目標として法文に一条設けているのでありますから、したがって指定採取源以外からとることを除去することがこの種苗法
改正
の重点になっているというふうに思うわけであります。もちろん経過
措置
として指定採取源を二年や三年に全量確保するということは困難なこともわかりますので、経過
措置
として考えられるのであるならば理解できまするけれども、私は完全なやはり優良な種苗を確保するというたてまえから言うならば、指定採取源というのを
拡大
整備していくということが必要ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、いかがですか。 〔理事
高橋雄
之助君退席、
委員長
着席〕
松本守雄
57
○
政府委員
(松本守雄君) 繰り返すようになるかもしれませんが、一応法二十二条、二十三条それから表示、証明
制度
、そういった
制度
で優良な種穂の流通を確保していくということを考えておりまして、——もう一つ予算
措置
としまして公営種子採取
制度
をとっております。これは各県が直接ないし監督をしまして種をとるわけであります。おおむね需要量の八割くらいはその県営の採取された種子で
生産
業者の種がまかなわれるということもございまして、禁止
制度
という強い線はとり得なかったし、またとる必要もないであろうということでございます。
中村波男
58
○中村
波男
君 優良種苗の供給を確保するために「森林
所有者
、
生産
事業
者及びこれらの者の
組織
する団体に対し、必要な助言、指導その他の援助を行なうよう努めるものとする。」という第三十条の
規定
がありますが、その「指導その他の援助」というその他の援助は財政的な援助をさすのではなかろうかと思うのでありますが、この財政的な援助の具体的な
内容
を予算
措置
についてお伺いをしておきたいと思います。
松本守雄
59
○
政府委員
(松本守雄君) 具体的な
内容
を全部申し上げますとたいへんでありますので、おもなものを申し上げますと、予算
措置
としましてまず先ほど申しました公営種子採取に助成をいたしております。それが一つ。 それから五人以上の苗木
生産
を協業化していくといったような場合にその協業体に対しまして、施設の拡充に要する経費を補助するということ。 それからいま逐次
進展
しておりますのが育種
事業
でございますが、その育種
事業
の中で国立の育種場があります。そこから出る原原種的な苗、それを県の採種圃園に供給する、また種子を貯蔵するという必要がある場合には、国の持っております貯蔵施設を
利用
させるというようなこと、おもなものはその程度でございます。 それから今度新しくこの法
改正
に伴いまして幾つかの採取源指定に要する経費とか、PRに要する経費とか、指導に要する経費を新規に組んでおります。
中村波男
60
○中村
波男
君 私は本来苗木育種
制度
というのは国営もしくは県営等で苗木を計画的につくって供給することが最も従来出ております弊害を除去するためにも必要な方法ではないか。たとえて申し上げますならば、需給調整
協議
会などで需給調整についていろいろ
協議
が行なわれておりますけれども、しかし完全な過不足をなくする方法というのはとられ得ないわけでありますから、そういう点から言いましても公的な機関でやはり造林計画に合わせます種苗の確保ということを目ざすことが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。今回いただきました資料によりましても、県営圃場等は、三十六年でありましたか、これをピークにしまして、いわゆる減反をいたしておるような実態があると思うわけであります。したがって現在いわゆる林野庁の国営の種苗場の苗木というものは、国有林に植林をされますものを完全にまかなっておるのかどうか、また、民間に多少払い下げておるような実態があるのかどうか、その状況について御
説明
をいただきますと同時に、いま申し上げました苗木を計画的に直接造林者に供給するという立場で国営の種蒔場等をさらに
拡大
するというようなことの是非についていかに考えていらっしゃいますか、第二にお樹いしておきたい。
松本守雄
61
○
政府委員
(松本守雄君) 国有林は苗を自家
生産
いたしておりますが、必要とする苗木は全部はまだ
生産
はしておりません。したがって毎年不足をしておりますので、不足分は民間の優良苗木を購入する、不足分を補っていくというたてまえをとっております。それから一方、国有林でもやはり余る場合もございます。その余る場合で、民間で不足をしておるという場合には民間へ供給する場合もございます。 そこで、将来の方向として国営なり公営
生産
というものをふやすべきかどうかという問題でございますが、いまそういった苗木の
生産
地は全国にばらまかれておるわけであります。一方、その主産地を形成しておるところもございます。そういうところは過疎地帯でもあるわけでございます。そういうことで、いま民間に二万四千人ほどの
生産
者がございますが、その
生産
者の実態を勘案いたしますと、将来の方向としてこれを公営にするとか国営にするとかいうことよりも、いまそういうものに従事をしておる民営のものを質的にも量的にもより拡充をしまして、それによって必要とする苗木を確保していくということがよろしいのではないかというふうに考えております。
中村波男
62
○中村
波男
君 いまの御答弁で国有林への植林の苗木が不足しておるときには民間から買い上げておるということでありますが、余ったときは民間へ出しておるということでありますが、その数字をできるだけひとつ詳しく
説明
をしていただきたいと思うわけです。
松本守雄
63
○
政府委員
(松本守雄君) 国有林で全体としては不足、プラス・マイナス全部合計してみますと不足でございます。ここ数年ずっと不足でございます。地域的には余るのもございます。造
林保護課長
に答弁させます。
塩島厚一
64
○
説明員
(塩島厚一君) お答えいたします。 三十九年は三千百万本それぞれ国有林が不足でございます。四十年は六千六百万本、四十一年は五千八百万本、四十三年度は四千万木、こういうことに相なっております。
中村波男
65
○中村
波男
君 もちろん国営、県営等の種苗場がふえることによって民間の種苗業者を圧迫したり事実上そこに働く人たちが職を失なうというような、そういう急激な
変化
に引き込むような政策な私たちは要求をするわけではありませんけれども、現実問題として
相当
不足をしておる上から言いましても、少なくとも国有林に植林をする苗木ぐらいは国有林で確保するというこの基本に立ってこの
事業
を進めていくことが、今日植林の不足を補なう最も効果のある手段として考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思うわけでありますが、これは国有林の背景との関係等もあると思いますので、農林大臣からひとつ私の申し上げます考え方について
政府
として今後どのように対処されようとするのか、御所信を承っておきたいと、こう思うわけです。
倉石忠雄
66
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) 今日の状況を見ますと、将来全部が自給でまかなうかということにつきましてはなかなかむずかしい問題と思いますが、そういうことに当然努力すべきであるということは必要であると思います。
中村波男
67
○中村
波男
君 現在苗木は、一年間の必要量といいますか、その反対に
生産量
とも言えるかもわかりませんが、十二億本くらいだと聞いているわけですが、そこでこの
価格
をきめますについては、需給調整
協議
会等でいろいろ
協議
をいたしまして、庭先
売り渡し
価格
、手数料等をきめておるというふうに承っておりますが、
価格
形成の今日のルールについて詳しく御
説明
を願いたいと思うわけです。
松本守雄
68
○
政府委員
(松本守雄君) いま各県で苗木の需給調整
協議
会というのを持っております。それの構成は需要者団体として森林
組合
、それから供給者団体として県の種苗協同
組合
、あるいはこれは任意団体もございますが、種苗関係団体、両者の話し合いできめておるのが普通でございます。その間に県が立って調整をするというたてまえをとっておりますが、その
価格
形成のルール、原価主義でいくか、いわゆる市場
価格
ということでいくかは、しかく明確になっておりませんが、おおむね諸物価の上昇その他を考えまして、前年幾らだったから本年は幾らぐらいにしようというのを
生産
者側と需要者側と
協議
をしてきめておるのが一般でございます。
中村波男
69
○中村
波男
君 参考までに、ここ数年の苗木の値上り傾向というものを数学的にひとつ示していただきたいと思うわけです。それから大体四十四年度で、杉、ヒノキ等の代表的なものでけっこうでありますが、一本幾らくらいであったかというのもお願いいたします。
松本守雄
70
○
政府委員
(松本守雄君) これは比率が出ておりませんが、たとえば杉について申し上げますと、
昭和
三十七年の春植えが六円二十三銭という統計数字が出ております。それが四十四年の春植えでは十一円二十五銭になって、おおむね二倍近い値上りになっております。
中村波男
71
○中村
波男
君 次は森林
組合
、これは
連合会
が中心だと思いますが、苗木のあっせんをほとんど各府県ともやっているのではないかと思うのです。苗木のあっせんをやります以上、手数料というものをとっておると思うわけです。その実態を調査はしてありますか。
松本守雄
72
○
政府委員
(松本守雄君) まあ県によって違うわけですが、概略数字で申し上げますと、県森連の手数料が五%、それから単位森林
組合
の手数料が一割から若干上回っております。
中村波男
73
○中村
波男
君 これはほとんどトンネル式に書類の上で数字の上で動かすにすぎないわけでありますが、かりに民有林関係が九億木といたしますと、いまの御報告では、県が五%、それから
市町村
の森連が一五%ということでありますと、合わせて二〇%ということでありますが、ばく大な金額になると思うわけです。したがって、こういう手数料というのが適正妥当な手数料であるのかどうか、これは森連のみならず、全購連とか全販連とかの取り扱い物資についても同じような見方ができるわけでありますが、そういう点は
政府
としてどのようにお考えになっておられるか、お伺いしておきたいと思うわけです。
松本守雄
74
○
政府委員
(松本守雄君) お答えをいたしますと、森林
組合
系統はただ口きき料だけではございません。実際に各苗畑
生産
者のところに行って、苗木のいいものであるかどうかというようなことを調査をいたします。また、各
組合員
、自分の森林
組合
の
組合員
が、来年度あるいは再来年度あたり植えるのがおよそどのくらいになるだろうというようなことも森林
組合
が調査をいたしまして、その必要量をはじき出すこともいたしております。また、多くの場合森林
組合
