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1970-10-12 第63回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十二日(月曜日)    午前十一時六分開会     —————————————    委員の異動  十月八日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     三木 忠雄君  十月九日     辞任         補欠選任      三木 忠雄君     峯山 昭範君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 足鹿  覺君                 上田  哲君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  中曽根康弘君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        防衛政務次官   土屋 義彦君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       内海  倫君        防衛庁衛生局長  浜田  彪君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁総務        部長       鶴崎  敏君        農林省農地局長  岩本 道夫君        運輸省航空局飛        行場部長     丸居 幹一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛に関する件)     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国の防衛に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 上田哲

    上田哲君 長官沖繩へ行かれたわけです。沖繩問題自身がデリケートな時期ですから、防衛庁長官沖繩訪問にいろいろな見方があります。そこで、今回の防衛庁長官沖繩訪問目的は何でありましたか。特に観測されているポイントの一つは、つい最近アメリカを訪問されたことでありますから、レアード国防長官わが国防衛について話し合いをされたあと沖繩訪問されたということの関連はあるのかないのか、あればどういうことなのか、その点を含めて承りたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩の実情をよく確かめて、これからアメリカとの交渉を行なう場合に、自分で確信を持ってやりたいと思って行ったわけです。特にレアード国防長官とは沖繩毒ガス撤去の問題で話をいたしましたし、その点については現地にその状況をお伝えする必要もあると思いました。それから民政と軍事基地と入り組んでいるような、そういう場所については、できるだけ地元の要望を達してこれを整理したい、そういう気持ちもありましたので、そういう状況等について、自分でよく認識しておく必要がある、そういうこともあったわけであります。
  5. 上田哲

    上田哲君 念のためですが、毒ガス問題というのは、地元へ行って、何らかの印象を深められるなり、あるいは何らかの発展なりがございましたか。
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、現地レアード国防長官との会談内容をお伝えする、そういう意味があって屋良主席にその状況をお伝えしたということであります。
  7. 上田哲

    上田哲君 重ねてですが、毒ガスの撤去問題については、前回の内閣委員会長官から、大部分については年内に、全体についてはおそくとも来春までには完全撤去をすると、そのことについては長官としても全力をあげて実現に努力をするということを言われたわけですが、そうしたことを屋良主席にもお伝えになり、その上で話し合いがあったということでしょうか。
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのとおりです。ランパート高等弁務官と、私とレアード国防長官との話の内容はワシントンから聞いておったようで、そのことを言っておりました。
  9. 上田哲

    上田哲君 長官沖繩視察をされて、視察が終わったあと現地記者会見をされた中で、沖繩に来てみてアメリカ軍基地視察をしてみて、その上で沖繩基地の重要さについて再認識をしたと、こういうおことばがありました。沖繩へ行かれて、防衛庁長官沖繩軍事基地重要性を再認識されたことの意味は、どういうことでありましょうか。
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 基地が現在の極東情勢に果たしている機能を説明され、また見てきまして、実に膨大なるものがあるということを認識しました。
  11. 上田哲

    上田哲君 そこでもう少し具体的に伺いたいのですが、沖繩軍事基地視察されて、いま言われたようにきわめて一般的な意味でその重要性認識されたということであれば、きわめて抽象的なのでありますけれども、沖繩米軍基地が持っている目的といいますか、役割りということからすると、防衛庁長官がこの時期にその意味を再確認されるということは、具体的に言えばどういうことかということが問題になるんだろうと思うんです。そうしたものの一つとして、ここにあるのは、この一月二十六日から九日までアメリカ上院外交委員会で行なわれた聴聞会議事録ですが、この関連で伺ってみたいと思うんです。  サイミントン議員とのやりとりの中にこういうことがあります。これはジョンソン答えているわけですけれども、「沖繩および日本における施設基地に占めるわれわれの立場は、日本沖繩防衛に直接関連があるというよりは、他の地域におけるわれわれの公約を支援する能力関係がある。」——これはサイミントン議員の「われわれが海外に公約の網の目をもっている」、この問題についてという質問関連して答えているわけですが、そして、「われわれは、韓国台湾公約をもっているのです。」ということでジョンソン氏の答えが終わっております。このことばからすると、沖繩アメリカ軍基地は、沖繩及び日本沖繩防衛に直接関係があるということであるよりは、まさに韓国台湾公約を持っているアメリカ約束を果たすためにあるのだということを言っているわけですから、となると沖繩におけるアメリカ軍事基地目的というのは、この文章に関する限りかなりはっきりしている。長官沖繩アメリカ軍軍事基地重要性を認められるという意味は、これと同じことになるのでしょうか。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本防衛についてもやっぱり非常に重要な機能を果たしておると私は思っております。
  13. 上田哲

    上田哲君 ジョンソン氏は——まあこれは長官日本防衛にも重要な役割りを果たしているんだと、こう言われるわけですが、ジョンソン氏のこれまでいろいろ言われている文脈をたどっていけば、もちろん日本防衛沖繩軍事基地役割りを果たしていないということはできません。日本防衛沖繩軍事基地が大きな役割りを果たしている。日本防衛のためにも、日本沖繩ということよりは、沖繩軍事基地は、アメリカの持っている——特にこの場合は韓国台湾ですけれども、外への約束を果たすためにより重要な役割りを持っているんだ。この文章比較論は、日本沖繩防衛というよりは他の地域におけるわれわれの——つまりアメリカ公約を支援する能力関係する比較論として、外側への約束を遂行するという基地機能重点を置いて言っているわけです。長官が言われるのはそうではなくて、日本防衛にもっとウエートを置いた意味があるのだと理解をされるのか、上下関係はそういうことだけれども、日本防衛にも意味があるのだと言われるのか、どちらでしょうか。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の観点では、日本防衛にも、また極東地域の平和及び安全の確保にも機能を果たしている。しかし、私が見た実感では、日本防衛に重大な役割りを果たしている、そういう実感を持って帰ってまいりました。
  15. 上田哲

    上田哲君 ややくどいようですけれども、私の質問の趣旨としてもう一つ押えておきたいのですが、そうしますとジョンソン氏が証言をしている考え方——直接日本防衛よりもアメリカにおける対外公約を実現するためにウエートが置かれておるのだという意見を、どのようにお考えですか。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ある意味においては議会向け発言じゃないかと思うのです。アメリカの税金を払っておる国民を背景として、議会側がどういうことを内心考えておるかということをジョンソン考えて、日本防衛もさることながら、極東地域の問題でも貢献しておるのだ、そういう意味ニュアンスを出そうとしたんじゃないかと思っております。
  17. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、沖繩軍事基地は今後とも、管理権施政権の問題はともあれ、持続されるわけですから、そして少なくとも七二年以降は日本政府あるいは日本自衛隊のかかわり方は変わってくるでありましょうから、そういう意味わが国防衛庁長官見解としては、ジョンソン氏の証言議会向けである、わが国考え方としては、沖繩軍事基地が対外的な役割りを果たすよりは日本防衛そのもののほうに重点を置くんだという考え方で今後とも持続する沖繩軍事基地機能を延長されるのか、それともまた新たなる考え方が出てくるのであるか、その辺はいかがですか。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 双方ともに重要な機能を果たしておる、そういうふうな解釈をしております。
  19. 上田哲

    上田哲君 そうすると、それは抽象的な言い方ではわかりませんから、具体的にもう一つ進めておきますけれども、全く対等なというか、イーブンというか、フィフティー・フィフティーといいましょうか、平等なといいましょうか、並列の機能を果たさせるようにこれから考えていくということでございましょうか。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本側としては双方とも重要である、そういうような認識で行きたいと思っております。
  21. 上田哲

    上田哲君 双方の間にはウエート上下はないということですか。
  22. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) こういうことは数量的に表現できないものだろうと思うのです、重要性というようなものは。ですから双方とも重要である。英語で言えばアズ・ウェル・アズそういうような表現になるんじゃないかと思います。
  23. 上田哲

    上田哲君 確認をしておきます。どういうふうに読んでもジョンソン氏の見解というのは、沖繩軍事基地目的は、ここに書いてあるとおりでありまして、日本沖繩防衛に直接関連があるというよりは他の地域におけるわれわれの公約、つまり韓国台湾におけるわれわれの公約を支援するものと関係がある。決してアズ・ウェル・アズではなくて、モア・ザンということになるわけでありまして、その辺のことがはっきり位置づけられております。これは議会向けと思われることであって、日本側としてはその上下をつけないというふうにお考えになるというふうに理解をいたします。  同じようにジョンソン氏は、「沖繩施政権返還の問題はわれわれがそこの基地から出て行くこととは何の関係もないことはおわかりだと思います。われわれは沖繩のわが基地構造を維持します。」ということをそのあと確認しております。この考え方議会向けかもしれませんけれども、かなり強い意思表示だと受け取るわけです。そこでこういうことがそのあとに出てまいります。「これらの基地施設が他の場所に対するわれわれの公約履行にとって重要であり、」——他場所というのは、この場合言うまでもなく文脈では台湾韓国をさしますが、「他の場所に対するわれわれの公約履行にとって重要であり、日本がわれわれにたいして「ノー、われわれはあなた方が朝鮮における抗戦を支援すべきだとは思わない」とか「ノー、われわれはあなた方が台湾における抗戦を支援すべきだとは思わない」というような目にわれわれが会わない、そしてわれわれの基地が主要な目的を果たすのに役立たないというようなことにならない」——主要な目的というのは、先ほど指摘しておるとおりです。「ことにならないという了解日本政府との間で得ることが重要であった。そしてこれがコミュニケで日本政府が述べたことの重要性なのです。」、こう言っておるわけです。ある部分は繰り返しにもなりますけれども、こういう見解と、長官がどちらを上下に置かない、全く同レベルだということになると、かなりまたズレが広がってくるように思います。こういう見解をどのように理解されるか。この見解にかかわらず、いまのような沖繩基地に対する目的論理というか、見方を続けられるのか。もう少し突っ込んで伺いたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ジョンソン次官は私との会談におきまして、わがほうの見解は従来と変わりがないということを表明しておりました。そういう面から見ますと、議会においてその極東条項というものを特にエンファシスして、議会向け発言したのではないかと、そのように私は思います。
  25. 上田哲

    上田哲君 長官がそういうふうな見解——まあ私はこの聴聞会議事録というのはかなり、確かに議会に対して、サイミントン議員と話しているわけですから、議会向けであることは物理的に言っても間違いないことでありますけれども、これがこういうふうに公表されると、これはどこにも隠されているものではありませんから、そういうことを踏まえてこれだけ言っているということになれば、やはり何としてもアメリカのある種の、たとえば核といわれるけれども、核のかさの下にある日本防衛構造というもののあり方は、特に集中的に沖繩基地のありようとしてはかなり影響を受けると思います。そういう中で防衛庁長官が正式に米軍基地視察されて、七二年を目睫の間に控えて、どちらを上下に置くものではない、あるいはさらに、ニュアンスとしては一歩進めて、ジョンソン発言は単なる議会向け発言であるということを置かれて、内容、方向というのは、沖繩軍事基地はあくまでもアメリカ対外公約を果たすためということにより多く重点を置かない決意である、そういうポリシーを持って進むのだということでなければ、ナショナルにはちょっと了解できない感じがするわけです。この辺のところは長官政治家としての、あるいはこれから防衛問題にどういう形であれ持続的な見識を持たれるであろう中曽根長官見解として、私は掘り下げて承っておきたいので繰り返すわけですが、その部分を、あるいは防衛庁長官としての立場の問題だけにとどまらず、日本防衛に対する見識として、沖繩基地をこういう証言関連において、将来どのように展望されるかということを伺いたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩基地は、ある意味においてはかなりの抑止力を持っておると思いますので、日本防衛にとっても、その抑止力という意味においても非常に重要性を発揮していると思います。これは目に見えない要素であるから、あまり気がつかない、あるいは等閑視されていることになるのはやむを得ないと思いますけれども、これは非常に重要な機能を果たしていると私は思います。それと同時に、極東条項に対する機能も果たしている。だから日本防衛極東条項に対する貢献というのは、大体同じように果たしておる、そういうように私は認識しております。
  27. 上田哲

    上田哲君 抑止力ということでお話がありました。こまかくつついていけば、その抑止力というのは、だれに対する抑止力なのかということが、また防衛技術論的には議論があってしかるべきだと思いますが、それはそれとしても、抑止力ということをもっと兵器技術論的に突き詰めていくならば、核ということになるでしょう、わかりやすいところで言えば。この核の問題について言えば、サイミントン氏はこういうことを言っております。「われわれは現在韓国米軍を置いているが、韓国に対して攻撃が加えられた場合、沖繩から核兵器出動させることはできる。そうですね。」と、これに対してジョンソン氏は、「そうです。われわれは今日沖繩からしたいと思うことはなんでも出来ます。」、つまりもっと具体的に言えば、沖繩から核を持ち出して攻撃することは何でもできますということを答えています。これはもちろん七二年以降の話を含んでいるのではないということを私は了解していますが、少なくとも今日ということばが出ていることではありますが、沖繩から核兵器出動させることはできるのですということをはっきり答えている。これは抽象的な部分ではありませんから、先ほどのように非常に具体的な問題でありますから、議会向けということのレトリックではないわけです。ここのところはどうなんでしょうか。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 施政権返還前と返還後は態様が違うと思います。返還後については共同声明に書かれているとおりであります。返還前の現在においても、沖繩メースBは撤去した、そういう報道がされまして、現実は変わってきておると思います。
  29. 上田哲

    上田哲君 これはあえて段階的に詰めていこうとすれば、ここで施政権返還前ならばいたしかたないということになるにしても、内容の問題として言えば、沖繩から核兵器出動させることは困るとか、沖繩というところからとにかく核兵器出動なんということはあってはならぬということは、私は、もう一ぺん立っていただいて確認する必要がないことだと思います。その前提で言うんですが、そうすると、当然七二年以降は核兵器の持ち込みなり、あるいは出動なんということは絶対させないんだということにならなければならないと思います。それはそういう表現がいままでなかったわけではありません。ところが、ここでサイミントン議員からの重ねての質問に対して、つまりこれから先のことでありますが、七二年以降のことを展望したところの答えになる。つまりサイミントン氏は、「韓国台湾攻撃された場合日本沖繩基地から核兵器出動させることを許すという暗黙の同意以上のことをするという示唆があるかどうか。」、アメリカ側としては、「こういう要請をするのは当然だと思う。」、これはもちろん七二年以降をさしています。「これは現情勢についてではなく将来の条約に関することです。」、こういうことをサイミントン氏が追及しています。ジョンソン氏のそれに対する答えは、「明らかにそういう文脈のものと受けとりました。」という言い方です。これは非常に抽象的な答えになっているわけで、サイミントン氏の言うとおりである。つまり簡単に言えば、将来七二年以降といえども、だいぶ前の文脈になるわけですが、沖繩軍事基地構想は今後といえどもこのままで継続するんだということをはっきり言っております。はっきり言っておる軍事基地構想の継続の中で、そういう文脈の中で、サイミントン氏が言っているように、沖繩からいままでどおり核兵器出動というものがあるんだということを、そのとおりだと受け取っていますと十分に理解することができるわけです。しかし、必ずそうだと言えないような抽象的な言い方だから、独断は避けなければならないと思ってお尋ねしているのですけれども、簡単に言えば、この部分、非常に具体的な質問ですけれども、この具体的な質問に対してのジョンソン氏の答えはあいまいであると思います。これは一体ジョンソン氏が、日本アメリカとの話し合いの中でどういうことを約束をしているのか。そして日本側としては、今後、特に沖繩基地視察された防衛庁長官が、この点についてはどういう見解をとっておられるのか。こういう点については今時点において非常に重要だと思うのです。サイミントン議員質問を具体的に受けて、防衛庁長官の御答弁をいただきたい。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) わがほうとしては、佐藤・ニクソン共同声明並びにそれに関する総理大臣外務大臣言明というものがわれわれの根拠であり、それが実施されるものであると考えます。サイミントン委員会におけるジョンソンさんの発言については、かなり抽象的であって、いろいろ推理が成り立つわけであり、また前に言っていることは、日米安全保障条約というものを既成の事実として表には出てきてないが、それが機能しているという部面がわりあいに等閑視されている感もあります、読むほうから見まして。そういう意味からして、日米安全保障条約並びに地位協定並びに共同声明というものは、七二年以降においては、厳然として、総理大臣外務大臣言明どおり守られるし、また守らさせねばならぬと、そういう基本的な考え方に立って実行いたします。
  31. 上田哲

    上田哲君 確認をしておきたいと思います。今回、防衛庁長官沖繩軍事基地視察された、当地の司令官とも話をされた、民情視察もあわせて、現職の防衛最高責任者の判断としては、これを他になぞらえて言うならば、この上院外交委員会議事録内容になぞらえて言うならば、そこで述べられているジョンソン氏の答弁にはかかわらず、ジョンソン氏の述べているような、沖繩軍事基地アメリカの対外的に持っている軍事公約を果たすために、日本防衛よりも意味があるんだと、こういう見解をとらず、沖繩軍事基地日本防衛に決して劣らない役割りを与えていくという政策をとっていく、また特に核については、七二年以降は明らかに、今日そうであるような核兵器沖繩基地からの進発攻撃ということを許さないということを基本に置いて進めていくということでよろしいですか。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申したとおり、総理大臣外務大臣言明どおりであります。
  33. 上田哲

    上田哲君 それではほかの問題に移ります。いまの問題はぜひそのように、確認どおり努力をいただきたいです。  そこで、沖繩も含めてですが、いま一番問題なのは、先般の中曽根長官の訪米以来、われわれの国にあるアメリカ軍事基地をどうするかというところに必然的に焦点が集まっていると思うのです。この問題を少しお伺いをしたいと思います。  念のために、数字ですけれども、百二十二と百二十四の問題について公式に一ぺん伺っておきたいと思います。
  34. 山上信重

    説明員山上信重君) 現在提供いたしておりまする施設は百二十四でございます。
  35. 上田哲

    上田哲君 百二十二というのは何ですか。
  36. 山上信重

    説明員山上信重君) 専用提供が百二十二で、二つが二条4項(b)による提供、こういうことであります。
  37. 上田哲

    上田哲君 まあ非公式な予測というものはあっちこっちに出ているのですけれども、整理しながらお伺いしたいのですが、七二年の沖繩返還時点までに、現在の米軍基地は何カ所ぐらいに減少するでありましょうか。
  38. 山上信重

    説明員山上信重君) 沖繩返還までにどのくらいの数字になるかということは、いま予測いたしかねるわけでございますが、一昨年整理考えました約五十の施設につきましても、これは必ずしも全部返還とか、そういう形ではございませんので、現在の百二十幾つが非常に減るかと申しますと、現在米側においていろいろな施設整理の計画もございます。あるいは自衛隊のこれに対するいろいろな管理という希望もございます。それらがからみ合ってまいりますので、さらに相当数の減少ということは考えられると思いますが、いまどのくらいという数字をただいま申し上げるのはちょっと困難かと思います。
  39. 上田哲

    上田哲君 百カ所以下というのは大体あちらこちらに出ておりますね。その辺はどうでありますか。
  40. 山上信重

    説明員山上信重君) どうもはっきりした数字を申し上げるわけにはいきませんが、見当としてその近くになるような感じはいたします。
  41. 上田哲

    上田哲君 百カ所は切るということは大体の常識になっておるようですから、そのような御答弁として了解をしておきます。  それで、まあほかの観測をつけて御質問したほうがお答えが楽のようですから、そういうことでお尋ねすれば、七二年には、沖繩を除いてですけれども、米軍駐留人員はどれくらいか。USニューズ・アンド・ワールド・レポート誌では、七二年末に大体半分の二万人ぐらいになるということが報ぜられているわけです。どんな程度とお考えですか。
  42. 山上信重

