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説明員(溝呂木繁君)
郵政省関係で
昭和四十六年度の
概算要求を大蔵省に提出いたしました。その概要を簡単に申し上げますが、まずどういった項目を重要施策としてあげているかということを
お話して、そのあとでそれらの重要施策事項を入れた全体の収支がどうなっているかということを簡単に御
説明させていただきたいと思います。
当省所管
関係では一般会計と特別会計がございますが、一般会計
関係につきましては、来年度の重要施策事項としましては、一つは人工衛星を利用した
電波研究の推進というものを第一に掲げております。これは御承知のように、一つは電離層観測衛星の運用を完成するために、地上施策の整備を四十四年度からはかっておりましたが、これを引き続き四十六年度においても整備したいというものであり、もう一つは、実験用静止
通信衛星の基礎研究、これも前年度に引き続きさらにそれを推進していきたいといったものでございます。
それから二番目に海洋開発のための
通信方式というものを
考えております。これは今年度は初めて
郵政省としては顔を出したものでございますが、すでに政府としては、相当海洋開発
関係については各省研究が進んでおりますので、
電波研究所
関係においてもこの
関係に着手したいというものでございまして、その内容は衛星を使って、衛星中継によっていわゆる海洋
通信系の研究開発をしたい、これはいろいろ海洋上に分散している船舶とかあるいは島、そういう
無人局相互間の
通信方式を衛星を使って、いわゆる海洋
通信系の研究というものをやってみたいということでございまして、もう一つは、いわゆる海洋開発になろうかと思いますが、海中情報伝送ということで、レーザーを利用する方法を研究してみたいというものが、この海洋開発
関係の内容でございます。
それから三番目に総合的電気
通信施策というものを少し
考えてみたい。御承知のように電気
通信に関するいろいろ社会的需要とかあるいは技術革新というものが非常に目まぐるしいものがありまして、有無線を問わず総合的に研究しなければ立ちおくれるんじゃないかということで、おくればせではあるがいろいろ各種総合的な電気
通信というものの
調査に手をつけてみたい。この中には当然CATV
関係の
調査もありますし、情報産業というものの電気
通信に及ぼしていく基本的な
調査あるいは一体、
通信の放送トラフィックはどうなっていくかといったものを
調査してみたいというものでございます。
四番目が
電波監視体制の確立ということで、これは
昭和四十四年度から五カ年
計画で、いわゆる無線局に対するいろいろ
電波監視の近代化をはかろうというものでございまして、これを四十六年度も引き続き継続したいといったようなものを内容としているものでございます。
それから五番目は放送大学に関する
調査、これはいろいろ問題がだいぶ具体化してまいりましたので、四十六年度においてはいろいろテレビジョン放送局あるいは超短波放送局の立地条件とか
電波伝搬の置局
調査、そういったような
調査を四十六年度はしてみたいということで
考えております。
それから六番目は組織の改正ということで、現在電気
通信監理官という形でもって電気
通信関係の
仕事をしておりますが、これをやはり電気
通信局という一つの組織にして、ていさいを整えたいということでございます。
こういった六つのものを一般会計については重要施策事項として
考えております。
それから特別会計
関係につきましては、まず、
郵便事業収支の改善というようなものを、この四十六年度においては第一の大きな問題として
考えております。後ほど御
説明いたしますが、四十六年度の
概算要求を締めてみましたところ、約五百七十億の歳出が歳入をオーバーする額、いわゆる赤字予算といいますか、そういうものを組まざるを得なくなっておりますので、したがいましてこの赤字
対策を単に四十六年度だけで
考えずに、一体今後長期的に見た場合にどのような収支
状況を及ぼすかというようなことをいまいろいろ研究しておりますが、それらを中心にして
郵便事業の収支というものを安定させるためにはどうしたらいいかというようなことが大きな基本問題かと思いますが、その具体策はまだ現段階においてははっきりしておりませんけれども、一応これは四十六年度の収支の改善という問題が大きな問題であるというふうに
考えております。
それから事業の内部に入りまして、事業の合理化、近代化ということで、これはいろいろややこまかくなりますが、まず
郵便事業の作業の機械化ということは、これは前年度にもかなり確保いたしましたが、例の自動読み取り区分機あるいは自動選別取りそろえ押印機、そういったようなものを前年度に引き続き設置していきたいというものであります。
それから
為替貯金関係の機械化としましては、
地方貯金局の機械化を、これも四十四年度、四十五年度で逐次行なってまいりましたが、四十六年度相当大幅に
地方貯金局の機械化を進めていきたいというものを内容とするものであります。それから
