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参考人(
川上行藏君) 「
よど号」
事件は、三月三十一日の八時三十分の
ニュースで冒頭に
報道したわけでございますけれども、この
事件は非常に特異な
事件でございまして、いま
先生がおっしゃいましたように、
一つには密室内の犯罪であって、しかもその中に
被害者も
加害者もともに生活をしているという問題、
一つは非常に国際的な
事件であり、あるいは
空港というような特殊な場所で行なわれた
事件ということ、しかも
現場が絶えず移動していったという
事件であるということ、それから三番目に、最後におきましては
北鮮という全く国交のない国に
現場が移動した。そういうような特異な
事件でございますので、この
事件が紆余曲折しております間に、
報道関係といたしまして特に次の三点について配慮するように、私は
現場に強く要請いたしております。
一つは、
取材にいろいろ苦労が多いだろうけれども、この
事件の経緯あるいは問題を広く全
国民あるいは全世界に伝えるということ。しかし人質を取られて、現に
加害者とともに生活をしておるんだから、その人質に対する生命の配慮ということは、
ニュース全体についての基本的な配慮であるということ。それから第三番目に、やはりこの問題を解決するためには国際的な協力を得られなければならない、あるいは
北鮮のような国交のない国の協力を得なければならないので、国際
関係についての配慮というものを十分にしてほしいということを申し、この三点を基本的に絶えず頭に置いてもらって、全体の
取材その他に当たってもらったわけです。で、いま全体のこの経緯の中におきまして、
テレビの
ニュース、それから
ラジオの
ニュース、それから
国際放送、この三つの点につきまして申し上げますと、
テレビの
ニュース関係におきましては、平常の
ニュースのワクのほかに二十四時間三十分
——三月三十一日から四月の五日までの間の六日間にわたりまして、二十四時間三十分の特設の
ニュースをいたしております。そのほかにいろいろの方々においでを願いまして、特別
番組等は
テレビにおきまして十五時間三十分組んでおります。それから
ラジオにつきましては、
ニュースのほうは定時ワク以外に十二時間三十分
放送いたしておる。それから
番組のほうにつきましては、十一時間二十分
放送いたしております。それから
国際放送関係につきましては、四月の一日以降におきまして、
NHKの
国際放送は、御承知のようにゼネラル・サービスと、それから地域向けサービスの二つございますが、そのゼネラル・サービスのほうにおきまして、約五日間におきまして六時間三十分余分に
放送いたしております。それから地域向けと申しまして、韓国向けのほうの
放送は、午前七時から七時四十五分まで、それから午後は二十時三十分から二十一時十五分まで、この二回、四十五分ずつ
放送がございますが、その舞台がソウルでありあるいは平壌であるという
関係で、韓国向けの時間を増大いたしまして、ゼネラル・サービスにおきましては六時間三十分、韓国向け
放送におきましては二十六時間四十分、合わせて
国際放送におきましては三十三時間十分余分に
放送いたしておるという形でございます。それから外国への提供は、おもにEBU
——欧州
放送連合に対しまして一日から六日までの間に五回、衛生中継によりまして総計五十一分四十五秒、これだけの
番組を提供いたしております。なおアメリカに対しましては一回、三分六秒、これを
放送いたしております。なお、これに
関係いたしました全
職員はおよそ一千四百人、その中で十二名をソウルへ直接特派いたしております。
大体以上のような
体制のもとに、いま申し上げました基本精神に沿いまして、この六日間絶えず
ニュースを追っていってお伝えするということに
努力いたしたわけでございます。