    説明員山上信重君) どのくらいの数になるか、これまた現在の私どもの推量からはちょっとはっきりした数字は申し上げかねるわけでございます。
  43. 上田哲

    上田哲君 それじゃ先に聞いておきましょう。防衛庁では、在日米軍基地を幾つかのランクに分けて米軍基地の総点検を行なった。アメリカ側とその整理統合あるいは廃止についての話し合いを始めておられると思います。これはちょっと長くなってけっこうですから、できるだけ精密に、どういうふうな基準のランクでやり、どういうふうな方法をもち、どういうような交渉をいま進めていて、そして第四にどういうような方向になるだろうということを、できるだけこまかくひとつ御説明いただきたいと思います。
  44. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳君) 米軍基地につきまして、先ほど施設長官からお答えがございましたが、現在自衛隊のほうで検討しておりまするものとしましては、先般防衛庁長官から御答弁がございましたように、まず第一に、米軍が引き続き専用施設として使用していくだろうという施設考えております。それから第二に、米軍施設として残りますけれども、これを自衛隊地位協定二条4項の(a)によりまして共同使用してまいるもの、それから第三には、自衛隊のほうにこれを所管がえしてもらいまして、引き続き米側も臨時的に使用していくという形態のものもあるわけでございます。それからさらに米軍施設自衛隊のほうに移管してもらって、自衛隊が今後引き続き防衛施設として使用していくというケースもございます。さらに米軍施設として不要不急と申しますか、なるべく返還してもらいまして、これを一般の用に供するために返還してもらうというような五つの考え方で現在いろいろ検討いたしておるわけでございますが、具体的にはこれらの各五項目にはっきり現在の米軍施設の百二十二というものを、さい然と区別して申し上げるということは困難でございまして、いろいろと混在する形式もあると思います。それからまた、経過的には米軍施設自衛隊が共同使用しながら、将来は自衛隊施設にして米軍に一時使用させるとというものもございますし、また数的なものではなくて、量的に申しまして、ある施設の中である一部のものについては、一般の用に供するために返還をしてもらう、あるいはある部分については完全に自衛隊が移管を受けて専用的に使うというようなものもございますので、百二十二をはっきりこの五項目に分けてとかくの数字を申し上げるということは、たいへん困難であろうかと思います。  ただ一般論としてわれわれ考えておりますのは、少なくとも米軍がきわめて重要施設として、安保の続く限り存続するであろうということを考えておる。いわゆる米軍の重要施設と申しますと、まず第一に現在持っておる六つの飛行場、三沢、横田、立川、厚木、岩国、板付でございますが、これらの飛行場は今後五年、十年後にどの程度米軍が専用施設として戦闘任務を持ちながら維持していくかということになりますと、はっきりした判断は下せませんけれども、少なくともこれらの飛行場は一部は専属的に使用し、あるいは専属的な使用をやめましても、これを予備基地として存置していくであろうという意味におきまして、これを専用施設として米軍が持つか、あるいは共同使用になるか、あるいは自衛隊が持ってこれを米軍に一時使用させるかというこの三つのケースに入ると思います。そのほか考えられますのは、やはり陸軍が逐次撤退してまいりますと、それに伴って当然第七艦隊の抑止力というものが非常に重要視されてまいりますということを考えますと、横須賀、佐世保の二つの軍港並びに極東米海軍輸送司令部のある横浜の港、これは非常に重要な施設になると思います。さらに、司令部のある府中とか座間というものも、これも当然安保の続く限り残るものでございます。さらに補給基地沖繩に統合すると申しましても、実際現実的な問題としましては相模原の補給廠というのは沖繩に集中は困難であろう、技術的にも困難であろうというふうに考えますと、相模原の施設もこれも重要施設として考える必要はあろうかと思います。さらにまた沖繩には演習場らしい演習場というものはございませんので、どうしても沖繩米軍が常駐する限りにおきましては、陸軍あるいは海兵隊の演習訓練のために富士の演習場というものも、これまた必要になるわけでございます。これらの十数カ所の施設にさらに一部の通信施設とか、あるいはこれらに直接関連する施設等は当然残っていくであろうというふうに考えております。  したがって、これらのものを除きまして、自衛隊が将来長期にわたって防衛施設としてこれを維持する必要があるということで返還を受けて使用するものもあるわけでございまして、それは具体的には、たとえば弾薬庫あるいは射撃場のようなものも返還になった場合には、これは軍事施設として非常に資本投下をしておるわけでございますので、当然これは防衛庁として継続使用してまいりたい、そういうものもございます。さらに一方ゴルフ場とか、あるいは工場施設とか、倉庫施設等の大部分につきましては、これは米軍が逐次撤退してまいりますれば、なるべく早く返還してもらって、一般の用に供するという意味におきまして返還交渉も大いに促進しなければならないかと思います。  以上のような意味におきまして、五つのケースがあると申しましても、これはさい然と各基地ごとに区別して申し上げることはきわめて困難でありますけれども、一般論としては以上のようなものが申し上げられるかと存じます。
  45. 上田哲

    上田哲君 その五つの仕分けについていろんな、たてまえは分け方にすぎないから、現実はからみ合ってくるだろうということはわかりますけれども、交渉を進める側からすれば、何といいましょうか、青写真といおうか、要求案というか、こういうものを整理してなくて話をすることはできない。そういうことで言えば、整理は相当程度進んでなければならないと思います。そういうことを踏まえて伺うのですけれども、そういう中での相手方との交渉はどれくらい進んでいるのか。そしてその交渉の方向はどんなあたりでどうなるのかということをもうちょっと突っ込んで説明してください。
  46. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 先般来米軍施設自衛隊管理、自主管理と申しますか、あるいは共同使用ということを防衛庁長官が申されまして以来、私どもとしましては、事務的に以上のような、先ほど申しましたような項目に分けて、各米軍施設を分けて検討してまいっております。さらにまた最近に至りまして、長官アメリカに行かれまして直接交渉された結果のその状況を踏まえまして、さらにまた最近の米軍の予算削減に伴って米軍基地の縮小、整理というものがテンポが早まってきつつあるというような新しい情勢も踏まえまして、従来の検討してまいりましたものにつきまして、もっと現実的に検討を現在始めております。その検討の結果が出ましたならば、これを直接米側に示しまして、具体的な基地ごとの交渉もいたしてまいりたい、そういうふうに考えております。
  47. 上田哲

    上田哲君 ひとつそこのところから抽象的になっちゃうのですが、私どもが心配することは、百二十に余る米軍基地整理統合、廃止あるいは吸収、移管、いろいろなことがあるでしょうけれども、ある程度自衛隊に移管して管理をまかされるということになってくると、簡単にいって人と金がよけいかかるわけです。その辺のはっきりした裏づけがないと交渉するということはたいへん、ことばだけになってしまうわけです。それなしに交渉していると思わないので、その辺のところをどういうふうに青写真を書かれているのか、そして現に交渉をしているわけでしょう。交渉開始後ということになるわけでしょう、現在は。これからやるのではないと理解をしている。そうすると、どんなあたりでどんな経過が出てきているのかというあたりをもうちょっと説明してほしいと思います。
  48. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) もちろん米軍施設自衛隊管理し、あるいは共同使用します場合には、経費の分担というものも出てまいります。それに見合って今後どのように予算がかかるかということは、防衛庁の予算として、計画としては検討いたしております。具体的に先ほど申しましたような重要基地というものは、米軍が今後継続的に使用するか、あるいは自衛隊が共同使用しながら、具体的に米軍が予備基地として希望するものについては、これを自衛隊のほうで管理運用しながら、米側の再使用を認めるという形式になってまいるわけでございまして、その場合における経費の分担、もちろん金はかかるわけでございますが、さらにそのような場合におきましては、将来——現在の自衛隊防衛施設というものの全面的な再配置計画の検討も加えて米軍施設というものも見てまいらなければなりませんので、そういう点も十分配慮しながら、四次防の段階に入ってまいりますが、米軍施設がどのように今後自衛隊のほうに使用できるか、あるいは米軍がどのように予備基地として存置を希望するかということを踏まえながら、今後の自衛隊防衛施設というものをどのような姿で長期に保持していくかということを現在検討いたしておる段階でございますので、これができましてから、大ワクにおきまして米軍と交渉を始めたいというふうに思っております。
  49. 上田哲

    上田哲君 交渉を始めるのですか、始めているのですか、どっちですか。
  50. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 先ほど施設長官からお答えになりましたように、一昨年約五十施設整理返還、統合という問題が米側から提案がございました。それらにつきましては、施設庁のほうで具体的に折衝いたしております。  その他のものにつきましては、現在米側からある程度公式、非公式に申し出のあったものにつきまして、たとえば立川とか座間とか、そういうようなものにつきましては、具体的に公式あるいは非公式に交渉いたしておるのでございますけれども、今後の米軍施設全般についての考え方、先ほど五分離しました考え方、あるいはそれに関連して自衛隊施設の再配備計画とかというようなものの大きな青写真は目下つくっておるところでございまして、具体的な問題になりましたならば、施設庁のほうで具体的な折衝に入っていくということでございます。で、現在交渉いたしておりますのは、具体的に問題になっておる個所についての折衝をいたしておるということでございます。
  51. 上田哲

    上田哲君 それでは三つ聞きます。——三つじゃなくてもいい。  いま具体的に向こうの提案その他に基づいて、と言われたので、いま具体的に交渉しておるところはどこなんだ。これは大まかに何カ所ぐらいでもいいです。名前がわかるならきちっと出していただきたい、これが一つ。  二つ目は、全般的な将来の大構図についてはこれからだとおっしゃる。全体的な大構図は、こちら側ではいつできるのか。  それから、三つ目は、それをいつから交渉に入れるのか、具体的に答えてください。
  52. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 現在交渉中のものは、これは施設庁のほうで交渉いたしておるわけでございますが、具体的に申しますと、立川の共同使用とか、あるいは座間の共同使用、あるいは厚木飛行場の共同使用というような問題、その他近く交渉に入るというふうに考えられますのは山田弾薬庫等がございますが、その他常時米軍基地の点検をしながら、米側と交渉はいろいろな細目にわたっていたしております。  先ほど申しました長期の青写真というものはいつできるかということでございますが、これも先ほど申し上げましたように、米軍の予算削減ということに関連して、米側のほうも基地の再検討をかなり急いでおりますので、これに見合って——これに見合ってと申しますか、自衛隊のほうもまた急いで検討する必要があると思います。できれば一カ月以内ぐらいにまとめまして、直ちに交渉に入りたいというぐあいに考えております。  以上でございます。
  53. 上田哲

    上田哲君 ちょっとこまかいことですけれども、向こう側を見ながらこちら側が原案をつくるのは、これはわからぬわけじゃないですけれども、原案をこちら側でつくるのでしょう。
  54. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) ちょっと先ほど私ことばが不適当であったと思いますが、米側は予算削減によって基地整理があるであろうということに見合ってという意味ではございませんで、現在わがほうとしましては、米軍基地についてすべてを点検しながら、防衛庁が自主的な判断で、長期にわたって米軍として必要な基地はここであろう、しかし返還すべきものは、こういうところは当然返還すべきであるというような青写真を、現在自主的に検討をいたしております。これは米側考えとは必ずしも一致しない点があるかもしれませんが、こちらのほうで意欲的に、積極的に検討しまして、その案ができました場合には、まず米側にこれを持ち出しまして、交渉いたしてまいりたいというふうに思っております。
  55. 上田哲

    上田哲君 最後にもう一ぺん聞きます。  大体一カ月ぐらいすれば、その全体的な青写真もできるし、できたらすぐ交渉に入るということですね。そしてその全体的な青写真というのは、先ほどお答えになった、これからもアメリカ側整理計画をするだろうという、たとえば三つの飛行場の共同管理という部分的な部分も含めて、百二十に余る全基地のすべてを含めての大構図をつくりあげるのだということでいいわけですね。  そして、最後に小さいことになりますけれども、いまどういう契機であれ具体的に交渉しているのはほぼ幾つぐらいかということを、たとえば、こまかく言いますと、山田弾薬庫の話も出ましたけれども、川上、広、秋月なんというのは、あるいは相模原の総合補給廠は一体どうなるのだ。あるいは上瀬谷はどうなるのか、などなど一ぱい聞きたいわけです。これらは一々やっていると時間もかかりますから、まとめて地名の言えるところは言っていただけばいいけれども、三点目というのはそういうことを含めて、できるだけ具体的に答えていただきたいのです。
  56. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 先ほど来申し上げますように、米軍施設のすべてにつきまして大体五つのランクに仕分けしながら、あるいはそれを混在しながらの形式で私のほうの考え方をつくり上げてまいりたいと思っておりますので、これはなるべく早く結論を出して、米側にこれを示し、交渉に入りたいと思っております。  具体的に現在どのような検討をしておるかと言われましても、その数字のはっきりしたものは申しにくいわけでございますが、今後のいろいろな検討の材料としまして、まだわれわれのはっきりわからないものもあるわけでございます。たとえば、米軍の通信施設というものは一体どうなのかというようなことにつきましては、やはり米軍のほうの意向もかなり打診しなければ私のほうの青写真もつくれないのでございますが、そのような意向をある程度打診しつつ私のほうの案もつくってまいりたいというふうに考えております。  で、そういうような意味におきまして、今後それらのことをしながらも、さらにそれでは間に合わないような緊急のものもございますので、それらにつきましては、これは分離して交渉を開始したいというふうに思っております。
  57. 上田哲

    上田哲君 とにかく数字はわからないけれども、一部で始めているが、大綱については一カ月ぐらいでつくって、これは百二十——全国含めていろいろあるけれども、全部を含めた構図をつくって、できるだけ早く交渉に入るということですね。  そこでですね、これはたいへんな構図になってくるだろうと思うのです。これは人と金ということで相当、横軸、縦軸を組まなければならないので伺うのですけれども、当然四次防、その他との関連も出てくると思うのです。で、四次防の五兆七千億ということに大体確定されてきたものの中に、そういう問題はどういうふうにからんでいくのか。大体財政的な負担率はその中でどういうふうな推移をたどると考えられるのか。この辺はどちらからお答えいただけましょうか、御答弁いただきたいです。
  58. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 米軍施設を具体的に共同使用し、あるいは自衛隊管理し、予備基地化して米側に一時使用を認める、再使用を認めるというような場合におきましては、それほど大きな経費の計上はあるいは必要はないというふうに考えております。具体的には、たとえば通信施設等を引き受けるとしますと、これはたいへん金がかかりますので、これはそう簡単に返還になったり、あるいは共同使用ということにはそう早くはならないだろうということも考えまして、また一方、米軍基地自衛隊が使って、これをその使用区分に従って経費を負担するにしましても、その経費もそれほど大きなものであるというふうには考えておりませんので、したがって、当然今後防衛施設は全般的に検討した結果、米軍施設も含めて、防衛庁というものは長期にわたって、どの施設とどの施設を重要施設として管理するかというような考え方は、当然四次防の中に入ってまいりますけれども、それに伴って直ちに予算が非常に大きなものにふくれ上がるというようなことも考えておりません。しかしながら、現在つくっておりまする四次防の中に、米軍施設の共同使用なり、あるいは自衛隊管理という予算は当然計上いたしてまいることになろうと思いますが、再三申し上げますように、それほど大きな経費にはならないんではないか、と申しますのは、もし米軍施設を共同使用します場合には、場合によっては、現在ある自衛隊施設を廃止する場合も考えられるわけでございまして、現実に自衛隊の規模というものはそれほど今後ふくらむものでない以上、米軍施設自衛隊が使用する場合におきましても、それほど大きく施設の面積、規模というものはふくらむわけではございませんので、この部分自衛隊の現有施設を整備し、そうして米軍施設を共同使用あるいは管理することになりますので、プラス・マイナスの予算増というものは四次防の中で非常に大きく、現在考えておる四次防案が変更されるというほどのものではないというふうに考えております。
  59. 上田哲

    上田哲君 それほど大きくはないというので、まあ一月後には全体ができるというのですから、それほどというのはどれほどのことですか。差し引きずればというのじゃなくて、一体差し引きしない前のネットの数字でいうと、どれくらい必要だとお考えになっていらっしゃいますか。
  60. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) そのような具体的な数字というものは出てまいりませんけれども、米軍施設というものは、相当米軍のほうでも施設の充実をいたしておりますので、これを引き継ぐことによってそれほど維持改修費というようなものは大きくはかからないであろうというようなことを考えまして、また、先ほど申し上げましたように、現有自衛隊施設も一部は廃止して米軍施設のほうに入るというようなこともあれば、維持費としてはプラス増になる部分はそれほど大きくはないというようなことも考えております。その意味におきまして、現在米軍施設を共同使用していく場合に、具体的に日米間の経費の分担をどうするかという話し合いが、結論というものが出ておりませんので、その意味におきましては、はっきりした数字を申し上げることはできませんけれども、まず最初に日米間の費用分担という問題は、なるべく早い機会にその方程式について結論を出してまいりたいというふうに考えております。その結果、予算というものがある程度はっきりしてまいるであろうというふうに思っております。
  61. 上田哲

    上田哲君 たいへんたよりないところにたどりついたわけでして、施設長官に聞いて、どれくらい減るのだ、減るのだというのであれば、相手のあることですからわからないというのも無理はない。どれくらい減らすのだといっても答えが出ない感じ、そうしてまた金がどのくらいかかるのだというと、さほど多くはない。さほど多くはないというのはどれくらいだというと、何かことば尻をとらえるようですが、簡単にいえば、まだそれはきまっていないということですね。きまっていないというのに、一月後には青写真をつくり上げて云々というふうに大みえを切るのでは、中身はまるきりないと言うことです。これでは非常にたよりない感じがいたします。まさかこれもすべてあなたまかせだというようなことではないと思いますが、その中で、やはりこれは新しい時代を迎えて日本国民、特に基地の周辺の住民なんというものは非常に関心を払っている問題だし、政府側としても、この点については相当意欲的に取り組まなければならない必然性があると思います。したがって江藤さん幾ら追及していっても、私は事務官ですよと言っているように聞こえてならない。防衛庁長官からはっきり伺いたいのですが、数字を聞こうとは思いませんが、江藤参事官は、これから先はわからぬぞというようなことを言われた。ポイントは、日米双方の経費の分担についての方程式はなるべく早くきちっときめて、それに基づいて青写真をつくりたいという答弁がございましたけれども、私は、これはまさに政治交渉、ポリシーの問題だろうと思います。これは一体負担率をどうするかというところまでは踏み込めないかもしれないが、できればそこまで含めて、一体いかなるポリシーで経費の分担率というものをいつ長官は交渉に入られるのであるか、そのところをしぼって伺いたいと思います。
  62. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 米軍基地の効率化、整理統合という問題については、いま江藤参事官が申し上げましたような方針に基づいて当方は意欲的、積極的に当方の判断に基づいて考え方をまとめ、米軍側と折衝する予定でいまいろいろ素地をつくっておるわけでございます。しかし、すでに交渉を開始しているものもございます。そこで費用の分担については、いままでいろいろ話し合いをしておりまして、まだ妥結点が出ない。ポイントは、一般管理者であるべき者が一般管理費を払えというようなことが当方の主張でございます。それに対して、すべて割り勘でいこう、端的にいえばそういう表現になると思いますが、それが米側の主張です。わがほうの主張は、そういうことをいたしますというのは、要するに一般管理権という立場を持っていると金がかかるぞ、早く日本に返しなさいという意味もあってそういう主張を実はいたしてきておるのです。その点についてまだ妥結をしておりません。忍耐強くやっていきたいと、そう思っておるわけであります。しかし、いずれにせよ、大蔵大臣とは、必要あらば予備費を出す、そういう話もできておりますから、これを促進いたしまして、成立したものがあれば、できるだけ早くそれを適用してまいりたいと思っておるわけであります。
  63. 上田哲

    上田哲君 江藤さんのほうは、一月以内に青写真をと言われておるわけですし、国民的願望あるいはムードでもあるわけですよ。この一カ月ということは、日本の現在の政治条件からすると、非常に具体的な意味を持っています。なるべく早くということは参事官から言われたわけですから、どうでしょう、防衛庁長官としては、この点はまさに流動やまざる日本の現在の政治情勢を一月以内のポイントとしてとらえて、今月中にもそういう点を早急に煮詰めるというくらいの決意はありませんか。
  64. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点はあなたと同じような考え方に立っておりまして、事務当局のしりをひっぱたいておるところであります。できるだけ促進いたしたいと思います。
  65. 上田哲

    上田哲君 そこで、これは韓国側の軍事筋の情報だと思うのですが、横田のファントム一個連隊五十四機が韓国に移駐するというような話が流れております。防衛庁としてはこの情報を確認されておりますか。
  66. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 報道として承知いたしております。
  67. 上田哲

    上田哲君 この報道としてということは、報道としてキャッチされてから、その点について確認のための何らかの措置をとられたということですか。
  68. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 米軍当局からは正式にはそういう言明はまだ受けておりません。報道として承知しておる、こういうことでございます。
  69. 上田哲

    上田哲君 それじゃ、もしそういう事態になった場合に、日本防衛論としてどういう影響があるのか。それから効率的に伺うために縮めて伺いますから答弁をお願いしますが、ファントムの横田の一個連隊が向こうに行くということになると、もう一つの三沢のほうはどういうことになるのか、そういう影響もあるんですから。また、日本側はそれに対してどういう見解を持つのか。
  70. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 三沢のほうのファントム部隊が移駐する、移動するという報道、いまそういう言明は受けておりません。横田に関するだけでございますが、これはおそらく韓国米軍の陸軍部隊の撤兵等と関連して、米軍極東戦略等との関連でそういう横田の移駐等が行なわれるというふうなことが一つ考え方として考えられると思います。極東全般、日本本土全般で見てみますと、現在の情勢から見まして、三沢基地、横田基地は非常に重要なところで、今後もおそらく先ほど江藤参事官から申したように、基地としての存続の必要性はあろうかと思います。ただし、その中におります飛行部隊が三個隊——現在両方とも公式には三個隊になっておりますけれども、その部隊数がそのまま今後もその部隊数を維持しなければならないということは必ずしも考えられない、多少の移動は今後あり得る。むしろ日本本土全般から見ますと、むしろ減りぎみの傾向になるのではなかろうかと、こういうふうに考えられます。
  71. 上田哲

    上田哲君 その減りぎみというのは、日本防衛戦略からいってどういう効果を持つのですか、影響を持つのですか。
  72. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 長い目で見まして、またごく基本的に考えますと、いままでおりました部隊が減るということは、何と申しますか、わがほうが期待する戦略攻撃力ということと、それから同時に日本本土の防空力というものに影響があり得ることだと思います。やはり米軍がいま申し上げましたようなことを考えているとしますと、国際情勢がそういうことを許すような情勢になったことと、それから日本防衛力というものが、従来に比較すれば上がっていきつつあるというような考慮が働いているというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  73. 上田哲

    上田哲君 非常に明快な御答弁だと思います。長官に伺いたいんです。これは韓国軍からの要請に基づいたというふうに報道されているわけですけれども、そういうことも踏まえて長官としては、横田のファントムが一個連隊が韓国へ移動するということを、いまの防衛局長の戦略分析という上に乗って、たとえばプラスと見る見方もあるだろう。マイナスと見る見方もあるだろう。より安定と見る見方もあるだろう。当然それに見合った日本の航空自衛隊の配備の問題もあるだろう。そういうところを踏まえて、三沢の問題も含めて、報道どおりであるとすれば、韓国側の要請に基づいて横田からのファントムの移動をどういうふうに評価されますか。
  74. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それが水戸の射爆場、射撃訓練中止と直接関連していることであるならば、日本側の歓迎すべきであり、韓国側も喜ぶならば、アメリカにとって一石二鳥ではないかと思います。
  75. 上田哲

    上田哲君 先ほどの防衛局長の御答弁では、日本の全体の防衛力の低減ということはあるだろう、しかし、それは国際情勢がそういうことを許したのであろう、あるいは、日本自衛隊防衛力というものがそれをカバーするところまでという判断もあるだろうということでございました。つまり、ファントムの五十四機が減ったということは、その立場から言えば、その分だけ防衛能力の低下を意味するのですか、これについてどうお考えになりますか。
  76. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう軍事的観点だけではなくして、政治の総合戦略から見ますと、私は、そういう措置は今日の日本の段階にあって賢明な措置だと評価します。
  77. 上田哲