が苗木
生産
者に対して代金を前払いをしておる場合もございます。あるいは造林補助金が出るまでの間、森林
組合
が立てかえ払いをしておるようなこともございまして、そこに金利もかかるというようなことで、五%とか一〇%以上とることがそれほどとり過ぎだということには考えておりません。
中村波男
75
○中村
波男
君 これは見方、考え方で議論の分かれるところだと思いますが、たとえて申し上げますと、九億本民有林の関係を全部森連が扱っておるとは思いませんので、森連扱いを明らかにしていただければ参考になると思うのでありますが、二〇%の手数料をとるということになれば、一木十円といたしましても十八億の金額にのぼる。そういう膨大な金額が手数料としていわゆる植林をするものにかぶさるわけでありますので、私は少しそういう点では手数料が多過ぎるきらいがあるのではないか、こういうふうに考えて
政府
の見解をただしたわけであります。いま
林野庁長官
の御答弁では、立てかえ払いもするし、調査もするので、その程度はやむを得ない、言いかえれば妥当であるという答弁でありますが、これは見解の相違かもしれませんので、これ以上この問題についての質問は続けませんけれども、問題は、よい帝をできるだけ安く実際に造林林家に提供するという立場でこの是非についても十分ひとつ御検討をいただきたい。希望の意見を付しまして次の質問に移りたいと思うわけであります。 聞くところによりますと、この法律が
改正
をされました暁において、森林
組合
は、登録はするけれども全苗連には入らなくてもいいように話し合いがついておる、これは金森連の新聞に報通されておったのでありますが、そのいきさつと、そういう約束がなされておることについての経過の御
説明
を承っておきたい、こう思うわけであります。
松本守雄
76
○
政府委員
(松本守雄君) この法律では、
生産
者団体について特に
規定
をいたしておりませんが、聞くところによりますと、この登録
制度
をとると強制加入をさせられるのじゃないかという不安が苗木
生産
をしておる森林
組合
にあったようでございます。当然これは強制加入の団体というようなものはいまの時代にほとんど普通の場合にはあり得ないわけで、加入も自由、脱退も自由ということでありますので、おそらく森林
組合
系統の苗畑の関係は
生産
者団体に入らないのではないかというふうに観測をいたしております。
中村波男
77
○中村
波男
君 いや、その限りではそのとおりだと思いますし、質問する必要はないわけでありますが、そういう点について林野庁の長官というか、林野庁が中に入りまして、森林
組合
との中で話し合いをつけられておる、こういうことが新聞に載っておったのでありまして、そこまで林野庁がタッチする必要のない事柄ではなかったかというふうに思いましたから質問をいたしたわけでありますが、そういう事実は全くありませんか。
松本守雄
78
○
政府委員
(松本守雄君) いろいろ流されておるうわさといいますか、そういうものを耳にしますと、
生産
者団体のほうは登録
制度
によって
組合員
をふやしていこうというような気持ちもあったようでありまして、そういうことをある程度流しておった傾向もございます。それから一方、森林
組合
のほうのそれに加入させられるのは困るという意向も聞いておりまして、そういうことは種苗行政上もうまくないので、強制加入とかなんとかいうことはやめたらどうだということで、事務当局でその間に入ったことはございます。
中村波男
79
○中村
波男
君 この森林
組合
等と種苗団体となわ張り争い的なことをやりますことは、種苗行政の上にも種苗の流通の上にも混乱を引き起こす以外利点はないわけでありますから、したがってひとつそれらの点については、林野庁が行政指導でそういうような混乱をなくするために今後一そう配慮をしていただきたいというふうに思うわけであります。 もう一つ
法案
につきましてお聞きをしておきたいと思っておりますのは、附則の第六で、いわゆる検討事項として「
政府
は、この法律の施行後の諸
事情
の推移に応じ、
生産
事業
者の登録に関し、
事業
協同
組合
、森林
組合
その他の者の
組織
する団体等による登録
制度
の導入等につき検討するものとする。」、これは
法案
としてこういう検討事項を附則に入れるということは、私の知る
範囲
では異例な条文ではないかというふうに思うわけでありますが、ただいま質問をいたしました事項に関連をしてこういう条項が入ったのではないかとも思われますので、この検討事項の
内容
なり、これをあげられました
理由
なりについて詳しくひとつ御
説明
をいただきたいと思います。
松本守雄
80
○
政府委員
(松本守雄君) この検討事項を附則で
規定
をいたした
理由
でございますが、将来の諸
事情
の推移いかんによりましては、種苗
生産
者団体あるいは
事業
協同
組合
と、また森林
所有者
団体、これは森林
組合
等でございます、その他の者によって構成される団体による登録
制度
の導入を考えたらどうだという考え方もございました。そこで、法律上その必要があるならば、
情勢
の
変化
によってはそれを検討しようという意味でありまして、そういう検討
規定
の例はほかにもあるようでございます。例を申し上げますと、石油業法、漁業災害補償法ですか、そういうのにもそういう例があるようです。 それから検討事項の
内容
でございますが、当面いますぐそういう事態が来るとは思われませんので、現段階ではその検討事項の
内容
を考えておりません。
中村波男
81
○中村
波男
君 次は第二十五条の「外国産種苗等に対する
措置
」という条項でありますが、「外国産の劣悪な種苗(であって、第二条第一項の政令で
定め
る樹種以外の樹種に係るものを含む。以下この項において同じ。)が輸入されることにより、国内における造林の適正かつ円滑な推進についての著しい支障又は国内における林業の用に供される他の樹木の形質若しくは生育に対する著しい悪影響を生じ、又は生ずるおそれがある場合において、必要があるときは、種苗の輸入に関し、これらの事態を克服するため
相当
と認められる
措置
を講ずるものとする。」と、こういう外国種苗等に対する
措置
条項を
規定
いたしておりますが、これは現時点において外国の劣悪な種苗が輸入されておるような実績があるのかないのか、これは将来を見越した
規定
であるのかどうかという点について、これを設けられました経過と、今後の見通しについて御
説明
を願いたいと思います。
松本守雄
82
○
政府委員
(松本守雄君) 輸入の実績でございますが、劣悪なものが輸入されたことはございません。種が輸入されておる実績はございます。
中村波男
83
○中村
波男
君 品種と量等についてわかっておりますか。
松本守雄
84
○
政府委員
(松本守雄君) 四十三年の実績を申し上げますと、総数で九百七十四キロございます。おもなものは、ストローブマツ三百六十一キロ、テーダマツが九十五、スラッシュマツが八十、カラマツが少し多くて三百ございます。
中村波男
85
○中村
波男
君
法案
の具体的な
内容
についての質問は以上でやめまして、林政一般についていま少しお尋ねを申し上げたいと思うわけでありますが、午前中の会議におきまして同僚の川村委員からも指摘をいたしましたように、逐年国内産の供給が停滞を来たしましたために木材の輸入が増大をいたしておる。そこで私は、林業政策の特質は時間と経費のかかることにあると思うわけであります。言うまでもなく、木を植えてから四十年、五十年たたないと商品価値が生まれない。数十年先の木材の需給なり木材経済を的確に見通すということは、これは私は困難なことであろうと思うわけであります。といいましても、川村委員も指摘いたしましたように、
政府
が
昭和
四十一年四月に発表いたしました「木材の長期需要と供給の見通し」を見ますと、国内供給量というのは、
昭和
五十年の七千万立方メートルを最低に、六十年には九千万立方メートル、そして九十年には一億三千万立方メートルの供給が可能である。しかしながら、実際にはこの計画とはほど遠いものが今日ありまして、そのことが林業の危機様相を深めておるというふうに思うのであります。 したがって農林大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、これではいけないから今後いろいろ政策を進めるのだというふうにいま御答弁になっておりまするけれども、この問題はこれはただ木材の供給不足というだけではとどまらない問題でありまして、貿易
構造
の上からも、物価の上昇を押えるという意味からいいましても、また国民のレジャー、保健の上からいいましても、山の政策というのはもっともっと積極的に対策を立てて、政策と同時に予算的な裏づけをいたさなければならない重大な時期に来ておるというふうに思うわけであります。従来大体漁業とか林業については、農林大臣の所信表明を見ましても一行半か二行で片づけてあったんでありますが、ことしは五、六行をさいて少し所信演説の中に述べておられる。まあそれだけ見ましても、多少意欲的なことはうかがえまするけれども、予算も伸びておりまするが、しかし、物価高騰を相殺するならば、具体的に
事業
量はどれだけ伸びるか、こういうふうに考えてみますと、この危機を乗り切る四十五年度の林業予算であるとは考えられないのであります。したがって、ひとつ私の指摘いたしました事項について、まず農林大臣の所信を承り、具体的に質問してまいりたい、こう思うわけであります。
倉石忠雄
86
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) この問題は私どもにとりましてもたいへん重大でもあり、また困難を痛感いたしておる一つの大きな問題でございます。先ほど来いろいろお話し合いになりました中でも、こちらからも申し上げておりますように、経済成長の発展に伴いまして、年々の木材需要が初め予想いたしておりましたよりも急速に伸びておる、しかもいろいろな国内資源的な制約等によりまして、思うにまかせない状態であることは御指摘のとおりでありますが、やはり
わが国
といたしましては、素質を持っておる国でありますので、これからできるだけ諸般の施策を講ずることによりまして、森林自給を高めていくという、これが私どもの考えております第一の段階であります。しかし、それはいまの経済成長がどの程度に、どういう経路で継続してまいるかということも大きな影響があるかもしれませんが、それに加うるに、やはり先ほどお話申し上げましたような開発輸入というようなことも十分考えてまいらなければならぬと思うのでありますが、何にいたしましてもやはり造林、林道等にうんと力を入れまして、国内自給度を高めてまいるということに林業政策としてはあらゆる努力をしてまいるのが第一に必要なことだ、こう思っております。
中村波男
87
○中村
波男
君
政府
の
説明
資料を見まして、私ははなはだ遺憾に思いますのは、造林が停滞をしておる。特に、民有林の停滞についてはそれ
相当
