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1970-05-11 第63回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十一日(月曜日)    午後三時一分開会     —————————————    委員異動  五月九日     辞任         補欠選任      田村 賢作君     山本茂一郎君      岩間 正男君     野坂 参三君  五月十一日     辞任         補欠選任      山本茂一郎君     鬼丸 勝之君      野坂 参三君     岩間 正男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 足鹿  覺君                 上田  哲君     委 員                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 矢野  登君                 安田 隆明君                 鶴園 哲夫君                 矢山 有作君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        総理府人事局長  栗山 廉平君        大蔵政務次官   藤田 正明君        大蔵省主計局次        長        橋口  收君        運輸政務次官   山村新治郎君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        総理府恩給局次        長        中嶋 忠次君        大蔵省主計局給        与課長      谷口  昇君        大蔵省主計局主        計官       相原 三郎君    参考人        国家公務員共済        組合連合会常務        理事       柳澤 英藏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十  四年度における旧令による共済組合等からの年  金受給者のための特別措置法等規定による年  金の額の改定に関する法律等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十  四年度における公共企業体職員等共済組合法に  規定する共済組合が支給する年金の額の改定に  関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の  一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、田村賢作君が辞任され、その補欠として山本茂一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十四年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、及び昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、三案を一括議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 山崎昇

    山崎昇君 恩給並びに共済関係法案一括しての審議でありますから、なかなか聞くほうも、ほんとうは一つ一つに整理をして聞きたいと思っておりましたが、一括ですから、多少ダブったり、行ったり来たりするかもしれませんが、この点はまず御了承を得ておきたいと思います。  そこで総務長官にお尋ねいたしますが、恩給審議会から五十四項目にわたる答申がございまして、そしてこの答申の取り扱いについては、おそくとも昨年の八月までに政府検討して、方針を出します、そしてできるならば去年の通常国会には、それらを織り込んで恩給法の問題については審議をわずらわしたいと思いますというのが、前長官答弁であった。ところがそれ以来、この審議会答申については、どうされようとするのか、一向に政府態度が明らかになっていないわけです。そこで第一にお尋ねしたいのは、この答申に対してどういう見解をお持ちになっており、いまどの程度検討がなされておるのか、その点から聞いていきたいと思います。
  5. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 最終的に答申の内訳を見ますと、政府に対して改善し、もしくは新たに実施を求め、具体化を求めたものが二十六項目でございまして、そのうちの八項目が四十四年度予算において終了し、今四十五年度予算におきまして八項目実施いたしますので、残り項目については四十六年度予算をもって完了いたしたいと考えますが、その他、事柄事柄でありますだけに、あるいは過去の経緯等を振り返ってみまして、なおかつ基本的な問題、並びに末梢といっては失札でありますが、事こまかな問題に至るまで、なおかつ整理され尽くした審議会答申においても、明確にやれとはいっていないが、明確にやるべきでないともいってない問題等があります。でありますから、これらの問題は、三年計画をもって、この二十六項目について、四十六年度において残り項目を完全に処理いたしました後、残りの懸案については総ざらいをいたしまして、これの結果、できないものはできない、あるいはできるものはできるという、はっきりした作業をいたしまして、非常に広範な範囲受給権者の方々の、自分たち身分に関する確定した立場をすみやかに指示いたしたいと考えておる次第でございます。
  6. 山崎昇

    山崎昇君 いまの長官答弁ですと、二十六項目のうち、残りの十項目は四十六年度でやりますと。その他答申の中で具体的に示されておらないが、やれるもの、やれないものは整理して、それはあらためて四十六年度から三年計画という意味ですか。その辺のことがちょっと判然としませんので、三年計画というのは、答申があったときから三年計画で、四十六年度で終わるという意味か、その点をもう一度はっきりしてもらいたい。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 予算上具体的に処理して片づけるのは、二十六項目を四十六年度予算でもって実現いたしたいと考えますが、残りの問題については可及的すみやかに、四十六年度予算ができましたら、その残りのものについて整理いたしまして、なるべく年度の早い期間において見通しをはっきりいたしまして、結論を出したいと思います。
  8. 山崎昇

    山崎昇君 だから、その点は可及的にすみやかにという官庁用語でありますが、おおむねこれは四十七年度か四十八年度までにやるということですか、おおよそのめどをひとつ聞いておきたい。
  9. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は官庁用語を使うのはきらいでありますが、可及的すみやかにということばが、そういう意味のそういう逃げ口上ということにとられたならば訂正いたします。私は、予算に関する限り、答申の二十六項目を完全に実施するのは四十六年度最終年度とする、そのことが第一でございます。その他の問題については、明確でない答申点等もございますから、これを整理して、すみやかに明確にするということは、四十六年度予算国会審議されて、さらに論議も残るでありましょうが、それらの問題についても、できれば審議中に回答が示されるように努力をいたしたい、こう考えております。
  10. 山崎昇

    山崎昇君 明確になりましたから、その点は期待をしておきたいと思いますが、そこで次にお尋ねしたいのは、第二次大戦が終わりましてから、各国とも社会保障制度というのは急速に発展を遂げておるわけであります。とりわけ、どの国でも年令制度というのはかなり重点を置いてやっておられる。重点を置いてやっているのですが、一々国会にかけてやる国もありますが、そうでなく、あの答申にありますように、一定条件が整えば自動的に年金を上げていくという調整方法をとっている国もかなりふえていると思います。そういう意味では自動調整をしていくというお考えがあるかどうか。もし自動調整をするということになれば、スライドという問題と自動調整ということについて、どういうふうにお考えになっておるか、その点を聞いておきたい。
  11. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) スライドというのは、これはどのようなことを実体として意味するのか。たとえば公務員給与にそのままスライドするのか、物価基礎を置いてスライドするのか、いろいろ諸外国においてもイギリス、フランス、その他アメリカ等においても確立した一つ方針を持ってはおるようでありますが、わが国においてどういうものを採用することが可能であるか、それが妥当であるか、あるいはまたその他の公的年金制度が種々ございますし、その他の公的年金制度とのバランスを失してはいけませんので、それらの制度導入の問題は、全部の公的年金制度念頭に置いて、それらの各省庁間の政府全体の調整結論が出なければ、ここではっきりスライド制を採用するということは言えないと思います。しかし今回セットされました予算につきましては、いろいろ議論がありましたけれども、これを一定ルールをきちんと定めまして、若干の調整分の四・五%のうちの二・二五%の財源措置を四十六年度にゆだねた点のみを残しましたが、理論的にこれをきちんと構成されたことにつきましては、隣りに大蔵大臣もおいでになりましたけれども、両者予算財源の攻防は別にして、こういうようなルールが設定されたことは、本来ならば恩給法第一条の受給する権利を有する受給権者の人々と、それを正当なる積算基礎である理論そのものについて、支給する義務を有する政府との立場において、ルールのできたことは喜ばしいことであるということにおいては意見が一致しておりますので、少なくとも今回は大幅な前進をしたものと解釈をしていただきたい。そうしてこれに基づいて恒久的な制度としてはどのようにすべきかは、申し上げておりますように、各種年金制度等も十分に検討の対象としていきませんと、恩給だけ先に走るということも問題であろうと考える次第でございます。
  12. 山崎昇

    山崎昇君 確かに長官の言うように恩給だけ先に走ることはできないでしょう。ただ、これはいま長官が声を大きくして、従来より前進だというその点は、私も従来より前進したということを認めていいと思います。ただ、今度のやり方が、恩給法二条ノ二にいう調整規定具体的発動と見るのか見ないのかということになると、これはやはり問題が残るのではないだろうか。そういう意味法律的には、あの答申を受けて今度のやり方というのは、これは一部といいますか、スライド制導入のはしりとでもいいますか、そういう考えの上に立って今度の方針がとられたのか。単にあの答申があったから、物価公務員給与をまぜてやれば、少しは前進するのではないかという程度考えてやられたのか、それによってはずいぶん違ってくると思うのですね。そういう意味で私は、今度のこのやり方というものは、二条ノ二の規定を具体的に発動する一つのはしりだと理解をしたいと思うのですが、これについての見解を聞きたいと思います。
  13. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 結論的には同じ見解に立ってやったわけでございますが、第二条ノ二、恩給法制定本法制定当時の考え方と、審議会答申をいたしました問題は、順序が物価が先頭にまいっております。しかも五%の比率まで明示してありますところを見ますと、これは戦後に定着した日本制度になっております国家公務員人事院勧告現実あり方というものから考えて、そのことが強く印象づけられての答申の若干の感触の差があるものと考えます。しかしながら、恩給法第二条ノ二は国民生活水準ということが最初に出ております。もちろん国家公務員給与ということも出ておりますけれども、その最初に出ております国民生活水準というのは、これはたいへんむずかしいものでございまして、これを積算基礎にとる場合において、何が国民生活水準であるか、たとえば御批判をいただいておりますGNP、大体それに対応するのには、国民所得は二十位というならば、日本恩給の処遇をする場合に、世界の二十位くらいのところでいいのか、これはちょっとそういうふうな条件としてはとりにくいことでありましょうし、何をもって国民生活水準というのか、ここらの用語を今日的にどういうものが基準になるか等は、十分考えていかなければならない要素を含んでいると思います。その限りにおいて、ことばは明確でありますけれども、それを積算基礎とし理論づけるのには、今後相当の研究を要する表現であろうと考えます。  一方、物価公務員給与につきましては、これはもう明確なる算定の基準があるわけでありますから、当該年度国家公務員給与そのものずばりに対応すべきものとしては、予算作業の過程、予算要求時期その他から考えまして、これをやることは不可能でありますけれども、しかしながら、なるべくその実施年度を、国家公務員給与あるいは物価の実態に近づける年度の採用ということに向かっては、今後政府全体としての努力を要する点かと考えます。  以上のような点を考えまして、今回のとりました理論的な構成は、まさに恩給法第二条ノ二、並びに審議会答申を受けたその項目にかかる物価五%以上云々を念頭に置きまして、今度大蔵省の、いわゆる国民の税金を預かって支出をいたします立場の、財政法によって立つ大蔵省というものが受けて立てる、すなわち恩給は受給する者は権利である、そして支給する政府義務を持つという理論の上において、ルールというものを確立したいということが、いずれも結論として両者共通の上で合意にも達したものであって、その間において多少の財源上の議論はございましたものの、そのようなことにおいて理論的ルール確立ということが非常に大きな収穫であろうと考えます。でありますので、今後は、あと大蔵大臣がおられますが、私の望むところは、恩給というものが、たとえば新聞その他で、恩給族まかり通るの、あるいは圧力団体の、あるいは大会の写真入りでにぎやかに報道されるというような形において力関係できまるのではなくして、これが財政法の運用上からも、あるいは請求の根拠としてはきちんとした理論上、積算上の上に立ったものであって、それは議論することなく、義務経費として査定し、義務経費として支出されるべき性格のものに持っていきたい。この念願を、幸いにしてやや最近年輪を増してまいりました大蔵大臣の人格高潔なところが、私と意見が最終的に一致いたしまして、好ましきルールであるということに結論としては一致したわけでございます。
  14. 山崎昇

    山崎昇君 長々と説明を受けまして、結局つまるところ、あなたにお聞きをしたいのは、恩給性格についていまあなた触れられました。そこで学者の中にもいろいろ意見があります。しかし私は、一番いいのは行政法学者のやっぱり見解というものがある程度いいのではないかと、こう考えるので、あなたにまずお聞きをしたいのですが、田中二郎教授の「行政法」による説明によりますと、「恩給とは、退職又は死亡後、本人又は遺族生活に支給される金銭」であって、「公務員身分に伴う権利で、給与請求権の延長である」という定義が下されておる。私はいろいろ読んでみたけれども、この定義がいまのところ恩給というものの性格をある程度表現したものではないのかというふうに考えるひとりなんですが、長官はこの説についてどうお考えでありますか。
  15. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私の答弁が長々とした答弁であるとおっしゃるのですが、私はやはり誠意をもって答えておりまするので、簡単でよければ、ただいまの見解には基本的には異存はございません。
  16. 山崎昇

    山崎昇君 異存がないということになりますと、この定義からいきますと、一つ退職後の生活をささえるものだということ、もう一つ本人請求権がある。ですから、あなたの先ほどの説明と合うわけですね。そこで生活をささえるということになれば、当然その後の変動というものについて政府は責任を持たざるを得なくなる。そうなると、私は恩給というのはなるほど給与の一部であって、本人請求する権利があり、国は払う義務があるという権利義務関係ではありますが、別な角度から見ると、これは社会保障的な性格をかなりこの恩給というものは帯びてきているのではないか、そういう意味でいきますと、この恩給に関しては社会保障制度審議会等々には一回もかかったことがないのですね、これは。そういう意味でいいますと、この恩給改定等の場合についても当然社会保障制度審議会等意見を事前に聞く必要があるのではないだろうか。他の年金等、あるいは共済年金等についてはいずれも社会保障制度審議会等々の意見を聞いているわけであります。そういうものと一体だというお考えならば、そういうシステムがあっていいのではないかと思うのですが、これについての長官見解を聞きたい。
  17. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その点については明確に見解を異にいたします。  私は恩給受給権者社会保障的な考え方によって国から給されている、保障されるという立場人たちではないと思います。でありまするから、社会保障制度審議会にかけることも必要だと思いませんし、また社会保障的な色彩を帯びてきているとも考えません。しかし生活維持という問題につきましては、やはり公務員給与の中の生活費部門というものが、なるべく最近値において的確にすみやかに反映するように、恩給法第二条ノ二の精神を体して作業するのが国の責務であろうと考えます。
  18. 山崎昇

    山崎昇君 私は社会保障制度そのものだと言っているわけではありませんよ。しかし長官も御存じのように、この恩給は、最近になりましてから、たとえば今回提案されている内容を見ましても、遺族傷病者及び老齢者優遇措置等は、いずれも最低保障厚生年金に置いたりやってきているのですね。他の年金と切り離された存在ではないわけであります。そういう意味で言えば、他の年金はもちろん社会保障制度そのものではありません。社会保険制度でありますから、違いは承知の上で私はお聞きをしているのですが、社会保障制度的な性格をこの恩給といえども帯びつつあるのではないだろうか。そういう意味で言うなら、他の年金制度等社会保障制度審議会等意見を聞いてやっているわけでありますから、恩給についても当然そういう措置をとってしかるべきではないだろうか、こう私は考えるわけであります。なぜならば、もう一つ理由を言えば、公的年金制度連絡会議の中にも恩給局長がメンバーとして入る。恩給だけ別の存在ではないわけですね。そういう点からいけば、私がいま申し上げるようなことを考えて、政府はもう少しこの問題について、他の年金との関係についても、社会保障制度審議会等意見を聞きつつ、前進をさしていくという態度があっていいのではないか、こう思うのですが、見解を異にしますか。
  19. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 依然として見解を異にいたします。私は併給の制限と申しますか、他の所得制限、その他給付条件等につきまして、なるほど社会保障制度の中のバランスについては金額面で配慮していることは認めます。しかしながら、恩給法というものは、やはり生活保障とは全く違ったジャンルの中の、範囲の中の問題であるということを考えておりますので、むしろ他の公的年金その他の制度が、恩給法の改正に伴いというような提案理由説明等がなされておりますように、私たち恩給に対する姿勢というものが、他の年金等にも相当大きな影響を持つという、逆にその意味において社会保障制度体系の中、大きな体系の中におけるあり方については十分の配慮を加えてまいりますが、恩給問題を社会保障制度審議会その他の機関にかけて、社会保障の一環として議論してもらうつもりはございません。
  20. 山崎昇

    山崎昇君 私は社会保障制度審議会政府に対して申し入れを行なっておりますが、その中を詳細に読んでみますと、全部は読みません、その中の一つに、「厚生年金保険国民年金各種共済年金恩給など公的年金の種類は多いが、それらのあらゆる公的年金は、それが純粋に社会保障に属すると否とを問わず、その根底に生活保障的な意味を持つ。スライド制確立が強くさけばれるゆえんである。とくに経済高度成長生活水準の向上、物価騰貴等に伴い、その実質価値維持のため、調整が問題となるのは当然である。」という点を述べておられる。ここで言われておるのは、社会保障だということは言っておりません、確かに。しかし、他の年金と同様にそういう色彩が濃厚である。その中には恩給も入れておる。そういう点について調整をしなさいということを社会保障制度審議会政府に申し入れしているわけでしょう。そうすると、確かに恩給については、従来の経過もあるけれども、現実恩給は、いまあなたに申し上げたこの定義からいきましても、退職後の生活をささえるものだということになれば、その後の経済状況あるいはその他の状況の変更に伴い、当然調整をしなければならないそういう性格があって今回の法案を提案されているわけでありますから、そういう意味で言うなら、何もそれにかけないからあなたの権限がどうだという意味ではありませんが、少なくとも恩給増額等についても社会保障制度審議会意見を聞く程度のことはあっていいのではないか。そういうことが他の年金との調整をはかる上で、総理府としては前進なんではないだろうか、こういうふうに私は思うが、あなたと意見が違うようでありますけれども、重ねてお聞きをしたいと思います。
  21. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) やっと意味がわかりました。それは社会保障制度審議会答申の文章の中に、社会保障的な性格を持つものであるといなとにかかわらず、そのいなのほうに恩給は入っていると思います。というのは、それがかぶさってくる部門は、恩給考え方の中には生活給的なものを十分に対応し、反映させていく改善の努力が必要であるし、それのしかたについては、他の公的年金バランスをとっていくべきであろうということだろうと思います。その点については意見の相違はございません。したがって、公的年金制度審議会等におきまして、もちろんそれらの他の公的年金あり方等について、あるいは基本的には、絶対的に将来検討をしなければならないといわれております、答申その他でいわれておりますスライド制問題等も含めまして、全体的な検討が必要である、そういう意味においての御指摘ならば、私も全く異議はございません。しかし、恩給法について社会保障制度審議会にかけなければならないということについては、手段としては私は必要はない。むしろ恩給受給者というものは、社会保障制度審議会の中で議論してもらうべき人たちではないだろうというふうに考えます。
  22. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると長官、私は少し手続的になりますけれども、これはあとで聞きたいと思っておりますが、公的年金制度連絡調整会議でかりに一つ結論が出た場合に、それと恩給審議会からの答申がありますね。それと異なる場合もあります、同じ場合もあります。そうすると社会保障制度審議会はそれを慎んで、日本における社会保障制度全般についての考え方をまとめられるわけでありますから、恩給といえども私はその中の一つの範疇にすぎないと思う。そういう点考えますと、いま私はこの手続を踏まないからこの提案がどうだとか、法律案がどうだという意味で申し上げておるのではありません。しかし、少なくとも、先ほど、恩給本人請求権に基づいてやるものであり、また生活を守るべき筋合いのものだということになれば、給与的な性格ではありますし、年金社会保険システムでありますから、相互共済であります。そういう性格の相違は私は知っておるつもりであります。しかし、いずれにしても、大きく言えば社会保障制度の一環と見るのが、今日では私は正しいのではないだろうか、そういう考えから手続をとる、とらないについて、書いてあることがどうだという意味ではありませんが、少なくとも社会保障制度審議会意見等を聞いて、この恩給等の問題についても措置をするのが私は前進策になるのではないだろうか、こう考えるのですがね。こればかりあなたと議論したって平行線みたいでありますが、まあ重ねて、あなたから見解を異にするということで、たびたびの説明でありますけれども、私はどうしてもそういう必要があるのではないだろうか、こう考えるのですがね。少しくどいようですけれども、もう一度あなたの御見解を承りたいと思います。
  23. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 決してくどくございません。私はやはり恩給の本質というものを、お互いが議論して極めることは必要だと思います。その意味では実りある議論だと思いますから、決してわずらわしいとは思いませんが、他の公的年金制度との調整をぜひはかっていかなければならない。ことに新しい制度導入等をいたします場合には、当然恩給ひとりがらち外であってはならず、恩給ひとりが先頭を切って、ほかの年金は知らぬというべきものでもないし、当然の調整策を講じなければならないと考えます。でありますけれども、現在の社会保障制度審議会審議しておりますような審議の形の中に、恩給法という明確なルールによって権利義務規定を、予算の支出において政府が行使するという形のものを一緒に入れて議論することについては、どうしてもやはり同感できないわけでございます。
  24. 山崎昇

    山崎昇君 これはどうも平行線のようでありますが、私どもの強い希望としましては、他の年金制度とこれは密接不可分でありまして、調整連絡会議のメンバーにも総理府が入っておる。総理府が所管しておるのですね。そういう形からいけば、私は当然恩給についても、そういう角度からも検討すべきではないであろうか、こういう意味で、重ねて強くこれは要望しておきたいと思うのです。  そこで、次にお聞きをしたいのですが、今回の恩給法もそうでありますし、それから旧令共済も、公企体共済についてもそうでありますが、これについても国家公務員共済組合審議会、あるいはその他の審議会等からかなり政府に対して不満が述べられておる、どういうことが述べられているかというと、国家公務員共済組合の審議会では、恩給法改正のはね返りの形で今回もまた従来と同様の措置をとろうとしていることはまことに遺憾であり、「とくに、公的年金調整連絡会議における検討の結果をまつことなく、恩給法の改正において今回年金改定の原則を打ち立てたかに言われているのは、賛成しがたい。」、こういう不満が述べられておる。さらに社会保障制度審議会答申を見ましても、政府は「すみやかに公的年金全体にわたる調整の原則を確立し、全体的視野に立った整然たる調整措置を講ずる責任があることをこの際重ねて強調する。」という述べ方をされておる。こう考えますと、私は先ほど来申し上げておるように、恩給だけが何か先ばしるということばはおかしいのですが、何か恩給法を改正して、そのはね返りの部分で、他の共済組合が追随をしていくというやり方には強い不満が述べられている、こういうことについて総務長官見解は一体どうなのか、あわせて大蔵大臣見解も聞きたいし、運輸大臣の見解もこの際聞いておきたいと思います。
  25. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私のほうが苦労しないで、他の公的年金制度のほう、もしくは共済制度のほう等で、先にりっぱな制度をつくってくださって、恩給法もそれに準じて行うべき改正があるならば、私のほうはあまり苦労しないでいけるわけですから、その点はその審議会答申は歓迎いたします。
  26. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 国家公務員共済組合審議会から、ただいま御指摘がありましたような御注意はちょうだいいたしております。これはただいま先生と山中長官との間に論議がかわされたわけでございますが、前々から恩給と他の公的年金制度との性格の相違並びにある部面では性格を一にいたしております。したがいまして、そういう観点から恩給制度の改正をそのまま共済制度導入するということについて、共済には共済の論理があるはずであります。したがってそういう見地から、共済制度としての改善措置を講ずべきであるという、いわば正論でございます。この点につきましては、先ほど来のお話がございましたように、政府部内の連絡会議としての公的年金制度調整連絡会議というのが昭和四十二年から発足をいたして、今日まで論議をいたしてきておるわけでございます。ただ率直に申しまして、共済制度全般に通ずる問題、あるいは恩給等の調整問題等含めまして、最終的な結論を得るに至っておらないわけでございます。一方恩給制度につきましては、御承知のように明治以来の長い伝統がございます。そういう伝統を含めて、一つの新しい考え方というものが逐次打ち出されてきておるわけでございます。のみならず、現行共済制度恩給制度を継承いたしております。そういう観点から申しまして、現実の処理の一つ考え方としまして、恩給制度の改善措置を共済制度導入をいたしておるわけでございます。したがいまして、御指摘がございましたように、共済制度本来の考え方から、一つ方針なり一つ考え方を打ち出すべきであるということにつきましては、公的年金制度調整連絡会議で論議を進めておりますが、今日の時点におきましては、まだ最終的に結論を得るに至ってないような状況でございます。
  27. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 公共企業体共済組合法におきましても、ただいま大蔵省から申し上げましたと同様な事情でございますが、先生御承知のとおり、この制度は旧国家公務員共済組合法と恩給法の二つの制度を統合いたしましてつくられました制度でございまして、特に対象の人員等は、主として現業職員を対象とした制度でございます。若干各種の制度の間の相違がございます。そういったような点もございますので、ただいま大蔵省から申し上げましたように、公的年金制度調整連絡会議におきましても十分に検討をいたしまして、なるべく独自性も同時に出していくという形で、この問題は処理していかなければならぬものだと考えております。
  28. 山崎昇