    上田哲君 時間がありませんから、もう一つだけ。先般の委員会で、さっきも御説明いただきましたけれども、二条4項(a)、(b)の問題が少し窓をあけたんですが、どうもいろいろ突き合わして考えてみても、現在の地位協定の解釈でいけば、二条4項の(b)というのは、米軍が一時使用する基地の場合に限られているように理解をします。一時使用とは何だというのは、長期使用だとか、長期使用でない場合とか、全体の編成の中に組み込まれる場合云々ということを以前から議論されているわけですけれども、一時使用ということば意味合いはともかくとして、たとえば横田などのような明らかに優先順位と言いましょうか、常時使用されているようなところで、もしいま言ったようにファントムがいなくなるとか、そしてまたそれがいずれやってくるということになってくる場合に、この(b)でいいのかどうか。どうも地位協定の解釈をすなおに持っていった場合に、どう考えても、解釈上は、今日までの常時駐留を前提としていた日米間の協定解釈というものが、やはり基本的に原則が、常時駐留だけではなくて有事駐留ということに切りかわってきている。こういうふうにならざるを得ないと思います。この部分を、一時使用の解釈の問題の拡張を含めてどのようにお考えになるか。横田の場合は具体的にどのようにお考えになるか。このことを明快に御答弁をいただきたいと思います。
  78. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 重要基地が予備基地になりました場合に、これを再使用を認めるというようなケース、すなわち有事駐留ということでございますが、これは従来から一般に言われておりますように、米軍はふだんは全くいなくて、有事の際に急にきてそこを使用するというようなケースはあまりないであろうというふうに考えています。ちょうど汽軍が機関車とレールさえあればいつでも走れるというようなものではないように、やっぱり常時ポイントの整備が必要であるということになりますと、横田にしましても厚木にしましても、かりに予備基地になった場合におきましても、米軍は飛行機のある程度の修理機能は残しておかなければならないでありましょうし、あるいはその飛行場における気象状況とかその他のことにもなれていなければならないという意味におきまして、予備基地化しましても、米軍はやはり一時的に年間何日とか、あるいは何回とかという回数は、当然いざという場合の再使用する場合の訓練として常時使われるであろうというふうに考えざるを得ない。その意味におきまして、予備基地化しましたならば全く米軍が使わなくなるという事態はあまり考えられませんので、その意味におきまして、現在の地位協定二条4項(b)の、一時的にこれを使用する、すなわち一時的に訓練、演習をしてみるということは、常時あり得るというふうに思うのでございますので、その意味におきまして、予備基地化した場合の自衛隊管理という問題は、現在の地位協定を運用すれば、決してこれに違反するというような、あるいは範囲を拡張するというような意味のものではございません。たとえば板付にしましても、実質的には現在予備基地化されております。しかしながら、やはり米軍で常時といいますか、まああそこはほとんど民航が使用しておりますが、やはりたまに訓練のために戦闘機も飛んでおります。また、修理能力も依然として維持しております。そのような形式の予備基地というものになっていくであろうというふうに考えますと、現在の地位協定で十分やっていけるというふうに思っております。
  79. 上田哲

    上田哲君 予備基地というのはよくわからないが、一時使用と有事駐留というのは、どう違うのですか。
  80. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) これはことばの問題でございますが、常時米軍が駐留して、常時これを戦闘訓練にも用いながら運用していくというような常時駐留に対しまして、米軍が一時使用——ふだんは使わないが、一時的に使わさせてもらいたいというような施設になりますと、これは通常予備基地化したというふうに考えて、そのような表現を使っております。
  81. 上田哲

    上田哲君 よくわかりませんけれどもね。とにかく、その前までは非常によくわかった。わかった分の中に、有事駐留ということばがあなたの中から出ました。つまり法解釈がどうしたってこっちに持っていけば——まあ解釈論あまりとりませんけれども、少なくともことばとして確認しておきたいのは、少なくとも現在の常時駐留から有事駐留ということが出てきたということですね。
  82. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) よく米軍が予備基地化するというような場合に、通常有事駐留ということばが一般に使われておりますけれども、その有事駐留という考え方が必ずしも、現在の軍の関係の運用におきましては必ずしも通用しない。すなわち、先ほど来申し上げますように、全く米軍がもういなくなってしまって、有事の際に急にきてこれを使用するというような事態はあんまり考えられない。どうしてもやはり、かりに米軍がその基地を予備基地化しまして、自衛隊がこれを再使用を保証するというようなことにしましても、やはり年間何日なりあるいは何回なりきて訓練はするという形式は残ります。これは全くないような、よく言われます有事駐留というものは、軍事施設に関する限りほとんど考えられない。そういう意味におきまして二条4項(b)で一時使用を認めながら、通称言われまする再使用の承認と申しますか、保証といいますか、そういうような形式のもので、二条4項(b)でやっていけるというように思います。
  83. 上田哲

    上田哲君 まあ変質したというふうに思わざるを得ないのですが、最後に長官に一言。  四次防の長い約束がありまして、今月は十月、十月になるということが大体振幅の合わさるところでありました。一言でいいのですが、四次防は十月中に出るのでございましょうか。
  84. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いまも懸命に努力をしております。詰めの作業に入っておりまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  85. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本件に関する午前中の調査はこの程度にいたし、午後零時五十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後零時五十七分開会
  86. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国の防衛に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  87. 足鹿覺

    足鹿覺君 最初に防衛庁長官にお伺いいたしますが、防衛庁の基地総点検についてであります。これは同僚の上田君からも午前中御質問がありましたので、簡潔に私は二、三伺って次に移りたいと思います。  防衛庁は今月の三日、庁内に基地管理議会、会長には江藤参事官を当てておられるようでありますが——を設けまして、在日米軍基地の総点検を行ない、自衛隊移管について取り組む態勢を整えて、防衛庁が主導権を持って基地整理統合を進める方針のようでございます。その一部について、先般同僚委員の資料要求の結果、若干配付されましたが、その詳細はわれわれ知るすべもありません。  そこで、そういう点からまずお尋ねを申し上げたいのでありますが、米軍側の在日基地整理の長期的方針について長官の御所見を承りたい。さきに長官は渡米をされまして、レアード国防長官との話し合いがあった結果かと思いますが、この基地総点検問題は、その際、米側の在日基地整理についての長期的方針について、長官としてどのようなお話し合いをなされ、見通しを持たれるに至ったか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  88. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はレアード国防長官に会いました際に、日本にある米軍基地はもはや整理統合すべき段階に来ていると思う。特に都市に近接している部分、特に首都圏の内部における基地群というものは現状に合うように整理統合してしかるべしであると思う。それで基地の態様によって、アメリカが従前どおり排他的に施設区域として使用していくもの、それから米軍側が使用しているが、日本自衛隊に共用を許すもの、あるいは日本側が主としてこれを管理してアメリカ軍に共用を許すもの、あるいは自衛隊が代替してかわるもの、それから一般民間人に返すのが適当である、そういうところから官庁ないしは民間にこれを返還するもの、そういうふうな態様に分けて米軍基地を仕分けして、そして整理統合することが適当である。特に首都圏においてはそうである。水戸あるいは所沢等の名前をあげまして、その要望を出しました。先方もそのことはよくわかる、協力して整理統合できるものについてはやっていきましょうと、そういうことですでに進んでおりますが、われわれのほうも基地管理議会をつくりまして、われわれのほうからみずから自主性を持って米軍基地を全部一応点検をして、その基地はこうするのが望ましい、こういう具体案を持ちまして、先方とかけ合っていきたい。現に進行しておるものにつきましては、先ほどお話がありましたように、立川とか厚木とか、そういう部分につきましては、それをさらに具体化していく、そういう考え方に立って進めていきたいと思います。  私が受けました一般的印象では、やはりアメリカの軍事費の削減等の関係もありまして、アメリカの海外基地は相当思い切って削減されていくのではないか。その中に日本及び沖繩基地も含まれるであろう。そういう気がいたしました。パッカード国務次官は、来年六月までにかなり前進させたい。それ以降についてもまたやりたいと、そういうような一般的意向を私に伝えた次第であります。
  89. 足鹿覺

    足鹿覺君 そのお話し合いの結果、長官としてはアメリカの長期見通しについて相当見通しを持たれたと思いますが、最近話題を呼んでおりますハロランというアメリカの著名な軍事評論家がおるわけでありますが、このリチャード・ハロラン氏の論文を通読してみますと——これは長官はお読みになっておりますか。
  90. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 読みました。
  91. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が見るところでは、アメリカ考えておる一九七五年までのこれはアジア政策の一端として基地整理計画をやっておる、そういうふうにそのハロラン論文を読みまして、感じました。そういう観点からハロラン氏はPATO——太平洋アジア条約の可能性ないしはASPACの性格の変更、こういったことにならざるを得ないであろうという見通しを持っておりました。それはまあそれとしてあとで触れることにいたしまして、在日米軍基地は朝鮮からベトナムに至るまでの軍事作戦に対し欠かせないとしながらも、その長期的見通しとして一九七四年までは維持される旨の発言を発表しておられますが、このような見解に対して長官はどう判断をなさいますか。
  92. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ハロラン記者の太平洋アジア条約機構、いわゆるPATOというものは通読いたしましたが、現実性がないように思います。日本は現在の安保条約を除くそのほかの多辺的な国際軍事的機構に入る意思は持っておりません。したがって、そういうものを前提として考えておるRATO構想というものは、現実性がないとわれわれは判断をするわけであります。  それから米軍基地の将来につきましては、これはアメリカの国家予算との関係で毎年毎年きまっていくものでありますが、五年ぐらいの長期的見通しを大ざっぱに勘で考えてみますと、現在のように国際紛争が沈静しつつあるという情勢が続いているならば、アメリカの在外基地はかなり削減されていくであろう。一方においては軍事的要請というものが片方にありますけれども、また片方においては、アメリカの国家の内部における予算の運用の問題も出てまいりまして、そちらのほうからの要請が私はかなり強く出てくるのではないかと思います。そういう面からいたしまして、ある程度の海外基地は削減されていくであろう、そのように予測しております。
  93. 足鹿覺

    足鹿覺君 十月六日でありましたか、基地管理議会の第一回会合では、弾薬庫、射爆場、飛行場など、純粋な軍事施設自衛隊が引き継ぐ、キャンプ座間、立川など予備基地自衛隊が共同使用し、米軍に有事使用を認める。ゴルフ場、倉庫、工場等、必要性の薄い施設は一般に返還するとの原則を定めたようでありますが、事実でありますか。
  94. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 今月の六日に第一回の協議会を開きまして、その際におきましては、最近における米側の在外基地考え方の問題につきまして、情勢判断をいたし、あるいは今後防衛庁としての対策をどういうふうな考え方のもとにやっていくかというようなことにつきまして、いろいろな意見を交換し、打ち合わせをいたしたのでございまして、一部新聞に報道されたような具体的な意見の決定表明はございましたけれども、それをはっきり方針を決定して今後の措置をとるというようなことをいたしておるわけではございません。あくまでこの基地管理議会というものは、いろいろな情勢の分析と、今後作業するにあたって、なるべく一定の意思のもとに方針をきめまして、そのもとで作業していくというような考え方をとっているというのがこの協議会の趣旨でございまして、そのようなことを完全に決定したというような経緯はございません。
  95. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま話題になっておる厚木飛行場の返還をめぐって、地元自治体と国、つまり大蔵省の意見が食い違っておる。地元にしてみれば、多年基地公害に悩んだものである。したがってそこに公園を設け、あるいは遊園地をつくり、あるいは公共施設を、あるいは教育施設をそこに設けたい。いわゆる地元に全面的に使わしてもらいたい、こういう考え方を持っておる。ところが大蔵省がこれに意見を申し入れて、ある一部は別な考え方で処理したい、こういうようなことを言っております。あなたがたがいろいろな管理議会というようなものをつくられましても、これが返ってくれば一応国有地になる。国有地になったものの使途について、大蔵省とどういう意見調整を今後進めていかれる方針でありますか。
  96. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 厚木は先ほど来申し上げますが、やはり米側としましても非常に重要な基地でございまして、安保の続く限り、少なくとも予備基地としては存置し、臨時的には第七艦隊の着いたときにはこれを使用するというような行き方で残ると思います。その意味におきまして、使用頻度が非常に減りましたので、自衛隊のほうはこれを共同使用しながら進めてまいりたい。いわゆる地位協定二条4項によって使用してまいる形態のものでございまして、その意味におきまして、今後も共同使用の形態で残っていくであろう、そういうようなことを前提にしながら、大蔵と自衛隊使用について協議いたしておるのでございます。
  97. 足鹿覺

    足鹿覺君 協議をしておられることは、これは当然だろうと思うのですけれども、そういった場合、いわゆる厚木の場合をいま引用いたしましたけれども、いわゆる直接軍事施設については自衛隊が引き継ぐ。直接引き継がない、たとえばゴルフ場、倉庫、工場等、必要性の薄い施設は一般に返還する、この原則を定めたようであるが、この点はどうかということを私は結論的には聞いておるのです。つまり、基地公害に多年悩んだものに優先をしていくという、こういう考え方ならばわかりますが、これをこのままそっくりまた自衛隊が引き継いでいく、中心に引き継いでいくということであれば、アメリカが使用しておったものが自衛隊に肩がわりしただけであって、基地そのものの国民への返還にはならぬのじゃありませんか。
  98. 山上信重

    説明員山上信重君) ただいま御質問の問題の場所は、おそらく厚木のイースト・キャンプの問題じゃないかと思います。
  99. 足鹿覺

    足鹿覺君 いや、それは例をあげたまでのことです。原則を言っているのです。
  100. 山上信重

    説明員山上信重君) この問題については、イースト・キャンプの例でちょっと申し上げますと、これは返還するためにはイースト・キャンプにある施設基地の中に一部移転させるということが必要でございまして、その間の交渉をいま、しておる段階でございまして、そういう問題がはっきり煮詰まってくれば、返還という話し合いも煮詰まってくる。しかし、このイースト・キャンプにつきましては、いずれにいたしましても、これを返還自衛隊で使用するということは全然ございません。これはあくまでも民間の利用にまかせるということでございます。ただ、その利用の方法について、地元の市町村が希望しているような学校の利用というような問題と、大蔵省が一部サゼスチョンをしている住宅への利用というようなこととの間でいまいろいろ話し合いが、大蔵と地元の間に行なわれておるようでございますが、いずれにいたしましても、この分については自衛隊への使用ということは考えておりません。  それから、ただいまございました管理の問題につきましても、先ほどから江藤参事官が申し上げておりますように、これは基地の今後の整理については、すべてを自衛隊に持っていくというような、必ずしもそういうことではなく、自衛隊が必要とする部面についてはそういう管理をいたすが、そうでない部面については民間のほうに利用させる。あるいは、そういった面への返還というようなことも考えるということも含んでおりますので、あわせて御了解を得たいと思います。
  101. 足鹿覺

    足鹿覺君 米軍と共用し、あと自衛隊独自で米軍の使用しておったものをそのまま引き継ぐ場合もあり得ると思うのです。問題は、それを一定の一つの原則というものを立てて、そしてこれをどう処理していくかという基本方針が、やはり大蔵当局その他との間において確認されたものでない場合は、私どもとしては、地域住民の多年軍事基地公害に悩んだものに対するところの、何といいますか、ざんげといいますか、おわびといいますか、そういったことにならないではないですか。ただ、わずかにゴルフ場や倉庫や工場等、必要性の薄いわずかな面積を、それもあやふやなただいまの答弁では、そういうことでは、事実上これは名ばかりの基地返還であって、実体の伴わないものであるやに私は受け取るのであります。その点については高度の政治判断——やはりこの判定は政治家としての高度のお考えに基づいてなされていくべきものだと考えますが、長官の御所見はいかがでありますか。
  102. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御指摘のように、高度の政治判断でこれは処理すべきものと思います。一般民間に返却すべきものは遠慮なく返すべきであるとは思います。ただ、だんだん段階的にものは進んでいくのだろうと私思います。また、日本防衛全般を考えてみまして、自衛隊施設米軍側の施設との総合的運用ということも防衛力の中では考えなければならぬことでもあります。そして、そういう中で何が一番効率的であるかということを発見しながら、整理統合を進めていくという考えに立ちたいと思うわけであります。一挙に民間に返さないものでも、だんだん眠っていくようになって、起きる回数が少なくなると、だんだんまた民間に返却されていく濃度も濃くなっていく。そういうことが昭和二十七年以来のわれわれの経験でもあるわけであります。したがって、われわれとしては、時間の経過、客観情勢の推移ということを重要視しながら、いま申されましたような御趣旨を尊重してやっていきたいと思うわけであります。
  103. 足鹿覺

    足鹿覺君 これにさらに関連して当局に伺いますが、いまの長官の御答弁の趣旨を体して今後協議会が運用されるものだと私は理解いたしました。そういう見地から一例をあげますと、立川飛行場、山田弾薬庫、水戸射爆場等は自衛隊が使用することになるでしょうね、たぶん。基地整理統合といっても、自衛隊管理に移行するということにすぎない。いわゆる広漠たる地域はほとんどそのまま自衛隊に移行する。これは自衛隊基地が増加するのみであって、基地問題そのものの解決には私はならないと思う。漸進的、段階的という長官のお話がありました。それはそれなりにわからないことはありませんが、おそらくいまの米軍基地返還というものについての国民感情の受けとめ方は、これは多年異民族が日本へ駐とんし、沖繩の場合は特にそうでありますが、その公害を受けてきている。したがって基地返還ということは、これは自分たちの地域住民に戻ってくるという受けとめ方をしている。この住民感情とはよほどかけ離れた考え方をあなた方は持って対処しておられるのではないか。これは国民に対して私はある種の不信感をやはり与える結果になると思うのであります。そういう見地からいま私は立川飛行場、山田弾薬庫、水戸射爆場等のような具体的な例をあげましたが、これらの点についてはどうですか。
  104. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 立川の飛行場や水戸の射爆場については、一部を民間に返すように努力してみたいと思っております。しかし、米軍が使用しなくなって、自衛隊が使用するということにふだんになりますと、住民感情もだいぶ変わってくるのじゃないかと思うのです。外国人が日本の国土を使用しておるという状態から、日本自衛隊日本防衛のために使用しておるという状態に変わっていくということは、やはり相当大きな変化であると思いますし、その上に、いま申し上げましたように立川やあるいは水戸の射爆場等につきましては、住宅地区であるとか、あるいはその辺の都市計画のことも考えて、できる範囲のことはわれわれとしても協力していきたい。そういう方針でもって関係者に私は指示しているところでもあります。
  105. 足鹿覺

    足鹿覺君 具体的な御答弁がありまして、今後の運用を見守りたいと存ずるのでありますが、さらに具体的な例をあげて伺いますが、三沢、厚木、横田、岩国等の飛行場並びに横須賀、佐世保両港については、長期にわたって米軍が運用するという情勢分析に立っておられますか。これらの基地についても自衛隊管理に移行させる方針で今後米軍側と折衝し、アメリカ側といろいろな高度な話し合いをなさろうとしておられますか。以上あげた三沢、厚木、横田、岩国、横須賀、佐世保、この六つの例をとってひとつ具体的に御答弁を願いたい。
  106. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 午前中の会議でも申し上げましたように、必要やむを得ざるものとして、アメリカが従前どおり施設区域を排他的に使用するもの、それから以下申し上げましたような各種の態様、そういうことを申し上げまして、私は私の感じを申し上げますと、横須賀については一部整理する必要があると思います。すでに横須賀では一部返還してきたところもございます。しかし、そのほかの部分についても整理し、あるいは運用について改革をするところがあると思います。  厚木につきましても、すでに午前中申し上げましたように、その使用の方法等につきましても、これはわれわれの考えを入れて改革してまいりたいと思うわけです。  それから三沢や岩国は、先方は非常に重要視しておりますから、現状がそう急に変わるということはちょっとむずかしいのではないかと思います。  横田につきましては、横田にある戦闘機が今後どういうふうになりますか、午前中のお話とのからみ合いもありますので、その先方側の考えを聞きながらわれわれのほうの態度もいま研究しておるという状態であります。  佐世保につきましても、一部の土地につきましては地元からのかなりの要望がございます。したがいまして、その使用方法等についてわれわれの考えをまとめて先方と相談してみる部分もあると思っております。  以上でございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿覺君 横須賀はどうですか。
  108. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 横須賀は、最初に申しましたように、一部使用の方法その他について改革を考えたい、そういうふうに考えております。
  109. 足鹿覺