の原因と
理由
があることはわかるのでありますが、国有林が民有林よりも造林率というのが低くなっておるという、このことはどう考えても理解ができないわけでありますが、この点について、なぜ国有林が造林がうまく進まないのかという点について、具体的にひとつ
説明
を願いたいと思うのであります。
松本守雄
88
○
政府委員
(松本守雄君) 国有林が民有林に比べて造林の人工林率が低いという原因でありますが、その第一は立地条件でございます。民有林に比べて条件が不利なところに国有林は所在をしておるということ。それから第二の原因は、森林法あるいは自然公園法その他によりまして法律的な
制限
を受けておるところが国有林には多いのだということが第二点でございます。それから第三点でございますが、これは古い話でありますのでいまの原因ではございませんが、大正の終わりから
昭和
の初めごろ、国有林では天然
更新
補整——人工林よりも天然
更新
補整で施業したほうがよいのだという論議が盛んに行なわれまして、ある時期、人工造林がうとんぜられたという時代がございました。それがいまの造林木でいいますと、ちょうど四十年生前後に当たるのでございます。
中村波男
89
○中村
波男
君 国有林の
事業
の財政が悪化しておるというのが最近また言われておるようでありますが、その実態をこの
機会
に明らかにしていただきたいと思います。
松本守雄
90
○
政府委員
(松本守雄君) 財政の最近の状態を申し上げますと、これは四十三年、四年について申し上げます。その収支差額と損益両方について申し上げます。四十三年は二百十四億と、百九十七億でございます、これは収支差額と損益それぞれ。それから四十四年度は十二億と二十三億と激減をいたしております。四十四年度は見込みでございます、まだ決算が出ておりませんので。
中村波男
91
○中村
波男
君 四十三年度に比べて四十四年度は見込み数字ではございまするけれども、急激な減少を来たしておるわけでありますが、その原因は何にあるのでありますか。
松本守雄
92
○
政府委員
(松本守雄君) 原因の第一は木材
価格
の停滞でございます。それから原因の第二は人件費その他の上昇でございます。原因の第三は逐次国有林の仕事が奥のほうへ入って、条件的に悪いところへ入っていくということ、以上でございます。
中村波男
93
○中村
波男
君 そこでいま国有林の伐採関係でありますが、生長率と伐採量との関係を明らかにしていただきたいと思います。
松本守雄
94
○
政府委員
(松本守雄君) いま手持ちの資料がございませんので、あとで届けさしていただきます。
中村波男
95
○中村
波男
君 資料がないという答弁でありますが、それぞれ担当官がいらっしゃって、そのような数字がいまここで御答弁ができないというのはどうも理解できませんが、どうしてもないということならばまたあとから御報告いただきたいと思う。 大ざっぱに言いまして生長量の二倍くらいの伐採が最近行なわれておる。それにしてなお国有林財政が悪化をしていたということになりますれば、この調子で行くならば、今後国有林財政というのはパンクしてしまうのでありますが、これを今後どう乗り切り対処されようとするのか。これは重大な問題でありますから、明らかにひとつしていただきたいというふうに思うわけです。
松本守雄
96
○
政府委員
(松本守雄君) 生長量に対して二倍くらいの、二倍までは行っておりませんが、それに近い伐採が行なわれておるのも事実でございます。今後その財政状態の悪化にどのように対処するかということでございますが、いままでも検討はしておりましたことでありますが、今後も検討していかなければならないものとして、国有林の今後の徹底的な
合理化
と申しますか、能率化と申しますか、そういうものをいま検討を続けておるところでございます。それからまた、独占
事業
ではございませんので、木材の、
生産
された産物の値上げを一方的にきめるということもできないわけであります。どうしてもこれは
合理化
を進めていかなければいけないということでございます。
中村波男
97
○中村
波男
君 これは重大な問題でありますし、長官のいまの答弁でわれわれは理解するわけにまいりませんが、時間の関係もありますので、おそらく北村理事からこれらの問題についての質問があると思いますので、さらに掘り下げた質問はまた私は私として次の
機会
に譲りたいと思います。 そこで、昨年の九月林政
審議
会から「
わが国
における木材需給について」という農林大臣に意見書が出されました中に、「国有林の安定的な供給」という事項の中で、「低質広葉樹林の早期改良による
生産
力の増強を図り、あわせて、当面の需給に対処するため森林資源充実特別
事業
の計画的な実行の確保に努めなければならない。」、私の承知しておることが間違っておらなければ、この森林資源充実特別
事業
というのは、四十四年度から開始になったのではないかというふうに思うわけでありますが、この実施状況、さらに今後の計画ですね、この意見書に基づきまして林野庁としてはどのように受けて立つ考えがあるのかどうか明らかにひとつしていただきたいと思います。
松本守雄
98
○
政府委員
(松本守雄君) 森林資源充実特別
事業
、これを略称しまして特開
事業
と申しておりますが、四十四年度から開始をされております。その
事業
の概要は、四十四年度以降十年間におきまして収穫量千五百万立方メーター、新植
面積
が十五万ヘクタールを実行するほかに、一千キロメーターの林道をつけていく、これが特開
事業
の
内容
でございます。
中村波男
99
○中村
波男
君 われわれがこの
事業
を見ておりまして問題だと思いますのは、特開
事業
の名で増乱伐をさらに今後強めるのじゃないか。そこで長官は、造林率も民有林よりも低い
理由
を幾つかあげられましたけれども、増伐、乱伐をいたしましてそれに伴う植林、増林が行なわれなければますます山は荒れていく。しかも、国有林の機能がそこなわれていくという、こういう結果になると思うわけであります。したがって、森林資源充実特別
事業
の計画的な実行ということは、やはり国民の山であるという立場で運用をされなければならないというふうに思うわけでありますが、この具体的な計画につきまして、あとからでけっこうでございまするけれども、資料をひとつわれわれにお渡しいただきたいと、こう思うわけであります。
相当
私の予定の時間も経過いたしましたので、あと二、三質問をいたしたいと思うわけでありますが、造林の関係におきまして、
わが国
の林業のほとんどを占めておる林家というのは零細であるというところに一番問題があると思うわけであります。しかし、その零細な林家の持っておる山というものはおおむね里山でありまして、この里山をもっともっと開発する、植林をする、これは条件から言いましても、奥山の植林、造林から考えれば比較にならない有利な条件が私はあると思うわけであります。なぜそういう零細な林家の造林が行なわれないかということは、もちろん労力不足、その他隘路はありまするけれども、決定的な
理由
として、私は造林資金の不足、いわゆる四十年、五十印後を見越した投資のできるような財政的余裕のないところに原因があるというふうに思うわけであります。したがって、もっと造林
事業
について、補助金なりその他の施策を積極的に進める必要があるというふうに考えるのでありますが、それに関連してお聞きしておきたいのは、造林の補助についてであります。国で三割、県で一割、あわせて四割の補助金が出ると思いますが、この補助金の
事業
単価というのは、実勢
価格
と大きくかけ離れているのではないか。具体的にお聞きいたしますが、賃金は幾らに見ておられますか。
松本守雄
100
○
政府委員
(松本守雄君) 四十五年度の予定で申し上げます。 賃金は、造林補助金のそれが千十円に見ております。
中村波男
101
○中村
波男
君 造林補助金の労賃を千十円に見ておるという答弁でありますが、長官、いま造林地帯における労賃の実勢は幾らぐらいに見ていらっしゃいますか、御存じでありますか。
松本守雄
102
○
政府委員
(松本守雄君) これを農村物価賃金の統計によって見ますと、これは四十四年のものでございますが、男で千四百二十九円になっております。それに比べますと、少し造林貸金の予算単価は低くなっております。
中村波男
103
○中村
波男
君 労賃が特に最近急激に上昇をいたしております中で、いま示されました統計の千四百円というのは——もちろん調査時点が今日よりだいぶ前でもありまするが——実態とは大きくかけ離れたものであると見なければなりません。したがって、少なくとも実勢賃金になるような予算単価というものを組まなければ、三割補助といっても実質的には二割補助だと、そういうことになりますと、自己負担が多くて、補助があるからといってなかなか手が出せない、あるいは造林資金が農林漁業金融公庫等から借りられる道はありまするけれども、これまた川村委員が指摘いたしましたような
実情
の中で、なかなかこれらの資金を借りて造林をするということについては二の足を踏むと、こういう実態を十分踏まえて、少なくとも本年度はやむを得ませんけれども、来年度の予算を編成されます場合には、実勢賃金で予算単価を計算し、それに見合う補助金を出すという、こういう
措置
をとっていただきたいというふうに思うわけであります。農林大臣、いまの質疑応答をお聞きになって、やむを得ぬとお思いですか、あまりにも低過ぎるとはお考えになりませんか。来年度の予算獲得の上からいいましても、ひとつはっきりしていただきたいと思うわけであります。
倉石忠雄
104
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) 林業労働力もたいへん不足していることでありますし、また、労働力確保のためにも待遇は大事なことだと思いますので努力をいたしたいと思います。
北村暢
105
○北村暢君 いませっかく大臣から中村委員に対して御答弁がありましたけれども、この問題、やはり私は非常に重要だと思います。それは、今日の造林の停滞している一つの大きな原因にもなっていると思います。いろいろ造林の停滞している
理由
について、先ほど来
説明
がございましたので、そういう点は私は特に触れませんけれども、いま中村委員の指摘せられました予算単価と実勢の差というのは、これ特に、私は、四十四年、四十五年ということになると、実にわかるのか、わからないのか、見込みだとかいうことで、答弁をずらされるというようなことで、確実な資料として四十三年度の造林単価について資料をいただいております。これによりますというと、労賃の予算単価が四十三年度は八百円、実勢単価が千百三十八円であります。苗木代は予算単価で五円九十銭、この実勢単価は八円七十七銭、そして一ヘクタール当たりの造林の予算単価が七万四千百四十円、実勢単価が十万五千九百十九円、労賃というのは農村物価賃金統計による男女の、
平均
単価であり、苗木代の単価は、杉、ヒノキその他の樹種の加重
平均