    山崎昇君 私はいまの答弁にまことに不満なんです。それは、いまあなたから説明がありましたように、確かに性格が少しずつ違います。これはかつての日本公務員制度というものは身分制度が中心でありますから、したがって古いことばで言えば、判任官以上でなければ恩給がつかない。それで現業の雇用員の生活なり、老後の安定をはかるために旧令共済があったことも承知しております。それが戦後一つの共済制度にまとめられて、いまの新しい共済組合制度になっておるわけであります。そこでこの審議会等で言われておることは、毎回毎回古い恩給法の改正に便乗して、その限度内だけでこの年金をいじくるやり方はおかしいじゃないか。だから年金ができたのは、国家公務員でいえば昭和三十四年から、地方公務員でいっても三十六年であります。すでに十年近い歳月が流れようとしておるのに、それらの問題については恩給にいつまでも追随しているというところに問題があるじゃないか、毎回毎回こういう指摘をされておるわけです。全然それが前進してないじゃないですか、そういう意味で、私はどうしてもいまのあなた方の答弁には納得しがたいものがある。どうですか、大蔵省。あなた方は、いつになったらそれならばこういう指摘事項について直すのか、改善するのか、性格が異なるというのだから、異なったものについての対処のしかたをどうされようとするのか、大蔵省見解をお聞きしておきたい。
  29. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 先ほどもちょっとお答え申し上げたわけでございますが、昭和四十二年の六月に社会保障制度審議会から申し入れをちょうだいしておるわけでございます。問題の重要性にかんがみまして、総理府が中心になりまして、公的年金制度調整連絡会議を設けて、過去二年間にわたって論議をいたしてまいったわけでございます。御承知のように、総会をたしか五回開いておりますし、そのほか幹事会を九回程度、精力的に論議をいたしてまいったわけでございます。調整連絡会議で論議の焦点になりました点は、各種公的機関相互間にいわゆる共通部分、共通の部分があるのかないのか、それから各種年金固有の特殊部分と申しますか、固有部分があるのかないのか、共通的な部分があるとしますと、それにつきましては、ある統一的な原理というものを適用することが可能になるのではないか。そういうことで、諸外国の例、あるいは日本における各種公的年金制度の沿革等についても勉強いたしてまいったわけでございますが、御承知のように、恩給は、先ほどもちょっと申し上げましたが、明治、大正以来の歴史を持っておるわけでございます。厚生年金につきましては、戦前から約三十年くらいの歴史を持っておるわけでございます。また、国民年金につきましては、戦後の発足というように、年金そのものの沿革が異なっておりますし、給付の内容、給付開始年齢、あるいは財政基盤も非常に大きく異なっておるわけでございます。  したがいまして、公的年金制度調整連絡会議で論議をいたしてまいりますと、当初考えておりましたより問題の複雑性あるいは問題の困難性が大きいということで、逐次認識をされてきたわけでございます。論議の過程におきまして、それぞれ公的年金を所管いたしております省庁には、それなりの計算もございます。あるいは思惑もあるわけでございます。そういう点等もございまして、ある一定の時点で問題を整理して、答申なりあるいは意見の取りまとめということをいたしますと、かなり内容の希薄なものになる可能性もあるわけでございます。そういう点等も考慮いたしまして、かたがた、昭和四十四年には各種公的年金の再計算の時期に際会しておった経緯もございますし、あるいは公的年金あるいは国民年金等について申しますと、やはりベースの改定、ベースの向上ということが当面の最大の課題であるわけでございます。そういう点等、各種年金に内在する幾つかの問題点がございますので、今日に至るまで最終的結論を得ていないわけでございますが、社会保障制度審議会から、おおむね一両年の間に結論を出せという御注文をいただいておるわけでございますので、われわれ財政当局といたしましても、問題の所在をさらに掘り下げて、いい結論を出すべく努力をいたしたいということで、現在さらに会議を進めておる状況でございます。
  30. 山崎昇

    山崎昇君 それでは関連して総理府にお聞きしますが、一体公的年金制度調整連絡会議というのは、いま大蔵省から説明がありましたように、昭和四十二年以来やっておるわけです。なかなか内容が複雑だということも私は理解をいたします。それにしても結論の出し方がやはりおそいし、あるいはまた、どういう点がそれなら共通している点で、どういう点がどうしても相いれない点なのか、もう少し、事務当局でもけっこうでありますが、概略の内容について説明を願いたい。
  31. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 公的年金制度調整連絡会議の趣旨とするところは、現状はただいま大蔵省のほうからお答えをしたとおりでございます。この年金額の調整というふうな問題については、共通点もあると思いますが、公的年金制度全般にいたしますと、先ほど先生の御指摘にもありましたように、また、私のほうの大臣からお答え申し上げましたとおり、若干趣を異にする部分もございますので、それらの間をどう調整するかということにおいて、ただいま大蔵省のほうからお答え申し上げましたとおり、鋭意検討中のところでございます。
  32. 山崎昇

    山崎昇君 それではわからぬから、どういう点が共通しているのか、どういう点が相いれないのか、そういう点について整理をして説明してくれということをいまあなたに聞いたわけですが、もう少し内容を明らかにしてもらいたい。それによって私もまた質問したいと思います。
  33. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) まず政策的な考え方から申し上げますというと、恩給は、先ほど来私のほうの大臣からお答え申し上げましたとおり、いわゆる国家保障の一態様でございまして、社会保障でないという根本的の違いがございます。したがいまして、その算定方法等につきましても、まあ主として、これは沿革的な理由があるかもしれませんけれども、算定方法等が異なっております。したがいまして、たとえば最終の俸給が同じでありましても、現実に受ける金額につきましては、非常ないろいろな差が出てくるわけでございます。そういうふうなことを、また、支給の条件につきましても、恩給法におきましては、まあ最近の共済制度における、あるいは厚生年金保険制度における年金最短年限と申しますものにつきましても、恩給のほうは短くなっております。それら全般を彼此勘案いたしまして、それらの関連がどういうふうになるかということを考えませんと、簡単に、これはこういう方法でスライドすべきであるという結論が直ちに出てまいらないという難点があるわけでございます。
  34. 山崎昇

    山崎昇君 それほど性格が違う、やり方が違うものに対して、なぜ何回も何回も恩給法の改正と同じ方法を、それならばこの共済年金にとるのですか。そうなってくると、私、やっぱりふしぎになってくるし、理解できなくなる。あなたはいま違いの点ずいぶん述べられました。私も承知をしております、それは。ですから、相互通算の場合にはいろいろなことが起きてくるでしょう。しかし、今度の改定の場合には、恩給改定やり方をそっくりそのまま年金導入するところに、この審議会等がおかしいではないか、何回も注意しているのに直さぬではないかという不満が述べられているわけですね。私の聞いているのもそういうことなんです。質問すれば、あなた方は違う点だけ述べる。しかし、違う点を述べながらも、やっていることは恩給と同じことを導入してきている。そこにあなた方の頭の中とやることとの違いがあるのじゃないですか。ですから、年金恩給が本質的に違うというならば、違ったやり方で、恩給にはこういう方法をとったが、年金には、額がかりに同じであったとしても、違った方法がとられてしかるべきではないかと思いますが、それがとられていない。しかし、いまお聞きしますと、昭和四十二年の六月から公的年金調整連絡会議が持たれながらも、ただそういう議論をやっておって、どうにもならぬものだから、恩給改定をただそのまま年金に当てはめているだけだ。そういう意味でこの共済組合審議会やら、あるいは社会保障制度審議会から何度にもわたって指摘をされているわけですね。それが直らぬわけです。  そこでお聞きしますが、長官公的年金制度調整連絡会議というのは、あなたのめどとして、いつごろまでにこれは結論を出す予定ですか。このままでいきましたら、何年たとうとも、ここは同じだ、ここは違うということを議論しているだけであって、ほとんど進まないと思う。そこで明快な長官でありますから、一体これはいつまでにあなたの考えとして、結論を出せば、こういう指摘もなくなると、その点についてあなたの見解を聞きます。
  35. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 完全に恩給法と各種年金を同じ体系で同じ理論、計算方式でいくことは、私は不可能であると考えます。しかし、一番共通部門スライド制制度として採用するという問題については、これはどのような違いがありましても同じでございますから、これの問題の結論を求めるのに、私は相当な精力的な時間を費さなければならぬと考えます。これは、当然財源上の議論等も当然政府でございますから、一環としてはあるでございましょうけれども、制度導入については、なるべく早い機会に結論を求める努力をしなければなりませんし、また、このことは地方公務員にもやはり影響があることでございますから、国の制度としてのあり方についてはすみやかに結論を求める。ただし、ではあと一年後には求められるかと言われても、私もまだ過去何回かのそのような審議会あるいは連結協議会の具体的な検討について、現場に出席をして、このままではとてもだめだと、審議会を変えなければいかぬ、あるいはもっと上の何かに上げなければいかぬというような感触をいまのところつかんでおりません。いずれ国会が終了いたしまして、時間でもつくりまして、この問題をもっと深く私も研究して、まあ国家公務員給与担当大臣でもありますから、給与の延長であるこれらの問題について、私も自分の所管でないといって逃げることなく、検討を続けていくつもりでおります。
  36. 山崎昇

    山崎昇君 大蔵省の政務次官が来られているんですが、大蔵省は初めから入って今日まで議論しているわけですね。しかしそれは主として財政の面から議論していると思いますが、総務長官はなるべくすみやかにしたいということで、具体的なめどを言いませんでした。大蔵省は今日までやってみて、あとどれくらいかけたら大体結論を出せるとお思いになりますか。これは政務次官は就任をされてあまり時間がないから、過去の経緯はわからぬならわからぬでけっこうでありますが、主計局のほうでもいいです、見解を聞いておきたい。
  37. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 昭和四十二年に社会保障制度審議会から申し入れをちょうだいいたしておるわけでございますが、そのときは、主として年金額の調整の問題が中心であったわけであります。ただいま御指摘がございましたように、年金額の調整を中心として論議が進められておるわけでございます。ただ、御承知のように、諸外国でもいわゆる年金の実質的価値をいかにして維持するかと、国によりましては自動スライド制を採用しておる国もございますけれども、しかし、いわゆる完全自動という、物価その他に完全スライドして調整するというような規定を設けておる国はないように承知をしておるわけでございます。で、調整連絡会議で論議を進めてまいります過程におきまして、先ほどもちょっと触れましたように、いわゆる共通的部分があるとすれば、それについては統一的な原理の適用があるのではないか。ただ、共通的部分に対しまして、一定の統一的な原理を適用いたします場合に、財源の負担をどうするか、保険財政の方式をどういうふうにとるかという点も非常に大きな論議の焦点でございます。また、先ほどもちょっと触れましたように、ベースそのものの向上が先で、低いベースのままでスライド部分だけ採用されても、それでは困るという意見もあるわけでございます。これは年金額が現に低い制度につきましてはそういう事情があるわけでございます。ある程度整理した年金につきましては、一定の方式によって改定を欲する向きもございます。  そういうふうに、繰り返しになりますが、各種年金に内在する個別問題が中心問題となりまして、それに、かりにスライド制を採用した場合の保険財政の方式をどうするかという点につきまして、まだ最終的結論を得ないわけでございます。これは、御承知のように、政府部内の連絡会議でございますが、社会保障制度審議会とか、その他の審議会性格を異にいたしまして、政府の中の行政機関が集まって協議をいたしておるわけでございます。率直に申しまして、調整連絡会議の中で非常にユニークな性格を持っておりますのが恩給制度でございます。さらにそれと反対の意味で非常に特異な性格を持っておりますのが国民年金制度でございます。その中間に公務員共済あるいは地方公務員共済、公企体共済等があるわけでございます。  そうした事情でございますので、スライド問題のみについて結論を出す、あるいはスライド問題のみでなくて、広く各種公的年金制度の連絡調整、給付水準あるいは給付開始年齢あるいは計算の基礎になる俸給のベース等につきまして、広く検討を進めるということになりますというと、これはなかなか容易に結論は出ないのじゃないか。かりにスライド問題のみを取り上げましても、先ほど申し上げましたように、スライド問題のみに関心を示さない年金制度もあるわけでございますが、そういうような個別的な事情も伏在しておりますので、責任を持っていつごろまでに大蔵省として結論を推進することができるかということにつきましては、遺憾ながら的確にお答え申し上げることは非常にむずかしいというふうに考えております。
  38. 山崎昇

    山崎昇君 問題がむずかしいことも私も理解をします。しかし、それにしても毎回こういう問題を論議するにあたって、この問題が何の前進もない、そういうところから繰り返しこういう議論が行なわれるわけですね。私はやはりこれは改めなきゃならぬと思うのです。そこで、もちろん何月まであるいは何年ということは言えないにしても、おおよそこれぐらいまでの間にでも出さなきゃ、いまのまんまであなた方の説明を聞いておったら、これはとうてい私は結論出せないんじゃないだろうか。政府が自分の内部で結論を出さないで、他の審議会にかけることができないわけでありますから、そういう意味で言うと、この公的年金調整連絡会議というのは、私はきわめて重要だと思っておるんです。  そこで長官ね、あなたもなかなかここだということは言えないかもしれませんが、少なくともしかし、あなたの考え方として、あとこれぐらいまでの間に仕上げてみたいとか、この際あなたの抱負でもいいです、識見でもいいですが、述べてもらいたい。そうでないと、来年また四十六年度に残っただけ項目やるときに、また同じ議論を私は繰り返さなきゃならぬと思うのですね。そういう意味で、こういう点がやはり少しでも前進するためには、多少あなたは冒険になるかもしれないと思うし、あるいはそれまであなたが長官になっているのかどうか知りませんが、しかし、いずれにしても、ある程度見解といいますか、期限といいますか、そういうものを付して、それをめどにこういう問題を進めない限り、私はなかなか困難だと思う。そういう意味でも、あなたの決意を聞きたいと思うのですが、どうですか。
  39. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 毎年毎年、恩給法改正に準じということを他の公的年金制度が繰り返して、しかも国会法律案を提案して、その提案理由説明を行なうというようなことも芸のないことだと思いますが、かと言って、じゃ来年度予算ではそういうことのないようにできるかと言われますと、まあアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、そういうところで採用しておるような制度を、それぞれ日本にそのまま取り入れていいかどうかもなかなか問題のあるところだと考えますので、やはり恩給法第二条ノ二並びに各種審議会答申、そういうもの等に述べられておるところを十分くみ上げまして、やはり場合によっては、担当の事務段階だけではこれはやはりむずかしいかもしれないと私も率直に思いますから、それらのところは過去の経緯をよく聞いてみまして、場合によっては新しいもっと上の段階において、こういうことを逐年繰り返さないために、あるいは将来に向かってはこのような問題の基礎を固めるために、何らかの会議なり審議会が必要であれば検討するのにやぶさかではないという気持ちでございます。
  40. 山崎昇

    山崎昇君 この問題もそろそろ私はピリオドを打ちたいと思うのですが、いずれにしても、いまのままではほとんど前進がないし、それぞれの審議会から不満が述べられるだけであると思うのです。そういう意味で、政府部内に置かれるこの調整連絡会議というのは、早急に私は結論を出すようにつとめてもらいたい。  そこで、これに関連して、運輸大臣もお忙しいらしいそうでありますから、大臣に一、二点お伺いをしておきたい。  その前に、大蔵省にもう一つ聞きたいのは、国家公務員共済組合の長期給付の場合には、国が一五%負担をしているわけでありますが、その性格大蔵省としてはどういうふうに考えられるか。最近これは上げてもらいたい、こういう意向もかなり強いんですが、それに対するまず見解を聞きたい。
  41. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 公務員共済組合に対する国庫負担の率は、御指摘がございましたように、現在一五%になっておるわけでございます。これは他の地方公務員共済あるいは公企体共済——公企体共済はいわゆる公企体負担ということで、公企体そのものが負担しているわけでございますが、この一五%は、いわゆる社会保険制度維持管理並びに推進をはかる国の立場における一つの助成措置でございます。御承知のように、厚生年金保険も共済と同じように被用者保険の性格を持っておるわけでございますが、厚生年金保険につきましては二〇%の国庫負担の率になっております。それから、いわゆる被用者の、被用者保険としての性格を持たない国民年金保険につきましては、三分の一国が負担をいたしているわけでございます。被用者保険につきましては三者負担という原則で運営をされているわけでございますが、そのうち国の責任に属するものが一五%、その残りを労使折半ということで、事業主の性格における国が残りの四二・五%、それから組合員が残りの四二・五%という負担になっているわけでございます。したがいまして一五%の性格といたしましては、社会保険制度を推進するという国の立場における一つの助成措置でございます。ただ、先ほども申しましたように被用者保険の中にも、厚生年金保険との間にはかなり給付水準あるいは給付内容等について相当の格差がございます。それらを総合勘案いたしまして、厚生年金につきましては二〇%の補助金を支出している状況でございます。
  42. 山崎昇

    山崎昇君 そこで運輸大臣にお聞きしたいのは、いま説明されましたように、公営企業関係共済組合については国の負担がないのですね、これについて運輸大臣はどう判断されますか。今後この国の負担については、やはり私はつけるべきではないかという見解をとるのですが、それについての大臣の見解を聞きたいと思います。
  43. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) いま大蔵省のほうから説明がありましたように、三者分担というのが原則のようであります。従来国鉄の場合は国がやっておったのを、国鉄はもとをただしますというとあれは国営でありましたから、官営といいますかな、いまで申すと国営でしょうが、それでよかったのでしょうが、今日別個の公企体として、そうしてしかもある意味においては独立採算制ということになっておりますから、国鉄の財政上から考えても、一五%は国に持ってもらいたい、われわれのほうは、どっちかといえば陳情側になるわけですが、なかなかしかし大蔵省は、まあ国鉄の場合は国がやっているのと同じ性格のものであるから、したがって国鉄が一五%の分を持ってもいいんじゃないかというような、これは実際上の議論は実質論からきているようですが、原則論からいえば、おっしゃるように一五%は国が持つ、残りはやはり国鉄が持つというすかっとした態度をとってもらいたいと、こう私どもも思います。これについては今後とも大蔵省とも十分検討を進める、このような方向で進めたいと思っておりますが、なかなか大蔵省も渋いものですから、言うことを聞いてくれないような状態でありますが、努力いたしたいと思います。
  44. 山崎昇

    山崎昇君 あとは基本問題になりますから、運輸大臣については、国鉄の方おられるようでありますから、けっこうであります。  そこで大蔵省にお聞きをしますが、いま運輸大臣から話がありましたように、当然三公社五現業といえども、公企体関係といえども、やはり国の負担があっていいのではないか、そういう要望が強い。運輸大臣としては、今後大蔵省と協議をしていきたいと、こういうお話ですが、そこで大蔵省としての見解を聞いておきたい。さらに新法が施行になりました前の組合員期間についての費用の負担は、これは国家公務員と同様に、そこまで全体的にいかないまでも、これらについては国がすぐ負担してもいいのではないだろうか、こう考えるのですがね。せめてそれくらいのことできないかどうか、あわせてひとつ御見解を聞きたいと思います。
  45. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 国鉄その他の公共企業体は、いわば国の機能を代行する存在というふうに考えているわけでございます。したがいまして、現在の法体系のもとにおきましては、使用者の立場と国の立場とをいわば合体して公企体はその機能を果たしておるということになっているわけでございます。これに対しまして一五%相当額の補助をつけるべきではないかというような御意見でございますが、これは公企体の性格から見まして、国の機能を代行するという点に着目をいたしまして、現在負担をいたしているわけでございますので、いま直ちにこれを国庫負担に切りかえるという考え方は持っておらないわけでございます。で、各種社会保険制度につきましては、国庫補助の要求が強いわけでございますので、それぞれの緊要度に応じまして財政資金を配分する、そういう見地からただいま善処をいたしておるわけでございます。  さらに、公企体のいわゆる過去勤務債務の償却の問題でございますが、これにつきましても同様の考え方をとっておるわけでございますが、今日各公企体の過去勤務債務の累増が相当大きな金額になっており、しかもその償却のためにかなりの金額を整理資源として投入をいたしているのが現状でございますが、これもやはり公企体の国の代行機関としての性格から見ますと、いま直ちにその膨大な金額に対して財政資金を投入するということは考えておらないわけでございます。
  46. 山崎昇

    山崎昇君 これはいま運輸大臣からありましたように、やはりこれは問題点の一つだと思うのですね。それで大蔵省としては、そういう各大臣の意向というものを十分ひとつ尊重して協議してもらいたい、こういうふうに言っておきます。  そこで、あわせてお聞きをしたいのですが、これは総務長官にお聞きをします。実はことしの恩給予算編成にあたって最後までもめたわけですね。長官はずいぶんねばったようでありますが、新聞の報道によれば、ほんとうに政治家らしい政治家を見た、こうあなたをたいへんほめておるようなんです。しかし、要求した額からいえばかなり低いものになっている。そこで、私の記憶に間違いなければ、最終的に八十七億くらいだと思っているのですが、それに落ちついたときの長官は、どういうふうに恩給受給者生活なりあるいは環境なりというものを把握をされて、最終的にこういう政治計算になったのか、まずその点について具体的にお聞きをしておきたい。
  47. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私のほうで大蔵省予算要求をしました内容と最終的に違いましたものは、調整措置といわれております四・五%の分の半分である二・二五%分、これを私のほうで財源措置を翌年度に繰り延べた、すなわち、実施を三カ月ずらすことにしたということの点だけでございまして、理論的に、あるいは積算基礎その他について両者意見が一致をいたしました。なお、最終的に二・二五%分を三カ月分ずらしましたこと、すなわち恩給受給権者が当然十月実施によって受けられてしかるべきものであった算定の根拠が三カ月ずれましたことに対する責任は、一切私にございます。それは最終折衝の際において、官房長官の立ち会いのもとに、官邸において、異例なことでありますが、閣議を二時間延ばして大蔵大臣と私と並びに大蔵の事務当局の間で詰めたものでございまして、私のほうは事務当局は入っておりません。でありますので、一切の責任並びにそのおくれたことのおわびは私の一身に負いたいと考えます。しかしながら、そのことは、理論、もしくは今後のあるべきルールというものの基本を動かしたものではなくして、私も大蔵省側の立場に立って十分計算をしてみましたけれども、やはり公開財源の全部の六百五十億をはたきましても、予備費の一千百億に手をつけない限りはどうにもならない。予算の最終閣議を二時間おくらしている時間でありますから、私もないそでは振れないことは十分わかりました。そのために最終的に大蔵大臣との間に総理を代表して立ち合った官房長官をまじえまして、三者この線を確認をいたしました。でありますので、この点について及ばざる点のありました点はすべて私自身の責任でございます。
  48. 山崎昇