    足鹿覺君 まだありますが、時間もありませんので、午前中同僚の専門家上田君から沖繩訪問問題等については御質問がありましたので、私は結論だけ一つお尋ねを申し上げたい。  長官が先般沖繩を二日間にわたって訪問をされた。その際、到着の前に那覇空港は反対、賛成の両派が激突、相当の負傷者が出る、こういう中で長官はステートメントも読まないでそのまま立たれた。こういう異常な中に沖繩を訪問された。これは長い間異民族の支配のもとにあって、国土の最も大事な農地をはじめ中心の地域はすべて米軍の占拠するところとなり、司法権も及ばない悲惨な状態を私は長期にわたって、いまから六年前に現地に十日間おって、つぶさに見てまいりました。具体的な数字は省略いたしますが、水田その他にいたしましても、すべていいところは全部米軍の軍事施設に使用されておる。また住宅地としても、高級地はほとんど長期滞在の上級将校連中の住むところとなっておる。海には海で、すべて軍艦その他輸送関係施設、発電施設等が占拠しておって、全く使用するにたえない、こういう状態であります。年間八万トンの米すら最近はオーストラリアその他から買っておる。またアメリカからこれを買っておる。こういう状態であり、全土をくまなく島まで私は歩きましたが、長官の二日間の沖繩訪問実感と、私の実感から考えてみましたならば、全島どこへおいでになっても、直径五寸以上の木はありませんよ。日本の場合はほとんど都会が戦禍を受けたわけであります。農村まで大きな沖繩のような戦禍を受けておりません。みな焼けてしまったのです。そのあとに植えたわずかな木が、やっといまこの程度に成長しておる。そこへかまぼこ小屋のような、日本の開拓民も住まないようなかまぼこ小屋を建てて、そうして残った農地を、何の水利関係もない、流すだけで水田をつくり、イモをつくり、ブタを飼い、サトウキビをつくっておる。こういう状態になり、しかも沖繩県民の気持ちは、あの戦争の末期に、アメリカもさることながら、日本軍自体に、同胞が同胞を殺すという悲劇を繰り返しておるのであります。そういう事実を体験した沖繩の県民が、現在自衛隊に対して近親感はおろか、これを喜んで迎えるというような住民感情のないことは、賢明なあなたとしては察知されておったはずである。  しかるに、それの最初の説得もなく、そうして、はなはだこういう事態というものについては遺憾である、反対は一部の誤解と偏見である、断じて自衛隊は後退しないなどという、きわめて高姿勢の発言をされたことは、私は心ない御発言ではなかったかと、あまりにも政治的ないしは官僚的、あるいは米側との話し合いというものにのみ気を奪われて、住民の意思なり、いままで異民族支配を受けた沖繩県民の悲惨な体験というものに対する思いやり、この同胞たちに対する気持ちが、私は、あなたは自分防衛庁長官としてのことにあまり気をとられ過ぎて、そこに対するところのズレがああいう事態を起こしたのだろうと思います。  この際私は、きわめて遺憾な事態であったと思いますが、住民感情を無視ないしは住民にさからって自衛隊がかりに駐屯をいたしたといたしましても、それで沖繩が守れるものだとは思いません。この点について、わずか二日間の日程上やむを得なかったとは私も思いますが、少なくともあなたはあらためて一度沖繩の全島をよく御視察になり、そうして政治家としての高い視野から、このたびの沖繩訪問について反省をされ、今後に対処される必要が私はあると思う。住民の協力、住民の理解、住民との心のつながりなくして私は沖繩自衛隊進駐ということは、非常に困難である。目的自体の遂行ができないではないか、そういった私は、それに賛成するものではありませんが、そうした面から、こういう立場から見てきわめて遺憾に思いますが、どのようにお考えになり、今後対処されようとしておいでになりますか、この一点だけひとつ承っておきたい。
  110. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩におきまする私の発言は、全文をお読みいただくと、いま足鹿委員がおっしゃったような趣旨のことも言っておるのであります。ただその部分が新聞に載らなかったのであります。前段におきましては、私もあなたと同じような気持ちを持って、今度沖繩へ行ったのは三回目でありますから、今度の戦争の最大の被害者で、しかも二十数年にわたってわが同胞の身がわりになって御苦労してくださった沖繩の皆さん方に対して、われわれ日本の政府としては最大の努力をしなければならぬ。誠実にそうして努力を積み重ねていかなければならない。そうしてこの変則的な状態のもとに長い間がまんしてこられた皆さん方であるから、内地の国民と同じような感情ではおれない。そういう非常に微妙な感情についても、われわれは十分洞察していたわってあげなければならぬと思っている。そういう趣旨のことを私は明言してあるのであります。しかし、自衛隊の問題に関しましては、私は、沖繩の同胞の大多数は進出に賛成していると思っております。  私が入りましたときに、約二千人の人が反対運動にこられたと新聞に書いておりますが、沖繩の警察の者が私に言ったのは五百人ぐらいが実数だそうであります。それからステートメントにつきましては、初めから読まないといって、読む時間が初めからなかったわけですから。したがって関係方面に配付いたしまして、こういうステートメントをぜひステートメントとしてお受け取りください、読みません、そういうことを申し上げてやったのでありまして、初めから読む予定はなかったのであります。そして自衛隊の問題につきましては、いろんな関係の人とお会いしましたけれども、おそらく大部分の方々は、日本の領土に復帰したら日本の主権が及んで日本人が守ってくれるんだと、また、日本が守るべきである。これがすなおな感情としてとられていると思うのです。ただしかし、この間の大戦の痛ましい記憶が残っておりますから、必ずしも内地と同じような感情でおるかどうかはわかりません。日本自衛隊でも、陸上自衛隊ができてから、予備隊の時代から入れてもう二十年になるわけで、二十年かかってこういうような感情に成熟してきたわけです。ですから沖繩においては、昭和二十七年のような、あるいはもっとさかのぼるような情勢で県民の感情ではあるだろうと、私は洞察しておるわけです。が、しかし、やはり日本の主権が返った以上は日本人が守るんだと、それは当然のことだという考え方は、意識としてはみんな潜在化し、あるいは顕在化してあるようであります。しかし一抹の不安を持ってらっしゃることも事実です。自衛隊をよく御存じないから、また旧軍に対するそういう記憶がよみがえってまいりますから。したがいまして、われわれが自衛隊を進出させるについては非常に多くの努力が必要であり、その努力をこれからやるためにもまた行ってみたわけであります。  そういう十分の注意をしながら、住民感情を尊重しつつ、この自衛隊の進出をやろうと思っておるのです。沖繩が七二年に本土に復帰して日本の領域になった以上、日本国の主権の権威においても責任においても、沖繩日本人が、日本の政府が守るべき責任を持っておるのでありまして、われわれはこれを回避してはならない。いつまでも異民族が沖繩の群島を守っておるということは、厳然たるこれは正常ではない事態であるとわれわれは考えなきゃならぬ。一日も早く常態に復帰しなければならぬ。内地並み、本土並みになっていかなければならぬ、そう私は考えておるのです。それで一部の労働組合の方々が反対していらして、いろいろ宣伝をしていらっしゃいますけれども、それはそういう住民全体の意向を必ずしも正確に代表しておるとは私思いません。そういう方方のイデオロギッシュなあるいは誤解からきている運動は表に強く出ていると思っております。しかし、沖繩の事態は、われわれ本土におる者が考える以上に非常に深刻な微妙な低流がありますから、その点については、われわれとしては慎重の上にも慎重にやらなければならないと心得ております。
  111. 足鹿覺

    足鹿覺君 反論を加えるわけではありませんが、一部の労働組合云々というような御表現もあったようであります。しかし、沖繩県民によって選ばれた屋良主席は、県民の意思を代表して、自衛隊沖繩駐留に対して同意を与えていない。さらに今月の二十三日には沖繩県民の総意に問う総選挙が行なわれる。その総選挙の結果はどういうものが出るか、これは推則するに困難でありますが、いずれにしろ、長官がいま述べられたような安易なものでは私はなかろうと思う。きわめてきびしいものがある。したがって、いまの長官の、一部の労働組合云々とか、ごく少数の者の意見であって、県民自体の総意は受け入れる方向にあるやに印象を受ける御答弁がありましたが、それは私は大きく認識を御訂正になり、また県民の代表である屋良主席そのものの現時点においては立場をあなたは尊重され、その間に合意を遂げられるような、そういう政治家としての姿勢と政策をあなたが持たれることが当然だと、こういうふうに、あえて反論するわけではありませんが、あなたの御意見には賛成いたしかねます。御考慮をわずらわしておきたいと思います。  最後に、防衛庁の沖繩施設調査について。防衛庁では七二年の沖繩返還に関して、防衛施設庁が三月から四月にかけて沖繩米軍基地施設、労務関係現地調査を行なったほか、八月末から九月初旬にかけて返還後の自衛隊配置に関し、防衛庁設施調査団が現地調査を行ない、さらに今月も施設庁から調査団が派遣されるようであります。そこで、いままで派遣された調査団の調査の内容及びその結果について詳細に何らかの御発表をされる必要があろうと思う。全くその結果は私どもはつんぼさじきに置かれておる。これを本日御説明を承ることができますかどうか。御説明が短時間でできないとするならば、資料として提出していただきたい。これを国民の前に国会を通じて明らかにしていただきたい、これが第一点。  第二点は、防衛施設庁の明年度の重要施策を見ると、沖繩施政権復帰に対処するため、新たに沖繩本島に準備事務所を設置する方針が示されておるが、準備事務所の設置の目的、その規模、いままでの調査との関連等について、これまた資料として御提示を願いたいと思いますが、いかがでありますか。
  112. 山上信重

    説明員山上信重君) 沖繩の調査につきましては、調査に二色ございます。私のほうから独自で調査いたしますものと、防衛庁で調査をいたしますものとございます。三月に調査いたしましたのは、私のほうで米軍基地の使用状況、利用状況等についての法制的なたてまえとか、あるいはいろいろなルールがどういうふうに行なわれておるかという、いわゆる基本的なことに対する基礎調査をいたしました。労務につきましても大体同様でございます。どういうような法制、どういうふうな制度、どういうふうなあれでやっておるかというような、基本的なことを調査いたしました。  次に、先般八月末から九月にかけて行なわれましたのは、これは防衛庁のほうの調査でございますので、そちらからお答えがあるかと思いますが、ただいま調査に出しておりますのは、今月八日から今月末にかけまして引き続き調査をさせるつもりでおりますが、これはこの現地の個々の施設につきまして、実情がどういうふうになっているかを個別個別に現地現地について調べたい、特に境界がどういうふうになっておるのか、あるいは民間がどういうふうに利用しているのか、いろいろ利用の状況やら、あるいは使用者との関係、土地所有者との関連等をできるだけ詳細に現地について一つ一つ調べてみたい。それによって将来起こり得るであろうところの米軍に対する施設提供なり返還なり、いろいろの問題が起こります。それらに対して基礎的な調査をいたしたいというものでございます。それらについて今後、いままでの調査はそういうようなことで御満足がいただければそれで御了解を得たいと思いますが、なお資料を提出しろということでございますれば、後日差し出したいと思います。  それからもう一つは、沖繩の準備事務所、来年度の目的、規模等でございますが、これは返還時点におきまして米軍施設提供という問題が起こり得ることに備えまして、この具体的な事務を行なわせる事前の準備が必要でございます。返還時点におきまして施設提供するといたしますれば、その前にいろいろな諸準備が必要でございます。特に土地所有者との関連は、いろいろ所有者との話し合いなり契約なりの準備をいたさなければならぬと思います。そういったようなことが主たる目的で、その他になお管理の者やら庶務の者やらいろいろ含めまして、来年度、これはまだ大蔵省と折衝が終了いたしておりません段階でございまするから、その数が実現するというわけではございませんが、私のほうの希望といたしましては二百六十名の人員を配置して、そういったような個々の所有者との折衝等を含めまして準備要員を現地に張りつけたい、そのための準備事務所と心得ておるのでございます。  現在の調査団との関連はということでございますが、ただいま調査団を派遣いたしておりまするのは、これはまだ現地に準備事務所もできておりません。所有関係の個別の問題について基礎的な資料もございませんので、基礎的な資料を整え、それらの資料を十分に活用いたしまして、将来この準備事務所ができました場合には、その事務所がそういったような仕事に当たるというふうな含みでおるわけでございまして、関連するわけでございます。
  113. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから、二つの問題についてその説明では納得がいきませんので、資料としていただけるかどうかということです。いただけますか。
  114. 山上信重

    説明員山上信重君) 後ほど差し上げたいと思います。
  115. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではなるべくすみやかに御提示を願いたい。  そこで、いまのあなたの説明を聞いていると、何もかも具体的に実のある御答弁とは私思いませんが、具体的な事例を、では一つ申し上げましょう。  自衛隊が配置される沖繩基地についても、おおよそのところはすでに決定しているという話であります。一例をあげますと、九月二十八日の日本経済新聞によれば、「(1)陸上自衛隊は那覇近効のホイール・エリア、普天間両基地、(2)海上自衛隊は東海岸のホワイトビーチ基地(3)航空自衛隊と海上自衛隊しょう戒機部隊は那覇空港——をそれぞれ使用する方針を固めた。」と報道しております。私がここで質問しておるのは、こういうすでに新聞に具体的な発表をされたことを資料を出せといっても、そういったことの関連も含めて、なぜこの委員会を通じて国民の前に明らかにされ、沖繩県民にこれを知らされないのでありますか。私はそういうことについて、もっとあなた方は誠意を持ってお答えになる必要があるのではないか。だから以上述べた点で、はなはだ遺憾であります。詳細な資料の御提示をお約束されましたので、この問題についてはこの程度で打ち切ります。  最後に長官、このリチャード・ハロラン氏の論文を読んで私の受けた印象は、要するに米軍の使用しておったものは一九七四年ないし七五年には日本から完全に撤退をするか、大体完全に近い線で撤退をする。つまり撤退はするが、新しい一つの方針に向かって新しい体制を別なところにつくる。つまり後退をするのである。こういうことが結論として言えるのではないかと思うのです。いわゆる日本基地そのものからは撤退するけれども、自分たちの基地は後退した適切なところに新しくまた設けるであろう、こういうことに尽きるであろうと思います。このリチャード・ハロラン氏の述べておるところによると、「われわれは自衛のための人員供給という第一義的な責任は、直接脅威を受けた国が負うよう期待するであろう。」、つまり直接脅威を受けるであろう現地調弁主義ですね、これはあながち沖繩のみをさしているのではないでしょう。東南アジア、いわゆるPATOないしはASPACに期待をかけておる。日本がPATOやASPACの軍事同盟的な条約機構に入るとは考えておりませんが、少なくとも自衛のための人員供給という第一義的責任は、直接脅威を受けた国が負うように期待するであろう、つまり現地でやれ、アメリカは犠牲の負担を軽減して、そうして現地においてアジア人とアジア人同士を戦わしめるという一つの後退とみなす、そういう方向に向かって提言をしておりますし、日本の著名な軍事評論家も、「これを要するに、このハロラン論文は、アメリカ考えている一九七五年までのアジア政策の一端を示したものかも知れない。わが国のアジア政策がいままでのアメリカまかせの消極的なものではもはや通用しなくなったことを警告しているとみてよかろう。したがってこの論文は、日米安保条約の改定問題から始まって、自衛隊の海外派遣といういままでのタブーにも関係をもち、さらには憲法の根本にもふれる重要な意義をもつものといわねばならない。」、このように結論を述べておるのであります。  私はこの論文のすべてを肯定するものではありませんが、少なくとも傾聴に値するものである、かように考えるものでありまして、これは長官のあるいは防衛庁当局の真摯な御検討を願っておきたいと思います。  時間がありませんので、今度は至って局地的な問題で恐縮でありますが、いま述べたような立場に立って基地問題、特に美保基地問題について伺いたいと思います。  九月二十一日、浜口海将は、魚雷艇の基地を鳥取県境港周辺につくりたいというセンセーショナルな言明をいたしました。すなわち境港は地形上最適と思うが、地元の事情もあり、どこに置くかはきめておらない、こういう発言をした。つまり美保基地のいままでの地元の反対抵抗がきわめてきびしいということを念頭に置いた慎重な発言であったと思いますが、これに反し、土屋政務次官は九月二十八日、その問題でその地域はわき立っておるところへ初巡視と銘打って美保基地航空自衛隊を訪問され、新聞記者団との会見において、同基地のジェット基地化はいまのところ考えていない、いまのところですよ、という異例な発言をされております。すなわち、滑走路のつけかえは現に行なわれております。地元住民の反対陳情、署名請願等を無視して、自衛隊基地内なんだから、やるのは何が悪いかといわぬばかりに行なわれております。また、地元の最も騒音の被害をまともに滑走路のつけかえによって受けるであろうと思われる境港市会も特別委員会を設け、市長もこの問題に対しては市民の意向を考えて対処したい、かように市も何ら同意を与えていない。このような中にあってすでに滑走路のつけかえは始まっております。あわせてこれと符合するごとく四十六年、四十七年の二カ年計画で滑走路のつけかえが行なわれ、第四次防は昭和四十七年に発足することともこれは符合しております。また一方、これは運輸当局も先般発表しておりますが、運輸省がジェットの輸走力を四倍、大型機を二十三空港で発着を可能にするということを中心に新空港五カ年計画なるものを発表し、そして山陰においては島根県出雲をジェット化空港の対象にしております。つまり先般の当委員会で橋本運輸大臣に私が質問したとき、自衛隊との併用関係はでき得る限りこれを整理し、自衛隊自衛隊、民間空港は民間空港として分離をしていく原則で対処したいということの趣旨からか、運輸政策審議会が発足をし、その審議会に付議されるであろうこの案が一般に公表されておりますが、われわれは不幸にしてその内容を知っておりません。こういうこととあわせて、もし勘ぐるといたしますならば、山陰ではジェット727の大型機は出雲に移動する、そして滑走路のつけかえが完成になる昭和四十七年、つまり第四次防を発足せしめる年に、いわゆる二十センチの堅固な滑走路とつけかえが行なわれる。こういう諸情勢の中に土屋政務次官がそのようないまのところ考えていない、こういう異例の発言をされたことはきわめて私は遺憾であろうと思う。  今日まで私どもは鳥取、島根両県、これは決して労働組合のみではありません。地元住民も一般市民も、労働者はもちろん先頭に立ち、すべてが立ち上がって、今日まで米軍のビーチクラフトすらこれを拒否した長い伝統と歴史を持っております。あなたたちが、もしある時期にこれをジェット化しよう、そういう含みでもってこのつけかえ工事をなされようとするならば、われわれは、われわれの断固たる決意を持って対処せざるを得ない。土屋政務次官はどのような意図を持って、いま私が述べたような諸般の背景の中にあって、ある時期とは一体どのような意味を持って申されたのか、きわめて重大であろうと思いますので、この際これを撤回して、このようなことを考えていないと訂正をされ、地元住民はつけかえそのものも反対をしておりますが、少なくともジェット基地化に対する懸念はこの際一掃されない限り、どのような事態が今後起こるかをあなた方は近くごらんになることができるでありましょう。重要な質問でありますから、しかと御心境のほどを承りたい。
  116. 土屋義彦

    説明員(土屋義彦君) 先般の美保の基地視察に際しましての記者会見の席上、私の発言上誤解を受けるような点もあったようでございますが、別に他意はございませんので、御了承を願いたいと思います。  先ほど来先生が力説されましたとおり、何と申しましても防衛の問題は地域住民の協力なくしてあり得ませんので、私は地域住民の意を十分聞いて、そして前向きで取り組んでまいりたいということを強く記者の皆さん方に訴えてまいった次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  117. 足鹿覺

    足鹿覺君 運輸省お見えになっておりますか。——先ほど述べたような趣旨の運輸省新空港五カ年計画について、これは日経の十月六日号ですかにちょっと出ておるのですが、こういうものを御発表になるということは、防衛庁と連絡をとられ、この前、橋本運輸大臣がここで述べたような自衛隊との分離を原則として今後の航空輸送能力の拡充に向かって進めていく、こういう趣旨でされたものだと理解してよろしいか。全貌なりを短時間で——時間も迫っておりますので、答弁が十分できなければ、後日なるべくすみやかに資料として御提出を願いたいが、いわゆる自衛隊と民間航空との分離を原則とした新空港計画の進め方を堅持していかれるかどうか、具体化していかれるかどうかを承りたい。
  118. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) まず新五カ年計画でございますが、前に第一次空港整備五カ年計画というのをやっておったのでありますが、それの最終年度は来年度になっております。しかし、最近非常に航空輸送需要が増加いたしまして、どうしてもやはりもう少し大きな飛行場が必要になってくる。つまり、飛行機が大型化してまいりますので、大きな飛行場が必要になってくる。四十六年度の最終年度を待つわけにいきませんので、四十六年度から第二次空港整備五カ年計画に改定いたしまして、そういうことを盛り込もうといたしております。  その内容をごく簡単に申し上げますと、新五カ年計画では、新東京国際空港の整備を推進していきたい。それからもう一つは、大阪がちょうど東京の羽田の国際空港と同じように、昭和五十一年度あたりにパンクする状態に相なりますので、そのあたりを目標に関西新空港を建設していきたいというのが一つの大きな柱でございます。  それからもう一つの大きな柱は、国内航空路線網のかなめでありますところの東京国際空港、現在の羽田空港でございますが、これが新空港ができ上がりましても、再び国内線だけでもってパンクの状態になっていく。これに対する対策のために、もう少し容量をふやしていくような拡張工事をしていきたいというのが一つの柱でございます。  それからもう一つは、旅客需要のきわめて多い路線の大型ジェット化に対処するための空港の整備、これは、飛行場というのは東京周辺あるいは大阪周辺には数多く建設することができません。そこでどうしてもやはりふえていきます旅客需要に対処するためには、一つの飛行機でもってたくさんのお客を一ぺんに運ぶというより方法がないわけでございます。しかも、それが東京とか大阪が込むから、そういうことでございますので、やはり、ここで大きな飛行機を持ってくるよりしようがない。それがためには、やはり地方の飛行場を大きくいたしまして、そしてそういった大きな飛行機で地方から東京へ運ぶ、あるいは東京から地方へ運ぶということをやらなければならない。そういうための、旅客のきわめて多い路線について大型ジェットが入るような方策をとっていきたいというのが第三点でございます。  第四点は、全路線をジェット化していきたいというふうに考えるのでありますけれども、予算に限度がございますので、まず旅客の多いところから順次ジェット化できるようにしていきたいというふうに考えております。  それからもう一つ、これが大体五カ年計画の骨子でございますが、防衛庁あるいは米軍との飛行場の共用の問題でございますが、これは大臣がおっしゃいましたように、これらを分離していきたいという考え方が根本にはございますけれども、たとえばそれが必ずしもすぐできません。ということは、たとえば一例を米子にとりましても、米子の飛行場というのは非常にもうただいま旅客が多うございます。これを自衛隊と私のほうの民間空港を分けて使うということで、実は鳥取空港というのをつくったわけでございますが、しかし、やはり交通非常に便利な米子基地のほうに旅客が多くついておりまして、これを閉鎖いたしますと、非常に地元の方が皆さん御不便をなさるのじゃないかということで、一がいに自衛隊並びに米軍との飛行場の分離ということに踏み切れない飛行場もございます。しかし、だんだん自衛隊なり米軍の発着回数とわれわれ民間側の発着回数がふえてまいりますと、やはりこれを分離していくという必要が起こってまいります。ただいま、そういうものの代表的なものとして千歳の飛行場を分離していったらどうかというふうなことを考えておりまして、五カ年計画に盛り込みたいというふうに考えております。  また、同じ自衛隊なり米軍の飛行場を共同いたします場合でも、たとえば誘導路を米軍がこちら、あるいは自衛隊が向こう、民間がこちらを使っております場合は、誘導路がたいてい、もと使っておられたほうの側についておりますのを、民間側にも誘導路をつけまして、そちら側を通らなくても済むようにすることが、きわめて安全で、運航能率の上によろしゅうございますので、そういうことをやりたい。  それから民航専用エリア、つまり民間側の飛行機だけが着くエリアというものをこちら側につくっていくというふうなことも一つの分離の方法として考えておりまして、そういうことを五カ年計画に盛り込みたいと現在考えておりますが、ただいまこれは新五カ年計画、目下大蔵省なり、あるいは審議会等に……。
  119. 西村尚治