をした単価であります。この実勢単価でも、私は四十三年度でもこれはおそらくまだ高いのではないかと思うのです。これは林野庁の資料でこうございます。ここにはっきりと三割以上の開きが出ているわけなんですね。これは労賃等も、いま林業労賃等において予算と実勢単価において今後努力せられるということを大臣答弁されましたけれども、これは造林の場合ひどいのですよ。林道の場合は、前年度の実勢単価で予算を組むということになっておりまするので、林道の場合は労賃においてそう予算単価と実勢単価との差がない。同じ林業労働者であって全部同じじゃないのです。したがって、造林の場合は前年度の実勢単価を使って翌年度の予算案を編成するということは不可能じゃない。現実に林道はそういうことで単価をきめているわけです。ところが造林の場合はそうはなってはおらない。これは同じ公共
事業
費です。そういう差がありまするので、これはどういうところにそういう差をつけなければならないのか。その原因について私はこの際はっきりしておいていただいて、今後の予算編成において、この問題についての私は対策としても十分
改善
をされてしかるべきだと思いまするので、林道が前年度の実勢
価格
で予算を組むというのですから、これは年度では次に上がっておりますから差はあるのです。差はあるのですが、前年度の実勢
価格
で賃金を組む。林道のほうがなぜできて造林のほうはできないのか、これはどういう
理由
なのか、まずこの点をお伺いしたい。
松本守雄
106
○
政府委員
(松本守雄君) 林道は確かに前年度の工事費単価をそのまま予算に組んでおります。それから造林の場合は、毎年賃金の実勢単価に近づける努力をいたしておりますが、なかなかむずかしい面もございまして、一応いままでの伸び率では物賃の伸び率とおおむね歩調を合わせてきておるわけでありますが、絶対額は低い、そういう実態でございます。
北村暢
107
○北村暢君 あまりいい返事をしないのですが、
理由
がちょっとはっきりしません。国有林との賃金の差は、これはまだ実勢賃金単価よりも国有林のほうが高いですよね。同じ造林関係の予算単価の中で、国有林は団体交渉で賃金をきめますから高くなるのはしかたがないと、こう言われればそれまでですけれども、実際問題としてこれは非常に不合理じゃないですか。ですから、この点については私は同じ公共
事業
費の中で、そういう賃金の単価において査定のしかたに差があるわけですから、これはやり方によってできないことはないと思う。ただ林道は非常に公共的であるというのので、造林はこれは個々の
所有者
の補助ということことになる点の差はあるわけなんですね。確かにそこら辺に私は何かこう単価において差をつけている
理由
があるんじゃないかと思っておったのですけれども、どうもそこら辺のところがはっきりしませんけれども、いずれにしても、非常に三割以上の実勢単価と予算単価に差があるということは、これは是正せられるべきだ。今後努力するということですからそれでいいんですが、大臣もひとつこの点は、いま私の言ったことが事実なんですから、造林と林道では違うのですから、その点はあなたの一番えらいのが大蔵大臣をやっているのだから、そこら辺はあなた是正してもらわなければいけないと思うのだね。だからそういう意味において、ひとつこの点だけは早急に解決する努力をしてもらいたいと思うのですが、大臣の所見を聞いておきたい。
倉石忠雄
108
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) 予算編成の場合の問題でありますので、私どもも実は来年度予算編成等にあたりましても、林業の将来についていろいろ考慮をいたしまして、できるだけ骨を折ったつもりでありますけれども、いまのような点は十分ひとつ検討いたしたいと思います。
北村暢
109
○北村暢君 検討だけでなしに、検討して実現に努力すると、こういうふうに答弁というのはやったほうがいいように私は感じますね。
倉石忠雄
110
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) なるべく時間を省略したほうがいいと思って途中で切ったのですが、努力をいたしたいと思います。
北村暢
111
○北村暢君 そこで次にお伺いいたしますが、四十三年度の白書にも出ているのですが、川村
委員長
並びに中村委員も触れられましたが、林業の形態の問題と関連して全国森林計画の実行状況というのが今度の白書の六十ページに表が出ておりますが、これを見ますというと、伐採は計画に対して九二%、これは三十八年から五カ年間の計画量に対しての実績の比率のようでございますが、造林が八七%、林道が六二%、いずれも計画量に対して実績がこういうふうに載っておるのであります。それを国有林、民有林別に見ますと、国有林は伐採が一〇一%、造林が一〇二%、林道が八一%、民有林が、伐採が八九%、造林が八四%、林道が五五%と、こういうふうに出ております。これは私は、非常に大きな問題があると思うんであります。 ということは、林道が一番計画量に対して実績が低いわけなんです。林道の開発がおくれているために、奥地の開発ができないということ、こういう問題が伐採量に影響してまいりますし、林道はこんなに開発がおくれておるのに、伐採が
相当
進んでおるということは、これは切りやすいところから切っておるという結果になる。そういうようなことで、この造林のおくれているのは先ほど
説明
がありましたように、
拡大
造林のほうは
相当
進んでおる。ところが、再造林については非常におくれている。こういう問題とも関連して、私は、林道がおくれているということは伐採にも造林にも非常に大きな影響がやはり出てくるのではないか、このように思うものです。 そこで、これも資料をいただいているんですが、全国森林計画が四十三年度に改定されて十五カ年計画になっておりますが、改定前は、これは林道の延長が民有林については、四十三年から五十三年の十カ年計画で五万一千三百キロでありましたが、それから四十三年にさらにこれを改定して十五年間にして、その十五年間のトータルが六万三千七百キロということで、これが年間の均等割りにすると、四十三年の計画量が四千二百四十七キロ実際は、これ十年前の、改定前の十カ年計画では五万一千三百キロであったのですが、これ、計画量下げているのです。下げてなお、実績が四十三年度は六九%で、どちらかと言えばこれは五十何%ぐらいで、実際はもっと低いんでしょうけれども、いただいた資料によりますと、そういうことになっておる。これでいきますと、大体六十五年度で長期計画では林道の開設は完了する予定になっておるわけです。とうてい、これはあとまだ十年も十五年もかかるのじゃないか。こういうことで、基本計画による計画の達成ということは、もういまにして全然見通しがつかない、こういうことだと思うのです。 そうしますと、これは全部自後の伐採、造林に影響してまいりますから、やはり
農業
で言う基盤整備が林道でありますから、この林道が計画の六五%だの何だのということになっていけば、総体的にこれは停滞するのはあたりまえである。ですから、私は林野庁のこの長期計画というものは、いわゆる資源計画でこれだけつければこれだけ伐採ができる、これだけの計算でいけば、これだけ造林ができるという、まあ仮定の上に立った森林計画であって、裏づけがないんですよ。したがって、これは三年おきぐらいに計画改定をしないと合わなくなっちゃう。だからつくったと思えば計画改定しなければならない。こういう
事情
。それで私は、ここでやはり財源の裏づけということが必要だと思うのですがね。十カ年計画なり十五カ年計画の予算総額というものをきめるということは、公共
事業
費で、これはできないんだと、こう言うのですがね。私ども聞くところによると、予算の裏づけということが計画の中に裏づけになっておらない。したがって、これは計画がおくれていっても、あとへあとへといくのだ。こういう
説明
なんですよ。それじゃな計画を立てる意味がないですね、これは。意味がない。だから、私はこれはできないことはない。同じ公共
事業
でもって漁港は、今度、去年ですか、漁港の十カ年計画、これは総予算を確定いたしましたね。これは、この間の
説明
のところであったんです。なぜ、林道というのは十五カ年間の予算総額というものをきめられないのか。これは同じ公共
事業
費なんですよ。だから、この計画が全然狂っちゃって、まるで計画立てる意味ないですね、一〇%狂ったとか、五%狂ったというのならば狂ったにもまだ同情すべきところがあるけれども、半分ぐらいの計画で、それじゃ計画を立てないほうがいいです。こんなの何か気休めに計画を立てている。こういうことでございますがね。この点についてひとつ、私はこの
事業
計画に対する裏づけとなる予算
措置
というものについて、含めて、物価の値上がりその他計算すればそれはできるわけなのですから、ある程度の予算を見通した計画になぜできないのか。この点をひとつ私は大臣にお伺いしておきたい。
倉石忠雄
112
○
国務大臣
(
倉石忠雄
君) いまお話の全国森林計画、これは従来、いまお話のように、そういう計画を立てることであったわけでありますが、私どももやはり計画を立てるには予算の裏づけが必要であると思いますが、従来のやり方等について十分部内で検討してみまして、これが現実に必要なもので計画を立てるのでありますから、その実行計画が事実にマッチしてやれるように
改善
すべきではないかということは全く御指摘のとおりだと思います。十分ひとつ検討いたしてみたいと思います。
北村暢
113
○北村暢君 どうも検討大臣のようだな、検討する、検討すると言うばかりで、だいぶ——この問題はいま始まった問題ではないわけなんで、検討されるのですから、またこれも努力されるのだろうと思うのですが、事実問題として計画倒れなのであるから、この点はぜひ今後において
改善
をされるということをひとつ熱意をもってやってもらいたい。そうでない限り、林業基本法に基づく基本計画も森林法に基づく全国森林計画も、全くこれは計画倒れになってしまって意味がないです。金かけて計画をつくるだけの意味がない。全然実行のできない計画を幾ら立ててみたって意味がない。そういうことですから、ひとつこの点は私は特に要望をいたしておきます。 それから次に、具体的な造林計画と実績の問題について、これも、いまのは林道ですが、造林の計画と実績、これも資料をいただいておりますが、先ほど申したように、
拡大
造林は四十三年度で計画と実績において九三%、これは成績のいいほうです。ところが再造林となると、計画量は九万ヘクタール、実績は四万五千で五〇%の達成率です。これは私は非常に問題であると思っているのは、後ほどまあどういう
理由
でこういうふうになるかということをお伺いいたしますが、再造林というのは、とにかく伐採をしたあとに植えるのでありますから、伐採が進まなければ植えようと言ったって植えられないのであります。ところが、この計画に対する実績五〇%というのは、実際は切ったところには全部植えているのですが、切った
面積