簡易保険の機械化につきましても、
地方簡易保険局
関係につきましはかなり進んでおりますが、まだ残っている分野がありますので、それを進めていきたいというふうに
考えております。
それから次に
施設の近代化といったようなことで、まず、
郵便局舎の改善というものを大きく
考えております。相当いままで努力してきたつもりではございますが、まだまだいろいろの面において、
郵便局舎というものは十分でないということで、相当こういったものを重点に来年度は要求してみたいというふうに
考えております。
それから窓口環境の整備改善といったことで、これも数年来逐次実施しておりますが、四十六年度でもなお窓口、公衆室、そういったものを中心に窓口環境の整備改善をはかっていきたいというふうに
考えております。
それから来年度からこれもちょっとおくればせになりましたが、
郵便の作業環境ということで機械が入ってきましたので、当然その機械を入れる部屋あるいは外勤の
関係の休憩室等々、こういった点についても、いささかおくれた面があるやに見受けられますので、そういったものの整備、できれば冷房までも着手してみたいというふうに
考えております。
それから同じくその項目の中にたしかあろうと思いますが、
郵便外務
対策というものもひとつ
考えてみたいと思っております。これはまずは労働力逼迫というものを
考えますと、外務員というものは、なかなか今後労働力として確保するのが非常に困難であろうということで、まずそれらのいまおられる人たちの定着率を向上させるためのいろいろ処遇の改善ということをはかると同時に、団地とか、そういったところについては、団地ママ配達とか、その他女子労働力、できれば中年層の女子労働力などを確保する施策も大幅に進めてまいりたい。これはパートタイマー等によるものになろうかと思いますが、そういったものも来年度ひとつ大いに
考えてまいりたいというふうに
考えております。
それから次が、
郵便貯金と
簡易保険の目標といいますか、増強方針でございますが、一応
郵便貯金につきましては一兆四千億円の目標を掲げてみたいと思っております。これは今年度が一兆一千三百億円でございまして、かなり大幅なものでございますが、一応そういう目標を掲げてみたい。この目標達成のためには、できれば
貯金の総額制限を百万円から二百万円に上げる。そういったことによって、この目標達成に資したいというふうに
考えております。
それから
簡易保険につきましては、これは新規保険料の
金額ですが、百四十億円を目標としている。これは四十五年度が百五億円になります。これも大幅のものになりますが、この目標達成のためにいろいろ学資保険とか、そういった新種保険をつくり、あるいは総額制限額を二百万円から三百万円
程度までには引き上げたいということによって、目標達成に資したいというふうに
考えております。
それから最後に、組織の改正をひとつ
考えております。それは東京
郵政局を二分割したい。御承知のようにいろいろ他のそういう現業部門を持っているところでは、すでに二つないし三つに管理部門が分かれておりますが、わが
郵政だけは東京、関東含めてまだ一つの
郵政局で管理しているということであって、いまやその管理の限界を越えているのではないかということで、ぜひ東京と関東と二分割したいというふうに
考えております。
以上が特別会計
関係の来年度の重要施策として
考えております事項であります。こういった重要施策事項を中心にしまして、全体の収支を見てみますと、まず、一般会計につきましては、収支という問題は生じません。これらの額を純粋の所管分だけで見ますと七十八億一千六百万円、これを前年度と比較すると二三・九%、それに官庁営繕などを加えますと少し大きくなりまして、総体で二四・九%になります。
それから特例会計でございますが、特別会計につきましては、先ほどちょっと触れましたように、いろいろ収入、支出というものを見ますと、全体として五百七十二億四千万円の歳出が歳入をオーバーすることになりました。これは
郵政事業でございますが、結局このうち
貯金、保険その他の問題につきましては、歳出に要るだけ歳入を見込んでございますので、結局は、これが
郵便事業の赤字ということになろうかと思います。まあここで私、赤字と申し上げましたが、いわゆる歳出が歳入をオーバーする赤字でございまして、いわゆる正確に言うと、損益計算上の赤字ということになりますと、この中には借入金の償還金が約二十億円入っておりますので、五百五十億円が、いわゆる予定損益計算上の赤字になろうかと存じます。前年度四十五年度においても、御承知のように、そういった意味においては、百三十三億の歳出オーバを組みましたが、その場合の予定損益計算上の赤字は百億でございまして、これは御承知のように持ち越し現金を持って四十五年度はこれを処理いたしましたが、四十六年度においては、すでにそういった方法もとりがたく、先ほど申しましたように、この赤字をどうしていくかということが、四十六年度における
郵政事業特別会計の大きな問題点であろうかと、こういうふうに
考えております。