    山崎昇君 そこで少し数字を入れて具体的にお聞きをしていきたいのですが、今度の提案を見ますると、八・七五%の引き上げと、こういうことになっておりますが、八・七五%というのはどういう根拠になるのか。この計算方法等について説明を聞きたいと思います。
  49. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 昨年経過措置として措置すべきであると思われました積み残し分四・五%の調整というものについては、これを前提といたしまして、これを予算の算定基準として、その上に四十三年度における物価公務員給与等の上昇に応ずる調整分六・五%を合わせて実施しようとしたわけでございます。したがって、これが合計一一%になるわけでございますが、ただいま仰せられましたパーセントは、そのうちの先ほど申しました二・二五%が、四十六年の予算の四月実施になったということになるわけでございます。
  50. 山崎昇

    山崎昇君 ちょっとそれだけでは私は八・七五の中身がわかりかねるわけであります。もう少し具体的に説明してくれませんか。
  51. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、ややこまかく御説明申し上げますと、恩給審議会答申におきまして、恩給法の二条ノ二の規定を運営するその前提条件として、いままでの公務員給与の伸びと恩給の伸びとのギャップを埋めるようにという御指摘がございます。いわゆるこれを経過措置と称しております。経過措置の分としましては、昭和四十年の十月における恩給から五五・七%ほど公務員給与が伸びておりますが、そのうちの消費者物価の伸び率が四四・八%でございます。で、それを差し引いた残りのいわゆる公務員給与の実質的改善分と称しますか、その部分につきまして、恩給受給者に適当であるといういわゆる生活改善分と目されるところを検討して出してみますというと、ただいま申し上げました五五・七%から四四・八%を引いたものの六〇%をとるのが適当であると考えられました。これをただいま申し上げました四四・八%へ加えますというと、五一・三%という数字が理想の形態だと考えたわけでございます。これが四十四年度予算の折衝の際、四四・八%だけが認められましたから、残りの六・五%というのが、いわゆることばが不適当かもしれませんが、積み残しという形になったわけでございます。これが四十四年度改定の際の恩給に対するパーセンテージでございますから、これを四十四年の十月から上げたものに対する割合に直しますというと、先ほど大臣が申し上げました四・五%になるわけでございます。それから昭和四十三年度における公務員給与の七・五%の上昇、それから消費者物価の四・九%の伸びというふうなことを勘案して、ただいま申し上げたと同じようなかっこうで計算したものが六・五%でございます。その六・五%と四・五%とを加えた一一%になるはずでございましたけれども、この四・五%のうちの二分の一の二・二五%を昭和四十六年度に譲りました結果、八・七五%という数字になったのでございます。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  52. 山崎昇

    山崎昇君 何かわかったような気もしますが、確認をしたいと思うのは、この八・七五を六・五と二・二五と二つに分けておるわけでありますね。そこで基準になりましたのは四十三年の三月、恩給審議会答申時点までの公務員給与の上昇と物価の上昇との差が一〇・九ですね。これは四十三年度までですね。四十三年の三月、そしてその後の上がり方に対して六割だけは何か生活の部分だからそれをかけてこうなっておるわけですね、六・五という数字は。そうすると、なお昭和四十四年度といいますか、去年の公務員給与の上がった、あるいは去年の物価の値上がりはそのまま認めなかったのか、なぜ四十三年度の三月で切って、そしてその後のやつは六割だけかけてやってきたのか、この辺のことが私は少しわからなくなってくる。だから、すなおに私ども考えるならば、当然いま法律案出すわけですから、昭和四十四年度までの公務員給与の上がり方、物価の上がり方等々が基礎になって、それに積み残し分があるならば当然積み残し分を足して改定をすべきでないか、こう思うんですが、そういう計算になってないんですがね。その辺のことはどういうふうに理解したらいいんですか。
  53. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは予算要求をいたしまする時期が、ことしの予算について言えば昨年の八月末でございますから、やはり最近値というものをとります場合に、当該年度のまだ実施に入ったばかりの国家公務員給与そのものをとる、あるいは物価も四十四年度全部趨勢値で見るということにもなかなか困難でございましょうから、その点で予算要求時点と、本来ならば、総選挙等がなければ、十二月末に予算はきまるわけでございますから、なかなかその点はむずかしい問題でございますが、最近値をとるべきであるということについては、私も基本的には同感でございます。
  54. 山崎昇

    山崎昇君 そこで長官、このままでいきますとね、実際にことしの十月から施行されたとしましても、一年半おくれになるんですね。このずれがあるんですね。その間にかりに来年度また何かやりましても、そのズレはなかなか直ってこない。そういう意味では、せっかく私は法案の段階で、多少予算上では問題があるかもしれません。しかし、できるだけ近似値をとってやるべきのがほんとうではないだろうか。そういう意味で言うならば、法案の提出時期にある程度修正をすべきでないかと私は思うんですがね。来年かりにやられる場合には、どうなりますか、そうすると。いまのままの方針で踏襲されていきますか。そうすると、私は一年六カ月おくれでこの恩給改定というのが進んでいく、こういうかっこうにならざるを得ないと思うんですがね。その点についてどうお考えになりますか。
  55. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ごもっともなお尋ねでございますが、しかし実際上は、結果といたしまして十月実施を四月にしようといたしましても、これはやはり受給権者の書類の書きかえその他の事務がやはり当然伴いますから、権利として給するにしても、その権利積算基礎に対する証書の書きかえ等がございますし、やはりどうしても具体的な実施については、十月実施ころにならなければならない。その点においてはやはりおくれていくことは認めますけれども、今日まではルール確立というものがないままに、何だか知りませんが、予算の最終段階でこれぐらいは何とか回せるだろう、あとはひとつ理論づけは恩給局と大蔵省で適当にやれというようなことに見られがちであったというものが、今回一応のルールができたわけでありますから、大蔵省サイドから見るならば、これは非常に硬直した既定経費、当然増を伴う経費となって、予算には計上さるべき性格のものとして、分類が違ってくる性格のものにことしからなっていくと思います。その意味で毎年の改定が同じルールにのって行なわれるとすれば、若干のズレがあることは私も認めますけれども、恩給受給者の方々も、少なくとも相当な前進であり、自分たちの将来はどのようになるのであるということを、個個の人たちもおおむね見通しが、御理解が賜わるような制度にはなり得たものだと考えてはおります。
  56. 山崎昇

    山崎昇君 重ねてお伺いしますがね、このほかに一般公務員の場合は定期昇給がありますね。したがって、実際のズレというのは、単に一年六カ月おくれではないわけです。加算されるわけです。だから、そういう点考えますとね、よほどこれは一つルールではありましょうけれども、やはり提案するときには修正をするということも、一つルールでありますから、そういうことはひとつお考えをいただきたいことが一つと、それから六割しか生活改善部分として見ないんですが、これはどういうところからこの六割という線が出たのか、参考までにこれも聞いておきたい。
  57. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) この六割と申しますのは、先ほど御説明申し上げましたとおり、公務員給与の伸びから物価の伸びを引いた残りの六割を物価の上昇分まるまるに加えるという考え方でございまして、その計算の過程を考えずにまいりますと、先ほど申し上げましたいわゆる経過措置分としては五五・七%のところを五一・三%認めておりますから、これは公務員給与の伸び率の九二%を見たという結論になります。それから昭和四十三年度公務員給与の上がり率には、やっぱりこの計算過程を考えず結果だけ考えますと、公務員給与の伸びの八七%を見たという形になります。しかし一〇〇%見てないという御指摘だと思いますが、一〇〇%見ていないのは、ただいま先生も御指摘になりました昇給部分とか、あるいはそれ以外に現在職務についているために、職務の責任とか複雑さによって特に在職公務員であるがために特に給せられる部分というふうなものは、退職者である恩給受給者にそのまま反映させるのは適当でないという考え方から、これは恩給審議会答申もそのような趣旨をあらわしておりますが、そういう点を加味した率が先ほど言いました差額の六〇%という形になったわけでございます。
  58. 山崎昇

    山崎昇君 これは私はちょっと納得できませんがね。しかし、これはもう平行線をたどると思いますから後日別なときにこの問題をやりたいと思います。  そこで重ねてお聞きをしたいのは、恩給審議会等で言っておるのは、積み残しが四・五%なのになぜ半分しか見ないのか。二・二五しか見ていないわけですから、ですから残りの二・二五というのはそれじゃあこれはどうされるのか。二・二五と半分にしたのは主として財政的理由なのか、あるいはそうでない理由なのか、そこらのことを説明願いたい。
  59. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは財政上の理由だけでございます。財政上と申しますより財源上の理由でございます。それならば法律に一月実施とし、その財源は四十六年度予算においてこれをまかなうというふうにするか、具体的な手段がなかったかということにもなるかと思いますが、やはり今回は、私はまず恩給法というものの権利義務関係を明確にするための理論的な今後の予算編成のあり方というものを、単に私の原局の立場ばかりでなくて、政府全体の立場で精力的に詰めたわけでございますので、その点、反面において、翌年度予算を前年度法律その他において拘束する明確なる定めをとらないことがよろしいことは当然のことでございます。私も大蔵省財政法のたてまえを、前例は一応あるようでございますが、今回は私自身の意思によって、大蔵省のたてまえも、私たちのたてまえを貫いたならば、大蔵省のたてまえも私たちが貫くべきであるということで、法律の中にあえて二・二五%分についての財源措置なり実施時期というものを明示いたしておらないわけでございますが、その具体的な内容は、先ほど来申しておりますように一月実施で四月から支給ということでございます。
  60. 山崎昇

    山崎昇君 いまの長官のお話ですと、主として財源問題でこういう措置をとったということですね。これは私は二・二五の財源がどのくらいかかるかわかりませんが、私はたいした財源ではないと思うんです。そういう意味ではやはり四・五の差があるならば、積み残し分があるならば、当然その分は措置をすべきだと思いますから、これはこれとしても、次回からこういうことがないようにしてもらいたいと、私はこう思うのです。  そこで重ねてお聞きしますが、昨年の恩給の際にもこの委員会でかなり附帯決議をつけております。そこで今度の法案でこの附帯決議がどういうふうに生かされてどうなっておるのか、その点についてひとつ事務当局でもけっこうですが、説明をいただきたい。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  61. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 御指摘の附帯決議については五項目ほどございますが、一番の調整規定具体化する方法として制度化をすみやかにはかることというあれにつきましては、先ほど来私のほうの大臣、大蔵当局から御説明申し上げましたとおり、鋭意検討しているのでございますけれども、なかなか結論まで到達しておらないという状況でございます。  この二番目の、ハンセン氏病の特殊事情にかんがみまして、症項の査定について特別の配慮を加えることという御指摘につきましては、昭和四十四年十月から実施の、恩給法の症状等差の一部改定に伴いまして、そのように措置いたしまして、政府として当時明言しておりましたとおり、一番軽いものであっても三項症、ハンセン氏病については三項症以上に裁定するという実質の措置を十月からとってございます。  次の三番目の普通恩給年額の最低保障については、なおその引き上げについて検討することという御指摘がございますが、これにつきましては、老齢者及び妻子の受ける普通恩給、扶助料につきまして最低保障額を、ただいま御審議願っている法案の中に普通恩給については十二万円、扶助料についてはその半額という形にしております。  それから四番目の、ただいまちょっと触れました昭和四十四年十月からの改正によって症状等差を引き上げた分の残りの外傷その他の症状のことにつきましては、これは他の類似性等との関連において目下検討中でございまして、他の制度の動向を見きわめた上で、いずれ措置いたしたいと考えております。  それから五番目の旧満州拓植公社等の在外機関の問題につきましては、意のあるところはわかっておるわけでございますけれども、何ぶんにもいままでのこの通算措置を講じてきた在外法人並びに特殊機関等と性格的に違うところがございまして、できなかったのでございまして、恩給審議会答申におきましても、この点については否定的な答申がなされておりますので、直ちに措置することは困難かと思います。
  62. 山崎昇

    山崎昇君 いまの説明を聞いても、あんまり附帯決議については実現されていない。そこで次の改正までにはこれらの点については、やはり早急に結論を出して、そうして附帯決議というものを生かしてもらいたいということだけきょう申し上げておきたいと思うのです。  その次にお聞きをしたいのは、今度の法案で遺族、それから傷病者老齢者について多少の優遇措置を講じておりますね。そこで、そのうちの老齢者の特例で一、二点お聞きをしておきたいと思うのですが、七十歳以上で十二万円に満たない者は十二万円にする、こうなっておる、最低保障が。ところが、お聞きをしたいのは、七十歳以上というのは一体何名おられて、そうして十二万円に満たない者は何名おって、十二万円をこえる者はしたがって何名になるのか、その点から聞いておきたいと思います。
  63. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) お答えいたします。  現行の恩給法におきまして、現行では、いわゆる九万六千円と、その半額の扶助料が四万八千円でございますが、そのもとに、その制度の適用を受けている者が三万七千人余ちょっとございます。これを引き上げることによりまして、現在こういうふうな最低保障を受けている方々で十二万円ないし六万円に上がる者、それからいままで九万六千円か四万八千円をこえておるけれども、今度の改正による十二万円、六万円に達しない者と合わせますと、五万六千七百人ばかりが適用になるという形になっております。
  64. 山崎昇

    山崎昇君 いま説明ありましたけれども、優遇優遇というけれども、聞いてみると、たいしたものではないですね、これ。特に七十歳以上になりまして、そうして最低が十二万円だからといって、いまのいろいろなものをくっつけても五万六千人ぐらいだ、こういうのですね。だから、私はやはりほんとうに老齢者に特例を設けて厚遇するというなら、もう少し考えてもらいたい。そうでありませんと、あなた方が言うほどの厚遇措置にはなっておらない。こういうふうに判断されるわけですから、その点は最後に希望意見として申し上げておきたいと思うのです。  それからお聞きをしたいのは、先ほどは附帯決議の中でも少し触れられておりましたが、共済組合員等の場合には、やめたり死んだりすると、その翌日から資格がなくなりますね。そこで、やめたあとに病気になった場合たいへん困るという、そのとき発病している者は五年間治療を認められますけれども、そうでない者はたいへんだという——これは予算委員会でも健康保険の問題に関連をして、定年に達した後でも健康保険が使えるようにしてもらいたいという質問がありまして、たしか厚生大臣だったと思いますが、検討させてもらいますという答弁があったというふうに私記憶しているわけです。そこで、退職共済組合員等々の共済組合法の適用についてといいますか、準用といいますか、そういうものについて、今後どう改善をされていくか、この際ですから、これは大蔵当局に聞くのが本筋かもしれませんが、聞いておきたいのです。
  65. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 前国会の当委員会における附帯決議で、退職後の組合員についての療養の給付について決議をちょうだいいたしておるわけでございます。組合員が退職後に発病した場合につきましては、ただいま御指摘がございましたように、特別の措置がないわけでございます。退職前に療養を開始いたしておりますと、五年間は給付を受けられるようになっておるわけでございます。共済組合員が退職いたしまして、他の職域保険に加入しない場合におきましては、本人の希望によりまして、いわゆる任意継続制度というのがございますが、これによってある程度の救済はできるわけでございます。ただ御指摘がございました、あるいは決議にございましたような問題に対する直接のお答えにはなかなかなりにくいかと思いますので、この問題につきましては、医療保険制度の抜本的な対策とも関連して、慎重に検討すべき問題だというふうに考えておるわけでございます。
  66. 山崎昇

    山崎昇君 いろいろな共済組合との関係のあることは承知しておりますが、少なくともこれは強い要望があり、それから国会としてもその意思表示をしているわけでありますから、したがってこの点についても実現をして、一生懸命在職中働いた者が、やめたあとでも医療その他等で困らぬように、生活困窮を来たさないように、この制度についてはすみやかなひとつ決定を願っておきたい、こう思うのです。  それでその次にお聞きをしたいのは、付加給付についてお聞きをしておきたいと思うのですが、国家公務員共済組合審議会では、「財源わくの問題を含めて、民間企業における福利厚生事業の実態等にかんがみ、再検討すべき時期が到来したものと認める。」と指摘をしております。そこで、この付加給付について、大蔵省はどういうお考えを持っているのか。また具体的な方針があれば述べてもらいたい。
  67. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 国家公務員共済組合審議会から四十五年の二月に答申をちょうだいいたしておりまして、付加給付の問題につきましては、山崎先生がお読み上げになりましたような内容の答申をちょうだいいたしておるわけでございます。で、付加給付の問題につきましては、各年度ごとにいわゆる事業計画の策定の際に、付加給付の財源をどうするかという問題が生ずるわけでございますが、これも先生よく御承知のように、各共済組合によりまして財政事情が相当異なっておるわけでございます。現在の掛け金の割合をもってしましても、相当程度の付加給付をできる組合と、財政事情がよくないために現在の給付水準維持するのにも、場合によったら掛け金率の改定を必要とするような単位共済があるわけでございます。したがいまして、考え方といたしましては、各単位共済間の力の差というものを無視することはできないと思いますので、ある程度力のあるものにつきましては付加給付のワクをだんだん大きくしていくという基本的な考え方を持っているわけでございます。ただ、先ほども申しましたように、力の弱い共済につきましては、現在の付加給付ですら相当きついというような情勢もございますので、あまり特定の組合だけの独走を許すのも必ずしも適当でないというふうに考えておるわけでございます。ただ、四十五年度について見ますと、相当程度付加給付ワクの増加を希望いたしている組合もございますので、これは将来の問題としては検討する必要がある事項ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  68. 山崎昇

    山崎昇君 最近、健康保険連合会で一つの調査結果を発表しているわけですが、これによると——これは昭和四十三年度の分でありますが、付加給付実態調査というものが発表されています。これによりますと、被保険者一人当たりの付加給付費は平均三千七百円となっている。主要費目のうち、家族療養付加給付では、十割給付が五百七十五組合、全体の四九%、八割給付が百二十八組合、全体の一一%となっていると、こういうんですね。これは健保連合会の資料でありますけれども、民間のこういう点を考えてみますと、共済組合の付加給付というのはやっぱりおくれているんではないだろうか、こう私は考えるんです。そこで、これらを参考にされて政府としては、もう少し私は具体的に検討してもらいたいと思うんです。  そこで、時間が惜しいので私のほうから申し上げますが、一つはやっぱり財源の問題があると思うんですね。それから家族療養給付の基準を上げてもらいたいということ、それからこれらの経費については当然国費でやらなければならぬと思うんですが、そういう点等含めて、この付加給付の問題についてもう少し大蔵当局で検討している事項があれば述べてもらいたいし、いま申し上げましたようなことを参考にして、今後付加給付についてはどうされるのか、もう少し説明をほしいと思う。
  69. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 付加給付のうちで家族医療費の給付につきまして御指摘をいただいたわけでございますが、手元の資料でお答えをいたしますと、昭和四十三年度の家族療養費の給付水準でございますが、平均いたしますと五五%になっておるわけでございます。で、一番高いところが大体七割程度になっておりますが、低いところは五割をちょっと越えたという程度のところもあるわけでございます。したがいまして、先ほども大体の考え方を申し上げたわけでございますが、ただ、力のある組合等からは付加給付の増額の希望が非常に強く出ておりますので、先ほどもお答え申し上げましたように、昭和四十五年度の問題として検討いたしたいというふうに考えております。
  70. 山崎昇

    山崎昇君 こまかなことを言えばまだまだありますけれども、大筋ですね、基本的にいままで質問をしてきたわけですが、この質問の中でも明らかになっている点は、何としてでもやっぱりこの恩給改定にただ伴ってその他の各種年金措置をされておるということがきわめてやっぱりまずいということ、それからあわせて公的年金連絡調整会議の討議のしかたがきわめておそくて、ほとんど遅々として進んでいないということ、こういう点等考えてみますと、私はこの恩給法の今回の改定についてもたいへん不満を持っているわけでありますが、しかし冒頭に申し上げましたように、いままでなかったような公務員給与の点でありますとか、あるいは物価の点を一部導入をして、具体的に恩給法の二条ノ二のいわばスライド的な考え方導入されたということについては、私も賛意を表しておきたいと思うのです。そこで今後この問題についてはやはり早急に検討されて、このスライドというものについては実現をしてもらいたいということを強く要望して、私の質問を終えておきたいと思います。
  71. 足鹿覺

    足鹿覺君 大体山崎委員から総括なり具体的な問題点が大部分出ております。若干重複するかもしれませんが、恩給法等の一部の改正案の審議にあたりまして、若干問題点を指摘して、各種公的年金共通の悩みもありますし、また特殊な二、三の案件については著しく均衡を欠く面もありますので、この機会に総務長官なり、また運輸、大蔵両大臣からお尋ねをしておきたいと思うのであります。  第一点は、この改正の改定根拠は恩給法第二条ノ二の規定に基づいて改定するのかどうか。これは先ほど山崎委員からもるるお尋ねになりましたが、これは基本的な問題だろうと思うのです。で、これを明らかにしておく必要があると思うのです。もしこの規定に基づかないとするならば、他の基準となる規定は何であるか、これを明らかにまずしていただきたいと思うわけであります。
  72. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほども御答弁いたしましたが、基本は恩給法という法律に定められた第二条ノ二でございます。ただし、恩給審議会答申をいただきました中に、第二条を踏まえての話ではございますが、物価の五%以上の上昇という問題が明記されておりますので、それらの点も勘案をいたしたということでございます。
  73. 足鹿覺

    足鹿覺君 恩給法第二条ノ二の規定に基づいてさらに審議会等の意見を尊重してやったと、こういうことでございますが、今度の増額率は八・七五ということになっておるわけであります。で、この入・七五というものは何を根拠にして算出をなさったものでありますか、それをお伺いしたいと思います。
  74. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 先ほどお答えいたしましたとおり、この八・七五というのは、大臣からお答えいたしました、理想としましては一一%になる数字でございますが、そのうちのいわゆる積み残し分としての四・五%の半分だけを昭和四十六年度予算に譲りました結果、一一%から二・二五%を引いた八・七五%という数字になったわけでございます。
  75. 足鹿覺