が四万五千ヘクタールちょっとしかなかったのでこういう結果になっているのですね。伐採が進まなかったから計画が進まなかったということになっている。ですから、切ったところ、切ってはあるのだが植えないところが残っておったということにはなっておらない。切ったところには全部植えてある。しかし、計画が大き過ぎたということなのですね。伐採が計画どおりに行なかったというためにこういうことになったようでございます。 そこでこの点、何でそういうような結果になってきたのかということの
理由
をひとつ聞きたいということと、それからもう一つは、意見にも若干なるのですが、民有林の造林における助成方法別による実績、これは補助造林というのが圧倒的に多いのですね。それで融資造林、自力造林、公団造林、こういうことでありますが、融資造林もごくわずか、自力に至っては全く少ないわけです。こうやってみますと、民有林の造林というのは大体補助をしてやらなければ造林は進まないという結果がはっきり出ているようですね。自力ではだれもやる者がいない。融資も安い利子で長期の低利資金をやっているのだ。これは補助残も入っているでしょうから、それでもなおかつ補助造林のこれは約十分の一よりはちょっと上回っておりますが、補助造林が二十万二千ヘクタール、融資造林が三万三千、自力造林に至っては七千二百ヘクタールしかない。こういう実態から言って、あの造林というのはもう自力で造林をやるなんという意欲を持っていないようですね。 そういう点から言って、先ほどのこの予算単価と実勢単価が非常に差があるということが、私はそういう意味から言っても、補助してやらなければやらないのですから、それも伸びないということになれば、造林の停滞の一つの大きな原因はやはりここにあると思うのです。補助造林の単価が、実勢とそれから予算単価との非常な違い、もともともう造林というのはそういう補助をやらなければならない、もらわなければ進まない形をとっている。それを予算と実勢が差があるということからして造林の一つの大きな進まない原因になっているということは、先ほど私は非常に大事だということを言ったのは、それぐらい大きなウエートがあるわけですね。造林の約八〇%以上でしょう、補助造林は。そういうことですから、ひとつこの点についても造林の停滞の原因というのは、先ほど来言われておりますからもう答弁の必要はございませんけれども、ひとつ認識する上において、私は先ほど言ったことがいかにこの造林の計画と実績の差というものが出てくるということについて大きなウエートを持っているかということは、そこからも立証できる。この計画と実績の差についてひとつ特に再造林の問題、これの今後のあり方の問題についてひとつ所見を聞いておきたい。
松本守雄
114
○
政府委員
(松本守雄君) 再造林の減少した原因でございますが、確かにこれは再造林に先行いたしまして伐採が行なわれなければ造林できないわけで、その伐採そのものが計画見通しよりも意外に減少したということであります。そこでいまいわゆる資産保持的な性向があるという見方もあるわけであります。一体切り惜しみをしているのかしてないのか、あるいはまた切るそのものが調査の結果よりも実際にないのかどうかということも一応検討してみる必要があるということで、四十五年度は森林の
生産
力調整というのを予算で取っております。そういうことを調査した結果、造林、人工林の伐採また再造林の計画がおそらく改定をされることと存じます。 それから助成方法別の造林
面積
の点がございましたが、これは確かに実績は大部分が補助造林でありまして、融資、自力、公団というものはそれぞれ補助造林に比べれば非常に少ない実績しかございません。これはどれをとってもいいんだということではないんで、補助なら補助の基準がございます。その基準に合わないものは補助ができないわけであります。たとえば
一定
規模
以上の自由の造林というものは融資でやりなさい、自力でやりなさいという基準をとっておりますので、これは補助造林を受けたくても受けられないわけであります。それからまた融資のほうも
制度
としては毎年その融資条件の緩和も逐次はかっておるわけであります。その融資の総ワクも、特に小造林についてはワクをふやしてきているのがいままでの
実情
でございます。そういう
制度
をとりまして、植えなければいけないところが植えられないということのないように造林の
現行制度
を逐次
改善
をしていくつもりでございます。以上でございます。
北村暢
115
○北村暢君 いずれにしてもこの林業というのは、自力で造林が七千ヘクタールというんですからごく少ないわけです。大山林
所有者
で自力でやるというような人しか、これは金も借りられない、自力でやるという人はごく少ないということを示していると思うんです。したがって、これは林業というものの採算性からいってこういうことになるんだろうと思うんですが、そこで
所有
形態別に計画と実績がどうなっているかということなんですが、
所有
形態別というのは
都道府県
、
市町村
あるいは私有林、こういうものの再造林、
拡大
造林というものの計画量と実績というのはどういうふうになっているのか。これはちょっと統計にはあちこち見たんですけれども、ございませんから、どういうところがこの造林がおくれているかということを概略でもいいですから
説明
をしていただきたい。
松本守雄
116
○
政府委員
(松本守雄君) 施行主体別の実績でございますが、まず公営と私営に
区分
をいたしますと、公営につきましては漸増の傾向にございます。それから私営造林、これは減少の傾向にございます。その原因でございますが、公営造林がふえているということは、その
内容
を見ますと、
都道府県
、
市町村
造林は減っておりますが、それ以上にふえておりますのは公社による造林、公団による造林でございます。いずれもが農林漁業金融公庫の資金を活用して造林をしている造林公社、森林開発公団でございます。
制度
的な金融対策、金融
措置
がその裏づけになってそういうものがふえているわけです。それから私営造林が減っておりますのは、この
内容
は先ほども申し上げましたが再造林が減っているのであります。その再造林が減っているのは、造林の原因である伐採が減っているということでありまして、ただ最近の
情勢
では逐次諸物価の高騰ということで労力不足ということもありまして、私営的な造林、公営的な造林でもそうでございますが、造林がなかなかやりにくくなったという
実情
は確かにございます。
北村暢
117
○北村暢君 いまのは施行主体別の造林の増減について傾向的なものを言われたのですが、私の聞いているのは、国有林は大体計画どおり造林なんかいっているのでしょう。県有林なんというようなものもあそらく計画どおりいっているのじゃないかと、それから
市町村
有林は財産
区分
を含めて
市町村
独自でやっている造林もありますし、造林公社のやっているものもあり、県行造林もあり、いろいろあろうと思いますが、だから
市町村
有林は財産
区分
を含めて計画と実績は一体どうなっているのか。それから私有林のほうは、これは一体こまかく言えば再造林、
拡大
造林の計画は大体どのくらい見ておって、それがどのくらいの実績になっているか、こういうようなことをお伺いしたかったわけですが、それは傾向的なものはわかりませんか。
松本守雄
118
○
政府委員
(松本守雄君) 計画でございますが、それが何の計画か、いろいろあると思いますが、全国森林計画では
所有
別に計画をしておりません。もちろん施行主体別にも計画をしておりません。ただありますのは、将来の人工林を造成していこうという人工林の
設定
目標でございます。これが民有林では一千万ヘクタール、国有林では三百四十二万ヘクタールという将来の目標計画がございます。これに対しまして
市町村
有林、これは部落有林を含めてでございますが、現時点では人工林率が三八%、私有林につきましてもほぼそれに近い人工林率を達成しつつあるのが
現状
でございます。
北村暢
119
○北村暢君 この点は計画は確かに
所有
形態別の計画はできているんでしょうが、しかし森林資源の現況というのがございますが、国有林の人工林率は幾ら、民有林は幾ら、こういうように計画はできているわけですね。ですから、
所有
形態別にもある程度の目標というものを持っていなければその集計というものは出てこないわけでしょう。だから民有林といっても、県有林も民有林だし、
市町村
有林も、財産区有林も、私有林も、会社の持っているものも全部民有林なんですから、それを
所有
形態別には計画できていないことは私も知っておる。ただ、それは一般的な概念から人工造林として可能なものというようなもので計画を立てておられて、ばく然たる計画ですが、これは技術的に天然林から人工林に転換できる可能性のあるもの、こういう見通しをつけておられるだろうと思うのですね。ですから、
所有
形態別にわからないことも、計画ができていないことも知っております。知っておりますが、大体
所有
形態別にでも目標というものを見通しておかないというと、一体、
市町村
有林の人工林はまだ可能なのか可能でないのか全然わからないで全国森林計画を立てるといったってそういうわけにもいかないでしょう。私は、そのくらいのことは把握しているんじゃないかなと思ったら、これはどこの統計を見たって出ておりませんからお伺いしているのですが、いまのところ適切な答弁がいま直ちに期待してもできそうもないようですから私は省略いたしますが、私はやはり一番おくれている県行造林を行なう、あるいは造林公社の造林等が
相当
急速に進んできているとは言いながら、これは公有林という
市町村
有林、財産区有林、これがやはり一番蓄積的にいってもおくれているんじゃないか、こういう感じがしますがね。そういう調査はされておるのかどうか、把握をされておるのかどうかということをお伺いしておきたい。
松本守雄
120
○
政府委員
(松本守雄君) お答えいたしますが、いま林野庁が持っておりますのからは
所有
形態別の計画はないわけであります。それから実績はただ押えております、
所有
形態別の造林実績、これは毎年統計で出しております。そこでいま先生のお話に関連しまして、四十五年度では先ほどの
生産
力調査というのを一県
平均
千四百のサンプルをとりまして調査をいたしました中で、将来の造林の可能性というものは
所有
別にその傾向としては出てまいります。まあ調査の結果を待ってそれに対応する施策というものを検討をしていきたい、このように思っております。
北村暢
121
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、造林の技術的な問題と関連いたしまして、
機械化
、
合理化
、今後作業等の近代化というものが
相当
進んでくるだろうと思うのですが、その中で林業用の除草剤の使用状況、それからその効果等について一応お伺いいたしたいと思います。
松本守雄
122
○
政府委員