    委員長西村尚治君) なるべく簡潔にお願いいたします。
  120. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 相談をいたしております最中でございます。まだ決定のところまでは至っておりません。  五カ年計画の資料につきましては、後刻提出をいたしたいと思います。
  121. 足鹿覺

    足鹿覺君 きょうは時間もありませんし、他の同僚委員の時間に少し食い込んでおりますので、もう一度だけお許しを委員長並びに同僚委員にいただきまして、この問題をめぐる論議は後日に譲りたいと思いますが、農林省に伺います。  中海干拓計画が発足してからすでに十数年を経過し、当初考えておった中海淡水化はヘドロ化その他によって、その水を淡水化しても使いものになりません。もうすでに現在の時点でそういう事態が起きておるところへ持ってきて、島根県側はかってに、鳥取県の了解を得るならばというので、本庄工区東端に一万トン、五千トン各一バースをつくる岸壁の建設を考え、さらに港湾施設の背後地として本庄工区対岸に四十八年度までに百十ヘクタールの工業用地を造成する。企業立地の適用業種としては木材工業、機械工業、食品工業などを考えておる。その経費すでに四十九億円ということであり、鳥取県側の同意を求めておる。鳥取県側は閘門の設置に反対をしておる。人によっては、ああいう要らぬものは爆破してしまえ、ますます中海の汚濁を激しくするものであって、一利あって百害ある、こういうきびしい議論をする者があり、もしこのようなことが法律を無視して、土地改良法並びに特定土地改良工事特別会計法を無視して、あのもみにもんだ中海干拓計画がいつの間にか、御時世とは言え、このような大きな変更を加えることについて、またこれは当初美保飛行場との関係もあって、絶対に美保飛行場の延長につながるような干拓はやらない、こういうかたい国会答弁あるいは話し合いによって、われわれもこれに同意をいたしてまいったことは御承知のとおりだと思いますが、一体いかに米が余るとは言え、三千ヘクタールからの大計画がいつの間にか工場団地化を促進し、そして淡水化がかりに成功しても使いものにならない、有害な物質を含む状態になった今日、一体これを一県と県との話し合いで、法律とは別に、地元の農民の負担、犠牲によってこれをお認めになっておるのでありますか、どうか。  私はきょうはこれ以上申し上げませんが、このようなことで、さらに農林省が干拓計画をうやむやのうちに変更されて、本来の趣旨が達成できなくなったならば、特定土地改良工事特別会計法の改正、土地改良法の改正、負担区分の変更、こういったことで堂々と正面から国会に提出され、しかる後にかかることは容認されるべきものだと思うが、島根県側が鳥取県の同意を得るならばという条件で、このような国会を無視し、法律を無視し、地元の負担を無視し、このようなことを考え、しかも、これだけの公害のやかましいときに、淡水化するための閘門工事を先行さしていくといういまのお考えは、一体どこから出ているのですか。全くしどろもどろではありませんか。なぜ当初の、私が申しておる——私は当初、これは工業地域、これは関連地域、これは農用地域と、多目的開発をすべきである。私は当時からそういう主張を持って、その工場用地や関連施設に多くの負担を持たせ、農民あるいは地域住民の負担を軽減せしめることを、現衆議院議員であり、当時の農地局長であった伊東正義君にもしばしば献策をしたが、何ら受け入れることなく、便々として今日まで至り、しかも、淡水化しても役に立たない水をつくって、一体どうする所存でありますか。しかも、島根県側は法律を無視して着々とその計画をし、県議会の協賛を経て、白昼、法治国であることを無視したかのごとき態度をとることは許せません。一体農林省はこれを認めたのかどうか、今後どうする所存であるか。特にこういうふうにかって気ままに計画が変更されるということになれば、美保飛行場との関係もわれわれは心配になってくる。地元民もすでに心配をしておる。一体農林省の権威いずこにありやと疑いたい。  このようなことは全国の各地で起きておる干拓問題に共通する事実であると私は思う。いずれ農林大臣の出席を求め、国家行政組織法の審議の際にとくと私は追及したいと思いますが、現時点における農林省当局としての、島根県側からどういう相談を受けたか、どういう計画変更の内容の提示があったか、それを農林省は暗黙に認めたかどうか、この三点を明確にしていただきたい。
  122. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) ただいま御指摘の問題は、非常に長い歴史的な経過を経た問題でございまして、先生の御指摘のとおりでございますが、ことしの春、島根県御当局からただいま御指摘になりましたような問題につきまして、要望ないし陳情という形でお話がございましたが、まだ正式にこの計画を変える、構想を変えるというような形での申し出はないわけでございまして、もちろんこれは島根、鳥取両県にまたがる問題でございまして、土地改良法のたてまえから、こういう大規模な国営工事を実施するにつきましては、農林省としては関係の県知事と協議をし、知事さんは地元の市町村長と協議をしまして、広い範囲にわたるコンセンサスが得られた上で実施をするたてまえに相なっておりますので、農林省としましては、この問題につきまして島根、鳥取両県の合意が得られた上で、正式に話が中央に持ち上げられたところで取り上げようという所存でございます。したがいまして、単に要望や陳情を聞いただけでこの従来の構想を変えるといったようなことはないわけでございまして、これは現在せっかく地元で鳥取、島根両県のお話し合いが進んでおるということを承っておりますので、それらの経緯を見つつ、また正式にその両県の話し合いがついて計画が上がってきますれば、これは運輸省の港湾計画とも関連がある問題でございますので、関係方面とも御相談をしつつ善処してまいりたいというふうに考えております。
  123. 足鹿覺

    足鹿覺君 法律違反でしょう、いま考えておることは。はっきり認めますか。あなた方は国費六割を投じて、そうしてこの大事業と取り組んでおるでしょう。これは特定土地改良法に基づく、土地改良法によって裏づけされたいわゆる干拓じゃありませんか。なればこそ、あのような日子を費して、淡水化に対する漁民補償、農民負担の問題等々が難航の末まとまったじゃありませんか。それをみすみす独占企業にこれを与えていいのですか。法律違反とは思いませんか。法律に抵触するならば、その計画待ったと、島根新聞は三日間にわたって先月の中旬に大々的にこれを取り上げておる。あたかも成立したかのごとく報道し、また両県知事の合意も得られたとも最近の新聞は報道をしておる。また両県の県議会は、特別委員会を設け、最後までこういう状態であるならば、鳥取県側は中海淡水化ナンセンス、閘門をやめろ、こういうきびしい主張すら出ておるではありませんか。何のための淡水化ですか。淡水化したものは畑地かんがいや、水田の造成やその他に、農民から負担金を取って、これを農地かんがい用に使う、あるいは酪農の振興に寄与する、こういう目的で計画を立てられ、十数年の日子を経て、産業、経済、文化、すべての社会情勢が変化し、中海新産都市の指定を受け、いま瀬戸内海方面を締め出されつつある大企業が山陰の純朴な自然を、しかも農林省の工事に便乗して進出してこようとし、地域住民はすでに中海の汚濁に対して激しい怒りを感じているときに、農林省は、このような法律違反の着々準備が進んで合意が成り立ってきたら検討するとは何事ですか。そういう農林省が態度をとられるならば、われわれも今後農林省の農地政策に対してきびしい追及をせざるを得ない。八郎潟の現状はいまだに大潟村の村長もきまらず、知事が任命した職務執行者を置いて、入植すら禁止しておるではありませんか。伝え聞くところによれば、あすこは帝国石油の油田化がだれからともなく伝わっておる。一体農林省の無定見というか、農地政策が今日の時点にすでに合わない状態になっておるときに、無為無策といっていいか、全く自分たちの仕事さえすればいい、それからそれが地域住民に、特に生産農民にどのような関係を持つかということとむとんちゃくであっていいんですか。  いまのあなたの答弁で、法律違反をあえて志向しておることを合法的なたてまえとし、負担の線さえ解決すればいいという考え方ですか、それなら何をか言わんやです。まあ農地局なんかやめてしまいなさい、要らないですよ。企業家がもし団地の形成をするなら、企業の責任においておやりなさい。公害の発生の企業の責任において解決するという、そういう世論ではありませんか。農林省は何をぼやぼやしているんですか。あまりにも時代感覚のズレというか、私はきわめて遺憾であります。しかと大臣に報告され、次回か、次の改造内閣にどなたが農林大臣になるかは別として、これらの問題は徹底的に追及するということをこの際申し上げ、反省を求めて、きょうは同僚議員に迷惑をかけてもいけませんから、質問を打ち切っておきますが、とくとお考えを求めておきます。
  124. 峯山昭範

    峯山昭範君 すでに長時間にわたりまして種々話がございましたので、できるだけダブらないようにして質問したいと思います。  初めに私は、米軍のあの国内の有料道路の使用の問題について質問したいと思います。最近一般の有料道路が非常に普及してまいりましたですが、それに伴いまして在日米軍の車両のこれらの使用が非常にふえてきております。実際問題としまして、私たち日本人の国民感情としましても、米軍基地の縮小といいますか、人員の削減という問題がいま非常に大きく論ぜられておる最中でありますが、実際問題は、そういうような情勢にもかかわりませず、毎年この使用回数並びに金額等は相当ふえておる。昨年の米軍の利用金額を見ましても四千万円以上に達しております。こういうふうな状況から見まして、私はこの当然四千万円につきましても、米軍の有料道路使用料、これも政府が負担しておるように聞いておるわけでありますが、これらの点について防衛庁当局としてどういうぐあいにお考えなのか、その基本的な考え方と、それから毎年どのくらいの支出をやってきたのか、これを具体的に答弁を願いたいと思います。
  125. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) ただいま先生から御指摘のございました有料道路の使用料の問題でございますが、これにつきましては先般、御承知のように、地位協定の五条の2項によりまして、米軍の軍用車両が施設区域内に出入する、あるいはその施設相互間を移動する場合にはその道路の使用料は徴収をしないという地位協定の条項がございます。したがいまして、いまのような場合には、その使用料は日本政府が負担をするということになっておりまして、講和発効後、この地位協定の条項に基づきまして日本政府が支払いをしておるということでございます。  最近のこの有料道路の実績の状況でございますが、四十年度には約一千百万円であったものが、逐次ふえてまいりまして、特に四十三年には二千七百万、四十四年には約四千万というふうにふえております。このふえている大きな原因は、中央高速道路、東名高速道路といったようなものが完成をしまして、これが米軍による使用が四十三年ころから新たにふえてきたというようなこと、それから、第三京浜国道の使用が非常にふえてきておるというような点が、この金額がふえてきておる大きな要因になっておるようでございます。御承知のように、たいへん交通が混雑しておりまして、米軍としては、やはりこの有料道路を公務上使用するということは、これはやむを得ないことかと思います。したがいまして、この予算も、これに伴って増加をしております。  ただ一つ、あるいは問題かと思われる点は、このだんだん経費がふえてきておるという点も考え合わせますと、この使用については、米軍に特に厳重に取り締まりをして、いたずらに経費がかさむことがないようにしてもらわにゃならぬという問題はございます。この有料道路を使用する場合には、以前は、使用者が現地において所定の様式に記載をして利用しておったんですが、そうしますと、たいへんあとの車がその間待っておってつかえるというようなことから、途中からその様式を変えまして、米軍の内部の監督的な立場にある者から公用の証明を取る、それを使用者がゲートにおいて渡すという形に切りかわっております。  そこでこの公用証明の発行につきましては、もちろん米側としては厳重に公用に限ってこれを発行しておることと思いますが、なおこういった点について念のため米側に、特にこの予算のふえておるというようなことも考え合わせ、取り扱いを厳重にしていただきたいということについて申し入れをする必要があろうかというふうにも考えております。  以上であります。
  126. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまいろいろ話ございましたのですけれども、私の調査によりましても、昭和三十九年には四百五十万円であったのが、四十年に一千二百万——いま百万とおっしゃいましたけれども切り上げると二百万、おたくは切り下げて一千百万。四十一年は一千四百万、四十三年は二千七百万円と言いましたけれども切り上げて八百万、四十四年四千万ですね。ことしはまたうんとふえるという話です。だんだんエスカレートしますね。こういうふうな状況として、またいま話ございましたけれども、確かに安保条約の六条に基づいた地位協定の第五条の2項ですか、これによりますと、「合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金を課さない。」、これはあくまでも軍用ですね。ところが実際は私は軍用と私用とどう見分けるか、いろいろあると思うのですよね。ここら辺の問題について、いまちょっと説明はありましたけれども、ここら辺の区分というのは非常に私むずかしいのではないかと思うのです。こういう点については、たとえば私は、ここに資料ありますけれども、この資料によりましても、約七割から八割近くは一般の乗用車です。私のところにここに「軍用車両有料道路通行証明書」というのがありますけれども、これを発行しているのですけれども、現実にはこういうようなものは無制限に発行されている。車の中にがばっと積んである。こういうようなもので一般の乗用車でもぱっぱっぱっと通る。そういうふうなのが現実に行なわれているのではないか。こういうことについて、実際問題ちゃんと掌握していらっしゃるのかどうか。確かに安保条約や、また地位協定ではこういうふうにきまっておりましても、私たち国民感情として、ほんとうに確かにこの証明書にも「本車両は日米間の地位協定第五条2項にいう合衆国の軍用車両であることを証明する。」と、こういうふうに日本語でも印刷してあります。けれども、それがほとんど乗用車であり、中には日本の車のナンバーである、そういう点から考えてみると、あながち私は急速にふえてきたのも、高速道路がふえてきたからこれはふえたというだけじゃないと思うのですがね。ここら辺のところはどういうふうに管理していらっしゃるのか、そこら辺のところをお伺いしたいと思います。
  127. 山上信重

    説明員山上信重君) ただいま総務部長から御説明申し上げたように、たてまえとして、あくまで軍用車両の通行に対してこの費用を国が負担しておる、米軍に負担させないということでございますから、そういう点についてただいま数字が非常にふえたのは、有料道路がふえたということも相当大きな原因だと思いますが、その運用について正しくない運用が行なわれているようであれば、これははなはだ遺憾でございますから、この点については私のほうでは綿密な調査をいたしまして、米側といろいろ話し合ってみたい、今後そういうふうにいたしたい、かように考えています。
  128. 峯山昭範

    峯山昭範君 この地位協定の五条の2項のこの項目には「軍用車両」とありますね。ということは、そこの解釈の問題ですけれども、一般の自家用の車ですね、タクシーは別にして、一般の車に乗っておっても、これさえ持っておれば、これは要するにただになるのか、それとも、やっぱり乗用車でも軍用車両になるのか、そこら辺の解釈はどうですか。
  129. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) この様式によりますと、地位協定五条にいう「合衆国の軍用車両」であることを証明するということで責任者がサインをしているわけですが、一体この軍用車両の範囲というものはどういうふうに解釈すべきかという問題もあると思います。もちろん、米軍自体の所有しておる車が軍用車両であることは間違いございませんが、その米軍の構成員の個人の持っておる乗用車等でも、これが公用のために使われる場合には、やはりこの解釈としては軍用車両に入れることは可能ではなかろうか。ただしタクシー等の場合まで入れるということについては問題があろうかと思います。いずれにしても、米軍あるいは米軍の構成員の所有しておる車という程度がこの軍用車両の範囲ではなかろうか、このように考えています。
  130. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまのその解釈なら、米軍並びにその雇用している人が使う車が軍用車ということになりますと、車ならどんな車でもいいということになりますよね、これ逆に言いますと。しかし確かにこの証明書がそうですがね。五条2項によりましても、人より車のほうに重点が置かれておると思うのですよ。軍用車両という車両そのものに軍用車両であることを証明する、乗っている人がもう問題に私はなると思うのですよ。思いますけれども、いまあなたのその解釈を逆用しますと、どんな人が乗っておるどんな車でも軍用車両である、こうなるのです。それではやはり私は、この防衛施設庁が出しておるこれだけのことしの何千万、四千万以上をオーバーするようなこういうようなものが、いままで何億と払われておるのです、現実にいままで。しかも在日米軍の軍人もだんだん減ってきているはずです。それにもかかわらず、だんだん、だんだん、毎年エスカレートしてふえていくということは、ほんとうに私どもとしても納得できないと思うのですよ。こういうことについては、やはり長官も、長官どうですか、こういうことについてもやはり防衛庁としても、施設庁もちろんですけれども、やはり何らか公用、私用をはっきり分けるようなチェック機関といいますか、そこら辺のぱちっとしたものが何らかなければ、締めくくりがないと思うのですよ。私たち国民感情としてもなかなか許せないと思うのですが、そこら辺のところはどうですか。
  131. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) よく検討してみます。
  132. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣が検討されるそうでありますので、この問題につきましては、その程度で終わりたいと思うのですが、いずれにしましても、これらの問題を、実際問題、公団のほうに聞きましても、非常にいいかげんであるということがよくわかるわけです。ですから、そういう点もよく検討をして、やはりみんなが得心のいくような方法で検討していただきたいと思います。  それから次に、国防の基本方針という問題につきましては、再三いままで何回も取り上げられておりますが、私はきょう二、三質問したいと思います。すでにこの国防の基本方針を再検討するということにつきましては、先般から何回も答弁等がございました。現実に現在の国防の基本方針が、すでに何といいますか、当時国民の前に出されて相当議論をしたなんていうことじゃなくて、そういうふうな雰囲気の中にできた基本方針じゃないと私は思うのです。そういうふうないろんな意味から考えましても、また大臣がしょっちゅうおっしゃいますように、何といいますか、安保の問題ですね、四次防を検討する問題等、一ぱいありますが、そういうふうないろんな観点から見ましても、この国防の基本方針というものは、当然再検討ということを考えていらっしゃると思うのですが、大体いつころまでそういうふうな国防の基本方針を検討されるのか、またいつごろ提出されるのか。内閣改造等も間近に迫っておりますし、やはりここで大臣のちゃんとした見解を一回お伺いしておきたい、こういうふうなわけであります。
  133. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 目下事務レベルでいろいろ意見を交換をして検討中でございまして、政局とはそう関係ないことであろうと思うのでございます。
  134. 峯山昭範

    峯山昭範君 政局とは関係ないと大臣おっしゃいますけれども、国防白書のときにも、ちょっと違うかもしれませんけれども、やはり関係あると思うのですよ。有田長官のときには、ほぼできて、やがて出るというところまできてストップになって、また一からやり直すというようなこともありましたし、私たちは多少関係があるのじゃないかと、こう見ておるのです。  そこで、この基本方針と四次防の問題でありますが、四次防の問題につきましては、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、この四次防と国防の基本方針との関係についてちょっと伺いたいのですが、実際問題、現在長官がしょっちゅうおっしゃっておりますように、自主防衛という線がすごく前面に出ているわけですね。そうしますと、それまで従来の防衛庁長官は、何といいますか、国防の問題につきましては、自主防衛という線があまり強くなかったように思うんです。何といいましても安保に依存するという考え方が正面でありまして、そういうような点からいきますと、長官の言われる自主防衛という路線になりますと、だいぶ自主防衛が表で、やはり安保が従という考え方ですね。そういうぐあいになってきますと、そういうような段階では、やはり何といいますか、四次防を考える段階において、この現在の国防の基本方針というのは、やはり安保を主にして従が自主防衛、そういう段階で、そういうテーマできめられた私は国防の基本方針だと思うんですね。そうしますとそれが逆転した段階では、やはり何といいますか、安保条約が従になって自主防衛が主になりますと、基本的に四次防自体が、その内容は実質は逆転してくるんじゃないか、そういうぐあいに思うんです。そういうふうな段階で私は新しい何といいますか、国防の基本方針というものがかっちりきまって、そしてその新しい国防の基本方針に基づいて四次防というものも検討されるべきものじゃないか、そういうぐあいに私は思うのですが、いま検討されていらっしゃる四次防の方針というものが、三次防の引き継ぎというだけじゃなくて、私は新たな構想のもとに、新たな国防の基本方針のもとに、この四次防という計画をかっちり検討すべきものじゃないか、こういうぐあいに思うんですが、これについての長官のお考えをお尋ねしたいと思います。
  135. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 四次防は、大体私がいままで国会で言明してまいりましたいろんな基本線を柱にいたしまして、いませっかく策定中で、今月中にぜひ間に合わせたいと思っております。防衛白書も同じように、いままで国会その他で言明しましたことを盛り込みまして、これも今月以内に間に合わせたいと思っております。国防の基本方針につきましても間に合わせたいと思いますが、三つ一ぺんにやるにはなかなか作業が大きな作業でありまして、まず白書、それから四次防、それから国防の基本方針、そういう順序でいま重点を入れさせておりまして、いずれにせよ、これらの問題は相前後してつくってまいりたい、そのように私は考えております。
  136. 峯山昭範