    足鹿覺君 恩給法第二条ノ二は「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民生活水準国家公務員給与物価其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動が生ジタル場合ニ於テル変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定措置ヲ講ズルモノトス」と、こう規定してあるわけであります。したがって、まず国民生活水準を第一に基準とすることになっておると私は思うのでありますが、生活水準と消費水準とは必ずしも一致しないんではないか、かように思いますが、いかがですか。
  76. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりでございます。国民生活水準を、先ほどもお答えいたしましたとおり、このような恩給理論的な計算の基礎とするについては、どのようなものを国民生活水準として、ファクターとして置きかえられるかという問題がたいへんむずかしい問題であろうと考えます。しかし一方においては、国民生活水準のうち生活の中で生存のために必要な物資を中心とした消費者物価というものが別途掲示してございますから、そのようなものが中心になりまして、現在のところ国民生活水準というものも、一応は国家公務員国民、国家のために奉仕する立場の職業でございますので、それに対して国がその退職後について給付すべき義務というものから考えて、国民生活水準よりか著しく、それらの公的な立場において生涯をささげた人々の老後の生活がみじめなものであるということにならないような配慮が必要であろうと考えます。
  77. 足鹿覺

    足鹿覺君 少なくとも指標としていくためには消費水準を採用しても、あまり相違ないと私も思いますし、長官のただいまの御答弁でも、その御意思のほどもよくわかりますが、どうもいまの次長のお話では、八・七五の根拠には消費者水準をまず第一に配慮したものだという断定がないわけですね。一応これを分散して、分割して算出したものである、こういう御答弁でありますが、それならば、ちょっと基準と運用の面でギャップが出るんではないですか。
  78. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そうではございませんで、積算基準には積み残し分という表現を、妥当かどうか知りませんが、言っておりまする四・五%というものを基準にいたしまして、それに四十三年度物価並びに公務員給与というものを六・五%増額いたしたわけでございますから、それらのものを合わせて一一%、そのうちの予算措置上の四・五%のうちの半分の二・二五%を三カ月ずらしましたということを申し上げているだけで、先生のおっしゃることと、そう予算上も、理論的にも違っていないと考えておるわけでございます。
  79. 足鹿覺

    足鹿覺君 わかりました。そういうことになろうとは思いますが、もう一歩踏み込んでお尋ねをいたしますと、今度の改正によって一律に八・七五の引き上げが行なわれるのかどうか。もしこの増額率をさえも下回るものがあったといたしましたならば、これはよろしくないと思うのです。設定の意義というものは明確でなければならぬと思うのですね。公的年金制度が多岐多様に分かれておりまして、必ずしも、長官も御存じのように、公的年金条件が一致しておりません。あとでまた述べますが、そういう意味から、他の共済組合年金設定も、この恩給設定に準拠して設定するものと私は聞いておりますが、さように受けとめてよろしいんですか。
  80. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 恩給制度と共済制度とは基本的に仕組みが異なっておるわけでございます。恩給については御承知のように、一定の金額を納付いたしまして、それと切り離されて、国が一定の事由に基づいて給付を行なうというのが恩給の基本的な仕組みでございます。現在御承知のように、恩給制度がございません。過去の分につきましては全部国庫が負担をいたしておるわけでございまして、共済制度につきましては、組合員の掛け金を中心といたしまして、それに対して事業主あるいは社会保険制度の推進を主体としての国が補助を加える、こういう形でいわゆる三者負担で行なわれているわけでございます。したがいまして、恩給法を通ずる哲学と共済組合制度に内在するものの考え方とは相当大きな距離があるわけでございます。しかしながら、恩給制度はいわゆる共済制度の先輩としての長い歴史を持っておるわけでございますし、また恩給制度の給付内容の改善についての歴史もかなり古く、また恩給制度においては改善のための研究もより一そう進んでいるのも、これまた現実でございます。と同時に、共済制度は、現在の恩給制度を相当部分吸収して、新制度として発足をしておるわけでございますし、現在の給付は、恩給制度を吸収しての給付が大部分でございます。そういうような現実的な姿から申しまして、ものの考え方といたしましては、先ほど来論議がございますように、共済には共済の哲学が必要かと思いますが、現段階におきましては、先輩格の恩給制度を援用して共済制度の給付内容の改善をいたしておるのが現況でございます。
  81. 足鹿覺

    足鹿覺君 一方は恩給という名称をつくり、戦後において国家公務員共済年金となり、あるいは公共企業体年金となり、あるいは私学共済年金となり、あるいは農林年金となるというふうに分かれておるにすぎない。だとすれば、歴史は違っても、一つの準拠すべき根本といいますか、基本は一致しなければならないのではないか。一ぺんにはなかなか改正できない面もあるかもしれない、歴史なり経過を踏まえなければなりません。しかし、私の見たところでは、共済組合の場合を見た場合に、過去の給与を八・七五引き上げることによって年金額を改定するので、必ずしも八・七五%にならないと思われるものがあるのです。したがって各共済組合の引き上げ率をためしに算定されたものがあったらお示しを願いたい。
  82. 橋口收

    政府委員(橋口收君) ちょっと御質問の趣旨を的確にとらえないので、あるいは見当違いのお答えをすることになろうかと思いますが、共済制度におきまして、恩給制度の改善内容をそのまま継承いたしておるわけでございますが、恩給と共済では計算の基礎となる報酬の額にも相違がございます。共済につきましては、御承知のように、退職前三年の俸給月額の平均を計算の基礎といたしております。恩給はそれと違った計算方式を適用いたしております。そういう点等から申しまして、お尋ねの趣旨、ちょっとはっきりとらえにくかったわけでございますが、そういう計算のベース等にも相違がございますし、先ほど申し上げました財源調達方式にも大きな相違がございますので、全く同じ結果になるかという点につきましては、ちょっと的確にはお答え申しにくいわけでございます。
  83. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから各共済組合別の引き上げ率をお示しくださいと言っているのです。
  84. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 共済組合のほうの今度の改正につきましては、先生御承知のとおり、実は四十年ベースをもとにいたしまして、改定率をずっと年々変えてきておりますが、四十一年に御承知のとおり一割アップ、四十二年に、四十年をベースにしまして二割アップ、四十三年にはさらにそれを四割四分八厘アップ、今度は五七・四七%アップという形になっておりますが、それを実は先ほど恩給の場合には八・七五%アップということばで出ましたけれども、われわれのことばで置き直しますと、四十年ベースをもとにしておりますので、そのようになっておりますが、これは恩給の八・七五と全く同じというふうに解釈をいたしております。
  85. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の見るところでは、きょうはあまりこの問題に時間を費やすとなんですから、別の機会に申し上げますが、必ずしも率が一致しないと思うのです。ですから、あなた方がちゃんとした資料としてお示しをいただきたい。これは押し問答しておっても始まりませんから、あとでけっこうです、お示しをいただきたい。よろしいですね。八・七五とはならないと私は思うのです。私の資料なり、私の考え方からもっていたしますと。ですから各共済連、公的年金か、政府管掌の公的年金制度別に引き上げの率をあなたがいまおっしゃるとおりなら出すことができるでしょう。ですから、その率をきちんと出していただきたい、よろしいですか。
  86. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 私の申しましたのは、国家公務員共済組合法の関係を申しましたが、それのことじゃないのですか。
  87. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから私が最初、冒頭に申し上げましたように、恩給法等に関連をして公的年金制度の問題共通の——大体共通であるべき筋なんです、元来が。漸次共通化していくのが本来のたてまえなんです。ですから、恩給なり国家公務員共済なりは、ややこれは性格が似たものでありますが、他の公共企業体、農林年金あるいは私学年金その他になりますと、いわゆる公的年金として政府管掌年金でありながら等差がついておるんですよ。ですから、今度恩給等については、国家公務員共済等については八・七五になっておるけれども、他の公的年金の引き上げ率を年金別にお示しくださいと言っておるんです。
  88. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 給与課長から国家公務員共済組合の数字を御説明申し上げたわけでございますが、私学、農林、地方公務員、公企体等につきましては給付水準に格差があろうかと思いますので、よく調査の上提出するようにいたしたいと思います。
  89. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が質問しておりますのは、やはり公的年金というものは、そういう経過もありますけれども、老後の保障であり、あるいは疾病その他の場合に処するものでありまして、ただいまも山中長官がおっしゃったように、老後の保障その他に遺憾なきを期するためにできたものでありますから、ですから恩給法であれ、あるいは国家公務員共済組合法であれ、あるいは他の公的年金であれ、たてまえというものは本来同一なところへ向かって指向すべきものであると、こういう見地から私なりの立論をしておるわけであります。この点について私の考え方が間違っておりますか。私はそういう意味から、他の公的年金というものが必ずしもベースを合わせていけないことは知っておりますが、あたかも一般が全部こういう水準に達したかのような印象を受けることは、実態と違いますので、その点はそういう方向へ向かって公的年金の内容を充実していくべきではないか、そういうふうに考えるわけです。  で、人によっては公的年金の一体化といいますか、一つにまとめたらどうかと、こういう説をなす者もありまして、一時審議会でもそういうことが議論になったこともあります。しかし、みなそれぞれ出発当時における条件なりあるいは歴史なり違いますので、なかなかそこへいかないというのがこの悩みなんですね。そういう点について、特に大蔵省態度がかたくななほどかたくななんですね、この問題に関する限り。その点については、私は総務長官の英断的な措置を求めておるわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  90. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私の英断と申しましても、私どものほうとしては、本来、公的年金はその発足の淵源、沿革、経過、全部違うといたしましても、共通する部門については、受給者の人々あるいは国民全体から見て、これがこの姿でよろしいと、あるいはよくわかるという姿のものにしなければいけないということについては私も同感でございます。しかしながら、これを私のところでおあずかりしているといいましても、ただ総理府で各省の人たちが集まって相談をするということであって、この問題について私が何か裁断をするというような立場にございません。したがって、先ほど山崎委員の質問にもお答えをしたかと思いますが、この経過をしさいに検討いたしまして、この機構ではだめであると私が判断をいたしましたならば、総理府で相談をいたしまして、あるいは行管等も場合によっては必要かもしれませんが、政府の姿勢として、どのようなことをやったならば前進できるかについて検討してみたいと考えます。
  91. 足鹿覺

    足鹿覺君 ぜひ、ひとつ検討していただきたいと思います。  そこで、もう少し具体的に問題を掘り下げてみたいと思うんです。私どものところへ一般の受けとめ方は、このような共済なり年金なり、恩給なりが複雑多岐にわたっているということは、あまりわかっておらないわけなんですね、受け取るほうの側からとりますというと。特に、共済組合年金が引き上がったということについてはみんな喜ぶ、喜びはいたしますが、何%引き上げがあるのか、具体的な引き上がる基準のパーセントまで、自分自身のものがどういうふうになったのかわからないという話をよく聞くんです。何ぼに引き上がったんですか、自分の分は。そういうことについて、共済組合の場合は、恩給とは違うのでありますから、もっと違った基準で、しかも年金者にわかりやすいような改定方法を導入すべきではないか。この恩給法を読んでみても、これで、私のような頭のよくない者は納得がいかないです。なかなかむずかしい。なおさら、上がったといってみても、自分の分がではどういうふうに上がったかということについて理解をすることはなかなかできないですね。だから、もっとわかりやすい仕組みにすべきではないか、こういうことが言いたいわけなんですね。もらう本人が何ぼ上がったのか、何ぼもらえるのかということがわからない、そういう仕組みになっておる。そういう点どうでしょうか。
  92. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 便宜上、私御答弁申し上げますが、私も連休期間中に、さらにもう一ぺん恩給法を全部第一ページから附則、附則の積み重ねの最終ページに至るまでこまかい文字を読みましたところ、ついに目が充血をいたしまして、きょうはとうとう目医者まで行ったんですけれども、ずっと通読してみても、なおかつわかりにくい。確かにこの法律というものを、だれのためにこの法律はあるのだと私も思いました。いわゆる受給権者がごらんになって、自分はどういう条項によってどういう待遇、どういう給付を受けるんだということを明確に把握される方はほとんどいないであろう。私、ためしに役所にまいりまして、おれは目が充血しちゃったと、一体恩給法を全部わかっている職員が何人いるかと聞きましたらば、ここの次長は生き字引きですけれども、恩給局に三人おりますでしょうかという首脳部の答えが返ってまいりまして、これではとてもいかぬ。そこで恩給法に限って申しますと——他の問題も同様だと思いますが、ことに恩給法は沿革が古いのでございますから、基本の法律はごくわずかのページで、残りはもう改正、附則その他で一ぱいで、一体どこへいってしまったか、本法が隠れてしまうような法律でございますので、これをなるべく来年度予算等で、最終の審議会答申項目等が実現をいたすというその機会に、恩給法というものをいまから準備いたしまして改正をいたしまして、きれいなすっきりとした、あるいは、かたかな等の法律もごくわずかでありますから、たいへんな作業でありますけれどもやってみたい。法律は、その法律によって権利を取得し、あるいは何らかの恩典を取得すべき人たち自体、関係者が読んでわかるような法律であるのが当然のことでございますから。ただこの作業を私が命じましたところ、まあ私のところは恩給局ですから、大臣の命に反対であるという役人はいないわけですが、法制局のほうは、とんでもないことを山中長官が言い出したと、これほんとうにやらされたら徹夜徹夜で半年はかかるというようなことをつぶやいたやに聞いておりますが、私は目標を示してそのあり方を言ったのでありまして、何もそういうふうな人間の限界を越えた作業を命じようとも思っておりませんが、大蔵省の国税通則法という、国民から税金を取り立てる感じの法律を、納得して納税していただく法律に変えるために、大蔵はたしか三年の日時を費やして、ついに膨大なものを新しい国税通則法に切りかえたやに承知しておりますが、この恩給法も、膨大な仕事でありましても、やはり法律国民のために、そして直接には受給権者がごらんになって、足鹿先生が頭が悪いからわからないとおっしゃったのですが、私も同じことでわからないのですから、わからないのが頭が悪いと言われたら、これで一体頭のいい人は何人いるのかということが疑問になるくらいでありますので、やはり時間がかかりましても、このことは受給権者のために当然なすに価値があることだと考え、私たちとしては恩給法の抜本改正、人の問題ももちろん含むかもしれませんが、少なくとも新しい恩給法というものをつくり変えてみたいということをいま考えておるのでございます。
  93. 足鹿覺

    足鹿覺君 非常に親切にして明快なる御所見を承りまして心強く思います。ぜひひとつ、がんばっていただきたいと思いますが、橋本さんもおいでになりましたので、公的年金のうち、公共企業体の関係もありますし、先ほども申しましたように、文部省所管の私学共済もあります。農林省所管の農林年金もあります。こういう公的年金は数え上げますと、恩給法国家公務員共済年金、そのほか八つばかりありますね。これらをいまある一つの方向づけをしながら、わかりやすい、受け取るほうでもよくわかるし、それがまた大体年金性格はあっても、水準をあまり著しく異にしないようなものに改めていくということになろうかと思います。  そこで、恩給改定費用は、これは当然国が負担するわけなんです。国家公務員共済もこれに準じていく。他の公共企業体なり、あるいは私学共済なり、あるいはその他の公的年金というものは、費用も当然国が負担してしかるべきだという、これは一般的に考えて常識だろうと思う。そういう点について大蔵省ががんこに意地を張っておられる。これは各年金の場合共通です、程度の差こそあれ。こういう点が今日までガンになって残り、そして難解のものもまだ改定ができない。格差が公的年金の中に生ずる。特に最近のように国家公務員のベースアップなり、あるいは一般民間のベースアップは、物価その他の上昇につれて激しくなってまいりますと、国の負担の少ないものは今度は掛け金にはね返ってくる、そういうことになるわけです。したがって私は、公的年金は当然国が負担すべき費用の均衡がはかられてしかるべきものと思います。その点に向かって御努力になる御意思がありますかどうか、この辺ひとつ橋本さん。
  94. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) なかなか恩給関係は交通整理がだいぶ必要のように私も感じます。したがって、予算上のいろいろの問題がありましょうけれども、交通整理ができますなれば、大蔵省もこれは考えざるを得ないと思います。私のほうはお願いをする立場でありますから、積極的に大蔵省にもその点を十分理解してもらう努力をする決心でおります。
  95. 足鹿覺

    足鹿覺君 大蔵省どうですか、政務次官おいでになっているようですから。大体これは福田さんが来てはっきりしたことを聞かなければいかぬところですが、大蔵省どうですか、大蔵省を代表して。
  96. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) 実は私、はっきり申し上げまして、あした内閣委員会がありまして、大蔵省関係の法案はあしたかかるというふうに聞いておりまして、実はあまり勉強してきませんので、申しわけないのであります。そこで、ただいまの問題でありますが、なかなかむずかしい問題だと思いますが、十分に検討に値することでありますので、今後とも十分に検討さしていただきたいと思います。
  97. 足鹿覺

    足鹿覺君 委員長大蔵大臣おらぬでいいですか。いまの次官の答弁は無理からぬと思いますが、これ以上あなたを追及しようと思いませんが、これは大蔵大臣にぜひ出てもらいたいと思います。ひとつ手配をしていただきたい。あとででも御答弁願いたいのですが……。  そこで恩給制度に全く関係のない共済組合というものが二つある。これは言わなくとも主計局次長わかっておるでしょう。この二つの共済組合国家公務員共済恩給の流れをくむ共済組合とは別途の国の補助が交付されておることになっております。先ほど来私があげたものの中に含まれておるのです。これを財源調整補助金といっておりますが、この二つの共済組合には恩給関連の国庫補助がないので、その財源調整費が相当部分の見合いとして交付されておるわけです。いわゆる定額制がとられておるわけなんです。定率制がとられていない。そこで先ほども述べましたように、その査定権は大蔵省が握っておられる。いわゆる農林年金を例にとりますれば、農林省が所管しておりますが、この査定権は大蔵省が握っておる。私学共済も同様であります。ですから、この二つの共済組合に関する限りは、いわゆる財源調整補助金というものが定額で、しかも定率を望んでおるにもかかわらず、今日まで十分にその趣旨が生かされておらない。これは非常に遺憾千万なことだと思うのです。その点は御検討になり、将来改められますか。
  98. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 共済制度全般を所管いたしておる担当次長でございませんで、国家公務員共済組合のみを所管いたしておるので、あるいは的確なお答えはしにくいかと思いますが、ただいま御指摘がございましたように私学共済、農林共済につきましては、いわゆる公務員共済、その他共済制度とは違った補助の体系になっております。現在は定率としましては一六%、そのほかに定額の額といたしまして毎年数千万円程度の財政調整資金の交付をいたしておるわけでございます。私学、農林につきましては、御承知のように発足が比較的新しいわけでございますので、したがいまして公務員共済等と比べまして給付の内容に相違があるわけでございます。たしか四十一年度であったかと思いますが、給付内容の改善をいたした等の経緯もございまして、現在は二八%と、他の共済よりは高い補助の率を適用いたしておるわけでございます。さらにそのほかに将来の財源対策等含めまして、一定の額で財政調整資金の交付をいたしておるわけでございます。  先ほど来お尋ねがございますように、現在の公的年金制度につきましての国の補助だけをとらえてみましても、厚生年金が二〇%、船員保険が二五%、事業主のない国民保険につきましては三分の一の国庫負担、共済制度が一五%、私学、農林一六%というふうに非常にまちまちになっておるわけでございます。先ほどたいへん経験の深いお話があったのでございますが、いわゆる国民年金の延長といたしまして統一年金というような思想が、あるいは構想が打ち出されたこともあるわけでございます。ただこの問題につきましては、やはり帰するところは保険料の負担をどうするかという問題になるわけでございます。先ほど来国庫負担ということがしばしば取り上げられておるわけでございますが、申すまでもないことでございますが、国庫負担も帰するところは国民の税金でございます。統一年金制度をとる場合において負担料——社会保険料の負担をどうするか。日本の国は御承知のように社会保険料が定額、定率になっておるわけでございまして、先進諸国におきましては税金、社会保険料の負担を合わせますと、収入の半分近くを国に納めるというような先進国もあるわけでございます。したがいまして、国庫負担の問題を将来どうするかということは、帰するところは、世代間の負担をどういうふうに按配して、どういうふうに国民の負担に反映させるかという問題として解決しなければならない。非常に、何と申しますか、長い射程距離を含んだ問題であるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、現状におきましては、御指摘がございましたように、国庫負担の割合にも格差がございますし、支給開始年齢、支給内容等についても相当差がございます。また意外に詳細な点まで、たとえば障害年金等につきましても、私の承知しておりますところでも、非常に細部にわたっての相違があるようでございます。公的年金制度調整連絡会議におきましては、こういうことを含めて検討いたしておりますだけに、なかなかに結論が出にくいという面のあることも、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  99. 足鹿覺

    足鹿覺君 私のお聞きしておることはもっと簡潔でよろしいんです。つまり、恩給関係の補助金が、この二つの共済組合を例にとりますとないので、財源調整費が相当部分見合いとして交付されておるんです、いつも、御承知のとおりですよ。あなた知らぬなんとおっしゃるけれども、よく御存じのはずなんだ。給与課長よく御存じのはずなんだ。その額が幾らで、その他の部分が予算に含まれておるとすれば、その部分の査定根拠は一体どういう点が根拠でなされておるかということを明らかにしてもらえばいいわけです。それが、私が先ほど言った、いつも定額でいっておるんです、定額で。だから定率化しなさいということを言っておるんです。
  100. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 恩給、各種共済を含めて査定をいたしておりますのは主計局の厚生係でございますので、ただいま担当者呼びに参りましたので、担当者から御聴取いただきたいと思います。
  101. 足鹿覺

