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多田省吾君 次に、私は具体的な問題として水戸射爆場をまず取り上げまして、この返還に対して
防衛庁当局はどのようなお
考えで米軍との折衝を進めておられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
御存じのように、水戸射爆場の返還につきましては、昨年の閣議におきましても、大体三、四年のうちに返還を実現したいというような発表もしておられるようでございますし、また、この前から水戸射爆場の新島移転
問題等もからみまして非常に論議されたのでありますけれ
ども、まあ、新島移転問題があったために、むしろ水戸射爆場の返還促進というものを、たとえば茨城県当局あるいは地域住民もちょっと遠慮したというような感もあったように私は見受けられます。で、
実情をちょっと申し上げますと、ことしになりましても、三月ごろ、那珂湊一高におきまして入学試験を
実施している最中に米軍機が飛んでまいりまして、そのために入学試験そのものを中止せざるを得なかったと、こういうことも生じておりますし、また、校庭にいろいろな廃棄物が落ちてきたとか、こういう問題もあります。またこの前、文部省で小学校、中学校長にあてて
全国の小学校、中学校のいわゆる公害問題を
調査いたしましたときも、茨城県は水戸射爆場あるいは自衛隊の百里基地があるために、
全国二位という姿で騒音問題が大きく取り上げられております。で、その両基地があるために、小学校、中学校の
諸君は非常に騒音に悩まされて勉強もできないというような姿があるわけでございます。これも
全国有数であるわけです。で、そのほか最も大きな問題は、やはり東海村に原子力発電所、あるいは原子力研究所、あるいは将来は再処理工場までそこに設置されるのではないかと言われておる現状におきまして、その目と鼻の先にある水戸射爆場が、もし米軍機の事故によってその発電所なり、あるいは研究所に誤爆や、あるいはそこに突っ込むようなことがあったならば
一体どうなるかというようなことを
考えた場合に、地域住民の方も非常にりつ然としているわけでございます。で、私も何回も見てまいりましたけれ
ども、水戸射爆場の飛行
方法というものは、横田基地あるいは厚木基地から参りまして爆弾を投下してすぐ海のほうに避難する、そういう場合に、その避難の時期が少しでもおそいと、もう原子力発電所にひっかかってしまう、こういう
状況も十分
考えられますし、事実私もそれを見ております。こういった現況から、私はこの水戸射爆場は年来のまあ課題でもあり、早急にもう撤去を求めるべきであると、このように思います。またそのほか、その付近の農村の方々がどんなに困っているかという
実情を、私たちの
調査からもうちょっと申し上げてみましても、これは非常にひどいものがあります。まあ鶏とか豚とか飼っているうちはほとんど被害を受けております。ほぼその一〇%以上、たとえば豚なんかでも、子供を生む場合に飛行機が飛んで来たために、その最中に逃げ出したとか、あるいは踏みつぶしたとか、こういう
状況もございますし、事実養鶏なんかにおいても足折れの障害とか、羽折れの障害、こういったものも多いし、被害は一〇%に及んでおります。あるいは乳牛の産乳量なんかも
相当、一〇%以上も低率となっております。こういった現況もございます。いままでの誤射、誤投爆その他の事故はもう三百件以上に達しております。その中にはもちろん生命を失った事故までございます。そのほか爆弾誤投下の事故、機銃誤射事件、あるいは墜落事故、不時着事故、落下物事故、超低空事故、あるいは自動車事故までございます。こういった姿から見て、茨城県当局も、あるいは勝田市とか、あるいは那珂湊市、こういったところでは、もう党派を離れて、全地域住民がこの水戸射爆場の撤去を強く求めているわけです。私たちが一昨年総点検した意識
調査の結果におきましても、その地域住民の方々がこの水戸射爆場の撤去をどのように強く望んでいるかということは
数字においてもあらわれておりますし、
相当の影響も出ております。こういった現実から見て、
政府自体、水戸射爆場の代替地が見つかるまで撤去を求めない方針なのか、あるいは三沢とか、横田とか、代替地と申しますか、かわりのものも
考えておられるようなふうに伺っておりますけれ
ども、私はそういった代替地がなくとも水戸射爆場だけは早急に返還を求めるべきである。そして三、四年なんて言わずに、やはり早急にその期限も早めるべきである、このように思うわけでございます。これは野党だけが望んでいるのじゃなくて、県当局もあるいは地域住民の方々も、全県をあげてこの水戸射爆場の撤去は強く望んでいるのだ、こういう認識に立って、今度は移転になるだろうからというようなから頼みに終わって、そうしていつもがっかりしておる。こういう現状をよく知っていただいて、ひとつ水戸射爆場の撤去は一日も早く早めていただきたい、こういう観点から質問するわけでございますが、
防衛庁としてはこの閣議決定後のお
考えに変わりはないのか、あるいはこういった私が先ほど申し上げましたように、代替地等の関連の問題、それから時期を早める問題をどう
考えておられるか、まずそれをお伺いしたいと思います。