    峯山昭範君 といいますことは、逆に考えますと、確かにこの三つを同時に進めるということは、作業量等の問題から非常にたいへんだと私は思うのですけれども、やはり大臣の頭の中には、国防の基本方針という、新しい基本方針というのは頭の中へ入っていらっしゃると思うんですよ。そしてその新しい基本方針に基づいてのいわゆる四次防の計画であり、また国防白書であろうと思うのですが、そこら辺のところはどうですか。
  137. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が国会その他で言明してきた基本線を織り込みまして、みんなそういうものはし遂げたいと思っているわけでして、まあことば表現がいろいろニュアンスは多少変わるかもしれませんが、目ざしている内容というものは、そう変わっておるものではありませんから、まあ表現のみにそうとらわれないでもいいんではないかと思っております。
  138. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ表現にこだわらなくてもいいんじゃないかと、こういうぐあいにおっしゃいますが、表現にこだわった質問をこれからしたいと私は思っておるんですが、まあ現在の国防の基本方針の中に、いままで何回か論じられておりますが、国力、国情に応じて自衛のための必要な限度においてという意味があるわけです。国力、国情というのが相当ひとつ問題になっておりますが、やはり私たちの考えからすれば、国力、国情に応じてということは、国民の総生産とか、そういうようなものに応じて防衛費が増大していく、そういう考え方がやはり一番先に頭に浮かんでくるわけです。しかし、私は、これはやはりこういうようなものは除いたほうがいいんじゃないか、もう少し明快なことばで中にその防衛力の限界というものは入れてもらいたいと思っておるわけでありますけれども、実際問題、このGNP、いわゆる国民総生産ですか、こういうようなものも確かに世界で第二番目というようなすごい成長を示したわけでありますけれども、いま公害の問題等、相当私たちの生活に影響のある問題が出てきております。そういうような点から考えてみますと、やはり私もこんなこと言いたくないけれども、いずれにしても、国民の犠牲の上にこういうふうな国民の総生産というものが上がってきたんじゃないかということも考えられないこともないわけですね。そういうようなことを考えていきますと、やはりこういう点についても、もう少し検討を加えていくべきじゃないかと私は思っております。  しかるに、今度の新しい基本方針の中にも、何といいますか、国民の、国民的合意を得るような表現といいますか、たとえば生活の豊かさとか、いろんな国民がいま求めておるものがあると思うのですね。そういうふうなものをやはり国防の基本方針の中にも盛り込んで、そして国民的合意を得るような国防の基本方針というものを私はつくるべきじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  139. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国民生活の安定と社会の安定というものは、非常に重要なものでありまして、そういうような精神は現在の基本方針にも盛り込んであります。ありますが、もう少し適当な表現があるかどうか、これはいま検討している最中でございます。
  140. 峯山昭範

    峯山昭範君 基本方針についてはもう一言聞いておきたいのでありますが、大臣は、核兵器の問題につきましては、先般アメリカへ参りましたときにも、核兵器は持ち込まないということは再三おっしゃっておりますし、その大臣のお話の意味はよくわかるのですが、国防の基本方針にこの非核三原則を取り入れるかどうかということで、ずいぶんまあいまもめておりますが、——もめておるのかどうか知りませんが、検討されているように私聞いておるのですが、こういうふうなきちっとしたことは、やはり盛り込んだほうがいいんじゃないかと、こういうぐあいに思うのです。きちっと盛り込むことによって、やはり中国とかソ連とか、日本が何といいますか、軍事大国になったとか、または軍国主義が復活したとか、そういうふうな誤解や不信を解消することにもなると思いますし、そういうようなことは私は必要なことじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  141. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、アメリカでも日本でも演説しておりますけれども、経済大国すなわち軍事大国ならずと、そういう新しい例を日本は開こうと挑戦しておるんだと、そして核武装しない、そういう考え方を演説しておるので、そういう精神をできるだけ織り込みたいと私は思っております。
  142. 峯山昭範

    峯山昭範君 ぜひそうしていただきたいと思います。  先ほどから自衛隊基地の問題が種々出てまいりましたが、私も、米軍基地の問題がずいぶん出てまいりましたのですね。それと同時に、私は、その米軍基地だけではなくて、その自衛隊基地ですね、この自衛隊基地のやはり再配備といいますか、総点検をやったほうがいいんじゃないか、こういうぐあいに私は思うのです。先般から、先日のマスコミ機関の報道によりますと、長官は、九月の二十五日ですか、庁議で、在日米軍基地返還、共同使用を前提に自衛隊基地の配置のあり方を総点検し、七〇年代以降のわが国防衛に適合した再配置計画をつくるべく事務当局に指示した、こういうふうな報道がなされておりましたけれども、まあこれらの前提条件として、在日米軍基地整理統合ということも先般から種々話が出ております。たとえば首都圏を中心にした二つか三つだったですか、基地がすでに返還されるとか、共同使用になるとか出てきておりますが、私はこういうふうなのも含めまして、自衛隊基地の総点検を早急にやるべきじゃないか、そして私たち国民の前に、現在自衛隊ではこういうふうな基地がある、こういうふうな実態になっておる、案外日本の国民は、私たち自衛隊基地がどのくらいあるのか、どの程度の飛行場を持っているのか、また、どの程度の内容があるのか、面積はどのくらいになっているのか、こういうことは案外知らないのじゃないかと思うのですがね。そういうふうな意味でも、やはりぱちっとやるべきだと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  143. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊基地につきましても、もちろんわれわれのほうも点検をしておりまして、今度米軍基地の共同使用とも関係をして、われわれのほうはそれを検討しているわけでもあります。なお米軍基地及び自衛隊基地の再編成につきましては、公明党の御意見も非常に尊重いたしまして努力してきたところでございます。
  144. 峯山昭範

    峯山昭範君 次に一つだけ具体的なことをお伺いして次にいきたいと思うのですが、自衛隊の四十五年度三月末現在でけっこうですが、基地施設別、用途別の件数及び総面積は一体どのくらいになっているのか、合計だけでけっこうでございますが、伺いたいと思います。
  145. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 自衛隊施設の昭和四十五年三月三十一日現在における件数並びに面積は、まず件数でございますが、二千三十三件、面積九万四千百十九ヘクタール、うち民公有地が六千百二十五ヘクタールということになっております。これはもちろん宿舎も全部含めてのことでございます。
  146. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの面積を平方メートルで一ぺん言うてくれませんか。
  147. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 一ヘクタールは一万平米でございますので、九億四千百十九万平方メートルでございます。
  148. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はこの自衛隊の年度別の基地並びに基地の件数並びに面積を見ますと、昭和三十年には五百三十二件で、面積が二億九百万平方メートル、三十五年にはそれが千百三十二件になりまして、約四億四千万平方メートル、そして四十二年にはこれが千七百一件で約七億九千九百万平方メートル、それが四十五年には二千三十三件で九億四千万平方メートル、こういうぐあいに自衛隊基地自体も相当たいへんな、何といいますか、規模になっております。こういうふうな自衛隊基地自身が相当エスカレートしているといっていいくらい増加の一途をたどっております。こういうふうな際に、先ほどからちょっと米軍から返ってくる基地の問題がありましたが、そういうような防衛庁で検討するとか、再配備の計画もいろいろありますが、いずれにしても、私はこういうふうな今後返還される米軍基地については、少なくとも私は自衛隊基地に直接転用したりしないで、もう私はここら辺でもまだ多過ぎるのじゃないか。実際よくよく検討してみれば、まだまだむだな使い方をしているところもありますし、またいろいろあると思うのです。そういうような点からも、現在のこの九億四千万平方メートルなんというすごい量の規模の基地になっているわけですね。こういう点から考えてみても、私はできるだけ今後払い下げられる米軍基地というものは、少なくとも地元に払い下げるなりすることが、結局は地元住民に対する、長年基地公害やいろんな問題で苦しんできた人たち、また戦ってきた人たちずいぶんおりますが、そういうような人たちに対するまあひとつのあれになるのじゃないか。一般住民に開放することこそ、私は進んでそうすべきじゃないか、こういうぐあいに思うんですが、ここら辺のところいかがでしょう。
  149. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 基地基地によりましてその態様と機能をよく調査しまして、米軍に留保させるもの、自衛隊で共同使用するもの、自衛隊返還させるもの、あるいは民間に返還するもの、そういうように各基地ごとによく検討して、円滑にいくようにいたしたいと思っています。その際、地元の御要望というものもよく考えてみたいと思っております。
  150. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題に関連しまして、さきに射撃訓練の全面停止がありました米軍の水戸射撃場ですね、この問題も——私はもう水戸射爆場の問題についても当委員会でも相当前から何回も何回も言ってきた問題です。それがようやく射撃中止になって、ほんとうに地元の住民はほっとする間もなく、防衛庁はさっそく同射爆場の半分ぐらいを空挺部隊の降下訓練場ですかとか、または地雷とか鉄条網とか、そういうふうな施設破壊訓練所、そういうぐあいにして使用する案をまとめていると、これから使用しようとしているのか、もうすでに使っているのかわかりませんが、いずれにしてもそういうふうな案があると私聞いているわけです。こういうふうなこと自体、やはりいま大臣がおっしゃいましたような答弁で私けっこうなんですけれども、いずれにしても、やはりある程度の冷却期間というのは必要だと思うんです。私は地元の住民の考え方というのはよくよく見ていくことが大事だと思うんです。そういうふうな意味で、こういうふうな水戸射爆場の問題については、実質的にやっているのか、私どうか知りませんが、いずれにしても、もしこういうことをやっているとするならば、やはりある程度の冷却期間なり、またはこういう計画を中止する計画はないか、ここら辺のところはいかがでしょう。
  151. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 水戸につきましては、射爆訓練の中止というものは正式に発表になっておるのでございまして、その後の事態については、われわれのほうは内部的に試みにいろいろ調査をしている段階です。ただ、習志野にありました空挺隊の落下傘演習場が、まわりにアパートが林立いたしまして、降下が危険な状態になってきたのです。したがって、どうしても代替地が必要であるので、水戸の射爆場が返還された暁には、そこも候補地の一つになるだろう、そう思います。ただ、地元の要望もぜひいれてあげたいと思いますので、そういう調整をどういうふうにするかは、これから地元とも相談をしてみたいと思っているところであります。
  152. 峯山昭範

    峯山昭範君 次に私は、防衛医科大学校の問題と防衛高校の問題についてちょっと二、三質問をしておきたいのでありますが、防衛庁では第四次防衛力整備計画の柱の一つとして、防衛医科大学校を新設する方針を固めた——きょうの新聞等にも出ておりますが、その具体的な作業ですね、これはどういうぐあいになっているのか、現在どの程度進んでいるのか、そこら辺のことについてお伺いしたいと思います。
  153. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 防衛高校につきましては、近来自衛隊の募集がやや困難になり、かつ、その質的向上が強く要請されている現状にかんがみ、良質の任期制隊員をみずから養成し、隊員充足に寄与するためもありまして、防衛庁の付属機関として防衛高校——これ仮称でありますが——を四次防期間以降に設立することを検討しております。  防衛高校においては、中学校卒業者のうち就職希望者のみならず、進学希望者をも広く採用し、高等学校と同質同程度の教育を施し、卒業後は二士として一般部隊の勤務に従事せしめようとするものであり、学校教育法上の学校ではありませんが、高校卒と同等の資格が得られるようにしたいと考えております。なお、その時期、学校数、採用人員数、設置場所等の具体的事項については、目下検討中であります。  それから医科大学校につきましては、防衛関係の医官の深刻な不足にかんがみまして、次の防衛計画の中で医科大学校を設置しようと考えております。この間私が米国へ参りましてこの防衛近代医学の連携につきましても先方の協力を要請しましたが、先方も快諾をいたしまして、次の防衛計画の中でこれを達成しようと思います。  現在の計画は、大体一年六十人程度採用いたしまして、そして国費で貸与する。で契約におきまして、卒業して医師になった上は、一定期間自衛隊に勤務してもらう、そういう関係で発足させてみたいと思っております。
  154. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は順番に聞いていこうと思ったのですが、防衛高校のほうも答弁ございましたので、先に防衛高校のことについてお伺いしたいのですが、いま話をお伺いしておりますと、高校卒業程度と同じ資格ですね。ということは、まあ学校教育法に基づく学校でなくても、私はその内容は、やはりその防衛高校卒業しておれば、一般の大学を受験することができるのかどうか、そこら辺のことについてお伺いしたいのが一つ。  それからもう一つは、いま大臣の答弁の中で、その医科大学のほうは、卒業したら防衛庁に勤務する何といいますか義務が付加される、こういう話ございましたが、高等学校のほうにはございませんでしたが、そこら辺のところは、高等学校のほうは、防衛大学校を卒業すれば自衛隊に勤務するという、そういうふうな義務といいますか、何というか、拘束するあれはないのかどうかですね。そこら辺のところはどうですか。
  155. 内海倫

    説明員(内海倫君) 防衛高校の性格、内容等につきましては、なお検討中でございますので、いま正確にお答え申し上げることを慎みたいと思いますが、私どもが考えておりますことは、この防衛高校を卒業しました者については、文部省の公示によりまして一般大学を受験できる資格を得た者というふうに認定を受ける、一般大学を受験できる資格をこれに付与させたい、こういうふうに希望をいたしております。また、そういうふうなことについてのごく大ざっぱな打ち合わせは、文部省といたしつつあるところでございます。  なお、この防衛高校を出て自衛隊の隊員となることについての法的義務づけというものは、これはできませんので、この学校を出た者が極力自衛隊に勤務するように大いに勧誘もしたいし、また、そういう方向にいけるように努力したいと思っております。強制はできないものと考えております。
  156. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということはですね、まず高等学校の問題でありますが、一般の高等学校を卒業と同じ資格を与えるというようにしたいということですね。ということは、私はもちろんこの学校の授業料とかそういうようなものは当然免除されるのだろうと思うのです。その上に衣服の貸与とか、またその上に給料のようなものも幾らか与えられるのだと思うのですね。これは決して、防衛庁の予算であったにしても、これはやはり国民の税金ですね。ということは、私は当然憲法の問題からいきましても、職業選択の自由というものがありますし、こういうふうなまだ成年に達していない人たちですからね、そういうような人たちが職業を拘束されるなんということは、あまりいいことじゃありませんし、そういう点から考えても当然だと思うのですが、こういうことをしなければまあ自衛隊に集まってこないということ自体にもやはりもっと根本的な問題もあるのじゃないかと思うのですね。  そういうふうにしていろいろ考えてみますと、もう種々問題が出てまいりまして、昔のように予備士官学校とか、そういうようなものを復活させるような教育内容になるのじゃないか。そんなことはないとおっしゃるでしょうけれども、いま局長の話を聞いておりますと、卒業したらできるだけあとに残るようにしたいと。また、いろいろ話の内容を聞いておりましても、当然私はそういうぐあいに残らなければいけないような雰囲気にしていくのだろうと思うのですよね。そうしますと、やはり昔のいろいろなことを連想するわけですね。そういう点から考えてみると、やはり私はこういう点については慎重にやらなければいけないんじゃないか。特にその授業の内容等についても種々問題が起きてくるのじゃないかと思うのですが、ここら辺のところの見解を伺いたいと思うのです。
  157. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私ども防衛高校を構想するにつきましては、ただいまお話しがありましたような旧軍隊時代の幼年学校等のようなものを構想するというふうなことは全く考えておりません。しかも、この高等学校を卒業いたしましてもいわゆる二士の一般隊員として入隊するわけでございますから、昔の幹部の養成コースの一環であった幼年学校等とは全く同質のものではない、全く異質のものである。なおまた、この学校を卒業いたしました者について、もちろん私どもが経費をかけて養成した人たちでありますから、それらが一般隊員として自衛隊に入ることを期待し、またそういう者が入ってくれるような魅力的なものにしたい、こう思っておりますが、だからといってこれがいわゆる昔のようなものをつくるというふうなことでは決してございません。どこまでも他の一般高校と異ならない、一般的な高校としての教養を付与していく、こういう考え方でこの学校を運営していきたい、こういうふうに考えております。
  158. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、いま局長の話を聞いておりますとね、できるだけ——まあそういうふうなやり方を聞いておりますと、何も新しく防衛高校をつくらなくても、現在のいわゆる一般の高等学校ですね、それで十分じゃないかと思うのです。確かに案じられる点も私たちが心配な点と同じだと思うのですね。何も新しく防衛高校をつくる趣旨といいますか、意義といいますか、そういうようなものが薄いように私は感ずるのです。やはり現在の高校卒業の方々に対するPRなり何なり、もっとほかに、これがもう最善の道なのか、もっとほかに何らかの方法があるのじゃないかとも思うのです。きちっと文部省の規定に沿った学校制度というものも現在相当充実してあるわけでありますしね、そこら辺のところはいかがですか。
  159. 内海倫

    説明員(内海倫君) もちろん私どもは一般高校を卒業する諸君が入隊することを大いに期待しておるわけですが、遺憾ながら現状から見ますと、その一般高校を卒業した者の入隊する数というものも非常に少のうございますし、将来を見通しましてもそれがさらにふえるということは必ずしも期待できない。やはり中学校を出て、そして進学を希望する者あるいは就職を希望する者で、自衛隊へできれば入りたいというふうなものを募集いたしまして、これが十八歳になるまでの間高等学校教育を付与して、将来自衛隊の隊員としてなってくれるように期待をしておると、こういうことです。  なおまた、別な観点からは、これも遺憾なことではありますけれども、一般に最近隊員の募集に応じてくる隊員の質は必ずしも全部がいいとは考えられません。将来いわゆる曹あるいは下級の幹部になっていく人として、良質なそういうものをわれわれが期待する場合、やはりそういうふうな質のいい人をできることならば自衛隊に志願をしてもらいたい、こういうことも私どもはこの高校に期待をいたしておるわけであります。しかし、そう言えば、いや、おまえはそういう口の下から、先ほど言った幼年学校的なものを期待しておるのじゃないか、こういうふうなことを言われるかもしれませんが、先ほど言いましたように、幼年学校をいま論ずるわけではございませんけれども、こういうのは、いわば軍人として、あるいは将来の幹部となるべきものを養成する目的のために創設されておるものであります。この防衛高校の場合は、これは一般隊員になるものである、一般高校卒業と同じ条件、同じ資格で隊員に採用しようというものでございますから、その設立の意図も、その構想も全く異なっておるものである。健全なすぐれた自衛隊員を得たいということ以外には私どもは考えておるところではない、こういうわけであります。   〔委員長退席、源田実君着席〕
  160. 峯山昭範

    峯山昭範君 いま局長答弁を聞いておりますと、私は何もことばじりをとらえるわけじゃないのですけれども、一般の高校から募集するそのいわゆる自衛隊員は、あまり優秀な人が集まらない。今度新しくつくる防衛高校のほうは、質の優秀なのをつくりたい、端的にいえばそういうようなことになりますですよね。私は、それよりかもっとほかに、現在の高校卒の皆さんの質というのは、全体的に相当質も上がってきていると思う、中には不良な人があるにしても。そういうような人たちが、いわゆる自衛隊に来ないというその根本の原因をもっと考えるべきじゃないか。もっとわかりやすく言いますと、国民の皆さんが自衛隊に対してどのように考えているかということをもう一歩掘り下げて防衛庁としても検討すべきじゃないか。ただ高校、中学卒業でもけっこうです。募集した場合に、良質の隊員が集まらないというそれだけじゃなくて、なぜ集まらないか、そこをもうちょっと突っ込んで私は検討すべきだと思うのです。  あまり時間もないそうですから、続けてもう一つ質問しておきますが、その問題が一つと、またほかのことを何か言いますと、また続けてやりますけれども、高等学校の問題はそれくらいにしまして、医科大学の問題ですけれども、この医科大学の問題については、もうすでにことし調査費もついて、相当私は具体的に進んでいるのじゃないかと思うのですが、この具体的なプログラムといいますか、そういうところは一体どういうぐあいになっているのか。また、文部大臣とか厚生大臣とも種々検討をして合意された点もあるのじゃないかと思うのですが、そこら辺のところはどうですか。
  161. 浜田彪

    説明員(浜田彪君) 防衛医科大学校の問題につきましては、四十六年度の予算に調査費を要求いたしております。この調査費の段階で、防衛医科大学校の教育計画でありますとか、あるいは学生の養成の過程の問題、そういったようなことを検討いたしたいというふうに考えております。防衛医科大学校が実際に発足をいたしますのは、大体四次防の段階でその構想が固まってくるというふうな考え方でございまして、いまのところ順調にまいりまして、一番最初の卒業生が医官になってわれわれのために健康管理に従事してもらえるのは十年先になるのじゃないかというふうな考え方でございます。
  162. 峯山昭範

    峯山昭範君 あとで人事局長答弁してくださいね。いずれにしましても、そうすると医官の問題については、医官の不足というのは相当問題がありますが、十年先にならないと卒業者が出てこないわけですね。そうすると、この十年間は一体どういうぐあいにして防衛庁としては医官の不足を補っていくつもりなのか、この点をお伺いしておきたい。
  163. 浜田彪

    説明員(浜田彪君) それまでの間におきましては、まず第一が医官の処遇改善、これは医療職等によりまして、公務員医師等の待遇が若干今年度からよくなってきております。そういうふうな点でできるだけ処遇をよくしていきたい。それから、医療施設を近代化いたしまして、できるだけいい病院をつくって、あるいは航空医学実験隊でありますとか、あるいは潜水医学実験室等の研究施設を充実いたしまして、できるだけ魅力のある医療研究環境にしたいというふうに考えております。それから貸費学生制度、現在大学のほうにお願いいたしまして、学資金を貸与して、卒業しました場合には私たちのほうに来ていただくという制度を設けておりますが、この貸与金を四十六年度できるだけ大幅に増加をいたしまして、できるだけ十分な学資を貸与していい勉強ができるようにして魅力化対策をはかりたいということでございます。それから、地域大学との連携を強化いたしまして、できるだけ大学等における研究の便宜をはかりたいというふうな考え方もいたしております。なお、先ほど大臣のほうからもお話がございましたが、アメリカ等の医師等が日本に参りました場合に、できるだけ中央病院等でそれらの方方をお招きいたしまして、できるだけそれらの方方と接触をして、アメリカ医学との交流等もできるだけ便宜を供与して、自衛隊における医官の研究と申しますか、   〔委員長代理源田実君退席、委員長着席〕 医療技術の向上に対していい影響があるようなことを努力したいというふうに考えております。
  164. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 峯山君、だいぶ時間超過しておるんですが、ひとつ……。
  165. 峯山昭範