    足鹿覺君 だれですか、いないですか。
  102. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) いま呼びに行きましたから。
  103. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それはすぐ来られるんですか。
  104. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) すぐ参ります。
  105. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃあ来られるまで、どうせ数字ですから、先に行きましょう。見えたときにお聞きしましょう、査定の根拠をね。  かつて農林年金と私学共済が、昨年の改正にあたりまして、大蔵大臣、それから農林大臣、文部大臣の間に、この改正に伴う掛け金の引き上げは行なわないとの申し合わせが行なわれたと聞いておりますが、掛け金率を引き上げないためには、当時の費用にして給付の四%相当だったと記憶しております。間違いありますまいか、私の記憶に。
  106. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) 実は担当の主計局の次長が来ておりませんので、いま船後次長並びに相原主計官を呼びに参りました。すぐ参ると思いますので、その質問に対しましては後ほど答弁さしていただきたいと思います。
  107. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃあ時間の都合上、全然別な問題をこの際お尋ねをいたしましょう。  衆議院からわれわれに送付されてきました——衆議院では大蔵委員会のようですが、公的年金の問題に対する附帯決議案に五つついておりますが、その第三項に「外国政府等職員期間の通算が更新組合員に限られているが、終戦当時捕虜として外地に抑留留用され、新法施行後に公務員、公企体職員に就職した者についても通算できるよう早急に調査のうえ善処すること。」という一項がついてきております。これは調べてみますと、六回附帯決議がつけられている、六回。いまだに実現しない。これは一体どういうことなんですか。私どもは、海外に国のため、自分の意思に基づくものとはいえ、元満鉄の職員をやったり、あるいは外地の電電公社関係の職員であったり、そして抑留をされた、そして戻ってみたら通算期間にこれが組み入れられておらないという気の毒な人々がおられるわけですね。ごくわずかなんです、金額も。これが六回も附帯決議が付せられ、当参議院の委員会においても附帯決議が付せられておって、今日までなぜこれが解決されないのか、私は非常にふしぎ千万に思っておる。恩給審議会答申でも、通算を認めていくべきだとはっきり答申しておるじゃありませんか。政府ははなはだ不熱心でありますが、この点について、今国会になぜ——この気の毒な、しかも老齢に達した人々であります。話を聞いてみると、毎日、もう年を越しておるから、もうやめてくれもうやめてくれと暗に強制をされる。しかし、やめるにやめられない、そういう事態である。この問題が一日も早く解決することを首を長くして待っておる。そういう、しかも老齢でありますから、先は言っては失礼でありますがそう長くはない。少なくともこういう人々の期待くらいは、政府みずからが進んでですね、受け入れて、恩給審議会答申をしておるわけであります。でありますから、出されるべきであったと私は思うわけでありますが、その点について、総務長官、どうでしょうね。この金額にいたしましても、来年の四月一日実施ということにすれば、ことしの予算上には一文もかかりません。ですからですね、元満鉄職員あるいは元満州国その他の電電公社等に職を奉じておった人で、この抑留中の期間を通算をしてあげる、そういうふうに次の機会に御善処いただけますか。いただけないとすれば、私どもは、当委員会としても、この程度のことは、来年四月一日にいたしますならば、一文の国の負担もなしに済むわけです。そうして一つの明るい光明を与えてあげたい、こういう希望を持っておりますが、その点いかがですか。
  108. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私にお尋ねでございますが、恩給法では、御承知のように、すでにもう通算をいたしておるわけでございます。
  109. 足鹿覺

    足鹿覺君 その長官のいまの御答弁に準じて、他のほうも、このわずかな人々の期待に沿うように、国務大臣として、これは自分の所管だけはやっておると、他はまあということではないでしょうけれども、やはりこの法の前に平等に取り扱ってあげる、こういうふうに御尽力をいただけませんか。大蔵省もかたくなな態度を示さないで、この点についてはあたたかい気持ちでその希望をかなえてあげたい、こういうお気持ちになりませんか。
  110. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 先生のお尋ねになりました問題は二つあるわけでございますが、一つは、戦争中の外国政府職員で、新法施行後、つまり新しい共済制度実施されました昭和三十四年十月以降に帰ってきた者につきましても、いわゆる通算の制度を適用しろというお話でございます。この点につきましては、現在新法施行の際に在職する人間について通算の措置をとっておるわけでございます。これはものの考え方といたしまして、将来の期待権あるいは既得権を尊重するのは、制度施行の際に在職する人間に限定する、こういう考え方でやっておるわけでございますが、この点につきましては、御指摘のような事情がございますので、さらによく検討いたしてみたいと思うわけでございます。  ただ、抑留あるいは留用期間の取り扱いにつきましては、これは恩給制度のほうでまだ実施をいたしておらないわけでございます。恩給制度において結論を得ました場合には、共済制度につきましてもこれを適用する、こういう考え方で用意をいたしておるわけでございます。
  111. 足鹿覺

    足鹿覺君 もう六回の附帯決議のついた問題を、まだそういう歯切れの悪いことをおっしゃるのですか。いつやりますか。あまりにも気の毒だという気持ちが起きませんか。私は初めてそういう事実を知った。これは何とかしてあげなければならぬ。しかも、みんなおい先の短い人ですよ。問題じゃないじゃありませんか。なぜこの程度のことが実現しないのでありますか。何か重大な事情がありますか。
  112. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 公企体共済組合のことについて申し上げますと、先生御承知のとおり、現在の公共企業体共済組合法は、前の旧国家公務員共済制度とそれから旧恩給制度というものを統合してつくられたものでございまして、その際に、その要請度に基づきまする期待権というものを尊重するという趣旨でこれを処理する——といいますのは、この制度は、事業者とそれから組合員、両者の負担でもってこれを実施するということでございますから、もともと掛け金を払ってない組合員についてこれの給付をするということは本来の趣旨でないわけでございます。しかしながら、その制度が移行に伴いまして、その期待権を尊重するという趣旨で、その当時法律制定のときにいた者に対してこれを給付をするというたてまえのものになっておるわけでございます。  したがいまして、そういう意味で、基本的には非常に問題があるわけでございますが、しかしながら、ただいま先生がおっしゃいましたように、事情としては非常に気の毒なこともあり、またその額も非常に小さい額であろうと思いますので、これについては調査の上前向きに検討したい、早急に検討したいというふうに考えております。
  113. 足鹿覺

    足鹿覺君 橋本さん、いまお聞きのとおりなんです。金額にしても、これは来年四月一日施行ということをやれば、何もことしは一文も国の財政には影響ないのです。まず、老いた人々でありますから、前途に希望を与える。この恩給法関係で、元南西諸島その他いろいろな方面で、いいあんばいにつなげるものはちゃんとつないである。いわゆる本人の意思に反して抑留が長期になり、留用も長期になり、共済法施行後帰国したということで、その後つとめた期間が切れてしまう、したがってやめるにやめられない、こういうことなんですからね。これはこのまま解決がつかないというのは——事務当局の言うなりになっちゃいかぬじゃないですか、どうですか。特に元満鉄の人人は非常に期待もしております。電電公社関係は三十人足らずですよ。満鉄関係が三百人前後でしょうか、私もよくわかりませんが、たいしたことはありません。ひとつ運輸大臣として、満鉄といえばあなたの所管の元傍系機関であったわけですね。電電公社といえば、これはきょうは政府委員はお見えになっておりませんが、やはりその方面につとめておったということで、国家、公企体関係につながると思います。この通算制の問題について、この際御善処いただくことを思い切って御答弁いただけませんか。
  114. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 何とかひとつ山中総務長官に理屈を考えてもらいまして、金額もわずかだし、事情が事情なんですから、これはやはり、理屈がないとかっこうつかぬでしょうから、理屈をつけるのはなかなかうまいですから、総務長官によくお願いをして、ぜひ取れるようにしたいと思います。
  115. 足鹿覺

    足鹿覺君 さっきの答弁、してもらう人が来ましたか——来ない。それでは、私もきょうは時間厳守でいかなければいけませんから、あとで、大事な点ですけれども、これは次官ではわからぬでしょうしね。
  116. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  118. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで続けて承りますが、財源調整についてやはり定率化していくべきだ。そこで、これまでの論議を調べてみますと、共済組合の余裕金の運用によって生ずる利益金を活用することによって財政の健全化をはかる、そのほか足らない部分については財源調整金を交付していくというような政府が発言をしております。政府がそういう考えをほんとうに持っているとすれば、たいへんだと思う。給与比例制を採用している制度では、組合員給与のベースアップがあれば、あるたびに年金財政は赤字になるわけです、御承知のとおり。ですから、この赤字をだれが埋めるのかということが問題になってくると思うのです。これを、最新年度のベースアップによって赤字が幾ら出る、利益金が幾らある、財源調整費が幾ら交付されておる、こういうことについても、きょうは担当官がおいでにならないそうですから、これを次官、はっきりいま御答弁をいただかなければ、あとか、あとも間に合わなければ、このまましり切れトンボにするわけにはまいりませんので、文書その他で明確にしていただけませんか。
  119. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) 責任を持って明確にいたします。
  120. 足鹿覺

    足鹿覺君 総理府の人事局長、見えていますか。
  121. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まだ来ておりません。
  122. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  124. 長屋茂

    ○長屋茂君 私は長官にお尋ねしたいのでございますが、実は私先ほど、長官から御指摘になりました例の二十六項目と、それから恩給審議会が適当であるともまた適当でないとも言わなかった問題、なおむしろ否定的であった問題、こういったような問題の中で、軍人恩給に関する二、三の問題につきまして具体的にお尋ねするつもりで準備してまいったのでございまするが、先ほど山崎委員の御質問に対する御回答によりまして、一般的ではありましたが、とにかく、あの中には私が御質問申し上げようと思った問題点も含まれておると解せられるような御表現で、きわめて明快に、確固たる措置に対する御態度というものがはっきりいたしましたので、この際、そうしたところの問題に対する質問は後日に譲ることにいたしたいと思います。  ただ、一点だけお尋ねしておきたいのでございまするが、それはやはりこのたびの答申の中でも一番重要な問題で、きっきからここでの主題としてあがっております例の調整に関する経過措置の問題でございまするが、たびたび出ました四・五%の問題で、あれが四十四年度の改正におきまして御承知のように一応積み残しとなりましたことにつきましては、それが持つ意義につきましてきわめて重要なものがあると考えまして、私どもは非常に憂慮したんでございまするが、幸いにして本年におきましては、長官の不断の御尽力によりまして、一応それが認められるということになりまして、たいへんわれわれの配慮がなされなけれは愁眉を開いて喜んだわけでございますが、ただ、先ほどからのお話にございましたように、現在法律の上に載っておるのは、先ほどお話のございましたように八・七五%でございまして、その残りの二・二五%については、これは一応四十六年度、こういうことに承知しておるのでございまするが、予算編成時におきまして受給者はたいへん喜んだんでございまするが、いま申しました二・二五%につきましては、四十六年度ということになっておるが、一体具体的にこれが四十六年の一月からになるのだろうか、それとも最悪の場合四十六年の十月からになるのであろうか、こういったような疑問を持ち続けておるのでございます。したがいまして、私この機会におきまして、長官からしてその辺に関する的確なことをお伺いしまして、そしてすみやかにこれを受給者たちにはっきりさせて、そして早く安心させてやりたい、こういう存念でございますが、先ほどからお話のございました三カ月ずらしたということは、結局残りの二・二五%につきましても明年一月からということで承知してよろしゅうございますか、その点の御確認をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) もう少し角度を変えて明確にいたしたいと思います。四・五%の分と、調整分物価公務員給与等の六・五%、計一一%について、その理論構成、積算の根拠、はじき出された金額等について、大蔵大臣と官房長官立ち会いのもとに完全に意見が一致をしたということでございます。ただ、すでに最終段階の閣議直前でございますので、全く財源状態において、その理論構成どおり、意見の一致したとおりの予算を組むことが財源上不足を生ずる。その分につきまして、二・二五%分を一月実施として三カ月ずらしますならば、予算措置は四十六年度予算で足りるわけであるから、したがってその点について私に引いてほしいということでございました。先ほども申し上げましたとおり、その分のおくれます点について、私は全責任を持っておわびもいたしますし、またおくれたることによっての実施については、私の責任において、しかも官房長官立ち会いのもとにおける大蔵大臣との最終折衝において、一月実施、四月以降四十六年度財源によってこれを支払っていくという確認事項について、当然政府全体の責任とお考えになってけっこうでございます。
  126. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  127. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こしてください。
  128. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほどお尋ねしたことをもう一度繰り返しますが、恩給改定費用は当然国が負担することは言うまでもありません。したがって、この改定に準拠した他の共済組合改定に要する費用はそれぞれ幾らになっておりますか、その費用は均衡上当然国が負担するものとなると思われますが、どのように考えられますか、この点をまず明確にしていただきたい。
  129. 相原三郎

    説明員相原三郎君) ただいま手持ちの資料がございませんものですから、また追って提出さしていただきたいと存じます。
  130. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  131. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それじゃ速記を起こして。
  132. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) 足鹿先生にまことに申しわけないのでございますけれども、担当主計官が来たのでありますけれども、御質問に対するいろいろ数字の準備をいたしておりませんので、いますぐここで答弁することがはなはだむずかしいと、こういうふうに考えます。それで、御質問の要旨を伺いまして、お許しを得られるならば、後日、あるいはあしたでも文書によって回答さしていただきたい、かように思います。
  133. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、正確に、私はいろいろ解説を加えながらのお尋ねですから、ここで私がちゃんとメモを整理したものがありますから、さっき言ったことはそのとおり。  次に、恩給制度に全く関係のない共済組合が二つあります。この二つの共済組合には国家公務員共済恩給の流れをくむ共済組合とは別途の国の補助が交付されることになっております。これを財政調整補助金といっておりますが、この二つの共済組合には恩給関連の国庫補助がないので、この財源調整費が相当部分の見合いとして交付されておると思われます。その額が幾らで、その他の部分が予算に組まれているとすれば、その部分の査定根拠を明らかにしてほしい。これが第二問。  それから第三問が、かつて農林年金、私学共済が、昨年の改正にあたって、大蔵大臣、農林大臣、文部大臣の間に、この改正に伴って掛け金の引き上げを行なわないとの申し合わせがあると聞いておりますが、掛け金率を引き上げないためには、当時の費用にいたしまして給付の四%相当額だったと記憶しておりますが、これは間違いはありませんか。次いで、これを財源調整費によってまかなうと説明されたと思っておりますが、そうだといたしますならば、このための財源調整費が定率化されているかどうか。  第四点、また定率化されていないとすれば、今後どのような交付基準によって掛け金率を引き上げないための財源調整費を決定していくのか、その方針を明らかにしていただきたい。これが四点。  第五点は、財源調整については、これまでの論議を調べてみますと、共済組合の余裕金の運用によって生ずる利益金を活用することによって財政の健全化をはかり、そのほか足らない部分について財源調整費を交付していくやに受け取れる発言がありますが、もし政府がほんとうにそう思っているとすれば、これは重大な問題であろうと思います。給与比例制を採用しておる制度では、組合員給与のベースアップがあればあるほど年金財政は赤字になるのであって、この赤字をだれが埋めるかは重要な問題になることは当然でしょう。したがって、そこでこの論議の正否を明確にするため、最も新しい最新年度のベースアップによる赤字が幾ら計算上出るか、いわゆる資産運用益が高率運用いたしたといたしましても、共済年金制別に利益金が幾らあるか、また財政調整費が幾ら交付されているか、以上の諸点を、それでは政務次官、文書によって明確に御答弁していただきますならば、いつまでもこういう問題で時間を空費してはいけませんから、私の質問は一応きょうは打ち切っておきますが、にわかに主計官おいでになりましたので、おかわりにならないと思いますが、恩給法国家公務員共済は一応曲がりなりにも片がつくのです。ただ、公共企業体やこの種の、たとえば農林年金、私学共済その他の格差のついておる年金というものがあるわけなんであります。これが、国庫の補助率を見ましても、国家共済の場合は二〇%ある。ところが、農林年金と私学共済の場合は一六%しかない。それから財政調整は、いわゆるつかみ金なんですね、つかみ金を出す。幾ら定率化しなさいと言っても、やらない。そこで、いま私が出したような、今度のようにベースアップが次々と行なわれる。そうしますと、その年金人たちも当然ベースアップを受けますね。農林、文部、大蔵大臣の間で、掛け金はベースアップをしても上げないということになっておると聞いておるのです。とすれば、その赤字はどうして始末をつけるのか、いわゆる財政の調整金で始末をつけるのか。つける場合には、これを定率化していきなさい。そうでないと、掛け金にはね上がっていきますよ。農林年金の場合は、他の企業の年金よりもいわゆる給付が少なくて、掛け金は一番高いです。その上にまだ掛け金にはね返ってきたら、たまったものではありません。そういう点をよく踏まえてしかと御答弁をいただく、よろしいですね。
  134. 相原三郎

    説明員相原三郎君) まず、財源調整の数字からお答えいたしたいと思います。財源調整の数字でございますが、農林年金につきましては、四十五年度一億五千万、四十四年度は一億ということになっております。私学共済は、四十五年度七千五百万、四十四年度が五千万という数字になっております。こういう制度に対する国庫負担をどうするかという問題は非常に議論の存しますことは、すでに御承知のとおりでございますが、基本的にはやはり最低の給付を確保するというところにあろうかと存じます。その場合に、いろいろな制度バランスあるいは財政への負担というものを総合的に勘案してきめられるものと存じますが、この農林年金の場合、非常に給与が他の共済に比べて低いという問題もございます。負担能力の問題等がございます。さらにその上に、従来からの給付の問題もございまして、その間をどのように調整するかという問題があるわけですが、そこで財源調整を、先ほど御説明いたしましたように、四十四年で一億、四十五年で一億五千万というぐあいに、将来の給付の増加に備えて特に財源調整として措置したわけでございます。これが定率化しないかというところに御議論の焦点があるかと思いますが、これにつきましては、いまお話ししましたように、こういう暫定的な措置ということから、非常に定率化という点については問題があろうというぐあいに存じております。
  135. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの答弁は、いわゆる一応の答弁書の補足として承っておきます。いま次官がはっきり御確約になったわけでございますから、私がいま指摘した点について明確な答弁書を出されたい。  なお、総理府の人事局長に対する質問は、お見えになってからにいたします。     —————————————
  136. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 恩給法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日国家公務員共済組合連合会常務理事柳澤英藏君を参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  六時まで休憩いたします。    午後五時四十五分休憩      —————・—————    午後六時三十一分開会
  138. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十四年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。
  139. 足鹿覺