(松本守雄君) 使用状況でございますが、国有林で使用しております除草剤は塩素酸塩系、これは三十八年度から使用を始めております。これが使用比率から申し上げますと約七割、それからフェノキシ系、これは四十二年度から導入をしておりますが、これは二四%でございます。その他スルファミン酸系も四十三年度から入れております。 それから効果でございますが、効果としまして考えられるのは、まず第一点が省力——労力が節約をされるということ、第二がコストダウン、第三が使用時期が
拡大
できる。いままでは夏の炎天下の下刈りをやっておりましたが、それを避けまして薬の効果を発揮させることができるわけです。以上の三点が抽象的な利点でございます。 それから数字で申し上げますと、下刈りについて申し上げると、これは地上散布、空中散布がございますが、コストの面で約一割強節減をされる。それから労力の面で地上散布の場合は半分以上、それから空中散布の場合が七割くらい節約をされる、大体そういうことでございます。
北村暢
123
○北村暢君 いま除草剤の国有林における使用状況について御報告があったわけなんですが、これは民有林においてはどの程度使用されておりますか。
松本守雄
124
○
政府委員
(松本守雄君) 民有林で四十三年度の実績を申し上げますと、地ごしらえで三千四百ヘクタール、下刈りで一万一千六百でございますから、国有林に比べればまだその導入のテンポがおそいということでございます。
北村暢
125
○北村暢君 国有林では大体下刈り、地ごしらえがあって、四十三年度で二万九千ヘクタール、こういうことで、民有林が両者合わせて一万四千何がしと、こういうことのようですが、労力の節約の面、あるいは経費の節減の面からいって有利であるということがほぼ
説明
された数字からいうとそういう資料になっているようですね。そこでお伺いしたいのは、今後この除草剤の使用についてどのような方針でいかれるのかということですが、この際、国有林、民有林を通じての方針をお伺いしておきたい。
松本守雄
126
○
政府委員
(松本守雄君) 今後の方針でございますが、労働力の不足傾向がますます
進展
をするであろうということから、この除草剤の導入については積極的に前向きでその導入を検討してまいりたい。それから、導入するに際しましては、人畜その他に危害のないように細心の注意を払いながら、しかも新しい薬剤につきましては十分なテスト、試験を経た上で実施をしてまいる、このような方針でございます。
北村暢
127
○北村暢君 フェノキシ系除草剤、いわゆる二四五T、これの今後の使用について、いまのところ塩素酸塩系が七〇%のようですが、このフェノキシ系は今後伸びていくのですかどうでしょうか。
松本守雄
128
○
政府委員
(松本守雄君) フェノキシ系の二四五Tの使用につきましては、この特性として広葉雑草、そういうものに非常によくきくという傾向がございますので、今後いまの二四%ぐらいの実績に対しまして若干ふえていくという見込みでございます。三割ぐらいにはなるのではないか。
北村暢
129
○北村暢君 除草剤ですからその特性によってササ、禾本科の除草に有効なものあるいは広葉の灌木的なものにきくもの、いろいろ用途によって違ってくるでしょうが、このフェノキシ系の除草剤が今後もふえていくということのようですが、私はいまの長官の
説明
を聞きまして、省力の面、コストダウンの面、あるいは適期に有効に散布するという面において非常にすぐれておるという点を強調されましたが、公害、安全性という問題について、私はやはり
相当
これを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。それは最近のアメリカにおいて、あの二四五Tの使用
制限
をめぐっていまアメリカ
政府
としても問題になっているようですね。これは動物実験をやった結果において危険というふうに言われて、その使用
制限
が、国内の、日本の新聞にもこれは報道されております。で、農薬全体が今日公害の問題と関連して非常に問題になってきているときなんでありますが、この問題について私は
相当
やはり慎重に対処する必要があるのではないか。この使用方法によっては、ベトナムにおける枯葉作戦に使われた薬剤である、この量を多量に使うことによってジャングルも枯れてしまうということが起こって——事実使用されたわけですね、作戦に。しかし国内の造林の下刈りの役割を果たす除草なんですから、木が枯れたのでは意味がないわけなんで、そういうことは十分配慮してやる、これは間違いないのですが、アメリカにおいてすらいま二四五Tというものを使用
制限
するということが問題になっておるわけです。そういう時期にいま長官の答弁によると、これは今後も若干ではあるがふえていくということのようですから、この点についての見解を聞いておきたい。しかも二四五Tは劇物指定ではないわけですね、普通農薬になるわけです。塩素酸塩のほうが劇物指定になっているわけです。劇物指定については毒物劇物の取り扱いの法律によって
規制
されております。また農薬取締法においても指定農薬として取り扱いについて
規定
されておるわけです。したがって、いままでの
説明
から言っても、何らそういう安全性という問題について考慮が払われていない感じがする。特にこれを使うことによって非常に問題になっているわけなんで、ここに私見本を持ってきていただいたわけですが、フェノキシ系の除草剤は、これはにおいをかいだらたいへんきついにおいがしますね。これをヘリコプターでまかれたら、ちょっと人間はたいへんなことになると思うんですよ、これは。それで、そういう点から言って、この安全性の問題について検討される用意があるかどうかということですが、各地で問題が起こっておるので、その際にこれはもう何も害はないんだ、元気のいい営林署の署長さんは、この塩素酸塩系のやつをみんないる前で飲んだ署長さんも出てきたというふうに聞いているのですけれどもね、このくらい害はないのだと言っている、飲んだってだいじょうぶと、こう言っておる。これは劇物なんですよ。劇物を飲んでだいじょうぶだという署長さんがいるのですから、常識の程度が疑われるわけなんですが、しょうゆだって一升飲んだら死にますよ。なめている間は調味料で非常にいいのですけれども、だれもしょうゆを劇物だなんて考える者はいやしない。量によって薬にもなるし、あるいは毒にもなるというものなんです。したがって、これは農薬取締法でも、毒物及び劇物取締法でも、使用の方法について非常にきびしい制約をしておる。またその農薬については使用方法その他が
規制
されておるわけですね。だから、どんな薬でも、草が三時間くらいで枯れるような薬が全然だいじょうぶなんですという感覚でものを処理されたんでは、もう人畜には無害ですという形で処理されたのでは、非常に私は問題があると思っております。ですから、この点については、使用方法について十分
規制
があるわけですから、いま申したように二四五Tについてはいまアメリカの使用
制限
をめぐって問題になっている薬である。しかもこれは普通薬であって劇物ではない。劇物の塩素酸塩のほうは七〇%いま国有林で使っておる。またこれから使おうという、そういう場合における除草剤の使用に関して私はいま申したような
事情
に現実にきているという問題について、今後の除草剤の使用についての方針ということを再度ひとつお伺いしておきたい。
松本守雄
130
○
政府委員
(松本守雄君) 除草剤の種類を大別いたしますと、塩素酸塩系、フェノキシ系、スルファミン系とございますことは、先ほど答弁申し上げましたとおりでございます。そこでそれぞれの毒性を見てみますと、これを、LD五〇という毒性の基準がございます。これは動物体の一キログラム当たりの薬のミリグラム単位の基準を示しておりますが、経口投与する場合には三十ミリグラム以下というのが基準になっております。ところがこれらの林地除草剤のLD五〇という基準は、いずれもがそれを大幅にまあ緩和と申しますか、キログラム当たりミリグラムでいいますとこの数量は多くなっておる。こういう数量を与えても動物が半数死ぬ、確率は少ないのだというこれは一つの基準でございますが、たとえば食塩よりも塩素塩系は低い、またフョノキシ系は劇物、毒物の指定も受けておらないで普通薬物であるということで、毒性はいずれもがその他のものに比べますと低いわけであります。しかも林地に散布される場合は一代を通じまして一回か二回でございます。毎年継続して何回も散布されるものではございません。ただ、いまアメリカの二四五Tのお話が出ましたが、アメリカにおきまして二四五Tの使用
制限
について新聞その他に報道されておりますが、一月一日までに登録の取り消しをするかもしれないという予告が行なわれました。その後調査してみますと、いまだに登録の取り消しは行なわれておらない。アメリカのそういった実験に不正確な点があったということで、アメリカでもなお検討はしておるようでありますが、この薬につきまして散布
制限
ということを実施をしておるということはございません。 そこで、いずれにしましても、そういうある程度の安全性は持っておりますが、しかし、農作物とか魚に対しまして事故を起こした実例もございます。そこで、それを使用する場合には、十分な注意を払いながらそういった危害の及ばないような綿密な注意によって実施するようにということで、これは農薬取締法にもございますが、さらにふえんをいたしまして、詳しく林野庁で通達によって国有林、民有林に対しましても指導をいたしております。
北村暢
131
○北村暢君 この問題は、私も勉強もしますし、他の資料も求めて、またいつかの
機会
に一度やりたいと思っているのですが、きょうのところは、いずれにせよ、この取締法でもはっきりいわれておりますが、使用の方法については、その使用の地元民に不安を与えないように、またそういう危険のあるときには、使用の時期等については知事に報告するとか、認可を得るとかというような
規定
があるようです。きょうまあ読み上げませんけれども、そういうことがあるようです。いずれにしてもこれはヘリコプターでまくということになると、平地におけるのと違いまして、山というのは気象の
変化
が時間的に非常にはげしいわけですね。ですから、
目的
のところにまこうというつもりでまいたやつが風で
目的
外のところに行ってしまったというようなことで、若干事故なんか起きているようです。農作物にもカボチャが枯れたとかなんとか、枯れてしまうことがあり得るわけですから、農作物等であれば補償すればそれでいいということにもなりますが、いまのフェノキシ系は毒性が非常に他と比べて低いということを言われておりますけれども、ネズミ実験の結果、ちょっと多量にやったら奇形児が生まれたというような形で、この
制限
するとかしないということがいま問題になっているということで、不正確な実験の結果かどうかということは、いま長官は不正確な実験結果だと断定的に言われたようですけれど亀、いずれにしても、これは問題になっていることですね。そういう点からいって、この除草剤はヘリコプターで大量に散布するわけですから、しかも一ヘクタール当たりたいへんな量でしょう、これは。塩素酸塩にしても一ヘクタール当たり二百キロまく、これは原体散布量は八キロであるけれども、薬剤としては二百キロまく、一ヘクタール二百キロぐらいもまくあるいはフェノキシ系でも一ヘクタール当たり原体散布で六キロ、薬剤で再五十キロくらいというんですから、そういうものが