    峯山昭範君 これで質問終わります。  いまの貸費学生の問題を私は聞きたいと思っておったんですが、簡単でけっこうですから、現在まで貸費学生は何人おって、防衛庁に来ていただいたのは何人いるのかということを最後にお伺いして、私の質問を終わります。  それから、人事教育局長答弁をお願いします。
  166. 内海倫

    説明員(内海倫君) 仰せられました点は、私どもも全く同感でございまして、基本的には自衛隊そのものに魅力を感じ、積極的な意思を持って有能な青年諸君が応募してくるような条件を設定することが基本的に一番大事な問題であります。しかしながら、あわせて、ただいま申しましたような措置もとりまして、総合的な観点から、あるいはいろいろな方法を講じて、自衛隊に有能なりっぱな青年諸君が集まってくるように努力をしていく、こういうことを申し上げておるところでございます。御了解を得たいと思います。
  167. 浜田彪

    説明員(浜田彪君) 衛生貸費学生の採用の状況でございますが、実は三十五年度九十九名、それから三十六年度百一名、三十七年度八十三名、三十八年度九十三名、三十九年度七十九名というふうな採用状況になっております。これが大学騒動等の影響によりまして、四十年以降数が減ってまいりまして、四十年度が四十二名、四十一年度が三十八名、四十二年度二十四名、四十三年度十三名、四十四年には七名という数になっておりまして、四十五年度は現在のところ一名でございます。しかしながら、この中で階級別に申し上げますと、現状でございますと、実は二尉の段階では貸費学生出身者が約七一%、それから一尉の段階で六五%、それから三佐の段階で七六・九%というのが、貸費学生出身者の割合でございます。したがいまして、数は少なくなっておりますけれども、現在のところでは約四分の三程度は貸費学生出身者によってかろうじて医官充足を果たしておるというのが現状でございます。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に、この委員会の運営について簡単にこれは明らかにしておきたい。同じことを繰り返しちゃいかぬと思う。この前の二十九日の委員会でも述べたんでありますが、理事会できめた予定が、そのままいつでも終わらないで超過をする。その超過した時間が必ず最後の質問者に食い込むというかっこうで、非常に不安定な形で審議されるということは、非常に私は当委員会の権威のために、これは措しむものであります。具体的にこれは時間的には述べませんけれども、そういう形で、実は一時間十分は、私は長官がいるもとに審議をするということが決定しているわけだ。ところが実際は長官は、何か白書の執筆とかどうとかという理由だそうでありますけれども、ここに三時四十分ですか、それまでしかいない。そういうことになると、時間は余すところ何ほどもない。こういう形の、不安定な形で、ある一党だけが、この最後の質問者なるがゆえにそういう形に追い込まれていいと思いますか。これは委員長並びに長官、どうなんです。あなた、もう少し延ばしなさいよ。この前も同じだ、途中から出て行って……。同じことやれますか、こんなマンネリズムを……。
  169. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 長官に責任があるわけじゃないんだから、五十分までおってもらうことになりましたからね。とにかく時間がなくなるから質問続行してください。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 あんたの運営が悪いんだ。われわれ何ぼ協力したって限度がある。
  171. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  172. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をつけて。
  173. 岩間正男

    ○岩間正男君 長官にお聞きしたい。  あなたは七日に沖繩を訪問した。そのとき、返還時の自衛隊配備計画というのを持っていかれた。ところが、これは暫定的なものなんですか。これ、本格的なものはいつこれはきまる、そういう構想のもとに進めておられますか。
  174. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体現在考えている線を、私は屋良主席にお伝えしたわけです。それと同時に、内地におきましても発表いたした次第でございます。しかし、あの中には、レーダーサイトの問題、それからロケット部隊等のことはまだ書いてありません。これらも引き続きわがほうの力の充実に応じて交代していく、そういうことになると思います。
  175. 岩間正男

    ○岩間正男君 本格的には四次防で策定されるというふうに聞いておりますが、そうですか。
  176. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 沖繩防衛の将来構想につきましては、四次防の中に繰り込んで考えたいと思っております。
  177. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど、資料を時間の関係からもらったわけですが、非常に、これは先ほども足鹿委員が指摘されましたけれどもね。この新聞発表よりも簡単すぎるですね。そこで、私はここにこだわってる時間ありませんから、お聞きしたいんですが、部隊本部の置き場所ですね。これはさまっているんですね、陸海空にわたって、どうです。
  178. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 部隊の置き場所につきましては、まだ決定的にきまっているわけではございません。いろいろ候補地を選考中、交渉中というところでございます。
  179. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、今後の折衝でこれは変わることもあるというのですか。新聞発表によれば、これは朝日新聞でありますが、陸上部隊、すなわち陸上自衛隊の場合は、米軍の車両集結所、これは那覇軍港の近くですね、中間。それから海上自衛隊についてはホワイト・ビーチの軍港内、それから航空混成団ですか、これは那覇空港の中に置くと、こういうふうに新聞では発表しております。これはどうですか。
  180. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が指示しましたことは、なるたけ新しい土地を要請しない、それから、米軍の中に混在しているというかっこうを避けよ、その二つのことを指示いたしまして、先方と話し合って、いま申された那覇の空港あるいはホイール・エリアといわれておる地帯、あるいは、ホワイト・ビーチ、そういうところがそういう条件に適しているのではなかろうかと、そういうことで両方でいま一つの候補地を検討しているというのが実情であります。
  181. 岩間正男

    ○岩間正男君 ところで、この自衛隊の配備の問題については先ほども質問がありましたけれども、沖繩の民主勢力が非常にこれに対して反対の意思を表明しておる。あなたは先ほどの答弁で、一部労働組合の反対であって、住民全体の反対でないというようなことを言われましたね。警察は、聞いたところでは二千人と言っておりますが、五百人だと、こういうことを言われておられますけれども、この主体としてはこれは祖国復帰協議会の代表たちだということは、これは認めますか。それから、これが一部だというのは、どういうあなたの観点ですか。
  182. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が聞いた話では、教員組合の高校の先生方と、それから官公労の一部の青年部の諸君で、復帰協の皆さんが必ずしも全部そういう気持ちでいるわけではないと、現に翌日私のところへ抗議行動に来るというお話がございまして、おいでになるならばお会いいたしますと言っておりましたが、おいでにもなりませんでした。それが実態で、大部分の民衆は正確に事態を判断しておるんだろうと思っております。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはあとで聞きますけれども、非常にあなたの認識不足じゃないかと思いますね。祖国復帰協議会が何を一体いままで念願してやってきたか、そうしてどんなにこれは広範な沖繩県民の支持のもとにともに戦っているかということは、あなたはおつかみになっていらっしゃらない。しかも屋良主席ははっきりこの配備反対の意思を表明されたんですが、こういうものについて、あなたの先ほどの答弁というのは、非常に私は不十分だと思うんです。大体どういうふうにこれを受けとめているんですか。あなたの受けとめ方が非常に私はおかしいと思う。最初から予見をしてこの問題に対処しているんじゃないですか。  あなたはこの前、九日ですか、帰ってから渋谷の公会堂で演説をされましたね。その中で、赤旗で迎えたのは二千人でなく五百人だったと、これは現地の新聞が非常におかしい、こういうことを二千人と書くのは。それから赤旗で迎えるなんて沖繩の人は色盲だと言っておりますね。これはどうなんですか。こういう感覚でこの問題を見るということは非常に私は重大だと思うんですが、いかがですか。
  184. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が渋谷で言ったのは、沖繩では一部赤旗で迎えたけれども、ここでは日の丸で迎えてくれてたいへんうれしい次第であると、それで、赤旗で迎えた諸君は事態をよく正確に認識していないので、私は色盲ではないかと、ものの見方がわれわれと違っているんじゃないかと、そういうことを比喩的に申し上げたのであります。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたはそういう言い方で非常に問題をはぐらかそうとしておりますが、色盲という感覚は一体どうなんです。ほんとうにこれは沖繩の県民の気持ちというのは、あなたはわかっておりますか。そういうような見方でこれは色盲だと見るあなたの目のほうが、むしろあきめくらじゃないかと、私はそんなふうに考えている。ことに屋良主席は、言うまでもなく公選によって選ばれた主席です。沖繩の多数が選んでいる。あなたはいやしくも一国の国務大臣でしょう。そして、常に何と言っているんです。あなたの演説を何回も聞いている。ここでも何回も表明された。自衛隊は国民の支持なしに有効な防衛力になることはできない。だから国民の支持というのは非常に重要だと、こういうことを言っている。当然です。現地の県民の世論というものを十二分に私は聞くのがあなたの当然の度量です。またなすべき当然の義務だったと思うんです。また、中曽根さんはもう少し大物だと思ったが、今度のやり方は少し小さいですよ。狭量ですよ。アメリカから帰ってからこういうことになったのではぐあいが悪いですよ。どうなんです。一体どんな努力をされたか、お聞きしたい。
  186. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) アメリカから帰ろうと帰るまいと、中曽根康弘は変わっていないと私は申し上げたい。ただいま申し上げたことは、ずっとお聞きいただければおわかりになっていただけると思うんです。  私は沖繩の同胞については、日本の政府及び日本国民として、深刻な厳粛な責任を感じなければいけないと思っております。そして、二十数年にわたってああいう異常な事態に置かれた県民諸君でありますから、内地のような心情でものを考えたら間違う。本土の政府はこの点をよく考えて、ともかくこの日本自衛隊についてはもう二十年たっていて、国民との間はわりあいに親近感も近ごろは生まれてきている。しかし沖繩の場合はそういう経験が全然なくて、戦争の忌まわしい軍の幻影というものがちらつくわけであります。そういう意味において、新しい、新生自衛隊の様相をよくお伝えして、誤解や偏見があればこれを去って、そして喜んで迎えていただくように私たちは全面的に努力しなければならぬと思う。それには、沖繩の人たちが持っていらっしゃる戦争以来の特異な立場をよく考えて、そしてその心理や心情をよく洞察して、われわれは十分ないたわりの気持ちを持って真心を尽くしていかなければならない、そういうように考えまして、今後も努力していくつもりであります。
  187. 岩間正男

    ○岩間正男君 口先だけではどうもまずいと思うのですね。第一あなたは那覇空港に着かれてから、どうして反対派の人に会って意見を聞くと、そういう努力をされなかったか。米軍差し回しのヘリコプターに乗って、ズケラン基地に行ってしまったということは、佐藤総理以外ありません。歴代の大臣の中にもない。こういうやり方でしょう。それから、摩文仁の岡に行きましたか。口先だけではだめなんだ。われわれが問題にしておるのは行動なんだ。そういう点から見れば、あなたの今度のやり方については、国民は納得しておりませんよ。しかも色盲などと言う、これは労働組合に対する侮辱だ。沖繩県民に対する侮辱ですよ。こういうことが軽々しく心やすだてに、自分の党の演説会だからやったのかもしれませんが、こういうことでは私は非常に軽率だと言わざるを得ない。これはアメリカに行っても中曽根は中曽根だと言われたが、ほんとうにそうなのか。こんな態度はあなたのためにとらないことですよ。  もう一つ、あなたは常に外交優先ということを口にしておりますね。ところが、どうです。今度は防衛庁が一方で認めた——これはアメリカで相談したのかどうか知りませんけれども、そういうものを持っていってこれを押しつける。これは外交優先じゃなくて軍事優先じゃないか。やっていることと言っていることというのは、まるでこれはあべこべになっておるような形では、非常にあなたの今後の姿勢についてこれは国民は信頼することができないんですよ。この点はどうなんですか。
  188. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の予定は、最初の日が飛行場からすぐヘリコプターで基地視察するといっておりましたので、組合の諸君にお目にかかる予定は全然初めからなかったわけです。しかし、着いた日にステートメントを出さなければいけないと思いまして、それは新聞社その他関係者にお配りして、こういう考えで参りましたと、そういうことで那覇の新聞、琉球の新聞にみんなステートメントは載りました。それは予定どおりなのであります。翌日、琉球政府主席に表敬に参りまして、そのときにわれわれの防衛庁の進出の計画をお伝えして、こういう計画でまいりたいと思うが、御協力願いたい。それが新聞に発表になった内容をお伝えにいったわけです。そのあと新聞記者会見をして、土地所有権者、あるいは陳情その他でお会いしたい人はお会いいたしますと言って時間をとっておいたわけです。ところがそのときに労働組合の、復帰協の皆さんがおいでになるという前の日の連絡でお待ちしておりましたけれども、その日になったら急に、どういうわけか見えられなくて、デモもほとんどないという状態であったのです。それで、私は予定どおりお待ちしましたが、まいりませんから、やがてそれから護国神社を参拝し、それからさらに軍事施設を見て、それから最後に黎明之塔、群馬県の塔も参詣してまいりました。予定どおりみんなやってきた次第であります。
  189. 岩間正男

    ○岩間正男君 そう言いますけれども、たとえば摩文仁の岡にいまだに白骨が収集されないで、回収されないでいるというような事実はあなた御存じですか。ほんとうにあなたは沖繩県民のことばで気持ちがわかるとか、それに償いをしなくちゃいけないとか言っていますけれども、どんな一体ひどい目にあったか、これは私たちも二週間しかおりませんから十分に見たとは言えませんけれども、しかし、その範囲内でもこれはたいへんなことを感じ取っているわけですね。あの日本軍国主義の戦争で十数万人の犠牲者を出し、その中ではひめゆりの隊あるいはまた健児隊のあの悲劇、さらに一家が全滅した、村ぐるみで自決を迫られる、こういうやり方は、日本の旧軍隊がやったことなんです。旧軍隊に対する感情というものは、これは全く沖繩百万県民の中には深く入っているわけです。そうして、しかも今度は二十五年前からは米軍の軍事占領下の中に、軍事監獄的な支配の中で二十五年を過ごした。こういう人たちの気持ちというものをほんとうに償うというのなら、もう少し虚心たんかい、敬虔な態度をとらなければならぬ。そこへ今度いま新たにこの軍事支配が始まろうとしている。自衛隊の配備に反対するこの気持ちというものは、これはあたりまえだと思う。新生自衛隊は旧軍隊と違うとあなたは言っています。はたしてそうだろうか。いや、ある意味では自主性のない点、米軍に隷属している点、こういう点から考えれば、これは私はむしろ深刻なものを持っているということをいまから質問によって明らかにしたいと実は思っておる。  沖繩の人たちが今度の自衛隊の配備に対して反対しているのは、単に感情的のものだけじゃないんです。一つは平和憲法がじゅうりんされる、そこで安保条約というものが新たに押しつけられるという、こういう重大な課題、いままでの二十五年間の苦しみの上にそういうものが新たにつけ加えられる、そういう事態に対して、これは反対の意思を表明しておる。あなたは多数でないということを言われたけれども、何を根拠として一体言っているのか。たとえば各新聞が世論調査をやっていますよ。これは「読売」の例ですが、八月にやった世論調査、これをあなたはお読みになりましたか、憲法第九条の陸海軍その他戦力を持たないという規定についてこれは聞いたわけです。ところが、これに対して反対している者、つまりこの九条を変えろという者は沖繩県民のわずか一九・三%、これに対してあくまで九条を守れ、こういう立場に立っている賛成者が四八・八%と載っています。この事実はどうです。これはごまかすことのできない一つの事実だ。ほかの新聞もこれは調査をしました。そうしてその結果もはっきりやはり同じようにこれは出ているじゃないですか。これでもあなたは反対しているのは少数、そして自衛隊の配備に賛成しているのが多数だと言い切れますか。どうなんです。
  190. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊に対するものの考え方は、また九条と違うところがあるようです。日本の国民でも、やはり九条については平和憲法を維持したいという気持ちが非常に強いのではないかと思っていますが、自衛隊については、自衛隊は必要だというのが非常に強いようだといままでの世論調査は示しております。やはり沖繩についてもある程度時間が経過して認識が深まってくればそういうふうになるんだろうと思います。自衛隊というものをよく知っていただけば、そういうふうに変わってくるだろうと私は思います。  それから、実際問題として労務者の皆さんの心境その他を聞いてみますと、約四万人の人たちが雇用されておる。もしこれが基地が一挙になくなって失業するということになると、内地と違って、東京で職がなければ横浜にあるという状態ではなくて、島の中でどうしても職業をさがさなければならない。それがなくなるというと、一家が直ちに路頭に迷ってしまうわけです。そういう意味で、基地反対と基地に働いている人たちが言われることは、なかなか微妙な心理の中にある。だからほんとうに自分の職業が奪われてもそれでいいのかというと、そのときには皆さんまた黙ってしまって、複雑な微妙な感情にあるわけです。じゃあそこへ産業をすぐ興して収容したらどうかというけれども、現実問題として、それだけの人間を直ちに収容するだけの産業が興るとは現実問題として考えられないわけです。したがって、やはり政治には時間をかけて、徐々に徐々にものを解決していくという忍耐が必要なのであって、そういうことを沖繩の現実の労務者はよく心の中ではわかっていると、私はそう思っているわけであります。
  191. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは問題のすりかえがありますよ。政策がないからです。産業の民主的、平和的繁栄という、そういう国の方針があって、そうして現在のこの沖繩の軍事的な支配、こういうものから脱却する方針がとられれば、これは労働者の考え方だって明確に変わってくるわけです。基地経済の中に縛りつけて、そうしてその中でやむを得ず現実の生活の中に落とされた、そういう人たちにそういうふうな立場から議論をするということは、どうも政治家としておかしいと思うのです。これは政策が非常に軍事的なものになっているからです。  私は次に、新生自衛隊は違うと言っているけれども、はたしてどうなのか、私は次の点で二、三の問題でお聞きしたい。第一、安保体制、いよいよ安保条約が、返還ということになりますと、このまま適用されるわけです。そうすると沖繩自衛隊の場合は、本土の自衛隊と非常に質的に変わらざるを得ない面を持っているのじゃないか、こういう点についてあなたは検討したかどうかお伺いしたい。その理由を私はあげます。  まず第一に、沖繩は太平洋のかなめ石として、米韓、米台、米比など、多角的な軍事同盟の結節点であり、あるいは太平洋核戦略の一つの心臓部をなしている、そういう基地である。第二には、ここでは核基地を初めとして戦闘作戦、さらに出撃、補給、通信、謀略、ゲリラ等のあらゆる基地がここにある。そうして近代的な装いをこらしている。第三に、基地の数からいっても、本土の百二十四に対して、面積からいえば約百分の一、その面積のところにほぼ同数の百二十の基地がある。これは密度は全然違う。第四には、人口比からいっても本土の約一億、この中に米軍が、先ほど出してもらった資料によりますと、八月、九月の調査でありますが、これは本土は三万九千、一億に対して三万九千、沖繩は百万人に対して米軍が五万五千人、こうなってくると、まるでやはりこの比重は違ってくるわけです。ことに私はここで明らかにしなくちゃならないのは、太平洋のかなめ石といわれているこの意味はどうなんだ、これは作戦の上からいったらどうなるのか、この基地というものは、やりの役割りをする攻撃基地なんでしょう。守るといったってあんな狭いところ、これは防御のための基地じゃないわけです。やりのために使う基地なんです。あそこの基地の戦略配置図を見ればはっきりすることでしょう。そういう基地の中で、私はこの本土で考えているような自衛隊ではないと思う。そうして米軍の一挙手一投足というものは、全く直接そのまま自衛隊の行動に響き、影響せざるを得ない。こうした中で自衛隊米軍への隷属というものは非常に深まる。勢い質的な変化をせざるを得ない。そういう要素をはっきり持っているのだという点を今日明らかにする必要があると思います。そこへ今度は安保が適用される。安保条約の全面的な適用によって、そこに一体将来何が起こるのか、この点が非常に重大です。つまり、沖繩にいままで安保が適用されていなかった。ところがここのところ、この二十五年間のアメリカの占領の中で朝鮮戦争、ベトナム戦争に使われた戦略のまっただ中にある、そこに安保が適用されることによって、いままで安保の中に潜在しておって、表面的に性格の出なかったそういう性格が、ここではっきり顕在してくる。こういう点を私は明確にしなければならないと思うのです。こういう点についてあなたは一体検討したのですか。だから、今日旧陸軍に比べて周辺の自衛隊がどうなっているかと言っているが、まさにこれはあなたに返上したい。  そこで私は、時間がないから具体的にお聞きしたい。安保との関連においてこの問題を明らかにしたいと思う。端的に答えていただきたい。決してむずかしい問題ではありません。  第一にお聞きしたいのは、沖繩返還され、沖繩基地から米軍が出撃する。その結果として相手国から沖繩基地が武力による報復攻撃を受けた場合、沖繩自衛隊はどういう行動をとることになりますか。
  192. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩返還されますと、日本国憲法、安保条約、それから地位協定が適用されまして、現在の本土による米軍並びに自衛隊機能沖繩においても同等にまたその限度内に作用する。そういうことになるので、岩間議員がおっしゃったような御心配の筋はないと思っております。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはあなたらしくもないですね。安保五条の適用がすぐくるのじゃないか。どうなんです。当然安保五条が発動して、日米共同作戦体制の中に組み込まれる。自衛隊は自動的に参戦することができるのが、義務づけられているのが、これは安保条約のたてまえじゃないですか。第五条のもとにおけるこういう自衛隊というものはたいへんな問題ですよ。旧陸軍旧陸軍といいますが、旧陸軍なんか、こういう甲らはしょっていなかった。今度の周辺自衛隊というもののこれは一つの宿命的な問題です。これは安保ができてから、安保が改定されてから、こういうものが発動されるということがなかったわけでありますが、沖繩は御承知のようにここのところは戦争の中心地なんです。こういうところで起こらないという、こういう可能性はない、保障はないわけです。それからまた、かりにこれが先にいってこういう事態が起こった場合、これはどうなのです。自衛隊どうなります。
  194. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の本土が攻撃されるという場合には、沖繩であろうが本土であろうが、日本の領域が攻撃されるという場合には、本土であろうが沖繩であろうが、自衛隊はその憲法上の権利、安保条約上の権利義務等に基づいて日本の領域を守ることは当然で、何も沖繩だから特にそういうことがあるという現象ではない。これは本土並みということでもありません。あたりまえのことであります。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 一般論じゃない。その危険はどこに多いかといったら、本土よりもこれは沖繩のほうに多いことが現状から考えても多いでしょう。だからこの問題は非常に遠い問題じゃない。そういうことです。それで五条は適用されるのですね。いかがです、その点。
  196. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 安保条約は本土と同じように適用されるわけです。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは政府答弁でも、いままでしばしば在日米軍基地攻撃されれば安保第五条を発動する、こういう答弁をしておりますから、これは確認しなければならない。日本基地とするアメリカの戦争に、日本日本の意思いかんにかかわらず自動的に参戦する。これが沖繩派遣の自衛隊の持っている運命ということは明確であります。この点はごまかすことのできない事実でありましょう。これは確認したいと思いますが、いかがでしょう。
  198. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩攻撃されれば、本土に復帰した以上は自衛隊沖繩を守るのはあたりまえであります。これは本土を守るのと全く同じことであります。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 日米共同作戦行動について言っているんです。そうなりますね。
  200. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのことは、本土においても日米共同で日本の領域を守ることになる。沖繩だけ特例ということじゃありません。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 五条下における特例を言っているんです。
  202. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 五条であろうが何条であろうが同じことであります。
  203. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点は確認しておきます。そうするとその中で、安保五条によりますと、自衛隊が共同作戦をとる、そういうときには「自国の憲法上の規定及び手続に従って」とあるが、それは具体的にどういうことになりますか。
  204. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは、憲法並びに自衛法等、関係法令に従って行なうということであります。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 ところがどうですか。これは憲法には当然戦争放棄しておりますから、参戦の規定も防衛出動の規定もない。自衛隊法の七十六条には、この中に防衛規定があります。しかもこれも詳しい規定じゃない、国会の承認を得なければならぬというので。ところが実はそのあとに例外がある。例外はいつでも原則になるだろうと思うが、防衛出動の条項の中に、内閣総理大臣は、「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」、こういうことになりますが、沖繩基地の場合は非常に離れている、それから沖繩基地が爆撃されたというような緊急な事態でありますから、これは国会の承認などは受けているひまがない。これは近代戦の特徴からいったってそんな余裕はないと思う。そういうふうになりますというと、これは沖繩に適用される場合は、第五条の適用というものは、こういう形で実は国会の承認なしに行なわれることがほとんど通則になるんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  206. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 沖繩であろうと本土であろうが、その条項に該当するときにはそれが発動されることは平等であります。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは一般論にいつでも戻そう戻そうとしておるんですが、私は、むろん本土にもこの状態は適用されることに違いはありません。ただ、沖繩という特殊な条件の中で、さらにそれが非常に緊迫される、そういう点を私は問題にしている。国会の承認もなしに出動する、こういうことになりますというと、これはどうなんです。実際は国の独立をきめる一つの条件である宣戦布告権、こういうようなものというのは全然ない、これは喪失している。こういうふうにはっきり考えられると思うんですが、その点いかがでしょう。
  208. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊法の命ずるところ、その解釈に従って行なうわけであります。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんな逃げことばじゃやはりまずいと思うんです。そういう解釈にならざるを得ない。国会に必ずかけるという保証はあなたはここで断言できますか。
  210. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはその事態に応じて法がいかに適用されるかという、そのときの判断の問題です。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあここで押し問答やる時間ありません。  それじゃ次に交戦規則の問題についてお聞きしたい。戦力の保持を禁止している憲法のもとですから、参戦の手続はもちろん、防衛出動や交戦に関する規定や手続というのは具体的には法令化されていない。自衛隊法七十六条がありますけれども、これは非常に具体的じゃありません。簡単に国会の承認を得るということをいっているだけです。それでは防衛出動や交戦は具体的にどうするのか。まさか総理や防衛庁長官の胸一つできめるというわけにいかぬと思いますが、これはいかがですか。
  212. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国防会議とか閣議とか、あるいは政治的には与野党あるいは与党の相談とか政党間の話し合い、みんなその事態事態によってきまるものだろうと思います。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体、このような出動とか交戦とかの規則というのはなくてこれは運用できますか、どうなんです。そんな法令にかけるとか何とかというやつはそうかもしれぬが、決定する基準としてのその手続、そういうものは憲法によってないはずでしょう。どうなんです。
  214. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊法を解釈してやるわけです。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 自衛隊法の解釈だっていま言ったように非常に不十分で、絶えず憲法に抵触せざるを得なくなる。こういう矛盾の中に追い込まれているのが自衛隊そのものの持っている宿命でしょう。そうでしょう。ここが憲法の鬼っ子といわれる理由なんです。そうでしょう。そうするとそのような手続というものはきめられなければたいへんなことになるのですよ。いやしくも一国の軍の行動に対してそのような規定がない。よるべき法規がない。そのときのケース・バイ・ケースでこれをきめるなどということは、これは許されないこと、これは法治国家としても許されないこと。したがって、当然このような規則というものは私はあるだろうと思うのですが、ないんですか、あるんですか、どうですか。
  216. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 岩間さんの議論を聞いていると、憲法改正してそういう文章を入れろというふうに聞こえますが、私はそういうことはやらぬほうがいまのところ賢明だろうと思っております。
  217. 岩間正男