    足鹿覺君 職制度の問題について人事局長に最初お伺いいたしますが、国家行政組織法の問題点の一つであります職制度について、その制度あり方についてお尋ねをいたします。  私どもの持っております資料によりますと、国家総定員法によって一局の強制削減が行なわれ、かつ定員は一律削減を受けたことはすでに御承知のとおりでありますが、その後、これにかわって職制は複雑多岐、かつ無統一の方向へ進んでおるのではないかと思います。したがいまして、一例をあげますと、局長のもとへ次長が、また審議官または審査官という職制がある。参事官、調査官、課長、課長補佐、係長、班長、主任、参与、これは各省によって若干の違いはありますが、いわゆる課長待遇と次長待遇というものを非常にふやしておる。これがしかも国家行政組織法に基づくものではなくして、政、省令によってこれが行なわれている。この現状は、下の職員は一律に減じ、いわゆる管理職に準ずる者は事実上においてふやしている。こういうことについて非常に問題があると思います。したがいまして、各省別の国家公務員制度の調査、研究、企画、国家公務員等の人事管理の総合調整、一般職の国家公務員の能率、厚生、服務等、国家公務員等の問題に対して所管をしておられます人事局長から、どの省にはどういう職階制があり、その総数はどういうふうになっているか、また今後これをどのように単純化し、整理されていく御所存であるか、その点について担当局長として具体的な答弁を求めます。
  140. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) ただいま先生からの御質問でございますが、先生の御質問の内容を検討させていただきますと、管理職のようなポストがだいぶふえておる、あるいはそれに近いようなポストもだいぶふえておるようだが、それと仕事との関係、それからそのふえ方がどうなっておるかというような御質問だったように記憶いたしております。  ところで、職の増置の問題でございますが、これは先ほど先生のお話もございましたけれども、根本的には国家行政組織法、それから直接にそれに基づかなくて、政令あるいは省令あるいは布令といったような段階で職として設けるというふうに段階はございますが、いずれにいたしましても行政管理庁のポストの問題になってくるわけでございます。もちろん予算がつきまして、それからさらにそのポストを設けるについての級別定数というものが御承知のようにございますが、この級別定数は人事院で所管しておりますけれども、その方面との合致がなければ設けることができませんことは御承知のとおりでございますが、そういう方面の了解を得た上で、行管のほうで設置なさるというのが筋でございます。  そこで、われわれのほうの「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」ということが人事局の事務にございます。それからまたさらに、「人事管理に関する各行政機関の方針計画等の総合調整」を行なうというふうに書いてございますが、この文句からいたしまして、先ほどの行管の関係、あるいは人事院の所掌の関係というものは、ここから除かれているわけでございまして、われわれのほうとしましては、国家管理の、具体的に申し上げますと、人事管理で、まあ職務、ポスト管理、職の管理ではございませんで、でき上がったポスト、それを前提といたしまして、その上でいかに国民に対して能率的な公務サービスをするかという、人事管理の面からわれわれのほうは各省との総合調整に任ずる、その方面を重点に調査、研究、企画をするというようなかっこうにわれわれのほうの事務はなっているわけでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいました、どの省に、あるいはどの庁にどういうふうにそういうポストが設けられておるかという数につきましては、われわれのところは所管いたしておりませんけれども、これは先生の御趣旨をその所管省庁に私のほうからよく伝えまして、先生のお手元に提出されるように、私から連絡をいたしたいと思っております。
  141. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は山中長官にも予算委員会なりその他の機会にもお尋ねをいたしました。たとえば気象庁のごときは、二十四回観測、二十四回通報というものを八回通報にする。それでは非常事態における緊急連絡等にこと欠くというので、大阪では非番職員がやはりこれを自発的に買って出て事なきを得ておる、こういう状態、しかも、ごくわずかな員数、たとえば御前崎の観測所のごときは三人程度の者すらもこれを削るというくらいきびしくして、現在一律定員が行なわれ、あるいは欠員不補充で定員化が厳重に守られておる。にもかかわらず、この等級別定数制度は人事院が管理しておるといって、やはりそれだけで事は足りないと思う。問題は俸給の特別調整額の受給資格を、管理、監督者に限られておるために、組織上のポストを擬制する。これに類似の名目的な参事官だとか調査官だとかいうものをいろいろつくって、そうして事実上において特別調整額の受給資格を取る。しかも、これは法律に基づかずして行政上の方法としてやっておる。下には辛く上にはやわらかい、こういう行き方というものがつまり今度の恩給法公的年金にそれが一つ基準給与額となって適用を受ける、こういうことにならざるを得ないと思うのです。で、これは非常に重要な問題でありますので、各省庁別にどういう職制がとられておるか、またその任用の基準はどういう基準によって任用されているのか。その権限は、たとえば調査官と課長補佐とは大体擬制、制度からいっては同じような意味にとられておるようでありますし、大体の権限、その任用の基準、それらを把握しておいでになるはずだと思うのです、私は。ですからそれを明らかにしていただきたいと思うのですが、きょうはそれはこの場ではっきりさしていただけませんか。
  142. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) 先生も御承知かと存じますが、いまおっしゃいましたような調査官とか、あるいは参事官、あるいは審議官、さらにまた監理官といったようないろいろな名前がございます。その官の名前がついておりましても、いまおっしゃいましたような管理職手当がつくかどうかが、またこれ必ずしも全部ついておるとは限りません。ただその名称を付しておるというものもあるわけでございまして、同じ審議官あるいは参事官一つをとりましても、省令によりまして非常にウエートといいますか、どのランクにあるという問題につきましては各省まことにばらばらでございます。したがいまして、この一つの調査官なら調査官をとりまして、これがどういうふうになっているかというのは、各省庁ごとにおのおの別で、あるいは政令できめてあるもの、あるいは省令、布令といったようなものできめてあるもの、さらにはまたそれに基づく訓令といったようなところで設けているものも中にはあるはずでございまして、この点につきまして、先ほど来申し上げておりますように、私のところでは所管いたしておりませんので、所管庁に私のほうから十分連絡いたしまして、先生のお手元に届くように私ははからいたいと思っております。
  143. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣に伺いますが、最近の食糧庁の汚職を見ましても、係長クラス、課長クラス、これが人事が停滞をして、そうして二十一年間も東京食糧事務所に業界が事務所を持っている。で、つうつうだった、こういうことなんですね。こういう公務員の汚職関係を見ましても、総務長官名で通達が出されていると聞いておりますが、いろいろの人間でありますから、そういう人たちだけではないと思いますが、特に汚職が続出している職制は、参事官、調査官、専門的な職にある者が多いと言われております。これは、いずれにしても多くの矛盾と不均衡、不明確さがこういう事態を起こしているのではなかろうか、かように思うのであります。したがいまして、職の増設問題は、組織法上の問題と同時に、政策論でもあるかとは思いますけれども、国家行政組織法に基づくものは三種類の職制しかきめておりません。むやみやたらにそういうものをつくって、組織上から言って性格のあいまいなものをつくるということはいかがかと思うのです。この点について、事人事院が所管をしておるからというのみではなくして、総理府として、やはり御善処なさることが必要ではなかろうか、かように思うわけでございまして、その点を具体的に人事局長に聞いておりましたが、これは人事院が所管しておるということでありますが、それはそれとしまして、資料をやるということでありますが、長官としては、この点をどういうふうに今後対処しておいでになる御所存でありますか、この機会にひとつお聞かせいただきたいと思います。
  144. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) どのような職階、どのような勤務規則をつくりましても、人の心の問題だけは、これはどうにもならない問題としてやはり残っていくことでありましょうが、しかし、たとえば天下り問題等に見られるように、エリート街道を歩いて来た諸君が、比較的若くして、同期の者が次官に昇格すれば、いかに有能であっても同期の人は去っていく、あるいは次官になったとしても、この人物に五年間この役所の行政を切り回さしたらと思う人物がかりにおったとしても、二年くらいのところで後輩の目を意識してみずから去っていくということなども、私は国民のためにあるべき国家の仕事に奉仕する役人の機構としては、あり方としては、問題が存するように思います。反面、エリート街道といいますか、自分の中央官庁の役所における、流行語ではありませんが、夢も希望も持てないような、かといって、いまさら中途でよそにも行けないというような人たちが、一定の手なれた場所で器用貧乏とでも言いますか、あるいは主みたいな存在になって一カ所で長いこと停滞をする。したがって、一時有名人になりました通産省出身の人物等も、そういうところにやはり許認可事項等に関連をしておったということでありましょう。まあこれらの問題について、現象の面では二通りに分けられますが、さらにやたらといろいろな官職の名前をつけて、ある省では審議官と言っており、ある省では参事官と言っておる。一体それは局長の次の次長クラスなのか何なのか、よくわからないところもだいぶございます。私どもも全部知っておるかと言えばわからないほうがむしろ多いのじゃないかと思いますが、そういうようなことで、人間の数の問題で、パーキンソンの法則が頭打ちをされますと、今度はそのような別な形で次々と内容の質の問題で変化を遂げていくというようなことは、原則的に言って好ましい傾向ではないと私は見ております。私は何も制度の問題を直接所管をいたしておりませんが、しかし、やはりこのような傾向が国家公務員全体の問題であるということは、総理府というものが内閣の総理大臣の姿勢を示すための内政上の役所であるという自覚に立って見るならば、やはりこれらの問題についても、できたものはしようがないじゃないかという態度に終始することなくして、やはり局長が答えましたように、これを機会としていま少しく、各省は一体どのような基準で、どのような官職を、どのような名称を、どのような権限を持たせながらふやしているかというような点をもう少し私も調べまして、その実態等の上に立って、国民から、国民のための官吏としてのあり方について疑問を持たれないような制度に、たゆまざる改善の努力をする必要があることについて、足鹿委員と同感でございます。
  145. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ最初にお伺いいたします。  今度の改正で遺族傷病者及び老齢者恩給の改善がございましたが、この内容はどうなっておるのか、各年金別にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  146. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 御質問の、いわゆる恩給法の一部を改正する法律案の中で、遺族傷病者及び老齢者恩給の改善という便宜的な項目をつけまして、今回改正にあげておるものは次の諸点であります。  まず第一番に、いわゆる公務扶助料の倍率を是正いたしまして、公務遺族の扶助料年額の改善をはかったことでございます。  それから、二番目といたしましては、これも遺族の増加非公死扶助料の倍率の改善でございますが、増加恩給を受けておる人たちが公務に関する傷病でない傷病で死亡された場合の扶助料の倍率を、ただいま申し上げました公務扶助料の倍率の引き上げに応じまして引き上げるほか、さらにこの引き上げられた公務扶助料のいままで七割五分程度になっていないところの部分を七割五分程度にまで引き上げることにしたのが二点。  第三点は、大東亜戦争中の職務に関連して死亡した旧軍人等の遺族に、公務扶助料に次ぐものとして給せられているところの特例扶助料というものの倍率を、ただいま申し上げました増加非公死扶助料の倍率の是正に準じまして是正いたしまして、遺族の処遇を改善するという点が第三点でございます。  第四点は、傷病恩給を受けておるいわゆる公務傷病者でございますが、公務傷病者恩給は、これは恩給法で定額で規定をしてございますが、この額を先ほど来御説明申し上げましたいわゆる調整規定による調整の上に、さらにただいま申し上げました公務扶助料の倍率を引き上げたことによる改善の割合をもって改善しようとしたものでございます。  それから第五番目が、これは老齢者等の恩給年額についての特例でございまして、恩給基礎在職年に算入されている実在職年の年数が普通恩給についての最短恩給年限以上であるものの年額については、普通恩給の年額が九万六千円未満のときはこれを九万六千円とし、扶助料の年額が四万八千円未満のときはこれを四万八千円とすることになっていますが、七十歳以上の者及び扶助料を受ける七十歳未満の妻子については、この九万六千円を十二万円に、四万八千円を六万円にそれぞれ引き上げようとする措置。  以上のことを、便宜、遺族傷病者への改善措置として今回のこの改正案の中に織り込んでおるわけでございます。
  147. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、この公務扶助料の場合、これは最低の兵の階級で、改正額が十五万七千百二十五円、それから増加非公死扶助料で兵の場合は十一万七千九百二十九円、特例扶助料の場合が十一万七千九百二十九円、こういうふうに改正額が出ておりますけれども、これは一月に換算をいたしますと、幾らでもないわけですね。これは二万円年金といわれている今日、こういう低い額でどうだろうかと私はこう思っておるわけです。それも非常に年金とか、恩給に対する不満の声が多い。それは今日の経済の情勢で、戦病死によって残された家族がわずかの扶助料で、ほかに生活をするかてがないような人が特に不満が多いわけです。こういう点を先ほど来、長官のお話を聞きますと、恩給社会保障でないとか、あるいは国家補償であるとか、いろいろとお伺いをしましたけれども、そういう困った人を救っていくのが政治というものであって、この委員会で財政学を論じているのではない。予算を編成する場合は、大蔵官僚が予算要求したものをつじつまを合わせるのですが、総務長官もがんばられたのでしょうけれども、やはりこういうかわいそうな人に救いの手を伸べないというといろんな社会問題が出てくるのであります。この点に対する見解長官に私はお伺いしたい。
  148. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 恩給はやはり戦後の、ことに改定等におきましては下厚上薄の思想でもって大体貫かれておりますので、どの金額が正しいか正しくないか、あるいは適当でないかという議論は当然存在するでありましょうが、考え方といたしましてはそういう考え方も採用いたしておりまするし、当然の受給年限に達した人の公務に従事したことに伴う退職後の生活に対して、一般の国民生活より著しく劣らないような配慮というものについては、これはなす義務が国にあると考えるのでございまして、私は別段、努力といたしましても当然のことについて当然のことが行なわれるようにしただけのことであると考えている次第でございます。
  149. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、当然、長官の御意向としてはこれは上げていかなければならない、こういうふうに私も受け取りますが、現在、生活保護費をもらっておる者、それから生活保護を下回る恩給を受給しておる人が、大体現実にどのくらいあるのか、おわかりでしたら、その人数をお伺いしたい。
  150. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 御質問の点につきましては、恩給だけを区別して調査した資料はございませんが、昭和四十三年度の調査によりますと、恩給受給者も含めまして、公的年金受給者生活保護法の適用を受けている者が二十三万人ばかりあるというふうに承知しております。
  151. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで財政の面から少しお伺いしますが、この増加額は、予算額は幾らになっておりますか、種類別にひとつお答え願いたい、項目別に。
  152. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 本年度の増額予算は十月実施になっておりますから、平年度額の約三分の一で約八十七億——八十六億九千三百万円ほどになっております。
  153. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そのうち、私がいま申し上げました遺族傷病者及び老齢者恩給改善について。
  154. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 先ほどお答えいたしました五項目のものを分けますというと、三十億ちょっとになっております。
  155. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま答弁がありましたように、この傷病恩給者の中で二十三万人の方が生活保護費を受けておる、そういうことですか。
  156. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) ただいま申し上げました数字は公的年金全部でございまして、恩給の受給者についてはそのうちのほんの一部分だと思いますが、正確な調査がしてございません。
  157. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで私がお伺いしたいのは、先ほどから年金物価に対するスライド制の問題もございましたが、その前に公的年金最低保障額について、これは衆議院のほうでも問題になっておりますが、このように年金がちぐはぐなんですね。しかも、生活保護費を割るようなものもあるし、まあこういうものを足並みをそろえて最低保障額というものをきめたらどうだと、こういうような意見もあるのですが、長官はいかがですか。
  158. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) この御質問の恩給のいわゆる最低保障額というのは、正確であるかどうかわかりませんが、この制度につきましては、恩給審議会答申がございまして、他の公的年金制度との関連を考えて適当な額にしたほうがいいということで、先年の改正で、普通恩給については九万六千円、その遺族に対する扶助料につきましては四万八千円としたのでございますが、これは国民年金法の最低保障の金額に合致しているところでございます。  で、今回の改正案で御審議願っております普通恩給についての十二万円というこの十二万円というのは、厚生年金保険法の最低保障の額に合うように改正しようといたしておるところでございます。
  159. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあいずれにいたしましても、この改正額じゃこれはどうにもならぬわけで、いただくほうからいいますとはなはだまあ不満がある。これはいまここで結論を出せといいましても無理でしょうが、これはひとつ前向きで検討していただきまして、先ほどから問題になりましたこのスライド制に関しましてもう少しお伺いをしてみたいと思うのですが、その前に、四十五年度恩給予算の総額の内訳をひとつ説明を願いたいと思います。
  160. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 内訳は大きく分けますというと恩給費とそれから恩給支給事務費になりますが、恩給費の総額は二千七百十億余円でございます。それから恩給支給事務費は三十二億六千三百万円余でございます。以上合計、本年度予算に計上されておる恩給費全体といたしましては二千七百四十二億七千三百四十七万一千円という数字になっております。
  161. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでこの二千七百四十二億は今年度の一般会計七兆九千億の約三・四%に当たっておるわけですが、この過去、恩給費の予算に対するパーセントはどういう経過をとっておるのか、これをひとつ、その数字を明らかにしてください。
  162. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 過去のものにつきましては総予算の決算額と恩給費の決算額との比率が調査してございますが、昭和四十三年以降はまだ決算額の調査がしてございませんので、予算額で比較してございますが、終戦後におきましては、いわゆる終戦直後におきまして、この大多数を占めるところの旧軍人の恩給扶助料につきまして廃止ないしは強い制限を入れましたので、このときはほとんど問題なかったのでございますが、昭和二十八年度にいわゆる軍人恩給が再出発の第一歩を踏み出しました。したがいまして、二十八年度の軍人恩給の再出発の効果のあらわれた昭和二十九年においては九・五%という高い数字を示しております。昭和二十八年度においては、したがいまして、その効果があらわれませんから一・六%程度であったわけでございますが、その後大体において減ってまいりましたけれども、やはり昭和二十八年の旧軍人恩給の再出発にあたりまして非常にちびった関係で、その後の改善等も加わりまして、なかなか割合が下がらなかったのでございますが、昭和三十六年には五・八%に下がりまして、その後順次下降いたしまして、ただいま御指摘のような、昭和四十五年度予算で比較いたしますると三・四%ということになっておるわけでございます。
  163. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 恩給費がそのように二十九年度の九・五%、それから三十六年度ごろが五・八%、それから今日の四%と、このようにだんだん下降線をたどっておる、こういう説明がありましたが、それは下がっておるのはどういうことになるのですか。これはひとつ総務長官から説明を願いたい。
  164. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは予算総体の総ワクとの対比の問題だと思いますので、別段それが下がったから恩給受給者権利が不当に圧迫されたというものではないと思います。試みに将来の展望をしてみましても、恩給費総額が大体二千九百億くらいのところが大体のピーク時になるであろう、それから先は受給権者等の失権その他がふえてまいりますから、やはり下降線をたどっていくわけでございまして、問題は、そういう対比よりも、国家予算は一方的に相当年率の高い十数%からの伸びを示しておるわけでございますので、恩給受給者の数も限られておりますし、対比の比率だけでもって考えることはかえって当を得ないので、その中身がどのようなものであるかということについて妥当なものであるならば、あえて比率の問題は意とするに足りないのではないかと私は解釈いたしております。
  165. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 長官のおっしゃるとおり、私の聞いているのは、恩給はやはり失権者が次々と出てくるわけですから、ですから、その辺の経過を、恩給予算の面においてどういう経過をたどるであろうか、それを聞きたいから聞いておるのであって、パーセントが少ないからけしからぬ、そういうことで私は言っておるのじゃない。ロングランという面から見て、恩給年金に切りかえられた、今後経済が拡大して予算も膨張していく、その中にあって恩給というものの、予算額がどういうような経過をたどっていくのか、これは当然審議の対象になるわけです。それから、その辺からやはり物価スライドする調整制度というものもこれは検討していかなければならない。ですから、そういう点を私は聞いておるのであって、端的に、予算の何ぼだと、そういうことじゃない。  それでは、さらに私はお伺いしますが、いまもお話がありましたけれども、だんだん恩給受給者も失権して、死んでいく人もありましょう。そういうもののひとつ経過を、一年にどのくらいの失権者があって、何年ぐらいがピークになって、金額にしてどのくらいであるか、その辺が大体おわかりになりましたらお伺いしたい。
  166. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 最近の失権率をおおまかに見てみますというと、遺族扶助料等で失権率は大体四%くらいと見られております。その他の恩給につきましては、これよりも若干ずつ失権率が低いような次第でございますが、御指摘もありましたように、この人員の減少率よりも、ここしばらくの間の改善率のほうが高まっておりますので、直ちに近い将来に恩給費そのものが減るというふうな見通しを立てることは困難だと思います。もちろん遠い将来におきましては、大幅に減っていくという時代がくるということだけは想像されるところでございます。
  167. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それなら、予算に占める恩給費のパーセントもだんだんだんだん落下してくる、また恩給受給権者もだんだんだんだんと減ってくると、こうなりますと、その減った分はこれは改善費に回してもいいんじゃないかと、こういうふうに思うんですがね。そういう点から、先ほどから申し上げますようなこの物価に対してのスライド制というものができないのかどうか、再度私は長官にお伺いしますけれども、そうなればどうもできそうな気もするわけですがね。なお、ことしの改善策は幾らですか、八・五%なり、あるいはまた予算に対する比率が四%と、こういうのも勘案してですね。その辺いかがでしょう。
  168. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 失権者が減っていった分の予算額を改善のほうの増額に回せということも暴論であるとは思いませんが、恩給法というものは一定のワクの中を、どんぶりの中を分け合うようなものではございませんで、国の予算が、台所が苦しいときも、あるいは豊かなときも、やはり一定積算の根拠、そしてそれに基づいた計算の結果出た金額というものが個々の受給権者に向かって支払われる義務経費でございますので、やはりふやす場合にはふやすだけの理論的根拠なり、当然そうしなければならない問題であるとしても、はっきりした根拠のあるものでございませんと、金額が百億、前年から下がったから、その浮いた分を何ということなく最低給与額の引き上げに回す、最低額の引き上げに回す、あるいはその金額で済むならばスライド制を採用するというものではなかろうと考えます。
  169. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはそうですよね。やはり毎年毎年こういうふうに物価が五%内外上がっていく。指数の面からいいましても、特にことしは、もう野菜なんかが暴騰しておる。五%どころの騒ぎじゃないですよ、あれは。何倍というのですね。ああいうようなことを考えますと、やはりこれはスライドということは外国にもあるのですから、前向きで検討をする必要があるんじゃないかと思うのです。これは先ほども山崎君の質問で答弁がありましたけれども、この件について、長官は、これは無理だとお考えになるのか。しかし、そういう制度も今後は必要があるんじゃないか。財政が許すと、こう言えば何ですが、財政といえば金科玉条でとまってしまうわけですけれども、ほんとうにあなたが担当大臣としてそれをやるように持っていくような腹があるのかどうか、その辺ひとつ聞いてみたい。
  170. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはたびたびお答えもいたしておりますが、単に恩給制度審議会のみならず、共済その他の各種年金制度審議会においても、その点を指摘し、答申、具申等がなされておりますので、それらの方向に向かって作業すべき方向は正しいことであると考えます。ただ、諸外国でもばらばらのスライド制をかりに採用していても、制度はばらばらでございますから、そのいかなる制度日本に向かって取り入れていくのがいいのか、あるいは日本自体が採用するとすれば、どのようなものがあるのか。たとえば物価一つだけでスライドしていくことを簡単にいいというふうにいたしますと、法律というものは長期にわたって、なお、恩給法の明治からのものを基礎にして私たちいま議論をいたしておるところでございますが、やはり長い将来に向かっての制度として、やはりその時点においてはプラスの問題であったから採用したが、長い将来においてはプラスにならぬかもしれないというようなもの等も配慮をしておかなければならぬと考えます。日本は、私たちは不幸にして戦後物価上昇、貨幣価値の下落傾向の中で生活をいたしてまいりましたために、物価スライドせよというのは、たいへん受給者のためにはプラスになっていくことのように思いがちでございますけれども、これをそのまま採用いたしておきまして、日本がかりに国際情勢、経済情勢もありましょうが、デフレ状態に入った場合のときを考えますと、恩給受給者の既得権を奪うことはできないはずでありますけれども、スライド制ということで無条件にいきます場合には、物価が五%以上下がったという場合においては、恩給受給者も五%以上下がることを自動的に余儀なくされるという制度であるということも私たちは反面考えなければならぬと考えます。そこで、やはり国民生活、あるいは国家公務員給与物価その他の経済事情と恩給法第二条の二に書いてございますようなことを念頭に置きながら、審議会答申の現時点における大きなウエートとしての物価五%というようなものを参考といたしまして、受給権者の既得権ないし保障されるべき権利が不当に侵害されないような配慮を加えてまいるべきでございますから、スライド制の採用をどのような形式にするか、そうして各種公的年金とのどのようなバランスをとっていくかという問題は、言うはやすくしてたいへんむずかしい問題でございますので、前進の方向は、先生の御指摘の方向どおりでございますが、それに向かう道のり、経過、経路等についての検討は慎重かつ十分ばならぬと考えております。
  171. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣の答弁は了解をいたしますが、私の考えは、当分は物価は下がらない、上がる一方じゃないかと思います。それは、最近の高度経済から見てですね、予算は毎年毎年一四、五%前後、こう膨張していきますよ。ましていまの国の財政というものは、これはもう昭和四十一年以来赤字公債を何千億と出しておる。大蔵大臣経済がよくなったらこれはまあ調整すると、そういうことでやったわけですがね。今日のこの景気のいいときにも、いまなお赤字公債を四千億ないし出しておる。予算の規模は約八兆円です。来年の予算規模はどのくらいになるか、一四、五%これが伸びたら九兆円こしますよ。再来年は十兆円こしますよ。それから四十一年度の赤字公債発行は七年目がくると返済しなきゃならぬ。四十七年には四十一年度の約七千億の赤字公債を返さなきゃならない。返すことができなけりゃまた借りかえということになるでしょう。そういうようなことを考えますと、そこへ持ってきて、これから自主防衛だ、どうのこうの言うてですね、日本の軍備を——軍備じゃない、また失言であれですがね、防衛力をどんどんどんどん——これはあなた、第四次防衛整備計画は、中曽根長官の発言によりますと、六兆円こすというのでしょう。五カ年で六兆円というと、一年で平均して一兆円こすのですよ。そういうものを考えていってですね、それはもうえらいインフレになってくる。そういうようなときに、いま私が申し上げましたようなこの公務扶助料で一年に十五万円で、これは一月一万何ぼ、当然これは不満が出てくるのは必然的です。そういうことから私は申し上げているわけですけれども、その辺はここで議論してもしようがないですから、前向きでひとつ検討していただいて、最後に、私は参考にひとつ外国の年金スライド制というのはどういうふうになっているのか、その辺、大まかでもけっこうですから、ちょっと参考のためにお伺いしたい。
  172. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) アメリカにおきましては、公務員退職法というものがございまして、消費者物価スライドする方法をとっておりますが、基準月における指数を一〇〇とした場合において、消費者物価指数が一〇三以上ある月が三カ月以上続いた場合、その間における最高率の消費者物価指数により増額を行なうというふうになっているようでございます。イギリスにおきましては、退職年金法でございますが、恩給の増額につきましては物価指数の上昇を参考として行なっておるということで、詳しい算式その他については、これから私どものほうでもおいおい勉強いたしてまいりたいと思いますが、ドイツ連邦共和国の連邦官吏法及びフランスの文武官恩給法につきましては、恩給増額に対しては公務員給与スライドするということに一応なっておるようでございます。しかしながら、各国ともそれぞれ独特のニュアンスのある制度を持っておるようでございますので、歴史の古い国ほどあるいは確立しておるのかもしれませんし、あるいは新しい国が新しい考え方のものを打ち立てておるかもしれませんし、こういう官吏の身分制度等に関する限りの先進国と思われます国々の問題をよく私も検討をいたしまして、これからどのような制度について考えるかについての参考にしたいと考えます。
  173. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは事務的なことですが、恩給が増額されましても、恩給証書の書きかえということが非常に時間がかかるわけですが、今回の改正によって恩給増額の対象になる人員及び改正案が成立すると恩給証書の書きかえが大体いつごろまでにできるのか、その見通しをひとつお伺いしたい。
  174. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 今回の法律案が成立いたしますと、恩給局所管の約二百八十二万の受給者に対しまして証書を書きかえて、そうして御本人にこれだけの金額に上がりましたということを御通知申し上げて、そうして郵政省の郵便局を通じまして支給するという形になります。この法案を審議していただきますというと、今年の十月分から改定増額されることになりますが・その増額される部分は恩給法の本来のあれからいいますと四十六年の一月渡し、最近では事実上四十五年の十二月に繰り上げ支給することが多いようでございますから、四十五年の終わりないしは四十六年の一月にこの増額分が法律上支給される、支払われるという形になりますので、その一月までには全部間に合わせるように極力努力したいと思いますが、過去の事例におきましても、大体、恩給局で計画したものは、その程度状況で御本人のところへ渡っておるように承知しております。
  175. 岩間正男