目的
のようにうまく風のぐあいで
目的
地に
平均
におりればいいんでしょうけれども、風のぐあいでどこへ飛んでいくかわからない場合だってあり得るわけですから、これはやはり使用等については地域的にも非常に局限される問題だと思うのですね。これはまあここにも使用方法を書いておりますから、この国有林の造林全部これでもちろんやるわけじゃない、造林地にしても、
面積
的にはまだわずか二万何がしでありますから、ごく部分的に使われるということになっているようですが、慎重にこれは私はやっていただきたいということだけ希望として申し述べておきます。 それから、もう時間が時間ですから、
法案
に関連をいたしまして若干お伺いをしておきますが、ここでちょいとお伺いいたしたいのは、今度の林業種苗法、この法律で育種母樹並びに育種母樹林、普通母樹、普通母樹林と、特別母樹、特別母樹林と、こうあるわけなんですが、これの林木育種
事業
との関係についてお伺いしておきたいと思うのです。林木育種
事業
では、いわゆる暫定
措置
として優良種苗確保
事業
、恒久
措置
として精英樹選抜育種
事業
、こういうのを育種
事業
としてやるということになっているようです。そこで暫定
措置
の優良種苗確保
事業
の中には一級採種林、二級採種林、採種禁止林と、こんなようなことで採種林として指定いたしまして一応の基準を設けているようでございます。そのほかに、恒久
措置
としては、精英樹の選出を行なって、そして精英樹から採取をし、採穂園、採種園を造成をし次代検定をやっていく、こういうような
事業
をやっているようでありますが、育種
事業
と今度の種苗法との関係は一体どういう関係になるのか、どうもその関係がはっきりいたしませんのでお伺いするわけですが、一級採種林は母樹林の指定をやっているわけです。そして伐採の
制限
なんかもやっております。これとこの育種母樹、育種母樹林との関係は一体どうなっておるか。それから精英樹選出の育種
事業
というものが行なわれているが、特別母樹林とあるいは育種母樹林との関係は一体どうなのか。で、この法律が通ったならば、この育種
事業
指針という通達で行なっているこの
事業
について、通達の
改正
が行なわれるのかどうなのか、ここら辺の点についてどうも疑問に思われまするので御
説明
を願いたい。
松本守雄
132
○
政府委員
(松本守雄君) 第一点の一級採種林と育種母樹林の関係でございます。一級採種林は
現行
種苗法でなくて、育種
事業
指針によってきめております。それは
現行
母樹林とどう違うのかという点をまずお話いたしますと、三十一年に育種の
観点
からそういった母樹系統を見直そうということで、一級、二級の採種林の区別をしたわけであります。それで一級採種林が四千八百ヘクタールでございますが、それと育種母樹林の関係はどうなるのかということでありますが、その一級採種林の——これは全一部一致はいたしませんが、ある程度のものは今度
改正
後の特別母樹林に移行するわけでございます。 それから育種母樹林といいますのは、県あたりで
設定
をしております採種穂園、精英樹から取りました精英樹クローンを国立の育種場から持っていって、県の採種穂園に植えて台木を
設定
する、それが育種母樹林であります。特別母樹林と育種母樹林との差にもなるわけであります。 それから精英樹と育種母樹林の関係でございますが、これも同じように精英樹というのは、これは一致はいたしませんが、再検討いたしましてある程度のものは特別母樹林ないし普通母樹林というものに移行してまいりますが、育種母樹林は、その精英樹から国立の育種場でつくられた精英樹クローンをもとに採種穂園に
設定
されたもの、これが育種母樹林でございます。 それから育種
事業
指針、これを
改正
するかということでありますが、当然こういった
制度
の基本が変わることになりますから、この育種
事業
指針につきましても
改正
を検討するつもりでおります。
北村暢
133
○北村暢君
現状
においては育種
事業
として行なわれている国の九つの国立の育種場、さらに営林局、
都道府県
の育種場もしくは林業試験場、林業指導所等で育種
事業
をやっておるわけですね。その育種
事業
というのは今度の林業種苗法による指定採取源とはこれは
規模
において全く違いますから、種苗法の
生産
業者に供給するだけの能力というものはいまの育種
事業
ではないわけですから、育種母樹林、普通母樹林等の指定をして、まあ特別母樹林等の指定をして、そして当面の種苗
生産
に役立てていこう、こういうことのようですが、私は育種
事業
というものは将来における種苗
生産
の非常に大きな
役割り
を果たすのではないか、また果たさなければならないのじゃないか。まだ育種
事業
というのは始めて年数がたっておりませんので、種苗
生産
の需要にこたえるだけの
事業
規模
になっておりませんが、
現状
においてはやむを得ないと思うのですが、したがって私はこの種苗法の中で林木育種
事業
というものの
地位
というものが
相当
やはりこれは明確に入れておかれなければ、検討しておかれなければならなかったのではないかといういま感じがしておるのです。将来育種
事業
が非常に
拡大
をしていけば、指定採取源としての母樹林というのはだんだん採種園、採穂園、これの
拡大
によって
相当
まかなわれていく部面が出てくるのではないか、このように感じておるのですが、育種
事業
の
地位
をどのようにこの将来の種苗法
生産
に役立てていこうと考えておるのか、この点を一点お伺いしておきたいと思います。
松本守雄
134
○
政府委員
(松本守雄君) 将来の育種
事業
ないしは採種穂園とこの種苗法内における位置づけということでございますが、一応将来の目標、これはいつの時点でそれを考えるかということはまだはっきりきめておるわけではございませんが、いずれ将来は日本の国内で必要とする造林用の苗木はすべてこの育種
事業
でつくられました採種穂園から種なりさし穂なりをとっていくということを一応将来の目標としては考えております。
北村暢
135
○北村暢君 次に、こまかい問題ですが、種苗
生産
業者の登録
制度
の問題についてお伺いいたしますが、この登録の
要件
の中に、講習を受けた者は登録が何といいますかできやすいようにできているように思われるのですが、この講習というのは一体どんな
規模
でどんな程度のことをやるのですか。そしてまたこの講習を受けなければ登録の
要件
にならない、講習を受けてない者は登録させない、こういうことになるのですか、この点をお伺いいたします。
松本守雄
136
○
政府委員
(松本守雄君) 登録のための講習の
内容
でございますが、それはまず林業種苗法の
趣旨
、概要、これをよく徹底をさせる。それから表示
制度
その他
生産
者の
権利
義務に関するものを講習の
内容
に入れる。それから第三には、産地系統の
区分
、病害虫の防除方法その他種苗
生産
の技術に関する
内容
。第四には指定採取源の特性、苗木規格その他当該
都道府県
として特に周知徹底をさせる必要のある事項というものを講習会の
内容
に考えております。この
改正
法ではこの講習を受けた者でなければ登録を受けられないと、またその講習を受けた者をその従業員に置いておく場合には差しつかえありませんが、——講習を受けたことが必要
要件
になっております。
北村暢
137
○北村暢君 その講習の
内容
はわかりましたが、この講習はだれがどのくらいの
期間
にわたってどういう計画でやられる、その全部の
生産
業者が講習を受けるということになると、
生産
業者も
相当
おるわけですから、これ、一年間で全部講習をやってしまうのかどうなのか、登録の必需
要件
ということになるというとこれは急速に、この法律が通るというと講習全部受けなければならない問題で、登録できないことになる。いま申したようなことをちょっと
説明
してください。
松本守雄
138
○
政府委員
(松本守雄君) この講習会は、同一人につきましては一度受ければいいたてまえになっております。毎年受ける必要はございません。そこで、この
改正
法を実施するためにはその登録を受ける者は全部登録を受けさせるたてまえになっております。そこで、各県がその講習を実施いたします、まだ細部の講習の実施方法につきましてはきめておりませんが、おそらくブロック
ごと
に県の担当官、専門家が行って講師になって講習をするということになろうかと存じます。
北村暢
139
○北村暢君 県から講師が行って県の中で何カ所かで、その
期間
は一日とか一週間とか、どのくらいやるのですか。
松本守雄
140
○
政府委員
(松本守雄君) 一日の、しかも正味六時間程度に考えております。
北村暢
141
○北村暢君 六時間程度の講習をやらなければ登録させないなんというのは一体どういうことなんですか。何かこの法律、各戸に印刷物で配布したってそんなものはできるのじゃないですか、よく読めといって読ましたら、解説書でもつくって配付したほうが早いのじゃないですか。わざわざ六時間、一円かの講習に出てこなければ登録させないなんていうのは、どうもこれはちょっとおかしいように思いますがね。罰則があるわけじゃないてしょう。講習受けないものが登録する際にかりに虚偽に講習一日ぐらいだから受けましたと言っていけばそれで登録できないということにはならぬではないのですか。一日ぐらいの講習でどうやってこれ確認をして登録するとかさせないとかいうことになるのですか。
松本守雄
142
○
政府委員
(松本守雄君) この登録
制度
を設けた
趣旨
は、新法によりまして採取源を指定をした、その採取源から取らせるように義務づけではありませんが努力義務を課した。それから
生産
をされたところの苗木に対して表示証明
制度
を取り上げた。それから登録
制度
。おもな
改正
点はその三つでございます。そこで登録
制度
を取り上げました
趣旨
は、まあ現在全国で二万四千ぐらいの零細な業者がおります。一応経験もあることでありますし、その登録を受けさせることはなるべく容易に受けさしたほうがよろしいのではないか、なお、一回限りの登録でしかも試験はございません。そんなことでいいのかという御心配もございますが、林業関係には普及
事業
ということもございまして、登録を受けた業者に対しては経常的にも指導普及をする方法がございます。そういうことで、登録はなるべく受けさせやすいように考えたのでございます。 それから講習会の講習を受けた証明、県知事がそれを交付いたしますが、その証明のないものは登録ができないわけで、その違反に対しは罰則もございます。登録の取り消しもございます。その違反に対する是正命令ということも考えております。消極的にはそういった法の
規定