    ○岩間正男君 他を顧みて言っちゃいけません。憲法のたてまえです、当然そうでしょう。そういうふうに言っているわけです。あるかないかと言っている、そういう規則あるかどうか、交戦規則あるかないか、どう、ないんですか、あるんですか。ごまかしちゃいけません。あるかないか。
  218. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いままでお答えしたとおりであります。
  219. 西村尚治

    委員長西村尚治君) あと政府委員に聞いてください。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 ないでしょう。何かこれに関する秘密の通達でもあるのかないのか、どうなんです。あるんじゃないですか。
  221. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 秘密の通達なんかはありません。
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 ないんですか、ほんとうにないんですか。
  223. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ありません。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 というなら聞きましょう。特に航空自衛隊の場合についてお聞きします。昭和三十四年、航空自衛隊発第八号、領空侵犯の措置実施に関する達、こういう極秘文書があるはずでしょう。これはその後二回にわたって訂正されて、現在は昭和三十九年三月十日付で航空総隊発内訓三号として行なわれているはずです。この内容をここで明らかにしてもらいたい。
  225. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 領空侵犯については、自衛隊法でも規定のあるところでありまして、その具体化の訓令はあるのは当然のことであります。  それじゃこれで失礼いたします。
  226. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  227. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 再度にわたってこの達についての提出を求めるわけです。これはあるでしょう。どうなんです。あるんだけれども、秘密だから出せないというのがあなたたちの答弁じゃないですか。
  229. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 領空侵犯に関する内部の訓令はございます。内訓といいまして、秘密の訓令にしておりますので、国会には提出を差し控えさせていただいております。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 この中身を、なぜ一体知らせて悪いんです。どうなんです、一体軍機に関するものなんですか。これは出すことはできないのですか、どうなんですか。
  231. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 領空侵犯に関する措置は、一種の警察行動と申してもよろしいかと思いますが、どういう事態の場合にどういうふうなことをするということについて、大筋の趣旨は従来も御説明申し上げておると思いますが、その規定そのものは秘密にしておりますので、規定そのものの提出は差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうふうに出さないと言っても、ますますおかしいじゃないですか。秘密文書というのは、交戦規則のない自衛隊出動の規則になっているんじゃないですか。その中身はアメリカ第五空軍の交戦規則、ルール・オブ・エンゲージメント、これを準用しているんじゃないですか、どうなんですか。
  233. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) それは違います。そういうアメリカの交戦規則を準用したということはございません。航空法等に違反してわが領空を犯した航空機がある場合に、航空自衛隊のパイロットがどういう処置をしなければいけないか、たとえば信号弾を撃つとか強制着陸を命ずるとか、そういうふうな手続を内部的にきめておる、こういうことでありまして、米国の交戦準則を適用しておるということではございません。
  234. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたはそう言っているけれども、それを否定する資料を出さなければそういうことにならぬですね。この第五空軍の交戦規則を見ますというと、合衆国及び友好国の領土が侵犯されたとき、第二には合衆国及び友好国の艦船が攻撃されたとき直ちに戦闘行動に入る、こういうことになっておりますね、このエンゲージメントは。そういうのと全く同じ準用をしているんじゃないですか。
  235. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 先ほどお答えいたしましたとおり、そういうものを準用しておるということではございません。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうするとこの中身というものをもっと明確にされないとこれはまずいですが、何とかこれは中身の概要でも説明してもらえますか。文書でも説明しますか。それくらいでないと、私はそういうふうに達——内訓ですね、内訓はそういう形で行なわれておる。そして実際はどうです。いろいろな行動を見ていると、そういうのに合わせてやっているんじゃないですか、いま言ったように。
  237. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 交戦準則を準用しておるかどうかについては、先生にと申しては何ですけれども、誤解なさっていらっしゃるのではないかと思います。私が委員会で発言いたしますのは、もちろん防衛庁として責任を持ってお答え申し上げておるわけで、先ほどから申し上げておるとおり、そういう準用ではございませんで、一種の法規に対する警察行動の措置として内部の手続をきめている。たとえばそういうふうな不法な領空侵犯がありました場合に、信号等を用いて強制着陸を命ずる等のことが書いてある、こういうことでございます。
  238. 岩間正男

    ○岩間正男君 それなら出動の場合は何がなければいけないか、どうですか。
  239. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) わが国が侵略された場合の出動につきましては、先ほど大臣からのお答えもありましたとおり自衛隊法の七十六条の防衛出動が下令せられます。それでその手続に従って防衛出動が命ぜられるわけで、領空侵犯に対する措置とはおのずから事柄が違うということでございます。また、防衛出動が命ぜられました場合の武力行使につきましては、自衛隊法八十八条が適用されると、こういうことでございます。やはり領空侵犯の場合とは異なるわけでございます。
  240. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はそういう出動の場合を聞いているわけなんですが、具体的に言いますと、目下、府中にアメリカの第五空軍がいますね、司令部がありますね。そこに航空総隊の司令部が同居しているわけですね。そうしてそういう形で、しかも日本のため日本防衛でないというような場合で、いままで警戒態勢に入るとか、準備態勢に入るとか、そういうことをしたことはございませんか、ありますか、どうですか。
  241. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 府中にわがほうの航空自衛隊の総隊司令部がございますが、お尋ねの日本防衛のためでなくて態勢を変えたというような事実は全くございません。
  242. 岩間正男

    ○岩間正男君 出動の事実はどうなんです。これは総理大臣も知らなかった。昭和三十一年十一月四日、スエズ、ハンガリー事件の際、若干の航空自衛隊幹部が極東空軍司令部キューター大将の命令で出動、準軍事行動に入った。これが一つ。第二の例は、昭和三十三年の秋、金門・馬祖両島をめぐる台湾海峡の緊張の場合。第三の場合、昭和三十六年四月二十日、米軍機が朝鮮民主主義人民共和国に侵入、撃墜されたとき。第四番、昭和三十七年十月二十三日、キューバ危機のとき、自衛隊は緊急態勢をとったが、それから四時間後に池田上首相はこれを知った。たいへん池田さんそのときはおこったそうでありますけれども、これはまぎれもない事実であります。第五番、昭和四十三年一月二十五日、プエブロ事件の際。第六番目、昭和四十四年四月十五日、AC121型機事件の際。第七番目が、つい最近です。これは「よど」号事件、昭和四十五年三月三十一日。  ちょうど私が参議院予算委員会で質問をした日であります。だから中曽根防衛庁長官いてもらいたかった。これはなまなましい事件なんです。「よど」号事件の際に米軍の情報一本で政府も、それから日航も、「よど」号に振り回された。さらに米空軍、それから航空自衛隊韓国空軍の連携作戦が展開された。これで日米安保条約、米韓軍事同盟の二つの軍事同盟条約が一体となって、米・日・三軍の共同作戦態勢がはしなくも明るみに出た。私どもの知っているだけでもこれだけあるのですよ。この事実は事実でしょう。どうなんです。事実でございませんか。
  243. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) いまおあげになりました七つのケース、まぎれもない事実だとおっしゃいましたけれども、まぎれもなく事実でないのでございまして、自衛隊のほうは、こういうケースにあたりまして警戒態勢をあげたとか、その他変更したとかいうことも全くございません。
  244. 岩間正男

    ○岩間正男君 私たち知っているのですよ。ちゃんと電報で呼び出された、電話で呼び出された、そういう人たちから話を聞いているのですよ。だから、あなたの立場からいうと、これは極力否定ということになるかもしらぬが、これは天下周知の事実じゃないですか。知らぬは自衛隊ばかりじゃないですか。こういうことじゃまずいのですね。そうしてこのようなやり方、これがもっと高度化されたのが沖繩に適用され、先ほども申しましたように、何せ膨大な戦力、武装戦力の中に自衛隊が入っていくわけでしょう。三千二百人ですか、今度ね。そうすると、どういうふうになります。ほとんどもうこれは言いなりほうだいになっていくんじゃないか、隷属化されていくんじゃないか。この日米共同作戦体制というものをこの一点から考えたって、実はこの今度の自衛隊の性格というものは、たいへんなものを持っているということをここで私は明らかにしたい。本土を守る、本土の一部である——返還された沖繩は本土の一部である、これを守るのはあたりまえである、これでまかり通ろうとしているけれども、この自衛隊の正体そのものはどういうものか。これが安保体制のもとではどういう一体姿をとらざるを得ないのか。これに対して沖繩の帝国主義軍隊のあの残虐な支配の中で苦しめられ、引き続いて長い支配のもとで苦しめられた沖繩の人たちが、これに対して反対するというのは、これは当然じゃないですか。私はこのことをほんとうに長官にこれは明らかにしたかったのですが、責任者がいない。委員長、この委員会の審議というものはいかにかたわになっておるかということを……。
  245. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間がまたなくなりますから。
  246. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、やりますね。こういう形ですよ。まさか防衛局長をとっちめてみたって政治的な話にならぬ。私は政治的な立場から質問せざるを得ない。重大な民族の運命も決定するような、そういう重大なものを控えている沖繩の人たちが、今日那覇空港になぜ一体集まっているか。赤旗を持っていったその労働者に色盲だというようなこの偏見、やぶにらみ、あきめくら、こういう形で行なわれるところのこの沖繩自衛隊配備というものは、こういう配備を持っておるのだということを——私は非常に時間が足りないし、非常に不十分な形の中でこの質問を展開せざるを得ないのは非常に残念に思いますけれども、ほんとうに心ある人たちは、これは考えざるを得ないことじゃないですか、どうなんです。自衛隊そのものが当然に負っている宿命的なものが、それが安保体制下にどういう一体姿をとるのか。さらに日米共同体制の中においてどうなるのか。こういう課題をたくさんに含んでおるところのこれは問題ですよ。だから自衛隊の人だって考えざるを得ないです。こちらで、本土でいままでやっていたような形でこの自衛隊の諸君がいられるのかどうか。あそこに行ったらたいへんなこれは重い、そういう空気の中にいるのだ、そういうことになるでしょう。そしてその前途には安保第五条がこれははっきり待っている。安保第五条の宿命というのは、これは取り払うことはできないでしょう。あそこに派遣された自衛隊には当然第五条が発動される。いやおうなしに自動的に、自分の意思でなくて、これは共同作戦体制の中に入らざるを得ない。むろんこれは本土からも先に行って増強するなどということは起こるだろうが、とりあえずもうあそこにいる人たちはそういうところに追い込められる。この現実というものを私は考えるときに、中曽根長官がしゃあしゃあとまるで楽観的な手放しみたいなことを言ったとしても、これは了承することはできないのです。  こういう論議をやはり徹底的にやることが必要なんだ。これは日本の一億の国民のために必要なんだ。沖繩の百万の人たちは、ほんとうに安保というそういうものについてはこれは具体的には御存じなかった。しかし、自衛隊そのものの性格にははっきりそういうものがあるんだということを今日考えざるを得ない、そういう問題を持っているわけでしょう。長官のいないところでやらせられる質問というやつは、ちょっと委員長、今回だけにしてくださいね、お願いしておきます。  それじゃ、次にもう一つついでにお聞きします、最後に。  この前の白山町のナイキ基地設置の問題これはあなたたちはまだ用地の買収は済んでいない、登記もしていないというような話だったのですが、これはどうなりましたか。もう一つついでにお聞きしたいのは、厚生省との話し合いはどうなりましたか。この二点をお聞きします。
  247. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 先般現地から報告がございませんでしたので、ちょっと間違った答えをいたしましたが、その後名古屋防衛施設局からの連絡、報告によりますと、九月二十五日に所有者と契約を締結いたしまして、九月二十八日に登記を行ない、九月二十九日に金の支払いを終わっております。で、地元の町長に対しましては、二十五日に契約が締結になりましたので、直ちに参りましてその了解を求めようとしましたが、町長不在のために、二十八日に正式に文書で申し入れております。知事に対しましては、今後この問題について現地の町長といろいろとお話し合いをしたいということで、二十五日に現地局長が知事にお会いいたしておりますが、特に文書をもって協力依頼をしたというようなことはないようでございます。  それから厚生省関係考えておりまする自然歩道の計画でございますが、私のほうで厚生省へまいっておりまする県からの申請書を見ましたところ、わがほうのナイキ施設の予定地には、そのところは計画に入っておりませんので、その点におきましては何ら支障はないというふうに考えております。
  248. 岩間正男

    ○岩間正男君 知事に明らかにしたのですからね。どうですか、隣の青山町には土地の買収が終わってから、町長によろしくとあいさつに行ったそうですが、基地予定地とくっついている隣の青山町の町長は、一言も事前に相談がなくきめられたことに対してたいへん憤慨しているということを聞いております。これはどうなんですか。
  249. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) ナイキ基地に予定されておりますのは白山町でございまして、青山町には関係ないわけでございますが、一応隣接の町であるという意味で敬意を表する意味で御連絡に参ったということは聞いております。
  250. 岩間正男

    ○岩間正男君 隣接の町村といっても、ナイキが設置される、その影響するところは甚大でしょう。そういう点ではやはり十分でないと思うんですね。  それから先日の委員会で、この白山町で反対署名が四月二十六日一日で一千五十三名、カンパが一万七千九十七円集まったということを私は言いましたが、きのうの日曜日も安保破棄実行委員会が署名行動を行なった。ところが、わずか三時間でナイタ基地設置反対の署名が千百五名、カンパが七千六十円集まっているのですね。これはきのうの事実です。江藤参事官がさきの委員会で、地方では特に強い反対があるとは考えない、こういうふうに発言されておりますね。これはどういうことですか。これは違うじゃないですか。これは一日だけでもすでにこの前千人、今度また千人集まっているのですよ。金にしても二万近く集まっている、カンパが。これはどういうわけですか。これは現実をもう少しほんとうに調べ、それから地域住民の意向というものを十分にやはり聞くということが必要だと思いますが、そういう努力を今後されますか、されませんか、どうなんです。
  251. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 安保反対とかナイキ基地反対とかいうことは、一般論としては各県でどこでも行なわれております。しかしながら、白山町の場合におきましては、私のほうの申し入れ以降、十月一日以後におきまして、町の全員協議会等を開いておりますが、いろいろな意見はあるようでありますが、反対多数というようなことでもないようでございます。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 反対多数でないというけれども、これは世論調査でもやってみなければわからない問題ですね。そうして実際はわずかに二日といっても二日の何時間か、五、六時間、そういう中で二千人も署名を集めている。ここの人口は一万そこそこだ。そういうことになりますとね、これはそう軽々と見のがすことのできない問題でしょう。当然これについて一体地元の住民をどう納得させるという、こういう手段をとるのですか、とらぬのですか。もう買い上げて登記してしまった。実際、あとでそれを聞いて、地元で反対しているが、それは差しつかえないのだ、それでほっかぶりしていくものなんですか。
  253. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) いろいろ反対もありますので、十分地元の意向は尊重しながら今後の施策を推進してまいらなければならないと思いますが、何ぶんこのナイキ陣地というものにつきましての十分な理解が得られておりませんので、非常に危険なものである、公害が多いというような印象が多分にあるのではないか、そういうような前提のもとに反対の反応があるやに伺っております。この反対の内容はいろいろあると思いますが、そのような知らないために起きる反対というものもかなりあると思います。その意味におきまして、十分今後ナイキ陣地の実態を説明しまして、地元の方々の十分の理解を得てまいりたいと思っております。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 十分説明したら、ますます反対が高まるのが現状じゃないですか。その点じゃ沖繩自衛隊の配備に似ている。名目は非常にきれいなことを言っているけれども、実態はどうなんだ。ただ反対がいつでも押し切られる形でまかり通っている。こういうことではほんとうに中曽根長官の、地元の住民の支持なしには自衛隊防衛力を発揮することはできないということばも全くの上の空だ、ことばだけのことだ、国会の答弁にすぎないということを何より証明していると思います。そういう形でぐりぐりまかり通る、そうしてその背景には、はっきりやはり日米共同声明のそういう路線というものが背後から威圧している。そういう形じゃまずいです。  委員長、私の予定時間のちょうどこれで五分前くらいですが、やめます。
  255. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会