    岩間正男君 私は、まあ時間の関係もありますから、最近問題になっております一つの問題、これを中心にやりたいと思うのですが、現在、国家公務員共済組合連合会の乱脈な運営と経理の不正不当な支出が国家公務員の労働組合の手によって明らかにされ、連合会事務当局と監督官庁である大蔵省に対して激しく責任が追及されておる。病気を理由に五月一日に中尾前理事長が解任されただけで、連合会も大蔵省も積極的に責任をとり、今後の運営の改善の措置を示そうとしていないために、国家公務員たちは非常にいま困っている。また怒りを燃やしているわけです。しかも、いまだに昨年度の、四十四年度の事業計画の変更案すら審議されない。ましてや、昭和四十五年度の事業計画予算とが確定していない。国家公務員共済組合連合会は、まさに貸し付け事業をはじめ、それが開店休業の状態になって、多くの公務員は新学期を迎え、教育費用を借りるにもたいへん困っているのが現状です。こういう問題に対して、当然監督の責めに任ずる大蔵省はどのように考えておるのか、まず伺いたいと思います。
  176. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 連合会の現状について、簡単に御説明申し上げたいと思いますが、御質問の中にもございましたように、中尾前理事長が五月一日に退任をされたわけでございます。中尾前理事長は昭和四十二年に連合会理事長に就任をされたわけでございますが、その後、健康上の理由でかなり長期間休まれたような経緯もございます。また、最近病気が再発いたしまして現在入院をしておられるわけでございます。で、連合会のような重要な事務を預かり、また御指摘にもございましたように、昭和四十四年度の事業計画の変更、あるいは四十五年度の事業計画予算の認可申請の手続等も今日までなされておらないような現状でございまして、中尾前理事長は体力、気力とも激務にたえない、こういうお申し出があり、これを了承して五月一日で理事長の交代が行なわれたわけでございます。で、昭和四十五年度の事業計画予算もまだ大蔵大臣に対して認可申請の手続がなされておらないわけでございますが、連合会の事業計画予算は、御承知のように、理事者によってその内容が決定をされ、最高意思決定機関としての評議員会の承認を得て、監督大臣に対して認可申請の手続をするわけでございますが、その前に、その事実上の機関として連合運営審議会という組合の代表者を中心とする会合がございまして、そこにはかるというよき慣行があるわけでございます。連合会といたしましては、二月以降約六回にわたって事業計画説明予算案の承認等に対して説明をいたしたわけでございますが、遺憾ながら今日まで連合運営審議会の了承を得るに至っていないわけでございます。先ほども申しましたように、法律上の手続といたしましては、評議員会の議を経れば、大蔵大臣に対して認可申請の手続ができるわけでございます。しかし、共済組合員の掛け金によって運営している連合会でございますから、十分手続を周到にした上で大蔵大臣に対して認可の申請をしたいということで、監督官庁といたしましては、今日の時点において万やむを得ない現状であると考えて、さらに早急に手続をとるように督促ないし督励をいたしておるのが現状でございます。
  177. 岩間正男

    岩間正男君 私は政府に責任を聞いているんで、経過についての説明も必要ですけれども。だから、私は大蔵大臣の出席を要求している、早く大臣がここに見えるようにしてほしいと思います。  そこで、私はいろいろ最近の乱脈な経理内容について聞いている、それから、ここには国公共闘の機関紙も出されている、これは相当大量に国民の間に行き渡っているものです。また新聞でも最近の動きについては伝えている、こういう問題です。そこで、ここには柳沢常務理事見えておりますね。——柳沢常務理事にこの中で指摘されている二、三の問題についてこれはまず最初にお聞きしたい。  第一に、役員給与の大幅なお手盛り引き上げが四十二年九月から行なわれた、そして理事長が最初は十四万ですか、そうしてそれに十万、こういうようなものであったのに、これが一挙に三十六万に引き上げられて、さらに十万を加える、四十六万になりました。それから常勤理事が十八万円から二十六万円、それから常勤監事が十七万円から二十一万五千円、これは理事会のお手盛り決定に基づいてきめられて、評議員会にもはかられていない、こういうことを聞いているのであります。こういうことで、これははたしていいのかどうか、この点はどういうことになっていますか、まず伺いたい。
  178. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) ただいま岩間先生の御指摘になりました点について申し上げますが、連合会の役員の給与につきましては、前々の理事長の時代におきましては予算に計上せられておりましたが、その予算の計上額よりも低く押えまして役員の給与を見ておったという例があるのでありまして、連合会の事業も相当大規模になってまいりましたので、そこで、中尾理事長が見えられました際に、他の政府関係機関の権衡等もはかりまして、当時の非常勤の役員会において小委員会を設けまして、そこで理事長の給与をいかにすべきかということをはかったのでありまして、その結果、理事長の給与がそれで答申になりましてきめられたような事情にあるのであります。  評議員会にはからなかったということにつきましては、現在の法律のたてまえからいいまして、評議員会に付議するという事項にはなっておりませんが、いろいろ御指摘もございましたので、今後は役員の給与を新しくきめるというような場合におきましては、評議員会の意見を求める、こういうようにいたしたいと、かように考えておるところでございます。  それからただいま四十六万円という御指摘がございましたが、理事長の現在の給与は三十六万円でございまして、四十六万円という役員の、理事長の報酬をきめておるわけではございませんので、念のために申し上げておきます。
  179. 岩間正男

    岩間正男君 大体この金は一体だれのものです。七十二万の公務員のものじゃないですか。それを運営しておるんですからね。だから、このような高額なものをお手盛りでやっていいのかどうか、ここに基本的問題がある。法案を審議するのもいいでしょう。しかし、運営そのものがどういうふうに民主化され、ほんとうに公務員の利益につながるから、ここで問題を解決しなきゃならないわけですね。ところが、いまのような大幅な増額、一体、公務員給与は幾らです、いま。平均幾らになっておる。そういうところに土台を置かないで、いまの答弁ではこれは了承しかねる。  次に聞きますけれども、神奈川県の愛甲原の宅地分譲事件、これは当院の決算委員会で三年ほど前に、われわれもこれは関係して、非常に大きな問題になった。そして四十一年の二月に栗田という前常務理事が逮捕されたわけです。その後、公判に付せられて、これは有罪と、そういうことになっているわけでしょう。ところが、どうですか、やめたこの理事に対して、四年間、月額十二万円ずつ送っている。この総計が大体五百七十六万円といわれておりますが、これはどういうことなんです。どんな名目でこれは送ったんです。
  180. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) ただいまの、栗田元常務に対しましての給与の支給の点でございますが、栗田常務は愛甲原分譲地に関連いたしました収賄容疑で、東京地方裁判所のほうに起訴されましたが、現在なお最高裁に上告中でございます。栗田常務の十二万円の給与の支給につきましては、当時のいきさつが十分に私はわかっておりませんけれども、その当時の書類を見ますというと、職員には休職という制度がございますが、役員には休職という制度がございません。しかしながら、本人が事実を否定しておると、そういう関係がございますので、特別の決裁をとりまして、そうして、当時、栗田常務が支給を受けておりました報酬月額十五万円の八割相当額を支給をする、こういうようになっております。私、その後にまいりましたものでありますから、その決定当時の事情は、いまさだかではございませんが、経過としてはそういうようなことになっております。本人の主張が事実であるかどうかはよくわかりませんけれども、現在の時点におきまして、なお、そういう事実がないと言って上告をいたしておるところでございますので、それらの裁判に微妙な影響を与えることも考慮いたしまして、継続されていたのでありますが、四年間という年月にもなりましたので、三月十七日付をもちまして、本人から辞職願いを提出されましたものでありますから、現在は支給を打ち切っております。
  181. 岩間正男

    岩間正男君 これはお願いしておきますが、時間をお互いにこれは協力し合ってやっているんです。だから、聞いたことに答えていただきたい。もう大体経過についてはわれわれも知っているし、当時も決算委員会でだいぶ問題になった。私が聞きたいのは、大体、逮捕され、それから起訴されたんでしょう。起訴されれば、どうですか、普通の公務員の場合というのは、もう罷免されるでしょうが。ところが、これに対して、最近の三月何日まで、指摘され、騒がれなければ、これはあくまでやるつもりだったのでしょう。そうして非常勤職員という名前で。こういうことが許されますか、一般の何で許されますか。こういうことが一体通ると思っていますか、どうなんですか。これはだれに聞いたらいいですかな、大蔵省、次官いるな——早く大臣呼んでくれ、どうしたんだ。
  182. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) 大臣がおりませんので、政務次官の私から答弁さしていただきます。  ただいま岩間委員がおっしゃいましたこと、まことに遺憾な事実でございます。ただ、公務員の場合でありましても、起訴の事実だけではこれは処分できません。現在、栗田元常務理事に関しましては、東京地裁、高裁では有罪の判決が出ておりますけれども、最高裁に上告をいたしております。ただ、そういうふうな事情がございますけれども、おっしゃいましたように、理事はやめまして嘱託という身分で十二万ずつ支給しておったということはまことに遺憾なことでございます。急遽三月何日にそれを取りやめた次第でございます。
  183. 岩間正男

    岩間正男君 いまの答弁でも明らかなように、こういうことが許されるのは——一体一般の公務員の場合こんなことができますか。起訴されただけでこれはたいへんでしょう、ほとんどこれはどのような形式をとってもやめさしてしまう。しかも、これは公務員の福祉に関係するこういう組合の役員ですよ。しかも何のためにやったかというと汚職なんだ。こういう役員が、しかもこれは地裁それから高裁の有罪の判決が出ているのです。これが今度最高裁までやっていればどんどん金が届けられる、そんなことが許されますか。労働者の諸君はこう言っていますよ。栗田理事にこのようになお金を出されている、六百万にも近い金がこのように出されたのは、実はこれをやらないというと問題が波及する、それを押えるための口どめ料だと、こういうふうに労働者は言っている。知っていますか、そうですよ、波及するのだ、問題、知っていますか。こう言われているやさきに、騒がれなければ、結局これはこのままにしてしまうのだという、こういうずうずうしい根性で七十二万の国家公務員共済組合を預かってもらっていいですか。これはやっぱり政治責任の問題だからね、これは委員長、ちょっといかぬじゃないですか、まあ次官でもけっこうですけれども、やはりいかぬ。
  184. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 大臣見えるだろうと思いますがね。
  185. 岩間正男

    岩間正男君 責任問題ですよ。  じゃ、次に聞きます。車の使い方です。これはあんまりこまかいことまで入りたくないのだが、これは性格としてお聞きする。現在、連合会にどれくらい車ありますか。
  186. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 七台ございます。
  187. 岩間正男

    岩間正男君 それで、自動車賃はどれくらい払っていますか、車の。ほかのハイヤー、タクシーを雇っているその金は何ぼ出していますか。
  188. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 四十四年度におきまして約六百万を払っております。
  189. 岩間正男

    岩間正男君 そうでしょう、四十三年度が五百四十四万、それから四十四年度が六百十九万、まあ月八十万から五十万、それで、たとえば四十四年八月一カ月というのを私は見たのですが、これはどういうのに使っているのです、この金は。八十万のハイヤー、タクシー代というものがあそこの共済の運営のために、どういう一体形なんです、これは。内容出ていますか。
  190. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 四十三年度から連合会の機構もだいぶ強化いたしまして、人員も多くなったわけでございますが、買い取りの七台という自動車は従来からの台数でございまして、相当役職員もふえたわけでありますが、それに対しましては特に自動車の手当てはいたしませんで、むしろ借り上げでもって処理をいたしたいという考えで処理をいたしました関係から借り上げ料が急速に増加した、こういうことでございます。
  191. 岩間正男

    岩間正男君 あなたはどこにお住みですか、蕨ですか。
  192. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) そうです。
  193. 岩間正男

    岩間正男君 あなたは前に、これはハイヤーで三千円払っているのですな、これは毎朝片道だけで三千円払っていますな、これが正常でしょうか。
  194. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 私のところは蕨でございますが、朝、片道使ったということはある期間事実でございます。これは私が病気をいたしまして、その予後のために特にお願いをいたしまして使わしてもらったものであります。
  195. 岩間正男

    岩間正男君 これは一々、会計検査院じゃないですからこまごまやる何はないけれども、こういうところですよ、いまの問題になっているところは。そうしてどうですか、この八十万の内容を見ますと、一カ月ですね、四十四年八月一カ月で送迎用が二十四万六千円だ、残業用が二十七万五千円、来客用が十八万八千円、事務連絡用が十一万八千円、この中にはマージャンをやっておそくなって気前よくこれは払っている、それから料亭通いや物見遊山への遠乗りがこれが連想されると、これには書いていますね。こういうことで、八十万の車代が七台の車を持ったほかに使われる運用、これは殿様なんです。たいへんなこれは共済連王国じゃないですか。こんなことが許されると思っていますか。
  196. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 自動車の借り上げ料につきましては、ちょうど四十三年度から連合会の規模を増大いたしました。それに伴いまして、いままでのある特定の人によって運営せられておりました事務を組織によって運営さしていく、そのためには諸規程とか、そういうものの整備改善が従来ほとんど行なわれておらなかったのでありますが、それを行なったとか、また従来のいろいろな懸案事項につきましても、所用のために相当仕事をやったというような関係がございまして、ある程度過渡的な現象であったろうと思いますが、今後におきましてはその点につきまして十分自粛いたしまして運営をいたしたいと、かように考えております。
  197. 岩間正男

    岩間正男君 これはそういう逃げことばぐらいでは済む問題ではないですな。この経理は徹底的に洗わなければいかぬと思うのですよ。七十万の国家公務員がいまのあなたの答弁を、これ、了承すると思いますか。  次、宴会費、昨年十二月、伊豆の稲取で各省評議員を二十七名招待して、本部から十五名出て四十二名、これで宴会をやりましたな。相当豪奢なもの。これは五十一万二千円の支払いをやっているはずですね。こういうことをしばしば行なわれているようですが、こんなに金がふんだんにあり余っているわけですな。そしてこれをなぜやったと聞いてみると、大蔵省の財務局との顔つなぎ的な会議が多い、こういうことを中尾理事長が述べている。そういうことなんですか。これが常態なんですか。われわれ知らない。つんぼさじきなんですから。どうなんです。
  198. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 四十四年の十二月に伊豆稲取の当会の保養所におきまして評議員の懇談会を開きましたことは事実でございます。その場合に、旅費とそれから会議費とを出したのでありまして、そういう保養所でもって評議員会を開きましたりすることは、従来からも年に一回ぐらいは先例になっておったのでありまして、特にそのために金を多く使ったと、こういうことではございません。
  199. 岩間正男

    岩間正男君 これもあとでやりましょう。評議員会なんというのはどういうことなのか。大体上役のきめたことは反対なんかできるものか、はい、はい、はい、シャン、シャン、シャン、それであと一ぱい、そういうことじゃないですか。こういうようなことであんた済むと思っていますか。もう少しきびしい目というものを感じなければいかぬよ。公務員の利益を守るなら。これ、全部かけた金でしょう。大体、公務員の掛け金何ぼです。一年で約一カ月じゃないですか。千分の七十二ですか、千分の七十二。六万円の人が四千何ぼ、この参議院の例を聞いてみましたけれども、四千二百何ぼ出した。これは十二カ月で大体一カ月ですよ。一カ月の共済掛金かけているんですよ。これでこれ以外に出ているんじゃないでしょう。それとも大蔵省からもらっているんですか。あとから聞てみますが、どうなんです。
  200. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 本部の経費のうち管理的な経費につきましては昭和四十三年度から国の補助金をもらっております。昭和四十三年度におきましては八千五百万円、四十四年度におきましては一億二千万円、四十五年度で一億七千万円の支給を受けることに相なっております。
  201. 岩間正男

    岩間正男君 これはまああとでやります。あとでやりますけれども、はしなくもそういうことになっている。  それじゃ食料費。次に、食料費ですか、四十二年度でこの食料費が六十三万円だった。それが四十四年度になると三百二十二万円というふうにはね上がるわけですね。何ぼ物価高騰だってこんなに上がりますか。人数もふえたのかもしれませんけれども、五倍です、五倍以上ですね。こういうようなことがあり得るのか。この買ったのを聞いてみますと、どうですか、来客、それから残業用の酒、それからウイスキー、ビールなど。これは酒屋から買えばもっと安いわけだ。大体これを一体中で、あそこで飲むんですか。これが一つ問題だ。買うにしても、酒屋から買ったほうがずっと安い。ところが、新橋の升本ですか。それから銀座の料亭の桔梗家、これは私あまり見たことがないから知らぬけれども、こういうところから高いものをわざわざ、たとえば、菊正、これは一升びん二千円というようなかっこうで買っていたらどういうことになりますか。殿さまだってこんなことをしない、どうなんですか。
  202. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 食料費につきましての御指摘でございますが、先ほど来申し上げましたように、四十三年度から連合会の機構を大幅に整備拡充をいたしまして、各省からも相当の職員をもらっております。また、先ほど申し上げましたように、従来の残務整理とか、あるいは新たな規程類の整備とか、あるいは事業計画予算等の関係もございまして、相当の残業が続きましたものでありますから、この残業の際に大体八時を過ぎましてからずっと残っているというようなものにつきましては、ある程度食事を出したということでございまして、それが十二時ごろ過ぎるというようなものにつきましては、ある程度酒も元気回復のために支給をした。こういうことでございますが、御指摘によりまして、この点につきましても十分節約するものは節約しなきゃいかぬというたてまえから、できる限り残業もセーブいたしまして、そうして、それらの経費の支出につきましても極力節約をするというような現在努力をいたしております。
  203. 岩間正男

    岩間正男君 あんた、さっきまあ病気と言われたけれども、とにかく蕨から三千円の車代を使っていて、節約しなさいと言ったってほんとうに職員が信用しますか。こういうやり方、ことにまあ聞くのですが、共済連では非常に夜残ることを喜ぶそうですね。残業したい。夜になるたけ残りたい。こういうことらしい。それは一ぱいだか何だか、それとマージャン、そういうことじゃ困ります。  それから新聞ですね。新聞を発行したんですが、組合員の広報宣伝用というので百十六万七千円、これは高いものにつくので、一部当たり五十円ということになりますが、これは中尾理事長の親しい間柄の経営者に頼んだ、こういうことを聞いておりますが、これはどうなんです。こういうような契約手続ですね、これは施行細則にはっきりうたっておると思いますが、こういうのは違反ではありませんか。
  204. 柳澤英藏

    参考人(柳澤英藏君) 壁新聞の発行につきまして、これはプロポーズ社という会社に委託したものでありまして、その委託にあたりましての契約といたしまして、随意契約をもって契約をいたしたわけであります。これは取材から発送までの一連の仕事を委託したわけでございますので、特に競争させるということは困難でありましたので、随意契約によってやったのであります。
  205. 岩間正男

    岩間正男君 大蔵大臣来ないようなので、もう少し姿勢を正さないといかぬのですが、幸いに若手の国務大臣がおりますから、山中総務長官どうです、いまの話を聞かれて。ちょっと言いにくいですか。そうでもないでしょう。国務大臣としてちょっとあなたの見解というのを聞いておきたい。今度早く大蔵大臣呼んできなさい。そうでないと困る。何か所見ありますか。なければないでいいです。
  206. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 国家公務員給与担当大臣でございますから、所見がないはずはございませんけれども、まさかそういう酒の買い方、自動車の使い方、いろいろ常識では考えられないことのように思いました。なお、私、寡聞にしていままで承知しておりませんでした。大蔵省から国が助成金を支出しておるということについては、先ほど主計局次長よりちょっと聞いたのでありますが、その金を出さない前は、それぞれの各下部からの吸い上げでそういうような支出がなされておった。したがって、大蔵省としてはその使い道までこまかく——いまのようなずさんなものに使われるとはまさか思っていないでありましょうから、運営費の補助について不必要な吸い上げ等の行なわれないよう、国家公務員共済組合でございますから、そういう連合会としてのあり方が資金等の面において不正確でないように配慮をして支出をしたということでありますから、その支出についても、大蔵省としては、支出する以上はその連合会のあり方等について、当然、支出先を、会計検査院の検査を待つまでもなく、要求された予算をそのものずばり出す大蔵省でもありませんので、今後は、大蔵大臣も参りましたら別でありますが、大蔵省としましても、主計局の立場からでもやはりそのようなあり方については当然検討をすべきものだと私は考えました。
  207. 岩間正男

    岩間正男君 助成金の問題ですが、これはまるでこの助成金が当然のような形に言われているのですが、これはいいんですか、これで。いいんですか。
  208. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 連合会等に対する国からの助成金の問題でございますが、これは先生御承知のように、共済組合法の規定によりまして、長期給付に要する事務費につきましては国が全額負担をするということになっておるわけでございます。で、ただいま問題になっております補助金でございますが、四十三年度八千五百万、四十四年度一億二千万という数字でございますが、これは先ほど山中国務大臣から御説明がございましたように、本部の一般管理運営費につきましては、長期給付に必要な事務費につきましては国が負担をいたしておりますが、連合会は長期給付の事務のほかに福祉事業その他資産運用等の事業をいたしておるわけでございます。したがいまして、当然に一般管理費としての一定の所要額が必要になるわけでございます。連合会、大体御承知と思いますが、約一万人の従業員を持っておるわけでございます。総資産にいたしまして約四千億の資産を持っております。こういう企業体の姿等から見まして、従来は非常に事務職員も少ない、組織も整備されず、規定も整備されないまま運営されておったわけでございます。その後、昭和四十三年度以降になりまして組織の整備、人員の充実をはかってまいりました等のこともございまして、先ほど申し上げましたような一般管理費等につきまして、いろいろな経理から一般事務管理費としてこれを吸い上げるということは、公務員全体の共済活動の上に必ずしも適当でないというふうに判断をされましたので、一般管理事務費の補助として、予算補助の形で八千五百万あるいは一億二千万の金額を支出いたしておるわけでございます。したがいまして、現在、連合会に対する補助金といたしましては、長期給付関係の補助金、それから医療施設費関係の補助金、これが相当大きな金額になっております。医療施設、病院等につきまして減価償却あるいは借り入れ金の金利等に対しても助成をいたしておるわけでございます。したがいまして、連合会全体に対しまする助成費としては昭和四十四年度予算で約四十七億円となっております。
  209. 岩間正男