をしております精神を、各業者が逐次実行して守ってもらうというのが本旨でありまして、まあそれを厳重に取り締まるということは、一応罰則
規定
も書いてございますが、なるべくは是正命令、指導でやっていきたい、このように考えております。
北村暢
143
○北村暢君 私なぜこういうことを聞くかというと、管理美容師
制度
でもって講習会を受けない者は営業停止をするというようなことで、いま問題になっているわけですね。もう床屋さんと美容師さんのところで講習を受けるとか受けないとかであ非常に問題になっているのです。そういう問題がるものですから、特にこの講習はたった一日間ぐらいしかやらないのに登録の条件にするなんというのは、こんなことは任意で、受けたって受けなくたって、登録ということに権威を持てば、たった一日の講習受けたって受けなくたって大したことはないと思うのですが、それをなぜ法律で
規制
しなければならないのかというところに疑問があったからお伺いしたので、まあ一日でも、しかも講師が出向いていって、県内で何カ所もやってということであれば、まあひまつぶしにはなるかもしれませんが、まあ一日ぐらいつき合ってくれ、こういう程度のもののようだから、あまり厳密なことになっていないようです。ですからあまりくどくは申し上げませんが、登録の条件にするような講習だったらもっと何かりっぱな講習でもやるのかと思ったら、六時間程度というから、あれですね、若干法律にするのには適当でないような感じがいたしますね。まあこれは意見ですが申し上げておきます。 それから最後に配布業者——種苗の
生産
業者は大体森林
組合
、一般業者、県、
市町村
、自家用、この他ありますが、自家用はこれは法律適用じゃないようですからあれですが、これは大体はっきりしているようですが、配布業者というのは一体どのくらいおるのですか。
生産
業者が配布業者を兼ねるものももちろんあるだろうと思うのですが、この配布業だけをやっている人というものがもちろんあるだろうと思うのですね。そういう点でこの状況は一体どのように把握されているのか。この点をお伺いします。
松本守雄
144
○
政府委員
(松本守雄君) 配布業者の専業者は森林
組合
系統が千四百人程度でございます。それから個人の業者では配布だけの専業が八十五名でございます。それから会社その他が七十二名、合計いたしまして千五百五十名。それから
生産
業を兼ねておりますのが、これは参考ですので合計だけ申し上げますと、六千四百六人でございます。
北村暢
145
○北村暢君 大体様子はわかりました。そこでこれらの関係業者の団体ですか、森林
組合
あるいは全苗連関係の業者、この全苗連関係の一般
生産
者を含んでいるのだろうと思うのですが、これの
組織
の率というのはどのくらいになっておりますか。
松本守雄
146
○
政府委員
(松本守雄君) 全苗連傘下の団体に入っておりますのが一万人でございます。
北村暢
147
○北村暢君 一万人ということは各県に全苗連の下部の県の協同
組合
がある、こう見て差しつかえございませんか。協同
組合
数はどのくらいになっておりますか。
松本守雄
148
○
政府委員
(松本守雄君) 協同
組合
は
農業協同組合
の場合と中小企業協同
組合
の場合、二つの場合、それと任意団体でやっておる県もございます。各県にそういう
組織
は一つずつでございます。
北村暢
149
○北村暢君 それじゃ大体私の質問これで終わりますが、先ほど来の質問で川村委員、中村委員からも林業の問題について質問が行なわれまして、大体林業問題の重要性ということも述べられておりますから、私はまあ総括的なそういう面については質問を省略いたしますが、先ほど来大臣にしつこいほど検討事項を申しましたので、これらの問題をすみやかに実現されるように期待いたしまして私の質問を終わります。
藤原房雄
150
○藤原房雄君 時間もおそくなりましたんで、二、三基本的な問題だけお聞きしたいと思います。 この林業種苗法は、どちらかというと
規制
的な性格を持っているというふうにいわれております。きょう午前中からいろいろ議論されておりますように、将来の日本の林政という上において非常に重要な位置を占めることになると思うのです。苗の
生産
をもっと積極的に進めるべきだという議論も積極的に出されておりますが、こういう
観点
からいたしまして、本法——林業種苗法の
規制
に対応いたしまして、第三十条に「国及び
都道府県
は、優良な種苗の供給を確保し、及びその普及を図るため、森林
所有者
、
生産
事業
者及びこれらの者の
組織
する団体に対し、必要な助言、指導その他の援助を行なうように努めるものとする。」このようにあるわけでありますが、積極的に進めるという意味合いからいたしまして、「必要な助言、指導その他の援助を行なう」という、これは具体的にはどの程度のことをされるのかという、この点を、基本的な問題についてお聞きしたいと思います。
松本守雄
151
○
政府委員
(松本守雄君) まず、直接的な指導、援助と間接的な指導、援助に
区分
をいたします。 面接的な指導、援助としましては、農林省が
都道府県
及び関係団体等に対しまして、種苗の需給調整その他の行政指導を行ない、ほかに国有林野
事業
に支障がない限りにおきまして、国有林野内に採取源を指定いたしまして、民間の種、穂木の採取用に供することを国有林が協力をする。それから国立林木育種場からの育種による苗の供給もいたします。凶作の場合には、民間でその種が不足する場合に国有林の貯蔵しておるものも協力をいたします等々でございます。 間接的な指導、援助としましては、
都道府県
を通じまして需給調整その他の行政指導を行ない、補助金等による採取源整備
事業
、これには特別母樹林の損失補償金も含みますが、それから公営種子の採取
事業
、林木育種
事業
、苗畑施設整備
事業
、林業
構造
改善
事業
、林業普及
事業
、また金融
措置
としまして農林漁業金融公庫の樹苗養成資金がございます。これが間接的な指導、援助でございます。
都道府県
の指導、援助としましては、前に申し上げました国の助成によるもののほか、各種の県単独の
事業
がございます。その一、二例をあげますと、県によって共済
事業
をやっておる残苗共済、そういう
事業
もやっておる県もございます。
藤原房雄
152
○藤原房雄君 断片的になりますが、次は外材輸入の増大、これによりまして国内材の杉に対する米杉と、カラマツは北洋落葉松と、こういうものは当然市場で競合が行なわれておる、こういうことからしまして、その品種によりまして造林意欲の低下、また日本の国の林業に大きな影響を及ぼすという、当然こういうことが考えられると思います。また予測される住宅産業の台頭によります外材の進出、こういうことからいたしまして、何といたしましても、この林政は時間と経費という長期的な計画性というものがなければならないことは当然のことでありますが、将来の人工林の樹種別構成というものが非常に大事なことになってくると思うのであります。種苗行政上これはどう考えておるのかという基本的なことについてお聞きしたいと思います。
松本守雄
153
○
政府委員
(松本守雄君) 将来の人工林の樹種別構成ということでございますが、これは数字で申し上げる検討はいたしておりません。全体的に人工林を民有林で一千万ヘクタールまで持っていこうということで、樹種別には考えておりませんが、しかし本法で取り上げます樹種は、杉、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ、その七つでございます。このうちに一番多いのが杉になろうかと思います。現在のこの樹種別比率がある程度は将来もそのまま移るのではないか。ただ最近の傾向としまして、ヒノキの造林熱が高まっておるということは言えるわけであります。
藤原房雄
154
○藤原房雄君 それから午前中にも話がありましたが、国土の緑土化ということ。人口がどんどん都市に集中し、そういたしますと、当然レジャーといいますか、保健、休養という、こういう
観点
からいたしまして、森林というものは非常に国民から親しみ深いものとして必要になってくると思うのでありますが、その自然保護ということと、それから産業開発という、この調和が非常に大事になってくると思うのであります。自然保護の立場から、また国土保全という立場から、そうしてまた産業開発という、こういう面からの国土全体の
利用
ということもからんでくるかと思うのでありますが、非常に大きな問題だと思いますが、こういう点について基本的にどのようにお考えになっていらっしゃるかお伺いいたします。
松本守雄
155
○
政府委員
(松本守雄君) 確かに林業的な開発と自然保護、国土保全という面の実際にあらわれる行動は多くの場合、相反することになります。そこで問題は、まあ最近は自然保護と申しますか、森林レクリエーションというものが非常に急激にふえております。森林に対する保健、休養の場を求める国民の数がふえておるわけであります。そういうことで、森林の経済的な一方的な開発と、そういった面の保護というものの調和をどんなふうにとったらいいかということは、今後の日本林政の上で重要な課題になるかと思います。国有林でもその面に着目をいたしまして、四十四年度から自然休養林という
制度
を国有林の一角に設けることにして、その面でも国民に活用していただくということを考えております。
藤原房雄
156
○藤原房雄君 次に移りますが、森林の
生産基盤
を整備拡充するために、林道密度を高くする。先ほどいろいろ議論が出たのでありますが、林道の開設が非常に大事だということ、これは言をまたないと思います。去年、岩手県を中心にたいへんな山火事がございました。そのときも、この林道ということが非常に議論になりました。この林道の早期開設ということ、また春先になりまして山火事の多い季節になったわけでありますが、この思うように進まない林道に対して、山火事対策というものは非常に重要な問題である。去年は、去年の山火事のときには、初めてヘリコプターによる消火というものが試みられた、こういうことを言っておりましたが、いよいよそのシーズンを迎えるに当たりまして、過去一年間、その山火事に対する研究、また
成果
、この一年間どのように進められてきたか、この点についてお聞きしたい。
松本守雄
157
○
政府委員
(松本守雄君) 昨年の岩手県における大
規模
の山火事の発生にかんがみまして、科学技術庁の特別研究費を回してもらいまして、金額が約一千万円ちょっとかと思いましたが、林野庁、消防庁の共同で研究を進めております。先般、空中からの消火という実験もいたしました。目下そのデータを整理中でございます。
園田清充
158
○
委員長
(
園田清充
君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕
園田清充
159
○
委員長
(
園田清充
君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。 本日はこれにて散会いたします。午後六時十四分散会 —————・—————