    岩間正男君 あなたはそういう説明をされたが、これは法的にもっと明確にすべきだと思うのですね。法律に定められた助成金が二億四千万円、年金事務以外に四十四年度は六億八千万円の補助金が大蔵省から連合会に出されている。この六億八千万円は病院の建設資金の金利とか、それから減価償却費と表向きはなっていますが、実は昭和四十三年度、先ほど話がありましたように八千五百万円、四十四年度は一億二千万円が連合会の本部経費として使われているわけですね。共済組合法九十九条ではこれは認められていない金で、何を根拠にしてあなたたちはこの金を出しているか。九十九条ですか、これじゃこれは認められないでしょう。どうなんですか。まずそこから聞きましょう。
  210. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 先生の御指摘になりました国家公務員共済組合法第九十九条第二項第五号でございますが、組合の事務に要する費用は国が一〇〇%負担するということになっておるわけでございます。したがいまして、長期給付に必要な事務費は全額国が補助をいたしておるわけでございます。そこにただし書きがございまして、福祉事業にかかわる事務については対象としないと、いわば福祉事業は連合会の固有の事業ではございますが、長期給付の事業等に比べまして直接国が補助の対象とする、いわば国の事業を代行する性格を持たないわけでございます。そういう趣旨をこの規定はあらわしておるわけでございます。そこで、先ほど御説明申し上げましたように八千五百万、あるいは一億二千万という金額は福祉事業に対する補助ではございません。したがいまして、予算補助という形におきまして、先ほど来御説明申し上げましたように、連合会の一般事務管理費に対する補助の必要性に着目して補助をいたしているわけでございます。
  211. 岩間正男

    岩間正男君 これをどうして福祉事務にかかわる事務でないということになるのですか。そんなことは解釈のしかたであって、実際は福祉事務を預っているのですね。それが根本になるわけでしょう。そういう形でこの規定の九十九条というのは運用できないじゃないですか。組合の事務費の中だってどうです。それからいま言ったように、酒を飲んだり、乱脈に金を使う宴会費、こんなものをみな福祉事務費だと言うのですか。こんなものをまかなうほど大蔵省は金が多いのか。これはどうなのか。実態で言ってごらんなさい。そんなこまかしの——これが根拠だから出せるのだというので、こんなものをどんどんふやしていったらどういうことになりますか。
  212. 橋口收

    政府委員(橋口收君) ただいまの法律の解釈について御説明をいたしたわけでございます。連合会の経費の支出の実態等につきましては、先ほど来御議論になったような経緯も承知をいたしているわけでございます。先ほど申し上げましたように、連合会は相当大きな組織でございます。したがいまして、まず経費の支出等につきましては、理事長の権限、責任においてこれは行なうという仕組みになっているわけでございます。連合会も経済活動をいたしておるわけでございますから、いろんな面に必要な経費のかかることも事実でございますが、しかし、先ほど来御議論になったような経過もございますので、世間の疑惑を招くことのないよう、さらに監督は厳にいたしてまいりたいというふうに考えております。
  213. 岩間正男

    岩間正男君 大体積み立て金は四千億円以上あるわけでしょう。その金利は推定されただけでも二百億をこえるわけでしょう。正確に言ってください。いま積み立て金幾らあるのですか。
  214. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 四十三年度年度末積み立て金は二千九百五十億でございます。
  215. 岩間正男

    岩間正男君 そうしてそれの金利は約二百一億くらいになるでしょう。ところが年金給付額はどのくらいありますか、年間では。
  216. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) まず同じく四十三年度で給付額、年金で百二十四億でございます。そして一時金で二十三億、合計百四十七億九千万円でございます。
  217. 岩間正男

    岩間正男君 金利で払って余るじゃないですか。そんなところに何で補助が要るんですか。金利で払っても六十億くらい金が余る、そういうところになぜ補助が要るか。そうだから、これはウイスキーをわざわざ銀座の料亭から買ったりだの、それからタクシーが乱脈に乗られたり、宴会費がばかにかさんだり、こういうことが起こるのじゃないですか。大蔵省は共犯か、これを幇助しておるのか。谷口さんてあなたですか。ちょっと聞きたい。五月七日の衆議院の大蔵委員会で、わが党の小林委員のこの問題に対する指摘に対して、あなたは、法十二条に基づいて合法的に支出しているということを答えた。これは速記録に載っておるわけだね。これでいいですか。
  218. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) 先ほど次長が答えましたように、実はこの国家公務員共済組合連合会医療施設費等補助金、これは目でございますけれども、その補助金は予算補助でございます。そういたしまして、実は先般の衆議院の大蔵委員会におきます小林先生の御質問に対しまして、小林先生のほうから、実はちょうどいまの岩間先生と同じように九十九条二項五号の問題の指摘がございました。それと関連をいたしまして、実はこの補助金はそういった九十九条二項五号に基づく負担金ではない、こういう御説明をいたした次第でございます。ただ、そのときに国家公務員共済組合法十二条を援用いたしたわけでございますけれども、これはあるいは少しことば足らずで誤解を招いたかとも思いますが、もう一度この機会に正確に申し上げますと、先ほど先生がお話のように、十二条では、「各省各庁の長は、組合の運営に必要な範囲内において、その所属の職員その他国に使用される者をして組合の業務に従事させることができる。」、あるいはその二項で、「各省各庁の長は、組合の運営に必要な範囲内において、その管理に係る土地、建物その他の施設を無償で組合の利用に供することができる。」、こういう規定がございます。同じく国家公務員共済組合法の一条二項に、これは国家公務員共済組合法の目的からきておるわけですが、「国は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」、こういった一連の考え方国家公務員共済組合法にはございます。したがいまして、この一条あるいは十二条、こういった考え方共済組合に対する助成、あるいは共済組合に対する配慮という形で出てまいるわけでございますが、ただ連合会の場合には、先ほど申しますように、直接的にこの施設——実はそのときの議論でもありましたのですけれども、従前は職員のうちで大蔵省から派遣されているものがおりまして、まさにこの十二条の一項に相当する部分のものがございましたが、現在ではそういうことのかわりに、先ほど申しましたように、予算補助という形でもってこの連合会に対して助成補助金を支出しておると、こういう状況でございます。  以上でございます。
  219. 岩間正男

    岩間正男君 さきの答弁とだいぶこれは違うわけですね。九十九条は負担金をきめたものじゃないということをあなたは言った。それから今度は十二条を出した。十二条のどこにこれは予算の支出のことがありますか、補助していいなんてことが。これは建物を使用させるとか、その職員が組合の任務に当たっていいということをきめたんで、何も予算規定じゃない。読んでみなさい。どんなに見たって、私はさっきから何ぼ見てもそこから金は出てこないです。それから、あなたは総則をいま出しましたが、これはどうでしょう。総則の第一条二項、「国は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」、そうしたら健全な発達なら、金がだぶついているところにこれは健全な発達をはかるための考慮ということになるのか。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 そんなべらぼうなことがありますか。金が余っている。だぶついている。二百億からの金利があるんだ。その中の八割、七割五分ぐらいがこれは年金として出されているのですけれども、年間に六十億ぐらいずつ余っているんだ。そういうところに健全な発達を促すために金を出すのか、国家から。これが大蔵省か、冗談いっちゃいけない。
  220. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 岩間先生の御指摘のございますのは、いわゆる長期経理勘定についてのお話でございまして、長期経理勘定は御承知のように共済組合の将来の年金給付の原資を確保するために責任準備金として積み立てをいたしておるわけでございます。その責任準備金は一定の方式に基づきまして運用をいたしておりますので、その点に関しましては御指摘のように利差益が出るわけでございます。しかし、これは長期経理勘定といたしまして、他の本部勘定とは一切別の、いわば信託的な勘定になっておるわけでございます。したがいまして、その利差益の中から   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 給付も行ない、また長期経理に必要な負担金として現在国は半分を負担し、また、長期給付に必要な事務費は全額国が負担をしておるわけでございます。したがいまして、ただいま問題になっております本部の職員、物件費等に対する予算補助につきましては、法律規定によらず、連合会の現状を考えての措置でございます。谷口給与課長が御説明いたしました十二条は、そういう助成措置が単位共済については現実に行なわれているが、しかし、連合会につきましてはそういう助成の措置がないということ等もあわせ考えまして、そういう補助に踏み切ったと、こういうことでございます。
  221. 岩間正男

    岩間正男君 これははっきりしてきた。法律に基づかないところの補助が行なわれているということですね。だから、やめた中尾前理事長というのは何と言ったでしょう。これは四十二年の九月でしょう、就任したのは。だれが大臣のときだったかね。そのとき何と言った。自分の持参金を持っていくんだ、持参金のつもりだと、こう言った。これで顔をきかせるつもりだ、そうしてこの金というのは非常にだぶついているけれども、こういう形で実は相当なところでどこかで吸い上げているんじゃないですか。天網恢々ということもありますよ。ここが非常に大きな問題です。こういう形で、実はこの共済組合に、この中尾さんというのはもと何ですか、前歴は。大蔵省の時代何ですか。
  222. 橋口收

    政府委員(橋口收君) よく御承知でお尋ねだと思いますけれども、最終経歴は理財局長です。
  223. 岩間正男

    岩間正男君 よくわかっています。こういう形で幹部が派遣され、そしてそういう形でこれは補助金もいく、補助金が非常に乱脈な使い方になり、これをほかで吸い上げる。そういうことも起こる。これは全くこの背景というのはおそろしいですよ。それともう一つはどうです。一体こういうかっこうでこの積み立て金が資金運用部資金に半額はいくわけでしょう。これは何も国家公務員共済組合だけじゃない、そういう形で運用される。いわば非常にこれは掛け金は高い。そうしておいて金はだぶついている。一方で年金のワクというのは、こうして委員会でも論議されるように、ほんとうに現在の物価高の中であえいでいる公務員の要求を満たすものになっていない。これは何なんです。この運用のしかた。ここが非常に大きい。私はこのような形でこの国家公務員共済組合が運用されているところにこそ、この根源はやはりある。むろん現在のこれは役員たちの乱脈な経理そのものは大きく指弾されるところでありまして、しかも、機構そのものが非常に大きな問題になるんじゃないかという点、ここを明らかにしなければならぬと思う。どうも大蔵大臣、終わりごろに見えたんで、ほんとうにあなたに聞いてもらいたかったんでありますけれども、いま、とにかく国家公商員の共済組合における乱脈な経理の問題について、これはいまただしているところです。そうしてこのようなやり方の中には、全く共済制度というような形で、実は多額な資金が集められる、そうして、それが資金運用部資金になる、そうしてその経理を見るというと、全く金利でもって年金を支払ってあり余る、利子でやれる、そういうところに、おまけに年間何億の金が出されておる、こういうような仕組みになっておる。この仕組みが非常に私は重大な問題で、これは法案の審議、その裏づけとしての実態というものを明らかにしなければならぬ、公務員の諸君はこういうことを望んでいるのじゃないと思うのです。こういうばかなしかたを、そんな金が余っているなら、当然掛け金を安くすべきですよ。こんな金が余っているなら、当然、年金の額を高くすべきですよ。ほんとうに補助するような、そういう体制をとるべきだ、年金の額を高くすべきである。私がこの問題を実は問題にしているのは、ほんとうにこの運営の具体的な姿、いま大きな問題になっておるこの問題と対決しなければこの問題は明らかにならない、こう思っておるから、そこでほんとうにこういう乱脈なやり方で行なわれていることを、当然七十二万のこれに関係する公務員の労働者が憤りを持っておるのはあたりまえだろう。だから、こういう点について十分に意見を徴すべきだ、そうして民主的な運営をまず機構の面から考えなければならぬと思うわけです。第一にどうですか。これは任命制になっておりますね、理事長は。それから理事はこれは大蔵大臣の許可を得て理事長が任命する、こういう形になっておるわけですか、監事もそうですね。そういう形になっておるわけでしょう。そうしてそのあとに評議員というのがあるわけだ。この評議員というものは、これも資料を出してください。この何を見ますというと、ほとんど官房長とか、もう局長とか、そういう人たちによって占められておる。この人たちはほんとうに七十二万の組合員の利益というものを守って、そうしてその要求を反映する、そういうことをやっていると思っていますか。全然そうではないでしょう。上のほうには上部の上役がいる。そういう人たちが理事になっている。そういう形になっているでしょう。ここにも私たちもらった資料がございますが、現在の常務理事を見ますというと、これは大蔵省の研修所長、それから防衛庁の陸上幕僚長、それから会計検査院の第四局の参事官、それから日本専売公社の監事、それから常任監事としては、総理府の厚生監理官、こういうかっこうで、非常勤の理事の中には農林省の官房長、通産省の官房長、衆議院の管理部長、それから法務省の官房長、文部省の管理局長、監事には最高裁判所の経理局長、それから労働省の官房長、こういうかっこうです。こういう人たちがきめて、そういう案件について今度は評議員会にはかられておる。その評議員会の評議員というのはその下になっている人、その人たちがいわば上役のきめたそういうものに一体いまの官僚制度の中で反対できますか。それを反対して公務員諸君の切実な、この物価高の中であえいでいる、低賃金の中であえいでいるそういう要求というものがほんとうに実現できるかどうか、これはできないでしょう。そう思いませんか。だから、これはこの任命のしかたというものは根本から変え、運営のしかたというものを根本から変えることなしに、この国家公務員共済組合の民主的な運営というものはあり得ない。また、本来の趣旨にのっとってこの制度公務員のために前進させることはできない。それで、これについてどうなんです。労働者の代表を出したらどうです。これに参加させなさい。評議員なんかどんどん労働者の代表を出すべきです。七十二万の公務員の大部分というのはこれは労働者なんです。その人の利益を守り、その真の代表を選び出すべきです。任命制はやめるべきだ。そしてほんとうに民主的に、ほんとうにその人たちの利益につながるその人たちが当然これは運用すべきです。ところが全然そういう人たちが運用から排除されている。こんなやり方というのは絶対これはいかぬと思いますが、大蔵大臣にこの点の見解を聞いておきたいと思います。
  224. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ制度というものはいろんな角度から見て長所もあり欠点もあることだと思います。しかし、問題は幾らいい制度ができてもその運用ということだろうと思います。運用につきまして、いまいろいろとこの問題につきましては考えておるわけでございますが、先般、理事長の更迭をいたしたわけであります。また、理事長を補佐する理事につきましても、この機構がほんとうに公務員のしあわせに動くようにということに配意しながら、ただいまこれから検討をいたしておる最中でございます。またいろいろ岩間さんにも御意見があるようですから、検討はいたしておりますが、とにかく何よりも運営が先だということで、運営について十分ひとつこれを進めてみたい、かように考えるのであります。
  225. 岩間正男

    岩間正男君 最後に、栗田理事の愛甲原の宅地の問題で不正が決算委員会で追及されました。当時の今井理事長が出てきてそういうことを言ったわけですね。今井私案を出したわけだ。しかし、これは全然つぶれたでしょう。あれで私たちは十分だとは思いません。当然これは労働者を参加させなきゃいかぬ。そうでないと全くこの運営そのものが、さっきからもほんとうに大蔵大臣に聞いていただきかった。聞いてもらわなければ——もっともあなた知っておられるかもしらぬけれども、この点についてですね、知っておられたらなおのことですけれども、とにかくひどいものです。こんなことが日本の一方で行なわれている。まさにこれは何天国といわれているけれども、まさに天国だ。同時に裏を返せば地獄だ。こういうような汚職につながるような体制が、しかも大蔵の実際監督のもとに行なわれているのです。だから、当然、大蔵大臣はこれに対しましてもっと監督を厳重にすべきだと思うのですね。たとえばこれはどうですか。本年この問題について明らかにされたですがね。すでに法の命ずるところによって大蔵大臣の権限というものを行使するようになっておりますけれども、この権限について一体どういう行使をしているのですか。第一に、大蔵省令で定めるところにより毎月の末日に事業報告書を受けているかどうか。これは受けておりますか。それから経理の状況について監査をしているかどうか。それから、このような不当なやり方については当然命令を下す、こういうこれは任務を持っているわけでありますが、この三点について伺いたいと思います。
  226. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 法律規定に基づいて毎月業務報告は受けております。それから法の命ずるところによりまして年一回、大臣命令により監査を実行いたしております。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、連合会は相当大きな組織でございますので、経費関係の支出につきましては、理事長の権限と責任におまかせしているような面もあるわけでございます。そういう意味で、監査の際に逐一個々の経費の詳細まで十分見るような時間的、事務的ゆとりがなかったというようなこともあろうかと思いますが、しかし、監査といたしましては、指導的な内容も含めて年に一回監査をいたしておるわけでございます。
  227. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 岩間君に申し上げますが、時間も経過しておりますので簡潔に願います。
  228. 岩間正男

    岩間正男君 いろいろ不正の事実をやりますと限りなくあります。これは具体的に追及していくこともできますが、時間の関係で切り上げますけれども、いまの中で監査をしているとか何とか言っておりますが、第一、大蔵省自身がここで私はえりを正すべきじゃないかと思うのです。料亭の出入りをはじめ供応を受けること、こうことをやっておるわけだ。先ほどからあげました例の稲取の宴会の問題とか、あるいはまたいろいろな宴会が多いのは、これは大蔵省の、最近少し中がうまくない、これを正すためにやっておるのだというようなことを、現にこの今度やめた理事長が言っているのですね。これじゃ話にならぬと思うのですね。だから、こういうものをほんとうに変えるためには、どうしても私は利益代表を入れるべきだ。そうして、しかもほんとうに自分の直接的な利益で、しかも、みんなから真に民主的に選出されたその代表を入れることなしにはこれはできませんよ。だから、どうしてもこのような労働者の代表を入れるべきだ、こういうふうに思うのですが、検討しているということでありますが、これは労働者を入れるということで検討しているのでありますか。それから大蔵省の自粛の問題についてこれは伺っておいて私の質問を終わります。
  229. 橋口收

    政府委員(橋口收君) これは大臣からも御答弁があろうと思いますが、経緯のある問題でございますので、私から補足して御説明申し上げたいと思います。  先ほど岩間先生の御質問の中にもございましたように、連合会の組織問題につきましては、従来からいろんな場において論議が行なわれておるわけでございます。国会等の公の場においても論議が相当程度深められたような経緯もございます。先ほどもちょっとお触れになりましたように、今回辞任されました中尾理事長の前の今井理事長の時代に、ある種の理事長としての腹案をお持ちになっておったというような時代がございます。この腹案の内容につきましても、公の場で腹案としてお示しになったような経緯もあるように承知をいたしております。その後は多少の事情があって今日まで組織問題についての進展は見ていないわけでございますが、先ほど大臣からお答えがございましたように、理事長が最近交代をされたわけでございますので、新しい理事長が新しい立場でこの問題を取り上げて検討する、こういう環境が醸成されたというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、連合会の組織問題の改善の方向なり、内容はどういうものであるかということは、新理事長の手元において鋭意検討されるべき性質のものであると考えております。ただ、その際、検討素材として当時の今井理事長の一つの腹案として示された案は、一つのひな形になるのじゃないかというふうに事務当局としては考えている次第でございます。
  230. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 先ほどもお答え申し上げたのですが、連合会につきましてはいろいろ問題があるのです。それは承知しております。そこで、まず理事長の交代を行なったわけでございまするが、ごく最近ですね、さらに理事につきましても入れかえを考えております。新体制で、ひとつ組織の問題等につきましても十分検討してもらいたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  231. 岩間正男

    岩間正男君 もう一つ、六億八千万全体の経理の監査を大蔵省でやり直す考えはありませんか。これはやるべきだと思いますが、もう一ぺんやり直すべきだ、これだけの問題になったのですから。
  232. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 連合会に対する大蔵大臣の監査権限はわれわれが委任を受けるという性格のものでございます。法律規定によりまして最低年一回の監査を必要とするということになっておるわけでございますので、必ずしも年一回に限定する必要はないわけでございます。御指摘の点もございますので、とくと考えてみたいと思います。
  233. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより三案を一括して討論に入ります。  別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  まず、恩給法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  234. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  235. 八田一朗

    ○八田一朗君 私はただいま議題となっております恩給法改正案に対し、自民、社会、公明、民社、四党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、附帯決議案を朗読いたします。     恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。  一、恩給法第二条ノ二の規定については、国家公務員給与基準として国民生活水準、消費者物価その他の諸事情の変動に対処しうるようその制度化の速やかな実現を図ること。  一、外国政府職員および旧南満州鉄道株式会社等の外国特殊法人、外国特殊機関の職員であつて、終戦後シベリヤ等に抑留または留用された者に対する恩給の通算については、過去五回に及ぶ委員会の決議、恩給審議会でも是正すべき旨の答申があつたにも拘らず未だその実現をみないのは甚だ遺憾である。よつて来年度よりその実現を図ること。  一、旧満州拓殖公社、旧北支那開発株式会社等の在外国策機関および在外国策会社の職員期間と公務員期間との通算を図ること。  一、現行恩給法は極めて難解であるため抜本的検討を加え、その平易化を図ること。  右決議する。  附帯決議案の趣旨は、案文によって明らかでありますので、説明を省略させていただきます。
  236. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 別に御発言もないようですから、八田君提出の附帯決議案の採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  237. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって、八田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十四年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、及び、昭和四十二年度昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、両案全部を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  238. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 全会一致と認めます。よって、両案を全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  239. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、ただいま議題となっております共済二法案改正案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、附帯決議案を朗読いたします。     共済二法案に対する附帯決議案   政府は、次の諸点につき検討の上善処すべきである。  一、スライド規定の適用については、本年度中に結論をうるよう努め、その速やかなる制度化を図ること。  一、公的年金最低保障額は、なお低きに失するので、その引上げを図ること。  一、公的年金の各種の給付内容等については、不均衡があるので、各種年金間の格差の解消に努めるとともにその適正な引き上げを図ること。  一、外国政府等の職員期間の通算は更新組合員に限られているが、終戦後海外に抑留され、新法施行後に帰国し、公務員、公企体職員に就職した者についての通算措置も来年度より実施すること。  一、制度改正等に伴う共済組合の給付に要する費用の負担については、組合員の掛金の増嵩を来たさないよう措置すること。  右決議する。  附帯決議案の趣旨は案文によって明らかでありますので、説明は省略させていただきます。
  240. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 別に御発言もないようですから、足鹿君提出の附帯決議案の採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  241. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 全会一致と認めます。よって、足鹿君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの両決議に対し、山中総理府総務長官、福田大蔵大臣及び橋本運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山中総理府総務長官
  242. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま多数をもって御決議になりました附帯決議につきましては、政府といたしましても十分検討いたしたいと存じます。
  243. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 福田大蔵大臣
  244. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても十分検討いたしたいと存じます。
  245. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 橋本運輸大臣。
  246. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま御決議のありました事項につきまして、政府といたしましても趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じます。
  247. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十八分散会      —————・—————